(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】球状食物の芯取り及び分割装置
(51)【国際特許分類】
A23N 15/00 20060101AFI20240628BHJP
A23N 4/02 20060101ALI20240628BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20240628BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20240628BHJP
B26D 3/30 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A23N15/00 Z
A23N4/02
B26D7/20
B26D3/26 605A
B26D3/26 605E
B26D3/30
(21)【出願番号】P 2021070053
(22)【出願日】2021-04-18
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】505467672
【氏名又は名称】渡辺精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 好見
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 圭佑
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-300693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0029023(US,A1)
【文献】特開2021-010347(JP,A)
【文献】特開平09-149727(JP,A)
【文献】米国特許第05168799(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/00
A23N 4/02
B26D 7/20
B26D 3/26
B26D 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状食物の芯を取り除きさらに球状食物を2分割する球状食物の芯取り及び分割装置において、
球状食物を載せて回転するテーブルと、
前記テーブルに対して角度90°の等角度間隔で設定された4つの位置である球状食物の供給位置、球状食物の芯取り位置、球状食物の分割位置、及び球状食物の排出位置と、
前記テーブルの外周縁に角度90°の等角度間隔で設けられた球状食物の保持手段と、
前記球状食物の芯取り位置に設置された芯取り装置と、
前記球状食物の分割位置に設置された分割装置と、
前記球状食物の排出位置に設置された排出装置と、
前記テーブルを角度90°で間欠的に回転させるテーブル駆動手段と、を有しており、
前記球状食物の保持手段は複数の球状食物を並置して保持し、
前記芯取り装置は、前記球状食物の保持手段によって並置して保持された複数の球状食物に対して同時に芯取り処理を行い、
前記分割装置は、前記球状食物の保持手段によって並置して保持された複数の球状食物に対して同時に分割処理を行い、
前記排出装置は、前記球状食物の保持手段によって並置して保持された複数の球状食物に対して同時に排出処理を行
い、
前記芯取り装置は、
前記テーブルの上方位置に設けられた可動板と、
前記可動板を昇降移動させる可動板用エアシリンダと、
前記可動板の下端に設けた食物押えと、
前記可動板に取付けられた一対の芯取り用エアシリンダと、
前記芯取り用エアシリンダによって駆動される芯取り刃と、を有しており、
前記一対の芯取り用エアシリンダは前記可動板の側面に固定されており、
前記可動板の側面は前記テーブルの半径方向に延びている
ことを特徴とする球状食物の芯取り及び分割装置。
【請求項2】
前記球状食物の保持手段は、前記テーブルの外周縁に並置して設けられた球状食物挿入用の複数の孔であることを特徴とする請求項1記載の球状食物の芯取り及び分割装置。
【請求項3】
前記分割装置は、並置された複数の食物の合計の幅よりも広い幅を有する分割刃を有することを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の球状食物の芯取り及び分割装置。
【請求項4】
前記排出装置は、
食物をテーブルよりも少し上に持ち上げる食物持上げ装置と、
当該食物持上げ装置によって持ち上げられた食物を前記テーブルの外部へ押し出す押板と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか1つに記載の球状食物の芯取り及び分割装置。
【請求項5】
前記テーブル駆動手段は、
往復直進運動を行う出力ロッドを備えたエアシリンダと、
前記出力ロッドの往復直進運動を前記テーブルの回転運動に変換する動力伝達装置と、
を有することを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか1つに記載の球状食物の芯取り及び分割
装置。
【請求項6】
前記テーブルの回転速度を規制するためのテーブル速度規制手段を有しており、
当該テーブル速度規制手段は、前記テーブルの一方の面に接触するブレーキ用ローラと、前記テーブルを挟んで前記ブレーキ用ローラに対向する押付片とを有しており、
前記ブレーキ用ローラと前記押付片とによって前記テーブルを挟持することにより当該テーブルの回転速度を規制する
ことを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1つに記載の球状食物の芯取り及び分割装置。
【請求項7】
前記テーブル速度規制手段は、前記テーブルが角度90°の回転を完了する前の所定の時間の間、前記ブレーキ用ローラと前記押付片とによって前記テーブルを挟持することを特徴とする請求項
6記載の球状食物の芯取り及び分割装置。
【請求項8】
前記テーブルの外周側面に設けた凹部と、前記外周側面に所定の圧力で押し付けられるローラと、を有しており、
前記ローラが前記凹部に嵌まり込むことにより前記テーブルの角度位置が位置決めされる
ことを特徴とする請求項
6又は請求項
7記載の球状食物の芯取り及び分割装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉ねぎ、キャベツ等といった芯を有する球状食物の芯を取り除いて、さらにその球状食物を中央部から2分割する装置である球状食物の芯取り及び分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置において球状食物を中央部から2分割するのは、球状食物に対するその後の処理(例えば、球状食物のスライス処理)を行う際に球状食物の座りを良くして処理を行い易くするためである。
【0003】
(特許文献1)
従来、球状食物の芯取り装置として特許文献1に開示されたものが知られている。この芯取り装置においては、球状食物としての玉ねぎの上芯部分に斜め上方から芯抜き刃物が挿入及び引き抜かれ、玉ねぎの下芯部分に斜め下方から芯抜き刃物が挿入及び引き抜かれる。これらの芯抜き刃物の動作により、玉ねぎの本体部分から上芯及び下芯が取り除かれる。しかしながら、この芯取り装置においては、玉ねぎを芯取り処理と同時に分割処理するという技術は開示されていない。
【0004】
(特許文献2)
従来、球状食物の芯取り及び分割装置として特許文献2に開示されたものが知られている。この従来の球状食物の芯取り及び分割装置においては、自らを貫通する中心線を中心として回転する円盤が設けられる。この円盤の周囲に、供給位置、芯抜き位置、切断位置及び待機位置が設定される。球状食物としての玉ねぎの芯を切り取るための4つの円筒カッタが円盤の外周縁に沿って設けられる。また、球状食物を分割するための4つの切断刃ユニットが円盤の外周縁上に設けられる。切断刃ユニットへ玉ねぎを押し付けるための押圧板が各切断刃ユニットに対向して設けられる。
【0005】
円筒カッタは、円盤の上方位置に設けられた案内板によって形成されたレール溝に沿って移動することにより、円盤に対して昇降移動する。押圧板も、円盤の上方位置に設けられた案内板によって形成されたレール溝に沿って移動することにより、切断刃ユニットに対して昇降移動する。
【0006】
円盤は、供給位置、芯抜き位置、切断位置及び待機位置の間で回転する。処理対象である玉ねぎが供給位置において円盤の外周上に載せられる。この玉ねぎが円盤の回転に従って芯抜き位置、切断位置、そして待機位置へ順次に移動する。玉ねぎが芯抜き位置に到達したとき、円筒カッタが降下して玉ねぎの芯が切断されて除去される。玉ねぎが切断位置に到達したとき、押圧板が降下して玉ねぎを切断刃ユニットに押し付ける。この押付により、切断刃ユニットによって玉ねぎが分割される。この分割された玉ねぎが製品としての玉ねぎになる。以上により、円盤上に順次に供給される玉ねぎに対して芯取り処理及び分割処理が行われる。
【0007】
この従来の球状食物の芯取り及び分割装置は構造が複雑なので、高価であり、故障が多く、保守が難しい。
【0008】
(特許文献3)
従来、球状食物の芯取り及び分割装置として特許文献3に開示されたものが知られている。この従来の球状食物の芯取り及び分割装置は、テーブルの上方位置に配置された芯取り具及び分割刃物を有している。芯取り具及び分割刃物はそれぞれテーブルに対して昇降移動可能となっている。作業者が処理対象の食物(この文献ではリンゴ)をテーブル上に置き、芯取り具を降下させてリンゴの芯を切り取り、さらに分割刃物を降下させてリンゴを分割する。
【0009】
この従来の球状食物の芯取り及び分割装置は構造が複雑なので、高価であり、故障が多く、保守が難しい。また、作業者がリンゴを1個ずつテーブルへ載せた上で芯取り処理及び分割処理を行うので、効率が悪かった、すなわち短時間に多数のリンゴを処理できなかった。
【0010】
(特許文献4)
従来、球状食物の芯取り及び分割装置として特許文献4に開示されたものが知られている。この従来の球状食物の芯取り及び分割装置は、直線状に配置されたベルトコンベアを有している。処理対象の食物であるハクサイはベルトコンベヤによって直線的に搬送され、その搬送中に芯取りブースにおいて芯取り処理が行われ、分割ブースにおいて分割処理が行われる。分割処理を受けたハクサイはベルトコンベヤの搬送方向の折り返し点においてベルトコンベヤから1つずつ排出される。
【0011】
この従来の球状食物の芯取り及び分割装置においては、搬送手段としてのベルトコンベヤが直線的に設置されるので、装置の設置領域として広い領域を必要とする。また、分割処理の終了後のハクサイはベルトコンベヤから1つずつ排出されるので、効率が悪かった、すなわち短時間に多数のハクサイを処理できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開平7-115953号公報
【文献】特開平7-236463号公報
【文献】特開2012-080851号公報
【文献】特開2014-068640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、芯取り処理及び分割処理を連続して行うことができる球状食物の芯取り及び分割装置を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、狭い領域に設置できる球状食物の芯取り及び分割装置を提供することを第2の目的とする。また、本発明は、短時間に多数の球状食物を処理できる球状食物の芯取り及び分割装置を提供することを第3の目的とする。さらに、本発明は、構造が簡単で安価で保守が容易である球状食物の芯取り及び分割装置を提供することを第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置は、球状食物の芯を取り除きさらに球状食物を2分割する球状食物の芯取り及び分割装置において、球状食物を載せて回転するテーブルと、前記テーブルに対して角度90°の等角度間隔で設定された4つの位置である球状食物の供給位置、球状食物の芯取り位置、球状食物の分割位置、及び球状食物の排出位置と、前記テーブルの外周縁に角度90°の等角度間隔で設けられた球状食物の保持手段と、前記球状食物の芯取り位置に設置された芯取り装置と、前記球状食物の分割位置に設置された分割装置と、前記球状食物の排出位置に設置された排出装置と、前記テーブルを角度90°で間欠的に回転させるテーブル駆動手段と、を有しており、前記球状食物の保持手段は複数の球状食物を並置して保持し、前記芯取り装置は、前記球状食物の保持手段によって並置して保持された複数の球状食物に対して同時に芯取り処理を行い、前記分割装置は、前記球状食物の保持手段によって並置して保持された複数の球状食物に対して同時に分割処理を行い、前記排出装置は、前記球状食物の保持手段によって並置して保持された複数の球状食物に対して同時に排出処理を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置の他の発明態様において、前記球状食物の保持手段は、前記テーブルの外周縁に並置して設けられた球状食物挿入用の複数の孔である。作業者は球状食物を孔に載せるだけで良いので、作業が非常に楽である。
【0016】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置において、前記芯取り装置は、前記テーブルの上方位置に設けられた可動板と、前記可動板を昇降移動させる可動板用エアシリンダと、前記可動板の下端に設けた食物押えと、前記可動板に取付けられた一対の芯取り用エアシリンダと、前記芯取り用エアシリンダによって駆動される芯取り刃と、を有しており、前記一対の芯取り用エアシリンダは前記可動板の側面に固定されており、前記可動板の側面は前記テーブルの半径方向に延びている。
この芯取り及び分割装置によれば、可動板の側面がテーブルの半径方向に延びており、その側面に芯取り刃が設けられるので、テーブルの外周縁に並置された球状食物に対して複数の芯取り刃を狭い領域内にまとめて設置できる。
【0017】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置のさらに他の発明態様において、前記分割装置は、並置された複数の食物の合計の幅よりも広い幅を有する分割刃を有する。この構成により、並置された複数の食物を同時に分割できる。
【0018】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置のさらに他の発明態様において、前記排出装置は、食物をテーブルよりも少し上に持ち上げる食物持上げ装置と、当該食物持上げ装置によって持ち上げられた食物を押し出す押板と、を有する。この構成により、球状食物をテーブルの外部へ排出する処理を安定して確実に行うことが可能となる。
【0019】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置のさらに他の発明態様において、前記テーブル駆動手段は、往復直進運動を行う出力ロッドを備えたエアシリンダと、前記出力ロッドの往復直進運動を前記テーブルの回転運動に変換する動力伝達装置と、を有する。この構成によれば、テーブルを角度90°で間欠的に回転させるための駆動手段を簡単に構成できる。しかも、信頼性の高い間欠回転動作を得ることができる。
【0020】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置のさらに他の発明態様は、前記テーブルの回転速度を規制するためのテーブル速度規制手段を有しており、当該テーブル速度規制手段は、前記テーブルの一方の面に接触するブレーキ用ローラと、前記テーブルを挟んで前記ブレーキ用ローラに対向する押付片とを有しており、前記ブレーキ用ローラと前記押付片とによって前記テーブルを挟持することにより当該テーブルの回転速度を規制する。
テーブルを駆動するための駆動装置を、エアシリンダを用いて構成した場合、角度90°の間欠回転が完了してテーブルが停止する際にテーブルに大きな振動が発生することがあるかもしれない。本発明態様の芯取り及び分割装置によれば、間欠回転移動するテーブルの回転速度を必要に応じて減速できるので、テーブルに振動が発生することを防止でき、その結果、テーブル上に並置された複数の球状食物を安定状態に維持できる。
【0021】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置のさらに他の発明態様において、前記テーブル速度規制手段は、前記テーブルが角度90°の回転を完了する前の所定の時間の間、前記ブレーキ用ローラと前記押付片とによって前記テーブルを挟持する。この構成により、テーブルの停止時に当該テーブルに振動が発生することを防止できる。
【0022】
本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置のさらに他の発明態様は、前記テーブルの外周側面に設けた凹部と、前記外周側面に所定の圧力で押し付けられるローラと、を有しており、前記ローラが前記凹部に嵌まり込むことにより前記テーブルの角度位置が位置決めされる。この構成により、間欠回転移動するテーブルの停止位置にバラツキが生じることを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る本発明の芯取り及び分割装置によれば、回転するテーブルの周囲に供給位置、芯取り位置、分割位置、及び排出位置の各位置を設定したので、直線的なコンベヤベルトを用いた場合に比べて、芯取り及び分割装置を小型に形成できる。これにより、狭いスペースに芯取り及び分割装置を設置できる。
しかも、テーブルの外周縁に複数の食物(例えば玉ねぎ)を載せた状態で、芯取り装置、分割装置、及び排出装置によって複数の食物に対して同時に処理を行うようにしたので、短時間に多数の食物に対して芯取り及び分割処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る芯取り及び分割装置の一実施形態の全体を示す斜視図である。
【
図2】
図1の芯取り及び分割装置の内部に収納される本体ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図2の本体ユニットを上方向から見た状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の矢印Hに従って本体ユニットを斜め下方向から見た状態を示す図である。
【
図5】主に位置決め装置を示す本体ユニットの斜視図である。
【
図6】
図3の矢印H方向から本体ユニットの側面部分を示す図である。
【
図7】
図3の矢印Jに従って本体ユニットを底面側から見た状態を示す図である。
【
図8】テーブル上に2つの玉ねぎが置かれた状態を示す本体ユニットの斜視図である。
【
図9】主に芯取り装置を示す本体ユニットの斜視図である。
【
図11】芯取り装置を別の方向から示す斜視図である。
【
図12】主に分割装置を示す本体ユニットの斜視図である。
【
図13】分割装置の1つの動作状態を示す斜視図である。
【
図14】分割装置の他の1つの動作状態を示す斜視図である。
【
図15】分割装置の背面側の構造を示す斜視図である。
【
図16】主に排出装置を示す本体ユニットの斜視図である。
【
図17】排出装置の1つの動作状態を示す斜視図である。
【
図18】排出装置の下部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る球状食物の芯取り及び分割装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0026】
(芯取り及び分割装置の全体構造)
図1は球状食物としての玉ねぎの芯取り及び分割装置1の全体的な構造を示している。この芯取り及び分割装置1は、支柱2、側板3、天板4、等からなる機枠5を有している。機枠5の内部に
図2に示す本体ユニット8が収納されている。天板4の上に制御部9が取付けられている。左側の側板3に排出口10が設けられている。制御部9と本体ユニット8は電気ケーブル11によってつながっている。本体ユニット8を機枠5の外部へ取り出す場合を考慮して、電気ケーブル11は図示の縮んだ状態から外側へ延びる状態へと変形可能である。制御部9の中には、PLC(Programmable Logic Controller)を含んだ制御回路が収容されている。PLCは周知の通りプログラムに従って動作する演算処理部によって各種の動作機器の動作を制御する装置である。なお、制御部9はプログラム可能な演算処理部を持たないリレー回路によって形成しても良い。
【0027】
(テーブル)
本体ユニット8は
図2においてテーブル13を有している。テーブル13は
図3に示すようにほぼ円形の金属製の板状部材である。テーブル13の周囲に、角度90°の等角度間隔で、玉ねぎの供給位置A、玉ねぎの芯取り位置B、玉ねぎの分割位置C、及び玉ねぎの排出位置Dが設定されている。
図1において、玉ねぎの供給位置Aにおいてテーブル13の外周縁が機枠5の外部から見えるようになっている。
【0028】
図2において、テーブル13の中心部は支柱14の上端に固定されている。支柱14の下部は支台15によって回転自在に支持されている。支台15の下面には、
図4に示すように、テーブル駆動手段としてのテーブル駆動装置18が設けられている。テーブル駆動装置18は、エアシリンダ19と、動力伝達装置20とを有している。エアシリンダ19は周知の通り空気力エネルギを出力ロッド19aの直進往復運動に変換する機器である。
【0029】
動力伝達装置20は出力ロッド19aの直進往復運動を支柱14の回転運動に変換する装置である。より具体的には、動力伝達装置20は、出力ロッド19aが所定の距離だけ伸長移動するときに支柱14を自身の中心軸線を中心として矢印Eから見て正時計方向(すなわち、矢印Fから見て反時計方向)へ角度90°だけ回転させる。そして、動力伝達装置20は、出力ロッド19aが伸長位置からシリンダ本体内へ復動するときには、支柱14を静止状態に維持させて出力ロッド19aだけを復動させる。以上により、テーブル駆動装置18は
図2においてテーブル13を矢印F方向から見て支柱14との接合点(すなわちテーブル13の円形の中心点)を中心として反時計方向へ角度90°づつ間欠的に回転させる。
【0030】
(位置決め装置)
図5は
図3の矢印Gで示す方向から本体ユニット8を見た状態を示している。
図5において、テーブル13の外周側面に、角度90°の等角度間隔をおいて複数(本実施形態では4つ)の切欠き凹部21が設けられている。なお、
図5では4つの切欠き凹部21のうちの1つが他の機器に隠れて見えていない。また、テーブル13の側方位置に位置決め装置22が設けられている。位置決め装置22は、支台15又は
図1の機枠5に固定されていて位置不動である。
【0031】
位置決め装置22は、回転自在なローラ23と、エアシリンダ24とを有している。エアシリンダ24の出力ロッド24aを伸長移動させることによりローラ23をテーブル13の外周側面に所定の圧力で押し付ける。押し付けられているローラ23のところにテーブル13の切欠き凹部21が到来すると、ローラ23が切欠き凹部21に嵌まり込む。このとき、
図4のテーブル駆動装置18からテーブル13へ動力が伝達されない状態ならば、切欠き凹部21に嵌まり込んだローラ23(
図5参照)によってテーブル13が位置決めされる。
図4のテーブル駆動装置18によって駆動されてテーブル13が回転を開始するときには、
図5の位置決め装置22のエアシリンダ24がOFFとなって、ローラ23がテーブル13の側面を押圧することが解除される。
【0032】
(テーブル速度規制手段)
図3において供給位置Aに近い部分のテーブル13の上にブレーキ用ローラ25が設けられている。ブレーキ用ローラ25は、支台15又は
図1の機枠5に固定されていて位置不動である。
図6は
図3の矢印H方向から本体ユニット8の側面部分を示す図である。
図6に示すように、テーブル13を挟んでブレーキ用ローラ25に対向する位置に押圧装置28が設けられている。押圧装置28は支台15上に固定されている。押圧装置28は、支台15に固定された支柱29と、支柱29に支持されたエアシリンダ30と、エアシリンダ30に取付けられた押付片31とを有している。
【0033】
エアシリンダ30が作動して押付片31が上方へ移動すると、押付片31がテーブル13をローラ25へ押し付ける。これにより、テーブル13にブレーキ力、すなわち停止力が加わる。これにより、テーブル13が過剰な速度で回転することが回避される。本実施形態では、テーブル13の回転速度を規制するためのテーブル速度規制手段が、ブレーキ用ローラ25と押圧片31とによって構成されている。エアシリンダ30によるブレーキ力はテーブル13が角度90°の回転を完了する直前の所定の時間だけ行われる。エアシリンダ30を急に停止させるとテーブル13に振動が発生して玉ねぎに位置ずれが生じるおそれがあるが、角度90°の回転の終了直前にテーブル速度規制手段によってテーブル13にブレーキ力を付与するようにすれば、テーブル13に振動が発生することを防止できる。
【0034】
(食物支持板)
図3において、テーブル13の外周縁に、角度90°の等角度間隔で、複数(本実施形態では4つ)の食物支持板34が固定されている。1つの食物支持板34が
図3の供給位置Aに位置しているとき、他の3つの食物支持板34はそれぞれ芯取り位置B、分割位置C、及び排出位置Dに位置している。
【0035】
食物支持板34が固定された部分のテーブル13には複数(本実施形態では2個)の円形状の孔35,35が開けられている。食物支持板34には、複数(本実施形態では2個)の円形状の孔36,36が開けられている。
図7は
図3の矢印Jに従って本体ユニット8を底面側から見た状態を示している。
図7に示すように、テーブル13の孔35,35と食物支持板34の孔36,36は位置的に見て互いに重なり合っている。その結果、食物支持板34の孔36,36がテーブル13を貫通している。
【0036】
玉ねぎの芯取り及び分割処理を行うに際しては、
図8に示すように、食物支持板34の孔36,36の左側の孔に玉ねぎTaが置かれ、右側の孔に玉ねぎTbが置かれる。すなわち、複数(本実施形態では2個)の玉ねぎを並置して保持する球状食物の保持手段は、本実施形態では、食物支持板34に設けられた孔36,36によって実現されている。
【0037】
なお、玉ねぎTa,Tbをテーブル13上に置く作業は人手で行っても良いし、自動機によって自動的に行っても良い。投入される玉ねぎの大きさは一定ではなく、ばらばらである。
図8では左側に大きな玉ねぎTaが置かれ、右側に小さな玉ねぎTbが置かれることを例示している。玉ねぎTa,Tbが食物支持板34の孔36,36に置かれたとき、玉ねぎTa,Tbの下端の頂部が
図7のテーブル13の孔35,35よりも下方へ張り出すようになっている。
【0038】
(芯取り装置)
図3の芯取り位置Bに芯取り装置39が設置されている。芯取り装置39はテーブル13の上方位置に配置された2つの上可動板40a,40bを有している。上可動板40a,40bは
図9に示すようにそれぞれが可動板用エアシリンダ41a,41bの出力ロッド41c,41dによって支持されている。エアシリンダ41a,41bは、
図1に示すように機枠5としての天板4に固定されている。芯取り装置39は、また、
図9においてテーブル13の下方位置に下固定板42a,42bを有している。下固定板42a,42bは、いずれも、支台15の上面に固定されていて位置不動である。
【0039】
上可動板40a,40bの下端部に、それぞれ、食物押え43a,43bが設けられている。食物押え43a,43bは、リング形状に形成されており、食物(本実施形態では玉ねぎTa,Tb)の頂部をリング状に押える。これにより、玉ねぎTa,Tbが動かないように保持される。エアシリンダ41a,41bは、空気圧エネルギによって出力ロッド41c,41dを伸長移動及び戻り移動させる機器である。出力ロッド41c,41dの伸長移動は出力ロッド41c,41dの先端に所定の圧力がかかったときに停止するようになっている。この圧力はレギュレータによってオペレータが調整可能である。本実施形態の場合、「所定の圧力」は玉ねぎTa,Tbをつぶすことなく押えることができる大きさの圧力である。従って、玉ねぎTa,Tbの大きさにばらつきがある場合、エアシリンダ41a,41bは出力ロッド41c,41dのストローク(すなわち移動距離)に違いが生じるが、一定の圧力で玉ねぎTa,Tbを押えることができる。
【0040】
上流側の上可動板40aの側面に、
図10に示すように、一対の芯取り用エアシリンダ46a,46bが固定されている。上可動板40aの側面はテーブル13の半径方向に延びている。これらのエアシリンダ46a,46bの出力ロッドの先端に芯取り刃47a,47bが取付けられている。芯取り刃47a,47bは断面形状がU字形状の刃物すなわち半円筒形状の刃物として形成されている。エアシリンダ46a,46bは、いずれも、斜め上方向から所定の傾斜角度で出力ロッドを進退移動させる。エアシリンダ46a,46bの出力ロッドの進退移動の傾斜角度は大きさが同じで、傾斜方向が互いに逆方向である。このため、各出力ロッドの先端に取り付けられた芯取り刃47a,47bは互いに逆方向から玉ねぎTaの上頂部へ切り込むようになっている。芯取り刃47a,47bの玉ねぎTaへの切り込み動作のタイミングは同時であって良いし、時間差があっても良い。
【0041】
図10において、上流側の下固定板42aの側面に、一対の芯取り用エアシリンダ48a,48bが固定されている。下固定板42aの側面はテーブル13の半径方向に延びている。これらのエアシリンダ48a,48bの出力ロッドの先端に芯取り刃49a,49bが取付けられている。芯取り刃49a,49bは断面形状がU字形状の刃物すなわち半円筒形状の刃物として形成されている。エアシリンダ48a,48bは、いずれも、斜め下方向から所定の傾斜角度で出力ロッドを進退移動させる。エアシリンダ48a,48bの出力ロッドの進退移動の傾斜角度は大きさが同じで、傾斜方向が互いに逆方向である。このため、各出力ロッドの先端に取り付けられた芯取り刃49a,49bは互いに逆方向から玉ねぎTaの下頂部へ切り込むようになっている。芯取り刃49a,49bの玉ねぎTaへの切り込み動作のタイミングは同時であって良いし、時間差があっても良い。
【0042】
図11は、
図5の矢印K方向から本体ユニット8を見たときの構造を示している。なお、
図11では
図5の位置決め装置22の図示を省略している。
図11において、下流側の上可動板40bの側面に、一対の芯取り用エアシリンダ52a,52bが固定されている。これらのエアシリンダ52a,52bの出力ロッドの先端に芯取り刃53a,53bが取付けられている。芯取り刃53a,53bは断面形状がU字形状の刃物すなわち半円筒形状の刃物として形成されている。エアシリンダ52a,52bは、いずれも、斜め上方向から所定の傾斜角度で出力ロッドを進退移動させる。エアシリンダ52a,52bの出力ロッドの進退移動の傾斜角度は大きさが同じで、傾斜方向が互いに逆方向である。このため、各出力ロッドの先端に取り付けられた芯取り刃53a,53bは互いに逆方向から玉ねぎTaの上頂部へ切り込むようになっている。芯取り刃47a,47bの玉ねぎTbへの切り込み動作のタイミングは同時であって良いし、時間差があっても良い。
【0043】
下流側の下固定板42bの側面に、一対の芯取り用エアシリンダ54a,54bが固定されている。これらのエアシリンダ54a,54bの出力ロッドの先端に芯取り刃55a,55bが取付けられている。芯取り刃55a,55bは断面形状がU字形状の刃物すなわち半円筒形状の刃物として形成されている。エアシリンダ54a,54bは、いずれも、斜め下方向から所定の傾斜角度で出力ロッドを進退移動させる。エアシリンダ54a,54bの出力ロッドの進退移動の傾斜角度は大きさが同じで、傾斜方向が互いに逆方向である。このため、各出力ロッドの先端に取り付けられた芯取り刃55a,55bは互いに逆方向から玉ねぎTbの下頂部へ切り込むようになっている。芯取り刃55a,55bの玉ねぎTbへの切り込み動作のタイミングは同時であって良いし、時間差があっても良い。
【0044】
本実施形態において、上可動板40a,40bの側面はテーブル13の半径方向へ延びている。また、下固定板42a,42bの側面もテーブル13の半径方向へ延びている。これらの結果、並置された2つの玉ねぎTa,Tbの芯取りを行うための芯取り刃47a,47b,49a,49b,53a,53b,55a,55b及びそれらの芯取り刃を駆動するための芯取り用エアシリンダ46a,46b,48a,48b,52a,52b,54a,54bを狭い領域内に設置できた。この結果、テーブル13上に近接して並置した2個(すなわち複数)の玉ねぎTa,Tbの芯取り処理を問題なく実施できるようになった。
【0045】
(分割装置)
図3の分割位置Cに分割装置58が設置されている。分割装置58は、
図12に示すように、エアシリンダ59を有している。エアシリンダ59は
図1の機枠5の天板4に固定されている。
図12において、エアシリンダ59の出力ロッド59aに昇降部材60が取付けられている。昇降部材60に分割刃61が固定されている。分割刃61は、2個の玉ねぎを並べた長さよりも広い幅を持った長方形状の1枚の薄い刃物である。昇降部材60及び分割刃61は、
図13に示す上位置(すなわち待機位置)と
図12に示す下位置(すなわち切断位置)との間で、エアシリンダ59によって駆動されて昇降移動する。
【0046】
図14に示すように、分割刃61の周囲に食物押え64a,64bが設けられている。食物押え64a,64bの背部には
図15に示すように背板65a,65bが固定されている。背板65a,65bの外側向きの表面に
図12に示すようにリニアガイド装置(直進案内装置)の直線軌道66が固定されている。直線軌道66は上下方向へ延びている。
図13に示すように、昇降部材60の背面にリニアガイド装置の移動片67が固定されている。移動片67は背板65a,65bに対して1個ずつ、合計で2個設けられている。移動片67は直線軌道
66に沿って移動するようになっており、その結果、背板65a,65b(従って食物押え64a,64b)は昇降部材60に対して昇降移動できるようになっている。
【0047】
図15において背板65a,65bの上部に突板68,68が設けられている。これらの突板68は、昇降部材60の上面にぶつかることができる長さで、背板65a,65bから延びている。従って、
図14に示すように昇降部材60がエアシリンダ59に駆動されて上位置(すなわち待機位置)にあるとき、背板65a,65bは突板68(
図15参照)によって昇降部材60に吊り下がった状態で上位置(すなわち待機位置)にある。昇降部材60がエアシリンダ59に駆動されて下降するとき、それと同時に背板65a,65b(従って食物押え64a,64b)が自重によって下降する。下降する食物押え64a,64bが
図12に示すように玉ねぎTa,Tbに達すると、それらの食物押え64a,64bの下降が止まる。この状態で食物押え64a,64bは自重によって玉ねぎTa,Tbを押える。これにより、玉ねぎTa,Tbが移動しないように保持される。その後、昇降部材60及び分割刃61は下降を続け、
図12に示すように分割刃61によって玉ねぎTa,Tbが中央部から2分割される。
【0048】
(排出装置)
図3の排出位置Dに排出装置71が設置されている。排出装置71は、
図16に示すように、テーブル13の上方位置において押板72を有している。また、排出装置71は、テーブル13の下方位置において食物持上げ装置70を有している。押板72は
図15に示すようにエアシリンダ74の出力ロッド74aの先端に固定されている。押板72は、エアシリンダ74によって駆動されて、
図8に示す退避位置(すなわち待機位置)と
図17に示すに突出位置(すなわち排出位置)との間で進退移動する。押板72が
図8の退避位置にあるとき、玉ねぎTa,Tbはテーブル13の回転に従って排出位置Dへ達することができる。押板72が
図17の突出位置へ移動すると、玉ねぎTa,Tbは移動する押板72によって押されて食物支持板34の外側へ押し出される。押し出された玉ねぎTa,Tbは
図1の排出口10を通って外部へ排出される。
図17において押板72の下端72aは、玉ねぎTa,Tbの下端部に正確に入り込むことができるように、先方へ張り出す形状となっている。
【0049】
図16の食物持上げ装置70は、押上アーム73と、エアシリンダ76とを有している。押上アーム73は
図18に示すように先端部が二股に分かれている。二股の先端部に円形状の玉ねぎ受け部材75a,75bが設けられている。一対の玉ねぎ受け部材75a,75bの間隔は、
図3において食物支持板34に設けられた2つの孔36,36の間隔Mと同じ長さの間隔とされている。また、玉ねぎ受け部材75a,75bの外径は
図3の食物支持板34の円形状の孔36,36を通過できる大きさになっている。
【0050】
図16において押上アーム73はエアシリンダ76の出力ロッド76a(
図19参照)の先端に固定されている。押上アーム73はエアシリンダ76によって駆動されて
図18に示す下位置(すなわち待機位置)と
図19に示す上位置(すなわち押上位置)との間で往復昇降移動する。
図18の下位置において玉ねぎ受け部材75a,75bはテーブル13よりも下の位置にある。
図19の上位置において玉ねぎ受け部材75a,75bはテーブル13よりもわずかに上の位置にある。玉ねぎ受け部材75a,75bをテーブル13よりもわずかに高い位置に上げるようにしたのは、
図17において押板72が玉ねぎTa,Tbを外部へ押し出すときに、押板72の下端72aが玉ねぎTa,Tbの下端部分に入り込むことを容易にするためである。
【0051】
(動作)
本実施形態の芯取り及び分割装置1は以上のように構成されているので、オペレータは
図1において供給位置Aにおいて食物支持板34上に複数(本実施形態では2個)の球状食物としての玉ねぎTa,Tbを載せる。玉ねぎを載せる作業はオペレータの手作業で行っても良いし、自動機によって自動的に行っても良い。
【0052】
投入する玉ねぎは、上芯、下芯及び薄皮が付いているもの、上端及び下端がカットされると共に薄皮が除去されたもの、上芯及び下芯が付いていて薄皮が除去されたもの、等各種の状態のものがある。なお、上端及び下端がカットされた状態とは、端部がカットされただけで上芯及び下芯は残っている状態である。
【0053】
玉ねぎTa,Tbがテーブル13上に置かれると、
図4のテーブル駆動装置18が作動してテーブル13が
図8において角度90°だけ反時計方向へ回転する。これにより、玉ねぎTa,Tbは
図3の芯取り位置Bへ移動して停止する。テーブル13は
図6の押圧装置28及びブレーキ用ローラ25の働きによって過剰な速度で回転することが規制される。さらに、
図5の位置決め装置22及び切欠き凹部21の働きによりテーブル13は正確に位置決めされる。これらにより、玉ねぎTa,Tbは芯取り位置Bで正確に停止する。
【0054】
玉ねぎTa,Tbが芯取り位置Bで停止すると、
図10及び
図11において、上側の芯取り用エアシリンダ46a,46b(
図10),52a,52b(
図11)が作動する。これにより、各エアシリンダの出力ロッドの先端に取り付けられた芯取り刃47a,47b(
図10),53a,53b(
図11)が玉ねぎTa,Tbの上先端部に対して挿入及び引出しされる。これにより玉ねぎTa,Tbの上芯が切断によって取り出される。
【0055】
他方、
図9において玉ねぎTa,Tbが芯取り位置Bで停止すると、
図10及び
図11において、下側の芯取り用エアシリンダ48a,48b(
図10),54a,54b(
図11)が作動する。これにより、各エアシリンダの出力ロッドの先端に取り付けられた芯取り刃49a,49b(
図10),
55a,55b(
図11)が玉ねぎTa,Tbの下先端部に対して挿入及び引出しされる。これにより玉ねぎTa,Tbの下芯が切断によって取り出される。
【0056】
芯取り作業が終了すると、
図3においてテーブル13がさらに角度90°だけ反時計方向に回転し、玉ねぎTa,Tbが分割位置Cへ搬送されて、そこに停止する。
図6の押圧装置28及び
図5の位置決め装置22の働きにより、玉ねぎTa,Tbは分割位置Cで正確に停止する。このとき、
図14において、昇降部材60及び分割刃61は待機位置である上位置に置かれている。玉ねぎTa,Tbが分割位置Cで停止すると、昇降部材60がエアシリンダ59によって駆動されて降下する。すると、食物押え64a,64bが自重によって降下して
図12に示すように玉ねぎTa,Tbの上端に接触して停止する。これにより、玉ねぎTa,Tbが動かないように保持される。この状態で分割刃61はさらにエアシリンダ59によって駆動されて降下して、分割刃61によって玉ねぎTa,Tbが中央部分から2分割される。
【0057】
こうして分割処理が終了すると、
図3においてテーブル13がさらに反時計方向へ角度90°だけ反時計方向へ回転する。これにより、玉ねぎTa,Tbは排出位置Dへ搬送されて、そこに停止する。
図6の押圧装置28及び
図5の位置決め装置22の働きにより、玉ねぎTa,Tbは排出位置Dで正確に停止する。このとき、
図8の押板72は同図に示すように退避位置にある。また、
図16の玉ねぎ受け部材75a,75bはテーブル13よりも下の位置にある。
【0058】
玉ねぎTa,Tbが排出位置Dで停止すると、玉ねぎ受け部材75a,75bがエアシリンダ76によって駆動されて
図19に示すようにテーブル13よりもわずかに上の位置へ上昇する。これにより、
図8において玉ねぎTa,Tbの下端がテーブル13よりもわずかに上の位置へ持ち上げられる。この状態でエアシリンダ74が作動して押板72が
図17に示すように前方へ突出する。これにより、玉ねぎTa,Tbが押板72によって前方へ押し出されて
図1の排出口10から外部へ排出される。
【0059】
排出された玉ねぎTa,Tbは上芯及び下芯が除去され、さらに中央部から2分割された状態になっている。これらの玉ねぎTa,Tbは、その後、所定の後処理、例えばスライス装置によるスライス処理を受ける。この後処理を受ける玉ねぎTa,Tbは2分割されているので、平坦な分割面を後処理装置の処理台の上に置くことができる。分割面は平坦であるので、玉ねぎは安定状態を維持でき、その結果、正確で迅速な後処理を受けることができる。
【0060】
本実施形態では、回転するテーブル13を用いて芯取り及び分割の各処理を行うことにしたので、直線状のコンベヤベルトを用いた特許文献4(特開2014-068640)の装置に比べて、芯取り及び分割装置を狭いスペースに設置できる。
【0061】
また、本実施形態では、回転するテーブル13の外周縁に複数(本実施形態では2個)の玉ねぎ(すなわち食物)を並置して、それら複数の食物に対して芯取り、分割、排出の各処理を行うことにしたので、食物を1つずつ処理する場合に比べて、短時間で多数の食物を処理できる。
【0062】
また、本実施形態は、回転するテーブル13の周囲に芯取り装置、分割装置、及び排出装置を固定配置した構成なので、特許文献2(特開平7-236463)や特許文献3(特開2012-080851)に開示された装置に比べて、構造が簡単であり、安価に製造でき、保守も簡単である。
【0063】
本実施形態では、
図16の玉ねぎ受け部材75a,75bによる玉ねぎの持ち上げ動作、及び押板72の平行移動による玉ねぎの押し出し動作により、玉ねぎは形が崩れることなく
図1の排出口10から排出される。これにより、玉ねぎを後処理装置(例えばスライス装置)へ搬送する作業を安定して正確に行うことができる。
【0064】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記の実施形態では食物として玉ねぎを例示したが、食物はキャベツやその他の野菜、あるいはリンゴやその他の食物とすることができる。
また、上記の実施形態ではテーブル13の外周縁に2個の食物を並置して、それらの食物に対して芯取り、分割、排出の各処理を行うことにしたが、食物の数は3個以上とすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1:芯取り及び分割装置、2:支柱、3:側板、4:天板、5:機枠、8:本体ユニット、9:制御部、10:排出口、13:テーブル、14:支柱、15:支台、18:テーブル駆動装置(テーブル駆動手段)、19:エアシリンダ、19a:出力ロッド、20:動力伝達装置、21:切欠き凹部、22:位置決め装置、23:ローラ、24:エアシリンダ、25:ブレーキ用ローラ、28:押圧装置、29:支柱、30:エアシリンダ、31:押付片、34:食物支持板、35:テーブル13の孔、36:食物支持板36の孔(球状食物の保持手段)、39:芯取り装置、40a,40b:上可動板、41a,41b:可動板用エアシリンダ、41c,41d:出力ロッド、42a,42b:下固定板、43a,43b:食物押え、46a,46b:芯取り用エアシリンダ、47a,47b:芯取り刃、48a,48b:芯取り用エアシリンダ、49a,49b:芯取り刃、52a,52b:芯取り用エアシリンダ、53a,53b:芯取り刃、54a,54b:芯取り用エアシリンダ、55a,55b:芯取り刃、58:分割装置、59:エアシリンダ、59a:出力ロッド、60:昇降部材、61:分割刃、64a,64b:食物押え、65a,65b:背板、66:直線軌道、67:移動片、68:突板、70:食物持上げ装置、71:排出装置、72:押板、72a:下端、73:押上アーム、74:エアシリンダ、74a:出力ロッド、75a,75b:玉ねぎ受け部材、76:エアシリンダ、76a:出力ロッド、A:玉ねぎの供給位置、B:玉ねぎの芯取り位置、C:玉ねぎの分割位置、D:玉ねぎの排出位置、M:玉ねぎ孔間隔、Ta,Tb:玉ねぎ