(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】地中埋設電路用蓋盤の開閉装置
(51)【国際特許分類】
E02D 29/12 20060101AFI20240628BHJP
E02D 29/14 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
E02D29/12 B
E02D29/14 B
(21)【出願番号】P 2021199707
(22)【出願日】2021-12-09
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000151184
【氏名又は名称】株式会社土井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】高崎 良樹
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-076083(JP,U)
【文献】実開平01-069847(JP,U)
【文献】特開2006-328795(JP,A)
【文献】実開平01-037589(JP,U)
【文献】実開昭51-040694(JP,U)
【文献】特開平09-095959(JP,A)
【文献】特開2002-138504(JP,A)
【文献】特開2021-017780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/12
E02D 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設電路の蓋盤に埋め込み配置されていて、上下方向にスライドする磁着可能なフックロッドを挿入した係合体と、この係合体のフックロッドを磁着して吊り上げることで蓋盤を持ち上げるフック体とを備え、係合体は、蓋盤に埋設される係合本体と、この係合本体内に挿入されていて、上端に形成した引出頭部がフック体によって磁着係合されて引出された後
、下部に設けた係合突部
を係合体に係合させて蓋盤を持ち上げる前記フックロッドとを備えて成り、フック体は、側方が開放されているフック筐体と、吊上機に連繋させる連繋部と、フック筐体に揺動自在に支承されていて、フックロッドの引出頭部を磁着して引出す磁石体と、引き出された引出頭部を係合支持する支持部とを設けて成ることを特徴とする地中埋設電路用蓋盤の開閉装置。
【請求項2】
係合体の前記係合本体は、引出頭部を蓋盤の表面に露出させて収納する頭部収納室を上部に、上方に引き出され移動した前記フックロッドの係合突部を係合する係合上壁を有する係合室を下部にそれぞれ備えて成る請求項1に記載の地中埋設電路用蓋盤の開閉装置。
【請求項3】
前記引出頭部は、頭部収納室の内部に収納可能となっていると共に、頭部収納室の室内高さに比し大きくはない高さを備えて成る請求項1または2に記載の地中埋設電路用蓋盤の開閉装置。
【請求項4】
前記係合本体は、外周面には、上部に比し下部を大径にしたことで、係合本体の高さ方向のほぼ中央部に吊上段部を形成すると共に、下部では下方に至るに伴い次第に小径となる窄まり状のテーパー面としてある請求項1乃至3のいずれかに記載の地中埋設電路用蓋盤の開閉装置。
【請求項5】
フック体の前記フック筐体は、相対峙する左右側壁を中央壁にて連結することで平面から見てほぼH字形を呈して形成されており、所定の吊上機のフック
部材が引っ掛けられる連繋部は、中央壁に開口形成した孔部としてある請求項1乃至4のいずれかに記載の地中埋設電路用蓋盤の開閉装置。
【請求項6】
フック体の前記磁石体は、フック筐体の左右側壁相互間で支承連結した支承軸に管状の揺動パイプを揺転自在に嵌め合わせ、この揺動パイプに、先端に磁石を連結した引出ロッドを連結して成る請求項1乃至5のいずれかに記載の地中埋設電路用蓋盤の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電路設備を地中に埋設することによって無電柱化を進めるに際し、電路設備のメンテナンス等のために地表面に配される例えばコンクリート製の蓋盤を安全に開閉でき、しかも低コストでありながらセキュリティも確保できる地中埋設電路用蓋盤の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電路設備を地中に埋設することで、架空配線、電柱を廃する無電柱化によって景観を確保すると同時にメンテナンスも容易になることから、これを推進すべく各種の無電柱化システムが提案されている。ただ、地中に埋設するためには、配線路に沿う掘削、樋・溝構造物の埋設、地表面におけるメンテナンス用開閉蓋の設置等の諸費用が掛かるのが実状である。特に、地表面に設置される開閉蓋は、メンテナンスに際しては容易に開閉できることでありながら、いたずらその他によって簡単に開閉できるようでは配線路の安全性が確保できなくなる。
【0003】
こうした点から、従来では、開閉蓋が閉塞配置される埋設ボックスの開口部壁との間で受枠に着脱自在に係止する回転式係止片によるロック装置を設けておき、このロック装置の回転式係止片を例えばシリンダ錠による施錠、解錠によってロックあるいはその解除操作をする特許文献1に係る電線共同溝の蓋板施錠装置がある。また、蓋体に形成した凹嵌部に溝と張出部とを形成し、この凹嵌部の溝に挿入後に回転させること張出部に係合するT字形フックによって、蓋体を持ち上げ開放する特許文献2に係るマンホール蓋がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012―162881号公報
【文献】実開平6-87439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところがこのような従来のロック装置では、シリンダ錠を備えた特許文献1に示される蓋板施錠装置によると、シリンダ錠の保護のための保護盤を設けるのみならず、この保護盤を簡単には開放できないようにするためのネジ止め構造等が必要になる。そうすると、シリンダ錠自体が高価であるから設置コストが掛かり、シリンダ錠に対する施錠忘れによる事故を誘発することもある。またT字形フックの係合による特許文献2に示されるマンホール蓋によると、このT字形フックと同様な形態の部材が利用されると簡単に開放でき、内部収納の配線部材に対するいたずら等による損壊等が生じるのを防止することができない。あるいは、特別形状の鍵穴に対応するロックドライバーによるとしても、その特別形状に合わせたドライバー等が使用されると同様な事態が生じることに変わりはない。
【0006】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、配線類の収納用に溝構造物を埋設設置することで構成された地中電路において地表面で施蓋している例えばコンクリート製の蓋盤を開閉するに際し、蓋盤を安全に開閉できるばかりでなく、低コストで構成でき、しかもセキュリティも確保できるようにした地中埋設電路用蓋盤の開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、埋設電路の蓋盤Fに埋め込み配置されていて、上下方向にスライドする磁着可能なフックロッド11を挿入した係合体1と、この係合体1のフックロッド11を磁着して吊り上げることで蓋盤Fを持ち上げるフック体20とを備え、係合体1は、蓋盤Fに埋設される係合本体2と、この係合本体2内に挿入されていて、上端に形成した引出頭部12がフック体20によって磁着係合されて引出された後、下部に設けた係合突部13を係合体1に係合させて蓋盤Fを持ち上げる前記フックロッド11とを備えて成り、フック体20は、側方が開放されているフック筐体21と、吊上機Cに連繋させる連繋部22と、フック筐体21に揺動自在に支承されていて、フックロッド11の引出頭部12を磁着して引出す磁石体23と、引き出された引出頭部12を係合支持する支持部28とを設けて成ることを特徴とする。
係合体1の係合本体2は、引出頭部12を蓋盤Fの表面に露出させて収納する頭部収納室4を上部に、上方に引き出され移動したフックロッド11の係合突部13を係合する係合上壁7を有する係合室6を下部にそれぞれ備えて構成することができる。
引出頭部12は、頭部収納室4の内部に収納可能となっていると共に、頭部収納室4の室内高さに比し大きくはない高さを備えて構成することができる。
係合本体2は、外周面には、上部に比し下部を大径にしたことで、係合本体2の高さ方向のほぼ中央部に吊上段部3を形成すると共に、下部では下方に至るに伴い次第に小径となる窄まり状のテーパー面として構成することができる。
フック体20のフック筐体21は、相対峙する左右側壁を中央壁にて連結することで平面から見てほぼH字形を呈して形成されており、所定の吊上機Cのフック部材が引っ掛けられる連繋部22は、中央壁に開口形成した孔部として構成することができる。
フック体20の磁石体23は、フック筐体21の左右側壁相互間で支承連結した支承軸24に管状の揺動パイプ25を揺転自在に嵌め合わせ、この揺動パイプ25に、先端に磁石27を連結した引出ロッド26を連結して構成することができる。
【0008】
以上のように構成された本発明に係る地中埋設電路用蓋盤の開閉装置にあって、埋設電路の開口部を閉塞している蓋盤Fに埋め込み配置した係合体1のフックロッド11を、吊上機Cに連繋したフック体20によって磁着して引き上げ、フック体20の支持部28をフックロッド11に係合し、吊り上げる。すると、フックロッド11の係合突部13が係合体1とも係合したものとなり、吊上機Cによる吊り上げ作用は、蓋盤Fを持ち上げ、埋設電路を開放させる。
係合体1に挿入してあるフックロッド11は、その上端の引出頭部12を係合体1における頭部収納室4内で収納されて蓋盤Fの上面に露出状態であるも、その収納状態は頭部収納室4内で目立たたず、磁石体23の磁着による引出作用で操作されるのみであることで、いたずらその他による引き出しを困難にさせる。
フック体20は、磁石体23によって磁着引き出したフックロッド11の引出頭部12に、支持部28を係合し吊り下げることで、上方にスライド移動するフックロッド11の係合突部13が係合体1に係合し、この係合体1を介して蓋盤F自体を持ち上げ、埋設電路を開放させる。
フック体20は、支承軸24に揺転自在に嵌め合わせた揺動パイプ25に磁石体23を連結してあることで、フック体20自体が傾斜状態にあるときでは、フック筐体21の開放された側方から常時鉛直方向に沿って外出したものとなる。そして、蓋盤Fの開放作業時には、傾斜姿勢にしたフック体20を係合体1の配置位置に持ち来すだけで磁石体23は引出頭部12を磁着し、そのまま上方に持ち上げることでフック体20自体は揺動し、揺動後に直立姿勢になることで支持部28を引出頭部12に係合させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上説明したように構成されているため、磁着可能なフックロッド11を備えて蓋盤Fに埋め込み配置される係合体1と、フックロッド11によって係合する係合体1自体を吊り上げるフック体20とから成ることで、従来と異なり特別なシリンダ錠や特殊形状の解除治具を用意することなく、蓋盤Fを安全に開閉でき、しかも低コストでありながらセキュリティを確保することができる。
【0010】
すなわちこれは本発明において、係合体1とフック体20とを備え、係合体1は、蓋盤Fに埋設される係合本体2内に挿入されていて、引出頭部12がフック体20によって磁着されて引出された後、下部に設けた係合突部13を係合させて蓋盤Fを持ち上げるフックロッド11を備えて成り、フック体20は、側方開放のフック筐体21と、吊上機Cに連繋させる連繋部22と、フック筐体21に揺動自在に支承されていて、引出頭部12を磁着して引出す磁石体23と、引き出された引出頭部12を係合支持する支持部28とを設けて成るからである。これによって、蓋盤Fに係合体1を埋め込み配置しておき、フック体20による磁着引出、係合によるスムーズな一連の作業で吊上機Cによって蓋盤Fの開閉を行うことができる。
【0011】
しかも、フックロッド11の引出頭部12は、球面状の頂部を有し、頭部収納室4の内径とほぼ同一の外径となっていて、頭部収納室4の室内高さに比し大きくはない高さを備えていることで、従来のように、高価なシリンダ錠のような特別な錠構造等を採用する必要がなく、また錠構造を備えなくともいたずらその他から開閉装置を保護することができる。
【0012】
係合体1は、下部のテーパー面によって蓋盤Fとの埋め込み配置時の一体化が得られ、また吊上段部3によって吊上機Cによる吊り上げ作業時での蓋盤Fとの一体性が確保されるから、蓋盤Fの持ち上げ作業時で係合体1が分離、解体されることもなく、安全に作業を実施できる。
【0013】
フック体20は、フック筐体21に孔部状の連繋部22があることで、吊上機Cとの連携が容易であり、また引き出された引出頭部12下面への支持部28による係合もフック体20自体の直立操作で簡単に行える。
【0014】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す一部切欠きの概要斜視図である。
【
図2】同じく蓋盤を吊り上げ開放するときの使用状態の断面図である。
【
図6】同じくフック体の磁石を係合体のフックロッドに磁着させたときの断面図である。
【
図7】同じくフックロッドが引き出され、フック体がフックロッドに係合するときの断面図である。
【
図8】同じくフックロッドにフック体が係合したときの断面図である。
【
図9】同じくフック体に吊下フックを係合して、吊り上げ作業を開始したときの断面図である。
【
図10】同じく蓋盤を吊り上げした開放作業時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1は埋設電路(図示せず)の開口部に施蓋される例えばコンクリート製、鋼製、鋳鉄製等の蓋盤Fに一体状に埋設されている係合体である。そして、この係合体1に係合させるフック体20を介して所定の吊上機によって吊り上げ、持ち上げることで蓋盤Fを埋設電路から取り外すものとしてある。また、取り外すときの作業手順の逆を行うことで、蓋盤Fは埋設電路の開口部を閉塞するものとしてある。
【0017】
係合体1は、蓋盤Fに配置されるに際し、後述する上部に区画形成された頭部収納室4の開口部が蓋盤Fの表面位置で少なくとも露出開放された状態で蓋盤Fに一体状に埋設される。
【0018】
係合体1自体は、蓋盤Fに埋設される係合本体2とフックロッド11とを備え、フックロッド11は、係合本体2内に挿入されていて、上端に形成した引出頭部12がフック体20によって磁着されて引出された後、下部に設けた係合突部13が係合本体2に係合されることで蓋盤Fを持ち上げるようにしている。
【0019】
係合本体2は、蓋盤Fに埋設された状態で、吊上機Cによって吊り上げられるときに、蓋盤Fと共に吊り上げられるように蓋盤Fと一体化されている。そのため、係合本体2の外周面には、上部に比し下部を大径にしたことで、係合本体2の高さ方向のほぼ中央部に吊上段部3を形成すると共に、下部では下方の開口部に至るに伴い次第に小径となる窄まり状のテーパー面としてある。こうすることで、係合本体2自体の、上方あるいは下方への蓋盤Fからの脱落、解離が生じないように蓋盤Fと一体化してある。
【0020】
前記したように、係合本体2には、係合本体2自体の上下方向に沿ってスライドするフックロッド11が挿入されており、このフックロッド11は、磁着可能な傘状の引出頭部12を上端に備え、また係合本体2の下部内で直接には係合本体2に係合するフランジ状の係合突部13を下端に備える。
【0021】
図示のように、引出頭部12は、例えば頂部が球面状あるいは円盤状に形成されていて、少なくともこの引出頭部12は磁着可能な素材によって形成されている。係合突部13は、フックロッド11の下端部に形成されているオネジ部にナット止めされるワッシャ材によって形成されているも、これに限定されるものではない。なお、フックロッド11が引出頭部12によって引き出されたとき、引出頭部12の下面と頭部収納室4の開口端との間隔は、後述するフック体20の支持部28が滑り込むのに十分な高さとなるように設定される。
【0022】
なお、引出頭部12は、その頂部が球面状、円盤状の平面で円形状である場合に限らず、係合本体2における後述する頭部収納室4の内部にしっくりと収納されていて、路面上で目立たなくなっていればよい。例えば引出頭部12の外形が頭部収納室4の内形とほぼ合致する形状、例えば多角形であってもよく、要は、頭部収納室4に収納状態の引出頭部12が頭部収納室4とに生じることがある隙間に突き入れられるような部材、器材等を使用したいたずら等によって引き出されないようになっていればよい。
【0023】
そして、係合本体2は、引出頭部12を蓋盤Fの表面に露出させて収納する頭部収納室4を上部に、上方に引き出され移動したフックロッド11の係合突部13が係合される係合上壁7を有する係合室6を下部にそれぞれ備える。また、図示のように、頭部収納室4と係合室6との間は隔壁5によって区画されており、この隔壁5に開穿した挿通孔にフックロッド11が挿通されていて、引き出される前の引出頭部12は隔壁5上に留まり、頭部収納室4の開口部上方には突出していないようにしてある。
【0024】
係合室6における係合上壁7は、逆段部状になっていて、内周径は係合突部13の外径に比し大きくはなく、フックロッド11が上方にスライド移動したときには係合突部13を確実に係合させるものとしてある。なお、図中符号14は、係合室6の上部内側面に配設形成された補強突条であり、係合室6の側壁の歪形を防止する。
【0025】
なお、図例の係合本体2における係合室6は、蓋盤Fの下面で開放構造としてあるも、特に開放されている必要はなく、必要があれば閉塞しても差し支えない。
【0026】
係合体1を介して蓋盤Fを持ち上げる前記フック体20は、側方が開放されているフック筐体21に、吊上機Cに連繋させる連繋部22と、フック筐体21に揺動自在に支承されていて、フックロッド11の引出頭部12を磁着して引出す磁石体23と、引き出された引出頭部12に係合支持する支持部28とを設けて成る。
【0027】
フック筐体21は、図示のように、相対峙する左右側壁を中央壁にて連結することで平面から見てほぼH字形を呈して形成されており、中央壁に開口形成した孔部を、所定の吊上機Cのフックリング等の如きフック部材が引っ掛けられる連繋部22としてある。
【0028】
磁石体23は、左右側壁相互間で支承連結した支承軸24に揺転自在に嵌め合わせた管状の揺動パイプ25に、先端に磁石27を連結した引出ロッド26を連結して成る。こうすることで、引出ロッド26は、フック筐体21内で自在に揺転し、磁石27の重量とも相俟って、フック筐体21から常時鉛直方向に沿うように吊り下げ状態となるようにしてある。すなわち、フック体20自体を傾斜姿勢にすると引出ロッド26は開放されている側方から外出し、そのままフック体20自体を揺動させて直立姿勢に変更すると引出ロッド26はフック体20内に収納され、下部の支持部28が、変更前の磁石27位置側に移動するようになる。
【0029】
支持部28は、フック筐体21における開放側に開口部が配されている二股状で、フック筐体21の左右側壁の下端縁相互間で一体状に連結されている。図例にあっては、支持部28の開口部の両脇先端に、湾曲状のガイド片29が形成されていて、蓋盤F上で磁石体23をフック筐体21から外出させた状態の傾斜姿勢でフック体20を傾斜セットしておく。そして、磁石体23がフックロッド11の引出頭部12を磁着して引き出したとき、フック筐体21を持ち上げるように直立姿勢に変更するのに伴い、引出頭部12下面に支持部28が滑り込み、支持部28による引出頭部12との係合がスムーズに行えるようにしている。
【0030】
次に、使用の一例を説明すると、図例に示すように、頭部収納室4の上部開口面を蓋盤Fの上面に露出させた状態で蓋盤Fに係合体1を一体状に埋設固定しておくもので、必要があれば頭部収納室4の開口部は適当な蓋材によって閉塞しておくこともできる。
【0031】
蓋盤Fの吊り上げ開放時には、先ず
図6に示すように、例えば作業者自身の手指などでフック体20の開放側で引出ロッド26を外出させた傾斜姿勢でセットし、その前端の磁石27を係合体1における頭部収納室4内に位置決めし、磁着させる。磁着後は
図7に示すように、フック体20を上方に持ち上げ、フックロッド11における連繋部22を引出す。そして、それまで傾斜姿勢であったフック体20を直立姿勢に変更することで、そのガイド片29によって支持部28を引出頭部12の下面に係合させる。支持部28による引出頭部12の下面への係合後は、
図8に示すように、係合体1は若干下方にスライドすることもある。次いで、
図9に示すように、フック体20の連繋部22に吊上機Cのフック部材を連繋し、
図10に示すように吊り上げることで蓋盤Fを持ち上げることができ、このようにして蓋盤Fを取り外し、埋設電路を開放する。
【0032】
そして、例えばメンテナンス作業後で埋設電路を閉鎖するときには、持ち上げ開放操作とは逆の作業手順で実施すればよい。
【符号の説明】
【0033】
C…吊上機
F…蓋盤
1…係合体
2…係合本体
3…吊上段部
4…頭部収納室
5…隔壁
6…係合室
7…係合上壁
11…フックロッド
12…引出頭部
13…係合突部
14…補強突条
20…フック体
21…フック筐体
22…連繋部
23…磁石体
24…支承軸
25…揺動パイプ
26…引出ロッド
27…磁石
28…支持部
29…ガイド片