(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】多剤耐性菌に対する活性を有する重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物ならびにその調製および使用
(51)【国際特許分類】
A61K 36/88 20060101AFI20240628BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240628BHJP
A61P 31/04 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
A61K36/88
A61K31/7048
A61P31/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160198
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】202111236303.X
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521378163
【氏名又は名称】シーアン・カンユアンシェン・バイオメディカル・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XI’AN KANGYUANSHENG BIOMEDICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM A‐117‐11, I CHUANGTU ZHONGCHUANG PARK, NO. 14 GAOXIN 2ND ROAD, HIGH‐TECH ZONE, XI’AN, 710075 SHAANXI, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジャ
(72)【発明者】
【氏名】コン,チュンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,シュンジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジンイ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,レイ
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-533027(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107375315(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1899491(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102199185(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107312061(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/88
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物を調製する方法であって、
(1)60~90%エタノール中に重楼(Paris Polyphylla)サポニンを加えて混合物を得て、前記混合物を還流下で2~4時間加熱するステップと、
(2)前記混合物を1/4容量に濃縮し、前記混合物を遠心分離して上清Aおよび沈殿物Aを得て、前記沈殿物Aを60~80%エタノールに
加え、撹拌し、遠心分離して上清Bおよび沈殿物Bを得て、前記沈殿物Bを水および石油エーテルで洗浄し、乾燥させるステップと、
(3)前記上清Aと前記上清Bとを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂と混合し、クロマトグラフィーカラムに充填し、前記クロマトグラフィーカラムを水および80~90%エタノールで溶出し、エタノール溶出液を回収し、前記エタノール溶出液を濃縮して溶出抽出液を得て、前記溶出抽出液と前記沈殿物Bと合わせ、乾燥させて、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物を得るステップ
であって、
前記マクロポーラス吸着樹脂が、AB-8、LX-T5、および、D101から選択される、ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(1)において、前記重楼(Paris Polyphylla)サポニンと60~90%エタノールとの重量比が、1:8~24である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(2)において、前記沈殿物Aと60~80%エタノールとの重量比が、1:4~10である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物が、0.12%~0.14%のポリフィリンIIと、0.06%~0.11%のポリフィリンVIと、0.11%~0.15%のポリフィリンVIIとを含有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月22日に出願された中国特許出願第202111236303.X号の優先権を主張し、これは、本明細書に完全に記載されているかのように全ての目的のために参照により援用される。
【0002】
本発明は、多剤耐性菌に対して活性を有する重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物、ならびにその調製および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
重楼(Paris Polyphylla)サポニンは、漢方薬の主原料の一つである。現在、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物の調製方法は多数存在するが、分離精製方法が煩雑であり、収率も低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物の改良された調製方法が、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態では、本出願は、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物を調製する方法を提供する。本方法は、(1)60~90%エタノール中に重楼(Paris Polyphylla)サポニンを加えて混合物を得て、前記混合物を還流下で2~4時間加熱するステップ、(2)前記混合物を1/4容量に濃縮し、前記混合物を遠心分離して上清Aおよび沈殿物Aを得て、前記沈殿物Aを60~80%エタノールに加えて上清Bおよび沈殿物Bを得て、前記沈殿物Bを水および石油エーテルで洗浄し、乾燥させるステップ、および、(3)前記上清Aと前記上清Bとを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂と混合し、クロマトグラフィーカラムに充填し、前記クロマトグラフィーカラムを水および80~90%エタノールで溶出し、エタノール溶出液を回収し、前記エタノール溶出液を濃縮して溶出抽出液を得て、前記溶出抽出液と前記沈殿物Bと合わせ、乾燥させて、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物を得るステップ、を含む。
【0006】
別の実施形態において、ステップ(1)では、前記重楼(Paris Polyphylla)サポニンと60~90%エタノールとの重量比は、1:8~24である。
【0007】
別の実施形態において、ステップ(2)では、前記沈殿物Aと60~80%エタノールとの重量比は、1:4~10である。
【0008】
別の実施形態において、前記重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物は、0.12%~0.14%のポリフィリン(polyphyllin)IIと、0.06%~0.11%のポリフィリンVIと、0.11%~0.15%のポリフィリンVIIとを含有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例5~8の重楼(Paris Polyphylla)抽出物中のポリフィリンII、ポリフィリンVIおよびポリフィリンVIIの含有量を示した図であり:図中、(a)は実施例5、(b)は実施例6、(c)は実施例7、(d)は実施例8を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者に本発明の解決策をよりよく理解させるために、本発明の実施形態における技術的解決策を、添付図面を参照して以下で明確かつ完全に説明する。明らかに、記載される実施形態は、本発明の一部に過ぎない。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得ることができる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内である。
【0011】
以下に、添付の図面と併せて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】
1.重楼(Paris Polyphylla)抽出物の調製
【0013】
実施例1
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを60%エタノール8kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で2回、各回2時間ずつ加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を4倍量の60%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(AB-8)と1:10の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、5倍量の水と4倍量の80%エタノールとで、1BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物17.53gを得た。
【0014】
実施例2
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを80%エタノール16kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で1回目3時間、2回目2時間の計2回加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を7倍量の70%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(AB-8)と1:7の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、7倍量の水と6倍量の80%エタノールとで、2BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物18.04gを得た。
【0015】
実施例3
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを60~95%エタノール24kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で2回、各回2時間ずつ加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を10倍量の80%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(AB-8)と1:10の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、10倍量の水と8倍量の80%エタノールとで、3BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物18.65gを得た。
【0016】
実施例4
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを60%エタノール8kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で3回、各回2時間ずつ加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を7倍量の80%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(AB-8)と1:7の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、5倍量の水と8倍量の95%エタノールとで、1BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物18.92gを得た。
【0017】
実施例5
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを95%エタノール8kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で1回目3時間、2回目2時間の計2回加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を7倍量の80%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(AB-8)と1:5の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、5倍量の水と8倍量の80%エタノールとで、2BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物19.83gを得た。
【0018】
実施例6
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを95%エタノール16kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で1回目3時間、2回目2時間の計2回加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を7倍量の80%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(LX-T5)と1:5の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、5倍量の水と8倍量の80%エタノールとで、2BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物18.21gを得た。
【0019】
実施例7
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを95%エタノール8kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で1回目3時間、2回目2時間の計2回加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を7倍量の80%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(D101)と1:5の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、5倍量の水と8倍量の80%エタノールとで、2BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物17.37gを得た。
【0020】
実施例8
重楼(Paris Polyphylla)サポニン1kgを95%エタノール24kgに加え、一晩浸漬した後、還流下で1回目3時間、2回目2時間の計2回加熱した。混合物を1/4量まで濃縮し、濾過して上清1および沈殿物1を得た。前記沈殿物1を7倍量の80%エタノールに加え、撹拌し、遠心分離して上清2および沈殿物2を得た。前記沈殿物2を水100mL、石油エーテルで順次洗浄し、乾燥させた。前記上清1と上清2とを合わせ、マクロポーラス吸着樹脂(LX-100B)と1:5の重量比で混合し、クロマトグラフィーカラムに充填した。前記クロマトグラフィーカラムにおいて、5倍量の水と8倍量の80%エタノールとで、2BV/時の速度で溶出を行った。エタノール溶出液を回収、濃縮し、前記沈殿物2と合わせて乾燥し、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物18.51gを得た。
【0021】
2.含有量の測定
【0022】
実施例5~8の重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物中のポリフィリンII、ポリフィリンVIおよびポリフィリンVIIの含有量を、HPLCによって測定した。充填剤はオクタデシルシラン結合シリカゲル;移動相Aはアセトニトリル、移動相Bは水であり、表1に規定する勾配溶出、検出波長:203nm、注入量:10μL、およびカラム温度:30℃で測定を行った。溶出勾配を表1に示す。
【0023】
【0024】
実施例5~8の重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物中のポリフィリンII、ポリフィリンVIおよびポリフィリンVIIの含有量を、
図1および表2に示す。
【0025】
【0026】
実施例1の重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物1グラムを分取液相クロマトグラフィーシステム(Hanbang Scienceand Technology実験室グレードの分取液体クロマトグラフィーシステムNS4210)によって精製した。条件は、クロマトグラフィーカラム:HederaODS-2(250mm*20mm、10μm)、移動相:メタノール-水(1~30分、メタノール40%~70%、30~50分、70%~40%)、流速:6mL/分であり、ポリフィリンII(275.32μg)、ポリフィリンVI(61.17μg)およびポリフィリンVII(148.85μg)が得られた。
【0027】
3.重楼(ParisPolyphylla)サポニン抽出物の評価
【0028】
(1)最小発育阻止濃度法による重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物の抗菌活性の測定
液体微量希釈法により、前記抽出物の最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。
【0029】
実験器具の消毒
実験前に、実験に使用するペトリ皿、試験管、ピペット、調製培地などは、滅菌ポットで121℃、15分間オートクレーブ処理を行った。実験前に、微生物実験台および96ウェルプレートを紫外線照射により滅菌し、浄化台を75%アルコールで拭いた。
【0030】
(2)増殖培地
乾燥した増殖培地粉末18gを三角フラスコに入れ、水1000mLを加えた。この混合物を恒温水槽に入れて加熱溶解した後、121℃で20分間オートクレーブ処理した。
【0031】
(3)細菌懸濁液の調製
実験の24時間前に、低温保存していた試験菌株を取り出し、室温で静置した。細菌液をピペットで少量ずつ採取し、滅菌・冷却した増殖培地に接種し、35℃のインキュベーターに24時間静置した。ピペットを使用して、少量の活性化した細菌コロニーを滅菌済み乾燥試験管に移し、0.5マクファーランド比濁管と同程度の濁度(1.5×108CFU/mL)まで培地で希釈し、さらに培地で100倍に希釈し、細菌懸濁液濃度を1.0×106CFU/mL(ウェルに加える前に2倍に希釈し、システム内の最終細菌濃度が5×105CFU/mL)としたものを、MIC測定に供した。
【0032】
(4)微量希釈法による最小発育阻止濃度(MIC)の測定
滅菌済み96ウェル平底マイクロ培養プレートに、陽性対照として128μg/mL陽性対照液100μLを各列No.1に添加した。No.2~11ウェルにそれぞれ128μg/mL、64μg/mL、32μg/mL、16μg/mL、8μg/mL、4μg/mL、2μg/mL、1μg/mL、0.5μg/mL、0.25μg/mLの重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物を100μL添加した。No.12のウェルは溶媒とした。
【0033】
このプレートを30℃のインキュベーターで24時間培養し、実験結果を観察し、最小発育阻止濃度(MIC)値を測定した。MIC値が最高濃度の256μg/mlより高い場合は「>256μg/mL」とカウントし、MIC値が最低濃度または最低濃度以下の場合はカウントしなかった。その差を、「≦0.5μg/mL」とカウントした。上記の実験を3回並行して行った。MIC値が正確に繰り返せる場合、または1つの濃度だけが異なる場合は、それを受け入れた。高い方の濃度をMIC値として使用した。2つを超える濃度でMIC値が異なる場合は、要求された条件を満たすまで実験を繰り返した。
【0034】
その結果を、表3、表4、表5、表6、表7、表8、および表9に示す。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
本発明の重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物は、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella)、多剤耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)222、および多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)174に対して阻害活性を有する。また、実験菌株に対するポリフィリンII、ポリフィリンVIおよびポリフィリンVIIのMIC値も測定した。いずれも128μg/mLを超え、良好な抗菌効果を発揮しなかった。これは、ポリフィリンII、ポリフィリンVIおよびポリフィリンVIIの相乗的な抗菌活性によるものである。また、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物と陽性対照(セフトリアキソンナトリウム、レボフロキサシン塩酸塩、セファゾリンナトリウム、ゲンタマイシン硫酸塩)との組み合わせのMIC値も測定した。実験の結果、重楼(Paris Polyphylla)サポニン抽出物とセフトリアキソンナトリウムとの組み合わせは、大腸菌(Escherichia coli)の阻害に相乗効果を発揮し、レボフロキサシン塩酸塩との組み合わせは、サルモネラ(Salmonella)の阻害に相加効果を発揮することが明らかになった。
【0043】
上記の内容は、本発明の技術的思想を説明するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明が提案する技術的思想による技術的解決策に基づいて行われるいかなる変更も、すべて本発明の特許請求の範囲に含まれる。