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特許7511289情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240628BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023173769
(22)【出願日】2023-10-05
(62)【分割の表示】P 2023099565の分割
【原出願日】2023-06-16
【審査請求日】2023-10-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519169823
【氏名又は名称】株式会社estie
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】安東 一慈
(72)【発明者】
【氏名】徳永 裕介
(72)【発明者】
【氏名】大原 菜帆
(72)【発明者】
【氏名】大西 諒
(72)【発明者】
【氏名】久保 拓也
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138411(JP,A)
【文献】特開2022-151161(JP,A)
【文献】特開2022-129952(JP,A)
【文献】特開2019-125386(JP,A)
【文献】特開2019-109939(JP,A)
【文献】特開2010-182232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0186115(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0379620(US,A1)
【文献】特開2015-138412(JP,A)
【文献】特開2015-022066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部が、
不動産登記データから抽出された、不動産登記固有情報を含む第1物件情報を格納したデータベースを記憶部に記憶してあり、
ユーザのリクエストに応じて、前記データベースから、前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する
情報処理装置であって、
前記制御部が、
第1の時間帯において、
各物件の前記第1物件情報を定期的に取得し、
前記第1の時間帯に取得した前記第1物件情報に含まれる前記不動産登記固有情報から、物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報を取得し、
前記データベースに格納されている物件所有者の名称又は住所を前記取得した物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報に基づき更新し、
物件所有者の名称又は住所の前記更新に関する更新履歴であって、物件所有者の旧名称又は旧住所と、物件所有者の新名称又は新住所とを対応付けた更新履歴を記憶部に記憶し、
前記第1の時間帯とは異なる第2の時間帯において、
前記ユーザからリクエストを受け付けた場合、該リクエストに応じて検索された物件に対応する前記第1物件情報を取得し、
前記第2の時間帯に取得した前記第1物件情報の前記不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を、前記更新履歴を参照して更新し、
前記更新履歴を参照して更新した前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1物件情報は、第1の物件特定情報を含み、
第2の物件特定情報及び入居者関連情報を含む第2物件情報を格納した第2物件情報データベースを記憶部に記憶してあり、
前記第1物件情報と、前記第2物件情報データベースに格納された前記第2物件情報とを前記第1の物件特定情報及び第2の物件特定情報に基づき関連付けることで、前記不動産登記固有情報及び入居者関連情報を含む物件情報を格納した前記データベースを生成し、
ユーザのリクエストに応じて、前記データベースから、前記不動産登記固有情報及び入居者関連情報に基づくデータを出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2物件情報データベースは、前記不動産登記データ以外のデータに基づき構築されたデータベースであり、
前記第2の物件特定情報は物件の住所を含み、
前記住所に基づき、前記物件の位置する地番を取得し、
前記地番に基づき、前記物件に対応する前記不動産登記データを取得して前記第1物件情報を抽出し、
前記住所と前記地番との対応関係に基づき、前記第1物件情報と前記第2物件情報とを関連付ける
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記不動産登記固有情報は、担保権設定情報、所有権移転履歴情報、物件の地積若しくは構造に関する情報、処分の制限に関する登記の情報、又は信託情報を含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記入居者関連情報は、入居募集条件、入居者履歴情報、又は空室に関する情報を含む
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記不動産登記固有情報に基づき、物件の平均保有期間を算出して出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記入居者関連情報に基づき、物件の空室率を算出して出力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記不動産登記固有情報に基づき、物件の延床面積を算出して出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記不動産登記固有情報に基づき、物件全体における各所有者の保有割合を算出して出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記不動産登記固有情報又は入居者関連情報が示す物件所有者の名称又は住所に基づき、物件の売買に関する連絡の連絡先に関する情報を推定して出力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記不動産登記固有情報及び入居者関連情報に基づき、物件が所有者による自社利用建物であるか否かを判定し、出力する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記ユーザから、物件所有者を絞り込むためのリクエストを受け付け、
受け付けたリクエストに応じて絞り込んだ特定の所有者に関するデータを出力する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
不動産登記受付帳データを取得し、
前記不動産登記受付帳データに基づいて前記第1物件情報を新たに取得し、
取得した前記第1物件情報に含まれる前記不動産登記固有情報から、物件の所有権移転履歴情報を抽出し、
抽出した前記所有権移転履歴情報に基づき、前記データベースに格納されている前記不動産登記固有情報を更新する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
不動産登記データから抽出された、不動産登記固有情報を含む第1物件情報を格納したデータベースを記憶部に記憶してあり、
ユーザのリクエストに応じて、前記データベースから、前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
第1の時間帯において、
各物件の前記第1物件情報を定期的に取得し、
前記第1の時間帯に取得した前記第1物件情報に含まれる前記不動産登記固有情報から、物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報を取得し、
前記データベースに格納されている物件所有者の名称又は住所を前記取得した物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報に基づき更新し、
物件所有者の名称又は住所の前記更新に関する更新履歴であって、物件所有者の旧名称又は旧住所と、物件所有者の新名称又は新住所とを対応付けた更新履歴を記憶部に記憶し、
前記第1の時間帯とは異なる第2の時間帯において、
前記ユーザからリクエストを受け付けた場合、該リクエストに応じて検索された物件に対応する前記第1物件情報を取得し、
前記第2の時間帯に取得した前記第1物件情報の前記不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を、前記更新履歴を参照して更新し、
前記更新履歴を参照して更新した前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
不動産登記データから抽出された、不動産登記固有情報を含む第1物件情報を格納したデータベースを記憶部に記憶してあり、
ユーザのリクエストに応じて、前記データベースから、前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法であって、
第1の時間帯において、
各物件の前記第1物件情報を定期的に取得し、
前記第1の時間帯に取得した前記第1物件情報に含まれる前記不動産登記固有情報から、物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報を取得し、
前記データベースに格納されている物件所有者の名称又は住所を前記取得した物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報に基づき更新し、
物件所有者の名称又は住所の前記更新に関する更新履歴であって、物件所有者の旧名称又は旧住所と、物件所有者の新名称又は新住所とを対応付けた更新履歴を記憶部に記憶し、
前記第1の時間帯とは異なる第2の時間帯において、
前記ユーザからリクエストを受け付けた場合、該リクエストに応じて検索された物件に対応する前記第1物件情報を取得し、
前記第2の時間帯に取得した前記第1物件情報の前記不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を、前記更新履歴を参照して更新し、
前記更新履歴を参照して更新した前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不動産物件の売買を支援する種々のシステムが提案されている。例えば特許文献1では、不動産売却手続に掛けられていない住戸について、将来、不動産売却手続に掛けられたと想定した場合の売却価格を予測する売却価格予測装置等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/110274号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの側面では、不動産物件の購入希望者、売却希望者等の不動産物件の取引の関係者が物件情報を好適に収集することができる情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの側面では、情報処理装置は、制御部を備える情報処理装置であって、前記制御部が、不動産登記データから抽出された、不動産登記固有情報を含む第1物件情報を格納したデータベースを記憶部に記憶してあり、ユーザのリクエストに応じて、前記データベースから、前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する情報処理装置であって、前記制御部が、第1の時間帯において、各物件の前記第1物件情報を定期的に取得し、前記第1の時間帯に取得した前記第1物件情報に含まれる前記不動産登記固有情報から、物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報を取得し、前記データベースに格納されている物件所有者の名称又は住所を前記取得した物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報に基づき更新し、物件所有者の名称又は住所の前記更新に関する更新履歴であって、物件所有者の旧名称又は旧住所と、物件所有者の新名称又は新住所とを対応付けた更新履歴を記憶部に記憶し、前記第1の時間帯とは異なる第2の時間帯において、前記ユーザからリクエストを受け付けた場合、該リクエストに応じて検索された物件に対応する前記第1物件情報を取得し、前記第2の時間帯に取得した前記第1物件情報の前記不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を、前記更新履歴を参照して更新し、前記更新履歴を参照して更新した前記不動産登記固有情報に基づくデータを出力する。
【発明の効果】
【0006】
一つの側面では、不動産物件の購入希望者、売却希望者等の不動産物件の取引の関係者が物件情報を好適に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】物件検索システムの構成例を示す説明図である。
図2】サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】第2物件情報DB、検索用DB、更新履歴DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】物件検索画面の一例を示す説明図である。
図5】物件詳細画面の一例を示す説明図である。
図6】物件詳細画面の一例を示す説明図である。
図7】物件詳細画面の一例を示す説明図である。
図8】所有者検索画面の一例を示す説明図である。
図9】所有者詳細画面の一例を示す説明図である。
図10】所有者詳細画面の一例を示す説明図である。
図11】検索用DBの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図12】物件所有者の名称又は住所の更新処理の手順を示すフローチャートである。
図13】検索処理の手順を示すフローチャートである。
図14】所有権移転履歴情報の更新処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態)
図1は、物件検索システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、不動産登記データから抽出された物件情報(以下、「第1物件情報」という)と、不動産登記データ以外のデータに基づく物件情報(以下、「第2物件情報」という)とを関連付けることで物件検索用のデータベース(後述の検索用DB142)を生成し、ユーザから受け付けたリクエストに応じて当該データベースから物件情報を検索して出力する物件検索システムについて説明する。物件検索システムは、情報処理装置1、端末2、2、2…を含む。各装置は、インターネット等のネットワークNを介して通信接続されている。
【0009】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。本実施の形態においてサーバ1は、不動産物件の取引の関係者向けに、購入候補となる収益物件の情報を検索可能な物件検索サービスを提供する。詳しくは後述するように、サーバ1は、不動産登記データ(例えば不動産登記簿のPDF(Portable Document Format)データ)から不動産物件に関する第1物件情報を抽出し、抽出した第1物件情報を、不動産登記データ以外のデータに基づき構築されたデータベース(後述の第2物件情報DB141)に格納された第2物件情報と関連付けることで、物件検索用のデータベースを生成する。そしてサーバ1は、ユーザから受け付けるリクエストに応じて当該データベースから物件情報を検索し、出力する。
【0010】
端末2は、本システムのユーザが使用する端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。サーバ1は、端末2を介してユーザからリクエストを受け付け、物件情報を検索する。
【0011】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0012】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、第2物件情報DB141、検索用DB142、更新履歴DB143を記憶している。第2物件情報DB141は、不動産登記データ以外のデータに基づき構築された、第2物件情報を格納するデータベースである。検索用DB142は、不動産登記データから抽出された第1物件情報と、第2物件情報とを関連付けて格納するデータベースである。更新履歴DB143は、物件所有者の名称又は住所の更新履歴(変更履歴)を記憶するデータベースである。
【0013】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0014】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、CD(Compact Disk)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の可搬型記憶媒体1aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体1aからプログラムP1を読み取って実行するようにしても良い。
【0015】
図3は、第2物件情報DB141、検索用DB142、更新履歴DB143のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
第2物件情報DB141は、物件ID列、名称列、住所列、第2物件情報列を含む。物件ID列は、各不動産物件(建物)を識別するための物件IDを記憶している。名称列、住所列、及び第2物件情報列はそれぞれ、物件IDと対応付けて、物件の名称、住所、及び当該物件に関する第2物件情報を記憶している。
【0016】
検索用DB142は、物件ID列、地番列、保有期間列、所有者ID列、所有者名列、所有者住所列、物件名列、物件住所列、物件情報列を含む。物件ID列は、各不動産物件を識別するための物件IDを記憶している。地番列、保有期間列、所有者ID列、所有者名列、所有者住所列、物件名列、物件住所列、及び物件情報列はそれぞれ、物件IDと対応付けて、物件の地番、所有者による物件の保有期間、物件所有者を識別するための所有者ID、所有者名、所有者の住所、物件名、物件の住所、及び物件情報(第1物件情報及び第2物件情報)を記憶している。
【0017】
更新履歴DB143は、更新日列、新名称列、新住所列、旧名称列、旧住所列を含む。更新日列は、物件の名称又は住所の更新日(名称変更又は住所変更が登記された日付)を記憶している。新名称列、新住所列、旧名称列、旧住所列はそれぞれ、更新日と対応付けて、最新の物件の名称、住所、物件の旧名称、及び旧住所を記憶している。
【0018】
図4図10は、端末2の表示画面例を示す説明図である。以下では本実施の形態の概要を説明する。
【0019】
上述の如く、サーバ1は、不動産登記データから抽出された第1物件情報と、第2物件情報DB141(第1データベース)に格納されている第2物件情報とを関連付けることで、検索用DB142(第2データベース)を生成する。そしてサーバ1は、ユーザから受け付けたリクエストに応じて、検索用DB142から物件情報を検索して出力する。
【0020】
不動産登記データは、例えば不動産登記簿のPDFデータである。サーバ1は、多数の不動産物件の不動産登記データを登記情報提供サービス(登記所が保有する登記情報をインターネットを使用して提供するサービス)等を用いて取得(収集)し、取得した不動産登記データから、各不動産物件に関する第1物件情報を抽出する。
【0021】
なお、本実施の形態ではサーバ1が不動産登記データから第1物件情報を自動的に抽出するものとして説明するが、本実施の形態はこれに限定されるものではなく、第1物件情報は人手で読み取り、サーバ1に入力することとしてもよい。
【0022】
第1物件情報は、不動産物件を識別可能な第1の物件特定情報と、不動産登記固有情報とを含む。第1の物件特定情報は、例えば物件の地番であるが、これに限定されない。不動産登記固有情報は、不動産登記簿に記載されている情報であって、例えば担保権設定情報、所有権移転履歴情報、物件の地積又は構造に関する情報、処分の制限に関する登記の情報、及び信託情報を含む。
【0023】
第2物件情報DB141は、不動産登記データ以外のデータから構築されたデータベースであり、第1物件情報とは一部又は全部が異なる第2物件情報を格納している。
【0024】
なお、本実施の形態では第2物件情報DB141(第1データベース)が不動産登記データ以外のデータから構築されるものとして説明するが、第2物件情報DB141を不動産登記データ以外のデータから構築する構成は必ずしも必須ではなく、不動産登記データを含めて構築されてもよい。すなわち、第2物件情報DB141(第1データベース)は、主として、入居者関連情報等の不動産登記データ以外のデータから構成され、不動産登記データと関連付けて、不動産登記固有情報及び入居者関連情報を含む物件情報を格納した検索用DB142(第2データベース)を構築するデータを備えていれば、不動産登記データが少しでも含まれるものを除外するものではない。
【0025】
また、第2物件情報DB141は、本システムの管理者が管理する複数のサーバコンピュータのうち、サーバ1以外の他のサーバコンピュータが記憶しておいてもよい。あるいは、本システムの管理者以外の第三者から第2物件情報の提供を受け、第2物件情報DB141として記憶しておくこととしてもよい。
【0026】
第2物件情報は、不動産物件を識別可能な第2の物件特定情報と、入居者関連情報とを含む。第2の物件特定情報は、例えば物件の住所であるが、これに限定されない。入居者関連情報は、物件の入居者や入居条件に関する情報であって、例えば入居募集条件(募集賃料等)、入居者履歴情報、及び空室に関する情報(空室率等)を含む。
【0027】
サーバ1は、第1の物件特定情報及び第2の物件特定情報に基づいて第1物件情報及び第2物件情報を関連付けることで、不動産登記固有情報及び入居者関連情報を含む物件情報を格納した検索用DB142を生成する。
【0028】
具体的には、サーバ1は、不動産登記データを取得(収集)する場合、第2物件情報DB141から各不動産物件の住所(第2の物件特定情報)を読み出す。サーバ1は、読み出した住所に基づき、地図検索エンジン(Google Map(登録商標)等)を用いて地図上の物件の位置を特定する。そしてサーバ1は、登記情報提供サービス等を用いてアクセス可能な地番検索サービスで同じ位置の地番(第1の物件特定情報)を取得する。サーバ1は、取得した地番に基づき、登記情報提供サービス等を用いて不動産登記データを取得して第1物件情報を抽出する。
【0029】
そしてサーバ1は、地図検索エンジンを用いて検索された地番と、検索クエリとした住所との対応関係に基づき、第1物件情報及び第2物件情報を関連付ける。これにより、不動産登記データが示す物件と、第2物件情報DB141に第2物件情報が格納されている物件とが紐付けられる。
【0030】
なお、上述の如く住所に基づいて地図検索を行った場合、地図からは地番を特定しきれず、複数の地番(物件)が紐付いてしまう場合がある。この場合、サーバ1は、第1物件情報及び第2物件情報に含まれる物件基本情報(例えば建物の階数、床面積等)の一致度を判定することで、最適な地番を選択すると好適である。
【0031】
上述の如く、サーバ1は検索用DB142を生成する。検索用DB142を生成したサーバ1は、ユーザから物件情報検索のためのリクエストを受け付け、当該リクエストに応じて検索用DB142から物件情報を検索し、端末2に出力する。
【0032】
本実施の形態では、物件を軸とした検索と、物件の所有者を軸とした検索とが可能となっている。図4は、物件検索画面の一例を示す説明図である。図4では、物件を軸とした検索画面例を図示している。
【0033】
物件検索画面は、物件検索欄41を含む。物件検索欄41は、第1物件情報又は第2物件情報を検索条件として物件の絞り込みを行うための入力欄である。例えば端末2は、物件検索欄41を介して、検索する物件名(建物の名称)、物件の所在エリア、竣工年、延床面積等の指定入力を受け付ける。サーバ1は、当該検索条件に合う物件を検索用DB142から検索する。
【0034】
サーバ1は、検索した物件に関する種々のデータを検索用DB142から出力する。例えばサーバ1は、不動産登記固有情報に基づき、物件の延床面積を算出して出力する。また、サーバ1は、入居者関連情報に基づき、物件の空室率を算出して出力する。また、サーバ1は、一の物件を複数の所有者が所有している場合、不動産登記固有情報に基づき、物件全体における各所有者の保有割合を算出して出力する。そのほか、サーバ1は、不動産登記固有情報及び/又は入居者関連情報から物件の竣工年などを抽出して出力する。
【0035】
なお、本実施の形態における「空室率」は、現在の空室率のほか、契約状況に基づきこれからの空き見込みを考慮した潜在空室率(契約未更新が決まっているものを空き室として計算する)を含み得る。なお、現在の空室率は、例えば延床面積のうち、貸付有効面積を算出し、当該貸付有効面積で、貸出募集している空き室の面積を除算することで算出される。また、潜在空室率は、貸出募集している空き室の面積と、契約未更新が決まっている空き室の面積との総和を貸付有効面積で除算することで算出される。
【0036】
また、サーバ1は、第2物件情報として既にいくつかの物件の延床面積の情報を保有していた場合、欠けている物件の延床面積を不動産登記データ(不動産登記固有情報)から取得するだけであってもよい。また、延床面積は、例えば基準階面積にフロア数を乗算した推定面積で算出してもよい。
【0037】
また、サーバ1は、各所有者の保有割合を算出する場合、例えば各所有者が所有している区分毎に延床面積を算出し、各区分の延床面積の比率を算出することで保有割合を算出する。
【0038】
また、サーバ1は、一の物件の所有者数が閾値(例えば2名)以上となった場合、ユーザに対してアラートを出力してもよい。これにより、物件取得に際し交渉負担が高い物件であることをユーザに通知することができる。
【0039】
端末2は、サーバ1から出力された物件情報を物件検索画面に一覧表示する。例えば端末2は、各物件名と対応付けて、物件の竣工年、延床面積、空室率、現在の物件の所有者情報(所有者名及び保有割合)などを表示する。
【0040】
図5図7は、物件詳細画面の一例を示す説明図である。図4の物件検索画面でいずれかの物件を選択する操作入力を受け付けた場合、端末2は、図5図7に示す物件詳細画面を表示する。
【0041】
例えば端末2は、物件の基本情報(物件名、住所、最寄り駅等)を表示すると共に、表示画面を切り換えるためのボタン51を表示する。「所有者情報」のボタン51への操作入力を受け付けた場合、端末2は図5に示す画面を表示する。この場合、端末2は、現在の物件所有者の情報(所有者名、保有割合、所有開始時期等)を表示するほか、所有者移転履歴情報を表示する。
【0042】
なお、例えばサーバ1は、物件所有者(企業)に関する情報(例えば株価、住所、グループ会社の情報など)を事前に取得しておき、物件詳細画面で物件の所有者名への操作入力(クリック)を受け付けた場合、物件所有者に関する情報を出力するようにしてもよい。
【0043】
「パフォーマンス」のボタン51への操作入力を受け付けた場合、端末2は、図6に示す画面を表示する。この場合、端末2は、募集賃料、空室率を表示するほか、募集賃料の推移を表示する。
【0044】
「募集情報」のボタン51への操作入力を受け付けた場合、端末2は、図7に示す画面を表示する。この場合、端末2は、入居者の募集情報(部屋の間取り図、募集面積、募集賃料等)を表示する。
【0045】
図8は、所有者検索画面の一例を示す説明図である。図8では、物件所有者を軸とした検索画面例を図示している。
【0046】
所有者検索画面は、所有者検索欄81を含む。所有者検索欄81は、第1物件情報又は第2物件情報を検索条件として物件所有者の絞り込みを行うための入力欄である。端末2は、所有者検索欄81を介して、検索する物件所有者の名称、所有物件数、平均保有期間等の指定入力を受け付ける。サーバ1は、指定された検索条件に合う物件所有者を検索用DB142から検索する。
【0047】
サーバ1は、検索した物件所有者に関する種々のデータを検索用DB142から出力する。例えばサーバ1は、不動産登記固有情報に基づき、物件の平均保有期間を算出して出力する。そのほか、サーバ1は、各所有者による所有物件数、直近所定期間内の物件売却数、物件取得数などをカウントして出力する。
【0048】
なお、「平均保有期間」とは、権利者(物件所有者)が、一つの物件を保有する期間の平均値を指す。平均保有期間は、ある権利者が所有する一又は複数の不動産物件の所有権の移転履歴(譲受時期、譲渡時期)から、個々の不動産物件の保有期間を算出し、その平均値を算出することで求められる。
【0049】
端末2は、検索された物件所有者に関するデータを所有者検索画面に一覧表示する。例えば端末2は、物件所有者名と対応付けて、所有物件数、物件売却数、取得数、平均保有期間などを表示する。
【0050】
図9及び図10は、所有者詳細画面の一例を示す説明図である。所有者検索画面においていずれかの物件所有者を選択する操作入力を受け付けた場合、端末2は、図9及び図10に示す所有者詳細画面を表示する。
【0051】
所有者詳細画面は、表示画面を切り換えるためのボタン91を含む。「所有物件」のボタン91への操作入力を受け付けた場合、端末2は、図9に示す画面を表示する。この場合、端末2は、所有者が所有する各物件の物件情報(物件名、保有割合、竣工年、延床面積等)を一覧表示する。
【0052】
「所有者移転履歴一覧」のボタン91への操作入力を受け付けた場合、端末2は、図10に示す画面を表示する。この場合、端末2は、所有権移転履歴情報(所有権が移転した年月日、種目、移転元、移転先、移動持分等)を一覧表示する。
【0053】
上述の如く、サーバ1は、ユーザから受け付けたリクエストに応じて検索用DB142から物件情報を出力し、各検索画面に表示させる。
【0054】
なお、所有者が物件を管理する場合に、名目上の合同会社や特定目的会社を設立して管理する場合があり、名目上の所有者と真の所有者が異なるケースがある。より正確には、名目上の所有者は、登記の名義上は所有者となっているが、不動産物件の取引の関係者が、当該物件の売買に関する交渉をする際に、名目上の所有者に対して連絡をしても、名目上の所有者は、物件の売買の事実上の決定権限がないことから、物件の売買の事実上の決定権限を有する者に対して、連絡をする必要がある。このような場合に備えて、サーバ1は、不動産登記固有情報又は入居者関連情報が示す物件所有者の名称又は住所に基づき、物件の売買に関する連絡の連絡先に関する情報を推定して出力してもよい(その連絡先の主体を真の所有者と呼んでも構わない)。例えばサーバ1は、合同会社や特定目的会社の名称又は住所に対応付けて、真の所有者の名称をリスト化して保持しておく。サーバ1は当該リストを参照して、物件所有者の名称又は住所から真の所有者を推定し、推定した真の所有者名を出力する。なお、連絡先に関する情報には、氏名又は名称、住所、電話番号、メールアドレス等の情報の全部又は一部が含まれる。
【0055】
また、サーバ1は、検索結果を出力する場合に、物件が所有者による自社利用建物であるか否かを判定し、判定結果を出力するようにしてもよい。例えばサーバ1は、物件所有者(法人)の所在地を検索し、検索された所在地が物件の住所と一致する場合、自社利用建物であると判定する。これにより、収益物件の候補として検索された物件が自社利用されているか否かを把握することができる。
【0056】
本実施の形態においてサーバ1は更に、検索用DB142に格納した各物件所有者の名称又は住所を、最新の名称又は住所に統一(名寄せ)する処理を行う。
【0057】
具体的には、サーバ1は各不動産物件の不動産登記データを定期的に取得し、取得した不動産登記データから第1物件情報を抽出する。サーバ1は、抽出した第1物件情報に含まれる不動産登記固有情報から、最新の物件所有者の名称変更又は住所変更を取得する。そしてサーバ1は、取得した名称変更又は住所変更を参照して、検索用DB142に格納されている物件所有者の名称又は住所を最新の名称又は住所に更新する。
【0058】
一方で、上記の名寄せ処理は各物件の名称変更又は住所変更を毎回集める必要があるため、処理が遅い。そこでサーバ1は、上記の名寄せ処理を、ユーザからのアクセスが少ない特定の時間帯(例えば夜間)に行う。これに対し、ユーザからのアクセスが多い時間帯(例えば昼間)には以下のように、物件所有者の名称又は住所の更新履歴(所有者IDの発行履歴)を参照することで、名寄せを簡易的に行う。
【0059】
具体的には、サーバ1は、上記の名寄せ処理による物件所有者の名称又は住所の更新履歴を記憶しておく。例えばサーバ1は、上述の如く名称変更又は住所変更を取得した場合、名称又は住所の更新日(登記された日付)と対応付けて、新たな名称及び住所と、旧名称及び旧住所とを更新履歴DB143に記憶する。
【0060】
ユーザからリクエストを受け付けた場合、サーバ1は、当該リクエストに応じて検索された物件の不動産登記データを取得し、第1物件情報を抽出する。サーバ1は、記憶してある物件所有者の名称又は住所の更新履歴(更新履歴DB143)を参照して、抽出した第1物件情報の不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を最新の名称又は住所に更新する。そしてサーバ1は、最新の名称又は住所に更新した不動産登記固有情報に基づき、所望のデータを検索結果として出力する。
【0061】
上述の如く簡易的に名寄せを行うことで、不動産登記データを対象の物件のファイルのみ参照すれば良いため、リアルタイム性を付与することができる。
【0062】
本実施の形態においてサーバ1は更に、不動産登記受付帳に基づいて所有権移転履歴情報を取得し、検索用DB142に格納されている不動産登記固有情報を更新する処理を行う。不動産登記受付帳とは、都道府県毎に登記の変更があった物件について月単位で保存した台帳である。この不動産登記受付帳において、土地と建物をセットで売買した場合や、複数の不動産を同時に相続した場合は、代表の不動産1つしか更新されない。そこでサーバ1は、不動産登記受付帳において物件の移転を確認した場合、当該物件と同じ所有者である物件を特定し、検索用DB142の不動産登記固有情報を更新する。
【0063】
具体的には、サーバ1は、不動産登記受付帳データを取得した場合、当該不動産登記受付帳データに基づいて、所有権の移転があった物件の不動産登記データ(登記簿)を新たに取得し、第1物件情報を抽出する。サーバ1は、抽出した第1物件情報に含まれる不動産登記固有情報から、物件の所有権移転履歴情報を抽出する。そしてサーバ1は、抽出した所有権移転履歴情報に基づき、検索用DB142に格納されている不動産登記固有情報を更新する。
【0064】
これにより、不動産登記受付帳に基づいて不動産登記固有情報を更新することができる。
【0065】
図11は、検索用DB142の生成処理の手順を示すフローチャートである。図11に基づき、検索用DB142を生成する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、第2物件情報DB141(第1データベース)から、各不動産物件の住所(第2の物件特定情報)を読み出す(ステップS11)。第2物件情報DB141は、不動産登記データ以外のデータから構築されたデータベースであり、第2の物件特定情報及び入居者関連情報を含む第2物件情報を格納したデータベースである。制御部11は、読み出した住所に基づき、地図検索エンジンを用いて各物件の地図上の位置を特定し、情報提供サイトからアクセス可能な地番検索サービスで同じ位置の地番(第1の物件特定情報)を取得する(ステップS12)。
【0066】
制御部11は、取得した地番に基づき、各物件の不動産登記データ(例えば不動産登記簿のPDFデータ)を取得する(ステップS13)。制御部11は、取得した不動産登記データから、第1の物件特定情報及び不動産登記固有情報を含む第1物件情報を抽出する(ステップS14)。制御部11は、抽出した第1物件情報と、第2物件情報DB141に格納された第2物件情報とを、ステップS12で取得した地番(第1の物件特定情報)と、当該地番を取得する際に検索クエリとした住所(第2の物件特定情報)との対応関係に基づき関連付けることで、不動産登記固有情報及び入居者関連情報を含む物件情報を格納した検索用DB142(第2データベース)を生成する(ステップS15)。制御部11は一連の処理を終了する。
【0067】
図12は、物件所有者の名称又は住所の更新処理の手順を示すフローチャートである。図12に基づき、各不動産物件の所有者の名称又は住所を更新(名寄せ)する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、定期的なタイミングで、不動産登記データを取得する(ステップS31)。制御部11は、取得した不動産登記データから第1物件情報を抽出する(ステップS32)。
【0068】
制御部11は、抽出した第1物件情報に含まれる不動産登記固有情報から、最新の物件所有者の名称変更又は住所変更を取得する(ステップS33)。制御部11は、取得した名称変更又は住所変更に基づき、検索用DB142に格納されている各物件所有者の名称又は住所を最新の名称又は住所に更新する(ステップS34)。制御部11は、物件所有者の名称又は住所の更新履歴を記憶し(ステップS35)、一連の処理を終了する。
【0069】
図13は、検索処理の手順を示すフローチャートである。図13に基づき、検索用DB142から物件情報を検索する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、端末2を介してユーザからリクエストを受け付ける(ステップS51)。具体的には、制御部11は、検索物件を絞り込むための検索クエリ(物件名、所在エリア、竣工年、延床面積など)、あるいは物件所有者を絞り込むための検索クエリ(所有者名、所有物件数、平均保有期間など)を受け付ける。制御部11は、受け付けたリクエストに基づき、検索用DB142から不動産物件又は物件所有者を検索する(ステップS52)。
【0070】
制御部11は、検索された物件、又は検索された所有者が所有する物件の不動産登記データを取得する(ステップS53)。制御部11は、取得した不動産登記データから第1物件情報を抽出する(ステップS54)。
【0071】
制御部11は、ステップS35で記憶した物件所有者の名称又は住所の更新履歴を参照して、取得した第1物件情報の不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を最新の名称又は住所に更新する(ステップS55)。
【0072】
制御部11は、ステップS52で検索された物件、又は検索された所有者が所有する物件について、不動産登記固有情報及び入居者関連情報に基づくデータを出力する(ステップS56)。この場合に制御部11は、不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を、ステップS55で更新された最新の名称又は住所にして出力する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0073】
図14は、所有権移転履歴情報の更新処理の手順を示すフローチャートである。図14に基づき、不動産登記受付帳に基づいて物件の所有権移転履歴情報を更新する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、不動産登記受付帳データを取得する(ステップS71)。制御部11は、取得した不動産登記受付帳データに基づき、登記情報の変更があった不動産物件の不動産登記データを新たに取得する(ステップS72)。
【0074】
制御部11は、取得した不動産登記データから第1物件情報を抽出する(ステップS73)。制御部11は、抽出した第1物件情報に含まれる不動産登記固有情報から、物件の所有権移転履歴情報を抽出する(ステップS74)。
【0075】
制御部11は、抽出した所有権移転履歴情報に基づき、検索用DB142に格納されている不動産登記固有情報を更新する(ステップS75)。制御部11は一連の処理を終了する。
【0076】
以上より、本実施の形態によれば、不動産物件の取引の関係者が物件情報を好適に収集することができる。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0078】
各実施の形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【0079】
本明細書において特定の装置が実行すると説明した処理の少なくとも一部は、任意の情報処理装置により実行されてよい。例えば、上記実施形態においてサーバが実行すると説明した処理の少なくとも一部は、端末装置により実行されてよい。逆に、上記実施形態において端末装置が実行すると説明した処理の少なくとも一部は、サーバにより実行され、端末装置は入出力等のユーザとのインタフェースとしてのみ機能してもよい。
【0080】
なお、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(詳しくは、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記憶媒体)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、本明細書において説明した各装置を制御するコンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどの処理回路により実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。また、上記のコンピュータは、ASICのような特定用途向け集積回路、ソフトウエアプログラムを読み込むことで機能を実行する汎用プロセッサ、又はクラウドコンピューティングに使用されるサーバ上のコンピュータ等であってよい。また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、単数のコンピュータにより集中して処理されてもよく、複数のコンピュータにより分散して処理されてもよい。さらに、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
【0081】
また、本明細書においてフローチャート又はシーケンス図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0082】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
141 第2物件情報DB
142 検索用DB
143 更新履歴DB
【要約】
【課題】不動産物件の取引の関係者が物件情報を好適に収集することができる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、各物件の不動産登記固有情報を含む第1物件情報を定期的に取得し、取得した第1物件情報に含まれる不動産登記固有情報から、物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報を取得し、データベースに格納されている物件所有者の名称又は住所を前記取得した物件所有者の名称又は住所の変更に関する情報に基づき更新し、物件所有者の名称又は住所の前記更新に関する更新履歴を記憶部に記憶し、ユーザからリクエストを受け付けた場合、リクエストに応じて検索された物件に対応する第1物件情報を取得し、取得した第1物件情報の不動産登記固有情報が示す物件所有者の名称又は住所を、更新履歴を参照して更新し、更新履歴を参照して更新した不動産登記固有情報に基づくデータを出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14