(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ネットワーク中継器
(51)【国際特許分類】
F24F 11/58 20180101AFI20240628BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240628BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20240628BHJP
【FI】
F24F11/58
F24F1/0007 401E
F24F11/52
(21)【出願番号】P 2018150672
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-07-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】上田 晶子
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】村山 美保
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121833(JP,A)
【文献】特開2015-126231(JP,A)
【文献】特開2017-103803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
F24F 1/0007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機のスロットイン式搭載部を有する室内機のネットワーク中継器収納空間及び横スライド式搭載部を有する室内機のネットワーク中継器収納空間の双方に収納可能なネットワーク中継器であって、
販売者にとって収納前に必要な情報と、ユーザーまたは作業員にとって収納後に必要な情報とを表示した中継器本体を備え、
前記収納後に必要な情報は、前記ネットワーク中継器とネットワークに接続された通信機器とを無線で接続するために必要な情報であって、前記中継器本体が前記室内機のネットワーク中継器収納空間に収納された状態で視認可能な位置に配置されており、
前記収納後に必要な情報は、前記中継器本体の少なくとも2ヵ所以上の面に表示されることを特徴とす
るネットワーク中継器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機に収納されるネットワーク中継器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線で通信する機能を空気調和機に持たせるために、ネットワーク中継器を搭載した空気調和機の室内機が提案されている。ネットワーク中継器は、空気調和機の室内機に内蔵された制御基板に接続され、空気調和機のエネルギー管理、遠隔操作等に用いられる信号を、無線通信により外部のネットワークとの間で送受信する。
ネットワーク中継器を搭載した空気調和機の室内機として、従来、例えば特許文献1に示す空気調和機の室内機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、空気調和機に搭載されたネットワーク中継器を活用して、例えばスマートフォンなどの通信端末によって空気調和機を操作するに際し、ユーザーは、予め、空気調和機のネットワーク中継器と、スマートフォンなどの通信端末が接続された外部のネットワークに接続された通信機器(いわゆるルータ)とを無線で接続する必要がある。このようなネットワーク中継器には、この無線接続が簡単に行える機能(いわゆるWPS(Wi-Fi Protected Setup)ボタン)が設けられているが、このWPSボタンをネットワーク中継器に設けるとネットワーク中継器が大型化してしまう(特許文献1)。
【0005】
一方、ネットワーク中継器がWPSボタンを有しない場合には、ネットワーク中継器と通信機器とを無線で接続するために、ネットワーク中継器の名前(SSID)やパスワード(暗号キー)などの情報が必要になる。これらの情報(ネットワーク中継器を室内機に搭載後に必要な情報)は、ユーザーや作業員が容易に把握できることか好ましい。
【0006】
従って、本発明はこの課題を解決するためになされたものであり、その目的は、空気調和機の室内機のネットワーク中継器収納空間に収納されるネットワーク中継器において、ネットワーク中継器を室内機に収納後に必要な情報を、ユーザーや作業員が容易に把握することができるネットワーク中継器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るネットワーク中継器は、空気調和機の室内機のネットワーク中継器収納空間に収納されるネットワーク中継器であって、収納前に必要な情報と収納後に必要な情報とを表示した中継器本体を備え、前記収納後に必要な情報は、前記中継器本体が前記室内機のネットワーク中継器収納空間に収納された後に視認可能な位置に配置されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るネットワーク中継器によれば、空気調和機の室内機のネットワーク中継器収納空間に収納されるネットワーク中継器において、ネットワーク中継器を室内機に収納後に必要な情報を、ユーザーや作業員が容易に把握することができるネットワーク中継器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るネットワーク中継器を活用した無線接続システムの一例を示す模式図である。
【0010】
【
図2】本発明の一実施形態に係るネットワーク中継器を示し、(a)は表側斜め前方から見た斜視図、(b)は裏面側斜め後方から見た斜視図、(c)は表側斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】
図2に示すネットワーク中継器が搭載されたスロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機の斜視図である。
【
図4】
図3に示すスロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機のネットワーク中継器の搭載部の斜視図であり、ネットワーク中継器をネットワーク中継器収納空間に挿入する初期段階を示している。
【
図5】
図3に示すスロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機のネットワーク中継器の搭載部の斜視図であり、ネットワーク中継器をネットワーク中継器収納空間に挿入した最終段階を示している。
【
図6】
図2に示すネットワーク中継器をネットワーク中継器収納空間に挿入する様子を示すもので、(a)は当該ネットワーク中継器をスロットイン式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に挿入する様子を示す図、(b)は当該ネットワーク中継器を横スライド式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に挿入する様子を示す図である。
【
図7】対向する2つの面に指掛け部を設けたネットワーク中継器をネットワーク中継器収納空間に挿入する様子を示すもので、(a)は当該ネットワーク中継器をスロットイン式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に挿入する様子を示す図、(b)は当該ネットワーク中継器を横スライド式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に挿入する様子を示す図である。
【
図8】
図3に示す室内機のネットワーク中継器の搭載部分の正面図である。
【
図10】
図9におけるY-Y線に沿う断面図である。
【
図11】
図2に示すネットワーク中継器をスロットイン式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に表裏を逆にした逆ざしする場合の
図9と同様の断面図である。
【
図12】
図2に示すネットワーク中継器をスロットイン式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に表裏を逆にした逆ざしする場合の
図10と同様の断面図である。
【
図13】
図2に示すネットワーク中継器をスロットイン式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に前後を逆にした逆ざしする場合の
図9と同様の断面図である。
【
図14】
図2に示すネットワーク中継器が搭載された横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機の斜視図である。
【
図15】
図14に示す横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機のネットワーク中継器の搭載部の正面図であり、ネットワーク中継器をネットワーク中継器収納空間に挿入する初期段階を示している。
【
図16】
図14に示す横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機のネットワーク中継器の搭載部の正面図であり、ネットワーク中継器をネットワーク中継器収納空間に挿入した最終段階を示している。
【
図17】
図16と同様の横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機のネットワーク中継器の搭載部の正面図であり、ネットワーク中継器をネットワーク中継器収納空間に挿入した最終段階を示している。
【
図20】
図2に示すネットワーク中継器をス横スライド式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に表裏を逆にした逆ざしする場合の
図18と同様の断面図である。
【
図21】
図2に示すネットワーク中継器を横スライド式搭載部を有する空気調和機のネットワーク中継器収納空間に前後を逆にした逆ざしする場合の
図18と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0012】
図1には、本発明の一実施形態に係るネットワーク中継器を活用した無線接続システムの一例が示されており、無線接続システム100において、
図3に示すスロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機10あるいは
図14に示す横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機50に収納されたネットワーク中継器1は、室内機10、50に内蔵された制御基板に接続され、空気調和機のエネルギー管理、遠隔操作等に用いられる信号を、無線通信により外部のネットワーク300との間で送受信する。そして、例えばスマートフォンなどの通信端末400によって空気調和機を操作するために、ユーザーは、予め、ネットワーク中継器1と、スマートフォンなどの通信端末400が接続された外部のネットワーク300に接続された通信機器200とを無線で接続する。
【0013】
ここで、本実施例のネットワーク中継器1は、
図2(a),(b),(c)に示されており、
図3に示すスロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機10及び
図14に示す横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機50の双方に搭載することができる。
このネットワーク中継器1は、
図2(a),(b),(c)に示すように、前面2a、後面2b、右側面2c、左側面2d、上面2e、及び下面2fを有する扁平な四角柱状の中継器本体2を備えている。中継器本体2の内部には、電子部品9が収容されるとともに、中継器本体2の前面2aには、電子部品9と接続された雌型コネクタ部8が設けられている。
【0014】
そして、ネットワーク中継器1の中継器本体2の対向する2つの面としての上面2eと下面2fのうちの上面2eの後縁には、中継器本体2の外側に指掛け部3が設けられている。指掛け部3は、中継器本体2の上面2eから突出している。また、指掛け部3は、中継器本体2の左右幅方向の全域にわたって延びている。このように、指掛け部3は、中継器本体2の上面2eから突出していることで、ネットワーク中継器1をネットワーク中継器収納空間12a(
図9参照)、56(
図18参照)に挿入する際に、作業者が容易に指を掛けることができる。
【0015】
また、ネットワーク中継器1の中継器本体2の対向する上面2eと下面2fのうちの下面2fの後端部には、中継器本体2の外側に指滑り止め部5が設けられている。指滑り止め部5は、下面2fから中継器本体2の内側に凹んだ凹み部5aと凸部5bとにより形成されている。指滑り止め部5は、中継器本体2の下面2fの後端部の左右方向中央部において半円形状に形成される。
【0016】
更に、ネットワーク中継器1の中継器本体2の上面2eには、室内機10、50に形成されたネットワーク中継器収納空間12a(
図9参照)、56(
図18参照)に挿入する際の逆差しを防止するための一対の逆差し防止突起4が設けられている。各逆差し防止突起4は、中継器本体2の上面2eの左側縁と右側縁のそれぞれに設けられている。また、各逆差し防止突起4は、中継器本体2の前面2aと後面2bとの間でやや後面2b寄りの部分に設けられている。
【0017】
また、ネットワーク中継器1の中継器本体2の上面2eには、収納前に必要な情報A及び収納後に必要な情報Bを表示した第1ラベル6が貼付されている。収納前に必要な情報Aは、商品名、製造番号、FCCID等の販売者にとって必要な情報である。また、収納後に必要な情報Bは、ネットワーク中継器1と前述のネットワーク300に接続された通信機器(いわゆるルータ)200とを無線で接続するために必要となるネットワーク中継器の名前(SSID)やパスワード(暗号キー)などのユーザー及び作業員にとって必要な情報である。なお、情報A及び情報Bはネットワーク中継器1の中継器本体2の上面2eに貼付された第1ラベル6に表示されているが、印刷等により中継器本体2に直接表示するようにしてもよい。
【0018】
ここで、第1ラベル6を中継器本体2の上面2eに貼付するに際し、収納後に必要な情報Bが、ネットワーク中継器1を横スライド式搭載部を有する室内機50のネットワーク中継器収納空間56に挿入して収納した状態で視認可能な位置となるように、
図2(a)に示すように、収納後に必要な情報Bを中継器本体2の後面2b側に位置させ、収納前に必要な情報Aは収納後に視認されない中継器本体2の前面2a側に位置させるようにする。
【0019】
そして、第1ラベル6の収納前に必要な情報Aを表示した部分と収納後に必要な情報Bを表示した部分との間には、挿入規制線6aが引かれている。第1ラベル6を中継器本体2の上面2eに貼付するに際し、
図2(a)に示すように、挿入規制線6aが逆差し防止突起4の前端縁と前後方向においてほぼ一致する位置となるように貼付する。挿入規制線6aの作用については後述する。
【0020】
また、ネットワーク中継器1の中継器本体2の後面2bには、収納後に必要な情報Bが
図4及び
図5に示すようにネットワーク中継器1をスロットイン式搭載部を有する室内機10のネットワーク中継器収納空間12aに挿入して収納した状態で視認可能となるように、
図2(b),(c)に示すように、収納後に必要な情報Bを表示した第2ラベル7が貼付されている。
【0021】
次に、ネットワーク中継器1を搭載するスロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機10及びその搭載方法について、
図3乃至
図13を参照して説明する。
図3は、ネットワーク中継器1が搭載されたスロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機10の斜視図であり、この室内機10は、図示しない送風ファン、熱交換器、電気部品収納部材を取り付けたドレパン組立体等を収容した筐体11を備えている。筐体11の前側の壁部12は、左右方向に長く延びる形状を有し、前面パネル13によって覆われる。そして、壁部12の右端上方側には、ネットワーク中継器1が配置されている。以下、ネットワーク中継器1が配置されている箇所を「ネットワーク中継器の搭載部」という。
【0022】
壁部12におけるネットワーク中継器1の搭載部には、
図9に示すように、前後方向に延び、前方に開口するネットワーク中継器収納空間12aが形成されている。ネットワーク中継器収納空間12aには、図示しない制御基板に接続された雄型コネクタが配置されている。
【0023】
そして、壁部12におけるネットワーク中継器1の搭載部には、
図4、
図5、
図8及び
図9に示すように、ネットワーク中継器収納空間12aの前方にカバー部材14が取り付けられる。カバー部材14は、
図4、
図5、
図8及び
図9に示すように、ネットワーク中継器収納空間12aに通じる開口部14bを有する底部14aを備えている。底部14aは、後側に一段凹んだ段差部14cを備え、開口部14bは段差部14cにおいて前後方向に貫通するように形成されている。開口部14bは、ネットワーク中継器1の中継器本体2の挿通を許容する大きさに形成される。また、段差部14cには、
図9に示すように、ネットワーク中継器1がネットワーク中継器収納空間12aに正規の状態で挿入されるとき(言い換えれば、ネットワーク中継器収納空間12aの開口部14bに対して、ネットワーク中継器1の挿入時の表裏の向き(
図8、
図9に示す左右方向の向き)が正しい状態で挿入されるとき)に、ネットワーク中継器1に設けられた逆差し防止突起4の通過を許容する貫通溝14dが形成されている。
【0024】
そして、ネットワーク中継器1を室内機10に搭載するに際しては、
図4及び
図6に示すように、作業者がネットワーク中継器1の上面2eに形成された指掛け部3に指を掛けつつ下面2fを押えてネットワーク中継器1の前面2a側を先頭にしてカバー部材14の開口部14bからネットワーク中継器収納空間12a内に挿入する。すると、
図5、
図9及び
図10に示すように、ネットワーク中継器1がネットワーク中継器収納空間12aに収納される。このとき、ネットワーク中継器収納空間12aに配置された雄型コネクタに、ネットワーク中継器1の雌型コネクタ部8が嵌合して接続される。これにより、ネットワーク中継器1と制御基板とが接続される。
従って、本実施形態に係るネットワーク中継器1によっては、ネットワーク中継器1の室内機10への収納作業と制御基板との接続作業とが同時に行うことができる。
【0025】
ここで、本実施形態に係るネットワーク中継器1にあっては、収納後に必要な情報Bは、
図5に示すように、中継器本体2が室内機10のネットワーク中継器収納空間12aに挿入されて収納された状態で視認可能な位置に配置されている。即ちネットワーク中継器1の中継器本体2の後面2bに、収納後に必要な情報Bを記載した第2ラベル7が貼付されている。このため、ネットワーク中継器1をスロットイン式搭載部を有する室内機10のネットワーク中継器収納空間12aに挿入して収納した後に、ユーザーや作業員は情報Bを視認することができ、当該収納後に必要な情報Bを、ユーザーや作業員は容易に把握することができる。
【0026】
また、ネットワーク中継器1において、中継器本体2の下面2fは、中継器本体2の外側に指滑り止め部5を有するので、作業者がネットワーク中継器1の上面2eに形成された指掛け部3に指を掛けつつ他方の下面2fにある指滑り止め部5を押えてネットワーク中継器1の前端側を先頭にしてカバー部材14の開口部14bからネットワーク中継器収納空間12a内に挿入することができる。この指滑り止め部5により、指の滑りは抑止されるので、ネットワーク中継器1の挿入をより確実に行うことができる。
【0027】
また、ネットワーク中継器収納空間12a内には、
図9に示すように、ネットワーク中継器1が過剰に押し込まれようとしたときに、ネットワーク中継器1の前面2aが当接する過度挿入規制部12bが設けられている。従って、ネットワーク中継器1がネットワーク中継器収納空間12aに挿入されたときに、ネットワーク中継器1がネットワーク中継器収納区間12a内に過剰に押し込まれることが防止され、過剰な差込によるコネクタの破損を防止することができる。
【0028】
なお、例えば、中継器本体2の対向する2つの面として、
図7(b)に示すように、上面2e及び下面2fの双方が、中継器本体2の外側に突出する指掛け部3を有すると、横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機50のネットワーク中継器収納空間56内に収納することができない。しかし、本実施形態に係るネットワーク中継器1の場合、
図6に示すように、上面2e及び下面2fのうち上面2eのみが、中継器本体2の外側に突出する指掛け部3を有する。このため、本実施形態に係るネットワーク中継器1であれば、スロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機10のネットワーク中継器収納空間12aのみならず、
図14に示す横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機50のネットワーク中継器収納空間56内にも収納することができる。
【0029】
また、本実施形態に係るネットワーク中継器1の場合、中継器本体2の上面2eに、室内機10に形成されたネットワーク中継器収納空間12aに挿入する際の逆差し防止突起4が設けられている。また、カバー部材14の段差部14cには、ネットワーク中継器1に設けられた逆差し防止突起4の通過を許容する貫通溝14dが形成されている。このため、ネットワーク中継器1をカバー部材14の開口部14bからネットワーク中継器収納空間12a内に挿入する際に、表裏を逆さにせずに正規の状態で挿入すれば、逆差し防止突起4が貫通溝14dを通過し、ネットワーク中継器1がネットワーク中継器収納空間12aに収納される。
【0030】
一方、ネットワーク中継器1の表裏を逆さにした状態で開口部14bからネットワーク中継器収納空間12a内に挿入すると、
図11及び
図12に示すように、ネットワーク中継器1に設けられた逆差し防止突起4がカバー部材14の底部14aに当接し、それ以上のネットワーク中継器1の挿入が阻止される。
【0031】
また、ネットワーク中継器1を前後逆にした状態で開口部14bからネットワーク中継器収納空間12a内に挿入しようとすると、ネットワーク中継器1の後面2b側が先頭になって指掛け部3が中継器本体2の上面2eから突出している分だけネットワーク中継器1の高さが高くなる。従って、
図13に示すように、ネットワーク中継器1の後面2bがカバー部材14の段差部14cに当接して開口部14bを通過しない。このため、ネットワーク中継器1の前後逆にした逆差しが防止される。
【0032】
また、ネットワーク中継器1を室内機10から取り外すときには、作業者がネットワーク中継器1の上面2eに形成された指掛け部3に指を掛けつつ下面2fを押えてネットワーク中継器1をネットワーク中継器収納空間12aから引き出せばよい。これにより、ネットワーク中継器収納空間12aに配置された雄型コネクタとネットワーク中継器1の雌型コネクタ部8との嵌合が解除され、ネットワーク中継器1と制御基板との接続状態が解除され、ネットワーク中継器1を室内機10から取り外すことができる。
【0033】
次に、ネットワーク中継器1を搭載する横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機50及びその搭載方法について、
図14乃至
図21を参照して説明する。
図14は、ネットワーク中継器1が搭載された横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機50の斜視図であり、この室内機50は、図示しない送風ファン、熱交換器、電気部品収納部材を取り付けたドレパン組立体等を収容した筐体51を備えている。筐体51の前側の壁部52は、左右方向に長く延びる形状を有し、前面パネル53によって覆われる。そして、壁部52の右端側には、ネットワーク中継器1の搭載部が配置されている。
【0034】
壁部52におけるネットワーク中継器1の搭載部には、
図15乃至
図19に示すように、前方が開口するネットワーク中継器収容凹部54が形成されている。ネットワーク中継器1は、下面2fからネットワーク中継器収容凹部54の開口に向かって収容される。ネットワーク中継器収容凹部54に収容されたネットワーク中継器1は、左右方向にスライドされることで、ネットワーク中継器収納空間56内に収納される。従って、ネットワーク中継器収容凹部54の開口は、ネットワーク中継器1を下面2f側から収容可能な大きさ(上下左右方向の幅と前後方向の深さ)を有する。
【0035】
そして、ネットワーク中継器収容凹部54の左端壁54aには、
図18に示すように、ネットワーク中継器1が収納されるネットワーク中継器収納空間56に通じる開口部55が形成され、開口部55を介してネットワーク中継器収納空間56とネットワーク中継器収容凹部54とが連通している。開口部55は、ネットワーク中継器1の中継器本体2の前面2a側が左右方向に通過可能なように、中継器本体2を左右方向(
図18における紙面に対して直交する方向)に沿って切断した断面形状よりもやや大きな矩形状に形成されている。
【0036】
また、ネットワーク中継器1が収納されるネットワーク中継器収納空間56(壁部52の内部)には、
図19に示すように、制御基板(図示せず)に接続された雄型コネクタ57が設けられている。
そして、ネットワーク中継器1を室内機50に搭載するに際し、先ず、前面パネル53を開いた状態で、作業者は、
図15に示すように、ネットワーク中継器1を前面2a側を開口部55側(左側)に向けてネットワーク中継器収容凹部54に収容する。このとき、指掛け部3がネットワーク中継器収容凹部54の底に対して上になるようにする。
【0037】
次いで、作業者は、
図16に示すように、ネットワーク中継器1の後面2b側を押さえつつネットワーク中継器1を開口部55(左側)に向けて押圧し、ネットワーク中継器1の前面2a側を開口部55を通過させてネットワーク中継器収納空間56内に挿入する。すると、
図16乃至
図19に示すように、ネットワーク中継器1の前面2a側の約半分がネットワーク中継器収納空間56に収納される。このとき、ネットワーク中継器収納空間56内配置された雄型コネクタ57に、ネットワーク中継器1の雌型コネクタ部8が嵌合して接続される。これにより、ネットワーク中継器1と制御基板とが接続される。
従って、本実施形態に係るネットワーク中継器1によっては、ネットワーク中継器1の室内機50への収納作業と制御基板との接続作業とが同時に行うことができる。
【0038】
ここで、本実施形態に係るネットワーク中継器1にあっては、収納後に必要な情報Bは、
図16に示すように、中継器本体2が室内機50のネットワーク中継器収納空間56に挿入されて収納された状態で視認可能な位置に配置されている。即ち、ネットワーク中継器1が横スライド式搭載部を有する室内機50のネットワーク中継器収納空間56に挿入されて収納された状態で情報Bが視認可能な位置となるように、
図2(a)に示すように、中継器本体2の上面2eにおいて情報Bを中継器本体2の後面2b方側に位置させる。一方、収納前に必要な情報Aは中継器本体2の前面2a側に位置させている。このため、ネットワーク中継器1を横スライド式搭載部を有する室内機50のネットワーク中継器収納空間56に挿入して収納した後において、収納後に必要な情報Bをユーザーや作業員は視認することができ、当該収納後に必要な情報Bをユーザーや作業員は容易に把握することができる。
【0039】
このように、本実施形態に係るネットワーク中継器1にあっては、収納後に必要な情報Bがスロットイン式搭載部を有する室内機10のネットワーク中継器収納空間12aに挿入されて収納された状態で視認可能な位置となるように、ネットワーク中継器1の中継器本体2の後面2bに表示されている。また、収納後に必要な情報Bが横スライド式搭載部を有する室内機50のネットワーク中継器収納空間56に挿入されて収納された状態で視認可能な位置となるように、中継器本体2の上面2eの後面2b側に表示されている。従って、収納後に必要な情報Bは、中継器本体2の2ヵ所に表示されている。このため、ネットワーク中継器1をスロットイン式搭載部を有する室内機10のネットワーク中継器収納空間12aと横スライド式搭載部を有する室内機50のネットワーク中継器収納空間56のいずれの室内機に搭載しても、収納後に必要な情報Bを、ユーザーや作業員が容易に把握することができる。
【0040】
そして、前述したように、ネットワーク中継器1において、
図6に示すように、上面2e及び下面2fのうちの上面2eのみが、中継器本体2の外側に突出する指掛け部3を有する。このため、スロットイン式搭載部を有する空気調和機の室内機10のネットワーク中継器収納空間12aのみならず、
図14に示す横スライド式搭載部を有する空気調和機の室内機50のネットワーク中継器収納空間56内にも収納することができる。
【0041】
また、ネットワーク中継器1において、中継器本体2の上面2eに、室内機50に形成されたネットワーク中継器収納空間56に挿入する際の逆差し防止突起4が設けられている。逆差し防止突起4は、
図18に示すように、ネットワーク中継器1の前面2a側の約半分がネットワーク中継器収納空間56に収納されて雄型コネクタ57に接続されたときに、ネットワーク中継器収容凹部54の左端壁54aに当接する直前の位置に設けられている。このため、ネットワーク中継器1をネットワーク中継器収納空間56内に挿入する際に、表裏を逆さにせずに正規の状態で挿入すると、逆差し防止突起4がネットワーク中継器収容凹部54の左端壁54aに当接する直前の位置に位置する。これにより、ネットワーク中継器1の過度の挿入が規制され、過剰な差し込みによる接続端子の破損を防止することができる。
【0042】
また、逆差し防止突起4の上面2eからの突出高さは、
図20に示すように、指掛け部3の上面2eからの突出高さと同程度である。そして、
図20に示すように、ネットワーク中継器1を表裏を逆さにした逆差しの状態でネットワーク中継器収納空間56内に挿入しようとすると、ネットワーク中継器1に設けられた逆差し防止突起4の突出高さ分だけ中継器本体2の前面2aの位置が高くなるから、ネットワーク中継器1の中継器本体2の前面2aがネットワーク中継器収容凹部54の左端壁54aに当接する。これより、それ以上のネットワーク中継器1の挿入が阻止される。
【0043】
また、
図21に示すように、ネットワーク中継器1を前後を逆さにした逆差しの状態でネットワーク中継器収納空間56内に挿入しようとすると、ネットワーク中継器1に設けられた逆差し防止突起4の突出高さ分だけ中継器本体2の後面2bの位置が高くなるから、ネットワーク中継器1の中継器本体2の後面2bがネットワーク中継器収容凹部54の左端壁54aに当接する。これより、それ以上のネットワーク中継器1の挿入が阻止される。
【0044】
更に、横スライド式搭載部を有する室内機50の場合、前述したように、
図16に示すように、ネットワーク中継器1のネットワーク中継器収納空間56への挿入後において、ネットワーク中継器1の前面2a側約半分がネットワーク中継器収納空間56に収納され、ネットワーク中継器1の後面2b側の約半分が露出する。このため、ネットワーク中継器1をどこまで挿入してよいかの目印がないと、ネットワーク中継器1の挿入量が不足し、ネットワーク中継器1と制御基板との接続不良を起こすおそれがある。
【0045】
これに対して、本実施形態のネットワーク中継器1の場合、ネットワーク中継器1において、前述したように、第1ラベル6のうち、収納前に必要な情報Aを表示した部分と収納後に必要な情報Bを表示した部分との間には、挿入規制線6aが引かれている。そして、第1ラベル6を中継器本体2の上面2eに貼付するに際し、
図2(a)に示すように、挿入規制線6aが逆差し防止突起4の前端縁と前後方向においてほぼ一致する位置となるように貼付する。このため、作業者は、ネットワーク中継器1のネットワーク中継器収納空間56への挿入に際し、ネットワーク中継器1の第1ラベル6に引かれた挿入規制線6aがネットワーク中継器収容凹部54の左端壁54aに至るところまでネットワーク中継器1を押し込めば挿入量不足を解消することができる。
【0046】
また、ネットワーク中継器1を室内機50から取り外すときには、作業者がネットワーク中継器1の上面2eに形成された指掛け部3に指を掛けてネットワーク中継器1をネットワーク中継器収納空間56から引き出せばよい。これにより、ネットワーク中継器収納空間56に配置された雄型コネクタ57とネットワーク中継器1の雌型コネクタ部8との嵌合が解除され、ネットワーク中継器1と制御基板との接続状態が解除され、ネットワーク中継器1を室内機50から取り外すことができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
【0047】
例えば、収納後に必要な情報Bは、中継器本体2の後面2bと中継器本体2の上面2eの後面2b側との2ヶ所に表示されているが、これに限られない。例えば、ネットワーク中継器1をスロットイン式搭載部を有する室内機10だけに用いる場合や、横スライド式搭載部を有する室内機50だけに用いる場合には、中継器本体2の1ヶ所だけに表示されていてもよい。また、ネットワーク中継器1が挿入時に表裏いずれの向きでも挿入可能な場合には、3ヶ所以上に表示されていてもよい。但し、ネットワーク中継器1をスロットイン式搭載部を有する室内機10のネットワーク中継器収納空間12aと横スライド式搭載部を有する室内機50のネットワーク中継器収納空間56の双方に挿入して収納した状態で視認可能とするためには、収納後に必要な情報Bを中継器本体2の2ヶ所以上に表示することが好ましい。
【0048】
また、例えば、指掛け部3は、中継器本体2の上面2eに設けられているが、中継器本体2の下面2fに設けられてもよい。この場合、指滑り止め部5は、中継器本体2の上面2eに設けると良い。
また、指掛け部3は、中継器本体2の上面2eから突出している必要は必ずしもなく、当該上面2eの一部を凹ませることで、指掛け部3を形成してもよい。
また、中継器本体2の下面2fは、中継器本体2の外側に指滑り止め部5を有する必要はない。また、指滑り止め部5を形成する場合、中継器本体2の下面2fから中継器本体2の内側に凹んだ凹み部5aと凸部5bとにより形成される必要は必ずしもなく、中継器本体2の下面2fから突出するようにしてもよく、また、中継器本体2の指滑り止め部5に静止摩擦係数の高いシート状の部材を取り付けるようにしてもよい。
また、逆差し防止突起4を必ずしも設けなくても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 ネットワーク中継器
2 中継器本体
2a 前面
2b 後面
2c 右側面
2d 左側面
2e 上面
2f 下面
3 指掛け部
4 逆差し防止突起
5 指滑り止め部
5a 凹み部
5b 凸部
6 第1ラベル
7 第2ラベル
8 コネクタ部
9 電子部品
10 室内機
11 筐体
12 壁部
12a ネットワーク中継器収納空間
12b 過度挿入規制部
13 前面パネル
14 カバー部材
14a 底部
14b 開口部
14c 段差部
14d 貫通溝
50 室内機
51 筐体
52 壁部
53 前面パネル
54 ネットワーク中継器収容凹部
54a 左端壁
55 開口部
56 ネットワーク中継器収納空間
57 雄型コネクタ
A 収納後に必要な情報
B 収納前に必要な情報