(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】剛性パネルソーラーアレイのための配線
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20240628BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019050650
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2022-03-14
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レーダー, エリック エム.
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-272725(JP,A)
【文献】特開昭51-110985(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0263183(US,A1)
【文献】特開2016-092255(JP,A)
【文献】特開2001-332753(JP,A)
【文献】特表2015-534288(JP,A)
【文献】実開昭60-137448(JP,U)
【文献】国際公開第2017/183195(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104919597(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/078
H01L 31/18-31/20
H10K 30/00-99/00
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
パネル(10)と、
フレックス回路(18)に接続された1つ又は複数のソーラーセル(12)を備え、
前記フレックス回路(18)が、前記ソーラーセル(12)との電気接続を行うための1つ又は複数の導電層(22)を有する可撓性基板(20)で構成され、
前記フレックス回路(18)が、前記パネル(10)に取り付けられ、且つ
前記ソーラーセル(12)が、前記パネル(10)に取り付けられており、
前記導電層(22)は、前記電気接続のための開口を有する状態で、前記可撓性基板(20)及び
前記フレックス回路(18)の絶縁層(30)の間で挟持され、
前記導電層(22)が、前記可撓性基板(20)上から電流を運ぶ、装置。
【請求項2】
装置であって、
パネル(10)と、
行及び列に配置されたソーラーセル(12)のアレイであって、相互接続子(28)に接続されたソーラーセル(12)のアレイを備え、
フレックス回路(18)が、前記ソーラーセル(12)が導電層(22)と電気的に接続するように、前記相互接続子(28)との電気接続を行うための前記導電層(22)を有する可撓性基板(20)で構成され、
前記フレックス回路(18)が、接着層(24)によって前記パネル(10)に取り付けられ、
前記ソーラーセル(12)が、前記接着層(24)によって前記パネル(10)に取り付けられており、
前記導電層(22)が、前記フレックス回路(18)内に組み込まれており、
前記導電層(22)が、前記ソーラーセル(12)のアレイの列及び/又は行の間に配置され、
前記フレックス回路(18)が、ストリップ又はウエブとして構成されている、装置。
【請求項3】
前記導電層(22)が前記ソーラーセル(12)に隣接するように、前記フレックス回路(18)が前記パネル(10)に取り付けられている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記導電層(22)が前記ソーラーセル(12)の下方で延びるように、前記フレックス回路(18)が前記パネル(10)に取り付けられている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記導電層(22)が、前記可撓性基板(20)上に堆積されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記導電層(22)が、前記フレックス回路(18)内に組み込まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記導電層(22)が、前記フレックス回路(18)の
さらなる絶縁層(30)間で挟持されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記パネル(10)が、剛性パネル、ハニカム構造、又は繊維ガラスパネルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記パネル(10)が、内部にメッシュを有するフレームである、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記フレックス回路(18)は、切り欠き(36)を有するウエブ構造を有し、前記ソーラーセル(12)は、前記フレックス回路(18)の前記切り欠き(36)において、前記パネル(10)に取り付けられている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
方法(38)であって、
1つ又は複数のソーラーセル(12)をフレックス回路(18)に接続することを含み、
前記フレックス回路(18)が、前記ソーラーセル(12)との電気接続を行うための1つ又は複数の導電層(22)を有する可撓性基板(20)で構成され、
前記フレックス回路(18)が、パネル(10)に取り付けられ、且つ
前記ソーラーセル(12)が、前記パネル(10)に取り付けられ、
前記導電層(22)は、前記電気接続のための開口を有する状態で、前記可撓性基板(20)及び絶縁層(30)の間で挟持され、
前記導電層(22)が、前記可撓性基板(20)上から電流を運ぶ、方法(38)。
【請求項12】
方法(38)であって、
行および列に配置されたソーラーセル(12)のアレイを設け、
相互接続子(28)を設け、
前記ソーラーセル(12)を前記相互接続子(28)に接続し、前記相互接続子(28)をフレックス回路(18)に接続することを含み、
前記フレックス回路(18)が、前記相互接続子(28)との電気接続を行うための導電層(22)を有する可撓性基板(20)で構成され、
前記フレックス回路(18)が、パネル(10)に取り付けられ、
前記ソーラーセル(12)が、前記パネル(10)に取り付けられており、
前記導電層(22)が、前記フレックス回路(18)内に組み込まれており、
前記導電層(22)が、前記ソーラーセル(12)のアレイの列及び/又は行の間に配置され、
前記フレックス回路(18)が、ストリップ又はウエブとして構成されている、方法(38)。
【請求項13】
前記導電層(22)が前記ソーラーセル(12)に隣接するように、前記フレックス回路(18)が前記パネル(10)に取り付けられる、請求項11又は12に記載の方法(38)。
【請求項14】
前記導電層(22)が前記ソーラーセル(12)の下方で延びるように、前記フレックス回路(18)が前記パネル(10)に取り付けられる、請求項11又は12に記載の方法(38)。
【請求項15】
前記導電層(22)が、前記可撓性基板(20)上に堆積される、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法(38)。
【請求項16】
前記導電層(22)が、前記フレックス回路(18)内に組み込まれる、請求項11に記載の方法(38)。
【請求項17】
前記導電層(22)が、前記フレックス回路(18)の
さらなる絶縁層(30)間で挟持される、請求項16に記載の方法(38)。
【請求項18】
前記パネル(10)が、剛性パネル、ハニカム構造、繊維ガラスパネル、又は内部にメッシュを有するフレームである、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法(38)。
【請求項19】
方法(38)であって、
フレックス回路(18)に接続された1つ又は複数のソーラーセル(12)を配置することを含み、
前記フレックス回路(18)が、前記ソーラーセル(12)との電気接続を行うための1つ又は複数の導電層(22)を有する可撓性基板(20)で構成され、
前記フレックス回路(18)が、パネル(10)に取り付けられ、且つ
前記ソーラーセル(12)が、前記パネル(10)に取り付けられ、
前記導電層(22)は、前記電気接続のための開口を有する状態で、前記可撓性基板(20)及び絶縁層(30)の間で挟持され、
前記導電層(22)が、前記可撓性基板(20)上から電流を運ぶ、方法(38)。
【請求項20】
方法(38)であって、
行および列に配置されたソーラーセル(12)のアレイを設け、
相互接続子(28)を設け、
前記相互接続子(28)と接続された前記ソーラーセル(12)と、フレックス回路(18)に接続された前記相互接続子(28)を配置することを含み、
前記フレックス回路(18)が、前記相互接続子(28)との電気接続を行うための1つ又は複数の導電層(22)を有する可撓性基板(20)で構成され、
前記フレックス回路(18)が、パネル(10)に取り付けられ、且つ
前記ソーラーセル(12)が、前記パネル(10)に取り付けられ、
前記導電層(22)が、前記フレックス回路(18)内に組み込まれており、
前記導電層(22)が、前記ソーラーセル(12)のアレイの列及び/又は行の間に配置され、
前記フレックス回路(18)が、ストリップ又はウエブとして構成されている、方法(38)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ソーラーセルパネルに関し、より具体的には、剛性パネルソーラーアレイのための配線に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーアレイは、一般的に、電力を生成するために共に接続された複数のソーラーセルで構成される。電力を他の装置に運ぶために、配線はソーラーセル全体にわたって完成していなければならない。
【0003】
宇宙船のソーラーアレイは、アレイ内のソーラーセルのための支持構造を設けるために、剛性パネルに基づくことが多い。これらのパネルの配線は、膨大な労力がかかり、費用がかさむ。さらに、配線は、宇宙船の打ち上げの間、ソーラーアレイの保管及び配置に耐え得るものでなければならない。
【0004】
そうすると必要になるのは、配線を含む剛性パネルに基づく、ソーラーアレイの設計、製造、及び試験を簡略化する手段である。
【発明の概要】
【0005】
以上の先行技術の限界を克服するため、且つ本明細書の読解及び理解により明確になるその他の限界を克服するために、本開示は、フレックス回路に接続された1つ又は複数のソーラーセルを開示しており、フレックス回路は、ソーラーセルとの電気接続を行うための1つ又は複数の導電層を有する可撓性基板で構成され、フレックス回路は、剛性パネルなどのパネルに取り付けられ、ソーラーセルは、パネルに取り付けられている。
【0006】
一実施例では、導電層がソーラーセルに隣接するように、フレックス回路はパネルに取り付けられ得る。別の態様では、導電層がソーラーセルの下方で延びるように、フレックス回路はパネルに取り付けられ得る。ソーラーセルへの電気接続を行うことに加えて、導電層は、可撓性基板から電流を運び去ることができる。
【0007】
導電層は、可撓性基板上に堆積され得る。導電層は、さらにフレックス回路内に組み込まれてもよく、導電層は、フレックス回路の絶縁層間で挟持される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ここで、図面を参照する。各図面を通じて、類似の参照番号は対応する部分を表す。
【0009】
【
図1A-B】1つ又は複数のソーラーセルが装着された剛性パネルの典型的なレイアウトを示す。
【
図2A-C】ソーラーセルを接続するための金属ストリップ及びワイヤが、剛性パネルに適用されるフレックス回路のストリップと交換される実施例を示す。
【
図3】パネル上でフレックス回路がソーラーセルの隣に取り付けられた状態の、ソーラーセルが取り付けられたパネルの側面図である。
【
図4】パネル上でフレックス回路がソーラーセルの下方に取り付けられた状態の、ソーラーセルが取り付けられたパネルの側面図である。
【
図5A-C】剛性パネル及びフレックス回路を使用するアセンブリを示す。
【
図6A-C】剛性パネル及びフレックス回路を使用して、ソーラーセルがどのようにアセンブリに適用されるかを示す。
【
図7】衛生用の、フレックス回路及びソーラーセルを有する剛性パネルを製造する方法を示す。
【
図8】
図7に示す方法の結果として得られた、フレックス回路及びソーラーセルを有する剛性パネルを有する衛生を示す。
【
図9】機能ブロック図の形態で、フレックス回路及びソーラーセルを有する剛性パネルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明で、本願の一部を形成する添付図面を参照する。これらの添付図面は、本開示が実施され得る具体的な実施例を例示するために示されている。他の実施例を利用することができ、本開示の範囲を逸脱しない限り、構造的な変更を加えてよいことを理解するべきである。
【0011】
本開示は、剛性パネルソーラーアレイのために配線を設けるフレックス回路を説明する。ソーラーセル間の配線は、フレックス回路内に組み込まれるか、又はフレックス回路上に組み込まれ、それにより、ソーラーアレイの設計、製造、及び試験に関わる労力の量が減る。さらに、フレックス回路は、ソーラーアレイの保管及び配置に耐えることが可能である。
【0012】
フレックス回路は、ソーラーセルの列及び/又は行の間に、並びに他の装置に電流を運ぶためソーラーセルのストリップの端部に手作業により配置される金属ストリップ及びワイヤに取って代わる、ストリップ又はウエブとして構成され得る。フレックス回路は、ソーラーアレイの装着のために、既存のパネルの使用を可能にするが、ストリングに沿って、並びにソーラーセルの列及び/又は行の間において、電力をルーティングするための柔軟性の幅を広げる。
【0013】
図1A及び
図1Bは、1つ又は複数のソーラーセル12が装着された、剛性なパネル10の典型的なレイアウトを示す。ソーラーセル12は、例えば、ソーラーセル12の各列の上から下まで、線状に直列接続される。ソーラーセル12の各列は、列の上部及び/又は底部において、金属ストリップ14において終端し、複数の列が、各列の上部及び/又は底部においてワイヤ16で共に接続されている。
【0014】
代替的に、ソーラーセル12は、例えば、ソーラーセル12の各行の左から右まで、線状に直列接続され得る。同様に、ソーラーセル12の各行は、行の左側及び/又は右側において、金属ストリップ14において終端し得、複数の行が、各行の左側及び/又は右側においてワイヤ16で共に接続され得る。
【0015】
各ソーラーセル12は、おおよそ2Vもたらし、線形直列によって、ソーラーセル12の数×2Vが生成される。電力システムが100Vを必要とする場合、50個のソーラーセル12が直列状態で必要になる。
【0016】
一実施例では、
図1Aに示すように、ソーラーセル12の列と行が整列する。別の実施例では、様々なパネル10のレイアウト上の制約により、列及び/又は行においてオフセットが生じることが多く、結果として
図1Bに示すパネル10’のオフセットされたレイアウトが生じる。
【0017】
図2A、
図2B、及び
図2Cは、金属ストリップ14及びワイヤ16が、パネル10に適用されるフレックス回路18のストリップと交換される実施例を示す。
【0018】
フレックス回路18は、少なくとも1つの導電層22を有する可撓性基板20を備えている。導電層22は、パターン化されて、ソーラーセル12との電気接続を行うための埋設型導電体又は配線を設ける。導電層22は、電気接続のための局所開口を有する状態で、絶縁性ポリマー内に封入され得る。
【0019】
フレックス回路18のこれらのストリップは、
図1A及び
図1Bに示すソーラーセル12の列間の金属ストリップ14又はワイヤ16に取って代わることができる。他の場合では、フレックス回路18は、パネル10から電流を他の装置に移すソーラーセル12の直列接続ストリングの端部の配線に取って代わることができる。
【0020】
図2A及び
図2Bは、
図1A及び
図1Bに示すレイアウトと似ているが、金属ストリップ14及びワイヤ16の代わりにフレックス回路18のストリップを使用している。
図2Cは、ソーラーセル12の直列接続が列の真ん中で終端し、フレックス回路18のストリップが、別の列のソーラーセル12に接続するか、又はパネル10から離れて他の装置に接続するレイアウトを示す。
【0021】
ほとんどの場合、フレックス回路18は、ソーラーセル12の端部に沿って、又は、ソーラーセル12間に位置付けされ得る。場合によっては、フレックス回路18は、ソーラーセル12の下方に位置付けされ得る。好ましくは、フレックス回路18は、ソーラーセルを接続するために使用されるだけではなく、電流をパネル10の外周に運んで、パネル10から他の装置に移すためにも使用される。
【0022】
図3は、ソーラーセル12の上部にカバーガラス26がある状態で、接着層24によってソーラーセル12が取り付けられたパネル10の側面図である。金属箔相互接続子28は、ソーラーセル12を、パネル10上でソーラーセル12の隣に位置付けされたフレックス回路18に電気的に接続する。フレックス回路18も接着層24によってパネル10に取り付けられており、少なくとも可撓性基板20、導電層22、絶縁層30、及び可撓性基板20と絶縁層30との間の接着剤32を含む。さらなる金属被膜(metallization)34が、金属箔相互接続子28が取り付けられた導電層22上に堆積され得る。
【0023】
この実施例では、可撓性基板20は、ポリイミド又は別のポリマーであり、導電層22は、銅(Cu)又は別の金属若しくは合金であり、導電層22は、2つの絶縁層、すなわち、可撓性基板20と、接着剤32によって導電層22の上部に積層された絶縁層30との間で挟持されている。別の実施例では、フレックス回路18は、積層構造において導電層22を1つより多く有してもよく、各導電層22によってソーラーセル12との電気接続を行うための埋設型導電体が設けられるように、各導電層22は、2つの絶縁層(例えば、絶縁層30、及びさらなる絶縁層30又は2つのさらなる絶縁層30)の間で挟持される。
【0024】
図4は、フレックス回路18がソーラーセル12の下方にある状態の、接着層24によってソーラーセル12が取り付けられたパネル10の側面図である。この実施例では、フレックス回路18の導電層22は、可撓性基板20、絶縁層30、及び接着剤32によって完全に封入されている。
【0025】
ソーラーセル12をパネル10に取り付ける接着層24は、少なくともフレックス回路18と同じ厚さであるべきである。したがって、ソーラーセル12をパネル10に結合する接着層24がより薄くなるために、より薄いフレックス回路18が望ましい。より薄いフレックス回路18とより薄い接着層24によって、さらに質量が減り、熱伝達が高くなる。しかしながら、フレックス回路18の導電層22がより薄くなるにつれて、同じ導電率を有するために幅をさらに広げる必要がある。
【0026】
絶縁層30をフレックス回路18の可撓性基板20に接合すると見なされ得る多くの接着剤32は、硬化中と後に適度なガス抜けがある。このガス抜けにより、泡が形成され、フレックス回路18の故障に至る恐れがある。
【0027】
狭いフレックス回路18は、より簡単にガス放出生成物を放出させ、泡を形成させないことを可能にする。しかしながら、薄いけれど幅広い導電層22は、泡を形成するリスクを有する。2cm幅未満のフレックス回路18は、接着剤32と共に用いられた場合、泡形成の危険から守られ得る。ソーラーセル12に電流を運ぶように十分な導電率を有するためには、フレックス回路18は、0.1mmを上回る必要がある。
【0028】
フレックス回路18は、隣接するソーラーセル12、及びバイパスダイオードのような他の構成要素を電気的に接続するためにさらに使用され得る。フレックス回路18は、さらにストリング終端配線(string termination wiring)と一体化されてもよい。これは、上述の相互参照出願で説明された切り込み角接続アプローチ(cropped corner connection approach)において特に価値がある。
【0029】
切り込み角接続アプローチでは、ソーラーセル12は、その上部及び底部の電気接続部が、ソーラーセル12の切り込み角によって画定された切り込み角領域に延在し得る。便利なアプローチは、隣接するソーラーセル12の切り込み角を整列させることである。切り込み角領域に延在するこれらの電気接続部は、次いで、フレックス回路18上の又はフレックス回路18内の導電層22に取り付けられる。次に、フレックス回路18は、電流を他のソーラーセル12にルーティングし、パネル10から他の装置に移すことができる。
【0030】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、パネル10及びフレックス回路18を使用するアセンブリを示す。
図5Aは、ハニカム構造を有する、剛性なパネル10であり、
図5Bは、切り欠き36を有するウエブ構造を有するフレックス回路18であり、
図5Cは、パネル10に適用されたフレックス回路18を示す。この実施例では、フレックス回路18は、フレックス回路18の上から下へと、並びにフレックス回路18にわたって左から右へと延びる導電層22を有する。
【0031】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、パネル10及びフレックス回路18を使用して、ソーラーセル12がどのようにアセンブリに適用されるかを示す。
図6Aは、
図5Cと同じであり、パネル10に適用されたフレックス回路18を示す。
図6Bは、典型的なソーラーセル12を示す。
図6Cは、
図6Aのアセンブリに適用された、
図6Bの4つのソーラーセル12を示し、4つのソーラーセル12が、フレックス回路18の切り欠き36においてパネル10に取り付けられ、相互接続子が、ソーラーセル12をフレックス回路18内の導電層22に電気的に接続する。
【0032】
他の実施例では、ハニカム構造を有する剛性パネル10以外の要素が使用され得る。例えば、パネル10は、内部にメッシュを有し、そのメッシュにソーラーセル12が装着された、繊維ガラスパネル又は剛性外周フレームを備え得る。このメッシュは、質量が低いながらもソーラーセル12を機械的に支持することになるが、メッシュは、広範囲の金属、ポリマー、又は炭素繊維から作製することができる。しかしながら、配線を代替するためにフレックス回路18を用いる同アプローチは、メッシュ又は繊維ガラスに装着されるソーラーセル12においても等しく重要である。このことは、任意の表面に装着されたソーラーセル12においても事実であり、箔素子、配線、又はその他の導電体を使用する電気接続部をフレックス回路18と交換してもよい。
【0033】
本開示の各実施例は、衛星用の、1つ又は複数のソーラーセル12を有するパネル10を備えた装置を製造する方法38の文脈で説明され、方法38は、
図7に示すように、ステップ40~52を含み、
図8では、結果として得られる、上部に1つ又は複数のソーラーセル12を備えたパネル10を有する衛星54が示される。
【0034】
図7に示すように、製造前段階では、例示の方法38は、パネル10及び/又は衛星54の仕様及び設計40、並びにこれらの材料の調達42を含み得る。製造段階では、パネル10及び/又は衛星54のコンポーネント及びサブアセンブリの製造44、並びにシステムインテグレーション46が行われるが、これらは、パネル10及び/又は衛星54を製造することを含む。その後、パネル10及び/又は衛星54は、運航50に供されるために、認可及び納品48を経る場合がある。パネル10及び/又は衛星54には、打ち上げ前に、整備及び保守52(改造、再構成、改装等を含む)がさらに予定され得る。
【0035】
方法38の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレーター(例えば、顧客)によって実施又は実行され得る。本記載の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、ソーラーセル、パネル、衛星、又は宇宙船の、任意の数の製造業者及び主要システムの下請業者を含んでいてよく、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及びサプライヤーを含んでいてよく、且つオペレータは、衛星通信会社、軍事団体、サービス機関等であってよい。
【0036】
図8に示すように、例示の方法38によって製造された衛星54は、システム56、本体58、1つ又は複数のソーラーセル12を上部に有する1つ又は複数のパネル10、並びに1つ又は複数のアンテナ60を含み得る。衛星54と共に含まれるシステム56の実施例は、推進システム62、電気システム64、通信システム66、及び電力システム68のうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。任意の数の他のシステム56も含まれ得る。
【0037】
図9は、一実施例に係る、機能ブロック図の形態の、1つ又は複数のソーラーセル12を上部に有するパネル10を配置且つ操作する方法を示す。パネル10は、フレックス回路18に個別に接続された1つ又は複数のソーラーセル12で構成され、フレックス回路18は、ソーラーセル12との電気接続を行うための1つ又は複数の導電層22を有する可撓性基板20で構成される。各ソーラーセル12は、光源72からの光70を吸収し、それに応答して電気出力74を生成する。
【0038】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施例を含む。
【0039】
条項1
装置であって、フレックス回路に接続された1つ又は複数のソーラーセルを備え、前記フレックス回路が、前記ソーラーセルとの電気接続を行うための1つ又は複数の導電層を有する可撓性基板で構成され、前記フレックス回路が、パネルに取り付けられ、且つ前記ソーラーセルが、前記パネルに取り付けられている、装置。
【0040】
条項2
前記導電層が前記ソーラーセルに隣接するように、前記フレックス回路が前記パネルに取り付けられている、条項1に記載の装置。
【0041】
条項3
前記導電層が前記ソーラーセルの下方で延びるように、前記フレックス回路が前記パネルに取り付けられている、条項1に記載の装置。
【0042】
条項4
前記導電層が、前記可撓性基板上に堆積されている、条項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【0043】
条項5
前記導電層が、前記フレックス回路内に組み込まれている、条項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【0044】
条項6
前記導電層が、前記フレックス回路の絶縁層間で挟持されている、条項5に記載の装置。
【0045】
条項7
前記導電層が、前記可撓性基板から電流を運び去る、条項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【0046】
条項8
前記パネルが、剛性パネルである、条項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【0047】
条項9
前記パネルが、ハニカム構造を有する、条項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【0048】
条項10
前記パネルが、繊維ガラスパネルである、条項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【0049】
条項11
前記パネルが、内部にメッシュを有するフレームである、条項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【0050】
条項12
方法であって、1つ又は複数のソーラーセルをフレックス回路に接続することを含み、前記フレックス回路が、前記ソーラーセルとの電気接続を行うための1つ又は複数の導電層を有する可撓性基板で構成され、前記フレックス回路が、パネルに取り付けられ、且つ前記ソーラーセルが、前記パネルに取り付けられる、方法。
【0051】
条項13
前記導電層が前記ソーラーセルに隣接するように、前記フレックス回路が前記パネルに取り付けられる、条項12に記載の方法。
【0052】
条項14
前記導電層が前記ソーラーセルの下方で延びるように、前記フレックス回路が前記パネルに取り付けられる、条項12に記載の方法。
【0053】
条項15
前記導電層が、前記可撓性基板上に堆積される、条項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【0054】
条項16
前記導電層が、前記フレックス回路内に組み込まれる、条項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【0055】
条項17
前記導電層が、前記フレックス回路の絶縁層間で挟持される、条項16に記載の方法。
【0056】
条項18
前記導電層が、前記可撓性基板から電流を運び去る、条項12から17のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
条項19
前記パネルが、剛性パネル、ハニカム構造、繊維ガラスパネル、又は内部にメッシュを有するフレームである、条項12に記載の方法。
【0058】
条項20
方法であって、フレックス回路に接続された1つ又は複数のソーラーセルを配置することを含み、前記フレックス回路が、前記ソーラーセルとの電気接続を行うための1つ又は複数の導電層を有する可撓性基板で構成され、前記フレックス回路が、パネルに取り付けられ、且つ前記ソーラーセルが、前記パネルに取り付けられる、方法。
【0059】
上記の実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であることや、記載された実施例に限定することは意図していない。上記の具体的な要素の代わりに、多数の代替形態、修正形態、及び変形形態が用いられてよい。