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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】燃料電池システムの排気圧力調節装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240628BHJP
   F16K 24/04 20060101ALI20240628BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240628BHJP
   F16L 55/033 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
H01M8/04 N
F16K24/04 C
H01M8/10 101
F16L55/033
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019132980
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2020095935
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0159393
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ハ、キョンク
(72)【発明者】
【氏名】イ、ビョンスン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョンヒ
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-18581(JP,A)
【文献】実開昭54-61325(JP,U)
【文献】実開昭61-7679(JP,U)
【文献】米国特許第4150696(US,A)
【文献】特開2005-38803(JP,A)
【文献】特開2003-294339(JP,A)
【文献】特開2006-153160(JP,A)
【文献】特開2006-210055(JP,A)
【文献】特開2013-143379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
F01N 1/08
F16K 24/04
F16L 55/02-55/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管内に設置され内部に多数の空隙(pore)を有する多孔性フォーム(porous foam)と、
前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記多孔性フォームを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置とを含み、
前記排気管内で前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端が前記排気管に固定され、前記多孔性フォームの他側端が前記調節装置に結合されて、
前記調節装置によって前記多孔性フォームの他側端が移動されるにつれ、前記多孔性フォームの、前記排出ガスの流動方向に延長された長さが増加又は減少され、
前記調節装置は、駆動部と、前記多孔性フォームの他側端と結合され、前記駆動部から駆動力の提供を受けて線形(linear)移動される移動部とを含み、
前記駆動部は、前記移動部を線形移動させるための駆動力を提供するシリンダーを含む、燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項2】
排気管内に設置され内部に多数の空隙(pore)を有する多孔性フォーム(porous foam)と、
前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記多孔性フォームを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置とを含み、
前記排気管内で前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端が前記排気管に固定され、前記多孔性フォームの他側端が前記調節装置に結合されて、
前記調節装置によって前記多孔性フォームの他側端が移動されるにつれ、前記多孔性フォームの、前記排出ガスの流動方向に延長された長さが増加又は減少され、
前記排気管から排出ガスが漏洩することを防止するために、前記調節装置及び前記調節装置が設置される前記排気管の一部分を取り囲むハウジングをさらに含む、燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項3】
排気管内に設置され内部に多数の空隙(pore)を有する多孔性フォーム(porous foam)と、
前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記多孔性フォームを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置とを含み、
前記排気管内で前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端が前記排気管に固定され、前記多孔性フォームの他側端が前記調節装置に結合されて、
前記調節装置によって前記多孔性フォームの他側端が移動されるにつれ、前記多孔性フォームの、前記排出ガスの流動方向に延長された長さが増加又は減少され、
前記多孔性フォームの一側端を前記排気管の内周面に固定させつつ、前記多孔性フォームの一側端が排出ガスの流動によって変形されることを抑制するために設けられる第1支持部をさらに含み、
前記第1支持部は、前記排気管の内周面から前記排気管の中心部に向かって延長された形状である、燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項4】
排気管内に設置され内部に多数の空隙(pore)を有する多孔性フォーム(porous foam)と、
前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記多孔性フォームを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置とを含み、
前記排気管内で前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端が前記排気管に固定され、前記多孔性フォームの他側端が前記調節装置に結合されて、
前記調節装置によって前記多孔性フォームの他側端が移動されるにつれ、前記多孔性フォームの、前記排出ガスの流動方向に延長された長さが増加又は減少され、
前記調節装置は、駆動部と、前記駆動部から駆動力の提供を受けて線形移動される移動部とを含み、
前記多孔性フォームの他側端と前記移動部を結合するために設けられる第2支持部をさらに含む、燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項5】
排気管内に設置され内部に多数の空隙(pore)を有する多孔性フォーム(porous foam)と、
前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記多孔性フォームを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置とを含み、
前記排気管内で前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端が前記排気管に固定され、前記多孔性フォームの他側端が前記調節装置に結合されて、
前記調節装置によって前記多孔性フォームの他側端が移動されるにつれ、前記多孔性フォームの、前記排出ガスの流動方向に延長された長さが増加又は減少され、
前記調節装置は、駆動部と、前記駆動部から駆動力の提供を受けて線形移動される移動部とを含み、
前記移動部の線形移動をガイドするために設けられるリニアガイドをさらに含む、燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項6】
前記調節装置により前記多孔性フォームが圧縮又は膨張されることによって、前記多孔性フォームの空隙率(porosity)が変化され、前記多孔性フォームを通過する排出ガスが受ける流動抵抗が可変されて前記排気管に流動される排出ガスの差圧が調節され、
前記空隙率は、以下の式によって求められる値である、請求項1に記載の燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【数1】
(ここで、φは空隙率であり、Vは多孔性フォームの物質部分の全体体積であり、Vは多孔性フォーム内の空隙全体の体積である。)
【請求項7】
前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端は上流側に位置し、前記多孔性フォームの他側端は下流側に位置する、請求項1に記載の燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項8】
前記第2支持部は、前記多孔性フォームの他側端が排出ガスの流動によって変形されることを抑制するために、前記排気管の内周面から前記排気管の中心部に向かって延長され前記多孔性フォームの他側端と結合される、請求項4に記載の燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項9】
前記排気管には、前記第2支持部が移動可能にするために、前記第2支持部が移動される方向に延長されたスロットが形成される、請求項4に記載の燃料電池システムの排気圧力調節装置。
【請求項10】
排気管と、
前記排気管内に設置され内部に多数の空隙(pore)を有する多孔性フォーム(porous foam)と、
前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記多孔性フォームを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置とを含み、
前記排気管内で前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端が前記排気管に固定され、前記多孔性フォームの他側端が前記調節装置に結合されて、
前記調節装置によって前記多孔性フォームの他側端が移動されるにつれ、前記多孔性フォームの、前記排出ガスの流動方向に延長された長さが増加又は減少され、
前記排出ガスの流動方向を基準に、前記多孔性フォームの一側端は上流側に位置し、前記多孔性フォームの他側端は下流側に位置する、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの排気圧力調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、連続的に供給される燃料の化学的な反応により電気エネルギーを継続的に生産するシステムであって、地球環境問題を解決できる代案として持続的な研究開発が行われている。
【0003】
燃料電池システムは、用いられる電解質の種類によってリン酸型燃料電池(PAFC;phosphoric acid fuel cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC;molten carbonate fuel cell)、固体酸化物形燃料電池(SOFC;solid oxide fuel cell)、高分子電解質型燃料電池(PEMFC;polymer electrolyte membrane fuel cell)、アルカリ型燃料電池(AFC;alkaline fuel cell)及び直接メタノール燃料電池(DMFC)等で分類され得、用いられる燃料の種類とともに作動温度、出力範囲等によって移動電源用、輸送用、分散発電用等の多様な応用分野に適用され得る。
【0004】
このうち、高分子電解質型燃料電池は、内燃機関の代わりをするように開発されている水素自動車(水素燃料電池の自動車)分野に適用されている。
【0005】
水素自動車は、水素と酸素の化学反応を介して電気を生産し、モーターを駆動して走行するように構成される。したがって、水素自動車は、水素(H)が保存される水素タンク(H Tank)、水素と酸素(O)の酸化還元反応を介して電気を生産するスタック(FC STACK:Fuel Cell Stack)、生成された水を排水するための各種装置だけでなく、スタックで生産された電気を保存するバッテリー、生産された電気を変換及び制御するコントローラー、駆動力を生成するモーター等を含む構造を有する。
【0006】
このうち、スタックは、数十又は数百個のセルを直列で積み上げた燃料電池本体を称する装置であって、エンドプレートの間に複数個のセルが積層された構造を有し、且つ、それぞれのセルの内部は電解質膜で区画され、一側はアノード、他側はカソードが設けられる。
【0007】
それぞれのセルの間には分離板が配置されて水素と酸素の流動経路を制限し、前記分離板は酸化還元反応時に電子を移動させるように伝導体で製造される。
【0008】
このようなスタックは、アノードに水素が供給されれば触媒によって水素イオンと電子に分離され、電子は分離板を介してスタック外部に移動しながら電気を生産し、水素イオンは電解質膜を通過してカソードに移動した後、外気から供給される酸素及び電子と結合して水を形成し外部に排出される。
【0009】
燃料電池システムには、燃料電池スタックの運転圧力を調節するために排気圧力調節装置(又は、運転圧力調節装置)が備えられる。排気圧力調節装置は、燃料電池スタックの出口端での排出ガスの圧力を調節することで、燃料電池スタックの運転圧力を調節できる。
【0010】
従来、燃料電池システムの運転圧力を調節するために、燃料電池スタックの後端に設置される排気圧力調節装置は、一般的に排気の流動を抑制させるための構造上、排出ガスの乱流を発生させ騒音が発生するようになる問題点が存在した。
【0011】
そのような騒音を低減させるために、消音器を追加で設置するか、排出ガスが流動される配管又はホースの厚さを増加させることを考慮してもよいが、この場合、排気圧力調節装置の構造が複雑になって重さが上昇し、製造原価が増加される等の問題点が存在した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、排出ガスの流動騒音が低減されるようにする排気圧力調節装置を提供することに主目的がある。
また、本発明は、従来の排気圧力調節装置に比べ相対的にコンパクトで軽い構造を有し得る排気圧力調節装置を提供することに目的がある。
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者に明確に理解されるはずであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するために、本発明の実施形態による燃料電池システムの排気圧力調節装置は、排気管内に設置され内部に多数の空隙(pore)を有する多孔性フォーム(porous foam)と、前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記多孔性フォームを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、次のような効果が一つあるいはそれ以上ある。
第一、多孔性フォーム及びそれを圧縮又は膨張させるように設けられる調節装置を含み排気圧力を調節するように設けられることで、排気圧力調節装置を通過しつつ排気ガスの乱流成分が低減され、それによって排気ガスの流動騒音が低減され得る。
第二、従来に比べ排気圧力調節装置の構成が簡単になり軽量化が可能である。
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていない他の効果は、特許請求範囲の記載から当業者に明確に理解されるはずであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による排気圧力調節装置が車両の排気管に設けられた姿を概略的に示した図である。
図2図1の排気圧力調節装置の作動原理を説明するための図である。
図3図1の排気圧力調節装置の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図を介して詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を付加することにおいて、同一の構成要素に対してはたとえ他の図上に表示されるとしても、出来る限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態を説明することにおいて、関連する公知の構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を邪魔すると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0017】
また、本発明の実施形態の構成要素を説明することにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を用いてよい。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためだけのものであり、その用語によって当該構成要素の本質や順番又は順序等が限定されない。ある構成要素が他の構成要素に『連結』、『結合』又は『接続』されると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接的に連結されるか接続されてよいが、各構成要素の間にまた他の構成要素が『連結』、『結合』又は『接続』されてもよいと理解されなければならない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による排気圧力調節装置が車両の排気管に設けられた姿を概略的に示した図である。
【0019】
排気圧力調節装置100は、燃料電池車両の排気系に設置され燃料電池スタックから排出される排出ガスの圧力を調節できる。
【0020】
排気圧力調節装置100の調節により燃料電池スタックから排出される排出ガスの圧力が調節されることによって、燃料電池スタックに流入される供給ガスの量も調節されてよく、これは、燃料電池スタックの入口端と出口端の間の圧力差が変化されるからである。
【0021】
図1を参照すれば、排気圧力調節装置100は、燃料電池スタックから排出される排出ガスの差圧(differential pressure)を調節するために、前記排出ガスが流動される、車両の排気管1に設置されてよい。排出ガスの差圧は、排気圧力調節装置100を通過する前の排出ガスの圧力と、排気圧力調節装置100を通過した後の排出ガスの圧力との差で定義されてよい。
【0022】
本実施形態による排気圧力調節装置100は、多孔性フォーム(porous foam)110と調節装置120を含む。
【0023】
多孔性フォーム110は、排気管1内に設置されてよい。多孔性フォーム110は、多数の空隙(pore or air gap)を含む構造を有する。例えば、多孔性フォーム110は、メッシュフォーム、スポンジ等のような構造を有してよい。
【0024】
多孔性フォーム110は、圧縮又は膨張されてよく、圧縮又は膨張されることによって多孔性フォーム110の体積が可変になり得る。多孔性フォーム110は、体積の可変によって空隙率(porosity)φが可変されてよい。ここで、空隙率φは、以下の式によって求められる値に定義されてよい。
【0025】
【数1】
【0026】
ここで、φは空隙率φであり、Vは多孔性フォームの物質部分の全体体積であり、Vは多孔性フォーム内の空隙全体の体積である。
【0027】
調節装置120は、多孔性フォーム110を圧縮又は膨張させるために備えられてよい。
【0028】
排気圧力調節装置100は、調節装置120により前記多孔性フォーム110が圧縮又は膨張されることによって、前記多孔性フォーム110の空隙率φが変化され前記排気管に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)の調節ができるように設けられる。
【0029】
従来、燃料電池システムの運転圧力を調節するために、燃料電池スタックの後端に設置される排気圧力調節装置は、一般的に排気の流動を抑制させるための構造上、排出ガスの乱流を発生させ騒音が発生するようになる問題点が存在した。
【0030】
そのような騒音を低減させるために、消音器を追加で設置するか、排出ガスが流動される配管又はホースの厚さを増加させることを考慮してみられた。しかし、この場合、排気圧力調節装置の構造が複雑になって重さが上昇し、製造原価が増加される等の問題点が存在した。
【0031】
本実施形態による排気圧力調節装置100は、排気圧力を調節する過程で生成され得る排出ガスの流動騒音を低減させるためのものである。
【0032】
より具体的に、本実施形態による排気圧力調節装置100は、前記調節装置120により前記多孔性フォーム110が圧縮又は膨張されることによって、前記多孔性フォーム110の空隙率(porosity)φが変化され前記排気管1に流動される排出ガスの差圧(differential pressure)の調節ができるように設けられることに基本的な特徴がある。
【0033】
本実施形態による排気圧力調節装置100の特徴を、以下でより具体的に詳述する。
【0034】
図1を参照すれば、排気管1内で排出ガスの流動方向を基準に、多孔性フォーム110の一側端が排気管1に固定され、多孔性フォーム110の他側端が調節装置120に結合されてよい。
【0035】
一実施形態で、排出ガスの流動方向を基準に、排気管1に固定される多孔性フォーム110の一側端は上流側に位置し、調節装置120と結合される多孔性フォーム110の他側端は下流側に位置してよい。
【0036】
排出ガスの流動方向を基準に、排気管1に固定される多孔性フォーム110の一側端は下流側に位置し、調節装置120と結合される多孔性フォーム110の他側端は上流側に位置する場合を仮定すれば、排出ガスの流動抵抗によって多孔性フォーム110が加圧され圧縮され得る。これは、移動可能な多孔性フォーム110の他側端が、固定された一側端より上流側に位置するからである。多孔性フォーム110が排出ガスの流動抵抗によって圧縮されれば、多孔性フォーム110の空隙率φが低くなり排出ガスの差圧が増加され、それによって排出ガスの流動抵抗はさらに大きくなり、多孔性フォーム110がさらに圧縮され得る。この場合、排出ガスの差圧が過度に高くなることもある。
【0037】
本実施形態で、排出ガスの流動方向を基準に、排気管1に固定される多孔性フォーム110の一側端は上流側に位置し、調節装置120と結合される多孔性フォーム110の他側端は下流側に位置することで、排出ガスの流動抵抗によって多孔性フォーム110は、膨張される方向に力を受けるようになり、調節装置120によって膨張又は圧縮されるように設けられる。したがって、排出ガスの流動抵抗によって排出ガスの差圧が過度に高くなり燃料電池スタックへのガスの流入が抑制されることで、燃料電池スタックの性能が低下されることが防止できる。
【0038】
前記調節装置120によって前記多孔性フォーム110の他側端が移動されるにつれ、前記多孔性フォーム110の、前記排出ガスの流動方向に延長された長さLが増加又は減少されてよい。
【0039】
調節装置120は、駆動部121と移動部122を含んでよい。
【0040】
駆動部121は、ギア装置、モーター、電子式駆動装置のうち少なくとも何れか一つを含んでよく、これに限定されず、駆動部121は移動部122を線形(linear)移動させることができるものであれば利用可能である。
【0041】
例えば、駆動部121は、移動部122を線形移動させるための駆動力を提供するシリンダーを含んでよい。
【0042】
図1を参照すれば、駆動部121は、排気管1の外周面に設置され移動部122に駆動力を提供できる。
【0043】
移動部122は、前記駆動部121から駆動力の提供を受け、線形移動されてよい。
【0044】
図1を参照すれば、移動部122は、排気管1の外部に設置され多孔性フォーム110の他側端と結合されてよい。
【0045】
移動部122は、駆動部121から駆動力の提供を受け、多孔性フォームの長さ方向(図1のL方向)に移動されてよい。
【0046】
一実施形態で、駆動部121はシリンダーを含み、移動部122は前記シリンダーの内部に挿入されるピストンを含んで構成されてよい。
【0047】
排気圧力調節装置100は、第1支持部140をさらに含んでよい。
【0048】
多孔性フォーム110の一側端は、第1支持部140によって排気管1の内周面に固定されてよい。第1支持部140は、多孔性フォーム110と排気管1の結合を媒介するために排気管1の内部に設置されてよい。
【0049】
第1支持部140は、前記多孔性フォーム110の一側端を前記排気管1の内周面に固定させつつ、前記多孔性フォーム110の一側端が排出ガスの流動によって変形されることを抑制するように設けられてよい。
【0050】
第1支持部140は、排気管1の内周面から排気管1の中心部に向かって延長された形状を有してよい。
【0051】
図1を参照すれば、一実施形態で、第1支持部140はドーナツ形状に設けられ、多孔性フォーム110の一側端の、排気管1の内周面と接する部分と結合されてよい。多孔性フォーム110の一側端は、排出ガスによる流動抵抗によって形状が変形され得るが、第1支持部140によって多孔性フォーム110の一側端の所定の部分が支持されるため、多孔性フォーム110が排出ガスの流動抵抗によって変形されることが抑制できる。
【0052】
これを介して、排気圧力調節装置100による排気圧力調節機能が効果的に行われ得る。
【0053】
排気圧力調節装置100は、第2支持部150をさらに含んでよい。
【0054】
第2支持部150は、前記多孔性フォーム110の他側端と前記移動部122を結合するために設けられてよい。排気管1には、第2支持部150が移動できるようにするため、第2支持部150が移動される方向に延長されたスロットが形成されてよい。
【0055】
第2支持部150は、多孔性フォーム110の他側端が排出ガスの流動によって変形されることを抑制するために、前記排気管1の内周面から前記排気管1の中心部に向かって延長される形状を有し、前記多孔性フォーム110の他側端と結合されてよい。
【0056】
一実施形態で、第2支持部150はドーナツ形状に設けられ、多孔性フォーム110の他側端の、排気管1の内周面と接する部分と結合されてよい。多孔性フォーム110の他側端は、排出ガスによる流動抵抗によって形状が変形され得るが、第2支持部150によって多孔性フォーム110の他側端の所定の部分が支持されるため、多孔性フォーム110が排出ガスの流動抵抗によって変形されることが抑制できる。
【0057】
これを介して、排気圧力調節装置100による排気圧力調節効果が向上され得る。
【0058】
排気圧力調節装置100は、排気管1から排出ガスが漏洩することを防止するためにハウジング130をさらに含んでよい。
【0059】
ハウジング130は、調節装置120が収容される内部空間が形成できる。ハウジング130は、調節装置120及び調節装置120が設置される排気管1の一部分を取り囲む形状に設けられてよい。
【0060】
排気圧力調節装置100は、移動部の線形移動をガイドするために設けられるリニアガイド160をさらに含んでよい。
【0061】
リニアガイド160は、排気管1の内周面又は外周面上に設置されてよい。
【0062】
図1を参照すれば、一実施形態でリニアガイド160は、排気管1の内周面上に設置され、前記多孔性フォーム110が圧縮又は膨張される方向である長さ方向に延長されてよい。
【0063】
リニアガイド160によって多孔性フォーム110の変形が長さ方向に行われるように誘導され、多孔性フォーム110の収縮と膨張による排気圧力調節が効果的に行われ得る。
【0064】
図2は、図1の排気圧力調節装置の作動原理を説明するための図であり、図3は、図1の排気圧力調節装置の効果を説明するための図である。
【0065】
以下では、図2図3を参照して本発明による排気圧力調節装置の作動原理と効果に対し説明する。
【0066】
図2を参照すれば、多孔性フォーム110は多数の空隙(pore)を含む構造を有してよい。
【0067】
多孔性フォーム110の物質でなる部分と空隙でなる部分を含む全体体積は、V+Vに定義されてよい。ここで、Vは多孔性フォーム110の全体体積V+Vのうち物質部分の全体体積であり、Vは多孔性フォーム110の全体体積V+Vのうち空隙部分の全体体積に定義されてよい。
【0068】
調節装置120の調節によって多孔性フォーム110が長さ方向(図2のL方向)に膨張又は収縮されれば、多孔性フォーム110の全体体積V+Vが変化するようになる。このとき、物質は、その体積がほとんど変わらないため物質部分の全体体積Vは殆ど一定である。一方、空隙は、圧力等によってその体積が容易に可変されるため、空隙部分の全体体積Vは可変される。したがって、全体体積V+Vに対する空隙部分の全体体積Vとして定義される空隙率φは、多孔性フォーム110が膨張されるにつれ増加し、多孔性フォーム110が収縮されるにつれ減少するようになる。
【0069】
多孔性フォーム110が膨脹し空隙率φが増加するようになれば、排出ガスが多孔性フォーム110を通過しながら受けるようになる流路抵抗が減少し得る。これは、多孔性フォーム110の空隙率φが増加されるにつれ、多孔性フォーム110がより疎らな(sparse)構造を有するためであると理解される。これを介して、排出ガスの差圧が減少され、燃料電池スタックの後端の排出ガスの圧力が減少され得る。
【0070】
逆に、多孔性フォーム110が収縮し空隙率φが増加するようになれば、多孔性フォーム110がより緻密な(dense)構造を有するようになり、排出ガスが多孔性フォーム110を通過しながら受けるようになる流路抵抗が増加され得る。これを介して、排出ガスの差圧が増加され、燃料電池スタックの後端の排出ガスの圧力が増加され得る。
【0071】
多孔性フォーム110の空隙率φと排出ガスの差圧の相関関係は、図3のグラフのような様相を有し得る。
【0072】
多孔性フォーム110が膨張され空隙率φが増加するほど、排出ガスの差圧は徐々に減少し所定の値に収束され得る。
【0073】
多孔性フォーム110が収縮され空隙率φが減少するほど、排出ガスの差圧は徐々に増加する様相を有し、且つ、空隙率φの大きさが小さくなるほど排出ガスの差圧が増加される幅がさらに大きくなり得る。
【0074】
このように設けられる排気圧力調節装置によれば、多孔性フォーム110によって排出ガスが有する乱流成分が減少され、排出ガスの乱流流動による騒音が低減され得る。これにより、排出ガスの流動騒音を低減させるために、車両に別途具備される消音器を削除することもできる。
【0075】
また、本発明による排気圧力調節装置は、通常のバルブが有するディスクやフラップのような構造がなく比較的に一定の形状を有するため、排気圧力調節装置を通過する排出ガスの流動がより均一になり得る。これにより、排出ガスの流動が円滑になって排出ガスと排気系の間の流動抵抗が減少され、排気圧力調節装置による圧力調節性能が向上され得る。
【0076】
以上で本発明は、限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明は、これによって限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者により、本発明の技術思想と、以下に記載する特許請求の範囲の均等範囲内で多様な実施が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1:排気管
100:排気圧力調節装置
110:多孔性フォーム
120:調節装置
121:駆動部
122:移動部
130:ハウジング
140:第1支持部
150:第2支持部
160:リニアガイド
L:多孔性フォームの長さ
φ:空隙率
:多孔性フォームの体積
:多孔性フォーム内の空隙全体の体積
図1
図2
図3