(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ベビーカーアクセサリ及び2人乗りベビーカーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B62B 7/14 20060101AFI20240628BHJP
B62B 7/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B62B7/14
B62B7/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020002868
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519088111
【氏名又は名称】ベビーゼン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ミシェル ショードゥルジュ
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-291480(JP,A)
【文献】特開2006-219060(JP,A)
【文献】登録実用新案第3044798(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0001410(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0154215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00- 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベビーカー(100)とともに2人乗りベビーカー(1)を形成するように前記ベビーカーに接続可能であるとともに、前記ベビーカーに接続されていないときは子供を運ぶのに使用されないベビーカーアクセサリ(200)であって、
使用中に、運ばれる子供を載置可能な受容部材(220)を支持するアクセサリフレーム(210)と、
前記2人乗りベビーカー(1)を形成するために前記ベビーカーアクセサリ(200)を前記ベビーカー(100)に可逆的に接続する接続機構(250)であって、前記接続機構は、前記ベビーカーアクセサリの前記アクセサリフレーム(210)の前部(211)に支持され、かつ、前記ベビーカーアクセサリの前記アクセサリフレームの前記前部を、前記ベビーカーのベビーカーフレーム(110)の後部(112)に着脱可能に取り付けて、前記ベビーカーアクセサリを前記ベビーカーの後方に前後方向に配置するとともに傾斜軸(Y250)を規定し、前記傾斜軸は使用中に地面に対して実質平行に延びかつ前記前後方向に実質垂直であり、前記アクセサリフレームの前記前部及び前記ベビーカーフレームの前記後部は、前記傾斜軸について互いに対して自由に傾斜可能である、接続機構と、
前記ベビーカーアクセサリ(200)が前記接続機構(250)によって前記ベビーカー(100)に接続されたときに、地面に当接して回転するとともに、それぞれのピボット軸(Z230G、Z230D)を中心に旋回するように前記ベビーカーアクセサリの前記アクセサリフレーム(210)の後部(212)に連結される2つの車輪(230G、230D)と、
前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)の前記後部(212)に支持され、前記2人乗りベビーカー(1)の後ろに立っているユーザが手動で押せるように構成された押し部材(240)と、
前記ベビーカー
(100)に組み込まれ
るとともに、前記ベビーカー(100)の前記ベビーカーフレーム(110)の前記後部(112)に連結された2つの後輪(140G、140D)の回転を阻止するように構成された回転ブロッキングシステム(160)を制御するための制御機構(270)であって、前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)の前記前部(211)に支持されるとともに、前記ベビーカーアクセサリが前記接続機構(250)によって前記ベビーカー(100)に接続されたときに、前記回転ブロッキングシステム(160)と機械的に協働して前記回転ブロッキングシステムを制御するように構成された、制御機構と、
前記2人乗りベビーカー(1)の後ろに立っているユーザが操作できるように前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)の前記後部(212)に支持されるとともに、前記制御機構(270)を作動できるように前記制御機構に連結された作動部材(280)と、
を有するベビーカーアクセサリ。
【請求項2】
前記ベビーカーアクセサリ(200)は、前記ベビーカーアクセサリの前記車輪(230G、230D)をブロックするためのブロッキング機構(300)をさらに含み、前記ブロッキング機構は、前記ベビーカーアクセサリの前記アクセサリフレーム(210)の前記後部(212)によって支持されるとともに、前記ベビーカーアクセサリの前記2つの車輪の1つ又は各々に可逆的に干渉して、前記ピボット軸(Z230G、Z230D)回りの前記車輪の向きに関係なく、前記車輪の回転を阻止するように構成され、
前記作動部材(280)は、前記制御機構(270)の作動と連動して前記ブロッキング機構(300)を作動させるように、前記ブロッキング機構に連結されている、請求項1に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項3】
前記ブロッキング機構(300)は、前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記2つの車輪(230G、230D)の1つ又は各々のためのブロッキング要素(301D)を有し、前記ブロッキング要素(301D)は、前記ベビーカーアクセサリの前記車輪(230D)の前記ピボット軸(Z230D)の実質中心に位置し、かつ前記ベビーカーアクセサリの前記車輪の前記ピボット軸に沿って前記アクセサリフレーム(210)に対して、
前記ブロッキング要素が前記車輪から離れて前記車輪を自由に回転できるようにする非係合位置と、
前記ブロッキング要素が前記車輪のトレッド(231D)に干渉して前記車輪の回転を阻止する係合位置と
の間を移動可能である、請求項2に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項4】
前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記2つの車輪(230G、230D)の各々が車輪ホルダ(310G、310D)に関連付けられ、
前記車輪ホルダは、前記車輪の前記ピボット軸(Z230G、Z230D)回りに旋回するように、前記アクセサリフレーム(210)の前記後部(212)に取り付けられ、
前記車輪は前記車輪ホルダに回転可能に取り付けられ、
前記車輪ホルダは、対応するブロッキング要素(301D)を、前記車輪の前記ピボット軸に沿って並進移動するように案内する、請求項3に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項5】
前記ブロッキング機構(300)はさらに、
各ブロッキング要素(301D)について、前記ブロッキング要素を前記非係合位置に向けて押し戻すバネ(305D)と、
前記作動部材(280)に移動可能に接続されるとともに、前記作動部材(280)による前記ブロッキング機構(300)及び前記制御機構(270)の共同作動中に、前記ブロッキング要素を、前記バネの動作を妨害しながら、前記非係合位置から前記係合位置に駆動するアクチュエータ(306)と、
を有する、請求項3又は4に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項6】
前記ブロッキング要素又は各ブロッキング要素(301D)は、前記ベビーカーアクセサリ(200)の対応する車輪(230D)の前記ピボット軸(Z230D)に沿って互いに反対側にある第1端部(303D)及び第2端部(302D)を有し、
前記第1端部(303D)は第1支持面(304D)を備え、前記第1支持面は、前記ブロッキング要素が前記係合位置にあるとき、対応する前記車輪(230D)の前記ピボット軸(Z230D)に沿って、対応する前記車輪の前記トレッド(231D)に対して押圧され、
前記第2端部(302D)は第2支持面(308D)を備え、前記第2支持面は、対応する前記バネ(305D)の作用下で、対応する前記車輪(230D)の前記ピボット軸(Z230D)に沿って、前記アクチュエータ(306)の専用表面(307D)に対して押圧される、請求項5に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項7】
前記アクチュエータ(306)は、前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)に対して作動軸(Y306)回りに回転可能であり、前記作動軸は、前記車輪(230G、230D)のそれぞれの前記ピボット軸(Z230G、Z230D)に対して実質垂直に延びる、請求項5又は6に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項8】
前記アクセサリフレーム(210)の前記後部(212)は、前記2つの車輪(230G、230D)の間を延びる横材(213)を有し、
前記アクチュエータ(306)は、前記横材の内部に取り付けられるとともに、前記作動軸(Y306)回りに回転するように案内され、
前記作動部材(280)のペダル(281)が、前記アクチュエータ(306)に固定されるかつ、前記作動軸(Y306)について傾斜するように前記横材にして取り付けられる、請求項7に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項9】
前記制御機構(270)は、前記傾斜軸(Y250)について自由に傾斜できるように前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)の前記前部(211)に連結された機構ホルダ(271)を有し、
前記機構ホルダは、前記ベビーカーアクセサリ(200)が前記接続機構(250)によって前記ベビーカー(100)に接続されたときに、前記ベビーカーの前記ベビーカーフレーム(110)の前記後部(112)を部分的に囲むとともに、前記傾斜軸を中心に前記ベビーカーの前記ベビーカーフレームの前記後部に回転可能に接続されるように構成され、
前記制御機構(270)は、さらに、前記制御機構の前記機構ホルダ(271)に移動可能に支持された連結部材(272)を有し、
前記連結部材は、前記作動部材(280)が前記連結部材を駆動するように前記作動部材に連結され、前記ベビーカーアクセサリ(200)が前記接続機構(250)によって前記ベビーカー(100)に接続されたときに、前記ベビーカーの前記回転ブロッキングシステム(160)に係合するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項10】
前記連結部材(272)は、前記ベビーカーアクセサリ(200)が前記接続機構(250)によって前記ベビーカー(100)に接続されたときに、作動部(161)に移動可能に接続されるように構成され、前記作動部は、前記ベビーカーの前記回転ブロッキングシステム(160)に具備されるとともに、前記ベビーカーアクセサリが前記ベビーカーから脱着されたときに、前記ベビーカーの後ろに立っているユーザによって直接操作されるように設けられる、請求項9に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項11】
前記連結部材(272)は、前記作動部(161)のペダル(162)に移動可能に接続されるとともに前記ペダルを覆うように構成されたヨーク(275)を有する、請求項10に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項12】
前記制御機構(270)の前記機構ホルダ(271)は、左ブランチ(273G)、右ブランチ(273D)、及び前記左ブランチと前記右ブランチとを固定式に連結するバー(274)を有し、前記左ブランチ(273G)及び右ブランチ(273D)は、前記ベビーカーアクセサリ(200)が前記接続機構(250)によって前記ベビーカー(100)に接続されたときに、前記ベビーカーの前記ベビーカーフレーム(110)の前記後部(112)に対して、前記傾斜軸(Y250)について回転可能に連結されるとともに、前記ベビーカーの前記ベビーカーフレームの前記後部の左右のアップライト(114G、114D)をそれぞれ部分的に囲むように構成されている、請求項9~11のいずれか一項に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項13】
前記接続機構(250)は軸受部(251)を有し、
前記軸受部は前記接続機構の他の部分を支持するとともに該他の部分の移動を案内し、
前記制御機構(270)の前記機構ホルダ(271)は、前記傾斜軸(Y250)を中心に傾斜するように前記軸受部に取り付けられ、
前記軸受部は、前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)の前記前部(211)に支持されたフットレスト(260)に組み込まれる、請求項9~12のいずれか一項に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項14】
前記ベビーカーアクセサリ(200)は機械的伝動システム(290)をさらに有し、前記機械的伝動システムは、前記ベビーカーアクセサリの前記アクセサリフレーム(210)に支持され、前記アクセサリフレームの前記前部(211)と前記後部(212)との間を延び、前記作動部材(280)が前記制御機構(270)を作動させるように前記作動部材と前記制御機構とを機械的に結合し、
前記機械的伝動システム(290)は、前記作動部材(280)が前記連結部材(272)を駆動するように前記作動部材と前記連結部材とを互いに連結するケーブル(291)を有する、請求項9~13のいずれか一項に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項15】
前記ベビーカーアクセサリ(200)は機械的伝動システム(290)をさらに有し、前記機械的伝動システムは、前記ベビーカーアクセサリの前記アクセサリフレーム(210)に支持され、前記アクセサリフレームの前記前部(211)と前記後部(212)との間を延び、前記作動部材(280)が前記制御機構(270)を作動させるように前記作動部材と前記制御機構とを機械的に結合する、請求項1~13のいずれか一項に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項16】
前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)は、前記ベビーカーアクセサリが前記ベビーカー(100)から脱着されたときに、前記ベビーカーアクセサリが前記接続機構(250)によって前記ベビーカーに接続可能な使用形態と、前記使用形態よりコンパクトな保管形態との間で折り畳まれるように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のベビーカーアクセサリ。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のベビーカーアクセサリ(200)及びベビーカー(100)を有する2人乗りベビーカー(1)を形成するアセンブリであって、
前記ベビーカー(100)は、ベビーカーフレーム(110)、少なくとも1つの前輪(130G、130D)、2つの後輪(140G、140D)、押し部材(150)及び回転ブロッキングシステム(160)を有し、
前記ベビーカーフレームの後部(112)は、接続機構(250)によって前記ベビーカーアクセサリ(200)の前記アクセサリフレーム(210)の前部(211)に接続され、前記ベビーカーフレームは使用中に受容部材(120)を支持し、該受容部材(120)は、前記ベビーカーアクセサリ(200)の受容部材(220)に載置可能な子供以外の子供を載置可能であり、
前記少なくとも1つの前輪は、使用中に地面に支えられて回転し、前記ベビーカー(100)の前記ベビーカーフレーム(110)の前部(111)にピボット式に連結され、
前記後輪は、前記ベビーカー(100)の前記ベビーカーフレーム(110)の前記後部(112)に固定式に連結され、
前記押し部材は、前記ベビーカー(100)の前記ベビーカーフレーム(110)の前記後部(112)に支持され、
回転ブロッキングシステムは、前記ベビーカー(100)の前記ベビーカーフレーム(110)の前記後部(112)に少なくとも部分的に支持されるとともに、前記後輪(140G、140D)と可逆的に干渉して前記後輪の回転を阻止するように構成されている、アセンブリ。
【請求項18】
前記ベビーカーアクセサリ(200)の2つの車輪(230G、230D)は、前後方向に垂直な方向に距離(V230)だけ離れており、該距離(V230)は、前記ベビーカー(100)の前記2つの後輪(140G、140D)が前記前後方向に垂直な方向に離れている距離(V140)より長い、請求項17に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーのアクセサリに関する。また本発明は、ベビーカー及びそのようなアクセサリを含み、2人乗りベビーカーを構成するアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
双子の出生であるか年齢が近い子供達の出生であるかに関わらず、2人の非常に若い子供を1人の親がベビーカーで同時に運ぶことに伴う問題に対する解決策は全て、後述するように、1つのベビーカーを「大きくする」ことによって2人乗りのベビーカーを提供するというアイデアに基づいている。すなわち2人乗りベビーカーは、1つの常設シートを備え、通常は2つの固定後輪又は2つのピボット式前輪上に配置されるフレームを有し、該フレームの後ろに立っているユーザによって操作される。それにより、フレームの前進や、1つのベビーカーを停止させるための後輪の回転固定が行われる。これらの既存の2人乗りベビーカーによる解決策はあまり満足のいくものではなく、特に、実用的でないか、快適でないか、危険でさえある。
【0003】
実際、第1の解決策は、運ばれる子供が互いに並んで載置される2人乗りベビーカーから構成される。このアプローチは必然的に、2人乗りベビーカーの大幅な拡大を含み、2人の子供の各々の載置エリアの最小幅を制限することもあるが、子供達の快適さを損なうとともに、幼児用のシート又は受け台(クレードル)の設置を複雑にし、禁止さえすることもある。このような2人乗りベビーカーは、狭い通路、特に幅の狭い歩道で使用することは不可能である。また、2人乗りベビーカーは、左右の車輪の間のスペースが非常に大きく、その重量が重いため、2人乗りベビーカーの幅全体に亘って連続して延びる後部ハンドルを使用しているにも関わらず、扱いにくい。さらに、折り畳み操作や展開操作は非常に面倒であるため、通常、ユーザはそれらを諦める。つまり2人乗りベビーカーは、使用していないときでも嵩張る。
【0004】
第2の解決策が構成する2人乗りベビーカーでは、2人の子供がタンデムに、すなわち縦に並び、時には向かい合って、同じ高さで運ばれる。この場合、2人の子供のそれぞれの載置エリアを拡大し、互いに独立させることができる。このことは、子供にとって快適であり、2人の子供のそれぞれを支えるあらゆるタイプのシート及び受け台の設置を可能にする。しかし、このアプローチでは必然的に、2人乗りベビーカーのフレームが非常に長くなる。これにより、特にフレームの前後方向に延びる補強バーを追加することで、フレームの構造的強度を大幅に強化する必要が生じ、これによってフレームが重くなり、折り畳み操作及び展開操作が複雑になる。2人乗りベビーカーの前輪と後輪との間のホイールベースは非常に大きいため、従来のハンドルバーをホイール形式のハンドルに置換するという工夫をしても、使用時の2人乗りベビーカーの操作性は良好とは言えない。さらに、このタイプの2人乗りベビーカーは、危険とは言えなくても面倒な操作を代償にすることで、歩道を横断することのみできる。実際、フレームの大きなホイールベースを考慮すると、ユーザが、2人乗りベビーカーの後部を後輪の回転軸回りに後方側に僅かに傾けて地面に押し付けることで前輪を持ち上げることは不可能である。よってユーザは、歩道上を移動するために通常は、通常はハンドルを放してから2人乗りベビーカーの前に移動して、前輪が歩道に乗り上げるまで前かがみになって前部を持ち上げ、そしてベビーカーの後方に戻って再びハンドルを握る必要がある。
【0005】
第3の解決策が構成する2人乗りベビーカーでは、2人の子供が互いに部分的に重なりつつ、縦に並んで運ばれる。このアプローチによれば、2人乗りベビーカーのフレームは、シート又は第1の受け台を従来の第1高さで支持することに加えて、通常はフレームの前部でシート又は第2の受け台を支持するために設けられ、第2の受け台は、第1高さよりはるかに低い第2高さにおいてシャーシに(多くの場合、取り外し可能に)固定される。シート又は第2の受け台に載置された子供と両親は、車の排気管に対する子供の載置レベルを一般的に非常に適度に評価しているという事実は別として、とりわけ、ここでも、2人乗りベビーカーは必然的に拡張及び強化される必要があり、故に1人乗りベビーカーに比べて重くなることに留意すべきである。従って、折り畳みに関する実用性だけでなく、使用中の操縦性と安全性に関しても、同様のネガティブな影響が見られる。
【0006】
上記の様々な2人乗りベビーカーの解決策以外には、1人乗りベビーカーに「キディボード(kiddy board)」とも称される追加のボードが装備されている場合、1つのベビーカーで2人の子供を運ぶことができることが知られている。このボードはプラットフォームを構成するフレームを有し、該プラットフォームは、車輪を備え、1人乗りベビーカーのフレームの後部に可逆的に接続可能である。一旦接続されると、ボードは大人のユーザに押されるベビーカーによって駆動されながら地面上を転がる。ベビーカーと該ベビーカーに接続されたボードによって構成されるアセンブリは、ベビーカーに載置された第1の子供と、通常は第1の子供より年上で、ボードのフレームのプラットフォーム上に立ち上がっている第2の子供との双方を運ぶことを可能にし、プラットフォームの後ろにいる大人は、腕を伸ばして1人乗りベビーカーの後部にあるハンドルバー又はハンドルを操作することで、アセンブリを押す。このようなボードは、例えば国際公開第2018/050303号に詳細に記載されている。実際には、そのようなボードは、運ばれる2番目の子供がボード上に自力で正しく立つのに十分な年齢である場合にのみ使用可能である。より一般的には、そのようなボードと該ボードが接続される1人乗りベビーカーとが構成するベビーカーは、類似の快適条件下で2人の子供をタンデムに収容できる2人乗りベビーカーではなく、後ろに立っている大人のユーザが、前進のために押したり、停止のために回転抑制を制御したりするために操作できる2人乗りベビーカーでもない。
【0007】
最後に、国際公開第2007/033562号は、2人乗りベビーカーを構成するために、主たるベビーカーの後ろに追加のベビーカー本体を着脱可能に取り付けることを、詳細な説明なく提唱している。この文献は、主たるベビーカー及び追加のベビーカー本体のそれぞれのフレームが互いにしっかりと固定される旨を記載しており、このことは少なくとも、上述のタンデムに関する解決策と同じ欠点を生じさせる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、運ばれる2人の子供の双方の快適さと、使用されるシート及び/又は受け台の構成可能性(configurability)とを損なうことなく、1人乗りベビーカーから2人乗りベビーカーを形成するとともに、実用的で操作しやすく安全な、新たなベビーカーアクセサリ(付属品)を提供することである。
【0009】
上記目的のため、本発明は、請求項1に規定するベビーカーアクセサリに関する。
【0010】
また本発明は、請求項17に規定する、2人乗りベビーカーを形成するアセンブリに関する。
【0011】
従って本発明は、1人乗りベビーカー、特に既存の1人乗りベビーカーと、該1人乗りベビーカーに追加の装置として取り付けられるアクセサリとを関連付けることによって2人乗りベビーカーを形成することを提唱するという点で、既存のアプローチを打ち破るものである。ベビーカー及びアクセサリはそれぞれフレームを有し、これら2つのフレームは、可逆的な接続機構によって互いに前後方向に接続でき、該接続機構は、アクセサリに支持されるとともに、2つのフレームを着脱可能に固定する一方で、2つのフレーム間で傾斜軸回りに自由に傾斜できるように構成される。該傾斜軸は、使用中は水平でかつ、2人乗りベビーカーの前後方向に垂直である。ベビーカーのフレームは、座席又はクレードル等の第1の子供を受容する部材を、有利には交換可能に収容することと、少なくとも1つのピボット式前輪又は2つのピボット式前輪、及び2つの固定された(つまり旋回しない)後輪によって地面に載っていることとに加え、後部の押し部材及び回転ブロッキングシステムを有し、該回転ブロッキングシステムは、後輪の少なくとも1つと干渉することにより、後輪の回転を阻止してベビーカーを静止させることができる。同時に、アクセサリのフレームは、座席又はクレードル等の第2の子供を受容するための部材を、有利には交換可能に収容し、その後部は押し部材を備え、2つのピボット式車輪によって地面に載っている。一方、アクセサリのフレームの前部は、ベビーカーのフレームの後部に接続されるための接続機構を有し、この接続機構により、使用中は、上述の傾斜軸回りで自由に回転傾斜できるように、2つのフレームがタンデムに固定される。さらに、アクセサリの後部において、アクセサリのフレームにも作動部材が設けられており、該作動部材は、アクセサリのフレームの前部に設けられた制御機構を作動してベビーカーの回転ブロッキングシステムと協働させて、このブロッキングシステムを制御し、それによって2人乗りベビーカーの回転阻止を制御することができる。
【0012】
本発明に係る2人乗りベビーカーの操縦性は顕著である。実際、2人乗りベビーカーの前進方向を変更できるようにするために、2人乗りベビーカーの後ろに立っているユーザは、対応する方向指示をアクセサリの押し部材に伝え、これにより、ベビーカーのピボット式前輪が所望の方向に向けられる一方で、ベビーカーの固定された後輪によって得られる、差動装置と同様の効果により、アクセサリのピボット式車輪は、ベビーカーの前輪の向きとは反対の方向に向けられる。2人乗りベビーカーのユーザは実質2倍の重量を押す必要があり、その重量の大部分はベビーカーの固定された後輪に支持され、それによりユーザがアクセサリの押し部材に付与する推力方向のいかなる変更もベビーカーの固定された後輪に効率的に伝わり、かつ該後輪が差動装置のように、その推力を効率的に、アクセサリの車輪及びベビーカーの前輪のそれぞれに対して互いに反対側の方向に伝達する、という事情があるにも関わらず、ユーザにとって、方向性の感覚は少なくとも、2つの固定された後輪及び1つ又は2つのピボット式前輪を備えた1人乗りベビーカーのステアリングと同程度に滑らかである。さらに、本発明に係る2人乗りベビーカーが歩道等の横断障害物を横切る必要がある場合、2人乗りベビーカーはこの障害物を容易に横断するために、キャタピラ(登録商標)のように縦方向に動作する。例えば、2人乗りベビーカーの前方を横方向に延びる歩道等に乗り上げるために、アクセサリの押し部材の直後に立っているユーザは、ベビーカーの前輪が歩道の直近に位置するまで、又は歩道に突き当たるまで2人乗りベビーカーを押す。次にユーザは、片手をアクセサリの押し部材から放すことなく、必要に応じアクセサリの右側又は左側に自ら移動し、もう一方の手でベビーカーの押し部材を掴む。次にユーザは、ベビーカーの押し部材を手動で僅かに下方かつ後方に押すことにより、上述の傾斜軸回りにベビーカーのフレームを傾けて、ベビーカーの後輪を地面に載せた状態でベビーカーの前輪を地面から持ち上げることができる。この傾斜は、アクセサリの車輪が地面に接触した状態で、アクセサリのフレームに対して行われる。ユーザは、アクセサリの押し部材を前方に押すことにより、ベビーカーの前輪が歩道を越えるまで、ベビーカーの後輪及びアクセサリの車輪を回転させて2人乗りベビーカーを前進させることができる。次にユーザは、それまでベビーカーの押し部材に作用していたストレスを解放でき、これにより、ベビーカーの前輪は歩道の高さが高い部分で地面に接触する。次にユーザは、ベビーカーの後輪が歩道の近くに戻るまで、又は歩道に突き当たるまで、アクセサリの押し部材を、必要に応じ自らをアクセサリの後方に移動した後、前方に押すことができる。次にユーザは、アクセサリの押し部材を手動で僅かに下方かつ後方に押すことにより、アクセサリのフレームを傾斜させて、アクセサリの車輪を地面に載せた状態で、ベビーカーの後輪を地面から離すことができる。ベビーカーのフレームは、アクセサリのフレームの傾斜を妨げず、フレームは上述の傾斜軸回りに、アクセサリに対して自由に傾斜することができる。ユーザは、アクセサリの押し部材を前方に押すことにより、歩道の高さの低い部分でアクセサリの車輪を回転させ、かつ高さの高い部分でベビーカーの前輪を回転させて、2人乗りベビーカーを、ベビーカーの後輪が歩道を越えるまで前進させることができる。次にユーザは、アクセサリの押し部材にかけていたストレスを解放することができ、それにより、歩道の高さの高い部分で、ベビーカーの後輪が地面に接触する。次にユーザは、アクセサリの車輪が歩道に近接するまで、又は歩道に突き当たるまで、アクセサリの押し部材を前方に押すことができる。そしてユーザが、アクセサリの押し部材を押し、必要に応じて僅かに上方に持ち上げるだけで、アクセサリの車輪が歩道に乗り上がり、歩道の高さが高い部分に位置することができる。このとき、アクセサリのフレームはベビーカーのフレームに対して傾斜しており、ベビーカーの前輪及び後輪は歩道の高さが高い部分に載っている。従って、ユーザにとって障害物の横断は容易であり、ユーザは外部の助けを必要とせず、常にアクセサリの押し部材に片手を触れておくことができ、このことは特に安全である。
【0013】
本発明に係る2人乗りベビーカーのブロッキングの安全性も顕著である。実際、ユーザが2人乗りベビーカーを静止させたい場合、2人乗りベビーカーの後ろに立っているユーザは、アクセサリのフレームの後ろに設けられた作動部材を作動させる。作動部材は、該作動部材とアクセサリのフレームの前方に設けられた制御機構との接続によって、該制御機構を作動させる。該制御機構は、ベビーカーの回転ブロッキングシステムに適切な指令を送り、ベビーカーの後輪の回転を阻止する。そして、干渉によって回転阻止された2人乗りベビーカーの車輪は搬送重量の大半を支持するので、2人乗りベビーカーの負荷シナリオ(すなわち、アクセサリ及びベビーカーのそれぞれに子供が実際に載置されているか、また載置可能な2人の子供のそれぞれの重量)に関係なく、2人乗りベビーカーの回転は効率的に阻止される。
【0014】
2人乗りベビーカーのアクセサリとベビーカーとの間の接続は可逆的であるため、ユーザが希望する場合は、アクセサリをベビーカーから取り外すことができる。ベビーカーは1人乗りベビーカーとして単独で使用して子供を搬送でき、その後ユーザは、1人乗りベビーカーの後ろに立って、該ベビーカー押して前進させたり、回転ブロッキングシステムを作動させてベビーカーを静止させたりすることができる。同時に、特にアクセサリのフレームの前部は地面上を回転する車輪又は類似の部材を具備しないという事実のために、アクセサリはもはや子供を搬送するために機能しないが、1人乗りベビーカーに取り付けられて2人乗りベビーカーを再形成できる状態を維持している。以下に詳述するように、1人乗りベビーカーとアクセサリとの結合/分離は、ユーザが片手で操作できるように有利に設けられた接続機構によって速やかに行うことができる。
【0015】
同様に、本発明に係るアクセサリは、その占有空間がより少なくなるように有利に折り畳み可能にすることができ、必要に応じて、ベビーカーを1人乗りベビーカーとして使用する場合、ユーザによって運搬可能とすることができる。折り畳まれたアクセサリは、ユーザが片手で保持したり、ストラップを用いて肩にかけたり、また特別な装置を用いてベビーカーのフレームの背面に引っ掛けたりすることができる。もちろん、ベビーカーも折り畳み可能である場合は、本発明に係る2人乗りベビーカー形成アセンブリは、折り畳まれたアクセサリ及び折り畳まれたベビーカーの形態で特にコンパクトに作製可能であり、例えば旅客機に載せる機内持ち込み手荷物として許可され得ることが理解されよう。
【0016】
本発明に係るアクセサリの有利な任意の態様は、ブロッキング機構に関して、請求項2に規定されている。このブロッキング機構により、2人乗りベビーカーの回転阻止が改善されるが、主たるブロッキングとして記載されかつアクセサリの制御機構によって制御されるブロッキングシステムによって行われる回転阻止に加え、アクセサリ内に組み込まれたブロッキング機構は、2人乗りベビーカーの追加の回転阻止を確実にする。故に、2人乗りベビーカーが非常に急勾配の坂や起伏のある斜面等の例外的な使用状況にある場合でも、ブロッキング機構によるアクセサリの車輪のブロッキングは、2人乗りベビーカーの回転阻止を強化する。このことは主に、ベビーカーに組み込まれたブロッキングシステムの作用下で、ベビーカーの後輪のブロッキングによって確保される。アクセサリのブロッキング機構の作動は、アクセサリの後ろの作動部材を操作することのみによって、アクセサリの制御機構の作動とともに行われるので、ユーザにとってアクセサリの車輪をブロッキングすることは、いかなるストレスも伴わない。従って、ユーザが2人乗りベビーカーを静止させたい場合に、2人乗りベビーカーの後ろに立っているユーザがアクセサリのフレームの後ろに設けられた作動部材を作動させると、上述したように、制御機構と、アクセサリの車輪に作用するブロッキング機構とが同時に作動する。
【0017】
アクセサリのブロッキング機構のさらなる有利な機能は、請求項3~8に記載されている。
【0018】
本発明に係るアクセサリ又は2人乗りベビーカー形成アセンブリのさらなる有利な特徴は、他の請求項に記載されている。
【0019】
本発明は、単なる例として提供され、図面を参照してなされる以下の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る、2人乗りベビーカー形成アセンブリの斜視図である。
【
図2】
図1に類似するが、
図1とは異なる方向から見た図である。
【
図3】
図1及び
図2の2人乗りベビーカーに具備される、本発明に係るアクセサリを単独で示す斜視図である。
【
図4】
図1及び
図2の2人乗りベビーカーに具備されるベビーカーの後部と、
図3のアクセサリの前部とを示す斜視図であって、ベビーカーとアクセサリとが分離された状態を示す。
【
図5】
図4に類似するが、ベビーカーとアクセサリとを互いに接続するステップを示す。
【
図6】
図4の矢印VIに沿った立面図であって、互いに接続されたベビーカー及びアクセサリを示すとともに、アクセサリは実線で表し、ベビーカーはその一部のみを点線で表す。
【
図7】
図6に類似するが、ベビーカーとアクセサリとの間の相対的傾斜を示す。
【
図8】
図6に類似するが、ベビーカーの回転阻止のためのシステムの動作を示す。
【
図9】
図2に類似する斜視図であって、2人乗りベビーカー形成アセンブリの進行方向が変更されたときの該アセンブリを示す。
【
図11】
図3のアクセサリの折り畳み形態を示す立面図である。
【
図14】
図1の平面XIVに沿った部分断面図である。
【
図16】
図14に類似するが、アクセサリのブロッキング機構の動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1、
図2、
図9及び
図10は、ベビーカー100及びベビーカーアクセサリ200からなるアセンブリによって形成された2人乗りベビーカー1を示す。
図4~
図8では、ベビーカー100及びアクセサリ200は部分的にのみ示される。
図3及び
図11~
図13では、アクセサリ200のみが示される。ベビーカー100及びアクセサリ200については、以下で順次詳細に説明する。
【0022】
ベビーカー100は、前後軸X110を規定するフレーム110を含む。前後軸X110は、ベビーカー100が前方に押されたときに前方を向くフレーム110の前部領域と、上記前部領域の反対側にあり、すなわちベビーカー100が前方に押されたときに後方を向くフレームの後部領域との間を延びる。さらに前後軸X110は、フレーム110の実質中央に位置し、フレーム110の左側部及び右側部から実質同じ距離となるような方向に延びる。
【0023】
図面で考察される例示的な実施形態では、フレーム110は、主にチューブを組み立てることによって作られた管状構造を有する。この管状構造は、
図1、
図2及び
図4~
図10に示されるような展開された使用形態と折り畳まれた保管形態との間でフレーム110を変化させるために、有利に折り畳むことができる。これに関して、読者は、例えば国際公開第2010/000987号を参照して、可能な対応する実施形態の詳細を見ることができる。
【0024】
その実施形態に関係なく、フレーム110は、使用中に受容部材120を支持し、2人乗りベビーカー1によって搬送される第1の子供を収容できるように構成されており、第1の子供は受容部材120内の着座位置、リクライニング位置又はそれらの中間の位置に載置される。故に受容部材120は、座席、クレードル、バシネット等から選択され、受容部材120の実施形態は、本発明に関して限定的ではない。さらに、公知でありかつここでは詳細に説明しない方法で、フレーム110は、特に搬送される第1の子供の年齢に応じて、受容部材120を交換できるように有利に設けられる。
【0025】
またベビーカー100は、使用中に地面に接触して回転する車輪を含み、フレーム110を支持するためにフレーム110の下部領域に配置される。
【0026】
ベビーカー100の車輪には、左前輪130G及び右前輪130Dが含まれる。車輪130G及び130Dは、それぞれ左回転軸X130G及び右回転軸X130Dを規定し、これらの回転軸のそれぞれについて車輪が回転して地面上を転がる。使用中、回転軸X130G及びX130Dは地面と実質平行に延びる。左前輪130Gは、フレーム110の前部111の左部分に、回転軸X130Gに対して半径方向又は放射状に延びるピボット軸Z130Gを中心に自由に旋回するように連結される。それにより左前輪130Gは、その回転軸X130G回りの回転とは独立して、ピボット軸Z130G回りに旋回可能であり、故にフレーム110に対する車輪の向き、すなわち地面上のフレーム110の進行方向を変更することができる。故に左前輪130Gは、「旋回輪(pivoting wheel)」として説明可能であり、「遊動輪(idler wheel)」とも称され得る。同様に、右前輪130Dは、フレーム110の前部111の右部分に、回転軸X130Dに対して半径方向又は放射状に延びるとともにピボット軸Z130Gに実質平行なピボット軸Z130Dを中心に自由に旋回するように連結される。車輪130G及び130Dの操縦性を改善するために、それらのピボット軸Z130G及びZ130Dは、それらの回転軸X130G及びX130Dと平行ではなく、有利には回転軸からオフセットされ、すなわち各車輪のピボット軸は車輪の回転軸に関してオフセットされる。実際には、車輪130G及び130Dに固有の配置及び展開(developments)は、これらの車輪が旋回しかつフレーム110の前に設けられている限り、限定的ではない。
【0027】
またベビーカー100の車輪には、左後輪140G及び右後輪140Dが含まれる。左後輪140G及び右後輪140Dはそれぞれ、左回転軸X140G及び右回転軸X140Dを規定し、それぞれの回転軸について対応する車輪が回転して地面上を転がり、回転軸は使用中は地面と実質平行に延びる。左後輪140Gは、フレーム110の後部112の左部分に固定式に連結され、すなわち、前輪130G及び130Dのように旋回しない。同様に、右後輪140Dは、フレーム110の後部112の右部分に固定式に連結される。図面で考察される例示的実施形態では、左回転軸X140G及び右回転軸X140Dは整列配置され、故に左後輪140G及び右後輪140Dは、同じ回転軸を中心とする後輪の固定列を形成する。
【0028】
図4に示すように、参照符号V140は、左後輪140Gと右後輪140Dとを前後軸X110に垂直な方向に離隔する経路(path)を示す。
【0029】
ベビーカー100は、フレーム110の後部112によって、この後部の上部領域にしっかりと支持される押し部材150をさらに含む。使用中、押し部材150は、大人のユーザの手の高さに位置し、直立し、ベビーカー100の後ろに配置され、必要に応じて、前後軸X110の左又は右にオフセットされる。押し部材150によりユーザは、フレーム110に手動でストレスをかけることができ、その目的は特に、車輪130G、130D、140G及び140Dを介して地面上でフレームを転がすことによってフレーム110を前方に押すことか、フレーム110の後部領域を僅かに持ち上げて、前輪130G及び130Dが地面に接触した状態で後輪140G及び140Dを地面から持ち上げることか、フレーム110の後部領域を後方かつ下方に傾斜させて、後輪140G及び140Dが地面に接触した状態で前輪130G及び130Dを地面から持ち上げることのいずれかである。押し部材150は例えば、バー、ハンドル等の形態で作製される。より一般的には、押し部材150の実施形態は本発明に関して限定的ではない。
【0030】
またベビーカー100は、フレーム110に支持される回転ブロッキングシステム160を有し、回転ブロッキングシステム160は、後輪140G及び140Dの回転軸X140G及びX140D回りの回転を阻止することによってベビーカー100を静止させることができる。この回転ブロッキングシステム160は、ベビーカー100の後ろに立っているユーザによって操作されるように構成されており、そのために、フレーム110の後部112に支持された、例えばユーザの足又は手で作動可能な作動部161を有する。図面で考察される例示的実施形態では、作動部161は、
図4及び
図5に明示されるように、傾斜ペダル162を含むか、該傾斜ペダルからなる。さらに、回転ブロッキングシステム160は、後輪140G及び140Dに干渉してそれらの回転を阻止でき、かつ作動部161により可逆的に作動するブロッキング機構163を有する。このブロッキング機構163は、図面には詳細には記載されておらず、
図4及び
図5では点線で概略的に描かれており、後輪140G及び140Dと、それらに対応して関連付けられたブロッキング要素とを互いに対して移動するように構成されており、故に少なくとも1つのブロッキング要素は、ブロッキング位置と、非ブロッキング位置との間を移動する。ブロッキング位置では、ブロッキング要素は(特に対応する車輪の回転軸X140G、X140Dに関して周方向に)車輪の凹凸部に当接して、車輪をその角度位置に関係なく、回転軸回りの車輪の回転を阻止し、非ブロッキング位置では、ブロッキング要素は車輪の上記凹凸部に干渉しない。故にブロッキング機構163による上記ブロッキング要素の移動は、作動部161によって命令される。このようなブロッキング機構163の実施形態の詳細は、読者が参照可能な国際公開第2011/148062号に示されている。もちろん、ブロッキング機構163の実施形態は、作動部161の実施形態と同様に、作動部によって制御されるこのブロッキング機構が後輪140G及び140Dの少なくとも一方に干渉してその回転を阻止できる限りにおいて、本発明に関して限定的ではない。
【0031】
ベビーカー100の他の特徴は、アクセサリ200が以下で説明された後に、開示される。
【0032】
アクセサリ200は、前部領域と後部領域との間を延びる前後軸X210を画定するフレーム210を有し、前部領域及び後部領域はそれぞれ、使用中にアクセサリ200が前方に移動したときに、それぞれ前方及び後方を向く。この前後軸X210は、フレーム210の左側部及び右側部から実質同じ距離となるように配置される。
【0033】
図面で考察される例示的実施形態では、フレーム210は、例えば、主にチューブを組み立てることによって作られた管状構造を有する。この管状構造の利点は後述する。とは言え、フレーム210には他の実施形態を考慮することができ、上述の管状構造は本発明に関して限定的ではない。
【0034】
アクセサリ200は、使用中にフレーム210に支持される受容部材220を含む。受容部材220は、2人乗りベビーカー1によって運ばれる第2の子供、すなわちベビーカー100で運ばれる子供以外の子供を受容することができ、第2の子供は受容部材220内の着座位置、リクライニング位置又はそれらの中間の位置に載置される。実際には、受容部材220は、座席、クレードル、バシネット等である。受容部材120について上述したものと同様の考慮事項によれば、受容部材220は、有利にはフレーム210によって交換可能に支持され、故に、2人乗りベビーカー1で搬送される第2の子供の年齢に応じて受容部材220の性質を変更することが可能になる。いかなる場合も、受容部材120及び受容部材220は互いに独立しており、これら2つの受容部材のそれぞれの性質は互いに無関係であることに留意されたい。
【0035】
アクセサリ200は、左車輪230G及び右車輪230Dをさらに有する。左車輪230G及び右車輪230Dは、それぞれ左回転軸X230G及び右回転軸X230Dを規定し、これらの回転軸のそれぞれについて車輪が回転して地面上を転がる。車輪230Gは、フレーム210の後部212の左部分に、左回転軸X230Gに対して半径方向又は放射状に延びるピボット軸Z230Gを中心に自由に旋回するように連結される。それにより左車輪230Gは、その回転軸X230G回りの回転とは独立して、ピボット軸Z230G回りに自由に旋回可能であり、故にフレーム210に対する左車輪230Gの向き、すなわち地面上のフレーム210の進行方向を変更することができる。同様に、右車輪230Dは、フレーム210の後部212の右部分に、右回転軸X230Dに対して半径方向又は放射状に延びるとともに左ピボット軸Z230Gに実質平行なピボット軸Z230Dを中心に自由に旋回するように連結される。前輪130G及び130Dについて上述したものと同様の考慮事項によれば、車輪230G及び230Dは、フレーム210に対して旋回輪又は遊動輪として説明できることが理解されるであろう。車輪230G及び230Dの操縦性を改善するために、それらのピボット軸Z230G及びZ230Dは、それらの回転軸X230G及びX230Dと平行ではなく、有利には回転軸に対してオフセットされ、すなわち車輪230G及び230Dの各々のピボット軸がその回転軸に対してオフセットされる。従って、車輪230G及び230Dに固有の配置及び展開(developments)は、これらの車輪230G及び230Dが旋回してフレーム210の後部212を支持する限り、限定的ではなく、図面で考察される例示的実施形態と異なってもよい。
【0036】
図2に示すように、左車輪230G及び右車輪230Dは、経路(path)V230によって、前後軸X210に垂直な方向に互いに分離される。
【0037】
アクセサリ200は、フレーム210の後部212の上部領域において該後部にしっかりと支持される押し部材240をさらに含む。使用中、押し部材240は、立っておりかつ場合によっては2人乗りベビーカー1の後ろを歩いている大人の手の高さに位置する。故に押し部材240により、ユーザはフレーム210を手動で押すことができ、それにより、特にフレーム210を前方に押し、フレーム210の後部を僅かに持ち上げて車輪230G及び230Dを地面から離し、或いは、車輪230G及び230Dが地面に接触した状態でフレーム210の後部212を後方かつ下方に僅かに傾けることができる。実際には、押し部材240の実施形態は限定的ではなく、押し部材240はバー、ハンドル等でもよい。図面で考察される例示的実施形態では、押し部材150及び240のそれぞれの実施形態は同一であるが、異なっていてもよい。
【0038】
アクセサリ200は、ベビーカー100とアクセサリ200とを可逆的に、かつ必要に応じて、後述するように瞬時に接続することを可能にする接続機構250をさらに含む。
図1~
図8に明示されるように、接続機構250は、フレーム210の前部211の下部領域において該前部に支持され、かつフレーム110の後部112の下部領域と協働するように構成される。それにより、フレーム210の前部211はフレーム110の後部112に取り外し可能に固定される。故にフレーム110とフレーム210とが接続機構250によって固定されることにより、アクセサリ200は、フレーム110及び210の前後軸X110及びX210に
平行に延びる2人乗りベビーカー1の前後方向について、ベビーカー100の後方に配置される。前後軸X110及びX210はまた、接続機構250によって、図面で考察される例示的実施形態のように有利に整列配置される。さらに、
図1、
図2及び
図6~
図8に示すように、接続機構250は、特別な機械的手段によって傾斜軸Y250を規定するように構成されており、フレーム110の後部112及びフレーム210の前部211は互いに対して、傾斜軸Y250回りで自由に傾斜する。この傾斜軸Y250は、使用中、地面に実質平行であり、かつ2人乗りベビーカー1の前後方向に実質垂直に延びる。従って、接続機構250に固有の遊びを除けば、フレーム110及び210は接続機構250によってあらゆる方向に関して互いに固定的に接続されるが、例外として傾斜軸Y250回りに傾斜することは可能であり、故にフレーム110及び210は傾斜軸Y250回りで互いに対して自由に移動可能である。故に図面で考察される例示的な実施形態では、傾斜軸Y250は、後輪140G及び140Dの回転軸X140G及びX140Dに対して平行に延び、かつそれらから離隔されている。
【0039】
実際には、接続機構250の実施形態は、該接続機構がフレーム210の前部211とフレーム110の後部112を、傾斜軸Y250回りで自由に傾斜できるように可逆的に固定するものである限り、本発明に関して限定的ではない。特に、接続機構250の実施形態に関係なく、ベビーカー100とアクセサリ200とは、ユーザが命令すれば、
図3~
図5で考察されるように、互いに切り離すことができる。
【0040】
図面で考察され、より具体的には
図3~
図5に示される例示的実施形態では、接続機構は軸受部251を有し、軸受部251は、使用中にフレーム210に固定式に取り付けられ、フレーム210の前部211によって(特には永久的に)固定式に支持される。特に、ここで実施される特に有利な一実施形態によれば、軸受部251は、フレーム210の前部211によってしっかりと支持されるフットレスト260に恒久的に一体化される。また接続機構250は、2つの雄要素252、すなわち同じ幾何軸Y252を中心とする左雄要素及び右雄要素を有する。
図3及び
図4では、要素252のうち右側の要素のみが見えており、左側の要素は、軸Y252に垂直でありかつ前後軸X210を含む幾何学的平面に関して右側の要素と対称である。2つの雄要素252の各々は、支持部251によって、接続位置と非接続位置との間でフレーム210に対して移動可能に支持される。接続位置では、
図3及び
図4に示すように、雄要素252が軸受部251に対して展開され、非接続位置では、
図5に示すように、雄要素が接続部に対して引き込まれる。雄要素は、接続位置ではフレーム110の後部112と協働するように設けられる。そのために、フレーム110の後部112の左部分は左後部直立部114Gを有し、フレーム110の後部112の右部分は右後部直立部114Bを有する。これらの直立部114G及び114Dは互いに平行であり、
図4及び
図5に明示するように、それぞれ左後輪
140G及び右後輪
140Dから上方に延びる。さらに、フレーム110の後部112の左部分及び右部分には、それぞれ雌ハウジング115が設けられ、これらの2つの雌ハウジング115は、同じ幾何軸Y115を中心とし、左直立部114G及び右直立部114Dに垂直に延び、互いに対向する。これらの雌ハウジング115は、それぞれ左直立部114G及び右直立部114Dの内側を(有利には、これら直立部の内側インサートの肉厚内を)延びるが、
図4及び
図5では2つのハウジング115のうち左ハウジングのみが見えており、右ハウジングは軸Y115に垂直かつ前後軸X110を含む幾何学的平面に関して左ハウジングと対称である。接続機構がフレーム110の後部112に、特には直立部114Gと114Dとの間で、より具体的には雌ハウジング115に取り付けられると、雄要素252は、接続位置では、雌ハウジング115にそれぞれ収容される一方で、非接続位置では、雌ハウジング115の外側にある。雄要素252の各々は、機能的遊び内で、関連する雌ハウジング115に対し相補的に構成され、該雌ハウジング内に相補的に収容可能である。すなわち、雄要素252及び雌ハウジング115が、それぞれの軸Y252及び軸Y115を中心とする相補的な円筒形状を有するようにすることにより、これらの雄要素は、これらの雌ハウジング内に収容されるときに該雌ハウジングと協働して、それぞれの軸Y252と軸Y115とが位置合わせされ、傾斜軸Y250を協働して規定し、次に軸Y250は、位置合わせされた軸Y252及び軸Y115に結合される。特に有利な一実施形態によれば、雄要素252は、接続位置と非接続位置との間を、軸Y252に沿って、すなわち傾斜軸Y252に沿って並進移動可能であり、特に、
図4と
図5の比較から明らかなように、接続位置から非接続位置に並進移動するときは、これら雄要素は互いに接近するように移動する。さらに、接続機構250は、駆動部材253、すなわち左駆動部材及び右駆動部材をさらに含み、これらの駆動部材はそれぞれ、雄要素を接続位置から非接続位置に手動で駆動することを可能にする。有利には、これらの駆動部材は、2つの雄要素を一緒に駆動するために、ユーザの同じ手によって一緒に付勢されるように構成される。接続機構250はまた、雄要素252を非接続位置から接続位置に弾性的に復帰させる弾性部材を含み得る。ユーザが、雄要素を接続位置から非接続位置に駆動するために、弾性部材の弾性抵抗に打ち勝つストレスを手動で駆動部材253に加えない限り、弾性部材は、雄要素を弾性的に接続位置に保持する。
【0041】
上述した接続機構250の実施形態に関するさらなる詳細は、読者が参照可能な国際公開第2018/050303号に記載されている。
【0042】
実際には、軸受部251は、前述の弾性部材、駆動部材253及び雄要素252を支持し、その移動を案内する。より一般的には、接続機構250の実施形態に関係なく、軸受部251は有利に、特に信頼性及び性能上の理由から、接続機構の残りの部分を支持してその移動を案内する。また軸受部251は、接続機構250による接続動作中のフレーム110とフレーム210との間の相対的な位置決め(特には、雄要素252が接続位置に移動する直前の、非接続位置における雄要素252に対する雌ハウジング115の位置決め)を容易にするために、フレーム110の下部112の特別な配置と形状的に適合して協働するようにしてもよい。
【0043】
アクセサリ200は、2人乗りベビーカー1の転がり阻止の制御を可能にする制御機構270も含む。
図3~
図8に明示するように、制御機構270は、フレーム210の前部211に支持され、アクセサリ200が接続機構250によってベビーカー100に接続されると、ベビーカー100の回転ブロッキングシステム160と機械的に協働して、回転ブロッキングシステム160を制御する。またアクセサリ200は、制御機構270を作動させるために、
図2及び
図3に示すような作動部材280を有し、作動部材280は、2人乗りベビーカー1の後ろに立っているユーザが操作できるようにフレーム210の後部212に支持される。作動部材280の実施形態は、ユーザが足や手等で作動できるものである限り、限定的ではない。ここで考察される例示的な実施形態では、作動部材280はペダル281を含み又はペダル281からなり、ペダル281は、
図2に明示するように、車輪230Gと車輪230Dとの間を延びるフレーム210の後部212の横材213に、移動可能に(例えば傾斜するように)取り付けられる。いかなる場合も、作動部材280は、制御機構270を作動させるために制御機構270に連結される。
【0044】
実際には、作動部材280の作動を確実かつ持続的に制御機構270に伝達するために、アクセサリ200は機械式伝動システム290を有し、伝動システム290は、ユーザが作動部材280を作動したときに制御機構270が作動可能となるように、作動部材280と制御機構270とを機械的に連結する。この伝動システム290は、フレーム210に支持され、フレーム210の前部211と後部212との間を延びる。
【0045】
図面で考察される例で実施される、特に実用的かつ効果的な一実施形態によれば、制御機構270は、主に、互いに対して移動可能な2つのアセンブリ、すなわち支持体271及び連結部材272を有する。
【0046】
支持体271は、傾斜軸Y250回りで自由に傾斜するフレーム210の前部211に連結される。特に、支持体271は、接続機構250によって有利に支持される一方で、
図3~
図5に明示するように傾斜軸Y250回りで傾斜するように軸受部251に取り付けられる。従って、アクセサリ200がベビーカー100から脱着されると、支持体271は傾斜軸Y250回りでフレーム210に対して自由に傾斜可能になり、この自由な傾斜の範囲は、特別な機械的ストッパによって制限することができる。支持体271は、
図2に示され、かつ
図6~
図8に概略的に示されるように、フレーム110の後部112を部分的に取り囲む構造を有し、故にアクセサリ200が接続機構250によってベビーカー100に接続されたときに、フレーム110の後部112に対して傾斜軸Y250回りで回転可能に接続されるように構成される。アクセサリ200が接続機構250によってベビーカー100に接続されると、フレーム110及び210は、上述のように傾斜軸Y250回りで互いに対して自由に傾斜可能であり、一方、フレーム110の後部112を覆うように接触した状態の支持体271は、
図6と
図7との比較からわかるように、フレーム210に対するフレーム110の動きに従うことが理解されよう。
【0047】
特に機械的安定性の理由から、支持体271は、図面で考察される例のように、左ブランチ273G、右ブランチ273D、及び
図12に特に明示されるバー274を有し、バー274は、左ブランチ273Gと右ブランチ273Dとを、特には傾斜軸Y250に平行に延びつつ、互いに固定式に連結する。左ブランチ273G及び右ブランチ273Dはそれぞれ、アクセサリ200が接続機構250によってベビーカー100に接続されるときに、フレーム110の後部112の左直立部114G及び右直立部114Dを支持するように設けられる。
図2及び
図6~
図8から明らかなように、これらのブランチ273G及び273Dの各々は、フレーム110の後部112の対応する直立部114G及び114Dを部分的に取り囲むように構成され、フレーム
110の後部112に、傾斜軸Y250回りで回転可能に接続される。
【0048】
次に連結部材272は、支持体271によって移動可能に支持される一方で、作動部材280が連結部材272を動かすことができるように、特に機械式伝動システム290によって、作動部材280に連結される。実用的、経済的かつ信頼性の高い実施形態によれば、機械的伝動システム290は、ケーブル291を有し又はケーブル291からなり、ケーブル291は、作動部材280と連結部材272とを互いに直接連結し、それにより作動部材280は、ケーブル291の緊張・弛緩によって連結部材272を支持体271に対して動かすことができる。これらのケーブル291は、
図1~
図8に部分的に示す。
【0049】
さらに、連結部材272は、特にその形状により、ベビーカー100の回転ブロッキングシステム160の作動部161に移動可能に(特に形状適合によって)接続されるように構成される。図面で考察される例示的実施形態では、連結部材272は、ヨーク275を含むかヨーク275からなり、ヨーク275は、アクセサリ200がベビーカー100に接続されたときに、作動部161のパドル162を覆うとともに、形状適合によってパドル162に対して移動可能に接続される。連結部材272と作動部161との間の形状適合により、連結部材272は、接続機構250によってアクセサリ200とベビーカー100とが連結されている状態では、作動部161に対して(特に追加の固定手段を必要とせずに)移動可能に連結される。いかなる場合も、連結部材272は、作動部161に移動可能に接続されることにより、アクセサリ200がベビーカー100に接続されたときに、ベビーカー100の回転ブロッキングシステム160に係合し、回転ブロッキングシステム160を制御する。
【0050】
実際には、連結部材272と支持体271との間の可動性の程度は、回転ブロッキングシステム160の実施形態に依存することが理解されよう。従って、図面で考察される例示的実施形態では、回転ブロッキングシステム160のブロッキング機構163の可逆動作は、傾斜軸Y250に平行な軸回りの作動部161の(特にペダル162の)傾斜によって行われる。故に連結部材272(特にヨーク275)は、傾斜軸Y250に平行であるとともに、アクセサリ200が接続機構250によってベビーカー100に接続されたときは作動部161の傾斜軸と位置合わせされる傾斜軸について、支持体271に対して傾斜する。より一般的には、制御機構270(特にその連結部材272)は、ベビーカー100がアクセサリ200に接続されているときに、ベビーカー100の回転ブロッキングシステム160の作動部161等の適当な部分と機械的に協働(特には係合)する。
【0051】
2人乗りベビーカー1についてのこれまでの説明を考慮すると、ベビーカー100とアクセサリ200との接続を可能にするベビーカー100の特徴を除き、ベビーカー100は典型的には、既存の1人乗りベビーカー、すなわち単一の永続的なスポットを有するベビーカーでよいことが理解されよう。特に、ベビーカー100は2人乗りベビーカー1の前部領域を占めるが、このベビーカー100は使用中、一方ではフレーム110をその後部112により、押し部材150において直接手動で押し付けることができ、他方では作動部材280を作動させることで作動可能な制御機構270による、回転ブロッキングシステム160の間接制御を可能にする特定の構成を有する。2人乗りベビーカー1の後部領域を占めるアクセサリ200は、既存の1人乗りベビーカーと比較して特異性があり、つまり、一方ではフレーム210の後部において、車輪230G及び230Dは固定されずに旋回し、他方ではフレーム210の前部において、地面上を転がる車輪又は類似の部材は設けられず、このことは接続機構250及び制御機構270にとって有利である。これらの特異性以外に、アクセサリ200は、少なくとも視覚的又は美観的に、特にフレーム210、受容部材220及び押し部材240に関して、1人乗りベビーカーと類似しており、このことはユーザがアクセサリ200を直感的に把持して使用することを可能にする。また、ベビーカー100とアクセサリ200とが互いに接続されていない場合、ベビーカー100はアクセサリ200とは無関係に1人乗りベビーカーとして使用可能である一方で、アクセサリ200はそれ自体では、もはや機能的に子供の搬送に使用できないことも理解されよう。
【0052】
使用中、すなわち2人乗りベビーカー1の使用中における2人乗りベビーカー1の安全性と操縦性は、以下に詳述するように、進行方向の変更時や歩道等の障害物の横断時だけでなく、特に2人乗りベビーカー1を停止(静止)させる必要がある場合に、特に顕著である。
【0053】
従って、2人乗りベビーカー1が使用中であり、かつその後ろに立っているユーザが該ベビーカーを停止させたい場合、ユーザは、例えば足でペダル281を操作することにより、作動部材280を作動させる。この作動、例えばペダル281の動きは、機械的伝動システム290によって、特にケーブル291によって、制御機構270、特にその連結機構272に伝達され、故に例えばその位置が、
図6の位置から
図8の位置に移動する。次に連結部材272は、回転ブロッキングシステム160を作動させるために作動部161を作動させる。より一般的には、回転ブロッキングシステム160がベビーカー100の後輪140G及び140Dの回転を阻止するように制御機構270がシステム160を制御し、それにより2人乗りベビーカー1の転がりが阻止される。回転ブロッキングシステム160及び制御機構270の可逆性により、ユーザは次に作動部材280を作動させて後輪140G及び140Dを自由にすることができ、それにより2人乗りベビーカー1は自由に転がることができる。従って、2人乗りベビーカー1の停止及び解放は、該ベビーカーの後ろに立っているユーザによって行われ、これは直感的かつ安全である。ブロッキングシステム160との干渉によってブロックされるのは2人乗りベビーカー1の「中間」車輪、すなわちベビーカー100の後輪140G及び140Dであるため、2人乗りベビーカー1の転がりの阻止は、2人乗りベビーカーの負荷シナリオ(すなわち、アクセサリ200及びベビーカー100のそれぞれに子供が実際に載置されているか、また2人の子供のそれぞれの重量)に関係なく、効率的に行われる。この理由は、2人乗りベビーカーによって搬送される重量は常に、主としてこれらの「中間」車輪に支持されるからである。実際、負荷シナリオに関係なく、ベビーカー100で運ばれる子供に起因する負荷の大部分が、フレーム110の後部112によって直接、車輪140G及び140Dに伝達され、同時に、アクセサリ200で運ばれる子供に起因する負荷の大部分が、フレーム210の前部211及び接続機構250によってフレーム110の後部112に伝達される。
【0054】
進行方向を変更中の2人乗りベビーカー1の操縦性に関しては、
図9及び
図10を参照することが有利である。実際、アクセサリ200の後ろに立っているユーザが押し部材240を操作して2人乗りベビーカー1を前方に押すことで、前方向に直線状に進んでいる2人乗りベビーカー1を表す
図1及び
図2と比較すると、
図9及び
図10は、アクセサリ200の後ろにまだ立っている同じユーザが、押し部材240を手動で操作することで2人乗りベビーカー1を左に曲げようとしているときの該ベビーカーの動作を示す。
図9及び
図10に明示するように、このようなユーザの行動により、前輪130G及び130Dがそれぞれピボット軸Z230G及びZ230D回りに左に旋回すると同時に、アクセサリ200の車輪230G及び230Dがそれぞれピボット軸Z230G及びZ230D回りに右に旋回する。前輪130G及び130Dと、車輪230G及び230Dとが反対方向に向かうことは、固定された後輪140G及び140Dにより生成される差動効果に起因する。換言すれば、ベビーカー100の前輪及びアクセサリ200の車輪に関して、2人乗りベビーカー
1の「中間」車輪、すなわちベビーカー100の後輪140G及び140Dは、ある意味では水平面でのピボット効果を備えた固定差動伝動装置を形成し、これによりユーザは、旋回する前輪及び固定された後輪を有する1人乗りベビーカーと事実上は全く同様に、2人乗りベビーカー1を方向を変えながら操縦することができる。前述の「中間」車輪、すなわち車輪140G及び140Dでのこの差動効果は、上述したように、車輪140G及び140Dが2人乗りベビーカーで運ばれる2人の子供の体重の大部分を支持する「中間」車輪であるという点で、さらに興味深い。
【0055】
方向転換中の2人乗りベビーカー1の操縦性は、アクセサリ200の車輪230Gと車輪230Dとの間の経路V230を、ベビーカー100の後輪140Gと後輪140Dとの間の経路V140よりも大きくすることにより有利に強化される。アクセサリ200の車輪230G及び230Dの旋回は、特に容易になる。
【0056】
歩道等の、前後方向を横切って延びる障害物を横断するときの2人乗りベビーカー1の操縦性に関して、接続機構250は、2人乗りベビーカー1がキャタピラ(登録商標)のように縦方向の動作を行うことを可能にする。実際、歩道上に乗り上げるための2人乗りベビーカー1の例示的な使用を詳細に見ると、ユーザは先ず、歩道を横切る方向、特には歩道に垂直な方向に前後軸X110を必然的に向けることにより、ベビーカー100を歩道の直近まで又は歩道に突き当たるまで進める。ユーザは、片方の手から押し部材240を放すことなく、必要であればアクセサリ200の近傍で該アクセサリの左側又は右側に自ら移動することにより、もう一方の手で押し部材150を手動で押す。フレーム110の後部112が僅かに後方かつ下方に傾斜するように押し部材150を操作することにより、このフレームの前部111は、後方かつ上方に傾斜する。これにより、前輪130G及び130Dが地面から浮き上がると同時に、ベビーカー100の後輪140G及び140D、並びにアクセサリ200の車輪230G及び230Dは地面との接触を維持する。この理由は、フレーム110は接続機構250によって、傾斜軸Y250回りでフレーム210に対して自由に傾斜できるからである。次にユーザは、片手又は両手で、前輪130G及び130Dが歩道を越えるまで、2人乗りベビーカー1を僅かに前進させることができる。それでもユーザは、片手から押し部材240を放すことなく、押し部材150を放して、前輪130G及び130Dを、歩道の高さの地面との接触状態に戻すことができる。次にユーザは、アクセサリ200の後ろに完全に戻る場合、ベビーカー100の後輪140G及び140Dが歩道の直近に達するか又は歩道に当接するまで、2人乗りベビーカー1を前進させることができる。ここで部材240を押すことにより、ユーザは、フレーム210の前部211が僅かに持ち上げるまで、フレーム210の後部212を下方かつ後方に傾斜させる。接続機構250を介した運動の伝達により、フレーム110の後部112が同様に持ち上げられ、それによりベビーカー100の後輪140G及び140Dが歩道を横断できるようになる。最後にユーザは、アクセサリ200の車輪230G及び230Dが歩道の直近に達するまで又は歩道に当接するまで2人乗りベビーカー1を再び僅かに前進させた後、必要であれば押し部材240を僅かに持ち上げて(つまりフレーム210を傾斜軸Y250回りで、車輪130G、130D、140G及び140Dによって歩道の高い位置に載っているフレーム110に対して自由に傾斜させて)、車輪230G及び230Dを、歩道を横断するように移動させる。
【0057】
より一般的には、フレーム110とフレーム210との間の自由な傾斜構造により、2人乗りベビーカー1は不規則な地面上を快適に転がることができるだけでなく、横方向のいかなる障害物も(該障害物の高さや横断方向にもよるが)、上方向及び下方向に変位して容易に横断できることが理解されよう。またユーザは、押し部材150及び240の一方又は双方を操作できる一方で、完全な安全性を確保すべく常に押し部材240に手を触れてことができることも理解されよう。同時に、フレーム110とフレーム210との間の自由な関節は、ある意味で、制御機構270(特には、フレーム110の後部112に対して傾斜軸Y250回りで回転可能に接続された支持体271)に収容される。従って制御機構270は、フレーム110とフレーム210との間の実際の傾斜位置に関係なく、操作可能な状態に維持される。
【0058】
最後に、
図11~
図13は、ベビーカー100から切り離され、折り畳まれることにより、前図に示した使用形態から保管形態に移行したアクセサリ200を示す。故にこの有利な任意的態様によれば、アクセサリ200のフレーム210は、ベビーカー100のフレーム110から切り離されると、アクセサリ200が上述の接続機構250によってベビーカー100に接続可能である
図1~
図10の使用形態と、該使用形態よりもコンパクトである
図11~
図13の保管形態との間で折り畳み可能である。フレーム210がこの保管形態になると、アクセサリ200はベビーカー100のユーザによって容易に運搬可能である。実際、折り畳まれたアクセサリ200は、ベビーカー100の後ろに立って該ベビーカーを押しているユーザがストラップを使用して肩に乗せて、又は手で運搬することができる。変形例では、折り畳まれたアクセサリ200は、特別な装置を使用してベビーカー100に直接取り付けることができる。
【0059】
図14~
図18により詳細に示される有利かつ任意の一態様によれば、アクセサリ200は、該アクセサリの車輪230G及び230Dをブロック可能なブロッキング機構300も含む。
【0060】
図14~
図18に示すように、このブロッキング機構300は、フレーム210の後部212に設けられ、フレーム210の後部212によって移動可能に支持される。ブロッキング機構300は、車輪230G及び230Dの少なくとも一方、有利には該車輪の双方に可逆的に干渉するように構成されており、それによりこれらの車輪の回転が阻止され、すなわち、車輪230G及び230Dの、それぞれ回転軸X230G及びX230D回りの回転が、これらの車輪のそれぞれピボット軸Z230G及びZ230D回りの向きに関係なく、阻止される。この目的のために、ブロッキング機構300は、車輪230G及び230Dの各々に関連付けられた要素を含む。以下では、右車輪230Dに関連する特徴のみの一実施形態を、これらの特徴が左車輪230Gに対称的に適用可能であるという理解の下で、詳細に説明する。
【0061】
故に
図14~
図18に示す実施形態では、ブロッキング機構300は、右車輪230Dについてブロッキング要素
301Dを有し、ブロッキング要素
301Dは、車輪230Dに可逆的に干渉してその回転を阻止するために、フレーム210に対して移動可能に設けられる。より具体的には、ブロッキング要素301Dは、ピボット軸Z230Dを中心とし、かつピボット軸Z230Dに沿って移動可能である。この目的のため、実用的な一実施形態によれば、ブロッキング要素301Dは、ピボット軸Z230Dに沿った細長い形状を有し、例えばロッド又はこれに類似する細長い部分を形成する。いかなる場合も、ブロッキング要素301Dは、ピボット軸Z230Dに沿って互いに反対側の2つの端部、すなわち車輪230Dに面する端部
303Dと、端部
302Dとを有する。
【0062】
ピボット軸Z230Dに沿うブロッキング要素301Dの移動は、
図14及び
図15に示す非係合位置と、
図16~
図18に示す係合位置との間で行われる。非係合位置では、ブロッキング要素301Dは、車輪230Dが自由に回転できるように該車輪から離隔される。係合位置では、ブロッキング要素301D、より具体的にはその端部
303Dは、車輪230Dのトレッド231Dに干渉して、車輪230Dの回転を阻止する。実際には、車輪230Dのトレッド231Dは、特に該車輪のハブと比較して、ある程度の柔軟性を有しており、それによりブロッキング要素301Dの端部
303Dは、トレッド231Dの弾性変形により、該トレッド内に沈み込むことで該トレッドを局所的に押し潰すことができる。ブロッキング要素301D及びトレッド231Dのそれぞれの材料に関する特異性は、ブロッキング要素301Dが係合位置にあるときのそれらの干渉によってタイヤ230Dの回転が効果的に阻止されることが確保される限り、本発明に関して限定的ではない。この干渉によるブロッキング効果を強化する一実施形態によれば、ブロッキング要素301Dの端部
303Dは支持面304Dを有し、支持面304Dは、ブロッキング要素301Dが係合位置にあるときは、
図16~
図18に示すように、ピボット軸Z230Dに沿ってトレッド231Dに押し付けられ、該トレッド内に局所的に沈み込む。
【0063】
いかなる場合も、ブロッキング要素301Dの動作はピボット軸Z230Dを中心とするため、係合位置にあるブロッキング要素301Dによる車輪230Dの回転の阻止は、
図16と
図17との比較から明らかなように、そのピボット軸Z230D回りの車輪230Dの角度位置に関係なく効率的に行われる。換言すれば、ピボット軸Z230D回りの車輪230Dの向きに関係なく、係合位置にあるブロッキング要素301Dは、車輪230Dのトレッド231Dの局所干渉により、回転軸X230D回りの車輪230Dの回転を阻止する。
【0064】
ブロッキング要素301Dが可動であり、かつピボット軸Z230Dを中心とすることを可能にするアクセサリ200の特徴は、本発明に関して限定的ではない。図面で考察される実用的かつ信頼性のある一実施形態によれば、これらの特徴は、車輪230Dに関連付けられたホルダ310Dを含む。このホルダ310Dは、車輪230Dをフレーム210(より具体的には該フレームの後部212の左部分、特にはアセンブリケーシング214D)に移動可能に連結し、アセンブリケーシング214Dは、フレーム210の後部212の残りの部分と横材213の右端とが固定式に組み立てられることを確保する。ここで考察される例示的実施形態では、
図14~
図18に明示するように、ホルダ310Dはフォーク311Dを含み、その基部に車輪230Dが回転軸X230D回りで回転可能に取り付けられる。車輪230Dの上部は、フォーク311Dの両ブランチの間に配置される。またホルダ310Dは、フォーク311Dに固定される一方でフォークの頂点から上方に延び、かつピボット軸Z230Dを実質中心とする管状インサート312Dを有する。この管状インサート312Dは、フレーム210の後部212の右部分(より具体的にはアセンブリケーシング214Dの内側)に、ピボット軸Z230Dを中心に自由に旋回するように取り付けられる。管状インサート312Dとアセンブリケーシング214Dとの間には、ピボット軸Z230Dに関して半径方向に、1つ又は複数の軸受が挿入される。さらに、管状インサート312Dは、ピボット軸Z230Dに沿ってフレーム210(特にアセンブリケーシング214Dの内部)に対して並進移動するように、例えば該インサートと該フレーム間に挿入されたサークリップを用いて、取り付けられる。より一般的には、詳細に上述したホルダ310Dの構造は、ホルダ310Dがピボット軸Z230Dを中心に旋回するようにフレーム210の後部212に取り付けられ、かつ車輪230Dが回転軸X230D回りで回転できるようにホルダ310Dに取り付けられる限り、限定的ではない。さらに、右車輪230Dについて説明したものが左車輪
230Gに適用可能であることを想起されたい。故に左車輪230Gは、ホルダ310Dと同様に、特に
図2に示すように、ホルダ310Gに関連付けることができる。いかなる場合も、
図14~
図18に明示するように、ブロッキング要素301Dは、ホルダ310Dによって軸Z230Dに沿って、並進移動可能に有利に案内される。この目的のために、ここで考察される例示的実施形態では、ブロッキング要素301Dは、ホルダ310Dの管状インサート312Dの内部に嵌合式に受容され、自由に摺動する。
【0065】
非係合位置と係合位置との間のブロッキング要素301Dの移動を制御するために、ブロッキング機構300はバネ305D及びアクチュエータ306を含む。
【0066】
バネ305Dは、ブロッキング要素301Dを非係合位置に向かって押し戻すことにより、ブロッキング要素301Dに作用する。図面で考察される例示的実施形態では、バネ305Dは、ピボット軸Z230Dの方向に沿って、ブロッキング要素301Dとホルダ310Dとの間に挿入され、ブロッキング要素301Dの周りに配置され、管状インサート312Dの内部に収容される。
【0067】
アクチュエータ306は、バネ305Dの作用を阻止しつつ、ブロッキング要素301Dを非係合位置から係合位置に駆動できるように、フレーム210に移動可能に取り付けられる。図面で考察される例示的実施形態では、アクチュエータ306は、回転軸に相当するが、作動軸Y306を中心とする細長い形状を有し、ピボット軸Z230G及びZ230Dに実質垂直に延び、該ピボット軸回りに回転可能である。アクチュエータ306は、ピボット軸Z230Dに向かって回転する端部において、ブロッキング要素301D、より具体的にはその端部303Dとの接触により協働するように構成された傾斜面307Dが設けられる。
図14~
図18に明示されるように、ブロッキング要素301Dの端部303Dには、バネ305Dの作用下で、ピボット軸Z230Dに沿ってアクチュエータ306の傾斜面307Dに押し付けられる支持面308Dが設けられる。傾斜面307Dの形状は、アクチュエータ306が作動軸Y306回りで、
図14に示されかつ非係合位置に関連付けられた第1の角度位置から、
図16~
図18に示されかつ係合位置に関連付けられた第2の位置に向けて回転したときに、ブロッキング要素301Dをピボット軸Z230Dに沿って車輪230Dに向けて押すように設計される。もちろん、ブロッキング要素301Dを非係合位置から係合位置に駆動するためにブロッキング要素301Dと接触して協働する傾斜面307D等の、アクチュエータ306Dの特殊な表面の特異性(特に形状)は、本発明に関して限定的ではないが、一方では、フレーム210に対するアクチュエータ306の移動特性に直接依存することが理解されよう。
【0068】
いかなる場合も、アクチュエータ306は、右車輪230Dに関連付けられたブロッキング要素301Dを、左車輪230Gに関連付けられたブロッキング要素と共に駆動するために有利に提供される一方で、これらの2つのブロッキング要素をそれぞれ非係合位置から係合位置に移動させるために、これらのブロッキング要素にそれぞれ関連付けられたバネの動作を阻止する。故に、図面で考察される例示的実施形態では、アクチュエータ306は、ブロッキング要素301Dから、左車輪230Gに関連付けられたブロッキング要素まで延びる。
【0069】
アクチュエータ306の実施形態に関係なく、アクチュエータ306はアクセサリ200の作動部材280に移動可能に接続され、それにより、上述のように制御機構270を作動させるために作動部材280が作動している間は、作動部材280は、ブロッキング機構300と共に作動する一方で、アクチュエータ306がブロッキング要素を非係合位置から係合位置に駆動するようにアクチュエータ306を動かす。より一般的には、作動部材280がブロッキング機構300に連結されて、制御機構270の作動と連動してブロッキング機構を作動させるように、アクセサリ200が構成される。2人乗りベビーカー1の後ろに立っているユーザによる作動部材280の作動は、機械式伝動システム290及び制御機構270を介するベビーカー1の回転ブロッキングシステム160の作動と、作動部材280とアクチュエータ306との接続を介するブロッキング機構300の作動とを同時に行うことが理解されよう。実際には、作動部材280とアクチュエータ306との間の接続の性質は、アクチュエータ306の特異性に依存する。図面で考察される例示的実施形態では、上述した作動部材280のペダル281が、有利にはアクチュエータ306(特には、
図15~
図18に明示するアクチュエータの可動部)にしっかりと固定される。このことは、アクチュエータ306を、フレーム
210の後部212の横材213内に、作動軸Y306回りで回転可能に取り付けて案内することと、ペダル281を、横材213上に、作動軸Y306回りで傾斜させて取り付けることとによって実現される。
【0070】
従って、2人乗りベビーカー1が使用中であり、かつその後ろに立っているユーザが該ベビーカーを停止させたい場合、ユーザは、例えば足でペダル281を操作することにより、作動部材280を作動させる。この作動により、制御機構270により制御される回転ブロッキングシステム160によるベビーカー100の後輪140G及び140Dの回転阻止と、ブロッキング機構300によるアクセサリ200の車輪230G及び230Dの回転阻止との双方が行われる。次にユーザは、回転ブロッキングシステム160及び制御機構270の可逆性と、ブロッキング機構300の可逆性とにより、作動部材280を作動させて、ベビーカー1の後輪140G及び140Dと、アクセサリ200の車輪230G及び230Dとを自由に回転できるようにし、それにより2人乗りベビーカー1は自由に転がることができるようになる。本質的には上述の車輪140G及び140Dの回転阻止によって確保される、2人乗りベビーカーの転がりの阻止は、車輪230G及び230Dの回転阻止によって有利に強化され、故に2人乗りベビーカー1停止動作も改善される。このことは、2人乗りベビーカーが非常に急斜面や凹凸のある坂等、例外的な使用状況下にあるときに特に顕著である。
【0071】
さらに、これまでに説明したベビーカー100及びアクセサリ200の様々な配置及び変形が考えられる。
ベビーカー100は、2つの前輪を備えるのではなく、前後軸X110上に配置された1つのみの前輪を備えてもよい。同様に、ベビーカー100には、2つより多い前輪を設けることができ、同様に2つより多い後輪を設けることができる。さらに、アクセサリ200には2つより多い車輪を設けることができる。
或いは又はこれに加え、上述の車輪の各々は、1対の双輪若しくは双輪キャスタ、又は2対以上の双輪の列に置換可能である。