(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】料金収受機、料金収受方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240628BHJP
【FI】
G07B15/00 P
(21)【出願番号】P 2020050643
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大和
(72)【発明者】
【氏名】飯田 敦志
(72)【発明者】
【氏名】山中 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】唐木 裕子
(72)【発明者】
【氏名】鴻野 大地
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅仁
(72)【発明者】
【氏名】森岡 嵩文
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-007560(JP,A)
【文献】特開2017-182745(JP,A)
【文献】特開平10-143692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所に設置される料金収受機であって、
前記料金所に到来した車両の車種区分を取得する取得部と、
前記車種区分を取得した後に、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付ける操作受付部と、
前記利用料金の収受を個別に行う場合に、前記選択操作の前に前記取得部によって取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金の両方に適用して料金収受処理を行う個別処理部と、
前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行う合算処理部と、
を備え
、
前記第1道路は対距離料金制の道路または均一料金制の道路であり、前記第2道路は均一料金制の道路であり、
前記個別処理部は、前記第1道路および前記第2道路の料金制度を設定した設定ファイルを参照して、前記第1道路および前記第2道路が対距離料金制であるか均一料金制であるか判断し、前記第1道路の利用料金および前記第2道路それぞれについて前記料金制度に応じた利用料金を算出する、
料金収受機。
【請求項2】
前記個別処理部は、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに異なる支払手段を適用して料金収受処理を行う、
請求項1に記載の料金収受機。
【請求項3】
前記取得部は、挿入された通行券から前記車種区分を取得する、
請求項1又は2に記載の料金収受機。
【請求項4】
前記取得部は、車種判別装置により特定された前記車種区分を取得する、
請求項1又は2に記載の料金収受機。
【請求項5】
第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所における料金収受方法であって、
料金収受機が、前記料金所に到来した車両の車種区分を取得するステップと、
前記料金収受機が、前記車種区分を取得した後に、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付けるステップと、
前記料金収受機が、前記利用料金の収受を個別に行う場合に、前記選択操作の前に取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金の両方に適用して料金収受処理を行うステップと、
前記料金収受機が、前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行うステップと、
を有
し、
前記第1道路は対距離料金制の道路または均一料金制の道路であり、前記第2道路は均一料金制の道路であり、
前記利用料金の収受を個別に行う場合の料金収受処理において、前記第1道路および前記第2道路の料金制度を設定した設定ファイルを参照して、前記第1道路および前記第2道路が対距離料金制であるか均一料金制であるか判断し、前記第1道路の利用料金および前記第2道路それぞれについて前記料金制度に応じた利用料金を算出する、
料金収受方法。
【請求項6】
第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所に設置される料金収受機のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
前記料金所に到来した車両の車種区分を取得するステップと、
前記車種区分を取得した後に、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付けるステップと、
前記利用料金の収受を個別に行う場合に、前記選択操作の前に取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金の両方に適用して料金収受処理を行うステップと、
前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行うステップと、
を実行させるプログラム
であって、
前記第1道路は対距離料金制の道路または均一料金制の道路であり、前記第2道路は均一料金制の道路であり、
前記利用料金の収受を個別に行う場合の料金収受処理において、前記第1道路および前記第2道路の料金制度を設定した設定ファイルを参照して、前記第1道路および前記第2道路が対距離料金制であるか均一料金制であるか判断し、前記第1道路の利用料金および前記第2道路それぞれについて前記料金制度に応じた利用料金を算出する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、料金収受機、料金収受方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
異なる道路事業者により運営されている有料道路同士、又は、異なる料金制度(例えば、対距離料金制及び均一料金制など)が適用されている有料道路同士が接続している地点には、これら有料道路の利用料金を合わせて収受するための合併料金所が設けられている場合がある。
【0003】
合併料金所では、利用者の要望に応じて、複数の有料道路の利用料金を合算した合算料金を一括して収受する処理と、それぞれ異なる支払手段(例えば、クレジットカード及び現金など)で個別に収受する処理とを、実行することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の有料道路の利用料金を個別に収受する場合、収受員は、合併料金所に設けられた料金収受機を通じて、通行区間の入力、車種区分の入力などを有料道路それぞれについて行わなければならない。このため、個別に利用料金を収受する処理は非常に煩雑なものであった。
【0006】
本開示は上述した課題を解決するためになされたものであって、簡易な操作で複数の有料道路の利用料金を収受することができる料金収受機、料金収受方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所に設置される料金収受機(10)は、前記料金所に到来した車両の車種区分を取得する取得部(110)と、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付ける操作受付部(111)と、前記利用料金の収受を個別に行う場合に、前記取得部(110)によって取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに適用して料金収受処理を行う個別処理部(112)と、前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行う合算処理部(113)と、を備える。
【0008】
本開示の一態様によれば、第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所における料金収受方法は、前記料金所に到来した車両の車種区分を取得するステップと、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付けるステップと、前記利用料金の収受を個別に行う場合に、取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに適用して料金収受処理を行うステップと、前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行うステップと、を有する。
【0009】
本開示の一態様によれば、第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所に設置される料金収受機(10)のコンピュータ(900)を機能させるプログラムは、前記コンピュータ(900)に、前記料金所に到来した車両の車種区分を取得するステップと、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付けるステップと、前記利用料金の収受を個別に行う場合に、取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに適用して料金収受処理を行うステップと、前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行うステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上述の少なくとも一の態様によれば、簡易な操作で複数の有料道路の利用料金を収受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る料金収受機の機能構成を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る料金収受機の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図4】第1の実施形態に係る料金収受機の機能を説明するための図である。
【
図5】第1の実施形態に係る料金収受機の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る料金収受機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態の変形例に係る料金収受機の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
(料金収受システムの全体構成)
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
本実施形態に係る料金収受システム1は、二つの有料道路(第1道路R1及び第2道路R2)が接続する地点に設置された合併料金所Tにおいて、車両Aから第1道路R1及び第2道路R2の利用料金を収受する。
図1に示すように、合併料金所Tには、車両Aが走行する車線L別に有人ブースBが設置されている。有人ブースB内には収受員が駐在しており、料金収受機10を通じて車両Aから利用料金を収受するための各種操作を行う。
【0013】
なお、本実施形態では、第1道路R1は対距離料金制の有料道路、第2道路R2は均一料金制の有料道路である態様を例として説明する。対距離料金制は、車両Aの走行距離及び車種区分に応じて利用料金が変化する料金制度である。また、均一料金制は、走行距離に関わらず、車両Aの車種区分別に一定の利用料金が課金される料金制度である。本実施形態に係る料金収受機10は、対距離料金制の第1道路R1の出口と、均一料金制の第2道路R2の入口とを接続する合併料金所Tにおいて、第1道路R1及び第2道路R2両方の利用料金を、それぞれの料金制度に基づいて算出、収受するための装置である。
【0014】
(料金収受機の機能構成)
図2には、第1の実施形態に係る料金収受機の機能構成を示す図である。
図2に示すように、料金収受機10は、CPU11と、通行券読取機12と、タッチパネル13と、カード処理機14と、記憶媒体15と、を備えている。なお、図示は略すが、料金収受機10は、CPU11及び記憶媒体15が格納された筐体、通行券読取機12が格納された筐体、タッチパネル13が格納された筐体(操作卓)、及びカード処理機14が格納された筐体をそれぞれ有していてもよい。この場合、通行券読取機12、タッチパネル13、及びカード処理機14それぞれが格納された筐体は、通信用の専用線等を通じてCPU11が格納された筐体と接続されている。
【0015】
通行券読取機12は、収受員が車両Aの搭乗者から受領した通行券Cを挿入すると、この通行券Cに記録された情報を読み取る。通行券Cは、車両Aが第1道路R1に進入する際に発行される通行券、又は、通行止めなどの理由により第1道路R1を一時的に退出する際に発行される乗継券である。通行券Cには、例えば、車両Aが第1道路R1に進入した日時及び場所(入口料金所)を特定可能な入口情報、車両Aの車種区分などが記録される。なお、車両Aの車種区分は、入口料金所に設けられた既知の車種判別装置により特定される。
【0016】
タッチパネル13は、有人ブースBに駐在する収受員によるタッチ操作を受け付ける操作手段として機能する。また、タッチパネル13は、料金収受機10のCPU11による各種処理の結果、及び収受員による操作の結果などが表示される表示手段として機能する。
【0017】
カード処理機14は、収受員により挿入されたカードに対し、利用料金の収受に係る各種情報の読み書きを行う。カードは、例えば、クレジットカード、コーポレートカード、業務カード、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)用のETCカード、ETCコーポレートカード、ETC業務カードなどを含む。
【0018】
記憶媒体15には、料金収受機10の各部が取得、参照、生成する情報が記憶される。
【0019】
CPU11は、所定のプロセッサに従って動作することにより、料金収受機10の機能を実現するプロセッサである。CPU11は、料金収受機10の機能部として、取得部110、操作受付部111、個別処理部112、及び合算処理部113を有している。
【0020】
取得部110は、合併料金所Tに到来した車両Aの車種区分を取得する。なお、本実施形態では、取得部110は、通行券読取機12を通じて、通行券Cに記録された車種区分を取得する。
【0021】
操作受付部111は、第1道路R1の利用料金の収受、及び、第2道路R2の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付ける。
【0022】
個別処理部112は、第1道路R1及び第2道路R2の利用料金の収受を個別に行う場合に、取得部110によって取得された車種区分を、第1道路R1の利用料金、及び、第2道路R2の利用料金それぞれに適用して料金収受処理を行う。
【0023】
合算処理部113は、第1道路R1及び第2道路R2の利用料金の収受を個別に行わない場合に、第1道路R1及び第2道路R2の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行う。
【0024】
(料金収受機の処理フロー)
図3は、第1の実施形態に係る料金収受機の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図4は、第1の実施形態に係る料金収受機の機能を説明するための図である。
図5は、第1の実施形態に係る料金収受機の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
以下、
図3~
図5を参照しながら、料金収受機10の処理の流れについて詳細に説明する。
【0025】
図3に示すように、取得部110は、通行券読取機12を通じて、通行券Cに記録された車両Aの車種区分を取得する(ステップS01)。また、このとき、取得部110は通行券Cに記録された入口情報もあわせて取得する。
【0026】
次に、合算処理部113は、第1道路R1と第2道路R2の利用料金を合算した合算料金を算出する(ステップS02)。
【0027】
具体的には、合算処理部113は、取得部110が取得した入口情報に基づいて、車両Aの第1道路R1における走行距離を算出する。そして、合算処理部113は、算出した走行距離と、取得部110が取得した車両Aの車種区分とに基づいて、第1道路R1の利用料金を算出する。このとき、合算処理部113は、走行距離及び車種区分に応じた利用料金を規定した料金テーブルを記憶媒体15から読み出して、第1道路R1の利用料金を算出するようにしてもよい。
【0028】
また、合算処理部113は、取得部110が取得した車種区分に基づいて、第2道路における利用料金を算出する。このとき、合算処理部113は、車種区分に応じた利用料金を規定した料金テーブルを記憶媒体15から読み出して、第2道路R2の利用料金を算出するようにしてもよい。
【0029】
合算処理部113は、算出した第1道路R1の利用料金と、第2道路R2の利用料金とを合計した合算料金を算出する。なお、合算処理部113により算出された合算料金は、
図4の(a)に示すように、タッチパネル13に表示される。タッチパネル13には、取得部110が通行券Cから読み取った情報(入口情報及び車種区分)が更に表示されてもよい。
【0030】
次に、操作受付部111は、収受員により、第1道路R1及び第2道路R2の利用料金の収受(支払いの受け付け)を個別に行う操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS03)。例えば、
図4の(a)に示すように、タッチパネル13には、個別支払ボタンBT1が表示されている。車両Aの搭乗者は、第1道路R1及び第2道路R2の利用料金をそれぞれ異なる支払手段で支払うことを希望する場合、有人ブースB内に駐在する収受員にその旨を伝える。このとき、搭乗者と収受員とは有人ブースBの窓越しに直接会話してもよいし、有人ブースB及び車線Lとの間に設けられたマイク及びスピーカを通じて会話してもよい。収受員は、車両Aの搭乗者から異なる支払手段を使用したいとの希望を受け付けると、この個別支払ボタンBT1を押下する。そうすると、操作受付部111は、利用料金の収受を個別に行うことを選択する操作を受け付けたと判断する(ステップS03:YES)。
【0031】
操作受付部111がタッチパネル13を通じて個別支払ボタンBT1の操作を受け付けると(ステップS03:YES)、個別処理部112は、複数の有料道路それぞれの利用料金の収受処理を実行する(ステップS04)。道路別の利用料金収受処理の詳細については、
図5を参照しながら説明する。
【0032】
例えば、個別処理部112は、第1道路R1、第2道路R2の順に料金収受処理を行うとする。個別処理部112は、
図5に示すように、まず第1道路R1の料金制度が対距離料金制であるか、均一料金制であるかを判断する(ステップS41)。例えば、料金収受機10は、各道路の料金制度を設定した設定ファイルを有しており、個別処理部112は、この設定ファイルを参照して各道路の料金制度を判断する。設定ファイルは、料金収受システム1の管理者等により作成及び更新される。本実施形態の例では、設定ファイルには、第1道路R1は「対距離料金制」であると設定されているので、個別処理部112はステップS42へ進む。
【0033】
個別処理部112は、取得部110が通行券Cから取得した車両Aの車種区分及び入口情報に基づいて、第1道路R1(対距離料金制の有料道路)の利用料金を算出する(ステップS42)。このとき、個別処理部112は、上述の合算処理部113と同様の処理を行い、第1道路R1の利用料金を算出する。なお、個別処理部112により算出された第1道路R1の利用料金は、
図4の(b)に示すように、タッチパネル13に表示される。タッチパネル13には、取得部110が通行券Cから読み取った情報(入口情報及び車種区分)が更に表示されてもよい。
【0034】
次に、個別処理部112は、利用料金の支払手段を特定する(ステップS43)。車両Aの搭乗者は、希望する支払手段を収受員に伝える。このとき、搭乗者と収受員とは有人ブースBの窓越しに直接会話してもよいし、有人ブースB及び車線Lとの間に設けられたマイク及びスピーカを通じて会話してもよい。そうすると、収受員は、タッチパネル13を通じて、車両Aの搭乗者から要求された支払手段に対応するボタンを押下する操作を行う。例えば、収受員が「クレジットカード支払」に対応するクレジットカードボタンBT2(
図4の(b))を押下した場合、個別処理部112は、第1道路R1の利用料金については、支払手段が「クレジットカード」であると特定する。
【0035】
次に、個別処理部112は、ステップS42で算出した利用料金を、ステップS43で特定された支払手段により収受する処理を実行する(ステップS44)。例えば、ステップS43で特定された支払手段が「クレジットカード」である場合、収受員は車両Aの搭乗者から支払いに用いるクレジットカードを受領し、カード処理機14に挿入する。そうすると、個別処理部112は、カード処理機14を通じて読み取ったクレジットカード情報(クレジットカード番号、有効期限などに基づいて、クレジット決済を行う。また、個別処理部112は、第1道路R1の料金収受処理(ステップS44)が完了すると、
図3のステップS05に進む。
【0036】
次に、個別処理部112は、第1道路R1の料金収受処理について訂正の要否を判断する(ステップS05)。例えば、車両Aの搭乗者が他の支払手段を使いたい場合、支払手段を変更したいと収受員に伝える。このとき、搭乗者と収受員とは有人ブースBの窓越しに直接会話してもよいし、有人ブースB及び車線Lとの間に設けられたマイク及びスピーカを通じて会話してもよい。そうすると、収受員はタッチパネル13に表示されている訂正ボタンBT4(
図4の(b))を押下する。また、収受員は、操作を誤った場合も同様に、タッチパネル13の表示されている訂正ボタンBT4を押下する。操作受付部111を通じて訂正ボタンBT4の押下操作を受け付けると、個別処理部112は、料金収受処理の訂正が必要であると判断し(ステップS05:YES)、ステップS03に戻る。この場合、タッチパネル13には個別支払ボタンBT1押下前の画面(
図4の(a))が表示され、料金収受機10は収受員の操作に応じて上述のステップS03以降の各処理を再実行する。
【0037】
一方、第1道路R1の料金収受処理を完了させる場合、収受員は、タッチパネル13(
図4の(b))上の確定ボタンBT5を押下する。操作受付部111を通じて確定ボタンBT5の押下操作を受け付けると、個別処理部112は、料金収受処理の訂正が不要であると判断し(ステップS05:NO)、全ての道路についての料金収受処理が完了したか否かを判断する(ステップS06)。
【0038】
個別処理部112は、第2道路R2の料金収受処理が未実行である場合(ステップS06:NO)、ステップS04に戻り、第2道路R2の料金収受処理を実行する。ステップS04においては、上述の第1道路R1の料金収受処理と同様に、
図5の各ステップを実行する。即ち、個別処理部112は、設定ファイルを参照して第2道路R2の料金制度が「均一料金制」であると判断すると(ステップS41)、取得部110が通行券Cから取得した車両Aの車種区分に基づいて、第2道路R2(均一料金制の有料道路)の利用料金を算出する(ステップS45)。このとき、個別処理部112は、上述の合算処理部113と同様の処理を行い、第2道路R2の利用料金を算出する。なお、個別処理部112により算出された第2道路R2の利用料金は、
図4の(c)に示すように、タッチパネル13に表示される。タッチパネル13には、取得部110が通行券Cから読み取った情報(車種区分)が更に表示されてもよい。
【0039】
次に、個別処理部112は、第2道路R2の利用料金の支払手段を特定する(ステップS43)。例えば、収受員が「現金支払」に対応する現金ボタンBT3(
図4の(c))を押下した場合、個別処理部112は、第2道路R2の利用料金については、支払手段が「現金」であると特定する。そうすると、個別処理部112は、ステップS42で算出した第2道路R2の利用料金を、ステップS43で特定された支払手段(「現金支払」)により収受する処理を実行する(ステップS44)。ここでは、収受員はタッチパネル13に表示される第2道路R2の利用料金(
図4の(c))を参照して、車両Aの搭乗者から現金の受領、釣銭の受け渡しなどを行う。また、個別処理部112は、第2道路R2の料金収受処理(ステップS44)が完了すると、再び
図3のステップS05に進み、訂正の要否を判断する。ここで、操作受付部111を通じて確定ボタンBT5(
図4(c))の押下操作を受け付けると、個別処理部112は、第2道路R2についての料金収受処理の訂正が不要であると判断し(ステップS05:NO)、全ての道路についての料金収受処理が完了したか否かを再度判断する(ステップS06)。個別処理部112は、第1道路R1及び第2道路R2の両方の料金収受処理が完了した場合(ステップS06:YES)、車両Aに対する料金収受処理を終了する。
【0040】
料金収受機10は、車両Aが合併料金所Tに到来する度に、上述の各処理を繰り返し実行する。
【0041】
(料金収受機のハードウェア構成)
図6は、第1の実施形態に係る料金収受機のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、
図6を参照しながら、本実施形態に係る料金収受機10のハードウェア構成について説明する。
【0042】
コンピュータ900は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
【0043】
上述の料金収受機10は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。プロセッサ901の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0044】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0045】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部記憶装置910であってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0046】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0047】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る料金収受機10は、操作受付部111を通じて第1道路R1及び第2道路R2の利用料金を個別に収受する選択操作を受け付けた場合、個別処理部112により、取得部110によって取得された車種区分を、第1道路R1及び第2道路R2それぞれに適用して、道路別の料金収受処理を行うことができる。このようにすることで、料金収受機10は、第1道路及び第2道路それぞれの料金収受処理を行う際に、収受員が毎回、車種区分を入力する操作を省略することができる。これにより、料金収受機10は、収受員の作業負荷を低減することができるとともに、料金収受処理にかかるサービスタイムを低減することができる。
【0048】
また、例えば、車両Aの搭乗者が第2道路R2(均一料金制の有料道路)の回数券を所持している場合、この搭乗者は第1道路R1の利用料金をクレジットカードで支払い、第2道路R2の利用料金を回数券で支払うことを希望する可能性がある。このような場合であっても、個別処理部112は、車両Aの搭乗者の希望に応じて、第1道路R1及び第2道路R2それぞれに異なる支払手段を適用して、柔軟な料金収受処理を行うことができる。
【0049】
また、取得部110は、通行券読取機12に挿入された通行券Cから車両Aの車種区分を取得するので、収受員が車両Aの車種区分を判断して、手入力する手間を削減することができるとともに、収受員による入力ミスを抑制することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第1道路R1が対距離料金制の有料道路であり、第2道路R2が均一料金制の有料道路である態様を例として説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、第1道路R1及び第2道路R2の双方が均一料金制の有料道路であってもよい。
【0051】
<第1の実施形態の変形例>
図7は、第1の実施形態の変形例に係る料金収受機の機能構成を示す図である。
図7に示すように、本実施形態に係る料金収受機10は、インタフェース16を介して合併料金所Tに設置された車種判別装置2と通信可能に接続されている。また、取得部110は、
図3のステップS01において、通行券Cからではなく、車種判別装置2により特定された車両Aの車種区分を取得する。
【0052】
例えば第1道路R1が均一料金制の有料道路であった場合、第1道路R1の入口料金所では、車両Aの車種区分が判別されていない場合がある。また、入口料金所で通行券Cが発行されない場合がある。このような場合であっても料金収受機10は、合併料金所Tに設置された車種判別装置2を通じて、車両Aの車種区分を取得することができる。これにより、料金収受機10は、第1の実施形態と同様に、収受員が車両Aの車種区分を判断して、手入力する手間を削減することができるとともに、収受員による入力ミスを抑制することができる。
【0053】
以上、図面を参照して第1の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。即ち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0054】
例えば、上述の実施形態では、料金収受機10が第1道路R1及び第2道路R2の二つの有料道路の利用料金を収受する態様を例として説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金収受機10は、三つ以上の有料道路の利用料金を収受するようにしてもよい。例えば、料金収受機10が三つの有料道路の利用料金を収受する場合、
図3のステップS04を三回実施する。
【0055】
また、上述の実施形態では、料金収受機10は支払手段としてクレジットカード及び現金を利用する例について説明したが、これに限られることはない。料金収受機10は、支払手段として、クレジットカード及び現金の他、コーポレートカード、業務カード、回数券、船車券、ETCコーポレートカード、ETCクレジットカード、ETC業務カード、駐留軍、無料者(被災者等、利用料金が免除されるもの)などを選択可能としてもよい。この場合、これらの支払手段に対応したボタンがタッチパネル13の各画面(
図4)に表示される。更に他の実施形態では、料金収受機10は、支払手段として電子マネーを利用するようにしてもよい。この場合、料金収受機10は、電子マネーによる決済を行うための機器として、QRコード(登録商標)などの二次元バーコード読取装置、RFIDなどの無線通信規格を利用した通信装置を有していてもよい。
【0056】
<付記>
上述の実施形態に記載の料金収受機10、料金収受方法、及び料金収受機10のプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0057】
本開示の第1の態様によれば、料金収受機は、第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所に設置される料金収受機であって、前記料金所に到来した車両の車種区分を取得する取得部と、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付ける操作受付部と、前記利用料金の収受を個別に行う場合に、前記取得部によって取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに適用して料金収受処理を行う個別処理部と、前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の収受処理を行う合算処理部と、を備える。
【0058】
このようにすることで、料金収受機は、第1道路及び第2道路それぞれの料金収受処理を行う際に、収受員が毎回、車種区分を入力する操作を省略することができる。これにより、料金収受機は、収受員の作業負荷を低減することができるとともに、料金収受処理にかかるサービスタイムを低減することができる。
【0059】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る料金収受機において、前記個別処理部は、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに異なる支払手段を適用して料金収受処理を行う。
【0060】
このようにすることで、料金収受機は、車両の搭乗者の希望に応じて、第1道路及び第2道路それぞれに異なる支払手段を適用して、柔軟な料金収受処理を行うことができる。
【0061】
本開示の第3の態様によれば、第1又は第2の態様に係る料金収受機において、前記取得部は、挿入された通行券から前記車種区分を取得する。
【0062】
このようにすることで、料金収受機は、収受員が車両の車種区分を判断して、手入力する手間を削減することができるとともに、収受員による入力ミスを抑制することができる。
【0063】
本開示の第4の態様によれば、第1又は第2の態様に係る料金収受機において、前記取得部は、車種判別装置により特定された前記車種区分を取得する。
【0064】
これにより、料金収受機は、収受員が車両の車種区分を判断して、手入力する手間を削減することができるとともに、収受員による入力ミスを抑制することができる。
【0065】
本開示の第5の態様によれば、第1から第4の何れか一の態様に係る料金収受機において、前記第1道路は対距離料金制の道路であり、前記第2道路は均一料金制の道路である。
【0066】
したがって、料金収受機は、料金制度の異なる二つの道路の利用料金を個別に、又は合算して収受することができる。
【0067】
本開示の第6の態様によれば、第1から第4の何れか一の態様に係る料金収受機において、前記第1道路及び前記第2道路は均一料金制の道路である。
【0068】
したがって、料金収受機は、第1道路及び第2道路の双方の利用料金を個別、又は合算して収受することができる。
【0069】
本開示の第7の態様によれば、料金収受方法は、第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所における料金収受方法であって、前記料金所に到来した車両の車種区分を取得するステップと、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付けるステップと、前記利用料金の収受を個別に行う場合に、取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに適用して料金収受処理を行うステップと、前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行うステップと、を有する。
【0070】
本開示の第8の態様によれば、プログラムは、第1道路の出口と、第2道路の入口とが接続され、前記第1道路及び前記第2道路両方の利用料金を収受する料金所に設置される料金収受機のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、前記料金所に到来した車両の車種区分を取得するステップと、前記第1道路の利用料金の収受、及び、前記第2道路の利用料金の収受を個別に行うか否かの選択操作を受け付けるステップと、前記利用料金の収受を個別に行う場合に、取得された前記車種区分を、前記第1道路の利用料金、及び、前記第2道路の利用料金それぞれに適用して料金収受処理を行うステップと、前記利用料金の収受を個別に行わない場合に、前記第1道路及び前記第2道路の利用料金を合算した合算料金の料金収受処理を行うステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0071】
1 料金収受システム
2 車種判別装置
10 料金収受機
11 CPU
110 取得部
111 操作受付部
112 個別処理部
113 合算処理部
12 通行券読取機
13 タッチパネル
14 カード処理機
15 記憶媒体
16 インタフェース