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  • 特許-天井蓋開閉構造 図1
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  • 特許-天井蓋開閉構造 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】天井蓋開閉構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20240628BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240628BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20240628BHJP
   E04B 9/18 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
E04F19/08 101G
G08B17/00 G
E04B9/00 D
E04B9/18 T
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020059644
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156099
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】阿部 直紀
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-011263(JP,A)
【文献】特開2008-231669(JP,A)
【文献】特開2006-265926(JP,A)
【文献】特許第2934231(JP,B1)
【文献】実開昭54-013235(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E04B 9/18
G08B 17/00
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられた天井蓋を開閉する天井蓋開閉構造であって、
上記天井蓋の周囲側に位置する枠部材と、
一端側が上記天井蓋に回動自在に連結され、他端側が上記枠部材に回動自在に連結された連結部材と、を備えており、
上記連結部材が上記他端側の連結箇所を中心に回動することで、上記天井蓋が上記枠部材から上方向に離脱するとともに上記枠部材に対して横方向に移動することができ、上記天井蓋を押し上げるために用いられる押し棒による当該天井蓋に対する押し上げと移動操作とによって当該天井蓋が略水平姿勢で上記横方向に移動されることを特徴とする天井蓋開閉構造。
【請求項2】
請求項1に記載の天井蓋開閉構造において、上記連結部材の一端側は上記天井蓋の端側に位置し、他端側は上記枠部材の中央側に位置することを特徴とする天井蓋開閉構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の天井蓋開閉構造において、上記連結部材は、上記天井蓋における上記横方向の長さの略半分の長さを有することを特徴とする天井蓋開閉構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の天井蓋開閉構造において、上記連結部材は、上記天井蓋における上記横方向に直交する方向に位置する各縁部に1個ずつ備えられることを特徴とする天井蓋開閉構造。
【請求項5】
天井に設けられた天井蓋を開閉する天井蓋開閉構造であって、
上記天井蓋の周囲側に位置する枠部材と、
一端側が上記天井蓋に回動自在に連結され、他端側が上記枠部材に回動自在に連結された連結部材と、を備えており、
上記連結部材が上記他端側の連結箇所を中心に回動することで、上記天井蓋が上記枠部材から上方向に離脱するとともに上記枠部材に対して横方向に移動することができ、
上記天井蓋における室内側の面に、当該天井蓋を押し上げるために用いられる押し棒の先端が係合される係合部が設けられていることを特徴とする天井蓋開閉構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天井に設けられた天井蓋を開閉する天井蓋開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物の天井内に設置された火災感知器に臨ませて天井面の火災感知器直下位置に点検口を設け、該点検口に、点検棒により押し上げて開き可能で、かつ、自重で自動的に閉じ可能な開閉扉を設けると共に、前記点検棒の上端に、火災感知器を動作可能な加熱又は加煙試験器を納めた試験器設置部を設け、該試験器設置部の下段に、前記開閉扉を開き保持可能なロック装置を設けた天井内火災感知器点検用点検装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平7-20796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構造であれば、脚立や足場なしで火災感知器の点検が可能となる。しかしながら、特許文献1に記載の構造では、蝶番付き蓋を開閉する構造であるため、この蝶番付き蓋の開状態を維持するために、点検棒には、蓋を押さえておく押え片が必要になる。また、天井開口の下に什器等が存在する場合には、斜め下からの操作となるが、このような斜め操作で上記蝶番付き蓋を開閉することは容易でない。
【0005】
この発明は、点検棒において特段の工夫をする必要がなく、また、斜め下からの天井蓋の開閉操作が容易に行える天井蓋開閉構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の天井蓋開閉構造は、上記の課題を解決するために、天井に設けられた天井蓋を開閉する天井蓋開閉構造であって、上記天井蓋の周囲側に位置する枠部材と、一端側が上記天井蓋に回動自在に連結され、他端側が上記枠部材に回動自在に連結された連結部材と、を備えており、上記連結部材が上記他端側の連結箇所を中心に回動することで、上記天井蓋が上記枠部材から上方向に離脱するとともに上記枠部材に対して横方向に移動することを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上記天井蓋は、上記枠部材に対して上方向に離脱して横方向に移動するので、作業者は、天井開口の下位置で、棒部材を用いて上記天井蓋を上側に押して横方向に移動させる操作を行うことで、当該天井蓋を開けることができる。そして、このように天井蓋を開けた状態で、通常の点検棒を用いて火災感知器等の点検を行うことができる。すなわち、脚立等を用いることなく、また、特殊な点検棒も用いることなく、点検作業を行うことができる。また、上記のように、上記天井蓋を上記枠部材に対して上方向に離脱させて横方向に移動させる操作を行えばよいので、天井開口の斜め下からでも容易に天井蓋の開閉操作が行える。
【0008】
上記連結部材の一端側が上記天井蓋の端側に位置し、他端側が上記枠部材の中央側に位置してもよい。これによれば、上記天井蓋の中央側を下から押し棒で押し上げる操作を行うことにより、上記天井蓋を、上記枠部材から上方向に離脱させて上記枠部材に対して横方向に容易に移動させることができる。
【0009】
上記連結部材は、上記天井蓋における上記横方向の長さの略半分の長さを有してもよい。これによれば、必要以上に上記天井蓋の横方向の移動範囲を過剰に大きくすることがなく、また、上記連結部材の長さを適切な範囲として材料費価格も適切にすることができる。
【0010】
上記連結部材は、上記天井蓋における上記横方向に直交する方向に位置する各縁部に1個ずつ備えられてもよい。これによれば、上記連結部材を一方の縁部に1個備える構造に比べて上記天井蓋を安定して開閉することができる。また、上記連結部材を各縁部に2個備える構造に比べ、低コスト化が図れる。
【0011】
上記天井蓋における室内側の面に、当該天井蓋を押し上げるために用いられる押し棒の先端が係合される係合部が設けられていてもよい。これによれば、上記天井蓋の下から押し棒で押し上げる操作を行う際に、この押し棒が上記天井蓋の面を滑るといった問題を解消することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明であれば、点検棒に特段の工夫をする必要がなく、また、斜め下からの天井蓋の開閉操作が容易に行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の天井蓋開閉構造の概略を示した側面図である。
図2図1のA-A矢視拡大断面図である。
図3図1に示した天井蓋開閉構造における天井蓋および枠部材を示した平面図である。
図4図1に示した天井蓋開閉構造における天井蓋の開動作を示した説明図である。
図5図1に示した天井蓋開閉構造における天井蓋(蓋面板省略)の開動作を示した立体視で示した説明図である。
図6図1に示した天井蓋開閉構造における天井蓋(蓋面板省略)の開動作を示した立体視で示した説明図である。
図7図1に示した天井蓋開閉構造における天井蓋を押し棒で開く操作を室内側から見た説明図である。
図8図1に示した天井蓋開閉構造における天井蓋を押し棒で開く操作を室内側から見た説明図である。
図9図1に示した天井蓋開閉構造における天井蓋の係合部を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の一態様に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1および図2に示すように、実施形態の天井蓋開閉構造1は、天井Cに設けられた天井蓋2を開閉する。天井蓋2は、枠体21およびこの枠体21で支持される蓋面板22を備える。また、天井蓋2は、図3に示すように、平面視で略正方形状を有する。
【0015】
また、天井蓋開閉構造1は、枠部材3および連結部材4を備えている。枠部材3は、図3に示すように、天井蓋2よりも大きな略正方形状を有しており、天井蓋2を上下方向に移動可能に収容する。また、このように天井蓋2が枠部材3内に収容された状態で、枠部材3の内面と天井蓋2の外面との間には、隙間が形成される。枠部材3の下片部3aは、天井蓋2の枠体21を受け止める。
【0016】
連結部材4の一端側は、ピン部41によって、天井蓋2に回動自在に連結されている。ピン部41は、天井蓋2の枠体21における立板部21aを水平に貫通して設けられる。また、連結部材4の他端側は、ピン部42によって、枠部材3に回動自在に連結されている。上記ピン部42は、枠部材3における立板部3bを水平に貫通して設けられる。
【0017】
連結部材4が、ピン部42を中心に、図1において、反時計回りに回動すると、天井蓋2は、連結部材4に支持されながら、枠部材3内から上方向に離脱する。また、連結部材4がピン部42を中心にさらに回動すると、天井蓋2は、ピン部41の移動軌跡の水平方向成分である横方向に開移動することができる。天井蓋2の閉移動は、上記の開移動と反対方向の動作をとる。
【0018】
また、天井蓋2が枠部材3内に収容された状態において、連結部材4は、当該連結部材4の一端側(ピン部41側)の方が連結部材4の他端側(ピン部42側)よりも幾分低い斜め姿勢をとる。すなわち、天井蓋2が枠部材3内から上方向に離脱する際の上記横方向の移動範囲を極力小さくするようにしている。
【0019】
連結部材4と天井蓋2との間には、ワッシャ51が上記ピン部41に外嵌されている。また、連結部材4と枠部材3との間において、ワッシャ52が上記ピン部42に外嵌されている。なお、図2において仮想線で示すように、上記枠部材3の外面側において上記ピン部42に外嵌される補強板を備えることもできる。
【0020】
連結部材4の一端側は上記天井蓋2の端側に位置し、連結部材4の他端側は上記枠部材3の中央側に位置する。そして、この実施形態では、上記他端側は上記枠部材3の略中央に位置させており、上記連結部材4は、上記天井蓋2の移動方向である上記横方向の長さの略半分の長さを有している。例えば、上記天井蓋2における上記横方向の長さをLとすると、上記連結部材4の長さL1は、例えば、0.4L≦L1≦0.6Lとされる。
【0021】
また、連結部材4は、上記天井蓋2における上記横方向に直交する方向に位置する各縁部に1個ずつ備えられている。
【0022】
この天井蓋開閉構造1においては、図4図5図6に示すように、上記連結部材4が上記他端側の連結箇所(上記ピン部42)を中心に回動することで、上記天井蓋2が上記枠部材3から上方向に離脱するとともに上記枠部材3に対して上記横方向に移動する。なお、図7および図8にも示すように、上記天井蓋2を押し上げる押し棒6によって当該天井蓋2を支えるので、上記天井蓋2の姿勢を略水平に保持することが可能である。
【0023】
このように、上記天井蓋2は、上記枠部材3に対して上方向に離脱して横方向に移動するので、作業者は、天井開口の下位置で、押し棒6を用いて上記天井蓋2を押して横方向に移動させる操作を行うことで、当該天井蓋2を開けることができる。そして、このように天井蓋2を開けた状態で、通常の点検棒を用いて火災感知器等の点検を行うことができる。すなわち、脚立等を用いることなく、また、特殊な点検棒も用いることなく、点検作業を行うことができる。また、上記のように、上記天井蓋2を上記枠部材3に対して上方向に離脱させて横方向に移動させる操作を行えばよいので、天井開口の斜め下からでも容易に天井蓋2の開閉操作が行える。なお、蓋を蝶番で開閉する構造では、このような横方向操作による蓋の開閉は行えない。
【0024】
連結部材4の一端側が天井蓋2の端側に位置し、他端側が枠部材3の中央側に位置すると、天井蓋2の中央側を下から押し棒6で押し上げる操作を行うことで、容易に天井蓋2を枠部材3から上方向に離脱させ、枠部材3に対して横方向に移動させることができる。
【0025】
連結部材4が天井蓋2における上記横方向の長さの略半分の長さを有すると、連結部材4が最も回動した位置で、天井蓋2が枠部材3の略端位置まで横移動し、天井開口を略全開させることができる。すなわち、このような構成により、必要以上に天井蓋2の横方向の移動範囲を大きくすることがなく、また、連結部材4の長さを適切な範囲として材料費価格も適切にすることができる。なお、必要以上に上記天井蓋2の横方向の移動範囲を大きくすると、天井蓋2を閉じるための操作もし難くなる。
【0026】
連結部材4が天井蓋2における上記横方向に直交する方向に位置する各縁部に1個ずつ備えられていると、連結部材4を一方の縁部にだけ1個備える構造に比べて天井蓋2を安定して開閉することができる。また、連結部材4を各縁部に2個備える構造に比べ、低コスト化が図れる。
【0027】
図9に示すように、天井蓋2の蓋面板22の室内側の面に、当該天井蓋2を押し上げる押し棒6Aの先端が係合される係合部22aが設けられていてもよい。これによれば、上記天井蓋2の下から押し棒6Aで押し上げる操作を行う際に、この押し棒6が蓋面板22の面上で滑るといった問題を解消することができる。なお、この例では、係合部22aを凹形状とし、押し棒6Aの先端が入り込むようにしたが、係合部22aは、凹形状でなくてもよく、例えば、板ゴム等の摩擦を生じ易い部材等からなっていてもよい。また、係合部22aは1箇所に限るものではなく、天井蓋2の閉じ操作をする上で望ましい位置、例えば、天井開口に近い側の天井蓋2の縁側位置にも設けてもよい。
【0028】
なお、図2において、上記連結部材4の上記一端側と枠部材3の下片部3aとの間に例えばコイルばねを配置し、閉時の上記連結部材4の上記一端側に上方向の付勢力を当該コイルばねによって与えるようにしてもよい。これによれば、上記天井蓋2を押し上げる操作が上記付勢力で楽に行えるようになる。また、図2に示したワッシャ52の位置において、図示しないトーションばねをピン部41に外嵌し、このトーションばねの一端を上記連結部材4の上記一端側に係合し、当該トーションばねの他端を枠部材3の下片部3aに当てた構造でも、当該トーションばねによって、天井蓋2の閉時の上記連結部材4における上記一端側に上方向の付勢力を与えることができる。
【0029】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 :天井蓋開閉構造
2 :天井蓋
3 :枠部材
3a :下片部
3b :立板部
4 :連結部材
6 :押し棒
6A :押し棒
21 :枠体
21a :立板部
22 :蓋面板
22a :係合部
41 :ピン部
42 :ピン部
51 :ワッシャ
52 :ワッシャ
C :天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9