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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】加熱調理器および加熱調理器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F24C7/02 301J
F24C7/02 301Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020071306
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167702
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-04-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加古 英徳
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134806(JP,A)
【文献】特開2016-151383(JP,A)
【文献】特開2005-260891(JP,A)
【文献】特開2007-327675(JP,A)
【文献】特開平09-064827(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0068671(US,A1)
【文献】特開2009-111557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
H05B 6/64-6/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器と、前記加熱調理器と無線通信可能な通信端末と、を備える加熱調理器シス
テムにおける前記加熱調理器であって、
マグネトロンを使用した第1の加熱手段と、
前記マグネトロンを使用しない第2の加熱手段と、
前記通信端末と無線通信を可能とする無線通信装置と、
前記無線通信装置を制御する通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記第1の加熱手段の動作の有無を判定する判定部を有し、
前記通信制御手段は、
前記第1の加熱手段による加熱の場合、加熱の開始操作がされ、前記判定部が前記第1の加熱手段が動作したと判定すると、前記無線通信装置による通信を切断し、加熱が終了すると、前記無線通信装置による通信を接続して、前記通信端末の表示部に前記第1の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させ、
前記第2の加熱手段による加熱の場合、加熱中に、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱の残り時間を表示させるための終了予告通知信号を送信させ
前記第2の加熱手段による加熱が終了すると、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記無線通信装置が前記マグネトロンの発振するマイクロ波の周波数の2倍以上の周波数帯で前記無線通信可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
内部に調理室を備える本体と、
前記本体の開口を開閉する扉を備え、
前記無線通信装置が前記扉の内部であって、下側中央部に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記扉の内部に、冷却用気体を流動させる流路が形成されていることを特徴とする請求項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記加熱調理器は、前記マグネトロンの動作時の電流値を検知する電流検知手段を備え、
前記電流検知手段が検知した前記電流値に基づいて前記無線通信装置による通信の切断を判断することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器システム。
【請求項6】
前記加熱調理器システムは、前記加熱調理器および前記端末装置と無線通信可能なサーバを備え、
前記通信制御手段は、
前記第1の加熱手段による加熱の場合、加熱の開始操作がされ、前記無線通信装置による通信を切断したのち、前記サーバに前記加熱調理器の通信が切断されていることを示す通信切断信号を送信し、
加熱が終了すると、前記無線通信装置による通信を接続して、前記加熱調理器が通信できることを示す通信接続信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項7】
加熱調理器と、前記加熱調理器と無線通信可能な通信端末と、を備える加熱調理器システムにおける前記加熱調理器の制御方法であって、
前記加熱調理器は、
マグネトロンを使用した第1の加熱手段と、
前記マグネトロンを使用しない第2の加熱手段と、
前記通信端末と無線通信を可能とする無線通信装置と、
前記無線通信装置を制御する通信制御手段と、を備え、
前記通信制御手段は、前記第1の加熱手段の動作の有無を判定する判定部を有し、
前記通信制御手段は、
前記第1の加熱手段による加熱の場合、加熱の開始操作がされ、前記判定部が前記第1の加熱手段が動作したと判定すると、前記無線通信装置による通信を切断し、加熱が終了すると、前記無線通信装置による通信を接続して、前記通信端末の表示部に前記第1の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させ、
前記第2の加熱手段による加熱の場合、加熱中に、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱の残り時間を表示させるための終了予告通知信号を送信させ
前記第2の加熱手段による加熱が終了すると、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させることを特徴とする加熱調理器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の通信機器と無線通信可能な加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信装置を備え、サーバ装置を介してスマートフォンなどの通信端末装置と無線通信可能な加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。加熱調理器のうち、マグネトロンにより発振させたマイクロ波を被調理物に照射して加熱調理するレンジ加熱機能を有するものがある。
【0003】
ところで、マグネトロンが発振するマイクロ波の周波数(2.4GHz)は、無線通信規格であるWiFi(登録商標)通信などの周波数帯域と同じであるため、電波干渉が発生し、無線通信装置による無線通信が不安定になったり、通信できなくなるなどの虞があった。
【0004】
この電波干渉により、加熱調理器による無線通信が不安定又は不可となった場合、通信端末装置により加熱調理器を遠隔操作するユーザが原因を認識していない場合には、加熱調理器や通信端末装置が故障したと誤認してしまう虞があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、加熱調理器による加熱調理中に加熱調理器へのアクセスを要求した通信端末装置に対し、加熱調理器が加熱調理中であるためにアクセス不可である通知をするネットワーク家電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-134806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、加熱調理器が加熱調理中であっても、少なくとも一部の時間において、通信端末装置による通信接続を可能とすることで他の通信機器との無線通信が可能となる。
【0008】
そこで、本発明は、加熱調理器が加熱調理中であっても、少なくとも一部の時間において、通信端末装置による通信接続を可能とする加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加熱調理器は、加熱調理器と、前記加熱調理器と無線通信可能な通信端末と、を備える加熱調理器システムにおける前記加熱調理器であって、マグネトロンを使用した第1の加熱手段と、前記マグネトロンを使用しない第2の加熱手段と、前記通信端末と無線通信を可能とする無線通信装置と、前記無線通信装置を制御する通信制御手段と、を備え、前記通信制御手段は、前記第1の加熱手段の動作の有無を判定する判定部を有し、前記通信制御手段は、前記第1の加熱手段による加熱の場合、加熱の開始操作がされ、前記判定部が前記第1の加熱手段が動作したと判定すると、前記無線通信装置による通信を切断し、加熱が終了すると、前記無線通信装置による通信を接続して、前記通信端末の表示部に前記第1の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させ、前記第2の加熱手段による加熱の場合、加熱中に、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱の残り時間を表示させるための終了予告通知信号を送信させ、前記第2の加熱手段による加熱が終了すると、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の加熱調理器の制御方法は、加熱調理器と、前記加熱調理器と無線通信可能な通信端末と、を備える加熱調理器システムにおける前記加熱調理器の制御方法であって、前記加熱調理器は、マグネトロンを使用した第1の加熱手段と、前記マグネトロンを使用しない第2の加熱手段と、前記通信端末と無線通信を可能とする無線通信装置と、前記無線通信装置を制御する通信制御手段と、を備え、前記通信制御手段は、前記第1の加熱手段の動作の有無を判定する判定部を有し、前記通信制御手段は、前記第1の加熱手段による加熱の場合、加熱の開始操作がされ、前記判定部が前記第1の加熱手段が動作したと判定すると、前記無線通信装置による通信を切断し、加熱が終了すると、前記無線通信装置による通信を接続して、前記通信端末の表示部に前記第1の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させ、前記第2の加熱手段による加熱の場合、加熱中に、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱の残り時間を表示させるための終了予告通知信号を送信させ、前記第2の加熱手段による加熱が終了すると、前記通信端末の表示部に前記第2の加熱手段による加熱終了を表示させるための終了通知信号を送信させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱調理器および加熱調理器の制御方法によれば、加熱調理器が加熱調理中であっても、少なくとも一部の時間において、通信端末装置による通信接続を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1のオーブンレンジの上側斜視図である。
図2】同上、扉を開けた状態のオーブンレンジの正面図である。
図3】同上、加熱調理器システムの概要を示す説明図である。
図4】同上、扉の下側斜視図である。
図5】同上、扉の平面図である。
図6図5のA-A断面図である。
図7】同上、オーブンレンジの主な電気的構成を示すブロック図である。
図8】同上、サーバの主な電気的構成を示すブロック図である。
図9】同上、通信端末の主な電気的構成を示すブロック図である。
図10】同上、オーブンレンジとサーバと通信端末の通信の流れを示すフロー図である。
図11】同上、通信端末の表示部に表示された、(a)表示要素1、(b)表示要素2、(c)表示要素3、(d)表示要素4、(e)表示要素5を示す図である。
図12】本発明の実施形態2の無線通信装置の(a)通信接続情報を表示した通信端末、(b)通信切断情報を表示した通信端末、を示す図である。
図13】本発明の実施形態2のオーブンレンジとサーバと通信端末の通信の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施形態1】
【0014】
図1図11は本発明の実施形態1を示している。図1及び図2は、本実施形態における加熱調理器としてのオーブンレンジ1を示している。オーブンレンジ1は、矩形箱状であって前面が開口した本体2と、本体2の前面の開口3を開閉する扉4を有して構成されている。
【0015】
本実施形態のオーブンレンジ1は、調理室5内に供給した熱風により被調理物Sを加熱するオーブン加熱による調理機能と、ヒータの熱により被調理物Sを加熱するグリル加熱による調理機能と、マイクロ波を被調理物Sに照射して被調理物Sを加熱調理するレンジ加熱による調理機能と、過熱水蒸気により被加熱物Sを加熱するスチーム加熱による調理機能と、を備えている。
【0016】
ユーザ宅などに設置されたオーブンレンジ1は、無線通信装置6(図6および図7参照)を備えており、外部に設置されたサーバ7と無線通信可能となっている。また、図3に示すように、ユーザは、保有するスマートフォンやタブレット、パソコンなどの通信端末8によりサーバ7にアクセスすることで、オーブンレンジ1と双方向の無線通信を行うことができるようになっている。オーブンレンジ1は、無線LANルータ9に接続されている。無線LANルータ9は、ここには図示しないネットワークへのアクセス手段としての機能を有し、無線LANルータ9を経由して、加熱調理器1と、ネットワークに接続するサーバ7との間で、相互に各種データのやり取りを行なう構成となっている。通信端末8は、アクセスポイント10を経由して、通信端末8とサーバ7との間で、相互に各種デー
タのやり取りを行なう構成となっている。なお、無線LANルータ9とアクセスポイント10とが同一のものであってもよい。
【0017】
次に図1図2および図4図6に基づいて、オーブンレンジ1の構成を説明すると、本体2の内部には、被調理物Sを収容して加熱調理する調理室5が設けられている。
【0018】
調理室5の底壁11の下方には、電波であるマイクロ波を調理室5内に供給し、被調理物Sにマイクロ波を照射してレンジ加熱を行なうマイクロ波加熱手段12(図7参照)が配設されている。マイクロ波加熱手段12は、マイクロ波を発生させるマグネトロン13と、マグネトロン13からのマイクロ波を調理室の内部に導く導波管14と、導波管14から調理室5にマイクロ波を放射するアンテナ15と、直立した軸を中心にアンテナ15を水平回転させるACモータ等のアンテナモータ16と、マグネトロン13の駆動電源となるインバータ17などを有して構成されている。マイクロ波加熱手段12がマグネトロン13を使用した第1の加熱手段である。
【0019】
調理室5の天井壁18には、グリルヒータ19が配設されている。グリルヒータ19により調理室5内の被調理物Sを輻射熱で加熱するグリル加熱を行う構成となっている。グリルヒータ19は、マグネトロン13を使用しない第2の加熱手段である。
【0020】
調理室5の奥壁20には調理室5内に熱風を供給する複数の供給孔21が設けられており、奥壁20の後側には、空気を加熱するための熱風ヒータ22や、熱風ヒータ22により加熱した空気を調理室5内に送り込んで循環させる熱風ファン23および熱風ファン23を回転駆動させる熱風モータ24などを備える熱風ユニット25(図7参照)が配設されている。熱風ファン23を回転させ、熱風ヒータ22により加熱した空気を調理室5内に供給することで、調理室5内の被調理物Sを熱風コンベクション加熱(オーブン加熱)する構成となっている。熱風ユニット25は、マグネトロン13を使用しない第2の加熱手段である。
【0021】
調理室5の左側壁26には、蒸気供給装置27(図7参照)に連通する蒸気噴出孔28が設けられている。この蒸気噴出孔28から調理室5内に噴出された蒸気によりスチーム加熱を行うことができる。蒸気供給装置27は、給水カセット29からの水を蒸発容器(図示せず)内に導く給水ポンプ30や、金属製の蒸発容器に装着されるシーズヒータなどの蒸発用ヒータ31などを主な構成要素とする。蒸発用ヒータ31により水を蒸気化し、調理室5の内部に飽和蒸気や過熱蒸気を供給することで、調理室5内の被調理物Sをスチーム加熱する構成となっている。蒸気供給装置27は、マグネトロン13を使用しない第2の加熱手段である。
【0022】
図1に示すように、本体2の下部には、本体2の前面より着脱が可能な給水カセット29と水受け31が各々配設されている。給水カセット29は、蒸気供給装置27から発生する蒸気の供給源として、液体の水を収容する有底状の容器である。水受け31は、本体2からの食品カスや水滴、蒸気の水などを受ける有底状の容器である。給水カセット29と水受け31は、手前に引き出すことで取り外すことができ、奥に押し込むことで取り付けることができるようになっている。
【0023】
扉4は、下部が本体2と回動自在に連結されており、本体2の開口3を上下に開閉可能となっている。扉4は、調理室5内が視認可能な矩形状の窓部32と、窓部32を取り囲む枠部33を有している。窓部32は、扉4の略中央に配置されている。枠部33は、板状の正面部33Aと、板状の背面部33B(図5参照)と、板状の外周面部33Cと、窓部32と当接している内周面部33D(図6参照)を有している。また、枠部33は、窓部32の上方に位置する上辺部34と、窓部32の下方に位置する下辺部35と、窓部32の左方に位置する左辺部36と、窓部32の右方に位置する右辺部37を有する。枠部33の左上角部38は、上辺部34と左辺部36が重複する部分であり、上辺部34の一部であると共に左辺部36の一部でもある。同様に、枠部33の左下角部39は、下辺部35の一部であると共に左辺部36の一部でもあり、枠部33の右上角部40は、上辺部34の一部であると共に右辺部37の一部でもあり、枠部33の右下角部41は、下辺部35の一部であると共に右辺部37の一部でもある。
【0024】
図1図4および図5に示すように、枠部33の正面部33Aのうち、上辺部34の正面部34Aには、縦開きの扉4を開閉するときにユーザが手をかける開閉操作用のハンドル42が設けられている。ハンドル42は、水平方向に延設された把持部43と、把持部43の左右両端に設けられ、扉4に固定された固定部44A,44Bを有して構成されている。
【0025】
枠部33の正面部33Aのうち、右辺部37の正面部37Aには、表示、報知および操作のための操作パネル45が設けられている。操作パネル45は、調理の設定内容や進行状況を表示する表示手段46と、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段47が配設されている。表示手段46は、画面上をタッチ操作可能にする静電式のタッチパネル48を備えている。
【0026】
図4に示すように、扉4の枠部33の底面部49には、複数の貫通孔からなる吸気口としての第1の吸気口50と、複数の貫通孔からなる排気口としての第1の排気口51と、複数の貫通孔からなる吸気口としての第2の吸気口52と、複数の貫通孔からなる排気口としての第2の排気口53が形成されている。右側から、第1の吸気口50、第2の吸気口52、第2の排気口53、第1の排気口51の順に並んでおり、第1の吸気口50と第1の排気口51の間に第2の吸気口52と第2の排気口53が配置されている。第1の吸気口50と第2の吸気口52から外部の空気が枠部42の内部33Eに取り込まれ、第1の排気口51と第2の排気口53から枠部42の内部33Eの空気が外部に排出される。本実施例では、第1の吸気口50、第1の排気口51、第2の吸気口52、第2の排気口53は、それぞれ4つの貫通孔、4つの貫通孔、5つの貫通孔、4つの貫通孔から構成されているが、吸排気を確実に行うことができれば、貫通孔の数や形状、位置は、所望の数、形状、位置とすることができる。
【0027】
第1の吸気口50、第1の排気口51、第2の吸気口52および第2の排気口53は、取り付けた状態の給水カセット29の前面28Aと水受け31の前面31Aよりも前方に位置している。そのため、給水カセット29と水受け31を本体2に取り付けた状態で、第1の吸気口50、第1の排気口51、第2の吸気口52および第2の排気口53が給水カセット29と水受け31によって閉塞されることはなく、吸排気が給水カセット29と水受け31によって阻害されないようになっている。
【0028】
枠部33の内部33Eは、正面部33Aと、背面部33Bと、外周面部33Cと、内周面部33Dに囲まれた範囲である。また、図5に示すように、枠部33の内部33Eは、第1の壁部54と第2の壁部55により仕切られており、冷却用気体を流動させる流路である第1の流路56と第2の流路57の2つの空間が形成されている。第1の壁部54と第2の壁部55は、下辺部35の内部35Bに配設されている。第1の壁部54と第2の壁部55の間の空間が第2の流路57であり、その他の空間が第1の流路56である。第1の吸気口50と第1の排気口51は、第1の流路56と外部とを連通し、第2の吸気口52と第2の排気口53は、第2の流路57と外部とを連通する。
【0029】
図6に示すように、第1の流路56内であって、第1の吸気口50の近傍には、送風装置としての第1の送風ファン58が配設されている。この第1の送風ファン58を駆動さ
せることで、第1の吸気口50から外気(冷却用気体)が取り込まれ、白抜き矢印で示すように、空気が第1の流路56内を左回り(反時計回り)に流動し、第1の排気口51から排出される。
【0030】
右辺部37の内部37Bの上側部分(操作パネル45の後方部分)には、表示手段46や操作手段47などの制御を行う制御手段としてのプリント回路板(PCB)58が配設されている。このプリント回路板59は、冷却対象物であり、第1の流路56内に配設されており、第1の吸気口50から取り込まれた空気に接触することで冷却され、温度上昇が抑制される。また、第1の流路56内を空気が流動することにより、右辺部37自体が冷却され、右辺部37の正面部37Aの温度上昇も抑制される。
【0031】
上辺部34の内部34Bに形成された第1の流路56内には、ハンドル42の固定部44A,44Bがネジなどの固定部材60によって取り付けられる取付部材としての取付板61が配設されている。冷却対象物である取付板61は、第1の流路56内を流動する空気と接触することで冷却され、温度上昇が抑制される。これにより、ハンドル42に高温の熱が伝導し難くなり、ハンドル42の温度上昇が抑制される。取付板61は、上辺部34の内部34Bと左辺部36の内部36Bに延設されており、取付板61が第1の流路56内を流動する空気と接触することで、上辺部34と左辺部36自体が冷却され、上辺部34の正面部34Aと、左辺部36の正面部36Aの温度上昇が抑制される。
【0032】
図6に示すように、第1の流路56内であって、第1の排気口51の近傍には、第1の流路56の長さを長くするための経路延長部としてのリブ62が設けられている。第1の吸気口50から取り込まれた空気は、第1の流路56内を流動する過程で、プリント回路板59や取付板61から吸熱すると共に、調理室5側に配設された枠部33の背面部22Bなど、接触する物から吸熱するため、第1の排気口51の近傍に到達したときには、空気の温度が上昇している。そのため、リブ62を設け、第1の流路56の長さを長くすることで、第1の排気口51の近傍では、空気が枠部33に接触する時間を長くし、空気の熱吸収量を増加させ、冷却効果を高めている。
【0033】
本実施形態のリブ62は、直線状の板部材により形成されているが、第1の流路56の長さを長くするものであれば、他の形状としてもよい。また、リブ62を配置する位置や、設ける数を適宜変更してもよい。
【0034】
第2の流路57内であって、第2の吸気口52の近傍には、送風装置としての第2の送風ファン63が配設されている。この第2の送風ファン63を駆動させることで、第2の吸気口52から外気(冷却用気体)が取り込まれ、空気が第2の流路57内を流動する。
【0035】
第2の流路57内には、無線通信装置6が配設されており、無線通信装置6は、扉4の内部であって、下側中央部に位置している。第2の吸気口52から取り込まれた空気は、第2の流路57内を流動する過程で冷却対象物である無線通信装置6に接触し、無線通信装置6から吸熱し、第2の排気口53から外部に排出される。本実施例では、第2の流路57内を流動する空気により、無線通信装置6を冷却すると共に、下辺部35自体が冷却され、下辺部35の正面部35Aの温度上昇が抑制される。また、下辺部35は、第1の流路56内を流動する空気によっても冷却される。
【0036】
本実施形態では、第1の吸気口50と第2の吸気口52が第1の排気口51と第2の排気口53から離れた位置に設けられていることにより、第1の排気口51と第2の排気口53から排出された温度が上昇した空気を第1の吸気口50と第2の吸気口52から枠部33の内部33Eに取り込み難い構造となっている。
【0037】
本実施形態では、窓部32は枠部33と接続されているため、第1の流路56内と第2の流路57内を流動する空気により枠部33の内周面部33Dの温度が下げられることにより、窓部32から枠部33に熱が伝導することで、窓部32の温度上昇が抑制されるようになっている。
【0038】
無線通信装置6は、通信制御手段72から出力される切換信号に基づき、通信接続状態と通信切断状態とが切り換えられる。オーブンレンジ1に供給される入力電源の電流値を測定する電流検知手段74は、マイクロ波加熱手段12の動作に伴う電流値の上昇変化を検知すると、検知信号を出力し、この検知信号を受信した通信制御手段72は、判定部75によりマイクロ波加熱手段12が動作したと判定し、無線通信装置6に通信切断信号を送信する。通信切断信号を受信した無線通信装置6は、通信を切断し、通信切断状態となる。
【0039】
一方、電流検知手段74がマイクロ波加熱手段12の動作に伴う電流値の上昇変化を検知しない場合には、検知信号が出力されないため、通信制御手段72の判定部75は、マイクロ波加熱手段12が動作していないと判定し、無線通信装置6に通信接続信号を送信する。通信接続信号を受信した無線通信装置6は、通信接続状態となる。
【0040】
本実施形態では、第2の加熱手段であるグリルヒータ19、熱風ユニット25および蒸気供給装置27による加熱調理中は、マグネトロン13を使用しないため、無線通信装置6は通信接続状態となる。
【0041】
オーブンレンジ1は、オーブンレンジ1の加熱状態情報を送信する機能を有している。加熱状態情報は、各種加熱調理の終了や終了予告であり、各種加熱調理の終了時に加熱調理の終了通知を送信し、加熱調理の所定時間前に終了予告通知を送信する。終了通知と終了予告通知は、無線通信装置6からサーバ7を経由してユーザの通信端末8に送信される。そのため、終了通知と終了予告通知を送信するときには、無線通信装置6を通信接続状態とする必要がある。
【0042】
図7は、オーブンレンジ1の主な電気的構成を示している。同図において、64はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段64は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶手段としてのメモリや、計時手段としてのタイマーや、入出力デバイスなどを備えている。制御手段64は、マイクロ波加熱手段12、グリルヒータ19、熱風ユニット25および蒸気供給装置27を制御する加熱制御手段65と、第1の送風ファン58、第2の送風ファン63および調理室5内に空気を送り冷却する庫内冷却ファン66を制御するファン制御手段67と、表示手段46を制御する表示制御手段71と、無線通信装置6を制御する通信制御手段72を有している。
【0043】
加熱制御手段65は、主に被調理物Sの加熱調理に係る各部の動作を制御するものである。加熱制御手段65は、操作手段47の操作に伴う操作信号を受け取ると、その操作信号に応じて、マイクロ波加熱手段12、グリルヒータ19、熱風ユニット25または蒸気供給装置27の何れかを動作させるための制御信号を送出して、調理室5内の被調理物Sに対する加熱調理を制御する。
【0044】
ファン制御手段67は、第1の送風ファン58、第2の送風ファン63および庫内冷却ファン66をそれぞれ回転駆動させる第1のファンモータ68、第2のファンモータ69および冷却ファンモータ70を制御するものである。第1の送風ファン58と第2の送風ファン63は、扉4の内部空間である第1の流路56と第2の流路57に外気を流動させ、扉4やハンドル42を冷却するものであり、マイクロ波加熱、グリル加熱、オーブン加熱およびスチーム加熱による調理中と、加熱調理後一定時間駆動される。庫内冷却ファン66は、例えば庫内温度検知手段73からの検知信号により、調理室5内が所定温度以上であった場合に、制御手段64からのファン制御信号により動作し、調理室5内の熱気を外部に強制排出するように構成される。
【0045】
表示制御手段71は、加熱制御手段65および通信制御手段72と連携して、表示手段46の表示に係る動作を制御するもので、ここでは操作手段47からの操作信号を受けて、制御手段64のメモリに記憶される全ての画像情報の中から、表示手段46に表示させるべき画像に対応した画像情報を選択して、その画像情報を表示用の制御信号として表示手段46に送出する機能を有する。
【0046】
通信制御手段72は、後述するように、無線通信装置6からサーバ7に対して各種信号(通信接続信号、通信切断信号、受信完了通知信号、終了予告通知信号、終了通知信号)を送信するよう制御する。また、無線通信装置6の通信の接続と切断の切り換えを制御する。
【0047】
制御手段64の入力ポートには、操作手段47やタッチパネル48を備える操作パネル45や、調理室5内の温度を検知するサーミスタ(図示せず)を備えた庫内温度検知手段73や、オーブンレンジ1への入力電流を測定し、マイクロ波加熱手段12の動作に伴う電流値の上昇変化を検知する電流検知手段74などが電気的に接続されている。
【0048】
制御手段64の出力ポートには、マイクロ波加熱手段12、グリルヒータ19、熱風ユニット25、蒸気供給装置27、表示手段46を備える操作パネル45、第1の送風ファン58、第2の送風ファン63、庫内冷却ファン66などが電気的に接続されている。
【0049】
図8は、本実施形態におけるサーバ7の主な電気的構成を示している。サーバ7は、オーブンレンジ1に関する各種サービスを、ネットワークを介してユーザの通信端末8に提供するWebサーバとして構成され、ネットワークに接続して、無線LANルータ9やアクセスポイント10を介してオーブンレンジ1および通信端末8との間で情報の授受を行なう通信手段81と、メモリおよびCPUを備えたサーバ制御部82と、オーブンレンジ1や通信端末8に関する種々の情報を記憶蓄積するサーバ記憶手段83と、現在時刻を計時するカウンタとしての計時手段84と、を主に備えている。
【0050】
なお、図1の本実施形態では、ユーザの保有する1台の通信端末8と1台のオーブンレンジ1とが、ネットワークを介してサーバ制御部82に接続した加熱調理器システムの構成を示しているが、別なユーザが保有する通信端末8やオーブンレンジ1についても、ネットワークを介してサーバ制御部82に接続することも可能である。
【0051】
図9は、本実施形態における通信端末8の主な電気的構成を示している。通信端末8は、少なくとも操作部91と、表示部92と、通信手段93と、出力部94と、端末制御部95と、端末記憶手段96とを備えている。操作部91は、ユーザからのタッチ操作が可能なタッチパネルなどで構成され、表示部92の前面に配置される。なお、このようなタッチパネルと共に、あるいはタッチパネルに代えて、ユーザからの押動操作が可能な押ボタンを操作部91としてもよい。また表示部92は、カラーの液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイなどで構成される。
【0052】
通信手段93は、アクセスポイント10を経由して、ネットワークを介して通信端末8とサーバ7との相互通信を可能とする送受信部として搭載される。なお、ここでのネットワークはインターネットであるが、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用回線などを利用してもよい。出力部94は、通信端末8に予め組み込まれた内臓スピーカーなどで構成される。
【0053】
次に、図10および図11に基づきオーブンレンジ1とサーバ7と通信端末8の通信の流れについて説明する。ここでは、一例としてオーブンレンジ1によりレンジ加熱調理をした後、スチーム加熱調理をする場合について説明する。
(A-1)先ず、被調理物Sを調理室5に収容し、扉4を閉め、操作手段47を操作してレンジ加熱を設定した後、レンジ加熱を開始する。
(B-1)このとき、無線通信装置6は、サーバ7にレンジ加熱により通信が切断されている旨の通知信号(以下、「通信切断信号」という。)を送信すると共に、
(B-2)無線通信装置6の通信を切断する。
(C-1)通信切断信号を受信したサーバ7は、
(C-2)オーブンレンジ1の通信切断情報(通信状態情報)をサーバ記憶手段83に記憶する。
(D-1)オーブンレンジ1がレンジ加熱中に、ユーザが通信端末8によりスチーム加熱調理を行うための加熱条件などの設定情報をサーバ7に送信する。
(C-3)設定情報を受信したサーバ7は、
(C-4)サーバ記憶手段83に記憶したオーブンレンジ1の通信状態情報に基づき、オーブンレンジ1の通信可否を判定する。現時点では、サーバ記憶手段83には通信切断情報が記憶されていることから、通信不可であると判定し、
(C-5)サーバ7は通信端末8に通信切断信号を送信する。
(D-2)通信切断信号を受信した通信端末8は、
(D-3)表示部92に、例えば、「レンジを使用中のため送信できませんでした 終了まで待ってください」などの表示要素T1(図11(a)参照)がポップアップされる。
(A-2)レンジ加熱が終了すると、
(B-3)無線通信装置6は通信を接続し、
(B-4)サーバ7に無線通信装置6の通信が接続されている旨の通知信号(以下、「通信接続信号」という。」とレンジ加熱終了通知信号を送信する。
(C-6)通信接続信号とレンジ加熱終了通知信号を受信したサーバは、
(C-7)無線通信装置6の通信接続情報(通信状態情報)をサーバ記憶手段83に記憶すると共に、
(C-8)通信端末8にレンジ加熱終了通知信号を送信する。
(D-4)レンジ加熱終了通知信号を受信した通信端末8は、
(D-5)表示部92に、例えば、「レンジ加熱調理が終了しました 調理物を取り出してください」などの表示要素T2(図11(b)参照)がポップアップされる。
(D-6)次に、通信端末8によりスチーム加熱調理を行うための加熱条件などの設定情報をサーバ7に送信する。
(C-9)設定情報を受信したサーバ7は、
(C-10)サーバ記憶手段83に記憶した無線通信装置6の通信状態情報に基づき、無線通信装置6の通信可否を判定する。現時点では、サーバ記憶手段83には通信接続情報が記憶されていることから、通信可能であると判定し、
(C-11)サーバ7は無線通信装置6に対して設定情報を送信する。
(B-5)無線通信装置6が設定情報を受信すると。
(A-3)オーブンレンジ1がスチーム加熱調理の準備状態となる。
(A-4)このとき、オーブンレンジ1の表示手段46には、設定情報が表示される。
(B-6)無線通信装置6は、設定情報を受信した旨の受信完了通知信号をサーバ7に送信する。
(C-12)受信完了通知信号を受信したサーバ7は、
(C-13)受信完了通知信号を通信端末8に送信する。
(D-7)受信完了通知信号を受信した通信端末8は、
(D-8)表示部92に、例えば、「送信しました 本体のスタートキーを押して加熱を開始してください」などの表示要素T3(図11(c)参照)がポップアップされる。
(A-5)ユーザが被調理物Sを調理室5に収容し、オーブンレンジ1の操作手段47によりスチーム加熱調理開始の操作を行うことで、スチーム加熱が開始される。
(B-7)無線通信装置6は、調理時間が例えば残り30秒になると、サーバ7に終了予告通知信号を送信する。
(C-14)終了予告通知信号を受信したサーバ7は、
(C-15)通信端末8に終了予告通知信号を送信する。
(D-9)終了予告通知信号を受信した通信端末8は、
(D-10)表示部92に、例えば、「残り30秒でスチーム加熱調理が終了します」などの表示要素T4(図11(d)参照)がポップアップされる。
(A-6)スチーム加熱が終了すると、
(B-8)無線通信装置6はスチーム加熱の終了通知信号をサーバ7に送信する。
(C-16)終了通知信号を受信したサーバ7は、
(C-17)通信端末8に終了通知信号を送信する。
(D-11)終了通知信号を受信した通信端末8は、
(D-12)表示部92に、例えば、「スチーム加熱調理が終了しました 調理物を取り出してください」などの表示要素T5(図11(e)参照)がポップアップされる。
【0054】
このように、マグネトロン13を使用するレンジ加熱時は、終了予告通知をせず、終了通知のみ行うが、マグネトロン13を使用するレンジ加熱時以外は、無線通信装置6の通信はサーバ7および通信端末8と接続されていることから、終了予告通知が可能となる。終了予告通知は、調理時間が残り30秒に限られず、残り1分や、残り15秒など、所望の時間に設定することができる。また、残り1分と残り30秒のように、複数回終了予告通知を行うように設定してもよい。また、終了予告通知を行わない設定としてもよい。
【0055】
また、加熱調理中における無線通信装置6と、サーバ7および通信端末8との通信が終了予告通知のみである場合には、レンジ加熱、オーブン加熱、グリル加熱、スチーム加熱の何れの加熱調理においても、加熱調理開始時に無線通信装置6の通信を切断し、オーブン加熱、グリル加熱およびスチーム加熱の終了予告通知信号の送信時に無線通信装置6の通信を接続するようにしてもよい。その他、マグネトロン13を使用しない第2の加熱手段による加熱調理中は、無線通信装置6の通信の接続と切断を適宜切り換えることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、(A-1)において、操作手段47を操作してレンジ加熱を設定したが、通信端末8によりレンジ加熱を設定し、調理開始の操作のみを操作手段47により行ってもよい。
【0057】
本実施形態では、無線通信装置6による通信の周波数は2.4GHz帯であるが、この周波数の2倍以上である5GHz帯を使用することで、マグネトロン13が発振するマイクロ波との電波干渉が起こり難くすることができる。この場合、マグネトロン13を使用するレンジ加熱中においても、無線通信装置6の通信の接続と切断を自由に選択することができる。したがって、無線通信装置6は、2.4GHz帯と5GHz帯の何れの周波数でも使用可能なものが好ましい。
【0058】
以上のように、本実施形態のオーブンレンジ1は、マグネトロン13を使用した第1の加熱手段と、マグネトロン13を使用しない第2の加熱手段と、通信端末8と無線通信を可能とする無線通信装置6と、無線通信装置6を制御する通信制御手段72と、を備え、第2の加熱手段による加熱中の一部又は全部の時間に無線通信を可能とすることにより、オーブンレンジ1が加熱調理中であっても、少なくとも一部の時間において、通信端末8による通信接続が可能となる。また、マグネトロン13を使用していないときに無線通信装置6による通信を行い、マグネトロン13が発振するマイクロ波との電波干渉を防止することができる。そのため、無線通信装置6による無線通信が不安定になったり、通信できなくなることを防止できる。
【0059】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、無線通信装置6がマグネトロン13の発振するマイクロ波の周波数の2倍以上の周波数帯で無線通信可能であることにより、マグネトロン13を使用するレンジ加熱中であっても無線通信装置6による通信が可能となる。
【0060】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、内部に調理室5を備える本体2と、本体2の開口3を開閉する扉4を備え、無線通信装置6が扉4の内部であって、下側中央部に配設されていることにより、第1の吸気口50を無線通信装置6の位置よりも右側に配設し、第1の排気口51を無線通信装置6の位置よりも左側に配置することで、第1の吸気口50から第1の排気口51を離すことができる。そのため、第1の排気口51から排出された高温の空気が第1の吸気口50から扉4内部(第1の流路56内)に取り込まれ難くすることができる。
【0061】
また、本実施形態のオーブンレンジ1は、扉4の内部に、冷却用気体を流動させる第1の流路56及び第2の流路57が形成されていることにより、オーブンレンジ1の加熱調理による扉4やハンドル42の温度上昇を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態の加熱調理器システムは、オーブンレンジ1は、マグネトロン13の動作時の電流値を検知する電流検知手段74を備え、電流検知手段74が検知した電流値に基づいて無線通信装置6による通信の切断を判断することにより、マグネトロン13の使用時に無線通信装置6の通信を切断することができる。
【0063】
また、本実施形態の加熱調理器システムは、無線通信が可能な時間中に、無線通信装置6から通信端末8にオーブンレンジ1の加熱状態情報を送信することにより、ユーザがオーブンレンジ1による加熱調理の終了予告通知や終了通知を受信することができ、オーブンレンジ1を視認することなく加熱調理の終了を認知することができる。
【実施形態2】
【0064】
以下、本発明の実施形態2について説明する。なお、前述した実施形態1と共通する箇所には共通する符号を付し、共通する部分の説明は重複するため極力省略する。
【0065】
本実施形態は、無線通信装置6の通信状態情報(通信接続情報、通信切断情報)が通信端末8の端末記憶手段に記憶される構成としたものである。また、通信端末8の表示部92には、無線通信装置6の通信状態情報が表示される。図12(a)は、無線通信装置6の通信接続情報を表示した状態を示しており、オーブンレンジ1と電波97のアイコンが点灯している。図12(b)は、無線通信装置6の通信切断情報を表示した状態を示しており、オーブンレンジ1と電波のアイコン97が消灯している。
【0066】
図13に基づき、オーブンレンジ1によるレンジ加熱調理を行う場合の、オーブンレンジ1とサーバ7と通信端末8の通信の流れについて説明する。
(a-1)先ず、被調理物Sを調理室5に収容し、扉4を閉め、操作手段47を操作してレンジ加熱を設定した後、レンジ加熱を開始する。
(b-1)このとき、無線通信装置6は、サーバ7にレンジ加熱により通信が切断されている旨の通知信号(以下、「通信切断信号」という。)を送信すると共に、
(b-2)無線通信装置6の通信を切断する。
(c-1)通信切断信号を受信したサーバ7は、
(c-2)通信端末8に通信切断信号を送信する。
(d-1)通信切断信号を受信した通信端末8は、
(d-2)通信切断情報を端末記憶手段96に記憶し、
(d-3)表示部92に表示されたオーブンレンジ1と電波のアイコン97を消灯させる。
(a-2)レンジ加熱が終了すると、
(b-3)無線通信装置6は通信を接続し、
(b-4)サーバ7に無線通信装置6の通信が接続している旨の通知信号(以下、「通信接続信号」という。)とレンジ加熱終了通知信号を送信する。
(c-3)通信接続信号とレンジ加熱終了通知信号を受信したサーバは、
(c-4)通信端末8に通信接続信号とレンジ加熱終了通知信号を送信する。
(d-4)通信接続信号とレンジ加熱終了通知信号を受信した通信端末8は、
(d-5)通信接続情報を端末記憶手段96に記憶し、
(d-6)表示部92に表示されたオーブンレンジ1と電波のアイコン97を点灯させる。
【0067】
無線通信装置6の通信切断情報を表示した状態、すなわち、オーブンレンジ1と電波のアイコン97が消灯している状態で、ユーザが通信端末8により加熱調理を行うための加熱条件などの設定情報をサーバ7に送信しようとした場合には、通信端末8の表示部92に表示されタッチ操作可能な操作部91である送信ボタンが消灯し、タッチ操作不可能な状態になる。これに対し、無線通信装置6の通信接続情報を表示した状態、すなわち、オーブンレンジ1と電波のアイコン97が点灯している状態では、送信ボタンが点灯し、タッチ操作可能な状態となる。
【0068】
このように、実施形態1では、ユーザは、設定情報をサーバ7に送信した後に無線通信装置6の無線通信が接続状態か切断状態かがわかるのに対し、実施形態2では、設定情報の送信を行う前に無線通信装置6の無線通信が接続状態か切断状態かがわかるようになっている。
【0069】
以上のように、本実施形態の加熱調理器システムは、オーブンレンジ1と、オーブンレンジ1と無線通信可能な通信端末8と、を備える加熱調理器システムであって、通信制御手段72により、無線通信装置6による通信の接続と切断が制御され、通信端末8は、無線通信装置6による通信の接続と切断を表示する表示部92を備えることにより、ユーザはオーブンレンジ1を視認することなく、無線通信装置6の通信の接続と切断を通信端末8により確認することができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態ではマイクロ波加熱手段12が作動したか否かの判定を、電流検知手段が検知した入力電源の電流値に基づいて行う構成となっているが、インバータ17に入力される電流値に基づいてマイクロ波加熱手段12の作動の有無を判定してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 オーブンレンジ(加熱調理器)
2 本体
3 開口
4 扉
5 調理室
6 無線通信装置
7 サーバ
8 通信端末
12 マイクロ波加熱手段(第1の加熱手段)
13 マグネトロン
19 グリルヒータ(第2の加熱手段)
25 熱風ユニット(第2の加熱手段)
27 蒸気供給装置(第2の加熱手段)
56 第1の流路(流路)
57 第2の流路(流路)
72 通信制御手段
74 電流検知手段
92 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13