(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ゴム組成物、タイヤ用ゴム組成物、タイヤ用架橋ゴム、タイヤ及びゴム用添加剤
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20240628BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20240628BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K5/09
B60C1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020104913
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜谷 悟司
(72)【発明者】
【氏名】石橋 健太
(72)【発明者】
【氏名】川原 央帆
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-229357(JP,A)
【文献】特開2019-077072(JP,A)
【文献】特開2011-252107(JP,A)
【文献】特開2021-195491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,B60C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴムを含むゴム成分と、
架橋剤と、
式(2)で表される化合物と
を含む
タイヤ用ゴム組成物。
【化2】
〔前記式(2)中、Zは単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表す。A
2は、炭素数1~6のアルコキシ
基を表し、A
1及びA
3は、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、又は水素原子を表す。ただし、A
1及びA
3が同時に水素原子となることはなく、Zが単結合であるとき、かつA
1が水素原子のとき、A
2とA
3は同時にメトキシ基とはならず、A
3が水素原子のとき、A
1とA
2は同時にメトキシ基とはならない。〕
【請求項2】
前記式(2)中、Zが単結合である請求項1に記載の
タイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記式(2)で表される化合物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.05~10質量部である請求項1又は2に記載の
タイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
更に、前記ゴム成分100質量部に対して20~120質量部の充填材を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の
タイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が加硫剤を含み、更に、加硫促進剤を含有し、前記式(2)で表される化合物の含有量(b)に対する前記加硫促進剤の含有量(a)の質量比(a/b)が0.2~5.0である請求項1~4のいずれか1項に記載の
タイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
請求項
1~5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を架橋したタイヤ用架橋ゴム。
【請求項7】
請求項
6に記載のタイヤ用架橋ゴムを含むタイヤ。
【請求項8】
式(2)で表される化合物を含む
タイヤ用ゴム用の添加剤。
【化4】
〔前記式(2)中、Zは単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表す。A
2は、炭素数1~6のアルコキシ
基を表し、A
1及びA
3は、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、又は水素原子を表す。ただし、A
1及びA
3が同時に水素原子となることはなく、Zが単結合であるとき、かつA
1が水素原子のとき、A
2とA
3は同時にメトキシ基とはならず、A
3が水素原子のとき、A
1とA
2は同時にメトキシ基とはならない。〕
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、タイヤ用ゴム組成物、タイヤ用架橋ゴム、タイヤ及びゴム用添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの社会的要請の下、自動車に対する低燃費化を進めるために、転がり抵抗の小さいタイヤが求められ、従来よりも低発熱性(低ロス性)に優れたゴム組成物が望まれている。
一方、自動車用タイヤの耐摩耗性の向上が望まれており、貯蔵弾性率、特に、動的貯蔵弾性率(G’)が大きなゴム組成物が望まれている。
【0003】
特許文献1には、低発熱性であり、かつ、高弾性であるゴム組成物を提供することを目的として、天然ゴムや合成イソプレンゴムに対して特定の樹脂組成物及び熱可塑性樹脂を所定の割合で配合したゴム組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、特定のゴム成分に対しては低発熱性であり、かつ高弾性であるゴム組成物が得られたが、使用するゴム成分が限定されていた。また、添加する樹脂組成物及び熱可塑性樹脂の量が多く、ゴム組成物の処方の選択性が限定的であった。
【0006】
本発明の課題は、高い動的貯蔵弾性率を有する架橋ゴムを製造可能なゴム組成物及びゴム用添加剤;ならびに、高い動的貯蔵弾性率を有するタイヤ用架橋ゴム及びタイヤ並びにこれらを製造可能なタイヤ用ゴム組成物を提供することであり、該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、特定の構造を有する化合物を配合することにより、上記の課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<10>に関する。
<1> ジエン系ゴムを含むゴム成分と、架橋剤と、式(1)で表される化合物とを含むゴム組成物。
【0008】
【0009】
前記式(1)中、Zは、単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表し、Aは、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、nは、2~5の整数を表す。ただし、Zが単結合であり、かつnが2のとき、隣接するAは同時にメトキシ基とならない。
【0010】
<2> 前記式(1)で表される化合物が、式(2)で表される<1>に記載のゴム組成物。
【0011】
【0012】
前記式(2)中、Zは単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表す。A2は、炭素数1~6のアルコキシ基、又はヒドロキシ基を表し、A1及びA3は、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、又は水素原子を表す。ただし、A1及びA3が同時に水素原子となることはなく、Zが単結合であるとき、A2とA3及びA1とA2は同時にメトキシ基とならない。
【0013】
<3> 前記式(2)中、Zが単結合である<2>に記載のゴム組成物。
【0014】
<4> 前記式(1)で表される化合物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.05~10質量部である<1>~<3>のいずれか1つに記載のゴム組成物。
<5> 更に、前記ゴム成分100質量部に対して20~120質量部の充填材を含有する<1>~<4>のいずれか1つに記載のゴム組成物。
<6> 前記架橋剤が加硫剤を含み、更に、加硫促進剤を含有し、前記式(1)で表される化合物の含有量(b)に対する前記加硫促進剤の含有量(a)の質量比(a/b)が0.2~5.0である<1>~<5>のいずれか1つに記載のタイヤ用ゴム組成物。
【0015】
<7> <1>~<6>のいずれか1つに記載のゴム組成物からなるタイヤ用ゴム組成物。
<8> <7>に記載のタイヤ用ゴム組成物を架橋したタイヤ用架橋ゴム。
<9> <8>に記載のタイヤ用架橋ゴムを含むタイヤ。
【0016】
<10> 式(1)で表される化合物を含むゴム用添加剤。
【0017】
【0018】
前記式(1)中、Zは、単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表し、Aは、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、nは、2~5の整数を表す。ただし、Zが単結合であり、かつnが2のとき、隣接するAは同時にメトキシ基とならない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高い動的貯蔵弾性率を有する架橋ゴムを製造可能なゴム組成物及びゴム用添加剤;ならびに、高い動的貯蔵弾性率を有するタイヤ用架橋ゴム及びタイヤ並びにこれらを製造可能なタイヤ用ゴム組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明をその実施形態に基づき詳細に例示説明する。なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A~B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は、「A以下B以上」(A>Bの場合)を表す。
【0021】
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、架橋剤と、式(1)で表される化合物とを含む。
本発明者等は鋭意検討した結果、式(1)で表される化合物を含むゴム組成物を架橋して得られる架橋ゴムは、高い動的貯蔵弾性率(G’)を有することを見出した。かかる効果が得られる詳細な機構は不明であるが、一部は以下のように推定される。
架橋の過程において、式(1)で表される化合物と、ゴム成分とが擬似的に架橋を形成すると考えられ、高い動的貯蔵弾性率(G’)が達成されたものと推定される。
以下、本発明について詳述する。
【0022】
〔ゴム成分〕
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム成分を含有する。
ゴム成分は、ゴム工業界で使用されているジエン系ゴムを含むゴム成分から適宜選択ることができる。ジエン系ゴムは、天然ゴムあってもよいし、合成ゴムであってもよく、これらを単独で又は組み合わせて使用することができる。
ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン-イソプレン共重合体(SIR)、ブタジエン-イソプレン共重合体、ブタジエン-スチレン-イソプレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴムなどが挙げられる。また、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。
ゴム成分は、スチレン-ブタジエン共重合体、又は天然ゴムを含有することが好ましい。ゴム成分は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
〔式(1)で表される化合物〕
本発明のゴム組成物は、式(1)で表される化合物を含有する。
式(1)中、Zは、単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表し、Aは、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、nは、2~5の整数を表す。ただし、Zが単結合であり、かつnが2のとき、隣接するAは同時にメトキシ基とならない。すなわち、2,3-ジメトキシ安息香酸及び3,4-ジメトキシ安息香酸は、式(1)で表される化合物に含まれない。
【0024】
【0025】
本発明のゴム組成物が、式(1)で表される化合物を含有することで、ゴム分子に結合した式(1)で表される化合物同士が水素結合による相互作用をして、疑似的な架橋をし、架橋ゴムの貯蔵弾性率G’を向上することができる。また、ゴム組成物が充填材を含有する場合には、式(1)で表される化合物が充填材に結合し、充填材を凝集させ、発熱性を抑制することもできる。
【0026】
Zは、単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表す。
Zが単結合の場合、カルボキシ基はベンゼン環に直接結合し、式(1)で表される化合物は安息香酸誘導体となる。
2価の炭化水素基としては、アルキレン、アルケニレン等が挙げられ、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。具体低には、例えば、メチレン基、エチレン基、ブチレン基、ビニレン基、プロペニレン基等が挙げられる。2価の炭化水素基は、更に、ハロゲン原子、1価の炭化水素基等の置換基を有していてもよい。Zの炭素数は、置換基の炭素数を含めて1~5であることが好ましい。
以上の中でも、Zは単結合又は炭素数2~4のアルケニレンであることが好ましく、単結合又は炭素数2~3のアルケニレンであることがより好ましく、単結合であることが更に好ましい。
【0027】
Aは2つ~5つの基であり、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表す。
アルコキシ基のアルキル部分は、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基のアルキル部分の炭素数は1~4であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1~2であることが更に好ましい。
複数のAは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
nは、Aの数を表し、2~5の整数である。nは2~4であることが好ましく、2~3であることがより好ましい。
【0028】
式(1)で表される化合物は、式(2)で表されることが好ましい。
【0029】
【0030】
式(2)中、Zは単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表す。A2は、炭素数1~6のアルコキシ基、又はヒドロキシ基を表し、A1及びA3は、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基、ヒドロキシ基、又は水素原子を表す。ただし、A1及びA3が同時に水素原子となることはなく、Zが単結合であるとき、A2とA3及びA1とA2は同時にメトキシ基とならない。
つまり、式(1)で表される化合物は、カルボキシ基を有する基(-Z-COOH)に対して、パラ位に、炭素数1~6のアルコキシ基、又はヒドロキシ基を有し、2つのメタ位のいずれか一方又は両方に炭素数1~6のアルコキシ基、又はヒドロキシ基を有する化合物であることが好ましい。
【0031】
式(2)において、Zは式(1)のZと同義であり、好ましい態様も同じである。
式(2)において、A1~A3で表される炭素数1~6のアルコキシ基の態様は、式(1)におけるAの態様と同じであり、好ましい態様も同じである。
式(2)で表される化合物としては、例えば、3,4,5-トリメトキシ安息香酸(TMGA)、3,4,5-トリメトキシ桂皮酸(TMCA)、3-ヒドロキシ-4-メトキシ安息香酸(イソバニリン酸ともいう)(VA)等が挙げられ、下記構造を有する。
【0032】
【0033】
本発明のゴム組成物は、式(1)で表される化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
以上の中でも、式(1)で表される化合物は、式(2)で表され、Zが単結合又は炭素数2~4のアルケニレンである化合物であることが好ましく、式(2)で表され、Zが単結合である化合物がより好ましい。
式(1)で表される化合物は、市販品として入手してもよいし、合成してもよい。
【0034】
ゴム組成物中の式(1)で表される化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.05~10質量部であることが好ましい。かかる範囲であることで、架橋ゴムの貯蔵弾性率(G’)をより向上し、また50℃でのtanδを下げることができる。同様の観点から、ゴム組成物中の式(1)で表される化合物の含有量は、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましく、0.5質量部以上であることがより更に好ましく、また、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが更に好ましく、2.5質量部以下であるであることがより更に好ましい。
【0035】
〔架橋剤〕
本発明のゴム組成物は、架橋剤を含有する。
架橋剤は、ゴム分子を架橋し得る成分であれば特に制限されない。例えば、硫黄架橋する加硫剤、過酸化物架橋する有機過酸化物、キノイド架橋するオキシむ化合物、アミン架橋するジアミン化合物等が挙げられる。通常は加硫剤が用いられる。
加硫剤は、通常、硫黄を用い、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。
【0036】
ゴム組成物において、架橋剤の含有量は、ゴム分子同士の架橋を充分に進行させる観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上であり、そして、耐老化防止性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【0037】
〔加硫促進剤〕
本発明のゴム組成物は、架橋剤が加硫剤を含む場合、更に、加硫促進剤を含有することが好ましい。
上記加硫促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、CBS(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、TBBS(N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、TBSI(N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤;テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;MBT(2-メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)等のチアゾール系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、式(1)で表される化合物の存在下で、適度な加硫を進行させる観点から、加硫促進剤として、少なくともスルフェンアミド系の加硫促進剤を含有することが好ましく、少なくともCBS及びTBBSのいずれか一方又は両方を含有することがより好ましい。
【0038】
ゴム組成物中の加硫促進剤の含有量は、適切な加硫速度で、適度な加硫を進行させる観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、より更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
【0039】
また、ゴム組成物中、式(1)で表される化合物の含有量(b)に対する加硫促進剤の含有量(a)の質量比(a/b)は、式(1)で表される化合物の加硫阻害作用を抑制し、適度な加硫を進行させ、低発熱性である架橋ゴム組成物を得る観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下である。
【0040】
〔充填材〕
本発明のゴム組成物は、必要に応じ、充填材を配合することが好ましい。
充填材としては、カーボンブラックのような有機充填材、シリカのような無機充填材、又はこれら2つのタイプの充填材をブレンドして使用してもよい。これらの中でも、カーボンブラック及びシリカから選ばれる1種以上の充填材が好ましく用いられる。
前記カーボンブラックとしては特に制限はなく、従来、ゴムの充填材として使用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが用いられ、特に耐屈曲性及び耐破壊性に優れるFEF、HAF、ISAF、SAF等が好適に挙げられる。
カーボンブラックは、補強性の観点から、窒素吸着比表面積N2SA(JIS K 6217-2:2001に準拠する。)が、好ましくは30m2/g以上、より好ましくは35m2/g以上であり、そして、好ましくは150m2/g以下、より好ましくは130m2/g以下である。
カーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
一方、シリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられるが、中でも湿式シリカが好ましい。
この湿式シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に基づき測定する。)は、補強性の観点から、好ましくは40m2/g以上、より好ましくは80m2/g以上であり、そして、好ましくは350m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下である。このようなシリカとしては東ソー・シリカ(株)製「Nipsil AQ」、「Nipsil KQ」、デグッサ社製「ウルトラジルVN3」等の市販品を用いることができる。
シリカは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ以外の無機充填材としては、水酸化アルミニウム、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト等が例示される。
【0042】
本発明のゴム組成物は、総含有量として、ゴム成分100質量部に対して20~120質量部の充填材を含有することが好ましい。
ゴム組成物が上記範囲の充填材を含むことで、架橋ゴムの補強性を向上し、50℃でのtanδをより低下することができる。
一般に、ゴム組成物が充填材を多く含むと、充填剤同士の擦れ合いにより架橋ゴムが発熱し易いが、ゴム組成物が式(1)で表される化合物を含むことで、充填材の凝集を高め、発熱を抑制し得る。すなわち、50℃でのtanδを下げやすい。
架橋ゴムの補強性をより向上し、50℃でのtanδをより低下する観点から、ゴム組成物中の充填材の総含有量は、ゴム成分100質量部に対し、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上であり、そして、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。
【0043】
なお、本発明において、充填材としてカーボンブラック及びシリカを併用することが好ましく、この場合、本発明のゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、補強性及び低発熱性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、そして、好ましくは60質量部以下、より好ましくは55質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
また、カーボンブラック及びシリカを併用する場合、本発明のゴム組成物中のシリカの含有量は、補強性及び低発熱性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上、より更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは35質量部以下である。
【0044】
(シランカップリング剤)
本発明のゴム組成物において、充填材としてシリカを使用する場合、その補強性を更に向上させる目的で、シランカップリング剤を配合することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えばビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0045】
本発明のゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカの分散性を向上させると共に、ゴム成分のゲル化を抑制する観点から、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
【0046】
〔その他の成分〕
本発明のゴム組成物は、上述の成分に加え、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、通常ゴム業界で使用される各種添加剤から適宜選択すればよく、具体的には、加硫促進助剤、老化防止剤、軟化剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤等が挙げられる。
【0047】
(加硫促進助剤)
本発明のゴム組成物は、加硫を促進する観点から、亜鉛華、脂肪酸等の加硫促進助剤を含有してもよい。脂肪酸としては飽和、不飽和でもよく、また、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。また、炭素数も特に制限されるものではなく、例えば、炭素数1~30、好ましくは15~30のものを使用することができる。
脂肪酸の具体例としては、シクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸等が挙げられ、ステアリン酸が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、ステアリン酸及び亜鉛華を好適に用いることができ、亜鉛華とステアリン酸とを併用することが特に好ましい。
これら加硫促進助剤のゴム組成物中の総含有量は、特に制限されるものではないが、混練作業性及び加硫促進の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。
【0048】
(老化防止剤)
本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)、6C[N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン]、TMDQ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体)、AW(6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。
老化防止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物中の老化防止剤の配合量は、十分な耐候性及び耐オゾン性を付与すると共に、変色及び耐亀裂性の低下を抑制する観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。
【0049】
<ゴム組成物の調製>
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されない。
ゴム組成物は、ゴム成分、架橋剤、及び式(1)で表される化合物の他、各種配合剤を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、二軸押出機等による混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
ゴム組成物の製造時に加硫が起こるのを抑制し、製造時のハンドリング性を向上させる観点から、ゴム組成物に含有させる成分のうち、架橋剤及び加硫促進剤を除く成分を予め配合して混合し(第1混練工程)、次いで、架橋剤及び加硫促進剤を配合して混合する(第2混練工程)ことにより、ゴム組成物を調製することが好ましい。
【0050】
上記の方法によりゴム組成物を調製することにより、第一混練工程を高温条件下で行っても加硫が生じにくいので、ゴム組成物を生産性よく製造することができる。
第1混練工程における混練温度は、各成分の熱分解を抑制する観点から、最高温度が、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下である。また、生産性の観点から、第1混練工程における混練温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは140℃以上である。
第2混練工程における混練温度は、混練時の加硫の発生を抑制する観点から、最高温度が、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下である。また、生産性の観点から、第2混練工程における混練温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上である。
【0051】
<タイヤ用ゴム組成物>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、本発明のゴム組成物からなる。
本発明のゴム組成物は、高い弾性率を有する架橋ゴムを製造することができるため、タイヤの製造に好適であり、ゴム組成物は、特に、タイヤ用ゴム組成物として用いることが好ましい。
また、タイヤ用ゴム組成物が充填材を含む場合には、高い弾性率と低いtanδのバランスに優れるタイヤを製造することができる。
【0052】
<タイヤ用架橋ゴム>
本発明のタイヤ用架橋ゴムは、本発明のタイヤ用ゴム組成物を架橋して得られる。
タイヤ用架橋ゴムは、ゴム分子同士に、架橋剤による架橋が形成されており、これに加え、式(1)で表される化合物による擬似的な架橋が形成されていてもよい。
前記架橋の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、架橋温度を120~200℃とし、架橋時間を1分間~900分間とすることが好ましい。
【0053】
<タイヤ>
本発明のタイヤ用架橋ゴムは、タイヤの製造に好適に使用される。本発明のタイヤは、タイヤ用架橋ゴムを含む。
本発明のタイヤ用架橋ゴムの適用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、トレッド部、サイドウォール部、ビード部、インナーライナー、及びその他の補強ゴム部の少なくとも一つの部材に好適に用いることができる。
【0054】
また、本発明のタイヤは、本発明のタイヤ用ゴム組成物を用いる以外特に制限はなく、常法に従って製造することができる。例えば、本発明のタイヤ用ゴム組成物が未加硫の段階で、トレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼付成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤが製造される。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【0055】
<ゴム用添加剤>
本発明のゴム用添加剤は、式(1)で表される化合物を含む。
【0056】
【0057】
式(1)中、Zは、単結合又は炭素数1~5の2価の炭化水素基を表し、Aは、各々独立に、炭素数1~6のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、nは、2~5の整数を表す。ただし、Zが単結合であり、かつnが2のとき、隣接するAは同時にメトキシ基とならない。
ゴム用添加剤が含む式(1)で表される化合物は、本発明のゴム組成物が含む式(1)で表される化合物と同じであり、好ましい態様も同じである。すなわち、式(1)で表される化合物は、式(2)で表され、Zが単結合又は炭素数2~4のアルケニレンである化合物であることが好ましく、式(2)で表され、Zが単結合である化合物であることがより好ましい。
本発明のゴム用添加剤は、式(1)で表される化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
【0058】
本発明のゴム用添加剤は、他の成分と混合して、ゴム用添加剤組成物として用いてもよい。
ゴム用添加剤組成物は、少なくとも、本発明のゴム用添加剤を含み、更に、ゴム業界で通常使用される添加剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸等の脂肪酸、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫剤、加硫促進剤等を含有していてもよい。
【0059】
本発明のゴム用添加剤及びゴム用添加剤組成物は、タイヤ用ゴム組成物に限定されず、広く他のゴム組成物に添加してもよく、本発明のゴム用添加剤又はゴム用添加剤組成物が添加されたゴム組成物、又はこれを架橋した架橋ゴム組成物は、各種のゴム製品に用いることができる。
ゴム製品としては、上述したタイヤに加え、防振ゴム、免震ゴム、コンベアベルト等のベルト、ゴムクローラ、各種ホース等が挙げられる。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0061】
<実施例1~3及び比較例1~3>
〔ゴム組成物の調整と架橋〕
表1に示す配合割合の成分をバンバリーミキサーを用いて混練してゴム組成物を調製し、更に加圧型加硫装置を用いて145℃で33分間加熱して架橋(加硫)し、架橋ゴム(加硫ゴム)を得た。表1に示す成分は以下の通りである。
・NR:天然ゴム、RSS #1
・カーボンブラック:東海カーボン社製、商品名「シースト3」、HAF、N2SA=79m2/g
・シリカ:東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil AQ」、BET比表面積=205m2/g
・シランカップリング剤:エボニック社製、商品名「Si69」、ビス[(3-トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド
・老防防止剤:大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック6C」、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン
・加硫促進剤:三新化学工業社製、商品名「サンセラーNS-G」、N-(t-ブチル)-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド
・ステアリン酸:花王社製、商品名「ルナックS-70V」、
・亜鉛華:和光純薬工業社製
・硫黄:和光純薬工業社製
【0062】
化合物
・TMGA:3,4,5-トリメトキシ安息香酸(東京化成工業社製、式(2)において、Zが単結合、A1~A3がいずれもがメトキシ基の化合物)
・TMCA:3,4,5-トリメトキシ桂皮酸(東京化成工業社製、式(2)において、Zが炭素数2のアルケニレン、A1~A3がいずれもがメトキシ基の化合物)
・VA:3-ヒドロキシ-4-メトキシ安息香酸(東京化成工業社製、式(2)において、Zが単結合、A1がヒドロキシ基、A2がメトキシ基、A3が水素原子の化合物)
・BA:安息香酸(東京化成工業社製、下記構造)
・pCBA:p-カルボキシ安息香酸(東京化成工業社製、下記構造)
【0063】
【0064】
〔評価〕
得られた架橋ゴムに対して、貯蔵弾性率(G’(50℃、5%))及び損失正接(tanδ(50℃、5%))の測定を行った。
具体的には、得られた架橋ゴムに対して、粘弾性測定装置「ARES-G2」(TAインスツルメント社製)を用いて、周波数10Hzの条件下で、50℃における歪み5%時の動的貯蔵弾性率(引張動的貯蔵弾性率、G’(50℃、5%))及び損失正接(tanδ(50℃、5%))を測定した。
動的貯蔵弾性率(G’)に関しては、比較例1の動的貯蔵弾性率(G’)を100として、指数表示した。なお、G’の値が大きい程、車両の操縦安定性及び耐摩耗性に優れていることを示す。
また、損失正接(tanδ)に関しては、比較例1の損失正接(tanδ)を100として、指数表示した。なお、tanδの値が小さいほど、低発熱性であり、タイヤに用いた際に低転がり抵抗性であることを示す。
【0065】
【0066】
表1の結果から、特定の構造を有する化合物を添加することによって、高い動的貯蔵弾性率(G’)を有する架橋ゴムが得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、高い動的貯蔵弾性率を有するタイヤ用架橋ゴムが得られるタイヤ用ゴム組成物が提供され、また、前記タイヤ用ゴム組成物に添加するゴム用添加剤が提供される。該ゴム組成物及び架橋ゴムは、ゴム製品に適用可能であり、特に、タイヤ用途に有用である。該ゴム組成物又は架橋ゴム組成物を用いたタイヤは、耐摩耗性に優れると共に、低発熱性であり、省エネルギー性に優れると期待される。