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特許7511406作業車仕様変更システム及び作業車仕様変更方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】作業車仕様変更システム及び作業車仕様変更方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 71/02 20060101AFI20240628BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240628BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20240628BHJP
   G06F 40/216 20200101ALI20240628BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240628BHJP
【FI】
A01B71/02 Z
B60R16/02 660U
E02F9/20 N
G06F40/216
G06Q50/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020121954
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018680
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-12-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松崎 優之
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-086320(JP,A)
【文献】特開2016-000570(JP,A)
【文献】特開2019-089520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 71/02
B60R 16/02
E02F 9/20
G06F 40/216
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車を運転するユーザによって入力操作される操作デバイスから送られてきた、前記作業車の車載装置の仕様を変更するための自由文形式の仕様変更依頼を受け付ける情報入力部と、
前記仕様変更依頼に基づいて仕様更新情報を生成する仕様更新情報生成部と、
前記作業車に前記仕様更新情報を配信する情報出力部と、を備え、
前記車載装置には、ユーザによって操作される操作具と前記操作具の操作によって生成された操作信号に基づいて前記作業車の機器を制御する制御信号を生成する機器制御部を備えた機器操作装置が含まれており、前記操作具の操作と前記機器制御部の前記制御信号とを関係付ける操作パターンは、前記仕様更新情報によって変更可能である作業車仕様変更システム。
【請求項2】
前記車載装置の仕様変更における制限を示す仕様変更制限事項を管理する仕様変更制限管理部が備えられ、前記仕様更新情報生成部は、前記仕様変更制限事項を制限事項として前記仕様更新情報を生成する請求項1に記載の作業車仕様変更システム。
【請求項3】
前記仕様変更依頼から専門家によって選択された特徴語句を用いて仕様変更特徴データを作成する仕様変更依頼処理部が備えられ、前記仕様更新情報生成部は前記仕様変更特徴データに基づいて前記仕様更新情報を生成する請求項1又は2に記載の作業車仕様変更システム。
【請求項4】
前記仕様変更依頼に用いられる依頼語句と、前記仕様変更特徴データで用いられる前記特徴語句とを関係付けた語句データベースが備えられており、前記語句データベースを参照して、前記仕様変更依頼から前記特徴語句が選択される請求項に記載の作業車仕様変更システム。
【請求項5】
前記仕様変更依頼から仕様変更特徴データを生成する仕様変更依頼処理部が備えられ、前記仕様更新情報生成部は前記仕様変更特徴データに基づいて前記仕様更新情報を生成する請求項1又は2に記載の作業車仕様変更システム。
【請求項6】
前記仕様変更依頼処理部は、前記仕様変更依頼を入力して、前記仕様変更特徴データを出力するように機械学習された自然言語処理モジュールを備えている請求項に記載の作業車仕様変更システム。
【請求項7】
前記仕様更新情報生成部は、前記仕様変更特徴データを入力して、前記仕様更新情報としての仕様更新パラメータを出力するように機械学習された仕様更新パラメータ生成モジュールを備えている請求項又はに記載の作業車仕様変更システム。
【請求項8】
前記車載装置における変更可能な前記仕様を細分化した細分化仕様データを管理する仕様情報管理部が備えられ、仕様更新対象となる前記車載装置の前記細分化仕様データが前記仕様変更特徴データの生成のために用いられる請求項に記載の作業車仕様変更システム。
【請求項9】
前記ユーザの仕様更新履歴を格納する仕様更新履歴データベースが備えられ、前記仕様更新履歴データベースから抽出された前記ユーザの仕様更新履歴が前記仕様変更特徴データの生成に用いられる請求項又はに記載の作業車仕様変更システム。
【請求項10】
前記仕様更新情報生成部は、前記仕様変更特徴データに基づいて、仕様更新を規定する仕様更新パラメータ群を生成し、かつ前記仕様更新パラメータ群から前記車載装置の前記仕様を変更する更新プログラムを前記仕様更新情報として生成する請求項からのいずれか一項に記載の作業車仕様変更システム。
【請求項11】
前記仕様更新情報生成部は、前記作業車の制御ユニット又は前記ユーザの携帯端末あるいはその両方とデータ通信可能なクラウドコンピューティングシステムに構築されている請求項1から10のいずれか一項に記載の作業車仕様変更システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車の車載装置の仕様を変更する作業車仕様変更システムに関する
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作する左右の操作レバーによって、旋回用油圧モータ、ブーム用油圧シリンダ、アーム用油圧シリンダ、バケット用油圧シリンダなどの油圧動作機器を操作するバックホウが開示されている。操作レバーの左右方向・前後方向への操作方向の操作をどの油圧動作機器に割り当てるかは、予め用意されている複数の操作パターンから1つの操作パターンを選択することによって決定される。この操作パターンの選択(仕様変更の一例)は、ユーザによって操作される操作パターン切換スイッチを通じて行われる。
【0003】
特許文献2には、運転者が車両の操作部を操作することで制御仕様の変更が指示されると、運転者の携帯端末を中継デバイスとしてサーバから仕様変更用データが配信され、この仕様変更用データを用いて車両の仕様変更処理部が制御仕様を変更する制御仕様変更システムが開示されている。
【0004】
特許文献3には、運転者の能力を客観的に測定し、運転手の能力に合わせて、車両に搭載されているユーザインターフェースをカスタマイズする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-270368号公報
【文献】特開2016-000570号公報
【文献】特許第5794309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたバックホウでは、操作者が操作パターン切換用スイッチを操作すると、パターン指示信号が出力され、これに応じてコントローラが操作パターンの中から1つの操作パターンが選択される。この選択された操作パターンに基づいて、左右の揺動式の操作レバーからの操作信号に対し駆動信号が生成される。この駆動信号は、対応する油圧機器のための電磁弁に与えられる。この構成では、操作者が操作パターン切換用スイッチのスイッチ位置に割り当てられている操作パターンを把握していないと、所望する操作レバーの揺動方向と油圧機器との関係を得るまでに、試行錯誤することになる。また、操作パターン切換用スイッチの操作により、操作レバーの揺動方向と油圧機器との関係が予め設定されているパターンで変更されるだけであり、操作者の個人的なイメージに合うような操作感覚を得るための変更は、困難である。
【0007】
特許文献2に開示された制御仕様変更システムでは、運転者は、携帯端末を用いて遠隔地のサーバに仕様変更指令を送ることで、サーバで生成された仕様変更用データが車両の制御装置にダウンロードされ、車両の仕様変更が行われる。運転者は、サーバに仕様変更指令を送るだけであり、運転者が所望する仕様変更内容はサーバに伝えられない。従って、運転者の感覚に合うように、車両の仕様を変更することは困難である。
【0008】
特許文献3に開示された車両インタフェース変更システムでは、車両の制御システムが、運転者の能力を客観的に測定し、この客観的測定値に基づいて車両インタフェースが変更されるので、運転者自身の要望が必ずしも反映されるとはかぎらない。
【0009】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、運転者の感覚にできるだけ合うように、作業車の仕様を変更することができる作業車仕様変更システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による作業車仕様変更システムは、作業車を運転するユーザによって入力操作される操作デバイスから送られてきた、前記作業車の車載装置の仕様を変更するための自由文形式の仕様変更依頼を受け付ける情報入力部と、前記仕様変更依頼に基づいて仕様更新情報を生成する仕様更新情報生成部と、前記作業車に前記仕様更新情報を配信する情報出力部と、を備え、前記車載装置には、ユーザによって操作される操作具と前記操作具の操作によって生成された操作信号に基づいて前記作業車の機器を制御する制御信号を生成する機器制御部を備えた機器操作装置が含まれており、前記操作具の操作と前記機器制御部の前記制御信号とを関係付ける操作パターンは、前記仕様更新情報によって変更可能である。
【0011】
この構成では、作業車の運転者が、走行状態や作業状態に違和感を持った場合、その違和感、またはその違和感を解消するための提案、あるいはその両方を含む自由文形式で記述された仕様変更依頼が操作デバイスによって作成され、作業車仕様変更システムの情報入力部に送られる。この自由文形式で記述された仕様変更依頼には、曖昧な語句、未確定な語句、話し言葉的な語句、方言などが含まれてもよい。情報入力部で受け付けられた自由文形式の仕様変更依頼に基づいて、持つ走行状態や作業状態に関する運転者の違和感を解消するための仕様更新情報が生成され、作業車に送られる。作業車側では、この仕様更新情報に基づいて、作業車の仕様が変更される。運転者(ユーザ)の入力操作に基づいて操作デバイスによって作成される仕様変更依頼は自由文形式であるので、仕様変更依頼は、例えば、単語の羅列、話し言葉、感覚的な用語などを用いて表現したものでよいし、定型入力であるか不定形入力であるかを問わず入力内容そのものであってもよい。したがって、作業走行において感じた違和感、またはその違和感を解消するための提案は、運転者の率直な言葉で表現される。これにより、仕様変更後の作業車は違和感のない作業走行が可能となる。また、操作デバイスはユーザが選択的に定型入力操作可能なものであってもよい。例えば、ユーザは車両挙動や操作性に対する感想や希望など定型的な項目を選択して入力し、その入力結果を自由文形式で記述された仕様変更依頼として作成されてもよい。最終的に情報入力部に送られる仕様変更依頼が自由文形式で記述されていれば、ユーザによる提案の入力操作の形態は限定されない。仕様変更依頼の内容は、定型入力された結果を列挙しただけでもよいし、話し言葉などの自由文形式の文(不定形に入力されたもの)であってもよい。また、ユーザによって操作される操作具の動きによって、その動作が変化する種々の動作機器が、作業車に搭載されている。操作具の動きと動作機器の動作との関係は、運転者の操作感に影響を与えるので、この関係の変更が、仕様変更の目的の一つとなる。この仕様変更によって、運転者の嗜好に合った操作パターン、作業別に規定されている操作パターン、国別や地域別に規定されている操作パターンが作り出されると、好都合である。
【0012】
作業車は、安全率を考慮した設計上の制限事項があり、この制限事項を超える仕様変更は禁止される。また、作業車は公道を走行する場合もあり、国や自治体で規定されている禁止事項は遵守しなければならない。したがって、このような制限事項や禁止事項に基づいて仕様変更制限事項が設定され、この仕様変更制限事項は仕様更新情報の生成時に考慮される必要がある。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記車載装置の仕様変更における制限を示す仕様変更制限事項を管理する仕様変更制限管理部が備えられ、前記仕様更新情報生成部は、前記仕様変更制限事項を制限事項として前記仕様更新情報を生成する。なお、自治体または国によって定められている法規は適時改正されるので、法規に基づく禁止事項は、自動的にアップデートされ、国または地域毎にそれぞれ管理されるように構成されることが好ましい。
【0013】
自由文形式の仕様変更依頼から、仕様更新情報を生成するためには、仕様変更依頼に含まれている、走行状態や作業状態に関する違和感やその違和感を解消するための提案を正確に把握する必要がある。特に、運転者が、正確な技術用語(取扱説明書や諸元データに記載されて単語など)ではなく、話し言葉を用いて場合、適切な仕様更新情報を生成するためには、送られてきた仕様変更依頼は、正確な技術用語を用いた適切な仕様変更依頼に変換される必要がある。適切な仕様変更依頼から、運転者の作業走行における違和感が読み取られることで、この違和感を解消するための仕様変更特徴データが作成される。仕様変更特徴データは、仕様更新対象となる作業車の仕様を更新するために必要な制御データの集まりである仕様更新パラメータ群を導出するためのデータである。仕様更新パラメータ群には、例えば、操作入力と制御出力に変換するための変換テーブルを変更するためのデータ、作業車に装備されている種々の機器のインタフェースを変更するためのデータなどが含まれている。
【0014】
自由文形式の仕様変更依頼から仕様更新情報を生成するための構成の1つは、仕様変更に習熟している専門家の能力を利用することである。つまり、仕様変更依頼を読んで、記載されている語句が意味するところを理解し、仕様変更特徴データを作成する作業には、そのような専門家の能力が最適となる。専門家は、一般的な語句(話し言葉やも違いやすい語句を含む)と正確な技術用語とを対比して、仕様変更依頼を正確な技術用語で表現することができ、仕様変更依頼から読み出される語句を含む仕様変更事例を見つけ出すことができるからである。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記仕様変更依頼から専門家によって選択された特徴語句を用いて仕様変更特徴データを作成する仕様変更依頼処理部が備えられ、前記仕様更新情報生成部は前記仕様変更特徴データに基づいて前記仕様更新情報を生成する。
【0015】
一般的な語句と正確な技術用語とを対比させた対比辞書や技術用語とリンクしている多くの仕様変更事例を集積した仕様変更事例集がデータベース化されていると、特別に作業車の仕様変更に習熟している専門家でなくても、自由文形式の仕様変更依頼から仕様更新情報を生成することが可能となる。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記仕様変更依頼に用いられる依頼語句と、前記仕様変更特徴データで用いられる前記特徴語句とを関係付けた語句データベースが備えられており、前記語句データベースを参照して、前記仕様変更依頼から前記特徴語句が選択される。
【0016】
自由文形式の仕様変更依頼から仕様更新情報を生成するための構成の他の1つは、機械学習モデルなどの人工知能技術を用いて、実質的に人手に依らない自動化された構成である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記仕様変更依頼から仕様変更特徴データを生成する仕様変更依頼処理部が備えられ、前記仕様更新情報生成部は前記仕様変更特徴データに基づいて前記仕様更新情報を生成する。
【0017】
例えば、自由文形式の仕様変更依頼の内容をテキスト解析技術又は自然言語処理技術を用いて解析し、重要語句を抽出し、抽出された重要語句を技術用語に置き換えることで、技術用語を用いた仕様変更依頼が生成される。技術用語を用いた仕様変更依頼からは、適切な仕様変更特徴データの生成が可能となる。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記仕様変更依頼処理部は、前記仕様変更依頼を入力して、前記仕様変更特徴データを出力するように機械学習された自然言語処理モジュールを備えている。その際、重要語句と重要語句との関係を抽出する関係抽出技術が機械学習モデルに利用されると、さらに好都合である。
【0018】
さらに、仕様変更依頼処理部によって出力される仕様変更特徴データが、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた機械学習モデルの入力データとして適するように構成すれば、仕様変更特徴データから直接仕様更新パラメータを出力することも可能である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記仕様更新情報生成部は、前記仕様変更特徴データを入力して、前記仕様更新情報としての仕様更新パラメータを出力するように機械学習された仕様更新パラメータ生成モジュールを備えている。
【0019】
作業車の運転者が送られてくる仕様変更依頼に、トクタに装備された種々の制御機器の動作仕様変更、制御機器のインタフェースの仕様変更(モード変更)などが含まれる場合、変更可能な仕様は多様なものとなる。このため、仕様変更依頼から迅速かつ正確な仕様更新情報を生成するためには、変更可能な仕様は、クラス分けして、管理することが必要である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記車載装置における変更可能な前記仕様を細分化した細分化仕様データを管理する仕様情報管理部が備えられ、仕様更新対象となる前記車載装置の前記細分化仕様データが前記仕様変更特徴データの生成のために用いられる。
【0020】
作業車の運転者であるユーザは、作業内容によって、あるいはその時の気分によって、所望する仕様が頻繁に変わる可能性がある。逆に言えば、作業内容が同じであれば、あるいは気分が同じであれば、同じ仕様が所望されることになる。従って、同一ユーザの過去の仕様変更内容から、今回の仕様変更内容を確率的に推定することも可能である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ユーザの仕様更新履歴を格納する仕様更新履歴データベースが備えられ、前記仕様更新履歴データベースから抽出された前記ユーザの仕様更新履歴が前記仕様変更特徴データの生成に用いられる。
【0021】
作業車に送られる仕様更新情報が、仕様更新を実行する更新プログラムであれば、作業車の車載装置の仕様が迅速に変更される。仕様更新のために必要な仕様更新パラメータ(仕様更新パラメータ群)が得られると、更新プログラムは生成可能である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記仕様更新情報生成部は、前記仕様変更特徴データに基づいて、仕様更新を規定する仕様更新パラメータ群を生成し、かつ前記仕様更新パラメータ群から前記車載装置の前記仕様を変更する更新プログラムを前記仕様更新情報として生成する
【0022】
【0023】
作業車仕様変更システムは、多くの作業車によって利用されると、全体的なコストも低下する。このため、本発明の好適な実施形態の1つとして、前記仕様更新情報生成部は、前記作業車の制御ユニット又は前記ユーザの携帯端末あるいはその両方とデータ通信可能なクラウドコンピューティングシステムに構築されることが好ましい。
【0024】
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】作業車仕様変更システムの基本構成を示す模式図である。
図2】作業車仕様変更システムによって仕様変更可能な作業車の一例であるトラクタの側面図である。
図3】トラクタに装備された多機能操作具を有するアームレスト操作装置の斜視図である。
図4】トラクタの仕様変更に関する機能部を示す機能ブロック図である。
図5】作業車仕様変更管理コンピュータに構築された仕様変更に関する機能部を示す機能ブロック図である。
図6】仕様変更依頼から仕様更新情報が作成されるまでのデータの流れを示す模式図である。
図7】スマートフォンを用いた作業車仕様変更システムの機能ブロック図である。
図8】作業車仕様変更システムの別実施形態を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明による作業車仕様変更システムの1つの実施形態の基本構成図が図1に示されている。作業車WVの走行状態や作業状態に違和感を持った運転者が、操作デバイスMDを操作することで、作業車WVの車載装置VDの仕様を変更するための自由文形式の仕様変更依頼が作成される。この自由文形式の仕様変更依頼は、作業車WVの作業走行で運転者が感じる違和感をベースにした仕様変更指示である。例えば、「旋回操作の応答が遅い」、「機体の加速が悪い」、「エンジンの最高回転数を下げたい」、「最高車速を下げたい」等の作業車の動作特性、「作業装置の昇降制御感度を下げたい」などの作業装置特性、「警告表示の生成条件を変更(例えば、燃料切れの警告タイミングを早める、DPF再生の警告タイミングを早めるなど)」等の報知仕様、「メータパネルの表示が分かりにくい」、「タッチパネルの文字が小さい」等のUI(ユーザインターフェース)やHMI(ヒューマンインターフェース)の設計事項、「操作レバーの縦方向揺動操作で作業ユニットを上下動したい」等の操作部材や操作入力とアクチュエータとの関係性、「エンジン音が大きすぎる」等の運転者の改善要望といった内容が、自由文形式で記述された仕様変更依頼に含まれる。
【0027】
この仕様変更依頼は、操作デバイスMDからデータ通信網を通じて、作業車仕様変更システムが構築されている作業車仕様変更管理コンピュータ100の情報入力部50aに送信される。情報入力部50aが受け取った仕様変更依頼は、仕様更新情報生成部52に与えられる。仕様更新情報生成部52は、仕様変更依頼に基づいて、仕様更新情報を生成する。この仕様更新情報は、仕様変更依頼に示された運転者の要求を満たすように、作業車WVの特定の制御系(制御システム)の仕様を変更する情報(プログラム)である。但し、この仕様変更には、安全率を考慮した設計上の制限事項、国や自治体で規定されている禁止事項、などによって制限を受ける。このような作業車WVの仕様変更を制限する制限事項は、仕様変更制限管理部55で管理されている。このため、仕様更新情報生成部52は、仕様更新情報の生成時には、仕様変更制限事項を考慮する。仕様更新情報生成部52によって生成された仕様更新情報は、情報出力部50bから、データ通信網を通じて、作業車WVの制御系に送信される。作業車WVの制御系は、受け取った仕様更新情報に基づいて、仕様更新を実行する。
【0028】
以下、上述した作業車仕様変更システムの実施形態を具体的に説明する。
ここでは、作業車WVは、トラクタ1である。このトラクタ1は、図2で示されているように、前輪10aと後輪10bとによって支持されている車体の前部にエンジン11が搭載され、エンジン11の後方にトランスミッション12が搭載されている。車体の後方には作業装置13としてロータリ耕耘装置がリンク機構を介して昇降自在に装備されている。このトラクタ1は四輪駆動型であり、エンジン11の動力は、トランスミッション12に内装された走行用の変速機構を介して前輪10a及び後輪10bに伝達される。さらに、エンジン11の動力は、トランスミッション12から作業装置13にも伝達される。トランスミッション12の上方にキャビン14が配置されている。
【0029】
キャビン14の内部は運転空間として機能し、その前部には、前輪10aの操向操作を行うステアリングハンドル15が、ハンドルポスト16に支持されている。ハンドルポスト16の上面にはメータパネル17が設けられている。ステアリングハンドル15の後方に、運転座席18が配置されている。運転座席18の側方から前方にかけて、多機能操作具20を有するアームレスト操作装置2が設けられている。アームレスト操作装置2の前側には、操作デバイスMDとしてユーザインターフェース付き端末(以下、UI端末と略称する)3が設けられている。この実施形態では、UI端末3は、タッチパネル31を有するタブレット型コンピュータであり、運転者に種々の情報を視覚的に報知するとともに、運転者による操作指令を受け付けることができる。メータパネル17の表示モードや、UI端末3の表示モードを含むユーザインターフェースモードは、仕様更新情報によって、変更可能である。UI端末3は、汎用的な製品でもよいし、専用の別注製品などであってもよい。
【0030】
図3には、機器操作装置の一例であるアームレスト操作装置2を構成するアームレスト台2Aに、揺動可能に支持されたジョイスティックタイプの多機能操作具20が示されている。この多機能操作具20は、変更可能な種々の操作パターンで操作可能で、走行速度や作業速度を調整するために用いられる。多機能操作具20は、握り部20Aと、握り部20Aの左側から突き出した延長部20Bとを有する。延長部20Bには操作スイッチ群21が配置されている。操作スイッチ群21には、トランスミッション12の変速段を変更する走行操作スイッチ群と作業装置13の動作を制御する作業操作スイッチ群とが含まれている。多機能操作具20の揺動方向によって実現する動作(操作パターン)、及び操作スイッチ群21の各スイッチの操作によって実現する動作は、仕様更新情報によって、変更可能である。
【0031】
ここでは、アームレスト操作装置2、UI端末3、作業装置13、エンジン11、トランスミッション12、メータパネル17などは、トラクタ1の車載装置VDとして取り扱われ、仕様変更可能である。
【0032】
次に、図4を用いて、トラクタ1の仕様変更に関する機能部とデータの流れを説明する。トラクタ1の仕様変更に関する機能部には、仕様更新実行部40、通信部41、表示モード管理部42、信号変換テーブル43、機器操作装置を構成する機器制御部45が含まれており、これらはトラクタ1の制御ユニットに備えられている。
【0033】
機器制御部45は、センサ44から出力される操作信号としての検出信号を入力する。検出信号は、多機能操作具20の動きや操作スイッチ群21のスイッチング状態を示す。機器制御部45は、入力された検出信号に応答して、油圧機器やモータなどの対応する制御機器46に制御信号を与え、制御機器46の動きを制御する。検出信号と制御信号との信号変換関係、つまり多機能操作具20の動きや操作スイッチ群21のスイッチングと制御機器46の動きとの信号変換関係は、複数種類(複数モード)用意され、信号変換テーブル43に選択可能に格納されている。機器制御部45は、信号変換テーブル43によって選択された制御関係に基づいて、入力された検出信号に対する制御信号を出力する。したがって、仕様更新実行部40が、信号変換テーブル43に,受け取った仕様更新情報に基づく選択指令を信号変換テーブル43に与えることで、機器制御部45で用いられる信号変換関係が変更され、多機能操作具20の仕様が更新される。
【0034】
表示モード管理部42は、走行距離、エンジン回転数、車速、残燃料などの表示アイテムを表示するメータパネル17の表示モードを制御する。メータパネル17は、液晶ディスプレイ領域とランプ領域とを有し、表示モードを変更することで、液晶ディスプレイ領域で表示される表示アイテムの変更、表示アイテムのサイズや位置の変更、表示色の変更、ランプ領域のランプ色の変更などが可能である。仕様更新情報にメータパネル17に対する表示モードの変更が含まれていれば、仕様更新実行部40が、表示モード管理部42に変更指令を送る。表示モード管理部42は、変更指令に基づいて、メータパネル17の表示モードを変更する。これによりメータパネル17の表示仕様が更新される。
【0035】
UI端末3は、タッチパネル31、ユーザインターフェース32、VTアプリ33を備えている。VTアプリ33には、このUI端末3が、トラクタ1の作業走行に関する種々な情報を運転者に報知するためのアプリケーションプログラム、運転者による操作入力を支援するためのアプリケーションプログラム、仕様変更依頼を作成するためのアプリケーションプログラムが含まれている。ユーザインターフェース32は、タッチパネル31に表示される情報の配置、サイズ、色などを変更する機能を有する。したがって、仕様更新情報にUI端末3のユーザインターフェース32の変更が含まれていれば、仕様更新実行部40が、ユーザインターフェース32に変更指令を送る。これによりユーザインターフェース32の仕様が更新され、タッチパネル31での情報の表示状態が変更される。
【0036】
通信部41は、DCUとも呼ばれるデータ収集ユニットであり、トラクタ1の車載LANと接続されている。通信部41は、トラクタ1の各機能部及びUI端末3と、遠隔地の作業車仕様変更管理コンピュータ100との間のデータ交換(仕様変更依頼や仕様更新情報など)に利用される。
【0037】
次に、図5を用いて、クラウドコンピューティングシステムとして構築された作業車仕様変更管理コンピュータ100を説明する。この作業車仕様変更管理コンピュータ100はデータベース56を備えている。作業車仕様変更管理コンピュータ100の仕様変更に関する機能部には、入出力データ処理部50、仕様変更依頼処理部51、仕様更新情報生成部52、ユーザ管理部53、仕様情報管理部54、仕様変更制限管理部55が含まれている。
【0038】
入出力データ処理部50は、インターネットなどのデータ通信回線と接続しており、種々の情報の入力及び出力に関する処理を行う。この入出力データ処理部50に、トラクタ1からの仕様変更依頼を受け付ける情報入力部50a、及び仕様更新情報生成部52で生成された仕様更新情報をトラクタ1に送り出す情報出力部50bが含まれている。
【0039】
仕様変更依頼処理部51は、トラクタ1から受け取った自由文形式で記述された仕様変更依頼から仕様変更特徴データを生成する。このような自由文形式の仕様変更依頼には、予め決められたキーワードのような定形句のリストではなく、話し言葉、感覚的な語句が含まれているので、自然言語処理技術を用いて、仕様変更依頼の要旨を読み取り、仕様変更を特徴付けるデータを生成する必要がある。このため、仕様変更依頼処理部51には、自然言語処理モジュール511が含まれている。
【0040】
仕様更新情報生成部52は、仕様変更依頼処理部51で生成された仕様変更特徴データから仕様更新パラメータを生成し、さらに仕様更新パラメータからトラクタ1で実行可能な更新プログラムを仕様更新情報として作成する。この実施形態では、AI技術を用いて仕様変更特徴データから複数の仕様更新パラメータからなる仕様更新パラメータ群を生成するために、仕様更新パラメータ生成モジュール521が備えられている。仕様更新パラメータ生成モジュール521は、ディープラーニング等のニューラルネットワークを用いた機械学習モデルであり、仕様変更特徴データを入力として、仕様更新パラメータ群を出力する。さらに、この仕様更新パラメータを用いて、更新プログラムを作成する更新プログラム化モジュール522も備えられている。
【0041】
この実施形態では、仕様変更依頼処理部51と仕様更新情報生成部52とが協働して、仕様変更依頼から、最終的に仕様更新情報としての更新プログラムを作成する。したがって、仕様変更依頼処理部51は、仕様更新情報生成部52に組み込んで一体化してもよい。
【0042】
データベース56には、ユーザ情報格納部561、機種別仕様情報格納部562、仕様更新履歴格納部(仕様更新履歴データベース)563、仕様変更制限情報格納部564が含まれている。ユーザ情報格納部561には、トラクタ1の運転者(ユーザ)に関するユーザ情報、ユーザが所有する作業車の情報、ユーザが作業車を用いて行う作業の情報などが格納される。ユーザ情報は、ユーザ管理部53によってユーザ識別コードを用いて管理されている。機種別仕様情報格納部562は、この作業車仕様変更システムの対象となる全ての機種の諸元データや仕様変更に関するデータが仕様情報として格納されている。仕様情報は、仕様情報管理部54によって作業車識別コードなどとリンクさせて管理されている。仕様更新履歴格納部563は、ユーザが過去に行った仕様変更における仕様の移行過程(更新前仕様から更新仕様へ)が分かる更新履歴データとして作業車別かつユーザ別に格納されている。更新履歴データは、ユーザ管理部53によってユーザ識別コードや作業車識別コードとリンクさせて管理されている。
【0043】
なお、機種別の仕様情報は膨大であり、仕様変更依頼に関連する仕様情報はその一部である。このため、仕様情報管理部54は、仕様情報を細分化した細分化仕様データとして管理しており、仕様情報管理部54は、仕様変更依頼処理部51からの仕様変更の対象となる領域を示す細分化仕様要求によって、適切な細分化仕様データを仕様情報として与えることができる。
【0044】
仕様変更制限情報格納部564は、仕様変更における制限を示す仕様変更制限事項が格納されている。仕様変更制限事項には、安全率を考慮した設計上の制限事項、国や自治体で規定されている禁止事項が含まれており、この仕様変更制限事項を仕様更新情報の生成に制限条件として適用することで、トラクタ1の使用現場での法規や規則に抵触するような仕様変更は禁止される。仕様変更制限事項は、全地域共通で適用される制限事項と、特定の地域で適用される制限事項とに分けて管理されている。トラクタ1の現在位置がユーザ管理部53によって管理されていれば、海外などにトラクタ1が持ち込まれて使用される場合、今まで国内で使用できていた仕様が自動的に禁止され、その国で許可される仕様に強制的に変更されるような更新プログラムを送ることも可能である。仕様変更制限事項は、仕様変更制限管理部55によって、ユーザ識別コードや作業車識別コードとリンクさせて管理されている。自治体または国によって定められている法規は適時改正されるので、仕様変更制限管理部55は、当該法規の改正が記録されているサーバや作業車メーカの広報サーバにアクセスして、仕様変更制限情報格納部564の内容を常にアップデートし、自治体または国または地域毎の情報として管理する。
【0045】
次に、図6を用いて、仕様変更依頼処理部51と仕様更新情報生成部52とにおける処理をより具体的に説明する。この実施形態では、仕様変更依頼処理部51が備える自然言語処理モジュール511は2つの機能を有する。第1の機能は、自由文形式で記述された仕様変更依頼から、適切な技術用語を用いた仕様変更依頼に置き換える機能である。この機能は、その内容をテキスト解析技術又は自然言語処理技術を用いて解析し、重要語句を抽出し、抽出された重要語句を技術用語に置き換えることで実現する。他の1つの機能は、適切な技術用語を用いた仕様変更依頼に加えて、作業車仕様データ、仕様変更履歴データ、仕様変更制限事項も入力データとして処理し、仕様変更特徴データを生成する機能である。仕様変更依頼には、仕様変更の内容だけでなく、仕様変更の対象となるトラクタ1を特定する作業車識別コード、トラクタ1の運転者(ユーザ)を特定するユーザ識別コード、トラクタ1の作業地の地図位置、などが付属しているので、作業車仕様データ、仕様変更履歴データ、仕様変更制限事項は、データベース56から読み出すことができる。
【0046】
仕様変更依頼処理部51から出力された仕様変更特徴データは、仕様更新情報生成部52の仕様更新パラメータ生成モジュール521に入力される。仕様更新パラメータ生成モジュール521から出力された仕様更新パラメータ群は、仕様更新の対象となる表示モード管理部42、信号変換テーブル43、UI端末3のユーザインターフェース32などに対する種々の仕様変更パラメータを含んでいる。この仕様更新パラメータ群を用いて、更新プログラム化モジュール522は、トラクタ1の仕様更新実行部40によって実行可能な更新プログラムを作成する。この更新プログラムは仕様更新情報として、情報出力部50bからトラクタ1に送信される。
【0047】
〔別実施の形態〕
(1)図7には、操作デバイスMDとして、UI端末3の代わりに、携帯端末としてのスマートフォン6を用いた作業車仕様変更システムが示されている。このスマートフォン6は、トラクタ1の運転者が携帯しているか、トラクタ1に付属しているものである。運転者は、仕様変更を要求する場合、スマートフォン6の仕様変更アプリ62を起動させ、タッチパネル61に表示される仕様変更依頼作成画面を通じて、仕様変更依頼を作成する。作成された仕様変更依頼は、スマートフォン6の通信機能を用いて、作業車仕様変更管理コンピュータ100に送信される。作業車仕様変更管理コンピュータ100で生成された仕様更新情報は、作業車仕様変更管理コンピュータ100の情報出力部50bとトラクタ1の通信部41との間のデータ通信により、トラクタ1の仕様更新実行部40に与えられる。この形態では、トラクタ1と遠く離れた場所からでも、当該トラクタ1のための仕様変更依頼の作成が可能である。
【0048】
(2)図8には、仕様変更依頼処理部51と仕様更新情報生成部52とにおける処理が、専門家の支援によって行われる作業車仕様変更システムが示されている。この実施形態では、仕様変更依頼処理部51と仕様更新情報生成部52とは、作業車仕様変更管理コンピュータ100から除外されており、作業車仕様変更管理コンピュータ100と通信回線を通じて接続されている端末コンピュータ7に備えられている。端末コンピュータ7は、仕様変更依頼処理部51と仕様更新情報生成部52とに類似する機能を有する仕様変更依頼処理部71と仕様更新情報生成部72とを備えている。端末コンピュータ7に備えられた仕様変更依頼処理部71は、自由文形式で記述された仕様変更依頼から専門家によって選択された特徴語句を用いて仕様変更特徴データを作成するように構成されている。具体的には、専門家は、モニタ7aとキーボード(マウスやパッドを含む)7bを用いて、仕様変更依頼を読んで、自然言語/特徴語辞書711を参照しながら、仕様変更依頼に記載されている語句が意味するところを理解し、対応する特徴語句を選択する。自然言語/特徴語辞書711は、定形の仕様変更依頼に用いられる依頼語句と、仕様変更特徴データで用いられる特徴語句とを関係付けた語句データベースとして、構成されている。また、図示されていないが、一般的な語句と正確な技術用語とを対比させた対比辞書、技術用語とリンクしている多くの仕様変更事例を集積した仕様変更事例集がデータベース化され、自然言語/特徴語辞書711にリンクされるような構成を採用してもよい。
【0049】
専門家は、仕様更新対象となる車載装置VDの仕様データ、仕様変更履歴データ、仕様変更制限事項をデータベース56から読み出して検討を行い、特徴語句を用いて最終的な仕様変更特徴データを作成する。仕様変更特徴データは、仕様更新情報生成部72に与えられる。仕様更新情報生成部72の構成は、上述した実施形態で、作業車仕様変更管理コンピュータ100に構築された仕様更新情報生成部52と実質的に同一であるので、作業車仕様変更管理コンピュータ100に備えてもよい。仕様更新情報生成部72に与えられた仕様変更特徴データは、仕様更新パラメータ生成モジュール721に入力される。これにより、仕様更新パラメータ生成モジュール721は仕様更新パラメータ群を出力する。さらに、仕様更新パラメータ群が更新プログラム化モジュール722に入力されることで、仕様更新情報としての更新プログラムが生成される。また、この実施形態の変形例として、仕様更新情報生成部52の仕様更新パラメータ生成モジュール721が有する機能を、専門家がデータベース化された仕様変更事例集などを用いて行う構成を採用してもよい。
【0050】
(3)図4から図8の機能ブロック図で示された各機能部は、他の機能部と合体させてもよいし、1つの機能部を複数の機能部に分離させてもよい。
【0051】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、トラクタ以外、田植機、コンバインなどの農作業機、さらには土木作業機、建設作業機などの作業車に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 :トラクタ
3 :UI端末
31 :タッチパネル
32 :ユーザインターフェース
33 :VTアプリ
6 :スマートフォン
61 :タッチパネル
62 :仕様変更アプリ
17 :メータパネル
20 :多機能操作具
40 :仕様更新実行部
41 :通信部
42 :表示モード管理部
43 :信号変換テーブル
45 :機器制御部
46 :制御機器
50a :情報入力部
50b :情報出力部
51 :仕様変更依頼処理部
511 :自然言語処理モジュール
52 :仕様更新情報生成部
521 :仕様更新パラメータ生成モジュール
522 :更新プログラム化モジュール
53 :ユーザ管理部
54 :仕様情報管理部
55 :仕様変更制限管理部
56 :データベース
563 :仕様更新履歴格納部(仕様更新履歴データベース)
564 :仕様変更制限情報格納部
7 :端末コンピュータ
71 :仕様変更依頼処理部
72 :仕様更新情報生成部
711 :自然言語/特徴語辞書(語句データベース)
721 :仕様更新パラメータ生成モジュール
722 :更新プログラム化モジュール
100 :作業車仕様変更管理コンピュータ
MD :操作デバイス
VD :車載装置
WV :作業車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8