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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】頭髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240628BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240628BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240628BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/73
A61Q5/00
A61Q5/02
A61Q5/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020122450
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2021091653
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2019220085
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】毛利 早智
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-150271(JP,A)
【文献】特表2016-538334(JP,A)
【文献】特開2018-043981(JP,A)
【文献】特開2013-006803(JP,A)
【文献】特開2002-161022(JP,A)
【文献】特開2018-016625(JP,A)
【文献】特開2003-048822(JP,A)
【文献】特開2017-095392(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008762(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/02
A61K 8/19
A61K 8/44
A61K 8/46
A61K 8/73
A61Q 5/00
A61Q 5/02
A61Q 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
成分(A)N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム並びにN-ステアロイル-L-グルタミン酸及びその塩よりなる群から選択される1種又は2種以上のアニオン性界面活性剤
成分(B)酸性多糖
成分(C)吸油量が100ml/100g以上であるシリカ
を含有する原液と、
成分(D)噴射剤
を含有する頭髪化粧料。
【請求項2】
成分(B)に対する成分(C)の含有質量割合(C)/(B)が、0.9~8.4である請求項1に記載の頭髪化粧料。
【請求項3】
成分(B)がキサンタンガムである請求項1または2に記載の頭髪化粧料。
【請求項4】
成分(C)が、成分(C1)平均粒子径が3~5μmであるシリカ、成分(C2)平均粒子径が20~40μmであるシリカよりなる群から選択される1種以上である請求項1~3のいずれかの項に記載の頭髪化粧料。
【請求項5】
液状油の原液中の含有量が1質量%未満である請求項1~4のいずれかの項に記載の頭髪化粧料。
【請求項6】
さらに成分(E)カプリル酸グリセリルを含有する請求項1~5のいずれかの項に記載の頭髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアニオン性界面活性剤と、酸性多糖類、特定のシリカ、噴射剤を含有する頭髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
噴射剤を含有する頭髪化粧料は、特に限定されないが、毛髪保護料、整髪料、ドライシャンプー等、広く一般に用いられる。この中でも、使用時に、特に洗い流しを行わないでも、洗浄感を感じることができる頭髪化粧料は、病気や災害等で入浴できない場合や、水を用いた洗髪ができない場合等、ドライシャンプー等のようにも使用され得る。
噴射剤を含有する頭髪化粧料として、具体的には、デンプン及び多孔質シリカを含み、デンプン及び多孔質シリカの含有量の質量比が特定であることを特徴とするドライシャンプー用組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、所定量の低級アルコール、特定の界面活性剤、所定量のEO鎖およびPO鎖を分子中に有さない水溶性高分子、および所定量の分子量300以下のエステル油を含む原液と液化ガスとからなる頭皮毛髪化粧料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-150271号公報
【文献】特開2017-109935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドライシャンプー用組成物においては、霧状に噴射する場合等、毛量の多い場合は頭皮に塗布しづらく、頭皮のべたつき感の除去に優れない場合があるという課題があった。また、粉体を含有した場合に、ケーキング等の発生により、経時安定性に優れない場合があるという課題があった。
特許文献2に記載の頭皮毛髪化粧料においては、塗布前における泡の耐久性や、塗布時における応力に対する泡もちに優れずに、頭皮や毛髪に使用する際の使用性に優れない場合があるという課題があった。
【0005】
本発明の課題は、頭皮のべたつき感の除去、泡の耐久性、応力に対する泡もち、経時安定性に優れる頭髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、噴射剤を含有する頭髪化粧料において、泡の耐久性、応力に対する泡もちに優れるために、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム並びにN-ステアロイル-L-グルタミン酸及びその塩よりなる群から選択される1種以上のアニオン性界面活性剤を含有することを検討したところ、依然として泡の耐久性、応力に対する泡もちに優れない場合があり、頭皮のべたつき感の除去、経時安定性にも優れない場合もあった。さらに、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、さらに、酸性多糖および所定のシリカを含有することによって、頭皮のべたつき感の除去、泡の耐久性、応力に対する泡もち、経時安定性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、以下を提供する。
[1]次の成分(A)~(C);成分(A)N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム並びにN-ステアロイル-L-グルタミン酸及びその塩よりなる群から選択される1種又は2種以上のアニオン性界面活性剤成分(B)酸性多糖成分(C)吸油量が100ml/100g以上であるシリカを含有する原液と、成分(D)噴射剤を含有する頭髪化粧料。
【0008】
[2]成分(B)に対する成分(C)の含有質量割合(C)/(B)が、0.9~8.4である1に記載の頭髪化粧料。
【0009】
[3]成分(B)がキサンタンガムである[1]または[2]に記載の頭髪化粧料。
【0010】
[4]成分(C)が、成分(C1)平均粒子径が3~5μmであるシリカ、成分(C2)平均粒子径が20~40μmであるシリカよりなる群から選択される1種以上である[1]~[3]のいずれかの項に記載の頭髪化粧料。
【0011】
[5]液状油の原液中の含有量が1質量%未満である[1]~[4]のいずれかの項に記載の頭髪化粧料。
【0012】
[6]さらに成分(E)カプリル酸グリセリルを含有する[1]~[5]のいずれかの項に記載の頭髪化粧料。
【発明の効果】
【0013】
本発明の頭髪化粧料は、頭皮のべたつき感の除去、泡の耐久性、応力に対する泡もち、経時安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書においては、「~」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
【0015】
本発明に用いられる成分(A)は、N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム並びにN-ステアロイル-L-グルタミン酸及びその塩よりなる群から選択される1種又は2種以上のアニオン性界面活性剤である。N-ステアロイル-L-グルタミン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、粘度安定性及び乳化安定性の観点からN-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムよりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0016】
本発明に用いられる成分(A)の原液中の含有量は、特に限定されないが、泡の耐久性の観点から0.1~1.5質量%(以下、単に「%」という)が好ましく、0.3~0.8%がより好ましい。
【0017】
本発明に用いられる成分(B)は、酸性多糖である。酸性多糖は、特に限定されないが、酸性基を有する多糖である。前記酸性基としては、特に限定されないが、カルボン酸基、スルホン酸基が挙げられる。
【0018】
成分(B)酸性多糖としては、特に限定されないが、泡の耐久性、応力に対する泡もち、経時安定性の観点から酸性ムコ多糖、キサンタンガム及びジェランガムよりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、キサンタンガムがさらにより好ましい。
【0019】
前記酸性ムコ多糖としては、特に限定されないが、ヒアルロン酸、コンドロイチン及びアルギン酸、並びにその誘導体又は塩が挙げられる。前記誘導体としては、特に限定されないが、アセチル化体が挙げられる。また前記塩としては、特に限定されないが、薬学的又は生学的に許容される塩が挙げられ、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等を挙げることができる。
【0020】
酸性ムコ多糖の中では、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸カリウム、アセチル化アルロン酸カルシウム、アセチル化ヒアルロン酸マグネシウム及びアセチル化ヒアルロン酸亜鉛よりなる群から選択される1種又は2種以上が好ましい。
【0021】
キサンタンガムは、ブドウ糖等炭水化物をキサントマナス属菌により発酵させて得られる微生物由来の天然ガム質である。このようなキサンタンガムは、通常の化粧料に使用されているものであれば特に限定されない。市販品としては、GLINSTED XANTHAN CLEAR 80(DANISCO社製)、エコーガム(五協産業社製)、ケルトロール(香栄興業社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる成分(B)の原液中の含有量は、特に限定されないが、泡の耐久性、応力に対する泡もちの点からは、0.5~1.5%が好ましく、0.5~1.0%が好ましく、0.7~0.85%がより好ましい。
【0023】
本発明に用いられる成分(C)は吸油量が100ml/100g以上であるシリカである。
【0024】
本発明に用いられる成分(C)の吸油量は、100ml/100g以上である。成分(C)の吸油量が、100ml/100g未満である場合には、頭皮のべたつき感の除去、経時安定性に優れない場合がある。
本発明に用いられる成分(C)の吸油量は、頭皮のべたつき感の除去、経時安定性の点で、130mL/100g以上であることが好ましく、130~600mL/100gであることがより好ましく、130~450mL/100gであることがさらにより好ましい。
【0025】
吸油量の測定
シリカ1.5gを薬包紙に採取し、ガラス測定板に移す。次に、煮あまに油(JIS K 5101に規定するもの)をビュレットから1回に4、5滴ずつ試料に滴下し、全体をヘラで練り合わせる。この滴下と練り合わせを繰り返し、螺旋形を巻く状態となったときを終点とし、以下の式にて、吸油量を算出する。
吸油量(mL/100g)=(A/W)×100
(Aは煮あまに油の滴下量(mL)、Wは試料の採取量(g)を表す)
【0026】
本発明に用いられる成分(C)は、特に限定されないが、経時安定性に優れる点で、成分(C1)平均粒子径が3~5μmであるシリカ、成分(C2)平均粒子径が20~40μmであるシリカよりなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましく、成分(C)が、成分(C1)よりなる群および成分(C2)よりなる群からそれぞれ選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
【0027】
平均粒子径の測定
シリカを40質量%のグリセリン含有水溶液に分散させてなるスラリー液(固形分濃度0.1質量%)を調製し、これを超音波発生装置(iuch社製、US-2型)にかけて5分間、分散処理を施す。次いで、前記グリセリン水溶液を加えて濃度を調節した分散液より試料を取り、これをガラスセル(長さ10mm、幅10mm、高さ45cmのサイズ)に入れ、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製:CAPA-700)を用いて、平均粒子径を測定する。
【0028】
本発明に用いられる成分(C)の比表面積は、特に限定されないが、経時安定性に優れる点で、75~260m/gが好ましく、100~200m/gがより好ましい。
【0029】
比表面積の測定
シリカを磁性ルツボ(B-2型)に約30mL採取し、150℃の温度で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、これを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m/g)をN-BET法にて測定する。
【0030】
成分(C)としては、サイリシア、サイロピュア、コスメシリカ(富士シリシア化学社製)、ゴッドボール(鈴木油脂社製)、チキソシル(ローディア社製)、ソルボシル(イネオスシリカ社製)、ファインシール(トクヤマ社製)、ニップジェル(東ソー・シリカ社製)の市販品を用いることができる。
【0031】
本発明に用いられる成分(C)の原液中の含有量は、特に限定されないが、泡の耐久性、応力に対する泡もち、経時安定性の点から、1~4%が好ましく、1.4~3.5%が好ましく、2.1~3.2%がより好ましい。
【0032】
本発明に用いられる成分(B)に対する成分(C)の含有質量割合(C)/(B)は、特に限定されないが、泡の耐久性、応力に対する泡もち、経時安定性の点から、0.9~8.4が好ましく、1.4~7.0であることがより好ましく、2.8~5.6であることがさらにより好ましい。
【0033】
本発明に用いられる成分(D)は、従来使用されている噴射剤を特に制限なく含有することができ、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン等の液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス等の圧縮ガス等が挙げられる。これらは1種又は2種以上含有することができる。泡の耐久性、応力に対する泡もちの点から、成分(D)は液化石油ガス(LPG)であることが好ましい。
【0034】
本発明に用いられる成分(D)の原液に対する含有質量割合(D)/(原液)は、特に限定されないが、泡の耐久性、応力に対する泡もちの観点から3/97~15/85が好ましく、4/96~8/92がより好ましい。
【0035】
本発明の頭髪化粧料には、さらに、成分(E)カプリル酸グリセリルを含有させることが好ましい。カプリル酸グリセリルとは、カプリル酸とグリセリンのモノエステル化合物である。頭皮のべたつき除去の点で、成分(E)が含有されることが好ましい。
【0036】
本発明に用いられる成分(E)の原液中の含有量は、特に限定されないが、頭皮のべたつき除去の観点から0.001~1%が好ましく、0.01~0.1%がより好ましい。
【0037】
本発明に用いられる成分(B)に対する成分(E)の含有質量割合(E)/(B)は、特に限定されないが、頭皮のべたつき除去の点から、0.001~0.1が好ましく、0.01~0.1であることがより好ましい。
【0038】
本発明の頭髪化粧料には、上記成分の他に、必要に応じ本発明の効果を損なわない範囲において任意成分を使用することができる。任意成分としては、例えば、固形油、液状油、粉体、紫外線散乱剤、防腐剤、香料等が挙げられる。
【0039】
本発明の頭髪化粧料は、特に限定されないが、泡の耐久性、頭皮のべたつき除去、応力に対する泡もちの点から、液状油の原液中の含有量が1%未満であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらにより好ましい。本発明において液状油とは、25℃、1気圧下で、液状の性状であり、通常の化粧料に使用される油剤であれば特に限定されるものではないが、粘度が20000mPa・s以下であることが好ましく、0~10000mPa・sであることがより好ましく、0~4000mPa・sであることがさらにより好ましい。ここで、本発明における粘度は、25℃で、BM粘度計(東機産業社製)を用いて、ローターNo.3、12rpm、1分で測定し、粘度が10000mPa・sを超えた場合は、ローターNo.3、6rpm、1分で測定した値である。
また、液状油としては、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、炭化水素類、油脂類、エステル油類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。さらに具体的には、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン等の炭化水素類、オリーブ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オリーブ脂肪酸エチル、オレイン酸オレイル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、カプリル酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2-オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、オクチルドデカノール(2-オクチルドデカノール)、2-ヘキシルデカノール、2-デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ホホバアルコール及びデシルテトラデシルアルコール等の高級アルコール類、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の高級脂肪酸類、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン油類、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、酢酸トコフェロール、トコフェロールが挙げられる。
【0040】
本発明の頭髪化粧料の原液は、特に限定されずに、液状、ゲル状、ペースト状、クリーム状等、適宜選択できる。ここで、原液は、頭髪化粧料中の噴射剤を除く組成物とする。本発明における頭髪化粧料の原液は、泡の耐久性、経時安定性、泡の吐出性の点から、25℃における粘度が、500m~20000mPa・sであるのが好ましく、1000~10000mPa・sがより好ましく、1500~7000mPa・sがさらに好ましい。
【0041】
本発明の頭髪化粧料は、原液と噴射剤とをエアゾール型スプレー容器に充填して、エアゾール化粧料として使用することが可能である。頭皮のべたつき除去、頭皮または毛髪への塗布のしやすさの点から、本発明の頭髪化粧料は、容器からの吐出時に泡沫状であることが好ましい。溶剤として、本発明の頭髪化粧料は、水又は低級のアルコールを含有することができ、水を含有した液状のものが好ましく、水及び低級のアルコールを含有した液状のものがより好ましい。本発明の頭髪化粧料中の低級アルコールの原液中の含有量は、泡の耐久性、頭皮のべたつき除去の点から、5~20%であることが好ましい。
【0042】
本発明の頭髪化粧料は、特に限定されるものではなく常法により調製されるが、例えば、ミキサーを用いて、水系成分に高分子を膨潤させたのち、粉体・油系成分等を添加し、最終的に均一に混合する等の方法により原液を得ることができる。その後、調製した原液を耐圧容器に充填し、容器にエアゾールバルブを固着した後、該バルブを通じて噴射剤を注入する。更に、前記エアゾールバルブに目的に応じた噴射部材を取り付けることができる。この時、エアゾール容器は頭髪化粧料に用いられる缶容器や内面樹脂被覆の缶容器、樹脂容器等を使用することが好ましいが、透明ガラス容器や陶器の容器等、他の材質の容器を使用しても良い。
【0043】
本発明の頭髪化粧料は、特に限定されず、頭皮または毛髪に使用することができる。頭皮のべたつき除去、応力に対する泡もちの点から、頭皮に使用することが好ましく、頭皮と毛髪の両方に使用することがより好ましい。本発明の頭髪化粧料は、使用における簡便性の点から、洗い流しを不要として用いることが好ましい。本発明の頭髪化粧料は、特に限定されないが、ドライシャンプー、ヘアコンディショニング剤、ヘアスタイリング剤、頭皮用美容液等として用いるのが好ましく、頭皮のべたつき除去の点から、ドライシャンプーとして用いることがより好ましい。
【実施例
【0044】
次に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0045】
〔実施例1~13及び比較例1~10〕
表1に示す処方により、頭髪化粧品(ドライシャンプー)を調製し、「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」「応力に対する泡もち」及び「経時安定性」について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
〔製造方法〕
A:成分(1)~(3)、成分(16)~(18)、および成分(21)のうち30%を60℃にて均一に加温溶解する。
B:成分(21)のうちの残りの70%を加熱し、成分(5)~(10)を加え分散し、冷却したのち成分(4)を加える。
C:AとBを混合し均一に混合する。
D:Cに成分(11)~(15)、成分(19)、成分(20)を加え混合し、原液を得た。
E:Dで得られた原液を耐圧容器に充填した後バルブを固着し、バルブを通して噴射剤であるLPGを耐圧容器に充填し、頭髪化粧品(ドライシャンプー)を得た。
【0048】
〔評価方法1〕泡の耐久性
泡の耐久性は、実施例および比較例の頭髪化粧品(ドライシャンプー)について、泡末噴出のエアゾール容器にて3秒間吐出した場合の泡の耐久時間を下記(イ)の判定基準に従って判定した。
(イ)判定基準
[判定]:[耐久時間]
◎:泡が消失するまでの時間が7分以上
〇:泡が消失するまでの時間が5分以上、7分未満
△:泡が消失するまでの時間が3分以上、5分未満
×:泡が消失するまでの時間が3分未満
【0049】
〔評価方法2〕頭皮のべたつき除去
頭皮のべたつき除去は、10名の専門パネルにより、実施例および比較例の頭髪化粧品(ドライシャンプー)を頭皮へ適用し、水での洗い流しは行わず、適用後5分経過時の頭皮のべたつきを官能評価した。判定基準は下記(ロ)に従って判定した。
(ロ)判定基準
[判定]:[評価]
◎◎:塗布後、べたつきを感じないと答えた被験者の数が9人以上
◎:塗布後、べたつきを感じないと答えた被験者の数が8人以上、9人未満
〇:塗布後、べたつきを感じないと答えた被験者の数が6人以上、8人未満
△:塗布後、べたつきを感じないと答えた被験者の数が4人以上、6人未満
×:塗布後、べたつきを感じないと答えた被験者の数が4人未満
【0050】
〔評価方法3〕応力に対する泡もち
応力に対する泡もちは、泡末噴出のエアゾール容器にて3秒間、毛束に吐出した後、手指でなじませ、泡が消失する時間を測定した。判定基準は下記(ハ)に従って判定した。
(ハ)判定基準
[判定]:[応力に対する泡持ち]
◎:泡が消失した時間が、毛束になじませ始めて10秒後以上
〇:泡が消失した時間が、毛束になじませ始めて7秒以上、10秒未満
△:泡が消失した時間が、毛束になじませ始めて5秒以上、7秒未満
×:泡が消失した時間が、毛束になじませ始めて5秒未満
【0051】
〔評価方法4〕経時安定性
経時安定性は、透明耐圧ガラス製のエアゾール容器に8Φのステンレス球とともに充填した頭髪化粧品(ドライシャンプー)を40℃の恒温室に保管し、ケーキングが発生した時期を測定した。判定基準は下記(ニ)に従って判定した。エアゾール容器を縦に3回振った際に、ステンレス球が動かない場合に、ケーキングが発生したと評価した。
(ニ)判定基準
[判定]:[分離時期]
◎:ケーキング発生時点が6ヶ月を超える
〇:ケーキング発生時点が3ヶ月を超え、6ヶ月以内
△:ケーキング発生時点が1ヶ月を超え、3ヶ月以内
×:ケーキング発生時点が1ヶ月以内
【0052】
表1の結果から明らかなように、実施例1~13の頭髪化粧品(ドライシャンプー)は、「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」「応力に対する泡もち」「経時安定性」に優れた。
これに対して、成分(B)を含有せず、タマリンドガムを含有する比較例1、2は「泡から液体への変化の速さ」に優れない場合があった。成分(B)を含有せず、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する比較例3、4は、「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」「応力に対する泡もち」「経時安定性」に優れない場合があった。成分(B)を含有せず、ヒドロキシエチルセルロースを含有する比較例5は「応力に対する泡もち」「経時安定性」に優れない場合があった。成分(B)を含有せず、カルボマーを含有する比較例6は「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」に優れない場合があった。
成分(C)を含有せず、吸油量100ml/100g未満のシリカを含有する比較例7、8は「頭皮のべたつき除去」に優れない場合があった。成分(C)を含有せず、結晶セルロースを含有する比較例9は、「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」「応力に対する泡もち」において優れない場合があった。
成分(A)を含有せず、ステアリン酸を含有する比較例10は「応力に対する泡持ち」に優れない場合があった。
【0053】
実施例14:頭髪化粧料(ヘアムース)
(成分) (%)
1.エタノール 12
2.LPG 5
3.シリカ ※10 1.1
4.シリカ ※11 1.1
5.グリシン 1
6.(ビニルピロリドン/VA)コポリマー 1
7.BHT 0.01
8.EDTA-2Na 0.2
9.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
10.キサンタンガム 0.76
11.N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム 0.48
12.メチルパラベン 0.095
13.メントール 0.1
14.香料 0.1
15.水 残量
※10 コスメシリカCQ4(富士シリシア化学社製)
※11 ゴッドボールE-90C(鈴木油脂工業社製)
【0054】
〔製造方法〕
A:成分(11)~(12)および成分(15)のうち30%を60℃にて均一に加温溶解する。
B:成分(15)のうち70%を加熱し、成分(5)~(10)を加え分散し、冷却したのち成分(1)を加える。
C:AとBを混合し均一に混合する。
D:Cに成分(3)~(4)および(13)~(14)を加え混合し、原液を得た。
E:Dで得られた原液を耐圧容器に充填した後バルブを固着し、バルブを通して噴射剤である成分(2)を耐圧容器に充填し、頭髪化粧品(ヘアムース)を得た。
【0055】
実施例14の頭髪化粧料(ヘアムース)は「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」「応力に対する泡もち」「経時安定性」に優れたものであった。
【0056】
実施例15:ヘア用メークアップ化粧品
(成分) (%)
1.LPG 70
2.DME 10
3.エタノール 1
4.BHT 0.01
5.EDTA-2Na 0.2
6.キサンタンガム 0.5
7.シリカ ※10 0.7
8.シリカ ※11 0.5
9.シリカ ※12 0.5
10.N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム 0.48
11.メチルパラベン 0.095
12.酸化チタン 3
13.酸化亜鉛 1
14.酸化鉄 0.01
15.香料 0.2
16.水 残量
※12 ゴッドボールD11-796C(鈴木油脂工業社製)
【0057】
〔製造方法〕
A:成分(10)~(11)および成分(16)のうち30%を60℃にて均一に加温溶解する。
B:成分(16)のうち70%を加熱し、成分(4)~(6)を加え分散し、冷却したのち成分(3)を加える。
C:AとBを混合し均一に混合する。
D:Cに成分(7)~(9)および成分(12)~(15)を加え混合し、原液を得た。
E:Dで得られた原液を耐圧容器に充填した後バルブを固着し、バルブを通して噴射剤である成分(1)と成分(2)を耐圧容器に充填し、ヘア用メークアップ化粧品を得た。
【0058】
実施例15のヘア用メークアップ化粧品は「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」「応力に対する泡もち」「経時安定性」に優れたものであった。
【0059】
実施例16:頭皮用保湿化粧品
(成分) (%)
1.BG 20
2.グリセリン 10
3.LPG 3
4.オレイン酸ポリグリセリル-10 2
5.セテアリルアルコール 1.5
6.ベヘニルアルコール 1.2
7.EDTA-2Na 0.2
8.キサンタンガム 0.5
9.シリカ ※10 0.7
10.シリカ ※11 0.3
11.シリカ ※13 0.4
12.N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム 0.3
13.トコフェロール 0.1
14.メチルパラベン 0.1
15.二酸化炭素 0.7
16.香料 0.1
17.水 残量
※13 シリカマイクロビードP-1505(日揮触媒社製)
【0060】
〔製造方法〕
A:成分(12)、(14)および成分(17)のうち30%を60℃にて均一に加温溶解する。
B:成分(17)のうち70%を加熱し、成分(1)、(2)、(4)~(8)を加え分散した。
C:AとBを混合し均一に混合する。
D:Cに成分(9)~(11)、(13)、(16)を加え混合し、原液を得た。
E:Dで得られた原液を耐圧容器に充填した後バルブを固着し、バルブを通して噴射剤である成分(3)と成分(15)を耐圧容器に充填し、頭皮用保湿化粧品を得た。
【0061】
実施例16の頭皮用保湿化粧品は「泡の耐久性」「頭皮のべたつき除去」「応力に対する泡もち」「経時安定性」に優れたものであった。