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  • 特許-繰出容器 図1
  • 特許-繰出容器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/12 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A45D40/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020181224
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072030
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】下谷 和彦
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183473(JP,A)
【文献】特開2018-105398(JP,A)
【文献】特開2007-107684(JP,A)
【文献】特開平09-121936(JP,A)
【文献】特開2020-025622(JP,A)
【文献】特開平11-137333(JP,A)
【文献】特開2020-018463(JP,A)
【文献】特開2019-097817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00-40/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる縦孔が形成された規制筒と、
上下方向に交差する径方向に前記縦孔を貫通するガイド突起を有し、前記規制筒の内側に設けられて棒状内容物を保持する保持筒と、
前記規制筒の周囲を取り囲み、前記規制筒に対して上下方向に延びる軸線回りに回転可能に設けられた外装筒と、
前記外装筒と前記規制筒との間に設けられるとともに、前記ガイド突起が係合する螺旋溝が形成された螺旋筒と、
前記外装筒と前記規制筒との間に設けられるとともに、前記外装筒に対する前記規制筒の相対回転に伴い前記規制筒に摺接する摺接部と、を備え、
前記螺旋筒及び前記摺接部は、前記外装筒及び前記規制筒よりも軟らかい軟材質により形成され、
前記螺旋筒、前記摺接部及び前記外装筒は、一体に形成されている繰出容器。
【請求項2】
前記規制筒は、
上下方向に延びる筒本体と、
前記筒本体から径方向の外側に突出し、前記摺接部に接触する突出部と、を備えている請求項1に記載の繰出容器。
【請求項3】
前記規制筒は、前記外装筒に対して上方に突出する操作筒を備え、
前記外装筒の内側には、前記外装筒に対する前記規制筒の上昇を規制する抜け止め筒が嵌合されている請求項1又は請求項2に記載の繰出容器。
【請求項4】
前記径方向において、前記外装筒の外周面から前記螺旋筒の内周面までの距離、前記外装筒の外周面から前記摺接部の内周面までの距離のうち最大距離は、1.45mm以上1.85mm以下に設定されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
繰出容器として、上下方向に延びる規制筒と、規制筒の内側に設けられ、棒状内容物を保持する保持筒と、規制筒の周囲を取り囲み、規制筒に対して上下方向に延びる軸線回りに回転可能に設けられた外装筒と、を備える構成が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。特許文献1に係る構成では、外装筒と規制筒との間に圧接体を介在させることで、外装筒と規制筒とのがたつきを抑制している。
この種の繰出容器では、規制筒と外装筒とを相対回転させることで、保持筒が規制筒及び外装筒に対して上下動する。これにより、規制筒及び外装筒から棒状内容物が突出し、棒状内容物を塗布等できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-208154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に係る構成では、部品点数の削減を図った上で、規制筒と外装筒との間でのがたつきの抑制と、繰出操作時における操作性の向上と、を両立させる点で未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明は、部品点数の削減を図った上で、規制筒と外装筒との間でのがたつきの抑制と、繰出操作時における操作性の向上と、を両立させることができる繰出容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る繰出容器は、上下方向に延びる縦孔が形成された規制筒と、上下方向に交差する径方向に前記縦孔を貫通するガイド突起を有し、前記規制筒の内側に設けられて棒状内容物を保持する保持筒と、前記規制筒の周囲を取り囲み、前記規制筒に対して上下方向に延びる軸線回りに回転可能に設けられた外装筒と、前記外装筒と前記規制筒との間に設けられるとともに、前記ガイド突起が係合する螺旋溝が形成された螺旋筒と、前記外装筒と前記規制筒との間に設けられるとともに、前記外装筒に対する前記規制筒の相対回転に伴い前記規制筒に摺接する摺接部と、を備え、前記螺旋筒及び前記摺接部は、前記外装筒及び前記規制筒よりも軟らかい軟材質により形成され、前記螺旋筒、前記摺接部及び前記外装筒は、一体に形成されている。
【0007】
本態様によれば、摺接部が軟材質により形成されているため、規制筒が摺接部を介して外装筒により径方向の外側から安定して保持される。その結果、規制筒と外装筒との間のがたつきを低減できる。
特に、繰出操作及び繰り下げ動作の際には、外装筒と規制筒との相対回転に伴い、摺接部が規制筒に摺接する。この場合、例えば規制筒と外装筒とが硬材質同士で形成された構成において、規制筒と外装体とのがたつきを抑制できる程度に締め代を設けた場合に比べ、外装筒と規制筒との摺動抵抗を軽減できる。これにより、外装筒と規制筒とのスムーズな相対回転を実現させることができる。
また、本態様では、外装筒、螺旋筒及び摺接部が一体に形成されているので、例えば摺接部(圧接体)を別体で設ける場合に比べ部品点数の増加や繰出容器の大型化を抑制できる。
その結果、本態様の繰出容器では、部品点数の削減を図った上で、規制筒と外装筒との間でのがたつきの抑制と、繰出操作時及び繰り下げ操作時における操作性の向上と、を両立させることができる。
【0008】
上記態様の繰出容器において、前記規制筒は、上下方向に延びる筒本体と、前記筒本体から径方向の外側に突出し、前記摺接部に接触する突出部と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、規制筒の一部(突出部)を摺接部に接触させることで、例えば筒本体の全体を摺接部に接触させる場合に比べ、摺動抵抗が増加し難い。また、突出部や摺接部の位置や形状等を変更するのみで、摺動抵抗や摺動箇所を変更できるので、設計の自由度を向上させることができる。
【0009】
上記態様の繰出容器において、前記規制筒は、前記外装筒に対して上方に突出する操作筒を備え、前記外装筒の内側には、前記外装筒に対する前記規制筒の上昇を規制する抜け止め筒が嵌合されていることが好ましい。
本態様によれば、螺旋筒及び摺接部よりも硬材質である外装筒に抜け止め筒を嵌合させることで、螺旋筒や摺接部に抜け止め筒を嵌合する場合に比べ、抜け止め筒を外装筒に安定して取り付けることができる。そのため、抜け止め筒の外れ等を抑制した上で、抜け止め筒の取付強度に支配されずに摺接部の弾性率等を設定することができる。
【0010】
上記態様の繰出容器において、前記径方向において、前記外装筒の外周面から前記螺旋筒の内周面までの距離、前記外装筒の外周面から前記摺接部の内周面までの距離のうち最大距離は、1.45mm以上1.85mm以下に設定されていることが好ましい。
本態様によれば、螺旋筒及び摺接部を軟材質で形成した場合にあっても、外装体(外装筒、螺旋筒及び摺接部)の強度を確保したまま、細い繰出容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品点数の削減を図った上で、規制筒と外装筒との間でのがたつきの抑制と、繰出操作時における操作性の向上と、を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る繰出容器の下部断面図である。
図2】本実施形態に係る繰出容器の上部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示す繰出容器1は、棒状内容物(不図示)を繰り出して使用する。棒状内容物は、例えば化粧料(口紅やリップクリーム、スティックアイシャドー等)や薬剤、糊等が挙げられる。
【0014】
繰出容器1は、筒状の容器本体5と、容器本体5に着脱可能に取り付けられる有頂筒状のキャップ6と、を備えている。容器本体5及びキャップ6は、それぞれの中心軸が共通軸として同軸に配置されている。以下の説明では、上述した共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。また、繰出容器1のうち、上下方向におけるキャップ6の頂壁側を上方といい、キャップ6の頂壁とは反対側を下方という。また、本実施形態では周方向のうち上方から見て時計回りに周回する方向を単に時計回り方向といい、その反対方向を反時計回り方向という。
【0015】
容器本体5は、外装体11と、規制筒12と、保持筒13と、抜け止め筒14と、を備えている。外装体11、規制筒12、保持筒13及び抜け止め筒14は、それぞれ容器軸Oと同軸に配置された筒状をなしている。
【0016】
外装体11は、外装筒21と、螺旋筒22と、摺接部23と、を備えている。外装体11は、例えば外装筒21を一次成形品としたインサート成形等により一体に形成されている。外装体11のうち、螺旋筒22及び摺接部23は、外装筒21よりも軟らかい軟材質により形成されている。本実施形態において、外装筒21に用いられる硬材質としては、例えばABS樹脂等が挙げられる。一方、螺旋筒22及び摺接部23に用いられる軟材質としては、例えばエラストマやニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム等が挙げられる。本実施形態において、螺旋筒22及び摺接部23は、例えば同一材料により同一の弾性率により形成されている。但し、螺旋筒22及び摺接部23は、少なくとも外装筒21よりも軟材質により形成されていれば、異種材料若しくは異なる弾性率で形成されていてもよい。また、外装体11は、インサート成形以外の方法で一体に形成することも可能である。
【0017】
外装筒21は、繰出容器1における下部の外殻を構成する。外装筒21は、外装基筒31と、外装フランジ32と、を備えている。
外装基筒31は、上下方向に延びている。なお、外装筒21の内周面が平面視で円形状に形成されていれば、外装基筒31の平面視外形は角形状等、適宜変更が可能である。
外装フランジ32は、外装基筒31の下端から径方向の内側に張り出している。
【0018】
螺旋筒22は、外装基筒31の内面に固定されている。螺旋筒22は、内装筒35と、突条36と、螺旋フランジ37と、を備えている。
【0019】
内装筒35は、外装基筒31の内周面のうち上端部を除く部分の全域に、上下方向及び周方向に亘って設けられている。内装筒35における径方向の厚さは、外装基筒31の径方向の厚さよりも薄い。但し、内装筒35の厚さは、適宜変更が可能である。外装基筒31のうち内装筒35よりも上方に突出した部分の内周面と、内装筒35の上端縁と、で囲まれた部分には、段部45が形成されている。段部45は、周方向の全周に亘って延びている。
【0020】
突条36は、内装筒35から径方向に突出している。突条36は、内装筒35の内周面上を上下方向に向かうに従い周方向に延びる螺旋状に形成されている。本実施形態では、上下方向に間隔をあけて配置された一対の突条36が、互いに平行に延びる二条ねじ状に形成されている。したがって、上下方向に沿う縦断面視において、上下方向で隣り合う突条36間の隙間は、螺旋状に延びる螺旋溝40が形成されている。なお、螺旋溝40は、内装筒35の内周面上で開口していてもよい。また、螺旋溝40は、二条ねじ状に限らず、一条であっても、三条以上であってもよい。
【0021】
螺旋フランジ37は、外装フランジ32の上面に固定されている。螺旋フランジ37の外周部分には、上方に向けて突出する下端保持部38が形成されている。
螺旋フランジ37の外周部分には、上方に向けて突出する内側保持部39が形成されている。内側保持部39の上端は、下端保持部38よりも上方に位置している。下端保持部38や内側保持部39は、螺旋フランジ37において、周方向の全周に亘って連続的に延びていても、周方向に間隔をあけて設けられていてもよい。
【0022】
摺接部23は、内装筒35の上端部から径方向の内側に突出している。本実施形態において、摺接部23は、一対の突条36の上端にそれぞれ連なって螺旋状に延びている。摺接部23は、内装筒35において、周方向の全周に亘って連続的に延びている。なお、摺接部23は、突条36の最上端よりも上方に、突条36とは独立して設けられていてもよい。この場合、摺接部23は、上下方向の同じ高さで環状に形成されていてもよく、周方向に間隔をあけて設けられていてもよい。
【0023】
摺接部23における内装筒35の内周面からの径方向への突出量は、突条36における内装筒35の内周面からの径方向への突出量と同等になっている。但し、摺接部23の突出量は、突条36の突出量よりも大きくても小さくてもよい。
縦断面視において、摺接部23は、上下方向を長手方向とする矩形状に形成されている。但し、摺接部23の縦断面視形状は、半円形状等、適宜変更が可能である。
【0024】
繰出容器1において、外装基筒31、内装筒35、突条36及び摺接部23は、外装体11の周壁部を構成している。外装フランジ32及び螺旋フランジ37は、外装体11の底壁を構成している。外装体11のうち周壁部の径方向での最大厚さD1(外装筒21の外周面から螺旋筒22の内周面までの距離、外装筒21の外周面から摺接部23の内周面までの距離のうち最大距離)は、1.45mm≦D1≦1.85mmの範囲に設定することが好ましい。また、周壁部のうち、外装筒21により構成された部分(外装基筒31)と、螺旋筒22及び摺接部23により構成された部分(内装筒35、突条36及び摺接部23)と、の径方向の厚さは、同等に設定されていることが好ましい。
【0025】
規制筒12は、外装体11の内側に設けられている。規制筒12は、筒本体51と、操作筒52と、を備えている。
筒本体51は、規制筒12の下部を構成する。筒本体51は、外装体11内に容器軸O回りに回転可能に収容されている。筒本体51は、外装体11の内側において、下端保持部38によって下方から支持されている。筒本体51の内側には、内側保持部39が筒本体51の下方から挿入されている。これにより、筒本体51は、内側保持部39によって径方向の内側から保持されている。なお、筒本体51の外周面と、突条36及び摺接部23と、の間には僅かに隙間が設けられている。
【0026】
筒本体51には、縦孔55が形成されている。縦孔55は、周方向に間隔をあけて複数(図示の例では、径方向で向かい合う位置に一対)設けられている。各縦孔55は、筒本体51を径方向に貫通するとともに、上下方向に延びるスリット状に形成されている。縦孔55は、筒本体51の下端縁上で開放されている。
【0027】
筒本体51の上端部において、摺接部23と径方向で向かい合う位置には、径方向の外側に突出する突出部56が形成されている。突出部56は、上下方向の同じ高さで筒本体51の全周に亘って連続して延びている。但し、突出部56は、周方向に間隔をあけて設けられていてもよい。また、突出部56は、例えば螺旋状に延在する構成であってもよい。
【0028】
突出部56は、縦断面視において、径方向の外側に向けて突の半円状に形成されている。本実施形態において、突出部56は、容器軸Oを間に挟んで径方向で対向する部分を少なくとも含む領域で摺接部23に当接している。但し、突出部56及び摺接部23は、周方向の全周に亘って当接していてもよい。なお、突出部56及び摺接部23は、周方向の何れかの箇所で接触している状態を維持していれば、上述したように突出部56及び摺接部23の少なくとも一方が周方向に間隔をあけて設けられていてもよい。突出部56及び摺接部23が間欠して設けられている場合には、本実施形態のように突出部56及び摺接部23は複数箇所で接触していることが好ましい。
【0029】
突出部56は、摺接部23を径方向の外側に弾性変形させた状態で、摺接部23に接触している。したがって、突出部56は、外装体11に対する規制筒12の回転に伴い、摺接部23に対して摺接する。なお、突出部56は、摺接部23に対して上下方向の少なくとも一部が径方向で向かい合っていればよい。また、突出部56の縦断面視形状は、矩形状等、半円状以外であってもよい。
【0030】
筒本体51のうち、突出部56よりも上方に位置する部分には、抜け止め突起58が形成されている。図示の例において、抜け止め突起58は、螺旋筒22よりも上方に位置している。抜け止め突起58は、筒本体51から径方向に突出している。なお、抜け止め突起58は、筒本体51の全周に亘って連続的に延びていても、周方向に間隔をあけて設けられていてもよい。
【0031】
図1図2に示すように、操作筒52は、規制筒12の上部を構成する。操作筒52は、筒本体51と一体、かつ同径に形成されている。操作筒52は、筒本体51から上方に延びている。操作筒52は、外装体11の上端開口部を通じて外装体11よりも上方に突出している。操作筒52は、規制筒12を回転操作する際の把持部として機能する。なお、操作筒52の上端開口縁は、上下方向に交差する方向に延びている。
【0032】
図1に示すように、保持筒13は、規制筒12の内側に設けられている。保持筒13は、ガイド筒61と、ガイド突起62と、を備えている。
ガイド筒61は、上下方向の長さが規制筒12よりも短くなっている。ガイド筒61は、保持筒13が少なくとも最下端位置にある状態において、規制筒12の内側に設けられている。ガイド筒61内には、棒状内容物が充填される。棒状内容物は、ガイド筒61から上方に突出した状態で充填される。なお、ガイド筒61の上端開口縁は、上下方向に交差する方向に延びている。
【0033】
ガイド突起62は、ガイド筒61の下端部から径方向の外側に突出している。本実施形態において、ガイド突起62は、各縦孔55と径方向で向かい合う位置にそれぞれ設けられている。ガイド突起62は、対応する縦孔55を通じて螺旋溝40内に進入している。すなわち、ガイド突起62は、縦孔55における上下方向に沿う側端縁によって周方向の両側から取り囲まれることで、規制筒12に対する周方向の移動が規制される一方、縦孔55内を上下動可能に設けられている。また、ガイド突起62は、螺旋溝40内を螺旋状に移動可能に設けられている。これにより、保持筒13は、外装体11に対して回転可能かつ上下動可能に設けられるとともに、規制筒12に対して回転不能かつ上下動可能に設けられている。
【0034】
抜け止め筒14は、下嵌合筒71と、上嵌合筒72と、突当部73と、を備えている。
下嵌合筒71は、外装筒21の上端開口部を通じて外装基筒31内に嵌合されている。具体的に、下嵌合筒71は、段部45の上面(螺旋筒22の上端縁)との間に間隔をあけた状態で、段部45の内周面(外装基筒31の内周面)に嵌合されている。下嵌合筒71と段部45の上面との間には、抜け止め突起58が介在している。下嵌合筒71は、抜け止め突起58が下嵌合筒71の下方から当接することで、外装体11に対する規制筒12の上方移動を規制する。
【0035】
上嵌合筒72は、下嵌合筒71と一体、かつ同径に形成されている。上嵌合筒72は、外装体11よりも上方に突出している。
突当部73は、上嵌合筒72の下端部から径方向の外側に突出している。突当部73は、下嵌合筒71が外装基筒31内に嵌合された状態において、外装基筒31の上端縁に近接又は当接している。
【0036】
キャップ6は、有頂筒状に形成されている。キャップ6の周壁部内には、操作筒52が挿入された状態で、上嵌合筒72が嵌合される。これにより、キャップ6が容器本体5に取り付けられる。
【0037】
次に、繰出容器1の使用方法について説明する。
繰出容器1を使用する際には、まずキャップ6を上嵌合筒72から取り外す。これにより、規制筒12(操作筒52)が外部に露出する。
【0038】
続いて、操作筒52と外装筒21とを把持した状態で、外装筒21に対して操作筒52外装筒21を例えば反時計回りに回転させる。すると、規制筒12及び保持筒13が外装体11に対して回転することで、ガイド突起62が螺旋溝40内を螺旋状に移動するとともに、縦孔55内を上方に移動する。その結果、保持筒13が外装体11及び規制筒12に対して上方に移動する。これにより、保持筒13に保持された棒状内容物が規制筒12の上端開口部を通して上方に繰り出される。この状態で、棒状内容物を被塗布部に対して塗布することで、被塗布部に対して棒状内容物の一部を付着させることができる。
【0039】
棒状内容物の塗布後、棒状内容物を繰り下げるには、操作筒52と外装筒21とを把持した状態で、外装筒21に対して操作筒52を例えば時計回りに回転させる。これにより、ガイド突起62が螺旋溝40内を螺旋状に移動するとともに、縦孔55内を下方に移動することで、保持筒13が外装体11及び規制筒12に対して下方に移動する。その結果、棒状内容物が規制筒12内に退避する。
その後、キャップ6を上嵌合筒72に装着することで、規制筒12(操作筒52)がキャップ6に覆われる。
【0040】
ここで、本実施形態の繰出容器1では、外装筒21に対する規制筒12の相対回転に伴い規制筒12に摺接する摺接部23が軟材質により形成される構成とした。
この構成によれば、外装体11の摺接部23が弾性変形した状態で突出部56に当接している。そのため、規制筒12が摺接部23を介して外装体11により径方向の外側から安定して保持される。その結果、規制筒12と外装体11との間のがたつきを低減できる。
特に、繰出操作及び繰り下げ動作の際には、外装体11と規制筒12との相対回転に伴い、摺接部23が突出部56に摺接する。この場合、例えば規制筒と外装体とが硬材質材料(外装筒の構成材料)同士で形成された構成において、規制筒と外装体とのがたつきを抑制できる程度に締め代を設けた場合に比べ、外装体11と規制筒12との摺動抵抗を軽減できる。これにより、外装体11と規制筒12とのスムーズな相対回転を実現させることができる。しかも、本実施形態の繰出容器1では、摺接部23が弾性変形した状態で突出部56に接触しているため、外装体11と規制筒12とが同軸に配置され易い。そのため、例えば規制筒と外装体とが硬材質(外装筒の構成材料)同士で形成された構成に比べ、外装体11と規制筒12との間に周方向の全周に亘って均等な荷重が生じやすい。したがって、外装体11と規制筒12との片当たりを抑制し、繰出操作や繰り下げ操作が阻害されるのを抑制できる。
また、本実施形態では、外装筒21、螺旋筒22及び摺接部23が一体に形成されているので、例えば摺接部(圧接体)を別体で設ける場合に比べ部品点数の増加や繰出容器1の大型化を抑制できる。
その結果、本実施形態の繰出容器1では、部品点数の削減を図った上で、規制筒12と外装体11との間でのがたつきの抑制と、繰出操作時及び繰り下げ操作時における操作性の向上と、を両立させることができる。
【0041】
本実施形態の繰出容器1では、規制筒12が摺接部23に接触する突出部56を備える構成とした。
この構成によれば、規制筒12の一部のみを摺接部23に接触させることで、例えば筒本体51の全体を摺接部23に接触させる場合に比べ、摺動抵抗が増加し難い。また、突出部56や摺接部23の位置や形状等を変更するのみで、摺動抵抗や摺動箇所を変更できるので、設計の自由度を向上させることができる。
【0042】
本実施形態の繰出容器1では、外装筒21の内側に抜け止め筒14が嵌合されている構成とした。
この構成によれば、螺旋筒22及び摺接部23よりも硬材質である外装筒21に抜け止め筒14を嵌合させることで、螺旋筒22や摺接部23に抜け止め筒14を嵌合する場合に比べ、抜け止め筒14を外装筒21に安定して取り付けることができる。そのため、抜け止め筒14の外れ等を抑制した上で、抜け止め筒14の取付強度に支配されずに摺接部23の弾性率等を設定することができる。
【0043】
本実施形態の繰出容器1では、外装体11のうち、周壁部の径方向での最大厚さD1が1.45mm≦D1≦1.85mmの範囲に設定されている構成とした。
この構成によれば、周壁部の径方向での最大厚さD1を1.45mm以上に設定されることで、外装体11の強度が確保し易い。一方、周壁部の径方向での最大厚さD1を1.85mm以下に設定されることで、外装体11を細くすることができる。すなわち、壁部の径方向での最大厚さD1を1.45mm≦D1≦1.85mmの範囲に設定することで、外装体11のうち、螺旋筒22及び摺接部23を軟材質で形成した場合にあっても、外装体11の強度を確保したまま、細い繰出容器1を提供することができる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、摺接部23が螺旋筒22を構成する内装筒35に連なっている構成について説明したが、この構成に限られない。摺接部23は、例えば外装筒21に連なっていてもよい。すなわち、外装筒21、螺旋筒22及び摺接部23が一体で形成されていれば、外装筒21、螺旋筒22及び摺接部23は互いに何れかの部材に連なっていればよく、外装筒21、螺旋筒22及び摺接部23の全てが互いに連なっている構成であってもよい。
【0045】
上述した実施形態では、摺接部23が外装筒21における上端部に配置された構成について説明したが、この構成に限られない。摺接部23は、外装筒21における上下方向や周方向で任意の位置に任意の数で設けることが可能である。
上述した実施形態では、規制筒12のうち突出部56が摺接部23に接触する構成について説明したが、この構成に限られない。規制筒12は、例えば筒本体51自体が摺接部23に接触する構成であってもよい。
上述した実施形態では、外装筒21の上端部を除く範囲で螺旋筒22や摺接部23が設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。外装筒21に対する螺旋筒22及び摺接部23の形成範囲は適宜変更が可能である。
【0046】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…繰出容器
12…規制筒
13…保持筒
14…抜け止め筒
21…外装筒
22…螺旋筒
23…摺接部
40…螺旋溝
51…筒本体
52…操作筒
55…縦孔
56…突出部
図1
図2