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  • 特許-映像信号増幅回路 図1
  • 特許-映像信号増幅回路 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】映像信号増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/48 20060101AFI20240628BHJP
   H03F 1/34 20060101ALI20240628BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20240628BHJP
   H04N 5/16 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H03F1/48
H03F1/34
H03F3/68
H04N5/16
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020187403
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076811
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 毅仙
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-274434(JP,A)
【文献】特開昭62-092596(JP,A)
【文献】特開2012-109932(JP,A)
【文献】特開2009-118214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0280436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/48
H03F 1/34
H03F 3/68
H04N 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力インピーダンスを変換するために前記増幅器の出力に配置されたバッファ回路と、前記バッファ回路と出力端子との間に配置された結合コンデンサと、出力端子とアースの間に配置した負荷抵抗とを備えた映像信号増幅回路であって、
前記結合コンデンサの出力側と入力側の信号波形の差分を取り、この差分を前記増幅器の入力に帰還させて、入力される映像信号に加算することを特徴とする映像信号増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像信号増幅回路に関し、詳しくはサグの発生を防止する機能を備えた映像信号増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号を増幅する回路は、増幅回路の出力に結合コンデンサやインピーダンスマッチングのための負荷抵抗が接続されており、この結合コンデンサと負荷抵抗の存在により出力信号にサグが発生し易い。
そのため、対策として増幅回路に、ローパスフィルタ回路、クランプ回路を設けた帰還路を設けてサグを補正したり(特許文献1参照)、負帰還回路に重帰還方式を採用し、別々の帰還路特性を設定したりした。
【0003】
図3はこの重帰還方式の増幅回路を示している。重帰還方式では、第1の帰還回路12で増幅器11の直流動作点を初段に帰還させ、動作点の移動を負帰還の効果で低減させると共に、第2の帰還回路13では負荷抵抗R10の端部の信号をHPF14を経由して負帰還をかけることで、低域周波数の利得が見かけ上ブーストされ、低域遮断周波数を下げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-184056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のサグ対策を施した増幅回路のうち、特許文献1の技術は、帰還路にローパスフィルタやクランプ回路が必要であり、構成する素子が多い。また重帰還方式を採用した回路は、双方の帰還回路の整合を取らないと不安定な状態となり、ブロッキング発振現象等が発生する場合があるため、設計の難易度が高い。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、特別な回路や整合調整が必要無く、簡易な帰還回路を備えるだけでサグの発生を防止できる映像信号増幅回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、映像信号を増幅する増幅器と、増幅器の出力インピーダンスを変換するために増幅器の出力に配置されたバッファ回路と、バッファ回路と出力端子との間に配置された結合コンデンサと、出力端子とアースの間に配置した負荷抵抗とを備えた映像信号増幅回路であって、結合コンデンサの出力側と入力側の信号波形の差分を取り、この差分を増幅器の入力に帰還させて、入力される映像信号に加算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、結合コンデンサ通過後と通過前の差分を取って帰還させる簡単な回路を設けるだけで、サグ成分波形と直流動作点電位を選択的に帰還させるため、帰還路の周波数特性を意識する必要が無く、信号成分変動を負帰還の効果でキャンセルでき、サグの発生を防止できる。加えて、周波数特性の整合を意識する必要が無く、ブロッキング発信等の懸念がない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る映像信号増幅回路の一例を示す回路図である。
図2図1の帰還路の動作説明図であり、(a)は帰還させる信号の周波数特性、(b)は増幅器の入力に帰還させる信号の周波数特性を示している。
図3】従来の重帰還路を備えた映像信号増幅回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る映像信号増幅回路の一例を示す回路図である。1は映像信号を増幅するメインアンプである増幅器、2は増幅器1の出力インピーダンスを変更するためのバッファ回路、3は減算器、4は加算器、5は帰還路、6は出力端子、C1は結合コンデンサである。尚、R1は第1抵抗、R2は第2抵抗(負荷抵抗)、C2は帰還コンデンサである。
【0011】
映像信号は加算器4を介して増幅器1で増幅され、増幅された信号はバッファ回路2、結合コンデンサC1、第1抵抗R1を介して出力端子6から出力される。第2抵抗R2は、出力端子6とアースとの間に配置されている。
【0012】
一方帰還路5は、結合コンデンサC1の通過前と通過後の信号を基に帰還信号を生成する。この帰還信号は、まず減算器3により結合コンデンサC1通過後と通過前の信号波形の差分を取る。尚、結合コンデンサC1通過後の信号は帰還コンデンサC2を介して減算器3に接続される。
これにより、サグ成分波形に直流動作点電位を加えた信号が生成される。こうして、生成された信号を帰還させ、増幅器1の入力に設けた加算器4により加算させる。
【0013】
図2はこのように帰還させる信号の説明図であり、(a)は結合コンデンサC1の前後から抽出される信号の周波数特性を示し、(b)は減算器3通過後で帰還させる信号を示している。S1が結合コンデンサC1通過前の信号、S2が通過後の信号、S3が減算器3の出力信号である。
こうして得た差分信号が増幅器1の入力信号に加算される。この結果、減算器3の負帰還の効果により、信号変動成分をキャンセルすることができる。
【0014】
このように、結合コンデンサC1通過後と通過前の差分を取って帰還させる簡単な回路を設けることで、サグ成分波形と直流動作点電位を選択的に帰還させるため、帰還路5の周波数特性を意識する必要が無く、信号成分変動を負帰還の効果でキャンセルでき、サグの発生を防止できる。加えて、周波数特性の整合を意識する必要が無く、ブロッキング発信等の懸念がない。
【符号の説明】
【0015】
1・・増幅器、2・・バッファ回路、3・・減算器、4・・加算器、5・・帰還路、C1・・結合コンデンサ、R2・・第2抵抗(負荷抵抗)。
図1
図2
図3