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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/68 20060101AFI20240628BHJP
   B60S 9/12 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B60S1/68
B60S9/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020197493
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085691
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-19949(JP,A)
【文献】米国特許第5188394(US,A)
【文献】特開平5-294216(JP,A)
【文献】実開平5-72625(JP,U)
【文献】特開2008-213568(JP,A)
【文献】実開昭54-179643(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/68
B60S 9/12
E02F 3/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の前タイヤ及び左右一対の後タイヤを回転可能に支持した車両本体と、
前記後タイヤより後方で前記車両本体に支持された排土ブレードとを備える作業車両であって、
前記車両本体及び前記排土ブレードに支持された泥落とし装置をさらに備え、
前記排土ブレードは、
地面から離間した離間位置と、
前記後タイヤを地面から離間させて前記車両本体を支持するように地面に接地されたジャッキアップ位置と、に移動可能に前記車両本体に支持され、
前記泥落とし装置は、
複数のプレートが折り畳み可能に相互に連結され、一端が前記車両本体に固定され、他端が前記排土ブレードに支持されたプレート連結部材と、
前記プレート連結部材における前記複数のプレートのうち、少なくとも1つのプレートの表面に突設されて、前記プレート連結部材が折り畳まれたときに前記後タイヤの外周面から離間し、前記プレート連結部材が展開されたときに前記後タイヤの外周面に接する泥落とし部材と、を備えることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
請求項1に記載の作業車両において、
前記泥落とし部材は、
前記車両本体の幅方向において、前記後タイヤの幅より離れて前記プレートから突出する一対の突出部と、
前記一対の突出部の間において、凹形状に湾曲する湾曲部とに屈曲された棒状の部材であって、
前記湾曲部の曲率半径は、前記後タイヤの外周面の曲率半径より大きいことを特徴とする作業車両。
【請求項3】
請求項2に記載の作業車両において、
左右一対の前記後タイヤそれぞれは、前記車両本体の幅方向に並んだ外側タイヤ及び内側タイヤを有するダブルタイヤであり、
前記泥落とし装置は、前記外側タイヤ及び前記内側タイヤそれぞれに対面する一対の泥落とし部材を備え、
前記一対の泥落とし部材は、前記車両本体の幅方向から見て互いにずれた位置に配置され、前記幅方向に直交する方向から見て前記湾曲部同士がオーバーラップしていることを特徴とする作業車両。
【請求項4】
請求項1に記載の作業車両において、
折り畳まれた前記泥落とし装置は、前記後タイヤの後上方を覆うことを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイール式の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前後左右にタイヤを回転可能に支持する車両本体と、車両本体に支持されて動作する作業機械とを備えるホイール式作業車両が知られている。このようなホイール式作業車両は、作業現場で作業をした後、次の作業現場や駐機場まで公道を自走して移動できるというメリットがある。
【0003】
但し、ホイール式作業車両の作業現場の多くは舗装されていないので、作業現場から公道に出る前にタイヤに付着した泥を除去する必要がある。そこで、タイヤの外周面に接するように、車両本体にボルトで締結可能な土落とし装置が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭51-120038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の土落とし装置は、タイヤの泥を落とす際に車両本体に取り付け、作業時及び走行時に車両本体から取り外す必要がある。そのため、作業者の作業負担が大きいと共に、次の作業現場に移動するのに余分な時間が掛かるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記した実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤに付着した泥を効率的に除去することができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、左右一対の前タイヤ及び左右一対の後タイヤを回転可能に支持した車両本体と、前記後タイヤより後方で前記車両本体に支持された排土ブレードとを備える作業車両であって、前記車両本体及び前記排土ブレードに支持された泥落とし装置をさらに備え、前記排土ブレードは、地面から離間した離間位置と、前記後タイヤを地面から離間させて前記車両本体を支持するように地面に接地されたジャッキアップ位置と、に移動可能に前記車両本体に支持され、前記泥落とし装置は、複数のプレートが折り畳み可能に相互に連結され、一端が前記車両本体に固定され、他端が前記排土ブレードに支持されたプレート連結部材と、前記プレート連結部材における前記複数のプレートのうち、少なくとも1つのプレートの表面に突設されて、前記プレート連結部材が折り畳まれたときに前記後タイヤの外周面から離間し、前記プレート連結部材が展開されたときに前記後タイヤの外周面に接する泥落とし部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タイヤに付着した泥を効率的に除去することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る作業車両の代表例である油圧ショベルの側面図である。
図2】油圧ショベルの後方下部の拡大図である。
図3】展開した泥落とし装置の斜視図である。
図4】後タイヤと泥落とし部材との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る作業車両の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る作業車両の代表例である油圧ショベル1の側面図である。なお、本明細書中の前後左右は、特に断らない限り、油圧ショベル1に搭乗して操作するオペレータの視点を基準としている。なお、作業車両の具体例は油圧ショベル1に限定されない。
【0011】
油圧ショベル1は、下部走行体2と、下部走行体2に支持された上部旋回体3とを備える。下部走行体2及び上部旋回体3は、車両本体の一例である。
【0012】
下部走行体2は、前方下部に回転自在に支持された左右一対の前タイヤ8fと、後方下部に回転自在に支持された左右一対の後タイヤ8rとを主に備える。油圧モータである走行モータ(図示省略)の駆動力がプロペラシャフト及びアクスルを介して伝達されると、前タイヤ8f及び後タイヤ8rが回転する。これにより、下部走行体2が走行する。
【0013】
図4に示すように、本実施形態に係る左右一対の後タイヤ8rそれぞれは、外側タイヤ8ro及び内側タイヤ8riを有するダブルタイヤである。外側タイヤ8ro及び内側タイヤ8riは、所定の間隔を隔てて下部走行体2の幅方向に並んで配置されている。なお図示は省略するが、左右一対の前タイヤ8fもダブルタイヤになっている。但し、前タイヤ8f及び後タイヤ8rは、シングルタイヤでもよい。
【0014】
また、下部走行体2は、左右一対の前フェンダ9fと、左右一対の後フェンダ9rとを備える。前フェンダ9f及び後フェンダ9rは、前タイヤ8f及後タイヤ8rの回転時に巻き上げられる泥を受ける。より詳細には、左右一対の前フェンダ9fは、左右一対の前タイヤ8fそれぞれの外周面から離間した位置において、対応する前タイヤ8fの直上方及び後上方を覆う。左右一対の後フェンダ9rは、左右一対の後タイヤ8rそれぞれの外周面から離間した位置において、対応する後タイヤ8rの前上方及び直上方を覆う。
【0015】
さらに、下部走行体2は、排土ブレード10と、左右一対の泥落とし装置20とを備える。排土ブレード10の詳細は図2を参照して後述し、泥落とし装置20の詳細は図2図4を参照して後述する。
【0016】
上部旋回体3は、旋回モータ(図示省略)によって旋回可能な状態で下部走行体2に支持されている。上部旋回体3は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の前端中央に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業機(作業装置)4と、旋回フレーム5の後部に配置されたカウンタウェイト6と、旋回フレーム5の前方左側に配置されたキャブ(運転席)7とを主に備える。
【0017】
本実施形態に係るフロント作業機4は、上部旋回体3に起伏可能に支持されたブーム4aと、ブーム4aの先端に揺動可能に支持されたアーム4bと、アーム4bの先端に揺動可能に支持されたバケット4cと、ブーム4aを駆動させるブームシリンダ4dと、アーム4bを駆動させるアームシリンダ4eと、バケット4cを駆動させるバケットシリンダ4fとを含む。カウンタウェイト6は、フロント作業機4との重量バランスを取るためのもので、上部旋回体3の後端に取り付けられた重量物である。
【0018】
キャブ7には、油圧ショベル1を操作するオペレータが搭乗する内部空間が形成されている。キャブ7の内部には、オペレータが着席するシート(図示省略)と、シートに着席したオペレータが操作する操作装置(ステアリング、ペダル、レバー、スイッチなど)が配置されている。そして、キャブ7に搭乗したオペレータが操作装置を操作することによって、下部走行体2が走行し、上部旋回体3が旋回し、フロント作業機4及び排土ブレード10が動作する。
【0019】
図2は、油圧ショベル1の後方下部(図1の仮想円II)の拡大図である。排土ブレード10は、後面(排土面)が凹形状に湾曲した板形状の部材である。図2に示すように、排土ブレード10は、後タイヤ8rより後方において、下部走行体2に支持されている。また、排土ブレード10は、リンクロッド11、12及び油圧シリンダ(図示省略)を介して、上下方向に移動可能に構成されている。
【0020】
リンクロッド11、12は、上下方向に離間した位置において、一端が上部旋回体3に回動可能に連結され、他端が排土ブレード10の前面に回動可能に連結されている。そして、油圧シリンダが伸長すると、リンクロッド11、12が図2の時計回りに回動して、排土ブレード10を下降させる。一方、油圧シリンダが縮小すると、リンクロッド11、12が図2の反時計回りに回動して、排土ブレード10を上昇させる。
【0021】
油圧シリンダは、キャブ7に搭乗するオペレータが操作装置を操作することによって、伸縮する。より詳細には、オペレータの伸長操作に従って、油圧シリンダのボトム室に作動油が供給され、油圧シリンダのロッド室から作動油が排出される(すなわち、油圧シリンダが伸長する)。一方、オペレータの縮小操作に従って、油圧シリンダのロッド室に作動油が供給され、油圧シリンダのボトム室から作動油が排出される(すなわち、油圧シリンダが縮小する)。
【0022】
排土ブレード10は、油圧シリンダの伸縮に伴って、図2(A)に示す離間位置と、図2(B)に示す接地位置と、図2(C)に示すジャッキアップ位置とに移動する。離間位置は、排土ブレード10が地面Gから離間した位置である。接地位置は、前タイヤ8f、後タイヤ8r、及び排土ブレード10の全てが地面Gに接地する位置である。ジャッキアップ位置は、排土ブレード10が接地位置よりさらに地面Gに押し付けられて、後タイヤ8rを地面Gから離間させて油圧ショベル1(車両本体)を支持するように地面Gに接地された位置である。
【0023】
排土ブレード10が離間位置及び接地位置のとき、油圧ショベル1は、前タイヤ8f及び後タイヤ8rによって支持される。また、排土ブレード10が接地位置のときに油圧ショベル1を後退させると、地面G上の土が排土されて、その結果として地面Gが整地される。一方、排土ブレード10がジャッキアップ位置のとき、油圧ショベル1は、前タイヤ8f及び排土ブレード10によって支持される。そして、排土ブレード10がジャッキアップ位置のときにアクセルペダルを踏むと、後タイヤ8rが空転する。
【0024】
泥落とし装置20は、左右一対の後タイヤ8rそれぞれに対面して配置されている。図2に示すように、泥とし装置20は、一端が下部走行体2(より詳細には、後フェンダ9r)に回動可能に支持され、他端が排土ブレード10の上端に回動可能に支持されている。泥落とし装置20(より詳細には、後述するプレート連結部材35)は、排土ブレード10の上昇に伴って徐々に折り畳まれ、排土ブレード10の下降に伴って徐々に展開される。
【0025】
また、図2(A)及び図2(B)に示すように、泥落とし装置20は、排土ブレード10が離間位置及び接地位置のときにプレート連結部材35が折り畳まれて、後述する泥落とし部材30~33(図3参照)が後タイヤ8rの外周面から離間する。また、折り畳まれたプレート連結部材35は、後タイヤ8rの後上方を覆って、泥除け(フェンダ)として機能する。なお、プレート連結部材35は、排土ブレード10が離間位置のときと接地位置のときとで、折り畳まれ方の度合いが異なるものの、本明細書ではどちらも「折り畳まれた状態」として説明する。
【0026】
一方、図2(C)に示すように、泥落とし装置20は、排土ブレード10がジャッキアップ位置のときにプレート連結部材35が最大まで展開されて、泥落とし部材30~33が後タイヤ8rの外周面に接する。そして、泥落とし部材30~33が接した状態で後タイヤ8rを空転させると、後タイヤ8rの外周面に付着した泥が除去される。
【0027】
図3は、展開した泥落とし装置20の斜視図である。図4は、後タイヤ8rと泥落とし部材31、32との位置関係を示す図である。図3に示すように、泥落とし装置20は、複数のプレート21、22、23、24、25と、複数のヒンジ26a、26b、27a、27b、28a、28b、29a、29bと、複数の泥落とし部材30、31、32、33とを主に備える。
【0028】
プレート21~25は、長辺及び短辺を有する長方形の平板である。隣接するプレート21~25は、ヒンジ26a、26b、27a、27b、28a、28b、29a、29bによって、互いに接する長辺同士が連結されている。これにより、プレート21~25は、相対回動(換言すれば、折畳み及び展開)可能になる。
【0029】
より詳細には、プレート21、22はヒンジ26a、26bによって相対回動可能に連結され、プレート22、23はヒンジ27a、27bによって相対回動可能に連結され、プレート23、24はヒンジ28a、28bによって相対回動可能に連結され、プレート24、25はヒンジ29a、29bによって相対回動可能に連結される。
【0030】
また図示は省略するが、プレート21のプレート22と反対側の長辺は、ヒンジ(図示省略)によって、後フェンダ9rに回動可能に固定される。さらに、プレート25のプレート24と反対側の長辺は、ヒンジ(図示省略)によって、排土ブレード10に回動可能に支持される。
【0031】
ヒンジ26a、26b、27a、27b、28a、28b、29a、29bで連結された複数のプレート21、22、23、24、25によって、プレート連結部材35が構成される。すなわち、プレート連結部材35は、複数のプレート21~25が折畳み可能に相互に連結され、一端が後フェンダ9r(車両本体)に固定され、他端が排土ブレード10に支持される。
【0032】
そして、図3に示すように、プレート連結部材35が展開すると、隣接するプレート21~25が長辺同士を接するように、複数のプレート21~25が一列に並ぶ。一方、プレート連結部材35が折り畳まれると、複数のプレート21~25が相互に重ねられる。
【0033】
泥落とし部材30~33は、プレート連結部材35を構成する複数のプレート21~25のうちの少なくとも1つに取り付けられている。より詳細には、泥落とし部材30~33は、複数のプレート21~25のうち、両端のプレート21、25と異なるプレート22~24のいずれかに取り付けられている。さらに詳細には、泥落とし部材30~33は、中央のプレート23の表面に取り付けられている。
【0034】
そして、プレート連結部材35が折り畳まれたときに、泥落とし部材30~33が後タイヤ8rの外周面から離間する。一方、プレート連結部材35が展開されたときに、泥落とし部材30~33が後タイヤ8rの外周面に接する。より詳細には、泥落とし部材30、31が外側タイヤ8roの外周面に接し、泥落とし部材32、33が内側タイヤ8riに接する。
【0035】
泥落とし部材30~33は、空転する後タイヤ8rに接して、後タイヤ8rの外周面に付着した泥を除去する。泥落とし部材30~33は、金属製の棒状部材(より詳細には、丸棒部材)を屈曲させて構成される。泥落とし部材30~33の構成は共通するので、以下、泥落とし部材30の詳細を説明する。図4に示すように、泥落とし部材30は、一対の突出部30a、30bと、湾曲部30cとで構成される。
【0036】
一対の突出部30a、30bそれぞれは、プレート23の表面と直交する方向に、プレート23の表面から突出している。また、一対の突出部30a、30bは、下部走行体2の幅方向に離間して配置されている。さらに、一対の突出部30a、30bの離間距離は、後タイヤ8r(換言すれば、外側タイヤ8ro)の幅Wより長い。
【0037】
湾曲部30cは、一対の突出部30a、30bそれぞれの突出端に接続されている。また、湾曲部30cは、プレート23の表面から離間した位置において、下部走行体2の幅方向に延設されている。さらに、湾曲部30cは、後タイヤ8rに対面する側が凹形状(プレート23に対面する側が凸形状)になるように湾曲している。
【0038】
そして、図4に示すように、湾曲部30cの曲率半径は、後タイヤ8r(換言すれば、外側タイヤ8ro)の外周面の曲率半径より大きく設定されている。さらに、湾曲部30cは、後タイヤ8rの外周面に当接(押圧)されることによって、曲率半径を減少させる向きに弾性変形する。
【0039】
また、図3に示すように、泥落とし部材30~33は、下部走行体2の幅方向から見て、互いにずれた位置に配置されている。さらに、図3及び図4に示すように、泥落とし部材30、32は、下部走行体2の幅方向に直交し且つプレート23の表面に平行な方向から見て、湾曲部30c、32c同士がオーバーラップするように配置される。泥落とし部材31、33についても同様である。
【0040】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0041】
上記の実施形態によれば、排土ブレード10の位置の変更に伴って、泥落とし装置20を後タイヤ8rに接離させることができる。すなわち、後タイヤ8rの泥を落とす際に排土ブレード10をジャッキアップ位置に移動させ、油圧ショベル1の作業時及び走行時に排土ブレード10を離間位置または設置位置に移動させればよい。その結果、オペレータの作業を軽減して、後タイヤ8rに付着した泥を効率的に除去することができる。
【0042】
また、上記の実施形態によれば、プレート連結部材35を折畳み及び展開可能に構成したことによって、シンプルな構成で泥落とし装置20を実現することができる。但し、泥落とし装置20の具体的な構成は前述の例に限定されず、弾性伸縮可能な部材によって構成されてもよい。
【0043】
また、上記の実施形態によれば、湾曲部30cの曲率半径を後タイヤ8rの外周面の曲率半径より大きくしたので、後タイヤ8rが当接されたときに湾曲部30cが弾性変形して、後タイヤ8rの外周面の全域に湾曲部30cを接触させることができる。その結果、後タイヤ8rに付着した泥をさらに効率的に除去することができる。
【0044】
また、上記の実施形態によれば、外側タイヤ8ro及び内側タイヤ8riそれぞれに対面する泥落とし部材30、32を、湾曲部30c、32c同士をオーバーラップするように配置することによって、後タイヤ8rの外周面の全域に泥落とし部材30、32を接触させることができる。泥落とし部材31、33についても同様である。
【0045】
但し、泥落とし部材30~33の具体的な構成は、前述の例に限定されない。他の例として、泥落とし部材は、互いに離間した位置において、プレート23の表面から突設される針状(スパイク状)の部材などでもよい。
【0046】
さらに、上記の実施形態によれば、折り畳まれた泥落とし装置20が泥除けとして機能するので、作業現場で油圧ショベル1を走行させる際に、後タイヤ8rが巻き上げた泥が飛び散るのを防止することができる。
【0047】
上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 油圧ショベル
2 下部走行体
2a 走行モータ
3 上部旋回体
4 フロント作業機
4a ブーム
4b アーム
4c バケット
4d ブームシリンダ
4e アームシリンダ
4f バケットシリンダ
5 旋回フレーム
6 カウンタウェイト
7 キャブ
8f 前タイヤ
8r 後タイヤ
8ri 内側タイヤ
8ro 外側タイヤ
9f 前フェンダ
9r 後フェンダ
10 排土ブレード
11 リンクロッド
12 リンクロッド
20 泥落とし装置
21,22,23,24,25 プレート
26,27,28,29 ヒンジ
30,31,32,33 泥落とし部材
30a,30b,32a,32b 突出部
30c,32c 湾曲部
35 プレート連結部材
図1
図2
図3
図4