(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】土砂止め機能付きブロックマット
(51)【国際特許分類】
E02B 3/12 20060101AFI20240628BHJP
E02B 3/14 20060101ALI20240628BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
E02B3/12
E02B3/14 301
E02D17/20 103B
(21)【出願番号】P 2020198276
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000201490
【氏名又は名称】前田工繊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】南本 政司
(72)【発明者】
【氏名】清水 悠司
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06524027(US,B1)
【文献】実開昭58-038847(JP,U)
【文献】特開2018-184722(JP,A)
【文献】特開2011-226181(JP,A)
【文献】特開2014-118728(JP,A)
【文献】実開昭52-034107(JP,U)
【文献】特開平01-174726(JP,A)
【文献】実開昭60-045742(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1718785(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第1999-0071897(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/12
E02B 3/14
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルターシートと、前記フィルターシートの上面に縦横連続して固定する複数のブロック体と、からなるブロックマットと、
前記ブロックマットの端部に設ける土砂止め材と、からなり、
前記土砂止め材は、地盤上に固定する基部と、前記基部に固定し、前記地盤から離れるように立設する土砂受け部と、からなる、
土砂止め機能付きブロックマット。
【請求項2】
請求項1に記載の土砂止め機能付きブロックマットにおいて、
前記土砂止め材の土砂受け部の上端の地盤からの高さは、前記ブロック体の地盤からの高さと略同一以上の高さであることを特徴とする、
土砂止め機能付きブロックマット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の土砂止め機能付きブロックマットにおいて、
前記土砂止め材の前記基部と前記土砂受け部はいずれも平板状であり、前記
基部と前記土砂受け部を断面視略L字を呈するように連結して構成することを特徴とする、
土砂止め機能付きブロックマット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の土砂止め機能付きブロックマットにおいて、
前記土砂止め材の前記基部は、地盤に貫入して立設する複数の杭体であり、
前記土砂受け部は並列する前記基部に固定する平板であることを特徴とする、
土砂止め機能付きブロックマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、護岸や法面を保護するためのブロックマットに関し、特に景観性を維持するための防草機能に優れた土砂止め機能付きブロックマットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、護岸や法面を保護し安定化を図る方法としてブロックマットが用いられている。特にため池や調整池の法面の場合、草刈りの手間を減らすために、防草機能のあるブロックマットが用いられることが多い。
特許文献1には、特に防草機能に優れたブロックマットが開示されている。
また、ブロックマット施工部より法肩側は、景観に配慮して種子吹付工を施すことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブロックマット施工部より法肩側に種子吹付工を施す場合、種子が発芽し植生繁茂する前に雨が降ると、土砂が流れ出してしまう。
流れ出した土砂は通常、ブロックマット上のブロック体により堰き止められるが、ブロック体とブロック体との間には目地があり、その目地に土砂が詰まって堆積し(
図7)、そこから草が生えてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、従来のブロックマットよりも防草機能に優れた土砂止め機能付きブロックマットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第一発明の土砂止め機能付きブロックマットは、可撓性を有するフィルターシートと、前記フィルターシートの上面に縦横連続して固定する複数のブロック体と、からなるブロックマットと、前記ブロックマットの端部に設ける土砂止め材と、からなり、前記土砂止め材は、地盤上に固定する基部と、前記基部に固定し、前記地盤から離れるように立設する土砂受け部と、からなる。
本願の第二発明は、第一発明の土砂止め機能付きブロックマットにおいて、前記土砂止め材の土砂受け部の上端の地盤からの高さは、前記ブロック体の地盤からの高さと略同一であることを特徴とする。
本願の第三発明は、第一発明又は第二発明の土砂止め機能付きブロックマットにおいて、前記土砂止め材の前記基部と前記土砂受け部はいずれも平板状であり、前記基部と前記土砂受け部を断面視略L字を呈するように連結して構成することを特徴とする。
本願の第四発明は、第一発明又は第二発明の土砂止め機能付きブロックマットにおいて、前記土砂止め材の前記基部は、地盤に貫入して立設する複数の杭体であり、前記土砂受け部は並列する前記基部に固定する平板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上の構成により、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>法肩側から土砂が流れ出しても、土砂止め材により土砂を受け止めるため、下方のブロック体間の目地に土砂が詰まって堆積してそこから草が生えるような事がなく、防草機能に優れたブロックマットとなる。
<2>土砂受け部の高さとブロック体の高さを略同一とすることで、土砂止め機能付きブロックマットを統一感のある外観とすることができる。
<3>土砂止め材はフィルターシートやブロック体とは分離されており、容易に撤去できる。土砂止め機能付きブロックマットを設置後に、法面変状が生じて再施工が必要となった場合でも、土砂止め材の再利用および再設置が容易である。また、法肩側が植生繁茂し、土砂止め材が不要になった場合にも容易に撤去できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の第1実施例の土砂止め機能付きブロックマットの斜視図
【
図3】本願の第1実施例の土砂詰め機能付きブロックマットの使用状態の説明図
【
図4】本願の第2実施例の土砂止め機能付きブロックマットの斜視図
【
図6】本願の第2実施例の土砂詰め機能付きブロックマットの使用状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の土砂止め機能付きブロックマット及び土砂止め材について詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
<1>土砂止め機能付きブロックマットの構成(
図1)
本発明の土砂止め機能付きブロックマット1は、フィルターシート2の一面に、同一の向きに配列した複数のブロック体3を縦横に連続して固定して構成したブロックマットの端部に、ブロック体3に沿って土砂止め材4を設けて構成する。ここで「連続して」とは隣接するブロック体3同士を密着させる場合の他、ブロック体3間に僅かな隙間を有する場合も含む。
【0011】
<2>フィルターシート
フィルターシート2は護岸や法面の保護機能を備え、可撓性を有するシート材であり、従来のブロックマットに用いられるものである。
本例では、ポリエステル製不織布のフィルターシートを採用する。但し素材はこれに限定されず、ポリプロピレンやポリエチレン等の化学繊維であってもよい。また、不織布ではく、織物や編物等であってもよい。
【0012】
<3>ブロック体
ブロック体3は、フィルターシート2の表面を被覆するものでありコンクリートからなる。
本例のブロック体3の形状は、平面視において矩形状、正面視において上辺を短辺とする台形状、側面視において略凸字状であり、護岸や法面を滑落した際に滑落者の手指がかかりやすい形状である。また、ブロック体3の一部を切り欠くことで、土砂止め機能付きブロックマット1を固定するためのアンカーピン(図示せず)が貫入しやすく、また、手指もかかりやすくなる。
ブロック体3を連続して付設してフィルターシート2の表面を被覆することで、ブロック体3により日光が遮断し、防草機能を発揮する。
【0013】
<4>土砂止め材(
図2)
土砂止め材4は、いずれも平板状の基部41と土砂受け部42を断面視略L字を呈するように連結したものである。
土砂止め材4は、基部41を地盤上に固定し、土砂受け部42が地盤から離れるように立設した状態となる(
図3)。
土砂止め材4は、地盤上に敷設したフィルターシート2上端から、基部41を地盤との間に挟み込むように配置することにより、容易に地盤上に固定することができる。
【0014】
<5>土砂止め材の作用
傾斜した地盤上に敷設した土砂止め機能付きブロックマット1の法肩側の上部には、土砂止め材4が位置する。
土砂止め材4は地盤から平板状の土砂受け部42が立ち上がっており、土砂止め機能付きブロックマット1よりも法肩側から土砂Sが流れ出しても、土砂受け部42により土砂Sを受け止めるため、下方のブロック体3間の目地に土砂Sが詰まって堆積してそこから草が生えるような事がなく、防草機能に優れたブロックマットとなる。
土砂受け部42を、ブロック体3の上端面と接するような角度で基部41から立ち上げることで、設置時に土砂受け部42がブロック体3に接し、土砂Sの重量をブロック体3にも分散することができる。
【0015】
土砂止め材4で土砂Sを受け止めるため、土砂受け部42の上端の地盤からの高さは、ブロック体3の上端の地盤からの高さと略同一以上の高さとすることが好ましい。土砂受け部42の高さとブロック体3の高さを略同一以上の高さとすることで、土砂Sを受け止めてブロック体3の目地に詰まるのを防止する。また、土砂受け部42の高さとブロック体3の高さを略同一とすると、土砂止め機能付きブロックマット1を統一感のある外観とすることができる。
【0016】
また、土砂止め材4はフィルターシート2やブロック体3とは分離されており、基部41を地盤との間に挟み込むように配置してあるため、容易に撤去できる。
本発明の土砂止め機能付きブロックマット1を設置後に、法面変状が生じて再施工が必要となった場合でも、土砂止め材4の再利用および再設置が容易である。また、法肩側が植生繁茂し、土砂止め材4が不要になった場合にも容易に撤去できる。
【実施例2】
【0017】
土砂止め材4は、基部41を所定の間隔を設けて地盤に貫入して立設する複数の杭体とし、土砂受け部42を並列する基部41に亘って設ける平板により構成してもよい(
図4、5)。
基部41は地盤に貫入するだけであり、引き抜くことで容易に土砂止め材4を容易に撤去できる。
また、土砂受け部42の高さとブロック体3の高さを略同一以上の高さとすることで、土砂Sを受け止めてブロック体3の目地に詰まるのを防止する(
図6)。また、土砂受け部42の高さとブロック体3の高さを略同一とすると、土砂止め機能付きブロックマット1を統一感のある外観とすることができる。
本発明の土砂止め機能付きブロックマット1を設置後に、法面変状が生じて再施工が必要となった場合でも、土砂止め材4の再利用および再設置が容易である。することにより、容易に地盤上に固定することができる。また、法肩側が植生繁茂し、土砂止め材4が不要になった場合にも容易に撤去できる。
【符号の説明】
【0018】
1 土砂止め機能付きブロックマット
2 フィルターシート
3 ブロック体
4 土砂止め材、41 基部、42 土砂受け部