(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】過電流保護回路及び負荷駆動装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G05F1/56 320C
(21)【出願番号】P 2020207209
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂口 薫
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-276477(JP,A)
【文献】特表2019-533961(JP,A)
【文献】特開2012-064009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0333816(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力トランジスタに流れる出力電流を制限する過電流保護回路であって、
前記出力電流に比例したセンス電流を流すセンストランジスタと、
前記センス電流が流れるセンス抵抗と、
前記センス抵抗に発生するセンス電圧を検出して前記出力トランジスタのゲート電圧を制御する電流制限回路と、
前記出力トランジスタのドレイン電圧と前記センストランジスタのドレイン電圧との差電圧に基づいて、前記センス電流に加える補正センス電流を前記センス抵抗に流す電流補正回路と、
を備えることを特徴とする過電流保護回路。
【請求項2】
前記電流補正回路は、
前記センストランジスタのドレインに接続されている第一入力端子と、
前記出力トランジスタのドレインに接続されている第二入力端子と、
前記センス抵抗に接続されている出力端子と、
を備え、
前記出力端子から前記補正センス電流を流すことを特徴とする請求項1に記載の過電流保護回路。
【請求項3】
前記電流補正回路は、
前記センストランジスタのゲートに接続されている制御端子と、
前記制御端子にゲートがそれぞれ接続されている第一トランジスタ及び第二トランジスタと、
ソースが前記第一トランジスタのドレインに接続されている第三トランジスタと、
ソースが前記第二トランジスタのドレインに接続されている第四トランジスタと、
を備え、
前記第三トランジスタ及び前記第四トランジスタのゲート電圧差は、前記センストランジスタと前記出力トランジスタのドレイン電圧差に対応し、前記第一トランジスタが流す電流と前記第二トランジスタが流す電流との差電流を前記補正センス電流として流すことを特徴とする請求項2に記載の過電流保護回路。
【請求項4】
前記第一トランジスタ及び前記出力トランジスタのゲートL長は等しく、かつ前記第二トランジスタ及び前記センストランジスタのゲートL長は等しいことを特徴とする請求項3に記載の過電流保護回路。
【請求項5】
前記電流補正回路は、
前記第一トランジスタのドレインにゲートが接続されている第五トランジスタを更に備え、
前記第五トランジスタのオンオフ状態に応じて前記補正センス電流を出力のオンオフを切り替えることを特徴とする請求項3に記載の過電流保護回路。
【請求項6】
前記第三トランジスタのゲートは前記第二入力端子に接続され、前記第四トランジスタのゲートは前記第一入力端子に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の過電流保護回路。
【請求項7】
前記電流補正回路は、
第一抵抗と、
第二抵抗と、
前記第一入力端子に非反転入力端子が接続され、反転入力端子に前記第一抵抗の一方の端子が接続されているアンプと、
を備え、
前記第一抵抗の他方の端子は前記第二入力端子に接続され、前記第一抵抗に流れる電流は前記第二抵抗に流れ、前記第二抵抗の両端がそれぞれ前記第三トランジスタ及び前記第四トランジスタのゲートにそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項3に記載の過電流保護回路。
【請求項8】
ソースが前記センストランジスタに、ドレインが前記センス抵抗に接続されている第六トランジスタを更に備え、
前記第六トランジスタのソース電圧が前記出力トランジスタのドレイン電圧に一致することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の過電流保護回路。
【請求項9】
負荷に出力電流を流す出力トランジスタと、
前記出力トランジスタのゲート電圧を制御する制御回路と、
前記ゲート電圧と前記出力トランジスタのドレイン電圧に応じて前記出力電流を制限する、請求項1から8のいずれかに記載の過電流保護回路と、
を有することを特徴とする負荷駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流保護回路及び負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷に電流を供給する負荷駆動装置としてボルテージレギュレータやハイサイドスイッチ等が知られている。負荷駆動装置が過電流により破壊したり、負荷の電圧が急上昇したりすることを防ぐため、負荷駆動装置には出力電流を供給する出力トランジスタの電流を制限する過電流保護回路が備えられる。
【0003】
過電流保護回路の構成の一つとして、出力トランジスタが流す出力電流に比例したセンス電流を流すセンストランジスタを設け、センス電流が一定以上に大きくなったことを検出すると出力トランジスタの出力電流を小さくする回路が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
このような回路では、出力トランジスタのソース・ドレイン間電圧とセンストランジスタのソース・ドレイン間電圧とが一致しない場合には、チャネル長変調効果の影響で出力電流とセンス電流の比が変化してしまう。その対策として、出力トランジスタのドレイン電圧とセンストランジスタのドレイン電圧が一致するように、センストランジスタのドレイン電圧を制御する回路を設けることにより、過電流の検出精度が低下することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の回路では、出力トランジスタのドレイン電圧とセンストランジスタのドレイン電圧を一致させるための回路の動作電圧が制限される場合がある。この場合、負荷駆動装置の出力端子の電圧によっては出力トランジスタとセンストランジスタのドレイン電圧を一致させることが難しい。
具体的には、特許文献1の
図1の回路では、出力端子の電圧が高いときは出力トランジスタ(M1)とセンストランジスタ(M2)のドレイン電圧が一致するように動作する。しかし、配線間の短絡等の要因により出力端子が地絡し、出力トランジスタ(M1)のドレイン電圧が0Vになったとき、センストランジスタ(M2)のドレイン電圧はPMOSトランジスタ(M3)とセンス抵抗(R3)で発生する電圧にPMOSトランジスタ(M3)のソース・ドレイン間電圧を加えた分が接地電圧より高くなるため、0Vとはならない。そのため、出力トランジスタ(M1)とセンストランジスタ(M2)のドレイン電圧の違いにより、チャネル長変調効果の影響で出力電流とセンス電流の比が変化して、過電流の検出精度が低下する。
【0006】
本発明の一つの側面では、出力端子が地絡したときであっても過電流の検出精度を高いまま維持できる過電流保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における過電流保護回路は、
出力トランジスタに流れる出力電流を制限する過電流保護回路であって、
前記出力電流に比例したセンス電流を流すセンストランジスタと、
前記センス電流が流れるセンス抵抗と、
前記センス抵抗に発生するセンス電圧を検出して前記出力トランジスタのゲート電圧を制御する電流制限回路と、
前記出力トランジスタのドレイン電圧と前記センストランジスタのドレイン電圧との差電圧に基づいて、前記センス電流に加える補正センス電流を前記センス抵抗に流す電流補正回路と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの側面によると、出力端子が地絡したときであっても過電流の検出精度を高いまま維持できる過電流保護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一の実施形態における過電流保護回路を示す回路図である。
【
図2】第一の実施形態における過電流保護回路の特性を示すグラフである。
【
図3】第一の実施形態における電流制限回路と電流補正回路の一例を示す回路図である。
【
図4】第一の実施形態における電流補正回路の他の例を示す回路図である。
【
図5】第二の実施形態における過電流保護回路を示す回路図である。
【
図6】第二の実施形態における電流補正回路を示す回路図である。
【
図7】第二の実施形態における電流補正回路の他の例を示す回路図である。
【
図8】第二の実施形態における電流補正回路の他の例を示す回路図である。
【
図9】第三の実施形態における過電流保護回路を示す回路図である。
【
図10】第四の実施形態における過電流保護回路及び電流制限回路の他の例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態における過電流保護回路を示す回路図である。
図1の回路は、過電流保護回路100を含む負荷駆動装置10を示す。負荷駆動装置10は、出力トランジスタ11と、制御回路12と、過電流保護回路100とを備えている。
負荷LDは、負荷駆動装置10の外部で出力端子3に接続されている。
【0012】
過電流保護回路100は、センストランジスタ13と、センス抵抗14と、電流制限回路30と、電流補正回路40とを備え、出力トランジスタ11の出力電流IOUTを制限するように動作する。
出力トランジスタ11及びセンストランジスタ13は、PMOSトランジスタである。
【0013】
図1の負荷駆動装置10及び過電流保護回路100の接続について説明する。
出力トランジスタ11のソースは、電源端子1に接続されている。出力トランジスタ11のゲートは、制御回路12の出力端子と、センストランジスタ13のゲートと、電流制限回路30の出力端子と、電流補正回路40の制御端子40-4とに接続されている。出力トランジスタ11のドレインは、出力端子3と、電流補正回路40の第二入力端子40-2とに接続されている。
【0014】
センストランジスタ13のソースは、電源端子1に接続されている。センストランジスタ13のドレインは、センス抵抗14の一方の端子と、電流制限回路30の入力端子と、電流補正回路40の第一入力端子40-1及び出力端子40-3とに接続されている。センス抵抗14の他方の端子は、接地端子2に接続されている。
【0015】
図1の負荷駆動装置10及び過電流保護回路100の動作について説明する。
出力トランジスタ11は、負荷LDに電源電流を供給するため、出力端子3を介して出力電流IOUTを出力する。
制御回路12は、出力トランジスタ11のゲート電圧VGを制御する。
センストランジスタ13は、出力トランジスタ11とゲート・ソース間電圧が等しいため、出力電流IOUTに比例したセンス電流Is1を出力する。
【0016】
ここで、出力トランジスタ11のドレイン電圧を出力電圧VOUTとし、センストランジスタ13のドレイン電圧をセンス電圧VSとする。
電流補正回路40は、第一入力端子40-1にセンス電圧VS、第二入力端子40-2に出力電圧VOUTを入力され、センス電圧VSと出力電圧VOUTとの電圧差ΔVに基づく補正センス電流Is2を出力する。
【0017】
センス電流Is1及び補正センス電流Is2は足し合わされてセンス抵抗14に流れ、センス抵抗14の両端にセンス電圧VSが発生する。出力電流IOUTが増加すると、出力電流IOUTに比例してセンス電流Is1が増加するため、センス電圧VSが高くなる。センス電圧VSが所定の電圧以上になると、電流制限回路30は、出力電流IOUTが増加しないように出力トランジスタ11のゲート電圧VGを制御する。電流制限回路30は制御回路12よりも出力駆動能力が高いため、電流制限回路30による制御のほうが制御回路12による制御よりも優先される。
【0018】
このような動作により、過電流保護回路100は、出力トランジスタ11が所定以上の出力電流IOUTを流さないように電流を制限する。
【0019】
ここで、過電流保護回路100により出力トランジスタ11の出力電流IOUTが制限されているとき、出力電圧VOUT、即ち出力トランジスタ11のドレイン電圧は負荷LDのインピーダンスと出力電流IOUTの制限値によって決まる。地絡した場合は、出力電圧VOUTは0Vとなる。一方、センストランジスタ13のドレイン電圧であるセンス電圧VSは、センス抵抗14に発生する電圧によって決まる。
このように、出力電圧VOUTとセンス電圧VSの各電圧は異なる要因で決まるため、出力トランジスタ11のドレイン電圧とセンストランジスタ13のドレイン電圧はほとんど一致しない。出力トランジスタ11のソース・ドレイン間電圧VDSとセンストランジスタ13のソース・ドレイン間電圧VDSが異なると、チャネル長変調効果により、VDS差に依存して、出力電流IOUTとセンス電流Is1の比(IOUT/Is1)が変化する。
【0020】
これに対して、電流補正回路40は、出力電流IOUTとセンス電流Is1の比の変化を打ち消すように、出力電圧VOUTとセンス電圧VSの差電圧ΔVに基づいた補正センス電流Is2を出力する。その結果、出力電圧VOUTとセンス電圧VSの差電圧ΔVに関わらず、出力電流IOUTとセンス抵抗14に流れるIs1+Is2の比は一定となる。
【0021】
このように、第一の実施形態の過電流保護回路100によれば、出力端子3が地絡して、出力トランジスタ11のドレイン電圧とセンストランジスタ13のドレイン電圧が一致しない場合であっても、出力電流に正確に比例した電流がセンス抵抗14に流れるため、チャネル長変調効果による影響を受けずに過電流の検出精度を高いまま維持することが可能となる。
【0022】
図2は、第一の実施形態における過電流保護回路の特性を示すグラフである。
図2のグラフは、縦軸が出力電圧VOUT、横軸が出力電流IOUTである。出力電流IOUTが大きいとき、従来の過電流保護回路では、
図2の破線に示すように出力電圧VOUTが一定電圧以下になると出力トランジスタ11のドレイン電圧とセンストランジスタ13のドレイン電圧を一致させることができないため、出力電圧VOUTの低下に伴い出力電流IOUTが増加する。そのため、出力電圧VOUTが高い場合と、出力端子3が地絡した場合(VOUT=0V)とで制限される出力電流値が異なり、過電流の検出精度が低下する。第一の実施形態における過電流保護回路の特性は、
図2の実線に示すように出力トランジスタ11のドレイン電圧とセンストランジスタ13のドレイン電圧が一致しない場合であっても、広い出力電圧VOUTの範囲で一定の出力電流IOUTを保つため、出力端子3が地絡した場合であっても過電流の検出精度を高く維持することが可能となる。
【0023】
図3は、第一の実施形態における電流制限回路と電流補正回路の一例を示す回路図である。
なお、
図3の回路図において、
図1と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
また、ここでは
図1の電流制限回路30の一例を電流制限回路30aとし、電流補正回路40の一例を電流補正回路40aとして詳細に説明する。
【0024】
電流制限回路30aは、基準電圧源31と、コンパレータ32と、PMOSトランジスタ33とを備えている。
電流補正回路40aは、第一,第二,第三,第四トランジスタとしてのPMOSトランジスタ41,42,43,44と、NMOSトランジスタ45,46とを備えている。
【0025】
図3の電流制限回路30aの接続について説明する。
基準電圧源31は、コンパレータ32の非反転入力端子と接地端子2の間に接続されている。
コンパレータ32は、反転入力端子が電流制限回路30aの入力端子に、出力端子がPMOSトランジスタ33のゲートに接続されている。
PMOSトランジスタ33は、ソースが電源端子1に、ドレインが電流制限回路30aの出力端子に接続されている。
【0026】
図3の電流補正回路40aの接続について説明する。
PMOSトランジスタ41は、ゲートが電流補正回路40aの制御端子40-4に、ソースが電源端子1に、ドレインがPMOSトランジスタ43のソースに接続されている。
PMOSトランジスタ42は、ゲートが電流補正回路40aの制御端子40-4に、ソースが電源端子1に、ドレインがPMOSトランジスタ44のソースに接続されている。
PMOSトランジスタ43は、ゲートが電流補正回路40aの第二入力端子40-2を介して出力トランジスタ11のドレインに、ドレインがNMOSトランジスタ45のドレインと電流補正回路40aの出力端子40-3に接続されている。
PMOSトランジスタ44は、ゲートが電流補正回路40aの第一入力端子40-1を介してセンストランジスタ13のドレインに、ドレインがNMOSトランジスタ46のゲート及びドレインと、NMOSトランジスタ45のゲートとに接続されている。
NMOSトランジスタ45及びNMOSトランジスタ46の各ソースは、接地端子2に接続されている。
【0027】
図3の電流制限回路30aの動作について説明する。
基準電圧源31は、所定の基準電圧を出力する。
出力電流IOUTが小さくなり、センス抵抗14に発生するセンス電圧VSが基準電圧未満になる場合には、コンパレータ32は“H”レベル電圧をPMOSトランジスタ33のゲートに出力する。PMOSトランジスタ33は、ゲートに“H”レベル電圧が入力されるとオフになり、出力トランジスタ11の出力電流IOUTを制限しない。
出力電流IOUTが大きくなり、センス電圧VSが基準電圧以上になる場合には、コンパレータ32は“L”レベル電圧をPMOSトランジスタ33のゲートに出力する。PMOSトランジスタ33は、ゲートに“L”レベル電圧が入力されるとオンになり、出力トランジスタ11のゲート・ソース間電圧を制限する。
【0028】
このように、電流制限回路30aは、センス電圧VSに基づいて、出力電流IOUTが所定の制限電流以上とならないように出力トランジスタ11を制御する。
【0029】
図3の電流補正回路40aの動作について説明する。
PMOSトランジスタ41,42は、出力トランジスタ11とゲート・ソース間電圧が等しいため、それぞれ出力電流IOUTに比例した電流Is3,Is4を出力する。電流Is4は、PMOSトランジスタ44を介してNMOSトランジスタ46に流れる。NMOSトランジスタ45,46はカレントミラー回路を構成していることから、NMOSトランジスタ45は、電流Is4に略比例する電流Is4cを出力する。電流Is3はPMOSトランジスタ43を介して流れ、電流Is3と電流Is4cとの差電流が補正センス電流Is2として電流補正回路40aの出力端子40-3から出力される。
【0030】
PMOSトランジスタ41のドレイン電圧は、出力電圧VOUTよりもPMOSトランジスタ43のゲート・ソース間電圧の分だけ高い電圧となる。PMOSトランジスタ42のドレイン電圧は、センス電圧VSよりもPMOSトランジスタ44のゲート・ソース間電圧の分だけ高い電圧となる。そのため、PMOSトランジスタ41のドレイン電圧とPMOSトランジスタ42のドレイン電圧の差は、出力電圧VOUTとセンス電圧VSの差電圧ΔVに略一致する。補正センス電流Is2=Is3-Is4cは、出力トランジスタ11とセンストランジスタ13のドレイン電圧差ΔVに起因する出力電流IOUTとセンス電流Is1の比のズレを相殺する。
【0031】
たとえば、IOUT≫Is1であり、かつVS<VOUTであるとき、チャネル長変調効果の影響での比IOUT/Is1は小さくなる。このとき、電流補正回路40aにおいてIs3<Is4となるため、
図3の各電流の向きを正としたとき、補正センス電流Is2は負の値となる。補正センス電流Is2が負であるとき、補正後の比IOUT/(Is1+Is2)は大きくなり、チャネル長変調効果による比IOUT/Is1の変化を相殺する。VS>VOUTであるときは逆に、比IOUT/Is1は大きくなるが、補正センス電流Is2が正の値となるため、同様に比IOUT/Is1の変化は相殺される。
【0032】
このように、電流補正回路40aの動作により、出力端子3が地絡して、出力トランジスタ11のドレイン電圧とセンストランジスタ13のドレイン電圧が一致しない場合であっても、出力電流に正確に比例した電流がセンス抵抗14に流れるため、チャネル長変調効果による影響を受けずに過電流の検出精度を高いまま維持することが可能となる。
【0033】
補正センス電流Is2が所望の働きをするには、出力トランジスタ11、センストランジスタ13及びPMOSトランジスタ41,42におけるチャネル長変調効果の特性が一致する必要がある。
ここで、MOSトランジスタの飽和時のドレイン電流Idは下記式(1)で表される。
【0034】
【0035】
上記式(1)において、μは移動度、Coxは単位面積あたりのゲート酸化膜容量、W/Lはトランジスタのゲートサイズのアスペクト比、Vthはしきい値電圧、λはチャネル長変調係数である。
【0036】
チャネル長変調効果は、上記式(1)中の(1+λVDS)の項で表される。λは、MOSトランジスタのチャネル長方向のゲート長Lに反比例する。そのため、出力トランジスタ11及びPMOSトランジスタ41、並びに、センストランジスタ13及びPMOSトランジスタ42の各ペアのL長は、同じサイズに設計する。また、出力トランジスタ11及びセンストランジスタ13のペアのL長も同じサイズに設計することが好ましい。
【0037】
図4は、第一の実施形態における電流補正回路の他の例を示す回路図である。
図4の電流補正回路40bは、
図3の電流補正回路40aの構成に加えて、第五トランジスタとしてのPMOSトランジスタ47と、NMOSトランジスタ48と、電流源49とを備えている。
なお、
図4の回路図において、
図3と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0038】
PMOSトランジスタ47は、ゲートがPMOSトランジスタ41のドレインに、ソースが電源端子1に、ドレインがNMOSトランジスタ48のゲート及び電流源49の一方の端子に接続されている。電流源49の他方の端子は、接地端子2に接続されている。
NMOSトランジスタ48のソース及びドレインのいずれか一方は、NMOSトランジスタ45のドレインに、他方は電流補正回路40bの出力端子40-3に接続されている。
【0039】
図4の電流補正回路40bの動作について説明する。
図4の電流補正回路40bは、補正センス電流Is2がNMOSトランジスタ48を介して出力される点で、
図3の電流補正回路40aとは異なる。
具体的には、PMOSトランジスタ41のソース・ドレイン間電圧が小さく、PMOSトランジスタ41が非飽和動作をする場合には、PMOSトランジスタ47は、ゲート・ソース間電圧がトランジスタのしきい値電圧以下となりオフとなる。すると、NMOSトランジスタ48は、電流源49によってゲート電圧が接地電圧レベルとなりオフとなる。NMOSトランジスタ48がオフであるとき、補正センス電流Is2はセンス抵抗14に出力されない。
【0040】
一方、PMOSトランジスタ41のソース・ドレイン間電圧が大きく、PMOSトランジスタ41が飽和動作をする場合には、PMOSトランジスタ47は、ゲート・ソース間電圧がトランジスタのしきい値電圧を超えてオンとなる。すると、NMOSトランジスタ48は、ゲート電圧が電源電圧レベルとなりオンとなる。NMOSトランジスタ48がオンであるとき、補正センス電流Is2はセンス抵抗14に出力される。
【0041】
図3の電流補正回路40aでは、出力トランジスタ11とPMOSトランジスタ41のドレイン電圧にはPMOSトランジスタ43のゲート・ソース間電圧の分の差があり、出力トランジスタ11が飽和動作であるのにPMOSトランジスタ41が非飽和動作となる場合ある。この場合、補正センス電流Is2による出力電流IOUTとセンス電流Is1の比の変化の相殺に誤差が生じる。
図4の電流補正回路40bであれば、PMOSトランジスタ41が飽和動作であるときのみ補正センス電流Is2を出力するため、出力トランジスタ11とPMOSトランジスタ41の動作状態の違いによる電流補正の誤差を抑制し、より過電流の検出精度を高くすることが可能となる。
【0042】
<第二の実施形態>
図5は、第二の実施形態における過電流保護回路を示す回路図である。
図5の過電流保護回路200は、
図1の過電流保護回路100の構成に加えて、第六トランジスタとしてのPMOSトランジスタ15と、アンプ16とを備えている。
なお、
図5の回路図において、
図1と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0043】
図5の過電流保護回路200の接続について説明する。
PMOSトランジスタ15は、ゲートがアンプ16の出力端子に、ソースがセンストランジスタ13のドレイン及びアンプ16の反転入力端子に、ドレインがセンス抵抗14の一方の端子に接続されている。アンプ16の非反転入力端子は、出力端子3に接続されている。
【0044】
図5の過電流保護回路200の動作について説明する。
出力電圧VOUTが高いとき、PMOSトランジスタ15とアンプ16は動作電圧範囲であり、アンプ16は反転入力端子と非反転入力端子の電圧が一致するようにPMOSトランジスタ15のゲート電圧を制御する。その結果、センストランジスタ13のドレイン電圧VSは、出力端子の出力電圧VOUTと一致するように動作する。このとき、センス電圧VSと出力電圧VOUTの電圧差ΔVがほぼゼロであるため、電流補正回路40が出力する補正センス電流Is2はほぼゼロとなり、センス抵抗14にはセンス電流Is1のみが流れる。センス電圧VSと出力電圧VOUTがほぼ一致しているため、センス電流Is1と出力電流IOUTの比は変化しない。
【0045】
出力電圧VOUTが低いとき、PMOSトランジスタ15及びアンプ16は動作電圧範囲外となり、センス電圧VS及び出力電圧VOUTは一致しない。このとき、
図1の説明で述べたのと同様に、電流補正回路40は補正センス電流Is2を出力するため、センス抵抗14にはIs1と補正センス電流Is2を合算した電流が流れる。
【0046】
このように、出力電圧VOUTが高いときは出力トランジスタ11のドレイン電圧とセンストランジスタ13のドレイン電圧を一致させる回路により過電流の検出精度が維持でき、出力電圧VOUTが低いときは電流補正回路40により過電流の検出精度が維持される。
なお、広い出力電圧VOUT範囲で常に過電流の検出精度を高く維持するため、PMOSトランジスタ15及びアンプ16の動作電圧範囲は、電流補正回路40が正常に動作する動作電圧範囲と重複することが好ましい。
【0047】
第二の実施形態の過電流保護回路200によれば、電流補正回路40は出力電圧VOUTが低いときのみ、VS>VOUTの状態に対してのみ精度良く補正センス電流Is2を出力するように動作させればよい。そのため、電流補正回路40の設計が容易となる。
【0048】
図6は、第二の実施形態における電流補正回路を示す回路図である。
図6の電流補正回路40cは、
図3の電流補正回路40aにおいて、NMOSトランジスタ45,46を、NMOSトランジスタ50,51,52、アンプ53及びPMOSトランジスタ54,55に替えた以外は電流補正回路40aと同様である。
なお、
図6の回路図において、
図3と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0049】
図6の電流補正回路40cの接続について説明する。
PMOSトランジスタ43のドレインは、NMOSトランジスタ50のゲート及びドレインと、NMOSトランジスタ51のゲートと、アンプ53の非反転入力端子とに接続されている。NMOSトランジスタ50,51の各ソースは、接地端子2に接続されている。
PMOSトランジスタ44のドレインは、NMOSトランジスタ51のドレインと、NMOSトランジスタ52のソースと、アンプ53の反転入力端子とに接続されている。
NMOSトランジスタ52のゲートは、アンプ53の出力端子に接続されている。
NMOSトランジスタ52のドレインは、PMOSトランジスタ54のゲート及びドレインと、PMOSトランジスタ55のゲートとに接続されている。
PMOSトランジスタ54,55の各ソースは、電源端子1に接続されている。PMOSトランジスタ55のドレインは、電流補正回路40cの出力端子40-3に接続されている。
【0050】
図6の電流補正回路40cの動作について説明する。
PMOSトランジスタ41,42は、出力トランジスタ11とゲート・ソース間電圧が等しいため、それぞれ出力電流IOUTに比例した電流Is3,Is4を出力する。電流Is3は、PMOSトランジスタ43を介してNMOSトランジスタ50に流れる。NMOSトランジスタ50,51はカレントミラー回路を構成していることから、NMOSトランジスタ51は、電流Is3に比例する電流Is3cを出力する。電流Is4は、PMOSトランジスタ44を介して流れ、電流Is3cとIs4の差電流がNMOSトランジスタ52を介してPMOSトランジスタ54に流れる。PMOSトランジスタ54,55はカレントミラー回路を構成していることから、PMOSトランジスタ55は、補正センス電流Is2を電流補正回路40cの出力端子40-3から出力する。
【0051】
図3の電流補正回路40aでは、出力電流IOUTや電流補正回路40aの出力端子電圧によってはNMOSトランジスタ45,46のドレイン電圧が一致しないため、NMOSトランジスタ45,46によるカレントミラー比にズレが生じる。
図6の電流補正回路40cであれば、NMOSトランジスタ50,51の各ドレイン電圧が一致するようにアンプ53がNMOSトランジスタ52のゲート電圧を制御するため、出力電流IOUTや電流補正回路40aの出力端子電圧に関わらず電流Is3cは電流Is3に精度よく比例する。そのため、チャネル長変調効果による比IOUT/Is1の変化をより精度よく相殺することができる。
【0052】
図7は、第二の実施形態における電流補正回路の他の例を示す回路図である。
図7の電流補正回路40dは、
図6の電流補正回路40cに加えて、PMOSトランジスタ56,57と、定電流源58,59とを備えている。
なお、
図7の回路図において、
図6と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0053】
図7の電流補正回路40dの接続について説明する。
PMOSトランジスタ43のゲートは、PMOSトランジスタ56のゲート及びドレインと、電流源58の一方の端子に接続されている。電流源58の他方の端子は、接地端子2に接続されている。
PMOSトランジスタ56のソースは、電流補正回路40dの第二入力端子40-2に接続されている。
PMOSトランジスタ44のゲートは、PMOSトランジスタ57のゲート及びドレインと、電流源59の一方の端子とに接続されている。電流源59の他方の端子は、接地端子2に接続されている。
PMOSトランジスタ57のソースは、電流補正回路40dの第一入力端子40-1に接続されている。
【0054】
図7の電流補正回路40dの動作について説明する。
PMOSトランジスタ56のゲート電圧は、電流補正回路40dの第二入力端子40-2に入力される出力電圧VOUTよりもPMOSトランジスタ56のゲート・ソース間電圧の分だけ低い電圧となる。PMOSトランジスタ57のゲート電圧も同様に、第一入力端子40-1に入力されるセンス電圧VSよりもPMOSトランジスタ57のゲート・ソース間電圧の分だけ低い電圧となる。
【0055】
図6の電流補正回路40cでは、電源端子1の電源電圧が低いとき、PMOSトランジスタ41,42のソース・ドレイン間電圧が小さくなり、出力トランジスタ11が飽和動作であるのにPMOSトランジスタ41,42が非飽和動作となる場合がある。この場合、補正センス電流Is2による出力電流IOUTとセンス電流Is1の比の変化の相殺に誤差が生じる。
図7の電流補正回路40dであれば、PMOSトランジスタ43,44の各ゲート電圧がそれぞれ出力電圧VOUT,センス電圧VSより低い電圧となるため、PMOSトランジスタ43,44の各ソース電圧も低くなり、PMOSトランジスタ41,42が飽和動作しやすい。そのため、出力トランジスタ11とPMOSトランジスタ41,42の動作状態の違いによる電流補正の誤差を抑制し、電源電圧が低いときの過電流の検出精度を高くすることが可能となる。
【0056】
図8は、第二の実施形態における電流補正回路の他の例を示す回路図である。
図8の電流補正回路40eは、
図3の電流補正回路40aに加えて、第一抵抗及び第二抵抗としての抵抗60,61と、アンプ62と、NMOSトランジスタ63と、PMOSトランジスタ64,65とを備えている。
なお、
図8の回路図において、
図3と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0057】
図8の電流補正回路40eの接続について説明する。
アンプ62は、非反転入力端子が電流補正回路40eの第一入力端子40-1に、反転入力端子が抵抗60の一方の端子とNMOSトランジスタ63のソースに、出力端子がNMOSトランジスタ63のゲートに接続されている。抵抗60の他方の端子は、電流補正回路40eの第二入力端子40-2に接続されている。
NMOSトランジスタ63のドレインは、抵抗61の一方の端子と、PMOSトランジスタ43のゲートとに接続されている。抵抗61の他方の端子は、PMOSトランジスタ44のゲートと、PMOSトランジスタ65のゲート及びドレインとに接続されている。
PMOSトランジスタ65のソースは、PMOSトランジスタ64のゲート及びドレインに接続されている。PMOSトランジスタ64のソースは、電源端子1に接続されている。
【0058】
図8の電流補正回路40eの動作について説明する。
アンプ62は、反転入力端子の電圧と非反転入力の電圧が一致するように、NMOSトランジスタ63のゲート電圧を制御する。そのため、アンプ62の反転入力端子の電圧はセンス電圧VSと同じ電圧となり、抵抗60の両端にはセンス電圧VSと出力電圧VOUTの電圧差ΔVに等しい電圧が発生する。電圧差ΔVは抵抗60によって電圧-電流変換され、ΔVに比例した電流が抵抗60に流れる。抵抗60に流れる電流は、NMOSトランジスタ63のソース、ドレインを介して抵抗61に流れる。抵抗60と抵抗61の抵抗値を等しく設計すると、抵抗61の両端にはΔVに等しい電圧ΔVcが発生する。PMOSトランジスタ43,44のゲート電圧差はΔVcとなるため、
図3の電流補正回路と同様に、ΔVに起因する出力電流IOUTとセンス電流Is1の比のズレを相殺するための補正センス電流Is2が電流補正回路40eの出力端子40-3から出力される。
【0059】
PMOSトランジスタ44のゲート電圧は、PMOSトランジスタ64、65のゲート・ソース間電圧の分だけ電源電圧から低い電圧となる。PMOSトランジスタ44のソース電圧も低くなるため、PMOSトランジスタ42は飽和動作しやすく、出力トランジスタ11が飽和動作であるのにPMOSトランジスタ42が非飽和動作となるのを回避することができる。
【0060】
また、
図8の電流補正回路40eによれば、出力電圧VOUTが接地端子2の電圧より低い負電圧になった場合でも、センス電圧VSと出力電圧VOUTの電圧差ΔVに基づいて補正センス電流Is2を出力する。そのため、負電圧も含むより広い出力電圧VOUT範囲にわたって、チャネル長変調効果による比IOUT/Is1の変化を相殺することができる。
<第三の実施形態>
図9は、第三の実施形態における過電流保護回路を示す回路図である。
図9の過電流保護回路300は、
図5の過電流保護回路200において、アンプ16をPMOSトランジスタ17,18,19と、NMOSトランジスタ20,21とに替えた以外は、
図5の過電流保護回路200と同様である。
なお、
図9の回路図において、
図5と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0061】
図9の過電流保護回路300の接続について説明する。
PMOSトランジスタ17は、ゲートがセンストランジスタ13のゲートに、ソースが電源端子1に、ドレインがPMOSトランジスタ18のソースに接続されている。PMOSトランジスタ18のゲートは、PMOSトランジスタ19のゲート及びドレインと、PMOSトランジスタ15のゲートと、PMOSトランジスタ21のドレインとに接続されている。PMOSトランジスタ18のドレインは、NMOSトランジスタ20のゲート及びドレインと、NMOSトランジスタ21のゲートとに接続されている。NMOSトランジスタ20、21の各ソースは、接地端子2に接続されている。
【0062】
図9の過電流保護回路300の動作について説明する。
PMOSトランジスタ17は、センストランジスタ13が出力するセンス電流Is1に比例した第二のセンス電流Is5を出力する。第二のセンス電流Is5は、PMOSトランジスタ18を介してNMOSトランジスタ20に流れる。NMOSトランジスタ20,21はカレントミラー回路を構成していることより、NMOSトランジスタ21は、電流Is5に比例する電流Is5cを出力する。電流Is5cは、PMOSトランジスタ19に流れる。各トランジスタのサイズを適切に設計することで、PMOSトランジスタ17のドレイン電圧と、センストランジスタ13のドレイン電圧(センス電圧VS)は、それぞれ出力電圧VOUTと一致する。
【0063】
出力電流IOUTが小さいときは第二のセンス電流Is5と、それに比例するIs5cは共に小さくなるため、過電流保護回路300は消費電流が小さい。
よって、第三の実施形態の過電流保護回路300によれば、第二の実施形態の過電流保護回路200と同様の効果を得ると共に、消費電流を小さくすることができる。
【0064】
<第四の実施形態>
図10は、第四の実施形態における過電流保護回路及び電流制限回路の他の例を示す回路図である。
図10の過電流保護回路400は、
図1の過電流保護回路100において、センス抵抗14をNMOSトランジスタ22に替えた以外は、
図1の過電流保護回路100と同様である。また、電流制限回路30bは、NMOSトランジスタ34と、抵抗35と、PMOSトランジスタ36とを備えている。
なお、
図10の回路図において、
図1と同様の構成については、同一の符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0065】
図10の過電流保護回路400及び電流制限回路30bの接続について説明する。
NMOSトランジスタ22は、ゲート及びドレインが電流補正回路40の出力端子40-3及び電流制限回路30bの入力端子に、ソースが接地端子2に接続されている。
NMOSトランジスタ34は、ゲートが電流制限回路30bの入力端子に、ソースが接地端子2に、ドレインが抵抗35の一方の端子及びPMOSトランジスタ36のゲートに接続されている。抵抗35の他方の端子は、電源端子1に接続されている。
PMOSトランジスタ36は、ソースが電源端子1に、ドレインが電流制限回路30bの出力端子に接続されている。
【0066】
図10の過電流保護回路400及び電流制限回路30bの動作について説明する。
センストランジスタ13が出力するセンス電流Is1と電流補正回路40が出力する補正センス電流Is2を合算した電流がNMOSトランジスタ22に流れる。NMOSトランジスタ22のゲート・ドレイン間電圧にはIs1+Is2に基づくセンス電圧が発生し、電流制限回路30bの入力端子に入力される。
【0067】
NMOSトランジスタ34は、センス電圧がゲートに入力され、Is1+Is2に比例した抵抗35に出力する。抵抗35の両端には、Is1+Is2に比例した電圧が発生する。
出力電流IOUTが小さくなり、抵抗35に発生する電圧がPMOSトランジスタ36のしきい値電圧未満になる場合には、PMOSトランジスタ36は、オフになるため、出力トランジスタ11の出力電流IOUTを制限しない。
出力電流IOUTが大きくなり、抵抗35に発生する電圧がPMOSトランジスタ36のしきい値電圧以上になる場合には、PMOSトランジスタ36は、オンになるため、出力トランジスタ11のゲート・ソース間電圧を制限する。
【0068】
このように、電流制限回路30bは、出力電流IOUTが所定の制限電流以上とならないように出力トランジスタ11を制御する。
第四の実施形態の過電流保護回路400によれば、少ない素子数で過電流保護回路を構成できるため、より小さい回路面積で第一の実施形態の過電流保護回路と同様の効果を得ることができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、
図10の電流制限回路30bを、第一、第二、第三の実施形態の各過電流保護回路に適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10(10a,10b) 負荷駆動装置
11 出力トランジスタ
12 制御回路
13 センストランジスタ
14 センス抵抗
15 PMOSトランジスタ(第六トランジスタ)
30(30a,30b) 電流制限回路
40(40a,40b,40c,40d,40e) 電流補正回路
40-1 第一入力端子
40-2 第二入力端子
40-3 出力端子
40-4 制御端子
41 PMOSトランジスタ(第一トランジスタ)
42 PMOSトランジスタ(第二トランジスタ)
43 PMOSトランジスタ(第三トランジスタ)
44 PMOSトランジスタ(第四トランジスタ)
47 PMOSトランジスタ(第五トランジスタ)
60 抵抗(第一抵抗)
61 抵抗(第二抵抗)
62 アンプ
100,200,300,400 過電流保護回路
IOUT 出力電流
Is1 センス電流
Is2 補正センス電流
LD 負荷
VS センス電圧
VG ゲート電圧
ΔV 差電圧