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特許7511468センサを有効化した創傷モニタリングまたは治療のためのセンサの配置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】センサを有効化した創傷モニタリングまたは治療のためのセンサの配置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20240101AFI20240628BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61M 27/00 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
A61F13/02 D
A61B5/00 B
A61F13/02 A
A61M27/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020505911
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018071767
(87)【国際公開番号】W WO2019030384
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】62/543,909
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ゴワンス
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイザー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・ダミアン・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・スミス
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット・アーウィン
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0274563(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0298928(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0177051(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/00-13/0246
A61B5/00、5/05-5/055
A61M27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷監視および/または治療システムであって、
創傷と接触して位置付けるように構成された創傷被覆材であって、1以上の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含み、複数の前記センサはセンサのストリングに配置され、複数の前記センサが、複数の前記センサが前記創傷と接触するように、前記センサのストリングの創傷に面した表面に位置決めされており、前記センサのストリングが、前記創傷の内部に位置決めされている場合に前記センサのストリングの周りに湾曲するように構成されている、創傷被覆材と、
複数の前記センサと相互接続している複数の導電性トラックであって、前記創傷が伸びている場合であっても接続を維持するように構成されている複数の前記導電性トラックと、
複数の前記センサの第一のセンサの前記創傷内の位置および/または配向を示すように構成された少なくとも一つの位置決めデバイスと、
少なくとも一つの前記位置決めデバイスによって示された位置および/または配向に基づいて、複数の前記センサの前記第一のセンサの前記創傷内の前記位置および/または配向を決定するように構成された検出器と、
を備える、創傷監視および/治療システム。
【請求項2】
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpOセンサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、および/または電極を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサ、ならびに/または赤、緑、青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
少なくとも一つの前記位置決めデバイスが、センサのストリングと無線通信するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも一つの前記位置決めデバイスが、センサのストリングと電気通信するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出器は、少なくとも一つの前記位置決めデバイスによって示された位置および/または配向と、前記創傷被覆材および/または少なくとも一つの前記位置決めデバイスの前記創傷内の位置および/または配向と第一のセンサとの間の関係と、に基づいて、複数の前記センサの前記第一のセンサの前記創傷内の前記位置および/または配向を決定するように構成されたコントローラを備える、請求項1~のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記関係が、少なくとも一つの前記位置決めデバイスと前記第一のセンサとの間の少なくとも既知の位置および/または配向オフセットを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも一つの前記位置決めデバイスの一部が、前記創傷の外側に位置付けられている、請求項1~のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも一つの前記位置決めデバイスが、位置決め情報を通信するように構成された少なくとも一つのマーキングを備える、請求項1~のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも一つの前記マーキングが、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうち少なくとも一つを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記創傷被覆材が、前記創傷に陰圧を伝達するように構成されている、請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
請求項11に記載の創傷被覆材および前記創傷被覆材に流体接続されるよう構成される陰圧源を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/543,909号に対する優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本開示の一部を成す。
【0002】
本開示の実施形態は、様々な治療方法と通信するセンサ対応モニタリングを介した組織の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療のほぼすべての領域が、特に治療中にかかる情報がリアルタイムで収集される場合、治療される組織、器官、またはシステムの状態に関する改善された情報から恩恵を受ける可能性がある。多くのタイプの治療は、センサデータ収集の使用なしに依然として日常的に実施されるが、代わりに、こうした治療は、定量的センサデータではなく、介護者またはその他の限定的手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材および/または陰圧創傷療法を介した創傷治療の場合、データ収集は一般的に介護者による目視検査に限定され、また多くの場合、下にある創傷組織は包帯またはその他の視覚障害物によって遮られうる。損傷を受けていない無傷の皮膚でさえ、潰瘍につながりうる血管損傷または深部組織損傷など、裸眼には見えない潜在的な損傷を有しうる。創傷治療と同様に、ギプスまたはその他の覆いで肢の固定化を必要とする整形外科処置中も、限定された情報のみしか下層組織について収集されない。骨プレートなどの内部組織修復の場合、継続的な直接センサ駆動データ収集は実施されない。さらに、筋骨格機能を保持するために使用される留め具および/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または肢の動きを監視しない。直接処置の外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室のアイテムが改善されうる。
【0004】
したがって、特に既存の治療方法に組み込むことができるセンサ対応型基材の使用により、改善されたセンサモニタリングへのニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、創傷治療のための装置および方法に関する。本明細書に記載の創傷治療装置のうちのいくつかは、創傷に陰圧をかけるための陰圧源またはポンプアセンブリまたはシステムを含む。また、創傷治療装置は、本明細書に記載の陰圧源およびポンプアセンブリと組み合わせて使用され得る創傷被覆材を含み得る。
【0006】
いくつかの態様では、創傷監視および/または治療システムは、創傷と接触して位置付けるように構成された創傷被覆材を備えることができ、創傷被覆材は、一つまたは複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを備えることができ、複数のセンサは、センサストリップまたはセンサのストリング上に配置され、少なくとも一つの位置決めデバイスは、複数のセンサの第一のセンサの創傷内の位置および/または配向を示すように構成され、検出器は、位置決めデータに基づいて、複数のセンサの第一のセンサの創傷における位置および/または配向を決定するように構成される。
【0007】
前述の段落のシステムはまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特性の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpOセンサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含み得る。いくつかの実施形態では、光学センサは、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含みうる。いくつかの実施形態では、複数のセンサをセンサストリップ上に配置することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの位置決めデバイスをセンサストリップに取り付けるか、またはセンサストリップ内に統合することができる。いくつかの実施形態では、複数のセンサをセンサのストリング上に配置することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの位置決めデバイスはセンサのストリングと無線通信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの位置決めデバイスはセンサのストリングと電気通信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、検出器は、少なくとも受信した位置決めデータ、ならびに創傷被覆材および/または少なくとも一つの位置決めデバイスの創傷内の位置および/または配向と第一のセンサとの間の関係に基づいて、複数のセンサの第一のセンサの創傷の位置および/または配向を決定するように構成されたコントローラを備えうる。いくつかの実施形態では、関係は、位置決めセンサと第一のセンサとの間の少なくとも既知の位置および/または配向オフセットを含みうる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの位置決めデバイスの部分を創傷の外側に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つの位置決めデバイスは、位置決め情報を通信するように構成された少なくとも一つのマーキングを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも一つのマーキングは、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、またはロゴのうちの少なくとも一つを含みうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、陰圧を創傷に伝達するように構成されうる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の創傷被覆材、および創傷被覆材に流体接続されるよう構成される陰圧源を含むキット。
【0008】
いくつかの態様では、創傷監視および/または治療システムを操作する方法。方法は、一つまたは複数の創傷特性を測定するように構成されたセンサストリップまたはセンサのストリング上に配置された複数のセンサを含む創傷被覆材を含むことができ、創傷被覆材内または創傷被覆材上に位置付けられた位置決めデバイスから収集することと、創傷被覆材が創傷の上に位置付けられたときに、創傷被覆材の上に位置付けられた検出器にデータを位置付けることと、位置決めデータに基づいて複数のセンサから第一のセンサの創傷における位置および/または配向をコントローラで決定することと、を含む。
【0009】
前述の段落の方法はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特性の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpOセンサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含み得る。いくつかの実施形態では、光学センサは、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含みうる。いくつかの実施形態では、複数のセンサをセンサストリップ上に配置することができる。いくつかの実施形態では、位置決めデバイスをセンサストリップに取り付けるか、またはセンサストリップ内に統合することができる。いくつかの実施形態では、複数のセンサをセンサのストリング上に配置することができる。いくつかの実施形態では、位置決めデバイスはセンサのストリングと無線通信することができる。いくつかの実施形態では、位置決めデバイスは、創傷の上、中、またはその近くの一つまたは複数の光源から無線で情報を受け取るように構成された光学センサを備えることができる。いくつかの実施形態では、位置決めデバイスはセンサのストリングと電気通信することができる。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも受信した位置決めデータ、ならびに創傷被覆材および/または位置決めデバイスの創傷内の位置および/または配向と第一および第二のセンサとの間の関係に基づいて、複数のセンサの第二のセンサの創傷の位置および/または配向を、コントローラによって決定することをさらに含みうる。いくつかの実施形態では、方法は、陰圧を創傷に伝達することをさらに含みうる。
【0010】
いくつかの態様では、創傷監視および/または治療システムは、創傷と接触して位置付けるように構成された創傷被覆材、一つまたは複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含むセンサタグ、ストリップ、またはストリングを含むことができ、センサタグ、ストリップ、またはストリングは、創傷または創傷を囲む領域のうち少なくとも一つに位置付けるように構成される。
【0011】
前述の段落のシステムはまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特性の、任意の組み合わせを含みうる。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpOセンサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含み得る。いくつかの実施形態では、光学センサは、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含みうる。いくつかの実施形態では、センサストリップまたはタグは、創傷を取り囲む領域に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの一部を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサストリップまたはタグは、創傷内に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの一部を含むことができる。いくつかの実施形態では、創傷内に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの部分は、創傷の縁に位置付けるように構成されうる。いくつかの実施形態では、創傷内に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの部分は、創傷の中央部分に位置付けるように構成されうる。いくつかの実施形態では、センサストリップまたはタグは、創傷を取り囲む領域に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの一部を含むことができ、センサストリップまたはタグの一部は、創傷内に位置付けるように構成される。いくつかの実施形態では、センサストリングを創傷内に位置付けるように構成されうる。いくつかの実施形態では、センサストリング、センサストリップ、およびセンサタグは、創傷を取り囲む、または創傷から離れた領域に位置付けるように構成されたコンポーネントと通信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、陰圧を創傷に伝達するように構成されうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材および陰圧源を含むキットは、創傷被覆材に流体接続されるよう構成されうる。
【0012】
いくつかの態様では、創傷監視および/または治療システムは、創傷と接触して位置付けるように構成された創傷被覆材を含むことができる。創傷被覆材は、一つまたは複数の創傷特性を測定するよう構成された複数のセンサを含むセンサ支持材料を含むことができ、複数のセンサは、創傷または創傷を取り囲む領域の少なくとも一つに位置付けるように構成され、センサ支持材料は、センサ支持材料上に位置付けた複数のトラックを含み、センサ支持材料は、少なくとも二つの隣接するトラックの間に位置付けた、少なくとも二つの隣接するセンサの間に位置付けた、または少なくとも一つのトラックと少なくとも一つの隣接するセンサとの間に位置付けた複数のスリットを含む。
【0013】
前述の段落のシステムはまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特性の、任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、センサ支持材料は、複数のセンサの少なくとも一つのセンサを含むセンサタグ、ストリップ、またはストリングを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数のスリットのうちの一つのスリットは、複数のセンサのうちの一つのセンサの周囲を実質的に囲むことができる。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpOセンサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含み得る。いくつかの実施形態では、光学センサは、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含みうる。いくつかの実施形態では、センサストリップまたはタグは、創傷を取り囲む領域に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの一部を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサストリップまたはタグは、創傷内に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの一部を含むことができる。いくつかの実施形態では、創傷内に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの部分は、創傷の縁に位置付けるように構成されうる。いくつかの実施形態では、創傷内に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの部分は、創傷の中央部分に位置付けるように構成されうる。いくつかの実施形態では、センサストリップまたはタグは、創傷を取り囲む領域に位置付けるように構成されたセンサストリップまたはタグの一部を含むことができ、センサストリップまたはタグの一部は、創傷内に位置付けるように構成される。いくつかの実施形態では、センサストリングを創傷内に位置付けるように構成されうる。いくつかの実施形態では、センサストリング、センサストリップ、およびセンサタグは、創傷を取り囲む、または創傷から離れた領域に位置付けるように構成されたコンポーネントと通信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、陰圧を創傷に伝達するように構成されうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材および陰圧源を含むキットは、創傷被覆材に流体接続されるよう構成されうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材を製造する方法は、センサ支持材料内に複数のスリットをレーザー切断することを含みうる。
【0014】
以下に開示される創傷被覆材の実施形態、ポンプの実施形態、および陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特性、コンポーネント、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特性、コンポーネント、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを図示する。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを図示する。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを図示する。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材に接続される、流体コネクタの断面を図示する。
図2C図2Cは、いくつかの実施形態による、陰圧創傷治療システムを図示する。
図2D図2Dは、いくつかの実施形態による、陰圧なしで使用される、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる創傷被覆材を用いる、創傷治療システムを図示する。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材コンポーネントに組み込まれるセンサの設置を示す、センサアレイを図示する。
図3B図3Bは、いくつかの実施形態による、センサアレイ部分、尾部分およびコネクタパッド端部分を含む、可撓性センサアレイを図示する。
図3C図3Cは、4個の異なるセンサアレイ形状を伴う、可撓性回路基板の実施形態を示す。
図3D図3Dは、4個の異なるセンサアレイ形状を伴う、可撓性回路基板の実施形態を示す。
図3E図3Eは、4個の異なるセンサアレイ形状を伴う、可撓性回路基板の実施形態を示す。
図3F図3Fは、4個の異なるセンサアレイ形状を伴う、可撓性回路基板の実施形態を示す。
図3G図3Gは、図3Dに示すセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301の実施形態を、より詳細に示す。
図3H図3Hは、いくつかの実施形態による、穿孔創傷接触層に組み込まれる可撓性センサアレイを図示する。
図3I-1】図3Iは、いくつかの実施形態による、制御モジュールのブロック図を図示する。
図3I-2】図3Iは、いくつかの実施形態による、制御モジュールのブロック図を図示する。
図3I-3】図3Iは、いくつかの実施形態による、制御モジュールのブロック図を図示する。
図4図4A図4Cは、創傷に創傷被覆材を適切に配置するのを支援するための複数のアライメント機能を有する陰圧創傷治療(NPWT)システムの実施形態を図示する。
図5図5は、いくつかの実施形態による、創傷内に位置付けられたセンサのストリップを有するシステムを図示する。
図6A図6Aは、いくつかの実施形態による、創傷におけるセンサ位置決めの実施形態を図示する。
図6B図6Bは、いくつかの実施形態による、創傷におけるセンサ位置決めの実施形態を図示する。
図6C図6Cは、いくつかの実施形態による、創傷におけるセンサ位置決めの実施形態を図示する。
図6D図6Dは、いくつかの実施形態による、創傷におけるセンサ位置決めの実施形態を図示する。
図6E図6Eは、いくつかの実施形態による、創傷におけるセンサ位置決めの実施形態を図示する。
図7図7は、いくつかの実施形態による、位置検出システムを図示する。
図8図8は、いくつかの実施形態による、センサレイアウトおよび位置決めのための情報を提供するために、撮像装置によってスキャンされたセンサタグを図示する。
図9A図9Aは、いくつかの実施形態による、創傷領域に対する位置決めセンサの配置を図示する。
図9B図9Bは、いくつかの実施形態による、創傷領域に対する位置決めセンサの配置を図示する。
図10A図10Aは、いくつかの実施形態による、皮膚、創傷縁部、および創傷中心に、またはその上に位置付けられたセンサのアレイを図示する。
図10B図10Bは、いくつかの実施形態による、皮膚、創傷縁部、および創傷中心に、またはその上に位置付けられたセンサのアレイを図示する。
図10C図10Cは、いくつかの実施形態による、皮膚、創傷縁部、および創傷中心に、またはその上に位置付けられたセンサのアレイを図示する。
図11A図11Aは、創傷の中および周囲に位置付けられたセンサ、センサストリップ、およびセンサタグのいくつかの実施形態を図示する。
図11B図11Bは、創傷の中および周囲に位置付けられたセンサ、センサストリップ、およびセンサタグのいくつかの実施形態を図示する。
図11C図11Cは、創傷の中および周囲に位置付けられたセンサ、センサストリップ、およびセンサタグのいくつかの実施形態を図示する。
図11D図11Dは、創傷の中および周囲に位置付けられたセンサ、センサストリップ、およびセンサタグのいくつかの実施形態を図示する。
図11E図11Eは、創傷の中および周囲に位置付けられたセンサ、センサストリップ、およびセンサタグのいくつかの実施形態を図示する。
図12図12は、いくつかの実施形態による、創傷接触層の穿孔の周りに位置付けられたトラック上の創傷内に配置されたセンサを図示する。
図13図13Aおよび図13Bは、創傷被覆材で使用されるセンサのためのトラックレイアウトの例を図示する。
図14図14A図14Cは、支持材料上に配置されたセンサトラックおよび/またはセンサアレイの実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に開示される実施形態は、センサ有効基材を用いた生物組織のモニタリングおよび治療のための装置および方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織または傷害の治療またはモニタリングに限定されず、代わりに本明細書に開示されるセンサ可能な技術は、センサ有効基材から利益を得うる任意のタイプの療法に広く適用可能である。一部の実施は、診断および患者管理の両方の決定を行うために、医療提供者によって依頼されたセンサおよびデータ収集を利用する。
【0017】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、無傷なまたは損傷を受けたヒトまたは動物組織の両方の治療で使用するように構成された基材上に取り付けられたセンサの使用、またはその中に埋め込まれたセンサの使用に関する。こうしたセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、かかる情報をコンピューティングデバイスまたは介護者に送信して、さらなる治療で利用することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサは、関節炎、温度、または問題を起こしかねないおよびモニタリングを必要とし得るその他の領域を監視するための領域を含む、本体のどこにでも皮膚に取り付けられうる。本明細書に開示されるセンサは、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、例えば、デバイスの存在を示すために、X線不透過性マーカーなどのマーカーも組み込むことができる。
【0018】
本明細書で開示したセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用されうる。本明細書に開示されるセンサの実施形態と併用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、ズボン、パンタロン、ドレス、下着、上着、手袋、靴、帽子、およびその他の適切な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣服に溶着されるか、またはその中へと積層されうる。センサ実施形態は、衣服上に直接印刷されてもよく、および/または織物内に埋め込まれていてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も適切でありうる。
【0019】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝またはベッドパッディングに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特徴などの患者の特徴を監視することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサを含む使い捨てフィルムは、病院用寝具の上に配置され、必要に応じて除去/交換されうる。
【0020】
一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立しているように、エネルギー収穫を組み込みうる。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の適切なエネルギー源から収穫されうる。
【0021】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医薬品を含むリハビリテーションデバイスおよび治療で利用されうる。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、支柱、スリーブ、ラップ、サポート、およびその他の適切な品目で使用されうる。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどのスポーツ機器に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、診断において有用でありうる加速度などの特徴を監視するための保護ヘルメットに組み込まれうる。
【0022】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイス、例えば、Smith & Nephew Inc.によるNAVIO外科手術システムとの協調で使用され得る。実施において、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術デバイスの配置を案内するため、外科手術デバイスと通信しうる。一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可能性のある外科手術部位への血流を監視するか、または外科手術部位への血流がないことを確実にすることができる。さらなる外科手術データは、瘢痕化の防止を補助することおよび影響を受ける領域から遠い領域を監視するために収集されうる。
【0023】
外科手術技術をさらに補助するために、本明細書に開示されたセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、裸眼では直接見えないドレープ下の組織に関する情報を提供しうる。例えば、センサ組み込み可撓性ドレープは、改善された面積集中データ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有しうる。特定の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、フェンスを作り出して外科手術室を制限/制御することができる。
【0024】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術の評価にも利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、皮膚および潜在的な切開部位のための下にある組織を監視することによって、可能性のある外科手術部位についての情報を収集するために使用されうる。例えば、灌流レベルまたはその他の適切な特徴は、個別の患者が外科手術合併症のリスクにさらされうるかどうかを評価するために、皮膚の表面でおよび、組織内で深くモニターされうる。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、細菌感染の存在を評価し、抗菌剤の使用のための表示を提供するために使用されうる。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、褥瘡損傷および/または脂肪組織レベルを特定するなど、深部組織におけるさらなる情報を収集しうる。
【0025】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管モニタリングで利用されうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、心血管系の特徴を監視し、かかる情報を別のデバイスおよび/または介護者に伝達するために、皮膚に載置することができる可撓性の心血管モニターに組み込まれうる。例えば、こうしたデバイスは、パルス速度、血液の酸素化、および/または心臓の電気活性を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気活性の監視など、神経生理学的用途に利用されうる。
【0026】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性の移植を含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能なデバイスに組み込まれうる。こうしたセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成されうる。いくつかの実施形態では、内部ソースはまた、こうしたインプラントのための電力を提供しうる。
【0027】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、筋肉のラクトース生成または皮膚の表面上の汗の生成など、皮膚の表面上または皮膚の表面下の生化学的活性を監視するためにも利用されうる。いくつかの実施形態では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚の水和性、皮膚の浸軟性、および/または皮膚のリッピングなど、その他の特徴を監視し得る。
【0028】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれうる。例えば、こうしたセンサ実施形態は、鼻腔路内の創傷モニタリングなど、ENT関連手術からの回復を監視するために利用されうる。
【0029】
以下でより詳細に説明するように、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムでの封止などの封止を伴うセンサ印刷技術を包含しうる。こうしたフィルムは、ポリウレタンなど本明細書で説明した任意のポリマーを使用して構築されうる。センサ実施形態の封止は、局所組織、局所的な液体、およびその他の潜在的な損傷源からの電子機器の防水および保護を提供しうる。
【0030】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、以下に開示するように器官保護層に組み込まれうる。このようなセンサ組み込み器官保護層は、対象臓器を保護するとともに、器官保護層が所定位置にあって保護を提供することを確認しうる。さらに、センサ組み込み器官保護層を利用して、血流、酸素化、および器官健康のその他の適切なマーカーを監視することによって、下にある臓器を監視することができる。いくつかの実施形態では、臓器の脂肪および筋肉含有量を監視することによって、移植された臓器を監視するためにセンサ有効な器官保護層を使用しうる。さらに、臓器のリハビリの間など、移植中および移植後の臓器を監視するために、センサ有効な器官保護層を使用しうる。
【0031】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下でより詳細に開示)またはさまざまなその他の用途に対する治療に組み込まれうる。本明細書に開示されるセンサ実施形態の追加的用途の非限定的な例としては、無傷な皮膚のモニタリングおよび治療、血流を監視するための心血管系へ用途、手足の動きおよび骨修復を監視するなどの整形外科用途、電気的衝撃を監視するなどの神経生理学的用途、および改善されたセンサ有効モニタリングから利益を得ることができる任意の他の組織、器官、システム、または状態が挙げられる。
【0032】
創傷療法
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または例えば、陰圧源および創傷被覆材コンポーネントおよび装置などを含む、減圧を伴うまたは伴わない損傷した組織(例えば、本明細書で説明した創傷など)の治療に関連しうる。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を備える、装置およびコンポーネントは、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供されうる。
【0033】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷、または損傷した組織の治療(例えば、本明細書に記載される創傷など)の防止または最小化に関連しうる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、カット、殴打、またはその他の衝撃によって引き起こされ得る、典型的には皮膚が切断または損傷される生体組織に対する損傷を含みうる。創傷は、慢性または急性の傷害でありうる。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内の治癒の段階を通して移動する。慢性創傷は典型的には急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わない場合に慢性創傷になることがあり、回復が長くなる。急性から慢性創傷への移行は、患者が免疫化されることによるものでありうる。
【0035】
慢性創傷には、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響する静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、末梢動脈疾患、褥瘡、または、表皮水疱症(EB)を含みうる。
【0036】
他の創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、手術創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0037】
創傷は深部組織損傷も含みうる。深部組織損傷は、政府褥瘡諮問パネル(NPUAP)によって提案される用語であり、褥瘡の固有の形態を記述するものである。これらの潰瘍は、紫色褥瘡、骨張った骨の突起で悪化し傷つく可能性が高い潰瘍、などの用語で、長年、臨床医によって説明されてきた。
【0038】
創傷はまた、本明細書に記載されるように、創傷になるリスクのある組織を含みうる。例えば、リスクのある組織には、骨の隆起を覆う組織(深部組織損傷/損傷のリスクがある)または(例えば、関節置換/外科的変更/再建のため)切断される可能性のある手術前の組織(膝の組織など)を含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される技術を、高度な履物、患者を回転させる、オフロードする(例えば、糖尿病性足潰瘍をオフロードする、など)、感染症の治療、システミックス(systemix)、治療の処理、抗菌物質、構成物質、外科手術、組織の除去、血流への影響、理学療法、運動、入浴、栄養摂取、水分補給、神経刺激、超音波、電子刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌物質、等のうちの一つまたは複数と併用して創傷を治療する方法に関する。
【0040】
別の方法としてまたは追加的に、創傷は、局所陰圧および/または適用された陰圧の使用によって支援されていない(非陰圧療法とも呼ばれる場合もある)従来の高度な創傷ケアを使用して治療されうる。
【0041】
高度な創傷ケアには、吸収性被覆材、閉塞被覆材の使用、創傷被覆材または付属物における抗菌剤および/または清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングや包帯などのクッション療法または圧縮療法)の使用などを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、創傷の治癒を容易におよび促進するために、創傷に被覆材を適用できる、従来的創傷ケアを使用してこうした創傷の治療を実施することができる。
【0043】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示の創傷被覆材を提供することを含む創傷被覆材を製造方法に関する。
【0044】
開示技術と併せて利用されうる創傷被覆材は、当該技術分野において公知の任意の被覆材を含む。本技術は、陰圧療法および非陰圧療法に適用可能である。
【0045】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、一つまたは複数の吸収層を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体でありうる。
【0046】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類または修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、またはゼラチンまたはその混合物を含む、被覆材層を含んでもよい。リストされたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかの創傷被覆材層を形成するために有用であることが当技術分野で公知である。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類でありうる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスはセルロースでありうる。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物などの親水性修飾セルロースを含みうる。
【0049】
特定の実施形態では、セルロース材料はセルロースアルキルスルホネートでありうる。硫酸アルキル置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有しうる。アルキル部分は、分枝鎖または非枝鎖状であってもよく、従って好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートでありうる。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートでありうる。アルキルスルホネート置換基は、硫酸エチルでありうる。セルロースアルキルスルホネートは、国際特許第10/061225号、米国特許第2016/114074号、米国特許第2006/0142560号、または米国特許第5,703,225号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
セルロースアルキルスルホナートは、さまざまな置換、セルロース骨格構造の鎖長およびアルキルスルホナート置換基の構造を有しうる。溶解性および吸収性は置換の程度に依存し、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加すると、吸収性が増加する。
【0051】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、上部またはカバー層を含む。
【0052】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1~20、または2~10、または3~7mmでありうる。
【0053】
いくつかの実施形態では、開示技術は、非陰圧被覆材と併せて使用されうる。創傷部位で保護を提供するのに適した非陰圧創傷被覆材は、以下を含みうる:
【0054】
創傷滲出液を吸収するための吸収性層と、
【0055】
使用時に吸収性層によって吸収される創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素と、を含みうる。
【0056】
遮断要素は部分的に半透明であってもよい。
【0057】
遮断要素はマスキング層でありうる。
【0058】
非陰圧創傷被覆材は、吸収性層を見ることができるように遮断要素内またはそれに隣接した領域をさらに含むことができる。例えば、遮断要素層は、吸収層の中央領域の上に提供され、および吸収層の境界領域上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮断要素は親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0059】
遮断要素は、三次元ニットスペーサファブリックを含みうる。スペーサ生地は当業界で周知であり、ニットスペーサファブリック層を含みうる。
【0060】
遮断要素は、被覆材を変更する必要性を示すためのインジケータをさらに含みうる。
【0061】
いくつかの実施形態では、遮断要素は、少なくとも部分的に吸収性層の上に、使用中には吸収性層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0062】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするための遮断要素に複数の開口部をさらに含みうる。遮断要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するためのサイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、または被覆されうる。
【0063】
遮断要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的に遮蔽するように構成されうる。
【0064】
遮断要素は、50%以上の光吸収を減少させるように構成されうる。
【0065】
遮断要素は、CIEのL*値50以上、および必要に応じて70以上をもたらすように構成されうる。いくつかの実施形態では、遮断要素は、CIEのL*値70以上を生み出すように構成されうる。
【0066】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡層、臭気抑制要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも一つをさらに含みうる。
【0067】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透明フィルムである。一般に、半透過性フィルムは500g/m/24時間以上の蒸気透過性を有する。
【0068】
半透過性フィルムは細菌バリアでありうる。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収性層が創傷接触層の上にある。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0070】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、単一層として提供される遮断要素および吸収性層を含みうる。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は発泡層を含み、遮断要素は、遮断要素の移動によって移動または破壊され得るコンポーネントを含む材料である。
【0072】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は臭気抑制要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気抑制要素を含まない。存在する時、臭気制御要素は、吸収層または遮断要素内またはそれに隣接して分散されうる。別の方法として、存在する場合、臭気制御要素は、発泡体層と吸収層との間に挟まれた層として提供されうる。
【0073】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層を提供することと、使用中に吸収性層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮断要素を提供することと、を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収性層と、吸収性層の上に、さらに吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて設けられる遮蔽層とを含み、創傷部位での保護を提供するのに好適であることができる。遮蔽層は、吸収層の上に直接設けられてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽層は、三次元スペーサ生地層を含む。
【0075】
遮蔽層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を25%以上、または印加の初期面積を増加させる。例えば、シールド層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を50%以上、随意に100%以上、随意に200%以上増加させる。
【0076】
遮蔽層は、2つ以上のサブ層を含んでもよく、第一のサブ層は貫通孔を含み、およびさらなるサブ層は貫通孔を含み、第一のサブ層の貫通孔はさらなるサブ層の貫通孔からずれている。
【0077】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気を通過することを可能にする透過性カバー層をさらに備えてもよく、カバー層は遮蔽層の上に設けられ、カバー層の貫通孔は遮蔽層の貫通孔からオフセットされる。
【0078】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適でありうる。
【0079】
本明細書に開示される非陰圧被覆材のより詳細な説明は、国際出願公開第2013/007973号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位から滲出液を吸収するための繊維質吸収層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された支持層とを含む、多層創傷被覆材としうる。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、液体不透過性フィルム層をさらに備え、支持層は吸収層とフィルム層との間に配置される。
【0082】
本明細書に開示される支持層は、ネットを含みうる。ネットは、それを通って延びる複数の実質的に幾何学的な開口部を持つ幾何学的構造を含みうる。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的な開口部を形成するために、ポリマー鎖によって実質的に均等に間隔を置いて結合された複数の突起部を含みうる。
【0083】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成されうる。
【0084】
開口部は、0.005~0.32mmの面積を有しうる。
【0085】
支持層は0.05~0.06Nmの引張強さを有しうる。
【0086】
支持層は50~150μmの厚さを有しうる。
【0087】
いくつかの実施形態では、支持層は、吸収層に直接隣接して配置される。典型的には、支持層は、吸収層のトップ面の繊維に結合される。支持層は、結合層をさらに備えてもよく、ここで支持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に積層される。結合層は、エチレンビニル酢酸塩接着剤などの低融点接着剤を含みうる。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、フィルム層を保持層に接着させる接着層をさらに備える。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層創傷被覆材は、創傷に隣接して位置決めする吸収層に隣接して配置される創傷接触層をさらに備える。多層創傷被覆材は、創傷から吸収層へと滲出液を移動させるための創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含みうる。
【0090】
本明細書に開示される多層創傷被覆材のより詳細な説明は、出願番号GB1618298.2、2016年10月28日出願のGB特許出願に提供され、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0091】
いくつかの実施形態では、開示された技術が創傷被覆材に組み込まれてもよく、その創傷被覆材は、材料の吸収層の第一の層と材料の第二の層とを含む垂直重複材料を含み、第一の層は不織布繊維のうちの少なくとも一つの層から構築され、不織布繊維は複数の折り目で折り畳まれてプリーツ構造を形成する。いくつかの実施形態ではさらに、創傷被覆材は、材料の第一の層に一時的または永久的に結合された材料の第二の層を含む。
【0092】
通常、垂直重複材料は、切り込みが入れられている。
【0093】
いくつかの実施形態では、第一の層は、ひだの深さによって、または切り込みの幅によって決められた深さを有する、プリーツ構造を有する。材料の第一の層は、成形、軽量、繊維系材料、材料の混合または組成物層でありうる。
【0094】
材料の第一の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース系、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの一つまたは複数を含みうる。
【0095】
創傷被覆材は、互いの上に積み重ねられた材料垂直重複材料の吸収性層のうちの二つ以上の層を含んでもよく、二つ以上の層は、同一または異なる密度または組成を有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料垂直重複材料の吸収性層のうちの一つの層のみを含みうる。
【0097】
材料の吸収性層は、天然または合成、有機もしくは無機繊維、およびバインダー繊維、または、特定温度で軟化し全体的なブレンドの結合剤として作用するように低溶融温度PETコーティングを用いたバイコンポーネント繊維、通常PET、である。
【0098】
いくつかの実施形態では、材料の吸収性層は、5~95%の熱可塑性ポリマーと、5~95重量%のセルロースまたはその誘導体とのブレンドとすることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第二の層を含む。
【0100】
発泡体は、ポリウレタン発泡体でありうる。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖空孔構造を有しうる。
【0101】
被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、またはバッキング層を含みうる。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、積層または接着剤によって第二の層に直接結合された材料の吸収性層を含み、第二の層は被覆材固定層に接続されている。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤でありうる。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維またはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、バッキング層をさらに含む。バッキング層は、透明または不透明なフィルムでありうる。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0105】
本明細書に開示される多層創傷被覆材の詳細な説明は、2016年12月12日に出願された出願番号GB1621057.7、および2017年6月22日に出願された出願番号GB1709987.0の英国特許に提供されており、その各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性コンポーネントを含み得、コンポーネントが発泡層に結合されたゲル形成ファイバーを含む創傷接触層を含み、発泡層が、接着剤、ポリマー系溶融層、フレームラミネーション、または超音波によって創傷接触層に直接結合される。
【0107】
吸収性コンポーネントは、シート形態でありうる。
【0108】
創傷接触層は、織布または不織布またはニットゲル形状ファブリックの層を含みうる。
【0109】
発泡体層は、開放セル発泡体、または閉鎖セル発泡体であってもよく、一般的には開放セル発泡体でありうる。発泡体層は、親水性発泡体である。
【0110】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周辺によって囲まれた、創傷と直接接触する島を形成するコンポーネントを含みうる。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤でありうる。
【0111】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面において、フィルム層によって覆われうる。
【0112】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第2498829号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷で使用する多層創傷被覆材を含んでもよく、被覆材が、少なくとも24時間で300gm2のMVTRを有する透過層と、滲出液を吸収し、保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアに送るゲル形成繊維を含む創傷接触層と、吸収性コア上に位置付けられるキーイング層とを含むことで特徴付けられ、吸収性コアおよび創傷接触層は、被覆材の滲出液の横方向の広がりを創傷領域に制限する。
【0114】
創傷被覆材は、24時間で被覆材の10cmあたりの流体のうち、少なくとも6g(または8g~15g)に対応する能力を有しうる。
【0115】
創傷被覆材は、化学修飾されたセルロース系繊維であるゲル形成繊維をファブリックの形態で含みうる。繊維は、カルボキシメチルセルロース繊維、一般的にナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を含みうる。
【0116】
創傷被覆材は、横方向の吸い上げ量が毎分5mm~毎分40mmの創傷接触層を含みうる。創傷接触層は、35gmなど25gm~55gmの繊維密度を有しうる。
【0117】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性を有してもよく、通常、横方向の吸い上げ量は、毎分20mmより少ない。
【0118】
吸収性コアは、重量で最大25%のセルロース系繊維、および重量で75%~100%のゲル形成繊維の範囲のブレンドを有しうる。
【0119】
あるいは、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維、および重量で50%~100%ゲル形成繊維の範囲のブレンドを有しうる。例えば、混合物は、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0120】
吸収性コアの繊維密度は、150gm~250gm、または約200gmであってもよい。
【0121】
濡れた場合の創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有しうる。
【0122】
創傷被覆材は、透過層を含んでもよく、層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体でありうる。
【0123】
創傷被覆材は、可溶性薬剤フィルム層、臭気吸収性層、拡散層、および追加的接着剤層を含む群から選択される、一つまたは複数の層を含みうる。
【0124】
創傷被覆材は、厚さ2mm~4mmであってもよい。
【0125】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合するという点で特徴付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアの創傷面側または吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられうる。いくつかの実施形態では、キーイング層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーイング層はポリアミドウェブである。
【0126】
本明細書の上記のこのタイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、欧州特許第1718257号に提供されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0127】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧縮包帯は、浮腫およびその他の静脈障害、ならびに下肢のリンパ障害の治療において使用するために周知である。
【0128】
圧迫包帯システムは、通常、皮膚と圧迫層との間のパディング層を含む複数の層を用いる。圧迫包帯は、静脈性脚潰瘍を処置する等、創傷に有用でありうる。
【0129】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを含むことができ、内層は、発泡体の第一の層と、吸収性不織ウェブの第二の層とを含み、内層および外層は、患者の手足周りに巻かれることができるように、十分細長い。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第99/58090号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0130】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、a)(i)細長い弾性基材と、
【0131】
(ii)細長い発泡層と、を含む内側の皮膚に面した、細長い弾性包帯であって、発泡層が基材の面に取り付けられ、基材の面を横方向に33%以上横切って、および、基材の面を長手方向に67%以上横切って延在する、弾性包帯と、b)外側の、細長い、 粘着弾性包帯であって、包帯が、延在されると圧縮力を有し、使用時には、内側包帯の発泡層が皮膚に面し、外側包帯が内側包帯の上にある、弾性包帯と、を含む。このタイプの圧縮包帯は、国際特許第2006/110527号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0132】
いくつかの実施形態では、他の圧迫包帯システム、例えば米国特許第6,759,566号および米国特許出願公開第2002/0099318号に開示されているもののそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0133】
陰圧創傷被覆材
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に適用されうる。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0134】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)治療システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減しうる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援しうる。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0135】
陰圧療法を用いて、大きすぎて自然には閉じられない、あるいは創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放または慢性創傷を治療することができる。局所陰圧(TNP)療法または、陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、さまざまな手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)を被覆に接続することとを伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過剰な流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0136】
NPWTに使用される被覆材のいくつかには、様々な種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡パッド、または多層創傷被覆材が挙げられる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスターなしのシステムを提供するように、バッキング層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith & Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用され得る、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートに封止されうる。加えて、Smith & Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith & Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0137】
本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0138】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgとすることができる。これらの圧力は、760mmHgでありうる、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間でありうる。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用されうる。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給されうる。
【0139】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながりうる。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または一つまたは複数の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見出すことができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0140】
明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材コンポーネント、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際公開第2013/175306A2号として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許出願公開第2015/0190286A1号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材コンポーネント、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日に米国特許出願公開第2016/0339158 A1号として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材のコンポーネントおよび原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含め、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0141】
加えて、本明細書に記載するポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関係するいくつかの実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日に国際公開2016/174048号として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示が本明細書全体において参照によって組み込まれる。
【0142】
NPWTシステムの概要
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療は、当該技術分野ではよく知られている。現在当該技術分野で知られている陰圧創傷療法(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧の源(真空ポンプなど)を被覆に接続することと、 を伴う。このような陰圧は、創傷における肉芽組織の形成を促進し、かつ人体の通常の炎症プロセスを補助しながら、同時に有害なサイトカインおよび/またはバクテリアを含む可能性がある過剰な流体を除去することにより、創傷の治癒を促進すると考えられている。しかしながら、治療の便益を完全に実現するには、NPWTのさらなる改良が必要とされる。
【0143】
NPWTシステムに役立つ、多くの異なるタイプの創傷被覆材が知られている。さまざまな種類の創傷被覆材には、さまざまな種類の材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスターなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith & Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、一本の管に接続する吸引ポートに対して封止されてもよく、その吸引ポートは、被覆材から流体を吸い出し、および/または、ポンプから創傷被覆材に陰圧を伝達するのに使用されうる。加えて、Smith & Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith & Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0144】
しかしながら、陰圧創傷療法または他の創傷療法において使用する、従来技術の被覆材によって、被覆材の下方にある創傷はほとんど可視化されず、またはその状態に関する情報はほとんど提供されない。このため、臨床医が創傷の治癒および状態を視診することを可能にするために、創傷が所望するレベルまで治癒する前に、または吸収性被覆材の場合は、被覆材の全吸収容量に達する前に、時期を早めて被覆材を交換する必要がありうる。現行の被覆材には、創傷の状態に関する情報を提供する方法または特性が、限定されているまたは十分でないものがある。
【0145】
本明細書に開示する実施形態は、例えば、陰圧の源、ならびに創傷被覆材コンポーネントおよび装置を含む、減圧して、もしくは減圧せずに創傷を治療する装置および方法に関する。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を備える、装置およびコンポーネントは、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供されうる。
【0146】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指しうる。本明細書で使用される用語「創傷」は、幅広い通常の意味を有することと前述した例と説明に加えて、陰圧を使用することなどによって治療されうる、患者のいかなる体の一部を含む。創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0147】
そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に適用されうる。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0148】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)治療システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減しうる。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP治療システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援しうる。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0149】
本明細書に使用する通り、減圧または陰圧レベル、例えば-XmmHg、は、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当しうる、通常の周囲の気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。さらに、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、大気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、大気圧からより遠い圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0150】
本開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHg~-200mmHgとすることができる。これらの圧力は、760mmHgでありうる、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間でありうる。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用されうる。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用されうる。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧装置により供給されうる。
【0151】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながりうる。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスの実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、陰圧は、例えば正弦波、方形波を使用して、および/または、一つまたは複数の患者の生理的指標(例えば、心拍)と同期して、経時的に変化させられうる。前述に関するさらなる開示を見出すことができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0152】
明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材コンポーネント、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際公開第2013/175306A2号として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許出願公開第2015/0190286A1号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材コンポーネント、創傷治療装置および方法の実施形態はまた、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材のコンポーネントおよび原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関するさらなる詳細を含め、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0153】
加えて、本明細書に記載するポンプおよび/または関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関係するいくつかの実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願PCT/EP2016/059329号で出願された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよい。
【0154】
図1A図1Bは、流体コネクタ110とともに創傷被覆材100を用いた、陰圧創傷治療システム10の実施形態を図示する。図中、流体コネクタ110は、例えば、近位端130および遠位端140を有するブリッジ120などの細長い導管と、ブリッジ120の遠位端140にアプリケータ180とを備えてもよい。任意の連結器160は、ブリッジ120の近位端130に配置されうる。キャップ170が、システムに提供されうる(一部の場合、示す通り、カップリング160に取り付けられうる)。キャップ170は、近位端130から流体が漏出するのを防止するときに有用でありうる。システム10は、ポンプまたは陰圧を供給できる陰圧ユニット150など、陰圧源を含んでもよい。ポンプは、創傷滲出液、および創傷から除去され得る他の流体を貯蔵する、キャニスターまたは他の容器を備えてもよい。キャニスターまたは容器はまた、ポンプとは別に提供されうる。いくつかの実施形態では、図1A図1Bに図示するように、ポンプ150は、Smith & Nephewより販売される、PICO(商標)ポンプなど、キャニスターなしのポンプでありうる。ポンプ150は、管190を介してカップリング160に接続してもよく、またはポンプ150は、カップリング160に直接、もしくはブリッジ120に直接接続しうる。使用中、被覆材100は、一部の場合、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされうる、好適に準備された創傷の上に置かれる。流体コネクタ110のアプリケータ180は、被覆材100の隙間の上に置かれ、被覆材100の最上表面に封止される、封止面を有する。流体コネクタ110の被覆材100への接続の前、間、または後のいずれかに、ポンプ150は、管190を介してカップリング160へ接続されるか、またはカップリング160もしくはブリッジ120へ直接接続される。その後ポンプが起動され、それによって陰圧を創傷に供給する。陰圧の印加は、所望するレベルの創傷治癒を達成するまで行われてもよい。
【0155】
創傷被覆材の概要
図2Aに示す通り、流体コネクタ110は、以下にさらに詳細に記載する通り、被覆材100と流体連通する拡大遠位端または頭部140を含みうる。一実施形態では、拡大遠位端は丸い形または円形を有する。頭部140は、図中、被覆材100の縁近くに位置するように示しているが、被覆材上のいずれの場所に配置されうる。例えば、いくつかの実施形態は、被覆材100の縁または角上または近くではない、中心または中心から外れた場所に提供されうる。いくつかの実施形態では、被覆材10は、二つ以上の流体コネクタ110を備えてもよく、各々、それと流体連通する一つまたは複数の頭部140を含む。一実施形態では、頭部140は、最も幅の広い縁に沿って30mmあってもよい。頭部140は、上に記載した、創傷被覆材の最上表面に対して封止するように構成される、アプリケータ180を少なくとも一部形成する。
【0156】
図2Bは、流体コネクタ110と共に図1Bに示される、創傷被覆材10に類似する創傷被覆材100の断面を示し、それは国際特許公開WO2013/175306 A2に記載され、参照によってその全体が組み込まれる。代替として、本明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特性のいかなる組み合わせでもありうる、創傷被覆材100は、治療されることになる創傷部位内またはその上に置かれうる。被覆材100は、創傷の上に密封された空洞を形成するために設置されうる。一実施形態では、被覆材100は、最上層もしくはカバー層、または任意の創傷接触層222に取り付けられる裏当て層220を備え、それらの両方について以下により詳細に記載する。これら二つの層220、222は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止されうる。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応し得る追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能とを備えてもよい。以下に記載するそのような構造の例は、透過層226および吸収層221を含む。
【0157】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0158】
図2Bに図示するように、創傷接触層222は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、または、例えば、ホットピンプロセス、レーザーアブレーションプロセス、または超音波プロセスを介すか、またはその他のいくつかの方法で穴加工された、あるいは別の方法で液体および気体が透過するようにしたその他の可撓性のある層であってもよい。創傷接触層222は、下面224と上面223とを有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が層222を通って流れることが可能になる。創傷接触層222は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。穿孔は、その中を通って流体が流れるのを可能にしつつ、この要件を満たすのに十分小さいことが好ましい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。一部の構成では、創傷接触層222は、陰圧を創傷に維持するために、吸収パッドの周りに気密状態をも作り出しながら、被覆材100全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。
【0159】
創傷接触層222の一部実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材100の下面224上に提供され得る一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面223上に提供されうる。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であり得る感圧接着剤は、創傷接触層の両面上、もしくは任意で選択された片面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材100を創傷の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを含んでもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持するのを助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全3層は共に孔加工されていてもよい。
【0160】
多孔質材料の層226は、創傷接触層222の上方に配置されうる。この多孔質層または透過層226により、液体および気体を含む流体が、創傷から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷領域全体に陰圧を伝えるように維持されうることを保証できる。層226は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷全体が等しい陰圧を受ける。層226は、三次元構造を有する材料から形成されうる。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用されうる。
【0161】
いくつかの実施形態では、透過層226は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、ニットポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサファブリック層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用されうる。
【0162】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用されうることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0163】
間隔を空けた層のフィラメント数のこの差は、透過層全体の水分の流れを制御するのに役立つ。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中心領域中に引き寄せられるようになり、中心領域では、吸収層221が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得る被覆層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0164】
透過層226を横切る(すなわち、最上部および最下部スペーサ層の間に形成されるチャネル領域と垂直に)液体の流れを改善するために、3D織物は、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、前に使用された鉱油、油脂および/またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。いくつかの実施形態では、続いて、3Dスペーサ布が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0165】
吸収材の層221は、透過層226の上に提供される。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意で超吸収材料を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷から除去される液体用の貯留部を形成する。いくつかの実施形態では、層10もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0166】
吸収層221の材料はまた、創傷被覆材100内に収集された液体が、被覆材内を自由に流れるのを妨げてもよく、被覆材内に収集されるいかなる液体をも包含するように働きうる。吸収層221はまた、流体を創傷から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層の領域における凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層221は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg114-224-4および/またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層221は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。一実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0167】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収性材料を有する、不織布セルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材料に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0168】
陰圧を被覆材100に印加することができるように、開口部、孔、またはオリフィス227をバッキング層220内に設けることができる。流体コネクタ110は、被覆材100の中に作られるオリフィス227の上で、裏当て層220の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス227を通って陰圧を伝える。長いチューブが、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第一端部で流体コネクタ110に、第二端部でポンプユニット(図示せず)に連結されうる。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長いチューブは、チューブまたは導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結されうる。流体コネクタ110は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏当て層220に接着および封止しうる。流体コネクタ110は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されうる。いくつかの実施形態では、流体コネクタ110は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0169】
吸収層221は、流体コネクタ110の下にあるように配置される、少なくとも一つの貫通孔228を含みうる。貫通孔228は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。図2Bに図示する通り、単一の貫通孔は、流体コネクタ110の下にある開口部をもたらすように使用されうる。複数の開口部が、代替として利用されうることは理解されるであろう。加えて、二つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、一つまたは二つ以上の開口部が、各流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および不明瞭化層に作られてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供しうる。
【0170】
隙間または貫通孔228は、図2Bに示す通り、オリフィスが透過層226に直接接続するように、オリフィス227の下方の吸収層221に提供されうる。これによって、流体コネクタ110に適用される陰圧を、吸収層221を通過することなく、透過層226へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、隙間は吸収層221に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス227の下にある複数の隙間が提供されうる。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または参照することによりその全体が援用される、国際特許出願公開第2014/020440号に記載されるような不明瞭化層が、吸収層221の上およびバッキング層220の下方に提供されうる。
【0171】
裏当て層220は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させることができ、創傷被覆材100の幅を横切って延在しうる。例えば、片方の面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であり得る、裏当て層220は、ガスに対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、バッキング層220と創傷との間に作られる。バッキング層220は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層222に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界範囲を通って引き込まれることを保証する。裏当て層220によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。裏当て層220は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの二つの層を備えうる。ポリウレタンフィルムは透湿性を持つことができ、濡れたときに水透過速度が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、バッキング層が濡れると、バッキング層の透湿性が増大する。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約10倍でありうる。
【0172】
吸収層221は、透過層226の縁と重複するように、透過層226よりも大きい領域から成ってもよく、それによって、透過層が裏当て層220に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層222と直接接触する、吸収層221の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創傷空洞の外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある。図2A図2Bに図示する通り、吸収層221によって、境界線または境界領域が、吸収層221の縁と裏当て層220の縁との間に画定されるように、裏当て層220の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0173】
図2Bに示す通り、創傷被覆材100の一実施形態は、流体コネクタ110の下方に置かれる吸収層221に、アパーチャ228を備える。使用中、例えば、陰圧が被覆材100に適用されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層226と接触してもよく、それゆえ、吸収層221が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷に陰圧を伝達するのに役立ちうる。いくつかの実施形態によって、裏当て層220を透過層226に少なくとも一部接着させてもよい。いくつかの実施形態では、隙間228は、流体コネクタ11の創傷に面する部分またはオリフィス227の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0174】
特に、単一流体コネクタ110および貫通孔を伴ういくつかの実施形態では、図2Aに図示する通り、流体コネクタ110および貫通孔が、中心から外れた位置に置かれるのが好ましい場合がある。そのような場所では、流体コネクタ110が被覆材100の残余部と比較して持ち上げられるように、被覆材100を患者の上に配置することが可能になってもよい。そのように配置すると、流体コネクタ110およびフィルタ214は、創傷への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ214を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0175】
ここで流体コネクタ110に目を転じると、いくつかの実施形態は、封止面216と、近位端130および遠位端140を伴うブリッジ211(図1A図1Bのブリッジ120に相当)と、フィルタ214とを含む。封止面216は、創傷被覆材の最上表面に封止される、前に記載したアプリケータを形成しうる。いくつかの実施形態では、流体コネクタ110の最下層は、封止面216を備えてもよい。流体コネクタ110はさらに、いくつかの実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、密封表面216から垂直に間隙を介した上表面を備えてもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成されうる。いくつかの実施形態では、封止面216は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも一つの開口部229を備えてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ214は、封止面の開口部229を横切って配置されてもよく、開口部229全体にわたってもよい。封止面216は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または溶接部を備えてもよい。いくつかの実施形態では、封止面216は、カバー層のオリフィスの上に置かれてもよい。他の実施形態では、密封表面216は、カバー層のオリフィスおよび吸収層220の隙間の上に位置してもよく、流体コネクタ110によって透過層226を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧源と連通する第一流体通路212を備えてもよく、第一流体通路212は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層226と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を備える。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第一の流体通路212を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封表面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに侵入するのを実質的に阻害するように構成される。これらの要素については、以下により詳細に記載する。
【0176】
いくつかの実施形態はさらに、第一の流体通路212の上方に位置する、任意の第二の流体通路を備えてもよい。例えば、いくつかの実施形態によって、第一流体通路212および被覆材100中への空気経路を提供するように構成され、最上層の近位端に配置される可能性がある、空気漏れ部を提供してもよく、これは、参照することによって全体が援用される、米国特許第8,801,685号に記載する吸引アダプタに類似する。
【0177】
流体通路212は、スペーサがねじれるかまたは折り重なる場合でも、流体が通過することを可能にする、可撓性のある、規格に準拠した材料から構築される。流体通路212の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編物、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層226に関して上に記載したものと、類似の材料から構築されうる。有利なことに、流体通路212に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路212が流体を創傷から陰圧源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供しうる。
【0178】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、ウィッキングファブリック、例えば、ニットもしくはウーブンスペーサファブリック(ポリエステルで編み3D織物Baltex 7970(登録商標)またはGehring 879(登録商標))といった、または不織布から成ってもよい。選択されたこれらの材料は、好ましくは、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧および/または吐出された空気を創傷へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有しうる。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、40から150mmHgの間の陰圧療法で使用される通常圧力下において、変わらず陰圧を創傷領域に伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を備えてもよく、一部の場合には、陰圧の印加状況下において、流体通路212が崩れるのを妨げるのに有用でありうる。他の実施形態では、流体通路212に使用されるウィッキング生地は、1.5mmと6mmとの間であってもよく、より好ましくは、ウィッキング生地は、3mmと6mmとの間の厚さであってもよく、一つまたはいくつかの個別のウィッキング生地層から成ってもよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2~3mmの間の厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材と共に使用される吸引アダプタは、流体通路212に疎水性の層を用いてもよく、ガスのみが流体通路212を通って動いてもよい。加えて、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0179】
フィルタ要素214は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性があり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材100から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能しうる。通常、管孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな細孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、必須ではないものの、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートおよび/または被覆フィルムに取り付けられるか、または封止されうる。例えば、フィルタ要素214は、流体コネクタ110に成型されてもよく、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、カバー層の最上部および吸引アダプタ110の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0180】
他のタイプの材料がフィルタ要素214に使用され得ることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な細孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの細孔は、0.01マイクロメートルから10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にありうる。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、支持層と、支持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。特定の実施形態に従う創傷被覆材100は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。多数のポリマーを用いて、MHMを形成しうる。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの一つまたは複数から形成されうる。これら任意のポリマーの全てが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特徴を得るために処理されうる。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0181】
MHMは、空気が膜を通って流れることを可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として、よく知られる。それゆえ、MHMの組込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善しうる。
【0182】
フィルタ要素214はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体、または類似のものといった臭気吸収性材料を含んでもよい。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素214の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素214によって、オリフィスを通してガスを排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0183】
上記の創傷被覆材の実施形態に類似して、一部の創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコーン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う穿孔創傷接触層を含む。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ生地パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW)パッドを含みうる。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接しうる。吸収層は、一つの端部の方に向かう隙間または貫通孔を有しうる。隙間は直径約10mmでありうる。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムでありうる。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層の隙間の上に重なる、10mmの隙間を有しうる。孔の上方には、前述したアパーチャの上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを含む、流体コネクタを結合しうる。
【0184】
図2Cに目を転じると、より大きな腹部創傷など、特定の実施形態で陰圧を用いる他の創傷タイプの治療では、図に概略的に示す通り、陰圧治療システム101を使用する。この実施形態では、腹部創傷として図に示す創傷106は、陰圧による治療から恩恵を受けることができる。そのような腹部創傷は、例えば、事故または外科的介入による結果である場合がある。一部の場合、腹部コンパートメント症候群、腹部高血圧、敗血症または水腫などの病状は、腹膜腔を曝露するように、腹壁を通る外科的切開による腹部の除圧を必要とする場合があり、その後、開口部は状態が回復するまで、開放してアクセス可能な状態の維持が必要とされることがある。他の状態もまた、具体的には腹腔などの開口部は、例えば、複数の外科的手技が必要とされる(場合により外傷に付随して起こる)場合、または腹膜炎または壊死性筋膜炎など、病態のエビデンスがある場合、開いたままにしておくことを必要とする場合がある。
【0185】
具体的には腹部などに創傷がある場合、創傷が開いたままであるべきであってもなくとも、または創傷が閉じられるであろう場合には、器官および腹膜腔の曝露に関係する、可能性のある合併症を管理することが望ましい。好ましくは陰圧の適用を使用する療法は、組織生存を促進し、創傷から有害な物質を除去しながら、感染のリスクを最小化することを目的としうる。創傷への減圧または陰圧の適用は、とりわけ、概してより早い治癒、血流の増大、細菌負荷の減少、肉芽組織形成の速度増大の促進、線維芽細胞増殖への刺激、内皮細胞増殖への刺激、慢性開放創の閉鎖、熱傷の浸透(burn penetration)の阻害、ならびに/または皮弁および移植片の付着強化をもたらすことがわかっている。陰圧の印加による治療への好反応を呈していた創傷には、感染開放創、褥瘡性潰瘍、裂開切開、中間層熱傷およびフラップまたは移植片を取り付けられたさまざまな病変を含むことも、報告されている。その結果として、創傷106への陰圧の適用は、患者にとって有益でありうる。
【0186】
したがって、ある実施形態では、創傷106の上に設置するように、創傷接触層105が提供される。創傷接触層はまた、器官保護層および/または組織保護層と称されうる。創傷接触層105は、創傷または接近した曝露された内臓にそれほど接着しない薄い可撓性材料であることができる。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはそれらの混合物などのポリマーが、使用されうる。一実施形態では、創傷接触層は透過性がある。例えば、創傷接触層105は、創傷106からの流体の除去、または創傷106への陰圧の伝達を可能にするように、孔、スリットまたはチャネルなどの開口部を提供されうる。創傷接触層105の追加の実施形態について、以下にさらに詳細に記載する。
【0187】
陰圧治療システム101のある実施形態はまた、創傷接触層105の上に配置され得る、多孔質創傷充填材103を使用してもよい。このパッド103は、柔らかく弾性的可撓性があり、概して創傷106に適合する、例えば、発泡体といった多孔性材料から構築され得る。そのような発泡体には、例えば、ポリマーから作られる連続気泡型の網状発泡体を含みうる。好適な発泡体には、例えば、ポリウレタン、シリコーンおよびポリビニルアルコールから成る発泡体を含む。このパッド103は、陰圧が創傷に印加されるとき、パッドを通って創傷滲出液および他の流体を導いてもよい。一部のパッド103は、そのような目的で事前に形成されるチャネルまたは開口部を含んでもよい。特定の実施形態では、パッド103は、約1インチと約2インチとの間の厚さを有してもよい。パッドはまた、約16インチと17インチとの間の長さ、および約11インチと12インチとの間の幅を有しうる。他の実施形態では、厚さ、幅および/または長さは、他の好適な値を有しうる。パッド103の代わりに、またはそれに加えて使用され得る、創傷充填材の他の実施形態について、以下にさらに詳細に議論する。
【0188】
ドレープ107を使用して、創傷106を封止することができる。ドレープ107は、少なくとも一部の陰圧を創傷に維持してもよいように、少なくとも部分的に液体不透過性でありうる。ドレープ107に好適な材料は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリエステル、および他のコポリマー、ならびにそれらの混合物を含む、それほど流体を吸収しない合成ポリマー材料を含むがこれらに限定されない。ドレープに使用される材料は、疎水性または親水性でありうる。好適な材料の例には、DeRoyalから市販されているTranseal(登録商標)、およびSmith & Nephewから市販されているOpSite(登録商標)を含む。患者の快適性に役立ち、皮膚の浸軟を回避するために、特定の実施形態におけるドレープは、水蒸気が被覆材下に閉じ込められたままにならず通過できるように、少なくとも一部に通気性がある。特定の実施形態では、代わりに別個の接着剤または接着ストリップを使用し得るものの、接着層には少なくとも一部分上に、ドレープを患者の皮膚に固定するように、ドレープ107の底面を提供しうる。任意で、放出層は、使用前、接着層を保護し、かつドレープ107の取り扱いを容易にするように、接着層の上に配置されてもよく、いくつかの実施形態では、放出層は複数セクションから成ってもよい。
【0189】
陰圧システム101は、陰圧源、例えば、ポンプ114に接続しうる。好適なポンプの一例は、Smith & Nephewから市販されているRenasys EZポンプである。ドレープ107は、導管112を介して陰圧源114に接続されうる。導管112は、ドレープ107の隙間109の上に置かれるポート113に接続されてもよく、あるいは、導管112は、ポートを使用せずに隙間109を通って直接接続されうる。さらなる代替物において、導管はドレープの下方を通り、ドレープの側面から延在しうる。米国特許 第7,524,315号は、陰圧システムの他の類似する態様について開示し、参照することによって本明細書によりその全体が援用され、本明細書の一部とみなされるべきである。
【0190】
多くの適用では、容器または他の貯蔵ユニット115は、創傷滲出液、および創傷から除去された他の流体を、陰圧源に進入させることなく貯蔵することが可能になるために、陰圧源114と導管112とに間置されうる。また、例えば、蠕動ポンプといった、あるタイプの陰圧源によっても、容器115をポンプ114の後に設置することが可能になってもよい。いくつかの実施形態はまた、流体、エアロゾルおよび他の微生物混入物が、容器115を離れ、および/または陰圧源114に進入するのを妨げるように、フィルタを使用しうる。さらなる実施形態はまた、オーバーフローを妨げるように、容器に遮断バルブ、または閉塞疎水性および/もしくは撥油性フィルタを含んでもよく、他の実施形態は、容器の中の流体のレベルが容量に近づく場合、容量センサ、または陰圧源を停止もしくは遮断するように働く、他の流体レベル検出器などの感知手段を含んでもよい。ポンプ排出部に、活性炭キャニスターなどの臭気フィルタを提供し得ることがまた望ましい。
【0191】
図2Dは、陰圧なしで創傷を治癒するために使用されうる、創傷被覆材の様々な実施形態を図示する。図2Dの被覆材に示す通り、創傷被覆材は、図1A図1Bを参照して記載した被覆材に類似する、複数の層を有することができ、図2Dの被覆材以外の図2A図2Bは、ポートも流体コネクタも含まない。図2Dの創傷被覆材は、本明細書に記載する通り、カバー層および創傷接触層を含みうる。創傷被覆材は、創傷接触層とカバー層との間に位置する様々な層を含みうる。例えば、被覆材は、図1A図1Bおよび図2A図2Bを参照して本明細書に説明する通り、一つまたは複数の吸収層および/または一つまたは複数の透過層を含みうる。加えて、本明細書に記載する創傷被覆材を備える、創傷治療に関係するいくつかの実施形態はまた、2014年5月21日に米国特許出願第2014/0249495号で出願された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と組み合わせて、または該米国特許出願に追加して使用されてもよく、該米国特許出願の開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材のコンポーネントおよび原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関係する、さらなる詳細を含め、参照することによって本明細書によりその全体が援用される。
【0192】
センサ付き創傷被覆材
多数のセンサを組み込む創傷被覆材は、創傷が治癒するにつれて、その創傷の特徴を監視するため、創傷に治療を提供するため、患者の動きを監視するためなどに利用することができる。良好に治癒する創傷、および、治癒しない創傷からのデータを収集することは、創傷が治癒軌道上にあるかどうかを示すための測定基準を特定するための有用な洞察を提供できる。2017年5月5日に出願され、「SENSOR ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY APPARATUS」と題された、国際特許出願第PCT/IB2017/000693号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。国際特許出願第PCT/IB2017/000693号は、例えば、陰圧創傷療法と組み合わせた被覆材を使用した、創傷を治療する装置、システム、および方法に関するさまざまな例、実施形態、および特性を記載する。本明細書に記載される実施形態は、国際特許出願第PCT/IB2017/000693号に記載される実施形態と互換性があり、かつその一部であってもよく、また本明細書に記載される特性の一部または全部は、国際特許出願第PCT/IB2017/000693号に記載される特性のいずれかと共に使用またはその他の方法で組み合わせることができる。
【0193】
いくつかのセンサ技術が、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する一つまたは複数のコンポーネントで使用されうる。例えば、図3Aおよび図3Hに示す通り、センサのサブセットが、図3Hに示す通りの穿孔創傷接触層であってもよい、創傷接触層上へまたは創傷接触層中へ組み込まれ得る。図3Aおよび図3Hの創傷接触層は、四角形を有するように示されるが、創傷接触層が、例えば、長方形、円形、楕円形などの他の形を有してもよいことは理解されるであろう。いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷領域の上に設置される個々の材料層として提供され、その後、創傷被覆材装置、および/または図2Cを参照して記載するコンポーネント(例えば、ガーゼ、発泡体または他の創傷パッキング材料、超吸収層、ドレープ、PicoまたはAllevyn Life被覆材のような完全統合型被覆材など)に類似する、創傷被覆材装置のコンポーネントによって被覆されうる。他の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、図1A図2Bおよび図2Dに記載するような、単一ユニット被覆材の一部であってもよい。
【0194】
センサ統合型創傷接触層は、創傷と接触して配置されることができ、流体が創傷内の組織への損傷を全くまたはほとんど起こさずに、接触層を通過することが可能になるであろう。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料から作ることができ、抗菌剤、および/または当該技術分野で知られる他の治療薬を組み込みうる。いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込みうる。いくつかの実施形態では、センサ、および/またはセンサアレイは、上に記載した吸収層および/またはスペーサ層など、創傷被覆材の他のコンポーネント内に取り込まれうるか、または被包されうる。
【0195】
図3Aおよび図3Hに示すように、五つのセンサのサブセットは、温度(例えば、25サーミスターセンサ、5×5アレイ、約20mmピッチ)、SpO(例えば、4または5 SpOセンサ、創傷接触層の中心からその縁部まで単一線、10mmピッチ)、組織の色(例えば、10光学センサ、2×5アレイ、約20mmピッチ、電気刺激(例えば、電極)、患者の動き(例えば、加速度計、筋電図検査(EMG)、磁力計、ジャイロスコープ)、pH(例えば、pH感受性パッドの色を測定することによる、任意に組織の色に対するのと同じ光学センサを用いることによる)、および導電率(例えば、9導電率接触、3×3アレイ、約40mmピッチ)に対するセンサを含めて使用できる。一部の実例では、五つより多い、または五つより少ないセンサを利用できる。アレイの各列にある五つのセンサすべてを整列させる必要はない。一部の実例では、すべてのセンサは同一のタイプとすることができる。他の例では、二つ以上の異なるタイプのセンサを使用できる。いくつかの実施形態では、センサは、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpOセンサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、および/または電極を含みうる。いくつかの実施形態では、センサには、光学、サーミスタ、および/またはインピーダンスセンサが含まれうる。いくつかの実施形態では、センサには、光学、サーミスタ、インピーダンスセンサおよび/または本明細書に記載の任意の他のセンサタイプが含まれうる。いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、インピーダンスまたは導電率を測定する電極とすることができる。インピーダンスセンサは、複数の電極を含みうる。いくつかの実施形態では、光学センサは、LEDおよび光学センサを含みうる。光学センサは、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含みうる。
【0196】
SpOは動脈血酸素飽和度の推定値である。図3Aに示す通り、SpOセンサは、創傷接触層の中心からまたは中心付近から、創傷接触層の縁への単一直線状に配設され得る。SpOセンサの直線によって、センサが、様々な領域間の変化を測定するように、創傷の真ん中で、縁もしくは創傷で、および/または無傷の皮膚上で測定値を得ることが可能になり得る。いくつかの実施形態では、創傷接触層および/またはセンサアレイは、創傷の全体表面領域だけでなく周囲の無傷の皮膚も被覆するように、創傷のサイズよりも大きくなり得る。より大きなサイズの創傷接触層および/またはセンサアレイ、および複数のセンサによって、センサが創傷の中心にのみ設置されていた場合、または一度に領域の一箇所ずつの場合よりも、創傷領域についてより多くの情報を提供しうる。
【0197】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、および/または当技術分野で知られている任意の材料と共に、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンナフタレート(PEI)を含む可撓性のポリマーから形成される、可撓性の回路基材上に組み込まれることができる。センサアレイは二層の可撓性回路の中に組み込まれうる。いくつかの実施形態では、回路基板は、多層の可撓性回路基板でありうる。いくつかの実施形態では、これらの可撓性回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれうる。いくつかの実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれうる。例えば、可撓性回路は、図2Bおよび2Cを参照して記載した創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれうる。創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷領域に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有しうる。
【0198】
いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の二層の間に挟まれる可撓性回路基板を伴う、第一のおよび第二の創傷接触層を含みうる。第一の創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下表面と、可撓性回路基板と接触するように意図する上表面とを有する。第二の創傷接触層は、可撓性回路基板と接触するように意図する下表面と、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する、一つまたは複数のコンポーネントと接触するように意図する上表面とを有する。第一の創傷接触層の上表面および第二の創傷接触層の下表面は、二層の間に挟まれる可撓性回路基板と共に接着されうる。
【0199】
いくつかの実施形態では、可撓性回路基板の一つまたは複数のセンサは、創傷内の水分または流体との接触を妨げるように、創傷接触層によって完全に封止または被覆されうる。いくつかの実施形態では、第一の創傷接触層は、下表面から突出し、創傷領域に直接接触する、一つまたは複数のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有しうる。例えば、図3Hに示す通りの一つまたは複数のSpOセンサは、創傷接触層の最下表面から突出して示されている。いくつかの実施形態では、SpOセンサは、第一の創傷接触層の下表面上に直接載置されうる。センサと電気コンポーネントの一部またはすべては、埋められてもよく、または、ポリマー、例えば、シリコンまたはエポキシベースのポリマーで、被包されてもよい(防水の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、およびコンポーネントからの化学物質浸出を防ぎうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層材料は、水が進入したり化学物質が浸出したりしないように、コンポーネントを密閉しうる。
【0200】
センサアレイおよび関連付けられた創傷被覆材システムから集められた情報は、センサアレイ、制御モジュール、およびソフトウェアを含む三つの主要なコンポーネントを利用できる。これらのコンポーネントについて、以下により詳細に記載する。
【0201】
上に記載した通り、図3Aのセンサアレイは、サーミスタ321、伝導度センサ324、光学センサ323、およびSpO 322センサを含みうる。可撓性センサアレイの回路基板300は、図3Bに示す通り、センサアレイ部分301、尾部分302およびコネクタパッド端部分303を含む。センサアレイ部分301は、センサおよび関連回路を含みうる。センサアレイの回路基板300は、センサアレイ部分301から延在する、長い尾部分302を含みうる。コネクタパッド端部分303は、センサアレイ回路からデータを受信するように、制御モジュールもしくは他の処理ユニットに接続することが可能になりうる。長い尾部分302によって、制御モジュールを、創傷から遠く離れた、より都合の良い場所に設置することが可能になりうる。センサアレイの回路基板300のうちの一つの全体図を、図3Bに示す。
【0202】
図3C図3Fは、四つの異なるセンサアレイ形状を伴う、可撓性回路基板の実施形態を示す。示す四つの異なるセンサアレイ形状は、可撓性回路に実装される。図3C図3Fが、四つの異なるセンサアレイ形式および構成を示す一方、図3Dに示す通りの設計もまた、コネクタパッド端部分303を示す。しかしながら、図3C図3Eおよび図3Fの設計もまた、これらの可撓性回路基板が、制御モジュールまたは他の処理ユニットと通信することが可能になるように、コネクタパッド端部分303を伴って作り出されうる。図3C図3Fは、センサアレイ部分301の四つの異なるセンサアレイ形状を示す。
【0203】
図3Gは、図3Dに示すセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301の実施形態を、より詳細に示す。図3A図3Gの実施形態では、センサアレイ部分301が、創傷接触層などの創傷被覆材コンポーネントの周囲近辺、または創傷被覆材コンポーネントの外縁から内向きのいずれかに延在する複数の部分を含むことは、理解されるであろう。例えば、図示する実施形態は、創傷被覆材コンポーネントの縁に平行で、いくつかの実施形態では、創傷被覆材コンポーネントの全体周囲を辿ってもよい、複数の直線延在部分を含む。いくつかの実施形態では、センサアレイ部分は、第二の複数の平行な直線延在部分と垂直である、第一の複数の平行な直線延在部分を含みうる。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材コンポーネントの内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。センサアレイ部分は、創傷被覆材コンポーネント全体を被覆しないことが好ましく、そのため、センサアレイの部分間に割れ目が形成される。図3Aに示す通り、これにより、一部、および場合により大多数の創傷被覆材コンポーネントのカバーを、センサアレイによって取ることが可能になる。例えば、図3Aおよび図3Hに示す通りの穿孔創傷接触層に対して、センサアレイ部分301は、創傷接触層の大多数の穿孔を遮断しなくてもよい。いくつかの実施形態では、センサアレイはまた、流体の流れへの穿孔の遮断を最小化するために、創傷接触層の穿孔に合致するように穿孔されてもよく、または形作られてもよい。
【0204】
センサアレイの接続性は、利用される様々なセンサおよびセンサアレイ設計によって変化しうる。いくつかの実施形態では、図3C図3Fに示す通り、総計79個の接続部を使用して、センサアレイのコンポーネントを接続しうる。センサアレイは、40本、ピッチ0.5mmの平行フラットフレキシブルケーブル(FFC)の二つの接触表面で終端することができ、最上表面上に端子を伴い、Molex 54104-4031などのFFCコネクタに接続するように設計される。
【0205】
いくつかの実施形態では、サーミスタ、伝導度センサ、SpOセンサ、および/または色センサを、センサアレイ上で使用して、創傷の状態に関連する情報を提供することができる。センサアレイおよび個々のセンサは、創傷の治癒を監視する際に、臨床医を支援しうる。一つまたは複数のセンサは、創傷および創傷治癒特徴に関係するデータを提供するように、個々にまたは互いと連携して動作しうる。
【0206】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対および/またはサーミスタを使用しうる。サーミスタは、基礎を成す創傷の温度および/もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定および/または追跡するように使用されうる。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理されうる。いくつかの実施形態では。周囲空気温度を測定する周囲センサは、環境温度シフトに関連する問題の排除を支援するためにも使用できる。
【0207】
光学センサを使用して、照射源のあるRGBセンサを使用して、創傷の外観を測定することができる。いくつかの実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0208】
組織の中の光伝播は、二つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配されうる。減衰に対して、光が組織を通過するとき、組織のさまざまなコンポーネントによる吸収のために、その強度が損なわれる。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0209】
散乱過程はより複雑であり、考慮しなくてはならないさまざまな「レジーム」を有する。散乱の第一態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定されうる。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に関与する別の要素は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、スキャット事象はおよそ100ミクロン離れているため、1mmの行程距離により、光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0210】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光フィルタを光学センサのコンポーネントとして使用して、組織色分化を通して測定する。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定されうる。これは、拡散した散光、すなわち、皮膚と接触するLEDからの色の感知を含みうる。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサと共に使用されうる。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像しうる。
【0211】
加えて、光学センサが、自己蛍光を測定するように使用されうる。組織は一つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。加えて、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となりうる。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、一部の他の波長がシフトされたバンド)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0212】
伝導度センサは、生きている組織と死んだ組織との間の差を判定するか、または病的組織の中で開いている創傷による、インピーダンスの変化を示すかに使用されうる。伝導度センサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含みうる。伝導度センサは、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用されうる。いくつかの実施形態では、センサアレイは、創傷サイズおよび/または創傷の形の変化による、周囲の電極上の伝導度の変化を測定するように、伝導度センサを利用しうる。いくつかの実施形態では、伝導度センサは、創傷床の中でおよび/または創傷の周囲で使用されうる。
【0213】
いくつかの実施形態では、pHが変化するパッドがpHセンサとして使用されうる。分光計、および広帯域の白色光源は、pH色素のスペクトル応答を測定するように使用されうる。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ面にある最下表面上とに提供されうる。代替として、いくつかの実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供されうる。
【0214】
いくつかの実施形態では、パルスオキシメトリSpOセンサが使用されうる。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、二つの異なる光波長で、光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。二つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0215】
図3Hは、いくつかの実施形態による、穿孔創傷接触層に組み込まれる可撓性センサアレイを図示する。図3Hに示す通り、PCBセンサアレイは、二つのフィルムまたは創傷接触層の間に挟まれうる。創傷接触層は、創傷滲出液が被覆材の中へ流れるのが可能になる一方で、創傷被覆材の中への組織内殖を妨げるのに役立つほど充分小さい、上に記載した通りのスリットまたは孔として形成される穿孔を有しうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、統合型センサアレイを伴う創傷接触層の可撓性を増大させる、一つまたは複数のスリットを有しうる。いくつかの実施形態では、創傷接触層のうちの一つは、センサが皮膚に直接接触し得るように、センサを収容する余分な切り取り部を有しうる。
【0216】
図3Iは、いくつかの実施形態による、制御モジュールのブロック図を図示する。制御モジュールのブロック図は、伝導度ドライバの特性を表示する、伝導度ドライバボックス391を含む。ボックス392は、サーミスタインターフェースの特性を示し、ボックス393は光インターフェースの特性を示す。制御モジュールは、ボックス394に示されるものと類似の特性を伴う、マイクロプロセッサを含みうる。リアルタイムクロック(RTC)、状態LED、USBコネクタ、シリアルフラッシュおよびデバッグコネクタは、図3Iに示す通り、制御モジュールの特性部として含まれうる。
【0217】
いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの一つまたは複数を有しうる。2.4GHz無線(統合型または外付けのいずれか);供給するBluetooth(登録商標)ソフトウェアスタック;SPIインターフェース;USB(または外付けUSBドライバ用UART);I2C;3チャネルPWM;32GPIO;および/または6チャネルADC。いくつかの実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要としうる。Bluetooth(登録商標)スタックは通常、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされうる。いくつかの実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされうる。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアでありうる。いくつかの実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0218】
いくつかの実施形態では、制御モジュールは、メモリコンポーネントを実施することができ、ローカルストレージの量は、センサのサンプル速度および解像度による。推定されるデータ要件である256Mb(32MB)は、いくつかの製造業者(Micron、Spansion)のシリアルフラッシュデバイスで入手可能である。
【0219】
制御モジュールは、一つまたは複数のアナログスイッチを利用しうる。いくつかの実施形態では、優れたオン抵抗および合理的な帯域幅を伴うアナログスイッチが使用されうる。例えば、Analog DevicesのADG72またはNXPのNX3L4051HRが使用されうる。初期システムアーキテクチャに基づき、これらのうちの8つが必要となる。
【0220】
制御モジュールは電池を組み込むことができる。例えば、300mWh/日のバッテリが使用されうる。7日間で2100mWhである。これは、10日間分の非充電式ER14250(直径14.5mm×25mm)LiSOCl2セル、または7日間分の充電式Li 14500(直径14.5mm×500mm)Li-Ionにより提供されうる。
【0221】
制御モジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込みうる。RTCは、結晶を伴ういずれのRTCデバイスより選ばれうる。制御モジュールはまた、種々の抵抗器、コンデンサ、コネクタ、充電コントローラおよび他の電力供給部も含みうる。
【0222】
制御モジュールのPCBは、およそ50mm×20mmまたは25mm×40mmの4層基板でありうる。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動されうる。
【0223】
制御モジュールの筺体は、センサアレイまたはバッテリを充電するために、容易にアクセスが可能になるクリップ特性部を伴う、二つの部分から成る成形品でありうる。
【0224】
センサアレイを通して収集されるデータは、制御モジュールを通過し、ホストソフトウェアにより処理されうる。ソフトウェアは、処理デバイス上で実行されてもよい。処理デバイスは、PC、タブレット、スマートフォン、またはホストソフトウェアを実行可能な他のコンピュータであってもよい。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通しておよび/または無線通信によって、制御モジュールと通信しうる。このソフトウェアは、ビッグデータ解析を実施するのではなく、制御モジュール上に保管するデータへのアクセスを提供する。解析ソフトウェアは、この文書の範囲を超えている。ホストソフトウェアは、Bluetooth(登録商標)および/またはUSBを介した、制御モジュールに対するインターフェースを含みうる。いくつかの実施形態では、ホストソフトウェアは、制御モジュールの状態読み取り、制御モジュールからのログデータのダウンロード、制御モジュールへのサンプル速度制御のアップロード、制御モジュールデータのビッグデータ解析エンジンによる処理に好適な形式への変換、および/または解析エンジンによる処理用クラウドへのデータのアップロードを行うことができる。
【0225】
ソフトウェアは、PC(Windows/Linux(登録商標))、タブレットもしくはスマートフォン(Android/iOS)、または複数のプラットフォーム向けに開発されてもよい。
【0226】
いくつかの実施形態では、陰圧の源(ポンプなど)、ならびに電源、センサ、コネクタ、ユーザーインターフェースコンポーネント(例えば、ボタン、スイッチ、スピーカ、画面など)および同類のものなど、局所陰圧システムの他のコンポーネントの一部またはすべては、創傷被覆材と一体化しうる。いくつかの実施形態では、コンポーネントは、裏当て層の最上部下方、最上部内、最上部上、および/または裏当て層に隣接して統合されうる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および/または統合されたコンポーネントのいずれの上に、位置決め用第二のカバー層または第二のフィルタ層を含みうる。第二カバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合されたコンポーネントを取り囲んでいた、別個の外皮でありうる。
【0227】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0228】
センサの配置
センサまたはセンサアレイの正確な配置は、創傷の効果的な治療、または効果的なデータ集合に重要でありうる。例えば、創傷のおよびその周囲の異なる位置は、劇的に異なる特徴を持つことができる。センサがどこに位置するかを知らなければ(例えば、創傷、他のセンサ、患者などに対して)、測定されたデータを誤解または不正確なものにすることになり得、従って患者に効果的な治療を提供することが困難である。従って、いくつかの実施形態では、センサデータの正確性の増大を助けるために、一つまたは複数の技術を利用する。例えば、不完全または不正確な配置の可能性を低減するために、一つまたは複数の技術が提供されている。さらに、不完全または不正確な配置にもかかわらず、センサデータの精度を高めるために一つまたは複数の技術が提供される。同様に、正確な情報を収集するためにセンサの特定の正確な配置を必要としない一つまたは複数の技術が提供されている。
【0229】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数のセンサストリング、センサストリップ、センサアレイ、センサマトリックス(一般的にセンサパッケージと呼ぶ)、創傷、創傷被覆材、創傷充填材、創傷被覆材装置などの位置または配向を追跡または決定し、配向エラーを制限するために利用しうる。例えば、センサパッケージが取り付けられた時、または交換された時に、それぞれの場合において配向が既知であることを確実にするために、センサパッケージが、創傷内にまたはその上にどのように取り付けられているかに関して、整列または配向の考慮がなされ得る。これは、共同リファレンスおよびクロスリファレンスデータに必要である。さらに、不完全な配置の可能性を低減するために、創傷被覆材またはセンサパッケージの配置(例えば、初期配置またはその後の調整)を支援するために、位置または配向データを利用できる。さらに、センサデータまたはセンサ機能は、不完全な配置にもかかわらずセンサデータの正確性を増やすために、位置または配向データに基づいて修正できる。
【0230】
いくつかの実施形態では、センサパッケージを利用して、配向エラーを制限することができる。例えば、例えば、センサは正しく配向するのに小さいかまたは困難であるため、単一のセンサを所望の位置に配置することが困難である場合がある。センサパッケージは、例えば、本明細書で説明したように、配向マーカーのサイズまたは潜在能力の増加のために、方向付けが簡単でありうる。
【0231】
いくつかの実施形態では、センサまたはセンサパッケージは、創傷被覆材または創傷パッキング材料に組み込まれるか、または封入されうる。例えば、センサは、ガーゼまたはデュライファイドまたは一つまたは複数の創傷被覆材の層にステッチされてもよく、またはその他の方法で永久的にまたは半永久的に取り付けられてもよい。別の例として、センサは、創傷に適合する発泡体突出部に取り付けられうる。さらに、別の例では、センサまたはセンサパッケージは、拡張可能なマトリクス、発泡体または創傷に充填されるその他の材料に配置されうる。
【0232】
アライメント機能
図4A図4Cは、いくつかの実施形態による、創傷404内またはその上に創傷被覆材402を適切に配置することを援助するための、複数のアライメント機能406、410、412を持つ、陰圧創傷療法(NPWT)システム400の図を示す。システム400は、図1A図1Bの創傷被覆材100など、本明細書に記載されるように、任意の創傷被覆材でありうる創傷被覆材402を含む。さらに、システム400は、本明細書に記載されるように、創傷被覆材に接続されたポンプ(図示せず)を含みうる。一つまたは複数のアライメント機能406、410、412は、創傷被覆材または創傷の周りの領域に含めることができ、創傷404に創傷被覆材402が不完全または不正確に配置される可能性を低減するのに役立ちうる。
【0233】
図4Aは、創傷404内または創傷404上に配置する前の創傷被覆材402を図示する。図4B図4Cは、一つまたは複数のアライメント機能406、410、412を使用して、創傷404内または創傷404上に適切に位置付けられた創傷被覆材402を図示する。図示したように、アライメント機能はアライメントリング406および配向機能410、412を含む。ただし、一つまたは複数のその他のアライメント機能を追加または代替的に使用できることに留意すべきである。例えば、その他のアライメント機能は、患者の完全なまたは部分的な画像または図を含みうる。例えば、図中の患者の配向が患者の配向と一致する時、創傷被覆材は正しく配向される。さらに、アライメント機能には、創傷被覆材コーナーを配置する位置の領域を示すコーナーインジケータが含まれる。アライメント機能はまた、解剖学的機能インジケータを含むことができる。例えば、矢印またはその他の方向要素は、創傷被覆材上にあり、正しく位置付けられた場合、特定の位置(例えば、患者の左足)を示す。いくつかの実施形態では、アライメント機能は、創傷被覆材の正しい配向を示すことができるパターンまたは他のマーキングも含めることができる。例えば、アライメント機能は、創傷被覆材のコーナーに配置された複数のブロックを含むことができる。創傷被覆材は、ブロックが左上コーナーにあるときに正しく配向される。アライメント機能は、加速度計、配向センサ、重力センサまたはレベルなどの配向インジケータも含みうる。例えば、アライメント機能は、異なる密度の流体を有するシールされたチャンバまたは気泡(例えば、生理食塩水での空気気泡など)を含みうる。流体の配向または位置は、創傷被覆材の配向を示しうる。一つまたは複数のアライメント機能は、創傷被覆材、創傷充填材料、センサ、またはセンサパッケージの配置または交換における患者または介護者を案内する支援をすることができる。本明細書に記載されるように、一つまたは複数のセンサは、センサパッケージ、創傷被覆材、創傷充填材料などに組み込まれうる。同様に、センサパッケージを創傷被覆材または創傷充填材料に組み込むことができる。
【0234】
アライメントリング406は、アライメントリングと創傷被覆材402が整列された時(例えば、内部に嵌合、一致または対応)に、創傷被覆材または創傷被覆材に統合された任意のセンサが適切に位置付けられるように、構成されうる。アライメントリング404は、創傷被覆材401が望ましい位置に正しく配置または交換されるのが可能となるよう、創傷402内、上またはその周りに、半永久的に取り付けられ得るか、または印刷されうる。アライメントリングは、創傷被覆材402の配置を支援できる任意の半永久的または永久的な視覚的またはその他のインジケータとすることができる。例えば、アライメント機能は、一時的なタトゥー、インク(例えば、見えないインク)、テープ、ステッカー、解剖学的機能などとすることができる。
【0235】
アライメントリング406は長方形の形状を持つように示されるが、アライメントリング406は、長方形、円形、楕円などの他の形状を含む任意の形状を取ることができることが理解されよう。いくつかの実施形態では、アライメントリングの形状は、有利なことに、創傷被覆材402の形状と一致して、簡単で正確な配置を可能にする。しかし、一部の例では、アライメントリング406の形状は、創傷被覆材402の形状とは異なる。
【0236】
いくつかの実施形態では、アライメントリング406に加えて、またはその代わりにその他のアライメント機能を利用する。例えば、縁部、コーナー、またはセンサの所望の位置を示すインジケータを利用することができる。非限定的な例として、アライメント機能は、創傷被覆材402の角がコーナーインジケータに位置付けられているとき、創傷被覆材が正確に配置されるように、二つ以上のコーナーインジケータを含みうる。別の例として、アライメント機能は、創傷被覆材402に含めることができ、患者の解剖学的特徴に対応することができる。例えば、創傷被覆材402は、適切に整列されたとき、解剖学的特徴(例えば、患者の頭部)で示すよう設計された矢印を含むことができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、患者、介護者、コンピュータ案内装置などは、創傷被覆材、センサ、センサパッケージ、または患者の身体に一つまたは複数のアライメント機能を描く、配置する、押し付ける、または位置付けることができ、創傷被覆材またはセンサの位置決めを支援する。他の例では、アライメント機能は、仮想または増強された現実の形態を使用して(光源などで)投影されてもよく、または見られてもよい。
【0238】
いくつかの実例では、アライメント機能は創傷被覆材402の配置の前に決定される。例えば、コンピューティングシステムまたは医師は、創傷被覆材の範囲内の既知のセンサ位置に少なくとも部分的に基づいて、患者にアライメントリングをどこに配置することを決定できる。別の例として、アライメント機能の位置または配向は、創傷のサイズ、位置、形状、深さなどに少なくとも部分的に基づいて決定されうる。別の方法としてまたは追加的に、アライメント機能の位置または配向は、創傷被覆材で使用されるセンサのタイプに少なくとも部分的に基づいて決定されうる。
【0239】
いくつかの実施形態では、アライメント機能は、創傷被覆材またはセンサが初めて患者に取り付けられているか、または患者に配置された後に決定されうる。例えば、いくつかの実例の場合、創傷被覆材は定期的な交換を必要としうる。例えば、これらの例において、創傷被覆材は、任意のアライメント機能を利用することなく、創傷内またはその上に最初に置かれることができる。例えば、本明細書に記載されるように、創傷被覆材またはセンサは、創傷内またはその上に特定の配置を必要としなくてもよい。代わりに、個別のセンサコンポーネントは、創傷内のその位置を理解するために、相互に対してその位置を登録する手段を持ちうる。ただし、創傷被覆材が新しい創傷被覆材と置き換えられた場合、新しい創傷被覆材を(例えば、データの正確性、首尾一貫性のために)古い創傷被覆材と同じまたは実質的に同じ位置に配置できることが望ましい。従って、いくつかの実施形態では、アライメント機能は、センサの初期配置および位置登録後に決定することができる。例えば、創傷被覆材の輪郭線またはその他の表示は、患者の体にマーク付けできる。その後、創傷被覆材が置き換えられると、アライメント機能を使用して新しい創傷被覆材を正確に配置できる。
【0240】
いくつかの実施形態ではさらに、不完全または間違った配置の可能性をさらに減少させるために、センサの正確性が回転不整列によって影響を受けないように、創傷被覆材またはセンサパッケージは少なくとも部分的に回転対称でありうる。いくつかの実施形態では、回転対称とは、ある角度だけ回転した時、同じタイプのセンサが同一の位置に配置されたままになるように、センサが、創傷被覆材またはセンサパッケージ内に回転対称的に位置付けられていることを意味する。例えば、図4A図4Cに図示される創傷被覆材402は、創傷部404における配向の跡(A、B、B、A)412に対応する配向マーク(A、B、B、A)410を含む。図4Bおよび図4Cによって示されるように、創傷被覆材402は、回転対称であるため、創傷被覆材は、図4Bに図示されるように、または図4Cに図示されるように配向されているかどうかにかかわらず、正確に位置付けられ得る。配向マーク410および412は、両方の配向に一致することに留意されたい(例えば、AはAに対応し、BはBに対応する、など)。
【0241】
センサの位置または配向
いくつかの実施形態では、システム(NPWTシステムなど)は、信号発信デバイスまたは位置検出ユニットを利用して、センサの位置または配向を追跡し、創傷、患者などの動き、位置、または場所を推定できる。例えば、システムは、例えば、一つまたは複数の他のセンサに対して、位置または配向データを連続的に、または繰り返しレポートしまたは受信することができるセンサを含みうる。さらに、または別の方法として、システムは、センサパッケージ上の各センサの位置または配向が既知である、センサパッケージを利用することができ、センサパッケージの位置を登録するために単一またはいくつかのセンサを使用できる。
【0242】
本明細書に記載されるように、一つまたは複数のセンサが取り付けられているか交換される時、それぞれの場合にそれぞれの配向が既知であることを確実にするために、位置または配向(または定置とも呼ばれる)の考慮が、一つまたは複数のセンサが、創傷内またはその上にどのように配置されるかに関してなされうる。本明細書で使用される場合、「定置」という用語は、制限なく、位置または配向、または任意のその他の適切な位置情報を指すことができる。例えば、創傷に対する各センサの位置を決定できるように、例えば、データを共参照および相互参照するのに、これらの配置の考慮事項が望まれうる。例えば、個別のセンサコンポーネントは、創傷上または創傷内の位置を理解または記録するために、互いに対してそれらの位置を登録する手段を持ちうる。
【0243】
センサ、センサパッケージ、または創傷被覆材の位置または配向は、さまざまな技術を使用して追跡または決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、定置センサは、センサパッケージ、創傷被覆材などに組み込むことができ、位置検出ユニットは、追跡領域内の定置センサの位置または配向を追跡できる。位置検出ユニットは次いで、他のセンサからのデータを共参照または相互参照することができる、NPWTシステムのプロセッサまたは遠隔プロセッサなどのプロセッサへ位置決めデータを提供することができる。別の方法として、プロセッサは、追加的な定置情報を決定するために、周知の定置データ(センサパッケージ内の各センサの位置または配向など)を有する受信した定置データを共参照または相互参照することができる。
【0244】
非限定的な例として、定置センサは、位置検出ユニットに通信可能に結合されうる。位置検出ユニットは、創傷被覆材の一部とすることも、別個のコンポーネントとすることもできる。位置検出ユニットは、定置センサまたは一組のセンサ(例えば、センサアレイ)の定置を決定するために使用できる。例えば、位置検出ユニットは、部屋座標系に対する定置センサの姿勢を決定できる。その後、その他のセンサの姿勢を決定するために、姿勢および部屋座標系を利用することができる。
【0245】
いくつかの実施形態に示すように、位置検出ユニットは、HiBall追跡システム、GPS機器、または定置センサの定置の追跡を可能にする信号発信デバイスなどの一つまたは複数の検出デバイスを含みうる。いくつかの実施形態では、位置検出ユニットを創傷被覆材に貼り付けることができる。創傷被覆材装置は、位置検出ユニットによって追跡することができる。部屋座標系基準は、部屋座標系に対してセンサまたは創傷被覆材の定置を決定するために、位置検出ユニットによって追跡されうる。いくつかの実施形態において、創傷被覆材はまた、一つまたは複数の加速度計を含むか、またはそれに連結されてもよく、これは創傷、患者などの移動、位置、および場所などの推定にも使用できる。
【0246】
別の例として、センサの位置または配向は、例えば、無線周波数識別子(RFID)を含む信号発信デバイスを使用して決定されうる。こうした実施形態では、位置検出ユニットは、一つまたは複数の追跡ユニットのGPS座標を使用することができ、または、創傷被覆材、センサなどの定置を決定するために、例えば、一つまたは複数の追跡ユニットに関連付けられたRFIDによって放射される無線周波数信号の三角測量をすることができる。別の方法としてまたは追加的に、センサパッケージは、センサパッケージがタグに対してその位置および配向を画定することを可能にする患者の上またはその近くに配置された電磁タグ(例えば、RFIDタグ)とともにそれ自体を登録しうる。
【0247】
いくつかの実施形態では、一つまたは数個のセンサの定置を追跡または決定し、既知の関係は、他の定置データ(例えば、他のセンサ、創傷被覆材、創傷、患者などの定置データ)を決定するために使用される。本明細書に記載されるように、一つまたは複数のセンサは、センサストリング、センサストリップ、センサアレイ、センサマトリクス、または可撓性回路基板などのセンサパッケージに組み込まれうる。別の方法としてまたは追加的に、一つまたは複数のセンサを創傷被覆材または創傷充填材に組み込むことができる。センサパッケージ、創傷被覆材または創傷充填材内のセンサの位置は周知であり、その他のセンサ、創傷位置などの関係が決定されうる。
【0248】
陰圧創傷療法(NPWT)システムなどのシステムは、第一のセンサの定置を決定することができ、次に、少なくとも部分的に、第一のセンサの決定された配置、および第一のセンサとその他のセンサ間の既知の関係に基づいて、他のセンサの定置を決定できる。別の方法として、いくつかの実施形態では、システムは、センサパッケージ全体の定置を決定し、センサパッケージの定置データならびに、既知の関係を使用し、センサパッケージ上の一つまたは複数のセンサの定置を決定することができる。さらに、他の実施形態では、複数のセンサまたは全てのセンサの定置を追跡または決定することができる。いくつかの実例では、システムは、本明細書に記述した複数の技術を使用して、各センサの定置を決定することができる(例えば、センサを追跡する、既知の関係に基づいて決定する)。システムは、複数の技術を使用して決定された定置の間に適切に仲裁することができ、また定置が不正確または信頼性のないものと認識されるかどうかを判断できる。
【0249】
図5は、いくつかの実施形態による、創傷部650内に位置するセンサのストリングまたはストリップ640を持つシステムを図示する。いくつかの実施では、ストリップ640の配置は、医師またはその他の有資格者によって配置されるべきであるように、特定の配置を必要とする場合がある。あるいは、ある一定の場合において、ストリップ640は、特定の配置を必要としない場合があり、ストリップ640は、医師、ナース、介護者、または患者などの任意の個人によって配置されうる。いくつかの実施形態では、センサのストリップ640はストリップでなくてもよく、代わりに、別のセンサパッケージまたは複数の個々のまたは結合されたセンサである。
【0250】
いくつかの実施形態では、システムは、皮膚642上(例えば、創傷における皮膚)、または創傷被覆材内のような創傷の外部に存在することができるコンポーネント644を含むことができ、センサストリップ640と通信できる646。いくつかの実施形態では、コンポーネント644の位置または配向は、システムの既知の入力とすることができる。そのため、コンポーネント644の位置は、センサストリップ640またはストリップの特定のセンサの位置または配向を決定するために利用されうる。コンポーネント644は、位置検出ユニットまたは本明細書に記載のその他任意の位置決めモジュールまたは場所決めモジュールでありうる。特定の事例では、コンポーネント644は任意である。
【0251】
いくつかの実施形態では、センサ、センサパッケージ、創傷被覆材などの位置または配向は、本明細書に記載されるように、カメラまたはその他の記録デバイスを使用して決定することができる。例えば、充填材またはパッキング材料で創傷を充填する前、創傷パッキング材料の充填後、センサの配置後、または創傷被覆材の配置後の創傷について、一つまたは複数の写真またはビデオを撮影しうる。画像は、センサ、創傷被覆材などの配向が、配置後に計算されることを可能にすることができる。画像またはビデオは、いくつかの実施形態では、アクションを実施するセンサ素子と協調して実施されうる。例えば、画像またはビデオは、一緒にまたは順番にLEDを点灯すること、またはカメラのフラッシュもしくは一つまたは複数の外部光周波数などの外部反応を感知することと一致して実施されうる。
【0252】
センサアレイ
図6A図6Dは、いくつかの実施形態による、創傷におけるセンサ位置決めの実施形態を図示する。図6Aは、いくつかの実施形態による、創傷の縁部を横切って位置付けられた一つまたは複数のセンサタグまたは位置決めデバイス601を図示する。本明細書で使用されるセンサタグは、センサアレイを指すことができる。センサタグは、材料上に限られた数のセンサを有する材料の小さなストリップでありうる。いくつかの実施形態では、センサタグには、創傷内に位置付けられたセンサ、ならびに創傷の周囲の皮膚、例えば創傷周辺(periwound)のセンサを含みうる。いくつかの実施形態では、センサタグは、被覆材内のセンサの位置を配向および/または決定するために使用される位置決めデバイスとすることができる。センサタグは、図3A図3Hを参照しながら説明したセンサアレイと類似しているが、センサタグはより小さいサイズであり、創傷の大半または大部分を覆うのとは対照的に、創傷の明確な領域内に配置されうる。センサタグは、本明細書の図3A図3Iに関連して説明したセンサアレイについて記載された同一または類似のデータを収集するために使用でき、また国際特許出願PCT/IB2017/000693に開示されるように、付録Aとして本明細書に組み込まれる。図6Aは、センサタグのセンサレイアウトの実施形態を図示する。
【0253】
いくつかの実施では、センサタグは、コンポーネント644と同一であってもよく、または類似であってもよい。一つまたは複数のセンサタグ601は、創傷周辺領域または創傷領域の外側の領域から創傷領域へと延びることができる。いくつかの実施形態では、創傷領域(例えば、創傷の周囲の内側)内に、任意に第二の創傷中央センサタグ602が提供されうる。
【0254】
図6Bは、いくつかの実施形態による、創傷の縁部を横切って位置付けられたセンサストリップ603を図示する。センサストリップ603は、材料に沿って位置付けられた様々なセンサを有する材料構造でありうる。いくつかの実施形態では、センサストリップは薄膜で作製されうる。いくつかの実施形態では、薄膜は伸展性でありうる。例えば、適切なフィルムは、ポリウレタン(PU)およびポリエチレン(PE、PET)フィルムを含みうる。さらに、いくつかの実施形態では、織物材料、ガーゼ、ネット、不織布材料、および/または紙を使用できる。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ステンレス鋼(316など)、PU、PET、硫化ポリフェニレン(PPS)、アクリル化ウレタン、および/またはアクリル化エポキシを使用して、センサストリップを形成することができる。センサストリップは、図6Bに示すように、創傷周辺領域から創傷の中央部分まで延在することができる。いくつかの実施形態では、センサストリップ603は、例えば、図6Aのセンサタグ601と類似したセンサタグなどの追加的センサタグを増加することができる。いくつかの実施形態では、センサストリップ603は、ストリップ内に統合された位置決めデバイスを含みうる。
【0255】
センサタグ601および602ならびにセンサストリップ603は、同じ材料およびセンサを利用できるが、創傷周辺および創傷の異なる領域の特徴を検出するために使用できる。センサタグ601は、創傷縁部662に位置付けられているため、創傷縁部におけるセンサクラスタでありうる。センサタグ602は、創傷の中心部661に位置付けられ、創傷中心661におけるセンサクラスタでありうる。図6Bに図示したセンサストリップ603は、創傷縁部662および創傷中心661(または中心に十分近い)での両方のセンサを組み合わせて、単一パッケージにすることができる。さらに、センサストリップ603は、図6Eに図示するように、創傷を横切って、創傷周辺領域から創傷を通って、創傷周辺領域まで、またはその任意の部分まで、延びることができる。
【0256】
図6Cは、いくつかの実施形態による、創傷内に配置されるセンサのストリング604を図示する。ストリング604は、図5を参照して説明したセンサのストリングと類似していてもよい。センサのストリング604は、臨床医または他のユーザーによって創傷650内に配置されうる。いくつかの実施形態では、センサのストリングは、特定の配置を必要としない。いくつかの実施形態では、センサのストリング604は、ストリング671上に一つまたは複数のセンサ672を有するストリングまたは薄い材料671を含みうる。センサのストリング604は、フィルムの薄いストリップまたは他の材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、センサのストリングはバンドル・アーキテクチャを有することができる。例えば、センサのストリングは、ロープまたはコードのような構造で構成することができる。センサのストリング604は、長い薄い可撓性の材料が創傷650に柔軟に位置付けられることを可能にするコンポーネントから形成されうる。いくつかの実施形態では、センサ672は、ストリング671上のパターンで位置付けられうる。いくつかの実施形態では、センサ672は、ストリング全体にわたって均等に分散され、ストリング全体にわたって無作為に分布され、および/またはストリングの一つの部分のみに配置されうる。
【0257】
いくつかの実施形態では、センサのストリングは、それぞれ導電性トラックを担持する、多数のフィラメントから構成されるケーブルであってもよい。各フィラメントは絶縁体で被覆されうる。
【0258】
いくつかの実施形態では、センサのストリングは、創傷領域の外部のコンポーネント605と通信することができる。いくつかの実施形態では、コンポーネント605は、図5を参照して説明したコンポーネント644と類似した位置決めデバイスであってもよい。コンポーネントまたは位置決めデバイス605は、患者の皮膚上(例えば、創傷におけるまたはその周りの皮膚)、または創傷被覆材内などの創傷の外部に存在することができ、センサストリング604と通信できる。いくつかの実施形態では、コンポーネントまたは位置決めデバイス605の位置または配向は、システムの既知の入力とすることができる。そのため、コンポーネントまたは位置決めデバイス605の位置は、センサストリング604またはストリングの特定のセンサの位置または配向を決定するために利用されうる。コンポーネントまたは位置決めデバイス605は、位置検出ユニットまたは本明細書に記載のその他任意の位置決めモジュールまたは場所決めモジュールでありうる。いくつかの実施形態では、コンポーネントまたは位置決めデバイス605は、センサストリング604と無線通信することができる。他の実施形態では、コンポーネントまたは位置決めデバイス605は、センサストリング604と電気接続することができる。特定の事例では、コンポーネントまたは位置決めデバイス605は任意である。いくつかの実施形態では、コンポーネントまたは位置決めデバイス605は、創傷の上、中、またはその近くの一つまたは複数の光源(LED)から無線で情報を受け取る光学センサまたは検出器を含むことができる。いくつかの実施形態では、光源を様々な色またはパターンで点滅させて、情報を撮像装置または受信機に無線通信することができる。
【0259】
いくつかの実施形態では、コンポーネント605は、かさばる品目(例えば、電池)などのコンポーネントが創傷から移動できるように設計されうる。いくつかの実施形態では、コンポーネント605または644は、図6Aまたは図6Bを参照しながら説明したセンサタグおよびセンサストリップに使用できる。例えば、図6Aのセンサタグ601および602は、コンポーネント605と類似したコンポーネントを利用してもよい。センサタグ601および602で使用されるコンポーネントは、一つの電池または一つまたは複数の電池または他の電気コンポーネントなどの電源を含みうる。例えば、そのような他の電気コンポーネントは、一つまたは複数の通信モジュール、プロセッサまたは加速度計を含みうる。
【0260】
図6Dは、いくつかの実施形態による、創傷650内に位置付けられるセンサのストリング606を図示する。センサのストリング606は、図5および図6Cに記載のストリングと類似している可能性があるが、センサのストリング606は幅付きセクション673および全体的に細いセクション674を有する。いくつかの実施形態では、幅付きセクション673は、センサ位置決めデバイスまたは本明細書に記載の他のセンサと類似している。いくつかの実施形態では、幅付きセクション673は、より大きな表面積を可能にして、センサ677を位置付けることができる。いくつかの実施形態では、幅付きセクション673は、創傷領域内のセンサストリング606の位置および配向に使用できる識別可能な特性を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、幅付きセクション673は、位置決めデバイスを含んで、センサストリング606の位置または配向に関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、幅付きセクション673は、それらに取り付けられるセンサによって必要とされるだけ幅広くあってもよく、狭いセクションは主に要素間のワイヤとトラックでありうる。
【0261】
図6Eは、創傷部650の一方の側から別の側へと延びるセンサストリップ607の実施形態を図示する。例えば、センサストリップ607は、創傷の第一の側675から創傷の第二の側676へと延びうる。いくつかの実施形態では、センサストリップ607は、第一の側675から反対側の第二の側676まで延在してもよく、またセンサストリップ607は、図6Eに図示したように、第一および第二の側675および676で創傷縁部662と接触しながら、創傷650の中心部661(または近接)を通過できる。
【0262】
いくつかの実施形態では、センサ要素は、本明細書に記載のセンサを含みうる。例えば、センサストリップおよびストリングは、SpO、RGB、または他の要素、ならびに光源(例えば、LED)を含みうる。一部の実例では、すべてのセンサは同一のタイプとすることができる。他の例では、二つ以上の異なるタイプのセンサを使用できる。いくつかの実施形態では、センサには、光学、サーミスタ、および/またはインピーダンスセンサが含まれうる。いくつかの実施形態では、センサには、光学、サーミスタ、インピーダンスセンサおよび/または本明細書に記載の任意の他のセンサタイプが含まれうる。
【0263】
いくつかの実施形態では、光源または他の電磁源は、創傷内の特定のセンサ、センサストリング、および/またはセンサストリップの位置を識別するために、撮像装置または別の検出器と組み合わせて使用できる。位置決めデバイス、例えば、センサタグおよびコンポーネント605は、本明細書に記載されるように、撮像装置または別の検出器に、場所、位置決め、および配向情報を伝達するのに使用する光源または電磁源を含みうる。
【0264】
センサタグ、ストリング、およびストリップは、図3A図3Hで説明したように、創傷接触層に類似したフィルムまたは膜上に位置付けられうる。いくつかの実施形態では、センサタグ、ストリング、およびストリップは、被覆材の創傷接触層とは別に提供および位置付けられた別個の材料片でありうる。
【0265】
図7は、いくつかの実施形態による、位置検出システムを図示する。いくつかの実施形態では、LEDまたは別の電磁(EM)源701は、創傷表面702上の創傷内に位置付けられうる。LEDからの光は、検出される外部デバイス703、例えば、撮像装置に伝達することができる。例えば、LEDセンサは、組織に明るい光を当てることができ、次に撮像装置(例えば、カメラ)は、組織を通る放射線を検出して創傷を画像化する。いくつかの実施形態では、光またはEM源は、センサ層(センサタグ、センサストリップ、センサストリング)で発する必要はない。光またはEM源は、創傷表面へのEMの移動を可能にする光パイプ、EMパイプ、アンテナまたは共振器とすることができる。
【0266】
いくつかの実施形態では、撮像装置にはスマートフォン上のカメラアプリケーションが含まれうる。撮像装置は、創傷領域の上に垂直位置に配置または位置付けられ、創傷および創傷の中および周囲に位置付けられたセンサを画像化することができる。光源は、連続してまたは異なる波長の光をパルスするようにトリガーされうる。光源からの光の伝送は、創傷の上および周囲の光源の場所の識別を可能にすることができる。次に、撮像装置は、LED(または他の伝送源)が、センサからの直接光、または光源の前に意図的に配置された組織または要素のいずれかからの後方散乱により点灯するという事実を識別できる。例えば、いくつかの実施形態では、コーティング(例えば、pH感受性、偏光性、溶解性、抗菌性)は、被覆材の創傷接触側に塗布されてもよい。後方散乱を使用する場合、画像を処理して光の中心を特定できる。
【0267】
撮像装置または別の検出器は、光源の場所の情報または他の送信されたデータを受信および収集できる。いくつかの実施形態では、撮像装置または別の検出器は、無線通信などを使用して、コントローラと通信することができる。コントローラは、撮像装置または別のデバイスによって取得されたデータを使用して、少なくとも受信した定置または位置決めデータ、ならびに創傷被覆材および/または位置決めデバイスの創傷内の位置および/または配向と、センサ、センサストリップ、および/またはセンサストリングとの関係に基づいて、創傷内のセンサ、センサストリップ、および/またはセンサストリングの位置および/または配向を決定することができる。いくつかの実施形態では、撮像装置または別の検出器は、創傷上またはその近くの一つまたは複数の光源(LED)から無線で情報を受信できる。いくつかの実施形態では、光源を様々な色またはパターンで点滅させて、情報を撮像装置または受信機に無線通信することができる。
【0268】
いくつかの実施形態では、LEDの代わりに他のEM発生源を使用することができる。例えば、無線周波パルスまたはマイクロ波パルスは、一般的なプロセッサによって駆動されうる一つまたは複数のアンテナによって生成されうる。検出器は無線周波パルスまたはマイクロ波パルスを検出できる。検出器は、供給源の位置決めまたは場所を決定することができる。別の例として、熱の局所的な上昇を生成するように電力が供給される小さな抵抗器を使用することができる。次に、赤外スペクトル(IR)内の検出器によって熱を検出することができる。検出器は、供給源の位置決めまたは場所を決定することができる。いくつかの実施形態では、検出器を使用して、温度が組織を通してどのように伝播するかを監視し、それによって基礎となる血流および生理機能を特定することができる。いくつかの実施形態では、センサを熱センサとすることができる。例えば、スマートフォン上または別のデバイス上の懐中電灯またはトーチをオンにすることができ、懐中電灯またはトーチは熱を帯びる場合があり、上昇温度または熱は温度センサによって検出することができ、センサは熱の検出を伝達または示すことができる。これにより、センサの場所に関する情報を提供できる。いくつかの実施形態では、創傷内の治癒加速のために局所的加熱を使用することができる。
【0269】
いくつかの実施形態では、図6A図6B、および/または図6Dに関連して説明したものなどのセンサタグまたは位置決めデバイスは、創傷の反対側のタグの側面にコード化された画像またはマーキングを含みうる。いくつかの実施形態では、コード化された画像またはマーキングは、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形状、不規則形状、および/またはロゴを含む。このコード化された画像またはマーキングは、撮像装置によって識別され、カメラに対するコード化された画像の場所、配向、および傾斜を識別しうる。いくつかの実施形態では、画像またはマーキングは、図8の創傷中央センサタグまたは位置決めデバイス上のバーコード764と同様の2Dバーコードでありうる。いくつかの実施形態では、バーコード764には、2DバーコードまたはQRコード(登録商標)が含まれうる。バーコード764は、スキャンビームによって規定される範囲で撮像装置760によってスキャンすることができる。いくつかの実施形態では、スキャンビーム762と撮像装置760とバーコード764との間の関係は、センサの位置決めおよび場所に関連しうる、場所、配向、および傾斜情報を提供できる。
【0270】
いくつかの実施形態では、ストリングまたはストリップに沿った場所またはグレード毎に、印刷を特定の色にすることができる。いくつかの実施形態では、タグ、ストリップ、またはストリングは、連続的にまたはストリップに沿って小さな部分で印刷されたレインボーカラーを含みうる。これにより、撮像装置が、検出された正しい色に一致する既知の場所とその場所を比較することにより、センサの場所を検出することが可能になる。いくつかの実施形態では、色は、スポット、形状、様々な色のQRコード(登録商標)、および/または色のグラデーションとして提供されうる。いくつかの実施形態では、センサタグ、ストリップ、またはストリングは、ストリングの配向およびアライメントを支援するために、上面および底面を有するように色分けされうる。いくつかの実施形態では、タグ、ストリップ、またはストリングの一部または全体は、マーキングまたは識別子として機能することができる。いくつかの実施形態では、デバイス上のシリアル番号または一意のデバイス識別子(UDI)または他のコードは、英数字識別子として使用できる。
【0271】
いくつかの実施形態では、一つまたは複数のセンサを、基材または層上の特定の位置に位置付けることができる。色マーカーまたは他のデザインなどのマーカーは、一つまたは複数のセンサまたはセンサシート、ストリップ、ストリング、またはタグを、創傷内にどの方法で位置付けるべきかをユーザーに案内するために含めることができる。いくつかの実施形態では、センサシート、ストリップ、ストリング、またはタグは横向きにすることができ、マーカーを使用して、創傷内にセンサシステムを配置する方向をユーザーが容易に決定できるようにする。
【0272】
いくつかの実施形態では、撮像装置によって取り込まれる画像は、ヒトの目で見ることができる。他の実施形態では、撮像装置によって取り込まれる画像は、可視スペクトル内にあるが、ヒトの目は見えない。例えば、画像は紫外線スペクトル(UV)である場合がある。いくつかの実施形態では、画像は、撮像装置のランプによってトリガーされうる一つまたは複数の励起スペクトルで蛍光を発しうる。
【0273】
図9Aは、創傷縁部902によって画定される創傷領域に対する位置決めセンサの配置を図示する。いくつかの実施形態では、センサ901は、創傷領域または創傷周辺領域内に提供されて、創傷からのデータを収集することができる。図9Bは、インピーダンス測定に使用できるセンサの位置決めを図示する。いくつかの実施形態では、センサは、創傷内(内側正方形内に位置付けられた)、創傷周辺(外側正方形に位置付けられた)、および創傷境界を横切るセンサ間に、いくつかの測定経路を有するように位置付けることができる。図9Bの八つの測定パッド903のセットは、インピーダンス測定用に設計されたレイアウトを図示する。駆動回路センサ904はまた、測定パッド903に対して配置されてもよい。
【0274】
図10A図10Cは、いくつかの実施形態による、皮膚(または創傷周辺領域の皮膚)、創傷縁部、および創傷中心に、またはその上に位置付けられたセンサのアレイを図示する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、センサアレイは、創傷接触層またはシート1010に組み込むことができる。アレイは、図10Aおよび図10Bに示すように、創傷1020または創傷周辺領域を囲む皮膚上に位置付けられた創傷周辺センサ1011を含むことができる。創傷縁部センサ1012はまた、センサアレイに含めることができ、図10A図10Cに示すように、創傷縁部またはその近くの創傷内に位置付けることができる。創傷中心センサ1013は、図10Aおよび図10Cに示すように、創傷中心、または創傷中心近くの創傷内に提供されうる。図10Cは、創傷部1020内に位置付けられたセンサ1012および1013を備えた創傷接触層1010の実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、創傷接触層1010は、創傷に適合するように、切断、折り畳み、押しつぶし、詰め込み、または予め成形することができる。いくつかの実施形態では、図10A図10Cを参照して図示および説明した一つまたは複数のセンサまたはセンサアレイは、本明細書に記述したセンサシート、センサストリング、センサストリップ、および/またはセンサタブまたはタグ上に位置付けることができる。
【0275】
図11Aおよび図11Bは、創傷1120内および周囲に位置付けられた図6Aおよび図6Bを参照しながら説明した実施形態に類似したセンサストリップおよびタグまたはタブのいくつかの実施形態を図示する。図11Aに示すように、センサストリップ1101は、創傷周辺の皮膚上の創傷周辺センサ1111、創傷内だが創傷縁部上またはその近くに位置付けられた創傷縁部センサ1112、および創傷の中心またはその近くの創傷内に位置付けられた創傷中心センサ1113を含みうる。図11Bは、創傷縁部にわたるセンサタブ1102を図示する。本明細書で使用されるように、センサタグおよびセンサタブは、創傷特性の感知に使用できる材料の小片上に位置付けられた一つまたは複数のセンサを指し、センサタグおよびセンサタブは、本明細書では互換的に使用できる。センサタブまたはタグ1120は、創傷周辺の皮膚に位置付けられた創傷周辺センサ1111、および創傷縁部またはその近くの創傷内に位置付けられた創傷縁部センサ1112を含みうる。いくつかの実施形態では、センサタブまたはタグ1120は、創傷の中心に、またはその近くに位置付けることができ、図6Aを参照して説明したように、創傷中心センサ1113を含むことができる。
【0276】
図11Cおよび図11Dは、いくつかの実施形態による、創傷領域の外部または外側に位置付けられるセンサストリップまたはセンサタグを図示する。図11Cは、創傷周辺の皮膚または創傷を囲む皮膚上、創傷1120の外側に位置付けられた創傷周辺センサ1111を図示する。いくつかの実施形態では、創傷周辺センサ1111は、図11Cに図示したように、創傷周辺の皮膚または創傷を囲む皮膚上、創傷1120の外側に、創傷1120の縁部と平行または実質的に平行に位置付けられうる。図11Dは、創傷に対して近位から遠位の配置に位置付けられた創傷周辺センサ1111を図示する。
【0277】
図11Eは、いくつかの実施形態による、創傷の周りの四つの位置または極に位置付けられるセンサを図示する。創傷1120の四つの位置または極は、生理学的に関連性のある特徴およびマーカー、例えば灌流などの測定を可能にする。センサは、創傷周辺の皮膚に位置付けられ、創傷の周りの特定の点に配置された、創傷周辺センサ1111でありうる。
【0278】
いくつかの実施形態では、センサは、創傷滲出液の通過が予想される排液管に位置付けることができる。いくつかの実施形態では、排液は、吸引またはNPWTによって促進されうる。いくつかの実施形態では、センサは、管の遠位にあるキャニスター内にありうる。センサは、創傷滲出液に曝露される被覆材、例えば、単回使用陰圧創傷治療被覆材(例えば、Smith & NephewのPICO)、発泡体被覆材(例えば、Smith & NephewのALLEVYN)、ハイドロゲルまたはハイドロファイバー被覆材(例えば、Smith & NephewのDURAFIBER)などにありうる。
【0279】
図12は、創傷接触層1231の穿孔1230の周りに位置付けられたトラック1220上の創傷内に配置されたセンサ1210を図示する。いくつかの実施形態では、トラックは導電性でありうる。トラックは、静電気放電(ESD)の影響を最小限にするために十分に間隙を介しうる。いくつかの実施形態では、トラックは尾部領域を形成するように配置されうる。本明細書に開示されるように、トラックは尾部領域で一緒になって、可撓性の尾部を生成することができる。いくつかの実施では、尾部を形成するトラック間および/または尾部と創傷接触層上にあるトラックとの間にギャップがあり、ESDを最小化することができる。いくつかの実施形態では、ESDまたは帯電防止コーティングまたは材料などのコーティングまたは材料は、ESDの影響を軽減するのに役立つ。
【0280】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のセンサ付きトラックは、機能を維持しながら、材料およびトラックを引き伸ばすことができるレイアウトに位置付けられうる。いくつかの実施形態では、トラックを蛇行またはジグザグの構成に配置して、使用時に起こりうる引き延ばしを可能にする。図13Aおよび図13Bは、いくかの実施形態に従って、使用できるトラックレイアウトの例を示す。
【0281】
図13Aは、材料内のセンサトラック1320および穿孔またはスリット1321を伴う材料の一例を図示する。センサおよび/またはトラックを支持する材料に穿孔およびスリットを設けて、材料を通る流体の移動、ならびに材料のなじみ性および柔軟性を可能にすることが有用でありうる。
【0282】
いくつかの実施形態では、センサシート、センサストリップ、センサタグ、センサストリング、および/または本明細書で説明したセンサまたはセンサアレイを支持する他の材料は、スリットを形成するために穿孔または切断することができる。穿孔またはスリットは、センサまたはセンサアレイを支持する材料を通して流体の移動を提供することができる。図14A図14Cは、基材または支持材料1401上に配置されたセンサトラックおよび/またはセンサアレイの実施形態を図示する。支持材料1401上のトラック1402およびコンポーネント1403の固定位置は、通気性、伸長性、柔軟性、および適合性の低下をもたらしうる。支持材料1401は、創傷滲出液が創傷接触層を通過できるように、トラック1402またはコンポーネント1403の間の領域に穿孔またはスリットを作ることができる。いくつかの実施形態では、レーザービームを使用して穿孔またはスリットを作り出すことができる。トラック1402は、コンポーネント1403間の電気的接続を提供することができ、これは、本明細書で説明したように、一つまたは複数のセンサまたは他の電気コンポーネントでありうる。
【0283】
支持材料1401は、創傷接触層でありうる。創傷接触層は、創傷に適合するか、または覆うために可撓性、弾性、または伸縮性、もしくは、実質的に可撓性、弾性、または伸縮性であってもよい。例えば、創傷接触層は、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、または別の好適な材料と共に、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)のうちの一つまたは複数といった、伸縮性または実質的に伸縮性のある材料から作製されうる。支持材料1401、トラック1402、およびコンポーネント1403の追加の詳細は、2018年4月11日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/059333号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0284】
支持材料1401の任意の部分は、デバイスの使用のための通気性、伸長性、柔軟性、適合性、または流体の移動または動きのうちの一つまたは複数を促進または提供するために、必要に応じてスリットまたは穿孔を作成しうる。例えば、いくつかの実施形態では、穿孔またはスリットは、支持材料上の高密度のトラック集団の領域に使用して、それらの領域を通気性にすることができる。穿孔またはスリットはまた、支持材料の高密度の領域を、創傷内の領域により容易に適合させることもできる。図14Aおよび図14Bは、トラック間のカットまたはスリット1404によって分離されたトラック1402を有する支持材料1401の実施形態を図示する。図14Bは、図14Aの丸で囲まれた領域の部分を拡大したものである。スリット1404は、図14Bに示す通り、トラック1402の間に示されている。支持材料内の穿孔またはスリットは、回路を損傷することなくトラックの物理的分離を引き起こすことができる。
【0285】
図14Cは、トラック1402およびコンポーネント1403を有する支持材料1401の一実施形態を図示する。支持材料1401は、図14Cに示すように、コンポーネント1403の周囲に実質的に沿って切断されたスリット1405を有しうる。コンポーネント1403の周囲に沿ったスリット1405は半島を形成することができる。いくつかの実施形態では、コンポーネント1403の周囲に沿ったスリット1405は、コンポーネント1403が創傷との接触を維持できるようにし、支持材料1401の残りの部分は、例えば患者の動きによるストレスを受ける。例えば、コンポーネント1403は、インピーダンスを測定するための導電性パッドを備えることができ、また導電性パッドの周囲に沿ったスリット1405は、導電性パッドが創傷との接触を維持できるようにし、支持材料の残りの部分は、創傷内のストレスを受け、少なくとも部分的に創傷との接触を失う。いくつかの実施形態では、図12を参照して説明した材料シート1231の穿孔1230に加えて、またはその代わりに、支持材料上にスリットを提供することができる。いくつかの実施形態では、支持材料1401は、センサシート、センサストリップ、センサタグ、センサストリング、および/または本明細書で説明したセンサまたはセンサアレイおよび/またはトラックを支持する他の材料を含むことができる。支持材料1401、トラック1402、またはコンポーネント1403のうちの一つまたは複数へのストレスの追加の詳細は、2018年4月11日出願の国際特許出願第PCT/EP2018/059333号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0286】
用語
いくつかの実施形態は、陰圧創傷療法の提供に関連して説明されているが、開示されたシステムおよび方法は、陰圧を適用しない創傷モニタリングおよび/または治療用途で使用できる。実施形態によっては、本明細書に記載されるプロセスのいずれかの特定の操作、作用、事象、または機能は、異なる順序で実施され得、また全体として、(プロセスの実践に必要なもの等)、追加、融合、または除外されうる(例えば、本プロセスの実践にすべてが必要となるわけではない)。さらに、特定の実施形態では、動作、作用、機能、または事象は、例えば、マルチスレッド処理、割込処理、または複数のプロセッサもしくはプロセッサコアを通じて、または他のパラレルアーキテクチャー上で、シーケンシャルにではなく、同時に実行することができる。
【0287】
図示されたシステムのさまざまなコンポーネントの処理は、複数の機械、ネットワーク、およびその他の演算リソースにわたって分配されうる。さらに、システムの二つ以上のコンポーネントを、より少ないコンポーネントに組み合わせることができる。図示されたシステムの様々なコンポーネントを、専用コンピュータハードウェアシステムおよび/またはコンピューティングデバイスではなく、一つまたは複数の仮想マシンに実装することができる。同様に、図示されたデータレポジトリは、例えば、ストレージエリアネットワークまたはその他の分散ストレージシステムを含む、物理的および/またはロジカルデータストレージを表しうる。さらに、いくつかの実施形態において、示されるコンポーネントの間の接続は、ハードウェア間の実際の接続というよりはむしろデータの流れの経路を示す。可能な接続のいくつかの例が示されているが、示されたコンポーネントの任意のサブセットは、さまざまな実装のコンポーネントの他の任意のサブセットと通信可能である。
【0288】
添付の出願書類に記載されている可能性のあるものを含む、上記の特許および用途およびその他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の態様は、必要に応じて修正して、本明細書に記載のさまざまな参考文献のシステム、機能、および概念を採用して、さらなる実装を提供することができる。
【0289】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、材料、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特性のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特性またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)において開示される特性のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせにおよび、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0290】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変形がなされうる。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なりうることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々なコンポーネントが、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。プロセッサ、ASIC、FPGA等のハードウェアコンポーネントには論理回路が含まれうる。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0291】
本開示には、特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、本開示は、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替の実施形態または使用ならびにその明らかな変更形およびその等価物にまでおよび、これには本明細書に記載された特性および利点の全てを提供しているとは限らない実施形態が含まれることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本開示の範囲は、実施形態によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義されうる。
【0292】
「しうる(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特性、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特性、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特性、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザー入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特性、行為、および動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。同様に、「および(and)/または(or)」という用語は、二つ以上の項目の列挙に関して、言葉の以下の解釈のすべて:列挙内の項目も任意の一つ、列挙内のすべての項目、および列挙内の項目の任意の組み合わせ、を網羅する。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味しうる。さらに、本明細書で使用される場合、「本明細書での(herein)」、「上記(above)」、「下記(below)」および類似する言葉は、本出願で使用される場合、本明細書の全体を指し、本明細書の特定の部分を指すものではないことを意味する。
【0293】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかでありうることを伝えるのに一般的に用いられる文脈と共に、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくともXのうちの一つと、少なくともYのうちの一つと、少なくともZのうちの一つとを含むことを必要とするという示唆を通常意図しない。
【0294】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特徴に近い値、量、または特徴を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を意味しうる。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」および「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特徴を意味する。
【0295】
本明細書に記載の実施形態のいずれも、キャニスターあり、または、キャニスターなしで使用することができる。本明細書に記載される被覆材実施形態のいずれかも、創傷滲出液を吸収および保存することができる。
【0296】
本開示の範囲は、特定の実施形態の説明によって制限されることは意図されておらず、請求項によって定義されてもよい。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
[付記項1]
創傷監視および/または治療システムであって、
創傷と接触して位置付けるように構成された創傷被覆材であって、一つまたは複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含み、前記複数のセンサはセンサストリップまたはセンサのストリングに配置される、創傷被覆材と、
前記複数のセンサの第一のセンサの前記創傷内の位置および/または配向を示すように構成された少なくとも一つの位置決めデバイスと、
前記位置決めデータに基づいて、前記複数のセンサの前記第一のセンサの前記創傷内の前記位置および/または配向を決定するように構成された検出器と、を備える、創傷監視および/治療システム。
[付記項2]
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpO センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含む、付記項1に記載のシステム。
[付記項3]
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを備える、付記項2に記載のシステム。
[付記項4]
前記複数のセンサがセンサストリップ上に配置されている、付記項1~3のいずれかに記載のシステム。
[付記項5]
前記少なくとも一つの位置決めデバイスが、前記センサストリップに取り付けられているか、またはその中に統合されている、付記項4に記載のシステム。
[付記項6]
前記複数のセンサがセンサのストリング上に配置されている、付記項1に記載のシステム。
[付記項7]
前記少なくとも一つの位置決めデバイスが、センサのストリングと無線通信するように構成される、付記項6に記載のシステム。
[付記項8]
前記少なくとも一つの位置決めデバイスが、センサのストリングと電気通信するように構成される、付記項6に記載のシステム。
[付記項9]
前記検出器は、少なくとも前記受信した位置決めデータ、ならびに前記創傷被覆材および/または前記少なくとも一つの位置決めデバイスの前記創傷内の位置および/または配向と第一のセンサとの間の関係に基づいて、前記複数のセンサの前記第一のセンサの前記創傷内の前記位置および/または配向を決定するように構成されたコントローラを備える、付記項1~8のいずれかに記載のシステム。
[付記項10]
前記関係が、位置決めセンサと第一のセンサとの間の少なくとも既知の位置および/または配向オフセットを含む、付記項9に記載のシステム。
[付記項11]
前記少なくとも一つの位置決めデバイスの前記部分が、前記創傷の外側に位置付けられている、付記項1~10のいずれかに記載のシステム。
[付記項12]
前記少なくとも一つの位置決めデバイスが、位置決め情報を通信するように構成された少なくとも一つのマーキングを備える、付記項1~11のいずれかに記載のシステム。
[付記項13]
前記少なくとも一つのマーキングが、バーコード、数字、文字、英数字コード、標準形
状、不規則形状、またはロゴのうち少なくとも一つを含む、付記項12に記載のシステム。
[付記項14]
前記創傷被覆材が、前記創傷に陰圧を伝達するように構成されている、付記項1~13のいずれかに記載のシステム。
[付記項15]
付記項14に記載の創傷被覆材および前記創傷被覆材に流体接続されるよう構成される陰圧源を含む、キット。
[付記項16]
一つまたは複数の創傷特性を測定するよう構成されたセンサストリップまたはセンサのストリング上に配置された、複数のセンサを含む創傷被覆材を備える、創傷監視および/または治療システムを操作する方法であって、
前記創傷被覆材が前記創傷の上に位置付けられた時に、前記創傷被覆材内またはその上に位置付けられた位置決めデバイスから、前記創傷被覆材の上に位置付けられた検出器で位置決めデータを収集することと、
前記位置決めデータに基づいて、前記複数のセンサから第一のセンサの前記創傷内の位置および/または配向を、コントローラで決定することと、を含む、方法。
[付記項17]
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpO センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含む、付記項16に記載の方法。
[付記項18]
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含む、付記項17に記載の方法。
[付記項19]
前記複数のセンサがセンサストリップ上に配置されている、付記項16~18のいずれかに記載の方法。
[付記項20]
前記位置決めデバイスが、前記センサストリップに取り付けられているか、またはその中に統合されている、付記項19に記載の方法。
[付記項21]
前記複数のセンサがセンサのストリング上に配置されている、付記項16~18のいずれかに記載の方法。
[付記項22]
前記位置決めデバイスが、前記センサのストリングと無線通信する、付記項21に記載の方法。
[付記項23]
前記位置決めデバイスが、前記創傷の上、中、またはその近くの一つまたは複数の光源から無線で情報を受け取るように構成された光学センサを備える、付記項22に記載の方法。
[付記項24]
前記位置決めデバイスが、前記センサのストリングと電気通信する、付記項21に記載の方法。
[付記項25]
少なくとも前記受信した位置決めデータ、ならびに前記創傷被覆材および/または前記位置決めデバイスの前記創傷内の位置および/または配向と前記第一および第二のセンサとの間の関係に基づいて、前記複数のセンサの第二のセンサの前記創傷内の位置および/または配向を、コントローラによって決定することをさらに含む、付記項16~24のいずれかに記載の方法。
[付記項26]
陰圧を前記創傷に伝達することをさらに含む、付記項16~25のいずれかに記載の方法。
[付記項27]
創傷監視および/または治療システムであって、
創傷に接触して位置付けるように構成される創傷被覆材と、
一つまたは複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを含む、センサタグ、ストリップ、またはストリングと、を備え、
前記センサタグ、ストリップ、またはストリングが、前記創傷または前記創傷を取り囲む領域のうちの少なくとも一つに位置付けるように構成される、創傷監視および/または治療システム。
[付記項28]
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpO センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含む、付記項27に記載のシステム。
[付記項29]
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含む、付記項28に記載のシステム。
[付記項30]
前記センサストリップまたはタグは、前記創傷を取り囲む前記領域に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの一部を含む、付記項27~29のいずれかに記載のシステム。
[付記項31]
前記センサストリップまたはタグは、前記創傷内に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの一部を含む、付記項27~29のいずれかに記載のシステム。
[付記項32]
前記創傷内に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの前記部分は、前記創傷の縁に位置付けるように構成される、付記項31に記載のシステム。
[付記項33]
前記創傷内に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの前記部分は、前記創傷の中央部分に位置付けるように構成される、付記項31に記載のシステム。
[付記項34]
前記センサストリップまたはタグは、前記創傷を取り囲む前記領域に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの一部を含み、前記センサストリップまたはタグの一部は、前記創傷内に位置付けるように構成される、付記項27~29のいずれかに記載のシステム。
[付記項35]
前記センサストリングが、前記創傷内に位置付けるように構成される、付記項27~29に記載のシステム。
[付記項36]
前記センサストリング、センサストリップ、およびセンサタグが、前記創傷を取り囲む、または前記創傷から離れた前記領域に位置付けるように構成されたコンポーネントと通信するように構成される、付記項27~35のいずれかに記載のシステム。
[付記項37]
前記創傷被覆材が前記創傷に陰圧を伝達するように構成される、付記項27~36のいずれかに記載のシステム。
[付記項38]
付記項37に記載の創傷被覆材および前記創傷被覆材に流体接続するよう構成される陰圧源を含む、キット。
[付記項39]
創傷監視および/または治療システムであって、
創傷と接触して位置付けるように構成された創傷被覆材であって、
一つまたは複数の創傷特性を測定するように構成された複数のセンサを備えたセンサ支持材料であって、前記複数のセンサが前記創傷内または前記創傷を取り囲む領域の少なくとも一つに位置付けるように構成され、前記センサ支持材料は、前記センサ支持材料上に位置付けられた複数のトラックを含む、センサ支持材料を含む、創傷被覆材を含み、
前記センサ支持材料が、少なくとも二つの隣接するトラックの間に位置付けられ、少なくとも二つの隣接するセンサの間に位置付けられ、または少なくとも一つのトラックと少なくとも一つの隣接したセンサとの間に位置付けられる、複数のスリットを備える、創傷監視および/または治療システム。
[付記項40]
前記センサ支持材料は、前記複数のセンサの少なくとも一つのセンサを含むセンサタグ、ストリップ、またはストリングを含む、付記項39に記載のシステム。
[付記項41]
前記複数のスリットの一つのスリットが、前記複数のセンサの一つのセンサの周囲を実質的に囲む、付記項39~40のいずれかに記載のシステム。
[付記項42]
前記複数のセンサが、少なくとも一つのナノセンサ、サーミスタ、伝導度センサ、SpO センサ、pHセンサ、色センサ、光学センサ、インピーダンスセンサ、または電極を含む、付記項39~41のいずれかに記載のシステム。
[付記項43]
前記光学センサが、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサのうちの少なくとも一つを含む、付記項42に記載のシステム。
[付記項44]
前記センサストリップまたはタグは、前記創傷を取り囲む前記領域に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの一部を含む、付記項40~43のいずれかに記載のシステム。
[付記項45]
前記センサストリップまたはタグは、前記創傷内に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの一部を含む、付記項40~43のいずれかに記載のシステム。
[付記項46]
前記創傷内に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの前記部分は、前記創傷の縁に位置付けるように構成される、付記項45に記載のシステム。
[付記項47]
前記創傷内に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの前記部分は、前記創傷の中央部分に位置付けるように構成される、付記項45に記載のシステム。
[付記項48]
前記センサストリップまたはタグは、前記創傷を取り囲む前記領域に位置付けるように構成された前記センサストリップまたはタグの一部を含み、前記センサストリップまたはタグの一部は、前記創傷内に位置付けるように構成される、付記項40~43のいずれかに記載のシステム。
[付記項49]
前記センサストリングが、前記創傷内に位置付けるように構成される、付記項40に記載のシステム。
[付記項50]
前記センサストリング、センサストリップ、およびセンサタグが、前記創傷を取り囲む、または前記創傷から離れた前記領域に位置付けるように構成されたコンポーネントと通信するように構成される、付記項40~49のいずれかに記載のシステム。
[付記項51]
前記創傷被覆材が前記創傷に陰圧を伝達するように構成される、付記項39~50のいずれかに記載のシステム。
[付記項52]
付記項39に記載の創傷被覆材および前記創傷被覆材に流体接続されるよう構成される陰圧源を含む、キット。
[付記項53]
前記センサ支持材料内に前記複数のスリットをレーザー切断することを含む、付記項39に記載の創傷被覆材を製造する方法。
[付記項54]
付記項1~14、27~37、39~51のいずれかに記載の創傷監視および/または治療システムを使用または操作する方法。
[付記項55]
付記項1~54に記載の一つまたは複数の特性を有する創傷監視および/または治療システム。
[付記項56]
付記項1~55に記載の一つまたは複数の特性を有する創傷監視および/または治療システムを使用または操作する方法。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I-1】
図3I-2】
図3I-3】
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
図14