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特許7511478ウイルス様粒子中へのオリゴヌクレオチドのパッケージ化
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ウイルス様粒子中へのオリゴヌクレオチドのパッケージ化
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/117 20100101AFI20240628BHJP
   C12N 7/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 48/00 20060101ALN20240628BHJP
   A61K 35/76 20150101ALN20240628BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALN20240628BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20240628BHJP
   C07K 14/08 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
C12N15/117 Z
C12N7/00
A61K48/00 ZNA
A61K35/76
A61K31/7088
A61P43/00 105
C07K14/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020556292
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 IB2019052867
(87)【国際公開番号】W WO2019197965
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】62/654,586
(32)【優先日】2018-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520391701
【氏名又は名称】チェックメイト ファーマシューティカルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォルターズ, エヴァン デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘンネケ, フランク
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-539907(JP,A)
【文献】特表2009-519299(JP,A)
【文献】特表平10-503469(JP,A)
【文献】国際公開第2017/197009(WO,A1)
【文献】Nat Rev Genet.,2012年,13(11),770-780
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 7/00- 7/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセスであって、
(a)オリゴヌクレオチドを提供するステップであって、前記オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのポリGストレッチを含む、ステップと、
(b)前記オリゴヌクレオチドを変性させるステップであって、前記変性させるステップが、
(i)前記オリゴヌクレオチドおよびカオトロピック剤を含む水溶液Iを、前記オリゴヌクレオチドの平均直径が1nm以下になるまで温度Iでインキュベートするステップであって、前記平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、前記温度Iが、75℃~99℃である、ステップを含む、ステップと、
(c)前記オリゴヌクレオチドを凝集させるステップであって、前記凝集させるステップが、
(i)ステップ(b)で得られた1nm以下の前記平均直径を有する前記オリゴヌクレオチド、カオトロピック剤、およびカチオンを含む水溶液IIを、温度IIでインキュベートして、前記凝集オリゴヌクレオチドを形成するステップであって、前記インキュベートすることが、前記形成された凝集オリゴヌクレオチドの前記平均直径が、7~14nmになるまで実行され、前記平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、前記温度IIが、75℃~99℃である、ステップと、
(ii)前記溶液IIの温度を温度IIIに調整するステップであって、前記温度IIIが、40℃未満または30℃未満である、ステップと、を含む、ステップと
を含み、
前記オリゴヌクレオチドが、
(a)G10:GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)、
(b)G10-11:GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号3)、
(c)G12-11:GGGGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号4)、
(d)G6:GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号5)、
(e)G7:GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号6)、
(f)G8:GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号7)、
(g)G9:GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号8)、
(h)G11:GGGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号9)、
(i)G6-10:GGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号24)、
(j)G7-10:GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号25)、
(k)G8-10:GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号26)、および
(l)G9-10:GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号27)からなる群から選択される核酸配列を含み、
前記オリゴヌクレオチドが、10~200ヌクレオチドからなり、
前記オリゴヌクレオチドが、ホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなり、
前記カチオンが、Na、K、NH 、Li、Ca2+、Mg2+、及びZn2+から選択され、
カオトロピック剤の濃度が、0.2Mから1.0Mまでである、
プロセス。
【請求項2】
前記水溶液Iが、前記オリゴヌクレオチドが自発的に自己凝集するような濃度の一価または二価のイオンを含まない、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記溶液I中に含まれる前記カオトロピック剤が、尿素、フェノール、イソプロピルアルコール、エタノール、および塩化グアニジニウムから選択される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドが、
(a)その5’末端に3から15個のグアノシン実体、およびその3’末端に3から15個のグアノシン実体;
(b)その5’末端に6から13個のグアノシン実体、およびその3’末端に6から13個のグアノシン実体;または
(c)その5’末端に8から11個のグアノシン実体、およびその3’末端に8から11個のグアノシン実体
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
請求項1のステップ(a)における前記オリゴヌクレオチドの純度が、HPLCによって決定して、90%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記溶液II中に含まれる前記カオトロピック剤が、尿素、フェノール、イソプロピルアルコール、エタノール、および塩化グアニジニウムから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記溶液I中に含まれる前記カオトロピック剤および前記溶液II中に含まれる前記カオトロピック剤が、同じであり、前記溶液I中に含まれる前記カオトロピック剤および前記溶液II中に含まれる前記カオトロピック剤が、尿素である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記凝集オリゴヌクレオチドが、核酸配列GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
ヌクレオチド組成物中の前記凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%が、10.8nm~13.2nmの直径を有し、前記直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
ヌクレオチド組成物中の前記凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%が、11.4nm~12.6nmの直径を有し、前記直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、前記ウイルス様粒子中にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスであって、
(a)混合物を生成するステップであって、前記混合物が、
(i)前記RNAバクテリオファージのコートタンパク質と、
(ii)前記コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤と、
(iii)凝集オリゴヌクレオチドであって、少なくとも1つのポリGストレッチを含むオリゴヌクレオチドを含み、14nmの平均直径を有し、前記平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、ステップと、
(b)前記混合物から前記薬剤を除去するステップと、
(c)前記コートタンパク質がウイルス様粒子に自己集合し、前記凝集オリゴヌクレオチドをパッケージ化することを可能にするステップと
を含み、
請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセスによって、前記凝集オリゴヌクレオチドを得ることをさらに含む、
プロセス。
【請求項12】
前記RNAバクテリオファージが、
(a)バクテリオファージQβ、
(b)バクテリオファージR17、
(c)バクテリオファージfr、
(d)バクテリオファージGA、
(d)バクテリオファージSP、
(e)バクテリオファージMS2、
(f)バクテリオファージM11、
(g)バクテリオファージMX1、
(h)バクテリオファージNL95、
(i)バクテリオファージf2、
(j)バクテリオファージPP7、および
(k)バクテリオファージAP205
からなる群から選択される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
ウイルス様粒子と凝集オリゴヌクレオチドとを含む前記組成物の純度が、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定して、少なくとも99.5%である、請求項11又は12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記RNAバクテリオファージが、バクテリオファージQβである、請求項11~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記凝集オリゴヌクレオチドが、核酸配列G10 GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有し、前記凝集オリゴヌクレオチドが、ホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる、請求項11~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
ヌクレオチド組成物中の前記凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%が、10.8nm~13.2nmの直径を有し、前記直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、請求項11~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
ヌクレオチド組成物中の前記凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%が、11.4nm~12.6nmの直径を有し、前記直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、請求項11~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)RNAバクテリオファージのウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、ウイルス様粒子内にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するための方法に関する。本発明は、前述のプロセスでの使用に好適な凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセスをさらに提供する。さらに、本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物をさらに提供する。さらに、本発明は、(i)RNAバクテリオファージのウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、ウイルス様粒子中にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物をさらに提供する。
【背景技術】
【0002】
オリゴヌクレオチド、具体的にはグアニン(G)に富むオリゴヌクレオチドがパッケージ化されたRNAバクテリオファージのウイルス様粒子が、免疫系の強力な刺激物質として提案されている。そのようなウイルス様粒子およびその中にパッケージ化されたオリゴヌクレオチド、ならびにそれらの生成のためのプロセスは、例えば、WO2003/024481、WO2004/000351、WO2004/084940、WO2004/007538、WO2007/068747、およびWO2007/144150に記載されており、これらの開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。典型的には、プロセスは、RNAバクテリオファージの組換えウイルス様粒子の分解、該ウイルス様粒子のコートタンパク質の精製、およびオリゴヌクレオチドがパッケージ化されたウイルス様粒子をもたらすオリゴヌクレオチドの存在下での該コートタンパク質の再集合に基づく。RNAバクテリオファージの組換えウイルス様粒子の生成のための効率的かつ拡張可能なプロセスは、例えば、WO2005/117963、WO2006/125821、およびWO2007/039552にさらに開示されており、これらの全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
オリゴヌクレオチド合成の方法は、30年以上にわたって利用可能となっており、ホスホルアミダイト化学による合成が、その最も一般的に使用される方法である(Beaucage et al.,Curr Protoc Nucleic Acid Chem3.3.1-3.3.20(2000)、この開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる)。ホスホラミダイト合成には、合成時間を低減し、より高い収率の生成物を生成するための多くの有意な改善があった。グアニン(G)に富むオリゴヌクレオチド、具体的には連続したグアニン残基を有するオリゴヌクレオチドの合成は、大きな製造規模で、具体的には高純度かつ高収率で達成するのが常により困難であったが、これは、カップリング段階で活性化ホスホラミダイトが5’-ヒドロキシル基に到達しづらいことによる可能性が高い。具体的には、支持体に結合した保護されたGに富むオリゴマーは、二次構造を形成し、特定の長さの後に不純物および合成失敗をもたらす問題、最も支配的にはより少ない数のG残基またはより多い数のG残基さえも有するオリゴヌクレオチド配列をもたらす問題を有する可能性がある。結果として、市販のグアニン(G)に富むオリゴヌクレオチドの純度は、ホスホラミダイト合成に対して行われた該改善から有意に恩恵を受けている。したがって、10~20年前には、60~80%の、該グアニン(G)に富むオリゴヌクレオチドの純度が受け入れられることがあったが、グアニン(G)に富んでいないオリゴヌクレオチドに類似する、93%、95%ほどの高い純度、または97もしくは99%ほどの高い純度が今日では一般的に実現可能である。さらに、該(G)に富むオリゴヌクレオチドが医薬品の一部である場合、そのようなより高純度の(G)に富むオリゴヌクレオチドの使用が、規制当局の承認のために必要とされ、要求される。
【0004】
Gに富むオリゴヌクレオチド、具体的には5’および3’末端にポリ(G)を有し、さらに非メチル化CGジヌクレオチドモチーフおよび中央回文構造を含むオリゴヌクレオチドは、それらのポリ(G)モチーフのG四分子形成を介して、より高次の二次および三次構造に自己集合する傾向がある(Kerkmann,M.et al.,J.Biol.Chem.,(2005)280(9),8086-93、Bochman,ML et al.Nat Rev Genet.,(2012)13(11):770-780、これらの開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる)。これらのG四重鎖は、分子間または分子内経路を介して形成することができ、非常に安定した二次構造である。結果として、これらの四重鎖のサイズおよび形状および立体構造は、反応経路に応じてかなり可変的である可能性がある。
【0005】
WO2007/144150は、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子中にパッケージ化されたグアニン(G)に富むオリゴヌクレオチドを含む組成物を生成するためのプロセスを記載しており、RNAバクテリオファージのコートタンパク質の自己集合は、脱凝集/凝集プロセスによって得られたオリゴヌクレオチド凝集体の存在下で実行される。オリゴヌクレオチドの凝集状態は、該RNAバクテリオファージのキャプシドを標準として使用したサイズ排除HPLCにおける相対ピーク開始時間(PST)によって特性評価され、50~110%、好ましくは80~95%のPSTが、最適であることが見出されている。そのようなPSTは、該RNAバクテリオファージのキャプシドの見かけの分子量の範囲内、またはそれよりもわずかに低い見かけの分子量を有するオリゴヌクレオチド凝集体に対応することが示されている。RNAバクテリオファージのウイルス様粒子中にパッケージ化されたグアニン(G)に富むオリゴヌクレオチドを含む組成物を生成するための既知のプロセスに対するその改善にもかかわらず、本発明者らは、WO2007/144150のこの先行技術のプロセスの実質的に不利な点を特定した。
【発明の概要】
【0006】
具体的には、WO2007/144150の先行技術のプロセスに従って調製され、WO2007/144150に定義されるサイズ分布による、凝集オリゴヌクレオチドは、動的光散乱(DLS)によって決定して、形成された凝集オリゴヌクレオチドの特定のサイズおよび立体構造に関する実質的な不一致および大きな変動を示した。加えて、形成された凝集オリゴヌクレオチドの特定のサイズおよび立体構造に関する該不一致は、該凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたウイルス様粒子の実質的な不一致をさらにもたらし、所望の球状パッケージ化VLPの形成だけでなく、加えて形成異常の桿状の凝集体または高次の凝集体の形成も引き起こした。さらに、該高度に多分散した凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化された該得られたVLPは、より低い純度だけでなく、不安定性の増加もさらに示した。
【0007】
重要なことに、WO2007/144150の先行技術の脱凝集/凝集プロセスは、該脱凝集/凝集ステップに使用されるオリゴヌクレオチドの初期純度に大きく依存することがさらに見出されている。具体的には、WO2007/144150の脱凝集/凝集プロセスで使用されるオリゴヌクレオチドの初期純度は、オリゴヌクレオチドの凝集、すなわち凝集および故にG-四重鎖形成の速度による、定義された所望のサイズおよび立体構造の凝集オリゴヌクレオチドの形成に影響を有することが見出されている。典型的には、WO2007/144150の脱凝集/凝集プロセスで使用されるオリゴヌクレオチドの純度がより高いほど、より速く、かつより制御されない無秩序な状態で凝集が生じ、所望のサイズウィンドウ外の典型的に非常に大きな凝集オリゴヌクレオチドの量の増加をもたらした。結果として、得られた凝集オリゴヌクレオチドを適切にパッケージ化することができないため、最終オリゴヌクレオチドパッケージ化VLPは、強力で費用のかかる精製を必要とする低下した純度、およびSECクロマトグラムの経時的な変化によって証明される低下した安定性を有した。特に、低分子量ピークの増加が経時的に観察され、これは、VLPのいくつかが安定しておらず、元々パッケージ化されていたDNAおよびオリゴヌクレオチドをそれぞれ放出したことを示唆している。
【0008】
本発明者らによる発見に基づいて、かつ具体的にはWO2007/144150の脱凝集/凝集プロセスに最初に使用されたオリゴヌクレオチドの純度への大きな依存に基づいて、WO2007/144150のプロセス、具体的にはWO2007/144150の脱凝集/凝集プロセスが、低純度のGに富むオリゴヌクレオチドのために開発および最適化されている。示されているように、高純度のGに富むオリゴヌクレオチドは、今日では広範に利用可能であるだけでなく、さらに医薬品のためのそれらの使用もまた、規制当局の承認の必要条件である。さらに、最初に使用されたオリゴヌクレオチドの純度に応じた、形成された凝集オリゴヌクレオチドの特定のサイズおよび立体構造に関するその不一致および大きな変動に加えて、WO2007/144150の先行技術のプロセスのさらなる実質的に不利な点は、制御されない無秩序な凝集による、定義されたサイズ範囲内の凝集オリゴヌクレオチドの調製を達成するための、これに添えて関連する非常に狭い時間ウィンドウである。
【0009】
結果として、かつこれらの生じる不一致および変動、ならびに最初に使用されたオリゴヌクレオチドの純度への強い依存のために、WO2007/144150のプロセスは、大規模な製造には好適ではなく、具体的にはGMP製造(特にバッチ間の一貫性が重要な臨床試験材料用のもの)には好適ではない。
【0010】
したがって、本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセス、ならびにRNAバクテリオファージのウイルス様粒子および該ウイルス様粒子中にパッケージ化された凝集オリゴヌクレオチドを含む組成物を生成するためのプロセスを提供し、故に先行技術のプロセスの不利な点を回避または低減する。
【0011】
したがって、第1の態様では、本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセスであって、
(a)オリゴヌクレオチドを提供するステップであって、該オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのポリGストレッチを含む、ステップと、
(b)該オリゴヌクレオチドを変性させるステップであって、該変性させるステップが、
(i)該オリゴヌクレオチドおよびカオトロピック剤を含む水溶液Iを、該オリゴヌクレオチドの平均直径が1nm以下になるまで温度Iでインキュベートするステップであって、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、該温度Iが、75℃~99℃であり、好ましくは、該カオトロピック剤が、尿素である、ステップを含む、ステップと、
(c)該オリゴヌクレオチドを凝集させるステップであって、該凝集させるステップが、
(i)ステップ(b)で得られた1nm以下の該平均直径を有する該オリゴヌクレオチド、カオトロピック剤、およびカチオンを含む水溶液IIを、温度IIでインキュベートして、該凝集オリゴヌクレオチドを形成するステップであって、該インキュベートすることが、該形成された凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、6~16nmになるまで実行され、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、該温度IIが、75℃~99℃であり、好ましくは該カオトロピック剤が、尿素である、ステップと、
(ii)該溶液IIの温度を温度IIIに調整するステップであって、該温度IIIが、40℃未満、好ましくは30℃未満である、ステップと、を含む、ステップと、を含み、
該ステップが、好ましくは所与の順序で実行される、プロセスを提供する。
【0012】
有利なことに、本発明のプロセスは、形成された凝集オリゴヌクレオチドのサイズ、およびこれにより凝集オリゴヌクレオチドの立体構造の制御、その結果として、高度に純粋で、安定し、良好に形成された、すなわち典型的には専ら球状の、オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLPの一貫した形成を可能にする。
【0013】
したがって、本発明のプロセスは、6~16nm、好ましくは7~14nm、さらに好ましくは8~14nm、再びさらに好ましくは9~14nm、再びさらに好ましくは10~14nm、再びさらに好ましくは11~13nm、故に11、12、または13nm、および最も好ましくは12nmの、それらの直径による凝集オリゴヌクレオチドのサイズの制御を可能にし、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0014】
重要なことに、本発明のプロセスは、形成された凝集オリゴヌクレオチドのサイズ、および故に立体構造の制御を可能にするだけでなく、それを行うことに加えて、変性ステップに使用されるオリゴヌクレオチドの純度に関わらず、それを行う。さらに、本発明のプロセスは、凝集の制御を可能にするため、それは、凝集ステップを実行するためのより広い操作ウィンドウをさらに可能にし、それを提供する。そのような制御ならびに追加の時間およびより広い操作ウィンドウはそれぞれ、プロセス制御におけるより高い精度とともに、本発明のプロセスを、GMP品質、具体的には大規模なGMP品質での費用のかかる生成にとって非常に有益なものとする。さらに、最終的に得られたオリゴヌクレオチドパッケージ化VLPの収率は、具体的にはさらに費用のかかる精製ステップを必要とせずに、追加的にはるかにより高く、かつより純粋である。
【0015】
示されているように、WO2007/144150の先行技術のプロセスは、本発明のプロセスによって形成された凝集オリゴヌクレオチドとは対照的に、動的光散乱(DLS)によって決定して、形成された凝集オリゴヌクレオチドの特定のサイズおよび立体構造に関する実質的な不一致および大きな変動を示す、凝集オリゴヌクレオチドの形成をもたらした。しかしながら、本発明のプロセスによって形成された凝集オリゴヌクレオチドはすべて、対応する最適範囲がわずかにシフトしているが、WO2007/144150に定義されるように、該RNAバクテリオファージのキャプシドを標準として使用したサイズ排除HPLCにおいて、相対ピーク開始時間(PST)の仕様基準を満たした。したがって、本発明のプロセスによって形成された好ましい凝集オリゴヌクレオチドは、これに従って決定して、90~105%、好ましくは92%~102%のPSTを有する。
【0016】
本発明のプロセスのさらなる利点は、WO2007/144150の先行技術のプロセスと比較して、変性ステップのための塩、特にカオトロピック剤、好ましくは尿素の使用の回避である。結果として、変性した、典型的には単量体のオリゴヌクレオチドを含有する本発明のプロセスの得られた溶液は、再凝集の脅威がなく安定しており、故にさらなる使用のために保管することができる。したがって、これらの溶液は、凝集物を形成することなく複数回加熱または冷却することができ、有利には、将来の使用のために凍結することができる。後者は、おそらく、示されているように、オリゴヌクレオチド分解の前の変性ステップの停止に必要とされる中和ステップ中に生成される塩の存在のために、先行技術のプロセスでは可能ではなかった。したがって、該調製された先行技術の溶液は、保管の可能性がなく、その後使用しなければならなかった。
【0017】
本発明の場合、オリゴヌクレオチドの凝集状態は、散乱光の時間依存性変動を測定する動的光散乱(DLS)によって特性評価される。次に、溶媒を通した凝集体の拡散速度を関連付けることによって、凝集オリゴヌクレオチドの流体力学的半径および直径が計算される。6~16nm、好ましくは7~14nm、さらに好ましくは8~14nm、再びさらに好ましくは9~14nm、再びさらに好ましくは10~14nm、再びさらに好ましくは11~13nm、故に11、12、または13nm、および最も好ましくは12nmの平均流体力学的直径を含む凝集オリゴヌクレオチドが、最適であることが見出されている。
【0018】
したがって、さらなる態様では、本発明は、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス内にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスであって、
(a)混合物を生成するステップであって、該混合物が、
(i)該RNAバクテリオファージのコートタンパク質と、
(ii)該コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤と、
(iii)凝集オリゴヌクレオチドであって、少なくとも1つのポリGストレッチを含むオリゴヌクレオチドを含み、6~16nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、ステップと、
(b)該混合物から該薬剤を除去するステップと、
(c)該コートタンパク質がウイルス様粒子に自己集合し、該凝集オリゴヌクレオチドをパッケージ化することを可能にするステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0019】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス内にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスであって、
(a)混合物を生成するステップであって、該混合物が、
(i)該RNAバクテリオファージのコートタンパク質と、
(ii)該コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤と、
(iii)凝集オリゴヌクレオチドであって、少なくとも1つのポリGストレッチを含むオリゴヌクレオチドを含み、本発明の第1の態様に記載のプロセスによって得ることができ、6~16nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、ステップと、
(b)該混合物から該薬剤を除去するステップと、
(c)該コートタンパク質がウイルス様粒子に自己集合し、該凝集オリゴヌクレオチドをパッケージ化することを可能にするステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0020】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス内にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスであって、
(a)混合物を生成するステップであって、該混合物が、
(i)該RNAバクテリオファージのコートタンパク質と、
(ii)該コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤と、
(iii)該凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物であって、本発明による凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するための方法によって得ることができ、該凝集オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのポリGストレッチを含むオリゴヌクレオチドを含み、該凝集オリゴヌクレオチドが、6~16nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、ヌクレオチド組成物と、を含む、ステップと、
(b)該混合物から該薬剤を除去するステップと、
(c)該コートタンパク質がウイルス様粒子に自己集合し、該凝集オリゴヌクレオチドをパッケージ化することを可能にするステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0021】
該プロセス中、該ウイルス様粒子は、該凝集オリゴヌクレオチドの存在下で該RNAバクテリオファージのコートタンパク質の自己集合によって形成される。
【0022】
再びさらなる態様では、本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物であって、本発明による凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセスによって得ることができ、好ましくは該凝集オリゴヌクレオチドが、6~16nm、好ましくは7~14nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、ヌクレオチド組成物を提供する。
【0023】
再びさらなる態様では、本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物であって、該凝集オリゴヌクレオチドが、7~14nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、ヌクレオチド組成物を提供する。
【0024】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)RNAバクテリオファージのウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物であって、該凝集オリゴヌクレオチドが、該ウイルス様粒子中にパッケージ化され、該組成物が、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)本発明による凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスによって得ることができる、組成物を提供する。
【0025】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)RNAバクテリオファージのウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス様粒子中にパッケージ化され、6~16、好ましくは7~14nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む組成物を提供する。
【0026】
本発明のさらなる態様および実施形態は、この説明が続くにつれて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】本発明のプロセスによって得られた、変性オリゴヌクレオチドG10および凝集オリゴヌクレオチドG10の動的光散乱(DLS)。DLSは、実施例3に記載のように実行した。図1Aは、0.90nmの平均粒子径を有する変性高純度G10オリゴヌクレオチドを示し、これは、G10オリゴヌクレオチドの二次構造が破壊され、変性が完了し、単量体が達成されたことを示している。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図1B】本発明のプロセスによって得られた、変性オリゴヌクレオチドG10および凝集オリゴヌクレオチドG10の動的光散乱(DLS)。DLSは、実施例3に記載のように実行した。図1Bは、適切な凝集および12nmの直径で得られた、その後凝集したG10オリゴヌクレオチドを示す。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図2A】変性オリゴヌクレオチドG10のDLS。DLSは、実施例3に記載のように実行した。配列番号1の低純度オリゴヌクレオチドG10(逆相HPLCおよびアニオン交換HPLCによって決定して、約79%)を、先行技術(WO2007/144150)に記載のように脱凝集(変性)に使用した。DLSは、2.2nmの平均直径を有する粒子を示し、これは、すべてのオリゴヌクレオチドG10の二次構造が破壊され、単量体に変性しているわけではないことを示している。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図2B】変性オリゴヌクレオチドG10のDLS。DLSは、実施例3に記載のように実行した。配列番号1の高純度オリゴヌクレオチドG10(逆相HPLCおよびアニオン交換HPLCによって決定して、約94%)を、先行技術(WO2007/144150)に記載のように脱凝集(変性)に使用した。DLSは、2.8nmの平均直径を有する粒子を示し、これは、すべてのオリゴヌクレオチドG10の二次構造が破壊され、単量体に変性しているわけではないことを示している。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図2C】変性オリゴヌクレオチドG10のDLS。DLSは、実施例3に記載のように実行した。配列番号1の高純度オリゴヌクレオチドG10(逆相HPLCおよびアニオン交換HPLCによって決定して、約94%)を、本発明のプロセスの脱凝集に使用した。DLSは、0.9nmの平均直径を有する粒子を示し、これは、オリゴヌクレオチドG10が完全にまたは実質的に完全に単量体に変性していることを示している。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図3A】凝集オリゴヌクレオチドG10のDLS。DLSは、実施例3に記載のように実行した。実施例5から得られた変性オリゴヌクレオチド(図2A~2C)を使用した。先行技術のプロセスによって変性させた、先行技術(WO2007/144150)に記載の低純度G10の凝集。配列番号1の低純度オリゴヌクレオチドG10は、逆相HPLCおよびアニオン交換HPLCによって決定して、約79%の純度に対応する。DLSは、所望の粒子範囲の高い側にある(15nm)だけでなく、加えて材料の10%が有意により大きい(30~50nm)、凝集オリゴヌクレオチドを示す。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図3B】凝集オリゴヌクレオチドG10のDLS。DLSは、実施例3に記載のように実行した。実施例5から得られた変性オリゴヌクレオチド(図2A~2C)を使用した。先行技術のプロセスによって変性させた、先行技術(WO2007/144150)に記載の高純度G10の凝集。配列番号XXの高純度オリゴヌクレオチドG10は、逆相HPLCおよびアニオン交換HPLCによって決定して、約94%の純度に対応する。DLSは、網掛けのボックスによって例示されているように、平均直径が完全に(100%)6~16nmの直径範囲(所望の範囲)外にある、凝集オリゴヌクレオチドを示す。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図3C】凝集オリゴヌクレオチドG10のDLS。DLSは、実施例3に記載のように実行した。実施例5から得られた変性オリゴヌクレオチド(図2A~2C)を使用した。本発明のプロセスによる高純度G10の凝集。配列番号1の高純度オリゴヌクレオチドG10は、逆相HPLCおよびアニオン交換HPLCによって決定して、約94%の純度に対応する。DLSは、網掛けのボックスによって例示されているように、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が完全に(100%)6~16nmの直径範囲(所望の範囲)内にある、凝集オリゴヌクレオチドを示す。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図4A】分析サイズ排除クロマトグラフィーによる精製Qβコートタンパク質の特性評価。精製QβVLPの試料。260nmでのRNAの吸収係数は、コートタンパク質の吸収係数よりも約100倍高いため、観測されたピーク(比率A260/A280=2)は、VLPのRNAコアによって支配される。
図4B】分析サイズ排除クロマトグラフィーによる精製Qβコートタンパク質の特性評価。分解反応の上清の試料。放出されたコートタンパク質は、約12分でのタンパク質様ピークの存在によって示される。さらに、沈殿していないRNA分子のいくつかの種が、6.8~11分の範囲内に存在する。
図4C】分析サイズ排除クロマトグラフィーによる精製Qβコートタンパク質の特性評価。精製Qβコートタンパク質の試料。分析は、カラムTSK G5000PWxl(Tosoh Bioscience)で、PBS中で実行した。
図5A】先行技術の脱凝集-凝集法によって、ならびに本発明の変性および凝集によって得られた、凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子(VLP)のDLSおよび電子顕微鏡写真(EM)。DLSは、実施例3に記載のように実行し、EMは、実施例8に記載のように取得した。先行技術の脱凝集-凝集法によって得られた凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたQβVLPのDLS。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図5B】先行技術の脱凝集-凝集法によって、ならびに本発明の変性および凝集によって得られた、凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子(VLP)のDLSおよび電子顕微鏡写真(EM)。DLSは、実施例3に記載のように実行し、EMは、実施例8に記載のように取得した。先行技術の脱凝集-凝集法によって得られた凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたQβVLPのEM。矢印は、桿状構造を特定するために含まれている。
図5C】先行技術の脱凝集-凝集法によって、ならびに本発明の変性および凝集によって得られた、凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子(VLP)のDLSおよび電子顕微鏡写真(EM)。DLSは、実施例3に記載のように実行し、EMは、実施例8に記載のように取得した。本発明のプロセスによって得られた凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたQβVLPのDLS。重複する曲線によって示されるように、複数のスキャンを実行した。これらのスキャンの平均直径(Dhyd)および一次ピークのパーセント(平均)を、グラフ内のデータボックスの挿入図に報告する。
図5D】先行技術の脱凝集-凝集法によって、ならびに本発明の変性および凝集によって得られた、凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたRNAバクテリオファージQβのウイルス様粒子(VLP)のDLSおよび電子顕微鏡写真(EM)。DLSは、実施例3に記載のように実行し、EMは、実施例8に記載のように取得した。本発明のプロセスによって得られた凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたQβVLPのEM。
【発明を実施するための形態】
【0028】
別段、定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0029】
平均直径:本明細書で使用される場合、動的光散乱(DLS)によって決定される「平均直径」という用語は、実施例3に記載の方法で、典型的に、かつ好ましくはDLSによって測定される直径を指し、測定される粒子の所与の平均直径値は、正規分布(ガウス分布)における平均として該直径を有する粒子を指す。したがって、本明細書で使用される場合、典型的に、かつ好ましくはオリゴヌクレオチド、凝集オリゴヌクレオチド、および本発明による凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLPに適用される、動的光散乱(DLS)によって決定される「平均直径」という用語は、典型的に、かつ好ましくは実施例3に記載の方法で、DLSによって測定される直径を典型的に、かつ好ましくは指し、測定される粒子の所与の平均直径値は、該粒子の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%が、該所与の値の直径または該所与の値の±10%の直径を有する、粒子を指す。明確化のために、例えば、本発明の凝集オリゴヌクレオチドの12nmの平均直径値は、該本発明の凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%が、10.8nm~13.2nmの直径を有する、該本発明の凝集オリゴヌクレオチドを指す。さらに、本明細書で使用される場合、典型的に、かつ好ましくはオリゴヌクレオチド、凝集オリゴヌクレオチド、および本発明による凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLPに適用される、動的光散乱(DLS)によって決定される「平均直径」という用語は、典型的に、かつ好ましくは実施例3に記載の方法で、DLSによって測定される直径を典型的に、かつ好ましくは指し、測定される粒子の所与の平均直径値は、該粒子の少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%が該所与の値の直径または該所与の値の±5%の直径を有する粒子を指す。明確化のために、例えば、本発明の凝集オリゴヌクレオチドの12nmの平均直径値は、該本発明の凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%が、11.4nm~12.6nmの直径を有する、該本発明の凝集オリゴヌクレオチドを指す。
【0030】
値のすべての範囲、具体的には平均直径または本明細書に開示される直径のすべての範囲は、その範囲を定義する値を含む、該範囲内にあるすべての値を指すものとする。明確化のために、例えば、12nm~13nmの直径値は、12nmもしくは13nmの直径、または12nm~13nmの範囲内にあるすべての直径を指すものとする。
【0031】
カオトロピック剤:本明細書で使用される場合、「カオトロピック剤」という用語は、タンパク質、オリゴヌクレオチド、または他の巨大分子の秩序構造を破壊する、分子または物質を指す。この安定性の低下は、典型的には水素結合ネットワークの破壊によって引き起こされる。例には、中でも特に、尿素、フェノール、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、および塩化グアニジニウムが含まれる。
【0032】
オリゴヌクレオチド:本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドという用語は、一本鎖デオキシリボヌクレオチドを指す。好ましいオリゴヌクレオチドは、以下に定義される少なくとも1つのポリGストレッチを含む。より好ましいオリゴヌクレオチドは、2、3、4、5または6つの該ポリGストレッチを含む。非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、正確に2つのポリGストレッチを含み、好ましくは該2つのポリGストレッチのうちの1つが、該オリゴヌクレオチドの5’末端または3’末端に位置する。さらにより好ましいオリゴヌクレオチドは、正確に2つのポリGストレッチを含み、該2つのポリGストレッチのうちの1つが、該オリゴヌクレオチドの5’末端に位置し、該2つのポリGストレッチのうちの1つが、該オリゴヌクレオチドの3’末端に位置する。典型的に、かつ好ましくは、本明細書で使用される場合、オリゴヌクレオチドは、6~1000個、好ましくは10~1000個、より好ましくは10~200個、さらにより好ましくは10~100個、さらにより好ましくは20~40個、最も好ましくは30個のヌクレオチドからなる。さらに好ましいオリゴヌクレオチドは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個のヌクレオチドからなる。さらにより好ましいオリゴヌクレオチドは、24~32個のヌクレオチド、より好ましくは約30個のヌクレオチドからなる。
【0033】
オリゴヌクレオチドという用語はまた、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む分子も指し、好ましくは該修飾ヌクレオチドは、(a)ヌクレオチド類似体または(b)骨格修飾を含むヌクレオチドから選択される。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、(a)ペプチド核酸、(b)イノシン、(c)トリチル化塩基、(d)ホスホロチオエート、(e)アルキルホスホロチオエート、(f)5-ニトロインドールデスオキシリボフラノシル、(g)5-メチルデオキシシトシン、および(h)5,6-ジヒドロ-5,6-ジヒドロキシデオキシチミジンからなる群から選択される、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む。さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート化ヌクレオチドを含むか、あるいはそれからなる。ホスホロチオエート化ヌクレオチドは、細胞または生物における分解に対して保護されており、したがって好ましいヌクレオチド修飾である。さらに好ましいのは、典型的に天然に見られる、化学的、酵素的、または代謝的に修飾された形態のポリヌクレオチドである。しかしながら、好ましいオリゴヌクレオチドは、専ら修飾されていないヌクレオチド、すなわちアデノシン、チミジン、グアノシン、および/またはシチジンからなる。さらに好ましいオリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合ヌクレオチドからなる。
【0034】
非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、好ましくは1つ、2つ、3つ、または4つのCpGモチーフを含む、非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドである。さらにより好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、好ましくは該パリンドローム配列は、少なくとも1つ、好ましくは1つ、2つ、3つ、または4つのCpGモチーフを含む。さらにより好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、好ましくは該パリンドローム配列は、配列GACGATCGTC(配列番号2)を含むか、または好ましくはそれからなる。さらにより好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、該パリンドローム配列は、その5’末端にポリGストレッチが隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端にポリGストレッチが隣接し、好ましくは該パリンドローム配列は、GACGATCGTC(配列番号2)である。非常に好ましいオリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、該パリンドローム配列は、その5’末端に少なくとも3~15個、好ましくは6~10個のグアノシン実体が隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端に少なくとも3~15個、好ましくは6~10個のグアノシン実体が隣接し、好ましくは該パリンドローム配列は、GACGATCGTC(配列番号2)である。
【0035】
ポリGストレッチ:ポリGストレッチという用語は、オリゴヌクレオチドのセグメントに関連し、該セグメントは、少なくとも3つの連続したグアノシン残基からなる。好ましいポリGストレッチは、3~25個、好ましくは4~20個、より好ましくは4~15個、最も好ましくは4~10個の連続したグアノシン実体からなる。さらに好ましいポリGストレッチは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の連続したグアノシン実体からなる。
【0036】
CpGモチーフ:本明細書で使用される場合、CpGモチーフという用語は、シトシン(C)-グアノシン(G)ジヌクレオチドを含む、短鎖DNA配列、好ましくは一本鎖DNA配列を指し、Cは、メチル化されておらず、好ましくは該CGジヌクレオチドは、ホスホジエステル結合である。好ましくは、CpGモチーフは、該CGジヌクレオチドの少なくとも1つ、好ましくは1つ、2つ、または3つの追加のヌクレオチド5’および/または3’を含み、さらに好ましくは該追加のヌクレオチドは、CGジヌクレオチドを含まない。
【0037】
相対ピーク開始時間:「相対ピーク開始時間」という用語は、オリゴヌクレオチドの凝集状態を示すパラメータであり、WO2007/144150に記載のように、実施例4に記載の条件を使用した分析サイズ排除HPLCによって本質的に分析したものである。
【0038】
パッケージ化された:本明細書で使用される場合、「パッケージ化された」という用語は、ウイルス様粒子に関連したオリゴヌクレオチドの状態、典型的に、かつ好ましくは凝集オリゴヌクレオチドの状態を指す。「VLP中にパッケージ化された凝集オリゴヌクレオチド」または「凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLP」という用語の使用は、同等である。本明細書で使用される場合、「パッケージ化された」という用語は、典型的に、かつ好ましくは非共有結合、好ましくはイオン相互作用、疎水性相互作用、または水素結合を指す。典型的に、かつ非常に好ましくは、本明細書で使用される場合、「パッケージ化された」という用語は、VLP内への該凝集オリゴヌクレオチドの封入を指す。典型的に、かつ好ましくは、凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLPは、該凝集オリゴヌクレオチドを、分解から、好ましくはデオキシリボヌクレアーゼ加水分解から保護する。したがって、好ましい意味では、「パッケージ化された」という用語は、パッケージ化された状態の凝集オリゴヌクレオチドがデオキシリボヌクレアーゼ加水分解には利用できないことを示す。より好ましくは、「パッケージ化」という用語は、凝集オリゴヌクレオチドがデオキシリボヌクレアーゼ加水分解には利用できないことを示し、さらに好ましくはデオキシリボヌクレアーゼは、デオキシリボヌクレアーゼIまたはベンゾナーゼである。さらにより好ましくは、「パッケージ化された」という用語は、凝集オリゴヌクレオチドがベンゾナーゼ加水分解には利用できないことを示す。
【0039】
オリゴヌクレオチドがデオキシリボヌクレアーゼ(例えば、デオキシリボヌクレアーゼIまたはベンゾナーゼ)に利用可能であるかは、好ましくはWO2003/024481A2の実施例11~17に記載のようにアッセイされる(その中の111頁を参照されたい)。好ましい意味では、ベンゾナーゼでの処理(2mMのMgClを含む緩衝液中、1mgあたり190Uのベンゾナーゼのコートタンパク質、pH7.2、20~25℃、18時間)後、該オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%を、該VLPから回収することができる場合に、VLPは、オリゴヌクレオチドがパッケージ化されているものと見なされる。そのようなアッセイが適切な対照を必要とし、VLPとオリゴヌクレオチドとの特定の組み合わせへの適合を必要とし得ることは、当業者にとって明らかである。非常に好ましい意味では、ベンゾナーゼでの処理(2mMのMgClを含む緩衝液中、1mgあたり190Uのベンゾナーゼのコートタンパク質、pH7.2、20~25℃、18時間)後、該G10の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%を、RNAバクテリオファージQβの該VLPから回収することができる場合に、オリゴヌクレオチドG10(配列番号1)は、RNAバクテリオファージQβのVLP中にパッケージ化されているものと見なされる。
【0040】
コートタンパク質:本明細書で使用される場合、「コートタンパク質」という用語は、バクテリオファージまたはRNAバクテリオファージのキャプシド集合内に組み込まれることができるRNAバクテリオファージのタンパク質(複数可)を指す。したがって、コートタンパク質という用語は、RNAバクテリオファージのキャプシドまたはRNAバクテリオファージのVLPを形成するタンパク質を指す。典型的に、かつ好ましくは、RNAバクテリオファージのコートタンパク質は、二量体構造を有する。
【0041】
組換えコートタンパク質の断片:本明細書で使用される場合、組換えコートタンパク質の断片は、それぞれ野生型コートタンパク質または野生型組換えタンパク質の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%の長さのものであるポリペプチドとして定義され、野生型コートタンパク質または野生型組換えタンパク質は、好ましくはVLPを形成する能力を保持する。好ましくは、断片は、少なくとも1つの内部欠失、少なくとも1つのトランケーション、またはそれらの少なくとも1つの組み合わせによって得られる。「組換えコートタンパク質の断片」または「コートタンパク質の断片」という用語は、それぞれ野生型コートタンパク質と少なくとも80%、好ましくは90%、さらにより好ましくは95%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをさらに包含するものとし、野生型コートタンパク質は、好ましくはウイルス様粒子へと集合することができる。「変異コートタンパク質」という用語は、それぞれ野生型組換えタンパク質またはコートタンパク質に由来するアミノ酸配列を有するポリペプチドを指し、アミノ酸配列は、野生型配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、90%、95%、97%、または99%同一であり、好ましくはVLPへと集合する能力を保持する。
【0042】
ウイルス様粒子(VLP):本明細書で使用される場合、VLPは、非複製性もしくは非感染性、好ましくは非複製性かつ非感染性のウイルス粒子を指すか、またはウイルス粒子、好ましくはウイルスのキャプシドに似た非複製性もしくは非感染性、好ましくは非複製性かつ非感染性の構造を指す。本明細書で使用される場合、「非複製性」という用語は、VLPに含まれるゲノムを複製することができないことを指す。本明細書で使用される場合、「非感染性」という用語は、宿主細胞に侵入することができないことを指す。好ましくは、本発明によるウイルス様粒子は、ウイルスゲノムまたはゲノム機能の全部または一部を欠くため、非複製性かつ/または非感染性である。一実施形態では、ウイルス様粒子は、ウイルスゲノムが、物理的または化学的に不活性化され、分解および再集合によって、またはVLPへの精製タンパク質の集合によって除去されている、ウイルス粒子である。典型的に、かつより好ましくは、ウイルス様粒子は、ウイルスゲノムの複製性および感染性構成要素の全部または一部を欠く。本発明によるウイルス様粒子は、それらのゲノムとは異なる核酸を含有し得る。本発明によるウイルス様粒子の典型的かつ好ましい実施形態は、対応するウイルス、バクテリオファージ、好ましくはRNAバクテリオファージのウイルスキャプシドなどのウイルスキャプシドである。「キャプシド」という用語は、ウイルスタンパク質サブユニットで構成される巨大分子集合を指す。典型的には、60、120、180、240、300、360、および360超のウイルスタンパク質サブユニットがある。典型的に、かつ好ましくは、これらのサブユニットの相互作用は、固有の反復組織を有するウイルスキャプシドの形成をもたらし、該構造は、典型的に、かつ好ましくは球状である。例えば、RNAバクテリオファージのキャプシドは、正二十面体対称の球状形態を有する。
【0043】
RNAバクテリオファージのウイルス様粒子:本明細書で使用される場合、「RNAバクテリオファージのウイルス様粒子」という用語は、RNAバクテリオファージのコートタンパク質、それらの変異体または断片を含むか、または好ましくは本質的にそれらからなるか、もしくはそれらからなるウイルス様粒子を指す。加えて、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子は、RNAバクテリオファージの構造に似ており、非複製性かつ/または非感染性であり、RNAバクテリオファージの複製機構をコードする少なくとも1つの遺伝子(複数可)を欠き、典型的にはウイルスの宿主への付着または侵入に関与するタンパク質(複数可)をコードする遺伝子(複数可)もまた欠く。RNAバクテリオファージに由来する好ましいVLPは、二十面体対称性を示し、180個のサブユニットからなる。本発明の文脈では、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子という用語は、好ましくはRNAバクテリオファージの組換えコートタンパク質、またはその断片もしくは変異体の自己集合によって得られる巨大分子構造に関し、好ましくは該自己集合はそれぞれ、オリゴヌクレオチドおよび凝集オリゴヌクレオチドの存在下で発生した。
【0044】
コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤:コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤は、該混合物中でのウイルス様粒子の自発的形成を予防する薬剤である。当業者は、例えば、WO2007/144150の実施例9に開示されるように、例えば、サイズ排除クロマトグラフィーによって該混合物を分析することによって、該薬剤の化学的性質および適切な濃度を実験的に決定することができる。薬剤は、該混合物を、室温、好ましくは22℃で1時間インキュベートした後、例えば、WO2007/144150の実施例9に開示されるように、サイズ排除クロマトグラフィーによってウイルス様粒子が検出できなくなる場合に、コートタンパク質の自己集合を予防することができる。しかしながら、コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤は、該コートタンパク質を不可逆的には修飾せず、該薬剤を該混合物から除去することで、ウイルス様粒子の自発的形成がもたらされる。コートタンパク質の自己集合を予防することができる好ましい薬剤は、洗剤、塩酸グアニジニウム、および尿素、最も好ましくは尿素を含む。好ましい洗剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、Tween20、TritonX100などである。典型的に、かつ好ましくは、コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤は、典型的に、かつ好ましくは該コートタンパク質のシステイン残基によって形成される分子間ジスルフィド結合を還元状態に保つ、DDTなどの還元剤をさらに含む。
【0045】
純度:(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)本発明による凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、本発明の組成物であって、該凝集オリゴヌクレオチドが、該ウイルス様粒子中にパッケージ化されている、本発明の組成物の純度は、分析サイズ排除HPLCによって決定され、該HPLCは、本質的に実施例4に開示されるような条件下、好ましくは正確にそのとおりの条件下で実行される。該組成物の純度は、同じクロマトグラムのすべてのピークの合計ピーク面積に対する、該組成物中に含有される該ウイルス様粒子のピーク面積のパーセンテージとして決定される。
【0046】
「1つの(One)」、「1つの(a/an)」:「1つの(One)」、「1つの(a)」、または「1つの(an)」という用語が本開示で使用される場合、別段明記しない限り、それらは、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0047】
約:本出願の意味の範囲内で、約という表現は、+/-4%、典型的に、かつ好ましくは+/-2%の意味を有するものとする。例えば、約100は、96~104、典型的に、かつ好ましくは98~102を意味するものとする。
【0048】
本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセスであって、(a)オリゴヌクレオチドを提供するステップであって、該オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのポリGストレッチを含む、ステップと、(b)該オリゴヌクレオチドを変性させるステップであって、該変性させるステップが、(i)該オリゴヌクレオチドおよびカオトロピック剤を含む水溶液Iを、該オリゴヌクレオチドの平均直径が1nm以下になるまで温度Iでインキュベートするステップであって、好ましくは該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、該温度Iが、75℃~99℃であり、好ましくは該カオトロピック剤が、尿素である、ステップを含む、ステップと、(c)該オリゴヌクレオチドを凝集させるステップであって、該凝集させるステップが、(i)ステップ(b)で得られた1nm以下の該平均直径を有する該オリゴヌクレオチド、カオトロピック剤、およびカチオンを含む水溶液IIを、温度IIでインキュベートして、該凝集オリゴヌクレオチドを形成するステップであって、該インキュベートすることが、該形成された凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、6~16nmになるまで実行され、好ましくは該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、該温度IIが、75℃~99℃であり、好ましくは該カオトロピック剤が、尿素である、ステップと、(ii)該溶液IIの温度を温度IIIに調整するステップであって、該温度IIIが、40℃未満、好ましくは30℃未満である、ステップと、を含む、ステップと、を含み、該ステップが、好ましくは所与の順序で実行される、プロセスを提供する。
【0049】
本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを生成するためのプロセスであって、(a)オリゴヌクレオチドを提供するステップであって、該オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのポリGストレッチを含む、ステップと、(b)該オリゴヌクレオチドを変性させるステップであって、該変性させるステップが、(i)該オリゴヌクレオチドおよびカオトロピック剤を含む水溶液Iを、該オリゴヌクレオチドの平均直径が1nm以下になるまで温度Iでインキュベートするステップであって、好ましくは該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、該温度Iが、75℃~99℃であり、好ましくは該カオトロピック剤が、尿素である、ステップを含む、ステップと、(c)該オリゴヌクレオチドを凝集させるステップであって、該凝集させるステップが、(i)ステップ(b)で得られた1nm以下の該平均直径を有する該オリゴヌクレオチド、カオトロピック剤、およびカチオンを含む水溶液IIを、温度IIでインキュベートして、該凝集オリゴヌクレオチドを形成するステップであって、該インキュベートすることが、該形成された凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、6~16nmになるまで実行され、好ましくは該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定され、該温度IIが、75℃~99℃であり、好ましくは該カオトロピック剤が、尿素である、ステップと、(ii)該溶液IIの温度を温度IIIに調整するステップであって、該温度IIIが、40℃未満、好ましくは30℃未満である、ステップと、を含む、ステップと、を含み、該ステップが、好ましくは所与の順序で実行される、プロセスをさらに提供する。
【0050】
好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドを該変性させることは、該オリゴヌクレオチドを該カオトロピック剤を含む水溶液中に可溶化して、該水溶液Iを形成するステップであって、該水溶液が、1mMよりも高い濃度の一価または二価イオンを含まず、該水溶液が、500μMよりも高い濃度、好ましくは250μMよりも高い濃度、好ましくは100μMよりも高い濃度、好ましくは50μMよりも高い濃度、好ましくは10μMよりも高い濃度の一価または二価イオンを含まない、ステップを含む。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドを該変性させることは、該オリゴヌクレオチドを該カオトロピック剤を含む水溶液に可溶化して、該水溶液Iを形成するステップであって、該水溶液が、オリゴヌクレオチドの添加後に該オリゴヌクレオチドの自己凝集を引き起こす濃度の一価または二価イオンを含まない、ステップを含む。
【0052】
さらに好ましい実施形態では、該水溶液Iは、該オリゴヌクレオチドが自己凝集するような濃度の一価または二価イオンを含まない。
【0053】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドを該変性させることは、該オリゴヌクレオチドを該カオトロピック剤を含む水溶液に可溶化して、該水溶液Iを形成するステップであって、該水溶液が、オリゴヌクレオチドの添加後に該オリゴヌクレオチドの自発的な自己凝集を引き起こす濃度の一価または二価イオンを含まない、ステップを含む。
【0054】
さらに好ましい実施形態では、該水溶液Iは、該オリゴヌクレオチドが自発的に自己凝集するような濃度の一価または二価のイオンを含まない。
【0055】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドを該変性させることは、該オリゴヌクレオチドおよび該カオトロピック剤を可溶化して、該水溶液Iを形成し、該溶液Iの温度を温度Iに調整するステップを含む。
【0056】
さらに好ましい実施形態では、該溶液I中に含まれる該カオトロピック剤は、尿素、フェノール、イソプロピルアルコール、エタノール、および塩化グアニジニウムから選択される。
【0057】
さらに好ましい実施形態では、該溶液I中に含まれる該カオトロピック剤は、尿素である。
【0058】
さらに好ましい実施形態では、該温度Iは、75℃~90℃、好ましくは80℃~90℃、さらに好ましくは83℃~87℃、再びさらに好ましくは約85℃、および最も好ましくは85℃である。
【0059】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドを該温度Iの該溶液I中で該インキュベートすることは、10~120分間、好ましくは20~60分間、さらに好ましくは20~30分間、および再びさらに好ましくは15~18分間実行される。
【0060】
さらに好ましい実施形態では、該溶液I中の該カオトロピック剤、好ましくは該尿素の該濃度は、200nM~5M、好ましくは500mM~2M、さらに好ましくは500mM~1.5M、および再びさらに好ましくは1Mである。
【0061】
さらに好ましい実施形態では、該溶液I中の該オリゴヌクレオチド、好ましくは配列番号1の該オリゴヌクレオチドの該濃度は、100μM~1mM、好ましくは100μM~750μM、さらに好ましくは200μM~600μM、および再びさらに好ましくは350μM~500μMである。
【0062】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドを該温度Iの該溶液I中で該インキュベートすることは、15分~120分間、好ましくは15分~60分間、およびさらに好ましくは15分~30分間、再びさらに好ましくは15分~25分間実行される。
【0063】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、その5’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体、およびその3’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体、好ましくは少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体、およびその3’末端に少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体、さらに好ましくは少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体、およびその3’末端に少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体を含む。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、好ましくは該パリンドローム配列は、GACGATCGTC(配列番号2)であり、さらに好ましくは該パリンドローム配列は、その5’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体が隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体が隣接し、再びさらに好ましくは該パリンドローム配列は、その5’末端に少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体が隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端に少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体が隣接し、再びさらに好ましくは該パリンドローム配列は、その5’末端に少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体が隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端に少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体が隣接している。
【0065】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、10~1000個のヌクレオチド、好ましくは10~200個のヌクレオチド、さらに好ましくは10~100個のヌクレオチド、さらにより好ましくは20~40個のヌクレオチド、およびさらにより好ましくは30個のヌクレオチドを含む。
【0066】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、
(a)G10:GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)、
(b)G10-11:GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号3)、
(c)G12-11:GGGGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号4)、
(d)G6:GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号5)、
(e)G7:GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号6)、
(f)G8:GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号7)、
(g)G9:GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号8)、
(h)G11:GGGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号9)、
(i)G6-10:GGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号24)、
(j)G7-10:GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号25)、
(k)G8-10:GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号26)、および
(l)G9-10:GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号27)からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0067】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、核酸配列G10 GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有する。
【0068】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる。
【0069】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドの純度、好ましくは配列番号1の該オリゴヌクレオチドの純度は、HPLCによって、好ましくは逆相HPLCまたはアニオン交換HPLCによって、より好ましくは逆相HPLCによって決定して、90%以上である。
【0070】
さらに好ましい実施形態では、HPLCによって、好ましくは逆相HPLCまたはアニオン交換HPLCによって、より好ましくは逆相HPLCによって決定して、該オリゴヌクレオチドの純度、好ましくは配列番号1の該オリゴヌクレオチドの純度は、92%以上、好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、再びさらに好ましくは97%以上、再びさらに好ましくは98%以上、再びさらに好ましくは99%以上である。
【0071】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、配列番号1の配列を含み、該オリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる。
【0072】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、配列番号1の配列からなる。
【0073】
さらに好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドは、配列番号1の配列からなり、該オリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、該溶液II中に含まれる該カオトロピック剤は、尿素、フェノール、イソプロピルアルコール、エタノール、および塩化グアニジニウムから選択される。
【0075】
さらに好ましい実施形態では、該溶液II中に含まれる該カオトロピック剤は、尿素である。
【0076】
したがって、さらに好ましい実施形態では、該溶液II中、すなわち凝集用該溶液中に含まれる該カオトロピック剤は、尿素である。
【0077】
さらに好ましい実施形態では、該温度IIは、75℃~90℃、好ましくは80℃~90℃、さらに好ましくは83℃~87℃、再びさらに好ましくは約85℃、および最も好ましくは85℃である。
【0078】
さらに好ましい実施形態では、該溶液II中の該カオトロピック剤、好ましくは該尿素の該濃度は、200nM~5M、好ましくは500mM~2M、さらに好ましくは500mM~1.5M、および再びさらに好ましくは1Mである。
【0079】
さらに好ましい実施形態では、該カチオンは、Na、K、NH 、Li、Ca2+、Mg2+、およびZn2+から選択される。
【0080】
該カチオンは、典型的に、かつ好ましくは無機塩によって提供され、さらに好ましくは該無機塩は、塩化物および硫酸塩から選択される。好ましくは、該カチオンとしての該Na、K、NH 、Li、Ca2+、Mg2+、Zn2+は、その塩化物塩によって提供される。あるいは、該カチオンとしての該Na、K、NH 、Li、Ca2+、Mg2+、Zn2+は、その硫酸塩によって提供される。再びさらに好ましくは、該カチオンとしての該Na、K、NH 、Li、Ca2+、Mg2+は、その塩化物塩によって提供され、該カチオンとしての該Zn2+は、好ましくはその硫酸塩として提供される。
【0081】
さらに好ましい実施形態では、該溶液II中の該カチオンの該濃度は、20mM~2M、好ましくは50mM~1M、さらに好ましくは100mM~500mM、および再びさらに好ましくは250mMである。
【0082】
さらに好ましい実施形態では、該溶液I中に含まれる該カオトロピック剤および該溶液II中に含まれる該カオトロピック剤は、同じである。
【0083】
さらに好ましい実施形態では、該溶液I中に含まれる該カオトロピック剤および該溶液II中に含まれる該カオトロピック剤の濃度は、同じである。
【0084】
さらに好ましい実施形態では、該溶液I中に含まれる該カオトロピック剤および該溶液II中に含まれる該カオトロピック剤は、尿素である。
【0085】
さらなる好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドを該凝集させることは、(i)該カオトロピック剤および該カチオンを可溶化して、水溶液IIaを形成するステップと、(ii)該水溶液IIaと、ステップ(b)で得られた1nm以下の該平均直径を有する該オリゴヌクレオチドを含む該水溶液Iとを混合して、該水溶液IIを形成するステップと、(iii)該溶液IIの温度を温度IIに調整するステップと、を含む。
【0086】
さらに好ましい実施形態では、該温度Iおよび該温度IIの温度差は、5℃以下、好ましくは4℃以下、さらに好ましくは3℃以下、再びさらに好ましくは2℃以下、再びさらに好ましくは1℃以下であり、最も好ましくは該温度Iおよび該温度IIは、等しい。
【0087】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、7~14nmになるまで実行され、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0088】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、8~14nmになるまで実行され、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0089】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、9~14nmになるまで実行され、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0090】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、10~14nmになるまで実行され、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0091】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、11~13nmになるまで実行され、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0092】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、11、12、または13nmになるまで実行され、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0093】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、12nmになるまで実行され、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0094】
本発明による動的光散乱(DLS)による平均直径の決定は、それが変性の過程における該オリゴヌクレオチドのものであろうと、それが凝集の過程における該凝集オリゴヌクレオチドのものであろうと、非常に有益であるが、これは、該決定が、プロセスの実行中に容易にもたらすことができるためである。これはさらに、それぞれオリゴヌクレオチドおよび凝集オリゴヌクレオチドの所望のサイズの非常に高い精度および非常に高い制御を確実にする。
【0095】
さらに好ましい実施形態では、該インキュベートすることは、該凝集オリゴヌクレオチドが、80~110%の相対ピーク開始時間を含むまで実行され、該相対ピーク開始時間は、標準としてRNAバクテリオファージのキャプシドを用いたサイズ排除HPLCによって決定される。
【0096】
さらに好ましい実施形態では、該プロセスは、該凝集オリゴヌクレオチドを精製するステップをさらに含み、好ましくは該精製することは、該凝集オリゴヌクレオチド、好ましくは該凝集オリゴヌクレオチドを含む該溶液IIを、50nmのフィルターを通して濾過することを含む。
【0097】
さらに好ましい実施形態では、該50nmのフィルターは、50nmのPTFEフィルターである。
【0098】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチド、好ましくは該凝集オリゴヌクレオチドを含む該溶液IIを、該50nmのフィルター、好ましくは該50nmのPTFEフィルターを通して濾過することは、0℃~20℃で実行される。
【0099】
精製、好ましくは濾過する該さらに好ましいステップは、VLPへのパッケー化ステップ前にいかなる大きな凝集体も除去することを可能にし、故に典型的には最終生成物、すなわち凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化された本発明のVLPの純度を、典型的には約5%だけさらに増加させる。したがって、純度の増加は、SEC HLPCまたはDLSによって証明されるように、典型的には最終生成物中のより高分子量の材料の低下と関連している。
【0100】
さらに好ましい実施形態では、該プロセスは、該凝集オリゴヌクレオチドを精製するステップを含まない。
【0101】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、その5’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体、およびその3’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体、好ましくは少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体、およびその3’末端に少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体、さらに好ましくは少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体、およびその3’末端に少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体を含む。
【0102】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、パリンドローム配列を含み、好ましくは該パリンドローム配列は、GACGATCGTC(配列番号2)であり、さらに好ましくは該パリンドローム配列は、その5’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体が隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端に少なくとも3かつ最大15個のグアノシン実体が隣接し、再びさらに好ましくは該パリンドローム配列は、その5’末端に少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体が隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端に少なくとも6かつ最大13個のグアノシン実体が隣接し、再びさらに好ましくは該パリンドローム配列は、その5’末端に少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体が隣接し、該パリンドローム配列は、その3’末端に少なくとも8かつ最大11個のグアノシン実体が隣接している。
【0103】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、10~1000個のヌクレオチド、好ましくは10~200個のヌクレオチド、さらに好ましくは10~100個のヌクレオチド、さらにより好ましくは20~40個のヌクレオチド、およびさらにより好ましくは30個のヌクレオチドを含む。
【0104】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、
(a)G10:GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)、
(b)G10-11:GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号3)、
(c)G12-11:GGGGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号4)、
(d)G6:GGGGGGGACGATCGTCGGGGGG(配列番号5)、
(e)G7:GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGG(配列番号6)、
(f)G8:GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGG(配列番号7)、
(g)G9:GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGG(配列番号8)、
(h)G11:GGGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGGG(配列番号9)、
(i)G6-10:GGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号24)、
(j)G7-10:GGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号25)、
(k)G8-10:GGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号26)、および
(l)G9-10:GGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号27)からなる群から選択される核酸配列を含む。
【0105】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、核酸配列GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)(G10)を有する。
【0106】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる。
【0107】
さらなる態様では、本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物であって、本発明による凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセスによって得ることができ、好ましくは該凝集オリゴヌクレオチドが、6~16nm、好ましくは7~14nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、ヌクレオチド組成物を提供する。
【0108】
好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、8~14nm、好ましくは9~14nm、さらに好ましくは10~14nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0109】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、11~13nm、好ましくは11、12、または13nm、さらに好ましくは12nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0110】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%は、10.8nm~13.2nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0111】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの該少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%は、11.4nm~12.6nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される
【0112】
該ヌクレオチド組成物のさらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%は、12nm±10%、すなわち10.8nm~13.2nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0113】
該ヌクレオチド組成物のさらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%は、12nm±5%、すなわち11.4nm~12.6nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0114】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、核酸配列G10 GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有する。
【0115】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、核酸配列G10 GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有し、該凝集オリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる。
【0116】
再びさらなる態様では、本発明は、凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物であって、該凝集オリゴヌクレオチドが、7~14nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、ヌクレオチド組成物を提供する。
【0117】
好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、8~14nm、好ましくは9~14nm、さらに好ましくは10~14nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0118】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、11~13nm、好ましくは11、12、または13nm、さらに好ましくは12nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0119】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%は、10.8nm~13.2nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される
【0120】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%は、11.4nm~12.6nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される
【0121】
該ヌクレオチド組成物のさらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%は、12nm±10%、すなわち10.8nm~13.2nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0122】
該ヌクレオチド組成物のさらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%は、12nm±5%、すなわち11.4nm~12.6nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0123】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、核酸配列G10 GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有する。
【0124】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、核酸配列G10 GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有し、該凝集オリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる。
【0125】
さらなる態様では、本発明は、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス内にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスであって、(a)混合物を生成するステップであって、該混合物が、(i)該RNAバクテリオファージのコートタンパク質と、(ii)該コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤と、(iii)凝集オリゴヌクレオチドであって、少なくとも1つのポリGストレッチを含むオリゴヌクレオチドを含み、6~16nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、ステップと、(b)該混合物から該薬剤を除去するステップと、(c)該コートタンパク質がウイルス様粒子に自己集合し、該凝集オリゴヌクレオチドをパッケージ化することを可能にするステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0126】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス内にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスであって、(a)混合物を生成するステップであって、該混合物が、(i)該RNAバクテリオファージのコートタンパク質と、(ii)該コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤と、(iii)凝集オリゴヌクレオチドであって、少なくとも1つのポリGストレッチを含むオリゴヌクレオチドを含み、本発明の第1の態様に記載のプロセスによって得ることができ、6~16nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、ステップと、(b)該混合物から該薬剤を除去するステップと、(c)該コートタンパク質がウイルス様粒子に自己集合し、該凝集オリゴヌクレオチドをパッケージ化することを可能にするステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0127】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス内にパッケージ化されている、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスであって、(a)混合物を生成するステップであって、該混合物が、(i)該RNAバクテリオファージのコートタンパク質と、(ii)該コートタンパク質の自己集合を予防することができる薬剤と、(iii)ヌクレオチド組成物であって、本発明による凝集オリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド組成物を生成するためのプロセスによって得ることができ、該ヌクレオチド組成物が、該凝集オリゴヌクレオチドを含み、該凝集オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのポリGストレッチを含むオリゴヌクレオチドを含み、6~16nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、ステップと、(b)該混合物から該薬剤を除去するステップと、(c)該コートタンパク質がウイルス様粒子に自己集合し、該凝集オリゴヌクレオチドをパッケージ化することを可能にするステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0128】
該プロセス中、該ウイルス様粒子は、該凝集オリゴヌクレオチドの存在下で該RNAバクテリオファージのコートタンパク質の自己集合によって形成される。
【0129】
好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、8~14nm、好ましくは9~14nm、さらに好ましくは10~14nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0130】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、11~13nm、好ましくは11、12、または13nm、さらに好ましくは12nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0131】
さらに好ましい実施形態では、該コートタンパク質は、自己集合することができる、RNAバクテリオファージの組換えタンパク質またはそれらの断片を含む。
【0132】
さらに好ましい実施形態では、該コートタンパク質は、自己集合することができる、RNAバクテリオファージの組換えタンパク質またはそれらの断片からなる。
【0133】
さらに好ましい実施形態では、該RNAバクテリオファージは、
(a)バクテリオファージQβ、
(b)バクテリオファージR17、
(c)バクテリオファージfr、
(d)バクテリオファージGA、
(d)バクテリオファージSP、
(e)バクテリオファージMS2、
(f)バクテリオファージM11、
(g)バクテリオファージMX1、
(h)バクテリオファージNL95、
(i)バクテリオファージf2、
(j)バクテリオファージPP7、および
(k)バクテリオファージAP205からなる群から選択される。
【0134】
さらに好ましい実施形態では、該RNAバクテリオファージは、Qβである。
【0135】
さらに好ましい実施形態では、該コートタンパク質は、
(a)配列番号10(QβCP)、
(b)配列番号10と配列番号11との混合物(QβA1タンパク質)、
(c)配列番号12(R17コートタンパク質)、
(d)配列番号13(frコートタンパク質)、
(e)配列番号14(GAコートタンパク質)、
(f)配列番号15(SPコートタンパク質)、
(g)配列番号15と配列番号16との混合物、
(h)配列番号17(MS2コートタンパク質)、
(i)配列番号18(M11コートタンパク質)、
(j)配列番号19(MXIコートタンパク質)、
(k)配列番号20(NL95コートタンパク質)、
(1)配列番号21(f2コートタンパク質)、
(m)配列番号22(PP7コートタンパク質)、および
(n)配列番号23(AP205コートタンパク質)からなる群から選択される配列を含む。
【0136】
さらに好ましい実施形態では、該コートタンパク質は、配列番号10(QβCP)の配列を含む。
【0137】
さらに好ましい実施形態では、該コートタンパク質は、配列番号10と配列番号11との混合物(QβA1タンパク質)を含む。
【0138】
さらに好ましい実施形態では、該コートタンパク質は、配列番号10(QβCP)の配列からなる。
【0139】
さらに好ましい実施形態では、該コートタンパク質は、配列番号10と配列番号11との混合物(QβA1タンパク質)からなる。
【0140】
さらに好ましい実施形態では、該混合物中の該コートタンパク質の濃度は、1~4mg/ml、好ましくは2.5mg/mlである。
【0141】
さらに好ましい実施形態では、該混合物中の該凝集オリゴヌクレオチドの濃度は、25~100μM、好ましくは62.5μMである。
【0142】
さらに好ましい実施形態では、該混合物中の該凝集オリゴヌクレオチドおよび該コートタンパク質の該モル比は、0.5~1.2、好ましくは0.7である。
【0143】
さらに好ましい実施形態では、該薬剤は、尿素および塩酸グアニジニウムから選択される変性化合物を含む。
【0144】
さらに好ましい実施形態では、該薬剤は、変性化合物を含み、該変性化合物は、尿素であり、好ましくは該混合物中の該尿素の濃度は、0.25~7.2M、好ましくは1Mである。
【0145】
さらに好ましい実施形態では、該薬剤は、還元剤をさらに含む。
【0146】
さらに好ましい実施形態では、該還元剤は、DTTであり、好ましくは該混合物中の該DTTの濃度は、1~25mM、好ましくは2.5mMである。
【0147】
さらに好ましい実施形態では、該混合物から該薬剤を該除去することは、第1の緩衝液での第1の緩衝液交換によって実行され、該第1の緩衝液は、塩化ナトリウムを含み、好ましくは該第1の緩衝液中の該塩化ナトリウムの濃度は、50~350mM、好ましくは250mMである。
【0148】
さらに好ましい実施形態では、該第1の緩衝液交換は、膜を横切って実行され、該膜は、1~50kD、好ましくは5~30kD、最も好ましくは30kDの分子量カットオフを含む。
【0149】
さらに好ましい実施形態では、該プロセスは、該ウイルス様粒子を酸化剤と接触させるステップをさらに含み、好ましくは該酸化剤は、
(a)過酸化水素であって、好ましくは該過酸化水素の濃度が、0.25~50mM、好ましくは2mMである、過酸化水素、
(b)酸素、
(c)グルタチオン、
(d)Cu2+、および
(e)Fe3+からなる群から選択される。
【0150】
さらに好ましい実施形態では、酸化剤としての該酸素は、無菌濾過空気、典型的に、かつ好ましくは無菌濾過周囲空気であり得る。
【0151】
さらに好ましい実施形態では、該プロセスは、該ウイルス様粒子を精製するステップをさらに含み、該精製することは、第2の緩衝液での第2の緩衝液交換を含み、該第2の緩衝液は、薬学的に許容される緩衝液である。
【0152】
さらに好ましい実施形態では、該第2の緩衝液交換は、膜を使用して実行され、該膜は、50~1000kDの分子量カットオフを含む。
【0153】
さらに好ましい実施形態では、該第2の緩衝液交換は、膜を使用して実行され、該膜は、100~300kDの分子量カットオフを含む。
【0154】
さらに好ましい実施形態では、該組成物の該純度は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定して、少なくとも99.5%、好ましくは少なくとも99.6%、より好ましくは少なくとも99.7%、さらにより好ましくは少なくとも99.8%、および最も好ましくは少なくとも99.9%である。
【0155】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)RNAバクテリオファージのウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物であって、該凝集オリゴヌクレオチドが、該ウイルス様粒子中にパッケージ化され、該組成物が、(i)ウイルス様粒子であって、RNAバクテリオファージのウイルス様粒子である、ウイルス様粒子と、(ii)本発明による凝集オリゴヌクレオチドと、を含む、組成物を生成するためのプロセスによって得ることができる、組成物を提供する。
【0156】
再びさらなる態様では、本発明は、(i)RNAバクテリオファージのウイルス様粒子と、(ii)凝集オリゴヌクレオチドであって、該ウイルス様粒子中にパッケージ化され、6~16、好ましくは7~14nmの平均直径を有し、該平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定される、凝集オリゴヌクレオチドと、を含む組成物を提供する。
【0157】
さらに好ましい実施形態では、該RNAバクテリオファージは、バクテリオファージQβである。
【0158】
さらに好ましい実施形態では、RNAバクテリオファージQβの該ウイルス様粒子は、配列番号10の配列を含むコートタンパク質(QβCP)からなる。
【0159】
さらに好ましい実施形態では、RNAバクテリオファージQβの該ウイルス様粒子は、配列番号10と配列番号11との混合物を含むコートタンパク質(QβA1タンパク質)からなる。
【0160】
さらに好ましい実施形態では、RNAバクテリオファージQβの該ウイルス様粒子は、配列番号10の配列からなるコートタンパク質(QβCP)からなる。
【0161】
さらに好ましい実施形態では、RNAバクテリオファージQβの該ウイルス様粒子は、配列番号10と配列番号11との混合物からなるコートタンパク質(QβA1タンパク質)からなる。
【0162】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、核酸配列G10 GGGGGGGGGG GACGATCGTC GGGGGGGGGG(配列番号1)を有する。
【0163】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、核酸配列G10 GGGGGGGGGGGACGATCGTCGGGGGGGGGG(配列番号1)を有し、該凝集オリゴヌクレオチドは、専らホスホジエステル結合デオキシヌクレオチドからなる。
【0164】
さらに好ましい実施形態では、該組成物の純度は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定して、少なくとも99.5%、好ましくは少なくとも99.6%、より好ましくは少なくとも99.7%、さらにより好ましくは少なくとも99.8%、および最も好ましくは少なくとも99.9%である。
【0165】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、6~16、好ましくは7~14nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0166】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、8~14nm、好ましくは9~14nm、さらに好ましくは10~14nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0167】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドは、11~13nm、好ましくは11、12、または13nm、さらに好ましくは12nmの平均直径を有し、該平均直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0168】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%は、10.8nm~13.2nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される
【0169】
さらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%は、11.4nm~12.6nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される
【0170】
該組成物のさらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%は、12nm±10%、すなわち10.8nm~13.2nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【0171】
該組成物のさらに好ましい実施形態では、該凝集オリゴヌクレオチドの少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%は、12nm±5%、すなわち11.4nm~12.6nmの直径を有し、該直径は、動的光散乱(DLS)によって決定される。
【実施例
【0172】
実施例は、本発明を制限することなく、本発明を例示することを意図している。以下に記載される実施例では、別段明記しない限り、すべての温度は、摂氏(℃)で示されている。試薬は、Sigma Aldrich、Boston Bioproducts、Invitrogen、Alfa Aesarなどの商業供給業者から購入し、特に明記しない限り、さらに精製することなく使用した。記載の反応で使用される水は、すべての汚染物質および塩を除去するために精製または処理されている。無機イオン性不純物の除去は、水の導電率を測定することによって確認する。この用途で使用される水は、典型的に、かつ好ましくは25℃で少なくとも18MΩ・cmの抵抗力を有する。これは、塩などの残留無機不純物が1ppb未満であることを確実にする。
【0173】
オリゴヌクレオチド、具体的には配列番号1のオリゴヌクレオチドG10の純度は、イオン対逆相高速液体クロマトグラフィー(IP-RP-HPLC)によって、またはアニオン交換-高速液体クロマトグラフィー(IEX-HPLC)によって決定した。
【0174】
IP-RP-HPLCは、4.6×75mmのWaters Xbridge BEH C18、70±2℃のカラム温度の2.5μmのカラム、0.4mL/分の流量、260nmの波長、5μLの注入量、および40分間の実行時間を使用して、もたらした。
【0175】
IEX-HPLCは、4.0×250mmのDionex DNAPac PA200、30±2℃のカラム温度のパーツ番号063000カラム、1.0mL/分の流量、260nmの波長、20μLの注入量、および45分間の実行時間を使用して、もたらした。
【0176】
IP-RP-HPL.C//G10:試料を、オリゴヌクレオチドイオン対合カラムに注入し、溶出を、TEAおよびHFIPで修飾した混合水アセトニトリル勾配を対合緩衝液として使用して実行し、260nmで検出した。得られたオリゴヌクレオチドG10ピークは、G10+1n、G10-1n、G10-2n、G10-3n、>G10+1n、および<G10-3nなどのオリゴヌクレオチドG10下位集団からなる残りのピークとは別個に統合される(それによってn=デオキシヌクレオチドである)。
【0177】
IEX-HPLC//G10:試料を、強力なアニオン交換カラムに注入し、変性条件(pH≧10)下で分析する。溶出を、混合塩およびメタノール勾配を使用して実行し、260nmで検出した。得られたオリゴヌクレオチドG10ピークは、G10+1n、G10-1n、G10-2n、G10-3n、>G10+1n、および<G10-3nなどのオリゴヌクレオチドG10下位集団からなる残りのピークとは別個に統合される(それによってn=デオキシヌクレオチドである)。
【0178】
実施例1
オリゴヌクレオチドG10(配列番号1)の変性および凝集
G10の定量化:オリゴヌクレオチドG10(配列番号1)を、340nmでの吸収によって補正した260nmでのUV吸収によって定量化し、1A260-340は、1cmの経路長での27.8μg/mlの濃度に対応する。
【0179】
変性:(10.0mlの規模、逆相HPLCおよびアニオン交換HPLC(この実施例の節では高純度G10オリゴヌクレオチドと称される)によって決定して、約94%の純度の500μMのG10、1Mの尿素、85℃、20分間):70.6mgのG10を、15mlのチューブに秤量した。粉末を、1Mの尿素(c=500μM、分光測定による希釈前に決定したバルク粉末の含有量)を含有する(18.2MΩ・cmの、25℃での抵抗力を有する)10.0mlの精製水中に溶解した。混合物を、水浴中、85℃で20分間脱凝集させた。アリコートを取得し、氷/水浴中で0℃まで直ちに冷却し、氷浴から取り出し、自然に室温まで温め、実施例3および実施例4に記載のように、DLSおよび任意のサイズ排除HPLC(SEC)測定を実行した。残りの試料を85℃に保ち、凝集ステップを実行した。
【0180】
図1Aは、本発明のプロセスで得られた変性高純度G10オリゴヌクレオチドのDLSを単一ピークとして示す。0.90nmのG10オリゴヌクレオチドの測定された平均直径は、変性が完了し、単量体が達成されたことを示す。この完全に変性したG10オリゴヌクレオチドは、以下に概説するように、本発明による所望の範囲内の良好に制御かつ定義された凝集G10オリゴヌクレオチドの形成を確実にし、それを可能にする。
【0181】
凝集(20.0mlの規模、上記のように変性させた250μMのG10、250mMのNaCl20mMのリン酸ナトリウム(pH=7.2)、1Mの尿素、85℃、8~30分間):上記で言及した85℃の10mlの変性した500μMのG10溶液を、25mlのチューブ内、85℃で、10mlの500mMのNaCl、40mMのリン酸ナトリウム、および1Mの尿素の溶液と混合した。混合物を、水浴中、85℃で15分間インキュベートした。溶液を、氷/水浴中で0℃まで冷却した。そこからアリコートを取得し、室温まで温め、DLSおよび任意のサイズ排除HPLC(SEC)測定を実行した。凝集オリゴヌクレオチド溶液は、20℃未満で保管した場合、典型的に、かつ好ましくは3時間以内に使用した。
【0182】
最終濾過ステップを利用して、最終的な微量(1%未満)の大きな粒子を除去した。これは、以前に冷却した、凝集オリゴヌクレオチドの室温の溶液を、50nmのフィルターに通すことによって実行する。
【0183】
図1Bは、本発明のプロセスで得られた、その後凝集したG10オリゴヌクレオチドのDLSを示す。得られた非常に好ましい凝集G10オリゴヌクレオチドは、適切な凝集および12nmの平均直径を示す。本発明による所望の好ましい範囲内のこれらの良好に制御かつ定義された凝集G10オリゴヌクレオチドは、以下に概説するように、非常に高純度のパッケージ化され、良好に形成されたVLPをもたらす。
【0184】
非常に好ましいオリゴヌクレオチドG10(配列番号1)の変性および凝集を、異なるオリゴヌクレオチド濃度でさらに実行し、図1Aおよび図1Bに示されるDLSと基本的に同じDLSを得た。したがって、変性は、100μm~1mMの様々な濃度のオリゴヌクレオチドG10を使用して、もたらした。次に、本明細書に記載のように、2つの溶液を1:1で混合するため、便宜上、変性に使用した濃度の正確に半分によって、その後の凝集ステップをもたらした。
【0185】
実施例2
オリゴヌクレオチドG10-11、G12-11、G6、G7、G8、G9、G11、G6-10、G7-10、G8-10、およびG9-10の変性および凝集(配列番号3~9、24~27)
変性:1Mの尿素中、500μMのオリゴヌクレオチドG10-11(配列番号3)、G12-11(配列番号4)、G6(配列番号5)、G7(配列番号6)、G8(配列番号7)、G9(配列番号8)、G11(配列番号9)、G6-10(配列番号24)、G7-10(配列番号25)、G8-10(配列番号26)、またはG9-10(配列番号27)の溶液を、85℃、水浴中で20分間脱凝集させた。
【0186】
凝集:(10.0mlの規模、250μMのG10、250mMのNa、20mMのリン酸ナトリウム、1Mの尿素、85℃、8~30分間):85℃の、5mlのオリゴヌクレオチドG10-11(配列番号3)、G12-11(配列番号4)、G6(配列番号5)、G7(配列番号6)、G8(配列番号7)、G9(配列番号8)、G11(配列番号9)、G6-10(配列番号24)、G7-10(配列番号25)、G8-10(配列番号26)、またはG9-10(配列番号27)、5mlの500mMのNa、40mMのリン酸ナトリウム、および1Mの尿素の変性溶液(85℃)を、15mlのチューブ内で混合した(250μMのオリゴ、1Mの尿素、20mMのリン酸ナトリウム、250mMのNa)。混合物を、水浴中、85℃で15分間インキュベートした。溶液を、氷/水浴中で0℃まで冷却した。そこからアリコートを取得し、室温まで温め、DLSおよび任意のサイズ排除HPLC(SEC)測定を実行した。凝集オリゴヌクレオチド溶液は、20℃未満で保管した場合、典型的に、かつ好ましくは3時間以内に使用した。
【0187】
凝集プロセスの生成物を、実施例3に記載の動的光散乱(DLS)によって、および実施例4に記載のサイズ排除HPLCによって分析した。凝集オリゴヌクレオチドのDLSは、すべての凝集オリゴヌクレオチドの平均直径が、動的光散乱(DLS)によって決定して、11~13nmであり、サイズ排除HPLCによって決定して、すべて80~110%のPST以内であることを明らかにした。
【0188】
実施例3
動的光散乱によるオリゴヌクレオチドG10の凝集の分析
本発明によるオリゴヌクレオチド、凝集オリゴヌクレオチド、および凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLPの粒子サイズを、動的光散乱(DLS)を使用して決定した。本実施例で使用され、本発明によるオリゴヌクレオチド、凝集オリゴヌクレオチド、および凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLPの粒子サイズの決定に好ましい機器設定を、以下に示す。
機器:Malvern Zetasizer Nano ZS
光源:He-Neレーザー(4nWで633nm(最大))
【0189】
表1の中央の列は、参照標準(ポリスチレン微粒子)に適用した設定、および機器が適切に機能していることを確認した較正に適用した設定を表す。右の列は、オリゴヌクレオチド、凝集オリゴヌクレオチド、および凝集オリゴヌクレオチドがパッケージ化されたVLPの我々の分析および測定に使用した方法で適用した設定を表す。
【0190】
DLSソフトウェアは平均流体力学的半径を計算し、基本的な乗算により、粒子の平均直径を決定する。2×粒子の平均半径=粒子直径。一貫性のために、粒子サイズは、以後、本発明全体を通して、ナノメートルで測定される平均直径(DHyd)として報告および使用する。
【0191】
実施例4
サイズ排除HPLCによるオリゴヌクレオチドG10の凝集の分析
凝集G10オリゴヌクレオチドの凝集状態を、本質的にWO2007/144150に記載のように、以下の条件を使用した分析サイズ排除HPLCによって分析した。
【0192】
Qβキャプシドに対するG10のピーク開始時間X%(相対ピーク開始時間Qβ)を、以下のように計算した。X%=オリゴヌクレオチドのピーク開始時間[分]を、Qβキャプシド標準の保持時間[分]で割ったもの×100%(式中、オリゴヌクレオチドのピーク開始時間は、オリゴヌクレオチドの溶出が検出可能になった時間として決定し、Qβキャプシド標準の保持時間は、標準の最大ピークの発生時間として決定した)。オリゴヌクレオチドG10および標準としてのバクテリオファージQβのキャプシドの溶出プロファイルの例は、WO2007/144150の図1に示されている。WO2007/144150の図1に示されているクロマトグラムに基づいて、凝集オリゴヌクレオチドについて、88%の相対ピーク開始時間が計算された。
【0193】
実施例5
本発明のプロセスによって得られた変性オリゴヌクレオチドG10と、先行技術のプロセスによって得られた変性オリゴヌクレオチドG10との比較
2つの異なる純度(逆相HPLCおよびアニオン交換HPLCによって決定して、79%および94%、本実施例の節では低純度および高純度のG10オリゴヌクレオチドと称される)を有する配列番号1のオリゴヌクレオチドG10を各々、先行技術(WO2007/144150)に記載の脱凝集(変性)に供した。本明細書の実施例1に記載のように、同じ高純度(94%)のオリゴヌクレオチドG10を、変性に供した。使用されるオリゴヌクレオチドG10の不純物は、ほとんどが「失敗配列」であり、これは、26量体、27量体、28量体、および29量体であろうと、より少ない数のG残基を有するオリゴヌクレオチド配列を意味する。
【0194】
得られた生成物を、実施例3に記載のようにDLSによって分析し、図2A(低純度のG10、先行技術のプロセス)および図2B(高純度のG10、先行技術のプロセス)および図2C(高純度のG10、本発明のプロセス)に示す。完全に変性したオリゴヌクレオチドG10単量体は、約1nmの流体力学的平均直径を有する。
【0195】
先行技術の変性プロセスに供した低純度のG10は、2.2nmの平均直径を有する粒子をもたらし、これは、二次構造の存在、およびすべてのオリゴヌクレオチドG10が単量体に完全に変性しているわけではないことを示す(図2A)。先行技術の変性プロセスに供した高純度のG10は、2.8nmの平均直径を有する粒子をもたらし、これは、二次構造の存在、およびすべてのオリゴヌクレオチドG10が単量体に完全に変性しているわけではないことを示す(図2B)。実施例6に考察するように、この不完全な変性は、より可変的な凝集オリゴヌクレオチド、およびさらにより大きな凝集オリゴヌクレオチドをもたらす。
【0196】
本発明のプロセスの変性に供した高純度のG10は、0.9nmの平均直径を有する粒子をもたらし、これは、オリゴヌクレオチドG10が完全にまたは実質的に完全に単量体に変性していることを示す(図2C)。示されるように、この完全に変性したG10オリゴヌクレオチドは、本発明による所望の範囲内の良好に制御かつ定義された凝集G10オリゴヌクレオチドの形成を確実にし、それを可能にする。
【0197】
凝集ステップの開始前に、完全なまたは少なくともほぼ完全な変性、および単量体をもたらす非常に好ましいオリゴヌクレオチドG10について示されるようなオリゴヌクレオチドの適切な変性は、非常に好ましく、かつ重要である。二次構造が存在する場合、オリゴヌクレオチドの二量体、三量体、または四重鎖、凝集ステップは、より可変的であり、最終的な凝集オリゴヌクレオチドは、より大きく、サイズ分布がより広いものとなる。
【0198】
実施例6
本発明のプロセスによって得られた凝集オリゴヌクレオチドG10と、先行技術のプロセスによって得られた凝集オリゴヌクレオチドG10との比較
実施例5に記載の変性実験から得られたG10材料を、先行技術(WO2007/144150)に記載のように、または本発明のプロセスによって記載のように、かつその結果として上記の実施例1に記載のように、凝集に供した。
【0199】
得られた凝集オリゴヌクレオチドを、本明細書の実施例3に記載のようにDLSによって分析し、図3A(先行技術のプロセスによって変性させた低純度のG10の先行技術の凝集)および図3B(先行技術のプロセスによって変性させた高純度のG10の先行技術の凝集)および図3C(本発明のプロセスによって変性させた高純度のG10の本発明の凝集)に示す。
【0200】
先行技術のプロセスで変性および凝集した低純度の材料は、所望の平均直径範囲の高い側にある(6~16nm)だけでなく、加えて材料の10%が、RNAバクテリオファージのVLP、好ましくはRNAバクテリオファージQβのVLPへのその後の適切なパッケージ化には大きすぎる(30~40nm)、凝集オリゴヌクレオチドをもたらした(図3A)。このより大きく広い粒子分布の結果として、最終パッケージ化VLPは、SECおよびDLSによって純度がより低くなり、電子顕微鏡写真で桿状構造が観察される(以下の実施例8を参照されたい)。該桿状構造は、典型的には濾過による精製によって分離することができないが、大規模な製造、および具体的にはGMP製造にとって非常に有害であるクロマトグラフィーによるより高価で強力な精製を必要とすることに留意されたい。
【0201】
先行技術のプロセスで変性および凝集した高純度の材料は、それらのすべてが、RNAバクテリオファージのVLP、好ましくはRNAバクテリオファージQβのVLPへのパッケージ化には大きすぎる凝集オリゴヌクレオチドをもたらし、したがって不安定なVLPをもたらす(図3B)。加えて、約100nmで、第2のピークが特定される。その後に必要とされる加熱および冷却時間が、実験室または製造規模のいずれかでは容易に制御することができるものよりも短いという事実のために、凝集時間を低下させることによる高純度の材料を使用した先行技術のプロセスの最適化が実行されなかったことは、注目に値する。本発明のプロセスは、実際に、先行技術のプロセスの該不利な点を克服することができた。
【0202】
したがって、対照的に、本発明のプロセスで変性および凝集した高純度の材料は、12nmの平均直径を有する凝集オリゴヌクレオチドをもたらし、これは、適切な凝集を示した(図3B)。本発明による所望の非常に好ましい範囲内のこの良好に制御かつ定義された凝集G10オリゴヌクレオチドは、非常に高純度で良好に形成されたパッケージ化VLPをもたらす。
【0203】
完全なまたは少なくともほぼ完全な、狭く定義された直径サイズ分布をもたらす非常に好ましいオリゴヌクレオチドG10について示されるようなオリゴヌクレオチドの適切な凝集は、さらに非常に好ましく、かつ重要である。実施例3に記載のようにDLSによって決定して、11~13nmの平均直径、好ましくは12nmの平均直径の凝集オリゴヌクレオチドをもたらす凝集を制御することにより、高純度のパッケージ化VLPの達成を確実にし、それを可能にすることができる。
【0204】
凝集オリゴヌクレオチドが大きすぎる場合、DLSに示されているように、パッケージ化ステップ後の得られた材料が、DLSで示される大きな不純物、および電子顕微鏡写真に示される桿状構造などの形成異常のVLPを有する。凝集オリゴヌクレオチドが50nm超で非常に大きい場合、不安定なVLPが結果として生じる可能性がある。
【0205】
実施例7
分解/再集合による凝集オリゴヌクレオチドG10を有するQβVLPのパッケージ化
QβVLPの分解:PBS(20mMのリン酸塩、150mMのNaCl、pH7.5)中の45mgのQβVLP(ブラッドフォード分析によって測定して2.5mg/ml)を、室温、撹拌条件下で、10mMのDTTで15分間還元した。次に、塩化マグネシウムを、0.7Mの最終濃度になるまで添加し、インキュベーションを、室温、撹拌条件下で15分間継続し、カプセル化された宿主細胞RNAの沈殿、およびそれと同時のVLPの崩壊をもたらした。溶液から沈殿したRNAを除去するために、溶液を、4℃、4000rpmで10分間遠心分離した(Eppendorf5810R、すべての以下のステップで使用した、固定角度ローターA-4-62)。放出された二量体Qβコートタンパク質を含有する上清を、クロマトグラフィー精製ステップに使用した。
【0206】
代替的かつ好ましい方法では、1MのDTTを、10mMのDTTの最終濃度になるまで添加することによって、Qベータキャプシドを、Qベータ二量体に分解した。1Mのリン酸ナトリウム、0.75Mのクエン酸を添加することによって、NaCl濃度を600mMに増加させ、pHをpH2.6に調整することによって、核酸および宿主細胞タンパク質を沈殿させた。以下の操作パラメータ(Pフィード=0.9、P残余分=0.4バール、およびP透過分=0.2バール、0.45バールのTMPをもたらす)で実行した、2×0.5mのMillipore Biomax300膜を備えたSartoflow Beta Crossflowシステムを使用したTFFによって、沈殿した核酸およびHCPを除去した。この材料を、20mMのリン酸ナトリウム、20mMのクエン酸、300mMの塩化ナトリウム、pH3.3の3つのDVに対して透析濾過した。
【0207】
カチオン交換クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーによるQβコートタンパク質の精製:二量体コートタンパク質、宿主細胞タンパク質、および残留宿主細胞RNAを含有する分解反応の上清を、SP-Sepharose FFカラム(xk16/20、6ml、Amersham Bioscience)に充填した。カラムへのコートタンパク質の適切な結合を達成するために、カラムを、20mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)で平衡化し、試料を、水で1:15に希釈して、10mS/cm未満の導電率に調整した。結合したコートタンパク質の溶出を、20mMのリン酸ナトリウム/500mMの塩化ナトリウムへの段階的勾配によって達成し、タンパク質を、約25mlの画分体積で収集した。クロマトグラフィーを、すべてのステップ中、室温、5ml/分の流量で実行し、260nmおよび280°nmで吸光度を監視した。第2のステップでは、単離したQβコートタンパク質(カチオン交換カラムからの溶出画分)を、20mMのリン酸ナトリウム/250mMの塩化ナトリウム(pH7.2)で平衡化したSephacryl S-100HRカラム(xk26/60、320ml、Amersham Bioscience)に充填した。クロマトグラフィーを、室温、2.5ml/分の流量で実行し、260nmおよび280nmで吸光度を監視した。5mlの画分を収集した。
【0208】
分析サイズ排除クロマトグラフィーによる精製Qβコートタンパク質の特性評価:精製Qβコートタンパク質の試料を、分析サイズ排除クロマトグラフィー(図4C)によって分析し、i)E.coli溶菌液から精製し、精製手順の原材料として使用した無傷のQβVLP(図4A)、およびii)分解反応の上清(図4B)と比較した。コートタンパク質からのRNA分子の効率的な分離は、図4CにおけるRNA様ピーク(A280/A260=0.5の典型的な比)の欠如、および特有のタンパク質様ピーク(A280/A260=1.7の典型的な比)の存在によって示される。
【0209】
代替的かつ好ましい方法では、Qβコートタンパク質の精製は、カチオン交換クロマトグラフィーおよびMustang Q膜によってもたらした:CEXクロマトグラフィーを、Qベータ二量体の捕捉ステップとして実行した。SP Sepharose FF樹脂を、AKTA Ready Chromatographyシステムおよび充填緩衝液としての150mMのNaClを使用して、BPG140カラムに充填した。充填したカラムの床高さは、14.0cmであり、これは、2.2Lの床体積に相当した。HETP分析は、1.55の非対称係数、および1メートルあたり2560枚のプレートの理論的なプレート計数をもたらした。分解ステップからの透析濾過液を、装填前にMillipore Opticap XL5カプセルを通して濾過した。表2に示す方法を使用して、クロマトグラフィーを実行した。
【0210】
Mustang Qカプセルを通した濾過を実行して、エンドトキシンおよびあらゆる残留核酸を低減した。で200ml/分の流量でMustang Qフィルターを通して濾過する前に、CEXプールを、0.2μmのMillipak60フィルター(カタログ番号MPGL06GH2)を使用して最初に濾過した。次に、Mustang Qフィルターから収集した通過画分を、第2の0.2μmのMillipak60フィルターに通した。
【0211】
透析濾過によるQβG10の集合:精製コートタンパク質(20mMのリン酸ナトリウム(pH7.2)、250mMのNaCl中)を、水ならびに尿素、NaCl、DTT、および凝集G10オリゴヌクレオチド(実施例1に記載のように調製)の原液と混合した。混合物の体積は、50mlであり、構成要素の最終濃度は、1mg/mlのコートタンパク質、1.0Mの尿素、250mMのNaCl、2.5mMのDTT、および0.24mg/mlのG10であった。次に、溶液を、30kDaカットオフカートリッジ(Pellicon XL、Millipore)、10mL/分の直交流量、および2.5ml/分の透過分流量を使用して、300mlの20mMのリン酸ナトリウム、250mMのNaCl(pH7.2)に対して室温で透析濾過した。Hを、7mMの最終濃度になるまで添加し、ジスルフィド結合の形成を誘導するために、溶液を室温で1時間インキュベートした。次に、集合したQβG10生成物から過剰量のHおよびパッケージ化されていないG10オリゴヌクレオチドを除去するために、溶液を、300kDaカットオフカートリッジ(Pellicon XL、Millipore)、10mL/分の直交流量、および2.5ml/分の透過分流量を使用して、500mlの20mMのリン酸ナトリウム、150mMのNaCl(pH7.2)に対して透析濾過した。
【0212】
あるいは、本発明によって得られる凝集オリゴヌクレオチドG10を有するQβVLPのパッケージ化はまた、WO2007/144150の実施例10に記載のように、もたらすこともできる。
【0213】
実施例8
本発明のプロセスによって、および先行技術のプロセスによって得られる、凝集オリゴヌクレオチドG10がパッケージ化されたQβVLPの比較-DLSおよびEM
QβVLPを、実施例1に記載のように調製した凝集G10オリゴヌクレオチドを使用するだけでなく、上記の実施例6に記載の先行技術のプロセスによって調製した凝集G10オリゴヌクレオチドをさらに使用して、上記の実施例7と同様に調製した。
【0214】
先行技術のプロセスによって変性させた低純度のG10の先行技術の凝集によって得られ、パッケージ化ステップに供したときに、10%がパッケージ化には大きすぎる広いサイズ分布を有する、図3Aに示される凝集オリゴヌクレオチドは、図5Aに示されるDLSおよび図5Bに示されるEMを有するVLPをもたらした。DLSは、適切に形成されたVLP(30nm±2nm)に対応する、28nmの平均直径の主要ピーク(96%)を明らかにしたが、追加の大きな粒子ピークもまた、観察された。対応するEMは、該平均直径を有するが、所望の30nmのVLPよりもはるかに大きい桿状構造も有する、球状VLPを示す。
【0215】
対照的に、本発明のプロセスで変性および凝集した高純度の材料は、パッケージVLPステップに供したときに、1つの平均直径のパッケージ化VLPおよび純粋に形成されたVLPをもたらした。DLSは、30nmで1つの単一ピークを示し、大きな粒子は示さず(図5C)、EMは、桿状構造を有しないすべての球状VLPを示す(図5D)。
【0216】
実施例9
様々なパラメータでもたらした本発明のプロセスの変性ステップ
実施例1に記載のオリゴヌクレオチドG10(配列番号1)の変性を、尿素の濃度、変性時間、および該変性に適用される温度を変化させることによって調査した。G10(94%の高純度)を1mMの濃度になるように水に溶解することによって、バルクオリゴヌクレオチドG10溶液を得た。尿素溶液を添加して、0.1M~1Mの尿素濃度を有する500μMのG10の最終変性溶液を得た。次に、これらの試料のアリコートを、25℃~85℃の範囲の温度で20分または60分間インキュベートした。試料を、氷/水浴中で0℃まで直ちに冷却し、氷浴から取り出し、自然に室温まで温め、実施例3に記載のDLS測定を実行した。表3は、0.2M~1.0Mの尿素濃度に関係なく、変性の成功、すなわち1nm以下の平均直径を達成することができることを示す。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
【配列表】
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