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特許7511483歯付きワークピース用の多工具面取り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】歯付きワークピース用の多工具面取り装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 19/10 20060101AFI20240628BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B23F19/10
B23C3/12 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020565842
(86)(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019033030
(87)【国際公開番号】W WO2019226503
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】62/676,474
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500094370
【氏名又は名称】ザ グリーソン ワークス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エー.ホランダー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター イー.チャピン
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジー.ムント
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-093210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 1/00-23/12;
B23C 1/00-9/00;
B24C 1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯付きワークピース面取り装置であって、前記面取り装置が、
第1の工具回転軸および第2の工具回転軸を含む面取りヘッドを備え、
前記面取りヘッドが、前記第1の工具回転軸を中心として第1の工具を回転させるように動作可能であり、それにより、第1の材料除去方法による面取りを可能にし、
前記面取りヘッドがさらに、前記第2の工具回転軸を中心として第2の工具を回転させるように動作可能であり、それにより、第2の材料除去方法による面取りを可能にし、
前記第1の工具および前記第2の工具が互いに異なり、また前記第1の材料除去方法および前記第2の材料除去方法が互いに異なり、
前記第2の工具回転軸が、枢軸を中心として角度的に移動可能であり、
前記第2の工具回転軸の前記角度的移動が、前記第2の工具回転軸を含み、かつ、前記第1の工具回転軸に対して垂直である平面での前記第2の工具回転軸の移動を含み
前記第1の工具は、前記第1の工具回転軸を中心として回転可能な切削工具であり、前記切削工具が、1つ以上の切削チップを備え、前記切削工具が前記第1の工具回転軸を中心として回転するときに、前記1つ以上の切削チップが、切削円を画定し、前記切削円が、前記平面内にある、
歯付きワークピース面取り装置。
【請求項2】
前記第1の工具回転軸および前記第2の工具回転軸が、互いに対して垂直である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記枢軸が、前記第1の工具回転軸に対して平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の工具は、前記第2の工具回転軸を中心として回転可能な切削工具であり、前記切削工具が、前記第2の工具回転軸に沿って、伸長動作位置と退縮非動作位置との間で移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の工具は、前記第1の工具回転軸を中心として回転可能な切削工具である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記切削工具が、1つ以上の割出し可能なインサートを有するフライカッタである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の工具は、前記第2の工具回転軸を中心として回転可能な切削工具である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記切削工具が、フライス工具である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記フライス工具が、ペンシルミルである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
バリ取り工具をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
回転工具が前記ワークピースの前記歯に衝突して損傷することがないよう前記ワークピースと噛み合うように、前記歯付きワークピースの正しい回転位置を決定するために操作される非接触センサまたは接触型センサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
1つ以上の追加の工具を支持することができる支持面をさらに備え、前記支持面が、退縮位置から伸長作業位置まで移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記支持面が、1つ以上のロッドおよびシリンダを備えるシステムを介して、前記退縮位置から前記伸長作業位置まで移動される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記面取りヘッドが、3つの相互に垂直な方向に線形的に移動可能であり、枢軸を中心に枢動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
請求項1に記載の前記面取り装置を備える、歯車ホブ盤。
【請求項16】
歯付きワークピースの歯縁および歯根縁のうちの少なくとも一方を面取りする方法であって、
歯付きワークピース面取り装置であって、請求項1に記載の歯付きワークピース面取り装置を提供することと、
前記第1の工具および前記第2の工具のうちの一方で、歯付きワークピースの歯縁および歯根縁の少なくとも一方を面取りすることと、を含む、方法。
【請求項17】
歯付きワークピースの歯縁および歯根縁のうちの少なくとも一方を、前記第1の工具および前記第2の工具の他方で面取りすることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車、スプライン、およびシャフトなどの歯付きワークピースの面取りを対象とする。具体的には、本発明は、歯付きワークピース用の多軸および多工具面取り装置を含む。
【背景技術】
【0002】
歯車(例えば、スプール歯車、はすば歯車、およびかさ歯車、歯付き部分および/または要素を備えるシャフト、ならびにスプライン)などの歯付きワークピースの製造においては、鋭利な角または縁が、歯フランクまたは歯スロットの交点で、ワークピースの端面に形成されるのが一般的である。ほとんどの場合、面取りとして知られるプロセスを介して歯の角部分または縁部分を除去することが望ましい。
【0003】
歯縁の面取りは、フライカッタ、ペンシルミルを含むフライス工具、ホブ、輪郭カッタ、砥石ホイール、周辺カッタ、US7,103,973に開示されている面取り切削型工具、スカイビングカッタ、US6,676,337に開示されている回転バリ取りホイールなどを含むが、これに限定されない、様々な工具で実行され得る。当業者には明らかなように、特定の工具は、とりわけ、ワークピースの形状、製造プロセスパラメータ、機械的制約、生産性要件、および個人の選好に依存する。
【0004】
US8,769,820から、1つ以上の軸に沿って移動可能な装置を提供し、そこで、面取り工具を180°旋回させて、歯スロットの両端で面取り工具の切削方向を逆にすることができることが知られている。工具の駆動の回転方向は、両方の旋回位置で同じままであるが、工具の切削方向は互いに反対であるため、両方の加工位置において、ワークピースの両端面で、歯を内側から外側に向かって切削することができる。
【0005】
US2014/0294530は、3つの垂直な線形軸に沿って線形運動することができ、枢軸を中心に旋回することができる面取り装置を教示している。この装置は、2つの異なる側面でワークピースを面取りするために、同じ工具スピンドル上に配置された2つの面取りカッタを含む。
【0006】
US2017/0173713は、工具軸が互いに向かって傾斜し、各軸が2つの異なる角度で角度調整可能である一対のスカイビング工具を備える多軸位置決め可能な面取り装置を開示している。
【0007】
ただし、特定のワークピースでは、単一のタイプの面取り工具では不十分な場合がある。一部のワークピース(例えば、シャフト)は、その上に複数の歯車が配置されていることもあり、それらの歯車は、異なるサイズおよび/または歯形状を有する。特定の歯車の根部分の縁は、歯形の縁に使用されるのと同じ工具で面取りするのが困難である場合がある。ある歯車の面取りに好適な面取り工具は、同じシャフト上の別の歯車の面取りには好適ではない場合がある。
【0008】
多種多様なワークピースタイプ、サイズ、および形状を考慮して、面取り能力を強化するために、より高い柔軟性を有する面取り装置が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、第1および第2の面取り工具が異なるタイプである、第1の面取り工具の回転のための第1の回転軸、および第2の面取り工具の回転のための第2の回転軸を含む、面取りヘッドを有する歯付きワークピース面取り装置を含む。面取りヘッドは、第1の回転軸を中心に第1の面取り工具を回転させるように動作可能であり、それにより、第1の材料除去方法による面取りを可能にする。面取りヘッドはさらに、第2の面取り工具を、第2の回転軸を中心に回転させるように動作可能であり、それにより、第2の材料除去方法による面取りを可能し、第1の材料除去方法と第2の材料除去方法は互いに異なる。好ましくは、第1および第2の回転軸は互いに一致せず、より好ましい配置では、第1の工具軸および第2の工具軸は、互いに対して垂直に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】面取りヘッドの側面の斜視図である。
図2図1の面取りヘッドの正面の斜視図である。
図3図1の面取りヘッドの正面立面図を示す。
図4】1つの工具を伸ばして斜めに向けた、面取りヘッドの側面の斜視図を示す。
図5】1つの工具を伸ばして斜めに向けた、図4の面取りヘッドの正面の斜視図を示す。
図6】1つの工具を伸ばして斜めに向けた、図4の面取りヘッドの正面立面図を示す。
図7】歯付きワークピースに面取り加工する面取りヘッドの工具を示す。
図8図7の面取りの拡大図である。
図9】本発明による面取りヘッドを含む面取り装置の斜視図である。
図10】伸長位置における、追加の工具のための伸長/退縮手段を備える面取りヘッドの側面の斜視図である。
図11】退縮位置における、追加の工具のための伸長/退縮手段を備える面取りヘッドの側面の斜視図である。
図12】伸長位置における、追加の工具のための伸長/退縮手段を備える面取りヘッドの正面の斜視図である。
図13】歯車ホブ盤と組み合わせて配置された本発明の面取り装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される「発明(invention)」、「本発明(the invention)」、および「本発明(the present invention)」という用語は、本明細書の主題のすべて、および以下の任意の特許請求の範囲を広く指すことを意図するものである。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載された主題を限定するもの、または以下のいかなる特許請求項の意味もしくは範囲を限定するものと理解されるべきではない。さらに、本明細書は、本出願のいかなる特定部分、段落、記述、または図面においても、あらゆる請求項によってカバーされる主題を説明または限定しようと努めるものではない。本主題は、本明細書全体、すべての図面、および以下のあらゆる請求項を参照することによって理解されるべきである。本発明は、他の構成が可能であり、様々な方法で実施され、または実行されることが可能である。また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定的であると見なされるべきではないことが理解される。
【0012】
ここで、本発明の詳細を、単に例として、本発明を例証する添付図面を参照して考察する。図面において、類似の特徴または構成要素は、同様の参照番号によって言及される。本発明をより良く理解し、かつ見やすくするため、ドアおよび/または任意の内部もしくは外部の防護物は図面から省略されている。
【0013】
本明細書での「含む」、「有する」、および「備える」、ならびにこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびに追加の項目をも包含することを意味する。「a」および「an」という単語は、1つだけに限定するという明確な意図が具体的に記載されていない限り、「1つ以上」を意味すると理解される。以下に、図面を説明する際、上部、下部、上方、下方、後方、底部、頂部、前、後などの方向に言及する場合があるが、これらは、便宜上、図面に対して(通常、見られるように)言及される。これらの方向は、文字通りに解釈されること、またはいかなる形態でも本発明を限定することを意図しない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明の目的で本明細書に使用されており、重要性または意義を示すまたは暗示することを意図するものではない。
【0014】
本発明は、第1の工具回転軸および第2の工具回転軸を含む面取りヘッドを有する歯付きワークピース面取り装置を含む。面取りヘッドは、第1の回転軸を中心に第1の面取り工具を回転させるように動作可能であり、それにより、第1の材料除去方法による歯付きワークピースの面取りを可能にする。面取りヘッドはさらに、第2の回転軸を中心に第2の面取り工具を回転させるように動作可能であり、それにより、第2の材料除去方法による歯付きワークピースの面取りを可能にする。第1の面取り工具および第2の面取り工具は、互いに異なり、第1の材料除去方法および第2の材料除去方法もまた、互いに異なる。
【0015】
図1図3は、図9に示すような面取り装置の一部である本発明の面取りヘッド2を示している。面取りヘッド2は、回転のための少なくとも2つの工具、好ましくは、異なる材料除去方法を可能にする異なるタイプの工具など、互いに異なる工具を支持することができる本体部分4を含む。第1の工具6、好ましくは、1つ以上の割出し可能なインサート15を備えるフライカッタなどの切削工具は、サーボモータなどのモータ7を介して、第1の工具軸Bを中心とする回転のために、好適な工具保持装備(図示せず)を介して、本体4に解放可能に取り付けられている。
【0016】
第2の工具8、好ましくはフライス工具、例えば、ペンシルミルなどの切削工具は、第2の工具軸Tを中心に回転するために、チャック9などの好適な工具保持装備を介して、モータ10に解放可能に取り付けられ、モータ10は、好ましくは、電気モータ、例えば、ブラシレスモータである。モータ10は、好ましくは、モータクランプ12およびブラケット14を介して本体部分4に取り付けられる。動作中、面取り工具6、8の一方または両方は、特定のワークピースを面取りするために利用され得る。工具6および8は、それぞれの回転軸を中心にいずれかの方向に回転可能である。
【0017】
工具8は、好ましくは、軸Cを中心に枢動することができる。したがって、軸Cを中心とした工具8の角度方向に関係なく、工具軸Tは平面P内に留まることが分かる(図3)。図1に見られるように、工具8の所望の枢動角度は、軸Cを中心としてモータ10を角度的に動かすことによって設定することができる。そうするために、ブラケット14で弧状チャネル18を通って延在し、モータクランプ12と係合するねじ16は緩められ、ピン11を中心とするモータ10の枢動中に、所望の枢動角度(例えば、図4の角度αを参照)に達するまで、ねじはチャネル18に沿って移動することができ、その時点で、ねじ16は締められ、工具8の角度位置が設定される。任意選択で、球形のヘッド位置決めねじをモータクランプ12に装着して、最終的な枢動角度に対して微調整を行うことを可能にし、その手動作動のための反復可能なハードストップを提供することができる。モータ10の枢動は手動で実行することができるが、工具8の枢動および設定は、代替的に、電動化および/またはコンピュータ制御することができる。
【0018】
好ましくは、第1の工具軸Bおよび第2の工具軸Tは互いに一致せず、より好ましくは、互いに対して垂直である。したがって、好ましくは、平面Pは工具軸Bに対して垂直である。さらに、図3に示されるように、フライカッタ6の先端20によって画定される切削円も平面P内にあることが好ましい。
【0019】
本体部分4は、油圧または空気圧作動シリンダなどのシリンダ52、54をさらに含むことができ、これについては、図10図12を参照して以下でさらに考察する。
【0020】
工具8は、好ましくは、図4図6に示されるように、退縮位置(図1)から伸長動作位置まで工具軸Tの方向に移動可能である。工具8の移動は、モータクランプ12のねじ13を緩め、工具8に対する意図された動作位置に到達するまでモータ10を線形的に動かし、次いで、ねじ13を締めることによって実行され得る。モータ10および工具8の線形運動はまた、例えば、油圧、空気圧、または電子的手段によってもたらされ得る。代替的に、モータ10および工具8のクランプ解除、移動、およびクランプ留めは、自動化され、コンピュータ制御を介して実行され得る。工具8の伸長量は、固定停止機構によって制限され得るか、または任意の所望の量に調整可能もしくはプログラム可能であり得る。
【0021】
上述されるように、図4図6は、ペンシルフライス工具として示されている工具8の伸長および枢動位置を示している。例えば、図4図6では、枢動角度αは、図1の軸Tの位置を表す基準線に対して30°である。枢動角度は、例えば、A軸に対して、または他の任意の軸もしくは基準位置に対して定義することもできる。枢動角度は、特定のワークピースに対して固定することができ、またはシャフト上の異なる歯車など、ワークピースごとに調整することができる。工具8の角度設定は、コンピュータ制御され得、ワークピースのフライス加工中に角度位置を変更し、他の面取り装置の動き(例えば、軸X、Y、Z、Aおよび/もしくはBに沿った、または軸を中心とする動き)との角度位置を調整する能力を含み得ることも企図される。
【0022】
図7および図8は、シャフト28上に配置されたスプール歯車26の歯フランク面27と端面29との交点に形成された歯縁24を示す例示的な図である。ペンシルミル8は、歯縁に沿って移動し、スプール歯車26の歯縁24および根部分25に沿って面取り22を形成する。ペンシルミル8が示されているが、任意の好適なタイプおよびサイズのフライス工具を利用することができる。
【0023】
図9は、面取りヘッド2がその一部を形成する面取り装置30の好ましい実施形態を示している。面取り装置30は、ベース32、テーブル34、およびカラム36をさらに含む。テーブル34は、ガイドレール38およびサーボモータ40を介してX方向に移動可能である。カラム36はテーブル34上に位置付けられ、ガイドレール42およびサーボモータ43を介してY方向に移動可能である(図13)。
【0024】
カラム36は、ガイドレール46およびサーボモータ48を介してZ方向に移動可能なスライド44を含む。回転プレートまたは旋回プレート50は、サーボモータ(図示せず)によって軸Aを中心に方向Sに旋回するためにテーブル44上に配置されている。本体部分4は、旋回プレート50上に位置付けられている。したがって、本体部分4、したがって工具6および8は、A軸を中心にして旋回することにより、X、Y、および/またはZ方向に線形的に、ならびに方向Sに角度的に位置付けることができることが分かる。
【0025】
テーブル34の方向Xでの、カラム36の方向Yでの、スライド44の方向Zでの動き、軸Aを中心とする旋回プレート50の角運動S、ならびに軸Bを中心とする工具6の回転は、別個のそれぞれの駆動モータによって与えられる(7、40、43、および48が示される)。上述の構成要素は、互いに対して独立して動くことができ、または互いに同時に動くことができる。駆動モータの各々は、好ましくは、面取り装置30に対して専用化された専用コンピュータ制御(すなわち、CNC)または、歯車ホブ盤などの、関連付けられた機械工具のコンピュータ制御(例えば、Siemens840DシリーズまたはFanuc30iBシリーズ、図示されない)であり得るコンピュータ制御装置への命令インプットに従って、駆動モータの動作を管理するCNCシステムの一部としての線形または回転エンコーダなどのフィードバック装置に関連付けられている。
【0026】
面取りヘッド2は、軸X、Y、Zおよび/もしくはAの1つ以上に沿って、またはそれを中心として移動可能であり、面取り工具6および8は、A軸を中心にS方向に(例えば、180°)旋回することができる。そうすることにより、ワークピースの2つの端面に工具がアクセスすることができ、面取り工具6の切削方向を歯スロットの両端で逆にすることができる。工具6の駆動回転方向は両方の旋回位置で同じままであるが、工具の切削方向は互いに反対であるため、歯は、両方の加工位置で、ワークピースの2つの端面上で、内側から外側に、または外側から内側に切削することができる。
【0027】
図10図12は、本体部分4が、それぞれのシリンダロッド56、58、および1つ以上の追加の工具が配置可能な、プレートなどの、支持面60に沿って、油圧または空気圧シリンダなどの1つ以上の作動シリンダ52、54を備える組立体をさらに含む、本発明の別の実施形態を図示する。バリ取り工具62、好ましくは円盤状のバリ取り工具、および非接触型センサ64が示され、それらはプレート60に取り外し可能に取り付けられている。シリンダ52、54、およびロッド56、58は、歯車などのワークピースに隣接するであろう退縮位置(図11)と、伸長作業位置(図10および図12)との間でのバリ取り工具62およびセンサ64の移動を可能にする。
【0028】
バリ取り工具62は、ホブ切りなどの前の切削プロセスから生じる、または、例えば、工具6などによるバリ取りプロセスから生じることがある、ワークピースの歯縁上のバリを除去するように機能し得る。非接触センサ64は、歯付きワークピースの正しい回転位置を決定するために利用され、それにより、工具6などの回転工具は、ワークピースの歯と衝突して損傷しないように、メッシュ方式でワークピースに係合することができる。このようなプロセスは、職人には「センタリング」、「割出し」、または「主軸台分割」として知られている。代替的に、非接触センサ64の代わりに、接触型センサ(例えば、接触または触覚プローブ)を利用することもできる。
【0029】
2つのシリンダおよびロッドが示されているが、本発明はそれに限定されない。単一のシリンダおよびロッドを利用して、その上に1つ以上の工具が位置付けられたプレートなどの支持面を前進および退縮させることができる。代替的に、線形作動の他の手段も利用することができる。さらに、バリ取り工具および非接触センサのうちの1つのみをプレート60に含めることもできる。他の工具(例えば、カメラ、RFIDチップリーダ、バーコードリーダ、光学スキャナなど)がプレート60に含まれていてもよい。
【0030】
面取り装置30は、歯車ホブ盤などの別の機械に含まれていてもよく、または歯車ホブ盤などの別の機械に取り付けられていてもよい。面取り装置30はまた、独立型装置であり得る。ワークピースは、当業者によって理解されるように、ロボット、ガントリローダ、リングローダ、カルーセルローダなどの既知の移送機構を介して面取り装置30との間で移送され得る。
【0031】
図13は、ホブ盤に取り付けられた支持テーブル72を介して、歯車ホブ盤70に隣接して位置付けられた面取り装置30の例を示している。ホブ切り後、ワークピースは、上述されるように、移送機構76によってスピンドル74まで移送される。ワークピースは、軸Wを中心に回転するための好適なワーク保持装置(図示せず)によってスピンドル74に保持される。面取り装置30は、ワークピースを工具6、8(図1)の一方もしくは両方、ならびに/または、バリ取り工具バリ取り工具62およびセンサ64などのプレート60(図10)上に配置された1つ以上の工具に係合するようにX方向に動かされる。
【0032】
本発明は、一般にスプール歯車およびはすば歯車を製造する歯車ホブ盤に関連して考察されてきたが、本発明はそれに限定されない。本発明の面取り装置は、ベベルおよびハイポイド歯車切削機械、歯車ガッシング機械、歯車成形機械、パワースカイビング機械などと組み合わせて、およびそれらによって製造される歯車に利用することができる。
【0033】
工具8は、枢動可能で線形調整可能であると考察されてきたが、本発明はそれに限定されない。工具8は、本体部分4に対して固定された位置に装着されてもよく、または枢動および線形調整可能性のうちの1つだけが提供されてもよい。
【0034】
本発明は、好ましい実施形態を参照しながら説明されてきたが、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲を逸脱することなく、本主題が属する、当業者にとっては明らかであると思われる変更を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13