(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】IRAK4阻害薬としてのイソチアゾロ[5,4-d]ピリミジン化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 513/04 20060101AFI20240628BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20240628BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240628BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C07D513/04 301
C07D513/04 CSP
A61K31/5377
A61K31/551
C07D519/00 301
A61K31/519
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2020572821
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2019092867
(87)【国際公開番号】W WO2020001449
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】201810662580.9
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910463156.6
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャング,ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ワング,ジアンフェー
(72)【発明者】
【氏名】タン,ハイズホング
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジーアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャッヒー
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531870(JP,A)
【文献】国際公開第2017/205762(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/205766(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/004133(WO,A1)
【文献】特表2015-528801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II);
【化1】
の化合物であって、
[式中、
R
1はCN、C
1-6アルキル基、及び3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基及び3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
aにより置換され、
R
2はC
1-6アルキル基、及び3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基及び3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、
R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、C
1-6アルキル基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=O)-C
1-6アルキル基、C
3-6シクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=O)-C
1-6アルキル基、及びC
3-6シクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
cにより置換され、
環Aは3~10員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
dにより置換され、
L
1はO、及びN(R
4)から選ばれ、
L
2は単結合、CH
2、及びCH
2CH
2から選ばれ、
R
4はH、及びMeから選ばれ、
R
aはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、及びCOOHから選ばれ、
R
bはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、COOH、及びMeから選ばれ、
R
cはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、及びCNから選ばれ、
R
dはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、及びCNから選ばれ、
前記3~6員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、及びNから独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含み、
前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、N、及び-C(=O)NH-から独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含んで表す]式(II)の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式(III);
【化2】
の化合物であって、
[式中、
R
1はCN、C
1-6アルキル基、及び3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基及び3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
aにより置換され、
R
2はC
1-6アルキル基、C
3-8シクロアルキル基、及び3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基、C
3-8シクロアルキル基及び3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、
R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、COOH、C
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノ基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=O)-C
1-6アルキル基、及びC
3-6シクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノ基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=O)-C
1-6アルキル基、及びC
3-6シクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
cにより置換され、
環Aは3~10員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
dにより置換され、
L
1はO、及びN(R
4)から選ばれ、
L
2は単結合、CH
2、及びCH
2CH
2から選ばれ、
R
4はH、及びMeから選ばれ、
R
aはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、及びCOOHから選ばれ、
R
bはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、COOH、及びMeから選ばれ、
R
cはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、及びCNから選ばれ、
R
dはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、及びCNから選ばれ、
前記3~6員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、及びNから独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含み、
前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、N、及び-C(=O)NH-から独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含んで表す]式(III)の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
1はC
1-3アルキル基、及びテトラヒドロピラニル基から選ばれ、ただし、前記C
1-3アルキル基、及びテトラヒドロピラニル基は所望により1、2又は3個のR
aにより置換される、請求項2に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
1はMe、Et、
【化3】
から選ばれ、ただし、前記Me、Et、
【化4】
は所望により1、2又は3個のR
aにより置換される、請求項3に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
1はMe、Et、
【化5】
から選ばれる、請求項4に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
2はC
1-3アルキル基、C
4-6シクロアルキル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、及び1,4-ジオキサニル基から選ばれ、ただし、前記C
1-3アルキル基、C
4-6シクロアルキル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、及び1,4-ジオキサニル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換される、請求項2に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項7】
R
2はMe、Et、
【化6】
及びシクロヘキシル基から選ばれ、ただし、前記Me、Et、
【化7】
及びシクロヘキシル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換される、請求項6に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項8】
R
2はMe、-CH
2OH、Et、
【化8】
から選ばれる、請求項7に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項9】
構造単位
【化9】
から選ばれる、請求項2又は8に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、COOH、C
1-3アルキル基、-N(C
1-3アルキル基)
2、-C(=O)-O-C
1-3アルキル基、-C(=O)-C
1-3アルキル基、及びC
3-6シクロアルキル基から選ばれ、前記C
1-3アルキル基、-N(C
1-3アルキル基)
2、-C(=O)-O-C
1-3アルキル基、-C(=O)-C
1-3アルキル基、及びC
3-6シクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
cにより置換される、請求項2に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、COOH、Me、Et、
【化10】
-C(=O)-O-Me、-C(=O)-O-Et、及び-C(=O)-Meから選ばれる、請求項10に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項12】
環Aはモルホリニル基、ピペラジニル基、3-モルホリノニル基、2-ピペラジノニル基、ホモピペラジニル基、4,7-ジアザスピロ[2,5]オクチル基、3,6ジアザビシクロ[3,1,1]ヘプチル基、2-アザシクロヘキサノニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、及びアゼチジニル基から選ばれ、前記モルホリニル基、ピペラジニル基、3-モルホリノニル基、2-ピペラジノニル基、ホモピペラジニル基、4,7-ジアザスピロ[2,5]オクチル基、3,6ジアザビシクロ[3,1,1]ヘプチル基、2-アザシクロヘキサノニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、及びアゼチジニル基は所望により1、2又は3個のR
dにより置換される、請求項2に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項13】
環Aは
【化11】
から選ばれる、請求項12に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項14】
構造単位
【化12】
から選ばれる、請求項13に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項15】
【化13】
から選ばれ、
R
1、R
2、R
3、L
1、L
2は請求項1~11のいずれか1項の定義に準拠する、請求項2に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項16】
【化14】
から選ばれる、化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項17】
【化15】
から選ばれる、請求項16に記載の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩。
【請求項18】
有効成分として治療有効量の請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物、その
立体異性体又は薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項19】
IRAK4阻害薬の製造における請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物、その
立体異性体又は薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
IRAK4阻害薬の製造における請求項18に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年6月25日に中国国家知識産権局に提出された中国発明特許出願第201810662580.9号、及び2019年5月30日に中国国家知識産権局に提出された中国発明特許出願第201910463156.6号の優先権を主張し、当該2件の特許の全体内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はIRAK4阻害薬、及びIRAK4関連疾患を治療する薬物におけるその用途に関し、具体的には、式(I)の化合物及び薬学的に許容されるその塩に関する。
【背景技術】
【0003】
インターロイキン1受容体キナーゼ4(IRAK4)はチロシンキナーゼ(TLK)ファミリーのメンバーで、セリン/トレオニンに特異的なプロテインキナーゼであり、インターロイキン-1、18、33受容体及びトル様受容体が関与する先天性免疫応答で重要なノードである。細胞外のシグナル分子がインターロイキン受容体又はトル様受容体と結合した後、MyD88:IRAK4:IRAK1/2ポリタンパク質複合体の形成を動員し、IRAK1/2はリン酸化されて、一連の下流のシグナル伝達を媒介することで、p38、JNK、NF-kBシグナル経路を活性化し、最終的に炎症誘発性サイトカインが発現される。臨床病理学的研究では、IRAK4変異を含む個体に慢性肺疾患、炎症性腸疾患への耐性が確認される。IRAK4変異自体が非致命的であり、個体は成年までは延命し、しかも年齢の増加に伴って感染のリスクが低くなる。したがって、IRAK4は重要な治療標的として、研究者から多くの注目が集まる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、式(III)の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩を提供し、
【化1】
式中、
R
1はCN、C
1-6アルキル基、3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基又は3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
aにより置換され、
R
2はC
1-6アルキル基、C
3-8シクロアルキル基、3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基、C
3-8シクロアルキル基又は3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、
R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、COOH、C
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノ基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=O)-C
1-6アルキル基、C
3-6シクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基、C
1-6アルキルアミノ基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=
O)-C
1-6アルキル基、C
3-6シクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
cにより置換され、
環Aは3~10員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、且つ環Aは少なくとも1つの窒素原子を有し、前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
dにより置換され、
L
1はO、N(R
4)から選ばれ、
L
2は単結合、CH
2、CH
2CH
2から選ばれ、
R
4はH、Meから選ばれ、
R
aはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、COOHから選ばれ、
R
bはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、COOH、Meから選ばれ、
R
cはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CNから選ばれ、
R
dはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CNから選ばれ、
前記3~6員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、Nから独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含み、
前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、N、-C(=O)NH-から独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含む。
【0005】
本発明は、式(II)の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩を提供し、
【化2】
式中、
R
1はC
1-6アルキル基、3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基又は3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
aにより置換され、
R
2はC
1-6アルキル基、3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基又は3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、
R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、C
1-6アルキル基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=O)-C
1-6アルキル基、C
3-6シクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基、-C(=O)-O-C
1-6アルキル基、-C(=O)-C
1-6アルキル基、C
3-6シクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
cにより置換され、
環Aは3~10員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、且つ環Aは少なくとも1つの窒素原子を有し、前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
dにより置換され、
L
1はO、N(R
4)から選ばれ、
L
2は単結合、CH
2、CH
2CH
2から選ばれ、
R
4はH、Meから選ばれ、
R
aはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、COOHから選ばれ、
R
bはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、COOH、Meか
ら選ばれ、
R
cはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CNから選ばれ、
R
dはそれぞれ独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CNから選ばれ、
前記3~6員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、Nから独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含み、
前記3~10員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、N、-C(=O)NH-から独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含む。
【0006】
本発明は、さらに、式(I)の化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩を提供し、
【化3】
式中、
R
1はC
1-6アルキル基、3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基又は3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
aにより置換され、
R
2はC
1-6アルキル基、3~6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C
1-6アルキル基又は3~6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、
R
aはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2から選ばれ、
R
bはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2から選ばれ、
L
1はO、S、NHから選ばれ、
L
2は単結合、CH
2、CH
2CH
2から選ばれ、
前記3~6員のヘテロシクロアルキル基は-O-、-S-、-NH-、Nから独立して選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子及びヘテロ原子団を含む。
【0007】
本発明の特定の実施形態では、前記L1はO、N(R4)から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0008】
R1はCN、C1-6アルキル基、3員のヘテロシクロアルキル基、4員のヘテロシクロアルキル基、5員のヘテロシクロアルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C1-6アルキル基、3員のヘテロシクロアルキル基、4員のヘテロシクロアルキル基、5員のヘテロシクロアルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRaにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0009】
本発明の特定の実施形態では、前記R1はC1-3アルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、前記C1-3アルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRaにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0010】
本発明の特定の実施形態では、前記R1はC1-3アルキル基、テトラヒドロピラニル基から選ばれ、ただし、前記C1-3アルキル基、テトラヒドロピラニル基は所望により
1、2又は3個のRaにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。本発明の特定の実施形態では、前記R1はC1-3アルキル基、テトラヒドロピラニル基から選ばれ、ただし、前記C1-3アルキル基、テトラヒドロピラニル基は所望により1、2又は3個のRaにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0011】
本発明の特定の実施形態では、前記R1はメチル基、エチル基、イソプロピル基、テトラヒドロピラニル基から選ばれ、ただし、前記メチル基、エチル基、イソプロピル基、テトラヒドロピラニル基は所望により1、2又は3個のRaにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0012】
本発明の特定の実施形態では、前記R
1はMe、Et、
【化4】
から選ばれ、ただし、前記Me、Et、
【化5】
は所望により1、2又は3個のR
aにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0013】
本発明の特定の実施形態では、前記R
1はMe、Et、
【化6】
から選ばれ、ただし、前記Me、Et、
【化7】
は所望により1、2又は3個のR
aにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0014】
本発明の特定の実施形態では、前記Raはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH2、CN、COOHから選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0015】
本発明の特定の実施形態では、前記Raはそれぞれ独立して、OH、CN、COOHから選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0016】
本発明の特定の実施形態では、前記R
1はMe、Et、
【化8】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。本発明の特定の実施形態では、前記R
1はMe、Et、
【化9】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0017】
本発明の特定の実施形態では、前記R2はC1-3アルキル基、C4-6シクロアルキル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、1,4-ジオキサニル基から選ばれ、ただし、前記C1-3アルキル基、C4-6シクロアルキル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、1,4-ジオキサニル基は所望により1、2又は3個のRbにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0018】
本発明の特定の実施形態では、前記R2はC1-6アルキル基、3員のヘテロシクロアルキル基、4員のヘテロシクロアルキル基、5員のヘテロシクロアルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、C1-6アルキル基、3員のヘテロシクロアルキル基、4員のヘテロシクロアルキル基、5員のヘテロシクロアルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRbにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0019】
本発明の特定の実施形態では、前記R2はC1-3アルキル基、4員のヘテロシクロアルキル基、5員のヘテロシクロアルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、C1-3アルキル基、4員のヘテロシクロアルキル基、5員のヘテロシクロアルキル基、6員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRbにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。本発明の特定の実施形態では、前記R2はC1-3アルキル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、1,4-ジオキサニル基から選ばれ、ただし、前記C1-3アルキル基、テトラヒドロピラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、1,4-ジオキサニル基は所望により1、2又は3個のRbにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、前記R
2はC
1-3アルキル基、テトラヒドロ-2H-ピラニル基から選ばれ、ただし、前記C
1-3アルキル基、テトラヒドロピラニル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。本発明の特定の実施形態では、前記R
2は
Me、Et、
【化10】
シクロヘキシル基から選ばれ、ただし、前記Me、Et、
【化11】
シクロヘキシル基は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、前記R
2はMe、Et、
【化12】
から選ばれ、ただし、前記Me、Et、
【化13】
は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、前記R
2はMe、Et、
【化14】
から選ばれ、ただし、前記Me、Et、
【化15】
は所望により1、2又は3個のR
bにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、前記Rbはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH2、COOH、Meから選ばれる。
【0024】
本発明の特定の実施形態では、前記Rbはそれぞれ独立して、F、OH、NH2、COOH、Meから選ばれる。
【0025】
本発明の特定の実施形態では、前記R
2はMe、-CH
2OH、Et、
【化16】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0026】
本発明の特定の実施形態では、前記R
2はMe、-CH
2OH、Et、
【化17】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、前記R
2はMe、Et、
【化18】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0028】
本発明の特定の実施形態では、前記L2は単結合に選ばれる。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、前記構造単位
【化19】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、前記構造単位
【化20】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0031】
本発明の特定の実施形態では、前記構造単位
【化21】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0032】
本発明の特定の実施形態では、前記R3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH2、CN、COOH、C1-3アルキル基、-N(C1-3アルキル基)2、-C(=O)-O-C1-3アルキル基、-C(=O)-C1-3アルキル基、C3-6シクロアルキル基から選ばれ、前記C1-3アルキル基、-N(C1-3アルキル基)2、-C(=O)-O-C1-3アルキル基、-C(=O)-C1-3アルキル基、C3-6シクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRcにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0033】
本発明の特定の実施形態では、前記R3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH2、CN、C1-3アルキル基、-C(=O)-O-C1-3アルキル基、-C(=O)-C1-3アルキル基、C3-6シクロアルキル基から選ばれ、前記C1-3アルキル基、-C(=O)-O-C1-3アルキル基、-C(=O)-C1-3アルキル基、C3-6シクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRcにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0034】
本発明の特定の実施形態では、前記R
cはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CNから選ばれる。本発明の特定の実施形態では、前記R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、COOH、Me、Et、
【化22】
-C(=O)-O-Me、-C(=O)-O-Et、-C(=O)-Meから選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0035】
本発明の特定の実施形態では、前記R
3はH、F、Cl、Br、I、OH、NH
2、CN、Me、Et、
【化23】
-C(=O)-O-Me、-C(=O)-O-Et、-C(=O)-Meから選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0036】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRdにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0037】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは4員、5員、6員、7員、8員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、4員、5員、6員、7員、8員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRdにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは4員、6員、7員、8員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、4員、6員、7員、8員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRdにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0039】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは6員、7員、8員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、6員、7員、8員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRdにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0040】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは6員、7員のヘテロシクロアルキル基から選ばれ、ただし、6員、7員のヘテロシクロアルキル基は所望により1、2又は3個のRdにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0041】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aはモルホリニル基、ピペラジニル基、3-モルホリノニル基、2-ピペラジノニル基、ホモピペラジニル基、4,7-ジアザスピロ[2,5]オクチル基、3,6ジアザビシクロ[3,1,1]ヘプチル基、2-アザシクロヘキサノニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、アゼチジニル基から選ばれ、前記モルホリニル基、ピペラジニル基、3-モルホリノニル基、2-ピペラジノニル基、ホモピペラジニル基、4,7-ジアザスピロ[2,5]オクチル基、3,6ジアザビシクロ[3,1,1]ヘプチル基、2-アザシクロヘキサノニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、アゼチジニル基は所望により1、2又は3個のRdにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0042】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aはモルホリニル基、ピペラジニル基、3-モルホリノニル基、2-ピペラジノニル基、ホモピペラジニル基、4,7-ジアザスピロ[2,5]オクチル基、3,6ジアザビシクロ[3,1,1]ヘプチル基、2-アザシクロヘキサノニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基から選ばれ、前記モルホリニル基、ピペラジニル基、3-モルホリノニル基、2-ピペラジノニル基、ホモピペラジニル基、4,7-ジアザスピロ[2,5]オクチル基、3,6ジアザビシクロ[3,1,1]ヘプチル基、2-アザシクロヘキサノニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基は所望により1、2又は3個のRdにより置換され、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、前記Rdはそれぞれ独立して、F、Cl、Br、I、OH、NH2、CNから選ばれる。
【0044】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aはモルホリニル基、ピペラジニル基、3-モルホリノニル基、2-ピペラジノニル基、ホモピペラジニル基、4,7-ジアザスピロ[2,5]オクチル基、3,6ジアザビシクロ[3,1,1]ヘプチル基、2-アザシクロヘキサノニル基、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0045】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは、
【化24】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0046】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは、
【化25】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0047】
本発明の特定の実施形態では、前記環Aは、
【化26】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0048】
本発明の特定の実施形態では、前記構造単位
【化27】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0049】
本発明の特定の実施形態では、前記構造単位
【化28】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0050】
本発明の特定の実施形態では、前記構造単位
【化29】
から選ばれ、他の変数は本発明の定義に準拠する。
【0051】
本発明の特定の実施形態では、前記化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩は、
【化30】
から選ばれ、
R
1、R
2、R
3、L
1、L
2は本発明の定義に準拠する。
【0052】
本発明の更なる実施形態は、前記各変数が任意に組み合わせたものである。
【0053】
本発明は、さらに、
【化31】
から選ばれる化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩を提供する。
【0054】
本発明の特定の実施形態では、前記化合物、その光学異性体又は薬学的に許容される塩は、
【化32】
から選ばれる。
【0055】
本発明は、さらに、有効成分として治療有効量の前記化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0056】
本発明は、さらに、治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトに、治療有効量の前記化合物、その異性体もしくは薬学的に許容される塩、又は医薬組成物を投与することを含む哺乳動物におけるIRAK4関連障害の治療方法を提供する。
【0057】
本発明は、さらに、IRAK4関連障害の治療薬物の製造における前記化合物、その異性体もしくは薬学的に許容される塩、又は医薬組成物の用途を提供する。
【0058】
本発明は、さらに、IRAK4関連障害の治療における前記化合物、その異性体もしくは薬学的に許容される塩、又は医薬組成物の用途を提供する。本発明は、さらに、IRAK4関連障害を治療する前記化合物、その異性体もしくは薬学的に許容される塩、又は医薬組成物を提供する。
【0059】
本発明は、さらに、IRAK4阻害薬の製造における前記化合物、その異性体又は薬学的に許容される塩の用途を提供する。
【0060】
本発明は、さらに、IRAK4阻害薬の製造における前記組成物の用途を提供する。
[関連の用語及び定義]
【0061】
特に説明がない限り、本明細書で使用される下記の用語及び表現は、以下記載の意味を有する。特定の用語又は表現は、特に定義される場合を除き、確定していない又は不明瞭なものとしてではなく、本分野通常の意味で理解されるべきである。本明細書で商品名が記載される場合、対応する製品又はその有効成分を指す。
【0062】
用語「薬学的に許容される」とは、ヒト及び動物の組織に接触して使用されるのに適し、毒性と刺激性を持たず、アレルギー反応やその他の問題又は合併症を引き起こさないと医学的に判断され、合理的な利益/リスク比に見合う化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0063】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明で発現された特定の置換基を有する化合物と相対的に毒性を持たない酸又は塩基で製造される、本発明の化合物の塩を指す。本発明の化合物に相対的に酸性を示す官能基が含まれる場合には、不純物を含まない溶液又は適
切な不活性溶剤において十分な量の塩基を当該化合物の中性形態に対して接触させる方法により塩基付加塩を得る。薬学的に許容される塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン、マグネシウムの塩又は類似する塩を含む。本発明の化合物に相対的に塩基性を示す官能基が含まれる場合には、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶剤において十分な量の酸を当該化合物の中性形態に接触させる方法により酸付加塩を得る。薬学的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸等無機酸の無機酸塩、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等有機酸の有機酸塩、及びアルギニン等アミノ酸の塩、グルクロン酸等有機酸の塩を含む。本発明の一部の化合物は塩基性及び酸性の官能基を含むため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に転化される。
【0064】
本発明の薬学的に許容される塩は、酸基又は塩基を含む母体化合物から通常の化学方法で合成できる。このような塩は一般に、水、有機溶剤又は両者の混合物において、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態と化学量論的に適切な塩基又は酸とを反応させて調製される。
【0065】
本発明の化合物には、特定の幾何異性体又は立体異性体の形態が存在してもよい。本発明に係るこの類の化合物には、シス異性体及びトランス異性体、(-)-エナンチオマー及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、並びにラセミ混合物及びその他の混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーを豊富に含有する混合物を含み、これらの混合物はいずれも本発明の範囲に含まれる。アルキル基等の置換基には、別の不斉炭素原子が存在してもよい。上記の異性体及びそれらの混合物は、全て本発明の範囲に含まれる。
【0066】
特に説明がない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは、互いに鏡像の関係にある立体異性体を指す。
【0067】
特に説明がない限り、用語「シス/トランス異性体」又は「幾何異性体」は、二重結合又は環形成炭素原子の単結合が自由に回転できないことで生じたものである。
【0068】
特に説明がない限り、用語「ジアステレオマー」とは、2つ以上のキラル中心を有する分子同士は互いに非鏡像になる立体異性体を指す。
【0069】
特に説明がない限り、「(D)」又は「(+)」は右旋性を、「(L)」又は「(-)」は左旋性を、「(DL)」又は「(±)」はラセミ体を表す。
【0070】
特に説明がない限り、くさび形の実線結合(
【化33】
)及びくさび形の破線結合(
【化34】
)でキラル中心の絶対配置を表し、直線形の実線結合(
【化35】
)及び直線形の破線結合(
【化36】
)でキラル中心の相対配置を表し、波線(
【化37】
)でくさび形の実線結合(
【化38】
)もしくはくさび形の破線結合(
【化39】
)を表し、又は波線(
【化40】
)で直線形の実線結合(
【化41】
)及び直線形の破線結合(
【化42】
)を表す。
【0071】
不斉合成、不斉試薬又はその他の通常技術により、光学活性を有する(R)-及び(S)-異性体、並びにD及びL異性体を調製できる。本発明の特定の化合物のエナンチオマーを得ようとする場合には、不斉合成、又は不斉助剤の誘導作用により調製できる。ただし、生成物として得たジアステレオマー混合物を分離し、補助的な官能基を脱去させることにより、所望のエナンチオマーの純粋な形態を得る。あるいは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシル基)が含まれる場合には、光学活性を有する適切な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成し、その後、当分野周知の通常方法でジアステレオマーを分割し回収することで、純粋なエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は一般にクロマトグラフィーにより実行され、当該クロマトグラフィーにはキラルな固定相を使用し、所望により化学誘導法と組み合わせてもよい(例えば、アミンからのカルバメート生成)。本発明の化合物は、当該化合物を構成する1つ以上の原子に、非天然的な割合で同原子の同位体が含まれてもよい。例えば、放射能同位体、例えば、三重水素(3H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)で化合物を標識する。あるいは、重水素で水素を置換して重水素化薬物を形成させてもよく、重水素と炭素からなる結合は水素と炭素からなる通常の結合よりも強固なもので、非重水素化薬物と比べ、重水素化薬物は毒性や副作用が低減され、薬物安定性や治療効果が向上し、薬物の生物学的半減期が延長する等の利点を有する。本発明の化合物の同位体を含む変換形態は、その放射能の有無に関らず、どれも本発明の範囲に含まれる。「所望により」又はこれに類する表現は、続いて記載される事項又は状況は生じる可能性があるが、必ずしも生じるとは限らないことであり、当該記載には前記事象又は状況が生じる場合及び前記事項又は状況が生じない場合が含まれる。
【0072】
用語「置換された」とは、特定の原子の原子価が正常であり、且つ、置換後に得た化合物が安定的なものであれば、当該原子上の任意の1つ以上の水素原子(重水素及び水素のバリアントを含む)が置換基によって置換されることである。置換基が酸素(=O)である場合には、2つの水素原子が置換されることである。酸素置換はアリール基に起きない。用語「所望により置換された」とは、置換されてもよいし置換されなくてもよいことである。特に規定がある場合を除き、置換基の種類と数量は化学的に実現可能な範囲であれば、特に限定されない。
【0073】
化合物の組成又は構造で特定の変数(例えばR)が1回以上出現した場合には、出現の都度、独立して定義される。したがって、例えば、1つの官能基が0~2個のRによって置換される場合には、当該官能基は所望により最大2つのRによって置換されてもよく、なおかつRはそれぞれ独立して選択される。置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは、当該組み合わせが安定的な化合物を生成する場合に限って認められる。
【0074】
変数が単結合に選ばれた場合には、それによって接続された2つの官能基は直接接続されるものを表す。例えば、A-L-ZでLは単結合である場合には、当該構造はA-Zであることを表す。
【0075】
接続官能基で接続の方向を示さない場合には、任意の方向で接続される。例えば、
【化43】
で接続官能基Lが-M-W-である場合には、-M-W-は左から右に記載されるのと同一の方向で環Aと環Bを接続して
【化44】
を構成してもよければ、左から右に記載されるのと逆の方向で環Aと環Bを接続して
【化45】
を構成してもよい。前記接続官能基、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは、当該組み合わせが安定的な化合物を生成する場合に限って認められる。
【0076】
特に定義がない限り、環上の原子の数量は環の員数として定義される。例えば、「3-6員環」とは、環状に並ぶ3~6個の原子からなる「環」である。
【0077】
特に定義がない限り、用語「C1-6アルキル基」とは1ないし6個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を表す。前記C1-6アルキル基にはC1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C6、C5アルキル基等を含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-6アルキル基の非限定的な例には、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基を含む)、ペンチル基(n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基を含む)、ヘキシル基等を含む。
【0078】
特に定義がない限り、用語「C1-3アルキル基」とは1ないし3個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を表す。前記C1-3アルキル基にはC1-2、C2-3アルキル基等を含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-3アルキル基の非限定的な例には、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)等を含む。特に定義がない限り、「C2-8アルケニル基」とは少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、2ないし8個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の炭化水素基を表し、炭素-炭素二重結合は当該基の任意の位置にあってもよい。前記C2-8アルケニル基には、C2-6、C2-4、C2-3、C4、C3、C2アルケニル基等を含み、一価、二価であってもよいし多価であってもよい。C2-8アルケニル基の非限定的な例にはエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、m-ブタジエニル基、m-ペンタジエニル基、m-ヘキサジエニル基等を含む。
【0079】
特に定義がない限り、用語「C1-6アルキルアミノ基」とはアミノ基によって対象分子の他の部分に接続された、1ないし6個の炭素原子を含むアルキル基を表す。前記C1-6アルキルアミノ基には、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C6、C5、C4、C3、C2アルキルアミノ基等を含む。C1-6アルキルアミノ基の非限定的な例には、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCH2CH3、-N(CH3)CH2CH3、-N(CH2CH3)(CH2CH3)、-NHCH2CH2CH3、-
NHCH2(CH3)2、-NHCH2CH2CH2CH3等を含む。
【0080】
特に定義がない限り、用語「C1-3アルキルアミノ基」とはアミノ基によって対象分子の他の部分に接続された、1ないし3個の炭素原子を含むアルキル基を表す。前記C1-3アルキルアミノ基にはC1-2、C3、C2アルキルアミノ基等を含む。C1-3アルキルアミノ基の非限定的な例には、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHCH2CH3、-N(CH3)CH2CH3、-NHCH2CH2CH3、-NHCH2(CH3)2等を含む。
【0081】
特に定義がない限り、用語「3~10員のヘテロシクロアルキル基」はそれ自体又は他の用語と組み合わせて、3ないし10個の環上の原子からなる飽和環状基を表し、1、2、3又は4個の環上の原子は独立して-O-、-S-、-NH-、N、-C(=O)NH-から選ばれるヘテロ原子であり、他は炭素原子である。単環、二環、三環の環系を含み、二環、三環の環系にはスピロ環、縮合環、架橋環を含む。当該「3~10員のヘテロシクロアルキル基」においては、ヘテロ原子はヘテロシクロアルキル基の分子の他の部分に接続された位置に配置されてもよい。前記3~10員のヘテロシクロアルキル基には3~9員、3~8員、3~7員、3~6員、3~5員、4~6員、5~6員、4員、5員、6員のヘテロシクロアルキル基等を含む。3~10員のヘテロシクロアルキル基の非限定的な例には、アゼチジニル基、オキセタニル基、チエタニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、テトラヒドロチエニル基(テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル等を含む)、テトラヒドロフラニル基(テトラヒドロフラン-2-イル等を含む)、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基(1-ピペリジニル基、2-ピペリジニル基、3-ピペリジニル基等を含む)、ピペラジニル基(1-ピペラジニル基、2-ピペラジニル基等を含む)、モルホリニル基(3-モルホリニル基、4-モルホリニル基等を含む)、ジオキサニル基、ジチアン基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、1,2-オキサジニル基、1,2-チアジニル基、ヘキサヒドロピリダジニル基、ホモピペラジニル基、ホモピペラジニル基、ジオキセパニル基等を含む。
【0082】
特に定義がない限り、用語「3~6員のヘテロシクロアルキル基」はそれ自体又は他の用語と組み合わせて、3ないし6個の環上の原子からなる飽和環状基を表し、1、2、3又は4個の環上の原子は独立して-O-、-S-、-NH-、Nから選ばれるヘテロ原子であり、他は炭素原子である。単環、二環の環系を含み、二環の環系にはスピロ環、縮合環、架橋環を含む。当該「3~6員のヘテロシクロアルキル基」においては、ヘテロ原子はヘテロシクロアルキル基の分子の他の部分に接続された位置に配置されてもよい。前記3~6員のヘテロシクロアルキル基には4~6員、5~6員、4員、5員、6員のヘテロシクロアルキル基等を含む。3~6員のヘテロシクロアルキル基の非限定的な例には、アゼチジニル基、オキセタニル基、チエタニル基、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、テトラヒドロチエニル基(テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル等を含む)、テトラヒドロフラニル基(テトラヒドロフラン-2-イル等を含む)、テトラヒドロピラニル基、ピペリジニル基(1-ピペリジニル基、2-ピペリジニル基、3-ピペリジニル基等を含む)、ピペラジニル基(1-ピペラジニル基、2-ピペラジニル基等を含む)、モルホリニル基(3-モルホリニル基、4-モルホリニル基等を含む)、ジオキサニル基、ジチアン基、イソオキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、1,2-オキサジニル基、1,2-チアジニル基、ヘキサヒドロピリダジニル基、ホモピペラジニル基、ホモピペラジニル基等を含む。
【0083】
特に定義がない限り、「C3-8シクロアルキル基」とは3ないし8個の炭素原子からなる飽和の環状炭化水素基を表し、単環、二環の環系を含み、二環の環系にはスピロ環、縮合環、架橋環を含む。前記C3-8シクロアルキル基にはC3-6、C3-5、C4-
8、C4-6、C4-5、C5-8、C5-6シクロアルキル基等を含み、一価、二価であってもよいし多価であってもよい。C3-8シクロアルキル基の非限定的な例には、シクロプロピル基、シクロブチル基を含む。
【0084】
特に定義がない限り、「C4-6シクロアルキル基」は4ないし6個の炭素原子からなる飽和の環状炭化水素基を表し、単環、二環の環系であり、前記C4-6シクロアルキル基にはC4-5、C5-6シクロアルキル基等を含み、一価、二価であってもよいし多価であってもよい。C4-6シクロアルキル基の非限定的な例には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を含む。
【0085】
特に定義がない限り、「Cn-n+m又はCn-Cn+m」にはn個の炭素原子ないしn+m個の炭素原子のいずれかを表す。例えば、C1-6にはC1、C2、C3、C4、C5、C6だけでなく、nないしn+mのうちの任意の範囲を含み、例えば、C1-6にはC1-2、C1-3、C1-4、C2-3、C2-4、C3-5等を含む。同様に、n員ないしn+m員は環上の原子数がn個ないしn+m個であることを表し、例えば、3~6員環には3員環、4員環、5員環、6員環だけでなく、nないしn+mのうちの任意の範囲を含み、例えば、3~6員環には3~5員環、3~6員環、4~6員環、4~5員環、5~6員環等を含む。
【0086】
本発明の化合物は、下記の具体的な実施形態、その他の化学的合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者が熟知する代替的な同等の形態を含み、前記実施形態の非限定的な好ましい例は本願の実施例を含む、当業者が熟知する様々な合成方法によって製造できる。
【0087】
本発明で使用される溶媒は市販品である。本明細書で使用する略語及びその意味は次のとおりである。aq=水、HATU=O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、EDC=N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’-エチルカルボジイミド・塩酸塩、m-CPBA=3-クロロペルオキシ安息香酸、eq=当量又は等量、CDI=カルボニルジイミダゾール、DCM=ジクロロメタン、PE=石油エーテル、DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、MeOH=メタノール、CBz=ベンジルオキシカルボニル基(1種のアミン保護基)、BOC=tert-ブトキシカルボニル基(1種のアミン保護基)、HOAc=酢酸、NaCNBH3=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、r.t.=室温、O/N=一晩、THF=テトラヒドロフラン、Boc2O=二炭酸ジ-tert-ブチル、TFA=トリフルオロ酢酸、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、SOCl2=塩化チオニル、CS2=二硫化炭素、TsOH=p-トルエンスルホン酸、NFSI=N-フルオロ-N-(フェニルスルホニル)ベンゼンスルホンアミド、NCS=1-クロロピロリジン-2,5-ジオン、n-Bu4NF=テトラブチルアンモニウムフルオリド、iPrOH=2-プロパノール、mp=融点、LDA=リチウムジイソプロピルアミド。
【0088】
本発明に記載される化合物は、本分野通常の命名ルールに基づき、又はChemDraw(登録商標)を用いて命名され、市販化合物はメーカーが提供するカタログの名称に準拠する。
【発明の効果】
【0089】
本発明では、活性が高く、代謝安定性が改善された一連の縮合環化合物が得られ、医薬品として製造しやすく、優れた薬物動態特性を有する。
【0090】
本発明の化合物は一般的にIRAK4に良好な阻害活性を示す。本発明の化合物の代表
例と参照化合物(WXR1)を比べると、多くの生物種の肝ミクロソームにおいてより優れた安定性を示し、特に一部の生物種では、優越性試験でクリアランスが20倍以上に達する(マウス)。本発明の化合物はTHP-1細胞において一般的に細胞の増殖に良好な阻害活性を示す。同じ投与量においては、本発明の複数の化合物は経口投与後に、全身暴露量、最高血中濃度、生物学的利用能において参照化合物WXR2(ND-2110)と同等であり、又は優れている薬物動態特性を示す。同じ投与量においては、SDラットに化合物WX001を経口投与した後、リポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に対し、参照化合物WXR2(ND-2110)、WXR3(BAY-1830839)、WXR4(BAY-1834845)より明らかに優れた阻害効果を示す。本発明では、WX001の効果はデキサメタゾンDEXの効果と同等である。同じ投与量においては、SDラットに化合物WX001、WX026、WX044を経口投与した後、リポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に対し明らかな阻害効果を示す。本発明では、WX026の効果はデキサメタゾンDEXの効果と同等である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】
図1は、SDラットにおけるリポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に関するインビボ薬力学研究の結果であり、本発明の化合物の用量は30mpkである。
【
図2】
図2は、SDラットにおけるリポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に関するインビボ薬力学研究の結果であり、本発明の化合物の用量は20mpkである。
【発明を実施するための形態】
【0092】
次に、実施例を用いて本発明の詳細な説明を行う。これは本発明に何らかの限定を加えるためではない。本明細書では具体的な実施形態を含め本発明の詳細な説明が記載される。当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく本発明の特定の実施形態に様々な変形や改善を行うことができ、これは自明な事項である。
【0093】
【0094】
ステップ1:化合物A1-1の合成
3L一ツ口フラスコに、マロノニトリル(52.70g)を加え、アセトニトリル(1
L)で溶解し、その後、トリエチルアミン(161.45g)を加え、均一に攪拌し、イソブチリルクロリド(85g)をゆっくり加え、その後、50℃で2時間反応させる。塩化アシルを加える時は放熱し、反応系が無色の透明溶液から黄緑色の懸濁液になる。反応終了後、反応液を遠心脱水し、水(100mL)を加えた後、酢酸エチルを加えて抽出し(30mL×3)、有機相を合わせ、乾燥して遠心脱水する。反応させて生成物A1-1を得る。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.23(d,J=10.4Hz,6H),3.16(sept,J=10.4Hz,1H)。
【0095】
ステップ2:化合物A1-2の合成
100mL反応フラスコに、化合物A1-1(1.1g)を加え、ジクロロメタン(15mL)で溶解し、その後、0℃下で塩化ホスホリル(2.26g)を滴加し、20℃で16時間反応させる。反応終了後、反応液を直接水に注ぎ、有機相を分離し、ジクロロメタンで水相を抽出し(10mL×2)、有機相を合わせ、乾燥して遠心脱水する。化合物A1-2を得る。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.7(d,J=10.4Hz,6H),3.09(sept,J=10.4Hz,1H)。
【0096】
ステップ3:化合物A1-3の合成
250mL反応フラスコに、化合物A1-2(10g)、アンモニア水(7.56g)を加え、20℃下で1時間反応させる。沈殿物が析出すると、直接、反応液に水(10mL)を加え、その後、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、乾燥し遠心脱水して、化合物A1-3を得る。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.24(d,J=10.4Hz,6H),3.15(sept,J=10.4Hz,1H)。
【0097】
ステップ4:化合物A1-4の合成
100mL三つ口フラスコに、化合物A1-3(1g)、トリエチルアミン(2.08g)を加え、ピリジン(10mL)で溶解し、その後、硫化水素を流し、30℃下で30分間反応させる。反応終了後、遠心脱水し、水を加え、ジクロロメタンで抽出し(10mL×2)、乾燥し遠心脱水して黄色の油性物を得、黄色の油性物に対しカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はジクロロメタン)により精製して、化合物A1-4を得る。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.20(d,J=10.4Hz,6H),3.15(s,J=10.4Hz,1H),6.04(br,1H),6.55(br,1H),6.87(br,1H),12.18(br,1H)。
【0098】
ステップ5:化合物A1の合成
マグネチックスターラーを備える250mL一ツ口フラスコに、化合物A1-4、MeOH(80mL)を加え、その後、反応液にH2O2(8.87g)をゆっくりと滴加する。滴加完了後、10~20℃下で16時間攪拌する。反応終了後、減圧濃縮してほとんどの溶媒を除去し、固体残留物を得る。その後、酢酸エチル(40mL)を加えて固体を溶解し、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(30mL)を加え、室温下で30分間攪拌した後、分離する。酢酸エチルで水相を抽出し(20mL×3)、無水硫酸ナトリウムで合わせた有機相を乾燥する。濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物A1を得る。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=5.38(br s,2H),3.13(td,J=6.8,13.8Hz,1H),1.33(d,J=6.8Hz,6H)。
【0099】
【0100】
ステップ1:化合物A2-1の合成
マグネチックスターラーを備える100mL丸底一ツ口フラスコに、5-アミノ-3-メチルイソチアゾール-4-カルボニトリル(1.00g)、無水エタノール(25mL)を加える。20℃下で、反応液に濃硫酸(7.05g)をゆっくり加える。反応フラスコをオイルバスに入れ、100℃に加熱して16時間攪拌する。反応完了後、反応液が室温に冷却すると、反応液を100mLの炭酸水素ナトリウム溶液にゆっくり加え、pHを8に調整し、酢酸エチルで抽出し(30mL×3)、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過し、濾液を減圧濃縮して黄色の粗生成物を得る。当該粗生成物に対しカラムクロマトグラフィー(SiO2、石油エーテル:酢酸エチル=10:1~3:1,v/v)により分離して精製することで、化合物A2-1を得る。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=6.49(br s,2H),4.35(q,J=7.2Hz,2H),2.53(s,3H),1.40(t,J=7.0Hz,3H)。
【0101】
ステップ2:化合物A2-2の合成
マグネチックスターラーを備える50mL一ツ口フラスコに、化合物A2-1(2.5g)の無水ジクロロメタン(25mL)溶液を加え、窒素ガス保護下で、-60℃に冷却し、その後、反応液にイソシアン酸クロロスルホニル(1.79g)をゆっくりと滴加する。その後、反応液をゆっくりと25℃に上げて、30分間攪拌すると、反応液が透明になる。反応液を減圧濃縮して黄色の固体を得、水(10mL)を加え、その後、懸濁液を75℃下で30分間攪拌する。反応液を濾過し、乾燥して、化合物A2-2を得る。
【0102】
ステップ3:化合物A2-3の合成
マグネチックスターラーを備える50mL一ツ口フラスコに、化合物A2-2(1.7
g)のn-ブタノール(20mL)溶液を加え、N2保護下で、反応液に炭酸カリウム(3.07g)を加え、130℃に加熱して16時間反応させる。反応液に対し遠心脱水し、水10mLを加えてパルプ化させ、濾過し、乾燥して、化合物A2-3を得る。
LCMS(ESI)m/z:183.8[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=9.43(br s,2H),2.39-2.34(m,3H)。
【0103】
ステップ4:化合物A2-4の合成
密封された100mL試験管で、N,N-ジメチルアニリン(330.75mg)と化合物A2-3(0.5g)を溶解したトルエン(5mL)に塩化ホスホリル(2.93g)を加え、120℃下で16時間反応させる。反応液を30mLの水にゆっくり加え、ジクロロメタンで抽出し(20mL×3)、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過濃縮して粗生成物を得る。カラムクロマトグラフィーにより粗生成物から化合物A2-4を得る。
LCMS(ESI)m/z:219.8[M+H]+。
【0104】
ステップ5:化合物A2の合成
マグネチックスターラーを備える50mL一ツ口フラスコに、化合物A2-4(0.2g)、中間体B1(303.85mg)、炭酸ナトリウム(385.28mg)を加え、アセトニトリル(4mL)で溶解し、当該反応液を80℃に加熱して、16時間攪拌する。反応液が室温に冷却した後、減圧濃縮によりアセトニトリルを除去して残留物を得る。前記残留物にジクロロメタン(10mL)、水(10mL)を加え固体を再溶解する。ジクロロメタン(5mL)で水相を抽出する。飽和食塩水で合わせた有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して、淡黄色の固体を得る。前記固体にPE/EtOAc=10:1(10mL)を加えて1時間パルプ化させた後、濾過して化合物A2を得る。
LCMS(ESI)m/z:368.1[M+H]+。
【0105】
中間体A3
【化50】
中間体A1の合成手順を参照して中間体A3を合成し、ただし、ステップ1の原料イソブチリルクロリドをテトラヒドロピラン-4-カルボニルクロリドに変更する。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.16-7.89(m,2H),3.99-3.80(m,2H),3.40(dt,J=3.9,10.9Hz,2H),2.99-2.84(m,1H),1.82-1.60(m,4H)。
【0106】
中間体A4
【化51】
中間体A1を使用し中間体A2の合成手順を参照して、中間体A4を合成する。ただし、ステップ1の原料5-アミノ-3-メチルイソチアゾール-4-カルボニトリルを中間体A1に変更する。
LCMS(ESI)m/z:396.2,398.2[M+H]
+。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ=5.52(br d,J=7.6Hz,1H),4.31-4.19(m,1H),4.16-4.09(m,1H),4.16-4.09(m,1H),3.79-3.70(m,4H),3.22-3.13(m,1H),2.65-2.56(m,4H),2.41-2.27(m,3H),2.06-1.96(m,2H),1.60-1.48(m,2H),1.46(d,J=6.8Hz,4H),1.39-1.29(m,2H)。
【0107】
中間体A5
【化52】
中間体A3を使用し中間体A2の合成手順を参照して、中間体A5を合成する。ただし、ステップ1の原料5-アミノ-3-メチルイソチアゾール-4-カルボニトリルを中間体A3に変更する。
LCMS(ESI)m/z:438.2,440.2[M+H]
+。
【0108】
【0109】
ステップ1:化合物A6-1の合成
化合物A2-4(10g)をメタノール(200mL)に溶解し、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(5M、36.35mL)を加え、68℃下で12時間反応させ、反応液を飽和塩化アンモニウム溶液(500mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出し(150mL)、有機相を乾燥、濾過した後、減圧濃縮し、粗生成物に対しフラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、80gカラム、溶離液は0~50%酢酸エチル/石油エーテル、流量40mL/min)により精製して、化合物A6-1を得る。
【0110】
ステップ2:化合物A6-2の合成
反応フラスコに化合物A6-1(8.79g)を加え、1,2-ジクロロエタン(100mL)、そしてN-ブロモスクシンイミド(26.66g)、過酸化ベンゾイル(453.58mg)を加え、窒素ガスで3回置換した後、80℃下で12時間反応させ、反応液を飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液200mLに注ぎ、分離し、ジクロロメタンで水相を抽出し(50mL×2)、有機相を乾燥、濾過した後、減圧濃縮する。粗生成物に対しフラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、80gカラム、溶離液は0~60%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、化合物A6-2を得る。
【0111】
ステップ3:化合物A6-3の合成
化合物A6-2(4g)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、亜リン酸ジエチル(1.95g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.80g)を加え、25℃下で3時間反応させる。液体がなくなるまで反応液を減圧濃縮し、粗生成物に対しフラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、80gカラム、溶離液は0~60%酢酸エチル/石油エーテル)により精製して、化合物A6-3を得る。
【0112】
ステップ4:化合物A6-4の合成
反応フラスコに化合物A6-3(1.5g)、アセトニトリル(40mL)、そしてトリメチルシリルシアニド(564.20mg)、最後に炭酸カリウム(786.00mg)を加える。10℃下で反応液を12時間攪拌する。反応液を200mLの飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルを加えて抽出し(200mL×2)、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して、粗生成物を得る。シリカゲルカラム(溶離液:ジクロロメタン:酢酸エチル=100:0~10:1)により精製して、化合物A6-4を得る。
LCMS(ESI)m/z:237.1[M+H]。
1H NMR(400MHz,CDCl3)=4.22(s,3H),4.21(s,2H),4.13(s,3H)。
【0113】
ステップ5:化合物A6-5の合成
反応フラスコに化合物A6-4(0.5g)、N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)を加え、その後、ピリジン塩酸塩(1.22g)を加え、窒素ガスで混合物を3回置換する。100℃下で反応液を12時間攪拌する。液体がなくなるまで反応液を減圧濃縮する。ジクロロメタン10mLを加えてパルプ化させ、濾過し、固体を収集し、液体がなくなるまで減圧濃縮して、化合物A6-5を得る。
LCMS(ESI)m/z:209.1[M+H]。
【0114】
ステップ6:化合物A6-6の合成
化合物A6-5を使用し中間体A2のステップ4を参照して、中間体A6-6を合成する。ただし、ステップ4の原料、化合物A2-3を化合物A6-5に変更する。
【0115】
ステップ7:化合物A6の合成
化合物A6-6を使用し中間体A2のステップ5を参照して、化合物A6を合成する。ただし、ステップ5の原料、化合物A2-4を化合物A6-6に変更する。
【0116】
【0117】
化合物A2(0.3g)をN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)に加え、0℃に冷却した後、水素化ナトリウム(48.93mg、純度60%)を加え、30分間攪拌し、その後、ヨードメタン(150.47mg)を加える。15℃に戻して、引き続き2.5時間攪拌する。反応液を水(80mL)に注ぎ、酢酸エチルを加えて抽出する(90mL×2)。有機相を合わせ、飽和食塩水で3回洗浄する(40mL×3)。無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、真空減圧下で濾液を濃縮して、化合物A7を得る。
LCMS(ESI)m/z:382[M+H]+。
【0118】
【0119】
中間体B20
【化57】
合成ルート:
【化58】
【0120】
ステップ1:化合物B20-1の合成
2-ブロモエタノール(40.52g)、三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体(1.53g)をトルエン(80mL)に加え、70℃に加熱し、その後、エピクロロヒドリン(20g)を滴加し、引き続き70℃下で1時間反応させる。10℃に冷却し、水酸化ナトリウム(21.61g)の水(100mL)溶液をゆっくり滴加し、滴加完了後、25℃に加熱して12時間反応させる。反応液を分離し、2-メチルテトラヒドロフランで水相を抽出し(20mL×3)、有機相を合わせる。水(100mL)で洗浄し、有機相を乾燥、濾過した後、減圧濃縮して、化合物B20-1を得る。
【0121】
ステップ2:化合物B20-2の合成
反応フラスコに水酸化ナトリウム(21.61g)の水(150mL)溶液を加え、そして化合物B20-1(29.52g)を加え、90℃に加熱して1時間反応させ、15℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(41.21g)の無水テトラヒドロフラン(150mL)溶液を加え、滴加完了後、25℃に加熱して12時間反応させ、反応液を分離し、2-メチルテトラヒドロフランで水層を抽出し(100mL×2)、分離し、有機相にジメチルアミノピリジン(4g)、トリエチルアミン(30mL)を加えて10分間攪拌し、その後、飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)を加えて分離し、有機相を収集し、粗生成物を濃縮し、フラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、220gカラム、溶離液は0~80%酢酸エチル/石油エーテル、流量60mL/min)により精製して、化合物B20-2を得る。
【0122】
ステップ3:化合物B20-3の合成
N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に化合物B20-2(2g、7.34mmol、1eq)、4-ニトロピロール(1.25g)、炭酸セシウム(4.79g)を加え、70℃下で2時間反応させる。反応液に水(100mL)を加え、酢酸エチル(180mL)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して、粗生成物を得る。シリカゲルカラム(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~4:1)により精製して、化合物B20-3を得る。
LCMS(ESI)m/z:214.0[M+H]+。
【0123】
ステップ4:化合物B20の合成
アルゴン保護下で、水添反応装置にパラジウム/炭素(10%水湿潤品、1g)を加え、その後、メタノール(5mL)、化合物B20-3(1.5g)をこの順に加え、水素(50psi)で3回置換した後、30℃下で3時間反応させる。珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮して、化合物B20を得る。
LCMS(ESI)m/z:184.1[M+H]+。
【0124】
中間体B21
【化59】
合成ルート:
【化60】
【0125】
ステップ1:化合物B21-1の合成
アセトニトリル(100mL)を入れた反応器に、4-ニトロピロール(10g)、ブロモ酢酸tert-ブチル(17.25g)を加え、そして炭酸カリウム(14.67g)を加え、80℃下で5時間攪拌する。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)に注ぎ、酢酸エチルを加えて抽出し(200mL×2)、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して、粗生成物を得る。フラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、220gカラム、溶離液は0~60%酢酸エチル/石油エーテル、流量80mL/min)により精製して、化合物B21-1を得る。
【0126】
ステップ2:化合物B21の合成
アルゴン保護下で、水添反応装置にパラジウム/炭素(10%水湿潤品、3g)を加え、その後、メタノール(50mL)で濡らし、化合物B21-1(10g)を加え、水素(50psi)を流して3回置換する。25℃下で3時間攪拌する。珪藻土で反応液を濾過し、液体がなくなるまで濾液を減圧濃縮して、粗生成物を得る。フラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、12gカラム、溶離液は0~50%DCM/MeOH、流量40mL/min)により精製して、化合物B21を得る。
LCMS(ESI)m/z:198.2[M+1]+。
【0127】
中間体B22
【化61】
合成ルート:
【化62】
【0128】
ステップ1:化合物B22-1の合成
メタノール(80mL)にN-CBZ-4-アミノシクロヘキサノン(5g)、N-Bocピペラジン(3.77g)を加え、その後、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(6.43g)をゆっくり加え、25℃下で反応液を12時間攪拌する。液体がなくなるまで反応液を減圧濃縮し、ジクロロメタン(100mL)、水(100mL)を加えて抽出することで分離し、有機相を乾燥、濾過した後、減圧濃縮して、粗生成物を得る。画分の精製(カラム:Agela Durashell 10μm 250×50mm、移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]、B%:35%-55%、20min)後に分離して、シス-トランス異性体を得る。(HPLC Shimadzu 20AD,X-bridge Shield RP18 2.1×50mm,5μm、移動相:[水+10mmol/L炭酸水素アンモニウム-アセトニトリル]、B%:10%-80%、4.5min、Rt=2.615min)により、精製した溶液を濃縮して、アセトニトリルを除去し、ジクロロメタン(500mL)を加えて抽出、分離し、有機相を乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して、化合物B22-1を得る。精製せずに、直接次のステップの反応に使用する。
【0129】
ステップ2:化合物B22の合成
アルゴン保護下で、水添反応装置にパラジウム/炭素(10%水湿潤品、0.2g)を加え、メタノール(5mL)、化合物B22-1(0.2g)をこの順に反応系に加え、30℃水素雰囲気(50psi)下で前記反応系を2時間攪拌する。珪藻土で反応液を吸引濾過し、メタノールでケーキを3回リンスし(50mL×3)、液体がなくなるまで濾液を減圧濃縮して、化合物B22を得る。
LCMS(ESI)m/z:284.1[M+1]+。
【0130】
中間体B23
【化63】
合成ルート:
【化64】
【0131】
ステップ1:化合物B23-1の合成
4-ニトロピロール(1g)、2-ブロモ-2-メチルマレイン酸ジエチル(2.69g)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、炭酸カリウム(2.44g
)を加え100℃に加熱して15時間攪拌する。反応液を酢酸エチル(20mL)に注ぎ、半飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで有機相を乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して、粗生成物を得る。フラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、20g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、溶離液は0~60%DCM/MeOH、流量40mL/min)により精製して、化合物B23-1を得る。
LCMS(ESI)m/z:286.1[M+1]+。
【0132】
ステップ2:化合物B23-2の合成
化合物B23-1(1g)をメタノール(10mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(265.26mg)を加える。25℃下で2時間攪拌する。反応液に2mLの飽和塩化アンモニウムを加え、気泡が生じなくなった後、減圧濃縮して、粗生成物を得る。フラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、20gカラム、溶離液は0~50%DCM/MeOH、40mL/min)により精製して、化合物B23-2を得る。
LCMS(ESI)m/z:172.1[M+1]+。
【0133】
ステップ3:化合物B23-3の合成
化合物B23-2(500mg)、二炭酸ジ-tert-ブチル(956.12mg)、トリエチルアミン(886.61mg)を無水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、40℃下で3時間攪拌する。反応液を減圧濃縮して、粗生成物を得る。フラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、20gカラム、溶離液は0~50%DCM/MeOH、30mL/min)により精製して、化合物B23-3を得る。
LCMS(ESI)m/z:272.1[M-100+1]+。
【0134】
ステップ4:化合物B23-4の合成
化合物B23-3(340mg)をピリジン(10mL)とジクロロメタン(20mL)の混合溶液に溶解し、0℃に冷却し、その後、p-トルエンスルホニルクロリド(238.91mg、1.25mmol、1eq)を加える。0℃下で3時間攪拌する。反応液を濃縮して、画分の精製(カラム:Welch Xtimate C18 150×25mm×5μm、移動相:[水(10mM NH4HCO3)-ACN]、B%:38%~68%、10.5min)により化合物B23-4を得る。
LCMS(ESI)m/z:426.2[M+1]+。
【0135】
ステップ5:化合物B23-5の合成
化合物B23-4(75mg)を無水テトラヒドロフラン(3mL)に溶解し、0℃下で水素化ナトリウム(21.15mg、純度60%)を加える。67℃に加熱して2時間攪拌する。反応液に水(0.1mL)を加えてクエンチし、直接シリカゲルでサンプルを調製する。フラッシュクロマトシステム(ISCO(登録商標)、12gカラム、溶離液は0~80%酢酸エチル/石油エーテル、20mL/min)で粗生成物を精製して、化合物B23-5を得る。
LCMS(ESI)m/z:254.2[M+1]+。
【0136】
ステップ6:化合物B23の合成
化合物B23-5(20mg)をジクロロメタン(1.5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1.5mL)を加え、25℃下で1時間攪拌する。反応液を減圧濃縮して、化合物B23を得る。
LCMS(ESI)m/z:154.2[M+1]+。
【0137】
中間体B22の合成ルートを参照して、下表の各中間体を合成する。ただし、N-Bocピペラジンを原料1に変更する。
【表2】
【0138】
中間体B35
【化65】
合成ルート:
【化66】
【0139】
ステップ1:化合物B35-1の合成
4,4-ジフルオロシクロヘキサノール(0.5g)と4-ニトロピラゾール(415.29mg)とトリフェニルホスフィン(1.06g)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液にアゾジカルボン酸ジイソプロピル(854.05mg)を加え、20℃下で12時間攪拌する。液体がなくなるまで反応液を減圧濃縮して、粗生成物を得る。カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)により化合物B35-1を得る。
【0140】
ステップ2:化合物B35の合成
化合物B35-1(2g)をメタノール(70mL)に加え、そしてパラジウム/炭素(水湿潤品、1g、純度10%)を加え、水素で3回置換した後、水素雰囲気(30psi)で、30℃下で2時間攪拌する。攪拌を停止し、珪藻土で濾過する。液体がなくなるまで濾液を減圧濃縮して、化合物B35を得る。
LCMS(ESI)m/z:202.2[M+H]。
【0141】
参照例1:WXR1
【化67】
特許WO2017205762が開示したルートを参照して、化合物WXR1を合成する。
【0142】
参照例2:WXR2
【化68】
特許WO2012097013が開示したルート合成を参照して、化合物WXR2(ND-2110)を合成する。
【0143】
参照例3:WXR3
【化69】
特許WO2017186700が開示したルートを参照して、化合物WXR3(BAY-1830839)を合成する。
LCMS(ESI)m/z:451.2[M+H]
+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ=12.35(s,1H),8.71(s,1H),8.45(d,J=7.6Hz,2H),8.37(t,J=6.0Hz,1H),8.16(d,J=6.8Hz,1H),7.57(s,1H),5.93(d,J=8.0Hz,1H),4.51(s,1H),4.49-4.45(m,2H),2.05-2.01(m,2H),1.62(s,6H),1.15(s,6H)。
【0144】
参照例4:WXR4
【化70】
特許WO2017186689が開示したルートを参照して、化合物WXR4(BAY-1834845)を合成する。
LCMS(ESI)m/z:471.2[M+H]
+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ=12.37(s,1H),8.7
3(s,1H),8.48-8.42(m,2H),8.40-8.32(m,1H),8.16(d,J=7.8Hz,1H),7.59(s,1H),5.99(s,1H),4.86(t,J=6.6Hz,2H),3.85(t,J=6.6Hz,2H),2.90(s,3H),1.62(s,6H)。
【0145】
実施例1:化合物WX001の合成
【化71】
合成ルート:
【化72】
【0146】
中間体A2(0.15g)をn-ブタノール(1mL)に加え、その後、塩酸/酢酸エチル(4M、1.02mL)、中間体B2(81.81mg)を加え、120℃下で16時間攪拌する。反応液を濾過し、酢酸エチルでケーキを洗浄し(2mL×3)、ケーキを乾燥して粗生成物を得る。粗生成物に対し分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)により精製して、WX001粗生成物を得る。メタノール2mLでパルプ化して、化合物WX001を得る。
LCMS(ESI)m/z:499.2[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=9.05(s,1H),7.90(s,1H),7.55(s,1H),6.10(d,J=7.2Hz,1H),4.40-4.31(m,1H),4.16-4.05(m,1H),4.01-3.94(m,2H),3.83-3.77(m,1H),3.63-3.57(m,4H),3.48(dt,J=3.2,11.2Hz,2H),2.68(s,3H),2.34-2.24(m,2H),2.18-2.10(m,2H),2.03-1.91(m,7H),1.60-1.48(m,2H),1.44-1.32(m,2H)。
【0147】
実施例2:化合物WX002の合成
【化73】
合成ルート:
【化74】
【0148】
化合物A2-4、中間体B5、中間体B2を使用し、中間体A2の合成のステップ5及び化合物WX001の合成手順を参照して、化合物WX002を合成する。
LCMS(ESI)m/z:500.2[M+H]+。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ=8.03(s,1H),7.64-7.37(m,1H),7.09-6.83(m,1H),4.27(td,J=8.0,15.7Hz,1H),4.15-4.12(m,2H),4.06(br d,J=11.8Hz,2H),3.74-3.72(m,2H),3.54-3.40(m,2H),2.60(s,3H),2.52(br s,3H),2.56-2.47(m,1H),2.24(br d,J=13.1Hz,2H),2.06(br s,4H),1.97(br d,J=10.8Hz,2H),1.58-1.49(m,2H),1.46-1.38(m,2H),0.84-0.74(m,2H)。
【0149】
実施例3:化合物WX003の合成
【化75】
合成ルート:
【化76】
【0150】
中間体A4、中間体B2を使用し、化合物WX001の合成手順を参照して、化合物WX003を合成する。
LCMS(ESI)m/z:527.2[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=9.04(br s,1H),7.88(s,1H),7.52(s,1H),6.06(br s,1H),4.38-4.27(m,1H),4.20-4.08(m,1H),4.00-3.89(m,2H),3.60-3.40(m,11H),2.33-2.22(m,1H),2.15
-2.05(m,2H),2.03-1.87(m,6H),1.60-1.46(m,2H),1.42-1.25(m,8H)。
【0151】
実施例4:化合物WX004の合成
【化77】
合成ルート:
【化78】
【0152】
中間体A4、中間体B4を使用し、化合物WX001の合成手順を参照して、化合物WX004を合成する。
LCMS(ESI)m/z:513.3[M+H]+。
1H NMR(400MHz,メタノール-d4)δ=8.60(s,2H),4.89-4.79(m,2H),4.73-4.60(m,2H),4.45-4.33(m,1H),4.14-4.05(m,2H),4.02-3.91 m,2H),3.82(d,J=5.2Hz,2H),3.72-3.52(m,5H),3.28-3.18(m,2H),2.44-2.25(m,4H),2.25-2.25(m,1H),1.94-1.73(m,4H),1.39(d,J=6.8Hz,6H)。
【0153】
実施例5:化合物WX005の合成
【化79】
合成ルート:
【化80】
【0154】
中間体A5、中間体B3を使用し、化合物WX001の合成手順を参照して、化合物WX005を合成する。
LCMS(ESI)m/z:499.3[M+H]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=9.54-9.22(m,1H),8.04-7.70(m,1H),7.50(br s,1H),6.51-6.09(m,1H),4.12-4.00(br s,1H),3.96-3.86(m,3H),3.80(s,3H),3.72-3.49(m,7H),2.67(s,3H),2.32-2.22(m,1H),2.17-2.07(m,2H),1.99-1.82(m,4H),1.81-1.65(m,2H),1.60-1.45(m,2H),1.37(br s,2H)。
【0155】
実施例1の合成手順を参照し、下表に記載の部分1及び部分2を使用して、表中の各実施例を合成する。
【表3】
【0156】
実施例25:化合物WX025の合成
【化81】
合成ルート:
【化82】
【0157】
ステップ1で、中間体A2の合成手順を参照し、化合物A2-4、中間体B22を使用して、化合物WX025-1を合成する。
【0158】
ステップ2で、化合物WX001の合成手順を参照し、化合物WX025-1及び中間体B2を使用して、化合物WX025-2を合成する。
【0159】
ステップ3:化合物WX025の合成
反応フラスコに化合物WX025-2(0.18g)、塩酸-メタノール溶液(4M、15mL)を加える。15℃下で反応液を12時間攪拌し、反応液を減圧濃縮して、粗生成物を得る。画分の精製(カラム:Boston Prime C18 150×30mm 5μm、移動相:[水(0.05%HCl)-ACN]、B%:1%-22%、10min)により、化合物WX025を得る。
LCMS(ESI)m/z:498.1[M+H]。
1H NMR(400MHz,MeOD-d4)δ=7.99(s,1H),7.80-7.65(m,1H),4.49-4.23(m,2H),4.10-4.08(d,J=8.0Hz,2H),3.72-3.50(m,11H),2.80(s,3H),2.40-2.36(m,4H),2.10(s,4H),1.83-1.75(m,4H)。
【0160】
実施例26:化合物WX026の合成
【化83】
合成ルート:
【化84】
【0161】
ステップ1:化合物WX026の合成
反応フラスコに化合物WX025(0.03g、塩酸塩)、ジクロロメタン(2mL)を加え、そしてトリエチルアミン(14.21mg)を加え、攪拌し、最後にクロロギ酸メチル(6.37mg、5.22μL)を滴加する。15℃下で反応液を2時間攪拌する。反応液を30mLの水に注ぎクエンチし、酢酸エチルを加えて抽出し(30mL×2)、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した後、減圧濃縮して、粗生成物を得る。画分の精製(カラム:Xtimate C18 150×25mm×5μm、移動相:[水(0.04%NH3H2O+10mM NH4HCO3)-ACN]、B%:30%-55%、10.5min)により、化合物WX026を得る。
LCMS(ESI)m/z:556.4[M+H]。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ=8.00(s,1H),7.55(s,1H),6.81(s,1H),5.19(s,1H),4.34(m,1H),4.14-4.11(m,3H),3.72(s,3H),3.55-3.50(m,6H),2.70(s,3H),2.56(s,4H),2.41-2.30(m,3H),2.13(s,4H),2.01-1.98(m,2H),1.50-1.44(m,2H),1.33-1.30(m,2H)。
【0162】
実施例25及び実施例26の合成手順を参照し、化合物A2-4、下表に記載の部分1及び部分2を使用して、表中の各実施例を合成する。
【表4】
【0163】
実施例60:化合物WX060の合成
【化85】
合成ルート:
【化86】
【0164】
ステップ1:化合物WX060-1の合成
エタノール(300mL)を入れた反応瓶に、1,3-ジブロモ-2-プロパノール(5g)、N-Boc-1,4-シクロヘキサンジアミン(4.47g)、炭酸ナトリウム(19.90g)を加え、80℃下で12時間攪拌する。液体がなくなるまで反応液を減圧濃縮して、粗生成物を得る。酢酸エチル(100mL)でパルプ化し、吸引濾過し、液体がなくなるまで濾液を減圧濃縮して、化合物WX060-1を得る。
【0165】
ステップ2:化合物WX060-2の合成
0℃下で、化合物WX060-1(8g)をN,N-ジメチルホルムアミド(100mL)に溶解し、その後、tert-ブチルジフェニルクロロシラン(6.31g)、イミダゾール(3.44g)を加え、25℃に上げて4時間反応させる。反応液を濾過し、濾液に水200mLを加え、酢酸エチルで抽出する(150mL×4)。有機相を合わせ、適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過して乾燥剤を除去し、液体がなくなるまで濾液を減圧濃縮して粗生成物を得る。粗生成物に対し、自動式フラッシュクロマトシステムCOMBI-FLASH(登録商標)(SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、移動相:0~80%石油エーテル/酢酸エチル、流量80mL/min)で分離することで精製して、化合物WX060-2を得る。
【0166】
ステップ3:化合物WX060-3の合成
0℃下で、化合物WX060-2(1g)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、その後、トリフルオロ酢酸(2mL)を加え、1時間反応させた後、トリフルオロ酢酸(2mL)を追加し、引き続き2時間反応させる。反応液に30mLの水を加えた後、酢酸エチルで抽出する(4×20mL)。有機相を合わせ、適量の無水硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過して乾燥剤を除去し、液体がなくなるまで濾液を減圧濃縮して、粗生成物を得る。粗生成物に対し、自動式フラッシュクロマトシステムCOMBI-FLASH(登録商標)(SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、移動相:0~7%ジクロロメタン/メタノール石油エーテル/酢酸エチル、流量80mL/min)で分離して
精製することで、化合物WX060-3を得る。
LCMS(ESI)m/z:409.1[M+H]+。
【0167】
ステップ4:化合物WX060-4の合成
中間体A2の合成手順を参照し、化合物A2-4、化合物WX060-3を使用して、化合物WX060-4を合成する。
【0168】
ステップ5:化合物WX060-5の合成
化合物WX001の合成手順を参照し、化合物WX060-4、中間体B2を使用して、化合物WX060-5を合成する。
【0169】
ステップ6:化合物WX060の合成
化合物WX060-5(0.03g)を無水テトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、その後、テトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(1M、82.99μL)を加え、15℃下で、窒素ガス保護下で12時間反応させる。液体がなくなるまで反応液を減圧濃縮して、粗生成物を得る。HPLC(カラム:Welch Xtimate C18150×25mm×5μm、移動相:A:10mMのNH4HCO3を含む水溶液,B:アセトニトリル、勾配:B%:20%~50%、10.5min)により分離して、化合物WX060を得る。
LCMS(ESI)m/z:485.3[M+1]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=9.48-9.36(m,1H),8.10-7.81(m,1H),7.63(s,1H),6.48-6.43(m,1H),5.29(d,J=6.8Hz,1H),4.41-4.40(m,1H),4.20-4.13(m,2H),4.04-4.01(m,2H),3.56-3.47(m,4H),3.45-3.42(m,3H),2.74(s,5H),2.08-1.97(m,6H),1.88-1.86(m,2H),1.58-1.55(m,1H),1.11-1.10(m,1H)。
【0170】
試験例1:インビトロ酵素活性評価
33P同位体標識によるキナーゼ活性試験(Reaction Biology Corp)でIC50値を測定することで、被験化合物のヒトIRAK4に対する阻害作用を評価する。
【0171】
バッファーの構成は次のとおりである。20mMのHepes(pH7.5)、10mMのMgCl2、1mMのEGTA、0.02%Brij35、0.02mg/mLのBSA、0.1mMのNa3VO4、2mMのDTT、1%DMSO。
【0172】
試験手順は次のとおりである。室温下で、被験化合物をDMSOに溶解して10mMの溶液を調製する。新しく調製したバッファーに基質を溶解し、被験キナーゼを加え、均一に混合する。音響学的手法(Echo 550)で被験化合物を溶解したDMSO溶液を、均一に混合した前記反応液に加える。反応液中の化合物の濃度は10μM、3.33μM、1.11μM、0.370μM、0.123μM、41.2nM、13.7nM、4.57nM、1.52nM、0.508nMである。15分間インキュベートした後、33P-ATP(活性は0.01μCi/μL、濃度の対応は表1に記載)を加え反応を開始させる。IRAK4及び基質に関するカタログ番号、ロット番号及び反応液中の濃度情報は表1に示す。室温下で2時間反応させた後、反応液をP81イオン交換濾紙(Whatman、カタログ番号3698-915)にスポットする。0.75%リン酸溶液で濾紙を繰り返し洗浄した後、濾紙に残留したリン酸化基質の放射能を測定する。キナーゼ活性データは被験化合物に対応するキナーゼ活性とブランク群(DMSOのみ)のキナーゼ活性の比で示し、Prism4(GraphPad)で曲線あてはめを行って、IC50
値を得る。試験結果を表2に示す。
【0173】
【0174】
結論:本発明の化合物は一般的にIRAK4に良好な阻害活性を示す。
【0175】
試験例2:肝ミクロソームにおけるインビトロ安定性評価
肝ミクロソームにおける代謝安定性試験
被験化合物の濃度は1μMである。還元型補酵素II再生系の存在下で、37℃水浴においてタンパク質濃度0.5mg/mLの肝ミクロソームとインキュベートする。
【0176】
1)陽性対照は、テストステロン(3A4基質)、プロピルアミンプロピオフェノン(2D6基質)、ジクロフェナク(2C9基質)である。陽性対照と化合物は同一の条件でインキュベートする。
2)反応時間は、0、5分、10分、20分、30分、60分である。対応する時間で内部標準物質を含む停止液で反応を停止させる。還元型補酵素II再生系のない環境で、化合物をミクロソームと60分間インキュベートするものを陰性対照とする。
3)各時間はサンプル数量が1つである(n=1)。
4)LC/MS/MSでサンプルを測定し、化合物の濃度は化合物のピーク面積と内部標準物質のピーク面積との比で示す(非標準曲線)。
5)試験の結果として、半減期及びクリアランスを算出する。
6)下式でクリアランスを算出する。
【数1】
【数2】
【数3】
Microsomal protein in incubation:ミクロソームタンパク質とのインキュベーション。
Microsomes:ミクロソーム。
Liver:肝臓。
bodyweight:体重。
【0177】
試験結果を表3にまとめる。
【表7】
Cl
int:内部クリアランス。
Re
1h%:1時間後の化合物の残留量。
【0178】
結論:本発明の化合物の代表例と参照化合物(WXR1)を比べると、多くの生物種の肝ミクロソームにおいてより優れた安定性を示し、特に一部の生物種では、優越性試験でクリアランスが20倍以上に達する(マウス)。
【0179】
試験例3:インビトロ細胞活性評価
THP-1による細胞学TNFa ELISA試験
1.試験材料:
THP-1ヒト急性単球性白血病細胞株はATCCから購入し(カタログ番号TIB-202)、37℃の5%CO2インキュベーターで培養する。
【0180】
培地の成分は、RPMI1640(Gibco、カタログ番号22400-105)であり、追加の成分は10%FBS(Gibco、カタログ番号10091148)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン溶液(PenStrep)(Gibco、カタログ番号15140)、0.05mMの2-メルカプトエタノール(Sigma、カタログ番号M6250)である。
【0181】
2.試験手順:
TNF-a Elisaキットで細胞培養上清サンプル中のTNF-a含有量を検出する。TNF-aは150ng/mLのLPS(Sigma、カタログ番号L6529)がTHP-1細胞を刺激して生成される。
【0182】
通常培養した対数増殖期THP-1細胞を所定の濃度(1×105/100μL)で96ウェルプレート(Corning、カタログ番号3599)に接種し、その後、細胞インキュベーターに入れてインキュベートする。2時間後に、異なる濃度の被験化合物16.7μL(8×最終濃度)を加え、インキュベーターでインキュベートする。1時間後に、1200ng/mLのLPS16.7μLを加え、インキュベーターでインキュベートする。18時間後に、遠心分離し培養上清サンプルを収集する。TNF-a ElisaキットでTNF-aの含有量を検出する。最後にenvisionプレートリーダーにおいてOD信号(OD450-OD570)を読み取る。
【0183】
3.データ分析:
OD450-OD570信号値をパーセンテージ阻害率に変換する。
【数4】
ここで、「HPE」はLPSによる細胞刺激のない対照ウェルのOD450-OD570信号値であり、「ZPE」はLPSによる細胞刺激のある対照ウェルのOD450-OD570信号値である。excelのアドインXLFitで化合物のIC
50値を算出する。
【0184】
【0185】
試験結果を表4にまとめる。
【0186】
【0187】
結論:本発明の化合物はTHP-1細胞において一般的に細胞の増殖に良好な阻害活性を示す。
【0188】
試験例4:インビボ薬物動態研究
SDラットに対する被験化合物の経口投与及び静脈内注射による薬物動態研究
被験化合物を10%メチルピロリドン/10%ポリエチレングリコールステアレート/80%水溶液と混合して、ボルテックス及び超音波処理により、1.5mg/mLの透明溶液を得、多孔質膜で濾過する。7ないし10週齢の雄性SDラットを用い、静脈内注射で被験化合物溶液を投与し、用量は3mg/kgである。被験化合物を0.5%メチルセルロース水溶液と混合し、ボルテックス及び超音波処理により、2mg/mLの懸濁液を得る。7ないし10週齢の雄性SDラットを用い、経口投与で被験化合物溶液を投与し、用量は10mg/kgである。所定の時間後、全血を採取し、血漿を取得する。LC-MS/MSで薬物濃度を分析し、Phoenix WinNonlin(米Pharsight)で薬物動態パラメータを算出する。試験結果を表7に示す。
【表9】
【0189】
結果:同じ投与量においては、本発明の複数の化合物は経口投与後に、全身暴露量、最高血中濃度、生物学的利用能において参照化合物WXR2(ND-2110)と同等であり、又は優れている薬物動態特性を示す。
【0190】
試験例5:インビボ薬力学研究
SDラットにおけるリポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に関するインビボ薬力学研究
1.モデル作成及び投与
SDラットに溶媒、陽性薬物デキサメタゾン(DEX、0.5mg/kg)、被験化合物をそれぞれ経口投与し、投与から30分間後に、LPS(1mg/kg)を腹腔内注射する。LPS注射から2時間後に、CO2によって動物の安楽死を実施し、心臓から採血してEDTA-K2を含む抗凝固管に入れ、一部抗凝固血を遠心分離して、-80℃で血漿を冷凍保存する。
【0191】
2.TNF-a及びIl-1bの検出
-80℃の冷蔵庫から血漿を取り出し、室温で解凍し、ELISAキット取扱説明書に従って血漿中のTNF-a濃度を検出する。
【0192】
3.統計処理
試験データは平均値±標準誤差(Mean±SEM)で示し、TNF-a濃度に一元配置分散分析(One-way ANOVA)を適用し、p<0.05は有意差がある。SDラットにおけるリポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に関するインビボ薬力学研究の結果を
図1、
図2に示す。
【0193】
図1の結果から分かるように、同じ投与量においては、SDラットに化合物WX001を経口投与した後、リポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に対し、参照化合物W
XR2(ND-2110)、WXR3(BAY-1830839)、WXR4(BAY-1834845)より明らかに優れた阻害効果を示す。本発明では、WX001の効果はデキサメタゾンDEXの効果と同等である。
【0194】
図2の結果から分かるように、同じ投与量においては、SDラットに化合物WX001、WX026、WX044を経口投与した後、リポ多糖(LPS)が誘導するTNF-a分泌に対し明らかな阻害効果を示す。本発明では、WX026の効果はデキサメタゾンDEXの効果と同等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0195】
【文献】PCT国際出願第WO2017205762号
【文献】PCT国際出願第WO2012097013号
【文献】PCT国際出願第WO2017186700号
【文献】PCT国際出願第WO2017186689号