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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
B65D51/22 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021109090
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006472
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132521(JP,A)
【文献】実開昭58-156467(JP,U)
【文献】実開昭54-023058(JP,U)
【文献】特開2020-083369(JP,A)
【文献】特開平11-180465(JP,A)
【文献】特開2008-207863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0114595(US,A1)
【文献】特開2021-123409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部の上端開口を覆う被覆壁を有し、前記被覆壁に前記容器本体内に連通する連通孔が形成されたキャップ本体と、
前記キャップ本体または前記口部に、キャップ軸回りの回転に伴い上下動可能に設けられるとともに、内容物の注出孔が、キャップ軸回りの位置、および流路断面積を互いに異ならせて複数形成された注出部材と、を備え、
複数の前記注出孔は、前記連通孔を通して前記容器本体内に連通し、
前記キャップ本体は、
前記被覆壁における前記連通孔の開口周縁部から上方に向けて延びる連通筒と、
前記キャップ本体に破断可能な弱化部を介して連結されるとともに、前記連通孔を閉塞する栓体と、を備え、
前記注出部材は、
前記連通筒の内周面に離反可能に当接し、前記連通孔と前記注出孔との連通を遮断するシール部と、
前記連通筒に上下摺動可能に外嵌された外シール筒と、
前記栓体に係合し、前記注出部材および前記栓体のキャップ軸回りの相対回転を規制する第1係止部と、
前記栓体に係合し、前記注出部材に対する前記栓体の下方移動を規制する第2係止部と、
を備え、
前記外シール筒が前記連通筒に外嵌した状態で、前記シール部が前記連通筒の内周面から離れ、前記連通孔と前記注出孔とが互いに連通する、注出キャップ。
【請求項2】
前記注出部材は、前記キャップ本体または前記口部に着脱可能に設けられている、請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
前記連通筒の上端部に、径方向の外側に向けて湾曲したリップ部が形成されている、請求項1または2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体および前記注出部材には、前記注出部材が、前記キャップ本体に対してキャップ軸回りに回転しつつ上昇したときに、互いがキャップ軸回りに当接する当接部が各別に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の注出キャップ。
【請求項5】
複数の前記注出孔を閉塞する閉塞部材を備え、
前記閉塞部材は、前記注出部材に、複数の前記注出孔を閉塞する閉位置と、複数の前記注出孔を開放する開位置と、の間を移動可能に外装されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、容器本体の口部の上端開口を覆う被覆壁を有し、被覆壁に容器本体内に連通する連通孔が形成されたキャップ本体と、キャップ本体に着脱可能に設けられるとともに、内容物の注出孔が、キャップ軸回りの位置、および流路断面積を互いに異ならせて複数形成された注出部材と、を備え、複数の注出孔は、連通孔を通して容器本体内に連通し、キャップ本体は、キャップ本体に破断可能な弱化部を介して連結されるとともに、連通孔を閉塞する栓体を備えた注出キャップが知られている。
この注出キャップでは、複数の注出孔の中から1つの注出孔を選んで、その注出孔が下方を向くように容器本体を傾けることで、注出される内容物の流量を選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-136267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の注出キャップでは、開封に際し、注出部材をキャップ本体から外して被覆壁を開放した状態で、リングを有する栓体を引き上げ、弱化部を破断して連通孔を開放し、その後、注出部材を再びキャップ本体に装着する必要があり、開封時の操作性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、開封時の操作性を向上させることができる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る注出キャップは、容器本体の口部の上端開口を覆う被覆壁を有し、前記被覆壁に前記容器本体内に連通する連通孔が形成されたキャップ本体と、前記キャップ本体または前記口部に、キャップ軸回りの回転に伴い上下動可能に設けられるとともに、内容物の注出孔が、キャップ軸回りの位置、および流路断面積を互いに異ならせて複数形成された注出部材と、を備え、複数の前記注出孔は、前記連通孔を通して前記容器本体内に連通し、前記キャップ本体は、前記被覆壁における前記連通孔の開口周縁部から上方に向けて延びる連通筒と、前記キャップ本体に破断可能な弱化部を介して連結されるとともに、前記連通孔を閉塞する栓体と、を備え、前記注出部材は、前記連通筒の内周面に離反可能に当接し、前記連通孔と前記注出孔との連通を遮断するシール部と、前記連通筒に上下摺動可能に外嵌された外シール筒と、前記栓体に係合し、前記注出部材および前記栓体のキャップ軸回りの相対回転を規制する第1係止部と、前記栓体に係合し、前記注出部材に対する前記栓体の下方移動を規制する第2係止部と、を備え、前記外シール筒が前記連通筒に外嵌した状態で、前記シール部が前記連通筒の内周面から離れ、前記連通孔と前記注出孔とが互いに連通する。
【0007】
注出部材が、栓体に係合する第1係止部および第2係止部を備えているので、注出部材を、キャップ本体に対してキャップ軸回りに回転させつつ上昇させると、注出部材から栓体にキャップ軸回りの回転力および引き上げ力が加えられることとなり、弱化部が破断されて連通孔が開放される。この際、第2係止部が栓体に係合し、注出部材に対する栓体の下方移動が規制されているので、弱化部の破断に伴い栓体が落下するのを防止することができる。
以上より、開封時の操作性を向上させることができる。
注出部材をキャップ本体に対して上昇させ、連通孔を通して容器本体内と注出孔とを互いに連通させた状態で、複数の注出孔の中から1つの注出孔を選んで、その注出孔が下方を向くように容器本体を傾けることで、注出される内容物の流量を選択することができる。
注出部材が、連通筒の内周面に離反可能に当接したシール部と、連通筒に外嵌された外シール筒と、を備え、シール部および外シール筒が、同一の連通筒に当接しているので、注出部材をキャップ本体に対して上昇させる前の待機時に、容器本体の内容物を確実に密封することができるとともに、連通孔から注出孔に至る流路のうち、前記待機時に、注出孔に連通し、注出孔を通して外部に連通可能となる部分を狭く抑えることができる。
【0008】
前記注出部材は、前記キャップ本体または前記口部に着脱可能に設けられてもよい。
【0009】
注出部材が、キャップ本体または口部に着脱可能に設けられているので、注出部材をキャップ本体または口部から外し連通孔を開放した状態で容器本体を傾けると、連通孔を通して大量の内容物を注出することができる。
【0010】
前記連通筒の上端部に、径方向の外側に向けて湾曲したリップ部が形成されてもよい。
【0011】
連通筒の上端部に、径方向の外側に向けて湾曲したリップ部が形成されているので、容器本体を傾けて、連通孔を通して内容物を容易に注出することができるとともに、この注出後、容器本体を正立姿勢に戻したときに、内容物が連通筒の外周面に沿って垂れ落ちにくくすることが可能になり、優れた液切れ性を具備させることができる。
【0012】
前記キャップ本体および前記注出部材には、前記注出部材が、前記キャップ本体に対してキャップ軸回りに回転しつつ上昇したときに、互いがキャップ軸回りに当接する当接部が各別に形成されてもよい。
【0013】
キャップ本体および注出部材に、注出部材が、キャップ本体に対してキャップ軸回りに回転しつつ上昇したときに、互いがキャップ軸回りに当接する当接部が各別に形成されているので、注出部材がキャップ本体に対して上昇し、連通孔を通して容器本体内と注出孔とが互いに連通した状態を、使用者に認識させることができる。
【0014】
複数の前記注出孔を閉塞する閉塞部材を備え、前記閉塞部材は、前記注出部材に、複数の前記注出孔を閉塞する閉位置と、複数の前記注出孔を開放する開位置と、の間を移動可能に外装されてもよい。
【0015】
複数の注出孔を閉塞する閉塞部材を備えているので、注出部材をキャップ本体に対して上昇させる前の待機時に、注出孔内に残存した内容物が垂れ落ちること等を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、開封時の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の注出キャップの縦断面図である。
図2図1の注出キャップにおいて、注出部材をキャップ本体に対して上昇させた状態を示す縦断面図である。
図3】第2実施形態の注出キャップの縦断面図である。
図4図3の注出キャップを右側から見た図である。
図5図3の注出キャップを左側から見た図である。
図6図4の注出キャップにおいて、閉塞部材が開位置に位置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、注出キャップの第1実施形態について説明する。
注出キャップ1は、図1および図2に示されるように、キャップ本体11および注出部材12を備えている。キャップ本体11および注出部材12はそれぞれ、有頂筒状に形成されている。キャップ本体11および注出部材12は、共通軸と同軸に配設されている。
以下、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見て、キャップ軸Oに交差する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
キャップ本体11は、被覆壁21および本体周壁22を有する有頂筒状に形成されている。なお、キャップ本体11は、被覆壁21を底壁に有する有底筒状に形成されてもよい。
【0020】
被覆壁21は、容器本体Wの口部W1の上端開口縁に配置され、口部W1の上端開口を覆う。被覆壁21に、容器本体W内に連通する連通孔23が形成されている。被覆壁21に、下方に向けて突出し、口部W1内に嵌合されたシール筒24が形成されている。連通孔23およびシール筒24は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
本体周壁22は、被覆壁21の外周縁から下方に向けて延びている。本体周壁22は、口部W1に対して、上下方向および周方向の移動が規制された状態で装着されている。本体周壁22の下部に、周方向に延びる破断可能な弱化ラインが形成されている。本体周壁22のうち、弱化ラインより下方に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出した不図示の摘み部が形成されている。
【0021】
キャップ本体11は、被覆壁21における連通孔23の開口周縁部から上方に向けて延びる連通筒25と、キャップ本体11に破断可能な弱化部26を介して連結されるとともに、連通孔23を閉塞する栓体27と、を備えている。
【0022】
連通筒25の上端部に、径方向の外側に向けて尖るように湾曲したリップ部25aが形成されている。リップ部25aは、周方向の全長にわたって連続して延びている。
栓体27は、多段の有頂筒状に形成されている。栓体27の上端部は、連通筒25の上端部より上方に位置している。栓体27の下端部は、連通筒25の内周面における上下方向の中間部に、弱化部26を介して連結されている。弱化部26は、周方向の全長にわたって連続して延びている。
被覆壁21には、上方に向けて突出し、連通筒25を径方向の外側から囲う雄ねじ筒28が形成されている。雄ねじ筒28の上端部は、連通筒25の上端部より下方に位置している。
雄ねじ筒28、連通筒25および栓体27は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
【0023】
注出部材12は、頂壁31および雌ねじ筒32を有する有頂筒状に形成されている。
雌ねじ筒32は、キャップ本体11の雄ねじ筒28に螺着されている。これにより、注出部材12は、キャップ本体11にキャップ軸O回りの回転に伴い上下動可能に設けられている。図示の例では、注出部材12は、キャップ本体11に着脱可能に設けられている。注出部材12は、例えば打栓等によりキャップ本体11に装着される。
なお、雌ねじ筒32は、容器本体Wの口部W1に螺着されてもよい。
【0024】
注出部材12は、シール部33、外シール筒34、第1係止部35、および第2係止部36を備えている。
【0025】
シール部33は、連通筒25の内周面に離反可能に当接し、連通孔23と後述の注出孔13との連通を遮断する。図示の例では、シール部33は、頂壁31から下方に向けて延びる筒状に形成され、連通筒25内に着脱可能に嵌合されている。シール部33は、連通筒25の内周面と、栓体27の外周面と、の間に差し込まれている。
外シール筒34は、連通筒25に上下摺動可能に外嵌されている。外シール筒34は、連通筒25の外周面に液密に当接している。外シール筒34は、頂壁31から下方に向けて延びている。外シール筒34の下端部は、シール部33の下端部より下方に位置している。外シール筒34は、連通筒25の外周面と、雄ねじ筒28の内周面と、の間に差し込まれている。
【0026】
注出部材12が、キャップ本体11に対してキャップ軸O回りに回転しつつ上昇したときに、図2に示されるように、外シール筒34が連通筒25に外嵌した状態で、シール部33が連通筒25の内周面から離れ、連通孔23と注出孔13とが互いに連通する。シール部33および外シール筒34は、キャップ軸Oと同軸に配設されている。
【0027】
第1係止部35は、栓体27に係合し、注出部材12および栓体27のキャップ軸O回りの相対回転を規制する。第1係止部35は、シール部33から径方向の内側に向けて突出している。第1係止部35は、栓体27の外周面に周方向に間隔をあけて形成された複数の第1突起27a同士の間に挿入され、第1突起27aに対して周方向に当接、若しくは近接している。
【0028】
第2係止部36は、栓体27に係合し、注出部材12に対する栓体27の下方移動を規制する。第2係止部36は、シール部33において、第1係止部35より下方に位置する部分から径方向の内側に向けて突出している。第2係止部36は、周方向に延びる突条状に形成されている。第2係止部36は、栓体27の外周面に形成された、周方向に延びる突条状の第2突起27bにアンダーカット嵌合している。
【0029】
注出部材12には、内容物の注出孔13が、キャップ軸O回りの位置、および流路断面積を互いに異ならせて複数形成されている。複数の注出孔13は、連通孔23を通して容器本体W内に連通する。
【0030】
図示の例では、注出孔13は、キャップ軸Oを径方向に挟む両側に1つずつ設けられている。複数の注出孔13は、径方向の外側に向けて開口している。なお、注出孔13は、3つ以上設けてもよく、例えば上方等に向けて開口してもよい。注出部材12は、雌ねじ筒32から径方向の外側に向けて突出し、内側が注出孔13とされた注出筒38を備えている。注出筒38は、外シール筒34内に連通している。
【0031】
キャップ本体11および注出部材12には、注出部材12が、キャップ本体11に対してキャップ軸O回りに回転しつつ上昇したときに、互いがキャップ軸O回りに当接する第1当接部41、および第2当接部42が各別に形成されている。
第1当接部41は、雄ねじ筒28の上端開口縁から上方に向けて突出し、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。第2当接部42は、雌ねじ筒32の内周面から径方向の内側に向けて突出し、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。第2当接部42の上端部は、注出筒38の下端部に連結されている。
【0032】
図示の例では、第1当接部41および第2当接部42は、弾性変形可能に形成されており、互いに周方向に乗越え可能となっている。第1当接部41および第2当接部42は、互いが周方向に乗越えたときに弾かれて、使用者が聞こえる程度の音が鳴るように形成されている。これにより、注出部材12がキャップ本体11に対して上昇し、連通孔23を通して容器本体W内と注出孔13とが互いに連通した状態を、使用者に確実に認識させることができる。
【0033】
第1当接部41および第2当接部42が、キャップ軸O回りに互いに当接した状態で、図2に示されるように、弱化部26が破断され、外シール筒34は、連通筒25の外周面に液密に当接したまま、シール部33は、連通筒25の内周面から離れ、連通孔23を通して容器本体W内と注出孔13とが互いに連通する。図示の例では、この際、外シール筒34は、連通筒25の外周面と、雄ねじ筒28の内周面と、の間に差し込まれている。
【0034】
次に、注出キャップ1の作用について説明する。
【0035】
注出部材12を、キャップ本体11に対してキャップ軸O回りに回転させつつ上昇させると、注出部材12が、栓体27に係合する第1係止部35および第2係止部36を備えているので、注出部材12から栓体27にキャップ軸O回りの回転力および引き上げ力が加えられることとなり、弱化部26が破断されて連通孔23が開放される。この際、第2係止部36が栓体27の第2突起27bに係合し、注出部材12に対する栓体27の下方移動が規制されているので、弱化部26の破断に伴い栓体27が落下するのを防止することができる。
【0036】
そして、前述のように、第1当接部41および第2当接部42が、キャップ軸O回りに互いに当接した状態で、図2に示されるように、外シール筒34が、連通筒25の外周面に液密に当接したまま、シール部33が、連通筒25の内周面から離れ、連通孔23を通して容器本体W内と注出孔13とが互いに連通する。
その後、複数の注出孔13の中から1つの注出孔13を選んで、その注出孔13が下方を向くように容器本体Wを傾けることで、注出される内容物の流量を選択することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態による注出キャップ1によれば、注出部材12が、栓体27に係合する第1係止部35および第2係止部36を備えているので、開封時の操作性を向上させることができる。
【0038】
注出部材12が、連通筒25の内周面に離反可能に当接したシール部33と、連通筒25に外嵌された外シール筒34と、を備え、シール部33および外シール筒34が、同一の連通筒25に当接しているので、注出部材12をキャップ本体11に対して上昇させる前の待機時に、容器本体Wの内容物を確実に密封することができるとともに、連通孔23から注出孔13に至る流路のうち、前記待機時に、注出孔13に連通し、注出孔13を通して外部に連通可能となる部分を狭く抑えることができる。
【0039】
注出部材12が、キャップ本体11または口部W1に着脱可能に設けられているので、注出部材12をキャップ本体11または口部W1から外し連通孔23を開放した状態で容器本体Wを傾けると、連通孔23を通して大量の内容物を注出することができる。
【0040】
連通筒25の上端部に、径方向の外側に向けて湾曲したリップ部25aが形成されているので、容器本体Wを傾けて、連通孔23を通して内容物を容易に注出することができるとともに、この注出後、容器本体Wを正立姿勢に戻したときに、内容物が連通筒25の外周面に沿って垂れ落ちにくくすることが可能になり、優れた液切れ性を具備させることができる。
【0041】
キャップ本体11および注出部材12に、注出部材12が、キャップ本体11に対してキャップ軸O回りに回転しつつ上昇したときに、互いがキャップ軸O回りに当接する第1当接部41および第2当接部42が各別に形成されているので、注出部材12がキャップ本体11に対して上昇し、連通孔23を通して容器本体W内と注出孔13とが互いに連通した状態を、使用者に認識させることができる。
【0042】
次に、第2実施形態に係る注出キャップ2を、図3図6を参照しながら説明する。
なお、第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0043】
本実施形態では、複数の注出孔13を閉塞する閉塞部材43を備えている。閉塞部材43は、注出部材12に、複数の注出孔13を閉塞する閉位置と、複数の注出孔13を開放する開位置と、の間を移動可能に外装されている。閉塞部材43は、カバー天壁44およびカバー周壁45を備えた有頂筒状に形成され、注出部材12にキャップ軸O回りに回転可能に外装されている。カバー周壁45は、注出部材12の雌ねじ筒32に、上方移動が抑止された状態で、キャップ軸O回りに回転可能に外嵌されている。
【0044】
カバー天壁44に、径方向の外側に向けて突出し、注出筒38を注出筒38の上方から覆うひさし壁44aが形成されている。ひさし壁44aは、注出筒38の数量に対応して複数設けられ、複数の注出筒38を各別に覆っている。ひさし壁44aにおける径方向の外端部に、下方に向けて突出し、注出筒38の先端開口縁に当接、若しくは近接した蓋壁46が形成されている。蓋壁46に、径方向の内側に向けて突出し、注出筒38の先端開口、つまり注出孔13に離脱可能に嵌合された膨出部46aが形成されている。膨出部46aが、注出孔13に嵌合されることにより、注出部材12に対する閉塞部材43の閉位置が決められる。
【0045】
図4および図5に示されるように、カバー周壁45において、蓋壁46と径方向で対向する部分、およびこの部分から周方向の一方側に離れた部分にわたる所定領域に切欠き部45aが形成されている。切欠き部45aは、カバー周壁45に周方向に間隔をあけて2つ設けられている。2つの切欠き部45aは、周方向の全長にわたって、径方向で互いに対向している。切欠き部45aは、蓋壁46を正面から見て、蓋壁46から左側に向けて延びている。切欠き部45aを通して、注出筒38がカバー周壁45から径方向の外側に向けて突出している。
【0046】
注出部材12の雌ねじ筒32の上端部において、切欠き部45aの内側に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出するストッパ突起32aが形成されている。ストッパ突起32aは、注出筒38の上端部に、注出筒38の周方向の一方側から隣接している。ストッパ突起32aは、注出部材12に対して閉塞部材43が閉位置に位置した状態で、蓋壁46に覆われている。
【0047】
図6に示されるように、閉塞部材43を、注出部材12に対して周方向の他方側に回転させ、切欠き部45aの内面における周方向の一方側の端部を、ストッパ突起32aに当接させることにより、注出部材12に対する閉塞部材43の開位置が決められる。この際、蓋壁46が注出筒38から周方向の他方側に離れ、注出孔13が開放される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態による注出キャップ2によれば、複数の注出孔13を閉塞する閉塞部材43を備えているので、注出部材12をキャップ本体11に対して上昇させる前の待機時に、注出孔13内に残存した内容物が垂れ落ちること等を防ぐことができる。
【0049】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0050】
第1当接部41および第2当接部42は、互いに周方向に乗越え不能な剛性を有するように形成されてもよい。
この場合、注出部材12を、キャップ本体11または口部W1に対してキャップ軸O回りに回転させ上昇させる過程において、弱化部26が破断されて、連通孔23を通して容器本体W内と注出孔13とが互いに連通した状態で、第1当接部41および第2当接部42が、キャップ軸O回りに互いに当接することにより、注出部材12がこれ以上移動することが規制される。これにより、内容物の注出に際し、注出部材12をキャップ本体11または口部W1から外さず、専ら注出孔13から内容物を注出することができる。
【0051】
注出部材12は、キャップ本体11または口部W1に離脱不能に設けられてもよい。
第1当接部41および第2当接部42は設けなくてもよい。
連通筒25の上端部にリップ部25aを形成しなくてもよい。
【0052】
前記第2実施形態において、閉塞部材43が、注出部材12に閉位置と開位置との間をキャップ軸O回りに回転可能に設けられた構成を示したが、閉塞部材43が、注出部材12に閉位置と開位置との間を上下動可能に設けられてもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1、2 注出キャップ
11 キャップ本体
12 注出部材
13 注出孔
21 被覆壁
23 連通孔
25 連通筒
25a リップ部
26 弱化部
27 栓体
33 シール部
34 外シール筒
35 第1係止部
36 第2係止部
41 第1当接部(当接部)
42 第2当接部(当接部)
43 閉塞部材
O キャップ軸
W 容器本体
W1 口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6