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特許7511563CLN3の発現を調節するための化合物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】CLN3の発現を調節するための化合物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240628BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240628BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/712
A61K31/7125
A61K31/713
A61K47/02
A61K47/46
A61K9/08
A61P25/00
A61P43/00 111
A61P43/00 105
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021538176
(86)(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019050476
(87)【国際公開番号】W WO2020055917
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】62/891,127
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,067
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月12日 NCL財団、第4回 JNCL調査員シンポジウムにおいて、タイトル“Therapeutic splice-switching antisense oligonucleotides for Juvenile Batten disease”のプレゼンテーションを通じて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月12日-16日 NC2018 第16回国際会議において、タイトル“Splice-Switching Antisense Oligonucleotides to Correct CLN3 Gene Expression in Juvenile Neuronal Ceroid Lipofuscinosis“のポスターを通じて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年8月11日-9月12日 NC2018 第16回国際会議のプログラム集を通じて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】507231035
【氏名又は名称】ロザリンド フランクリン ユニバーシティー オブ メディスン アンド サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ヘイスティングス,ミシェル・エル
(72)【発明者】
【氏名】リゴ,フランク
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0268000(US,A1)
【文献】国際公開第2012/096325(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
18~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、少なくとも18個の連続した核酸塩基の部分を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記部分が、
配列番号1の5499~5701番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5514~5651番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5519~5546番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5534~5646番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5559~5631番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号1の5534~5551番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
と相補的であり、
該修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、該修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有する、
上記オリゴマー化合物。
【請求項2】
18~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
【請求項3】
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも95%または100%相補的である核酸塩基配列を有する、請求項1または2に記載のオリゴマー化合物。
【請求項4】
18~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号3~51の核酸塩基配列のうちの18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
【請求項5】
18~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、少なくとも18個の連続した核酸塩基の部分を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記部分が、
配列番号2の4837~4964番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4852~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4922~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4932~4949番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4852~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4892~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号2の4892~4909番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
と相補的であり、
該修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、該修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号2の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有する、
上記オリゴマー化合物。
【請求項6】
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号2の核酸塩基配列と少なくとも95%または100%相補的である核酸塩基配列を有する、請求項4または5に記載のオリゴマー化合物。
【請求項7】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項8】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、請求項7に記載のオリゴマー化合物。
【請求項9】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、請求項8に記載のオリゴマー化合物。
【請求項10】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-4’架橋を有する二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含み、該2’-4’架橋が、-O-CH -及び-O-CH(CH )-から選択されている、請求項9に記載のオリゴマー化合物。
【請求項11】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、非二環式の修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、請求項8に記載のオリゴマー化合物。
【請求項12】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-MOE修飾糖または2’-OMe修飾糖を含む非二環式の修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、請求項11に記載のオリゴマー化合物。
【請求項13】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾インターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項14】
a)少なくとも1つのインターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である;
b)少なくとも1つのインターヌクレオシド結合が、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合である;および/または、
c)インターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のいずれかである、
請求項13に記載のオリゴマー化合物。
【請求項15】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項16】
前記修飾核酸塩基が、5-メチルシトシンである、請求項15に記載のオリゴマー化合物。
【請求項17】
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、ヒトCLN3核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも95%相補的である、請求項1~16のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項18】
前記修飾オリゴヌクレオチドが
)18個または20個の連結ヌクレオシドからなる、あるいは、
)18個の連結ヌクレオシドからなる、
請求項1~17のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項19】
前記修飾オリゴヌクレオチドからなる、請求項1~18のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項20】
コンジュゲート部分とコンジュゲートリンカーとを含むコンジュゲート基を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項21】
一本鎖オリゴマー化合物である、請求項1~20のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項22】
請求項1~17のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、医薬組成物。
【請求項23】
前記薬学的に許容される希釈剤が、
a)リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である;または
b)人工脳脊髄液である、
請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記オリゴマー化合物の修飾オリゴヌクレオチドが、塩である、請求項22または23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記塩が、ナトリウム塩である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
CLN3と関連する疾患の治療するための医薬組成物であって、ここにおいて、
前記組成物は、請求項22~25のいずれか1項に記載の医薬組成物であるか、あるいは、請求項1~21のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物を含み;
前記治療は、CLN3と関連する疾患である個体、または前記疾患を発症するリスクがある個体に、医薬組成物を治療有効量投与することによって、前記CLN3と関連する疾患を治療することを含む、
前記医薬組成物。
【請求項27】
前記CLN3と関連する疾患が、神経変性疾患である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記神経変性疾患が、バッテン病である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記神経変性疾患の症状または特質を少なくとも1つ改善する、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記症状または特質が、運動機能不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化である、請求項28または29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記脳組織が、体性感覚皮質、視覚皮質、視床または海馬である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
in vitroにおいて、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導する、請求項1~21のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項33】
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである、請求項1~6のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項34】
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有し、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである、
請求項1または2に記載のオリゴマー化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本願は、電子形式の配列表とともに出願されている。その配列表は、2019年9月10日に作成されたBIOL0343WOSEQ_ST25.txtという名称のファイルとして提供されており、そのサイズは68KBである。電子形式の配列表内の情報は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
提供するのは、細胞または動物におけるCLN3 RNAの発現を調節するための化合物、方法及び医薬組成物であり、特定の場合では、細胞または動物におけるCLN3タンパク質の発現を調節するための化合物、方法及び医薬組成物である。このような化合物、方法及び医薬組成物は、神経変性疾患の症状または特質を少なくとも1つ改善するのに有用である。このような症状及び特質としては、運動機能不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
神経セロイドリポフスチン症(NCL)は、身体組織における脂質性色素、例えばリポフスチンの過剰な蓄積に起因する神経変性障害群の一般名である。バッテン病は、若年性神経セロイドリポフスチン症(JNCL)、若年性バッテン病、cNCL、シュピールマイヤーフォークト病またはCLN3バッテン病としても知られているが、バッテン病は、最も一般的なNCL障害である。バッテン病は、米国及び欧州において、25,000出生あたり1人ほどに見られ、他の多くの国でも世界的に報告されている。4~8歳に発症し、症状としては、運動機能の進行性の喪失、発作、失明、認知機能の喪失及び精神医学的問題が挙げられ、30歳になる前に死亡する。バッテン病は、CLN3(ceroid-lipofuscinosis,neuronal3遺伝子)の変異を原因とする常染色体劣性障害である。CLN3では、49個の変異が知られているが、バッテン病の症例の約80%が、CLN3遺伝子のエキソン7とエキソン8に及ぶ特定の欠失(CLN3Δ78)に起因する。CLN3Δ78という欠失は、フレームシフトを起こし、そのフレームシフトにより、エキソン9に未成熟終止コドンが現れる。この終止コドンにより、リソソームターゲティング配列がタンパク質から除去される。CLN3Δ78のトランケート型タンパク質産物は、長さが、野生型CLN3タンパク質の長さの33%であり、機能しないか、または部分的にしか機能しない。さらに、その短縮mRNAに対して、ナンセンス変異依存分解系が働くことで、その短縮タンパク質産物は低レベルとなることが想定される。
【0004】
バッテン病は、常染色体劣性リソソーム病である。バッテン病は、様々な器官における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積によって特徴付けられ、脳組織のみで、重篤な機能障害と細胞死が見られる。蓄積する脂質及びタンパク質は、主にミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCと、リポフスチン(加齢と関連する不溶性色素)で構成される。CLN3は、リソソーム膜及びエンドソーム膜に局在する。CLN3タンパク質の機能は、よくわかっていないが、多くの重要なプロセス、例えば、膜輸送、リン脂質分布、及び酸化ストレスに対する応答に関係している。現時点では、いずれのNCL障害にも、治療法はなく、患者の選択肢は、治療による、症状の管理に限られる(Bennett and Rakheja,Dev.Disabil.Res.Rev.2013,17,254-259を参照されたい)。
【0005】
現時点では、若年性バッテン病のような神経変性疾患を治療するための許容可能な選択肢はない。したがって、本明細書の目的は、このような疾患を治療するための化合物、方法及び医薬組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明で提供するのは、CLN3 RNAの発現を調節するための化合物、方法及び医薬組成物であり、特定の実施形態では、細胞または動物におけるCLN3タンパク質の発現を調節するための化合物、方法及び医薬組成物である。特定の実施形態では、その動物は、神経変性疾患である。特定の実施形態では、その動物は、若年性バッテン病である。特定の実施形態では、CLN3 RNAの発現を調節するのに有用な化合物は、オリゴマー化合物である。特定の実施形態では、そのオリゴマー化合物は、修飾オリゴヌクレオチドを含む。本発明で提供するのは、若年性バッテン病に対する治療用スプライススイッチングアンチセンスオリゴヌクレオチドである。本発明で提供するのは、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できるオリゴマー化合物である。
【0007】
また、提供するのは、神経変性疾患の症状または特質を少なくとも1つ改善するのに有用な方法である。特定の実施形態では、その神経変性疾患は、若年性バッテン病である。特定の実施形態では、症状及び特質には、運動タスク能力欠陥、運動技能障害、運動協調性障害、ミトコンドリアサブユニットC ATPaseの細胞内蓄積、GFAPの活性化及びアストロサイトの活性化が含まれる。特定の実施形態では、これらの症状の改善により、運動タスク能力が改善し、運動技能が改善し、運動協調性が改善し、ATPaseサブユニットCの蓄積が低減され、GFAPの活性化が低減され、アストロサイトの活性化が低減される。特定の実施形態では、本発明で提供するのは、バッテン病を治療するための修飾オリゴヌクレオチドである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】エキソン7及び8の欠失という最も一般的な変異である。図1Aには、CLN3遺伝子の概略が示されている。CLN3遺伝子は、15個のエキソンを含む。一般的な変異は、患者の85%における、エキソン7及び8の欠失(Δ78)である。図1Bには、リソソーム膜内に位置するCLN3タンパク質の概略が示されている。CLN3タンパク質は、アミノ酸を438個有するとともに、膜貫通セグメントを6個含むリソソーム膜タンパク質である。CLN3タンパク質のアミノ末端セグメント及びカルボキシ末端セグメントの両方とも、リソソームの細胞質内に位置すると予測され、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、1、2、3、4、5、6という順序である6つの推定膜貫通セグメントは、c-1-l-2-c-3-l-4-c-5-l-6-cというアミノ酸配列によって連結されており、式中、lは、内腔に位置するアミノ酸配列を示し、cは、細胞質内に位置するアミノ酸配列を示している。
図2】CLN3エキソン7及び8の欠失により、トランケート型タンパク質が生じる。CLN3Δex78遺伝子とCLN3Δex78タンパク質の概略が示されている。CLN3Δex78遺伝子は、エキソン1~6、9及び10~15を含む。エキソン7及び8の欠失により、フレームシフト変異が起こり、エキソン9に終止コドンが現れ、それにより、ナンセンス変異依存分解が行われるか、またはトランケート型タンパク質であるCLN3Δex78タンパク質が生じる。CLN3Δex78タンパク質は、アミノ酸を181個有し、推定膜貫通セグメント1、2及び3を含み、リソソームターゲティング配列が欠損している。CLN3Δex78タンパク質のアミノ末端セグメントは、リソソーム外に位置すると予測され、カルボキシ末端セグメントは、その内腔に位置すると予測されている。CLN3Δex78タンパク質のC末端がトランケートされていることにより、CLN3タンパク質のC末端に位置するリソソームターゲティング配列が欠損している。アミノ末端からカルボキシ末端方向の順で、3つの膜貫通セグメントが、c-1-l-2-c-3-lというアミノ酸配列によって連結されており、式中、lは、内腔に位置するアミノ酸配列を示し、cは、細胞質内に位置するアミノ酸配列を示している。
図3】A~Eは、スプライシングを改変するためのスプライススイッチングオリゴヌクレオチド(SSO)であり、スプライシングを改変するための修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド(SSO))の概要が示されている。Aには、修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド)の特徴の特定の例、すなわち、pre-mRNAのスプライシングの改変、修飾核酸、短いオリゴマー、安定したRNase H耐性、安全かつ低毒性、多くの細胞に自由に取り込まれること、他の小児疾患の治療用としてFDAに認可されていることが示されている。Bには、修飾糖2’O-メトキシエチル(2’-MOE)を含む第1の修飾核酸塩基が、修飾インターヌクレオシド結合(ホスホロチオエート(PS))によって、第2の核酸塩基に連結されている修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド)の一部分の例が描かれた構造図が示されている。Cには、遺伝子、その遺伝子のmRNAへの転写、及びそのmRNAへの修飾オリゴヌクレオチド(SSO)の結合の概略が示されている。Dには、FDAに認可された修飾オリゴヌクレオチド(SSO)薬であるSPINRAZA(登録商標)(ヌシネルセン)注射剤(12mg/5mL)のFDAニュースリリースの例が示されており、FDAは、脊髄性筋萎縮症用の初めての薬物を認可し、新たな療法は、希少疾患のアンメットメディカルニーズに対応するものである。Eには、FDAに認可された修飾オリゴヌクレオチド(SSO)薬であるEXONDYS51(登録商標)(エテプリルセン)注射剤のFDAニュースリリースの例が示されており、FDAは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー用の初めての薬物に対して迅速認可を行った。
図4】A~Cは、CLN3Δex78リーディングフレームを修正するためのSSOである。Aは、エキソン1~6及びエキソン9~15を含むCLN3Δex78 pre-mRNAの概略である。エキソン1~6及び9~15は、ボックスとして示されており、各エキソン間のイントロンは、線として示されており、スプライシングは、エキソン間に斜線として示されている。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)の例は、くし状の図で示されており、GCAGC・・・という核酸塩基配列を含むSSOの一部が、エキソン5の一部に結合している例が含まれる。その修飾オリゴヌクレオチド(SSO)が結合すると、エキソン4からエキソン6までのスプライシング(斜線)によって示されているように、エキソン5がスキッピングされる。Bには、エキソン1~4、6及び9~15を含むCLN3Δex578 mRNAの概略が示されている。Cは、340個のアミノ酸のタンパク質であるCLN3Δex578タンパク質の概略であり、4つの膜貫通セグメントが、リソソーム膜内に位置すると予測されている。モデル化に基づき、CLN3Δex578タンパク質のアミノ末端セグメント及びカルボキシ末端セグメントの両方とも、リソソームの細胞質内に位置すると予測され、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、1、3、5、6という順序である4つの膜貫通セグメントが、c-1-l-3-c-5-l-6-cというアミノ酸配列によって連結されており、式中、lは、内腔に位置するアミノ酸配列を示し、cは、細胞質内に位置するアミノ酸配列を示している。
図5A】SSOの誘導による、CLN3エキソン5のスキッピング、及びエキソン5スキッピングのためのSSO候補のスクリーニングである。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)1~33(配列番号3~35に対応する)に関して、修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、SSO)の誘導による、マウスCLN3エキソン5のスキッピングを調べた試験から得られたアラインメント図が示されている。マウスCLN3 pre-mRNA配列との相補的配列をそれぞれ含むSSO1~33の、mCLN3エキソン5領域及び周囲のpre-mRNAイントロンにおけるマップの概略である。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)の位置は、番号の付された線1~33として、マウスCLN3(mCLN3)pre-mRNAの上に表されている。イントロン4及びイントロン5は、黒線によって表されており、エキソン5(mCLN3エキソン5)は、灰色のボックスによって表されており、その灰色のボックスは、エキソン5を示しており、線は、挟み込んでいるイントロンを示している。示されているイントロン4標的領域は、配列番号2の4,807~4,866番目のヌクレオチドであり、エキソン5は、配列番号2の4,867~4,946番目のヌクレオチドであり、示されているイントロン5標的領域は、配列番号2の4,947~4,984番目のヌクレオチドである。
図5B】SSOの誘導による、CLN3エキソン5のスキッピング、及びエキソン5スキッピングのためのSSO候補のスクリーニングである。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)1~33(配列番号3~35に対応する)に関して、修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、SSO)の誘導による、マウスCLN3エキソン5のスキッピングを調べた試験から得られたデータが示されている。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)1~33のin vitroでの候補スクリーニングの結果が示されている。各レーンの上部に示されている修飾オリゴヌクレオチド(SSO)を個々にトランスフェクションしたマウスCLN3Δ78/Δ78細胞から抽出したRNAに対して、リアルタイムPCR(RT-PCR)を行い、その産物をアクリルアミドゲル上で分離した。エキソン5がスキッピングされたパーセンテージが、ゲルの下に示されている。「M」は、モック処置細胞を示しており、「UT」は、未処置細胞を示している。上のバンド(Δex78)は、エキソン9に未成熟終止コドンを含む、疾患と関連する短縮型のCLN3Δex78 RNAを表している。下のバンド(Δex578)は、エキソン5、7及び8が欠損しているとともに、エキソン6を有し、エキソン9~15においてリーディングフレームが修復されたCLN3Δex578 RNAを表している。エキソン5、7及び8がスキッピングされている転写産物のパーセンテージ(Δex578(%))の定量数値は、[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100]として求めたものであり、ゲルの下に示されており、実施例1の表1に記載されている。
図5C】SSOの誘導による、CLN3エキソン5のスキッピング、及びエキソン5スキッピングのためのSSO候補のスクリーニングである。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)1~33(配列番号3~35に対応する)に関して、修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、SSO)の誘導による、マウスCLN3エキソン5のスキッピングを調べた試験から得られたアラインメント図が示されている。マウスSSO-26(SSO26、SSO#26、化合物ID730500、配列番号28)と、マウスCLN3 pre-mRNA配列(配列番号2の4,927~4,961番目のヌクレオチド)との配列アラインメント図が示されている。そのpre-mRNA配列では、エキソン5は大文字で示されており、イントロン5は小文字で示されており、矢印は、5’スプライス部位を示している。
図5D】SSOの誘導による、CLN3エキソン5のスキッピング、及びエキソン5スキッピングのためのSSO候補のスクリーニングである。図5Aの特定の修飾オリゴヌクレオチドのin vivo解析の結果が示されている。PBS(-)または示されている修飾オリゴヌクレオチド(ASO)500μgでICV処置してから2週間後に、成体のホモ接合型CLN3Δex7/8マウスから、RNAから作製した海馬cDNAから増幅したCLN3スプライシング産物を単離した。
図5E】SSOの誘導による、CLN3エキソン5のスキッピング、及びエキソン5スキッピングのためのSSO候補のスクリーニングである。図5Dの解析時のCLN3Δex5/7/8のRT-PCR産物のパーセンテージ定量値([Δ578/(Δ578+Δ78)]×100)のグラフが示されている。エラーバーは、標準誤差を表している。コントロールで処置した(-)試料と比較して、一元ANOVA及びダネットの多重比較検定を行った。F(7,13)は、31.36であり、**は、P<0.01であり、****は、P<0.0001であり、Nは、ゲル上と同様に2~3匹のマウスである。マウス13は、CLN3+/Δex7/8であった。
図6】CLN3Δ78ノックインマウスであり、実施例5で論じられているCLN3Δ78ノックインマウスモデルの概略が示されており、これらのマウスが、8~12週間目までに運動タスク能力欠陥が現れ、ミトコンドリアサブユニットC ATPaseで構成された自家蛍光性貯蔵物質の細胞内蓄積、アストロサイトの活性化が見られることが示されている。このマウスモデルは、例えば、Cotman et al.,(2002),Hum.Mol.Genet.,11:2709で論じられている。
図7】送達解析であり、SSOは、CNSの全体にわたって分布することである。実施例4に論じられているような、新生仔マウスにおける修飾オリゴヌクレオチドマウスSSO-26の分布のアッセイの結果が示されている。修飾オリゴヌクレオチドの送達の解析により、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)が、CNSの全体にわたって分布することが明らかになった。修飾オリゴヌクレオチドSSO-26を脳室内(ICV)注射すると、脳における広範な送達が見られる。CLN3Δ78/Δ78マウスにおいて、SSO-26を新生仔へのICV注射によって投与し、注射から3週間後に、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)の送達を解析した。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)の免疫蛍光及び核マーカーのヘキスト染色によって、修飾オリゴヌクレオチドの分布を解析した。Aには、生後1日目(P1)に修飾オリゴヌクレオチドSSO-26の脳室内(ICV)注射によって、新生仔のCLN3Δ78/Δ78マウスを処置し、注射から3週間後に、送達解析を行った概略が示されている。Bには、右から左の順に、海馬、体性感覚皮質(ss皮質)及び視床における送達解析結果が示されている。組織ごとに4枚の画像が10倍率で示されている。各画像セットの左側の列には、修飾オリゴヌクレオチドを検出するための免疫蛍光染色結果が示されており、各画像セットの右側の列には、修飾オリゴヌクレオチドを検出するためのヘキスト染色結果が示されている。各組織の上の行には、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)から得た画像が示されており、各組織の下の行には、SSOで処置しなかったCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78未処置)から得た画像が示されている。Cには、60倍率の結果が示されている。処置したマウスでは、海馬、体性感覚皮質及び視床において、修飾オリゴヌクレオチドの染色が見られたが、未処置のマウスの修飾オリゴヌクレオチドパネルでは、シグナルは検出されなかった。ヘキスト染色を用いた場合には、処置マウス及び未処置マウスの組織のいずれでも、同程度の染色レベルが見られることから、画像化した組織は、ほぼ同じ数の細胞を含むことが示されている。
図8】マウス修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のin vivo試験であり、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のin vivo試験の概略が示されており、実施例7で論じられている実験のタイムラインが示されている。ネイキッド修飾オリゴヌクレオチドSSO-26またなネイキッドコントロールオリゴヌクレオチド(配列番号97)のいずれかをマウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。8週齢時に挙動解析を行い(ロータロッドテスト及びポールテスト)、解析を19週齢時に行った(スプライシング及び組織診断)。
図9】A~Cは、SSOが、in vivoでエキソンスキッピングを最長で19週間誘導することであり、実施例7に示されている実験結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)が、in vivoでエキソンスキッピングを最長で19週間誘導することが示されている。Aには、タイムラインの概略が示されており、マウス修飾オリゴヌクレオチドSSO-26またはコントロールの修飾オリゴヌクレオチドSSO-C(コントロール、配列番号97)のいずれかをマウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。エキソンスキッピング解析(スプライシング解析)を19週齢時に行った。Bには、処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(遺伝子型:CLN3Δ78/Δ78)の海馬から抽出したRNAのRT-PCR解析結果が示されている。左側の4つのレーンには、SSO-Cで処置した個々のマウスの結果が示されており、右側の4つのレーンには、SSO-26で処置した個々のマウスの結果が示されている。上のバンド(Δex78)は、エキソン9に未成熟終止コドンを含む、疾患と関連する短縮型のCLN3Δex78 RNAを表している。下のバンド(Δex578)は、エキソン5、7及び8が欠損しているとともに、エキソン6を有し、エキソン9~15のリーディングフレームが修復されたCLN3Δex578 RNAを表している。上のバンドは、SSO-C処置マウスとSSO-26処置マウスの両方に存在するが、下のバンドは、SSO-26処置マウスのみに見られる。Cには、SSO-Cで処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)またはSSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)における、エキソン5を有さないmRNAを表す転写産物のパーセンテージ(エキソン5がスキッピングされた割合(%))[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100]のグラフが示されている。
図10】A~Cは、SSO-26が、ATPaseサブユニットCの蓄積を低減することであり、実施例7で論じられている実験の結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26が、海馬におけるATPaseサブユニットCの蓄積を低減することが示されている。Aには、タイムラインの概略が示されており、SSO-26またはSSO-CのいずれかをCLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。追加のコントロールとして、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウスに、コントロールのオリゴヌクレオチドを生後1日目に注射した。マウスを19週間目に殺処分し、ATPaseサブユニットCの蓄積について解析した(解析)。Bには、海馬の組織切片の染色画像が示されている。左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドを注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、及びSSO-26を注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)から得た切片の画像が示されている。上の行には、ATP合成酵素サブユニットC(サブユニットC)に対して染色を行った画像が示されており、下の列には、ATP合成酵素サブユニットCに対して染色を行った画像を、ヘキストで核染色を行った画像と重ねたもの(サブユニットCヘキスト)が示されている。Cには、Bの3列の画像のそれぞれについて、ATPaseサブユニットCに対する染色が陽性である画像面積の、画像総面積に対するパーセンテージ(サブユニットC面積のパーセンテージ)のグラフが示されている。Cのデータは、実施例7の表7に示されている。
図11】A~Cは、SSO-26が、ATPaseサブユニットCの蓄積を低減することであり、実施例7で論じられている実験の結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26が、視床におけるATPaseサブユニットCの蓄積を低減することが示されている。Aには、タイムラインの概略が示されており、SSO-26またはSSO-CのいずれかをCLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。追加のコントロールとして、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウスに、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドを生後1日目に注射した。マウスを19週間目に殺処分し、ATPaseサブユニットCの蓄積について解析した(解析)。Bには、視床の組織切片の染色画像が示されている。左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、及びSSO-26を注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)から得た切片の画像が示されている。上の行には、ATP合成酵素サブユニットC(サブユニットC)に対して染色を行った画像が示されており、下の列には、ATP合成酵素サブユニットCに対して染色を行った画像を、ヘキストで核染色を行った画像と重ねたもの(サブユニットCヘキスト)が示されている。Cには、Bの3列の画像のそれぞれについて、ATPaseサブユニットCに対する染色が陽性である画像面積の、画像総面積に対するパーセンテージ(サブユニットCの面積のパーセンテージ)のグラフが示されている。Cのデータは、実施例7の表7に示されている。
図12】A~Bは、SSO-26が、アストロサイトの活性化を減弱することであり、実施例7で論じられている実験の結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26が、アストロサイトの活性化を減弱することが示されている。修飾オリゴヌクレオチドSSO-26は、CLN3Δ78/Δ78マウスにおけるアストロサイトの活性化を低減する。図10で論じられているようにしてマウスを処置し、19週間目に殺処分した。Aは、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドSSO(SSO-C)または修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のいずれかで新生仔として処置した19週齢のCLN3+/Δ78マウス及びCLN3Δ78/Δ78マウスの体性感覚(ss)皮質、視覚皮質及び視床におけるグリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)の解析であり、その処置マウスから得た体性感覚皮質(ss皮質、上の行)、視覚皮質(中央の行)及び視床(下の行)の組織切片をGFAPについて染色したものの画像が示されている。左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、及びSSO-26を注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)から得た切片の画像が示されている。Bは、対応する領域におけるGFAP蓄積の定量解析であり、平均±標準誤差として示されており、Aの3つの染色体性感覚皮質組織切片画像のそれぞれについて、GFAPに対する染色が陽性である面積の、総画像面積に対するパーセンテージ(GFAP(面積のパーセンテージ))のグラフが示されている。統計的有意性は、一元ANOVAとダネットの多重比較検定によって求めた。*は、p<0.05であり、***は、p<0.001であり、****は、p<0.0001である。Cは、対応する領域におけるGFAP蓄積の定量解析であり、平均±標準誤差として示されており、Aの3つの染色視覚皮質組織切片画像のそれぞれについて、GFAPに対する染色が陽性である面積の、総画像面積に対するパーセンテージ(GFAP(面積のパーセンテージ))のグラフが示されている。Dには、Aの3つの染色視床組織切片画像のそれぞれについて、GFAPに対する染色が陽性である面積の、総画像面積に対するパーセンテージ(GFAP(面積のパーセンテージ))のグラフが示されている。統計的有意性は、一元ANOVAとダネットの多重比較検定によって求めた。*は、p<0.05であり、***は、p<0.001であり、****は、p<0.0001である。
図13】A~Cは、SSO-26が、運動技能を改善し(ロータロッド)、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26による処置が、CLN3Δ78/Δ78マウスにおける運動欠損を和らげることであり、実施例7で論じられている実験の結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26が、運動挙動を改善し、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26が、運動技能を改善する(ロータロッド)ことが示されている。Aは、P1/2(生後1日目または2日目)にSSO-CまたはSSO-26で処置したCLN3+/Δ78マウス及びCLN3Δ78/Δ78マウスの運動機能について、加速ロータロッドにおいて、8週齢時に評価したものであり、タイムラインの概略が示されており、SSO-26またはSSO-C(コントロール、配列番号97)のいずれかをCLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。追加のコントロールとして、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウスに、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドを生後1日目に注射した。加速ロータロッドによるロータロッド解析を8週齢時に行った(挙動)。Bは、ロータロッド装置の写真である。Cは、左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドで処置したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)、コントロールのオリゴヌクレオチドで処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)、またはSSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)の落下潜時(落下潜時(秒))のグラフである。加速ロータロッドでの落下潜時は、平均±標準誤差としてプロットした。**は、p<0.01であり、***は、p<0.001であり、****は、p<0.0001である。Cのデータは、実施例7の表6に示されている。
図14】A~Cは、SSO-26による処置が、ポールテストでの成果を改善し、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26による処置が、CLN3Δ78/Δ78マウスにおける運動欠損を和らげることであり、実施例7で論じられている実験の結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26による処置が、運動挙動を改善し、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26による処置が、ポールテストでの成果を改善することが示されている。Aは、P1/2に、SSO-CまたはSSO-26で処置したCLN3+/Δ78マウス及びCLN3Δ78/Δ78マウスの運動機能について、垂直ポールテストで、8週齢時に評価したものであり、タイムラインの概略が示されており、SSO-26またはSSO-CのいずれかをCLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。追加のコントロールとして、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウスに、コントロールのオリゴヌクレオチドを生後1日目に注射した。ポールテストでの成果は、垂直ポールテスト(回転)を8週齢時に行ったものである(挙動)。Bは、ポールテストの写真である。Cは、左から右に向かって、コントロールオリゴヌクレオチドで処置したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドで処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)、またはSSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)の回転時間(回転時間(秒))のグラフである。垂直ポールにおいて、180°回転して下を向くまでの平均時間が、平均±標準誤差としてプロットされている。統計的有意性は、一元ANOVAとテューキーの多重比較検定を用いて求めた。**は、p<0.01であり、***は、p<0.001であり、****は、p<0.0001である。Cのデータは、実施例7の表6に示されている。
図15】A~Bは、SSO-26が、最長で26週間、エキソン5の安定したスプライシングを誘導することであり、実施例7で論じられている実験の結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26が、最長で26週間、エキソン5の安定したスプライシングを誘導することが示されている。図10で論じられているようにして、マウスを修飾オリゴヌクレオチドSSO-26または修飾オリゴヌクレオチドSSO-Cのいずれかで処置し、追加のコントロールとして、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウスに、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドを生後1日目に注射した。エキソン5スキッピングの解析を26週齢時に行った。Aには、左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したCLN3+/Δ78マウス(レーン1~4、CLN3+/Δ78)、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(レーン5~8、Δ78/Δ78 SSO-C)、及びSSO-26を注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(レーン9~11、CLN3Δ78/Δ78 SSO-26)の海馬から抽出したRNAのRT-PCR解析結果が示されている。FLと表記されている上のバンドは、完全長の野生型CLN3転写産物のものであり、そのバンドの真下にΔex78と表記されているバンドは、疾患と関連するCLN3Δ78転写産物のものであり、Δex578と表記されている一番下のバンドは、疾患と関連する修飾型CLN3Δ78 RNAのものであり、エキソン5がスプライシングによって除外されたものである。Bには、左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドで処置したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)、コントロールオリゴヌクレオチドで処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)、またはSSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)における、エキソン5を有さないmRNAを表す転写産物のパーセンテージ(エキソン5がスキッピングされた割合(%))のグラフが示されている。このデータは、実施例5の表4に示されている。
図16】A~Cは、CLN3 WT/Δ78線維芽細胞におけるhCLN SSOの作用であり、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)が、in vitroにおいて、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導することであり、実施例9で論じられている実験の結果が示されている。実施例9には、in vitroにおいて、ヒトCLN3エキソン5のスキッピングを誘導することによって、in vitroにおいて、ヒトCLN3 RNAの発現を調節する修飾オリゴヌクレオチドの例が示されている。この図には、CLN3 WT/Δ78線維芽細胞(CLN3+/Δ78)におけるhCLN3修飾オリゴヌクレオチドの作用の解析結果が示されている。Aでは、ヒトCLN3において、エキソン5スキッピングを最も誘導する修飾オリゴヌクレオチド(SSO)が特定されている。灰色のボックスは、エキソン5を示しており、線は、挟み込んでいるイントロンを示している。hCLN3エキソン5 pre-mRNAの上に、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)の位置が、番号の付された線1~40として表されており、ヒト修飾オリゴヌクレオチド(SSO)#1~40(配列番号57~90に対応する)の概略が示されており、それらのSSOはそれぞれ、hCLN3エキソン5領域及び周辺のpre-mRNAイントロンにおけるヒトCLN3 pre-mRNA配列と相補的な配列を含む。イントロン4及びイントロン5は、小文字で示されており、エキソン5は、灰色ボックスに囲まれた大文字で示されている(示されている標的領域は、cgtggttgggagggttgtcccctggaagctctgcggtctcactctattctcctgtcccagGCTGTGCTCCTGGCGGACATCCTCCCCACACTCGTCATCAAATTGTTGGCTCCTCTTGGCCTTCACCTGCTGCCCTACAGgtctgggtgagggtagtgggaggcagggtgggcaggagctgagaaaggggaggctgggatggc(配列番号98)という配列を有し、イントロン4は、配列番号1の5,449~5,558番目のヌクレオチドを含み、エキソン5は、配列番号1の5,559~5,638番目のヌクレオチドを含み、イントロン5は、配列番号15の5,639~5,701番目のヌクレオシドを含む)。3’スプライス部位(3’ss)及び5’スプライス部位(5’ss)が矢印で示されている。示されている修飾オリゴヌクレオチド(SSO)を個別にトランスフェクションしたヒトCLN3+/Δ78線維芽細胞から抽出したRNAに対して、RT-PCRを行い、その産物をアクリルアミドゲル上で分離した。Bには、アクリルアミドゲルの2枚の画像が示されており、CLN3+/Δ78線維芽細胞におけるエキソン5スキッピングが示されている。示されている修飾オリゴヌクレオチド(SSO)を個別にトランスフェクションしたヒトCLN3+/Δ78細胞から抽出したRNAに対して、RT-PCRを行い、その産物をアクリルアミドゲル上で分離した。エキソン5がスキッピングされたパーセンテージが、ゲルの下に示されている。「M」は、モック処置細胞を示しており、「UT」は、未処置細胞を示している。これらの線維芽細胞は、完全長の野生型CLN3 RNA(FL)と、疾患と関連する短縮型のCLN3Δex78転写産物の両方を発現する。FLと表記されている上のバンドは、完全長の野生型CLN3転写産物のものであり、そのFLバンドの真下にΔex5と表記されているバンドは、エキソン5がスプライシングによって除外された修飾型FL RNAのものである。Δex78と表記されている次のバンドは、疾患と関連するCLN3Δ78/Δ78 RNAのものであり、Δex578と表記されているその次のバンドは、疾患と関連する修飾型CLN3Δ78/Δ78 RNAのものであり、エキソン5がスプライシングによって除外されたものである。各レーンには、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)の番号に対応する番号が上に付されている。エキソン5がスキッピングされたパーセンテージの定量数値は、[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100]によって算出されており、Δex758CLN3転写産物を、Δex578CLN3転写産物とΔ78 CLN3転写産物との合計で除して、100を乗じたものである。エキソン5がスキッピングされたパーセンテージは、ゲルの下に示されているとともに、実施例9の表10に示されている。
図17図1~16に描かれているとともに、本明細書で論じられている実験に関する結論の概略が示されている。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)は、CLN3Δ78/Δ78マウスにおいて、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導して、CLN3Δ78リーディングフレームを修正する。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)は、(マウスの)新生仔に1回ICV注射後、CNSの全体にわたって広く分布する。修飾オリゴヌクレオチドSSO-26は、ATPaseサブユニットCの蓄積と、GFAPの活性化を低減する。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)による処置は、CLN3Δ78/Δ78マウスにおける運動協調性を改善する。
図18】CLN3バッテン病の症状、特質及び原因の概略が示されている。発症は、4~10歳である。症状は、失明、発作、学習遅延、言語障害及び運動協調性の喪失である。細胞の特質は、脳における自家蛍光性物質の蓄積の加速である。原因は、CLN3の変異である。主な変異は、エキソン7及び8の欠失であり、その欠失により、リーディングフレームシフトと中途終止コドンが生じる。
図19】修飾核酸、15~25ヌクレオチド長、安定かつRNase H耐性、低毒性であり、in vivoにおいて、多くの細胞に自由に取り込まれ、相補的塩基対合によって、標的mRNAに結合して、pre-mRNAスプライシングを変化させるという修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングアンチセンスオリゴヌクレオチド(SSO))の概観が示されている。
図20】A及びBに、治療的アプローチの概観が示されている。Aには、そのアプローチに関する概観が示されている。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)は、CLN3エキソン5のスキッピングを促して、そのmRNAのリーディングフレームを修復することができる。リーディングフレームの修正により、CLN3の機能が部分的に修復されることになる。Bには、そのアプローチの概略が示されており、左から右に向かって、pre-mRNA、mRNA、及び提案されているタンパク質のモデルが示されている。図には、CLN3、CLN3Δex78、及び修飾オリゴヌクレオチド(SSO)によって誘導されるCLN3Δ578アイソフォームが示されている。エキソンはボックスとして示されており、イントロンは線として示されており、スプライシングは斜線として示されている。エキソン5スキッピングにより、エキソン6にフレームシフトが生じ、エキソン9で修正が行われる。CLN3Δ78細胞におけるエキソン5スキッピングにより、CLN3Δ578 mRNAが産生され、このmRNAは、野生型CLN3 mRNAよりも短く、CLN3Δ78 mRNAよりも短いが、フレームシフトにより生じる、CLN3Δ78の未成熟終止コドンを含まなくなる。提案されているタンパク質モデルが、予測される膜タンパク質とともに示されており、このモデルは、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)により誘導されるエキソンスキッピングに起因するものである。上記のフレームシフトは、エキソン5のスキッピングによって修正される。この修正により、膜貫通セグメント1~6を含む野生型の完全長タンパク質と比べて、膜貫通セグメント1、3、5及び6のみを含む短いタンパク質が産生されるが、このタンパク質は、未成熟終止コドンが原因で、膜貫通セグメント1、2及び3しか含まない機能異常のCLN3Δ78タンパク質よりも長い。
図21】A~Iは、SSO-26が、最長で26週間、安定なエキソン5スプライシングを誘導することであり、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のCLN3 RNA発現の調節についてのアッセイ結果が示されている。P1に、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドSSO-Cまたは修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置してから3週間後(A~C)、19週間後(D~F)及び26週間後(G~I)に、CLN3+/Δ78マウス及びCLN3Δ78/Δ78マウスの海馬から抽出したRNAのRT-PCR解析を行った。これらの図には、実施例7に論じられている実験の結果が示されており、SSO-26は、エキソン5スプライシングを誘導することが示されている。Aは、SSO-26をマウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与し(P1、処置)、スプライシング解析を3週齢時に行ったものである。Bは、エキソンスキッピング解析(スプライシング解析)を3週齢時に行ったものである。処置したCLN3Δ78/Δ78マウスの海馬から抽出したRNAのRT-PCR解析である。左側の5つのレーンには、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)で処置したCLN3+/Δ78(CLN3+/Δ78)マウスから得られた結果が示されており、右側の7つのレーンには、SSO-26で処置した個々のCLN3+/Δ78マウスの結果が示されている。FLと表記されている上のバンドは、完全長の野生型CLN3転写産物のものであり、そのFLバンドの真下にΔex5と表記されているバンドは、エキソン5がスプライシングによって除外された修飾型FL RNAのものである。Δex78と表記されている次のバンドは、疾患と関連するCLN3Δ78/Δ78転写産物のものであり、Δex578と表記されているその次のバンドは、疾患と関連する修飾型CLN3Δ78/Δ78 RNAのものであり、エキソン5がスプライシングによって除外されたものである。下のバンド(Δex578)は、エキソン5、7及び8が欠損しているとともに、エキソン6を有し、エキソン9~15のリーディングフレームが修復されたCLN3Δex578 RNAのものである。上のバンドと、Δex5のバンドは、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置したCLN3+/Δ78マウスのみに存在する。Cは、右パネルに、SSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)及びCLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-26)における、エキソン5を有さないmRNAである転写産物のパーセンテージを[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100]として算出した値(エキソン5スキッピングの割合(%))のグラフが示されている。D~Fには、実施例7に示されている実験の結果が示されており、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)が、in vivoにおいて、最長で19週間、エキソンスキッピングを誘導することが示されている。Dには、タイムラインの概略が示されており、SSO-26またはSSO-Cのいずれかをマウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。エキソンスキッピング解析(スプライシング解析)を19週齢時に行った。Eには、処置したマウスの海馬から抽出したRNAのRT-PCR解析結果が示されている。マウスの遺伝子型が、ゲルの上に示されている。左側の8つのレーンには、SSO-Cで処置した個々のマウスの結果が示されており、右側の4つのレーンには、SSO-26で処置した個々のマウスの結果が示されている。左側の4つのレーンには、CLN3+/Δ78マウス(CLN3+/Δ78)の結果が示されており、右側の8つのレーンには、CLN3Δ78/Δ78マウス(CLN3Δ78/Δ78)の結果が示されている。FLと表記されている上のバンドは、完全長の野生型CLN3転写産物のものである。Δex78と表記されている中央のバンドは、エキソン9に未成熟終止コドンを含む、疾患と関連する短縮型のCLN3Δex78 RNAのものである。Δex578と表記されている下のバンドは、エキソン5、7及び8が欠損しているとともに、エキソン6を有し、エキソン9~15のリーディングフレームが修復されたCLN3Δex578 RNAのものである。FLのバンドは、SSO-Cで処置したCLN3+/Δ78マウスに存在し、下のΔ578のバンドは、SSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウスのみで見られる。Fには、SSO-Cで処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)またはSSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78(Δ78/Δ78 SSO-26)における、エキソン5を有さないmRNAである転写産物のパーセンテージ(エキソン5がスキッピングされた割合(%))を[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100]として算出した値のグラフが示されている。G~Iには、実施例7で論じられている実験の結果が示されており、SSO-26が、エキソン5の安定したスプライシングを最長で26週間誘導することが示されている。Gには、タイムラインの概略が示されており、SSO-26またはSSO-Cのいずれかをマウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。エキソンスキッピング解析(スプライシング解析)を26週齢時に行った。Hには、処置したマウスの海馬から抽出したRNAのRT-PCR解析結果が示されている。マウスの遺伝子型が、ゲルの上に示されている。左側の8つのレーンには、SSO-Cで処置した個々のマウスの結果が示されており、右側の4つのレーンには、SSO-26で処置した個々のマウスの結果が示されている。左側の4つのレーンには、CLN3+/Δ78マウス(CLN3+/Δ78)の結果が示されており、右側の8つのレーンには、CLN3Δ78/Δ78マウス(CLN3Δ78/Δ78)の結果が示されている。FLと表記されている上のバンドは、完全長の野生型CLN3転写産物のものである。Δex78と表記されている中央のバンドは、エキソン9に未成熟終止コドンを含む、疾患と関連する短縮型のCLN3Δex78 RNAのものである。Δex578と表記されている下のバンドは、エキソン5、7及び8が欠損しているとともに、エキソン6を有し、エキソン9~15のリーディングフレームが修復されたCLN3Δex578 RNAのものである。FLのバンドは、SSO-Cで処置したCLN3+/Δ78マウスに存在し、下のΔ578のバンドは、SSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウスのみで見られる。Iには、SSO-Cで処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)またはSSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78(Δ78/Δ78 SSO-26)における、エキソン5を有さないmRNAである転写産物のパーセンテージ(エキソン5がスキッピングされた割合(%))を[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100]として算出した値のグラフが示されている。データは、平均±標準誤差を示している。****は、p<0.0001である(一元ANOVA、ダネットの多重比較検定)。このデータは、実施例5の表4に示されている。
図22】A~Eは、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26による処置によって、変異マウスの脳におけるATPaseサブユニットCの蓄積が低減されることであり、ミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCに対する免疫蛍光染色結果であり、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドSSO-Cまたは修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のいずれかで、生後1日目または2日目(P1または2)に処置した19週齢のCLN3+/Δ78マウス及びCLN3Δ78/Δ78マウスの海馬(B及びC)ならびに視床(D及びE)において、核をヘキストで染色した。示されているのは、実施例7で論じられている実験の結果であり、SSO-26が、ATPaseサブユニットCを低減することが示されている。Aには、タイムラインの概略が示されており、SSO-26またはSSO-CのいずれかをCLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、生後1日目に投与した(P1、処置)。追加のコントロールとして、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウスに、コントロールのオリゴヌクレオチドを生後1日目に注射した。マウスを19週間目に殺処分し、ATPaseサブユニットCの蓄積について解析した(解析)。Bには、海馬におけるATPaseサブユニットCの蓄積の定量解析結果が示されており、海馬の組織切片の染色画像が示されている。左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、及びSSO-26を注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)から得た切片の画像が示されている。上の行には、ATP合成酵素サブユニットC(サブユニットC)に対して染色を行った画像が示されており、下の列には、ATP合成酵素サブユニットCに対して染色を行った画像を、ヘキストで核染色を行った画像と重ねたもの(サブユニットC+ヘキスト)が示されている。Cには、Bの3列の画像のそれぞれについて、ATPaseサブユニットCに対する染色が陽性である画像面積の、画像総面積に対するパーセンテージ(サブユニットCの面積のパーセンテージ)のグラフが示されている。Cのデータは、実施例7の表7に示されている。Dは、視床におけるATPaseサブユニットCの蓄積の定量解析結果であり、視床の組織切片の染色画像が示されている。左から右に向かって、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス(+/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、コントロールのオリゴヌクレオチドを注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-C)から得た切片の画像、及びSSO-26を注射したCLN3Δ78/Δ78マウス(Δ78/Δ78 SSO-26)から得た切片の画像が示されている。上の行には、ATP合成酵素サブユニットC(サブユニットC)に対して染色を行った画像が示されており、下の列には、ATP合成酵素サブユニットCに対して染色を行った画像を、ヘキストで核染色を行った画像と重ねたもの(サブユニットC+ヘキスト)が示されている。Eには、Dの3列の画像のそれぞれについて、ATPaseサブユニットCに対する染色が陽性である画像面積の、画像総面積に対するパーセンテージ(サブユニットCの面積のパーセンテージ)のグラフが示されている。カラムとバーは、平均±標準誤差を表している。統計的有意性は、一元ANOVAとダネットの多重比較検定によって求めた。*は、p<0.05であり、**は、p<0.01であり、***は、p<0.001であり、****は、p<0.0001である。D及びEのデータは、実施例7の表7に示されている。
図23図1~22に示されているとともに、本明細書で論じられているデータから導かれた結論の概略が示されている。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)は、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導し、CLN3Δ78/Δ78マウスにおいて、CLN3Δ78のリーディングフレームを修正し、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)は、(マウスにおいて、)1回、新生仔へICV注射後、CNSの全体にわたって広く分布する。修飾オリゴヌクレオチド(SSO)は、CLN3Δ78/Δ78マウスにおいて、神経病変を低減し、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)は、CLN3Δ78/Δ78マウスの運動協調性を改善する。
図24図1~24に示されているとともに、本明細書で論じられている実験の一般的概要が示されている。幼児が罹患する致命的な神経変性疾患であるCLN3バッテン病に対する有効な治療法を開発する差し迫ったニーズが存在する。今回の研究では、我々は、バッテン病の治療方法を作成する目的で、変異型遺伝子に誘導される短い修飾核酸配列を用いて、バッテン病の最も一般的な原因の発現を治療の標的とする新規アプローチの開発及び試験を行った。
図25】実施例8に従って、CLN3核酸に相補的な修飾オリゴヌクレオチドで処置した後のマウスの生存期間のグラフが示されている。線は、グラフの右側(120日)において、上から下の順で、(1)未処置のCLN3+/+マウス、(2)コントロールの修飾オリゴヌクレオチドで処置したCLN3+/Δ78マウス、(3)修飾オリゴヌクレオチド(SSO-26)で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス、(4)コントロールの修飾オリゴヌクレオチドで処置したCLN3Δ78/Δ78マウスから得たデータを表している。凡例は、上から下の順で、(1)コントロールのCLN3+/+未処置マウス(n=33)、(2)修飾オリゴヌクレオチド(コントロール)で処置したCLN3+/Δ78マウス(n=18)、(3)修飾オリゴヌクレオチド(コントロール)で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(n=14)、(4)修飾オリゴヌクレオチド(SSO-26)で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(n=10)である。
図26A】CLN3 RNAのリーディングフレームを修正する目的で、修飾オリゴヌクレオチドの誘導によって、CLN3Δex7/8のエキソン5をスキッピングすることの概略が示されている。CLN3Δ78 RNAのリーディングフレームの修正例を示す概略図が示されている。CLN3Δex7/8は、エキソン7及び8が欠損しているCLN3 RNA(CLN3Δ78)を示している。CLN3Δex5/7/8は、エキソン5、7及び8が欠損しているCLN3 RNAであって、修飾オリゴヌクレオチド(ASO-ex5)と接触した後のCLN3 RNAを示している。これらの3つのmRNAのそれぞれから翻訳されるCLN3タンパク質の長さの予測値が、図の右側に示されている。CLN3、CLN3Δex7/8(Δ78)、及び修飾オリゴヌクレオチドによって誘導されたCLN3Δex5/7/8(Δ578)のスプライシング済みpre-mRNAアイソフォームである。CLN3Δex7/8において、修飾オリゴヌクレオチドによって、エキソン5のスキッピングが誘導されると、リーディングフレームが修正され、中途終止コドンが除去される。そのタンパク質産物におけるアミノ酸(aa)が示されており、CLN3Δex7/8では、終止コドンの前に、フレームシフトが生じたaa残基が28個含まれ、CLN3Δex5/7/8では、エキソン9におけるフレームの修正前には、フレームシフトが生じたaaが29個含まれる。エキソンはボックスとして示されており、イントロンは線として示されており、スプライシングは斜線として示されている。終止コドンと、リソソームターゲティングシグナル(LTS)をコードする領域が表記されている。
図26B】ヒト修飾オリゴヌクレオチド(SSO)1~40番(配列番号57~90に対応する)の概略が示されており、各SSOは、ヒトCLN3 pre-mRNAのエキソン5領域及び周辺のpre-mRNAイントロンと相補的な配列を含む。これらの修飾オリゴヌクレオチドをアッセイして、ヒト線維芽細胞において最もCLN3エキソン5のスキッピングを誘導する修飾オリゴヌクレオチドを特定した。灰色のボックスは、エキソン5を示しており、バーは、挟み込んでいるイントロンを示している。
図26C図16の説明及び実施例9で論じられているような、CLN3+/Δ78線維芽細胞におけるエキソン5スキッピングを示すアクリルアミドゲル画像が2枚示されている。示されている修飾オリゴヌクレオチドをトランスフェクションしたヘテロ接合型hCLN3+/Δ7/8線維芽細胞から抽出したRNAに対して、放射性RT-PCRを行った。グラフにおけるエキソン5スプライシングのパーセンテージの定量値は、[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100として算出されており、対応するレーンの下方に示されている。モックで処置したコントロール(M)が含まれている。
図26D】SSO-20(ASO-20)及びSSO-28(ASO-28)の核酸塩基配列と、標的hCLN3領域とのアラインメント図が示されている。エキソン配列は大文字であり、イントロン配列は小文字である。
図26E】漸増用量のSSO-20及びSSO-28(0~100nM)で処置したホモ接合型hCLN3Δex7/8細胞(CLN3Δ78/Δ78)から単離したRNAを用いたRT-PCR解析の画像が2枚示されている。スプライシング産物が示されている。そのRT-PCR解析は本質的に、実施例10におけるように、hCLN3ex4F(5’GCAACTCTGTCTCTACGGC-3’)(配列番号52)及びhCLN3ex10R(5’CTTGAACACTGTCCACC-3’)(配列番号53)というプライマーを用いて行った。グラフ(右)は、用量の対数に対するものとして、エキソン5がスキッピングされたパーセンテージを表している。可変勾配による非線形回帰を用いてデータをフィッティングした後、半最大効果濃度(EC50)を算出することによって、その修飾オリゴヌクレオチドの効能を求めた。
図27】ヒトCLN3指向性の修飾オリゴヌクレオチドを用いた、用量依存的なエキソン5スキッピングのアッセイ結果が示されている。Aには、3.125~200nMの修飾オリゴヌクレオチドSSO-20(ASO-20)またはSSO-28(ASO-28)で処置したヘテロ接合型CLN3+/Δex7/8ヒト線維芽細胞株から単離したRNAを用いたRT-PCR解析結果の写真が示されている。スプライシング産物が表記されている。Bには、エキソン5スキッピングの定量値を[エキソン5がスキッピングされた産物/(エキソン5含有産物+エキソン5がスキッピングされた産物)×100]として算出した値(エキソン5がスキッピングされた割合(%))を、用量の対数に対して示したグラフと、半最大効果濃度(EC50)が示されている。
図28】マウス細胞において、マウスCLN3指向性修飾オリゴヌクレオチドを用いた、用量依存的なエキソン5スキッピングのアッセイ結果が示されている。Aには、SSO-26(ASO-26)と標的CLN3領域との配列のアラインメント図が示されている。CLN3のエキソンヌクレオチドは大文字で示されており、イントロンヌクレオチドは小文字で示されている。Bには、漸増濃度のSSO-26(0.391nM~200nM)をトランスフェクションしたホモ接合型mCLN3Δex7/8細胞から抽出したRNAのエキソン5スプライシングのRT-PCR解析結果の写真が示されている。Bには、エキソン5スキッピングの定量値のグラフが示されており、用量の対数に対するものとして、エキソン5がスキッピングされたパーセンテージが示されている。可変勾配による非線形回帰を用いて、データをフィッティングした後、半最大効果濃度(EC50)を算出した。
図29A】処置したマウスのCNSにおける修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のエキソン5スキッピング活性の解析結果が示されている。P1またはP2に、修飾オリゴヌクレオチドSSO-C(コントロール)またはSSO-26で処置した19週齢のCLN3+/Δex7/8マウス及びCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスの皮質、視床及び線条体から抽出したRNAのRT-PCR解析画像が示されている。
図29B】処置したマウスのCNSにおける修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のエキソン5スキッピング活性の解析結果が示されている。P1またはP2に、修飾オリゴヌクレオチドSSO-C(コントロール)またはSSO-26で処置した19週齢のCLN3+/Δex7/8マウス及びCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスの脳幹、脊髄及び腎臓から抽出したRNAのRT-PCR解析画像が示されている。
図29C】処置したマウスのCNSにおける修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のエキソン5スキッピング活性の解析結果が示されている。図29Aの解析におけるエキソン5スキッピングの定量値の棒グラフが示されている。統計的有意性は、一元ANOVA及びダネットの多重比較検定によって求めた。****は、P<0.0001である。
図29D】処置したマウスのCNSにおける修飾オリゴヌクレオチドSSO-26のエキソン5スキッピング活性の解析結果が示されている。図29Bの解析におけるエキソン5スキッピングの定量値の棒グラフが示されている。統計的有意性は、一元ANOVA及びダネットの多重比較検定によって求めた。*は、P<0.05であり、****は、P<0.0001であり、n.s.は、有意差なしである。
図30】修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置したマウスの体重を、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドSSO-Cの場合と比較して解析した棒グラフが示されている。Aには、P1またはP2に、SSO-CまたはSSO-26で処置した2カ月齢の雄及び雌のヘテロ接合型マウス及び変異マウスの体重の解析結果が示されている。Bには、P1またはP2に、SSO-CまたはSSO-26で処置した4.5カ月齢の雄及び雌のヘテロ接合型マウス及び変異マウスの体重の解析結果が示されている。Hetは、CLN3+/Δ78マウスを示し、Mutは、CLN3Δ78/Δ78マウスを示している。
図31A】修飾オリゴヌクレオチドASO-26(SSO-26)による処置が、CLN3Δex7/8マウスにおいて、ミトコンドリアATP合成酵素(SCMAS)のサブユニットCを低減することを示す実験結果を示している。P1またはP2に、コントロールASO-Cで処置した19週齢のヘテロ接合型マウスと、ASO-CまたはASO-26で処置したホモ接合型CLN3Δex7/8マウスの海馬、視床及び皮質における、SCMASに対する免疫蛍光染色結果(緑色)及び核に対する免疫蛍光染色結果(ヘキストで染色。青色)である。海馬及び皮質に関しては、CLN3+/Δex7/8 ASO-CのNは7であり、Δex7/8/Δex7/8 ASO-CのNは6であり、Δex7/8/Δex7/8 ASO-26のNは7である。視床に関しては、Nは5である。スケールバーは、100μmである。
図31B】修飾オリゴヌクレオチドASO-26(SSO-26)による処置が、CLN3Δex7/8マウスにおいて、ミトコンドリアATP合成酵素(SCMAS)のサブユニットCを低減することを示す実験結果を示している。図31AにおけるSCMASの定量解析結果である。カラムとバーは、平均±標準誤差を表している。統計的有意性は、一元ANOVA及びダネットの多重比較検定によって求めた。*は、P<0.05であり、**は、P<0.01であり、***は、P<0.001であり、****は、P<0.0001である。
図31C】修飾オリゴヌクレオチドASO-26(SSO-26)による処置が、CLN3Δex7/8マウスにおいて、ミトコンドリアATP合成酵素(SCMAS)のサブユニットCを低減することを示す実験結果を示している。新生仔として、コントロールASO(ASO-C)またはASO-26で処置した19週齢のCLN3+/Δex7/8マウス及びCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスの視床及び皮質におけるグリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)の解析写真である。スケールバーは、100μmである。
図31D】(下部):修飾オリゴヌクレオチドASO-26(SSO-26)による処置が、CLN3Δex7/8マウスにおいて、ミトコンドリアATP合成酵素(SCMAS)のサブユニットCを低減することを示す実験結果を示している。対応する領域におけるGFAPの蓄積の定量解析結果のグラフであり、平均±標準誤差として示されている。Nは、5~6匹のマウスであり、nは、45~64枚の画像フィールド/マウスである。統計的有意性は、一元ANOVA及びダネットの多重比較検定によって求めた。*は、p<0.05であり、***は、p<0.001であり、****は、p<0.0001である。
図31E】修飾オリゴヌクレオチドASO-26(SSO-26)による処置が、CLN3Δex7/8マウスにおいて、ミトコンドリアATP合成酵素(SCMAS)のサブユニットCを低減することを示す実験結果を示している。P1または2に、ASO-CまたはASO-26で処置したCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスの運動活性について、加速ロータロッドにおいて、2カ月齢時に評価した。加速ロータロッドでの落下潜時を平均±標準誤差としてプロットした(左)。ASO-Cで処置したCLN3+/Δex7/8マウスでは、Nは39であり、ASO-Cで処置したCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスでは、Nは34であり、ASO-26で処置したCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスでは、Nは31である。
図31F】修飾オリゴヌクレオチドASO-26(SSO-26)による処置が、CLN3Δex7/8マウスにおいて、ミトコンドリアATP合成酵素(SCMAS)のサブユニットCを低減することを示す実験結果を示している。運動協調性を評価するための垂直ポールテスト結果である。垂直ポールで、180°回転して下を向くまでの平均時間を平均±標準誤差としてプロットした(右)。ASO-Cで処置したCLN3+/Δex7/8マウスでは、Nは19であり、ASO-Cで処置したCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスでは、Nは17であり、ASO-26で処置したCLN3Δex7/8/Δex7/8マウスでは、Nは19である。統計的有意性は、一元ANOVA及びテューキーの多重比較検定を用いて求めた。**は、P<0.01であり、***は、P<0.001であり、****は、P<0.0001である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記の一般的な説明及び下記の詳細な説明はいずれも、例示及び説明するためのものに過ぎず、限定するものではないことを理解されたい。本明細書では、別段の具体的な記載のない限り、単数形が使われている際には、複数形が含まれる。本明細書で使用する場合、別段の記載のない限り、「または」が使われている際には、「及び/または」を意味する。さらに、「含むこと(including)」という用語、ならびに「含む(includes)」及び「含まれる(included)」のような他の形態が使われている際には、限定ではない。また、別段の具体的な記載のない限り、「要素」または「成分」のような用語には、1つの単位を含む要素及び成分と、2つ以上のサブユニットを含む要素及び成分が含まれる。
【0010】
本明細書で用いられている、節の見出しは、系統立ててまとめるためのものに過ぎず、記載されている主題を限定するものとして解釈すべきではない。本願で引用されている文書または文書の一部(その文書としては、特許、特許出願、論文、書籍及び専門書が挙げられるが、これらに限らない)はいずれも、参照により、本明細書で論じられているその文書の一部、及びその全体が明示的に援用される。
【0011】
定義
具体的な定義が示されていない限り、分析化学、合成有機化学、医薬品化学及び薬化学と関連して用いられている命名法、ならびに分析化学、合成有機化学、医薬品化学及び薬化学の手順及び技法のうち、本明細書に記載されている命名法、手順及び技法は、当該技術分野において周知かつ広く用いられているものである。認められる場合、本開示の全体において言及されている特許、出願、公開出願及びその他の刊行物、ならびにその他のデータはいずれも、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0012】
別段に示されていない限り、下記の用語は、以下の意味である。
【0013】
本明細書で使用する場合、「2’-デオキシヌクレオシド」は、天然のデオキシリボ核酸(DNA)に見られるように、2’-H(H)デオキシリボシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。特定の実施形態では、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含んでよく、あるいは、RNA核酸塩基(ウラシル)を含んでもよい。
【0014】
本明細書で使用する場合、「2’-置換ヌクレオシド」は、2’-置換糖部分を含むヌクレオシドを意味する。本明細書で使用する場合、糖部分に関する「2’-置換」は、HまたはOH以外の2’-置換基を少なくとも1つ含む糖部分を意味する。
【0015】
本明細書で使用する場合、「5-メチルシトシン」は、5位に結合したメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5-メチルシトシンは、修飾核酸塩基である。
【0016】
本明細書で使用する場合、「投与」は、医薬剤を動物に供給することを意味する。
【0017】
本明細書で使用する場合、「動物」は、ヒトまたはヒト以外の動物を意味する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「アンチセンス活性」は、アンチセンス化合物がその標的核酸とハイブリダイズしたことに起因するいずれかの検出可能及び/または測定可能な変化を意味する。特定の実施形態では、アンチセンス活性は、標的核酸、またはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現が、そのアンチセンス化合物の非存在下における標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比べて低下することである。
【0019】
本明細書で使用する場合、「アンチセンス化合物」は、少なくとも1つのアンチセンス活性をもたらすことができるオリゴマー化合物を意味する。
【0020】
本明細書で使用する場合、治療に関連する「改善」とは、少なくとも1つの症状が、その治療を行わない場合の同じ症状と比べて改善することを意味する。特定の実施形態では、改善は、症状の重症度もしくは頻度の低下、発症の遅延、または症状の重症度もしくは頻度の進行の減速である。特定の実施形態では、その症状または特質は、運動機能/運動協調性の不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化である。特定の実施形態では、これらの症状の改善により、治療した動物またはヒトにおいて、未治療の動物またはヒトと比べて、運動機能が改善し、発作が低減され、失明が減少するかまたは視力が改善し、認知機能が改善し、精神医学的問題が軽減し、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積が低減され、脳組織機能が改善し、脳組織細胞死のレベルが低下し、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積が低減され、脳組織におけるリポフスチンの蓄積が低減され、脳組織におけるアストロサイトの活性化が低減され、平均生存期間が長くなる。
【0021】
本明細書で使用する場合、「二環式ヌクレオシド」または「BNA」は、二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0022】
本明細書で使用する場合、「二環式糖」または「二環式糖部分」は、2つの環を含む修飾糖部分であって、その第2の環が、第1の環の原子のうちの2つを連結する架橋によって形成されることによって、二環式構造を形成する修飾糖部分を意味する。特定の実施形態では、その二環式糖部分の第1の環は、フラノシル部分である。特定の実施形態では、その二環式糖部分は、フラノシル部分を含まない。
【0023】
本明細書で使用する場合、「切断可能な部分」は、生理的条件下、例えば、細胞、動物またはヒトの内部で切断される結合手または原子団を意味する。
【0024】
本明細書で使用する場合、「CLN3遺伝子」は、ceroid-lipofuscinosis,neuronal3タンパク質及びいずれかのceroid-lipofuscinosis,neuronal3タンパク質アイソフォームをコードする遺伝子を意味する。
【0025】
本明細書で使用する場合、「CLN3Δ78」は、エキソン7及び8の全部または一部に及ぶ欠失を有するCLN3遺伝子を意味する。特定の実施形態では、CLN3Δ78における欠失は、フレームシフトを起こし、そのフレームシフトにより、エキソン9に未成熟終止コドンが現れる。特定の実施形態では、CLN3Δ78のトランケート型タンパク質産物は、長さが野生型の33%である。
【0026】
本明細書で使用する場合、オリゴヌクレオチドに関する「相補的」とは、そのオリゴヌクレオチド及び別の核酸の核酸塩基配列を反対の向きでアラインメントしたときに、そのオリゴヌクレオチドまたはその領域のうちの1つ以上の核酸塩基の少なくとも70%と、その別の核酸またはその領域のうちの1つ以上の核酸塩基が、互いと水素結合できることを意味する。相補的核酸塩基は、互いと水素結合を形成できる核酸塩基を意味する。相補的核酸塩基対としては、アデニン(A)とチミン(T)、アデニン(A)とウラシル(U)、シトシン(C)とグアニン(G)、5-メチルシトシン(mC)とグアニン(G)が挙げられる。相補的オリゴヌクレオチド及び/または相補的核酸では、各ヌクレオシドの核酸塩基が相補的である必要はない。むしろ、多少のミスマッチが許容される。本明細書で使用する場合、オリゴヌクレオチドに関する「完全に相補的な」または「100%相補的な」とは、オリゴヌクレオチドが、別のオリゴヌクレオチド、すなわち、そのオリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドの核酸と相補的であることを意味する。
【0027】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲート基」は、オリゴヌクレオチドに直接結合している原子団を意味する。コンジュゲート基は、コンジュゲート部分と、そのコンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに結合させるコンジュゲートリンカーを含む。
【0028】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲートリンカー」は、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに連結する結合を少なくとも1つ含む単結合または原子団を意味する。
【0029】
本明細書で使用する場合、「コンジュゲート部分」は、コンジュゲートリンカーを介して、オリゴヌクレオチドに結合している原子団を意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、オリゴヌクレオチドに関連する「連続した」とは、ヌクレオシド、核酸塩基、糖部分またはインターヌクレオシド結合が、互いと直接隣接することを指す。例えば、「連続した核酸塩基」は、配列内で、互いと直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0031】
本明細書で使用する場合、「拘束エチル」もしくは「cEt」、または「cEt修飾糖」は、二環式のβ-Dリボシル糖部分であって、その二環式糖の第2の環が、そのβ-Dリボシル糖部分の4’-炭素と2’-炭素を連結する架橋によって形成されており、その架橋部が、4’-CH(CH)-O-2’という式を有し、その架橋部のメチル基が、S配置であるβ-Dリボシル二環式糖部分を意味する。
【0032】
本明細書で使用する場合、「cEtヌクレオシド」は、cEt修飾糖を含むヌクレオシドを意味する。
【0033】
本明細書で使用する場合、「キラル的に富化された集団」とは、同じ分子式の複数の分子であって、特定のキラル中心がステレオランダムであった場合の集団内の分子のうち、その特定のキラル中心が特定の立体化学的配置であると予測される分子の数またはパーセンテージよりも、同じ特定のキラル中心が同じ特定の立体化学的配置である分子の、集団内における数またはパーセンテージが大きい複数の分子を意味する。キラル的に富化された分子集団であって、各分子内にキラル中心を複数有する分子集団は、ステレオランダムなキラル中心を1つ以上含み得る。特定の実施形態では、それらの分子は、修飾オリゴヌクレオチドである。特定の実施形態では、それらの分子は、修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物である。
【0034】
本明細書で使用する場合、「エキソン5のアミノ酸」は、CLN3タンパク質のうち、CLN3 RNAのエキソン5に対応する部分を意味する。「エキソン10のアミノ酸」は、CLN3タンパク質のうち、CLN3 RNAのエキソン10に対応する部分を意味する。
【0035】
本明細書で使用する場合、「ギャップマー」とは、1つ以上のヌクレオシドを有する外側領域の間の位置でのRNase Hによる切断を補佐する複数のヌクレオシドを有する内側領域を含む修飾オリゴヌクレオチドであって、その内側領域を構成するヌクレオシドが、外側領域を構成する1つのヌクレオシドまたは複数のヌクレオシドとは化学的に異なるものである修飾オリゴヌクレオチドを意味する。その内側領域は、「ギャップ」と称される場合もあり、その外側領域は、「ウイング」と称される場合もある。別段に示されていない限り、「ギャップマー」は、糖モチーフを指す。別段に示されていない限り、ギャップマーのギャップのヌクレオシドの糖部分は、非修飾2’-デオキシリボシルである。したがって、「MOEギャップマー」という用語は、両方のウイングに2’-MOEヌクレオシドの糖モチーフを有するとともに、2’-デオキシヌクレオシドのギャップを有するギャップマーを示す。別段に示されていない限り、MOEギャップマーは、1つ以上の修飾インターヌクレオシド結合及び/または修飾核酸塩基を含んでよく、このような修飾部分は、修飾糖部分のギャップマーパターンに必ずしも従うわけではない。
【0036】
本明細書で使用する場合、「ホットスポット領域」は、標的核酸上の核酸塩基のうち、オリゴマー化合物の媒介により、その標的核酸の量または活性が調節されやすい範囲である。
【0037】
本明細書で使用する場合、「ハイブリダイゼーション」は、相補的なオリゴヌクレオチド及び/または核酸が対合またはアニーリングすることを意味する。特定の機序に限定されないが、最も一般的なハイブリダイゼーション機序は、水素結合を伴うものであり、その水素結合は、相補的な核酸塩基間のワトソン-クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の水素結合であってよい。
【0038】
本明細書で使用する場合、「インターヌクレオシド結合」という用語は、オリゴヌクレオチド中の隣接するインターヌクレオシド間の共有結合である。本明細書で使用する場合、「修飾インターヌクレオシド結合」は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合以外のいずれかのインターヌクレオシド結合を意味する。「ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合」は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合の非架橋酸素原子のうちの1つが、硫黄原子に置き換わっている修飾インターヌクレオシド結合である。
【0039】
本明細書で使用する場合、「リンカーヌクレオシド」は、オリゴヌクレオチドをコンジュゲート部分に直接または間接的に連結するヌクレオシドを意味する。リンカーヌクレオシドは、オリゴマー化合物のコンジュゲートリンカー内に位置する。リンカーヌクレオシドは、オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドと連続していても、そのオリゴヌクレオチド部分の一部とはみなされない。
【0040】
本明細書で使用する場合、「非二環式の修飾糖部分」は、その糖の2つの原子の間に架橋を形成して第2の環を形成するものではない修飾(置換など)を含む修飾糖部分を意味する。
【0041】
本明細書で使用する場合、「ミスマッチ」または「非相補的」とは、第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチド(すなわち標的核酸)をアラインメントしたときに、第1のオリゴヌクレオチドの核酸塩基が、第2のオリゴヌクレオチドの対応する核酸塩基と相補的ではないことを意味する。
【0042】
本明細書で使用する場合、「調節」、「調節する」または「調節すること」とは、分子の量もしくは質、機能または活性が、調節前の分子の量もしくは質、機能または活性と比較したときに変化することを意味する。例えば、調節としては、遺伝子発現の変化、すなわち、増加(刺激もしくは誘導)または減少(阻害もしくは低下)のいずれかが挙げられる。さらなる例として、RNA分子の発現の調節には、pre-mRNAプロセシングのスプライス部位の選択を変化させて、その結果、特定のスプライスバリアントの絶対量または相対量を、調節しない場合の量と比べて変化させることを含めることができる。例えば、細胞または動物におけるCLN3 RNAの発現の調節には、pre-mRNAプロセシングのスプライス部位の選択を変化させて、その結果、細胞または動物における特定のCLN3スプライスバリアントの絶対量または相対量を、未処置試料またはコントロール試料の細胞または動物におけるその特定のCLN3スプライスバリアントの絶対量または相対量と比べて変化させることを含めることができる。さらなる例では、CLN3 RNAの発現の調節は、処置試料の細胞または動物における、エキソン5が欠損しているCLN3 mRNAの量を、未処置試料またはコントロール試料の細胞または動物における、エキソン5が欠損しているCLN3 mRNAの量と比べて増加させることを意味する。さらなる例では、CLN3 RNAの発現の調節は、処置試料の細胞または動物における、エキソン5が欠損しているCLN3 mRNAのパーセンテージを、未処置試料またはコントロール試料の細胞または動物における、エキソン5が欠損しているCLN3 mRNAのパーセンテージと比べて増大させることを意味する。エキソン5が欠損しているCLN3 RNAのパーセンテージは、例えば、細胞または動物における全CLN3 mRNA(エキソン5を含むCLN3 mRNA、及びエキソン5が欠損しているCLN3 mRNA)に対して、エキソン5が欠損しているCLN3 mRNAのパーセンテージを算出することによって求めてよい(例えば、[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100])。CLN3 RNAの発現を調節することのさらなる例としては、スプライシングの改変、CLN3スプライシングの改変、CLN3 RNAのリーディングフレームの改変、例えば、CLN3Δex78のリーディングフレームの修正、CLN3エキソン5のスキッピングの促進、例えば、CLN3エキソン5のスキッピングを促進して、mRNAのリーディングフレームを修復すること、CLN3Δ78/Δ78またはCLN3+/Δ78細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピング、CLN3 RNAのスプライススイッチング、CLN3 pre-mRNAスプライシングの変更、エキソン5のスプライシングの誘導が挙げられる。
【0043】
細胞または動物におけるCLN3タンパク質の発現の調節は、CLN3タンパク質の量または質を、調節前のCLN3タンパク質の量または質と比べて変化させることを意味する。さらなる例では、CLN3タンパク質の発現の調節は、未処置試料またはコントロール試料の細胞または動物における、CLN3タンパク質の活性、またはエキソン5のアミノ酸が欠損しているCLN3タンパク質の量と比べて、CLN3タンパク質の活性を増大させるか、またはエキソン5のアミノ酸が欠損しているCLN3タンパク質の量を増加させることを意味する。さらなる例では、CLN3タンパク質の発現の調節は、細胞または動物における、エキソン5のアミノ酸が欠損しているCLN3タンパク質のパーセンテージを、未処置試料またはコントロール試料の細胞または動物におけるCLN3タンパク質のパーセンテージと比べて増大させることを意味する。エキソン5のアミノ酸が欠損しているCLN3タンパク質のパーセンテージは、例えば、細胞または動物における全CLN3タンパク質(エキソン5を含むCLN3タンパク質、及びエキソン5が欠損しているCLN3タンパク質)に対して、エキソン5が欠損しているCLN3タンパク質のパーセンテージを算出して、100倍することによって求めてよい。あるいは、例えば、エキソン7及び8が欠損しているCLN3タンパク質と、エキソン5、7及び8が欠損しているCLN3タンパク質の合計に対する、エキソン5、7及び8が欠損しているCLN3タンパク質のパーセンテージを100倍する[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100]。さらなる例では、CLN3タンパク質の発現の調節は、未処置試料またはコントロール試料の細胞または動物における、CLN3タンパク質の活性、またはエキソン10、エキソン11、エキソン12、エキソン13、エキソン14もしくはエキソン15のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量もしくはパーセンテージと比べて、CLN3タンパク質の活性を増大させるか、またはエキソン10、エキソン11、エキソン12、エキソン13、エキソン14もしくはエキソン15のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量もしくはパーセンテージを増大させることを意味する。ヘテロ接合型細胞(例えばCLN3+/Δ5細胞)について、エキソン10、エキソン11、エキソン12、エキソン13、エキソン14もしくはエキソン15のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量またはパーセンテージを算出する際には、野生型タンパク質、すなわち完全長タンパク質を考慮に入れてもよい。すなわち、例えば、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質のパーセンテージは、例えば、[+ex10/(-ex10 + +ex10)]×100](エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質と、エキソン10のアミノ酸が欠失しているCLN3タンパク質との合計に対する、エキソン10のアミノ酸を含む全CLN3タンパク質)として算出してよい。あるいは、この算出には、エキソン7及び8が欠損しているCLN3タンパク質のみを含めてもよく、例えば、[+エキソン10aaΔ578/(+エキソン10aaΔ578 + -エキソン10Δ578 + -エキソン10Δ78)]×100](エキソン10のアミノ酸を含み、かつエキソン5、7及び8が欠失している全CLN3タンパク質と、エキソン10のアミノ酸が欠損しており、かつエキソン5、7及び8が欠損しているCLN3タンパク質と、エキソン10のアミノ酸が欠失しており、かつエキソン7及び8が欠失しているCLN3タンパク質の合計に対する、エキソン10のアミノ酸を含み、かつエキソン5、7及び8が欠失している全CLN3タンパク質)となる。
【0044】
本明細書で使用する場合、「MOE」は、メトキシエチルを意味する。「2’-MOE」または「2’-MOE修飾糖」は、リボシル糖部分の2’-OH基と置き換わった2’-OCHCHOCH基を意味する。本明細書で使用する場合、「2’-MOEヌクレオシド」は、2’-MOE修飾糖を含むヌクレオシドを意味する。
【0045】
本明細書で使用する場合、「モチーフ」は、オリゴヌクレオチドにおける非修飾及び/または修飾型の糖部分、核酸塩基及び/またはインターヌクレオシド結合のパターンを意味する。
【0046】
本明細書で使用する場合、「神経変性疾患」は、機能または構造の進行性の喪失(運動機能の喪失及びニューロンの死滅を含む)を特徴とする状態を意味する。特定の実施形態では、その神経変性疾患は、若年性神経セロイドリポフスチン症(バッテン病)、及びバッテン病としても知られる若年性バッテン病である。
【0047】
本明細書で使用する場合、「核酸塩基」は、非修飾核酸塩基または修飾核酸塩基を意味する。本明細書で使用する場合、「非修飾核酸塩基」は、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)またはグアニン(G)である。本明細書で使用する場合、「修飾核酸塩基」は、修飾されていないA、T、C、UまたはG以外の原子団であって、少なくとも1つの非修飾核酸塩基と対合できる原子団である。「5-メチルシトシン」は、修飾核酸塩基である。ユニバーサル塩基は、上記の5つの非修飾核酸塩基のうちのいずれか1つと対合できる修飾核酸塩基である。本明細書で使用する場合、「核酸塩基配列」は、核酸またはオリゴヌクレオチドにおける連続した核酸塩基の順序であって、糖またはインターヌクレオシド結合のいずれの修飾からも独立した順序を意味する。
【0048】
本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基と糖部分を含む化合物を意味する。その核酸塩基と糖部分はそれぞれ独立して、修飾されていないか、または修飾されている。本明細書で使用する場合、「修飾ヌクレオシド」は、修飾核酸塩基及び/または修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドには、核酸塩基が欠損している脱塩基ヌクレオシドが含まれる。「連結ヌクレオシド」は、連続した配列で連結されているヌクレオシドである(すなわち、連結されているヌクレオシドの間には、追加のヌクレオシドは存在しない)。
【0049】
本明細書で使用する場合、「オリゴマー化合物」は、オリゴヌクレオチドと、任意に、1つ以上の追加の構造部(コンジュゲート基または末端基など)を意味する。オリゴマー化合物は、その第1のオリゴマー化合物と相補的である第2のオリゴマー化合物と対合していても、対合していなくてもよい。「一本鎖オリゴマー化合物」は、不対合のオリゴマー化合物である。「二本鎖オリゴマー」という用語は、相補的な核酸塩基配列を有する2つのオリゴマー化合物によって形成された二本鎖を意味する。二本鎖オリゴマーの各オリゴマー化合物は、「二本鎖化オリゴマー化合物」と称することもある。
【0050】
本明細書で使用する場合、「オリゴヌクレオチド」は、インターヌクレオシド結合を介して連結された連結ヌクレオシド鎖を意味し、その各ヌクレオシドとインターヌクレオシド結合部は、修飾されていても、修飾されていなくてもよい。別段に示されていない限り、オリゴヌクレオチドは、8~50個の連結ヌクレオシドからなる。本明細書で使用する場合、「修飾オリゴヌクレオチド」は、少なくとも1つのヌクレオシドまたはインターヌクレオシド結合部が修飾されているオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で使用する場合、「非修飾オリゴヌクレオチド」は、いずれのヌクレオシド修飾部またはインターヌクレオシド修飾部を含まないオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書で論じられている修飾オリゴヌクレオチドには、例えば、本明細書の実施例及び図面の説明で論じられているように、例えば、スプライススイッチングアンチセンスオリゴヌクレオチド、SSO、スプライススイッチングオリゴヌクレオチド、ASO、アンチセンスオリゴヌクレオチド、治療用スプライススイッチングアンチセンスオリゴヌクレオチド、スプライススキッピングオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0051】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体または希釈剤」は、動物に投与する際に使用するのに適するいずれかの物質を意味する。特定のこのような担体は、医薬組成物を、例えば、対象が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤及びロゼンジ剤として調合可能にする。特定の実施形態では、薬学的に許容される担体または希釈剤は、滅菌水、滅菌生理食塩水、滅菌緩衝液または滅菌人工脳脊髄液である。
【0052】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩は、親化合物の所望の生物学的活性を維持させるとともに、望ましくない毒性作用をその化合物に付与しない。
【0053】
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」は、対象に投与するのに適する物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、オリゴマー化合物と、滅菌水溶液を含んでよい。特定の実施形態では、医薬組成物は、特定の細胞株におけるfree uptakeアッセイで活性を示す。
【0054】
本明細書で使用する場合、「プロドラッグ」は、体外にある時の形態が、動物またはその細胞の中で、異なる形態に変換される治療剤を意味する。典型的には、動物の体内でのプロドラッグの変換は、細胞もしくは組織内の酵素(例えば、内因性酵素もしくはウイルス酵素)または化学物質の作用によって、及び/または生理的条件によって促される。
【0055】
本明細書で使用する場合、「RNA」は、転写産物のRNAを意味し、別段の定めのない限り、pre-mRNA及び成熟mRNAを含む。
【0056】
本明細書で使用する場合、「RNAi化合物」は、少なくとも部分的に、RISCまたはAgo2を介して作用して、標的核酸及び/または標的核酸によってコードされるタンパク質を調節するアンチセンス化合物を意味する。RNAi化合物としては、二本鎖siRNA、一本鎖RNA(ssRNA)及びマイクロRNA(マイクロRNA模倣体を含む)が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、RNAi化合物は、標的核酸の量、活性及び/またはスプライシングを調節する。RNAi化合物という用語には、RNase Hを介して作用するアンチセンス化合物は含まれない。
【0057】
本明細書で使用する場合、オリゴヌクレオチドに関する「自己相補的」とは、少なくとも部分的に、そのオリゴヌクレオチド自体とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを意味する。
【0058】
本明細書で使用する場合、「標準的な細胞アッセイ」は、実施例3に記載されているアッセイと、その合理的な変形形態を意味する。
【0059】
本明細書で使用する場合、「標準的なin vivoアッセイ」は、実施例7に記載されている実験と、その合理的な変形形態を意味する。
【0060】
本明細書で使用する場合、分子式が同一の分子の集団に関する「ステレオランダムなキラル中心」は、立体化学的配置がランダムであるキラル中心を意味する。例えば、ステレオランダムなキラル中心を含む分子の集団では、(S)配置のステレオランダムなキラル中心を有する分子の数は、(R)配置のステレオランダムなキラル中心を有する分子の数と同じであり得るが、必ずしも同じとは限らない。立体化学的配置を制御するようには設計されていない合成方法に起因するときには、キラル中心の立体化学的配置は、ランダムとみなす。特定の実施形態では、ステレオランダムなキラル中心は、ステレオランダムなホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。
【0061】
本明細書で使用する場合、「糖部分」は、非修飾糖部分または修飾糖部分を意味する。本明細書で使用する場合、「非修飾糖部分」は、RNAに見られるような2’-OH(H)リボシル部分(「非修飾RNA糖部分」)、またはDNAに見られるような2’-H(H)デオキシリボシル部分(「非修飾DNA糖部分」)を意味する。非修飾糖部分は、1’位、3’位及び4’位のそれぞれに1個の水素、3’位に1個の酸素、5’位に2個の水素を有する。本明細書で使用する場合、「修飾糖部分」または「修飾糖」は、修飾フラノシル糖部分または糖代替部分を意味する。
【0062】
本明細書で使用する場合、「糖代替部分」は、オリゴヌクレオチドにおいて核酸塩基を別の基(インターヌクレオシド結合部、コンジュゲート基または末端基など)に連結できる、フラノシル部分以外を有する修飾糖部分を意味する。糖代替部分を含む修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内の1つ以上の位置に導入でき、そのようなオリゴヌクレオチドは、相補的なオリゴマー化合物または標的核酸とハイブリダイズできる。
【0063】
本明細書で使用する場合、「標的核酸」及び「標的RNA」は、アンチセンス化合物が作用を及ぼすように設計されている核酸を意味する。
【0064】
本明細書で使用する場合、「標的領域」は、標的核酸の部分のうち、オリゴマー化合物がハイブリダイズするように設計されている部分を意味する。
【0065】
本明細書で使用する場合、「末端基」は、オリゴヌクレオチドの末端に共有結合している化学基または原子団を意味する。
【0066】
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、動物に治療効果をもたらす、医薬剤の量を意味する。例えば、治療有効量により、疾患の症状が改善される。
【0067】
特定の実施形態
【0068】
本開示は、以下の番号付けされた非限定的な実施形態を提供する。
【0069】
実施形態1.12~50個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、CLN3核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的であり、前記修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドの少なくとも1つが、修飾糖を含み、及び/または前記修飾オリゴヌクレオチドのインターヌクレオシド結合の少なくとも1つが、修飾インターヌクレオシド結合である前記オリゴマー化合物。
【0070】
実施形態2.12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
【0071】
実施形態3.12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個の連続した核酸塩基の部分を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記部分が、
配列番号1の5499~5701番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5514~5651番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5519~5546番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5534~5646番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5559~5631番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号1の5534~5551番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
と相補的である前記オリゴマー化合物。
【0072】
実施形態4.前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%相補的である核酸塩基配列を有する、実施形態1~3のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0073】
実施形態5.12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号3~51の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
【0074】
実施形態6.12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個の連続した核酸塩基の部分を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記部分が、
配列番号2の4837~4964番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4852~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4922~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4932~4949番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4852~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4892~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号2の4892~4909番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
と相補的である前記オリゴマー化合物。
【0075】
実施形態7.前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号2の核酸塩基配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%相補的である核酸塩基配列を有する、実施形態1、5または6のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0076】
実施形態8.前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、実施形態1~7のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0077】
実施形態9.前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、実施形態8に記載のオリゴマー化合物。
【0078】
実施形態10.前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または少なくとも18個含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0079】
実施形態11.前記修飾オリゴヌクレオチドが、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、実施形態9または10のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0080】
実施形態12.前記修飾オリゴヌクレオチドが、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または少なくとも18個含む、実施形態11に記載のオリゴマー化合物。
【0081】
実施形態13.前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-4’架橋を有する二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含み、前記2’-4’架橋が、-O-CH-及び-O-CH(CH)-から選択されている、実施形態11または12のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0082】
実施形態14.前記修飾オリゴヌクレオチドが、非二環式の修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、実施形態9に記載のオリゴマー化合物。
【0083】
実施形態15.前記修飾オリゴヌクレオチドが、非二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または少なくとも18個含む、実施形態9または10のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0084】
実施形態16.前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-MOE修飾糖または2’-OMe修飾糖を含む非二環式の修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、実施形態14または15のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0085】
実施形態17.前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEまたは2’-OMeを含む非二環式の修飾糖部分を含む、実施形態9に記載のオリゴマー化合物。
【0086】
実施形態18.前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含む、実施形態9に記載のオリゴマー化合物。
【0087】
実施形態19.前記修飾オリゴヌクレオチドが、完全修飾型糖モチーフ領域を含む、実施形態1~9のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0088】
実施形態20.前記完全修飾型糖モチーフ領域が、7~20ヌクレオシド長である、実施形態19に記載のオリゴマー化合物。
【0089】
実施形態21.前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-デオキシヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または少なくとも4個含む、実施形態19~20のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0090】
実施形態22.前記完全修飾型糖モチーフ領域の各ヌクレオシドが、2’-OCHCHOCH基または2’-OCH基を含む、実施形態19~21のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0091】
実施形態23.前記修飾オリゴヌクレオチドが、糖代替部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、実施形態8~18のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0092】
実施形態24.前記修飾オリゴヌクレオチドが、モルホリノ及びPNAから選択した糖代替部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、実施形態23に記載のオリゴマー化合物。
【0093】
実施形態25.前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾インターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む、実施形態1~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0094】
実施形態26.前記修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合が、修飾インターヌクレオシド結合である、実施形態25に記載のオリゴマー化合物。
【0095】
実施形態27.少なくとも1つのインターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、実施形態25または26に記載のオリゴマー化合物。
【0096】
実施形態28.前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む、実施形態25または27に記載のオリゴマー化合物。
【0097】
実施形態29.前記インターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のいずれかである、実施形態25、27または28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0098】
実施形態30.前記修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、実施形態26に記載のオリゴマー化合物。
【0099】
実施形態31.前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、実施形態1~7のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0100】
実施形態32.前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む、実施形態1~31のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0101】
実施形態33.前記修飾核酸塩基が、5-メチルシトシンである、実施形態32に記載のオリゴマー化合物。
【0102】
実施形態34.前記修飾オリゴヌクレオチドが、1つ以上のシトシン核酸塩基を含み、前記シトシン核酸塩基のそれぞれが、5-メチルシトシンである、実施形態32に記載のオリゴマー化合物。
【0103】
実施形態35.前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、ヒトCLN3核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも95%相補的である、実施形態1~34のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0104】
実施形態36.前記修飾オリゴヌクレオチドが、12~18個、12~20個、14~20個、16~20個または17~19個の連結ヌクレオシドからなる、実施形態1~35のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0105】
実施形態37.前記修飾オリゴヌクレオチドが、18個の連結ヌクレオシドからなる、実施形態1~35のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0106】
実施形態38.前記修飾オリゴヌクレオチドが、18個または20個の連結ヌクレオシドからなる、実施形態1~35のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0107】
実施形態39.前記修飾オリゴヌクレオチドからなる、実施形態1~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0108】
実施形態40.コンジュゲート部分とコンジュゲートリンカーとを含むコンジュゲート基を含む、実施形態1~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0109】
実施形態41.前記コンジュゲート基が、1~3個のGalNAcリガンドを含むGalNAcクラスターを含む、実施形態40に記載のオリゴマー化合物。
【0110】
実施形態42.前記コンジュゲートリンカーが、単結合からなる、実施形態40または41に記載のオリゴマー化合物。
【0111】
実施形態43.前記コンジュゲートリンカーが、切断可能である、実施形態40に記載のオリゴマー化合物。
【0112】
実施形態44.前記コンジュゲートリンカーが、1~3個のリンカーヌクレオシドを含む、実施形態42に記載のオリゴマー化合物。
【0113】
実施形態45.前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、実施形態41~44のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0114】
実施形態46.前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの3’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、実施形態41~44のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0115】
実施形態47.末端基を含む、実施形態1~46のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0116】
実施形態48.一本鎖オリゴマー化合物である、実施形態1~47のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0117】
実施形態49.リンカーヌクレオシドを含まない、実施形態1~42または44~48のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0118】
実施形態50.実施形態47または49のいずれかに記載のオリゴマー化合物を含む二本鎖オリゴマー。
【0119】
実施形態51.実施形態1~49のいずれかに記載のオリゴマー化合物もしくは実施形態50に記載の二本鎖オリゴマーを含むか、または前記オリゴマー化合物もしくは前記二本鎖オリゴマーからなるアンチセンス化合物。
【0120】
実施形態52.前記修飾オリゴヌクレオチドが、RNAi化合物である、実施形態1~7のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0121】
実施形態53.前記RNAi化合物が、ssRNAまたはsiRNAである、実施形態52に記載のオリゴマー化合物。
【0122】
実施形態54.実施形態1~49もしくは実施形態52~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または実施形態50に記載の二本鎖オリゴマーと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
【0123】
実施形態55.前記薬学的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、実施形態54に記載の医薬組成物。
【0124】
実施形態56.前記オリゴマー化合物または前記二本鎖オリゴマーの修飾オリゴヌクレオチドが、塩である、実施形態54に記載の医薬組成物。
【0125】
実施形態57.前記オリゴマー化合物または前記二本鎖オリゴマーの修飾オリゴヌクレオチドが、塩である、実施形態55に記載の医薬組成物。
【0126】
実施形態58.前記塩が、ナトリウム塩である、実施形態56または実施形態57に記載の医薬組成物。
【0127】
実施形態59.実施形態1~50のいずれかに記載の修飾オリゴヌクレオチドのキラル的に富化された集団であって、前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含み、前記集団において、特定の立体化学的配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている前記集団。
【0128】
実施形態60.(Sp)配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態59に記載のキラル的に富化された集団。
【0129】
実施形態61.(Rp)配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態59または60に記載のキラル的に富化された集団。
【0130】
実施形態62.前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが、独立して選択した特定の立体化学的配置である修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態59に記載のキラル的に富化された集団。
【0131】
実施形態63.前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが(Sp)配置である修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態62に記載のキラル的に富化された集団。
【0132】
実施形態64.前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが(Rp)配置である修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態62に記載のキラル的に富化された集団。
【0133】
実施形態65.5’→3’方向でSp-Sp-Rpという配置である少なくとも3個の連続したホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、実施形態59または実施形態62に記載のキラル的に富化された集団。
【0134】
実施形態66.前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含み、前記修飾オリゴヌクレオチドのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のすべてが、ステレオランダムである、実施形態1~50のいずれかに記載の修飾オリゴヌクレオチド集団。
【0135】
実施形態67.実施形態59~65のいずれかに記載のキラル的に富化された集団、または実施形態66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団と、薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む医薬組成物。
【0136】
実施形態68.前記薬学的に許容される希釈剤が、人工脳脊髄液である、実施形態54または67に記載の医薬組成物。
【0137】
実施形態69.前記修飾オリゴヌクレオチドと人工脳脊髄液から本質的になる、実施形態68に記載の医薬組成物。
【0138】
実施形態70.動物に、実施形態54または67~69のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【0139】
実施形態71.CLN3と関連する疾患の治療方法であって、CLN3と関連する疾患である個体、または前記疾患を発症するリスクがある個体に、実施形態54または67~69のいずれかに記載の医薬組成物を治療有効量投与することによって、前記CLN3と関連する疾患を治療することを含む前記方法。
【0140】
実施形態72.前記CLN3と関連する疾患が、神経変性疾患である、実施形態71に記載の方法。
【0141】
実施形態73.前記神経変性疾患が、バッテン病である、実施形態72に記載の方法。
【0142】
実施形態74.前記神経変性疾患の症状または特質を少なくとも1つ改善する、実施形態73に記載の方法。
【0143】
実施形態75.前記症状または特質が、運動機能不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化である、実施形態74に記載の方法。
【0144】
実施形態76.前記脳組織が、体性感覚皮質、視覚皮質、視床または海馬である、実施形態75に記載の方法。
【0145】
実施形態77.in vitroにおいて、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導する、実施形態1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
【0146】
実施形態78.細胞におけるCLN3の発現の調節方法であって、前記細胞と、実施形態1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3の発現を調節することを含む前記方法。
【0147】
実施形態79.細胞におけるCLN3 RNAのスプライシングの調節方法であって、前記細胞と、実施形態1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3のスプライシングを調節することを含む前記方法。
【0148】
実施形態80.細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングの誘導方法であって、前記細胞と、実施形態1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングを誘導することを含む前記方法。
【0149】
実施形態81.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態78~80のいずれかに記載の方法。
【0150】
実施形態82.前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子の量を、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前の量と比べて減少させるか、または
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子のパーセンテージを、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前のパーセンテージと比べて低下させる、
実施形態78~81のいずれかに記載の方法。
【0151】
実施形態83.前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子の量を、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて低下させるか、または
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子のパーセンテージを、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて低下させる、
実施形態78~81のいずれかに記載の方法。
【0152】
実施形態84.前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量が、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前の量と比べて増加するか、または
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質分子のパーセンテージが、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前のパーセンテージと比べて増大する、
実施形態78~81のいずれかに記載の方法。
【0153】
実施形態85.前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量が、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて増加するか、または
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質分子のパーセンテージが、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて増大する、
実施形態78~81のいずれかに記載の方法。
【0154】
実施形態86.CLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる前記化合物。
【0155】
実施形態87.15~25個の連結ヌクレオシドからなるとともに、CLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記オリゴヌクレオチドが、2’-O-メトキシエチル糖部分を少なくとも1つ及び/またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む前記化合物。
【0156】
実施形態88.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5、イントロン4及び/またはイントロン5であり、前記化合物が、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる前記化合物。
【0157】
実施形態89.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる前記化合物。
【0158】
実施形態90.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5、イントロン4及び/またはイントロン5であり、前記オリゴヌクレオチドが、2’-O-メトキシエチル糖部分を少なくとも1つ及び/またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む前記化合物。
【0159】
実施形態91.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5、イントロン4またはイントロン5であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、及び/またはそのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0160】
実施形態92.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記オリゴヌクレオチドが、2’-O-メトキシエチル糖部分を少なくとも1つ及び/またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む前記化合物。
【0161】
実施形態93.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、及び/またはそのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0162】
実施形態94.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0163】
実施形態95.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、イントロン4であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0164】
実施形態96.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、イントロン5であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0165】
実施形態97.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、イントロン4とエキソン5に及び、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0166】
実施形態98.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5とイントロン5に及び、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0167】
実施形態99.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
【0168】
実施形態100.実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物を含む医薬組成物。
【0169】
実施形態101.治療に用いるための、実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態100に記載の医薬組成物。
【0170】
実施形態102.対象の若年性バッテン病を治療するのに用いるための、実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態100に記載の医薬組成物であって、任意に、前記化合物が、前記対象において、運動協調性を改善し、及び/または神経障害を軽減することができる前記化合物または前記医薬組成物。
【0171】
実施形態103.前記バッテン病が、若年性バッテン病である、実施形態102に記載の化合物または医薬組成物。
【0172】
実施形態104.実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態100に記載の医薬組成物の、医薬の製造への使用。
【0173】
実施形態105.実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態100に記載の医薬組成物の、バッテン病を治療するための医薬の製造への使用。
【0174】
実施形態106.前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである、実施形態1~7のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0175】
実施形態107.前記修飾オリゴヌクレオチドが、
18個の連結ヌクレオシドからなり、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンであり、
前記修飾オリゴヌクレオチドが、
配列番号1の5499~5701番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5514~5651番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5519~5546番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5534~5646番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5559~5631番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号1の5534~5551番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分
と相補的である核酸塩基配列を有する、実施形態1に記載のオリゴマー化合物。
【0176】
実施形態108.前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有し、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである、
実施形態1~3のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0177】
実施形態109.18個または20個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、CLN3核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的であり、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
【0178】
実施形態110.12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
【0179】
実施形態111.12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有し、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
【0180】
実施形態112.18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
【0181】
実施形態113.CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる、実施形態106~112のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0182】
実施形態114.実施形態106~113のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
【0183】
実施形態115.薬学的に許容される希釈剤を含む、実施形態100に記載の医薬組成物。
【0184】
実施形態116.前記薬学的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、実施形態114または115のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0185】
実施形態117.前記オリゴマー化合物または前記二本鎖オリゴマーの修飾オリゴヌクレオチドが、塩である、実施形態100または114~115のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0186】
実施形態118.前記塩が、ナトリウム塩である、実施形態117に記載の医薬組成物。
【0187】
実施形態119.治療に用いるための、実施形態1~49もしくは106~113のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物、または実施形態67~69もしくは114~118のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0188】
実施形態120.実施形態1~49もしくは106~113のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態67~69もしくは114~118のいずれかに記載の医薬組成物の、医薬の製造への使用。
【0189】
実施形態121.実施形態1~49もしくは106~113のいずれか1つに記載の化合物、または実施形態67~69もしくは114~118のいずれかに記載の医薬組成物の、バッテン病を治療するための医薬の製造への使用。
【0190】
実施形態122.治療に用いるための、実施形態59~65のいずれか1つに記載のキラル的に富化された集団、実施形態66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団、または実施形態67~69のいずれかに記載の医薬組成物。
【0191】
実施形態123.実施形態59~65のいずれか1つに記載のキラル的に富化された集団、実施形態66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団、または実施形態67~69のいずれかに記載の医薬組成物の、医薬の製造への使用。
【0192】
実施形態124.実施形態59~65のいずれか1つに記載のキラル的に富化された集団、実施形態66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団、または実施形態67~69のいずれかに記載の医薬組成物の、バッテン病を治療するための医薬の製造への使用。
【0193】
実施形態125.CLN3と関連する疾患の治療方法であって、CLN3と関連する疾患である個体、または前記疾患を発症するリスクがある個体に、実施形態110または114~118のいずれか1つに記載の医薬組成物を治療有効量投与することによって、前記CLN3と関連する疾患を治療することを含む前記方法。
【0194】
実施形態126.前記CLN3と関連する疾患が、神経変性疾患である、実施形態125に記載の方法。
【0195】
実施形態127.前記神経変性疾患が、バッテン病である、実施形態126に記載の方法。
【0196】
実施形態128.前記神経変性疾患の症状または特質を少なくとも1つ改善する、実施形態127に記載の方法。
【0197】
実施形態129.前記症状または特質が、運動機能不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化である、実施形態128に記載の方法。
【0198】
実施形態130.前記脳組織が、体性感覚皮質、視覚皮質、視床または海馬である、実施形態129に記載の方法。
【0199】
実施形態131.in vitroにおいて、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導する、実施形態106~113のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物。
【0200】
実施形態132.細胞におけるCLN3の発現の調節方法であって、前記細胞と、実施形態106~113のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物、または実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3の発現を調節することを含む前記方法。
【0201】
実施形態133.細胞におけるCLN3 RNAのスプライシングの調節方法であって、前記細胞と、実施形態106~113のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物、または実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3のスプライシングを調節することを含む前記方法。
【0202】
実施形態134.細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングの誘導方法であって、前記細胞と、実施形態106~113のいずれか1つに記載のオリゴマー化合物、または実施形態86~99のいずれか1つに記載の化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングを誘導することを含む前記方法。
【0203】
実施形態135.前記細胞が、ヒト細胞である、実施形態132~134のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
実施形態136.前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子の量を、前記細胞と前記化合物との接触前の量と比べて減少させるか、または
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子のパーセンテージを、前記細胞と前記化合物との接触前のパーセンテージと比べて低下させる、
実施形態132~134のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
実施形態137.
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量が、前記細胞と前記化合物との接触前の量と比べて増加するか、
または前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質分子のパーセンテージが、前記細胞と前記化合物との接触前のパーセンテージと比べて増大する、
実施形態132~134のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
I.特定のオリゴヌクレオチド
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、連結ヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物である。オリゴヌクレオチドは、非修飾オリゴヌクレオチド(RNAまたはDNA)であっても、修飾オリゴヌクレオチドであってもよい。修飾オリゴヌクレオチドは、非修飾RNAまたは非修飾DNAに対する修飾を少なくとも1つ含む。すなわち、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド(修飾糖部分及び/または修飾核酸塩基を含むヌクレオシド)を少なくとも1つ、及び/または修飾インターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む。
【0207】
A.特定の修飾ヌクレオシド
修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分、修飾核酸塩基、または修飾糖部分及び修飾核酸塩基の両方を含む。
【0208】
1.特定の糖部分
特定の実施形態では、修飾糖部分は、非二環式の修飾糖部分である。特定の実施形態では、修飾糖部分は、二環式または三環式の糖部分である。特定の実施形態では、修飾糖部分は、糖代替部分である。このような糖代替部分は、他の種類の修飾糖部分の置換に対応する置換を1つ以上含んでよい。
【0209】
特定の実施形態では、修飾糖部分は、置換基を1つ以上有するフラノシル環を含む非二環式の修飾糖部分であり、その置換基には、そのフラノシル環のうちの2つの原子を架橋して、二環式構造を形成させるものは存在しない。このような非架橋置換基は、そのフラノシルのいずれの位置にあってもよく、2’位、4’位及び/または5’位にある置換基が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分の、1つ以上の非架橋置換基は、分岐状のものである。非二環式の修飾糖部分に適する2’-置換基の例としては、2’-F、2’-OCH(「OMe」または「O-メチル」)及び2’-O(CHOCH(「2’-MOE」)が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、2’-置換基は、ハロ、アリル、アミノ、アジド、SH、CN、OCN、CF、OCF、O-C-C10アルコキシ、O-C-C10置換アルコキシ、O-C-C10アルキル、O-C-C10置換アルキル、S-アルキル、N(R)-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N(R)-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N(R)-アルキニル、O-アルキレニル-O-アルキル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリル、O-アラルキル、O(CHSCH、O(CHON(R)(R)またはOCHC(=O)-N(R)(R)(式中、各R及びRは独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換のC-C10アルキルである)、ならびにCookらのU.S.6,531,584、CookらのU.S.5,859,221及びCookらのU.S.6,005,087に記載されているような2’-置換基の中から選択されている。これらの2’-置換基の特定の実施形態は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ(NO)、チオール、チオアルコキシ、チオアルキル、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルの中から独立して選択した1つ以上の置換基でさらに置換されていることができる。非二環式の修飾糖部分に適する4’-置換基の例としては、アルコキシ(例えばメトキシ)、アルキル、及びManoharanらのWO2015/106128に記載されているような基が挙げられるが、これらに限らない。非二環式の修飾糖部分に適する5’-置換基の例としては、5’-メチル(RまたはS)、5’-ビニル及び5’-メトキシが挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、非二環式の修飾糖部分は、2つ以上の非架橋糖置換基、例えば2’-F-5’-メチル糖部分、ならびに、MigawaらのWO2008/101157及びRajeevらのUS2013/0203836に記載されている修飾糖部分及び修飾ヌクレオシドを含む。
【0210】
特定の実施形態では、2’-置換非二環式修飾ヌクレオシドは、F、NH、N、OCF3、OCH、O(CHNH、CHCH=CH、OCHCH=CH、OCHCHOCH、O(CHSCH、O(CHON(R)(R)、O(CHO(CHN(CH及びN-置換アセトアミド(OCHC(=O)-N(R)(R))(式中、各R及びRは独立して、H、アミノ保護基、または置換もしくは非置換のC-C10アルキルである)から選択した非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0211】
特定の実施形態では、2’-置換ヌクレオシドである非二環式修飾ヌクレオシドは、F、OCF3、OCH、OCHCHOCH、O(CHSCH、O(CHON(CH、O(CHO(CHN(CH及びOCHC(=O)-N(H)CH(「NMA」)から選択した非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0212】
特定の実施形態では、2’-置換非二環式修飾ヌクレオシドは、F、OCH及びOCHCHOCHから選択した非架橋2’-置換基を含む糖部分を含む。
【0213】
特定の修飾糖部分は、フラノシル環の2つの原子を架橋して、第2の環を形成することにより、二環式糖部分をもたらす置換を含む。特定のこのような実施形態では、その二環式糖部分は、4’フラノース環原子と2’フラノース環原子の間に架橋を含む。4’から2’までを架橋するこのような糖置換基の例としては、4’-CH-2’、4’-(CH-2’、4’-(CH-2’、4’-CH-O-2’(「LNA」)、4’-CH-S-2’、4’-(CH-O-2’(「ENA」)、4’-CH(CH)-O-2’(「拘束エチル」または「cEt」という)、4’-CH-O-CH-2’、4’-CH-N(R)-2’、4’-CH(CHOCH)-O-2’(「拘束MOE」または「cMOE」)及びその類似体(例えば、SethらのU.S.7,399,845、BhatらのU.S.7,569,686、SwayzeらのU.S.7,741,457及びSwayzeらのU.S.8,022,193を参照されたい)、4’-C(CH)(CH)-O-2’及びその類似体(例えば、SethらのU.S.8,278,283を参照されたい)、4’-CH-N(OCH)-2’及びその類似体(例えば、PrakashらのU.S.8,278,425を参照されたい)、4’-CH-O-N(CH)-2’(例えば、AllersonらのU.S.7,696,345及びAllersonらのU.S.8,124,745を参照されたい)、4’-CH-C(H)(CH)-2’(例えば、Zhou,et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134を参照されたい)、4’-CH-C(=CH)-2’及びその類似体(例えば、SethらのU.S.8,278,426を参照されたい)、4’-C(R)-N(R)-O-2’、4’-C(R)-O-N(R)-2’、4’-CH-O-N(R)-2’、ならびに4’-CH-N(R)-O-2’(式中、各R、R及びRは独立して、H、保護基またはC-C12アルキルである)(例えば、ImanishiらのU.S.7,427,672を参照されたい)が挙げられるが、これらに限らない。
【0214】
特定の実施形態では、このような4’から2’までの架橋部は独立して、-[C(R)(R)]-、-[C(R)(R)]-O-、-C(R)=C(R)-、-C(R)=N-、-C(=NR)-、-C(=O)-、-C(=S)-、-O-、-Si(R-、-S(=O)-及び-N(R)-から独立して選択した1~4個の連結基を含み、
式中、
xは、0、1または2であり、
nは、1、2、3または4であり、
各R及びRは独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C-C12アルキル、置換C-C12アルキル、C-C12アルケニル、置換C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、置換C-C12アルキニル、C-C20アリール、置換C-C20アリール、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C-C脂環式ラジカル、置換C-C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)-J)またはスルホキシル(S(=O)-J)であり、
各J及びJは独立して、H、C-C12アルキル、置換C-C12アルキル、C-C12アルケニル、置換C-C12アルケニル、C-C12アルキニル、置換C-C12アルキニル、C-C20アリール、置換C-C20アリール、アシル(C(=O)-H)、置換アシル、複素環式ラジカル、置換複素環式ラジカル、C-C12アミノアルキル、置換C-C12アミノアルキルまたは保護基である。
【0215】
さらなる二環式糖部分は、当該技術分野において知られており、例えば、Freier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429-4443、Albaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731-7740、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129,8362-8379、WengelらのU.S.7,053,207、ImanishiらのU.S.6,268,490、ImanishiらのU.S.6,770,748、ImanishiらのU.S.RE44,779、WengelらのU.S.6,794,499、WengelらのU.S.6,670,461、WengelらのU.S.7,034,133、WengelらのU.S.8,080,644、WengelらのU.S.8,034,909、WengelらのU.S.8,153,365、WengelらのU.S.7,572,582、RamasamyらのU.S.6,525,191、TorstenらのWO2004/106356、WengelらのWO1999/014226、SethらのWO2007/134181、SethらのU.S.7,547,684、SethらのU.S.7,666,854、SethらのU.S.8,088,746、SethらのU.S.7,750,131、SethらのU.S.8,030,467、SethらのU.S.8,268,980、SethらのU.S.8,546,556、SethらのU.S.8,530,640、MigawaらのU.S.9,012,421、SethらのU.S.8,501,805、Allersonらの米国特許出願公開第2008/0039618号、及びMigawaらのUS2015/0191727を参照されたい。
【0216】
特定の実施形態では、二環式糖部分、及びそのような二環式糖部分が導入されたヌクレオシドは、異性体の配置によってさらに定義されている。例えば、LNAヌクレオシド(本明細書に説明されている)は、α-L配置であっても、β-D配置であってもよい。
【化1】
【0217】
α-L-メチレンオキシ(4’-CH-O-2’)またはα-L-LNAの二環式ヌクレオシドは、アンチセンス活性を示すオリゴヌクレオチドに導入されてきている(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。本明細書では、二環式ヌクレオシドという一般的な記載には、両方の異性体配置が含まれる。所定の二環式ヌクレオシド(例えばLNAまたはcEt)の位置が、本発明の例示の実施形態で特定されている場合、別段の定めのない限り、それらはβ-D配置である。
【0218】
特定の実施形態では、修飾糖部分は、1つ以上の非架橋糖置換基と、1つ以上の架橋糖置換基(例えば、5’-置換糖と4’-2’架橋糖)を含む。
【0219】
特定の実施形態では、修飾糖部分は、糖代替部分である。特定のこのような実施形態では、その糖部分の酸素原子は、例えば、硫黄原子、炭素原子または窒素原子で置き換えられている。特定のこのような実施形態では、このような修飾糖部分は、本明細書に記載されているような架橋置換基及び/または非架橋置換基も含む。例えば、特定の糖代替部分は、4’-硫黄原子と、2’位の置換基(例えば、BhatらのU.S.7,875,733及びBhatらのU.S.7,939,677を参照されたい)及び/または5’位の置換基を含む。
【0220】
特定の実施形態では、糖代替部分は、5個以外の原子を有する環を含む。例えば、特定の実施形態では、糖代替部分は、6員のテトラヒドロピラン(「THP」)を含む。このようなテトラヒドロピランは、さらに修飾または置換されていてもよい。このような修飾テトラヒドロピランを含むヌクレオシドとしては、ヘキシトール核酸(「HNA」)、アニトール核酸(「ANA」)、マンニトール核酸(「MNA」)(例えば、Leumann,CJ.Bioorg.& Med.Chem.2002,10,841-854を参照されたい)、フルオロHNA
【化2】

(「F-HNA」。例えば、SwayzeらのU.S.8,088,904、SwayzeらのU.S.8,440,803、SwayzeらのU.S.8,796,437及びSwayzeらのU.S.9,005,906を参照されたい。F-HNAは、F-THPまたは3’-フルオロテトラヒドロピランと称することもできる)、及び以下の式を有する追加の修飾THP化合物を含むヌクレオシドが挙げられるが、これらに限らない。
【化3】

式中、独立して、当該修飾THPヌクレオシドのそれぞれにおいて、
Bxは、核酸塩基部分であり、
及びTはそれぞれ独立して、その修飾THPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残部に連結するインターヌクレオシド連結基であるか、またはT及びTのうちの1つは、その修飾THPヌクレオシドをオリゴヌクレオチドの残部に連結するインターヌクレオシド連結基であり、T及びTのうちのもう一方は、H、ヒドロキシル保護基、連結されたコンジュゲート基、または5’もしくは3’末端基であり、
、q、q、q、q、q及びqはそれぞれ独立して、H、C-Cアルキル、置換C-Cアルキル、C-Cアルケニル、置換C-Cアルケニル、C-Cアルキニルまたは置換C-Cアルキニルであり、
及びRのそれぞれは独立して、水素、ハロゲン、置換または非置換のアルコキシ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、OC(=X)NJ、NJC(=X)NJ及びCNの中から選択されており、そのXは、O、SまたはNJであり、J、J及びJはそれぞれ、独立して、HまたはC-Cアルキルである。
【0221】
特定の実施形態では、上記の式中、q、q、q、q、q、q及びqがそれぞれHである修飾THPヌクレオシドを提供する。特定の実施形態では、q、q、q、q、q、q及びqのうちの少なくとも1つは、H以外である。特定の実施形態では、q、q、q、q、q、q及びqのうちの少なくとも1つは、メチルである。特定の実施形態では、上記の式中、R及びRのうちの1つがFである修飾THPヌクレオシドを提供する。特定の実施形態では、RはFであり、RはHであり、特定の実施形態では、Rはメトキシであり、RはHであり、特定の実施形態では、Rはメトキシエトキシであり、RはHである。
【0222】
特定の実施形態では、糖代替部分は、6個以上の原子と2つ以上のヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシドと、そのヌクレオシドをオリゴヌクレオチドにおいて用いることが報告されている(例えば、Braasch et al.,Biochemistry,2002,41,4503-4510、ならびにSummertonらのU.S.5,698,685、SummertonらのU.S.5,166,315、SummertonらのU.S.5,185,444及びSummertonらのU.S.5,034,506を参照されたい)。本明細書で使用する場合、「モルホリノ」という用語は、下記の構造を有する糖代替部分を意味する。
【化4】
【0223】
特定の実施形態では、モルホリノは、例えば、上記のモルホリノ構造から、様々な置換基を付加または改変することによって修飾されていてよい。このような糖代替部分は、本明細書では、「修飾モルホリノ」という。
【0224】
特定の実施形態では、糖代替部分は、非環式部分を含む。このような非環式糖代替部分を含むヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドの例としては、ペプチド核酸(「PNA」)、非環式ブチル核酸(例えば、Kumar et al.,Org.Biomol.Chem.,2013,11,5853-5865を参照されたい)、ならびにManoharanらのWO2011/133876に記載されているヌクレオシド及びオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限らない。
【0225】
修飾ヌクレオシドで使用できる多くの他の二環式糖、三環式糖及び糖代替環系は、当該技術分野において知られている。
【0226】
2.特定の修飾核酸塩基
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、非修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基を含まないヌクレオシド(脱塩基ヌクレオシドという)を1つ以上含む。
【0227】
特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、アルキル置換ピリミジン、アルキニル置換ピリミジン、アルキル置換プリン、N-2置換プリン、N-6置換プリン及びO-6置換プリンから選択されている。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、2-アミノプロピルアデニン、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-N-メチルグアニン、6-N-メチルアデニン、2-プロピルアデニン、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-プロピニル(-C≡C-CH)ウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-リボシルウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、8-アザプリン及びその他の8-置換プリン、5-ハロ、特に、5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、5-ハロウラシル及び5-ハロシトシン、7-メチルグアニン、7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、3-デアザアデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、2-N-イソブチリルグアニン、4-N-ベンゾイルシトシン、4-N-ベンゾイルウラシル、5-メチル4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチル4-N-ベンゾイルウラシル、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、プロミスキャス塩基、サイズ拡張型塩基、ならびにフルオロ化塩基から選択されている。さらなる修飾核酸塩基としては、1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン、1,3-ジアザフェノチアジン-2-オン及び9-(2-アミノエトキシ)-1,3-ジアザフェノキサジン-2-オン(Gクランプ)のような三環式ピリミジンが挙げられる。修飾核酸塩基としては、そのプリン塩基またはピリミジン塩基が、他の複素環、例えば、7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン及び2-ピリドンに置き換わっているものも挙げてよい。さらなる核酸塩基としては、MeriganらのU.S.3,687,808に開示されているもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,Kroschwitz,J.I.,Ed.,John Wiley & Sons,1990,858-859、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、Sanghvi,Y.S.,Chapter15,Antisense Research and Applications,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,CRC Press,1993,273-288に開示されているもの、及びChapters 6 and 15,Antisense Drug Technology,Crooke S.T.,Ed.,CRC Press,2008,163-166 and 442-443に開示されているものが挙げられる。
【0228】
上記の修飾核酸塩基のうちの特定の塩基の調製、及びその他の修飾核酸塩基を教示している刊行物としては、ManoharaらのUS2003/0158403、ManoharanらのUS2003/0175906、DinhらのU.S.4,845,205、SpielvogelらのU.S.5,130,302、RogersらのU.S.5,134,066、BischofbergerらのU.S.5,175,273、UrdeaらのU.S.5,367,066、BennerらのU.S.5,432,272、MatteucciらのU.S.5,434,257、GmeinerらのU.S.5,457,187、CookらのU.S.5,459,255、FroehlerらのU.S.5,484,908、MatteucciらのU.S.5,502,177、HawkinsらのU.S.5,525,711、HaralambidisらのU.S.5,552,540、CookらのU.S.5,587,469、FroehlerらのU.S.5,594,121、SwitzerらのU.S.5,596,091、CookらのU.S.5,614,617、FroehlerらのU.S.5,645,985、CookらのU.S.5,681,941、CookらのU.S.5,811,534、CookらのU.S.5,750,692、CookらのU.S.5,948,903、CookらのU.S.5,587,470、CookらのU.S.5,457,191、MatteucciらのU.S.5,763,588、FroehlerらのU.S.5,830,653、CookらのU.S.5,808,027、Cookらの6,166,199及びMatteucciらのU.S.6,005,096が挙げられるが、これらに限らない。
【0229】
3.特定の修飾インターヌクレオシド結合
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドは、いずれかのインターヌクレオシド結合を用いて、連結し合っていてよい。インターヌクレオシド連結基の2つの主な種類は、リン原子の有無によって定義される。リンを含む代表的なインターヌクレオシド結合としては、ホスホジエステル結合(「P=O」)(非修飾結合または天然の結合ともいう)、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホロアミデート及びホスホロチオエート(「P=S」)、ならびにホスホロジチオエート(「HS-P=S」)を含むリン酸塩が挙げられるが、これらに限らない。リンを含まない代表的なインターヌクレオシド連結基としては、メチレンメチルイミノ(-CH-N(CH)-O-CH-)、チオジエステル、チオノカルバメート(-O-C(=O)(NH)-S-)、シロキサン(-O-SiH-O-)及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH-N(CH)-N(CH)-)が挙げられるが、これらに限らない。修飾インターヌクレオシド結合は、天然のリン酸塩結合と比べて、そのオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を変化させる目的で、典型的には増大させる目的で用いることができる。特定の実施形態では、キラル原子を有するインターヌクレオシド結合は、ラセミ混合物として、または別々のエナンチオマーとして調製できる。リンを含むかまたはリンを含まないインターヌクレオシド結合の調製方法は、当業者には周知である。
【0230】
キラル中心を有する代表的なインターヌクレオシド結合としては、アルキルホスホネート及びホスホロチオエートが挙げられるが、これらに限らない。キラル中心を有するインターヌクレオシド結合を含む修飾オリゴヌクレオチドは、ステレオランダムなインターヌクレオシド結合を含む修飾オリゴヌクレオチドの集団として、または特定の立体化学的配置のホスホロチオエートインターヌクレオシドを含む修飾オリゴヌクレオチドの集団として調製できる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの集団は、そのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のすべてがステレオランダムであるホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を含む。このような修飾オリゴヌクレオチドは、各ホスホロチオエートインターヌクレオシドの立体化学的配置がランダムに選択される合成方法を用いて作製できる。しかしその一方では、当業者に充分に認識されているように、個々のオリゴヌクレオチド分子のそれぞれの個々のホスホロチオエートはそれぞれ、立体配置が定められている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド集団においては、独立して選択した特定の立体化学的配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を1つ以上含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエートインターヌクレオシドは、その集団内の分子の少なくとも65%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエートインターヌクレオシドは、その集団内の分子の少なくとも70%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエートインターヌクレオシドは、その集団内の分子の少なくとも80%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエートインターヌクレオシドは、その集団内の分子の少なくとも90%に存在する。特定の実施形態では、その特定の配置の特定のホスホロチオエートインターヌクレオシドは、その集団内の分子の少なくとも99%に存在する。このようなキラル的に富化された修飾オリゴヌクレオチド集団は、当該技術分野において知られている合成方法、例えば、Oka et al.,JACS 125,8307(2003)、Wan et al.Nuc.Acid.Res.42,13456(2014)及びWO2017/015555に記載されている方法を用いて作製できる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド集団においては、(Sp)配置である示されているホスホロチオエートを少なくとも1つ有する修飾オリゴヌクレオチドが富化されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド集団においては、(Rp)配置であるホスホロチオエートを少なくとも1つ有する修飾オリゴヌクレオチドが富化さている。特定の実施形態では、(Rp)ホスホロチオエート及び/または(Sp)ホスホロチオエートを含む修飾オリゴヌクレオチドはそれぞれ、以下の式のうちの1つ以上を含み、式中、「B」は、核酸塩基を示している。
【化5】
【0231】
別段に示されていない限り、本明細書に記載されている修飾オリゴヌクレオチドのキラルなインターヌクレオシド結合は、ステレオランダムであることも、特定の立体化学的配置であることもできる。
【0232】
中性インターヌクレオシド結合としては、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI(3’-CH-N(CH)-O-5’)、アミド-3(3’-CH-C(=O)-N(H)-5’)、アミド-4(3’-CH-N(H)-C(=O)-5’)、ホルムアセタール(3’-O-CH-O-5’)、メトキシプロピル及びチオホルムアセタール(3’-S-CH-O-5’)が挙げられるが、これらに限らない。さらなる中性インターヌクレオシド結合としては、シロキサン(ジアルキルシロキサン)、カルボン酸エステル、カルボキサミド、スルフィド、スルホン酸エステル及びアミドを含む非イオン結合が挙げられる(例えば、Carbohydrate Modifications in Antisense Research,Y.S.Sanghvi and P.D.Cook,Eds.,ACS Symposium Series 580;Chapters 3 and 4,40-65を参照されたい)。さらなる中性インターヌクレオシド結合としては、N、O、S及びCHを混合した成分部分を含む非イオン結合が挙げられる。
【0233】
B.特定のモチーフ
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含む修飾ヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾インターヌクレオシド結合を1つ以上含む。このような実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの修飾型、非修飾型及び異なる修飾を有する糖部分、核酸塩基及び/またはインターヌクレオシド結合によって、パターンまたはモチーフが定められる。特定の実施形態では、糖部分、核酸塩基及びインターヌクレオシド結合のパターンはそれぞれ、互いから独立している。したがって、修飾オリゴヌクレオチドは、その糖モチーフ、核酸塩基モチーフ及び/またはインターヌクレオシド結合モチーフによって説明し得る(本明細書で使用する場合、核酸塩基モチーフは、核酸塩基の配列から独立した、核酸塩基への修飾を説明するものである)。
【0234】
1.特定の糖モチーフ
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って、定められたパターンまたは糖モチーフで配置された修飾糖部分及び/または非修飾糖部分を1種類以上含む。特定の場合では、このような糖モチーフとしては、本明細書で論じられている修飾糖部分のいずれもが挙げられるが、これらに限らない。
【0235】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、2つの外側領域、すなわち「ウイング」と、中央、すなわち内側の領域、すなわち「ギャップ」によって定められているギャップマーモチーフを有する領域を含むか、またはその領域からなる。ギャップマーモチーフの3つの領域(5’ウイング、ギャップ及び3’ウイング)は、ヌクレオシドの連続した配列を形成し、その配列においては、その各ウイングのヌクレオシドの糖部分のうちの少なくともいくつかは、そのギャップのヌクレオシドの糖部分のうちの少なくともいくつかとは異なる。具体的には、各ウイングのヌクレオシドの糖部分のうち、少なくとも、ギャップに最も近い糖部分(5’ウイングの3’最末端ヌクレオシド及び3’ウイングの5’最末端ヌクレオシド)は、隣接するギャップヌクレオシドの糖部分とは異なることで、ウイングとギャップとの境界(すなわち、ウイング/ギャップ接合部)を画定する。特定の実施形態では、そのギャップ内の糖部分は、互いに同じものである。特定の実施形態では、そのギャップは、そのギャップの他のヌクレオシドのうちの1つ以上の糖部分とは異なる糖部分を有するヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、その2つのウイングの糖モチーフは、互いに同じものである(対称ギャップマー)。特定の実施形態では、その5’ウイングの糖モチーフは、その3’ウイングの糖モチーフとは異なるものである(不斉ギャップマー)。
【0236】
特定の実施形態では、ギャップマーのウイングは、1~5個のヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの各ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングのヌクレオシドの少なくとも1つは、修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングのヌクレオシドの少なくとも2つは、修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングのヌクレオシドの少なくとも3つは、修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングのヌクレオシドの少なくとも4つは、修飾ヌクレオシドである。
【0237】
特定の実施形態では、ギャップマーのギャップは、7~12個のヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、ギャップマーのギャップの各ヌクレオシドは、修飾されていない2’-デオキシヌクレオシドである。
【0238】
特定の実施形態では、そのギャップマーは、デオキシギャップマーである。特定の実施形態では、各ウイング/ギャップ接合部のギャップ側にあるヌクレオシドは、修飾されていない2’-デオキシヌクレオシドであり、各ウイング/ギャップ接合部のウイング側にあるヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、そのギャップの各ヌクレオシドは、修飾されていない2’-デオキシヌクレオシドである。特定の実施形態では、ギャップマーの各ウイングの各ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。
【0239】
本明細書では、ギャップマーの3つの領域の長さ(ヌクレオシド数)は、[5’ウイング内のヌクレオシド数]-[ギャップ内のヌクレオシド数]-[3’ウイング内のヌクレオシド]という表記を用いて示されていることがある。すなわち、5-10-5ギャップマーは、各ウイング内の5つの連結ヌクレオシドと、ギャップ内の10個の連結ヌクレオシドからなる。このような表記の後に、具体的な修飾部が示されている場合、その修飾部は、各ウイングの各糖部分内の修飾であり、ギャップヌクレオシドは、修飾されていないデオキシヌクレオシド糖を含む。すなわち、5-10-5MOEギャップマーは、5’ウイング内の5つの連結されたMOE修飾ヌクレオシドと、ギャップ内の10個の連結されたデオキシヌクレオシドと、3’ウイング内の5つの連結されたMOEヌクレオシドからなる。
【0240】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、5-10-5MOEギャップマーである。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、3-10-3BNAギャップマーである。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、3-10-3cEtギャップマーである。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、3-10-3LNAギャップマーである。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、5-10-5OMe/MOEギャップマーである。特定の実施形態では、5-10-5OMe/MOEギャップマーは、meeem-10-mmmmmというモチーフを有し、式中、mは、2’-MOE修飾部分を表し、eは、2’-OMe修飾部分を表している。
【0241】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、完全修飾型糖モチーフを有する領域を含むか、またはその領域からなる。このような実施形態では、その修飾オリゴヌクレオチドの完全修飾型領域の各ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、完全修飾型糖モチーフを有する領域を含むか、またはその領域からなり、その完全修飾型領域内の各ヌクレオシドは、同じ修飾糖部分を含む(均一修飾型糖モチーフ)。特定の実施形態では、その均一修飾型糖モチーフは、7~20ヌクレオシド長である。特定の実施形態では、その均一修飾型糖モチーフの各ヌクレオシドは、2’-置換ヌクレオシド、糖代替部分または二環式ヌクレオシドである。特定の実施形態では、均一修飾型糖モチーフの各ヌクレオシドは、2’-OCHCHOCH基または2’-OCH基のいずれかを含む。特定の実施形態では、完全修飾型糖モチーフを少なくとも1つ有する修飾オリゴヌクレオチドは、2’-デオキシヌクレオシドも少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または少なくとも4個有してもよい。
【0242】
特定の実施形態では、その修飾オリゴヌクレオチド全体の各ヌクレオシドが、修飾糖部分を含む(完全修飾型オリゴヌクレオチド)。特定の実施形態では、完全修飾型オリゴヌクレオチドは、異なる2’-修飾部を含む。特定の実施形態では、完全修飾型オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-置換ヌクレオシド、糖代替部分または二環式ヌクレオシドである。特定の実施形態では、完全修飾型オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-OCHCHOCH基と、少なくとも1つの2’-OCH基のいずれかを含む。
【0243】
特定の実施形態では、完全修飾型オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、同じ2’-修飾部を含む(均一修飾型オリゴヌクレオチド)。特定の実施形態では、均一修飾型オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-置換ヌクレオシド、糖代替部分または二環式ヌクレオシドである。特定の実施形態では、均一修飾型オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-OCHCHOCH基または2’-OCH基のいずれかを含む。
【0244】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾糖部分を含むヌクレオシドを少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-置換ヌクレオシド、糖代替部分、二環式ヌクレオシドまたは2’-デオキシヌクレオシドである。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシドは、2’-OCHCHOCH基、2’-H(H)デオキシリボシル糖部分、またはcEt修飾糖を含む。
【0245】
2.特定の核酸塩基モチーフ
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って、定められたパターンまたはモチーフで配置された修飾核酸塩基及び/または非修飾核酸塩基を含む。特定の実施形態では、各核酸塩基が修飾されている。特定の実施形態では、修飾されている核酸塩基はない。特定の実施形態では、各プリンまたは各ピリミジンが修飾されている。特定の実施形態では、各アデニンが修飾されている。特定の実施形態では、各グアニンが修飾されている。特定の実施形態では、各チミンが修飾されている。特定の実施形態では、各ウラシルが修飾されている。特定の実施形態では、各シトシンが修飾されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドのシトシン核酸塩基のいくつかまたはすべては、5-メチルシトシンである。特定の実施形態では、そのシトシン核酸塩基はすべて、5-メチルシトシンであり、その修飾オリゴヌクレオチドの他の核酸塩基はすべて、非修飾核酸塩基である。
【0246】
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基のブロックを含む。特定のこのような実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの3’末端にある。特定の実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの3’末端から3ヌクレオシド内にある。特定の実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの5’末端にある。特定の実施形態では、そのブロックは、そのオリゴヌクレオチドの5’末端から3ヌクレオシド内にある。
【0247】
特定の実施形態では、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含むヌクレオシドを含む。特定のこのような実施形態では、修飾核酸塩基を含む1つのヌクレオシドは、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチドの中央のギャップ内にある。特定のこのような実施形態では、当該ヌクレオシドの糖部分は、2’-デオキシリボシル部分である。特定の実施形態では、その修飾核酸塩基は、2-チオピリミジン及び5-プロピンピリミジンから選択されている。
【0248】
3.特定のインターヌクレオシド結合モチーフ
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って、定められたパターンまたはモチーフで配置された修飾インターヌクレオシド結合及び/または非修飾インターヌクレオシド結合を含む。特定の実施形態では、各インターヌクレオシド連結基は、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合(P=o)である。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド連結基は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合(P=s)である。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合及びホスホジエステルインターヌクレオシド結合から独立して選択されている。特定の実施形態では、各ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合は、ステレオランダムなホスホロチオエート、(Sp)ホスホロチオエート及び(Rp)ホスホロチオエートから独立して選択されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの糖モチーフは、ギャップマーであり、そのギャップ内のインターヌクレオシド結合はすべて修飾されている。特定のこのような実施形態では、そのウイング内のインターヌクレオシド結合のいくつかまたはすべては、修飾されていないホスホジエステルインターヌクレオシド結合である。特定の実施形態では、その末端のインターヌクレオシド結合は、修飾されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの糖モチーフは、ギャップマーであり、そのインターヌクレオシド結合モチーフは、少なくとも1つのウイング内に、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含み、その少なくとも1つのホスホジエステル結合は、末端のインターヌクレオシド結合ではなく、残りのインターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である。特定の実施形態では、そのインターヌクレオシド結合モチーフは、sooosssssssssssssssである。特定のこのような実施形態では、そのホスホロチオエートインターヌクレオシドはすべて、ステレオランダムである。特定の実施形態では、そのウイング内のホスホロチオエートインターヌクレオシドはすべて、(Sp)ホスホロチオエートであり、そのギャップは、Sp、Sp、Rpモチーフを少なくとも1つ含む。特定の実施形態では、そのインターヌクレオシド結合モチーフは、Sp-o-o-o-Sp-Sp-Sp-Rp-Sp-Sp-Rp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Spである。特定の実施形態では、そのインターヌクレオシド結合モチーフは、Sp-o-o-o-Sp-Sp-Sp-Rp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Sp-Spである。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチド集団において、このようなインターヌクレオシド結合モチーフを含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている。
【0249】
C.特定の長さ
活性を消失させずに、オリゴヌクレオチドの長さを増減させることが可能である。例えば、Woolfらの文献(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305-7309,1992)では、卵母細胞注入モデルで、13~25核酸塩基長の一連のオリゴヌクレオチドが、標的RNAの切断を誘導する能力について試験した。オリゴヌクレオチドの末端近くに8個または11個のミスマッチ塩基を有する25核酸塩基長のオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含まないオリゴヌクレオチドよりも低い程度であったものの、標的mRNAの所定の切断を誘導できた。同様に、13個の核酸塩基のオリゴヌクレオチド(1個または3個のミスマッチを有するものを含む)を用いたところ、標的の所定の切断が行われた。
【0250】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(修飾オリゴヌクレオチドを含む)は、様々な範囲の長さのいずれであることもできる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、X~Y個の連結ヌクレオシドからなり、式中、Xは、その範囲の最小ヌクレオシド数を表し、Yは、その範囲の最大ヌクレオシド数を表す。特定のこのような実施形態では、X及びYはそれぞれ独立して、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49及び50から選択されており、ただし、X≦Yとする。例えば、特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12~13個、12~14個、12~15個、12~16個、12~17個、12~18個、12~19個、12~20個、12~21個、12~22個、12~23個、12~24個、12~25個、12~26個、12~27個、12~28個、12~29個、12~30個、13~14個、13~15個、13~16個、13~17個、13~18個、13~19個、13~20個、13~21個、13~22個、13~23個、13~24個、13~25個、13~26個、13~27個、13~28個、13~29個、13~30個、14~15個、14~16個、14~17個、14~18個、14~19個、14~20個、14~21個、14~22個、14~23個、14~24個、14~25個、14~26個、14~27個、14~28個、14~29個、14~30個、15~16個、15~17個、15~18個、15~19個、15~20個、15~21個、15~22個、15~23個、15~24個、15~25個、15~26個、15~27個、15~28個、15~29個、15~30個、16~17個、16~18個、16~19個、16~20個、16~21個、16~22個、16~23個、16~24個、16~25個、16~26個、16~27個、16~28個、16~29個、16~30個、17~18個、17~19個、17~20個、17~21個、17~22個、17~23個、17~24個、17~25個、17~26個、17~27個、17~28個、17~29個、17~30個、18~19個、18~20個、18~21個、18~22個、18~23個、18~24個、18~25個、18~26個、18~27個、18~28個、18~29個、18~30個、19~20個、19~21個、19~22個、19~23個、19~24個、19~25個、19~26個、19~29個、19~28個、19~29個、19~30個、20~21個、20~22個、20~23個、20~24個、20~25個、20~26個、20~27個、20~28個、20~29個、20~30個、21~22個、21~23個、21~24個、21~25個、21~26個、21~27個、21~28個、21~29個、21~30個、22~23個、22~24個、22~25個、22~26個、22~27個、22~28個、22~29個、22~30個、23~24個、23~25個、23~26個、23~27個、23~28個、23~29個、23~30個、24~25個、24~26個、24~27個、24~28個、24~29個、24~30個、25~26個、25~27個、25~28個、25~29個、25~30個、26~27個、26~28個、26~29個、26~30個、27~28個、27~29個、27~30個、28~29個、28~30個または29~30個の連結ヌクレオシドからなる。
【0251】
D.特定の修飾オリゴヌクレオチド
特定の実施形態では、上記の修飾部(糖、核酸塩基、インターヌクレオシド結合)が修飾オリゴヌクレオチドに導入されている。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、その修飾モチーフと全体の長さによって特徴付けられる。特定の実施形態では、このようなパラメーターはそれぞれ、互いから独立している。すなわち、別段に示されていない限り、ギャップマー糖モチーフを有するオリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合は、修飾されていても、修飾されていなくてもよく、また、その修飾糖部分のギャップマー修飾パターンに従っていても、従っていなくてもよい。例えば、糖ギャップマーのウイング領域内のインターヌクレオシド結合は、互いに同じであっても、異なってもよく、その糖モチーフのギャップ領域のインターヌクレオシド結合と同じであっても、異なってもよい。同様に、このような糖ギャップマーオリゴヌクレオチドは、修飾糖部分のギャップマーパターンとは独立した修飾核酸塩基を1つ以上含んでよい。別段に示されていない限り、すべての修飾部分は、核酸塩基配列から独立している。
【0252】
E.特定の修飾オリゴヌクレオチド集団
その修飾オリゴヌクレオチド集団の修飾オリゴヌクレオチドがすべて、同じ分子式である修飾オリゴヌクレオチド集団は、ステレオランダムな集団であることも、キラル的に富化された集団であることもできる。ステレオランダムな集団においては、すべての修飾オリゴヌクレオチドのキラル中心はすべて、ステレオランダムである。キラル的に富化された集団では、少なくとも1つの特定のキラル中心は、その集団の修飾オリゴヌクレオチドにおいては、ステレオランダムではない。特定の実施形態では、キラル的に富化された集団の修飾オリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分について富化されており、そのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合はすべて、ステレオランダムである。特定の実施形態では、キラル的に富化された集団の修飾オリゴヌクレオチドは、β-Dリボシル糖部分と、特定の立体化学的配置である少なくとも1つの特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合の両方について富化されている。
【0253】
F.核酸塩基配列
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチド(非修飾オリゴヌクレオチドまたは修飾オリゴヌクレオチド)は、その核酸塩基配列によってさらに説明される。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドまたは特定した対照核酸(標的核酸など)と相補的である核酸塩基配列を有する。特定のこのような実施形態では、オリゴヌクレオチドの一領域が、第2のオリゴヌクレオチドまたは特定した対照核酸(標的核酸など)と相補的である核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの一領域または全長の核酸塩基配列は、第2のオリゴヌクレオチドまたは核酸(標的核酸など)と少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%相補的である。
【0254】
II.特定のオリゴマー化合物
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、オリゴヌクレオチド(修飾オリゴヌクレオチドまたは非修飾オリゴヌクレオチド)と、任意に、1つ以上のコンジュゲート基及び/または末端基からなるオリゴマー化合物である。コンジュゲート基は、1つ以上のコンジュゲート部分と、そのコンジュゲート部分をそのオリゴヌクレオチドに連結するコンジュゲートリンカーからなる。コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの末端のいずれかもしくは両方、及び/または内部のいずれかの位置に結合していてよい。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドの2’位に結合している。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの末端のいずれかまたは両方に結合しているコンジュゲート基は、末端基である。特定のこのような実施形態では、コンジュゲート基または末端基は、オリゴヌクレオチドの3’末端及び/または5’末端に結合している。特定のこのような実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの3’末端に結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの3’末端の近くに結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基(または末端基)は、オリゴヌクレオチドの5’末端に結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドの5’末端の近くに結合している。
【0255】
末端基の例としては、コンジュゲート基、キャッピング基、リン酸塩部分、保護基、修飾ヌクレオシドまたは非修飾ヌクレオシド、及び独立して修飾されているかまたは修飾されていない2つ以上のヌクレオシドが挙げられるが、これらに限らない。
【0256】
A.特定のコンジュゲート基
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のコンジュゲート基に共有結合している。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合しているオリゴヌクレオチドの特性の1つ以上(薬力、薬物動態、安定性、結合性、吸収性、組織分布、細胞分布、細胞取り込み、帯電及びクリアランスが挙げられるが、これらに限らない)を改変する。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、結合しているオリゴヌクレオチドに、新たな特性を付与する(例えば、そのオリゴヌクレオチドの検出を可能にするフルオロフォアまたはレポーター基)。特定のコンジュゲート基及びコンジュゲート部分は、以前に説明されており、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053-1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306-309、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1993,3,2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20,533-538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111-1118、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327-330、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651-3654、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777-3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969-973)、アダマンタン酢酸、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229-237)、オクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923-937)、トコフェロール基(Nishina et al.,Molecular Therapy Nucleic Acids,2015,4,e220及びNishina et al.,Molecular Therapy,2008,16,734-740)、またはGalNAcクラスター(例えばWO2014/179620)である。
【0257】
1.コンジュゲート部分
コンジュゲート部分としては、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、糖鎖、ビタミン部分、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸塩、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、フルオロフォア及び色素が挙げられるが、これらに限らない。
【0258】
特定の実施形態では、コンジュゲート部分は、活性薬剤物質、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、(S)-(+)-プラノプロフェン、カルプロフェン、ダンシルサルコシン、2,3,5-トリヨード安息香酸、フィンゴリモド、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾサイアジアザイド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツール酸塩、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤または抗生剤を含む。
【0259】
2.コンジュゲートリンカー
コンジュゲート部分は、コンジュゲートリンカーを介して、オリゴヌクレオチドに結合している。特定のオリゴマー化合物では、そのコンジュゲートリンカーは、化学的な単結合である(すなわち、そのコンジュゲート部分は、単結合を介して、オリゴヌクレオチドに直接結合している)。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、ヒドロカルビル鎖のような鎖構造、またはエチレングリコール、ヌクレオシドもしくはアミノ酸単位のような繰り返し単位のオリゴマーを含む。
【0260】
特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、アルキル、アミノ、オキソ、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル及びヒドロキシルアミノから選択した基を1つ以上含む。特定のこのような実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、アルキル基、アミノ基、オキソ基、アミド基及びエーテル基から選択した基を含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、アルキル基及びアミド基から選択した基を含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、アルキル基及びエーテル基から選択した基を含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、リン部分を少なくとも1つ含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、リン酸塩基を少なくとも1つ含む。特定の実施形態では、そのコンジュゲートリンカーは、中性連結基を少なくとも1つ含む。
【0261】
特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、上記のコンジュゲートリンカーを含め、二官能性連結部分、例えば、コンジュゲート基を親化合物(本発明で提供するオリゴヌクレオチドなど)に結合するのに有用であることが当該技術分野において知られている二官能性連結部分である。概して、二官能性連結部分は、官能基を少なくとも2つ含む。その官能基のうちの一方は、親化合物の特定の部位と反応するように選択されており、もう一方は、コンジュゲート基と反応するように選択されている。二官能性連結部分で用いられる官能基の例としては、求核基と反応する求電子基、及び求電子基と反応する求核基が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、アルキル、アルケニル及びアルキニルから選択した基を1つ以上含む。
【0262】
コンジュゲートリンカーの例としては、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)及び6-アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)が挙げられるが、これらに限らない。他のコンジュゲートリンカーとしては、置換もしくは非置換のC-C10アルキル、置換もしくは非置換のC-C10アルケニル、または置換もしくは非置換のC-C10アルキニルが挙げられるが、これらに限らず、その好ましい置換基の非限定的なリストには、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルが含まれる。
【0263】
特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、リンカーヌクレオシドを1~10個含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、リンカーヌクレオシドを2~5個含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、リンカーヌクレオシドをきっかり3個含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、TCAモチーフを含む。特定の実施形態では、このようなリンカーヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、このようなリンカーヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、修飾されていない。特定の実施形態では、リンカーヌクレオシドは、プリン、置換プリン、ピリミジンまたは置換ピリミジンから選択した、任意に保護された複素環型塩基を含む。特定の実施形態では、切断可能な部分は、ウラシル、チミン、シトシン、4-N-ベンゾイルシトシン、5-メチルシトシン、4-N-ベンゾイル-5-メチルシトシン、アデニン、6-N-ベンゾイルアデニン、グアニン及び2-N-イソブチリルグアニンから選択したヌクレオシドである。典型的には、リンカーヌクレオシドは、標的組織に到達後、オリゴマー化合物から切断されるのが望ましい。したがって、リンカーヌクレオシドは典型的には、互いに連結されているとともに、切断可能な結合を介して、そのオリゴマー化合物の残部に連結されている。特定の実施形態では、このような切断可能な結合は、ホスホジエステル結合である。
【0264】
本明細書では、リンカーヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの一部とはみなさない。したがって、所定の数または範囲の連結ヌクレオシドからなり、及び/または対照核酸との相補率が所定の値であるオリゴヌクレオチドをオリゴマー化合物が含み、そのオリゴマー化合物が、リンカーヌクレオシドを含むコンジュゲートリンカーを含むコンジュゲート基も含む実施形態では、それらのリンカーヌクレオシドは、そのオリゴヌクレオチドの長さには含まれず、対照核酸に対するオリゴヌクレオチドの相補率を求めるのには使用されない。例えば、オリゴマー化合物は、(1)8~30個のヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドと、(2)その修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドと連続している1~10個のリンカーヌクレオシドを含むコンジュゲート基を含んでよい。このようなオリゴマー化合物における、連続した連結ヌクレオシドの総数は、31個以上である。あるいは、オリゴマー化合物は、8~30個のヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含み、かつコンジュゲート基を含まなくてもよい。このようなオリゴマー化合物における、連続した連結ヌクレオシドの総数は、30個以下である。別段に示されていない限り、コンジュゲートリンカーは、10個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、5個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、3個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、2個以下のリンカーヌクレオシドを含む。特定の実施形態では、コンジュゲートリンカーは、1個以下のリンカーヌクレオシドを含む。
【0265】
特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドから切断されるのが望ましい。例えば、特定の状況では、特定のコンジュゲート部分を含むオリゴマー化合物は、特定の種類の細胞に、より多く取り込まれるが、そのオリゴマー化合物が取り込まれたら、コンジュゲート基が切断されて、コンジュゲートされていないオリゴヌクレオチド、すなわち親オリゴヌクレオチドが放出されるのが望ましい。したがって、特定のコンジュゲートリンカーは、切断可能な部分を1つ以上含んでよい。特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合を少なくとも1つ含む原子団である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、切断可能な結合を1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ以上有する原子団を含む。特定の実施形態では、切断可能な部分は、細胞、またはリソソームのような細胞内コンパートメントの中で選択的に切断される。特定の実施形態では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼのような内因性酵素によって選択的に切断される。
【0266】
特定の実施形態では、切断可能な結合部分は、アミド、エステル、エーテル、ホスホジエステルの一方もしくは両方のエステル、リン酸エステル、カルバミン酸塩、またはジスルフィドの中から選択されている。特定の実施形態では、切断可能な結合部分は、ホスホジエステルのエステルの一方または両方である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸塩またはホスホジエステルを含む。特定の実施形態では、切断可能な部分は、オリゴヌクレオチドと、コンジュゲート部分またはコンジュゲート基との間のリン酸塩結合である。
【0267】
特定の実施形態では、切断可能な部分は、1つ以上のリンカーヌクレオシドを含むか、または1つ以上のリンカーヌクレオシドからなる。特定のこのような実施形態では、その1つ以上のリンカーヌクレオシドは、互いに連結されており、及び/または切断可能な結合を介して、そのオリゴマー化合物の残部に連結されている。特定の実施形態では、このような切断可能な結合は、修飾されていないホスホジエステル結合である。特定の実施形態では、切断可能な部分は、リン酸塩インターヌクレオシド結合によって、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドまたは5’末端ヌクレオシドのいずれかに結合しているとともに、リン酸塩またはホスホロチオエートのインターヌクレオシドによって、そのコンジュゲートリンカーまたはコンジュゲート部分の残部に共有結合している2’-デオキシヌクレオシドである。特定のこのような実施形態では、その切断可能な部分は、2’-デオキシアデノシンである。
【0268】
B.特定の末端基
特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、末端基を1つ以上含む。特定のこのような実施形態では、オリゴマー化合物は、安定化5’-リン酸塩を含む。安定化5’-リン酸塩としては、5’-ホスホネートが挙げられるが、これに限らず、その5’-ホスホネートとしては、5’-ビニルホスホネートが挙げられるが、これに限らない。特定の実施形態では、末端基は、脱塩基ヌクレオシド及び/または逆位ヌクレオシドを1つ以上含む。特定の実施形態では、末端基は、2’-連結ヌクレオシドを1つ以上含む。特定のこのような実施形態では、その2’-連結ヌクレオシドは、脱塩基ヌクレオシドである。
【0269】
III.二本鎖オリゴマー
特定の実施形態では、本明細書に記載されているオリゴマー化合物は、標的核酸の核酸塩基配列と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、第2のオリゴマー化合物と対合して、二本鎖オリゴマーを形成する。このような二本鎖オリゴマーは、標的核酸と相補的である領域を有する第1のオリゴマー化合物と、その第1のオリゴマー化合物と相補的である領域を有する第2のオリゴマー化合物を含む。特定の実施形態では、二本鎖オリゴマーの第1のオリゴマー化合物は、(1)修飾オリゴヌクレオチドまたは非修飾オリゴヌクレオチド、及び任意にコンジュゲート基と、(2)第2の修飾オリゴヌクレオチドまたは非修飾オリゴヌクレオチド、及び任意にコンジュゲート基を含むか、それらからなる。二本鎖オリゴマーのオリゴマー化合物のいずれかまたは両方は、コンジュゲート基を含んでもよい。二本鎖オリゴマーの各オリゴマー化合物のオリゴヌクレオチドは、非相補的なオーバーハングヌクレオシドを含んでもよい。
【0270】
IV.アンチセンス活性
特定の実施形態では、本明細書で提供する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物及び二本鎖オリゴマーは、標的核酸とハイブリダイズすることにより、少なくとも1つのアンチセンス活性をもたらすことができ、このようなオリゴマー化合物及び二本鎖オリゴマーは、アンチセンス化合物と称し得る。特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標準的な細胞アッセイにおいて、標的核酸の量または活性を25%以上調節、低減または増大させる場合に、アンチセンス活性を有する。特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸に選択的に作用を及ぼす。このようなアンチセンス化合物は、1つ以上の標的核酸とハイブリダイズすることにより、1つ以上の所望のアンチセンス活性をもたらすとともに、1つ以上の非標的核酸とハイブリダイズしないか、または顕著な望ましくないアンチセンス活性をもたらすような形では、1つ以上の非標的核酸とハイブリダイズしない核酸塩基配列を含む。
【0271】
特定のアンチセンス活性では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、その標的核酸を切断するタンパク質がリクルートされる。例えば、特定のアンチセンス化合物は、RNase Hの媒介により、標的核酸を切断させる。RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞内エンドヌクレアーゼである。このようなRNA:DNA二本鎖のDNAは、非修飾DNAである必要はない。特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、RNase H活性を誘導するのに充分に「DNA様」である。特定の実施形態では、ギャップマーのギャップ内の1つ以上の非DNA様ヌクレオシドは、耐性を有する。
【0272】
特定のアンチセンス活性では、アンチセンス化合物またはアンチセンス化合物の一部は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれることにより、最終的に、標的核酸を切断させる。例えば、特定のアンチセンス化合物は、アルゴノートによって標的核酸を切断させる。RISCに取り込まれるアンチセンス化合物は、RNAi化合物である。RNAi化合物は、二本鎖(siRNA)であっても、一本鎖(ssRNA)であってもよい。
【0273】
特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズしても、標的核酸を切断するタンパク質はリクルートされない。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、標的核酸のスプライシングが改変される。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、標的核酸と、タンパク質またはその他の核酸との結合相互作用が阻害される。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、標的核酸の翻訳が改変される。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的RNAとハイブリダイズすると、エキソンスキッピングが行われる。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、標的核酸の量または活性が増減する。特定の実施形態では、アンチセンス化合物が標的核酸とハイブリダイズすると、スプライシングが改変されて、そのmRNAにおいてエキソンが除去される。スプライス部位のこの改変は、例えば、スプライススイッチングまたはスプライススキッピングと称することができ、エキソンを除去させる、スプライス部位の改変は、エキソンスキッピングまたはエキソン(番号)スキッピングと称することができる。特定の実施形態では、スプライス部位の改変、すなわちエキソンスキッピングにより、未成熟終止コドンを除去し得る。特定の実施形態では、スプライス部位の改変、すなわちエキソンスキッピングにより、フレームシフトを除去してよく、特定の実施形態では、フレームシフトの除去により、未成熟終止コドンを除去し得る。
【0274】
いくつかの実施形態では、スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、pre-mRNAのスプライシングを改変し、いくつかの実施形態では、スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、修飾核酸を含むか、または修飾核酸からなり、いくつかの実施形態では、スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、短いオリゴマーであり、いくつかの実施形態では、スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、安定しているとともに、RNase H耐性を有し、いくつかの実施形態では、スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、安全かつ低毒性であり、いくつかの実施形態では、スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、多くの細胞に自由に取り込まれ、いくつかの実施形態では、スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、他の小児疾患の治療用として、FDAに認可されている。
【0275】
アンチセンス活性は、直接または間接的に観察してよい。特定の実施形態では、アンチセンス活性の観察または検出には、標的核酸もしくはそのような標的核酸によってコードされるタンパク質の量の変化、核酸もしくはタンパク質のスプライスバリアントの比率の変化、及び/または細胞もしくは動物における表現型の変化の観察または検出が伴う。
【0276】
V.特定の標的核酸
特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそのオリゴヌクレオチドからなる。特定の実施形態では、その標的核酸は、内因性RNA分子である。特定の実施形態では、その標的核酸は、タンパク質をコードする。特定のこのような実施形態では、その標的核酸は、イントロン領域、エキソン領域及び非翻訳領域を含む成熟mRNA及びpre-mRNAから選択されている。特定の実施形態では、その標的RNAは、成熟mRNAである。特定の実施形態では、その標的核酸は、pre-mRNAである。特定のこのような実施形態では、その標的領域は、全体がイントロン内にある。特定の実施形態では、その標的領域は、イントロン/エキソン接合部に及ぶ。特定の実施形態では、その標的領域は、少なくとも50%がイントロン内にある。特定の実施形態では、その標的核酸は、レトロ遺伝子のRNA転写産物である。特定の実施形態では、その標的核酸は、非コードRNAである。特定のこのような実施形態では、標的である非コードRNAは、長い非コードRNA、短い非コードRNA、イントロンRNA分子から選択されている。
【0277】
A.標的核酸との相補性/ミスマッチ
活性を消失させずに、ミスマッチ塩基を導入するのが可能である。例えば、Gautschiら(J.Natl.Cancer Inst.93:463-471,March 2001)は、bcl-2 mRNAとの相補性が100%であるとともに、bcl-xL mRNAとのミスマッチを3つ有するオリゴヌクレオチドが、in vitro及びin vivoにおいて、bcl-2及びbcl-xLの両方の発現を減少できることを示した。さらに、このオリゴヌクレオチドは、in vivoにおいて強力な抗腫瘍活性を示した。Maher及びDolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341-3358,1988)は、ウサギ網赤血球アッセイにおいて、2つまたは3つのタンデムオリゴヌクレオチドの配列でそれぞれ構成された一連のタンデムな14核酸塩基のオリゴヌクレオチド、28核酸塩基のオリゴヌクレオチド及び42核酸塩基のオリゴヌクレオチドが、ヒトDHFRの翻訳を阻止する能力について試験した。その3つの14核酸塩基のオリゴヌクレオチドのそれぞれのみが、翻訳を阻害できた。ただし、28核酸塩基または42核酸塩基のオリゴヌクレオチドよりも控えめなレベルであった。
【0278】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドの全長にわたって、標的核酸と相補的である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸と99%、95%、90%、85%または80%相補的である。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドの全長にわたって、標的核酸と少なくとも80%相補的であり、標的核酸と100%、すなわち完全に相補的な領域を含む。特定の実施形態では、完全に相補的な領域は、6~20核酸塩基長、10~18核酸塩基長または18~20核酸塩基長である。
【0279】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対してミスマッチである核酸塩基を1つ以上含む。特定の実施形態では、標的に対するアンチセンス活性は、このようなミスマッチによって低下するが、非標的に対する活性は、より多い量低下する。したがって、特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの選択性が向上されている。特定の実施形態では、ミスマッチは、ギャップマーモチーフを有するオリゴヌクレオチド内に特異的に配置されている。特定の実施形態では、そのミスマッチは、そのギャップ領域の5’末端から1つ目、2つ目、3つ目、4つ目、5つ目、6つ目、7つ目または8つ目の位置にある。特定の実施形態では、そのミスマッチは、そのギャップ領域の3’末端から9つ目、8つ目、7つ目、6つ目、5つ目、4つ目、3つ目、2つ目、1つ目の位置にある。特定の実施形態では、そのミスマッチは、そのウイング領域の5’末端から1つ目、2つ目、3つ目または4つ目の位置にある。特定の実施形態では、そのミスマッチは、そのウイング領域の3’末端から4つ目、3つ目、2つ目または1つ目の位置にある。
【0280】
B.CLN3
特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそのオリゴヌクレオチドからなり、その標的核酸は、CLN3である。特定の実施形態では、CLN3核酸は、配列番号1(28427600~28444620番目のヌクレオチドがトランケートされたGENBANKアクセッション番号NT_010393.16の相補体)または配列番号2(44319075~44333955位のヌクレオチドがトランケートされたGENBANKアクセッション番号NT_039433.8の相補体)に示されている配列を有する。
【0281】
特定の実施形態では、CLN3核酸は、配列番号99(GENBANKアクセッション番号NM_001042432.1)、配列番号100(GENBANKアクセッション番号NM_000086.2)または配列番号101(GENBANKアクセッション番号NM_001286110.1)に示されている配列を有する。
【0282】
特定の実施形態では、細胞と、配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー化合物を接触させると、CLN3 RNAの発現が調節され、特定の実施形態では、CLN3 mRNAの活性が調節され、特定の実施形態では、CLN3タンパク質の活性または量が調節される。特定の実施形態では、細胞と、配列番号99、配列番号100または配列番号101と相補的なオリゴマー化合物を接触させると、CLN3 RNAの発現が調節され、特定の実施形態では、CLN3 mRNAの活性が調節され、特定の実施形態では、CLN3タンパク質の活性または量が調節される。特定の実施形態では、細胞と、配列番号1または配列番号2と相補的なオリゴマー化合物を接触させると、神経変性疾患の症状または特質が1つ以上改善する。特定の実施形態では、細胞と、配列番号99、配列番号100または配列番号101と相補的なオリゴマー化合物を接触させると、神経変性疾患の症状または特質が1つ以上改善する。特定の実施形態では、その症状または特質は、運動機能不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化である。特定の実施形態では、細胞と、配列番号1または配列番号2と相補的な修飾オリゴヌクレオチドを接触させると、運動機能が改善し、神経障害が減少し、凝集体の数が減少する。特定の実施形態では、細胞と、配列番号99、配列番号100または配列番号101と相補的な修飾オリゴヌクレオチドを接触させると、運動機能が改善し、神経障害が減少し、凝集体の数が減少する。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、修飾オリゴヌクレオチドからなる。
【0283】
C.特定の組織における特定の標的核酸
特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、標的核酸と相補的である領域を含むオリゴヌクレオチドを含むか、またはそのオリゴヌクレオチドからなり、その標的核酸は、薬理学的に関連する組織で発現する。特定の実施形態では、その薬理学的に関連する組織は、中枢神経系(CNS)を含む細胞及び組織である。このような組織としては、皮質、脊髄、海馬、脳橋、小脳、黒質、赤核、延髄、視床及び後根神経節のような脳組織が挙げられる。
【0284】
VI.特定の医薬組成物
特定の実施形態では、本明細書に記載するのは、1つ以上のオリゴマー化合物を含む医薬組成物である。特定の実施形態では、その1つ以上のオリゴマー化合物はそれぞれ、修飾オリゴヌクレオチドからなる。特定の実施形態では、その医薬組成物は、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、滅菌生理食塩水と、1つ以上のオリゴマー化合物を含むか、またはそれらからなる。特定の実施形態では、その滅菌生理食塩水は、医薬品グレードの生理食塩水である。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物と、滅菌水を含むか、またはそれらからなる。特定の実施形態では、その滅菌水は、医薬品グレードの水である。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物と、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むか、またはそれらからなる。特定の実施形態では、その滅菌PBSは、医薬品グレードのPBSである。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物と、人工脳脊髄液を含むか、またはそれらからなる。特定の実施形態では、その人工脳脊髄液は、医薬品グレードのものである。
【0285】
特定の実施形態では、医薬組成物は、修飾オリゴヌクレオチドと、人工脳脊髄液を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、修飾オリゴヌクレオチドと、人工脳脊髄液からなる。特定の実施形態では、医薬組成物は、修飾オリゴヌクレオチドと、人工脳脊髄液から本質的になる。特定の実施形態では、その人工脳脊髄液は、医薬品グレードのものである。
【0286】
特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上のオリゴマー化合物と、1つ以上の賦形剤を含む。特定の実施形態では、賦形剤は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドンから選択されている。
【0287】
特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、医薬組成物または医薬製剤を調製するために、薬学的に許容される活性及び/または不活性な物質に添加混合し得る。医薬組成物を調合するための組成物及び方法は、多くの基準(投与経路、疾患の程度または投与用量が挙げられるが、これらに限らない)によって決まる。
【0288】
特定の実施形態では、オリゴマー化合物を含む医薬組成物には、そのオリゴマー化合物の薬学的に許容される塩のいずれか、そのオリゴマー化合物のエステル、またはそのようなエステルの塩が含まれる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドを1つ以上含むオリゴマー化合物を含む医薬組成物は、ヒトを含む動物に投与すると、生物活性のある代謝物またはその残留物を(直接または間接的に)もたらすことができる。したがって、例えば、本開示は、オリゴマー化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、そのようなプロドラッグの薬学的に許容される塩、及びその他の生物学的に同等な物質に対するものでもある。好適な薬学的に許容される塩としては、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、プロドラッグは、オリゴヌクレオチドに結合しているコンジュゲート基を1つ以上含み、そのコンジュゲート基は、体内の内因性ヌクレアーゼによって切断される。
【0289】
様々な方法における核酸療法で、脂質部分が用いられている。特定のこのような方法では、カチオン性脂質と中性脂質の混合物で作られた予め形成済みのリポソームまたはリポプレックスに、オリゴマー化合物のような核酸を導入する。特定の方法では、中性脂質の非存在下で、モノカチオン性脂質またはポリカチオン性脂質とのDNA複合体を形成する。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬剤の特定の細胞または組織への分布を増大させるように選択する。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬剤の脂肪組織への分布を増大させるように選択する。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬剤の筋肉組織への分布を増大させるように選択する。
【0290】
特定の実施形態では、医薬組成物は、送達システムを含む。送達システムの例としては、リポソーム及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限らない。特定の送達システムは、特定の医薬組成物(疎水性化合物を含む医薬組成物を含む)を調製するのに有用である。特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドのような特定の有機溶媒が用いられている。
【0291】
特定の実施形態では、医薬組成物は、本発明の1つ以上の医薬剤を所定の種類の組織または細胞に送達するように設計された組織特異的な送達分子を1つ以上含む。例えば、特定の実施形態では、医薬組成物は、組織特異的な抗体で被覆されたリポソームを含む。
【0292】
特定の実施形態では、医薬組成物は、共溶媒システムを含む。特定のこのような共溶媒システムは、例えば、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマー及び水相を含む。特定の実施形態では、このような共溶媒システムは、疎水性化合物に用いられている。このような共溶媒システムの非限定的な例は、VPD共溶媒システムであり、このシステムは、ベンジルアルコールを3%(w/v)、非極性界面活性剤Polysorbate80(商標)を8%(w/v)、及びポリエチレングリコール300を65%(w/v)含む無水エタノールの溶液である。このような共溶媒システムの比率は、その溶解性及び毒性の特徴をあまり大きく変化させなければ、かなり変化させてよい。さらに、共溶媒成分の内訳が変更されていてもよく、例えば、Polysorbate80(商標)の代わりに、他の界面活性剤が用いられていてもよく、ポリエチレングリコールの割合の大きさが変更されていてもよく、ポリエチレングリコールが、その他の生体適合性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンに置き換えられていてもよく、デキストロースが、その他の糖または多糖に置き換わっていてもよい。
【0293】
特定の実施形態では、医薬組成物は、経口投与用に調製されている。特定の実施形態では、医薬組成物は、口腔内投与用に調製されている。特定の実施形態では、医薬組成物は、注射(例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射、髄腔内(IT)注射、脳室内(ICV)注射など)による投与用に調製されている。特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、担体を含み、水のような水性溶液、またはハンクス液、リンゲル液もしくは生理食塩水のような生理学的に適合する緩衝剤中に調合されている。特定の実施形態では、その他の成分(例えば、溶解性を補助するか、または成分保存剤として機能する成分)が含まれている。特定の実施形態では、適切な液体担体、懸濁化剤などを用いて、懸濁注射剤が調製されている。注射用の特定の医薬組成物は、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回用量用容器で供給する。注射用の特定の医薬組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤であり、懸濁化剤、安定剤及び/または分散剤のような製剤化剤を含んでよい。注射用の医薬組成物で用いるのに適する特定の溶媒としては、親油性溶媒、ならびに脂肪油(ゴマ油など)、合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなど)及びリポソームが挙げられるが、これらに限らない。
【0294】
特定の条件下では、本明細書で開示する特定の化合物は、酸として機能する。このような化合物は、プロトン化(遊離酸)形態、イオン化(アニオン)形態、またはイオン化され、カチオンを伴う(塩)形態で描画または記載されている場合があるが、このような化合物の水溶液は、上記のような形態の間で平衡状態にある。例えば、水溶液中のオリゴヌクレオチドのリン酸塩結合は、遊離酸形態、アニオン形態及び塩形態の間で平衡状態にある。別段に示されていない限り、本明細書に記載されている化合物には、上記のような形態がすべて含まれるように意図されている。さらに、特定のオリゴヌクレオチドは、このような結合をいくつか有し、その各結合は、平衡状態にある。したがって、溶液中のオリゴヌクレオチドは、複数の位置における形態がすべて平衡状態にある集合体で存在する。「オリゴヌクレオチド」という用語には、このような形態がすべて含まれるように意図されている。描かれている構造には、やむを得ず、1つの形態が示されている。しかしその一方で、別段に示されていない限り、このような図面には、上記と同様に、対応する形態が含まれるように意図されている。本明細書では、化合物の遊離酸の後に、「またはその塩」という語句が続く構造には、完全または部分的にプロトン化されるか/脱プロトン化されるか/カチオンを伴い得る上記のような形態がすべて明示的に含まれる。特定の場合では、1つ以上の所定のカチオンが特定されている。
【0295】
特定の実施形態では、本明細書で開示するオリゴマー化合物は、ナトリウム水溶液中に存在する。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、カリウム水溶液中に存在する。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、人工CSF中に存在する。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、PBS中に存在する。特定の実施形態では、オリゴマー化合物は、水中に存在する。特定のこのような実施形態では、その溶液のpHは、所望のpHとなるように、NaOH及び/またはHClで調整されている。
【0296】
非限定的な開示及び参照による援用
本明細書に列挙されている文献及び特許出願はそれぞれ、参照により、その全体が援用される。
【0297】
本明細書に記載されている特定の化合物、組成物及び方法について、特定の実施形態に従って具体的に説明されている一方で、下記の実施例は、本明細書に記載されている化合物を例示する役割を果たすに過ぎず、その化合物を限定するようには意図されていない。本願に示されている参考資料、GenBankアクセッション番号などはそれぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0298】
本出願に添付されている配列表には、必要に応じて「RNA」または「DNA」のいずれかとして各配列が示されているが、実際には、これらの配列は、化学修飾をいずれかに組み合わせたものによって修飾してもよい。修飾オリゴヌクレオチドを説明するために、上記のように「RNA」または「DNA」と称しているのは、特定の場合では、任意であることを当業者は容易に認識するであろう。例えば、2’-OH糖部分とチミン塩基を含むヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドは、修飾糖を有するDNA(DNAの2’-Hの1つが2’-OHに置き換わっている)または修飾塩基を有するRNA(RNAのウラシルがチミン(メチル化ウラシル)に置き換わっている)として記載できる。したがって、本明細書で提供する核酸配列(配列表内の核酸配列が挙げられるが、これらに限らない)には、天然または修飾型のRNA及び/またはDNAをいずれかに組み合わせたものを含む核酸が含まれるように意図されており、その核酸としては、修飾核酸塩基を有する核酸が挙げられるが、これらに限らない。さらなる例として、かつ以下に限定されるものではないが、「ATCGATCG」という核酸塩基配列を有するオリゴマー化合物には、修飾されているか、修飾されていないかにかかわらず、このような核酸塩基配列を有するいずれのオリゴマー化合物も含まれ、その化合物としては、RNA塩基を含む化合物(「AUCGAUCG」という配列を有する化合物など)、「AUCGATCG」のように、いくつかのDNA塩基と、いくつかのRNA塩基を有する化合物、及び「ATCGAUCG」(式中、Cは、5位にメチル基を含むシトシン塩基を示す)のように、他の修飾核酸塩基を有するオリゴマー化合物が挙げられるが、これらに限らない。
【0299】
本明細書に記載されている特定の化合物(例えば修飾オリゴヌクレオチド)は、不斉中心を1つ以上有するので、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び絶対立体化学の観点で(R)もしくは(S)として、糖アノマーにおけるようにαもしくはβとして、またはアミノ酸におけるように(D)もしくは(L)などとして定義し得る他の立体異性配置が生じる。本明細書で提供する化合物のうち、特定の立体異性配置を有するものとして描写または記載されている化合物には、その示されている化合物のみが含まれる。本明細書で提供する化合物のうち、立体化学が定義されていないものとして描写または説明されている化合物には、他に断りがない限り、そのステレオランダムな形態及び光学的に純粋な形態を含め、考え得るあらゆる異性体が含まれる。同様に、別段に示されていない限り、その化合物の互変異性体も含まれる。別段に示されていない限り、本明細書に記載されている化合物には、対応する塩形態が含まれるように意図されている。
【0300】
本明細書に記載されている化合物には、1つ以上の原子が、その示されている元素の非放射性同位体または放射性同位体に置き換わっている変形形態が含まれる。例えば、水素原子を含む本明細書の化合物には、H水素原子のそれぞれが重水素に置換されたあらゆる考え得るケースが含まれる。本明細書の化合物に含まれる同位体置換としては、HのHまたはHへの置換、12Cの13Cまたは14Cへの置換、14Nの15Nへの置換、16Oの17Oまたは18Oへの置換、及び32Sの33S、34S、35Sまたは36Sへの置換が挙げられるが、これらに限らない。特定の実施形態では、非放射性同位体置換により、治療ツールまたは研究ツールとして用いる際に有益である新たな特性をオリゴマー化合物に付与し得る。特定の実施形態では、放射性同位体置換により、その化合物が、研究目的または画像診断などの診断目的においてに適する化合物となり得る。
【実施例
【0301】
下記の実施例は、本開示の特定の実施形態を例示するものであり、限定するものではない。さらに、具体的な実施形態が示されている場合、本発明者は、それらの具体的な実施形態の一般的適用を企図している。例えば、特定のモチーフを有するオリゴヌクレオチドの開示によって、同じモチーフまたは類似のモチーフを有する追加のオリゴヌクレオチドが合理的に網羅される。また、例えば、特定の高親和性の修飾が特定の位置に見られる場合、別段に示されていない限り、同じ位置にある他の高親和性の修飾は、好適なものとみなす。
【0302】
実施例1:ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドが、in vitro(CLN3Δ78/Δ78細胞)において、マウスCLN3に及ぼす作用
マウス核酸と相補的な修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド(SSO))を設計し、CLN3Δ78がホモ接合型であるマウス細胞株(CLN3Δ78/Δ78)におけるCLN3 RNAの発現の調節に対して、その修飾オリゴヌクレオチドが及ぼす作用について試験した。エキソン7及びエキソン8が欠損しているCLN3変異を2コピー含む胎生15日のCLN3Δex78(CLN3Δ78/Δ78)マウス胚の組織から、CLN3Δ78がホモ接合型であるC334E細胞(CLN3Δ78/Δ78)を作製した。簡潔に述べると、マウスを安楽死させ、胚を取り出した。眼の上方で、横断切片を作製して、脳組織を単離し、頭骨を除去した。組織を細かく切断し、0.01%トリプシン中でインキュベートしてから、DMEM(高グルコース)+10%FBS+1%pen/strep中で培養した。続いて、付着した分裂細胞を増殖させて増やした。上記のSSOが、CLN3 RNAのスプライシングを調節して、エキソン5のスキッピングを誘導することによって、CLN3 RNAの活性を調節する能力について試験した。
【0303】
Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて、細胞に、表1に列挙されている100nMの修飾オリゴヌクレオチド(SSO)をトランスフェクションした。未処置のコントロール細胞には、修飾オリゴヌクレオチドまたはLipofectamineのいずれも導入しなかった一方で、モックトランスフェクション細胞には、Lipofectamineのみを導入した。48時間後、その細胞から全RNAを回収し、mCLN3ex4F(5’-CAACTCCATCTCCACAGC-3’)(配列番号54)及びmCLN3ex10R(5’-AGAGGTCCCAGCTGGCAC-3’)(配列番号55)というプライマーを用いたRT-PCRによって、スプライシングを解析した。PCR産物をアクリルアミドゲルで解析し、ホスホイメージャー解析(Typhoon 9400、GE Healthcare)によって定量した(図5)。
【0304】
下記の表1の修飾オリゴヌクレオチドは、均一修飾型オリゴヌクレオチドである。そのオリゴヌクレオチドは、18核酸塩基長である。各ヌクレオシドは、2’-MOEヌクレオシドである。各インターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。各オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、下記の表に列挙されている。「開始部位」は、そのオリゴヌクレオチドがマウスCLN3核酸の配列と相補的であるヌクレオシドのうちの5’最末端ヌクレオシドを示している。「終止部位」は、そのマウスCLN核酸の配列において、そのオリゴヌクレオチドが相補的であるヌクレオシドのうちの3’最末端ヌクレオシドを示している。
【0305】
下記の表1に列挙されている各修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号2(マウスCLN3。44319075~44333955番目のヌクレオチドがトランケートされたマウスGENBANKアクセッション番号NT_039433.8の相補体)と相補的である。表1に列挙されている修飾オリゴヌクレオチドは、マウスCLN3 pre-mRNAのエキソン5及び/またはエキソン5を挟み込んでいるイントロンと相補的である。各修飾オリゴヌクレオチドにおけるCLN3の発現の調節は、エキソン5スキッピングとして列挙されている。各修飾オリゴヌクレオチドにおいて、各アッセイで検出されたエキソン5スキッピングのパーセンテージは、全CLN3 RNA(すなわち、CLNΔex78 RNA及びCLN3Δex578の転写産物の合計)に対するCLN3Δex578 RNA(エキソン5がスキッピングされたRNA)のパーセンテージ(×100)として算出されている。
【0306】
下に示されているように、マウスCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、マウスCLN3 RNAの発現が調節された。マウスCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、疾患と関連するΔex78 CLN3を発現する細胞において、エキソン5スキッピングが誘導された。マウス細胞の処置またはin vivoでのマウスの処置に関連して本明細書で論じられているような「SSO-26」は、表1の修飾オリゴヌクレオチドSSO-26を指す。
表1
マウスCLN3Δ78/Δ78細胞において、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドを用いた場合のマウスCLN3の活性
【表1-1】
【表1-2】
【0307】
実施例2:ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドが、in vitro(CLN3+/+細胞)において、マウスCLN2に及ぼす作用
実施例1に記載されているようにして、マウス核酸と相補的な修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド(SSO))を設計し、実施例1と同じ条件で、その修飾オリゴヌクレオチドが、野生型CLN3を発現するマウス細胞株(208e)におけるCLN3 RNAに及ぼす作用について試験した。表2には、発現の調節、すなわちエキソン5スキッピングが、完全長(FL)RNAと、エキソン5がスキッピングされた転写産物の合計に対する、エキソン5がスキッピングされた(Δex5)CLN3のパーセンテージ(×100)として示されている。N.D.は、データを収集しなかったことを示している。
【0308】
下に示されているように、マウスCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、マウスCLN3 RNAの発現が調節された。マウスCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、野生型CLN3を発現する細胞において、エキソン5スキッピングが誘導された。
表2
マウス野生型CLN3+/+細胞において、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドを用いた場合のマウスCLN3の活性
【表2】
【0309】
実施例3:ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドが、in vitro(CLN3Δ78/Δ78細胞)において、マウスCLN2に及ぼす作用
マウス核酸と相補的な追加の修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド(SSO))を設計し、CLN3Δ78(CLN3Δ78/Δ78)がホモ接合型であるマウス細胞株におけるCLN3 RNAに、その修飾オリゴヌクレオチドが及ぼす作用について試験した。
【0310】
実施例1の方法を用いて、C334E細胞に、表3に列挙されている200nMの修飾オリゴヌクレオチドをトランスフェクションした。
【0311】
下記の表3の修飾オリゴヌクレオチドは、均一修飾型オリゴヌクレオチドである。そのオリゴヌクレオチドは、18核酸塩基長である。各ヌクレオシドは、2’-MOE基を有する。各インターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。各オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、下記の表に列挙されている。「開始部位」は、そのオリゴヌクレオチドがマウスCLN3核酸の配列と相補的であるヌクレオシドのうちの5’最末端ヌクレオシドを示している。「終止部位」は、そのマウスCLN核酸の配列において、そのオリゴヌクレオチドが相補的であるヌクレオシドのうちの3’最末端ヌクレオシドを示している。
【0312】
下記の表3に列挙されている各修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号2(マウスCLN3。44319075~44333955番目のヌクレオチドがトランケートされたマウスGENBANKアクセッション番号NT_039433.8の相補体)と相補的である。表3に列挙されている修飾オリゴヌクレオチドは、マウスCLN3 pre-mRNAのエキソン5及び/またはエキソン5を挟み込んでいるイントロンと相補的である。下に示されているように、マウスCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、マウスCLN3 RNAの発現が調節された。マウスCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、疾患と関連するΔex78 CLN3を発現する細胞において、エキソン5スキッピングが誘導された。
【0313】
表3には、発現の調節、すなわちエキソン5スキッピングが、完全長(FL)RNAと、エキソン5がスキッピングされた転写産物の合計に対する、エキソン5がスキッピングされた(Δex5)CLN3のパーセンテージ(×100)として示されている。
表3
マウスCLN3 RNAと相補的であるスプライススイッチングオリゴヌクレオチドの、CLN3Δ78/Δ78マウス細胞における活性
【表3】
【0314】
実施例4:マウスCNSにおける修飾オリゴヌクレオチドの分布
図7には、修飾オリゴヌクレオチド(SSO)がCNSにおいて広く分布していることが示されている。修飾オリゴヌクレオチドSSO-26(SSO26、SSO-26、化合物ID 730500、配列番号28とも称する)を新生仔へのICV注射によって、CLN3Δ78/Δ78マウスに投与し、注射から3週間後に、修飾オリゴヌクレオチドの送達を解析した。その修飾オリゴヌクレオチドの免疫蛍光染色結果が、各画像セットの左側の4つのパネルに示されている一方で、ヘキスト(核)染色結果が右側に示されている。図7Bには、SSO-26で処置したCLN3Δ78/Δ78マウス(上)と、未処置のCLN3Δ78/Δ78マウス(下)の海馬、体性感覚皮質及び視床におけるそれぞれの対の10倍画像が示されている。図7Cには、同じ組織の60倍画像が示されている。処置したマウスでは、海馬、体性感覚皮質及び視床においてオリゴヌクレオチドが染色された。未処置のマウスのオリゴヌクレオチドパネルでは、シグナルは検出されず、ヘキスト染色では、同程度のレベルの染色が見られることから、画像化した組織は、ほぼ同じ数の細胞を含むことが示されている。
【0315】
実施例5:バッテン病のマウスモデルにおいて、マウスCLN3エキソン5のスキッピングを誘導するための修飾オリゴヌクレオチド
上記の表1~3に示されている修飾オリゴヌクレオチドをバッテン病のin vivoモデルで試験した(図6)。そのマウスモデルは、マウスCLN3遺伝子のうち、バッテン病の症例の大半の原因であるCLN3Δex78という欠失に対応する1kbの領域にゲノムDNAの欠失を有する(Cotman,et al.,Hum.Mol.Genetics,11(22):2709-2721,2002)。これらのホモ接合型CLN3Δ78/Δ78マウスでは、8~12週齢までに、運動タスク能力欠陥を含む、バッテン病の症状が現れる。
【0316】
ホモ接合型CLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、生後1日目に、マウス修飾オリゴヌクレオチドSSO-26またはコントロールの修飾オリゴヌクレオチドを500μg注射し、3週目、19週目及び26週目に、スプライシングを解析した。そのコントロールの修飾オリゴヌクレオチド(SSO-C)は、いずれの既知のマウス遺伝子との相補性も100%ではない。SSO-Cは、TTAGTTTAATCACGCTCG(配列番号97、化合物ID439272)という配列を有し、その各ヌクレオシドは、2’-MOEヌクレオシドであり、各インターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、各シトシン核酸塩基は、5-メチルシトシンである。N.D.は、その条件においては、データを収集しなかったことを示している。実験の19週目までのタイムラインが、図8の概略図に示されている。図9及び11、ならびに下記の表4に示されている結果には、1回用量の修飾オリゴヌクレオチドが、in vivoにおいて、最長で26週間、マウスCLN3のスプライシングを調節することによって、マウスCLN3の発現を調節できることが示されている。
表4
バッテン病のマウスモデルにおけるin vivoでの修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド)の作用
【表4】
【0317】
実施例6:バッテン病のマウスモデルにおいて、ヒトCLN3エキソン5のスキッピングを誘導するための修飾オリゴヌクレオチド
上記の修飾オリゴヌクレオチドをバッテン病のin vivoモデルで試験した。
【0318】
ホモ接合型CLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、8週齢において、修飾オリゴヌクレオチドを500μg注射し、2週間後に、CLN3のスプライシングを解析した。その結果から、エキソン5またはエキソン5を挟み込んでいるイントロンと相補的ないくつかのスプライススイッチングオリゴヌクレオチドが、in vivoにおいて、CLN3のスプライススイッチングを誘導できることが示されている。
表5
バッテン病のマウスモデルにおけるスプライススイッチングオリゴヌクレオチドの作用
【表5】
【0319】
実施例7:修飾オリゴヌクレオチドは、バッテン病のin vivoマウスモデルにおいて、症状を改善する
図6及び上記の実施例5で論じられているホモ接合型CLN3Δ78/Δ78マウスに、ICV注射によって、生後1日目に、マウス修飾オリゴヌクレオチドSSO-26またはコントロールの修飾オリゴヌクレオチドを25μg注射した。8週間後に、その処置マウス及びコントロールマウスの挙動を評価した。コントロールオリゴヌクレオチドを用いて、ヘテロ接合型マウス(CLN3+/Δ78)の挙動も試験した。
【0320】
マウスは、加速ロータロッドテストで評価し、そのテストでは、時間とともにロッドを加速させ、落下潜時を記録した。マウスは、垂直ポールテストでも評価し、このテストでは、マウスが、ポールの最上部まで登り、回転するまでの時間を記録する。これらの運動機能試験は、Karl,et al.,Exper.And Tox.Pathology,55(1):69-83,2003に詳細に説明されている。結果は、図13及び14に示されており、下記の表6に数値化されている。CLN3Δ78/Δ78マウスをマウス修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置したところ、運動症状が、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウスの状態まで回復した。
表6
バッテン病のマウスモデルにおける修飾オリゴヌクレオチドスプライススイッチングオリゴヌクレオチドの挙動面での作用
【表6】
【0321】
19週間後、マウスを殺処分し、組織を組織診断によって解析した。海馬及び視床から得た組織において、ATPaseサブユニットCに対する染色(1:100、Abcam Ab181243)と、核に対するヘキスト染色を行った(図15を参照されたい)。Zeiss LSM510という共焦点顕微鏡(Carl Zeiss,Oberkochen,Germany)で、20倍の対物倍率を用いて、画像を解析した。画像は、0.74μm間隔の垂直方向のzスタックとして収集し、Zenというソフトウェアを用いて、最大値投影像として投影処理した。ATPaseサブユニットCに対する染色が陽性であった総面積を画像の総面積と比較した。CLN3Δ78/Δ78マウスをスプライススイッチングオリゴヌクレオチドで処置すると、脳組織におけるATPaseサブユニットCの蓄積が低減される(図10、11及び22)。
表7
修飾オリゴヌクレオチドが、CLN3Δ78/Δ78マウスの脳組織におけるATPaseサブユニットCの蓄積に及ぼす作用
【表7】
【0322】
体性感覚皮質、視覚皮質及び視床を含む脳組織において、抗GFAP(Dako、Z0334、1:250)を用いて、GFAPに対する染色を行うことによって、アストロサイトの活性化についても解析した。続いて、組織を3回洗浄し、TBS-T+10%ヤギ血清で希釈した抗ウサギビオチン化二次抗体(Vector Labs、BA-9400、1:2,000)中で2時間インキュベートした。組織を洗浄し、ABC増幅キット(Vector Labs)中で2時間インキュベートした。組織を洗浄し、好適な反応が生じるまで、0.05%DAB溶液中でインキュベートした。続いて、組織を3回洗浄し、マウントし、キシレンに10分浸漬した。次に、DPXという封入剤を用いて、その薄切片にカバースリップを載せた。DAB染色では、スライドをLeica DM6000Bというスライド走査型顕微鏡において20倍で走査した。続いて、ImageJを用いた画像閾値解析(図16)のために、画像をそれぞれの領域から、2,400×2,400ピクセルの寸法で抽出した。そのデータは、下記の表に示されている。CLN3Δ78/Δ78マウスをスプライススイッチングオリゴヌクレオチドで処置すると、脳組織におけるアストロサイトの活性化が低減される。
表8
修飾オリゴヌクレオチドが、CLN3Δ78/Δ78マウスの脳組織におけるアストロサイトの活性化に及ぼす作用
【表8】
【0323】
実施例8:修飾オリゴヌクレオチドは、バッテン病の重症マウスモデルにおいて、生存期間を改善する
CLN3Δ78/Δ78マウスと、凝集する傾向がある型のヒトアミロイド前駆タンパク質をコードするhAPP695 cDNAを発現するマウスを交配することによって、バッテン病の重症マウスモデルを作製した。加えて、野生型(CLN3+/+)及びヘテロ接合型(CLN3+/Δ78)のバックグラウンドを持つマウスに、V717F、K670N及びM671Lを有するhAPP695 cDNAを導入した。hAPP695 cDNAを発現するCLN3Δ78/Δ78マウスでは、hAPP695 cDNAを発現するCLN3+/+マウスと比べて、リソソームにおけるhAPPの蓄積が増大し、その結果、早期死亡リスクが上昇する。
【0324】
コントロールのオリゴヌクレオチド及びマウス修飾オリゴヌクレオチドSSO-26を用いた場合のCLN3Δ78/Δ78/hAPP695マウスの生存期間を、生後1日目における25μgの修飾オリゴヌクレオチドのICV注射による投与後に追跡した。未処置のCLN3+/+/hAPP695マウスと、生後1日目に、コントロールのオリゴヌクレオチドでICV注射によって処置したCLN3+/Δ78/hAPP695マウスの生存期間も追跡した。生存曲線は、図25に示されており、概要は、下記の表9に示されている。Δ78/Δ78 CLN3Δ78/Δ78/hAPPマウスをマウス修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置したところ、生存期間が、ヘテロ接合型CLN3+/Δ78/hAPP695マウスで見られた生存期間のレベルまで長くなった。生存期間中央値は、所定の処置群のマウスの50%が死亡するまでの期間であり、その値は、下記の表に報告されている。CLN3核酸と相補的な修飾オリゴヌクレオチドで、CLN3Δ78/Δ78マウスを処置したところ、その修飾オリゴヌクレオチドで処置しなかったCLN3Δ78/Δ78マウスと比べて、生存期間中央値が長くなった。
表9
バッテン病の重症マウスモデルにおける、修飾オリゴヌクレオチドによる生存期間の延長
【表9】
【0325】
実施例9:ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドが、in vitro(ヒトCLN3+/Δ78細胞)において、ヒトCLN3に及ぼす作用
ヒト核酸と相補的な修飾オリゴヌクレオチド(スプライススイッチングオリゴヌクレオチド(SSO))を設計し、CLNΔex78がヘテロ接合型であるヒト線維芽細胞株(CLN3+/Δ78)におけるCLN3 RNAに、その修飾オリゴヌクレオチドが及ぼす作用について試験した。Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて、細胞に、表10に列挙されている100nMの修飾オリゴヌクレオチド(SSO)をトランスフェクションした。未処置のコントロール細胞には、修飾オリゴヌクレオチドまたはLipofectamineのいずれも導入しなかった一方で、モックトランスフェクション細胞には、Lipofectamineのみを導入した。48時間後、全RNAを細胞から回収し、hCLN3ex4F(5’-GCAACTCTGTCTCTACGGC-3’)(配列番号52)及びhCLN3ex9R(5’-GCCTCAGGAGATGTGAGC-3’)(配列番号56)というプライマーを用いて、RT-PCRを利用して、CLN3Δex78及びCLN3Δex578の転写産物を特定した。そのPCR産物をアクリルアミドゲル電気泳動によって解析し、ホスホイメージャー解析(Typhoon 9400、GE Healthcare)によって定量したが、その結果は、下記の表10に示されている。
【0326】
下記の表10の修飾オリゴヌクレオチドは、均一修飾型オリゴヌクレオチドである。そのオリゴヌクレオチドは、18核酸塩基長である。各ヌクレオシドは、2’-MOEヌクレオシドである。各インターヌクレオシド結合は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、各シトシン残基は、5-メチルシトシンである。各オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、下記の表に列挙されている。「開始部位」は、そのオリゴヌクレオチドがヒトCLN3核酸の配列と相補的であるヌクレオシドのうちの5’最末端ヌクレオシドを示している。「終止部位」は、そのヒトCLN核酸の配列において、そのオリゴヌクレオチドが相補的であるヌクレオシドのうちの3’最末端ヌクレオシドを示している。
【0327】
表10の各修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号1(ヒトCLN3核酸、28427600~28444620番目のヌクレオチドがトランケートされたGENBANKアクセッション番号NT_010393.16の相補体)と相補的である。表10に列挙されている修飾オリゴヌクレオチドは、ヒトCLN3 pre-mRNAのエキソン5及び/またはエキソン5を挟み込んでいるイントロンと相補的である。各修飾オリゴヌクレオチドにおけるCLN3 RNAの発現の調節は、エキソン5スキッピングとして列挙されている。各修飾オリゴヌクレオチドにおいて、各アッセイで検出された、エキソン5スキッピングのパーセンテージは、全CLN3 RNAに対するCLNΔ578 RNA(エキソン5がスキッピングされたRNA)のパーセンテージ(すなわち、[Δ578/(Δ578+Δ78)]×100])として算出されている。
【0328】
下に示されているように、ヒトCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、ヒトCLN3 RNAの発現が調節された。ヒトCLN3と相補的な修飾オリゴヌクレオチドによって、野生型CLN3及び疾患と関連する短縮型のCLN3Δex78を発現する細胞において、エキソン5スキッピングが誘導された。ヒト細胞またはヒト修飾オリゴヌクレオチドによる処置に関連して本明細書で論じられている「SSO-20」は、表10の修飾オリゴヌクレオチドSSO-20を指し、「SSO-28」は、表10の修飾オリゴヌクレオチドSSO-28を指す。
表10
ヒト線維芽細胞(CLN3+/Δ78)において、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドを用いた場合のヒトCLN3の活性
【表10-1】
【表10-2】
【0329】
実施例10:ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドが、in vitroにおいて、CLN3に及ぼす用量依存的な作用
ホモ接合型CLN3d78患者細胞株(CLN3Δ78/Δ78)において、修飾オリゴヌクレオチドSSO-20及びSSO-28を用量応答アッセイで評価した(図26E)。hCLN3ex4F(5’GCAACTCTGTCTCTACGGC-3’)(配列番号52)及びhCLN3ex10R(5’CTTGAACACTGTCCACC-3’)(配列番号53)というプライマーを用いて、本質的に本明細書で示されているようにして、RT-PCR解析を行った。下記の表11には、用量の対数に対するものとして、エキソン5がスキッピングされたパーセンテージが示されている。
表11
ヒトホモ接合型CLN3d78患者細胞株において、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドを用いた場合のヒトCLN3の活性
【表11】
【0330】
3.125~200nMの修飾オリゴヌクレオチドSSO-20及びSSO-28で処置したヘテロ接合型CLN3+/Δ78ヒト線維芽細胞株において、修飾オリゴヌクレオチドSSO-20及びSSO-28を用量応答アッセイで評価した。その結果は、図27に示されている。
【0331】
0.391~200nMの修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置したマウスCLN3Δex7/8マウス細胞株において、修飾オリゴヌクレオチドSSO-26を用量応答アッセイで評価した。その結果は、図28に示されている。
【0332】
実施例11:ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する2’-MOE均一修飾型オリゴヌクレオチドが、in vivoにおいて、マウスCLN3に及ぼす作用
修飾オリゴヌクレオチドSSO-26と、コントロールの修飾オリゴヌクレオチドSSO-Cを処置マウスにおいて、in vivo評価した。処置後、RNAを19週齢のヘテロ接合型CLN3+/Δ78マウス及びホモ接合型CLN3Δ78/Δ78マウスの皮質、視床、線条体、脳幹、脊髄及び腎臓から抽出した。エキソン5スキッピングの定量により、処置マウスのCNSにおいて、広範な修飾オリゴヌクレオチド活性が見られた(図29)。
【0333】
修飾オリゴヌクレオチドSSO-26で処置したところ、マウスの体重は、マウスを2カ月齢及び4.5カ月齢の時点に評価した場合、生後1日目または2日目に修飾オリゴヌクレオチドSSO-Cで処置した場合と比べて、有意には変化しなかった(図30)。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
12~50個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、CLN3核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的であり、前記修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドの少なくとも1つが、修飾糖を含み、及び/または前記修飾オリゴヌクレオチドのインターヌクレオシド結合の少なくとも1つが、修飾インターヌクレオシド結合である前記オリゴマー化合物。
[態様2]
12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
[態様3]
12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個の連続した核酸塩基の部分を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記部分が、
配列番号1の5499~5701番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5514~5651番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5519~5546番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5534~5646番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5559~5631番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号1の5534~5551番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
と相補的である前記オリゴマー化合物。
[態様4]
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%相補的である核酸塩基配列を有する、態様1~3のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様5]
12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号3~51の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物。
[態様6]
12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個の連続した核酸塩基の部分を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記部分が、
配列番号2の4837~4964番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4852~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4922~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4932~4949番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4852~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号2の4892~4954番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号2の4892~4909番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
と相補的である前記オリゴマー化合物。
[態様7]
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号2の核酸塩基配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%相補的である核酸塩基配列を有する、態様1、5または6のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様8]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、態様1~7のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様9]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、態様8に記載のオリゴマー化合物。
[態様10]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または少なくとも18個含む、態様1~9のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
[態様11]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、態様9または10のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様12]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または少なくとも18個含む、態様11に記載のオリゴマー化合物。
[態様13]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-4’架橋を有する二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含み、前記2’-4’架橋が、-O-CH-及び-O-CH(CH)-から選択されている、態様11または12のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様14]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、非二環式の修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、態様9に記載のオリゴマー化合物。
[態様15]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、非二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または少なくとも18個含む、態様9または10のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様16]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-MOE修飾糖または2’-OMe修飾糖を含む非二環式の修飾糖部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、態様14または15のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様17]
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEまたは2’-OMeを含む非二環式の修飾糖部分を含む、態様9に記載のオリゴマー化合物。
[態様18]
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含む、態様9に記載のオリゴマー化合物。
[態様19]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、完全修飾型糖モチーフ領域を含む、態様1~9のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様20]
前記完全修飾型糖モチーフ領域が、7~20ヌクレオシド長である、態様19に記載のオリゴマー化合物。
[態様21]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、2’-デオキシヌクレオシドを少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個または少なくとも4個含む、態様19~20のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様22]
前記完全修飾型糖モチーフ領域の各ヌクレオシドが、2’-OCHCHOCH基または2’-OCH基を含む、態様19~21のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様23]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、糖代替部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、態様8~18のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様24]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、モルホリノ及びPNAから選択した糖代替部分を含む修飾ヌクレオシドを少なくとも1つ含む、態様23に記載のオリゴマー化合物。
[態様25]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、修飾インターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む、態様1~24のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様26]
前記修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合が、修飾インターヌクレオシド結合である、態様25に記載のオリゴマー化合物。
[態様27]
少なくとも1つのインターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、態様25または26に記載のオリゴマー化合物。
[態様28]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む、態様25または27に記載のオリゴマー化合物。
[態様29]
前記インターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホジエステルインターヌクレオシド結合またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のいずれかである、態様25、27または28のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様30]
前記修飾オリゴヌクレオチドの各インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、態様26に記載のオリゴマー化合物。
[態様31]
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である、態様1~7のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様32]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾核酸塩基を含む、態様1~31のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様33]
前記修飾核酸塩基が、5-メチルシトシンである、態様32に記載のオリゴマー化合物。
[態様34]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、1つ以上のシトシン核酸塩基を含み、前記シトシン核酸塩基のそれぞれが、5-メチルシトシンである、態様32に記載のオリゴマー化合物。
[態様35]
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、ヒトCLN3核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも95%相補的である、態様1~34のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様36]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、12~18個、12~20個、14~20個、16~20個または17~19個の連結ヌクレオシドからなる、態様1~35のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
[態様37]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、18個の連結ヌクレオシドからなる、態様1~35のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
[態様38]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、18個または20個の連結ヌクレオシドからなる、態様1~35のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様39]
前記修飾オリゴヌクレオチドからなる、態様1~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様40]
コンジュゲート部分とコンジュゲートリンカーとを含むコンジュゲート基を含む、態様1~38のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様41]
前記コンジュゲート基が、1~3個のGalNAcリガンドを含むGalNAcクラスターを含む、態様40に記載のオリゴマー化合物。
[態様42]
前記コンジュゲートリンカーが、単結合からなる、態様40または41に記載のオリゴマー化合物。
[態様43]
前記コンジュゲートリンカーが切断可能である、態様40に記載のオリゴマー化合物。
[態様44]
前記コンジュゲートリンカーが、1~3個のリンカーヌクレオシドを含む、態様42に記載のオリゴマー化合物。
[態様45]
前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの5’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、態様41~44のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様46]
前記コンジュゲート基が、前記修飾オリゴヌクレオチドの3’末端で、前記修飾オリゴヌクレオチドに結合している、態様41~44のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様47]
末端基を含む、態様1~46のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様48]
一本鎖オリゴマー化合物である、態様1~47のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様49]
リンカーヌクレオシドを含まない、態様1~42または44~48のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様50]
態様47または49のいずれかに記載のオリゴマー化合物を含む二本鎖オリゴマー。
[態様51]
態様1~49のいずれかに記載のオリゴマー化合物もしくは態様50に記載の二本鎖オリゴマーを含むか、または前記オリゴマー化合物もしくは前記二本鎖オリゴマーからなるアンチセンス化合物。
[態様52]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、RNAi化合物である、態様1~7のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様53]
前記RNAi化合物が、ssRNAまたはsiRNAである、態様52に記載のオリゴマー化合物。
[態様54]
態様1~49もしくは態様52~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物、または態様50に記載の二本鎖オリゴマーと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
[態様55]
前記薬学的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、態様54に記載の医薬組成物。
[態様56]
前記オリゴマー化合物または前記二本鎖オリゴマーの修飾オリゴヌクレオチドが、塩である、態様54に記載の医薬組成物。
[態様57]
前記オリゴマー化合物または前記二本鎖オリゴマーの修飾オリゴヌクレオチドが、塩である、態様55に記載の医薬組成物。
[態様58]
前記塩が、ナトリウム塩である、態様56または態様57に記載の医薬組成物。
[態様59]
態様1~50のいずれかに記載の修飾オリゴヌクレオチドのキラル的に富化された集団であって、前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含み、前記集団において、特定の立体化学的配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている前記集団。
[態様60]
(Sp)配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、態様59に記載のキラル的に富化された集団。
[態様61]
(Rp)配置である特定のホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、態様59または60に記載のキラル的に富化された集団。
[態様62]
前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが、独立して選択した特定の立体化学的配置である修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、態様59に記載のキラル的に富化された集団。
[態様63]
前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが(Sp)配置である修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、態様62に記載のキラル的に富化された集団。
[態様64]
前記ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のそれぞれが(Rp)配置である修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、態様62に記載のキラル的に富化された集団。
[態様65]
5’→3’方向でSp-Sp-Rpという配置である少なくとも3個の連続したホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有する修飾オリゴヌクレオチドが富化されている、態様59または態様62に記載のキラル的に富化された集団。
[態様66]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含み、前記修飾オリゴヌクレオチドのホスホロチオエートインターヌクレオシド結合のすべてが、ステレオランダムである、態様1~50のいずれかに記載の修飾オリゴヌクレオチド集団。
[態様67]
態様59~65のいずれかに記載のキラル的に富化された集団、または態様66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団と、薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む医薬組成物。
[態様68]
前記薬学的に許容される希釈剤が、人工脳脊髄液である、態様54または67に記載の医薬組成物。
[態様69]
前記修飾オリゴヌクレオチドと人工脳脊髄液から本質的になる、態様68に記載の医薬組成物。
[態様70]
動物に、態様54または67~69のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
[態様71]
CLN3と関連する疾患の治療方法であって、CLN3と関連する疾患である個体、または前記疾患を発症するリスクがある個体に、態様54または67~69のいずれかに記載の医薬組成物を治療有効量投与することによって、前記CLN3と関連する疾患を治療することを含む前記方法。
[態様72]
前記CLN3と関連する疾患が、神経変性疾患である、態様71に記載の方法。
[態様73]
前記神経変性疾患が、バッテン病である、態様72に記載の方法。
[態様74]
前記神経変性疾患の症状または特質を少なくとも1つ改善する、態様73に記載の方法。
[態様75]
前記症状または特質が、運動機能不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化である、態様74に記載の方法。
[態様76]
前記脳組織が、体性感覚皮質、視覚皮質、視床または海馬である、態様75に記載の方法。
[態様77]
in vitroにおいて、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導する、態様1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物。
[態様78]
細胞におけるCLN3の発現の調節方法であって、前記細胞と、態様1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3の発現を調節することを含む前記方法。
[態様79]
細胞におけるCLN3 RNAのスプライシングの調節方法であって、前記細胞と、態様1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3のスプライシングを調節することを含む前記方法。
[態様80]
細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングの誘導方法であって、前記細胞と、態様1~53のいずれかに記載のオリゴマー化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングを誘導することを含む前記方法。
[態様81]
前記細胞が、ヒト細胞である、態様78~80のいずれかに記載の方法。
[態様82]
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子の量を、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前の量と比べて減少させるか、または
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子のパーセンテージを、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前のパーセンテージと比べて低下させる、
態様78~81のいずれかに記載の方法。
[態様83]
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子の量を、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて低下させるか、または
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子のパーセンテージを、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて低下させる、
態様78~81のいずれかに記載の方法。
[態様84]
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量が、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前の量と比べて増加するか、または
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質分子のパーセンテージが、前記細胞と前記オリゴマー化合物との接触前のパーセンテージと比べて増大する、
態様78~81のいずれかに記載の方法。
[態様85]
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量が、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて増加するか、または
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質分子のパーセンテージが、前記オリゴマー化合物と接触させていない細胞と比べて増大する、
態様78~81のいずれかに記載の方法。
[態様86]
CLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる前記化合物。
[態様87]
15~25個の連結ヌクレオシドからなるとともに、CLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記オリゴヌクレオチドが、2’-O-メトキシエチル糖部分を少なくとも1つ及び/またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む前記化合物。
[態様88]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5、イントロン4及び/またはイントロン5であり、前記化合物が、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる前記化合物。
[態様89]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる前記化合物。
[態様90]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5、イントロン4及び/またはイントロン5であり、前記オリゴヌクレオチドが、2’-O-メトキシエチル糖部分を少なくとも1つ及び/またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む前記化合物。
[態様91]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5、イントロン4またはイントロン5であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、及び/またはそのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様92]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記オリゴヌクレオチドが、2’-O-メトキシエチル糖部分を少なくとも1つ及び/またはホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を少なくとも1つ含む前記化合物。
[態様93]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、及び/またはそのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様94]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様95]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、イントロン4であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様96]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、イントロン5であり、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様97]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、イントロン4とエキソン5に及び、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様98]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、ヒトCLN3核酸の標的領域のうちの等しい長さの部分と相補的である核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記CLN3核酸の標的領域が、エキソン5とイントロン5に及び、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様99]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96のうちのいずれか1つの核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを含むか、または前記オリゴヌクレオチドからなる化合物であって、前記ヌクレオシドのそれぞれが、2’-O-メトキシエチル糖部分を含み、そのインターヌクレオシド結合のそれぞれが、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合である前記化合物。
[態様100]
態様86~99のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
[態様101]
治療に用いるための、態様86~99のいずれか1項に記載の化合物、または態様100に記載の医薬組成物。
[態様102]
対象の若年性バッテン病を治療するのに用いるための、態様86~99のいずれか1項に記載の化合物、または態様100に記載の医薬組成物であって、任意に、前記化合物が、前記対象において、運動協調性を改善し、及び/または神経障害を軽減することができる前記化合物または前記医薬組成物。
[態様103]
前記バッテン病が、若年性バッテン病である、態様102に記載の化合物または医薬組成物。
[態様104]
態様86~99のいずれか1項に記載の化合物、または態様100に記載の医薬組成物の、医薬の製造への使用。
[態様105]
態様86~99のいずれか1項に記載の化合物、または態様100に記載の医薬組成物の、バッテン病を治療するための医薬の製造への使用。
[態様106]
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである、態様1~7のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
[態様107]
前記修飾オリゴヌクレオチドが、
18個の連結ヌクレオシドからなり、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンであり、
前記修飾オリゴヌクレオチドが、
配列番号1の5499~5701番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5514~5651番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5519~5546番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5534~5646番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
配列番号1の5559~5631番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、または
配列番号1の5534~5551番目の核酸塩基のうちの等しい長さの部分、
と相補的である核酸塩基配列を有する、態様1に記載のオリゴマー化合物。
[態様108]
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有し、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである、
態様1~3のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
[態様109]
18個または20個の連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、CLN3核酸のうちの等しい長さの部分と少なくとも90%相補的であり、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
[態様110]
12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
[態様111]
12~50個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個または18個の連続した核酸塩基を含む核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
前記修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列全体にわたって測定した場合に、前記修飾オリゴヌクレオチドが、配列番号1の核酸塩基配列と少なくとも90%相補的である核酸塩基配列を有し、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
[態様112]
18個の連結ヌクレオシドからなるとともに、配列番号57~96の核酸塩基配列のうちのいずれかの核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むオリゴマー化合物であって、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾ヌクレオシドが、2’-MOEを含む非二環式の修飾糖部分を含み、
前記修飾オリゴヌクレオチドの各修飾インターヌクレオシド結合が、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合であり、
その各シトシン核酸塩基が、5-メチルシトシンである前記オリゴマー化合物。
[態様113]
CLN3エキソン5のスキッピングを誘導できる、態様106~112のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
[態様114]
態様106~113のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
[態様115]
薬学的に許容される希釈剤を含む、態様100に記載の医薬組成物。
[態様116]
前記薬学的に許容される希釈剤が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である、態様114または115のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様117]
前記オリゴマー化合物または前記二本鎖オリゴマーの修飾オリゴヌクレオチドが、塩である、態様100または114~115のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様118]
前記塩が、ナトリウム塩である、態様117に記載の医薬組成物。
[態様119]
治療に用いるための、態様1~49もしくは106~113のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物、または態様67~69もしくは114~118のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様120]
態様1~49もしくは106~113のいずれか1項に記載の化合物、または態様67~69もしくは114~118のいずれかに記載の医薬組成物の、医薬の製造への使用。
[態様121]
態様1~49もしくは106~113のいずれか1項に記載の化合物、または態様67~69もしくは114~118のいずれかに記載の医薬組成物の、バッテン病を治療するための医薬の製造への使用。
[態様122]
治療に用いるための、態様59~65のいずれか1項に記載のキラル的に富化された集団、態様66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団、または態様67~69のいずれかに記載の医薬組成物。
[態様123]
態様59~65のいずれか1項に記載のキラル的に富化された集団、態様66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団、または態様67~69のいずれかに記載の医薬組成物の、医薬の製造への使用。
[態様124]
態様59~65のいずれか1項に記載のキラル的に富化された集団、態様66に記載の修飾オリゴヌクレオチド集団、または態様67~69のいずれかに記載の医薬組成物の、バッテン病を治療するための医薬の製造への使用。
[態様125]
CLN3と関連する疾患の治療方法であって、CLN3と関連する疾患である個体、または前記疾患を発症するリスクがある個体に、態様110または114~118のいずれか1項に記載の医薬組成物を治療有効量投与することによって、前記CLN3と関連する疾患を治療することを含む前記方法。
[態様126]
前記CLN3と関連する疾患が、神経変性疾患である、態様125に記載の方法。
[態様127]
前記神経変性疾患が、バッテン病である、態様126に記載の方法。
[態様128]
前記神経変性疾患の症状または特質を少なくとも1つ改善する、態様127に記載の方法。
[態様129]
前記症状または特質が、運動機能不良、発作、失明、認知機能不良、精神医学的問題、脳組織における自家蛍光性のセロイド脂質性色素の蓄積、脳組織機能障害、脳組織細胞死、脳組織におけるミトコンドリアATP合成酵素サブユニットCの蓄積、脳組織におけるリポフスチンの蓄積、または脳組織におけるアストロサイトの活性化である、態様128に記載の方法。
[態様130]
前記脳組織が、体性感覚皮質、視覚皮質、視床または海馬である、態様129に記載の方法。
[態様131]
in vitroにおいて、CLN3エキソン5のスキッピングを誘導する、態様106~113のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物。
[態様132]
細胞におけるCLN3の発現の調節方法であって、前記細胞と、態様106~113のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物、または態様86~99のいずれか1項に記載の化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3の発現を調節することを含む前記方法。
[態様133]
細胞におけるCLN3 RNAのスプライシングの調節方法であって、前記細胞と、態様106~113のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物、または態様86~99のいずれか1項に記載の化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3のスプライシングを調節することを含む前記方法。
[態様134]
細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングの誘導方法であって、前記細胞と、態様106~113のいずれか1項に記載のオリゴマー化合物、または態様86~99のいずれか1項に記載の化合物を接触させることによって、前記細胞におけるCLN3エキソン5のスキッピングを誘導することを含む前記方法。
[態様135]
前記細胞が、ヒト細胞である、態様132~134のいずれか1項に記載の方法。
[態様136]
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子の量を、前記細胞と前記化合物との接触前の量と比べて減少させるか、または
前記細胞における、エキソン5を含むCLN3 mRNA分子のパーセンテージを、前記細胞と前記化合物との接触前のパーセンテージと比べて低下させる、
態様132~134のいずれか1項に記載の方法。
[態様137]
前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質の量が、前記細胞と前記化合物との接触前の量と比べて増加するか、
または前記細胞における、エキソン10のアミノ酸を含むCLN3タンパク質分子のパーセンテージが、前記細胞と前記化合物との接触前のパーセンテージと比べて増大する、態様132~134のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図29D
図30
図31A
図31B
図31C
図31D
図31E
図31F
【配列表】
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