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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】インピーダンス標準器
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/02 20060101AFI20240628BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G01R27/02 A
G01R35/00 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021557006
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2020058538
(87)【国際公開番号】W WO2020201007
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102019108920.4
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュタインバウアー・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ロート・ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】シュタングルマイアー・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ハンマーシュミット・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・ヤン・フィリップ
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-257263(JP,A)
【文献】特開2014-224707(JP,A)
【文献】特開2015-94726(JP,A)
【文献】特開2014-170679(JP,A)
【文献】特開2014-196930(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014011397(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/00
G01R 35/00
G01R 31/36
H01M 10/42
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的なセル、特にリチウムイオンセルのインピーダンスを測定するために設けられた電気化学的なインピーダンス測定装置のための較正方法であって、
(a)励起信号を供給するための少なくとも2つの励起端子(A1,A2)と、測定信号を特定するための少なくとも2つの測定端子(M1,M2)とを備えているとともに、インピーダンス目標値ZSollに対応する、固定された、又は調整可能なインピーダンスを有するインピーダンス標準器にインピーダンス測定装置を接続すること、
(b)電圧信号UEinを励起端子に印加し、測定端子においてUEinに基づいてインピーダンス標準器を通して流れる電流IAusを測定すること、又は電流信号IEinを励起端子へ供給し、測定端子において降下する電圧UAusを測定すること、
(c)Z=UEin/IAus=ZSollあるいはZ=UAus/IEin=ZSollを用いて、インピーダンス標準器に対してインピーダンス測定装置をインピーダンスZSollへ較正すること
を含む前記較正方法において、
インピーダンス標準器がセルと同一の配置においてインピーダンス測定装置と接触されることが可能であるように、インピーダンス標準器の端子A1,A2,M1,M2の幾何学的な配置が、インピーダンスが測定されるべきセルの端子の幾何学的な配置に対応していることを特徴とする較正方法。
【請求項2】
セルがアノード端子及びカソード端子を備えており、インピーダンス標準器の端子A1及びE1あるいはA2及びE2の接触面の配置が、全体的に、アノード端子あるいはカソード端子の接触面の配置と一致していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
端子A1及びE1並びにA2及びE2の接触面が、それぞれ互いに隣り合って配置されていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
端子A1あるいはA2の接触面が、端子E1あるいはE2の接触面を少なくとも部分的に包囲していることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
端子A1あるいはA2がプレート状であり、端子E1あるいはE2が、プレートの接触側でインサートとして挿入されていることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
セルが、4点接触のために設けられているとともに、それぞれ2つのアノード端子及びカソード端子を備えており、インピーダンス標準器の端子A1及びE1あるいはA2及びE2の配置が、セルのアノード端子及びカソード端子の配置と一致していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)~(d)が、複数の様々なインピーダンス値ZSoll及び/又は複数の様々な励起信号について反復されることを特徴とする請求項1~6のうち少なくとも1項に記載の方法。
【請求項8】
インピーダンス標準器は、インピーダンス値ZSollの調整のための、及び/又は調整された値の応答要求のための追加的な制御端子を備えていることを特徴とする請求項1~6のうち少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のうち少なくとも1項に記載の方法のために構成された、リチウムイオンセルのための電気化学的なインピーダンス測定装置について較正するためのインピーダンス標準器。
【請求項10】
端子配置構造がPHEV1,PHEV2,BEV1又はBEV2の規格に対応していることを特徴とする請求項9に記載のインピーダンス標準器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インピーダンス標準器を用いてガルバニセル(電池)のインピーダンス測定装置を較正する方法と、対応するインピーダンス標準器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気化学的なインピーダンス分光法検査(EIS)は、特にガルバニセルのような電気化学的なシステムを特徴付ける、構築された方法である。従来技術は、インピーダンス測定を自動車分野におけるリチウムイオンセル(電池)の状態を診断するために用いることも示唆している。
【0003】
インピーダンス測定は、セルへの所定の交流電圧信号U(t)の印加及び生じる交流電流l(t)の測定によって、又は所定の交流電流信号l(t)の供給及びこれによりセルにおいて降下する交流電圧U(t)の測定によって行われることが可能である。インピーダンスZは、一般的に複雑であり、両方の場合においてZ=U(t)/I(t)として得られる。
【0004】
測定装置の較正のために、いわゆるインピーダンス標準器を用いることが可能である。外見上、インピーダンス標準器は、最終的には、以下ではインピーダンス目標値ZSollとも呼ばれる、正確に規定された既知のインピーダンスを有する精密抵抗のように動作する。
【0005】
これに対して、内部では、これは典型的にはアクティブな部品要素であり、当該部品要素は、方程式ZSoll=U(t)/I(t)を満たすように、印加される入力信号(U(t)あるいはI(t))に基づき、対応する出力信号I(t)あるいはU(t)を生じさせる。
【0006】
インピーダンス標準器の使用は、既に文献において議論されており(非特許文献1)、回路としての構成が例えば特許文献1に記載されている。
【0007】
特に、特許文献1のインピーダンス標準器は、最大で0.2Ωの交流電流-電流測定抵抗と、交流電流-電流測定抵抗において降下する動作電圧に基づき実際の出力電圧を生じさせる切換装置とを含んでいる。切換装置は、例えばアナログ技術において、2つのフィードバックオペアンプを用いて実装されることが可能である。このとき、インピーダンス目標値は、例えば第1のオペアンプにおけるフィードバック抵抗の交換によって調整されることが可能である。デジタル技術における実施形態も同様に説明される。このとき、交流電流-電流測定抵抗において降下する電圧信号はあらかじめ増幅され、A/D変換器を介してデジタル信号プロセッサ(DSP)へもたらされ、当該デジタル信号プロセッサは、デジタル式に設定された目標インピーダンスに基づいて出力信号を演算して後続のD/A変換器を介して出力する。
【0008】
当該従来技術では、それぞれ回路としてのインピーダンス標準器の変換が注目されている。測定装置へのインピーダンス標準器の接続は、詳細に説明されていないとともに、実際にはバナナプラグ又はこれに類するものを介して実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第102014011397号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】Nordmannら著、「A Nonlinear Impedance Normal」、2012年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
(自動車におけるバッテリセルの場合のような)低抵抗のサンプルにおいては、一般的に、ケーブル配線の配置における差異により、10Hzを超える周波数について異なる測定結果となってしまう。したがって、幾何形状的に任意に構成されたインピーダンス標準器を介した較正により、ケーブル配策又は端子の位置に依存した結果となる。したがって、低抵抗のインピーダンスを有するサンプルのための試験台の較正には、このようなインピーダンス標準器を考慮に入れることができない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の問題に鑑みて、本発明によれば、少なくともインピーダンス標準器の端子が測定されるセルの端子と一致するようにインピーダンス標準器を較正することが提案される。このようにして、インピーダンス標準器は、セルと同一の配置において測定装置に接続されることができ、ケーブル配線への依存性を低減又は排除することが可能である。
【0013】
したがって、試験台の較正は、ケーブル配策及びセル保持(取付)を含んでいる。これにより、10Hzを超えるインピーダンス測定データを更なる評価のために考慮に入れることが可能である。較正によって、ケーブル配線に基づく割合を算出し、10Hz~100kHzの拡張された周波数範囲を有意義に評価することができるように、補正関数を導出することも可能である。
【0014】
さらに、異なる試験台の比較性を達成することが可能である。したがって、10Hzを超える周波数についても、異なる試験台での測定結果を定量的に比較することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】プレート状の端子コンタクトを有する形状因子PEHV-1におけるリチウムイオンセルの概要を示す図である。
図2】本発明により使用可能なインピーダンス標準器の概略図であり、当該インピーダンス標準器は、図1に示すセルと同一のフォーマットを備えているとともに、その2つに分割された端子A1/M1あるいはM2/A1がセルの端子コンタクトと一致している。基板上にはインピーダンス標準器の実際の回路が実装されている。
図3】本発明によるインピーダンス標準器のコンタクトの一実施形態が示されており、ソース端子(A1あるいはA2)及びセンス端子(M1あるいはM2)が隣り合って位置している。
図4】別の一実施形態を示す図であり、センス端子(M1,M2)は、内部に位置しているとともに、ソース端子(A1,A2)の接触面によって完全に包囲されている。
図5】別の一実施形態を示す図であり、センス端子(M1,M2)は、インレーとしてソース端子の接触プレートにフライス切削された溝へ挿入されている。センスコンタクトは、ソースコンタクトに対して少なくとも下方へ向けて電気的に絶縁されている。さらに、センスコンタクトの接触面は、ソースコンタクトの接触面に対して、例えば約1mmだけ下方へずらされていることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
インピーダンス測定装置
本発明による方法は、ガルバニセル(電池)、特にリチウムイオンセル(電池)のインピーダンス測定又はインピーダンス分光法検査(EIS)のために設けられる任意のインピーダンス測定装置に使用可能である。例えば、試験台-測定装置であるか、又はオンライン診断のために電気的に動作する車両に固定して統合された測定装置であってよい。
【0017】
測定装置は、励起信号のための少なくとも1つの出力部(ソース)と、測定信号のための少なくとも1つの入力部(センス)とを備えており、これら出力部及び入力部は、同様にそれぞれ2つの端子(ソース+及びソース-あるいはセンス+及びセンス-)を含んでいる。ソース信号は基本的に圧力信号又は電流信号であってよく、これに相応して、センス信号は、電流信号あるいは電圧信号である。好ましくは、ソース信号として電流信号が用いられる(定電流測定)。
【0018】
測定周波数は、特に制限されておらず、例えば5Hz~100kHzであってよい。
【0019】
測定装置がセルと配線されるコンタクト部は、セル全体が取り付けられる、例えばはめ込まれることができる保持装置として構成されることが可能である。そして、セルの端子との測定装置のソース端子及びセンス端子の接続は、保持装置に適当に設けられたコンタクト要素を介してなされることが可能である。
【0020】
これに代えて、測定装置は、接続を形成するために、セルに差し込み可能なブッシュ要素を備えるか、又は全体としてセルに差し込まれることができるように構成されることが可能である。
【0021】
別の一実施形態では、例えば動作中のオンラインインピーダンス測定のための測定手段の較正及び検証(確認)を可能とするために、測定装置は、電気的に動作する車両において固定して、又はバッテリパックにおいて統合されることができる。
【0022】
測定装置が本発明による方法によって較正されるべき場合には、以下に説明するインピーダンス標準(器)が、セルの代わりに用いられるとともに、同様に測定装置と接触する。完全な蓄電装置では、インピーダンス測定装置の適切な機能を動作中に監視するために、個別のものがインピーダンス標準器によって置換されることも可能である。
【0023】
インピーダンス標準器のコンタクト配置構造
本発明により用いられるインピーダンス標準器は、ソース信号の供給のための少なくとも2つの励起端子(A1,A2)と、測定信号を特定するための少なくとも2つの測定端子(M1,M2)とを備えている。本発明によれば、当該端子の幾何学的な配置は、インピーダンスが測定されるべきセルの端子の幾何学的な配置に対応しており、その結果、インピーダンス標準器は、セルと同一の配置においてインピーダンス測定装置と接触されることが可能である。
【0024】
標準化された形状因子、例えばタイプPHEV1又はPHEV2の角柱状のセルを有するセルのためのインピーダンス測定装置が設けられており、形状因子のために端子位置が設定されていれば、対応する標準において指定されているように、インピーダンス標準器の端子は、端子位置に対応する。
【0025】
一実施形態では、測定されるべきセルは、4点接触部のためにあらかじめ設定されることが可能であり、これに対応して、2つのアノード端子あるいはカソード端子を備えることができ、これらのうちそれぞれ1つが電圧測定のために設けられている。この場合、インピーダンス標準器の端子の接触面は、当該接触面がセルの端子配置と一致するように配置されている。
【0026】
これに代えて、セルは、1つのみのアノード端子及びカソード端子を有する。対応するインピーダンス標準器の場合には、端子A1及びE1の接触面は、当該接触面が共通にセルのアノード端子の接触面と一致するように配置されている。同様のことは、カソード端子に関して端子A2及びE2についても当てはまる。
【0027】
図1においてPHEV-1セルの例において示されているように例えばセルの端子がプレート状であれば、インピーダンス標準器の端子は、図2に示されているように、例えば外側に位置するソース接触面A1あるいはA2及び内側二位置するセンス接触面M1あるいはM2をもって、それぞれ2つに分割して互いに隣り合って位置するように配置されることができる。
【0028】
図3には、A1(ソース)及びM1(センス)の配置構造が平面図で示されている。電気的な絶縁のために、A1とM1の間には、典型的には空隙又は絶縁性の分離要素が配置されている。他方側(すなわちA2あるいはM2)については、配置が相応にミラー対称となっている。
【0029】
これに代えて、端子A1あるいはA2の接触面は、端子E1あるいはE2の接触面を少なくとも部分的に包囲している。図4には、センスコンタクトE1/E2が一種の島としてソースコンタクトA1/A2によって包囲された(同軸の)配置構造が示されており、接触面は、ここでも隙間又は絶縁部によって互いに区切られている。
【0030】
別の一実施形態では、センスコンタクトE1をインサート(inlay)としてA1の接触面へ挿入されることが可能である。このような配置構造が図5に示されている。ここで、ソース端子A1として機能するプレート状のコンタクト要素には、溝状の凹部がフライス切削されている。当該凹部には、センス端子E1として用いられるコンタクト要素がインレーとして挿入されている。両コンタクト要素間には電気的な絶縁部が設けられている。好ましくは、インレーの接触面は、プレート状のコンタクト要素の接触面よりもやや深く、例えば約1mmほど深く位置することができる。
【0031】
インピーダンス標準器の外部形状
本発明によれば、インピーダンス標準器の端子A1/A2/E1/E2の少なくとも幾何形状及び空間的な配置は、セルの幾何形状及び空間的な配置に対応する。測定装置がセルと同様にインピーダンス標準器に接触することができる限り、インピーダンス標準器の外部形状は特に制限されていない。
【0032】
好ましい一実施形態では、インピーダンス標準器の別の寸法も、インピーダンスが測定されるべきセルの寸法に対応しており、その結果、インピーダンス標準器は、セルと同様に測定装置へ挿入されることが可能である。
【0033】
例えばPHEV1セルのために測定装置が設けられている場合には、好ましくは、インピーダンス標準器の寸法は、図1及び図2に示されているようにPHEV1セルの寸法に対応している。特に好ましい一実施形態では、インピーダンス標準器は、PHEV1標準に対応するハウジングも備えることができる。
【0034】
同様のことは、当然、任意の他の形状因子、例えばPHEV2,BEV1又は(VDAによる)BEV2についても当てはまる。
【0035】
インピーダンス標準器の内部構造及び機能
インピーダンス標準器のインピーダンスは、典型的には低抵抗であるとともに、セルについて期待されるインピーダンスの範囲、例えば1mΩ以下の範囲、典型的には0.5mΩ以下の範囲にある。
【0036】
インピーダンス標準器の内部構造は特に制限されておらず、公知の全ての構造を用いることが可能である。特に、特許文献1に記載された構造が考慮に値する。
【0037】
インピーダンス標準器は、設定されたいくつかのインピーダンスを有することが可能である。複数の較正点が記録されるべき場合には、相応に交換される様々なインピーダンスを有する複数のインピーダンス標準器を用いる必要がある。
【0038】
これに代えて、インピーダンス標準器は、例えば抵抗を切り換えることで選択され得る、調整可能な複数のインピーダンスを有することができる。インピーダンス標準器が、デジタル技術において構成されているとともに、出力信号が信号プロセッサ(DSP)によって生成される場合には、インピーダンスは、DSPの相応のプログラミングによって調整(設定)されることが可能である。特に、この場合、出力信号の量(大きさ)も、また相変位も自由に選択することができるため、当該実施形態は、較正点の選択に際してのフレキシビリティに関して好ましい。
【0039】
特に好ましい一実施形態では、インピーダンス標準器は、インピーダンス値ZSollの調整のための、及び/又は調整された値の応答要求のための追加的な制御端子を備えている。当該制御端子は、対応する制御インターフェースを介して測定装置に接続されることができ、その結果、目標値の調整(設定)と、較正と、場合によっては別の較正点についての反復とを自動化して実行することが可能である。このために、適当な較正プログラムを測定装置にメモリすることが可能であり、当該較正プログラムは、異なるインピーダンス目標値及び/又は異なる周波数における複数の測定点を含んでいる。そして、測定点は、自動化してそらされることが可能であり、インピーダンス測定装置は、制御インターフェースを介して、インピーダンス標準器の適当な基準目標値をプログラム制御して調整(設定)する。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.電気化学的なセル、特にリチウムイオンセルのインピーダンスを測定するために設けられた電気化学的なインピーダンス測定装置のための較正方法であって、
(a)励起信号を供給するための少なくとも2つの励起端子(A1,A2)と、測定信号を特定するための少なくとも2つの測定端子(M1,M2)とを備えているとともに、インピーダンス目標値Z Soll に対応する、固定された、又は調整可能なインピーダンスを有するインピーダンス標準器にインピーダンス測定装置を接続すること、
(b)電圧信号U Ein を励起端子に印加し、測定端子においてU Ein に基づいてインピーダンス標準器を通して流れる電流I Aus を測定すること、又は電流信号I Ein を励起端子へ供給し、測定端子において降下する電圧U Aus を測定すること、
(c)Z=U Ein /I Aus =Z Soll あるいはZ=U Aus /I Ein =Z Soll を用いて、インピーダンス標準器に対してインピーダンス測定装置をインピーダンスZ Soll へ較正すること
を含む前記較正方法において、
インピーダンス標準器がセルと同一の配置においてインピーダンス測定装置と接触されることが可能であるように、インピーダンス標準器の端子A1,A2,M1,M2の幾何学的な配置が、インピーダンスが測定されるべきセルの端子の幾何学的な配置に対応していることを特徴とする較正方法。
2.セルがアノード端子及びカソード端子を備えており、インピーダンス標準器の端子A1及びE1あるいはA2及びE2の接触面の配置が、全体的に、アノード端子あるいはカソード端子の接触面の配置と一致していることを特徴とする上記1.に記載の方法。
3.端子A1及びE1並びにA2及びE2の接触面が、それぞれ互いに隣り合って配置されていることを特徴とする上記2.に記載の方法。
4.端子A1あるいはA2の接触面が、端子E1あるいはE2の接触面を少なくとも部分的に包囲していることを特徴とする上記2.に記載の方法。
5.端子A1あるいはA2がプレート状であり、端子E1あるいはE2が、プレートの接触側でインサートとして挿入されていることを特徴とする上記4.に記載の方法。
6.セルが、4点接触のために設けられているとともに、それぞれ2つのアノード端子及びカソード端子を備えており、インピーダンス標準器の端子A1及びE1あるいはA2及びE2の配置が、セルのアノード端子及びカソード端子の配置と一致していることを特徴とする上記1.に記載の方法。
7.ステップ(b)~(d)が、複数の様々なインピーダンス値Z Soll 及び/又は複数の様々な励起信号について反復されることを特徴とする上記1.~6.のうち少なくとも1つに記載の方法。
8.インピーダンス標準器は、インピーダンス値Z Soll の調整のための、及び/又は調整された値の応答要求のための追加的な制御端子を備えていることを特徴とする上記1.~6.のうち少なくとも1つに記載の方法。
9.上記1.~8.のうち少なくとも1つに記載の方法のために構成された、リチウムイオンセルのための電気化学的なインピーダンス測定装置について較正するためのインピーダンス標準器。
10.端子配置構造が形状因子PEHV1,PHEV2,BEV1又はBEV2に対応していることを特徴とする上記9.に記載のインピーダンス標準器。
図1
図2
図3
図4
図5