(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】光ステアリング層および周期的光学層を有するライトフィールドディスプレイのための光学的方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240628BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240628BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20240628BHJP
H04N 13/307 20180101ALI20240628BHJP
H04N 13/349 20180101ALI20240628BHJP
G02B 30/00 20200101ALN20240628BHJP
G02B 5/18 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G02B3/00 A
G02B5/32
H04N13/307
H04N13/349
G02B30/00
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2021559381
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 US2020027274
(87)【国際公開番号】W WO2020210361
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-04-10
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315012286
【氏名又は名称】ピーシーエムエス ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マキネン、ユッカ-タパニ
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0102560(US,A1)
【文献】特開2005-122020(JP,A)
【文献】特表2008-533516(JP,A)
【文献】特表2009-519487(JP,A)
【文献】国際公開第2018/200417(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
G02B 3/00
G02B 5/00-5/32
G02B 27/00-30/60
H04N 13/307
H04N 13/349
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系(900)によって画像を表示する装置(200)であって、
第1の発光素子を含む発光素子
(904、906、908、910、912、914、916)のアドレス可能アレイを備える発光層
(902)と、
前記発光層
(902)をオーバーレイする周期的光学層
(926)であって、前記周期的光学層
(926)は、第1の屈折力を有する第1の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)と、異なる屈折力を有する第2の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)とを少なくとも含む、周期的光学層と、
前記発光層
(902)と前記周期的光学層
(926)との間の第1の制御可能な光ステアリング層
(922)であって、前記第1の制御可能な光ステアリング層
(922)は、第1の発光素子からの光を前記第1の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)を介して方向付けることと、前記第1の発光素子からの光を前記第2の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)を介して方向付けることとの間で切り替え可能で
あり、前記第1の周期的光学フィーチャ(928、930、932)を介して方向付けられた光および前記第2の周期的光学フィーチャ(928、930、932)を介して方向付けられた光は、表示される画像のボクセルの位置に集束する、第1の制御可能な光ステアリング層と
、
を備えた装置。
【請求項2】
前記第1の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)および前記第2の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)は、第1の光学領域に含まれており、前記周期的光学層
(926)は、前記第1の光学領域と同様に配置された光学領域の繰り返しパターンを含む、請求項1の装置。
【請求項3】
前記発光層
(902)と前記周期的光学層
(926)との間の収束レンズ層
(920)をさらに備えた、請求項1および請求項2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記収束レンズ層
(920)は、収束レンズ
(944)の2次元アレイ
(923)を含み、各収束レンズ
(944)は、プロジェクタセル
(946)における前記発光素子
(904、906、908、910、912、914、916)のうちの少なくとも1つに関連付けられる、請求項3の装置。
【請求項5】
前記第1の制御可能な光ステアリング層
(922)の異なるセクションは、異なるプロジェクタセル
(946)に関連付けられており、かつ別個に制御可能である、請求項4の装置。
【請求項6】
前記第1の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)は、前記周期的光学層
(926)から第1の距離で少なくとも前記第1の発光素子からの光を集束させるように動作し、前記第2の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)は、前記周期的光学層
(926)から第2の距離で少なくとも前記第1の発光素子からの光を集束させるように動作し、前記第2の距離は、前記第1の距離とは異なる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記発光層
(902)は、第2の発光素子をさらに含み、
前記周期的光学層
(926)は、第1の傾斜方向を有する第3の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)と、前記第1の傾斜方向とは異なる第2の傾斜方向を有する第4の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)とをさらに含み、
前記第1の制御可能な光ステアリング層
(922)は、前記第2の発光素子からの光を前記第3の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)を介して方向付けることと、前記第2の発光素子からの光を前記第4の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)を介して方向付けることとの間で切り替え可能である、
請求項1乃至6いずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記発光層
(902)と前記周期的光学層
(926)との間に第2の制御可能な光ステアリング層
(924)をさらに備えた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の制御可能な光ステアリング層
(922)は、第1の平面において光を偏向させるように構成されており、前記第2の制御可能な光ステアリング層
(924)は、前記第1の平面に実質的に垂直な第2の平面において光を偏向させるように構成されている、請求項8の装置。
【請求項10】
前記第1の制御可能な光ステアリング層
(922)および前記第2の制御可能な光ステアリング層
(924)はそれぞれ、第1の平面において光を偏向させるように構成されている、請求項8の装置。
【請求項11】
光学系(900)によって画像を表示する方法であって、
複数の発光素子
(904、906、908、910、912、914、916)を含む発光層
(902)の第1の発光素子によって、第1の光を選択的に放射する
ことと、
制御可能な光ステアリング層
(922、924)の第1のセクションを操作して、複数の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)を含む周期的光学層
(926)の第1の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)に向けて光を選択的に方向付ける
ことであって、前記第1の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)は、
第1の屈折力を有し、および前記第1の光を第1のボクセル位置に集束させる、
ことと
、
制御可能な光ステアリング層(922、924)の第2のセクションを操作して、前記周期的光学層(926)の第2の周期的光学フィーチャ(928、930、932)に向けて光を選択的に方向付けることであって、前記第2の周期的光学フィーチャ(928、930、932)は、異なる屈折力を有し、および前記第1の光を前記第1のボクセル位置に集束させる、ことと、
によって、前記第1のボクセル位置に第1のボクセルを含む複数のボクセルを備える画像を表示するステップを含む方法。
【請求項12】
前記発光層
(902)の第2の発光素子によって、第2の光を選択的に放射するステップと、
前記制御可能な光ステアリング層
(922、924)の少なくとも第
3のセクションを操作して、前記周期的光学層
(926)の第
3の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)に向けて前記第2の光を選択的に方向付けるステップであって、前記第
3の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)は、前記第2の光を前記第1のボクセル位置に集束させる、ステップと
、
をさらに備える、請求項11の方法。
【請求項13】
第2のボクセル位置を有する前記画像における少なくとも第2のボクセルについて、
前記発光層
(902)の少なくとも第3の発光素子によって、第3の光を選択的に放射するステップと、
前記制御可能な光ステアリング層
(922、924)の少なくとも第
4のセクションを操作して、前記周期的光学層
(926)の第
4の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)に向けて光を選択的に方向付けるステップであって、前記第
4の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)は、前記第3の光を前記第2のボクセル位置に集束させる、ステップと
、
をさらに備える、請求項11および請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のボクセル位置は、第1の深度を有し、前記第2のボクセル位置は、前記第1の深度とは異なる第2の深度を有する、請求項13の方法。
【請求項15】
前記複数の発光素子
(904、906、908、910、912、914、916)のうちの1つによって放射された光は、前記画像の深度情報に基づいて複数の周期的光学フィーチャ
(928、930、932)の1つに向けられる、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2019年4月12日に出願された「OPTICAL METHOD AND SYSTEM FOR LIGHT FIELD DISPLAYS BASED ON LIGHT STEERING ELEMENTS AND PERIODIC OPTICAL LAYER」と題された米国特許仮出願第62/833,427号の非仮出願であり、米国特許法第119項(e)項の下でその利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイスとも呼ばれる様々な3Dディスプレイは、それらのフォームファクタに基づいて様々なカテゴリに分類され得る。ヘッドマウントデバイス(HMD)は、ゴーグル無しのソリューションよりも空間を占有せず、それは、HMDがより小さな構成要素およびより少ない材料で作成されることが可能であり、それらを比較的低コストにすることも意味する。ヘッドマウントバーチャルリアリティ(VR)ゴーグルとスマートグラスはシングルユーザデバイスであるため、それらは、ゴーグル無しのソリューションほどには自然に共有体験をすることができない。ボリューム3Dディスプレイは、3つの空間方向全てにおいて空間を取り、一般に多くの物理的材料を必要とするので、これらのシステムを重くし、製造を高価にし、輸送を困難にする。サイズが大きいために、ボリュームディスプレイは、小さなウィンドウおよび限定された視野(FOV)を有する傾向もある。スクリーンベースの3Dディスプレイは、典型的には、1つの大きいが平坦な構成要素であるスクリーンと、離れたところから空き空間にわたって画像を投影するシステムとを有する。スクリーンベースの3Dディスプレイは、輸送のためによりコンパクトにすることができ、また、例えばボリュームディスプレイよりも、はるかに大きいFOVをカバーすることができる。これらのシステムは、プロジェクタサブアセンブリおよび異なる部品間の正確な位置合わせを必要とし、それらを専門的な用途に最適にするため、それらは複雑かつ高価である。フラットフォームファクタ3Dディスプレイは、2つの空間方向で大きな空間を必要とすることがあるが、第3の方向は仮想的なものにすぎないため、フラットフォームファクタ3Dディスプレイは、様々な環境における輸送および組み立てが比較的容易である。デバイスが平坦であるので、それらの光学コンポーネントの少なくともいくつかはシートまたはロール形式で製造される可能性が高く、それらを大きな容量で比較的低コストにする。
【0003】
人間の心は、観察されたオブジェクトの深度を、部分的には、各眼を方向付けるために使用される筋肉からの信号を受け取ることによって知覚し決定する。脳は、眼の相対的な角度方向を、決定された焦点深度と関連付ける。適正な焦点キューは、観察された焦点面の外側のオブジェクト上の自然なぼやけ、および自然な動的視差効果を生じさせる。適正な焦点キューを提供できる3Dディスプレイの1つのタイプは、真の3D空間内に3D画像を生成することができるボリュームディスプレイ技法を使用する。3D画像の各「ボクセル」は、ボクセルが表示されることが想定される空間位置に物理的に配置され、その位置から観察者に向かって光を反射または放射して視聴者の眼において実像を形成する。3Dボリュームディスプレイの主な問題は、それらの低い解像度、大きな物理的サイズ、および高価な製造コストである。それらの問題は、例えば、製品ディスプレイ、ミュージアム、ショーなどの特殊な状況以外での3Dボリュームディスプレイの使用を非常に煩わしくする。適正な網膜焦点キューを提供できる別のタイプの3Dディスプレイは、ホログラフィックディスプレイである。ホログラフィックディスプレイは、自然環境においてオブジェクトから散乱された光波面全体を再構成する。この技術の主な問題は、極めて詳細な波面の作成に使用され得る適切な空間光変調器(SLM)コンポーネントが欠如していることである。
【0004】
自然な網膜焦点キューを提供できる3Dディスプレイ技術のさらに別のタイプは、ライトフィールド(LF)ディスプレイと呼ばれるものである。LFディスプレイシステムは、全方向に空間を進む光線を表すライトフィールドを作成するように設計される。LFシステムは、より高いピクセル密度を有する空間領域だけを基本的に制御することができる従来の立体3Dディスプレイと異なり、空間領域と角度領域の両方において発光を制御することを目的とする。光フィールドを生成する少なくとも2つの基本的に異なる方法が、多くの光フィールドディスプレイにより利用されている。1つの手法では、視差が視聴者の各個別の眼にわたって生成され、見られているオブジェクトの3D位置に対応する適正な網膜ぼけを生成する。この視差は、単一の眼ごとに複数のビューを提示することによって行われ得る。第2の手法は、多焦点面手法であり、オブジェクトの画像が、その3D位置に対応する適切な焦平面に投影される。
【0005】
現在の比較的低密度のマルチビューイメージングディスプレイにおいては、視聴者がデバイスの前で移動するにつれて、粗い段階的な方式でビューが変化する。この動きは、3D体験の質を低下させ、3D知覚の完全な破壊を引き起こす可能性がある。この問題およびVACを緩和するために、いくつかの超多視点(SMV:Super Multi View)技法が512のビューを用いて実装されている。このアイデアは、きわめて多数のビューを生成して、2つのビューポイントの間のあらゆる移行を非常に円滑にするというものである。わずかに異なるビューポイントからの少なくとも2つの画像からの光が同時に眼瞳孔に入る場合、はるかにより現実的な視覚体験が伴う。この状況において、運動視差効果は、運動による画像変化を脳が無意識に予測するので、自然な条件により良く似ている。SMV条件は、適正な視距離にある2つのビューの間の間隔を眼瞳孔のサイズよりも小さい値に減少させることによって満たされることができる。SMVディスプレイを用いて達成できる最大角密度は、回折によって制限され、空間解像度(ピクセルサイズ)と角解像度との間には逆相関が存在する。回折は、開口を通過する光ビームの角度広がりを増大させ、この効果は、非常に高密度のSMVディスプレイの設計において考慮され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7,518,149号明細書
【文献】カナダ国特許公開2905147号明細書
【文献】国際公開第2008/142156
【文献】国際公開第2011/014743
【文献】米国特許第9,664,914号明細書
【文献】米国特許第9,709,851号明細書
【文献】国際公開第2012/025786
【文献】米国特許第6,369,954号明細書
【文献】米国特許第7,408,601号明細書
【文献】米国特許第9,709,829号明細書
【文献】国際公開第2016/135434
【非特許文献】
【0007】
【文献】Neil R. Smith, Don C. Abeysinghe, Joseph W. Haus, and Jason Heikenfeld, “Agile wide-angle beam steering with electrowetting microprisms,” Optics Express Vol. 14, Issue 14, pp. 6557-6563, (2006)
【文献】J. Kim, D. Shin, J. Lee, G. Koo, C. Kim, J-H. Sim, G. Jung, Y-H. Won, “Electro-wetting lenticular lens with improved diopter for 2D and 3D conversion using lens-shaped ETPTA chamber,” Opt. Express 26, No. 15, 19614-19626 (2018)
【文献】H. Wang, O. Yaroshchuk, X. Zhang, Z. Zhuang, P. Surman, X. Wei Sun, Y. Zheng, “Large-aperture transparent beam steering screen based on LCMPA,” Applied Optics Vol. 55, Issue 28, (2016).
【文献】P. McManamon, P. Bos, M. Escuti, J. Heikenfeld, S. Serati, H. Xie, E. Watson, “A Review of Phased Array Steering for Narrow-Band Electrooptical Systems,” Proceedings of the IEEE, Vol 97, Issue 6, (2009).
【文献】Shang X, Meeus L, Cuypers D, De Smet H, “Fast switching cholesteric liquid crystal optical beam deflector with polarization independence,” Scientific Reports, Jul 26, 7(1):6492, (2017)
【文献】Y-P. Huang, C-W. Chen, T-C. Shen, J-F. Huang, “Autostereoscopic 3D Display with Scanning Multi-Electrode Driven Liquid Crystal (MeD-LC) Lens,” 3D Research, Vol. 1, Issue 1, pp 39-42, (2010)
【文献】Xiangyu Zhang, Hongjuan Wang, Phil Surman, Yuanjin Zheng, “A Novel Spatio-temporal Multiplexing Multi-view 3D Display,” IEEE Conference on Lasers and Electro-Optics Pacific Rim (CLEO-PR), (2017)
【文献】K. Mishra, H. van den Ende, F. Mugele, “Recent Developments in Optofluidic Lens Technology,” Micromachines 7(6):102, (2016)
【文献】G. Love, D. Hoffman, P. Hands, J. Gao, A. Kirby, and M. Banks, “High-speed switchable lens enables the development of a volumetric stereoscopic display,” Opt Express, 17(18): 15716-15725, (2009)
【文献】N. Matsuda, A. Fix, D. Lanman, “Focal Surface Displays,” ACM Transactions on Graphics 36(4):1-14, (2017)
【発明の概要】
【0008】
装置の発光層が、第1の発光素子を含む発光素子のアドレス可能アレイと、発光層をオーバーレイする周期的光学層とを含む。周期的光学層は、第1の屈折力を有する第1の周期的光学フィーチャと、異なる屈折力を有する第2の周期的光学フィーチャとを少なくとも含む。第1の制御可能な光ステアリング層が、発光層と周期的光学層との間に配設される。第1の制御可能な光ステアリング層は、第1の発光素子からの光を第1の周期的光学フィーチャを介して方向付けることと、第1の発光素子からの光を第2の周期的光学フィーチャを介して方向付けることとの間で切り替え可能である。
【0009】
第1の周期的光学フィーチャおよび第2の周期的光学フィーチャは、第1の光学領域に含まれ得る。周期的光学層は、第1の光学領域と同様に配置された光学領域の繰り返しパターンを含むことができる。収束レンズ層が、発光層と周期的光学層との間に配設され得る。収束レンズ層は、収束レンズの2次元アレイを含むことができ、各収束レンズは、プロジェクタセルにおける発光素子のうちの少なくとも1つに関連付けられる。各プロジェクタセルは、周期的光学層の対応する光学領域を含むことができる。第1の光ステアリング層の異なるセクションは、異なるプロジェクタセルに関連付けられてよく、別個に制御可能であり得る。第1の周期的光学フィーチャは、周期的光学層から第1の距離で少なくとも第1の発光素子からの光を集束させるように作用することができ、第2の周期的光学フィーチャは、周期的光学層から第2の距離で少なくとも第1の発光素子からの光を集束させるように作用することができ、第2の距離は、第1の距離とは異なる。第1の制御可能な光ステアリング層は、少なくとも1つの液晶光ステアリング層を含むことができる。発光層は、第2の発光素子をさらに含むことができる。周期的光学層は、第1の傾斜方向を有する第3の周期的光学フィーチャと、第1の傾斜方向とは異なる第2の傾斜方向を有する第4の周期的光学フィーチャとをさらに含むことができる。第1の制御可能な光ステアリング層は、第2の発光素子からの光を第3の周期的光学フィーチャを介して方向付けることと、第2の発光素子からの光を第4の周期的光学フィーチャを介して方向付けることとの間で切り替え可能であり得る。装置は、発光層と周期的光学層との間に第2の制御可能な光ステアリング層をさらに備えることができる。第1の光ステアリング層は、第1の平面において光を偏向させるように構成されてよく、第2の光ステアリング層は、第1の平面に実質的に垂直な第2の平面において光を偏向させるように構成されてよい。第1の光ステアリング層および第2の光ステアリング層はそれぞれ、第1の平面において光を偏向させるように構成されてよい。
【0010】
方法は、複数の発光素子を含む発光層の第1の発光素子によって、第1の光を選択的に放射するステップと、制御可能な光ステアリング層の第1のセクションを操作して、複数の周期的光学フィーチャを含む周期的光学層の第1の周期的光学フィーチャに向けて光を選択的に方向付けるステップとによって、第1のボクセル位置に第1のボクセルを含む複数のボクセルを含む画像を表示するステップを含み、第1の周期的光学フィーチャは、第1の光を第1のボクセル位置に集束させる。
【0011】
方法は、発光層の第2の発光素子によって、第2の光を選択的に放射するステップと、制御可能な光ステアリング層の少なくとも第2のセクションを操作して、周期的光学層の第2の周期的光学フィーチャに向けて第2の光を選択的に方向付けるステップとをさらに含むことができ、第2の周期的光学フィーチャは、第2の光を第1のボクセル位置に集束させる。第1の光と第2の光は、同時にまたは同期して、あるいは時分割多重化された方式で異なる時間に放出され得る。方法は、第2のボクセル位置を有する画像における少なくとも第2のボクセルについて、発光層の少なくとも第3の発光素子によって、第3の光を選択的に放射するステップと、制御可能な光ステアリング層の少なくとも第3のセクションを操作して、周期的光学層の第3の周期的光学フィーチャに向けて光を選択的に方向付けるステップとをさらに含むことができ、第3の周期的光学フィーチャは、第3の光を第2のボクセル位置に集束させる。第1のボクセル位置は、第1の深度を有することができ、第2のボクセル位置は、第1の深度とは異なる第2の深度を有することができる。複数の発光素子のうちの1つによって放射された光は、画像の深度情報に基づいて複数の周期的光学フィーチャの1つに向けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】1つまたは複数の開示される実施形態が実装され得る例示的通信システムを示すシステム図である。
【
図1B】実施形態による
図1Aに示された通信システム内で使用され得る例示的ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)を示すシステム図である。
【
図1C】実施形態による
図1Aに示された通信システム内で使用され得る例示的無線アクセスネットワーク(RAN)および例示的コアネットワーク(CN)を示すシステム図である。
【
図2】ライトフィールド(LF)ディスプレイの発光角度を示す図である。
【
図3A】対の眼、並びにLFディスプレイ表面に形成されたボクセルについてのLFディスプレイによって生成された焦点角度(FA)および輻輳角度(CA)を示す図である。
【
図3B】対の眼、並びにLFディスプレイ表面の後方に形成されたボクセルについてのLFディスプレイによって生成されたFAおよびCAを示す図である。
【
図3C】対の眼、並びにLFディスプレイ表面の後方の無限距離に形成されたボクセルについてのLFディスプレイによって生成されたFAおよびCAを示す図である。
【
図3D】対の眼、並びにLFディスプレイ表面の前方に形成されたボクセルについてのLFディスプレイによって生成されたFAおよびCAを示す図である。
【
図4A】レンズの幾何学的因子によって引き起こされたビーム発散を示す図である。
【
図4B】回折によって引き起こされたビーム発散を示す図である。
【
図5】異なる屈折力の3つのレンズについての画像倍率を示す図である。
【
図6A】1つの拡張された光源および小さなレンズ開口の場合の幾何学的因子と回折との複合効果を示す図である。
【
図6B】2つの光源および小さなレンズ開口の場合の幾何学的因子と回折との複合効果を示す図である。
【
図6C】1つの光源および大きなレンズ開口の場合の幾何学的因子と回折との複合効果を示す図である。
【
図6D】2つの光源および大きなレンズ開口の場合の幾何学的因子と回折との複合効果を示す図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、3Dライトフィールドディスプレイの例示的視野幾何学(viewing geometry)を示す図である。
【
図8A】いくつかの実施形態による、3D LFディスプレイの第1の例示的視野幾何学を示す図である。
【
図8B】いくつかの実施形態による、3D LFディスプレイの第2の例示的視野幾何学を示す図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、3D LFディスプレイ構造およびその機能性を示す図である。
【
図10A】いくつかの実施形態による、光源NAを変更するために使用される光集光器を示す図である。
【
図10B】いくつかの実施形態による、3つのLEDの色を混合するために使用される光集光器を示す図である。
【
図10C】いくつかの実施形態による、より小さな開口構造を有する4つのLEDの色を混合するために使用される光集光器を示す図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、例示的光ステアリング層構造を表す図である。
【
図12A】いくつかの実施形態による、繰り返しの周期的フィーチャが、異なる光学特性を備える3つの異なるゾーンを有する、第1の周期層構造の第1の側面図である。
【
図12B】いくつかの実施形態による、単一の周期的フィーチャが、9つのゾーンを有する繰り返しパターンを有する、第2の周期層構造を示す図である。
【
図13】いくつかの実施形態による、LFディスプレイの空間多重化機能を示す図である。
【
図14】いくつかの実施形態による、交差するビームを使用してボクセルを形成するディスプレイを示す図である。
【
図15】いくつかの実施形態による、距離を置いて見られた湾曲された3Dライトフィールドディスプレイを示す図である。
【
図16A】いくつかの実施形態による、発光層の2つの光集光器を表す図である。
【
図16B】いくつかの実施形態による、発光層の光源マトリックスを表す図である。
【
図17】いくつかの実施形態による、ディスプレイの光学設計を表す図である。
【
図18】集束レンズ、光ステアリング層、および周期層を横断する3つの光源クラスタからの光を示す光線追跡図の例を示す図である。
【
図19】いくつかの実施形態による、3次元画像を表示する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施形態の実装のための例示のネットワーク
図1Aは、1つまたは複数の開示された実施形態を実施できる例示的な通信システム100を示す図である。通信システム100は、複数の無線ユーザに音声、データ、ビデオ、メッセージング、ブロードキャストなどのコンテンツを提供する多元接続システムであってよい。通信システム100は、無線帯域幅を含むシステムリソースの共有を通してそのようなコンテンツに複数の無線ユーザがアクセスすることを可能にし得る。例えば、通信システム100は、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、直交FDMA(OFDMA)、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)、ゼロテールユニークワード離散フーリエ変換拡散OFDM(ZT-UW-DFT-S-OFDM)、ユニークワードOFDM(UW-OFDM)、リソースブロックフィルタ処理済みOFDM、フィルタバンクマルチキャリア(FBMC)などの1つまたは複数のチャネルアクセス方式を採用することができる。
【0014】
図1Aに示すように、通信システム100は、無線送受信ユニット(WTRU)102a、102b、102c、102d、無線アクセスネットワーク(RAN)104、コアネットワーク(CN)106、公衆交換電話網(PSTN)108、インターネット110、他のネットワーク112を含み得る。開示される実施形態が、任意の数のWTRU、基地局、ネットワーク、および/またはネットワーク要素を企図する。WTRU102a、102b、102c、102dの各々は、無線環境において動作および/または通信するように構成された任意のタイプのデバイスであってよい。例えば、WTRU102a、102b、102c、102dは、いずれも局(STA)と呼ばれることがあるが、これらは、無線信号を送信および/または受信するように構成されてよく、ユーザ機器(UE)、移動局、固定またはモバイル加入者ユニット、サブスクリプションベースのユニット、ページャ、セルラー電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、ラップトップ、ノートブック、パーソナルコンピュータ、無線センサ、ホットスポットまたはMi-Fiデバイス、IoTデバイス、腕時計または他のウェアラブルデバイス、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、車両、ドローン、医療機器および応用例(例えば遠隔手術)、産業デバイスおよび応用例(例えば、産業上のおよび/または自動化された処理チェーンのコンテキストで動作する、ロボットおよび/または他の無線デバイス)、消費者電子デバイス、商業および/または産業無線ネットワーク上で動作するデバイスなどを含むことができる。WTRU102a、102b、102c、および102dはいずれも、互換的にUEと呼ばれることがある。
【0015】
通信システム100はまた、基地局114aおよび/または基地局114bを含むこともできる。基地局114a、114bの各々は、WTRU102a、102b、102c、102dのうちの少なくとも1つとワイヤレスにインタフェースして、CN106、インターネット110、および/または他のネットワーク112など1つまたは複数の通信ネットワークへのアクセスを容易にするように構成された、任意のタイプのデバイスであってよい。例えば、基地局114a、114bは、ベーストランシーバステーション(BTS)、ノードB、eノードB、ホームノードB、ホームeノードB、gNB、新無線(NR)ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、無線ルータなどであってよい。基地局114a、114bはそれぞれ単一の要素として描かれているが、基地局114a、114bが任意の数の相互接続された基地局および/またはネットワーク要素を含み得る。
【0016】
基地局114aはRAN104の一部であってよく、RAN104はまた、基地局コントローラ(BSC)、無線ネットワークコントローラ(RNC)、中継ノードなど、他の基地局および/またはネットワーク要素(図示せず)を含むこともできる。基地局114aおよび/または基地局114bは、セル(図示せず)と呼ばれ得る1つまたは複数のキャリア周波数上で無線信号を送信および/または受信するように構成されてよい。これらの周波数は、認可スペクトル、無認可スペクトル、または認可スペクトルと無認可スペクトルとの組合せにあってよい。セルは、比較的固定的であり得るかまたは時間に伴って変化し得る特定の地理エリアに、無線サービスのためのカバレッジを提供することができる。セルは、セルセクタにさらに分割されてよい。例えば、基地局114aに関連付けられるセルは、3つのセクタに分割されてよい。一実施形態では、基地局114aは、3つの送受信機、すなわち、セルのセクタごとに1つの送受信機を含んでよい。一実施形態では、基地局114aは、多入力多出力(MIMO)技術を採用してよく、セルのセクタごとに複数の送受信機を利用してよい。例えば、所望の空間的方向で信号を送信および/または受信するために、ビームフォーミングが使用されてよい。
【0017】
基地局114a、114bは、エアインタフェース116を介してWTRU102a、102b、102c、102dのうちの1つまたは複数と通信することができ、エアインタフェース116は、任意の適切な無線通信リンク(例えば、無線周波数(RF)、マイクロ波、センチメートル波、マイクロメートル波、赤外線(IR)、紫外線(UV)、可視光など)であってよい。エアインタフェース116は、任意の好適な無線アクセス技術(RAT)を使用して確立されてよい。
【0018】
より詳細には、上記のように、通信システム100は、多元接続システムであってよく、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC-FDMAなどの1つまたは複数のチャネルアクセス方式を採用してよい。例えば、RAN104における基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))を使用してエアインタフェース116を確立してよいユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム(UMTS)地上波無線アクセス(UTRA)などの無線技術を実装してよい。WCDMAは、高速パケットアクセス(HSPA)および/または発展型HSPA(HSPA+)などの通信プロトコルを含んでよい。HSPAは、高速ダウンリンク(DL)パケットアクセス(HSDPA)および/または高速アップリンク(UL)パケットアクセス(HSUPA)を含んでよい。
【0019】
一実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、進化型UMTS地上無線アクセス(E-UTRA)などの無線技術を実装することができ、これは、ロングタームエボリューション(LTE)および/またはLTEアドバンスト(LTE-A)および/またはLTEアドバンストプロ(LTE-A Pro)を使用してエアインタフェース116を確立することができる。
【0020】
一実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、NR無線アクセスなどの無線技術を実装することができ、これは、NRを使用してエアインタフェース116を確立することができる。
【0021】
一実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、複数の無線アクセス技術を実装することができる。例えば、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、デュアル接続性(DC)原理を使用してLTE無線アクセスとNR無線アクセスとを一緒に実装することができる。従って、WTRU102a、102b、102cによって利用されるエアインタフェースは、複数のタイプの無線アクセス技術および/または複数のタイプの基地局(例えば、eNBおよびgNB)との間で送られる送信によって特徴づけられてよい。
【0022】
他の実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、IEEE802.11(すなわち、WiFi(Wireless Fidelity))、IEEE802.16(すなわち、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access))、CDMA2000、CDMA2000 1X、CDMA2000 EV-DO、インタリム規格2000(IS-2000)、インタリム規格95(IS-95)、インタリム規格856(IS-856)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、GSM進化型高速データレート(EDGE)、GSM EDGE(GERAN)などの無線技術を実装してよい。
【0023】
図1Aにおける基地局114bは、例えば、無線ルータ、ホームノードB、ホームeノードB、またはアクセスポイントであってよく、職場、家庭、車両、構内、産業設備、(例えば、ドローンが使用するための)空中回廊、道路などの局所的エリアでの無線接続性を容易にするために任意の好適なRATを利用してよい。一実施形態では、基地局114bおよびWTRU102c、102dは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を確立するためにIEEE802.11などの無線技術を実装してよい。一実施形態では、基地局114bおよびWTRU102c、102dは、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)を確立するためにIEEE802.15などの無線技術を実装してよい。また別の実施形態では、基地局114bおよびWTRU102c、102dは、ピコセルまたはフェムトセルを確立するためにセルラベースのRAT(例えば、WCDMA、CDMA2000、GSM、LTE、LTE-A、LTE-A Pro、NRなど)を利用してよい。
図1Aに示すように、基地局114bは、インターネット110への直接接続を有する。従って、基地局114bは、CN106/115を介してインターネット110にアクセスする必要がなくてよい。
【0024】
RAN104は、CN106と通信していてよく、CN106は、WTRU102a、102b、102c、102dのうちの1つもしくは複数に音声、データ、アプリケーション、および/またはVoIPサービスを提供するように構成された任意のタイプのネットワークであってよい。データは、異なるスループット要件、待ち時間要件、誤り耐性要件、信頼性要件、データスループット要件、モビリティ要件などの変動するサービス品質(QoS)要件を有してよい。CN106は、呼制御、課金サービス、モバイル位置情報サービス、プリペイド発呼、インターネット接続性、ビデオ配信などを提供し、および/またはユーザ認証などの高レベルなセキュリティ機能を実行してよい。
図1Aには示されていないが、RAN104および/またはCN106が、RAN104と同じRATまたは異なるRATを採用する他のRANと直接的または間接的に通信していてもよい。例えば、NR無線技術を利用していることがあるRAN104に接続されることに加えて、CN106はまた、GSM、UMTS、CDMA2000、WiMAX、E-UTRA、またはWiFi無線技術を採用する別のRAN(図示せず)と通信していてもよい。
【0025】
CN106はまた、PSTN108、インターネット110、および/または他のネットワーク112にアクセスするためにWTRU102a、102b、102c、102dのためのゲートウェイとして働いてよい。PSTN108は、基本電話サービス(POTS)を提供する回線交換電話網を含んでよい。インターネット110は、TCP/IPインターネットプロトコルスイートにおけるTCP、UDPおよび/またはIPなどの共通の通信プロトコルを使用する相互接続されたコンピュータネットワークおよびデバイスのグローバルシステムを含んでよい。ネットワーク112は、他のサービスプロバイダによって所有および/または運営される有線および/または無線通信ネットワークを含んでよい。例えば、他のネットワーク112は、RAN104と同じRATまたは異なるRATを採用してよい1つまたは複数のRANに接続された別のCNを含んでよい。
【0026】
通信システム100におけるWTRU102a、102b、102c、102dの一部または全部は、マルチモード能力を含んでよい(例えば、WTRU102a、102b、102c、102dは、異なる無線リンクを介して異なる無線ネットワークと通信するための複数の送受信機を含んでよい)。例えば、
図1Aに示すWTRU102cは、セルラベースの無線技術を採用し得る基地局114aと通信し、IEEE802無線技術を採用し得る基地局114bと通信するように構成されてよい。
【0027】
図1Bは、例示的なWTRU102を示すシステム図である。
図1Bに示すように、WTRU102は、特に、プロセッサ118、送受信機120、送受信要素122、スピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、ディスプレイ/タッチパッド128、非リムーバブルメモリ130、リムーバブルメモリ132、電源134、GPSチップセット136、および/または他の周辺装置138を含んでよい。WTRU102は、実施形態との一貫性を維持しながら前述の要素の任意のサブコンビネーションを備え得る。
【0028】
プロセッサ118は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、他のタイプの集積回路(IC)、状態機械などであってよい。プロセッサ118は、信号符号化、データ処理、電力制御、入出力処理、および/またはWTRU102が無線環境において動作することを可能にする任意の他の機能を実行してよい。プロセッサ118は、送受信要素122に結合され得る送受信機120に結合されてよい。
図1Bに、別個の構成要素としてプロセッサ118と送受信機120とを示しているが、プロセッサ118と送受信機120とが電子パッケージまたはチップ中で統合されてよい。
【0029】
送受信要素122は、エアインタフェース116を介して基地局(例えば、基地局114a)との間で信号を送受信するように構成されてよい。例えば、一実施形態では、送受信要素122は、RF信号を送信および/または受信するように構成されたアンテナであってよい。一実施形態では、送受信要素122は、例えば、IR、UV、または可視光信号を送信および/または受信するように構成されたエミッタ/検出器であってよい。また別の実施形態では、送受信要素122は、RF信号と光信号との両方を送信および/または受信するように構成されてよい。送受信要素122が任意の組合せの無線信号を送信および/または受信するように構成されてよい。
【0030】
図1Bでは送受信要素122が単一の要素として描かれているが、WTRU102は、任意の数の送受信要素122を含んでよい。例えば、WTRU102は、MIMO技術を採用してよい。従って、一実施形態では、WTRU102は、エアインタフェース116を介して無線信号を送信および受信するための2つ以上の送受信要素122(例えば、複数のアンテナ)を含んでよい。
【0031】
送受信機120は、送受信要素122によって送信されることになる信号を変調し、送受信要素122によって受信された信号を復調するように構成されてよい。上記のように、WTRU102は、マルチモード能力を有してよい。従って、送受信機120は、WTRU102が、例えば、NRおよびIEEE802.11などの複数のRATを介して通信することを可能にするための複数の送受信機を含んでよい。
【0032】
WTRU102のプロセッサ118は、スピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)ディスプレイユニットまたは有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイユニット)に結合されてよく、それらからユーザ入力データを受信してよい。プロセッサ118はまた、スピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128にユーザデータを出力してよい。さらに、プロセッサ118は、非リムーバブルメモリ130および/またはリムーバブルメモリ132などの任意のタイプの好適なメモリの情報にアクセスし、それにデータを記憶してよい。非リムーバブルメモリ130は、RAM、ROM、ハードディスク、または任意の他のタイプのメモリストレージデバイスを含んでよい。リムーバブルメモリ132は、SIMカード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含んでよい。他の実施形態では、プロセッサ118は、サーバまたはホームコンピュータ(図示せず)上など、WTRU102上に物理的に位置しないメモリの情報にアクセスし、それにデータを記憶してよい。
【0033】
プロセッサ118は、電源134から電力を受け取ることができ、WTRU102における他の構成要素に電力を分配および/または制御するように構成されてよい。電源134は、WTRU102に電力供給するための任意の好適なデバイスであってよい。例えば、電源134は、1つまたは複数の乾電池(例えば、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル銅(NiZn)、ニッケルメタルハイドライド(NiMH)、リチウムイオン(Li-ion)など)、太陽電池、燃料電池などを含むことができる。
【0034】
プロセッサ118はまた、WTRU102の現在のロケーションに関するロケーション情報(例えば、経度および緯度)を提供するように構成され得るGPSチップセット136に結合されてよい。GPSチップセット136からの情報に加えて、または、それの代わりに、WTRU102は、基地局(例えば、基地局114a、114b)からエアインタフェース116を介してロケーション情報を受信し、および/または2つ以上の近くの基地局から受信される信号のタイミングに基づいてそのロケーションを決定してよい。WTRU102が、実施形態との一貫性を維持しながら、任意の好適なロケーション決定方法によってロケーション情報を捕捉してよい。
【0035】
プロセッサ118はさらに、他の周辺装置138にも結合されてよく、周辺装置138は、追加の特徴、機能、および/または有線若しくは無線接続性を提供する1つまたは複数のソフトウェアおよび/またはハードウェアモジュールを含むことができる。例えば、周辺装置138は、加速度計、電子コンパス、衛星送受信機、デジタルカメラ(写真および/またはビデオ用)、USBポート、振動デバイス、テレビジョン送受信機、ハンズフリーヘッドセット、Bluetooth(登録商標)モジュール、周波数変調(FM)無線ユニット、デジタル音楽プレーヤ、メディアプレーヤ、ビデオゲームプレーヤモジュール、インターネットブラウザ、仮想現実および/または拡張現実(VR/AR)デバイス、アクティビティトラッカなどを含むことができる。周辺装置138は、1つまたは複数のセンサを含み得る。センサは、ジャイロスコープ、加速度計、ホール効果センサ、磁力計、向きセンサ、近接センサ、温度センサ、時間センサ、ジオロケーションセンサ、高度計、光センサ、タッチセンサ、磁力計、気圧計、ジェスチャセンサ、生体センサ、湿度センサなどのうちの1つまたは複数であってよい。
【0036】
WTRU102(例えば、WTRU102a、102b、102c、102dのうちの1つまたは複数)は、(例えば、(例えば、送信のための)ULと(例えば、受信のための)DLとの両方のための特定のサブフレームに関連する)信号の一部または全部の送信および受信が並列および/または同時であってよい全二重無線を含んでよい。全二重無線は、干渉管理ユニットを含むことができ、それにより、ハードウェア(例えばチョーク)を介して、またはプロセッサ(例えば、別個のプロセッサ(図示せず)若しくはプロセッサ118)を介した信号処理を介して、自己干渉が低減されるかまたはほぼ除去される。一実施形態では、WTRU102は、信号のいくつかまたは全ての送信および受信(例えば、UL(例えば送信用)とDL(例えば受信用)のいずれかについて特定のサブフレームに関連付けられた)が行われる、半二重無線を含むことができる。
【0037】
図1Cは、一実施形態によるRAN104およびCN106を示すシステム図である。上記のように、RAN104は、E-UTRA無線技術を採用して、エアインタフェース116を介してWTRU102a、102b、102cと通信することができる。RAN104はまた、CN106とも通信していてよい。
【0038】
RAN104はeノードB160a、160b、160cを含むことができるが、RAN104は実施形態との一貫性を維持しながら任意の数のeノードBを含み得る。eノードB160a、160b、160cはそれぞれ、エアインタフェース116を介してWTRU102a、102b、102cと通信するための1つまたは複数の送受信機を備え得る。一実施形態では、eノードB160a、160b、160cは、MIMO技術を実装してよい。eノードB160aは、例えば、WTRU102aに無線信号を送信するおよび/またはそれから無線信号を受信するために複数のアンテナを使用してよい。
【0039】
eノードB160a、160b、160cの各々は、特定のセル(図示せず)に関連付けられてよく、無線リソース管理決定、ハンドオーバ決定、ULおよび/またはDLにおけるユーザのスケジューリングなどを扱うように構成されてよい。
図1Cに示すように、eノードB160a、160b、160cは、X2インタフェースを介して相互に通信してよい。
【0040】
図1Cに示されるCN106は、モビリティ管理エンティティ(MME)162、サービングゲートウェイ(SGW)164、パケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ(PGW)166を含んでよい。これらの要素の各々はCN106の一部として描かれているが、これらの要素はいずれもCNオペレータ以外のエンティティによって所有および/または運営されてもよいことは理解されるであろう。
【0041】
MME162は、S1インタフェースを介してRAN104内のeノードB160a、160b、160cの各々に接続されてよく、制御ノードとして働いてよい。例えば、MME162は、WTRU102a、102b、102cのユーザを認証すること、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化、WTRU102a、102b、102cの初期アタッチの間に特定のサービングゲートウェイを選択することなどを担当してよい。MME162は、RAN104とGSMおよび/またはWCDMAなどの他の無線技術を採用する他のRAN(図示せず)との間で切り替えるための制御プレーン機能を提供し得る。
【0042】
SGW164は、S1インタフェースを介してRAN104内のeノードB160a、160b、160cの各々に接続されてよい。SGW164は、概して、WTRU102a、102b、102cとの間でユーザデータパケットをルーティングし、転送することができる。SGW164は、eノードB間のハンドオーバの間にユーザプレーンをアンカリングすること、DLデータがWTRU102a、102b、102cのために利用可能であるときにページングをトリガすること、WTRU102a、102b、102cのコンテキストを管理および記憶することなどの他の機能を実行してよい。
【0043】
SGW164は、WTRU102a、102b、102cとIP対応デバイスとの間の通信を容易にするためにインターネット110などのパケット交換ネットワークへのアクセスをWTRU102a、102b、102cに提供するPGW166に接続され得る。
【0044】
CN106は、他のネットワークとの通信を容易にし得る。例えば、CN106は、WTRU102a、102b、102cと従来の固定通信デバイスとの間の通信を容易にするためにPSTN108などの回線交換ネットワークへのアクセスをWTRU102a、102b、102cに与え得る。例えば、CN106は、CN106とPSTN108との間のインタフェースとして働くIPゲートウェイ(例えば、IPマルチメディアサブシステム(IMS)サーバ)を含んでよいかまたはそれと通信してよい。さらに、CN106は、他のサービスプロバイダによって所有および/または運営される他の有線および/または無線ネットワークを含み得る他のネットワーク112へのアクセスをWTRU102a、102b、102cに与えてよい。
【0045】
WTRUが無線端末として
図1A~
図1Cに記載されているが、いくつかの実施形態では、そのような端末が(例えば、一時的にまたは永続的に)通信ネットワークとの有線通信インタフェースを使用し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、他のネットワーク112は、WLANであってよい。
【0047】
インフラストラクチャ基本サービスセット(BSS)モードのWLANには、BSS用のアクセスポイント(AP)と、APに関連付けられた1つ以上のステーション(STA)がある。APは、BSSへのトラフィックおよび/またはBSSからのトラフィックを搬送する配信システム(DS)または別のタイプの有線/無線ネットワークへの、アクセスまたはインタフェースを有することができる。BSSの外部からから生じたSTAへのトラフィックは、APを通して到着してよく、STAに送られてよい。STAからBSSの外部の宛先に発信されるトラフィックは、APに送信され、それぞれの宛先に配信されてよい。BSS内のSTA間のトラフィックは、APを介して送信でき、例えば、送信元STAがAPにトラフィックを送信し、APが宛先STAにトラフィックを配信してよい。BSS内のSTA間のトラフィックは、ピアツーピアトラフィックと見なされたり、呼ばれたりする場合がある。ピアツーピアトラフィックは、直接リンクセットアップ(DLS)を使用して、送信元STAと宛先STAの間で(例えば、直接)送信できる。1つまたは複数の実施形態では、DLSは、802.11e DLSまたは802.11zトンネルDLS(TDLS)を使用することができる。独立BSS(IBSS)モードを使用するWLANにはAPがない場合があり、IBSS内またはIBSSを使用するSTA(例えば、全てのSTA)は相互に直接通信する場合がある。IBSS通信モードは、本明細書では「アドホック」通信モードと呼ばれることがある。
【0048】
802.11acインフラストラクチャモードの動作または同様の動作モードを使用する場合、APは、プライマリチャネルなどの固定チャネルでビーコンを送信することができる。プライマリチャネルは、固定幅(例えば、20MHz幅の帯域幅)またはシグナリングを介して動的に設定される幅であってよい。プライマリチャネルは、BSSの動作チャネルであってよく、APとの接続を確立するためにSTAによって使用されてよい。1つまたは複数の実施形態では、例えば802.11システム中で、衝突回避機能付きキャリアセンス多元接続(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)(CSMA/CA)が実装されてよい。CSMA/CAの場合、APを含むSTA(例えば、全てのSTA)がプライマリチャネルを検知することができる。プライマリチャネルが特定のSTAによって感知/検出され、および/またはビジーであると判断された場合、特定のSTAはバックオフすることができる。1つのSTA(例えば、ただ1つのステーション)は、特定のBSSでいつでも送信できる。
【0049】
ハイスループット(HT)STAは、例えばプライマリ20MHzチャネルと隣接または非隣接20MHzチャネルとを組み合わせて40MHz幅のチャネルを形成することを介して、40MHz幅のチャネルを通信に使用することができる。
【0050】
ベリーハイスループット(VHT)STAは、20MHz、40MHz、80MHz、および/または160MHz幅のチャネルをサポートすることができる。40MHzおよび/または80MHzのチャネルは、連続する20MHzチャネルを組み合わせることによって形成できる。160MHzチャネルは、8つの連続した20MHzチャネルを結合することによって、または2つの非連続80MHzチャネルを結合することによって形成されてよく、後者は80+80構成と呼ばれることがある。80+80構成の場合、データは、チャネル符号化後にセグメントパーサの中を通されてよく、セグメントパーサはデータを2つのストリームに分割することができる。各ストリームに対して別々に、逆高速フーリエ変換(IFFT)処理および時間領域処理が行われてよい。ストリームは、2つの80MHzチャネル上にマッピングされてよく、データは送信側STAによって送信されてよい。受信側STAの受信機では、80+80構成の場合の前述の動作が反転されてよく、結合されたデータは媒体アクセス制御(MAC)に送られてよい。
【0051】
サブ1GHz動作モードが、802.11afおよび802.11ahによってサポートされる。802.11afおよび802.11ahでは、チャネル動作帯域幅およびキャリアは、802.11nおよび802.11acで使用されるものに対して相対的に低減される。802.11afは、TVホワイトスペース(TVWS)スペクトル中の5MHz、10MHz、および20MHz帯域幅をサポートし、802.11ahは、非TVWSスペクトルを使用して1MHz、2MHz、4MHz、8MHz、および16MHz帯域幅をサポートする。一実施形態によれば、802.11ahは、マクロカバレッジエリア中のマシンタイプ通信(MTC)デバイスなど、メータータイプ制御/MTCをサポートすることができる。MTCデバイスは、特定の機能、例えば、特定のおよび/または制限された帯域幅のサポート(例えば、サポートのみ)を含む制限された機能を有し得る。MTCデバイスは、閾値を超えるバッテリ寿命を有するバッテリを含み得る(例えば、非常に長いバッテリ寿命を維持する)。
【0052】
WLANシステムは、802.11n、802.11ac、802.11af、および802.11ahなど複数のチャネルおよびチャネル帯域幅をサポートすることができ、このWLANシステムは、プライマリチャネルとして指定され得るチャネルを含む。プライマリチャネルは、BSS中の全てのSTAによってサポートされる最大共通動作帯域幅に等しい帯域幅を有することができる。プライマリチャネルの帯域幅は、BSS中で動作している全てのSTAのうちの最小帯域幅動作モードをサポートするSTAによって設定および/または制限されてよい。802.11ahの例では、APとBSS中の他のSTAとが2MHz、4MHz、8MHz、16MHz、および/または他のチャネル帯域幅動作モードをサポートする場合であっても、プライマリチャネルは、1MHzモードをサポートする(例えば、それだけをサポートする)STA(例えば、MTCタイプのデバイス)のために1MHz幅であってよい。キャリア感知および/またはネットワーク割り当てベクトル(NAV)設定は、プライマリチャネルのステータスに依存し得る。例えばSTA(1MHz動作モードのみをサポートする)がAPに送信しているせいで、プライマリチャネルがビジーである場合は、利用可能な周波数帯域の大部分がアイドル状態のままであり、利用可能であり得ても、利用可能な全ての周波数帯域はビジーであると見なされてよい。
【0053】
米国では、802.11ahで使用できる利用可能な周波数帯域は、902MHz~928MHzである。韓国では、利用可能な周波数帯域は、917.5MHz~923.5MHzである。日本では、利用可能な周波数帯域は916.5MHz~927.5MHzである。802.11ahで利用可能な合計帯域幅は、国コードに応じて6MHz~26MHzである。
【0054】
WTRU102a~d、基地局114a~b、eノードB160a~c、MME162、SGW164、PGW166、gNB180a~c、AMF182a~b、UPF184a~b、SMF183a~b、DN185a~bおよび/または本明細書に記載の他の任意のデバイスのうちの1つまたは複数に関する、本明細書に記載の機能のうちの1つ若しくは複数または全てが、1つまたは複数のエミュレーションデバイス(図示せず)によって実施されてよい。エミュレーションデバイスは、本明細書に記載の機能のうちの1つ若しくは複数または全てをエミュレートするように構成された1つまたは複数のデバイスであってよい。例えば、エミュレーションデバイスは、他のデバイスをテストするため、並びに/またはネットワークおよび/若しくはWTRU機能をシミュレートするために使用されてよい。
【0055】
エミュレーションデバイスは、ラボ環境および/またはオペレータネットワーク環境で他のデバイスの1つまたは複数のテストを実装するように設計することができる。例えば、1つまたは複数のエミュレーションデバイスは、通信ネットワーク内の他のデバイスをテストするために、有線および/または無線通信ネットワークの一部として完全にまたは部分的に実装および/または展開されて、1つ若しくは複数または全ての機能を実施することができる。1つまたは複数のエミュレーションデバイスは、有線および/または無線通信ネットワークの一部として一時的に実装/展開されて、1つ若しくは複数または全ての機能を実施することができる。エミュレーションデバイスは、テストの目的で別のデバイスに直接に結合され、かつ/または無線通信を使用したテストを実施してよい。
【0056】
1つまたは複数のエミュレーションデバイスは、有線および/または無線通信ネットワークの一部として実装/展開されずに、全ての機能を含めた1つまたは複数の機能を実施することもできる。例えば、エミュレーションデバイスは、1つまたは複数のコンポーネントのテストを実装するために、テスト用ラボにおけるテスト用シナリオで、かつ/または非デプロイ(例えばテスト用の)有線および/若しくは無線通信ネットワークにおけるテスト用シナリオで、利用されてよい。1つまたは複数のエミュレーションデバイスは、テスト機器であってよい。直接RF結合、および/または、RF回路(例えば、1つ若しくは複数のアンテナを備え得る)を介した無線通信が、エミュレーションデバイスによって使用されて、データが送信および/または受信されてよい。
【0057】
詳細な説明
ライトフィールドディスプレイなどの3Dディスプレイを提供するためのシステムおよび方法が説明される。いくつかの実施形態では、光学的方法および光学システムの構成が、交差する光ビームを用いて高解像度3D LF画像を生成する。光は、例えばμLEDマトリックスまたはOLEDディスプレイなど、個別にアドレス可能な光源またはピクセルを含む層から放射される。収束レンズ構造、例えば、ポリカーボネートレンチキュラシート(polycarbonate lenticular sheet)が、エミッタをオーバーレイする。収束レンズ構造は、光をビームのセット内に集束させる。別個の光ステアリング層または素子を使用して、周期的光学層上の特定の位置に向けてビームを傾けることができる。いくつかの実施形態では、非機械的ビームステアリングコンポーネント、例えば、偏光スイッチングまたはエレクトロウェッティングマイクロプリズムに基づく液晶材料およびポリマーマイクロプリズムシートを含むハイブリッド構造が使用され得る。周期層フィーチャは、各ビームの焦点距離を変更するように構成されてよく、一連の固定された焦点面を作成するために利用されてよい。周期層は、例えば、UV硬化性材料から作られた光学的形状を有するポリカーボネートシートとして、またはエンボス加工された回折構造を有する薄いシートとして製造され得る。いくつかの実施形態では、複数の光源を含むプロジェクタセルを使用することによって、LFディスプレイシステムにおける空間多重化が提供され得る。時間的多重化は、異なる投影焦点距離間の切り替えのために光ステアリング層を使用することによって提供され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、光学システムは、交差するビームを使用してボクセルを形成することができる。いくつかの実施形態では、ボクセルは、ディスプレイの表面から別々の距離で形成され得る。ボクセルは、例えば、ディスプレイ表面の前方、ディスプレイ表面の後方、および/またはディスプレイ表面上に形成され得る。放射されたビームは、光学構造から様々な距離に集束し、距離に応じて様々なサイズの領域に光源を結像することができる。単一のビームが、単一の眼についての適正な網膜焦点キューを生成するために使用され得る。適正なボクセル距離で交差する複数のビームが、2つの眼のための完全なボクセルを生成し、適正な眼輻輳角度を誘導するために使用され得る。網膜焦点キューと輻輳角度は、別個に作成され得る。この構成は、輻輳調節矛盾(VAC)を克服し得る。光源マトリックス、集束レンズ、光ステアリング層、および周期層は、ディスプレイの周囲の3D空間内にいくつかの仮想焦点面を生成することができるシステムを形成するように構成され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、光学的方法は、1つまたは複数の光ステアリング層または素子、および周期的集束層の使用に基づく。光は、別個に制御可能な小さなエミッタから放射される。光学層が、光をビームにコリメートまたは収束させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、光学層はマイクロレンズを含む。光ステアリング層と光学フィーチャの周期層との組み合わせが、ビームを複数の焦点層に集束させるために使用され得る。2つ以上の交差するビームが、眼輻輳を開始するために使用され得る。この構成は、焦点キューと矛盾することなくボクセルを形成し得る。
【0060】
いくつかの実施形態は、輻輳調節矛盾(VAC)問題を克服しながら、3D画像の複数の焦点面を提示することができる、ライトフィールド(LF)ディスプレイなどのディスプレイを作る能力を提供する。いくつかの実施形態は、可動部品の必要なしに、薄い光学系を備えたライトフィールドディスプレイのようなディスプレイを作る能力を提供する。いくつかの実施形態では、非機械的ビームステアリング層は、液晶技術を使用して製造され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、方法は、ビームステアリング光学素子および周期的または繰り返し集束層を使用して、光投影の焦点深度を変更するステップを含む。
【0062】
いくつかの実施形態は、光学系の前方に空間光変調層を必要とせずに、周期的光学構造を使用して複数の焦点面において画像を生成することができるディスプレイを提供する。いくつかのそのような実施形態は、光学ハードウェアおよび/または電子機器の複雑さを低減することができる。そのような実施形態は、例えば、適応マスクとして作用して多くの量の光を減衰させる空間光変調器を利用する構成よりも、良好な光学効率およびエネルギー節約を可能にすることができる。
【0063】
図2は、それぞれの視聴者またはユーザに向けられる様々な発光角度を示す。例えば、
図2は、仮想物体点202に関するLFディスプレイ200からの発光角度の幾何学的形状の図を示す。ディスプレイ/タッチパッド128は、LFディスプレイ200を備えることができる。
図2のLFディスプレイ200は、単一のフラットフォームファクタパネルにおいて、所望の網膜焦点キューおよび3Dコンテンツの複数のビューを生成する。単一の3Dディスプレイ200は、粗い3D知覚効果を作るために、単一のユーザ212の2つの眼に対して少なくとも2つの異なるビューを投影する。脳は、これら2つの異なる眼画像を使用して3D距離を決定する。論理的には、これは、三角測量および瞳孔間距離に基づいている。この効果を提供するために、
図2に示されるように、少なくとも2つのビューが単一ユーザ視野角(SVA)204に投影される。少なくとも1つの実施形態では、LFディスプレイ200は、適正な網膜焦点キューを提供するために、単一の眼瞳孔に向けて少なくとも2つの異なるビューを投影する。光学設計のため、可視画像が形成される空間の体積を決定するときに、視聴者眼瞳孔の周りでアイボックスが特徴付けられ得る。例えば、
図2に示されるアイボックス幅206を参照されたい。LFディスプレイ200のいくつかの実施形態では、既知の視距離214でアイボックスによってカバーされたアイボックス角度(EBA)208の内側に、少なくとも2つの部分的に重なり合うビューが投影される。いくつかの実施形態では、LFディスプレイ200は、異なる視野角からディスプレイを見る複数の視聴者212によって見られる。そのような実施形態では、同じ3Dコンテンツのいくつかの異なるビューが視聴者212に投影され、意図されたマルチユーザ視野角(MVA)210全体をカバーする。
【0064】
図2は、LFディスプレイ200が、有利なことに、3つの異なる角度範囲、すなわち、単一の眼の瞳孔をカバーするための1つの範囲、単一のユーザの2つの眼をカバーするための1つの範囲、および複数の視聴者212のための1つの範囲を、同時にカバーすることができることを示している。これら3つの角度範囲のうち、後者の2つは、例えば、レンチキュラもしくは視差バリア構造下でいくつかの発光ピクセルを使用することによって、または共通のスクリーンを有する複数のプロジェクタを使用することによって分解され得る。そのような技法は、複数のビューの作成に利用される比較的大きな発光角度の作成に適している。適正な網膜焦点キューを生成し輻輳調節矛盾(VAC)を克服するために、眼瞳孔をカバーする範囲に対処することは、より有利な結果をもたらし得る。
【0065】
VACは、現在の立体視3Dディスプレイにおける1つの問題である。フラットフォームファクタLF 3Dディスプレイは、適正な眼輻輳角度と適正な焦点角度との両方を同時に生成することによって、この問題に対処することができる。現在の消費者ディスプレイでは、像点がディスプレイの表面上にあり、点を正しく表現するために、両方の眼に見える1つの照明されたピクセルのみが必要とされる。両方の眼は、同じ点に焦点を合わせられ、収束される。視差バリア3Dディスプレイの場合、単一の点を正しく表現するために、ピクセルの2つのクラスタが照明される。さらに、これらの2つの空間的に分離されたピクセルクラスタからの光線の方向は、放射された光が適正な眼のみに対して可視であるように制御され、それにより、眼が同じ単一の仮想点に収束することを可能にする。
【0066】
眼輻輳(CA)角度318と網膜焦点(FA)角度320との両方を同時に生成できるフラットフォームファクタ高品質LF 3Dディスプレイは、より望ましい効果を提供することができる。
図3Aから
図3Dは、4つの異なる3D画像コンテンツ事例において、これらの角度318、320を示す。
図3Aに示される第1の事例では、単一の像点304がLFディスプレイ200の表面上にあり、両方の眼302に可視の1つの照明されたディスプレイピクセルのみが必要とされる。両方の眼は、同じ点304に焦点を合わせられ、収束される。
図3Bに示される第2の事例では、虚像点(ボクセル)306がLFディスプレイ200の後方にあり、ピクセル308の2つのクラスタが照明される。さらに、これらの2つのディスプレイピクセルクラスタ308からの光線の方向は、放射された光が適正な眼のみに対して可視であるように制御され、それにより、眼が同じ単一の仮想点306に収束することを可能にする。
図3Cに示される第3の事例では、虚像は、画面の後方の無限距離310で効果的に収束し、平行光線またはビーム322のみが、2つのピクセルクラスタ312からディスプレイ表面より放射される。
図3Dに示される最後の事例では、像点またはボクセル314がディスプレイの前方にあり、2つのピクセルクラスタ316が活性化され、放射されたビームが、それらが集束する同じ点314で交差する。最後の3つの提示された一般化された事例において、3D画像コンテンツに対する自然な眼反応のための輻輳角度318と焦点角度320の両方を作成するために、放射された光の空間制御と角度制御の両方がLFディスプレイ200によって使用される。
【0067】
フラットパネル型マルチビューLFディスプレイ200は、空間多重化のみを実装してもよい。発光ピクセルの行またはマトリックス(LFサブピクセル)は、レンチキュラレンズシートまたはマイクロレンズアレイの後方に配置されてよく、各ピクセルは、ディスプレイ構造の前方の固有のビュー方向に、または限定されたセットのビュー方向に投影されてよい。より多くのピクセルが各光ビームコリメートまたは集束フィーチャの後方の発光層上に存在すると、より多くのビューが生成されることが可能である。生成される固有のビューの数と空間解像度との間にトレードオフが見られることがある。より小さいLFピクセルサイズが3Dディスプレイから望まれる場合、個々のサブピクセルのサイズが縮小されてよく、あるいは、より少数の視線方向が生成されてもよい。サブピクセルサイズは、適切なコンポーネントの欠如により、比較的大きな領域に限られることがある。高い空間解像度と角解像度の両方を有する高品質のLFディスプレイ200が望ましい。SMV条件を満たすには、高い角解像度が望ましい。
【0068】
交差ビームを利用することによって、十分な解像度を有する異なる焦点面で3D LF画像を生成するために、各ビームは、有利には、狭い直径で適切にコリメートされまたは収束される。いくつかの実施形態では、コリメーションまたは収束のレベルは、表示されている焦点面の位置に関係付けられる。例えば、ビームは、ディスプレイの後方の焦点面の表示の場合、実質的にコリメートまたは収束されるがわずかに発散してよく、また、ビームは、ディスプレイの前方の焦点面の表示の場合、実質的にコリメートされるがわずかに収束してよい。
【0069】
ビームウエストは、有利には、眼に対する矛盾した焦点キューを回避するために、ビームが交差する同じ領域に配置され得る。ビーム直径が大きい場合、ビーム交差で形成されたボクセルは、大きなスポットまたは領域として眼網膜に結像される。(ディスプレイと視聴者の間の中間画像に関する)大きな発散値の結果として、ボクセルと眼の間の距離が短くなるにつれてビームが広くなる。距離が短いほど、眼は画像をより詳細に解像する。しかしながら、仮想焦点面の空間解像度は、距離が短くなるにつれて悪化する。ディスプレイ表面の後方に配置されたボクセルは、放射されたビームの仮想的な延長で形成され、眼の解像度もより長い距離で悪化するため、より広いビームが許容され得る。ディスプレイ表面の前方と後方の両方で高解像度を得るために、調整可能な焦点を有する別々のビームが利用され得る。調整可能な焦点がなければ、ビームは、最も小さい達成可能なボクセルサイズを設定する単一の固定された焦点を有する。距離が長くなるにつれて眼の解像度が低くなるので、ビームの仮想延長は、ディスプレイの後方で広くすることが可能にされ、ビーム焦点は、3D画像の最も近い指定された視距離に設定され得る。いくつかの実施形態では、ボクセルサイズを均一にする試みとして、いくつかの隣接するビームを組み合わせることによって画像が形成される体積全体にわたって、焦点面解像度がバランスされてもよい。
【0070】
理想的なレンズの場合、達成可能な光ビームコリメーションは、光源のサイズとレンズの焦点距離という2つの幾何学的因子に依存する。ビーム発散なしの完全なコリメーション408は、例えば
図4Aの上部に示されるように、単一色点源(single-color point source:PS)402が理想的な正のレンズから正確に焦点長距離に配置された理論的なケースでのみ達成されることができる。残念ながら、現実の光源は、光がそこから放射される有限の表面積を有し、それらを延長源(extended sources:ES)404とする。光源の各点がレンズによって別々に結像されると、総ビームは、レンズの後またはレンズを超えるいくぶん異なる方向に沿って伝播するコリメートまたは収束されたサブビームのグループとなる。
図4Aに示されるように、より小さな拡張された光源404は、より小さな総ビーム発散410を有するのに対し、より大きな拡張された光源406は、より大きな総ビーム発散412を有し、したがって、総ビーム発散は、拡張された光源のサイズと共に増大する。この幾何学的因子は、いかなる光学的手段でも回避され得ず、比較的大きな光源でビーム発散を引き起こす支配的な特徴である。
【0071】
ビーム発散を引き起こす別の非幾何学的特徴は回折である。回折は、光の波が障害物またはスリットに遭遇したときに発生する様々な現象を含む。それは、開口の角部の周りの光が幾何学的な影の領域へ曲がるものとして説明され得る。回折効果は、全てのイメージングシステムにおいて見出すことができ、全ての光学収差を相殺することが可能な完全なレンズ設計を用いても除去され得ない。最高光学品質に到達できるレンズは、画像に残るぼやけのほとんどが回折から生じるので、しばしば回折限界と呼ばれる。回折限界レンズを用いて達成可能な角解像度は、式sinθ=1.22×λ/Dから計算されることができ、ここで、λは光の波長であり、Dはレンズの入射瞳の直径である。したがって、光の色およびレンズ開口サイズは、回折の量に影響を有する。
図4Bは、レンズ開口サイズが減少されるときにどのようにビーム発散が増大されるかの表現を示す。この効果は、結像光学設計の一般原理に定式化されることができ、設計が回折限界である場合、解像度を向上する方法は、開口を大きくすることである。回折は、比較的小さな光源でビーム発散を引き起こす支配的な特徴である。
【0072】
図4Aに示されるように、拡張された光源のサイズは、達成可能なビーム発散に大きな影響を有する。光源幾何学または空間分布は、光源レンズシステムの遠視野パターンの結果に見られるように、ビームの角度分布にマッピングされる。コリメートレンズまたは収束レンズが光源から焦点距離に配置された場合、光源はレンズから比較的長距離に結像され、画像のサイズはシステム拡大率から決定されることができる。単純な結像レンズの場合、
図5に示されるように、この比率は、レンズと画像の間の距離を光源とレンズの間の距離で割ることによって計算されることができる。光源とレンズの間の距離を固定された場合、レンズ曲率に応じてレンズの屈折力を変更することによって、異なる画像距離が実現され得る。レンズ焦点距離に比べて画像距離が大きくなると、必要とされるレンズ屈折力の変化が小さくなり、レンズが、放射された光を、角度分布にマッピングされる光源の空間分布を有するビームに効果的にコリメートまたは収束させ、光源像が、集束なしに形成されるという状況に近づく。
【0073】
フラットフォームファクタゴーグルレスLFディスプレイでは、LFピクセル投影レンズは、平坦な構造を達成するために、および単一のLFピクセルからのビームが比較的長い視距離に投影されることを可能にするために、非常に短い焦点距離を有することができる。したがって、光のビームが視聴者に伝播するとき、光源が高倍率で効果的に結像され得る。例えば、光源サイズが50μm×50μmである場合、投影レンズ焦点距離は1mmであり、視距離は1mであり、結果の拡大率は1000:1であり、光源幾何学画像のサイズは50mm×50mmである。結果として、単一の光エミッタは、この直径50mmアイボックス内の1つの眼のみで見られることが可能である。光源が100μmの直径を有する場合、結果の画像は幅100mmであり、眼瞳孔間の平均距離はわずか64mmであるため、同じピクセルが同時に両方の眼にとって可視であり得る。立体視3D画像は、両方の眼が同一の画像を見るので形成されないことになる。例示的計算は、光源サイズ、レンズ焦点距離、および視距離などの幾何学的パラメータが互いにどのように関係付けられるかを示す。
【0074】
光のビームがLFディスプレイピクセルから投影されるとき、発散がビームを拡大させる。この発散は、ディスプレイから視聴者に向かって放射される実際のビームだけでなく、ディスプレイ表面に近い単一の仮想焦点に収束する、ディスプレイの後方で放射されるように見える仮想ビームにも適用される。マルチビューディスプレイの場合、発散がアイボックスのサイズを拡大するので、この発散は有用であり得る。2つの眼の間の距離を超えないビームサイズを提供することは、立体視効果を破壊するために利用され得る。ディスプレイ表面の外側のどこかで2つ以上の交差するビームを有する仮想焦点面にボクセルを作成する場合、ビームを用いて達成可能な空間解像度は、発散が増大するにつれて減少する。視距離にあるビームサイズが眼瞳孔のサイズよりも大きい場合、瞳孔は、光学システムの制限開口となる。
【0075】
ボクセル解像度に対する最適解を達成するために、幾何学的効果と回折効果の両方がLFディスプレイの設計で利用される。非常に小さな光源では、光学システム測定値が光の波長に近づくことになり、回折効果がより大きくなる。
図6Aから
図6Dは、1つの拡張された光源および2つの拡張された光源が固定された距離に固定された拡大率で結像される状況において、幾何学的効果および回折効果がどのように協働するかの例を示す。
図6Aは、レンズ開口サイズが比較的小さい5μmであり、幾何学的画像(GI)604が回折から生じるぼやけに囲まれているレンズ602を示し、回折画像(DI)606をかなり大きくする。
図6Bは、2つの拡張された光源404が並んで配置され、同じ小開口5μmレンズにより結像される。両方の光源404のGI608、610が明確に分離されていても、回折画像612、614が重なるため、2つの光源像が分解され得ない。実際に、光源サイズを小さくすることが、達成可能なボクセル解像度を改善することにならず、なぜならば、2つの別個の光源が使用されるか、それとも両方の別個のエミッタの領域をカバーする1つのより大きな光源が使用されるかにかかわらず、結果の光源像サイズは同じになるからである。別個のピクセル/ボクセルとして2つの光源像を分解するために、結像レンズの開口サイズの増大が有利であり得る。
図6Cは、同じ焦点距離のレンズ616であるが、拡張された光源404の結像に使用される10μmのより大きな開口を有するレンズを示す。この状況では、回折が低減され、DI620はGI618よりわずかに大きいだけであり、GI618は拡大率が固定されているために変更されていない。
図6Dでは、2つのDI626、628はもはや重なり合わないので、ここでは、2つのGI622、624は分解されることができる。この構成では、2つの異なる光源の使用が、ボクセルグリッドの空間解像度を改善する。
【0076】
交差するビームに基づくLFディスプレイの光学設計フィーチャ
いくつかの実施形態は、ディスプレイを作成する能力を提供する。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、輻輳調節矛盾(VAC)問題に対処しながら3D画像の複数の焦点面を提示することができるライトフィールドディスプレイ200として使用され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、LFディスプレイ200は、3Dディスプレイと視聴者との間の光散乱媒体なしに、エミッタ画像を視聴者の両方の眼に向けて投影する。ディスプレイ表面の外側に配置されたボクセルを作成することによって立体画像を作成するために、LFディスプレイ200は、そのボクセルに関連付けられたディスプレイ内側のエミッタが両方の眼にとって同時に可視でないように構成されてよい。したがって、放射ビーム束の視野(FOV)が両眼をカバーすることができる。単一のビームは、視距離で2つの眼瞳孔間の距離(例えば、平均約64mm)よりも狭いFOVを有することができる。1つのディスプレイセクションのFOV、および単一エミッタのFOVは、エミッタ行/エミッタの幅、および結像光学系の倍率によって影響され得る。集束ビームを用いて作成されたボクセルは、ビームが焦点の後にその伝播を継続し眼瞳孔に入った場合にのみ、眼に可視であり得る。ボクセルのFOVは、有利には、両方の眼を同時にカバーすることができる。ボクセルが単一の眼のみに可視である場合、立体効果が形成されることがなく、3D画像が見られることがない。単一のディスプレイエミッタは、一度に1つの眼のみに可視であるため、複数の交差するビームを複数のディスプレイエミッタからヒト残像(persistence-of-vision:POV)時間フレーム内の同じボクセルに方向付けることによって、ボクセルFOVを増大させることが有利であり得る。いくつかの実施形態では、総ボクセルFOVは、個々のエミッタビームFOVの合計である。
【0078】
ローカルビーム束FOVが、それらの関連付けられた指定された視距離で重なり合うために、いくつかの実施形態は、固定された半径を有する湾曲されたディスプレイ702を含むことができる。いくつかの実施形態では、投影されたビーム方向が、例えば、フラットフレネルレンズシートを使用して特定の点に向けられてよい。FOVが重なり合うように構成されていない場合、3D画像のいくつかの部分が形成されないことがある。ディスプレイの実用的なサイズ制限および可能な焦点距離の実用的な制限のために、画像ゾーンは、3D画像が可視である領域に対応するディスプレイの前方および/または後方に形成され得る。
図7は、交差するビームを使用して3D LFディスプレイ702によって達成され得る例示的視野幾何学の表現である。湾曲されたディスプレイ702の前方において、3D画像ゾーン704のエッジは、妥当な空間解像度でディスプレイから最も遠い焦点距離であり得る。画像ゾーン704はまた、ディスプレイ702全体のFOV708によって制限され得る。最小画像距離714で最大解像度を得るために、ディスプレイ702の光学フィーチャは、光源像をこの画像ゾーン704の最も遠いエッジに集束させるように設計され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイの後方にある別の画像ゾーン706が、放射されたビームの仮想延長によって形成され得る。いくつかの実施形態では、視聴者がより遠くに配置されるため、および眼解像度がより遠い距離でより低くなり得るため、ディスプレイ702の後方にあるボクセルは、より大きな許容サイズを有し得る。いくつかの実施形態では、最大画像距離718は、ビーム仮想拡張で達成可能な最小許容解像度に基づいて選択され得る。
【0079】
図7は、いくつかの実施形態による、3Dライトフィールドディスプレイの例示的視野幾何学を示す。
図7に示されるディスプレイ702の表面は、指定された視距離716と同じ半径で湾曲されている。この例では、重なり合うビーム束FOVは、観察者712の顔面領域の周囲に視野ゾーン710を形成する。この視野ゾーン710のサイズは、視聴者の頭部に許容される動きの量に影響を及ぼし得る。ゾーン内に配置された両方の眼瞳孔が同時に立体画像を可能にする。視野ゾーンのサイズは、ビーム束FOVを変更することによって選択されることができる。
図8Aおよび
図8Bは、2つの異なる例示的視野幾何学事例の表現を示す。
図8Aに示されるように、単一の視聴者802が、対応する視野幾何学を有するディスプレイ702の前方に示され、小さな視野ゾーン804が、狭ビーム束FOV806を使用して達成され得る両眼の瞳孔をカバーする。視野ゾーン804の最小機能幅は、眼瞳孔距離によって影響され得る。例えば、平均瞳孔距離720は、
図7に示されるように約64mmであり得る。また、狭いFOVは、最適な視野位置の前と後の両方の距離を増大する際に互いに迅速に分離する傾向があるので、小さな幅は、視距離変化に対する小さな許容範囲を意味し得る。より広いビーム束FOV808を有する視野幾何学が
図8Bに示されている。この視野幾何学は、より大きな視野ゾーン810内および/または異なる視距離における複数の視聴者802を容易にすることができる。この例では、位置公差が大きくてよい。
【0080】
各表示ビーム束のFOVを増大させることによって、視野ゾーンが増大され得る。例えば、光エミッタ行の幅を増大させ、またはビームコリメートもしくは集束光学系の焦点距離を変更することによって、FOVを増大させることができる。焦点距離がより短いと、より大きいボクセルをもたらす可能性があり、したがって、焦点距離を長くすると、より高い解像度を達成し得る。光学設計パラメータと設計ニーズとの間にトレードオフが見出され得る。したがって、異なる使用事例では、これらのファクタ間のバランスが異なる可能性がある。
【0081】
ディスプレイ適用におけるμLED光源の技術的状況
いくつかの実施形態ではμLEDを利用する。μLEDは、標準的なLEDと同じ基本技術を用いて同じ材料から製造されるLEDであるが、μLEDは、一般的に入手可能なコンポーネントの小型化されたバージョンであり、1μmから10μmのサイズにされ得る。密なマトリックスの一例は、3μmピッチで組み立てられた2μm×2μmのチップを有する。μLEDは、テレビのバックライトコンポーネントとして使用されている。OLEDと比較すると、μLEDははるかに安定したコンポーネントであり、非常に高い光強度に到達することができる。
【0082】
ベアμLEDチップは、約20~30nmのスペクトル幅を有する特定の色を発することができる。白色光源は、青色LEDまたはUV μLEDによって放射された光をより広い白色発光スペクトルに変換する蛍光体の層でチップをコーティングすることによって作成され得る。また、フルカラー光源は、別個の赤、緑、および青のμLEDチップを並べて配置することによっても作成されることができ、なぜならば、これらの3つの原色の組み合わせは、個々の発色が人間視覚システムによって組み合わされたときにフルカラーピクセルの感覚を作るからである。前述の密なマトリックスは、10μm(3×3μmピッチ)未満の全幅を有する自己発光フルカラーピクセルの製造を容易にする。
【0083】
半導体チップにおける光抽出効率は、LED構造の電気-光効率を決定するパラメータの1つである。いくつかの方法は、抽出効率を向上させ、したがって、LEDベースの光源が、利用可能な電気エネルギーを可能な限り効率的に使用するのを容易にすることを目的とし、これは、例えば、限られた電力供給を有するモバイルデバイスで有用である。いくつかの方法は、LEDチップの上に直接集積された成形プラスチック光学素子を利用する。より低い屈折率差により、プラスチック素子の集積は、空気に囲まれたチップと比較して、チップ材料からより多くの光を抽出する。プラスチック素子はまた、プラスチック素子からの光抽出を強化し、放射パターンをより方向性のあるものにするやり方で光を方向付ける。他の方法、例えば、特許文献1に見られる方法は、半導体チップの前面に対してより垂直であり、光が高屈折率材料からより容易に逃げる発光角度に好適である形態に、チップ自体を成形する。これらの構造はまた、チップから放射される光を方向付ける。後者の状況では、通常のμLEDと比較して抽出効率が2倍高いと推定される。光が周囲の半球に均一に分散される、標準的なチップランバート分布と比較して、かなり多くの光が30°の放射コーンで放射された。
【0084】
3Dディスプレイ適用における非機械的ビームステアリングコンポーネント
いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティングセルが非機械的ビームステアリングのために実装され得る。エレクトロウェッティングセルは、例えば、非特許文献1に記載された技法を使用することによって、高いスイッチング速度(~ms)で相対的に大きな角度範囲(例えば、±7°)にわたってビームの連続走査を提供するために使用され得る調整可能なマイクロプリズムを形成するように構成され得る。エレクトロウェッティングセル手法によって提供される偏光非依存性は、コンポーネントのより高い光学効率を達成するために有用であり得る。いくつかの実施形態ではエレクトロウェッティングセルは、例えば、2Dディスプレイモードと3Dディスプレイモードとの間で切り替えるための非特許文献2に見られる技法、および方向性バックライトシステムにおけるビームステアリングのための非特許文献3に見られる技法を含む技法を使用して実装され得る。いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティングは、例えば、非特許文献2に記載された技法を使用することによって、マルチビューディスプレイシステムのレンチキュラ構造を形成するために実装され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、液晶(LC)材料の利用に基づくコンポーネントおよびシステムが、非機械的ビームステアリングのために実装される。高複屈折材料として、LC層は2つの直交方向で異なる屈折率を有する。この特性は、例えば、非特許文献3に記載された技法を使用することによって、ポリマーマイクロプリズムを用いて実装されるときに有用であり得る。非特許文献3に説明されているように、ポリマーマイクロプリズムは、2つのLC層を含む構造を有する2つのビームステアリング状態の間の切り替えに使用される。第1の活性LC層は、例えば、電極を含む2枚のガラスシートの間に挟まれる。第2の受動層は、ガラスまたはポリマー基板とポリマーマイクロプリズムシートとの間に形成される。切り替えは、電圧が印加されたとき、入射ビーム直線偏光を光伝播に対して垂直方向に90°ねじる活性LC層で開始される。このねじれは、システムの第2の部分で複屈折受動LC層の屈折率のうちのどれが使用されるかを選択する。ステアリングシステムの第1の状態では、受動LC層とマイクロプリズムポリマー材料との間の屈折率差は非常に小さいので、光の曲がりが生じないが、第2の状態では、屈折率差は、光線を界面で予め決定された角度に曲げる。この角度は、通常は小さい(約1°)が、いくつかの実施形態では、種々の技術を利用することによって増大され得る。例えば、非特許文献4に記載された技術を使用することによって、LC層の後にホログラフィック格子を追加することによって、光の線はより大きな角度に曲げられ得る。いくつかの実施形態では、角度が増大され得る別の方法は、いくつかの偏光ベースのビームステアリングコンポーネントを積み重ねることにより、例えば非特許文献4に説明されているように、例えば±15°の大きさの角度に到達する。
【0086】
液晶ディスプレイ(LCD)は、ディスプレイ業界で数十年間使用されてきた。そのような長い研究の過程を経てLCD材料特性および処理方法は非常によく知られている。LCベースのビームステアリング方法の1つの利点は、コンポーネントが現在利用可能な製造技術および機器を用いてかなり容易に製造されることができ、大量の低コスト製造を可能にすることである。ビームステアリングを開始するための機械的な動きを必要としないことも、3Dディスプレイにおいてそのような技術を使用することを支持する要因である。直線偏光の使用の欠点は、システムの光学効率の低下、および増大された電力消費である。現在のLCDディスプレイは既に偏光依存システムであるため、新しいステアリングコンポーネントは、高いコスト無しに効率的に、より容易に統合され得る。さらに、いくつかの実施形態は、より一般的なネマチック相結晶の代わりに、偏光依存性なしにビームステアリングに使用され得るコレステリックLCを利用することができる。コレステリックLCの使用は、例えば、非特許文献5に記載された技法などを使用することによって実装され得る。そのような実施形態は、例えば、OLEDまたはμLEDを含むディスプレイパネルのコンポーネント透過率を増大することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、LCコンポーネントは、例えば、LC層が活性化されたときにいくつかのディスプレイピクセルビュー方向をブロックするように黒格子構造が実装される、特許文献5に記載された技法を使用することによって、電気的に切り替え可能な視差バリアとして実装され得る。この構成は、視聴者の両眼に示されることが可能な異なる画像を生成することができる。活性化された格子がない場合、ディスプレイは通常の2Dディスプレイとして機能することができる。LC層はまた、例えば、特許文献6に記載された技法を使用することによって、電流でLC材料分子のいくつかを再配向することにより、密なピクセルマトリックスの上にレンチキュラレンズ構造を形成するのに使用され得る。そのような構成は、特別な電極設計を利用することができるが、LCレンズがピクセル画像を異なるビュー方向に投影するので、2Dモードと3Dモードの間の切り替えのために使用されてもよい。3Dモードでは、空間多重化のみがマルチビュー画像の作成に使用されるので、より低い空間解像度のコストで複数のビューが取得され得る。いくつかの実施形態は、非特許文献6に記載されているような技法を使用して、ディスプレイ表面を通して電気的に形成されたレンチキュラLCレンズを走査することを利用することができる。そのような実施形態は、時間多重化を容易にすることができる。例えば、走査動作に同期したピクセルは、単一走査タイムフレーム内で数回活性化され、いくつかの追加ビューを生成することができる。いくつかの実施形態は、ハイブリッドシステムを利用することができ、ここで、ビームステアリングLC要素は、硬質ポリマーレンチキュラシート構造の前または後に使用される。そのようなハイブリッドシステムの例は、特許文献7および非特許文献7に記載されている。そのようなハイブリッドシステムは、ピクセル位置およびレンチキュラ光学系によって決定される方向の間の追加の角度視野方向の作成を容易にすることができる。いくつかのそのような実施形態では、時間多重化は、3Dマルチビューディスプレイにおける空間多重化と共に使用されてよい。いくつかの実施形態では、LCベースのビームステアリングスクリーンコンポーネントは、例えば、非特許文献8に記載された技法を使用することによって、複数のプロジェクタと同様に使用され得る。
【0088】
ビーム角度ステアリングに加えて、エレクトロウェッティングセルとハイブリッド構造を有するLCベースのコンポーネントの両方が、機械的動きなしにビーム焦点を調整するために使用され得る。いくつかの実施態様で実装され得るエレクトロウェッティングセルの例は、特許文献8および非特許文献8に記載されているものを含む。いくつかの実施態様で実装され得るハイブリッド構造の例は、特許文献9、特許文献10、および特許文献11に記載されている。
【0089】
いくつかの実施形態では、ヘッドマウントデバイスにおいて電子焦点調整が利用されてよく、例えば非特許文献9に記載された技法を使用することによって、例えば、立体視3Dディスプレイ仮想画像が、眼からの様々な焦点距離に移動されることが可能である。このようにして、画像がより自然に見えるようにされ得る。いくつかの実施形態では、ビーム焦点調整は、例えば、非特許文献10に記載されているような投影された画像焦点面の位置または形状を調整することによって、ゴーグルレス3Dディスプレイで利用され得る。本明細書に記載されている実施形態では、焦点調整は、投影された画像全体を変更する能力、または複数のビームの焦点を個別に調整する能力を提供することができる。
【0090】
例示的な光学的構造および機能
いくつかの実施形態は、交差するビームを有する高解像度3D LF画像を作成するために使用され得る光学システムの光学的方法および装置を提供する。
図9は、いくつかの実施形態による、3D LFディスプレイ200の光生成モジュール900を示す。
図9の例に示されるように、別個に制御可能な光エミッタ904、906、908、910、912、914、916、例えば、μLEDを有する、発光層902から、光が放射される。収束レンズ構造または層920、例えば、ポリカーボネートマイクロレンズシートは、発光層902のエミッタをオーバーレイし、異なる視線方向で画像を形成するために使用されるビームのセットに光を収集し集束させる。収束レンズ層920は、収束レンズ923のアレイを含むことができる。アレイは、レンズ944の二次元アレイであってよく、各収束レンズ944は、プロジェクタセル946における発光素子908のうちの少なくとも1つと関連付けられてよい。各エミッタおよびその対応する収束レンズは、プロジェクタセル946におけるコンポーネントである。隣接するプロジェクタセルは、クロストークを抑制する不透明バッフル構造(図示せず)を用いて互いに分離され得る。μLEDまたはOLEDなどの非偏光光源を使用する場合、直線偏光ビームを得るために偏光子918が追加され得る。LCDパネル光源が利用される場合、追加の偏光子918が必要とされないように、偏光子は光源コンポーネントに統合されてよい。
【0091】
図9は、光ステアリング層922、924、および周期層926とも呼ばれる周期的光学層926を示す。いくつかの実施形態では、周期層926は連続している。周期層926は、光ステアリング層922、924および発光層902をオーバーレイすることができる。光またはビームステアリング層922、924は、光生成モジュール900から来る光またはビームの方向を傾けまたは変更することができる。1つまたは複数の光ステアリング層922、924は、以下に説明されるように制御可能であり得る。これらのビームは、周期層926上の特定のロケーションまたは位置に向けられ得る。周期層926の1つの表面上の周期的フィーチャ928、930、932は、異なる方法で各ビームの焦点距離を変更し、それにより、一連の固定された焦点面を生成することができ、焦点面において、交差するビームによって3D画像の層が形成される。周期的フィーチャ928、930、932は、互いに少なくとも1つの異なる光学特性、例えば、屈折率、光散乱、および形状または曲率半径などの表面特性を有する。
図9の例では、構造の中央に配置された第1の光源910が、周期層上の平坦なフィーチャ928を介して、および活性化されていないステアリング層922、924を介して、ディスプレイ構造全体の前部に集束される。第1の光源910は、直接的にディスプレイ表面上の焦点934に結像される。第1の光源910の上方の別の光源906は、周期層926の別のフィーチャ930に向かって光ステアリング層922、924によって角度936で傾けられる別の集束ビームを生成する。このフィーチャ930は、ディスプレイ200の後方の焦点938からビームが放射されて見えるようにビーム焦点距離を延長する負の屈折力を有する。第1の光源910の下方の第3のエミッタ914は、別の角度940で傾けられたビームを生成する。このビームは周期層926上の第2のタイプの負の屈折力フィーチャ932に集束され、それにより、ビームはディスプレイ200の前方の焦点942に集束される。周期層926上の1つまたは複数の焦点変更光学フィーチャ930、932は、光ステアリング層922、924におけるビーム方向変化を補償するために、ビーム光軸に対して追加の傾きを有するように構成され得る。このようにして、異なる焦点距離ビームが単一の光源から視聴者に向けて投影され得る。したがって、光ステアリング層922、924は、異なる投影焦点距離の間の切り替えをするために使用され、それにより、LF表示システムに時間多重化を追加することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、発光層における光源コンポーネントは、本明細書に記載されているように、ポリマー光集光器構造などの成形された光集光器構造を備えたμLEDを含むことができる。いくつかの実施形態では、集光器1002は、光源1004から放射された光を大きな開口数(NA)1006に収集し、光をより小さなNA1008に集光する。
図10Aは、いくつかの実施形態による、光源NAを変化させる光集光器1002を示す。
図10Aの例では、NA1008はNA1006よりも小さい。いくつかの実施形態では、光集光器は、例えば、別個の赤色1014、緑色1016、および青色1018成分が利用されるときに色を混合する。
図10Bは、いくつかの実施形態による、3つのLED1014、1016、1018の色を混合するミキサ1012を有する光集光器1010を示す。これらのタイプの集光器では、構造の1つの部分1010が集光を提供し、別の部分1012が異なる色の光の空間的混合を提供し、結果として、混合されたRGB出力1020をもたらす。空間混合は、光源の空間位置が角度方向をもたらすLFシステムにおいて有用であり得る。混合しない場合、ボクセル内の色分解が生じ得る。集光器の角度広がりが小さくなると、光学的開口のサイズが増大する。増大された光学的開口は、より小さなピクセルサイズが望まれる空間多重化を使用するLFシステムに対して負の効果をもたらす可能性がある。
図10Cは、いくつかの実施形態による、LEDクラスタなどの4つのLED1022の色をより小さな開口構造1024で混合するために使用される光集光器を示す。
図10Cの例では、光源1022は、側面
図1026に示されるように正方形パターンにグループ分けされ、ジョイント集光器1028と混合されたRGB光1032を出力するミキサ1030とにオーバーモールドされる。この例では、NA集光を改善するために、光集光器の前面または入力面が湾曲されている。光出力を軸外角度に傾けるために、この表面が傾けられることも可能である。
【0093】
図11は、いくつかの実施形態による、LFディスプレイ200の光生成モジュール900の例示的光ステアリング層構造922、924の表現である。この例では、2つの光ステアリング層922、924は、ビーム経路を2つの異なる角度936、938で2つの異なる方向に曲げる。1つのビームステアリング層が、例えば、2つの角度間の切り替えのために使用され得るが、2つのカスケード層が、少なくとも3つの異なるステアリング状態を生成してもよい。例として、
図11は、3つの異なる光線経路1102、1104、および1106を示す。第1の経路1102に関して、第1のビームステアリング層922は光線に対して透明にされ、第2の層924は角度936によって伝播方向を傾ける。第2の経路1106に関して、第1の素子は角度940によって伝播方向を傾ける。両方のステアリング層が、例えば、両方の活性LC層において直線偏光方向の適切なねじれによって透明にされるので、中間光線経路1104は方向変化を受けない。傾き方向の組み合わせも、適切なLC層配置によって可能である。いくつかの実施形態では、より多数の個別のステアリング角度を生成するために、3つ以上の要素が積み重ねられる。
【0094】
図11に示される各光ステアリング層922、924は、第1のLC層1112、1122の支持材料として機能する2つの薄いガラス基板層1108、1118、1110、1120を有する。この活性LC層1112、1122は、偏光変調器として機能することができる。光ステアリング層922、924は、例えば、1つまたは複数の光ステアリング層922、924の電極に電圧を印加することによって制御可能であり得る。電極は、有利には透明であり、例えばインジウムスズ酸化物を含んでよい。各プロジェクタセル946は、1つまたは複数の光ステアリング層922、924の異なるセクションに関連付けられ得る。1つまたは複数の光ステアリング層922、924の各セクションは、別個に制御され、または別個に制御可能であり得る。ガラス基板1108、1118、1110、1120上にパターン化された透明電極に電圧が印加されると、LC層は、透過ビームが変化しないままであるように、直線偏光に対して透明になることができる。第1のLC層1112、1122に電圧が印加されていないとき、それは、伝播方向に垂直に偏光方向を90°回転させることによって偏光回転子として機能する。
図11に示されるように、第2の受動LC層1114、1124はそれぞれ、第2のガラス基板1110、1120とポリマーマイクロプリズム層1116、1126のようなマイクロプリズムとの間に挟まれている。高複屈折性材料として、活性LC層1112、1122は、2つの異なる屈折率を、2つの直線偏光回転状態のそれぞれに1つずつ有する一方、マイクロプリズム1116、1126は、両方の直線偏光回転状態において1つの屈折率のみを有する。受動LC層1114、1124は、一方向でマイクロプリズム1116、1126と同じ屈折率に調整されてよく、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ポリマー層の場合に波長550nmで1.49である。電圧が透明電極に印加されると、第2のLC層1114、1124とマイクロプリズム1116、1126との間の界面は屈折率差を有さず、適切な偏光方向を有する入射ビームに対して光学的に透明である。電圧が印加されていないとき、偏光方向は、第1のLC層1112、1122において90°回転され、LC層1112、1122とマイクロプリズム1116、1126との間の屈折率の差は、屈折率差の量とプリズム角度とによって決定される固定されたステアリング角度にビームを屈折させる。示されている例では、2つの光ステアリング層922および924における第2のLC層1114、1124とマイクロプリズム1116、1126との間の境界の形状は、異なるように見えるが、光ステアリング層922、924は、実質的に同一であってもよく、例えば、製造ばらつきのように差異がわずかであり得る。第1の光ステアリング層は、第1の平面において光を偏向させるように構成されてよく、第2の光ステアリング層は、第1の平面に実質的に垂直な第2の平面において光を偏向させるように構成されてよい。実質的に垂直とは、例えば、90±0.01度、90±0.1度、90±0.5度、90±1度、90±2度、90±5度などを含む。あるいは、第1の光ステアリング層および第2の光ステアリング層はそれぞれ、1つの平面において光を偏向させるように構成されてもよい。2つの光ステアリング層922、924は、各層について同じ形状、サイズ、および材料を用いて同じ方法で構築されてよいが、一方の層924は、他方の層924に対して、例えば90度、180度、またはある他の角度で回転され、所望の光学的効果のために位置合わせされる。いくつかの実施形態では、一方のステアリング層922、924は水平に配置され、他方のステアリング層924、922は垂直に配置され、例えば、2つの実質的に同一の層922、924が互いに対して90度回転されて、発光層902から周期的光学層926の任意の部分に向かう光の方向の制御が容易にされる。1つまたは複数の光ステアリング層922、924は、発光層902の1つまたは複数の発光素子からの光を周期層926の1つの周期的光学フィーチャを介して方向付けることと、1つまたは複数の発光素子からの光を周期層926の別の周期的光学フィーチャを介して方向付けることとの間で切り替えをする。1つまたは複数のステアリング層922、924は、周期層926の3つ以上の異なる周期的光学フィーチャを介して発光層902の1つまたは複数の発光素子からの光を方向付ける間で切り替えられてもよい。したがって、光ステアリング層922、924のいずれかまたは両方は、発光層902からの光を、1つの周期的フィーチャを介して方向付けることと、周期層926の任意の他の周期的光学フィーチャを介して方向付けることとの間で切り替えをすることができる。
【0095】
図12Aおよび
図12Bは、いくつかの実施形態による、周期的光学層926の周期的光学フィーチャの繰り返し光学領域の例を示す。周期層926の1つの表面は、2つ以上の繰り返しまたは周期的フィーチャ1202、1204、1206を含み、それらの各々は、屈折率、表面形状、屈折力、および/または表面特性に応じて、異なる光学特徴または特性を有するように構成され得る。いくつかの実施態様で使用される表面形状は、例えば、他の可能な表面形状の中でも特に、平坦面、2つの方向に異なる曲率を有する連続曲面、および/または光学的に粗い表面を有する拡散長方形を含む。
図12Aの例では、周期層926は、複数の光学領域1208、1210、1212に分割され、各光学領域は、同一セットの周期的フィーチャ1202、1204、1206を含む。あるいは、光学領域は、周期的フィーチャ1202、1204、1206の異なるセット、異なるパターン、および/または異なる配置を含んでもよい。周期層926は、周期的フィーチャ1202、1204、1206のそれぞれが互いに対して同じ配向で配置され得る、光学領域1208、1210、1212の繰り返しパターンを含むことができる。光学領域1208、1210、1212は、周期的フィーチャ1202、1204、1206の異なるパターンを有する異なる表面積を含むことができる。あるいは、より少ないまたは追加の周期的フィーチャが、周期層926の1つまたは複数の繰り返し光学領域に含まれてもよい。周期的フィーチャ1202、1204、1206および領域1208、1210、1212のスケールまたはサイズは、全体的光学構造に従って選択され得る。例えば、光学領域は、光収束レンズよりも小さくてよい。光学領域内の各周期的フィーチャについての有効焦点距離は個別に選択され得るので、より小さな光源画像スポットおよびより良い解像度を達成するために、幾何学的拡大率も選択され得る。1つの光源アレイまたはマトリックス内の隣接する光エミッタが、スポットのアレイまたはマトリックス内に結像され得る。より大きなディスプレイ表面積にわたって周期的フィーチャの繰り返しパターンを使用することにより、コンポーネントを製造するためのコストを低下させることができる。例えば、精密な光学フィーチャを有する単一のマスターツールが製造され、大量生産のために、より大きなスタンピングまたは成形ツールにコピーされてよい。
【0096】
図12Aは、
図9に示されるような例示的周期層926の第1の側面図を示す。いくつかの実施形態によれば、それぞれ異なる光学特性を有する3つの繰り返す周期的フィーチャ1202、1204、1206は、それぞれが3つの異なる光学領域1208、1210、1212に配設される。周期的フィーチャの光学特性は、それらの材料の屈折率、周期的フィーチャの表面形状、屈折力、および/または表面特性に基づいて異なり得る。光ステアリング層922、924の1つまたは複数で適切に集束ビームを傾けることによって、1つの光学領域1208内の特定の周期的フィーチャ1202が選択され得る。この非機械的切り替え技術を使用して、光学領域内の周期的フィーチャの光学特性により決定されるオプションの有限セットから、ディスプレイビームの特性を選択することができる。
図12Aの例では、第1の周期的フィーチャ1202は、第1の曲率半径1214を有する光学表面を有することができ、フィーチャ1202の表面は、光軸に対して第1の傾斜角度1216で傾けられることができる。この表面曲率1214は、入射ビームの焦点距離を修正することができる。異なる曲率を有するフィーチャは、ボクセル形成ビームをディスプレイ200表面から異なる距離に集束させるために使用され得る。例えば、第1の周期的フィーチャは、周期的光学層926から第1の距離で第1の発光素子からの光を集束させるように作用することができ、第2の周期的フィーチャは、周期的光学層からの第2の距離で第1の発光素子からの光を集束させるように作用することができる。第2の距離は、有利には第1の距離とは異なる。異なる周期的光学フィーチャは、異なる焦点特徴を容易にする、異なる傾斜角度または異なる傾き方向を有することができる。異なる光学領域1208、1210、1212における同じ周期的フィーチャ1202に向けられたビームは、光の傾きの選択的使用によって周期層926の後または周期層926を越えて効果的に同軸状であり得る。同様に、第2の周期的フィーチャ1206は、第2の曲率半径1218および第2の傾斜角度1220を有するように構成され得る。第1の曲率半径1214と第2の曲率半径1218とが異なる場合、LFディスプレイ200の光学特性は異なる。同様に、傾斜角度1216、1220が異なる場合、LFディスプレイ200の光学特性は異なる。周期的フィーチャ1204のいくつかは、光学的に平坦であり透過ビームまたは光の焦点に影響しない、非常に大きな(または無限の)曲率半径1224 R3を有するように構成され得る。
【0097】
図12Bは、周期的光学層の別の例を示し、ここでは、単一のゾーン1200が、9つの周期的フィーチャ1202、1204、1206、1226、1228、1230、1232のパターンを有する。この例では、周期的フィーチャ1202、1206、1226、1228、1230、1232のうちの6つが、x方向およびy方向に並びに異なる焦点深度に、ビームを集束および傾斜させるために使用される。これらの周期的フィーチャ1202、1206、1226、1228、1230、1232は、光を散乱させない滑らかで湾曲された表面を有する。周期的フィーチャ1202、1206、1226、1228、1230、1232のそれぞれは、同じ光学特性を有してもよく、それぞれが異なる光学特性を有してもよく、または2つ以上の光学特性の任意の組み合わせを有してもよい。他の3つの周期的フィーチャ1204は、この例では同一であり、ディスプレイ表面の上に直接ボクセルを形成するために、またはより高いピクセル解像度を有する2Dディスプレイ画像を生成するために使用され得る。これらの周期的フィーチャ1204は、ピクセルを全ての視線方向から可視にするために、入射光を散乱させることができる。例えば、これらの周期的フィーチャ1204は、光を散乱させる粗い表面を有することができる。
【0098】
周期的フィーチャは、周期層926上に異なるアレイまたはパターンで配置され得る。例えば、いくつかの実施形態では、周期的フィーチャは、矩形マトリックスを形成し、ここで、行および列は、隣接する行または列の間のオフセットなしに、矩形グリッド内で水平および垂直に位置合わせされる。このパターンは、生成されたボクセルが矩形マトリックスまたはグリッドに配置されるときに、より容易なレンダリング計算を促進することができる。いくつかの実施形態で実装される別の例示的アレイパターンは、
図12Bに示されるパターンのような、近接または隣接する列の間の垂直オフセットを伴う配置を有することができる。このパターンは、例えば、水平交差ビームのみが生成される場合に、有効解像度を高めることができる。あるいは、いくつかの実施形態で実装される別の例示的アレイパターンは、近接または隣接する行(図示せず)の間の水平オフセットを伴う配置を有することができる。いくつかの実施形態では、周期的フィーチャ配置および/または周期的フィーチャ特性のパターンは、ディスプレイ領域全体にわたって異なり得る。重なり合うディスプレイピクセルFOVの問題は、例えば、ディスプレイ領域全体にわたる異なる光学領域における異なる周期的フィーチャを利用することによって、ディスプレイのエッジから中央視野に向かってビームを傾けることによって解決され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、周期的光学層926は、ロールツーロールプロセスでUV硬化性材料から作られた光学的形状を有するポリカーボネートシートであってよい。いくつかの実施形態では、周期層926は、エンボス加工された回折構造を有する箔または薄いシートのような層であってよい。いくつかの実施形態では、周期層926は、屈折率分布型レンズフィーチャを有するシート、またはフォトレジスト材料をレーザ生成干渉パターンに露出することによって製造されるホログラフィック格子であってよい。個々のサブフィーチャサイズおよびパターン充填ファクタは、例えば、システムに導入される迷光を減らすことによって、達成可能な解像度および/または画像コントラストの量に影響し得る。ビームが特定の周期的フィーチャに向けられるとき、水平方向および垂直方向に十分な精度で発光層902を周期的層926と位置合わせされることが有利である。光ステアリング層922、924は、正確な位置合わせをクリティカルにする特性を何ら持っていない。光ステアリング層922、924は、印加電圧で傾斜角度を微調整することによってディスプレイ較正のために使用され、それにより、あり得る位置合わせ公差問題の少なくとも一部を緩和することができる。
【0100】
3D LFディスプレイ特性
いくつかの実施形態では、LFディスプレイシステムは、空間多重化と時間多重化の組み合わせを使用する。光ステアリングコンポーネントが十分なリフレッシュレートに達するのに十分な速さがあるとき、ちらつきのない画像が得られる。発光層902と光ステアリング層922、924は、一緒に動作して画像を形成する。したがって、発光層902および光ステアリング層922、924を同期させることが有利であり得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ200は、発光層902の発光素子のアドレス可能アレイの照明を制御するため、および光ステアリング層922、924のうちの少なくとも1つのステアリング特性を時間同期された様式で制御するための信号を生成する。例えば、光ステアリング層は、投影されたビームが集束される焦点面を選択することができる。周期層926は固定された周期的光学フィーチャを有するので、いくつかの実施形態において、この同期は、光ステアリング層制御パラメータを周期的フィーチャの個々のビーム焦点深度および角度に接続するルックアップテーブルを利用することによって、実装され得る。パラメータは各ディスプレイに対して予め決定されているため、そのようなテーブルは画像レンダリングの制御を単純化することができる。いくつかの実施形態では、発光コンポーネントは、個別に活性化され、または、例えば空間内の特定の点でボクセルを形成するグループで活性化され得る。いくつかの実施形態では、グループのエミッタが、単一の視聴者の個別の眼について一連の隣接するボクセルの半分を形成することができ、異なるグループのエミッタが、他方の眼についてボクセルの他方の半分を形成することができる。制御パラメータは、例えば、単一のエミッタ活性化およびビームステアリング電圧を特定の測定されたビーム焦点深度および角度方向値に接続する測定を行うことによって、個々のディスプレイについて任意選択で較正され得る。有利には、μLEDなどの発光コンポーネントのより速いリフレッシュレートが使用され得る。例えば、光源は、ビームステアリングコンポーネントのリフレッシュレート内で数回活性化され得る。いくつかの実施形態では、リフレッシュレートまたは更新速度の要件を低くするためにアイトラッキングが使用され得る。例えば、画像は、ディスプレイFOV全体の代わりに、指定されたアイボックス領域のサブセットにレンダリングされ得る。
【0101】
図13は、いくつかの実施形態による、LFディスプレイ200の空間多重化機能を示す。この例では、各集束レンズ1304の後方の、発光素子のアドレス可能アレイとも呼ばれる光エミッタ1302のアレイまたはマトリックスが、周期層926の周期的フィーチャの近くに集束されるビームのグループを生成する。フィーチャは、各ビームの焦点距離および伝播角度を変化させ、個々の光源は、例えば、ディスプレイ200上の1つもしくは複数の焦点1306、ディスプレイ200の前方の1つもしくは複数の焦点1308、1310、および/またはディスプレイ200の後方の1つもしくは複数の焦点1312、1314において結像される。結果として得られる光源像は、光源よりも大きく、光学拡大率は、例えば、集束レンズ1304と周期的フィーチャ焦点距離との組み合わせによって決定される。集束素子のピッチまたは角度は、光ステアリング層を使用せずに周期層926の個々の周期的フィーチャをアドレスするために、周期的フィーチャのピッチまたは角度と同じとなるように構成され得る。光源または発光素子1302は、一度に1つの周期的フィーチャに結像されるコンポーネントのサブグループを有することができるクラスタまたはグループ内に配置され得る。適切な配置では、隣接する光源またはサブグループ1302は、構造926から同じ方向に出るが焦点距離が異なるビームを作る。
図13に、この機能の例が、異なる焦点1306、1308、1312を有するビームで示される。また、ディスプレイのエッジにおける光源1302または光源サブグループは、隣接する周期的層フィーチャに衝突するビームを作ることができ、その場合、ビームは、より急な角度でディスプレイ200から出て、それにより、投影された画像FOVを増大させる。この効果の例は、関連付けられた視野角1316、1318にそれぞれ投影された焦点1314、1310を有するビームによって示される。
【0102】
いくつかの実施形態では、ライトフィールドディスプレイ1300は、
図13に提示されるような光ステアリング層なしで動作することができる。そのような実施形態では、空間多重化のみが、3D画像に必要な複数の交差するビームおよび焦点層を生成するために使用される。したがって、各個別のエミッタは、単一の方向に伝播し単一の焦点を有する単一のビームのみを提供し得るので、各焦点層に使用されるピクセル数と各ビュー方向の間にトレードオフが見出され得る。例えば、光源マトリックスの中央に配置された光源の投影された画像は、1つの焦点1306を有し、中央の光源の隣の光源の投影された画像は、別の焦点1308を有することがある。光ステアリング層は、システムに時間多重化を加えることによって画質を向上させることができる。光ステアリング層は、空間解像度を犠牲にすることなく、画像層が投影される距離を変化させる能力を提供することができる。この効果は、より高い解像度の画像、またはより少ない発光コンポーネント1302を有するより低いコストの構造を提供するのに役立つことがある。
【0103】
いくつかの実施形態では、ディスプレイ1400の光学システムは、交差するビームを使用して、
図14に示されるようにボクセルを形成することができる。ボクセルは、ディスプレイの前方と後方の両方並びにディスプレイ表面上に、異なる距離で形成され得る。
図14の例では、例示的ボクセル1402が示されている。このボクセル1402は、3つの異なる光源1302から生じる3つのビームを使用して、特定の焦点距離でディスプレイ1400の前方に作成される。これらのビームのうちの2つ(下部および中央部)は、ビームステアリングなしで作られるが、第3のビーム(上部)は、光ステアリング層922、924および時間多重化によってボクセル位置に向けられて集束される。別のボクセル1404は、2つの異なる光源から放射される2つのビームセクションの仮想延長部を横切ることによって、ディスプレイ1400の後方に表示される。特定の焦点距離を有する単一のビームが、適正な網膜焦点キューを生成するために使用され、一方、ボクセル位置で交差する複数のビームは、視聴者の眼の対のより大きなFOVをカバーするために使用される。この構成は、適正な眼輻輳を視覚系に提供することができる。このようにして、単一の眼の網膜焦点キューのための小さな発光角度の生成と、例えば立体効果を作るための眼輻輳のより大きな発光角度の生成とは、光学構造において互いに分離される。この構成は、ディスプレイの光学特徴または特性を用いて2つの角度ドメインを別個に制御する能力を提供することができる。焦点面距離は、周期的フィーチャの屈折力として、符号化され光学ハードウェアに記憶されることができ、これにより、ボクセル深度座標を個別位置に固定することができる。レンダリングタスクは、単一のエミッタビームを用いて単眼網膜焦点キューが生成されるので、比較的単純化され得る。例えば、1つのボクセルは、2つのエミッタからの2つのビームのみを使用して形成され得る。いくつかの実施形態は、例えば、より広いアイボックスまたは視野ゾーンが望まれるとき、より多くのビームを使用して各ボクセルを作成することができる。
【0104】
3D LFディスプレイの設計において考慮され得る1つのファクタは、光学材料が異なる波長の光を異なる角度で屈折することである(色分散)。赤色、緑色、および青色サブピクセルのような3つの着色ピクセルが使用される場合、異なる着色ビームは、いくぶん異なる方向に、屈折フィーチャからいくぶん異なる距離で傾けられ集束される。いくつかの実施形態では、例えば回折フィーチャが色補正のために使用される、ハイブリッド層を使用することによって、色分散がディスプレイにおいて補償され得る。着色されたサブピクセルは、発光層上で空間的に分離され得るので、着色ビーム投影角度の間にいくらかの小さな角度差が生じる可能性がある。光源コンポーネントの投影された画像が焦点面層上に十分に小さく維持される場合、3つの着色ピクセルは、互いに隣り合って結像され、着色サブピクセルが空間的に分離される画像を2D画面でレンダリングする方法と類似する方法で、眼によってフルカラーボクセルに組み合わされる。3Dディスプレイの着色サブピクセル画像は方向性が高く、3つの異なる色のビーム全てが瞳孔を介して眼に入ることを確実にすることが有利である。例えば、本明細書に記載されている光集光器およびカラー混合構造を実装することが有利であり得る。
【0105】
回折は、例えば、光エミッタおよび集束レンズ開口サイズが非常に小さいとき、達成可能な解像度に影響する可能性もある。ライトフィールドディスプレイと実際のLFレンダリング方式で達成可能な深度範囲は、各サブピクセルからのビームコリメーションまたは収束の品質によって影響され得る。コリメーションまたは収束品質を決定することができるパラメータは、発光源のサイズ、周期層ゾーン開口のサイズ、および有効焦点距離を含む。発光層上の連続光エミッタマトリックスは、非常に広いFOVを容易にすることができる。しかしながら、ビームがより大きな角度に投影されるとき、全ての周期的層フィーチャを正確にアドレスすることの難しさが増すと、達成可能なFOVを制限する可能性がある。光ステアリング層でのビーム位置のより大きな角度への何らかの微調整は、減らされたFOVの問題を緩和することができる。いくつかの実施形態では、例えば、ビームステアリング角度をよりよく制御するために、エレクトロウェッティングマイクロプリズムのような他のビームステアリングコンポーネントが実装され得る。
【0106】
3D LFディスプレイレンダリング方式
本明細書に記載されているディスプレイ構造および光学的方法と一緒に、いくつかの異なる種類のレンダリング方式が使用されてよい。選択されたレンダリング方式に応じて、ディスプレイデバイスは、複数のビューおよび焦点面を有する3Dライトフィールドディスプレイ、または通常の2Dディスプレイとすることができる。2D機能性は、周期的フィーチャのいくつかを光学的に拡散させることによってサポートされることができ、それにより単一ビームが大きなFOV内で可視化される。
【0107】
いくつかの実施形態では、3D LFレンダリング方式は、複数の視野方向に加えて、物理的ディスプレイ表面の前方または後方に複数の焦点または焦点面を生成する。各3D物点またはボクセルについて少なくとも2つの投影ビームを生成することが有利である。少なくとも2つのビームを使用する理由は、(i)ディスプレイ内の単一のエミッタが、任意の時点で1つの眼のみに可視化されるFOVを有するべきであること、および(ii)作成されたボクセルが、立体視を作成するために、両方の眼を同時にカバーするFOVを有するべきであることを含み得る。ボクセルFOVは、複数のビームが同時に使用されるとき、個々のビームFOVの和として生成され得る。ディスプレイと観察者との間に表示される全てのボクセルに対して、適正なボクセル距離でディスプレイの前方で収束ビームを交差させることは有利であり得る。ディスプレイよりも観察者から遠い距離に配置されたボクセルについては、ディスプレイの仮想的に後方にあるビーム対を交差させることが有利であり得る。少なくとも2つのビームの交差は、ディスプレイ表面上だけではない焦点または表面を生成する。別々のビームをそれらが交差する同じ点に集束させることは、有利であり得る。周期層926における周期的フィーチャで集束された単一のビームを生成することによって、より自然な網膜焦点キューが作成され得る。
【0108】
真に連続した深度の範囲を3D LFディスプレイでレンダリングすることは、重い計算を必要とすることがある。いくつかの実施形態では、3Dデータは、計算要件を低くするために、固定された数の離散深度層に低減され得る。いくつかの実施形態では、離散深度層は、互いに十分に近接して配置されて、連続的な3D深度経験を観察者の視覚系に提供することができる。50cmから無限大までの視覚範囲をカバーするには、推定された人間視覚系平均深度解像度に基づいて、約27個の異なる深度層を必要とすることがある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている方法および光学ハードウェアは、深度層選択のために使用される空間的に分離されたフィーチャにより、同時に表示されまたは視覚系残像POV時間枠内に表示され得る複数の焦点面の作成を容易にする。いくつかの実施形態では、観察者位置は、LFディスプレイによって能動的に検出されてよく、ボクセルは、観察者が位置付けられたそれらの方向にのみレンダリングされてよい。いくつかの実施形態では、例えば、ディスプレイ構造の周囲または内部にカメラを有する近赤外(NIR)光を使用して、能動的観察者アイトラッキングが観察者位置を検出するために使用される。
【0109】
レンダリング方式に関連付けられた1つのトレードオフが、空間/角解像度と深度解像度との間に見出され得る。限られた数のピクセルおよびコンポーネントのスイッチング速度を所与とすると、高い空間的/角度解像度を強調することが、より少ない焦点面またはより低い深度解像度をもたらす可能性がある。逆に、より良い深度解像度のためにより多くの焦点面を有すると、よりピクセル化された画像または低い空間/角度解像度をもたらす可能性がある。同じトレードオフが、システムレベルでのデータ処理に当てはまることがあり、その理由は、より多くの焦点面は、より多くの計算およびより速いデータ転送速度を伴う可能性があるからである。人間視覚系では、深度解像度は距離と共に対数的に低下し、したがって、オブジェクトがより遠くにあるときに深度情報の削減を容易にすることができる。眼は、像平面が遠くなるにつれて、より大きな細部のみを解像することができ、したがって、遠距離での解像度の低下を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、レンダリング方式は、画像レンダリングのための処理要件を低くするために、視聴者から異なる距離で異なるボクセル解像度を生成することによって最適化される。また、レンダリング方式に関係付けられたトレードオフは、提示された画像コンテンツに基づいて対処され、例えば、より高い解像度または画像輝度を可能にすることがある。
【0110】
いくつかの実施形態では、フルカラー画像を作成するために、3つの異なる色の光エミッタが発光層902上に実装されることがある。色レンダリング方式は、周期層926においていくぶん異なる角度方向に屈折される異なる色に適応するためのシステムおよび/または方法を含むことができる。特別な色レンダリング方式に加えて、この分散の一部は、例えば、屈折性周期的フィーチャの異なる焦点距離を補償することができる色補正のための回折構造を統合することによって、ハードウェアによって除去され得る。いくつかの実施形態による例示的な色レンダリング方式は、本明細書に記載されているように、3つの異なる色の成分の出力を光学的光混合構造と組み合わせることによって白色照明を使用し、ビーム色は、発光層制御によって選択され得る。
【0111】
実装例
図15は、いくつかの実施形態による、視聴者1504によって特定の距離から見られた湾曲された3Dライトフィールドディスプレイ1502デバイスを示す。この例では、14インチ(35.56cm)デスクトップ3D LFディスプレイが500mmの距離1506から見られる。ディスプレイ画面は、単一ディスプレイLFピクセル発光パターンが視聴者1504位置で重なるように、500mm半径で湾曲されている。この例では、単一LFピクセルが約42°FOVに光を放射する。この例では、単一のユーザの適切な頭および眼の動きを可能にするために、約380mm幅表示ウィンドウが視聴者の眼の周りに形成される。
【0112】
図16Aは、いくつかの実施形態による、発光層902の2つの光集光器1602、1604の表示である。μLEDクラスタ1606は、(図の左側から集光器を見る)側面
図1608に示されるような矩形パターンに配置された4つの2μm×2μm μLEDとして実装され、ここで、μLEDの中心間のピッチは3μmである。各クラスタ1606は、側面
図1608に示されるように、1つの赤色RμLED、1つの青色BμLED、および2つの緑色GμLEDを有する。側面
図1608のクラスタ1606の右側のRμLEDおよびGμLEDのみの側面が、
図16の集光器1602、1604内に示される。μLEDクラスタ1606はそれぞれ、光集光器1602、1604およびカラーミキサ1610、1612を含む構造にオーバーモールドされることができ、この構造は、全発光パターンを30°円錐1614、1616にそれぞれ集中させる。集光器1602、1604の出口開口サイズは、この例では12μm×12μmである。集光器の前方面は、ディスプレイ全体の光路における高エネルギー効率を促進する開口数(NA)に到達するために湾曲されている。
【0113】
図16Bは、いくつかの実施形態による発光層902の光源マトリックス1600の表現である。この例では、集積集光器1620を有する光源クラスタの形態の発光素子が、21×21マトリックスに配置され、基板1622に結合され、それによりサブアセンブリを形成する。基板は、各μLED光源を個々に活性化することができる電気接点1624を有する。電気接点1624および光クラスタ1620は、発光素子のアドレス可能アレイを形成する。ディスプレイは、発光層902の発光素子のアドレス可能アレイの照明を制御するため、および光ステアリング層922、924のうちの少なくとも1つのステアリング特性を時間同期された様式で制御するための信号を生成する。隣接するフルカラー集積光源間のピッチは14μmであり、マトリックスの全幅292μmを構成する。マトリックスのエッジにある集光器は、
図16Aおよび
図16bに示されるように、発光パターンをアレイの光軸1604に向かって10°の傾斜角度1618で傾ける傾斜された前方面を有する。いくつかの実施形態では、前方面は、この例ではマトリックスの前方の800μmの距離で発光パターン中心線が交わるように、マトリックスを通して角度が変化する。この距離は、後続する集光レンズ開口の外側への浪費される光を低減することによって、非常に高い光学効率および低い迷光性能を提供することができる。16B図に示される例では、集積光源は、96μm幅の7×7光源クラスタ1622にグループ分けされる。
【0114】
図17は、いくつかの実施形態による、ディスプレイの光学設計の表現である。
図17は、約4mm厚のディスプレイの光学構造の測定値(μm)を有する例示的設計を示す。この例では、発光層902の光源マトリックス1600から放射された光は、収束レンズ層920の2つの平凸マイクロレンズアレイ1702、1704によって収集され集束され、アレイ1702、1704は、熱エンボス加工PMMA材料により製造され得る。この例では、レンズの開口サイズは600μm×600μmである。第1のレンズ1702は、800μmの焦点距離を有し、この例では、放射された光を収集する。第2のレンズ1704は、1670μmの焦点距離を有し、2つの光ステアリング層922、924を介して、この例における周期層926の周期的フィーチャ1706、1708、1710に光を集束させる。周期的フィーチャ928、930、932は、互いに少なくとも1つの異なる光学特性、例えば、屈折率、光散乱、および形状や曲率半径などの表面特性を有する。この例では、厚さ200μmの直線偏光子シートまたは箔918が集光マイクロレンズ1702に積層される。第2のレンズ1704は、本明細書に説明されているように、液晶材料とポリマーマイクロプリズムとの組み合わせと共に動作する、厚さ400μmの2つの光ステアリング層またはコンポーネント922、924を含むスタックに積層される。光ステアリング層922、924は、この例では、集束ビームを、光軸上方で反時計回り方向に8.7°および水平面内で時計回りに12.5°傾けることができる。これらの傾斜角度は、この例では、層積層体と周期層926との間に800μmの距離を与えられた周期層926の1つの光学領域1712から周期層926の次の光学領域1714へのエミッタクラスタ画像のステアリングを容易にすることができる。
【0115】
図17に示される例では、周期層926は、射出成形されたPMMA材料から作られる1.2mm厚のディスプレイ保護窓1718に統合される。保護窓1718の外表面1720は、LFディスプレイ1700の外表面であり得るので、視聴者によって触れられ得る。各繰り返し光学領域1712、1714、1716の幅は、600μmであり、各光学領域1712、1714、1716は、3つの200μm周期的フィーチャ1706、1708、1710を含み、この例において、それぞれが異なる光学特性を有する。この例に示される光学領域1712、1714、1716の各々は、負の屈折力を有し、したがって、入射する集束ビームは発散する。この例では、第1の周期的フィーチャ1706は約240μmの焦点距離を有し、ディスプレイ表面1720から視聴者に向かって約100mmの距離でビームを集束する。この例では、第2の周期的フィーチャ1708は約340μmの焦点距離を有し、保護窓1718の前表面1720上にビームを集束させる。この例では、第3の周期的フィーチャ1710は、約230μmの焦点距離を有し、ビームの仮想延長によって、約200mmの距離でディスプレイの後方にボクセルを形成する。第1の周期的フィーチャ1706および第3の周期的フィーチャ1710は、5.6°ビーム傾斜を容易にする光軸1722からオフセットされた光学的開口を有する。このビーム傾斜は、光軸1722から離れた異なる光源クラスタ位置から来る傾斜を補償するために使用され得る。この例では、3つの全ての光学領域が、
図18の例示的な光線追跡図に示されるように、ビーム傾斜要素が活性化されないときに、同じ中央方向にビームを投影することができる。ディスプレイ200は、発光素子のアドレス可能アレイの照明を制御する信号、および光ステアリング層922、924のステアリング特性を制御する信号を生成するように構成される。これらの信号は同期される。光ステアリング層922、924のステアリング特性を制御する信号は、例えば、光ステアリング層922、924に印加されるビームステアリング電圧であり得る。信号は、例えば、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサ118によって生成され得る。周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710は、ディスプレイ200上にレンダリングされた3次元画像の深度情報に基づいて選択される。発光素子によって放射される光は、表示される画像の深度情報に基づいて、周期的光学フィーチャのうちの1つに向けられる。光は、ステアリング層922、924を介して、選択された周期的フィーチャへ方向付けられ、ディスプレイ200の表面から様々な距離934、938、942で集束するボクセルを生成して3次元画像を生成する。具体的には3つの距離しか示されていないが、ディスプレイの前方および後方の距離の範囲内で任意の数の距離が表示されてよい。ディスプレイ1700における例示的プロジェクタセル1724は、対応するコンポーネントのセット、例えば、複数の発光素子1600、レンズアレイ1702、1704の集束レンズ、光ステアリング層922、924の一部、および周期層926の光学領域1716を含む。
【0116】
図18は、集束レンズ1702、1704と、光ステアリング層922、924と、保護窓1720を有する周期層926とを横断する3つの光源クラスタ1802からの光を示す、光線追跡図の例である。この例では、集光レンズ1702および集束レンズ1704の光学拡大率は約2.1であり、したがって、1つの7×7光源クラスタ1802の画像は幅が約200μmである。このサイズの画像は、周期的フィーチャ1804、1806、1808の領域内に適合し、したがって、全ての周期的フィーチャ1804、1806、1808から、周期的フィーチャ1804、1806、1808の屈折力によって決定される異なる焦点面への、そのようなマトリックス画像の投影が容易になる。中央の周期的フィーチャ1806は、このマトリックス画像を保護窓1718の前表面1720に集束させ、この表面1720は、ディスプレイ構造1800全体の出口表面である。この例では、この光学フィーチャ構造の総倍率は約6.25であり、したがって、この例では、単一のフルカラーエミッタが約85μmフルカラーピクセルに結像される。14インチ(35.56cm)ディスプレイは、典型的には、3840×2160ピクセルクラスタのアレイを有し、4Kディスプレイとなる。
【0117】
図18にも示されるように、単一光源像ビームは、中央の周期的フィーチャ806を介してディスプレイ1800から投射され、指定された500mm視距離で直径約70mmのぼやけたスポットを作る。状況によっては、眼瞳孔が制限開口として機能する。スポットが非常に広いため、約64mmの瞳孔間隔を有する両眼に対し同じ光源が可視である。したがって、中央の周期的フィーチャ1806によって作成されたボクセルは、ディスプレイ表面1720上に配置され、両眼に対し同時に可視であるはずである。第1の周期的フィーチャ1804および第3の周期的フィーチャ1808を介して投影された単一光源ビームは、視距離500mmで約55mm幅のスポットを作る。より小さなスポットは、異なる焦点距離を有する周期的フィーチャの1804、1808の態様を通して生じるビーム収束に起因し、結果として、システムは、視聴者位置またはロケーションにぼやけの少ない光源を結像させる。より小さいスポットは両眼に同時には可視でなく、ディスプレイ表面1720の外側で交差する2つのビームが、網膜焦点キューと矛盾することなくボクセルを形成することができる。いくつかの実施形態では、光ステアリング層922、924は、水平方向にのみビーム交差を容易にするが、エミッタマトリックス1802およびマイクロレンズアレイ1702、1704は2次元であるので、2次元ビームが生成される。ボクセル形成は、水平方向に離間された眼に対してディスプレイ1800の固定された位置によって提供され得る。ボクセル解像度は、眼瞳孔のサイズによって決定され得るが、それは、このサイズが制限光学開口であり得るからである。
【0118】
3次元画像を表示する方法が
図19のフローチャートに示される。フローチャートは、例えば、ディスプレイ200の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるソフトウェアによって実行され得る。この方法は、図示および/または説明されるものに対し追加的なプロセスまたは少ないプロセスを含んでもよく、異なる順序で実行されてもよい。方法を実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読コードは、非一時的コンピュータ可読媒体などのコンピュータ可読媒体に記憶され得る。複数のボクセルを含む画像は、複数のボクセル位置に複数のボクセルを表示または投影することによって表示される。周期的光学層926の周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710のうちの1つまたは複数は、ディスプレイ200によってレンダリングされた3次元画像のピクセルの深度情報、および周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710の1つまたは複数の光学特性に基づいて選択される1902である。発光素子により放射された光は、表示されている画像の深度情報に基づいて、周期的光学フィーチャのうちの1つに向けられる。ディスプレイ200は、レンダリングされている3D画像のデータに関連付けられたピクセル1904または発光素子を活性化することによって、発光素子1600のアドレス可能アレイのピクセルまたは発光素子から光を選択的に放射する。発光層902の発光素子1600のアドレス可能アレイのピクセルまたは発光素子から放射された光は、レンダリングまたは表示されている3D画像のデータに基づいて、選択された周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710のうちの1つまたは複数に向けて方向付けられて、ディスプレイ200の表面1720から様々な距離に光を集束させる。光は、表面1720の前方の1つまたは複数の距離、およびディスプレイ200の表面の後方の1つまたは複数の距離に集束され得る。放射された光は、少なくとも1つの光ステアリング層922、924を操作することによって方向付けられて、放射された光は、1つまたは複数の選択された周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710に向けて方向付けられる。放射された光は、選択された周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710に向けて、時間同期された様式で方向付けられ得る。あるいは、放射された光は、選択された周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710に向けて、時間多重化された様式で方向付けられ得る。光ステアリング層922、924のうちの少なくとも1つに電圧を印加することにより、エミッタから周期層926に向けて光を方向付ける。光ステアリング層922、924の第1のセクションは、第1の発光素子からの光を、周期的光学層926の第1の周期的光学フィーチャに向けて選択的に方向付けるように操作されることができ、第1の周期的光学フィーチャは、第1のボクセル位置に光を集束させる。光ステアリング層922、924の第2のセクションは、第2の発光素子からの光を、周期的光学層926の第2の周期的光学フィーチャに向けて選択的に方向付けるように操作されることができ、第2の周期的光学フィーチャは、第1のボクセル位置に光を集束させる。光ステアリング層922、924の第3のセクションは、第3の発光素子からの光を、周期的光学層926の第3の周期的光学フィーチャに向けて選択的に方向付けるように操作されることができ、第3の周期的光学フィーチャは、第3のボクセル位置に光を集束させる。第1のボクセル位置は、第1の深度を有することができ、第2のボクセル位置は、第1の深度とは異なる第2の深度を有することができる。光ステアリング層922、924は、ピクセルベースで制御され得る。ピクセルから選択的に光を放射するための信号は、例えば、個別に、またはディスプレイ200、ディスプレイに関連付けられたプロセッサ、および信号を作成するためのデータを記憶するソフトウェアの任意の組み合わせによって、生成され得る。選択された周期的フィーチャ928、930、932、1706、1708、1710を通過する光は、例えば、ディスプレイ200の前方の距離で、ディスプレイ200の表面1720で、およびディスプレイ200の後方の距離でボクセルを形成するために使用される交差するビームを有利に生成することができる。ディスプレイ200の外表面1720を出る光は、異なる視線方向に画像を形成するビームのセットへ集束され得る。
【0119】
回折効果は、非常に小さなプロジェクタセル開口サイズを必要とする比較的小さなディスプレイにおける達成可能な集束ビームスポットサイズを制限するので、上述された方法および光学構造の一部は、大きいスクリーンサイズにより適している。回折が光源像がぼやけさせすぎると、適正な網膜焦点キューの生成が損なわれる可能性がある。提示された光学フィーチャは、ディスプレイサイズに伴ってスケール変更する。いくつかの実施形態は、ロールツーロールナノインプリント(roll-to-roll nanoimprinting)などの大規模製造方法を使用して実装され得る。
【0120】
いくつかの実施形態で使用される非機械的光ステアリング層は、液晶(LC)などの材料、およびディスプレイ業界で知られているプロセスを用いて製造され得る。いくつかの実施形態は、直線偏光を使用するLC技術を使用することがあり、これは、システムの光学効率を低下させ、電力消費を増大させる。
【0121】
ディスプレイは、複数の焦点面においてボクセルを生成するように動作することができる。ボクセルは、ディスプレイ表面から1つまたは複数の異なる距離に集束する光ビームを生成することによって作成され得る。ディスプレイは、光源および光コリメートまたは集束光学構造から構成される発光素子としても知られる複数のセルを含む発光層と、光学領域の繰り返しパターンを含む周期的光学層であって、各光学領域は、異なる光屈折特性および散乱特性を有する複数の空間的に配置された周期的フィーチャを含む、周期的光学層と、少なくとも1つの光ステアリング層とを含む。ディスプレイは、発光素子の照明および少なくとも1つの光ステアリング層のステアリング特性を時間同期された様式で制御するための信号を生成する。1つまたは複数の光ステアリング層のステアリング特性は、任意選択でピクセルレベルで制御可能であり得る。ステアリング層のステアリング特性を制御するために生成された信号は、任意選択で、ステアリング層に、照明された発光素子により生成された光のビームを周期層の選択された周期的フィーチャに向けさせるように生成されることができ、周期的フィーチャは、ディスプレイによりレンダリングされている3Dコンテンツの深度情報に基づいて選択される。発光層は、任意選択で、第1の幾何形状および第2の幾何形状を有する光集光器を含む光エミッタのクラスタを含むことができ、第2の幾何形状を有する光集光器は、クラスタの1つまたは複数のエッジに沿って配設される。空間的に配置された周期的フィーチャの光学特性は、任意選択で、材料の屈折率、周期的フィーチャの表面形状、および/または表面特性に基づいて異なることが可能である。空間的に配置された周期的フィーチャは、任意選択で、ディスプレイの有効解像度を高めるために、垂直方向および/または水平方向にオフセットされ得る。
【0122】
ディスプレイは、発光素子のアドレス可能アレイと、複数の繰り返し領域を含む周期的光学層であって、繰り返し領域のうちの2つ以上のそれぞれが、第1の光学特性を有する第1の周期的フィーチャ、および第2の光学特性を有する第2の周期的フィーチャを含む、周期的光学層と、発光素子のアドレス可能アレイと周期的光学層との間に配設された少なくとも1つの光ステアリング層とを備え、光ステアリング層は、ディスプレイの表面から様々な距離で光が集束されるように、発光素子のアドレス可能アレイから周期的光学層に到達する光の方向に対する選択的制御を提供する。光のビームは、ディスプレイによりレンダリングされた3次元画像の深度情報に基づいて、第1の周期的フィーチャおよび第2の周期的フィーチャのうちの1つに向けられることができる。少なくとも1つのステアリング層のステアリング特性を制御するために生成された信号は、ステアリング層に、発光素子のアドレス可能アレイによって生成された光のビームを、周期的光学層の選択された周期的フィーチャに向けさせることができる。選択された周期的フィーチャは、ディスプレイによりレンダリングされた3次元画像の深度情報に基づいて選択され得る。第1の光学特性は、少なくとも屈折率、表面形状、屈折力、および/または表面特性によって、第2の光学特性とは異なり得る。ディスプレイは、発光素子のアドレス可能アレイの照明を制御する信号と、少なくとも1つの光ステアリング層のステアリング特性を時間同期された様式で制御する信号とを生成して、ディスプレイの表面から様々な距離で集束するボクセルを生成するように構成され得る。第1の周期的フィーチャは、ディスプレイの表面から第1の距離に光を集束させることができ、第2の周期的フィーチャは、ディスプレイの表面から第2の距離に光を集束させることができる。第3の周期的フィーチャは、第1の方向に光を集束させることができ、第4の周期的フィーチャは、第2の方向に光を集束させることができる。第1の光ステアリング層は、第2の光ステアリング層に実質的に垂直に配置され得る。複数の繰り返し領域は、ディスプレイの有効解像度を高めるために、互いに垂直方向または水平方向にオフセットされ得る。発光素子のアドレス可能アレイは、アレイのエッジの近くに傾斜された前方面を有する複数の光集光器で構成された複数の光エミッタを含むことができる。
【0123】
方法は、周期的光学層の繰り返し領域に配置された複数の周期的フィーチャから周期的フィーチャを選択するステップを含む。周期的フィーチャは、ディスプレイによりレンダリングされた三次元画像のボクセルの深度情報および周期的フィーチャの少なくとも1つの光学特性に基づいて選択される。発光素子のアドレス可能アレイから光を選択的に放射することによって、および、少なくとも1つの光ステアリング層を時間同期された様式で操作して、放射された光を1つまたは複数の選択された周期的フィーチャに向けて方向付けて、ディスプレイの表面から様々な距離で光を集束させることによって、3次元画像はディスプレイによりレンダリングされる。交差するビームが、ディスプレイの前方の距離およびディスプレイの後方の距離にボクセルを形成するために使用され得る。複数の周期的フィーチャのうちの第1の周期的フィーチャは、第1の光学特性を有することができ、複数の周期的フィーチャのうちの第2の周期的フィーチャは、第1の光学特性とは異なる第2の光学特性を有することができる。動作は、少なくとも1つの光ステアリング層に電圧を印加することを含むことができる。光は、異なる視線方向に画像を形成するビームのセットとして集束され得る。光は、ディスプレイによりレンダリングされた3次元画像の深度情報に基づいて、第1の周期的フィーチャおよび第2の周期的フィーチャのうちの1つに向けられ得る。少なくとも1つのステアリング層のステアリング特性を制御するために生成された信号は、ステアリング層に、発光素子のアドレス可能アレイにより生成された光を周期的光学層の選択された周期的フィーチャに向けさせることができる。選択された周期的フィーチャは、ディスプレイによりレンダリングされた3次元画像の深度情報に基づいて選択され得る。
【0124】
複数の焦点面においてボクセルを生成するためのシステムおよび方法が説明されている。ボクセルは、ディスプレイ表面から様々な距離で集束する光ビームを生成することによって作成される。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、発光層、周期的光学層、および1つまたは複数の光ステアリング層を含む。発光層は複数のセルを含み、各セルは少なくとも1つの発光素子を含む。周期層は、領域の繰り返しパターンを含むことができ、各領域は、異なる光屈折特性および/または散乱特性を有する複数の空間的に配置された周期的フィーチャを含むことができる。ディスプレイは、発光素子の照明および光ステアリング層のステアリング特性を時間同期された様式で制御する。
【0125】
1つまたは複数の説明された実施形態の様々なハードウェア要素は、それぞれのモジュールに関連して本明細書で説明した様々な機能を行う(すなわち、実施、実行などする)「モジュール」と呼ばれることに留意されたい。本明細書で使用されるとき、モジュールは、所与の実装のために当業者によって好適であると見なされるハードウェア(例えば、1つまたは複数のプロセッサ、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、1つまたは複数のマイクロコントローラ、1つまたは複数のマイクロチップ、1つまたは複数のASIC、1つまたは複数のFPGA、1つまたは複数のメモリデバイス)を含む。各説明されたモジュールはまた、それぞれのモジュールによって行われるものとして説明された1つまたは複数の機能を行うように実行可能な命令を含むことがあり、それらの命令は、ハードウェア(すなわち、ハードワイヤード)命令、ファームウェア命令、ソフトウェア命令などの形態をとるかまたはそれらを含むことができ、また、RAM、ROMなどと通例呼ばれるような、任意の好適な非一時的なコンピュータ可読媒体またはメディアに記憶され得ることに留意されたい。
【0126】
上記では、特徴および要素を特定の組み合わせで説明したが、各特徴または要素は、単独でまたは他の特徴および要素との任意の組み合わせで使用可能なことを当業者は諒解されよう。本明細書において説明される方法は、コンピュータまたはプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアにおいて実施できる。コンピュータ可読記憶媒体の例は、限定はされないが、ROM、RAM、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスク、磁気光学媒体などの磁気媒体、並びにCD-ROMディスク、およびDVDなどの光媒体を含む。WTRU、UE、端末、基地局、RNCまたは任意のホストコンピュータにおいて使用するための無線周波数トランシーバを実施するために、ソフトウェアと関連付けられたプロセッサを使用できる。