(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】病原体を破壊して封じ込めるための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 13/00 20240101AFI20240628BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20240628BHJP
【FI】
A61F13/00 301G
A61F13/00 301A
A61F13/02 D
(21)【出願番号】P 2021571696
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2020000444
(87)【国際公開番号】W WO2020245656
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-18
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508080986
【氏名又は名称】コンバテック リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】メトカーフ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ペナゴンドラ,マンジュナト
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/173069(WO,A1)
【文献】特表2012-516163(JP,A)
【文献】特表2012-504005(JP,A)
【文献】特表2011-521675(JP,A)
【文献】特表2019-509853(JP,A)
【文献】特表2012-515051(JP,A)
【文献】特開2018-189655(JP,A)
【文献】特表2013-509978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の創面切除のための創傷接触層を有する創面切除デバイスであって、
ゲル形成繊維の層と、
前記ゲル形成繊維と接触している複数の剛毛と、
前記デバイスの非創傷接触面に取り付けられたハンドルと、
を含む、創面切除デバイス。
【請求項2】
前記複数の剛毛が、モノフィラメントまたは繊維の束を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数の剛毛が、ナイロン、アセタール、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、シリコーン、ウール、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数の剛毛が、前記創傷接触層に対し垂直に配置されたフィラメントを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
ゲル形成繊維の前記層が、織りまたは編物である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
ゲル形成繊維の前記層が、少なくとも10g/gの吸収性を有し、吸収時に流体の横方向の広がりに抵抗する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
ゲル形成繊維の前記層が、セルロース単位あたり少なくとも0.05のカルボキシメチル基の置換度を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
抗バイオフィルム剤、金属キレート剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
ゲル形成繊維の前記層と接触する1つまたは複数の支持層をさらに含み、前記支持層は、発泡体、織物、混合織物、紙、ポリマー、プラスチック、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
滑り止め材料を有する裏材を形成する支持層をさらに含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
ゲル形成繊維の前記層と流体連通している診断ユニットをさらに含み、前記診断ユニットは、酵素に基づくアッセイまたは電子センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記診断ユニットが、
a)微生物感染を示す標的酵素と相互作用するように構成された1つまたは複数の試薬を含む反応層であって、前記試薬は固相に付着しており、
b)各試薬は、不浸透性セパレータで分離された試薬領域にスプレー、印刷、または堆積されており;
c)各試薬領域は、色、色の変化、または他の検出可能なシグナルが観察されるレポーター領域を含む、反応層と;
d)前記レポーター領域の前記シグナルを視覚化するためのウィンドウを含む透明なカバーと、を含む、1つまたは複数の診断ディスクを含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記流体連通が、親水性繊維、ゲル化繊維、または濾紙を含む1つまたは複数のウィッキング材料を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
創傷感染を検出する方法であって、
ゲル形成繊維の層と、前記ゲル形成繊維と接触している複数の剛毛とを含む創傷の創面切除のための創傷接触層
と、デバイスの非創傷接触面に取り付けられたハンドルとを有する創面切除デバイスを提供すること、
前記創面切除デバイスを使用して創傷を創面切除すること、
前記創面切除デバイスから創傷組織のサンプルを抽出すること、および
診断アッセイを使用して微生物感染の存在について前記サンプルを分析すること、
を含む、方法。
【請求項15】
前記抽出および分析工程はウィッキング材料を利用して前記創面切除デバイスと流体連通する1つまたは複数の診断ディスクを利用することを含み、前記診断ディスクは、1つまたは複数の試薬が、前記分析工程の一部として、色、色の変化、または他の検出可能なシグナルが観察されるレポーター領域と合わさっている、微生物感染を示す標的酵素と相互作用するように構成されている各試薬を含む反応層を含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記診断アッセイに従って、抗菌剤を含む創傷包帯を適用することをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
創傷の創面切除のためのキットであって、
創傷の創面切除のための創傷接触層を有する
請求項1~13のいずれか1項に記載の前記創面切除デバイスと;
抗菌剤、抗バイオフィルム剤、金属キレート剤、または界面活性剤のうちの1つまたは複数を含む、前記創傷の創面切除を補助するための溶液;と
抗菌性および抗バイオフィルム組成物の少なくとも1つを含む処置剤と、
を含む、キット。
【請求項18】
前記創面切除デバイスと流体連通している診断ユニットであって、前記診断ユニットは、前記創傷の感染を示すための酵素に基づくアッセイ、電子センサ、または1つまたは複数の試薬、のうちの少なくとも1つを含む、診断ユニットをさらに含む、請求項
17に記載のキット。
【請求項19】
さらに、前記創傷接触層が1つまたは複数の発泡体を含む、請求項
17に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月3日出願の米国仮特許出願第62/856,676号の利益を主張するものであり、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物において、損傷は、創傷の治癒をもたらす、組織化された複雑な一連の細胞的および生化学的事象を誘発する。創傷治癒は複雑な動的プロセスで、解剖学的な連続性ないし機能の回復をもたらし、正常な解剖学的構造、機能、および外観に戻った創傷が理想的に治癒した創傷である。創傷の感染は、治癒プロセスの減速または停止のいずれかをもたらす。創傷中の病原体は、毒素(例えば、クロストリジウム(Clostridium)菌種)、pHを上昇させるアンモニアなどの有害な代謝産物(例えば、プロテウス(Proteus)菌種)、プロテアーゼなどの組織溶解酵素を生成するか、または他の手段で組織にさらに浸潤して創傷面積を増加させる可能性がある。最悪の場合、病原体は、創傷を離れ、敗血症を引き起こす可能性がある。
【0003】
失活した組織(例えば、脱落、壊死、痂皮)または外因性組織(例えば、微生物バイオフィルム)などの不要な生物学的軟組織は、重要な軟組織の感染源である。例えば、外科的または慢性の創傷からこのような不要な組織を除去することは、感染を防止し、その部位または創傷を治癒させるのを助けるために不可欠である。このような組織除去(創面切除)は、外科的創面切除、鋭利な(sharp)創面切除、消化酵素の使用、および生体手術などの各種方法によって達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消毒剤および抗生物質を含む抗菌剤は、微生物感染を処置するために広く使用されている。しかし、抗生物質耐性の出現、および微生物が保護バイオフィルムの生成を通じて抗菌剤に耐える能力によって、抗菌剤の有効性は大幅に低下している。したがって、例えば、バイオフィルムを破壊することによって微生物の生息地を乱す新しい方法には、抗菌剤に対する微生物の感受性を高め、抗菌剤に対する代替戦略を開発することが必要である。さらに、従来の創面切除の方法は多くの場合疼痛および外傷を引き起こすため、有効であり、また外傷性と疼痛が少ない代替方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示されるのは、創傷の創面切除のためのデバイス、方法、およびキットであり、これはゲル形成繊維の層と接触している複数の剛毛を有する創傷接触層を含む。いくつかの実施形態では、複数の剛毛は、モノフィラメントまたは繊維の束を含む。いくつかの実施形態では、モノフィラメントは、ナイロン、アセタール、ポリプロピレン、アクリル(acrylic)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、シリコーン、ウール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。さらに他の実施形態では、剛毛は、ナイロンモノフィラメントの束を含む。さらにその他の実施形態では、剛毛は、創傷接触層に垂直に配置された不織または織りフィラメントを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、ゲル形成繊維の層は、織り、不織、および/または編物である。さらに他の実施形態では、ゲル形成繊維の層は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギネート、セルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロースエチルスルホネート、変性セルロース、ペクチン、キトサン、変性キトサン、ヒアルロン酸、多糖、ガム由来ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。さらに他の実施形態では、ゲル形成繊維の層は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、ゲル形成繊維の層は、少なくとも10g/gの吸収性を有し、吸収時に流体の横方向の広がりに抵抗する。他の実施形態では、ゲル形成繊維の層は、15g/g~50g/gの吸収性を有し、吸収時に流体の横方向の広がりに抵抗する。さらに他の実施形態では、カルボキシメチルセルロースは、セルロース単位あたり少なくとも0.05のカルボキシメチル基の置換度を有する。さらにその他の実施形態では、カルボキシメチルセルロースは、セルロース単位あたり少なくとも0.2のカルボキシメチル基の置換度を有する。さらに他の実施形態では、カルボキシメチルセルロースは、セルロース単位あたり0.3~0.5の間のカルボキシメチル基の置換度を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイス、方法、およびキットは、創傷上のバイオフィルムを破壊することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイス、および方法は、金属イオンを捕捉することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、抗バイオフィルム剤、金属キレート剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、創傷上の不要な組織またはバイオフィルムを除去または緩めることができる。さらに他の実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、細菌およびバイオフィルムまたは不要な組織の他の成分を捕捉することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイス、方法、およびキットは、ゲル形成繊維の層と接触する1つまたは複数の支持層をさらに含み、支持層は、発泡体、織物、混合織物、紙、ポリマー、プラスチック、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の支持層が裏材を形成する。さらに他の実施形態では、外側支持層は滑り止め材料を含む。さらに他の実施形態では、滑り止め材料はシリコーンを含む。
【0009】
他の実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、方法、およびキットは、ゲル形成繊維の層と流体連通している診断ユニットをさらに含む。いくつかの実施形態では、診断ユニットは、酵素に基づくアッセイまたは電子センサを含む。他の実施形態では、診断ユニットは、1つまたは複数の繊維または診断ディスクを含み、診断ディスクは、a)微生物感染を示す標的酵素と相互作用する1つまたは複数の試薬を含む反応層であって、試薬は固相に付着しており、b)各試薬は、不浸透性セパレータで分離された試薬領域にスプレー、印刷、または堆積されており;c)各試薬領域は、色、色の変化、または他の検出可能なシグナルが観察されるレポーター領域を含む、反応層と;d)レポーター領域のシグナルを視覚化するためのウィンドウを含む透明なカバーと、を含む。いくつかの実施形態では、流体連通は、ウィッキング材料、開口部、チャネル、または導管を含む。さらに他の実施形態では、ウィッキング材料は、親水性繊維、ゲル化繊維、濾紙、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、診断ディスクは、酵素反応性インジケータ、着色生成物を生成する酵素、pHインジケータ、タンパク質応答性試薬、および水分検出試薬からなる群から選択される1つまたは複数の試薬を含む。他の実施形態では、酵素反応性インジケータは、エラスターゼ、リゾチーム、カテプシンG、ミエロペルオキシダーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の酵素と相互作用して、診断ディスクのレポーター領域に可視色または電子的変化をもたらす。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイス、方法、およびキットは、創面切除デバイスの非創傷接触面に取り付けられたハンドルをさらに含む。いくつかの実施形態では、ハンドルは、非創傷接触面上のループ、スティック、チューブ、タブ、バー、ポケット、ひだ、スリーブ、または突起を含む。他の実施形態では、ハンドルは、取り外し可能な固定部材を使用して、非創傷接触面に除去可能に取り付けられている。さらに他の実施形態では、取り外し可能な固定部材は、面ファスナー要素、接着剤、またはステッカーを含む。
【0011】
本明細書に開示されるのは、創傷感染を検出するためのデバイス、方法およびキットであり、これは本明細書に記載の創面切除デバイスを使用して創傷を創面切除すること、創面切除デバイスから創傷組織のサンプルを抽出すること、および診断アッセイを使用して微生物感染の存在についてサンプルを分析すること、を含む。いくつかの実施形態では、診断アッセイは、PCR、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、またはイムノアッセイを含む。他の実施形態では、イムノアッセイは、酵素反応性インジケータ、着色生成物を生成する酵素、pHインジケータ、タンパク質応答性試薬、および水分検出試薬からなる群から選択される1つまたは複数の試薬を含み、酵素反応性インジケータは、エラスターゼ、リゾチーム、カテプシンG、ミエロペルオキシダーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の酵素と相互作用して、微生物感染を示す検出可能なシグナルを生成する。
【0012】
本明細書に開示されるのは、創傷を処置するためのデバイス、方法およびキットであり、これは本明細書に記載の創面切除デバイスを使用して創傷を洗浄すること、診断アッセイを使用して微生物感染の存在について創面切除デバイスによって除去された創傷サンプルを分析すること;および診断アッセイの結果に従って、抗菌剤を含むかまたは含まないゲル形成繊維を含む創傷包帯を適用することを含む。いくつかの実施形態では、診断アッセイは、創面切除デバイスと流体連通する1つまたは複数の診断ディスク、スタンドアロンのイムノアッセイ、PCR、またはELISAを含む。さらに他の実施形態では、診断ディスクは、a)微生物感染を示す標的酵素と相互作用する1つまたは複数の試薬を含む反応層であって、試薬は固相に付着しており、b)各試薬は、不浸透性セパレータで分離された試薬領域にスプレー、印刷、または堆積されており;c)各試薬領域は、色、色の変化、または他の検出可能なシグナルが観察されるレポーター領域を含む、反応層と;d)レポーター領域のシグナルを視覚化するためのウィンドウを含む透明なカバーと、を含む。いくつかの実施形態では、流体連通は、ウィッキング材料、開口部、チャネル、または導管を含む。他の実施形態では、ウィッキング材料は、親水性繊維、ゲル化繊維、または濾紙を含む。さらに他の実施形態では、診断ディスクは、酵素反応性インジケータ、着色生成物を生成する酵素、pHインジケータ、タンパク質応答性試薬、および水分検出試薬からなる群から選択される1つまたは複数の試薬を含む。さらにその他の実施形態では、酵素反応性インジケータは、エラスターゼ、リゾチーム、カテプシンG、ミエロペルオキシダーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の酵素と相互作用して、診断ディスクのレポーター領域に可視色または電子的変化をもたらす。
【0013】
本明細書に開示されるのは、創傷の創面切除のためのデバイス、方法、およびキットであり、これはカルボキシメチルセルロースを含むゲル形成繊維の層と接触している複数のナイロンモノフィラメントまたは剛毛を有する創傷接触層を含む。いくつかの実施形態では、ゲル形成繊維の層は、少なくとも10g/gの吸収性を有し、吸収時に流体の横方向の広がりに抵抗する。さらに他の実施形態では、本明細書に開示される創傷の創面切除のためのデバイスおよび方法は、バイオフィルムを破壊するか、または創傷上の不要な組織を緩めるかもしくは除去することができる。さらに他の実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、金属イオン、細菌、および/または不要な創傷組織を捕捉することができる。さらにその他の実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、抗バイオフィルム剤、金属キレート剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイス、方法、およびキットは、創面切除デバイスの非創傷接触面に取り付けられたハンドルをさらに含む。いくつかの実施形態では、ハンドルは、非創傷接触面上のループ、スティック、チューブ、タブ、バー、ポケット、ひだ、スリーブ、突起、または取り外し可能なバーもしくはスティックを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、創面切除デバイスと流体連通する1つまたは複数の診断ディスクをさらに含み、診断ディスクは、a)微生物感染を示す標的酵素と相互作用する1つまたは複数の試薬を含む反応層であって、試薬は固相に付着しており、b)各試薬は、不浸透性セパレータで分離された試薬領域にスプレー、印刷、または堆積されており;c)各試薬領域は、色、色の変化、または他の検出可能なシグナルが観察されるレポーター領域を含む、反応層と;d)レポーター領域のシグナルを視覚化するためのウィンドウを含む透明なカバーと、を含む。いくつかの実施形態では、流体連通は、ウィッキング繊維、開口部、または濾紙を含む。他の実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法と組み合わせた1つまたは複数の試薬は、酵素反応性インジケータ、着色生成物を生成する酵素、pHインジケータ、タンパク質応答性試薬、および水分検出試薬からなる群から選択され、酵素反応性インジケータは、エラスターゼ、リゾチーム、カテプシンG、ミエロペルオキシダーゼ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の酵素と相互作用して、微生物感染を示す検出可能なシグナルを生成する。
【0015】
本明細書に開示されるのは、バイオフィルムを破壊するか、または創傷上の不要な組織を除去するための方法、デバイス、およびキットであって、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスを使用して創傷を創面切除することを含む、方法、デバイス、およびキットである。
【0016】
また、本明細書に開示されるのは、創傷を処置するためのデバイス、方法およびキットであり、これは本明細書に記載の創面切除デバイスを使用して創傷を創面切除すること;診断アッセイを使用して微生物感染の存在について創面切除デバイス吸着された創傷サンプルを分析すること;および適宜、創面切除工程を繰り返すこと;および診断アッセイに従って、抗菌剤を含むかまたは含まない創傷包帯を適用することを含む。いくつかの実施形態では、診断アッセイは、創面切除デバイスと流体連通する1つまたは複数の診断ディスク、スタンドアロンのイムノアッセイ、PCR、またはELISAを含む。
【0017】
本明細書に開示されるのは、ゲル形成繊維および抗バイオフィルム剤を含む織物材料およびこの織物材料を包含するキットである。いくつかの実施形態では、ゲル形成繊維は、破壊されたバイオフィルム、微生物、創傷破片、金属イオン、またはそれらの組み合わせを捕捉する。さらに他の実施形態では、ゲル形成繊維は、織り、不織、編物、またはそれらの組み合わせである。さらにその他の実施形態では、ゲル形成繊維は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギネート、セルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロースエチルスルホネート、変性セルロース、ペクチン、キトサン、変性キトサン、ヒアルロン酸、多糖、ガム由来ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。さらにその他の実施形態では、ゲル形成繊維は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。さらに他の実施形態では、ゲル形成繊維は、少なくとも10g/gの吸収性を含む。いくつかの実施形態では、ゲル形成繊維は、15g/g~50g/gの吸収性を含む。さらにその他の実施形態では、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、セルロース単位あたり少なくとも0.05のカルボキシメチル基の置換度を有する。さらにその他の実施形態では、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、セルロース単位あたり少なくとも0.2のカルボキシメチル基の置換度を有する。さらに他の実施形態では、カルボキシメチルセルロースナトリウムは、セルロース単位あたり0.3~0.5の間のカルボキシメチル基の置換度を有する。さらに他の実施形態では、抗バイオフィルム剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA四ナトリウム、EDTA二ナトリウム、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、エラグ酸、エスクレチン、フィセチン、レセルピン、ケルセチン、リノール酸、ベルベリン、キトサン、オイゲノール、クルクミン、合成ハロゲン化フラノン(F-56)、ペプチド1018、CFT073グループII莢膜多糖(血清型K2)、Pel多糖、Psl多糖、ソホロ脂質、コリスチン、ナイシン、サブチリン、エピデルミン、ガリデルミン、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、デオキシリボヌクレアーゼI、グリコシド加水分解酵素、バクテリオファージがコードするエンドリシン(PlyC)、銀、塩酸オクテニジン、クロルヘキシジン、カデキソマーヨウ素、ポリヘキサメチレンビグアニド、ウスニン酸、塩化ベンゼトニウム(BC)、アリールローダニン、cis-2-デセン酸(C2DA)、およびディスパーシン(dispersin)B、からなる群から選択される。
【0018】
本明細書に開示されるのは、創傷の創面切除のための方法、デバイス、およびキットであって、a)本明細書に記載されるような創傷の創面切除のためのデバイス;およびb)創傷の創面切除を促進または補助するための溶液または配合物、を含む、方法、デバイス、およびキットである。いくつかの実施形態では、創傷の創面切除を促進または補助するための溶液または配合物は、抗菌性剤、抗バイオフィルム剤、金属キレート剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA四ナトリウム、EDTA二ナトリウム、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、エラグ酸、エスクレチン、フィセチン、レセルピン、ケルセチン、リノール酸、ベルベリン、キトサン、オイゲノール、クルクミン、合成ハロゲン化フラノン(F-56)、ペプチド1018、CFT073グループII莢膜多糖(血清型K2)、Pel多糖、Psl多糖、ソホロ脂質、コリスチン、ナイシン、サブチリン、エピデルミン、ガリデルミン、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、デオキシリボヌクレアーゼI、グリコシド加水分解酵素、バクテリオファージがコードするエンドリシン(PlyC)、銀、塩酸オクテニジン、クロルヘキシジン、カデキソマーヨウ素、ポリヘキサメチレンビグアニド、ウスニン酸、塩化ベンゼトニウム(BC)、アリールローダニン、cis-2-デセン酸(C2DA)、およびディスパーシンB、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム剤は、0.01~5重量%の間で存在する。いくつかの実施形態では、金属キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む。いくつかの実施形態では、EDTAは、少なくとも0.01重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、EDTAは、0.2~0.8重量%の間の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、2重量%未満で存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、0.01~2重量%で存在する。さらに他の実施形態では、溶液または配合物は、滅菌水または生理食塩水を含む。さらに他の実施形態では、溶液または配合物は、酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、酸化剤は、過酸化水素である。さらに他の実施形態では、溶液または配合物は、ヨウ素、ポリヘキサニド(PHMB)、クロルヘキシジン、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、酢酸、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態における方法、デバイス、およびキットは、処置剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、処置剤は、抗菌性または抗バイオフィルム組成物を含む。いくつかの実施形態における方法、デバイス、およびキットは、使用説明書をさらに含む。
【0019】
本明細書に開示されるのは、サンプル中の感染を検出するための方法、デバイス、およびキットであって、a)サンプルを収集するための本明細書に記載の創面切除デバイスと;b)創面切除デバイスと流体連通している診断ユニットであって、診断ユニットは、感染を示すための酵素に基づくアッセイ、電子センサ、または1つまたは複数の試薬を含む、診断ユニットと;c)感染を示すための酵素に基づくアッセイ、電子センサ、または1つまたは複数の試薬に基づく色、色の変化、または他の検出可能なシグナルが観察される、表示ウィンドウまたはレポーター領域と、を含む、方法、デバイス、およびキットである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の試薬は、酵素反応性インジケータ、着色生成物を生成する酵素、pHインジケータ、タンパク質応答性試薬、および水分検出試薬からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、酵素反応性インジケータは、エラスターゼ、リゾチーム、カテプシンG、およびミエロペルオキシダーゼ、からなる群から選択される1つまたは複数の酵素と相互作用する。いくつかの実施形態における方法、デバイス、およびキットは、抗菌剤を含むかまたは含まないゲル形成繊維を含む創傷包帯をさらに含む。いくつかの実施形態における方法、デバイス、およびキットは、使用説明書をさらに含む。
【0020】
本明細書に開示されるのは、1つまたは複数の発泡体を含む創傷接触層を含む、創傷の創面切除のためのデバイス、方法およびキットである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、開放孔発泡体を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体の第1の発泡体は第1の側にあり、1つまたは複数の発泡体の第2の発泡体は第2の側にある。いくつかの実施形態では、第1の発泡体は、粗い質感を含む。いくつかの実施形態では、第2の発泡体は滑らかな質感を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体の第1の発泡体および1つまたは複数の発泡体の第2の発泡体は同じ側にある。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、ポリウレタンを含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、蝶形状である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開放発泡体の細孔は、直径が約10um~約500umの範囲を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開放発泡体の高さは、約1センチメートル~約5センチメートルの範囲である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開放発泡体の幅は、約1センチメートル~約10センチメートルの範囲である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開放発泡体の長さは、約1センチメートル~約15センチメートルの範囲である。
【0021】
参照による組み込み
本明細書において言及されたすべての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許または特許出願が、参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
本開示の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、およびその添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1A~1Cは、ゲル形成繊維106の層と接触しているモノフィラメントまたは剛毛104の層を備えた創傷接触層102を含む種々の形態の創面切除デバイス100を示す。いくつかの実施形態は、支持体108のベース層を有する。創面切除デバイス100は、長方形の形状(
図1A)、管形状(
図1B)、および丸みを帯びたまたは槍形状(
図1C)を含む、創傷接触面の異なる形状を有するスティックまたはスワブの形態であり得る。スティックまたはハンドル110は、中空管、シャフト、または平らなスティックを含むことができる。
【0024】
【
図2】
図2A~2Cは、ゲル形成繊維204の層と接触しているモノフィラメント202の層を含む、創面切除デバイス200の別の実施形態の種々の形態を示す。いくつかの実施形態では、創面切除デバイス200は、発泡体、織物、紙、ポリマー、プラスチック、または任意の他の同様の材料もしくは材料の組み合わせで形成され得る支持層206をさらに含む。支持層206は、繊維202と接触していてもよい。いくつかの実施形態では、創面切除デバイス200は、層内または層間の繊維ブレンドを含む。
図2A(拡大画像)では、例えば、支持層206は、ハイドロファイバーおよびモノフィラメント層の上部に織物層および発泡体層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、創面切除デバイス200は、正方形もしくは長方形の形状(
図2A)、円形もしくは楕円形の形状(
図2B)、または三角形の形状(
図2C)である。いくつかの実施形態では、創面切除デバイス200は、ゲル形成繊維208の層と接触している複数の剛毛208またはモノフィラメントの束を備えたパッドである。いくつかの実施形態では、パッドは、織物または繊維ブレンドを含む裏材210を有する。さらにまた、裏材210は滑り止め表面を有し得る。創面切除デバイス200はまた、創傷接触層214と流体連通している診断ユニット212を有し得る。
【0025】
【
図3】
図3A~3Fは、創面切除パッド300の外側支持層または非創傷接触面312と接触しているハンドル302、304、306、308、310のタイプを示す。創面切除パッド300は、本明細書で論じられるように、その表面上にモノフィラメントまたは合成繊維の束を備えるゲル形成繊維の層を有し得る。ハンドルの異なる形態には、柔らかい織物グリップハンドル302、柔らかい織物ポケットまたはスリーブハンドル308、使用時に持ち上げることができ、または使用しないときに平らに折りたたむことができるフィン304もしくはタブ310、プラスチック製のハンドルもしくはノブ306、またはシリコーンを含む滑り止め層316を取り外し可能に取り付けることが可能であるベルクロ(Velcro)(登録商標)または面ファスナー固定ユニットが含まれる。
【0026】
【
図4】
図4は、創傷感染を検出する診断ユニット402と流体連通している創面切除デバイス400を示す。一例では、診断ユニット402は、濾紙などの固相上に印刷または堆積された試薬と、創面切除デバイス400と診断ユニット/ディスク402との間の流体連通を提供するゲル化繊維などのウィッキング繊維または糸404を含む診断ディスクを含む。いくつかの実施形態では、感染検出を備えた創面切除デバイス400は、創面切除デバイス400上に配置されるかまたは創面切除デバイス上に直接印刷されるかのいずれかでの別個のステッカー406、を含む。いくつかの実施形態では、ステッカー406または感染検出設計は、異なるパターンを含むことができる。さらに別の実施形態では、診断ユニット402は、感染を検出することができる電子センサ408であり得る。
【0027】
【
図5】
図5A~5Dは、創面切除デバイスと診断ユニットとの間の流体連通を提供するウィッキングガイド機構500を示しており、ウィッキングガイド機構500は、流体流れを可能にする穴502を(
図5A)と、創面切除デバイスから診断ユニット(
図5B)に流体を吸い上げるゲル化繊維または同様のウィッキング繊維などのウィッキング材料504と、流体を吸い上げるために外側に突出している不織材料、織物、または濾紙(
図5C)と、親水性またはゲル化繊維ディスク508(
図5D)を含むディンプルまたは凹状フィーチャー506とを含む。
【0028】
【
図6】
図6A~6Bは、制御および検出パネルの異なる形状(正方形および長方形および円形の形状を含むがこれらに限定されない)、サイズおよび配置を含む、微生物感染を検出するための診断ユニット600、602のタイプ(
図6A)、ならびに試薬604およびリザーバまたは試薬領域606の異なる配置(
図6B)、を示す。診断ユニット上の異なるパネルまたはセパレータ608の配置によって、制御パネルと検出パネルとの間の容易な区別が可能になる。対照および試薬を、放射状に配置することができ、種々の形態で報告されたシグナルを使用して微生物感染の簡単かつ迅速な検出が可能となる。)。いくつかの実施形態では、診断ディスクの1つまたは複数の試薬は、微生物感染用の酵素マーカーと相互作用して、色の変化またはシグナルもしくはマークの外観など、ウィンドウ610から見える診断ユニット600、602のレポーター領域614において検出可能なシグナルを生成する。
【0029】
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態の概略フローチャート700を示す。より具体的には、ボックス702では、本開示の創面切除デバイスが提供され得る。ボックス704において、創面切除デバイスを利用して、創傷を創面切除することができる。本開示の一態様では、ボックス706において、創面切除デバイスは、創傷組織のサンプルを提供することができる。ボックス708において、創傷組織は、本開示の方法およびデバイスを利用して、感染について分析され得る。ボックス710において、創傷包帯を、ボックス708の感染分析の結果に基づいて創傷に適用することができ、ここで、創傷包帯は、ボックス708において識別された感染のタイプに対処するように特別に調整される。
【0030】
【
図8】
図8は、本開示のキット800の1つの排他的ではない例を示す。キット800は、本開示の診断ユニット804を有する創面切除デバイス802を含み得る。キット800はまた、創面切除デバイス802を使用している間に、創傷の創面切除を補助するための創面切除溶液806を含み得る。さらに、キット800はまた、創面切除後の創傷の処置を補助する処置剤808を含んでもよい。1つの排他的ではない例では、複数の処置剤808を提供してもよく、これにより診断ユニット804によって識別される感染のタイプに基づいて創傷の特定の処置が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書で提供されるのは、創面切除のためのデバイスおよび方法であり、創傷滲出液もしくは表面の診断または試験と組み合わせて提供してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるデバイスは、創傷接触層を含み、創傷接触層は、少なくとも1つの層、複数の層、または繊維、フィラメントもしくは剛毛の束を含み、創傷接触層は、親水性繊維もしくはゲル化繊維の層の表面と接触してもよく、または併せて、または組み合わせて使用してもよい。ゲル化繊維の層は、吸収性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、1つまたは複数の層として配置される。いくつかの実施形態では、繊維、フィラメント、または剛毛は、ゲル化繊維の層から突出しているか、またはゲル化繊維の層に垂直である。いくつかの実施形態では、剛毛は、創傷部位に重大な外傷を引き起こすことなく、創傷上の不要な組織を緩めるかまたは除去することができるナイロンモノフィラメントの束を含む。剛毛はまた、テクスチャード加工表面を備えた他の合成繊維を含んでもよく、これにより効率的な創面切除が可能になる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、創傷滲出液、金属イオン、または細菌を吸収および捕捉することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、感染部位から不要な組織を選択的かつ非外傷的(atraumatically)に除去することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、微生物バイオフィルムを破壊および捕捉することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、微生物感染のインサイチュ検出のための診断ユニットと流体連通している。いくつかの実施形態では、創傷組織のサンプルは、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスから得ることができ、例えば、PCR、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、および他のイムノアッセイを含む任意の標準的な診断アッセイを使用して、微生物感染の存在について分析することができる。
【0032】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、1つまたは複数の方法、および/または本開示などを読むと当業者に明らかになる本明細書に記載のタイプの工程を含む。
【0033】
量、時間的持続時間などのような測定可能な値を指す場合に本明細書で使用される「約」は、指定値から±20%または±10%、または±5%、またはさらには±1%の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示された値に対し適切であるか、または開示された方法を実行するために適切である。
【0034】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「フィラメント」という用語は、「モノフィラメント」を指す場合がある。いくつかの実施形態では、「モノフィラメント」という用語は、糸または織糸の一本鎖を指す。糸または織糸は合成材料にすることができる。モノフィラメントは剛毛を形成する場合がある。モノフィラメントまたは剛毛を形成する合成材料の非限定的な例としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ乳酸(polygalactic acid)、アクリル、アセタール、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、シリコーン、化学変性繊維、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、モノフィラメントは、創傷表面を創面切除するのを助ける、すなわち、不要な組織を緩めるかまたは除去するのに役立つマイクロフックまたはマイクロ棘などのテクスチャード加工表面を含む。場合によっては、モノフィラメントは、剛毛または創面切除繊維と呼ばれることもある。
【0036】
本明細書で使用される場合、「親水性繊維」または「ハイドロファイバー」または「ゲル形成繊維」という用語は、高い吸収能力を有し、吸収時に液体の横方向の広がりまたは拡散に抵抗する繊維を指す。いくつかの実施形態では、親水性繊維は、流体と接触するとゲルを形成して、流体を捕捉または閉じ込め、このようにして、流体の横方向の広がりに抵抗する。ゲル形成繊維の一例は、AQUACEL(登録商標)である。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、緩んだバイオフィルム、創傷破片、金属イオン、および細菌などの不要な創傷物質を捕捉することができ、したがって、さらなる感染を防止または軽減し、創傷を清潔で乾燥した状態に保つのに役立つ。例えば、ゲル形成繊維は、少なくとも10g/gまたは15g/g~50g/gの吸収性を有し、吸収時に流体の横方向の広がりに抵抗するものが使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、様々な置換度、例えば、セルロース単位あたり少なくとも0.05、少なくとも0.2、または0.3~0.5の間のカルボキシメチル基を有するカルボキシメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、界面活性剤、金属キレート剤、または抗菌剤を含む。他の実施形態では、ゲル形成繊維は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギネートもしくは誘導体化アルギネート、セルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロースエチルスルホネート、変性セルロースもしくは誘導体化セルロース、ペクチン、キトサン、変性キトサンもしくは誘導体化キトサン、ヒアルロン酸もしくは誘導体、多糖、ガム由来ポリマー、ポリアクリル酸もしくは誘導体、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0038】
本明細書で使用される場合、「置換度」は、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系ポリマー中に存在するグルコースまたはセルロース単位あたりのカルボキシメチル化ヒドロキシル基の平均数を指す。カルボキシメチルセルロースの置換度は、セルロース単位あたり約0.05~約0.5のカルボキシメチル基、セルロース単位あたり約0.2~約0.5のカルボキシメチル基、セルロース単位あたり約0.3~約0.5のカルボキシメチル基の範囲であり得る。置換度は、セルロース単位あたり約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、または約1.0のカルボキシメチル基であり得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、「スワブ先端」または「スワブ端」という用語は、1つもしくは複数の支持層、繊維もしくは繊維ブレンド、またはモノフィラメントを含むことができる創面切除デバイスの創傷接触端を指す。スワブ先端およびスワブ端という用語は交換可能に使用される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「センサユニット」または「診断ユニット」という用語は、感染を検出するための試薬を含む別個のユニットまたはチャンバーを指す。センサユニット、診断ユニット、およびセンサチャンバーという用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除のためのデバイスおよび方法は、織物材料を含む、創傷滲出液を吸収する他の材料を含み得る。そのような織物材料は広く知られており、発泡体、超吸収性繊維、ゲル化発泡体、指向性発泡体などを含み得る。
【0042】
ある特定の実施形態によれば、創傷創面切除および微生物バイオフィルムの破壊のための本明細書に記載のデバイスは、創傷表面上の不要なまたは壊死組織を緩めるかまたは除去するモノフィラメントまたは剛毛の層、ならびに創傷液、細菌、金属イオン、およびその他の不要な組織を捕捉することができる、高吸収性ゲル形成繊維、例としてAQUACEL(登録商標)、または同様の親水性繊維の層、を含む。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維または親水性繊維は、吸収層を形成する。本開示の吸収層での使用に好適なゲル化繊維には、流体または創傷滲出液と接触するとゲルを形成し、水分および吸収された物質、例えば、破壊されたバイオフィルム、細菌、または不要な創傷組織などを捕捉する親水性繊維が含まれる。
【0043】
本明細書でさらに説明されるのは、バイオフィルムを破壊すること、および/または破壊されたバイオフィルムを吸着することができる織物材料である。いくつかの実施形態では、織物材料は、抗バイオフィルム活性を含む。いくつかの実施形態では、織物材料は、創傷液、細菌、金属イオン、または他の創傷破片を捕捉する。いくつかの実施形態では、織物材料は、抗バイオフィルム活性を含み、創傷液、細菌、金属イオン、または他の創傷破片を捕捉する。いくつかの実施形態では、織物材料は、抗菌剤に対する微生物の感受性を改善する。場合によっては、本明細書に記載の織物材料は、コロニー形成または感染部位での微生物負荷を低減する。場合によっては、織物材料は、抗菌剤がなくてもコロニー形成または感染部位での微生物負荷を低減する。場合によっては、織物材料は、少量の抗菌剤によりコロニー形成または感染部位での微生物負荷を低減する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の織物材料は、種々の構造を含む。そのような構造としては、不織布、織布、複合材料、積層物、発泡体、ニット生地、およびそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、織物材料は、ゲル化繊維または親水性繊維を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、バイオフィルムから水分を除去することによってバイオフィルムを破壊する。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、吸収層を形成することによって水分を除去する。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、水分と接触するとゲルを形成する。
【0046】
いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、高い吸収性を有し、流体の吸収時に横方向への広がりに抵抗するゲル形成ポリマーまたはゲル化繊維を含む。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、破壊されたバイオフィルム、微生物、および/または他の創傷破片を吸収および保持する。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、金属イオンを捕捉するように構成される。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、層を形成する。ゲル形成ポリマーの非限定的な例としては、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース、AQUACEL(登録商標)、酸化セルロース(またはその誘導体)、セルロースエチルスルホネート、その他の化学変性セルロース、ペクチン、アルギネート、キトサン、変性キトサン、ヒアルロン酸、多糖、ガム由来ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせ、が挙げられる。いくつかの実施形態では、繊維は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、ゼラチン、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、カルボキシメチルセルロースとアルギネートのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、ゲル形成繊維の不織層を含む。
【0047】
他の実施形態では、ゲル形成繊維は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギネート、セルロース、カルボキシエチルセルロース、セルロースエチルスルホネート、変性セルロース、ペクチン、キトサン、変性キトサン、ヒアルロン酸、多糖、ガム由来ポリマー、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、セルロースゲル化繊維は、セルロース単位あたり少なくとも0.05のカルボキシメチル基の置換度を有し得る。いくつかの実施形態では、カルボキシメチルセルロースゲル形成繊維の置換度は、セルロース単位あたり少なくとも0.2のカルボキシメチル基であり、より具体的には、0.3~0.5の間である。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、比較的低い置換度を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。
【0049】
水分を吸収し、ゲル化し、バイオフィルムなどの物質を破壊する能力は、カルボキシメチルセルロースを含むセルロース性ゲル化繊維の置換度、ならびにゲル化繊維のタイプに関連している。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、異なる置換度を有するカルボキシメチルセルロースのブレンドを含み、それにより、異なる速度の破壊、吸収、およびゲル化を提供する。いくつかの実施形態では、ゲル化繊維は、同時に、破壊、吸収を提供する異なる繊維タイプのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、繊維のゲル形成作用は、滲出液、細菌、またはバイオフィルムなどの不要な創傷物質を捕捉または閉じ込めるのに役立ち、創傷を清潔で乾燥した状態に保つのに役立ち、感染の拡大を軽減または防止する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の織物材料は、抗バイオフィルム活性を含む薬剤を含む。いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム活性を含む薬剤は、抗菌活性を含まない。いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム活性を含む薬剤は、低レベルの抗菌活性を含む。抗菌活性を含む例示的な薬剤としては、銀、抗生物質、防腐剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、織物材料は、抗バイオフィルム活性を含む1つまたは複数の薬剤を含む。いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム活性を含む薬剤は、天然源から単離されるか、または合成化合物、キレート剤、ランチビオティック、小分子、イオン、ペプチド、酵素、またはナノ粒子である。抗バイオフィルム活性を含む例示的な薬剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA四ナトリウム、EDTA二ナトリウム、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、エラグ酸、エスクレチン、フィセチン、レセルピン、ケルセチン、リノール酸、ベルベリン、キトサン、オイゲノール、クルクミン、合成ハロゲン化フラノン(F-56)、ペプチド1018、CFT073グループII莢膜多糖(血清型K2)、Pel多糖、Psl多糖、ソホロ脂質、コリスチン、ナイシン、サブチリン、エピデルミン、ガリデルミン、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、デオキシリボヌクレアーゼI、グリコシド加水分解酵素、バクテリオファージがコードするエンドリシン(PlyC)、銀、塩酸オクテニジン、クロルヘキシジン、カデキソマーヨウ素、ポリヘキサメチレンビグアニド、ウスニン酸、塩化ベンゼトニウム(BC)、アリールローダニン、cis-2-デセン酸(C2DA)、およびディスパーシンB、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム活性を含む織物材料は、低レベルの抗菌活性をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム活性を含む織物材料は、抗菌活性をさらに含まない。
【0053】
本明細書に記載されているのは、バイオフィルム成分を捕捉することができる薬剤を含む織物材料である。いくつかの実施形態では、バイオフィルム成分を捕捉することができる薬剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、それらのアンモニウム塩、およびテトラアルキルアンモニウム塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書に記載の織物材料は、抗菌剤に対する微生物の感受性を改善し得る。場合によっては、織物材料は、バイオフィルムを破壊し、および/またはバイオフィルム構造成分、金属イオン、創傷滲出液、微生物、および/または他の創傷破片を捕捉することによって、抗菌剤に対する微生物の感受性を改善する。場合によっては、織物材料は、抗バイオフィルム活性および低い抗菌活性を提供する薬剤を含む。抗菌活性は、銀、抗生物質、防腐剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤を含むがこれらに限定されない抗菌剤によって提供され得る。場合によっては、バイオフィルムの破壊および/または捕捉に続いて、織物材料は抗菌効果をさらに提供する。
【0055】
いくつかの実施形態では、抗バイオフィルム活性および/または捕捉能力を含む本明細書に記載の織物材料は、例えば、生理食塩水およびガーゼの使用を含む標準的な創面切除方法よりもバイオフィルム破壊の有効性を改善する。場合によっては、バイオフィルム破壊の有効性の改善は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、99%、または99%超である。いくつかの実施形態では、織物材料は、抗細菌剤に対する微生物の感受性を改善する。場合によっては、抗細菌剤に対する微生物の感受性の改善は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、99%、または99%超である。
【0056】
場合によっては、本明細書に記載の織物材料は、コロニー形成または感染部位での微生物負荷を、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%、99%、または99%超だけ低減する。場合によっては、織物材料は、コロニー形成または感染部位での微生物負荷を、約10%~約99%、約20%~約80%、約30%~約70%、または約40%~約60%の範囲で低減する。
【0057】
創面切除繊維
いくつかの実施形態では、剛毛、モノフィラメント、または創面切除繊維は、創面切除作用に耐え、創傷上の不要な組織を緩めるかまたは除去するのに役立つテクスチャード加工繊維またはフィラメントである。いくつかの実施形態では、剛毛またはモノフィラメントは、ナイロン、アセタール、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、シリコーン、ウール、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、創面切除繊維は、織りまたは不織である。いくつかの実施形態では、不織繊維は、層を形成する。いくつかの実施形態では、繊維は、垂直または剛毛タイプの配置に織られている。いくつかの実施形態では、垂直または剛毛様配置は、モノフィラメントを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、創面切除繊維は、ゲル化繊維の層の表面上にあるか、またはゲル化繊維の層と接触して、破壊的または緩み効果、続いてゲル化繊維による吸収効果を提供する。したがって、創傷またはバイオフィルムを創面切除繊維と接触させると、創傷破片またはバイオフィルムが物理的に破壊され、物質の吸収が可能になることがある。いくつかの実施形態では、AQUACEL(登録商標)などのある特定の繊維のゲル化作用は、吸収された物質の捕捉をさらに提供する。そのような捕捉は、ゲル化繊維を含む創傷包帯を適用する前に、創傷を効率的に洗浄するのに役立つ。
【0060】
いくつかの実施形態では、創面切除デバイスは、金属キレート剤または界面活性剤などの抗バイオフィルム剤を含む。いくつかの実施形態では、創面切除繊維は、界面活性剤および抗バイオフィルム成分の作用により、不要な組織および材料を緩める。いくつかの実施形態では、高い吸収性を有し、創傷微粒子を捕捉する創面切除デバイスは、創傷における微生物感染の診断または検出のための容易かつ迅速な手段を提供する。そのような実施形態では、創面切除デバイスは、インサイチュでの診断のために、濾紙上に印刷または堆積された1つまたは複数の試薬を含む診断ディスクなどの診断ユニットと流体連通している。そのような実施形態における流体連通は、ゲル化繊維または親水性糸、開口部、または濾紙を含み、これは、創傷流体または物質をゲル化繊維の層から診断ディスク内の試薬に吸い上げるのに役立つ。いくつかの実施形態では、診断ディスクは、創面切除デバイスに埋め込まれるかまたは挿入されて、これによりインサイチュでの細菌感染の容易な検出が可能になる。いくつかの実施形態では、そのような診断ディスクは、スタンドアロンの診断デバイスで使用され、創傷のサンプルを、PCR、ELISA、またはイムノアッセイなどの1つまたは複数の従来の診断アッセイを使用するさらなる分析のために、創面切除デバイスから抽出することができる。
【0061】
創面切除デバイス
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除デバイスは、創面切除スティックまたはスティックスワブデバイスを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除デバイスは、創面切除スワブを含む。いくつかの実施形態では、創面切除デバイスは、創面切除パッドまたは裏材付きのパッドを含み、ハンドル付きのパッドを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除デバイスは、ゲル形成繊維および剛毛またはモノフィラメントの層を含む。いくつかの実施形態では、ゲル形成繊維は、AQUACEL(登録商標)などのカルボキシメチルセルロースを含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、創面切除デバイスは、ゲル形成繊維から突出するか、またはゲル形成繊維の層に対し垂直に接触しているモノフィラメントまたは剛毛の束を含む。いくつかの実施形態では、モノフィラメントまたは剛毛は、ナイロン繊維を含む。創傷を創面切除するためのモノフィラメントまたは剛毛に使用することができる他の材料としては、アセタール、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、シリコーン、ウール、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態では、ゲル形成繊維の層は、支持材料を含む層状構造に配置される。支持材料は、ゲル形成繊維の層と接触するベース層を形成することができる。支持材料としては、例えば、発泡体、織物、紙、プラスチック、木材、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。層状構造は、ベース層または外側透明層を覆う外層をさらに含んでもよく、これにより、微生物感染のインサイチュ検出のために創面切除デバイスに埋め込まれたかまたは挿入された診断インサートの視覚的検出が可能になる。例えば、外層としての織物は、発泡層を覆うことができ、発泡層は、ゲル形成繊維層と外側織物層との間に位置する。いくつかの実施形態では、最外層は、シリコーンなどの創面切除デバイスを保持するための滑り止め材料を含む。
【0064】
本明細書に記載の創面切除デバイスは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、開放孔発泡体を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は同じタイプの発泡体である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は異なるタイプの発泡体である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は可変磨耗性を含む。例えば、第1の側の第1の発泡体は粗い質感を含み、第2の側の第2の発泡体は滑らかな質感を含む。いくつかの実施形態では、第1の発泡体および第2の発泡体は、同じ側にある。いくつかの実施形態では、粗いテクスチャを含む第1の発泡体が創面切除に使用される。いくつかの実施形態では、滑らかな質感を含む第2の発泡体が吸収のために使用される。
【0065】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、多孔質である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、異なる孔径を含む。いくつかの実施形態では、第1の側の第1の発泡体は、第1の孔径を含む。いくつかの実施形態では、第2の側の第2の発泡体は、第2の孔径を含む。いくつかの実施形態では、第1の側の第1の発泡体および第2の側の第2の発泡体は、同じ孔径を含む。いくつかの実施形態では、第1の発泡体および第2の発泡体は、同じ側にあり、同じ孔径を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体の細孔は、少なくともまたは約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、500、600、700、800、900、1000マイクロメートル、または1000マイクロメートル(um)超の直径を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体の細孔は、約10um~約1000um、約20um~約800um、約30~約700um、約40~約600um、約50~約500um、約60um~約400um、約70um~300um、約80um~約200um、または約90um~約150umの範囲の直径を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、種々の材料を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、ポリウレタン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、天然および合成ゴム、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、またはそれらのコポリマー;合成ポリマー、例としてポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン;天然ポリマー、例としてコラーゲン、ゼラチン、カラヤガム、グアーガム、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、フィブリン、およびセルロース、またはそれらから誘導される合成ポリマー;ならびにそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、ポリウレタンである。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1の側の第1の発泡体は、第1の材料を含む。いくつかの実施形態では、第2の側の第2の発泡体は、第2の材料を含む。いくつかの実施形態では、第1の発泡体および第2の発泡体は、同じ側にある。いくつかの実施形態では、第1の材料および第2の材料は同じである。いくつかの実施形態では、第1の材料および第2の材料は異なっている。いくつかの実施形態では、第1の材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、天然および合成ゴム、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、またはそれらのコポリマー;合成ポリマー、例としてポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン;天然ポリマー、例としてコラーゲン、ゼラチン、カラヤガム、グアーガム、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、フィブリン、およびセルロース、またはそれらから誘導される合成ポリマー;ならびにそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、第2の材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、天然および合成ゴム、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、またはそれらのコポリマー;合成ポリマー、例としてポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン;天然ポリマー、例としてコラーゲン、ゼラチン、カラヤガム、グアーガム、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、フィブリン、およびセルロース、またはそれらから誘導される合成ポリマー;ならびにそれらの混合物を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、創面切除デバイスは、1つまたは複数の発泡体を含み、1つまたは複数の発泡体は、種々の形状である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、蝶形状である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、長方形の形状である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、円形の形状である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体は、円筒形の形状である。
【0069】
いくつかの実施形態では、創面切除デバイスは、様々なサイズの1つまたは複数の発泡体を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体の長さは、少なくともまたは約1.0、1.5、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0センチメートル、または10センチメートル(cm)超である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体の幅は、少なくともまたは約1.0、1.5、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0センチメートル、または10センチメートル(cm)超である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の発泡体の高さは、少なくともまたは約1.0、1.5、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0センチメートル、または10センチメートル(cm)超である。いくつかの実施形態では、長さ、幅、または高さは、約1センチメートル~約15センチメートル、約2センチメートル~約12センチメートル、約3センチメートル~約10センチメートル、または約4~約8センチメートルの範囲にある。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創面切除デバイスは、創傷の感染の検出が可能になる機構をさらに含む。創傷の感染の検出が可能になる例示的な機構は、診断ユニットを含む。診断ユニットは、創面切除デバイスに取り付けられてもよい。取り付けは、診断ユニットが創面切除デバイス内のゲル形成繊維の層と流体連通することが可能になる接着剤または任意の他の好適な手段の形態であり得る。一例として、濾紙または同様の支持相上に堆積または印刷された試薬を含む1つまたは複数の診断ディスクを、スティックスワブ創面切除デバイスのハンドルなどの創面切除デバイスに取り付けて、ウィッキング糸、濾紙、または流体流れのための導管などのウィッキング機構によって、診断ディスクとゲル形成繊維の層と間の流体連通を形成することができる。創面切除デバイスの併用による感染の検出を可能にする追加の機構には、例えば、診断ディスクの視覚化が可能になる透明なカバーを備えたゲル形成繊維の層に、試薬またはそのような試薬を含む診断ディスクを埋め込むことが含まれる。
【0071】
診断ディスクは、微生物感染を示す標的酵素と相互作用する1つまたは複数の試薬を含む反応層であって、試薬は固相に付着しており、各試薬は、不浸透性セパレータで分離された試薬領域にスプレー、印刷、または堆積されており;各試薬領域は、色、色の変化、または他の検出可能なシグナルが観察されるレポーター領域を含む、反応層と;レポーター領域のシグナルを視覚化するためのウィンドウを含む透明なカバーと、を含み得る。
【0072】
さらに別の実施形態では、創傷サンプルは、創面切除デバイスから抽出することができ、これは、任意の好適な診断アッセイによって別々に分析することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、創傷接触層は、例えば、ゲル化繊維または親水性糸を含む、1つまたは複数のウィッキングステッチング(stitching)またはウィッキングタフティング(tufting)またはウィッキング糸を含む、ウィッキングガイド機構をさらに含む。ウィッキングガイド機構は、例えば、診断ディスクの試薬層内の試薬などの試薬と、ゲル形成繊維の層などの創面切除デバイスとの間の流体連通を提供する。ウィッキング作用により、破壊されたバイオフィルム、細菌、創傷破片などの液体および不要な物質を、創面切除デバイスから、微生物感染の存在について創傷サンプルを分析するための試薬が配置されている診断ディスクまたは反応領域に向けることができる。したがって、ウィッキングガイド機構は、創面切除デバイスと、創面切除デバイスに外部から取り付けられているか、または診断ディスクの形態で創面切除デバイスもしくは創面切除パッドに埋め込まれている、診断ユニットとの間の流体連通のための手段を提供する。湿潤可能でありかつ毛細管現象を示すウィッキング繊維は、ウィッキングステッチングまたはウィッキングタフティングに使用するか、繊維糸として使用して、創面切除デバイスによって捕捉された創傷物質と診断試薬との間に流体連通を形成することができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング繊維は、中実(solid)または中空である。ウィッキング繊維の例としては、綿、レーヨン、ビスコース、ウール、シルク、ポリエステル、ポリアミド、CMC、およびポリプロピレンが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
試薬およびアッセイ
感染に関連する分析物を検出するための任意のアッセイを使用することができる。感染に関連する分析物には、例えば、細菌、真菌、原生生物、またはウイルスなどの感染性生物の構造成分が含まれる。感染に関連する分析物には、感染に応答してアップレギュレートされるバイオマーカーも含まれる。このようなバイオマーカーは、感染に対する宿主の免疫応答に関連している場合がある。例示的なバイオマーカーには、リゾチーム、MPO、カテプシンG、エラスターゼ、カタラーゼ、リパーゼ、またはエステラーゼが含まれる。
【0075】
感染を検出するためのアッセイとしては、イムノアッセイ、例として酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロッティング、または感染に関連する分析物の検出が可能になる任意の他のイムノアッセイが挙げられる。感染を検出するための追加のアッセイとしては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。これらのアッセイを使用して、細菌、真菌、原生生物、またはウイルスなどの感染性生物の存在を直接試験することができる。例えば、PCRを使用して、感染性生物の転写物または構造的RNA分子など、DNAおよびRNAの存在を試験することができる。これらのアッセイを使用して、感染に応答したバイオマーカーのアップレギュレーションを判定することもできる。感染に応答してアップレギュレーションされるバイオマーカーの例としては、感染に対する宿主の免疫応答に関連するタンパク質、サイトカイン、およびケモカインが挙げられる。
【0076】
アッセイは、感染の存在に関連する条件下で目に見える色の変化または他の検出可能なシグナルを生成する反応またはプロセスをさらに含む。好適な試薬には、例えば、酵素反応性インジケータ、過酸化物の供給源である試薬、着色生成物を生成する酵素、pHインジケータ、タンパク質応答性試薬、および水分検出試薬が含まれる。色の変化または検出可能なシグナルを生成することができる酵素反応性インジケータの部分には、例えば、ペルオキシダーゼ基質、アリールアミン、アミノフェノール、中性染料、荷電染料、ナノ粒子、コロイド金粒子、またはそのアナログが含まれる。色の変化または検出可能なシグナルを生成することができるpH感受性試薬の例には、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ブロモフェノールレッド、クロロフェノールレッド、チモールブルー、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープル、ニトラジンイエロー、または他のスルホンフタレイン染料が含まれる。
【0077】
キットおよび使用説明書
本明細書で提供されるのは、創面切除および微生物/感染検出のための本明細書に記載のデバイスと組み合わせて使用することができる容器およびキットである。本開示は、本明細書に開示されるデバイスおよび方法、ならびに本明細書に開示されるそのような創面切除および微生物/感染検出デバイスおよび方法を含む容器およびキットを使用するように使用者(例えば、ヒト使用者)に指示することができる使用説明書をさらに提供する。
【0078】
本明細書に開示される方法およびデバイスと共に使用するための容器は、創面切除および/または微生物感染の診断および検出に有用なデバイスおよび溶液を保存、輸送、および/または分注するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される容器はまた、検出された感染の処置のための洗浄剤、治療剤、例として抗菌剤および/または抗バイオフィルム組成物、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。そのような容器は、例えば、輸送および/または保存に好適な条件を提供することができる(例えば、溶液または治療剤の輸送のための室温または冷却保存)。さらに他の実施形態では、本明細書で提供される容器は、本明細書で開示される方法およびデバイスの部品または溶液を分割または分離するための区画を含み得る。
【0079】
本開示のキットは、本明細書に記載の創面切除および微生物/感染の検出方法およびデバイスを使用するための種々の構成要素を提供する。そのような構成要素には、容器、保存装置、創面切除デバイス、スワブまたは他の収集デバイス、分析器、対照サンプル、および/または微生物感染を洗浄または検出するための溶液もしくは組成物を含めることができる。一般に、キットにより、本明細書に記載の創面切除および感染検出デバイスおよび方法の、使用者に優しい正確かつ信頼性の高い使用が可能になり、キットは、限定されないが、本明細書に開示される創面切除および微生物/感染の検出のための方法およびデバイスを実行するために必要な試験、管理、保存、輸送、および他の構成要素を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるキットは、創傷処置の前に創面切除デバイスを潤滑化することによって創傷の創面切除を補助する溶液または配合物を含む。溶液または配合物は生理学的に適合性があり、必要に応じて創面切除デバイスに適用することができる。場合によっては、溶液または配合物は、生理食塩水または皮膚および創傷表面と適合性のある他の溶液であり得る。
【0081】
本明細書に開示されるキットはまた、創傷の創面切除を促進する溶液または配合物を含み得る。いくつかの実施形態では、溶液または配合物は、創傷の創面切除を促進または補助する薬剤を含有し得る。他の実施形態では、創面切除デバイスは、創傷の創面切除を促進または補助する薬剤を含み得る。両方の場合において、滅菌水または生理食塩水などの液体配合物を加えて、創傷の創面切除を促進する薬剤を補助および/または活性化する。
【0082】
いくつかの実施形態では、溶液または配合物は、バイオフィルムを破壊すること、および/または創傷内または創傷の周囲でのその再形成を防止することを補助する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される溶液または配合物は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の二塩基性、三塩基性または四塩基性塩として存在するEDTAを含むがこれらに限定されない金属キレート剤を含む。いくつかの実施形態では、EDTAは、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.025重量%、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.25重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも4重量%、または少なくとも5重量%の濃度で存在する。他の実施形態では、EDTAは、0.01~4重量%の間、0.1~4重量%の間、0.1~3重量%の間、0.2~3重量%の間、0.2~2重量%の間、0.2~1重量%の間、または0.2~0.8重量%の間のレベルで存在する。
【0083】
いくつかの実施形態では、溶液または配合物は、創傷および皮膚表面と適合し、安全に使用するためのカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤を含むがこれらに限定されない界面活性剤を含む。例としては、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アルキルモルホリニウム塩、ベンゼトニウム塩またはエトキシル化第四級アンモニウム塩またはそれらの混合物を含むカチオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、第四級アンモニウム塩は、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、およびモノアルキルモノベンジルジメチルアンモニウム塩を含み得る。場合によっては、カチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム界面活性剤を含む第四級カチオン性界面活性剤を含み得る。場合によっては、カチオン性界面活性剤は、ベンゼトニウム、ベンザルコニウム、ジメチルジアルキロニウム(dimethyldialkylonium)、アルキルピリジニウムおよびアルキルトリメチルアンモニウムカチオンを、任意の対イオン、例えば、臭化物イオン、塩化物イオン、酢酸イオンまたは硫酸メチルイオンと一緒にしたものからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.025重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、または少なくとも4重量%のレベルで存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.25重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、および0.025重量%未満のレベルで存在する。他の実施形態では、界面活性剤は、0.01~2重量%の間、0.05~2重量%の間、0.05~1重量%の間、0.075~1重量%の間、0.01~1重量%の間、または0.2~1重量%の間のレベルで存在する。
【0084】
いくつかの実施形態では、溶液または配合物は、抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤を含む。いくつかの実施形態では、抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤は、過酸化水素を含む過酸化物などの酸化剤、および塩素、フッ素またはヨウ素などのハロゲン、ならびにそれらの組み合わせであり、これらは、創傷および皮膚の表面と適合性があり、安全に使用できる。場合によっては、抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤は、ヨウ素(例えば、ポビドンヨード、カデキソマーヨウ素)、ポリヘキサニド(PHMB)、クロルヘキシジン、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、酢酸などおよびそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤は、およそ少なくとも0.01重量%、少なくとも0.05重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.25重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、または少なくとも5重量%のレベルで存在する。他の実施形態では、抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤は、0.01~5重量%の間、0.05~4重量%の間、0.05~3重量%の間、0.05~2重量%の間、0.075~1重量%の間、0.01~1重量%の間、または0.5~2重量%の間のレベルで存在する。
【0085】
さらに他の実施形態では、抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤は、金属イオン、例えば、銀、鉄、ニッケル、銅、クロム、マンガン、金、ガリウム、マグネシウム、亜鉛、ビスマス、スズ、およびパラジウム、ならびにそれらの組み合わせであり、これらは、創傷および皮膚の表面と適合性があり、安全に使用できる。いくつかの実施形態では、金属イオンは、およそ少なくとも0.00001重量%、少なくとも0.005重量%、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.025重量%、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、または少なくとも5重量%のレベルで存在する。他の実施形態では、抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤は、0.00001~5重量%の間、0.0001~4重量%の間、0.001~4重量%の間、0.05~4重量%の間、0.1~4重量%の間、0.5~2重量%の間、または0.1~1重量%の間のレベルで存在する。
【0086】
いくつかの実施形態では、キットは、バリアクリームおよび/または軟膏、皮膚軟化剤、保湿剤、抗炎症剤、ステロイド、皮膚シーラントまたは薬剤、およびそれらの組み合わせ、を含む、創傷周囲の皮膚の回復を補助する薬剤を含む、アフターケア剤、および/または創傷周辺の水分バランスを維持し、浸軟(maceration)、およびこの領域へのさらなる損傷を回避する包帯および/または粘着テープを含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、緩衝剤は、組成物のpHを約4~8の間、4~6の間、または4.5~5.5の間に維持するために含まれる。所望のpHは、組成物に緩衝剤を組み込むことによって達成することができる。含めてもよい緩衝剤の例は、クエン酸/リン酸水素二ナトリウム、クエン酸/クエン酸ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウムである。緩衝剤は、等張組成物を提供するために、組成物の約0.5重量%~2重量%の量で好都合に存在し得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される方法を実行するための2つ以上の部品または容器を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、連続して使用される2つの部分からなるシステム、例えば、洗浄/緩み溶液を含む洗浄/緩み工程を含む第1の部分と、それに続く、例えば、抗菌剤または抗バイオフィルム組成物を含む処置工程によるものである。他の実施形態では、第1の部分または第2の部分はまた、物理的な創面切除工程を含み得る。さらにその他の例では、本明細書に開示されるキットの第1および第2の部分はまた、本明細書に開示される方法および組成物を使用して物理的創面切除を補助する創面切除ツールを含むことができる。さらに他の例では、創面切除ツールは、パッドの粗度が異なる2つのタイプの洗浄パッド:創傷領域の洗浄に向けたパッドのより粗い側、および洗浄された創傷組織に抗菌剤および/または抗バイオフィルム剤の有効な適用が可能になるより滑らかなパッド、を含み得る。
【0089】
本開示は、本明細書に記載の方法およびデバイスと組み合わせて、キットおよび/または容器を使用するための使用説明書を提供する。使用説明書は、「印刷物」、例えば、キット内のもしくはキットに貼付された紙もしくは厚紙に、またはキットもしくはパッケージ材料に貼付された、またはキットの構成要素を含むバイアルもしくはチューブに貼付されたラベルに記載され得る。使用説明書は、コンピュータで読み取り可能な媒体に追加で含まれる場合がある。そのような使用説明書は、創面切除および/または感染検出デバイス、ならびにそのような方法およびデバイスを含む容器およびキットを使用するようにユーザーに指示することができる。
【0090】
以下の実施例は、例示として提示され、限定として提示されるものではない。
【実施例】
【0091】
[実施例1]
【0092】
スティック型創面切除デバイス
本実施例は、スティックの一端に創面切除デバイスを備えたスティックの形態の創面切除のためのデバイスを説明する。
【0093】
創面切除チップ112を備えたスティック110の形態をとる創面切除デバイス100を、
図1A~Cに示す。
【0094】
スティックタイプの創面切除デバイス100は、様々な形態をとることができる。例えば、一端にある創面切除デバイスは、長方形(
図1A)、円筒形、楕円形、管状(
図1B)、または円形(
図1C)であり得る。円形端部を備えたスティックタイプの創面切除デバイス100は、
図1Cに示されるように、槍の形態をとることができる。スティック110の一端にある創面切除デバイスは、中空管、シャフト、平らな棒、またはスティックであるハンドルに取り付けることができる。
【0095】
スティック110の一端の創面切除デバイスは、支持のためのベース層(すなわち、支持層108)、複数の剛毛104の形態のモノフィラメントの層または束と接触するゲル形成繊維106の吸収層を含む層状構造を含む。吸収性またはゲル形成繊維106は、親水性繊維、CMC、またはAQUACEL(登録商標)であり得る。長方形の創面切除端の層状構造が
図1Aに示されており、層状構造は、モノフィラメントの束が突出するゲル化繊維に囲まれたベース層または支持層108を含む。スティック形式の長方形および円筒形、楕円形、または管状の創面切除デバイスの層状構造の例示的な断面図が、
図1Aおよび
図1Bそれぞれに示されている。
[実施例2]
【0096】
創面切除パッド
本実施例は、創面切除パッド200の形態の創面切除デバイスを説明する。
【0097】
創面切除パッド200は、
図2A~
図2Cに示されている。いくつかの実施形態では、創面切除パッド200は、形状が正方形もしくは長方形(
図2A)、円形もしくは楕円形(
図2B)、または三角形(
図2C)であり得る。創面切除パッド/デバイス200の形状は重要ではなく、異なるサイズの種々のタイプの創傷に適合させることができる。創面切除デバイス200の重要なフィーチャーは、剛毛またはブラシ様フィーチャー208と、ゲル形成繊維204などのゲル形成吸収材料とを含む。剛毛またはブラシ様フィーチャー208は、創傷バイオフィルム、不要な物質、または創傷破片を緩めるかまたは除去するのに役立つ創面切除機能を提供する。そのような創傷物質が剛毛またはブラシ様フィーチャー208によって緩められるかまたは除去されると、剛毛またはブラシ208と接触するゲル形成吸収材料204は、そのような創傷物質を吸収または捕捉して、創傷を創傷包帯またはさらなる処置のために洗浄、処置、または準備することができる。
図2Aの挿入図に示されているように、パッド200は、支持織物または裏材210、さらなる支持のために発泡体であり得る支持層206、および創傷接触層214上のモノフィラメントまたは合成繊維の層または束を有するゲル形成繊維204を含む吸収性繊維層を含む層状構造を形成し得る。あるいは、層状構造は、異なる繊維のブレンドを含み得る。外層は、創傷接触層214を形成するモノフィラメントを含むことができる。
[実施例3]
【0098】
創面切除パッドハンドルおよび支持層
本実施例は、創面切除パッドハンドルおよび支持層を説明する。
【0099】
創面切除パッドハンドル302、304、306、308、310の種々の実施形態、および非創傷接触面312に沿った支持層構造が、
図3A~3Fに示されている。
【0100】
ハンドルは、
図3A~3Dに示されるように、創面切除パッドの支持層(すなわち、創傷と接触していない創面切除パッドの表面または創面切除パッドの裏側または創傷非接触表面312)に直接取り付けてもよく、またはハンドル306は、
図3Eに示されるように取り外し可能であってもよい。
【0101】
図3Aに示されるように、創面切除パッド300の支持層は、デバイス300を保持するためにパッドに取り付けられた柔らかい織物グリップ302を含むことができる。創面切除パッドはまた、指を内側にスライドさせるための柔らかい織物ポケット308を含むことができ、したがって、使用者はパッドを保持することができる(
図3B)。支持層に取り付けられたさらなるタイプのハンドルは、使用されていないときに平らであるフィン304を含む(
図3C)。フィン304は、柔らかいかまたは薄い裏材支持体を含むことができる。創面切除パッドはまた、使用のために折りたたむことができる、より小さな中央支持グリップの形態のハンドルまたはフラップ310を有し得る(
図3D)。
【0102】
取り外し可能なまたは外部のハンドル306を、締結部材314によって支持層の外面に取り付けてもよい(
図3E)。締結部材314は、創面切除パッド300の外面およびハンドル306の取り付け端の両方に存在するベルクロ(Velcro)(登録商標)または同様の面ファスナー固定部材であってもよく、したがって、外部ハンドル306をパッド300に取り外し可能に取り付けることができる。取り外し可能または外部ハンドル306は、プラスチックハンドルであってもよい。
【0103】
あるいは、創面切除パッド300の支持層312の外面は、例えば、テクスチャード加工滑り止め表面316(
図3F)を提供するシリコーンの薄くて柔軟な層を含み得る。
[実施例4]
【0104】
感染検出と組み合わせた創面切除デバイス
本実施例は、創面切除デバイスと創傷の感染を検出する能力との組み合わせを説明する。
【0105】
図4に示されるように、感染を検出することができる1つまたは複数の診断ユニットまたは診断ディスク402は、例えば、創面切除デバイス400と組み合わせることができる。1つまたは複数の診断ディスク402を、創面切除デバイス400のハンドルに取り付けてもよい。そのような診断ディスク402は、濾紙などの固相上に印刷または堆積された試薬を含むシート406に製造することができ、個々の診断ディスク402を、接着剤またはステッカーを使用して創面切除デバイス400に適用、取り付け、または埋め込むことができる。したがって、1つまたは複数の診断ディスク402を、創面切除デバイス400のハンドルまたは別の部分に取り付けて、これによりインサイチュでの微生物感染の検出が可能になる場合がある。
【0106】
創面切除デバイスは、必要に応じて、感染検出デバイスと共にまたは感染検出デバイスなしで使用することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の診断ディスク402が創面切除デバイス400に埋め込まれ、創面切除デバイス400の最外層は、診断ディスク402からのシグナルの視覚化が可能になる透明なカバーまたはフィルムを含む。これにより、単一のデバイス内での創傷の創面切除中またはインサイチュでの感染の検出が可能になる。他の実施形態では、創面切除デバイス400は、創面切除デバイス400の外部にあるか、または例えば、センサワイヤもしくはプローブを介して創面切除デバイス400と部分的に接触している電子センサ408と流体連通していてもよい。
【0107】
種々の実施形態では、診断ユニット402は、創傷接触層と診断ユニットまたはディスク402の試薬との間の流体連通が可能になるウィッキングガイド機構404を備える。ウィッキングガイド機構404によって、創傷滲出液または物質を診断ユニット402に引き込むことが可能になり、それによって感染の検出が可能になる。ウィッキングガイド機構404は、繊維の糸を含み得る。
図4に示すように、繊維はゲル化繊維であり得る。ウィッキングに使用することができる追加の材料としては、不織材料、織物、濾紙、または材料の任意の組み合わせが挙げられる。
[実施例5]
【0108】
ウィッキングガイド機構
本実施例は、感染検出のための診断ユニット402と共に使用するためのウィッキングガイド機構500を説明する。
【0109】
図5A~5Dは、感染を検出するためのセンサまたは診断ユニット402を創面切除デバイスと組み合わせて使用することができる種々のウィッキングガイド機構500を示している。任意の好適なウィッキング材料504を使用することができる。好適なウィッキング材料504としては、ゲル化繊維親水性繊維、不織材料、織物、濾紙、または材料の任意の組み合わせが挙げられる。
【0110】
図5Aに示されるように、診断またはセンサユニットは、診断ユニットの底部に穴502を含むことができ、診断ユニットの内部は、ゲル化繊維、不織材料、織物、濾紙、または材料の任意の組み合わせなどのウィッキング材料504を含む。底部の穴502によって、流体がウィッキング材料504によって引き上げられて、流体は、創傷接触層から診断ユニットまたはディスクに流れ、反応層514内の試薬512と接触することが可能になる。
【0111】
図5Bは、ウィッキング材料504としての糸または繊維の使用を示す。糸または繊維は、センサユニットの底部の穴502から突出し、これにより、流体がウィッキング材料504によって引き上げられて、流体は、創傷接触層から診断ユニットまたはセンサユニットに流れることが可能になる。ウィッキング材料504は、ゲル化繊維または任意の他の好適なウィッキング材料504であり得る。
【0112】
図5Cは、ウィッキングが起こることが可能になるディンプルフィーチャー506を備えた診断またはセンサユニットを示す。診断ユニットは、上面が凹状であってもよく、ディンプルフィーチャー506は、診断ユニットから突出する好適なウィッキング材料504を含む。
【0113】
図5Dは、ウィッキングガイドとしての親水性またはゲル化繊維ディスク510の使用を示す。親水性またはゲル化繊維ディスク510は、診断ユニットの底部に取り付けられ、これにより創面切除デバイスとの取り付けまたは接触の部位で、センサユニットの底部の穴502を通って流体を引き込むことが可能になる。ディスク510は、不織材料、織物、濾紙、または材料の任意の組み合わせを含む、ゲル化繊維または任意の他の好適なウィッキング材料504を含み得る。
[実施例6]
【0114】
感染の検出
本実施例は、インジケータ、試薬、および診断ユニット600、602の種々の配置を示す。
【0115】
診断ユニットまたはディスク600、602は、ラテラルフローまたはディップスティックデバイスであり得る。
図6Aに示されるように、創傷の感染を検出するための試薬604を含む診断ユニットは、正方形、長方形の600、または円形の602の形態であり得る。診断ディスク600、602は、
図6Aに示されるような種々の形状であり得る検出可能なシグナルを読み取るための明確な領域またはウィンドウ610を有し得る。検出可能なシグナルは、例えば、色の変化、線もしくはマークの外観、またはデジタル表示を含み得る。診断ディスク600、602は、試験が行われたことを示すか、または検出可能なシグナルと比較するための制御ウィンドウをさらに備えることができる。
【0116】
診断ユニット600、602は、感染を検出するための試薬604またはインジケータを含む1つまたは複数の診断ディスクを含んでもよい。診断ディスクは、線形または放射状構成で配置された複数のレーンまたはセクションを含み得る(
図6B)。各レーンまたはセクションは、感染を検出するための試薬またはインジケータを含み、例えば、pHの変化時にまたは酵素反応の結果として、検出可能なシグナルを生成する。各試薬604またはインジケータは、不浸透性セパレータ608によって分離された試薬レーンまたはセクションを用いて、濾紙などの固相上に印刷、噴霧、または堆積することができる。不浸透性セパレータ608はまた、創傷接触層との流体連通によって創傷滲出液がディスクに引き込まれた後に分析される創傷滲出液を含むリザーバ612の境界を定める。
【0117】
試薬604は、感染の存在に関連する酵素または分析物と相互作用する試薬またはインジケータを含むことができる。試薬またはインジケータは、感染に応答してアップレギュレートされる宿主酵素またはバイオマーカーの存在を検出することができる。感染の存在に関連する酵素の例としては、リゾチーム、MPO、カテプシンG、エラスターゼ、カタラーゼ、リパーゼ、またはエステラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、試薬またはインジケータは、感染性生物に関連する分析物または酵素の存在を検出することができる。
【0118】
試薬またはインジケータはまた、様々なpH範囲にわたるpHの変化を知らせるpH感受性部分またはpHインジケータを含み得る。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、アルカリ性pHで目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=7.2~9.5で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=7.2~9.0で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=7.2~8.5で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=7.2~8.0で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=7.5~8.5で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=7.5~9.0で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=8.0~9.0で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、もしくは9.5、またはそれらの増分で目に見える色の変化を示す。
【0119】
いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、中性pHで目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=6.9、7.0、もしくは7.1、またはそれらの増分で目に見える色の変化を示す。
【0120】
いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、酸性pHで目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=4.5~6.8で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=4.5~6.5で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=5.0~6.8で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=5.4~6.8で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=5.4~6.5で目に見える色の変化を示す。いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、pH=4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、もしくは6.9、またはそれらの増分で目に見える色の変化を示す。
【0121】
いくつかの実施形態では、pH感受性部分は、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ブロモフェノールレッド、クロロフェノールレッド、チモールブルー、ブロモクレゾールグリーン、ブロモクレゾールパープル、ニトラジンイエロー、または他のスルホンフタレイン染料である。
【0122】
いくつかの実施形態では、診断ディスク600、602は、紙、ビスコース、再生セルロース、ガラス繊維、および同様の材料からなる群から選択される固相材料を含む。
[実施例7]
【0123】
抗バイオフィルム織物材料
本実施例は、バイオフィルムを分解し、破壊されたバイオフィルム、関連する微生物、および他の創傷破片を吸収するための織物材料を説明する。
【0124】
織物材料は、ゲル形成繊維および抗バイオフィルム剤を含み得る。ゲル形成繊維は、カルボキシメチルセルロースを含み得る。場合によっては、ゲル形成繊維は、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース、AQUACEL(登録商標)、酸化セルロース(またはその誘導体)、セルロースエチルスルホネート、その他の化学変性セルロース、ペクチン、アルギネート、キトサン、変性キトサン、ヒアルロン酸、多糖、もしくはガム由来ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0125】
織物材料は、抗バイオフィルム剤をさらに含み得る。抗バイオフィルム剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA四ナトリウム、EDTA二ナトリウム、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、エラグ酸、エスクレチン、フィセチン、レセルピン、ケルセチン、リノール酸、ベルベリン、キトサン、オイゲノール、クルクミン、合成ハロゲン化フラノン(F-56)、ペプチド1018、CFT073グループII莢膜多糖(血清型K2)、Pel多糖、Psl多糖、ソホロ脂質、コリスチン、ナイシン、サブチリン、エピデルミン、ガリデルミン、クエン酸ナトリウム、タンニン酸、デオキシリボヌクレアーゼI、グリコシド加水分解酵素、バクテリオファージがコードするエンドリシン(PlyC)、銀、塩酸オクテニジン、クロルヘキシジン、カデキソマーヨウ素、ポリヘキサメチレンビグアニド、ウスニン酸、塩化ベンゼトニウム(BC)、アリールローダニン、cis-2-デセン酸(C2DA)、またはディスパーシンB、であってもよい。
【0126】
ゲル形成繊維および抗バイオフィルム剤を含む織物材料は、創傷に使用することができる。創傷への織物材料の適用は、バイオフィルムの破壊および/または破壊されたバイオフィルムの吸着をもたらす可能性がある。織物材料はまた、創傷液、細菌、金属イオン、および/または他の創傷破片を捕捉する場合がある。織物材料は、抗菌剤に対する微生物の感受性を改善し、および/または微生物負荷を低減し得る。
[実施例8]
【0127】
発泡体創面切除デバイス
本実施例は、1つまたは複数の発泡体を含む創面切除のためのデバイスを説明する。
【0128】
1つまたは複数の発泡体を、創面切除デバイスのハンドルに取り付けてもよい。1つまたは複数の発泡体は、創面切除デバイスであってもよい。1つまたは複数の発泡体は、開放孔発泡体を含み得る。1つまたは複数の発泡体は、粗い質感を含む第1の側と、滑らかな質感を含む第2の側とを含み得る。1つまたは複数の発泡体は、同じ側に粗い質感および滑らかな質感を含み得る。1つまたは複数の発泡体は、ポリウレタン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、天然および合成ゴム、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、またはそれらのコポリマー;合成ポリマー、例としてポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン;天然ポリマー、例としてコラーゲン、ゼラチン、カラヤガム、グアーガム、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、キチン、キトサン、フィブリン、およびセルロース、またはそれらから誘導される合成ポリマー;ならびにそれらの混合物などの、種々の材料を含み得る。1つまたは複数の発泡体は、ポリウレタンを含み得る。1つまたは複数の発泡体は、約1センチメートル~約5センチメートルの範囲の高さを含み得る。1つまたは複数の発泡体は、約1センチメートル~約10センチメートルの範囲の幅を含み得る。1つまたは複数の発泡体は、約1センチメートル~約15センチメートルの範囲の長さを含み得る。
【0129】
使用において、粗い質感を含む第1の側を含む発泡体を使用して、創傷領域を穏やかにスクラビングすることができる。発泡体は、第1の側が隠れるような蝶形状をしていてもよい。創傷領域のスクラビングに続いて、滑らかな質感を含む第2の面を含む発泡体を使用して、創傷破片および創傷液を吸収することができる。
【0130】
1つまたは複数の発泡体を含む創面切除デバイスは、創傷の感染を検出する能力と組み合わせることができる。感染を検出することができる1つまたは複数の診断ユニットまたは診断ディスクは、例えば、1つまたは複数の発泡体を含む創面切除デバイスと組み合わせることができる。
【0131】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されることは当業者には明らかである。多数の変形、変更、および置換が、本発明から逸脱することなく、以後、当業者に想到される。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の代替案を、本発明を実施する際に使用することができることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの同等物は、それによって包含されることが意図されている。