(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】織アクセサリのハンドリング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
D03J 1/13 20060101AFI20240628BHJP
D03J 1/14 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
D03J1/13
D03J1/14 B
D03J1/14 D
(21)【出願番号】P 2021571782
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2020065431
(87)【国際公開番号】W WO2020254115
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-02
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500131561
【氏名又は名称】グロッツ-ベッケルト・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲージング、カール-ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】プフェファー、ベルント
(72)【発明者】
【氏名】カイラー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】アッカー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ガース、クリスチャン
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-069643(JP,A)
【文献】特許第3213813(JP,B2)
【文献】特開2009-249751(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00798232(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03J 1/13
D03J 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織アクセサリのハンドリング装置(1)であって、
織アクセサリ
を保持するための第1の保持エレメント(2)及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)を備え、
第1の保持エレメント(2)及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)は、
第1の保持エレメント(2)に係合された状態の織アクセサリ及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)に係合された状態の織アクセサリを供給装置(4)から受入装置(5)まで搬送するため、供給装置(4)と受入装置(5)との間で周期的に移動するように
構成され、
少なくとも第1の保持エレメント(2)は、少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)が静止している間、供給装置(4)と受入装置(5)との間の移動の少なくとも一部を完了できるように
構成されることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(1)であって、
第1の保持エレメント(2)は、第1の保持エレメント(2)のキャリア手段(6)に設けられ、少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)は、少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)のキャリア手段(7)に設けられ、さらに、織アクセサリを受入装置(5)のコンポーネント(51、52、53、54)に押し込むためのプッシュオフエレメント(8、9)は、少なくとも1つのキャリア手段(6、7)に設けられることを特徴とする装置(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の装置(1)であって、
プッシュオフエレメント(8、9)は、キャリア手段(6、7)に設けられた機械式アクチュエータにより駆動することができ、キャリア手段(6、7)が静止装置エレメント(10)を通過するとき、静止装置エレメント(10)により機械的アクチュエータに機械的張力が蓄積されることを特徴とする装置(1)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の装置(1)であって、
キャリア手段(6、7)は、解放エレメント(11)を有し、解放エレメント(11)は、解放エレメント(11)の変位時に、プッシュオフエレメント(8、9)が、機械式アクチュエータによりプッシュオフ動作を行うように提供されることを特徴とする装置(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の装置(1)であって、
キャリア手段(6、7)の移動方向に対して垂直に移動可能に提供された解放エレメント(12)は、キャリア手段(6、7)の解放エレメント(11)の変位のために提供され、解放エレメント(12)は、受入装置(5)の任意のコンポーネント(51、52、53、54)に配置されたキャリア手段(6、7)の解放エレメント(11)が変位できるように提供されることを特徴とする装置(1)。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の装置(1)であって、
共通軸(18)に沿って間隔をあけて、補完的な第1の保持エレメント(13)が第1の保持エレメント(2)に配置され、補完的なさらなる保持エレメント(14)は、少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)に配置され、1つの補完的な第1の保持エレメント(13)は、補完的な第1の保持エレメント(13)のキャリア手段(15)に移動可能に配置され、少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメント(14)は、織アクセサリが、第1の保持エレメント(2)と補完的な第1の保持エレメント(13)との間、及び/又は少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)と少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメント(14)との間で保持されるように、少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメント(14)のキャリア手段(16)に移動可能に配置され、共通軸(18)は、第1の保持エレメント(2)がその周期的移動を行う平面に対して垂直に設けられることを特徴とする装置(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の装置(1)であって、
1つの補完的な第1の保持エレメント(13)及び少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメント(14)は、保持エレメント(2、3、13、14)の移動方向に対して垂直に移動可能な少なくとも1つの弛緩エレメント(20)により変位可能であり、少なくとも1つの弛緩エレメント(20)は、キャリア手段(15、16)が供給装置(4)又は受入装置(5)の任意のコンポーネント(41、42、43、44、51、52、53、54)に配置されているとき、織アクセサリを弛緩させるために配置することができるように構成されることを特徴とする装置(1)。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の装置(1)であって、
第1の保持エレメント(2)及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)は、第1の平面に配置され、この第1の平面内を移動可能であることを特徴とする装置(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の装置(1)であって、
補完的な第1の保持エレメント(13)及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(14)は、第2の平面に配置され、この第2の平面内で移動可能であり、第1及び第2の平面間の距離が調整可能であることを特徴とする装置(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の装置(1)であって、
第1の保持エレメント(2)及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)は、共通軸(18)の周りに回転可能に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載の装置(1)であって、
補完的な第1の保持エレメント(13)及び少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメント(14)は、共通軸(18)の周りに回転可能に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の装置(1)であって、
第1の保持エレメント(2)のキャリア手段(6)及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)のキャリア手段(7)は、共通軸(18)の周囲を相互に取り巻くシャフト上に配置されることを特徴とする装置(1)。
【請求項13】
織アクセサリ
を保持するための第1の保持エレメント(2)及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)を、
第1の保持エレメント(2)に係合された状態の織アクセサリ及び少なくとも1つのさらなる保持エレメント(3)に係合された状態の織アクセサリを供給装置(4)から受入装置(5)まで搬送するため、供給装置(4)と受入装置(5)との間で周期的に移動させる、織アクセサリをハンドリングする方法であって、
第1の保持エレメント(2)は、少なくとも第1の保持エレメント(3)が供給装置(4)と受入装置(5)との間で静止している間、供給装置(4)と受入装置(5)との間の周期的な移動の少なくとも一部を完了することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
補完的な第1の保持エレメント(13)及び/又は少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメント(14)は、供給装置(4)において、織アクセサリをピックアップするため、弛緩エレメント(20)により共通軸(18)に対して平行な方向へ変位することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法であって、
補完的な第1の保持エレメント(13)及び/又は少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメント(14)は、受入装置(5)において、織アクセサリを受け渡すため、弛緩エレメント(20)により共通軸(18)に対して平行な方向へ変位することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ドローイングマシン等の織アクセサリのハンドリング装置、及び織アクセサリのハンドリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドローイングマシンは、糸、即ち経糸を織アクセサリに引き通す機械である。ドローイングマシンは、各機能ユニット毎に分離可能であり、対応する装置とそのコンポーネントとがある。これらは、例えば、糸が引き通されるヘルド及びドロップワイヤを供給するための装置を含む。これら供給装置において、織アクセサリは、一般的にそうであるように、例えば、販売目的又は織物を引き通すため、レールのようなガイド溝上に連続して吊り下げられる。さらに、所謂「ローディング側」では、リードを準備するための装置が必要である。ドローイングマシンの主要な装置は、通常、リード、ヘルド、ドロップワイヤ、及びリースのコンポーネントを介して糸をガイドする引き通し装置である。「アンローディング側」、即ち引き通しが行われた後では、後方の密を防ぐため、引き通されたドロップワイヤ及びヘルドを引き通し装置の近くから排除する必要がある。引き通し装置において、高い引き通し繰り返し率を達成するため、ヘルド及びドロップワイヤは、主に短距離、且つ高速で送られる。引き通し後、織アクセサリは、主に、例えばレールのような長いガイド溝の上に押し込む必要がある。織アクセサリは、比較的長い距離を移動する必要があるが、それらの排除は大体遅い。これらは通常2から3mであるが、最大6mの距離に及ぶ場合がある。「アンローディング側」において、ドロップワイヤ及びヘルドは、相互に隣接して配置された装置であり、平行な状態で移動させることがある。本発明は、供給装置から引き通し装置へ、そして受入装置への織アクセサリの移動に関する。本発明は、ヘルドを移動させるためのモジュールに有用であるが、ドロップワイヤを除外するものではない。
【0003】
ドイツ国特許第69008100号(T2)には、ストリップ状のレール上でヘルドをガイドし、種々のラム又はプッシャを使用してヘルドを移動及び配置するドローイングマシンが開示されている。回転可能なレールにより、必要に応じて、織アクセサリを所定のヘルド枠に押し出すための移動方向を選択することができる。スイス国特許第685203号(A5)には、ドローイングマシンが開示されており、ヘルドは、分離された後、先ず回転可能なディスク上へ移動し、次に、2方向に直線移動可能なグリッパにより複数のロッドの1つへ移動する。ヘルドの必要な移動のため、ディスクとグリッパの動作を相互調整しなければならず、各々は、他のエレメントの動作が完了するのを待つ必要がある。
【0004】
世界知的所有権機関出願第9205303号(A1)には、ヘルド用の多数の保持手段がキャリア上に一定間隔で設けられたドローイングマシンが開示されている。分離されたヘルドは、引き通しからプッシュオフまで同じ保持手段に留まる。この方法は、ドローイングマシンの信頼性を高め、モジュール構造を可能にすることを目的としている。
【0005】
システム固有の問題により、ドローイングマシンで織アクセサリを処理する上記オプションの両方は、フレキシビリティと速度に関して制限がある。これらは、コストの増大によりマシンの収益性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、高速でのフレキシブルな引き通しを可能にする織アクセサリのハンドリング装置、及び織アクセサリのハンドリング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の織アクセサリのハンドリング装置は、第1の保持エレメントと、織アクセサリのための少なくとも1つのさらなる保持エレメントとを備える。第1の保持エレメント及び少なくとも1つのさらなる保持エレメントは、供給装置と受入装置との間で周期的に移動するように提供される。本発明に係る装置は、少なくとも第1の保持エレメントが静止している間、供給装置から受入装置への移動の少なくとも一部を完了し、少なくとも1つのさらなる保持エレメントが移動を完了することができるように提供されることを特徴とする。供給装置から受入装置へ移動した保持エレメントは、好ましくは、受入装置から供給装置へ戻り、概して動作シーケンスが新たに開始される。有利には、保持エレメントは、供給装置から受入装置への経路とは異なる経路で受入装置から供給装置へ移動する。さらに有利には、保持エレメントのパスラインは1つの平面にある。ハンドリングプロセスにおける保持エレメントの移動は、供給装置及び受入装置で中断される。保持エレメントの周期的移動を中断するさらなる処理装置は、供給装置と受入装置との間に配置することができる。保持エレメントは、織アクセサリを供給装置から受入装置へ移動させる。引き通し装置等の追加のハンドリング装置は、保持エレメントがそれらの一連の周期的移動の間、概して供給装置から追加のハンドリング装置へ、最終的に受入装置へ移動できるように装置内に配置することができる。保持エレメントは、織アクセサリを保持することなく、受入装置から供給装置に戻し、織アクセサリをピックアップし、さらなるハンドリング装置へ移動し、最後に受入装置へ移動することができる。
【0008】
ドイツ国特許第69008100号(T2)に記載されたドローイングマシンと比較すると、少なくとも2つの織アクセサリが、少なくとも2つの保持エレメントにより処理装置において同時に処理されるので、装置はより高速で動作する。世界知的所有権機関出願第9205303号(A1)と比較したときの速度増加は、各保持エレメントが、そこでのハンドリングプロセスが完了するまで、ハンドリング装置又は対象となるハンドリング装置の保持エレメントに留まる必要があるという事実に起因する。そして、他の保持装置及び他のハンドリングプロセスに関係なく、次のハンドリング装置及び次のハンドリングプロセスへ移行することができる。よって、最も時間がかかる処理プロセスは、他の全ての保持エレメントが処理装置又は処理プロセスが行われる処理装置のコンポーネントで費やされる時間の長さを決定するのではなく、おそらくより少ない時間を必要とする。それらは他の保持エレメントの動作から独立しているため、各保持エレメントは、少なくともハンドリング装置の次の独立したコンポーネントにフレキシブルに配置又は移動することができるので、例えば、それらのプッシュアップ又はプッシュオフ等、ハンドリング装置により織アクセサリをフレキシブルにハンドリングすることができる。その結果、例えば、多様なヘルド(前後背圧方向に凹んだヘルド等)を、追加の対策を必要とせずにフレキシブルに組み合わせることができる。この目的のため、例えば、多様なタイプのヘルドは、受入装置へ移送するため、供給装置のガイドレール等の個別のサブ装置上に各々のタイプが用意されているだけである。
【0009】
本発明に係る装置は、特に、モジュール式ドローイングマシンのヘルドモジュール等のモジュールとすることができる。モジュールは、好ましくは、他のモジュールの動作を損なうことなく、ドローイングマシンから機械的及び電気的に分離することができる。好ましい実施形態によれば、モジュールは、他のモジュールが非アクティブ化されているか、又はアンインストールされている場合にも、そのタスクを実行することができる。ヘルドモジュールの供給装置は、保持エレメントがスタックからヘルドを引き継ぐことができる1つ又は複数のコンポーネントを有する。保持エレメントは、ヘルド等の織アクセサリを様々なハンドリング装置へ移動させることができる。これらは、引き通し装置、測定装置、ラベリング装置、排出装置又は他の装置を含むことができる。ドローイングマシンは、ヘルドの糸目を通して糸を引き通すために役立つ。ヘルドは、測定装置を使用して品質に応じて分類することができ、例えば、必要に応じて、ラベルを付ける(ラベリング装置)又は排出する(排出装置)に分類することができる。通常、糸が引き通されたヘルドは、受入装置のいくつかの個別のコンポーネントの1つにプッシュオフされる。受入装置のこれらのコンポーネントは、ヘルド枠のキャリアレール又はそのようなキャリアレールに関連するレール状のガイド溝とすることができる。受入装置は、ドローイングマシンのコンポーネントとすることができる。受入装置は、織アクセサリトロリーのコンポーネントとすることができる。保持エレメントの数が少なくとも処理装置の数と同じ数である場合、処理プロセスの最大の並列化が達成される。必要に応じて、保持エレメントは、ハンドリングプロセスを行わずに中間停止することが有利である。
【0010】
保持エレメントは、ペンシル形又はロッド形に構成される。保持エレメントは、織アクセサリ、特にヘルドのエンドループと係合するように構成することができる。保持エレメントは、全ての公差を考慮に入れ、織アクセサリを確実にピックアップするため、少なくとも十分に短い縦方向への延長が可能である。保持エレメントは、織アクセサリとの接触による急速な摩耗を防ぐため、鋼により構成することができる。
【0011】
供給装置は、引き通す準備ができた織アクセサリを提供するための1つ又は複数のレール状のコンポーネントを有する。供給装置は、織アクセサリを分離するための1つ又は複数の分離手段を有する。供給装置は、ヘルドモジュールのコンポーネントとすることができる。
【0012】
各保持エレメントは、キャリア手段に配置することができる。他の用途で、キャリア手段は、アクチュエータに動作可能に接続されることで、保持エレメントの動作を開始するために役立つことができる。プッシュオフエレメントは、1つ又は複数のキャリア手段又は各キャリア手段に設けることができる。キャリア手段又は全てのキャリア手段にプッシュオフエレメントを設けることは、ハンドリング装置の各コンポーネント、特に、受入装置にアクチュエータ形態(例えば、電気又は空気圧)のプッシュオフエレメントを配置することが不要となり、これにより、装置が簡素化され、故障が発生する頻度が低下するので、収益性が向上する。この効果は、プッシュオフエレメントが単純な機械式ばねにより構成されたアクチュエータを含むとき、より向上させることができる。これらは、例えば、とにかく必要な、静止した機械部品に対して、キャリア手段の動作により予圧を付与することができる。プッシュオフエレメントは、例えば、機械的な形状適合等により、予圧が付与されると自動的にロックされるのが有利である。回転運動を行うキャリア手段の場合、静止装置エレメントは、好ましくは、キャリア手段の予圧エレメントのための接触面を有し、その共通軸に対する距離は、予圧エレメントを偏向させるため増加又は減少する。半径方向への移動により、機械的アクチュエータ、好ましくは引張りばね又は圧縮ばねに予圧を付与する。織アクセサリにプッシュオフを引き起こす張力の解除及び解放は、キャリア手段の解放エレメントに作用する解放エレメント等のさらなる機械コンポーネントによりもたらすことができる。解放エレメントの作動は、好ましくは、予圧中に生成された形状を解放し、それにより、プッシュオフエレメントを解放し、それが格納位置から移動することを可能にする。前述の解放エレメントは、受入装置等のハンドリング装置の任意のコンポーネントに配置されたキャリア手段に対して同時に作用し、それにより部品の数を低減し、収益性及び信頼性を促進することができる。共通軸の周りを回転するキャリア手段の場合、キャリア手段の全ての可能な角度位置で、キャリア手段の回転方向において、解放エレメントがキャリア手段の解放エレメントに到達することを可能とする角度延長を有するようにして達成することができる。この種の解放エレメントは、弧状に、特に円弧状に延ばすことができる。この種の解放エレメントは、共通軸に対して、キャリア手段の回転中心からの解放エレメントの半径方向の距離に対応する半径方向の距離で動作することができる。解放エレメントは、好ましくは、共通軸に対して平行な方向へ動作する。解放エレメントは、好ましくは、キャリア手段に保持された織アクセサリの方向と反対の側からキャリア手段へ向かって動作する。
【0013】
補完的な保持エレメントを有する関連するキャリア手段は、各キャリア手段(及び各保持エレメント)にそれぞれ配置することが可能であり、関連するキャリア手段は、保持エレメントが移動する平面に対して垂直な共通軸に沿って軸方向の距離をもって配置される。この軸方向の距離は、織アクセサリの長さに合わせて調整できる。保持エレメントは、共通軸に沿って軸方向に対して垂直である2つの平面上に分離させることができる。関連するキャリア手段の保持エレメントは、それぞれの場合において、それぞれの補完的な保持エレメントと共に、その両端近傍で、その長手方向に、長手方向に予圧が付与された織アクセサリをハンドリングするように機能する。このようにして、保持エレメント間の織アクセサリの煩雑な動作が、少なくとも部分的に排除される。2つの補完的な保持エレメントのうちの少なくとも1つは、それぞれのキャリア手段へ移動可能に配置することが可能であり、その結果、織アクセサリは、2つの補完的な保持エレメントの間に予圧が付与されることで保持することができる。可動保持エレメントは、好ましくは、外力が作用していないときに織アクセサリが予圧状態にあるように、キャリア手段に設けられる。装置が、保持エレメントを変位させることが可能な弛緩エレメント又は保持エレメントに配置された圧力緩和エレメントを有する場合に有利である。保持エレメントの変位は、好ましくは、共通軸の方向に対して平行である。キャリア手段に対して移動可能に配置された保持エレメントは、保持エレメントのベアリング軸の周りを旋回可能に配置することができる。弛緩エレメントは、解放エレメントと同様に、受入装置の任意のコンポーネントの保持エレメントを変位させることができるように、角度を付けて延出させることができる。同じように機能する追加の弛緩エレメントを供給装置に配置することができる。弛緩エレメントは、解放エレメントと同じ方向へ移動する。特に、弛緩エレメントと解放エレメントとは、受入装置に一体的に構成することが可能であり、これにより、部品点数を低減し、信頼性を向上させることができる。しかし、弛緩エレメントが解放エレメントよりも先に動作することが好ましい。
【0014】
少なくとも2つの保持エレメントが共通軸の周りに回転可能に配置されることは有利である。少なくとも2つの保持エレメントが、それらの角度位置に関して相互に独立して共通軸の周りに配置される場合にも有利である。1つの平面に配置された異なる保持エレメントを同じ角度位置に配置することはできない。キャリア手段が衝突するのを防ぐため、角度位置での所定の最小距離が必要である。共通の平面で動作するキャリア手段、例えば、第1の保持エレメントのためのキャリア手段及び少なくとも1つのさらなる保持エレメントのためのキャリア手段を、共通軸の周囲を相互に取り巻くシャフト上に配置することは有利である。キャリア手段は、電気モータにより駆動することができる。各キャリア手段は、個々に電気モータを有することができる。
【0015】
本発明に係る織アクセサリのハンドリング方法は、供給装置と受入装置との間で織アクセサリのための第1の保持エレメント及び少なくとも1つのさらなる保持エレメントの周期的移動を含む。本発明に係る方法は、少なくとも第1の保持エレメントが、少なくとも1つのさらなる保持エレメントが静止状態の間、供給装置と受入装置との間のその周期的移動の少なくとも一部を完了することを特徴とする。この2つ以上の保持エレメントの独立した動作は、ハンドリングプロセスの完了時に、各保持エレメントが各保持エレメントに設けられた織アクセサリをさらに移動させるか、又は他の処理プロセスが完了するのを待つことなく新規に織アクセサリをピックアップすることが可能であり、装置を高い繰り返し率で運転することができる。その結果、全ての処理プロセスを迅速且つ連続して最適に完了させることができる。特定の引き通し形態により引き起こされる個々のハンドリング装置間の長い距離は、必ずしも他のハンドリングプロセス及びキャリア手段の動作を遅くしないので、織アクセサリを高い繰り返し率でフレキシブルに引き通すことができる。
【0016】
供給装置において、補完的な第1の保持エレメント及び/又は少なくとも1つの補完的なさらなる保持エレメントは、弛緩エレメントにより共通軸に対して平行な方向へ変位可能であり、それにより、織アクセサリをピックアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る装置の必須コンポーネントの象徴的な斜視図を示す。
【
図2】第1又はさらなる保持エレメントのためのキャリア手段の象徴的な側面図を示す。
【
図3】補完的な第1の又は補完的なさらなる保持エレメントのためのキャリア手段の象徴的な側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る装置1の必須コンポーネントの象徴的な斜視図を示す。共通軸18に沿って、2つの保持エレメント2及び3が装置1の上部領域に示され、2つの保持エレメント13及び14が装置1の下部領域に示される。保持エレメント2、3、13及び14は、図示されていない織アクセサリを図の左側の供給装置4から図の右側の受入装置5まで移動させるために提供される。図に示される供給装置4は、レールとして示される2つの上部コンポーネント41及び42と、織アクセサリがここに配置され、保持エレメント2、3、13、及び14によりピックアップ可能な2つの下部コンポーネント又はレール43及び44とを備える。図に示される受入装置5は、上部領域に2つのコンポーネント又はレール51及び52を含み、下部領域に2つのレール53及び54を含み、そこに引き通された織アクセサリを移動させることができる。考えられる全ての実施形態において、供給装置4及び受入装置5の両方は、相互に独立し、概して異なる数のレール又はコンポーネントを有し、その数は、例えば、1から24までの範囲とすることができる。
【0019】
第1の保持エレメント2は、キャリア手段6に設けられる。第2の保持エレメント3は、キャリア手段7に設けられる。補完的な第1の保持エレメント13は、キャリア手段15に設けられる。補完的なさらなる保持エレメント14は、キャリア手段16に設けられる。キャリア手段6、7、15及び16は、共通軸18の周りに回転可能に配置される。第1の保持エレメント2及び補完的な第1の保持エレメント13は、そのエンドループにおいて予圧ヘルドを供給装置4から受入装置5へ移動させることができる。同様に、さらなる保持エレメント3及び補完的なさらなる保持エレメント14は、そのエンドループにおいて予圧ヘルドを供給装置4から受入装置5へ移動させることができる。この目的のため、保持エレメント13及び14は、ベアリング軸21により示されるように、キャリア手段15及び16に旋回可能に設けられる。ヘルドを弛緩するため、保持エレメント13及び14は、図のように、弛緩エレメント20と共に上方へ移動することができる。図の右側に示される弛緩エレメント20は、解放エレメント12と一体的に構成される。このようにして、無張力ヘルドは、キャリア手段7及び16のプッシュオフエレメント9により、受入装置のレール52及び54上へ移送することができる。プッシュオフエレメント9は、引抜き状態で適切に示される。プッシュオフエレメント8は、引張り状態で示される。開示された実施形態では、キャリア手段7及び16は、先ず、レール52及び54からさらにレール51及び53まで回転する。次に、キャリア手段7及び16は、予圧エレメント19と係合する静止装置エレメント10を通過し、それにより、キャリア手段6及び15の場合に示されるように、プッシュオフエレメントを、引抜き状態(プッシュオフエレメント9として示される)から引張り状態(プッシュオフエレメント8として示される)へ移行させる。
【0020】
解放エレメント12は、プッシュオフエレメント8のロックを解除するため、それからそれらを引張り状態(プッシュオフエレメント8として示される)から引抜き状態(プッシュオフエレメント9として示される)へ移行させるため、解放エレメント11と相互作用する。この目的のため、解放エレメント12は、共通軸18に対して平行に移動する。各キャリア手段6、7、15、及び16について、2つの解放エレメント11が示される。他の実施形態では、キャリア手段6、7、15、及び16は、解放エレメント11を1つだけ持つことができる。
【0021】
図2は、第1又はさらなる保持エレメント2又は3のキャリア手段6又は7の象徴的な側面図を示す。この拡大図では、保持エレメント2又は3のペンシル形の構成がより容易に認識できる。プッシュオフエレメント8は、引張り状態で示される。
【0022】
図3は、補完的な第1の保持エレメント13又は補完的なさらなる保持エレメント14のためのキャリア手段15又は16の象徴的な側面図を示す。
図2と比較して、ここに示されるキャリア手段15又は16は、可動構成のためのベアリング軸21を備える。さらに、図は任意の圧力解放保持エレメント17を示す。これにより、弛緩エレメント20は、旋回可能な保持エレメントを直接押圧しない。
【符号の説明】
【0023】
1 装置、2 第1の保持エレメント、3 さらなる保持エレメント、4 供給装置、5 受入装置、6 第1の保持エレメントのキャリア手段、7 少なくとも1つのさらなる保持エレメントのキャリア手段、8 引張りプッシュオフエレメント、9 引抜きプッシュオフエレメント、10 静止装置エレメント、11 解放エレメント、12 解放エレメント、13 補完的な第1の保持エレメント、14 補完的なさらなる保持エレメント、15 第1の保持エレメントのキャリア手段、16 補完的なさらなる保持エレメントのキャリア手段、17 圧力解放エレメント、18 共通軸、19 予圧エレメント、20 弛緩エレメント、21 保持エレメントのベアリング軸、41 供給装置のコンポーネント4、42 供給装置のコンポーネント4、43 供給装置のコンポーネント4、44 供給装置のコンポーネント4、51 受入装置のコンポーネント5、52 受入装置のコンポーネント5、53 受入装置のコンポーネント5、54受入装置のコンポーネント5