(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】リバーロキサバン含有錠剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20240628BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240628BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240628BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240628BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K9/20
A61K9/28
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/44
A61P7/02
(21)【出願番号】P 2022052554
(22)【出願日】2022-03-09
【審査請求日】2023-10-06
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2021074453
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306020438
【氏名又は名称】日本ジェネリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(72)【発明者】
【氏名】大崎 究
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】石井 徹
【審判官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105457036(CN,A)
【文献】特開2021-195335(JP,A)
【文献】特表2007-512274(JP,A)
【文献】添加剤の特性・選び方・使い方ノウハウ集,第30~38頁,2012年1月31日発行、株式会社 技術情報協会
【文献】医薬品添加物事典2016,第340頁,2016年2月18日発行,株式会社 薬事日報社
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream III)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リバーロキサバン、並びに、セルロース系ポリマーとして、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びヒプロメロースを含有してなる錠剤であって、
当該錠剤は、フィルムコーティング錠又は口腔内崩壊錠であり、
前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、
フィルムコーティング錠の場合に錠剤全量に対して9~15重量%の割合で含むか、又は
口腔内崩壊錠の場合に錠剤全量に対して、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとして5.0重量%の割合で含み、かつ低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
を含有する「D-マンニトール・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース・ポリビニルアルコール(完全けん化物)
造粒物」を30.8重量%の割合で含むことを特徴とする、錠剤。
【請求項2】
前記セルロース系ポリマーの粘度が、1~10mPa・sのセルロース系ポリマーを含有してなる請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
更に、医薬品添加物を含む、請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
医薬品添加物が、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、及び界面活性剤からなる群より選択される1種又は2種以上含む、請求項3に記載の錠剤。
【請求項5】
賦形剤が、D-マンニトール、乳糖水和物、D-ソルビトール、白糖、デンプン、α化デンプン、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種又は2種以上含む、請求項4に記載の錠剤。
【請求項6】
賦形剤が、D-マンニトールである請求項5に記載の錠剤。
【請求項7】
崩壊剤が、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びクロスポビドンからなる群より選択される1種又は2種以上含む、請求項4項に記載の錠剤。
【請求項8】
滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上含む、請求項4に記載の錠剤。
【請求項9】
界面活性剤が、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選択される1種又は2種以上含む、請求項4に記載の錠剤。
【請求項10】
リバーロキサバン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む混合物に対して、ヒプロメロースを含む溶媒を加えて、撹拌造粒により製造されたリバーロキサバンを含む造粒物を含有してなる、請求項1~
9のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶出性及び経口吸収性が改善されてなる、リバーロキサバン含有医薬錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リバーロキサバンは選択的直接作用型第Xa因子阻害剤であり、血栓塞栓性疾患の予防及び治療に有用である。
【0003】
リバーロキサバンを有効成分とし、「イグザレルト(登録商標)錠」、「イグザレルト(登録商標)OD錠」及び「イグザレルト(登録商標)細粒分包」とする医薬製剤として販売(バイエル薬品株式会社)されており、また、該錠剤に関する医薬添付文書には、同錠剤がヒプロメロースを含有するフィルムコーティング錠であることが記載されている(非特許文献1)。
【0004】
他方、リバーロキサバンを有効成分とする製剤として「イグザレルト(登録商標)錠」、「イグザレルト(登録商標)OD錠」及び「イグザレルト(登録商標)細粒分包」に関連するであろう特許文献1には、リバーロキサバンは比較的水溶解性に乏しいこと(約7mg/L)、経口バイオアベイラビリティー(Bioavailability;以下、BA)の低さ及び吸収速度の生物学的変動性の増加が生じることから、製剤化工程において、湿式造粒法(流動層造粒)の採用により、BAが改善されてなる、リバーロキサバン含有医薬組成物に関する発明が記載されている。また、特定処方については、流動層造粒、或いは高速撹拌造粒により製造された、医薬組成物について記載されている。
【0005】
「イグザレルト(登録商標)錠」の医薬添付文書には、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、三二酸化鉄、マクロゴール4000、酸化チタンを含有するフィルムコーティング錠剤であることが記載されている(非特許文献1)。「イグザレルト(登録商標)OD錠」の医薬添付文書には、クロスカルメロースナトリウム、ヒプロメロース、軽質無水ケイ酸、D-マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、フマル酸ステアリルナトリウムを含有する口腔内崩壊錠であることが記載されている(非特許文献2)。
【0006】
特許文献2には、特許文献1とほとんど成分の変わらない特定処方について、高速撹拌造粒や流動層造粒により製造された、リバーロキサバン含有錠剤に関する発明が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、溶出性が改善され、高い経口BAを有している医薬組成物に関する発明が記載されている。実施例に具体的に開示された錠剤において、微結晶セルロースがリバーロキサバンの溶出性を低下させていること(課題)が見出されたこと、課題を解決するための手段について、結晶セルロースの配合量を5%以下とする医薬組成物に関する発明が記載されている。
【0008】
しかしながら、リバーロキサバンの溶解性が改善され、良好なバイオアベイラビリティーが期待できる新たな技術開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】日本特許第4852423号
【文献】国際公開第2017/146709号
【文献】特開2019-108324号
【非特許文献】
【0010】
【文献】添付文書「イグザレルト錠10mg/15mg」、2019年6月改訂(第1版)
【文献】添付文書「イグザレルトOD錠10mg/15mg」、2020年8月作成(第1版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
リバーロキサバンは難水溶性薬物に該当するため、経口投与に際して溶出性及び経口吸収性を改善することが必要である。リバーロキサバンを有効成分として含有する医薬組成物であって、改善された溶出性を備えており、優れた経口バイオアベイラビリティーを有する医薬組成物を提供する。
【0012】
したがって、本発明の目的は、溶出性及び経口吸収性が改善されてなる、リバーロキサバン含有医薬錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者らは、各種ポリマーについて、溶液中におけるリバーロキサバンの溶出性の観点から、特定のセルロース系ポリマーが、本発明の効果を有することを確認して、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の通りである:
(1)リバーロキサバン、並びに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びメチルセルロースからなる群より選択される1種又は2種以上のセルロース系ポリマーを含有してなる、錠剤、
(2)セルロース系ポリマーとして、少なくとも低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有してなる、前記(1)記載の錠剤、
(3)セルロース系ポリマーとして、更にその粘度が、1~10mPa・sのセルロース系ポリマーを含有してなる前記(1)~(2)のいずれかに記載の錠剤、
(4)更に、医薬品添加物を含む、前記(1)~(3)のいずれかに記載の錠剤、
(5)医薬品添加物が、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、及び界面活性剤からなる群より選択される1種又は2種以上含む、前記(1)~(4)のいずれかに記載の錠剤、
(6)賦形剤が、D-マンニトール、乳糖水和物、D-ソルビトール、白糖、デンプン、α化デンプン、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムからなる群より選択される1種又は2種以上含む、前記(1)~(5)のいずれかに記載の錠剤、
(7)賦形剤が、D-マンニトールである前記(5)~(6)のいずれかに記載の錠剤、
(8)崩壊剤が、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びクロスポビドンからなる群より選択される1種又は2種以上含む、前記(1)~(7)のいずれかに記載の錠剤、
(9)滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、及びショ糖脂肪酸エステルからなる群より選択される1種又は2種以上含む、前記(1)~(8)のいずれかに記載の錠剤、
(10)界面活性剤が、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群より選択される1種又は2種以上含む、前記(1)~(9)のいずれかに記載の錠剤、
(11)セルロース系ポリマーの配合量が、錠剤全量に対して、0.1~10重量%である、前記(1)~(10)のいずれかに記載の錠剤、
(12)フィルムコーティング錠、口腔内崩壊錠である前記(1)~(11)のいずれかに記載の錠剤、
(13)リバーロキサバン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む混合物に対して、その粘度が、1~10mPa・sのセルロース系ポリマーを含む溶媒を加えて、撹拌造粒により製造されたリバーロキサバンを含む造粒物を含有してなる、錠剤の製造方法、に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成を採用することにより、溶液中においてリバーロキサバンが過飽和状態にあってはその過飽和状態を維持することができる(後記試験例1参照)等、リバーロキサバンの溶解性を改善して、リバーロキサバンの溶出性を高め、その結果、リバーロキサバンの経口バイオアベイラビリティーを改善する効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】各種結合剤を水に溶解させた試験液に対し、リバーロキサバンを溶解させた原薬溶液を滴下し、リバーロキサバンの沈降を評価するため、試験開始時から経時的に、UV測定法により、リバーロキサバンの溶解量を算出した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明のリバーロキサバン含有医薬組成物に関して説明する。
【0018】
本発明に用いられるリバーロキサバンは、一般名5-クロロ-N-([{5S}-2-オキソ-3-[4-(3-オキソモルホリン-4-イル)-フェニル]-1、3-オキサゾリジン-5-イル]メチル)チオフェン-2-カルボキサミドと称し、当該有効成分を含有する医薬は既に臨床に使用されており、リバーロキサバンは容易に入手することができる。リバーロキサバンの形態は、結晶状態、非晶質状態のいずれでも使用することができる。
【0019】
効能及び効果は、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制とする。用法及び用量は、前者の場合、通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する。なお、腎障害のある患者に対しては、腎機能の程度に応じて10mg1日1回に減量する。次に後者の場合、通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。
【0020】
配合量は、医薬品製剤としての用量を構成する製剤中のリバーロキサバン量であれば、特に制限されない。例えば、ある態様として1~20重量%、また、ある態様として5~15重量%である。
【0021】
本発明に用いられるセルロース系ポリマーとしては、溶液中におけるリバーロキサバンの過飽和状態を維持し得るもの等、リバーロキサバンの溶解性を改善するものであれば、特に制限されない。また、セルロース系ポリマーとしては、製薬学的に許容され得るものであり、粘度として1~10mPa・sを示すものであれば、特に制限されない。具体的には、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等が含まれる。ある態様として、ヒプロメロースでは、粘度が1~10mPa・s(約4.5mPa・s)のグレード、例えば、TC-5M(商品名、信越化学工業製);ヒドロキシプロピルセルロースでは、粘度が1~10mPa・s(約3~5.9mPa・s)のグレード、例えば、HPC-SL(商品名、日本曹達製);メチルセルロースでは、粘度が1~10mPa・s(約4mPa・s)のグレード、例えば、SM-4(商品名、信越化学工業製)等が含まれる。なお、粘度数値は、20℃における2%水溶液濃度を意味する(日本薬局方)。粘度測定については、第17改正日本薬局方 粘度測定法に従って行うこととする。具体的には、例えば、ウベローデ型による毛細管粘度計法が挙げられる。また、セルロース系ポリマーとしては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。具体的には、例えば、品番LH-11、LH-21、LH-22、LH-B1、LH-31、LH-32、NBD-022、NBD-021、NBD-020等が含まれる。本発明に用いられるセルロース系ポリマーとしては、ある態様としては、少なくとも、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有し、適宜1種または2種以上のセルロース系ポリマーが更に含まれる。なお、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、崩壊剤としての機能を有する。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、溶出性を改善するものであれば、特に制限されないが、1錠剤あたり、ある態様として9重量%以上である。
【0022】
セルロース系ポリマーの配合量は、溶液中におけるリバーロキサバンの過飽和状態を維持し得る等、リバーロキサバンの溶解性を改善する量であれば、特に制限されない。具体的には、例えば、0.1重量%以上、ある態様としては0.5重量%以上であり、20重量%以下、ある態様としては10重量%以下、5重量%以下である(参考例:3重量%相当)。下限値及び/又は上限値の数値は、適宜とり得る数値と組合せることができる。具体的には、例えば、0.1~20重量%、0.1~10重量%、0.5~5重量%、0.5~10重量%、0.5~20重量%、0.1~5重量%等が挙げられる。セルロース系ポリマーの一部分はコーティング剤としてコーティングされていてもよく、錠剤中に含まれる量として解釈される。
【0023】
セルロース系ポリマーの配合については、本発明の錠剤に含まれる態様であれば、特に制限されない。具体的には、例えば、賦形剤、結合剤、コーティング剤等として含まれる態様を含む。
【0024】
なお、本明細書において錠剤とは、素錠、口腔内崩壊錠、フィルムコーティング錠が含まれる錠剤を意味する。
【0025】
本発明のリバーロキサバンを含有する錠剤には、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、及び界面活性剤からなる群より選択される1種又は2種以上の医薬品添加物を含む。
【0026】
賦形剤としては、例えば、D-マンニトール、D-ソルビトール、乳糖水和物、白糖、デンプン、α化デンプン、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、D-マンニトール・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース・ポリビニルアルコール(完全けん化物)造粒物等が挙げられる。
【0027】
崩壊剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。
【0028】
滑沢剤としては、例えば、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0029】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0030】
本発明のリバーロキサバンを含有する錠剤には、本発明の所望の効果が達成される範囲で更なる各種医薬品添加物が適宜使用され、製剤化される。かかる医薬品添加物としては、製薬学的に許容され、かつ薬理学的に許容されるものであれば特に制限されない。例えば、結合剤、コーティング剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、抗酸化剤等が使用される。
【0031】
結合剤としては、例えば、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0032】
コーティング剤としては、例えば、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0033】
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0034】
発泡剤としては、例えば、重曹等が挙げられる。
【0035】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。
【0036】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール等を挙げることができる。
【0037】
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号等が挙げられる。
【0038】
緩衝剤としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、アスコルビン酸又はその塩類、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン又はその塩類、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸、ホウ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0039】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル等が挙げられる。
【0040】
本発明の錠剤は、粉砕、混合、造粒、乾燥、成形(打錠)、コーティング等の工程を含む、自体公知の方法により、製造することができる。詳細には、本発明の錠剤は、(予め粉砕されてもよい)リバーロキサバン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、賦形剤(例えば、D-マンニトール、結晶セルロース等)を混合後、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース以外のセルロース系ポリマー(例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)及び界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等)を溶媒(例えば、水等)に溶解及び/又は懸濁した溶液を結合液として撹拌造粒し、当該造粒物を乾燥・整粒後に、当該造粒物に、崩壊剤(例えば、クロスポビドン等)、滑沢剤(例えば、フマル酸ステアリルナトリウム等)を混合して、当該混合物を圧縮成形(例えば、打錠)し、素錠(本発明の錠剤)が製造される。更に、該素錠に対して、コーティング剤(例えば、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、タルク等)が被覆されることにより、フィルムコーティング錠(本発明の錠剤)が製造される。なお、リバーロキサバンを配合する工程については、造粒工程では混合工程、結合剤溶液の調製工程、造粒物に崩壊剤、滑沢剤を添加・混合工程等、いずれでの工程であってよい。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0042】
《試験例1:過飽和維持検討》
リバーロキサバンに対して高い過飽和維持特性を示す結合剤を探索した。本検討で用いた結合剤は下記表1に示す。
【0043】
【0044】
結合剤3mgを精製水900ml中に溶解させ得た試験液に対し、リバーロキサバン2gをジメチルスルホキシド30ml中に溶解させ得た原薬溶液を1.5ml滴下し、パドル法200rpmにて溶出試験を行った。試験開始から30分後まで経時的にサンプルを10mL抜き取り、孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液1mLにアセトニトリル4mLを加えた液について、UV測定法により波長248.0nmにおける吸光度から溶出率を算出した。測定結果を
図1に示す。
【0045】
図1の結果から、TC-5M及びSM-4、HPC-SLでは、他の結合剤より優れた過飽和維持特性を有することが明らかとなった。
【0046】
《参考例1》(結合剤:TC-5M)
リバーロキサバン20g、D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)135g、カルメロース(五徳薬品製:NS300)20g及び結晶セルロース(旭化成製:PH-101)12gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース;信越化学工業製:TC-5M)6g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1gを精製水43gに溶解させた結合剤溶液を噴霧し、造粒する。造粒終了後、目開き1.7mmの篩にて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にクロスポビドン(BASFジャパン製:Kollidon CL-F)3gを添加して混合後、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS Pharma製:PRUV)3gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量100mg、φ6.5mmの円形錠とし、本圧11kgで打錠を行い、参考例1の錠剤を得る。
【0047】
《参考例2》(結合剤:HPC-SL)
リバーロキサバン20g、D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)135g、カルメロース(五徳薬品製:NS300)20g及び結晶セルロース(旭化成製:PH-101)12gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌後、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製:HPC-SL)6g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1gを精製水43gに溶解させた結合剤溶液を噴霧し、造粒する。造粒終了後、目開き1.7mmの篩にて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にクロスポビドン(BASFジャパン製:Kollidon CL-F)3gを添加して混合後、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS Pharma製:PRUV)3gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量100mg、φ6.5mmの円形錠とし、本圧10kgで打錠を行い、参考例2の錠剤を得る。
【0048】
《参考例3》(結合剤:SM-4)
リバーロキサバン20g、D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)135g、カルメロース(五徳薬品製:NS300)20g及び結晶セルロース(旭化成製:PH-101)12gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌後、メチルセルロース(信越化学工業製:SM-4)6g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1gを精製水43gに溶解させた結合剤溶液を噴霧し、造粒する。造粒終了後、目開き1.7mmの篩にて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にクロスポビドン(BASFジャパン製:Kollidon CL-F)3gを添加して混合後、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS Pharma製:PRUV)3gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量100mg、φ6.5mmの円形錠とし、本圧11kgで打錠を行い、参考例3の錠剤を得る。
【0049】
《参考例4》(結合剤:TC-5M)
D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)135g、カルメロース(五徳薬品製:NS300)20g及び結晶セルロース(旭化成製:PH-101)12gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌し造粒用混合物とする。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース;信越化学工業製:TC-5M)6g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1gを精製水43gに溶解させ、さらにリバーロキサバン20gをこの溶液に懸濁して結合剤溶液を得る。造粒用混合物を撹拌しつつ結合剤溶液を滴下し造粒する。造粒終了後、目開き1.7mmの篩にて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にクロスポビドン(BASFジャパン製:Kollidon CL-F)3gを添加して混合後、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS Pharma製:PRUV)3gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量100mg、φ6.5mmの円形錠とし、打錠を行い、参考例4の錠剤を得る。
【0050】
《参考例5》(結合剤:HPC-SL)
D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)135g、カルメロース(五徳薬品製:NS300)20g及び結晶セルロース(旭化成製:PH-101)12gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌し造粒用混合物とする。ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製:HPC-SL)6g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1gを精製水43gに溶解させ、さらにリバーロキサバン20gをこの溶液に懸濁して結合剤溶液を得る。造粒用混合物を撹拌しつつ結合剤溶液を滴下し造粒する。造粒終了後、目開き1.7mmの篩にて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にクロスポビドン(BASFジャパン製:Kollidon CL-F)3gを添加して混合後、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS Pharma製:PRUV)3gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量100mg、φ6.5mmの円形錠とし、打錠を行い、参考例5の錠剤を得る。
【0051】
《参考例6》(結合剤:SM-4)
D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)135g、カルメロース(五徳薬品製:NS300)20g及び結晶セルロース(旭化成製:PH-101)12gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌し造粒用混合物とする。メチルセルロース(信越化学工業製:SM-4)6g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1gを精製水43gに溶解させ、さらにリバーロキサバン20gをこの溶液に懸濁して結合剤溶液を得る。造粒用混合物を撹拌しつつ結合剤溶液を滴下し造粒する。造粒終了後、目開き1.7mmの篩にて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にクロスポビドン(BASFジャパン製:Kollidon CL-F)3gを添加して混合後、フマル酸ステアリルナトリウム(JRS Pharma製:PRUV)3gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量100mg、φ6.5mmの円形錠とし、打錠を行い、参考例6の錠剤を得る。
【実施例1】
【0052】
(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース10%)
リバーロキサバン45g、D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)172.8g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製:LH-21)24gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース;信越化学工業製:TC-5M)9g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1.5gを精製水69gに溶解させた結合剤溶液を滴下し、造粒する。造粒終了後、コーミル(QC-U5丸穴、2.972mm)を用いて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製:ステアリン酸マグネシウム 植物性)2.7gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量85mg、φ6.0mmの円形錠とし、本圧7kgで打錠を行い素錠を得る。得られた素錠に、ヒプロメロース60g、マクロゴール12g、酸化チタン6g、タルク22g、三二酸化鉄2gを水760gに溶解、分散させたコーティング液を用いて、コーティング機(パウレック製:PRC-GTXmini)にて1錠当たり2.5mgコーティングし、フィルムコーティング錠を得る。得られたフィルムコーティング錠をカルナウバロウ(日本ワックス製:ポリシングワックス-105)0.001mgと混合し、錠剤1(87.5mg)を得る。
【実施例2】
【0053】
(比較例2)
(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース5%)
リバーロキサバン45g、D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP )184.8g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製:LH-21)12gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌後、ヒプロメロース(信越化学工業製:TC-5M)9g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製 :SLS-P)1.5gを精製水58gに溶解させた結合剤溶液を滴下し、造粒する。造粒終了後、コーミル(QC-U5丸穴、2.972mm)を用いて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製 :ステアリン酸マグネシウム 植物性)2.7gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量85mg、φ6.0mmの円形錠とし、本圧7kgで打錠を行い素錠を得る。得られた素錠に、ヒプロメロース60g、マクロゴール12g、酸化チタン6g、タルク22g、三二酸化鉄2gを水760gに溶解、分散させたコーティング液を用いて、コーティング機(パウレック製:PRC- GTXmini)にて1錠当たり2.5mgコーティングし、フィルムコーティング錠を得る。得られたフィルムコーティング錠をカルナウバロウ(日本ワックス製:ポリシングワックス-105)0.001gと混合し、錠剤2を得る。
【実施例3】
【0054】
(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース15%)
リバーロキサバン45g、D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)157.8g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製:LH-21)39gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌後、ヒプロメロース(信越化学工業製:TC-5M)9g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1.5gを精製水78gに溶解させた結合剤溶液を滴下し、造粒する。造粒終了後、コーミル(QC-U5 丸穴、2.972mm)を用いて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製:ステアリン酸マグネシウム 植物性)2.7gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量85mg、φ6.0mmの円形錠とし、本圧7kgで打錠を行い素錠を得る。得られた素錠に、ヒプロメロース60g、マクロゴール12g、酸化チタン6g、タルク22g、三二酸化鉄2gを水760gに溶解、分散させたコーティング液を用いて、コーティング機(パウレック製:PRC-GTXmini)にて1錠当たり2.5mgコーティングし、フィルムコーティング錠を得る。得られたフィルムコーティング錠をカルナウバロウ(日本ワックス製:ポリシングワックス-105)0.001gと混合し、錠剤3を得る。
【実施例4】
【0055】
(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース10%、HPC-SL)
リバーロキサバン45g、D-マンニトール(三菱商事フードテック製:マンニットP)172.8g及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製:LH-21)24gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-01)に投入して撹拌後、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製:HPC-SL)9g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)1.5gを精製水66gに溶解させた結合剤溶液を滴下し、造粒する。造粒終了後、コーミル(QC-U5 丸穴、2.972mm)を用いて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、再度目開き1.0mmの篩にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末にステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製:ステアリン酸マグネシウム 植物性)2.7gを添加して混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量85mg、φ6.0mmの円形錠とし、本圧7kgで打錠を行い素錠を得る。得られた素錠に、ヒプロメロース60g、マクロゴール12g、酸化チタン6g、タルク22g、三二酸化鉄2gを水760gに溶解、分散させたコーティング液を用いて、コーティング機(パウレック製:PRC-GTXmini)にて1錠当たり2.5mgコーティングし、フィルムコーティング錠を得る。得られたフィルムコーティング錠をカルナウバロウ(日本ワックス製:ポリシングワックス-105)0.001gと混合し、錠剤4を得る。
【実施例5】
【0056】
(口腔内崩壊錠)
リバーロキサバン375g、D-マンニトール(ロケットジャパン製:PEARLITOL 25C)1372.5g、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業製:LH-21)225gを撹拌造粒機(パウレック製:VG-10)に投入して撹拌後、ヒプロメロース(信越化学工業製:TC-5E)75g及びラウリル硫酸ナトリウム(日光ケミカルズ製:SLS-P)9.75gを精製水525gに溶解させた結合剤溶液を投入し、造粒する。造粒終了後、コーミル(QC-U5 丸穴、2.972mm)にて篩過した後、流動層造粒乾燥機(パウレック製:MP-01)を用いて乾燥させ、パワーミル(P-04Sメッシュ、0.5mm)にて篩過し、整粒末を得る。得られた整粒末82.29gにD-マンニトール・低置換度ヒドロキシプロピルセルロース・ポリビニルアルコール(完全けん化物)造粒物(信越化学工業製:SmartEx QD-100)55.41g、結晶セルロース(旭化成製:セオラスUF-702)18g、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ製:局方コーンスターチホワイト)18g、クロスポビドン(BASFジャパン製:Kollidon CL-F)4.5g、及びフマル酸ステアリルナトリウム(JRS Pharma製:PRUV)1.8gを加えてポリ袋にて混合し打錠末を得る。ロータリー式打錠機(菊水製作所製:VEL5)を用いて、錠剤質量180mg、φ8mmの円形錠とし、本圧5kgでステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製:ステアリン酸マグネシウム 植物性)を外部滑沢装置(菊水製作所製:ELS-P1 Type3)にて噴霧しながら打錠を行い、本発明の錠剤(錠剤5)を得る。
【0057】
《試験例2:溶出試験》
実施例1、3~5並びに比較例1(バイエル薬品:イグザレルト(登録商標)錠15mg)及び比較例2で得られた錠剤を用いて溶出試験を行った。錠剤の溶解は溶出試験器(富山産業製)においてパドル法にて50rpmで、0.5%ポリソルベート80(純正化学工業製)を含有する溶出試験第1液または0.5%ポリソルベート80(純正化学工業製)を含有する溶出試験第2液900ml中で行った。試験開始から120分後まで経時的にサンプルを10ml抜き取り、孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液についてUV測定法により波長248.0nmにおける吸光度から溶出率を算出した。0.5%ポリソルベート80(純正化学工業製)を含有する溶出試験第1液での測定結果を表2に、0.5%ポリソルベート80(純正化学工業製)を含有する溶出試験第2液での測定結果を表3に示す。
【0058】
【0059】