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特許7511602作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240628BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240628BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240628BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240628BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G1/137 F
G06T7/00 610Z
G06Q10/06
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022075418
(22)【出願日】2022-04-28
(65)【公開番号】P2023164088
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】本間 泰輔
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-156746(JP,A)
【文献】特開2019-113958(JP,A)
【文献】特開2014-191787(JP,A)
【文献】特開2010-204758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B65G 1/137
G06T 7/00
G06Q 10/06
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、
前記管理装置に接続され、作業台の画像を生成して前記管理装置に画像データを送信する、カメラと、
前記作業台上であり、物品を前記作業台上に置くと、前記物品によって隠され前記画像に表示されなくなる位置に表示される、ARマーカーと、
を備え、前記管理装置は、
前記画像データ内の、前記ARマーカーの読み取り結果に基づいて、作業の状態を判断する期間判定部と、
前記作業の状態に基づいて生成される画像であって、作業が開始されたときの前記作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの前記作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像に、前記物品が写っているかを判定する、差分画像判定部と
を備えることを特徴とする作業管理システム。
【請求項2】
管理装置と、
前記管理装置に接続され、作業台の画像を生成して前記管理装置に画像データを送信する、カメラと、
前記作業台上であり、物品を前記作業台上に置くと、前記物品によって隠され前記画像に表示されなくなる位置に表示される、ARマーカーと、
を備え、前記管理装置は、
前記画像データに基づいて、作業の状態を判断する期間判定部と、
前記作業の状態に基づいて生成される画像であって、作業が開始されたときの前記作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの前記作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像に、前記物品が写っているかを判定する、差分画像判定部と、
前記画像データを受信し、前記画像データ内の、前記ARマーカーの読み取りを行い、前記画像データをARマーカー判定部に送信する、ARマーカー読取部と
を備えることを特徴とする作業管理システム。
【請求項3】
管理装置と、
前記管理装置に接続され、作業台の画像を生成して前記管理装置に画像データを送信する、カメラと、
前記作業台上であり、物品を前記作業台上に置くと、前記物品によって隠され前記画像に表示されなくなる位置に表示される、ARマーカーと、
を備え、前記管理装置は、
前記画像データに基づいて、作業の状態を判断する期間判定部と、
前記作業の状態に基づいて生成される画像であって、作業が開始されたときの前記作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの前記作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像に、前記物品が写っているかを判定する、差分画像判定部と
を備え、前記期間判定部は、前記ARマーカーを読み取れない期間が所定の時間を超えた場合に、前記ARマーカーを読み取り不能であると判断することを特徴とする作業管理システム。
【請求項4】
管理装置と、
前記管理装置に接続され、作業台の画像を生成して前記管理装置に画像データを送信する、カメラと、
前記作業台上であり、物品を前記作業台上に置くと、前記物品によって隠され前記画像に表示されなくなる位置に表示される、ARマーカーと、
を備え、前記管理装置は、
前記画像データに基づいて、作業の状態を判断する期間判定部と、
前記作業の状態に基づいて生成される画像であって、作業が開始されたときの前記作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの前記作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像に、前記物品が写っているかを判定する、差分画像判定部と、
前記画像データを受信し、前記画像データ内の、前記ARマーカーの読み取りを行い、前記ARマーカーの読み取り結果を前記期間判定部に送信する、ARマーカー読取部と
を備えることを特徴とする作業管理システム。
【請求項5】
管理装置と、
前記管理装置に接続され、作業台の画像を生成して前記管理装置に画像データを送信する、カメラと、
前記作業台上であり、物品を前記作業台上に置くと、前記物品によって隠され前記画像に表示されなくなる位置に表示される、ARマーカーと、
を備え、前記管理装置は、
前記画像データ内の前記ARマーカーの読み取り結果に基づいて、前記カメラから受信する画像から前記作業台の画像を取得する差分画像取得部と、
前記画像であって、作業が開始されたときの前記作業台の状態を撮像した開始画像データと作業が終了したときの前記作業台の状態を撮像した終了画像データとの差分をとった差分画像に、前記物品が写っているかを判定する、差分画像判定部と
を備えることを特徴とする作業管理システム。
【請求項6】
前記画像データを受信し、前記画像データを前記画像を撮影した時刻とともに記憶する、記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項7】
前記期間判定部は、前記ARマーカーを読み取れる状態から読み取れない状態となったとき前記作業が開始されたと判断し、前記ARマーカーを読み取れない状態から読み取れる状態となったとき前記作業が終了したと判断することを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項8】
前記期間判定部は、一定期間連続して前記ARマーカーを読み取れない状態であった場合に、前記作業が行われていると判断することを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項9】
前記差分画像判定部は、前記期間判定部から、前記作業が終了したという判断結果を受信したのち、前記作業が終了したと判断した時点から前記カメラが第2の所定の枚数分画像を生成するまで時間的にあとのフレームの画像データを終了画像データとして取得することを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項10】
前記差分画像判定部は、前記期間判定部から、前記作業が終了したという判断結果を受信したのち、前記作業が開始されたと判断した時点から前記カメラが第1の所定の枚数分画像を生成するまで時間的に遡ったフレームの画像データを開始画像データとして取得することを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項11】
前記差分画像判定部において、前記物品の形状が写っていると判断されたとき、前記作業が適切に行われていないことを作業員に通知する、通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項12】
前記差分画像判定部は、差分画像に基づいて、直線、円、楕円、又はそれらの組み合わせから成る形状が前記物品の形状であると判断することを特徴とする請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項13】
前記差分画像判定部は、前記形状の検出部分が一定以上の画素数である場合に、前記物品の形状であると判断することを特徴とする請求項12に記載の作業管理システム。
【請求項14】
前記期間判定部は、前記ARマーカーの読み取り成否に基づいて、作業状態を判定する請求項1、2、3、4のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項15】
前記期間判定部は、前記ARマーカーから読み取ったデータの組み合わせに基づいて、作業状態を判定する請求項1、2、3、4のいずれかに記載の作業管理システム。
【請求項16】
前記画像データを受信し、前記画像データ内の、前記ARマーカーの読み取りを行い、前記ARマーカーの読み取った結果を前記期間判定部に送信する、ARマーカー読取部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の作業管理システム。
【請求項17】
作業台の画像を生成する画像生成ステップと、
前記画像内の、ARマーカーの読み取りを行う読み取りステップと、
前記読み取りステップの結果から、作業の状態を判断する期間判定ステップと、
前記作業の状態に基づいて、作業が開始されたときの前記作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの前記作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像を生成する差分画像生成ステップと、
前記差分画像に、物品が写っているかを判定する、差分画像判定ステップと、
を備え、前記ARマーカーは、作業台上であり、前記物品を前記作業台上に置くと、前記物品によって隠され前記画像に表示されなくなる位置に表示されることを特徴とする作業管理方法。
【請求項18】
コンピュータに、
作業台の画像を生成する画像生成手段と、
前記画像内の、ARマーカーの読み取りを行う読み取り手段と、
前記読み取り手段の結果から、作業の状態を判断する期間判定手段と、
前記作業の状態に基づいて、作業が開始されたときの前記作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの前記作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像を生成する差分画像生成手段と、
前記差分画像に、物品が写っているかを判定する、差分画像判定手段と、
を実現させるためのプログラムであって、前記ARマーカーは、作業台上であり、前記物品を前記作業台上に置くと、前記物品によって隠され前記画像に表示されなくなる位置に表示される、作業管理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流の現場において、例えば、日に数万個の商品を、100人~200人の作業員が、箱詰めする作業を行うといった、大規模な作業を行うとき、商品の箱詰めを忘れるという単純ミスが起こり得る(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-84214号公報
【文献】特開2020-42430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その場で気づいて修正できれば良いが、流れ作業であるために、作業員が気づかずに作業工程が進んでしまうことがある。
【0005】
上記問題点を鑑み、本発明は、作業ミスを容易に検出し、作業員が気づいて修正可能な作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラムを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、管理装置と、管理装置に接続され、作業台の画像を生成して管理装置に画像データを送信する、カメラと、作業台上であり、物品を作業台上に置くと、物品によって隠され画像に表示されなくなる位置に表示される、ARマーカーと、を備え、管理装置は、画像データに基づいて、作業の状態を判断する期間判定部と、作業の状態に基づいて生成される画像であって、作業が開始されたときの作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像に、物品が写っているかを判定する、差分画像判定部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明の第1の態様において、画像データを受信し、画像データを画像を撮影した時刻とともに記憶する、記憶部をさらに備えてもよい。
【0008】
本発明の第1の態様において、画像データを受信し、画像データ内の、ARマーカーの読み取りを行い、画像データをARマーカー判定部に送信する、ARマーカー読取部をさらに備えてもよい。
【0009】
本発明の第1の態様において、期間判定部は、ARマーカーを読み取れる状態から読み取れない状態となったとき作業が開始されたと判断し、ARマーカーを読み取れない状態から読み取れる状態となったとき作業が終了したと判断してもよい。
【0010】
本発明の第1の態様において、期間判定部は、一定期間連続してARマーカーを読み取れない状態であった場合に、作業が行われていると判断してもよい。
【0011】
本発明の第1の態様において、期間判定部は、ARマーカーを読み取れない期間が所定の時間を超えた場合に、ARマーカーを読み取り不能であると判断してもよい。
【0012】
本発明の第1の態様において、差分画像判定部は、期間判定部から、作業が終了したという判断結果を受信したのち、作業が終了したと判断した時点からカメラが第2の所定の枚数分画像を生成するまで時間的にあとのフレームの画像データを終了画像データとして取得してもよい。
【0013】
本発明の第1の態様において、差分画像判定部は、期間判定部から、作業が終了したという判断結果を受信したのち、作業が開始されたと判断した時点からカメラが第1の所定の枚数分画像を生成するまで時間的に遡ったフレームの画像データを開始画像データとして取得してもよい。
【0014】
本発明の第1の態様において、差分画像判定部において、物品の形状が写っていると判断されたとき、作業が適切に行われていないことを作業員に通知する、通知部をさらに備えてもよい。
【0015】
本発明の第1の態様において、差分画像判定部は、差分画像に基づいて、直線、円、楕円、又はそれらの組み合わせから成る形状が物品の形状であると判断してもよい。
【0016】
本発明の第1の態様において、差分画像判定部は、形状の検出部分が一定以上の画素数である場合に、物品の形状であると判断してもよい。
【0017】
本発明の第2の態様は、作業台の画像を生成する画像生成ステップと、画像内の、ARマーカーの読み取りを行う読み取りステップと、読み取りステップの結果から、作業の状態を判断する期間判定ステップと、作業の状態に基づいて、作業が開始されたときの作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像を生成する差分画像生成ステップと、差分画像に、物品が写っているかを判定する、差分画像判定ステップと、を備え、ARマーカーは、作業台上であり、物品を前記作業台上に置くと、物品によって隠され画像に表示されなくなる位置に表示されることを要旨とする。
【0018】
本発明の第3の態様は、コンピュータに、作業台の画像を生成する画像生成手段と、画像内の、ARマーカーの読み取りを行う読み取り手段と、読み取り手段の結果から、作業の状態を判断する期間判定手段と、作業の状態に基づいて、作業が開始されたときの作業台の状態を示す開始画像データと作業が終了したときの作業台の状態を示す終了画像データとの差分をとった差分画像を生成する差分画像生成手段と、差分画像に、物品が写っているかを判定する、差分画像判定手段と、を実現させるためのプログラムであって、ARマーカーは、作業台上であり、物品を作業台上に置くと、物品によって隠され画像に表示されなくなる位置に表示されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業ミスを容易に検出し、作業員が気づいて修正可能な作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る作業管理システムの概略を示す図である。
図2】本実施形態に係る作業管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る作業台の上面の様子を示す図であり、図3(a)は作業開始前、図3(b)は作業開始、図3(c)は作業時、図3(d)は作業終了後、図3(e)は作業ミス時の図である。
図4】作業開始時の作業台の上面の様子の詳細を示す図であり、図4(a)は図3(a)と同じ図、図4(b)は作業開始時点、図4(c)は図3(b)と同じ図である。
図5】作業終了時の作業台の上面の様子の詳細を示す図であり、図5(a)は図3(c)と同じ図、図5(b)は作業終了直前、図5(c)は作業終了時、図5(d)は図3(d)と同じ図である。
図6】梱包作業の1サイクルにおける作業台の上面の様子を示す図である。
図7】本実施形態に係る作業管理システムによって生成された、作業ミスがないときの差分画像である。
図8】本実施形態に係る作業管理システムによって生成された、作業ミスがあるときの差分画像である。
図9】本実施形態に係る作業管理システムによって生成された、作業ミスがあるときの差分画像である。
図10】実施形態に係る差分画像判定部の動作を説明するフローチャートである。
図11】実施形態に係る作業管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。又、図面相互間においても互いの関係が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0022】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
(実施形態)
本実施形態に係る作業管理システムを図1を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態に係る作業管理システム10は、カメラ101、通知装置102、管理装置103、ARマーカー104から構成される。
【0024】
カメラ101は、管理装置103に接続されており、作業員が作業を行う作業台105上の様子を撮影可能な位置に設置される。図1において、カメラ101は、作業台105の上方に設置されている。カメラ101は、画像数が1秒間に所定のフレーム数となるように、作業台105を撮影して画像を生成し、管理装置103に画像データを送信する。
【0025】
通知装置102は、管理装置103に接続されており、ブザー、ライト、スピーカー、ディスプレイ等の方法によって作業員に通知する装置である。
【0026】
管理装置103は、パーソナルコンピュータ(PC)、メインフレーム、ワークステーション、クラウドコンピューティングシステム等、種々の電子計算機(計算リソース)であり、ディスプレイ、その他、入力用のキーボード、マウス等が接続されている。
【0027】
ARマーカー104は、データを有するパターン画像である。ARマーカー104がデータを有するとは、画像認識により、ARマーカー104のパターンが、特定の情報に対応付けられることを指す。ARマーカー104は、例えば、バーコード、二次元コード、三次元コードであってよい。また、ARマーカー104は、例えば、写真又は絵画などのように色の濃淡、陰影等によるパターンを有する画像であってもよい。なお、ARマーカー104は、情報を記録できる態様であれば上記の例に特に限定されるものではない。また、ARマーカー104は、例えば、任意の文字、数字等によって構成されてもよい。
【0028】
ARマーカー104が有するデータは、カメラ等の撮像装置によって撮影することにより認識されてよい。ARマーカー104は、作業台105上に表示されてよい。ARマーカー104は、例えば、紙に印刷され、印刷された紙を作業台105上に張り付けることにより、作業台105上に表示されてもよい。又は、ARマーカー104は、薄型ディスプレイ上に表示され薄型ディスプレイを作業台105上に設置する、等により、作業台105上に表示されてもよい。なお、ARマーカー104は、作業台105上において情報を読み取り可能に設置されればよく、設置方法は上記の例に限定されるものではない。
【0029】
図2に、本実施形態に係る管理装置103の構成と機能部の一例を示す。図2に示す管理装置103は、各種の演算実行のためのCPU201、処理用のプログラムを記憶するROM202、データ等の記憶のためのRAM203、各種のデータ及び演算結果等の記憶のための記憶部204、さらに、I/O(インプット・アウトプットインターフェース)205等を備える。I/O205は通信(送受信)用のインターフェース、バッファ等である。I/O205は、カメラ101、及び通知装置102とのデータの送受信等に用いられCPU201と連携する。カメラ101から送信された画像データは、I/O205を介して、RAM203に記憶される。
【0030】
さらに図2のブロック図はCPU201内の機能部を示す。CPU201の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、CPU201は各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現する。詳細には、ARマーカー読取部206、期間判定部207、差分画像取得部208、差分画像生成部209、差分画像判定部210、ユーザ通知部211、カメラ制御部212等を備える。
【0031】
ARマーカー読取部206は、カメラ101が撮影して生成した作業台105の画像データを、I/O205を介して受信し、画像データ内にARマーカーがあれば、ARマーカーを読み取り、ARマーカーを読み取った結果を期間判定部207に送信する。なお、ARマーカーを読み取った結果は、ARマーカーの読み取りに成功したか否かを示すデータであってよい。具体的には、例えば、ARマーカーを読み取った結果は、成功又は失敗を示す数字、文字列又はビット列などであってよい。また、ARマーカーを読み取った結果は、ARマーカーに記憶された任意のデータの内容であってもよい。具体的には、例えば、ARマーカーを読み取った結果は、ARマーカーに記憶された作業台を識別する番号又は文字列などのデータであってよい。
【0032】
期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したARマーカーの読み取りを行った結果を示すデータに基づき、作業が、1サイクルの中で、どの段階であるかを判定する。具体的には、例えば、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したデータがARマーカーの読み取りに成功したことを示すデータである場合、又はARマーカー読取部206から受信したARマーカーから読み取ったデータの組み合わせが所定の組み合わせであった場合に、作業が行われていないと判定してよい。例えば、期間判定部207は、作業台105上に記録するデータが異なる3つのARマーカーA、ARマーカーB、ARマーカーCが表示され、ARマーカー読取部206から受信したデータの組み合わせが、ARマーカーAのデータ、ARマーカーBのデータ、ARマーカーCのデータであれば、作業が行われていないと判断してよい。
【0033】
また、例えば、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したデータがARマーカーの読み取りに失敗したことを示すデータである場合、又はARマーカー読取部206から受信したARマーカーから読み取ったデータの組み合わせが所定の組み合わせであった場合に、作業が行われていると判定してよい。例えば、期間判定部207は、作業台105上に記録するデータが異なる3つのARマーカーA、ARマーカーB、ARマーカーCが表示され、ARマーカー読取部206から受信したデータの組み合わせが、ARマーカーAのデータ、ARマーカーCのデータであれば、作業が行われていると判断してよい。期間判定部207は、作業が行われているか否かの判定結果を、記憶装置に格納してよい。
【0034】
さらに、例えば、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したデータが一定期間連続してARマーカーの読み取りに成功したことを示すデータである場合に、作業が行われていないと判定してよい。これにより、作業過程において、作業員が商品を持ち上げた、作業台から商品が落下したなど、瞬間的、又は短時間ARマーカーの読み取りが可能な状況になった場合に、作業途中であるにも関わらず、作業終了時の判定が行わることを防ぐことができる。
【0035】
また、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したデータが一定期間連続してARマーカーの読み取りに失敗したことを示すデータである場合に、作業が行われていると判定してよい。これにより、センサーノイズや作業員の体など、瞬間的にARマーカーが隠れた場合に、ごく短時間の作業として判定されてしまうといった誤判定を防ぐことができる。
【0036】
期間判定部207は、作業がどの段階であるかを判定したとき、直前に判定した作業の段階と現在の作業の段階を比較して、作業の段階が変化したか否かを判定する。具体的には、例えば、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したARマーカーの読み取り結果に基づいて、「作業が行われていない」と判定し、直前の作業の段階が「作業が行われている」であった場合に、「作業が終了した」と判定してよい。また、例えば、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したARマーカーの読み取り結果に基づいて、「作業が行われている」と判定し、直前の作業の段階が「作業が行われていない」であった場合に、「作業が開始した」と判定してよい。
【0037】
差分画像取得部208は、期間判定部207が、「作業が開始した」と判定したとき、開始画像データを取得してよい。具体的には、例えば、差分画像取得部208は、期間判定部207が、「作業が開始した」と判定したとき、カメラ101から画像データを取得してよい。また、例えば、差分画像取得部208は、期間判定部207が、「作業が開始した」と判定したとき、RAM203に記憶された画像データのうち、期間判定部207が「作業が開始した」と判定したときの画像データから第1の所定の枚数だけ時間的に遡ったフレームの画像データを開始画像データとして取得してよい。
【0038】
第1の所定の枚数とは、期間判定部207が、作業が開始したと判定してから、画像データ内に製品、作業者の腕等が映り込まない状態となるのに十分な時間遡ったとみなせるようになるまでにカメラ101によって撮影されると想定される画像のフレーム数である。例えば、第1の所定の枚数は、25枚であってよい。
【0039】
差分画像取得部208は、期間判定部207が、「作業が終了した」と判定したとき、終了画像データを取得してよい。具体的には、例えば、差分画像取得部208は、期間判定部207が、「作業が終了した」と判定したとき、カメラ101から画像データを取得してよい。また、例えば、差分画像取得部208は、期間判定部207が「作業が終了した」と判定したときの画像データから第2の所定の枚数だけ時間的にあと送りされたフレームの画像データを終了画像データとして取得してよい。
【0040】
第2の所定の枚数とは、期間判定部207が、作業が終了したと判定してから、画像データ内に製品、作業者の腕等が映り込まない状態となるのに十分な時間が経過しているものとみなせるようになるまでにカメラ101によって撮影されると想定される画像のフレーム数である。例えば、第2の所定の枚数は、25枚であってよい。
【0041】
差分画像取得部208は、期間判定部207が、作業が終了したと判定したとき、カメラ101から終了画像データを取得してよい。差分画像取得部208は、開始画像データと終了画像データとを差分画像生成部209に送信する。
【0042】
差分画像生成部209は、開始画像データと終了画像データとの差分を取った差分画像を生成し、差分画像判定部210に送信する。
【0043】
差分画像判定部210は、差分画像生成部209から受信した差分画像に基づいて、作業中に作業ミスがなかったかどうかを判定し、判定結果をユーザ通知部211に送信する。
【0044】
ユーザ通知部211は、差分画像判定部210から受信した判定結果に基づいて、I/O205を介して、通知装置102に通知装置102を制御する制御信号を送信する。
【0045】
カメラ制御部212は、管理装置103に接続された入力用のキーボード等から、作業者によるカメラ101を制御するための入力を受け付け、I/O205を介して、カメラ101にカメラ101を制御する制御信号を送信する。
【0046】
以下に、本実施形態に係る作業管理システムの動作の一例を説明する。以下に述べる動作例は、製品を検品したのち、梱包容器に入れて梱包する作業現場において適用される作業管理システムの動作例である。
【0047】
図3(a)~図3(e)に、本実施形態に係る作業台105を上方から見た様子を示す。作業台105の左右には、第1レーン301、第2レーン302が設置されている。作業台105の上に、ARマーカー104が表示されている。作業台105上には、検品を行うためのバーコードリーダー303が置かれている。なお、第1レーン301、第2レーン302は、図3(a)、図3(d)及び図3(e)にのみ図示している。また、カメラ101、管理装置103、及び通知装置102は図示していない。また、本実施形態において、バーコードリーダー303は、検品作業の際に作業員が手で保持して使用する。なお、バーコードリーダー303は、作業台105に任意の手段によって固定されていてもよい。
【0048】
第1レーン301上を、検品前の製品304が、梱包容器306に入れられた状態で流れてくる(図3(a))。作業員によって、製品304が梱包容器306ごと作業台105に移される(図3(b))。作業員が、製品304を梱包容器306から取り出し、バーコードリーダー303を用いて、製品304のバーコードを読み取ることで検品を行う(図3(c))。製品304の検品後、製品304は梱包容器306に戻されて梱包され、検品後の梱包容器305は第2レーン302上に移される。梱包容器305は第2レーン302上を次の作業位置へ移動し、第1レーン301上を、次の検品前の製品307が流れてくる(図3(d))。
【0049】
検品と梱包の作業が正しく行われている場合、図3(d)に示すように、検品後の梱包容器305を第2レーン302上に移すと、作業台105上には、バーコードリーダー303のみが残される。しかしながら、製品304を、検品したのち、梱包容器306に戻さず、梱包容器306を梱包して検品後の梱包容器305として第2レーン302上に移すと、図3(e)に示すように、作業台105上には、バーコードリーダー303と、製品304とが残される。図3(e)に示す状態は、梱包漏れ、即ち作業ミスが生じている状態である。
【0050】
図3(a)~図3(e)に示す作業現場における本実施形態に係る作業管理システムの動作の詳細を述べる。
【0051】
まず、カメラ制御部212が、管理装置103に接続された入力用のキーボード等から、カメラ101による撮影を開始する指示の入力を受け付け、I/O205を介して、カメラ101に撮影を開始するための制御信号を送信する。
【0052】
図3(a)に示すように、第1レーン301上を、検品前の製品304が、梱包容器306に入れられた状態で流れてきたとき、作業台105上にはバーコードリーダー303のみが置かれており、ARマーカー104は上に何も置かれていない。このとき、図3(a)~図3(e)には図示されていないカメラ101によって、1秒間に所定のフレーム数だけ、作業台105が撮影されて画像が生成され、管理装置103に画像データが送信される。
【0053】
カメラによって撮影される画像のフレーム数は、一例として、1秒間に30フレーム、即ち、30FPSである。本実施形態では、25FPS、即ち0.04秒ごとに1フレームの画像を生成するものとする。なお、フレーム数は、管理装置103側からカメラ101に対して任意の値を設定可能であってよい。
【0054】
カメラ101から管理装置103に送信された画像データは撮影した時刻とともにRAM203に記憶される。また、ARマーカー読取部206に画像データが送信される。ARマーカー104上に何も置かれていないため、ARマーカー読取部206は画像データに映っているARマーカー104の4隅の座標と、データを取得することができる。ARマーカー読取部206は、ARマーカー104を読み取った結果である、ARマーカー104の4隅の座標と、データを期間判定部207に送信する。
【0055】
ARマーカー読取部206は、ARマーカー104の4隅の座標を検出することによりARマーカー104を検出し、次にARマーカー104の4隅の座標と枠線の内側のパターンに対応した情報を得る。これを利用して、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したARマーカー104の4隅の座標とデータに基づいて、作業台105上に梱包容器306が置かれているかどうかを判定する。期間判定部207は、作業台105上に梱包容器306が置かれていないと判定した場合は、作業が行われていないと判定する。また、期間判定部207は、作業台105上に梱包容器306が置かれていると判定した場合は、作業が行われていると判定する。判定処理の詳細は後述する。また、判定結果は、RAM203に記憶されてよい。
【0056】
ARマーカー104は、作業台105上の所定の位置に設置される。具体的には、例えば、ARマーカー104は、梱包容器306が置かれると想定される範囲内のいずれの位置に梱包容器306を置いても、ARマーカー104の4隅の少なくとも一つがカメラ101から見えなくなるような位置、及びサイズで、作業台105上に表示されてよい。ARマーカー104は、1つであってもよく、又は、複数であってもよい。複数のARマーカー104を並べて表示してもよく、又は、梱包容器306が置かれると想定される範囲に分散させて表示してもよい。
【0057】
本実施形態において、期間判定部207は、作業台105上に梱包容器306が置かれているかどうかを判定する際、ARマーカー104を使用している。ARマーカーを読み取る場合、読み取り対象であるARマーカーの4隅の座標を検出する必要がある。そのため、ARマーカーの4隅の少なくとも1つが隠れると、そのARマーカーを読み取ることができなくなる。これにより、期間判定部207は、ARマーカー104の4隅の少なくとも1つが隠れたとき、ARマーカー104が隠れたと判定することができる。
【0058】
また、ARマーカーの4隅の座標を検出することにより、ARマーカーの傾きを補正することができる。これによれば、ARマーカーを表示する面に対して垂直方向にカメラを設置できなくても、ARマーカーのパターンを補正して読み取ることができる。
【0059】
QRコード(登録商標)等の2次元バーコードは、そのコードの一部が隠れて読み取ることができない場合でも、補完をすることにより、読み取りが可能となる誤り訂正機能を有する場合がある。本実施形態において、ARマーカー104を使用することにより、QRコードを用いた場合にその誤り訂正機能によって、コード上に梱包容器306が置かれているにもかかわらず梱包容器306の下のコードを読み取り期間判定部207によって作業台105上に梱包容器306が置かれていないと誤判定することを避けることができる。
【0060】
図3(b)に示すように、作業員によって、製品304が入れられた梱包容器306が作業台105に移されると、ARマーカー104は、少なくともその一部が梱包容器306によって見えなくなる。カメラ101は、作業員が梱包容器306を第1レーン301から作業台105に移動させるまでの間に、0.04秒ごとに1フレームのペースで撮影をしている。従って、図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態の間にも、カメラ101によって撮影がされている場合がある。
【0061】
図4(a)~(c)に、梱包容器306を第1レーン301から作業台105に移動させる様子を示す。図4(a)と図3(b)、図4(c)と図3(c)とはそれぞれ同じ状態であり、図4(b)は梱包容器306を第1レーン301から作業台105に移動させる途中の様子である。梱包容器306を作業台105に移す際、図4(b)に示すように、梱包容器306によってARマーカー104の左側の隅が見えない状態となっている。例えば、図4(b)、図4(c)のそれぞれの状態においてカメラ101によって撮影がなされたとき、いずれの場合にも、ARマーカー読取部206はARマーカー104を読み取ることができず、期間判定部207は、梱包作業は開始された状態であると判定する。
【0062】
なお、例えば、ARマーカー104に汚れが付着する、ARマーカー104が損傷する、バーコードリーダー又は事務用品等の障害物によってARマーカー104が遮蔽される等(以降、「汚損等」ともいう。)により、カメラ101がARマーカー104を読み取ることができなくなる場合が想定される。このような場合、ARマーカー104が清掃又は交換される等により、カメラ101がARマーカー104の汚損等が解消されるまで、期間判定部207は、梱包作業は開始された状態であると判定する。しかし、実際には作業が開始しているとは限らず、作業が開始されていない場合もある。すなわち、期間判定部207は、ARマーカー104に汚損等が生じた場合に、梱包作業の開始及び終了を正常に判定することができなくなる場合がある。これに対して、期間判定部207は、ARマーカー104が読み取れない期間が所定の時間を超えた場合に、ARマーカー104に汚損等が発生したと判定し、作業員に通知してもよい。作業員への通知方法としては、例えば、期間判定部207が、ユーザ通知部211を介して、通知装置102によって作業員に通知してもよい。これによれば、カメラ101が、ARマーカー104に汚損等が生じ、作業の開始及び終了を正常に判定できなくなった場合に、作業員に対して、ARマーカー104の汚損等の発生を通知し、汚損等の解消を促すことができる。
【0063】
期間判定部207がARマーカー104に汚損等が発生したと判定するまでの所定の時間としては、例えば30分といった、固定値であってもよい。または、期間判定部207がARマーカー104に汚損等が発生したと判定するまでの所定の時間を、期間判定部207が作業が開始されたと判断した時刻と作業が終了したと判断した時刻の差、即ち1回の作業の所要時間の統計から、決定してもよい。この場合、期間判定部207は、ARマーカー読取部206から受信したデータが一定期間連続してARマーカーの読み取りに失敗したことを示すデータである場合に、作業が行われていると判定するように設定しておくと、瞬間的にARマーカーが隠れた場合に、ごく短時間の作業として判定されてしまうといった誤判定を防ぐことが出来、1回の作業の所要時間の統計処理が容易になり、1回の作業の所要時間の推定精度も向上する。
【0064】
作業員が、製品304を梱包容器306から取り出し、バーコードリーダー303を用いて、製品304のバーコードを読み取ることで検品を行い(図3(c))、その後、製品304は梱包容器306に戻されて梱包される。図3(b)~図3(c)のそれぞれの状態の間、カメラ101によって撮影がなされ、ARマーカー読取部206はARマーカー104を読み取ることができず、期間判定部207は、梱包作業は開始された状態であると判定する。
【0065】
図3(d)に示すように、梱包容器305が第2レーン302に移されると、ARマーカー読取部206はARマーカー104を読み取ることができるようになる。梱包容器306を第1レーン301から作業台105に移動させるときと同様、梱包容器305を第2レーン302に移動させる間にも、カメラ101によって撮影がされている場合がある。
【0066】
図5(a)~(d)に、梱包容器305を第2レーン302に移動させる様子を示す。図5(a)と図3(c)、図5(d)と図3(d)とはそれぞれ同じ状態であり、図5(b)、(c)は梱包容器305を第2レーン302に移動させる途中の様子である。図5(b)の状態では、カメラ101によって撮影がなされたとき、ARマーカー読取部206はARマーカー104を読み取ることができず、期間判定部207は、梱包作業は開始された状態であると判定する。図5(c)の状態では、ARマーカー読取部206はARマーカー104を読み取ることができ、期間判定部207は、梱包作業は終了した状態であると判定する。
【0067】
ここで、差分画像取得部208が、期間判定部207が作業が開始したと判定したときの画像データをカメラ101から取得することとした場合、図4(b)の状態のように、第1レーン301から、梱包容器306を移動させる途中の画像データが取得される場合がある。また、差分画像取得部208が、期間判定部207が作業が終了したと判定したときの画像データをカメラ101から取得することとした場合、図5(c)の状態のように、第2レーン302に梱包容器305を移動させる途中の画像データが取得される場合がある。上述したような移動途中の画像データでは、作業台の少なくとも一部が梱包容器306や作業員の体などによって遮蔽されるため、作業開始前又は作業終了後の作業台105の状態を正しく記録できない。
【0068】
これに対して、カメラ101は、期間判定部207が、作業が終了したと判定したあと、撮影を継続してよい。撮像された画像データは、RAM203にさらに記憶されてよい。
【0069】
差分画像取得部208は、期間判定部207が作業が開始したと判定した時の画像データから第1の所定の枚数だけ時間的に遡ったフレームの画像データを、RAM203から開始画像データとして取得してよい。このようにすることで、作業開始前の作業台105の状態を正しく記録することができる。
【0070】
また、差分画像取得部208は、期間判定部207が作業が終了したと判定したときの画像データから第2の所定の枚数だけ時間的にあと送りされたフレームの画像データをRAM203から終了画像データとして取得してよい。このようにすることで、作業終了後の作業台105の状態を正しく記録することができる。
【0071】
以降、期間判定部207が、第1の所定の枚数だけ時間的に遡ったフレームの画像データを取得すること及び第2の所定の枚数だけ時間的に後送りしたフレームの画像データを取得することをフレームシフトすると表現する場合がある。
【0072】
図6を用いて、フレームシフトの一例を説明する。図6に、作業台105における、製品を検品したのち、梱包容器に入れて梱包する作業の1サイクルを示す。第1の状態601、第2の状態602、第3の状態603、第4の状態604、第5の状態605の順番、即ち図6中の白抜きの矢印の順番に、1サイクルの作業が行われる。第1の状態601と図3(a)、第2の状態602と図4(b)、第3の状態603と図3(b)、第4の状態604と図5(b)、第5の状態605と図5(c)はそれぞれ同じ状態である。第1の状態601は作業開始時点での作業台105上の状態であり、第2の状態602は梱包容器306を第1レーン301から作業台105に移動させる途中の様子である。第2の状態602の状態から第1の所定の枚数のフレームだけ遡れば、第1の状態601の状態となるように、第1の所定の枚数は決定される。また、第1の状態601は作業終了時点での作業台105上の状態であり、第5の状態605は梱包容器305を作業台105から第2レーン302に移動させる途中の様子である。第5の状態605の状態から第2の所定の枚数のフレームだけあと送りすれば、第1の状態601の状態となるように、第2の所定の枚数は決定される。
【0073】
図5(c)の時点において、最も早いタイミングで、期間判定部207によって梱包作業が終了した状態であると判定された場合、図5(c)の時点において撮影された画像データから第2の所定の枚数だけあと送りされたフレームの画像データが終了画像データとして取得される。
【0074】
図5(c)の時点において、梱包容器305はARマーカー104上に置かれていないが、ARマーカー104の付近にあり、図5(c)の時点における画像データと、1又は複数枚の後のフレームの画像データ内に梱包容器305、作業者の腕等が映り込んでいる場合がある。図5(c)の時点から第2の所定の枚数だけあと送りすれば、梱包容器305をARマーカー104上から移動させ、画像データ内に梱包容器305、作業者の腕等が映り込まない状態となるのに十分な時間が経過しているものとみなせるように、第2の所定の枚数を設定する。
【0075】
差分画像取得部208は、期間判定部207が、作業が終了したと判定したのち、終了画像データを取得すると同時に、RAM203に記憶された画像データのうち、期間判定部207が作業が開始されたと判定したときの画像データから第1の所定の枚数だけ時間的に遡ったフレームの画像データを開始画像データとして取得し、開始画像データと終了画像データとを差分画像生成部209に送信する。図4(b)の時点において、最も早いタイミングで、期間判定部207によって梱包作業が開始された状態であると判定された場合、図4(b)の時点から第1の所定の枚数だけ遡れば、梱包容器306を作業台105上に移動させる前の、画像データ内に梱包容器306、作業者の腕等が映り込まない状態となるのに十分な時間遡っているものとみなせるように、第1の所定の枚数を設定する。なお、バーコードリーダー303が、作業台105に固定されている場合は、差分画像にバーコードリーダー303は表示されなくてもよい。
【0076】
差分画像生成部209は、開始画像データと終了画像データとの差分を取った差分画像を生成する。図3(d)に示すように、梱包容器305を第2レーン302上に移し、作業台105上にバーコードリーダー303のみが残される状態であれば、図6に示すように、差分画像として、バーコードリーダー303のみが表示される。
【0077】
図3(e)に示すように、梱包容器305を第2レーン302上に移したあと、作業台105上にバーコードリーダー303と製品304とが残される状態であれば、図7に示すように、差分画像として、バーコードリーダー303と製品304とが表示される。
【0078】
差分画像判定部210は、差分画像生成部209から受信した差分画像に基づいて、作業中に作業ミスがなかったかどうかを判定する。具体的には、例えば、差分画像判定部210は、差分画像生成部209から受信した差分画像に一定以上の差分がないことによって作業中に作業ミスがなかったかどうかを判定してよい。本実施形態においては、判定の際の処理を簡単化するために、差分画像の背景を黒、差分のあった個所を白となるように画像処理を行う。
【0079】
図7及び図8に差分画像の一例を示す。図7に示す例は、梱包作業中に、梱包漏れがないときの差分画像である。図8に示す例は、梱包作業中に、梱包漏れがあるときの差分画像である。図7に示すように、梱包作業中に、梱包漏れがなければ、差分画像にはバーコードリーダー303の形状のみが表示される。図8に示すように、梱包漏れがあれば、バーコードリーダー303と製品304の形状が表示される。
【0080】
ここで、バーコードリーダー303は、検品作業の際に作業員が手で保持して使用され、作業員がバーコードリーダー303でバーコードを読み取ったのち、作業台105上に戻される。すなわち、バーコードリーダー303の位置は、必ずしも一定ではない。したがって、差分画像に表示されるバーコードリーダー303の形状は、作業前の位置にあったバーコードリーダー303の形状と作業後の位置あるバーコードリーダー303の形状とが重畳されることにより、不定形な形状をなす。
【0081】
図9(a)~図9(e)に、作業前と作業後の作業台上の様子と、差分画像を示す。図9(a)は作業前の作業台上の様子、図9(d)は梱包漏れが発生した場合の作業後の作業台上の様子、図9(b)と図9(e)は図9(a)と図9(d)のそれぞれを、背景を黒、その他の部分を白となるように画像処理を行った図、図9(c)は、図9(a)と図9(d)の差分画像である。図9(a)と図9(d)とでは、バーコードリーダー303の位置が異なる。従って図9(c)では、作業前の位置にあるバーコードリーダー303の形状と作業後の位置あるバーコードリーダー303の形状とが重畳された形状が示されている。
【0082】
一方、製品304は、作業前には作業台に存在せず、作業後にのみ存在し得る。そのため、差分画像に表示される製品304の形状は、製品のパッケージと同一の形状となる。
【0083】
図9(a)は作業前の作業台上の様子であり、製品304は作業台に存在しない。そのため、図9(b)には、製品304は示されない。次に図9(d)は、作業後の作業台上の様子であり、作業台上に製品304が存在する。そのため、図9(e)には、製品304が示される。図9(a)と図9(d)とでは、製品304の有無が異なる。従って、図9(b)と図9(e)との差分画像である図9(c)では、作業後にのみ存在する製品304の形状が、製品のパッケージと同一の形状となる。
【0084】
例えば、差分画像に表示される製品304の形状は、多角形、円形、楕円形、又はそれらの組み合わせから成る定型的な形状をなす。そのため、差分画像判定部210は、差分画像に含まれる形状を検出部分として検出する。差分画像判定部210は、検出部分の形状が、製品304と同じ形状であれば、梱包漏れがあると判断し、検出部分の形状が、製品304と同じ形状でなければ、梱包漏れはないと判断する。なお、検出する対象の製品304の形状はあらかじめ記憶部204に記憶されてよい。製品304の形状は、四角形、楕円形などのような形状として記憶されてよい。また、製品304の形状は、製品304の寸法として記憶されてもよく、製品304を撮影した画像の画素数として記憶されてもよい。
【0085】
差分画像判定部210は、差分画像の差分のあった個所から、直線、円や楕円、又はそれらの組み合わせから成る形状を検出したのち、さらに、検出部分が一定以上の画素数の形状を検出し、製品304の形状と比較して、梱包漏れの判断を行ってもよい。
【0086】
図10のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る差分画像判定部210が、差分画像から製品304を検出する手法の一例を説明する。なお、この例では、製品304の形状は、4本の直線で囲まれた形状、即ち四角形である。
【0087】
S1001において、差分画像判定部210は、差分画像から差分のあった箇所の輪郭を検出する。
【0088】
S1002において、差分画像判定部210は、S1001において検出した差分のあった箇所の輪郭に基づいて、差分箇所の頂点を検出する。
【0089】
ここで、差分画像はデジタル画像であるため、差分のあった箇所の輪郭は、例えば直線のように見える箇所であっても、厳密には直線ではなく、階段状に頂点が連続した形状になる場合がある(以降、ジャギーと表記する場合がある)。すなわち、多数の微小な頂点が存在する状態となる。ジャギーの全てを頂点として検出すると、製品パッケージが差分画像に写った場合であっても、多数の頂点が検出され、輪郭を正しく検出できない。
【0090】
これに対し、本実地形態において、差分画像判定部210は、ジャギーを頂点として検出しないように、差分画像に対して、エッジ処理を行ったのち、差分画像の頂点を検出してよい。具体的には、例えば、隣接する頂点との距離が所定以上の長さである頂点のみを検出する、又は、多数の微小な頂点が発生する領域は平均点によって均す、等の処理を行ったのち、差分箇所の頂点を検出してよい。これによれば、ジャギーを頂点として検出することを抑制し、製品の輪郭を検出できる。なお、エッジ処理は、上記の例に限定されず、ソーベルフィルタまたは、ラジアンフィルタ、キャニーフィルタなど既知の技術が用いられてもよい。
【0091】
S1003において、差分画像判定部210は、S1002において検出した頂点同士を結ぶ直線の数をカウントする。
【0092】
S1004において、差分画像判定部210は、S1003においてカウントした直線の数が4か否かを判定する。差分画像判定部210は、S1003においてカウントした直線の数が4であった場合、直線の数が4となる範囲を検出部分とし、S1005に進む。差分画像判定部210は、S1003においてカウントした直線の数が4でなかった場合、梱包漏れが発生していないと判定(S1007)する。
【0093】
S1005において、差分画像判定部210は、検出部分の画素数が所定以上の画素数であるかを判定する。差分画像判定部210は、検出部分が所定以上の画素数であった場合、梱包漏れが発生したと判定(S1006)し、所定以上の画素数でなかった場合、梱包漏れが発生していないと判定(S1007)する。
【0094】
なお、上記の例において、差分画像判定部210は、頂点を検出し、頂点間の直線の数に基づいて製品を検出する例を説明したが、検出方法はこれに限定されない。他の実施例として、差分画像判定部210は、検出した頂点のコサイン角を算出し、各頂点のコサイン角の合計が所定の条件に合致した場合に検出部分とする手法、円形部分を検出部分とする手法などの任意の手法により製品304の形状を検出してよい。
【0095】
ユーザ通知部211は、差分画像判定部210から受信した判定結果に基づいて、通知装置102に通知装置102を制御する制御信号を送信する。通知装置102が、ブザー、又は、ライトであれば、ブザーを鳴らす、ライトが点灯する、等の方法により、作業者に作業ミスを知らせてもよい。通知装置102が、スピーカーであれば、音声によって作業ミスを知らせてもよい。通知装置102が、ディスプレイであれば、ディスプレイに作業ミスの内容を表示してもよい。通知装置102を携帯端末とし、作業者の形態端末のディスプレイに作業ミスの内容を表示してもよい。
【0096】
図11のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る作業管理方法を説明する。図11に示すフローチャートは、すでにカメラ制御部212は、カメラ101にカメラ101に撮影を開始するための制御信号を送信し、カメラ101が撮影を開始されている状態から開始するものとする。
【0097】
ステップS1101において、カメラ101は、1秒間に所定のフレーム数だけ、作業台105を撮影して画像を生成し、ARマーカー読取部206に画像データを送信する。
【0098】
ステップS1102において、ARマーカー読取部206は、ARマーカーを読み取り、ARマーカー104の4隅の座標と、データを期間判定部207に送信する。
【0099】
ステップS1103において、期間判定部207は、作業の段階を判定して、判定結果を差分画像取得部208に送信する。期間判定部207が、作業が終了したと判定するまで、ステップS1101~ステップS1103を繰り返す。期間判定部207が、作業が終了したと判定すれば、ステップS1104に進む。
【0100】
ステップS1104において、ステップS1101~ステップS1103を、カメラ101が第2の所定の枚数分画像を生成するまで繰り返し、ステップS1105に進む。
【0101】
ステップS1105において、差分画像取得部208は、期間判定部207が、作業が終了したと判定作業が終了したと判定したのち、RAM203に記憶された画像データのうち、期間判定部207が作業が終了したと判定したときの画像データから第2の所定の枚数だけ時間的にあと送りされたフレームの画像データを終了画像データとして取得して差分画像生成部209に送信する。
【0102】
ステップS1106において、差分画像取得部208は、期間判定部207が、作業が終了したと判定したのち、終了画像データを取得すると同時に、RAM203に記憶された画像データのうち、期間判定部207が作業が開始されたと判定したときの画像データから第1の所定の枚数だけ時間的に遡ったフレームの画像データを開始画像データとして取得して差分画像生成部209に送信する。
【0103】
ステップS1107において、差分画像生成部209は、開始画像データと終了画像データとの差分を取った差分画像を生成する。
【0104】
ステップS1108において、差分画像判定部210は、差分画像生成部209から受信した差分画像に基づいて、作業中に作業ミスがなかったかどうかを判定する。
【0105】
ステップS1109において、ユーザ通知部211は、差分画像判定部210から受信した判定結果に基づいて、通知装置102に通知装置102を制御する制御信号を送信し、作業ミスがあれば、通知装置102がユーザに通知する。
【0106】
本実施形態では、本発明に係る作業管理システムについて、作業として梱包作業を行い、作業ミスとしては梱包漏れである例を挙げて説明したが、作業としては梱包作業に限定されない。例えば、作業として、製造現場における製造作業等であってもよい。
【0107】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0108】
本発明は、物流拠点における作業ミスを防止することを目的とした発明である。一般に梱包作業においてミスが発生した場合、利用者へ正しい状態の商品が届くまでに多くの時間を要することになるため、物流事業者は梱包作業において多重の確認作業などを行う。本発明を用いることで、梱包作業における多重確認を機械化することができ、物流のデジタル化に寄与することができるから、持続可能な開発目標(Sustinable Development Goals:SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献することができる。
【符号の説明】
【0109】
10 作業管理システム
101 カメラ
102 通知装置
103 管理装置
104 ARマーカー
105 作業台
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 記憶部
205 I/O(インプット・アウトプットインターフェース)
206 ARマーカー読取部
207 期間判定部
208 差分画像取得部
209 差分画像生成部
210 差分画像判定部
211 ユーザ通知部
212 カメラ制御部
301 第1レーン
302 第2レーン
303 バーコードリーダー
304、307 製品
305、306 梱包容器
601 第1の状態
602 第2の状態
603 第3の状態
604 第4の状態
605 第5の状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11