(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報提供システムの制御方法、及び情報提供システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/909 20190101AFI20240628BHJP
【FI】
G06F16/909
(21)【出願番号】P 2022086118
(22)【出願日】2022-05-26
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】田口 正雄
(72)【発明者】
【氏名】大淵 隼也
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 愛樹
(72)【発明者】
【氏名】上村 征幸
(72)【発明者】
【氏名】松川 雄真
(72)【発明者】
【氏名】岡田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】三浦 諒悟
(72)【発明者】
【氏名】奇 奈々
(72)【発明者】
【氏名】石井 恭平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】待鳥 裕介
(72)【発明者】
【氏名】渋江 航
(72)【発明者】
【氏名】田中 健介
(72)【発明者】
【氏名】山口 健斗
【審査官】早川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-303959(JP,A)
【文献】特開2011-007562(JP,A)
【文献】特開2015-049196(JP,A)
【文献】特開平07-260505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから受け付けた目的地へと走行する自動運転車両内の前記ユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムであって、
それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶する記憶部と、
前記自動運転車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得する取得部と、
前記車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の前記自動運転車両の走行位置及び進行方向に基づいて、前記ディスプレイに表示する少なくとも2以上のコンテンツを、前記複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、前記ディスプレイにおけるそれぞれの表示領域を設定する設定部と、
選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力させる表示情報を出力する出力部と、を備える情報提供システム。
【請求項2】
前記設定部は、前記ディスプレイに表示するコンテンツの選択、及び、選択されたコンテンツの、前記ディスプレイにおける表示領域の設定を、前記所定時間ごとに実行する、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記コンテンツに、当該コンテンツの種類に関する情報をさらに関連付けて記憶し、
前記設定部は、前記
自動運転車両に乗車するユーザから受け付けた、表示すべきコンテンツの種類を指定する情報に基づき、前記ディスプレイに表示するコンテンツを選択する、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記コンテンツの出力態様として、前記コンテンツの内容に応じて表情を変化させるデジタルヒューマンに関する情報をさらに記憶し、
前記出力部は、前記選択されたコンテンツを、前記デジタルヒューマンを介して出力させる表示情報を出力する、請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記設定部は、前記ユーザから受け付けた前記
自動運転車両での目的地に対応する位置情報が関連付けられたコンテンツを、前記ディスプレイに表示するコンテンツとして選択する、請求項3に記載の情報提供システム。
【請求項6】
ユーザから受け付けた目的地へと走行する自動運転車両内の前記ユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムの制御方法であって、
コンピュータが、
それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶するステップと、
前記自動運転車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得するステップと、
前記車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の前記自動運転車両の走行位置及び進行方向に基づいて、前記ディスプレイに表示するコンテンツを、前記複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、前記ディスプレイにおける表示領域を設定するステップと、
選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力するステップと、を含む情報提供システムの制御方法。
【請求項7】
ユーザから受け付けた目的地へと走行する自動運転車両内の前記ユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムの制御プログラムであって、
コンピュータに、
それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶する機能と、
前記自動運転車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得する機能と、
前記車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の前記自動運転車両の走行位置及び進行方向に基づいて、前記ディスプレイに表示するコンテンツを、前記複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、前記ディスプレイにおける表示領域を設定する機能と、
選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力する機能と、を実現させる、情報提供システムの制御プログラム。
【請求項8】
車両内のユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムであって、
それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶する記憶部と、
前記車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得する取得部と、
前記車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の前記車両の走行位置及び進行方向に基づいて、前記ディスプレイに表示する少なくとも2以上のコンテンツを、前記複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、前記ディスプレイにおけるそれぞれの表示領域を設定する設定部と、
選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力させる表示情報を出力する出力部と、を備え、
前記設定部は、前記所定時間後の前記車両内の所定の原点座標から、前記コンテンツに関連付けられた位置情報によって特定される位置座標までの距離が所定の距離以下であって、前記所定時間後の原点座標と前記位置座標とを結ぶ線分と前記車両の進行方向とのなす角度が、所定の角度範囲にあるコンテンツを、前記ディスプレイに表示するコンテンツとして選択する、情報提供システム。
【請求項9】
前記設定部は、前記選択されたコンテンツの前記位置座標と前記所定時間後の原点座標とを結ぶ線分と、前記車両の進行方向とのなす角度に応じて、前記ディスプレイにおける表示領域を設定する、請求項8に記載の情報提供システム。
【請求項10】
車両内のユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムの制御方法であって、
コンピュータが、
それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶するステップと、
前記車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得するステップと、
前記車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の前記車両の走行位置及び進行方向に基づいて、前記ディスプレイに表示する少なくとも2以上のコンテンツを、前記複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、前記ディスプレイにおけるそれぞれの表示領域を設定するステップと、
選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力させる表示情報を出力するステップと、を含み、
前記設定するステップは、前記所定時間後の前記車両内の所定の原点座標から、前記コンテンツに関連付けられた位置情報によって特定される位置座標までの距離が所定の距離以下であって、前記所定時間後の原点座標と前記位置座標とを結ぶ線分と前記車両の進行方向とのなす角度が、所定の角度範囲にあるコンテンツを、前記ディスプレイに表示するコンテンツとして選択する、情報提供システムの制御方法。
【請求項11】
車両内のユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムの制御プログラムであって、
コンピュータに、
それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶する機能と、
前記車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得する機能と、
前記車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の前記車両の走行位置及び進行方向に基づいて、前記ディスプレイに表示する少なくとも2以上のコンテンツを、前記複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、前記ディスプレイにおけるそれぞれの表示領域を設定する機能と、
選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力させる表示情報を出力する機能と、を実現させ、
前記設定する機能は、前記所定時間後の前記車両内の所定の原点座標から、前記コンテンツに関連付けられた位置情報によって特定される位置座標までの距離が所定の距離以下であって、前記所定時間後の原点座標と前記位置座標とを結ぶ線分と前記車両の進行方向とのなす角度が、所定の角度範囲にあるコンテンツを、前記ディスプレイに表示するコンテンツとして選択する、情報提供システムの制御
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報提供システムの制御方法、及び情報提供システムの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両後部座席の窓ガラスに貼合される表示装置に、拡張現実情報を表示する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の拡張現実情報表示装置は、透過型表示装置の表示画面を視認するユーザの現実位置、表示画面の現実位置、および表示画面越しの景色中で拡張現実情報が対応付けられた現実位置(AR対応位置)に基づいて、表示画面における当該拡張現実情報の表示位置を決定し、決定された表示位置に、景色中で拡張現実情報が対応付けられた現実位置およびユーザの現実位置の位置関係に応じた態様の拡張現実情報を表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の表示装置において、表示画面に提供される情報はひとつのAR対応位置に関するものだけであり、ユーザにとっては単調で物足りず、没入感を得られない。したがって、車両内で適切な量の情報を提供する情報提供システムが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る、車両内のユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する、機械学習を用いた情報提供システムは、それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶する記憶部と、車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得する取得部と、車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の車両の走行位置及び進行方向に基づいて、ディスプレイに表示する少なくとも2以上のコンテンツを、複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、ディスプレイにおけるそれぞれの表示領域を設定する設定部と、選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力する表示制御部とを備える。
【0006】
本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、設定部は、所定時間後の車両内の座席における所定の原点座標から、コンテンツに関連付けられた位置情報によって特定される位置座標までの距離が所定の距離以下であって、所定時間後の原点座標と位置座標とを結ぶ線分と車両の進行方向とのなす角度が、所定の角度範囲にあるコンテンツを、ディスプレイに表示するコンテンツとして選択してもよい。
【0007】
本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、設定部は、選択されたコンテンツの位置座標と所定時間後の原点座標とを結ぶ線分と、車両の進行方向とのなす角度に応じて、ディスプレイにおける表示領域を設定してもよい。
【0008】
本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、設定部は、ディスプレイに表示するコンテンツの選択、及び、選択されたコンテンツの、ディスプレイにおける表示領域の設定を、所定時間ごとに実行してもよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、記憶部は、コンテンツに、当該コンテンツの種類に関する情報をさらに関連付けて記憶し、設定部は、車両に乗車するユーザから受け付けた、表示すべきコンテンツの種類を指定する情報に基づき、ディスプレイに表示するコンテンツを選択してもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、記憶部は、コンテンツの出力態様として、コンテンツの内容に応じて表情を変化させるデジタルヒューマンに関する情報をさらに記憶し、表示制御部は、選択されたコンテンツを、デジタルヒューマンを介して出力してもよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、ディスプレイは透過型ディスプレイであってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、設定部は、ユーザから受け付けた車両での目的地に対応する位置情報が関連付けられたコンテンツを、ディスプレイに表示するコンテンツとして選択してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る、車両内のユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムの制御方法は、コンピュータが、それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶するステップと、車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得するステップと、車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の車両の走行位置及び進行方向に基づいて、ディスプレイに表示するコンテンツを、複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、ディスプレイにおける表示領域を設定するステップと、選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力するステップとを含む。
【0014】
本発明の一実施形態に係る、車両内のユーザに対し、車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供する情報提供システムの制御プログラムは、コンピュータに、それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツを記憶する機能と、車両の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得する機能と、車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の車両の走行位置及び進行方向に基づいて、ディスプレイに表示するコンテンツを、複数のコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、ディスプレイにおける表示領域を設定する機能と、選択されたコンテンツを、設定された表示領域に出力する機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態によれば、車両内で適切な量の情報を提供する情報提供システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報提供システム構成の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るサーバ(情報提供装置)、及び車両の機能ブロック図の一例である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおける、コンテンツ情報テーブルの一例である。
【
図4】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおける、情報提供処理の概要を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおける、コンテンツの表示条件に関するテーブルの一例である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおける、コンテンツの表示条件について説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るサーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図8】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおける、車に設置されたディスプレイにおけるコンテンツの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以降、図を用いて、本開示に係る発明(本発明ともいう)の一実施形態を説明する。なお、図は一例であって、本発明は図に示すものに限定されない。例えば、図示したサーバ(情報提供装置)、記憶装置、車両等の数、データセット(テーブル)、フローチャート、表示画面、識別子等は一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態による情報提供システム構成の概略図である。情報提供システム600は、車両200(200A~200C)に乗車したユーザ(乗客)に対し、車両200の車窓に設置されたディスプレイで所定のコンテンツを提供するシステムである。なお、本明細書における「コンテンツ」は、静止画像、動画像、テキスト、音声等によってユーザに提供される情報を指してよく、広告、宣伝を含んでよい。なお、これ以降、静止画像及び動画像をまとめて「画像」と称することもある。
【0019】
情報提供システム600は、サーバ(情報提供装置)100と、車両200A~200Cと、記憶装置400とを少なくとも含んでよい。サーバ100は、車両200A~200Cとネットワーク500を介して接続され、車両200の走行位置や進行方向に関する情報を取得したり、車両200の車窓に設けられたディスプレイに所定のコンテンツを提供したりしてよい。なお、
図1において、サーバ100は1つのみ示してあるが、これに限られるものではなく、複数存在してもよい。また、サーバ100は、ネットワークを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムであって、エッジサーバを含んでもよく、いわゆるクラウドサーバでもよい。すなわち、サーバ100は、物理的なサーバに限らず、仮想的なサーバも含まれてよい。さらに、サーバ100は、車両200に搭載されてもよい。また、サーバ100の各機能部の機能又は処理は、実現可能な範囲において、機械学習又はAI(Artificial Intelligence)により実現されてもよい。なお、特に区別する必要がない場合、車両200A~200Cを、単に車両200と表記することもある。
【0020】
車両200は、移動手段としてユーザに利用され、車両200の車窓に設置されたディスプレイでユーザに所定のコンテンツを提供可能な車両であって、例えば、タクシー、バスであってよい。なお、本発明の一実施形態において、車窓に設置されたディスプレイは、透過型ディスプレイであってよい。透過型ディスプレイは、ディスプレイの背面を目視可能な、透過性の高いディスプレイであって、車両200内のユーザは、ディスプレイを介して車窓の外の景色を目視することができてよい。すなわち、本発明の一実施形態に係る情報提供システム600によれば、車窓から外の景色を眺めるユーザに対し、見えている景色に関連するコンテンツが、景色に重畳して提供されてよい。なお、透過型ディスプレイとしては既存のものが用いられてよく、車窓に貼り合わせるものであってもよいし、車窓そのものを透過型ディスプレイで実現してもよい。
【0021】
また、本発明の一実施形態において、車両200は、運転手による運転操作を必要とせず、自動でエンジン、ブレーキ、操舵の制御が行われる自動運転車両であってよい。情報提供システム600は、ユーザの利用予約に応じて走行するタクシーを自動運転車両で実現したサービス(これ以降、単に「予約サービス」とも称する)において、タクシーで移動中のユーザに対し情報(コンテンツ)を提供するシステムであってよい。
【0022】
車両200を自動運転車両で実現する場合、情報提供システム600は、車両200を遠隔監視・管理する図示しない運行管理センターや、運行管理に関する処理を実行するサーバをさらに含んでよい。なお、本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおいて、車両200は、自動運転車両に限定されるものではなく、運転手が搭乗して運転する車両であってもよい。
【0023】
ネットワーク500は、無線ネットワークや有線ネットワークを含む。具体的には、例えば、ネットワーク500は、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、CDMA(code division multiple access)、LTE(long term evolution)、LTE-Advanced、第4世代通信(4G)、第5世代通信(5G)、及び第6世代通信(6G)以降の移動体通信システム等であってよい。なお、ネットワーク500は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber LINE)回線、衛星通信網等であってもよい。また、ネットワーク500は、これらの組み合わせであってもよい。
【0024】
なお、情報提供システム600は、ユーザが所有する図示しない通信端末(ユーザ端末)を含んでもよい。ユーザ端末は、サーバ100とネットワーク500を介して接続され、各ユーザから受け付けた、車両200の利用予約に関する情報をサーバ100へ送信してよい。なお、利用予約に関する情報とは、車両200の予約時に必要な、乗車位置(出発地)・降車位置(目的地)、利用日時を指定する情報や、車両200の利用にあたりユーザ認証や決済に必要なユーザ情報を指してよい。
【0025】
記憶装置400は、情報提供システム600で利用する各種情報(データ)を記憶(格納)してよい。なお、
図1において、記憶装置400はサーバ100とは別に1つのみ示してあるが、サーバ100に一体化されていてもよい。すなわち、記憶装置400は、サーバ100の揮発性メモリ又は不揮発性メモリであってもよい。また、記憶装置400は、複数の記憶装置から構成されていてもよい。なお、記憶装置400は、ネットワーク500とは異なる専用の内部ネットワークにて、サーバ100と接続されてもよいし、ネットワーク500を介してサーバ100と接続されてもよい。
【0026】
記憶装置400には、それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツが記憶されてよい。
図3は、記憶装置400に格納されるコンテンツ情報テーブルの一例である。コンテンツ情報テーブルTB10は、車両200内のユーザに提供されるコンテンツに関するテーブルであってよい。
図3の例では、位置情報に対して、コンテンツの内容、種類等が関連付けられた各コンテンツが、コンテンツを一意に識別する識別子(コンテンツID(IDentifier))によって識別されて記憶されている。コンテンツの内容には、コンテンツによって紹介する対象となる施設や場所についての情報や、表示するテキストデータや画像データが含まれてよい。コンテンツによって紹介する対象となる施設とは、ユーザが利用する商業施設、飲食店、コンビニエンスストア、銀行、病院、宿泊施設等であってよい。また、コンテンツによって紹介する対象となる場所とは、観光地、名所、パワースポット等であってよい。さらに、施設や場所に限らず、保険案内、転職案内等のサービスが、コンテンツによって紹介されてもよい。なお、これ以降、コンテンツによって紹介する対象となる施設、場所、サービス等をまとめて、「対象施設」とも称する。
【0027】
本発明の一実施形態において、コンテンツ情報テーブルTB10における「位置情報」は、「対象施設」の場所を特定する位置情報であってよい。なお、コンテンツが施設の紹介を目的としない場合、対象施設の情報は記憶されなくてもよい。また、「種類」については後述するが、コンテンツの対象施設の種類であってよい。
【0028】
なお、
図3は一例であって、コンテンツ情報テーブルTB10に格納される情報はこれ以上でもこれ以下であってもよく、また、
図3と異なるデータ形式で各種情報が格納されてもよい。なお、各コンテンツは、情報提供システム600の管理側が予め準備してもよいし、情報提供システム600を利用したい広告主から提供されてもよい。
【0029】
図3のコンテンツ情報テーブルTB10の例では、コンテンツID「cont_01」で識別されるコンテンツとして、位置情報「緯度35.7** 経度139.7**」に、対象施設「Zパーク」についてのテキストデータ「Zパークに新しい仲間がふえました」、画像ID「img_11」が関連付けられている。また、「種類」として、子供向けであることや、屋外施設であることを示す情報が関連付けられている。なお、記憶装置400は、画像IDで識別される画像データを格納しており、コンテンツ情報テーブルTB10における画像IDによって、画像データが一意に決定されてよい。なお、内容に関する情報が全て記憶される必要はなく、例えば、コンテンツID「cont_02」で識別されるコンテンツのように、画像データはなくてもよいし、逆に、画像データのみであってもよい。なお、コンテンツの表示例については後述する。
【0030】
次に、
図2を用いて、本発明の一実施形態に係るサーバ100、及び車両200のハードウェア構成、機能構成について説明する。
【0031】
<車両>
車両200は、上述のように自動運転車両であってよい。なお、自動運転については既存の技術が用いられてよく、自動運転を行うためのハードウェア構成、機能構成についての説明は省略する。以下では、情報提供システム600において車両200内のディスプレイにコンテンツを出力するためのハードウェア構成、機能構成について説明する。
【0032】
(1)車両のハードウェア構成
車両200は、制御部210、通信部220、表示部230、センサ群240、操作入力部260、音声入出力部270、及び記憶部290を備えてよい。センサ群240には、位置情報取得部250が含まれてよい。
【0033】
制御部210は、典型的にはプロセッサであって、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現されてよい。制御部210は、記憶部290に記憶されるプログラムを読み出し、読み出したプログラムに含まれるコード又は命令を実行することによって、各実施形態に示す機能、方法を実行してよい。
【0034】
記憶部290は、車両200が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種情報を記憶する。記憶部290は、例えば、フラッシュメモリ等を含んでよい。また、記憶部290は、制御部210に対する作業領域を提供するメモリ(RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等)を含んでよい。
【0035】
通信部220は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装されてよい。通信部220は、ネットワーク500を介して、サーバ100との間で各種情報の送受信を行ってよい。
【0036】
表示部230は、車窓に設置されるディスプレイ(表示装置)であって、車窓に貼り合わせられる透過型ディスプレイであってよい。なお、本発明の一実施形態において、表示部230、すなわち透過型ディスプレイは複数あってよく、例えば、車両200の進行方向に複数並べて車窓に配置されてよい。なお、ディスプレイが複数存在する場合、各ディスプレイの識別情報と、車両200におけるその配置位置とを対応付けて、記憶装置400に記憶されてよい。
【0037】
センサ群240は、車両200の状態を検知可能な各種データを取得する各種のセンサであって、例えば、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ、操舵角センサ、カメラ(単眼カメラ、ステレオカメラ、マルチカメラ等)等を含んでよい。また、センサ群240には位置情報取得部250が含まれてよい。位置情報取得部250は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて、車両200の現在位置の位置情報を取得してよい。
【0038】
操作入力部260は、車両200に乗車するユーザによる各種操作を受け付ける入力装置であってよい。操作入力部260は、ユーザからの入力操作を受け付けて、当該入力に係る情報を制御部210に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、又は、その組み合わせにより実現されてよく、例えば、キーボード、コントローラ、タッチパネル、タッチディスプレイ等であってよい。操作入力部260は、例えば、ユーザから、年代や性別、職業、好みといったユーザの属性の入力操作を受け付けてよい。また、操作入力部260は、ユーザから、車両200で表示させたいコンテンツの種類を選択する操作を受け付けてよい。
【0039】
音声入出力部270は、車両200の乗客の音声を取得するマイクや、コンテンツの音声を出力するスピーカであってよい。なお、音声入出力部270は、ディスプレイが複数ある場合には、ディスプレイ毎に設けられてもよく、その場合に指向性スピーカーや指向性マイクであってもよい。
【0040】
(2)車両の機能構成
車両200は、制御部210によって実現される機能として、通信制御部211、表示制御部212、入出力制御部213を備えてよい。なお、
図2に記載の各機能部は必須ではなく、これ以降に説明する各実施形態において、必須でない機能部はなくともよい。また、各機能部の機能又は処理は、実現可能な範囲において、機械学習又はAIにより実現されてもよい。
【0041】
通信制御部211は、通信部220による、ネットワーク500を介したサーバ100との間の通信を制御し、各種情報の送受信を実行させてよい。
【0042】
表示制御部212は、表示部230への情報の表示を制御してよい。例えば、表示制御部212は、サーバ100から提供されたコンテンツを表示部230に表示させてよい。なお、表示部230が複数の透過型ディスプレイで実現される場合、表示制御部212は、透過型ディスプレイにコンテンツを投影する1つ又は複数の投影装置を制御してよい。
【0043】
入出力制御部213は、センサ群240、操作入力部260、音声入出力部270といった外部装置との各種情報の伝達を制御してよい。例えば、入出力制御部213は、図示しない撮像装置(カメラ)を制御して、車両200に乗車したユーザを撮像してもよい。また、入出力制御部213は、操作入力部260で入力された各種情報、位置情報取得部250で取得された車両200の位置情報、センサ群240で取得された各種データを、サーバ100へ送信するために通信制御部211に伝達したり、サーバ100から提供されたコンテンツを、音声入出力部270から出力させたりしてよい。
【0044】
<サーバ>
(1)サーバのハードウェア構成
サーバ100は、制御部110、通信部120、及び記憶部170を備える。
【0045】
制御部110は、典型的にはプロセッサであって、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現されてよい。なお、サーバ100は、大量の情報を処理するための演算能力の高いプロセッサを有することが好ましい。
【0046】
通信部120は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装されてよい。通信部120は、ネットワーク500を介して、車両200、ユーザ端末との間でそれぞれ各種情報の送受信を行う。
【0047】
記憶部170は、サーバ100が動作するうえで必要とする各種プログラムや各種情報を記憶する。記憶部170は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を含んでよい。また、記憶部170は、制御部110に対する作業領域を提供するメモリを含んでよい。
【0048】
(2)サーバの機能構成
サーバ100は、制御部110によって実現される機能として、取得部111、設定部112、及び出力部115を含んでよい。また、設定部112は、推定部113、選択部114を含んでよい。なお、
図2に記載の各機能部は必須ではなく、これ以降に説明する各実施形態において、必須でない機能部はなくともよい。また、各機能部の機能又は処理は、実現可能な範囲において、機械学習又はAIにより実現されてもよい。
【0049】
取得部111は、車両200の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得してよい。車両200の走行位置は、車両200の位置情報取得部250によって取得された位置情報であってよい。車両200の進行方向は、車両200の利用予約に関する情報として取得された降車位置(目的地)によって設定される車両200の走行ルート、現在の走行位置とから算出されてもよい。
【0050】
設定部112は、取得部111が取得した車両走行情報に基づいて推定される、所定時間後の車両200の走行位置及び進行方向に基づいて、表示部230に表示する少なくとも2以上のコンテンツを、記憶装置400に記憶されたコンテンツから選択し、選択されたコンテンツの、表示部230におけるそれぞれの表示領域を設定してよい。すなわち、本発明の一実施形態によれば、現在の走行位置から所定時間経過した際の車両の走行位置に基づいて、車窓に表示させるコンテンツが設定されてよい。なお、表示部230に表示されるコンテンツは1つであってもよい。また、所定時間後とは、これに限定されるものではないが、例えば1分後であってよい。
【0051】
推定部113は、取得部111で取得した走行位置の推移から、車両200の走行速度を推定してよい。あるいは、推定部113は、車両200の速度センサから送信されたデータに基づき、車両200の走行速度を推定してよい。そして、推定部113は、車両200の目的地、現在位置、車両200の走行ルート、進行方向及び走行速度に基づいて、車両200の現在時刻から所定時間後の走行位置(位置情報)及び進行方向を推定してよい。
【0052】
選択部114は、車両200の所定時間後の走行位置に基づき、コンテンツ情報テーブルTB10を参照して、表示部230に表示する少なくとも2以上のコンテンツを、記憶装置400から選択してよい。なお、詳細は後述するが、選択部114は、所定時間後の車両200の走行位置において、車窓から見える景色に、コンテンツ情報テーブルTB10に含まれる位置情報で特定される場所が含まれるコンテンツを、表示部230に表示させるコンテンツとして選択してよい。
【0053】
設定部112は、所定時間後の車両200の進行方向に基づき、表示部230において選択されたコンテンツを表示させる表示領域を設定してよい。すなわち、設定部112は、コンテンツを、車両200の進行方向に対して右側または左側のどちらに表示させるか、及び、車窓のどの位置に表示させるかを設定してよい。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、現在時刻から所定時間経過後に車窓から見える景色に含まれる場所についてのコンテンツが、車窓に設置されたディスプレイに複数表示される。したがって、ユーザが眺める景色に関係があってユーザが興味を持ちやすい情報を、複数提示することができ、ユーザを飽きさせず、ユーザビリティの高いシステムを実現することができる。
【0055】
ここで、コンテンツの選択について、
図4を用いて説明する。
図4(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る情報提供システムにおける、情報提供処理の概要を説明する図であって、
図4(a)は、コンテンツの選択を説明する概略図、
図4(b)は、表示部230の表示画面の一例である。
【0056】
図4(a)は、図中矢印で示す方向を進行方向とする車両200を、車両200の上方から見た図である。図において、点Oは、上述した所定時間後の車両200における所定の原点座標を示す。なお、点Oは、車両200内のユーザの位置であってよく、ここでは、車両200の座席における重心の座標として説明する。なお、これ以降、ユーザの目の位置を通る仮想的な平面上での位置座標を想定し、高さ方向は考慮しない。なお、以下では、原点座標としての点Oが一つの場合について説明するが、点Oを左右の車窓にそれぞれ位置させ、左右の車窓それぞれ別個に、以下で説明するようなコンテンツの選択及び表示処理が実行されてもよい。
【0057】
図4(a)における点P、点Q、点Rは、コンテンツ情報テーブルTB10に含まれる位置情報によって特定される位置座標であって、例えば、点PはコンテンツID「cont_13」、点QはコンテンツID「cont_01」に対応するものとする。また、図において、視認領域10、視認領域11は、点Oに位置するユーザが車窓から視認できる範囲(点Oを中心として進行方向から右回りを+とした場合に、進行方向からの角度をθとした場合のα≦θ≦β、-β≦θ≦-α)のうち、点Oからの距離が所定の距離(r0)以下の範囲にある領域を示す。また、角度θ1、θ2、θ3は、それぞれ、点Oと点Pとを結ぶ線分OP、同線分OQ、同線分ORと、車両の進行方向とのなす角度である。さらに、点Oと点P,点Q、点Rとの間の距離は、それぞれ、r1、r2、r3であるとする。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、選択部114は、所定時間後の車両200における原点座標(点O)から、コンテンツに関連付けられた位置情報によって特定される位置座標(点P、点Q、点R)までの距離(r1、r2、r3)が所定の距離(r0)以下であって、所定時間後の原点座標と位置座標とを結ぶ線分と、車両200の進行方向とのなす角度(θ1、θ2、θ3)が所定の角度範囲(α≦θ≦β、-β≦θ≦-α)にあるコンテンツを、表示部230に表示するコンテンツとして選択してよい。角度範囲は、例えば、これに限定されるものではないが、αを10度、βを170度とし、10°≦θ≦170°であってよい。なお、所定の距離r0は、コンテンツを表示すべき対象施設(すなわち、コンテンツ情報テーブルTB10に記憶されている位置情報で特定される場所)が、車両200が走行するエリア内にどの程度存在するかで設定されてよい。または、所定の距離は、車両200が走行するエリアの人口密度に応じて設定されてもよい。例えば、人口密度が1000人/km2未満、1000人/km2以上5000人/km2未満、5000人/km2以上であれば、それぞれ、所定の距離を500m、100m、50mとしてよい。
【0059】
図4(b)に、
図4(a)に示す位置に点P、点Q、点Rがある場合の表示部230の表示例を示す。なお、
図4(b)は、車両200の進行方向に向かって右側の車窓Wに設置された表示部230Rである。
図4(b)に示すように、車窓Wには、表示部230Rとして、3つの表示領域R1,R2,R3があってよい。表示領域R1~R3は、それぞれ異なる透過型ディスプレイを貼合し、それぞれの表示領域に対応する3つの投影装置からコンテンツを表示させてもよい。あるいは、単一の投影装置から投影させる際のレイアウトとして、3つの表示領域を実現させてもよい。なお、表示領域は3つに限定するものではなく、これ以上でもこれ以下であってもよい。
【0060】
図4(a)において、点PはコンテンツID「cont_13」、点QはコンテンツID「cont_01」に対応する。選択部114は、視認領域11に含まれる点Pに対応するコンテンツID「cont_13」のコンテンツを選択してよい。また、詳細は後述するが、設定部112は、表示領域R1を、コンテンツID「cont_13」のコンテンツを表示させる表示領域として設定してよい。出力部115は、コンテンツ情報テーブルTB10を参照して、コンテンツID「cont_13」のコンテンツを表示領域R1に出力させる表示情報を、車両200に対して出力してよい。
【0061】
サーバ100から送信された表示情報に基づき、車両200の表示制御部212は、
図4(b)に示すように、表示領域R1には、コンテンツID「cont_13」で識別されるコンテンツである、点Pに位置する対象施設「××ストア」のコンテンツ20を表示させてよい。また、表示領域R3には、コンテンツID「cont_01」で識別されるコンテンツである、点Qに位置する対象施設「Zパーク」のコンテンツ21を表示させてよい。なお、図は一例であって、画像やテキストデータのレイアウトは図示したものに限定されない。また、コンテンツ情報テーブルTB10に画像が関連付けられていないコンテンツの場合、画像が表示されなくてもよい。
【0062】
このように、本発明の一実施形態によれば、所定時間経過後にユーザが車窓から見える領域にある対象施設のコンテンツが、表示部230に表示されるコンテンツとして選択される。したがって、ユーザは、進行方向に存在する施設等の情報を知ることができる。
【0063】
次に、コンテンツを表示させる表示領域の設定について説明する。本発明の一実施形態において、設定部112は、選択したコンテンツの位置座標と所定時間後の原点座標とを結ぶ線分と、車両200の進行方向とのなす角度に応じて、ディスプレイにおける表示領域を設定してよい。
【0064】
図5、
図6を用いて説明する。
図5は、各車両200の表示領域に関する情報を記憶する表示領域テーブルTB20、
図6は、表示領域の設定を説明するための概略図である。
図5において、例えば、車両ID「car_10」で識別される車両200Aは、車両200の進行方向(前方)に向かって右側の車窓に、領域ID「field_10_R1」、「field_10_R2」、「field_10_R3」でそれぞれ識別される3つの表示領域が設定されている。なお、各表示領域の大きさや位置、投影する投影装置の別といった情報は、図示しない別のテーブル等によって記憶装置400に記憶されていてよい。ここでは、領域ID「field_10_R1」、「field_10_R2」、「field_10_R3」で識別される表示領域は、それぞれ、
図4(b)の表示領域R1、R2、R3に対応しているとする。
【0065】
図6において、車両200の進行方向を0度、点Oを中心として右回り方向を+(プラス)方向とすると、領域ID「field_10_R1」の表示領域R1に対応する視認領域は視認領域15(30°<θ≦60°)、領域ID「field_10_R2」の表示領域R2に対応する視認領域は視認領域16(60°<θ≦110°)、領域ID「field_10_R3」の表示領域R3に対応する視認領域は視認領域17(110°<θ≦140°)であってよい。そして、
図4及び
図6の例では、点Pは視認領域15に位置するため、
図4(b)のように、表示領域R1に、点Pに関連付けられたコンテンツID「cont_13」のコンテンツ20が表示されてよい。また、点Qは視認領域17に位置するため、
図4(b)のように、表示領域R3に、点Qに関連付けられたコンテンツID「cont_01」のコンテンツ21が表示されてよい。
【0066】
なお、位置情報で特定される場所が、表示領域テーブルTB20で規定される角度範囲(視認領域)に存在しない場合は、
図4(b)の領域R2に示すように、コンテンツが表示されなくてもよい。なお、表示領域の数は車両ごとに異なってよく、また、車窓の左右によって異なってもよい。
【0067】
このように、本発明の一実施形態によれば、ユーザの視界に存在する対象に関する複数のコンテンツが、車窓上に表示される。したがって、ユーザビリティの高い情報提供装置を提供することができる。また、予め表示領域テーブルTB20に示す角度範囲が設定されることによって、サーバ100の処理負荷を削減することができる。
【0068】
<サーバの制御フローチャート>
ここで、サーバ100の制御方法について、
図7のフローチャートを用いて説明する。まず、記憶装置400に、それぞれ位置情報が関連付けられた複数のコンテンツが記憶される(ステップS11)。記憶されるコンテンツについては、
図3のコンテンツ情報テーブルTB10で説明した通りである。次に、取得部111は、車両200の走行位置及び進行方向に関する車両走行情報を取得してよい(ステップS12)。車両200の位置情報は、車両200の位置情報取得部250によって取得されてもよい。車両200の進行方向は、車両200のカメラが撮像した車外の画像、位置情報、目的地、走行速度等から取得されてよい。そして、設定部112は、車両走行情報に基づいて推定される所定時間後の車両の走行位置及び進行方向に基づいて、ディスプレイに表示する2以上のコンテンツを複数のコンテンツから選択してよい(ステップS13)。さらに、設定部112は、選択されたコンテンツのディスプレイにおけるそれぞれの表示領域を設定してよい(ステップS14)。コンテンツの選択とディスプレイの設定については、
図4~6等を用いて説明した通りである。次に、出力部115は、選択されたコンテンツを設定された表示領域に出力させる表示情報を出力する(ステップS15)。なお、表示情報には、車窓Wにおいてコンテンツを表示する表示領域の指定、表示するコンテンツのレイアウトや内容といったコンテンツ情報を含んでよい。表示情報を受信した車両200では、
図4(b)に示すように、各表示領域にコンテンツが表示されてよい。
【0069】
なお、本発明の一実施形態において、設定部112は、ディスプレイに表示するコンテンツの選択、及び、選択されたコンテンツのディスプレイにおける表示領域の設定を、所定時間ごとに実行してよい。所定時間は、例えばこれに限定されるものではないが、1分間であってよい。設定部112は、ステップS15で表示情報を出力後、所定時間が経過するまで待機し(ステップS16でNO)、所定時間経過した場合(ステップS16でYES)、ステップS12に戻り、上述の処理を実行してよい。
【0070】
このことを、
図8を用いて説明する。
図8(a)、(b)は、車窓Wに設置された表示部230Rに表示されたコンテンツが、時間の経過に伴って推移する様子を説明する図である。
図8(a)は、
図4(b)と同様であって、
図4(a)に示す点P、点Qに位置する対象施設のコンテンツが、それぞれ表示領域R1,R3に表示されている。ここで、
図8(a)、(b)に示すように、車両200の進行方向が、図面において左方向であるとする。
【0071】
サーバ100は、
図7のステップS16で所定時間が経過したと判定された場合、ステップS12~S15の処理を実行してよい。なお、所定時間が経過する間に、車両200が進むことによって、車窓Wから見える景色が変化する。したがって、点Pに位置する「××ストア」が、右側領域ID「field_10_R1」が関連付けられた視認領域15から、右側領域ID「field_10_R2」が関連付けられた視認領域16に移動する。これにより、所定時間経過後の表示部230Rは、
図8(b)に示すように、「××ストア」のコンテンツ30が表示領域R2に表示され、表示領域R1に、新たに右側領域ID「field_10_R1」が関連付けられた視認領域15に位置するようになった、コンテンツID「cont_14」のコンテンツ32が表示されることになる。なお、所定時間は、情報提供システム600の管理者側で予め設定されていてもいいし、コンテンツの提供元(広告主)によって設定されていてもよい。
【0072】
このように、本発明の一実施形態によれば、車両200の移動に合わせて、表示されるコンテンツの内容や表示場所が変化してよい。これにより、ユーザは、移動時間を楽しむことができるとともに、車両200周辺の情報を知ることができる。さらに、ユーザは、表示されたコンテンツと、当該コンテンツに対応する施設や場所を、視覚的かつ直感的に知ることができる。
【0073】
なお、上述では、車両200の走行するエリアに位置する対象に応じてコンテンツが提供される態様について説明した。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、ユーザの指定に応じてコンテンツが提供されてもよい。
【0074】
図3に示すコンテンツ情報テーブルTB10の一例のように、記憶装置400には、コンテンツIDに、コンテンツの種類に関する情報がさらに関連付けられてよい。「コンテンツの種類」とは、コンテンツによって紹介される対象施設に関する情報であってよく、例えば、当該対象施設の対象年齢(子供、高齢者、年代等)、特徴(屋外、屋内、バリアフリー等)、業種(コンビニエンスストア、飲食店、娯楽施設等)が含まれてよい。そして、本発明の一実施形態において、車両200の表示部230に、ユーザが知りたいコンテンツの種類を選択させる画面が表示され、操作入力部260を介して、ユーザから、コンテンツの種類の選択を受け付けてもよい。そして、設定部112は、上述した処理によって表示部230に表示するコンテンツを選択する際に、ユーザが指定した種類のコンテンツを優先的に選択してよい。
【0075】
これにより、ユーザの視界に入る施設のコンテンツのうち、ユーザが興味のあるコンテンツを提供することができ、よりユーザビリティの高い情報提供システムを実現することができる。
【0076】
なお、記憶装置400に、コンテンツの内容に応じて表情を変化させるデジタルヒューマン(バーチャルヒューマン)に関する情報が記憶され、コンテンツが、デジタルヒューマンを介して出力されてもよい。デジタルヒューマンは、音声認識、自然言語処理、音声合成技術等によって発話し、また、画像処理技術によって、発話内容に応じて表情がリアルタイムに変化する、人工知能(AI)によって実現される人間を模したアバターを指してよい。例えば、車窓の右側から左側へユーザを誘導する際に、デジタルヒューマンによる案内を行ってもよい。これにより、よりユーザをコンテンツに集中させることが可能となる。
【0077】
また、本発明の一実施形態において、ユーザの目的地に応じて、表示部230に表示されるコンテンツが設定されてもよい。例えば、車両200の乗車時に操作入力部260を介して、または、予約時にユーザ端末を介して、ユーザから、目的地の入力が受け付けられてよい。そして、設定部112は、目的地に対応する位置情報が関連付けられたコンテンツを、車両200内でユーザに提供してもよい。なお、目的地に対応する位置情報とは、目的地から所定の距離内の周辺エリアに含まれる位置情報であってもよく、目的地周辺の施設に関するコンテンツが、ユーザに提供されてよい。これにより、よりユーザビリティの高い情報提供システムを実現することができる。
【0078】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、サーバ100が備えるとして説明した各構成部は、複数のサーバによって分散されて実現されてもよいし、機能によっては、外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)等で呼び出して実現してもよい。また、上述でサーバ100が行うとして説明した処理は、車両200が実行してもよい。
【0079】
例えば、上述では、サーバ100から、車両200の表示部230に表示させるコンテンツの表示情報が出力される態様について説明した。しかしながら、本発明の一実施形態において、サーバ100からは、表示すべきコンテンツの識別子と、表示すべき表示領域についての指示が車両200に送信され、車両200が記憶装置400を参照して、表示部230にコンテンツを表示させてもよい。
【0080】
また、原点Oは、車両200の種類(全長)に応じて原点Oは異なってよく、上述のような座席の重心に限定されない。原点Oはユーザの位置に応じて設定されてよく、例えば、バスなどの縦長の車両などの場合に、前方の座席と、後方の座席とで、上述したコンテンツの表示制御が別個に行われてよい。また、繰り返しとなるが、原点Oを左右の車窓両方に置き、上述したコンテンツの選択及び表示が行われてもよい。
【0081】
また、本発明の一実施形態において、設定部112は、所定時間後の原点座標から位置座標までの距離が所定の距離以下となるコンテンツのうち、最も距離が短いコンテンツを、ディスプレイに表示するコンテンツとして選択してもよい。すなわち、視認領域内に対象施設が複数存在する場合、車両200から近い方の対象施設について、コンテンツが表示されてもよい。これは、車両200からの距離が遠い対象施設ほど、ビルや住居等の建物によって見えにくいことが考えられる。したがって、車両200により近く、車窓から視認しやすい、より近い方に位置する対象施設について、コンテンツが表示されてよい。
【0082】
なお、コンテンツに優先度が設定されて、視認領域内に対象施設が複数存在する場合に、優先度に応じてコンテンツが選択されてよい。例えば、ユーザの乗車履歴に応じて、表示するコンテンツを選択してもよい。例えば、以前の走行ルートと同じルートを車両200が走行する場合、以前と同じ内容のコンテンツが表示されると、ユーザにとっては面白くない。したがって、以前の走行ルートと同じルートを走行中に、視認領域内に対象施設が複数存在する場合に、車両200から2番目に近い対象施設について、コンテンツが表示されてもよい。
【0083】
なお、コンテンツ情報テーブルTB10に記憶される情報は、情報提供システム600の管理者側、又は、広告主側の要請に応じて更新されてよい。あるいは、コンテンツに有効期限が設定され、有効期限が満了したコンテンツは、表示されないようにされてもよい。
【0084】
サーバ100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、サーバ100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種情報がコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。すなわち、本発明に係るサーバ100は、CPUがRAM上にロードされたプログラムを実行することにより、上述した各構成部として機能する。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれた情報信号の形態でも実現され得る。
【0085】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)、Python、Rubyなどのスクリプト言語、C言語、C++、C#、Objective-C、Swift、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装されてよい。さらに、特許請求の範囲における「部(section、module、unit)」との記載は、「手段」や「回路」に読み替えてもよい。例えば、通信部は、通信手段や通信回路に読み替えることができる。
【0086】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、サーバ100に提供されてもよい。
【0087】
以上説明した本開示の各態様によれば、あらゆる年代の人々に快適な自動運転車両におけるサービスが可能となることにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0088】
100 サーバ(情報提供装置)
110 制御部
111 取得部
112 設定部
113 推定部
114 選択部
115 出力部
120 通信部
170 記憶部
200 車両
210 制御部
211 通信制御部
212 表示制御部
213 入出力制御部
220 通信部
230 表示部
240 センサ群
250 位置情報取得部
260 操作入力部
270 音声入出力部
290 記憶部
400 記憶装置
500 ネットワーク
600 情報提供システム