(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】微孔性霧化部品及び電子霧化装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/05 20200101AFI20240628BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240628BHJP
【FI】
A24F40/05
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2022189971
(22)【出願日】2022-11-29
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】202111551849.4
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522331161
【氏名又は名称】深▲せん▼摩尓霧化健康医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Moore Vaporization Health & Medical Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】歐陽光林
(72)【発明者】
【氏名】朱勇雄
(72)【発明者】
【氏名】唐茗
(72)【発明者】
【氏名】李磊
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201371109(CN,Y)
【文献】米国特許出願公開第2021/0260312(US,A1)
【文献】中国実用新案第205728052(CN,U)
【文献】中国実用新案第205728077(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113262923(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
B05B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微孔性霧化部品であって、
貫通孔が開設された圧電セラミックスシートと、
本体部と囲い部を含む霧化シートであって、前記本体部は前記圧電セラミックスシートと積層接着され且つ前記貫通孔を覆い、前記貫通孔に対応する前記本体部の領域には複数の霧化孔が開設されている前記霧化シートと、を含み、
前記囲い部は、前記圧電セラミックスシートが積層された前記本体部の表面に突設され、且つ前記圧電セラミックスシートの外周を囲んで設けられて
おり、前記囲い部は環状突起として構成される、ことを特徴とする微孔性霧化部品。
【請求項2】
前記囲い部は前記本体部と一体成形される、ことを特徴とする請求項1に記載の微孔性霧化部品。
【請求項3】
前記環状突起は前記圧電セラミックスシートの外周に間隔をおいて嵌設される、ことを特徴とする請求項1に記載の微孔性霧化部品。
【請求項4】
前記環状突起の径方向において、前記環状突起と前記圧電セラミックスシートとの間の隙間は0.01mm~1.0mmである、ことを特徴とする請求項3に記載の微孔性霧化部品。
【請求項5】
前記本体部から突起する前記囲い部の高さは、前記圧電セラミックスシートの厚さ以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の微孔性霧化部品。
【請求項6】
前記圧電セラミックスシートの厚さと前記本体部から突起する前記囲い部の高さとの比は1:1~6:1である、ことを特徴とする請求項5に記載の微孔性霧化部品。
【請求項7】
前記本体部から突起する前記囲い部の高さは0.01mm~1.0mmであり、及び/又は、前記圧電セラミックスシートの厚さは0.5mm~1.0mmである、ことを特徴とする請求項5に記載の微孔性霧化部品。
【請求項8】
前記圧電セラミックスシートの外径は5mm~20mmであり、及び/又は、前記本体部の厚さは0.01mm~1mmである、ことを特徴とする請求項7に記載の微孔性霧化部品。
【請求項9】
前記微孔性霧化部品は、前記本体部と前記圧電セラミックスシートとの間に接着された接着層をさらに含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の微孔性霧化部品。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の微孔性霧化部品を含むことを特徴とする電子霧化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化技術の分野に関し、特に微孔性霧化部品及び電子霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルは、固体又は液体の微小な粒子が気体媒体に分散して浮遊するコロイド分散系であり、呼吸システムを介して人体に吸収されるため、ユーザに新規な代替吸収方法を提供している。例えば、草本類又はペースト類のエアロゾル発生基質を焼成・加熱してエアロゾルを発生させる電子霧化装置を異なる分野に適用して、従来の製品形態や吸収方法の代わりに、吸入可能なエアロゾルをユーザに送達することができる。
【0003】
一般的には、霧化装置によってエアロゾル発生基質をエアロゾルに霧化する方式には、加熱霧化及び超音波霧化がよく使用されている。超音波霧化の原理として、圧電セラミックスの高周波振動を利用して微孔性超音波霧化シートの共振を駆動し、微孔性超音波霧化シートの霧化孔は振動に伴って連続的に繰り返し変形又は振動し、溶液を押出して微細な霧滴に破砕して霧化気を形成する。微孔性超音波霧化装置において霧化シートと圧電セラミックスシートは互いに接着され、霧化過程において霧化シートは高周波振動を発生し、液体(強酸や、強アルカリ、強酸化剤などの液体に限定されない)は霧化振動により霧化シートと圧電セラミックスとの間の接着剤層に入るため、接着剤層が腐食して脱落し、振動故障を引き起こしやすくなり、製品の性能と使用効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づいて、微孔性超音波霧化装置が振動故障を起こしやすいという問題に対し、微孔性霧化部品及び電子霧化装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
微孔性霧化部品は、貫通孔が開設された圧電セラミックスシートと、本体部と囲い部を含む霧化シートであって、前記本体部は前記圧電セラミックスシートと積層接着され且つ前記貫通孔を覆い、前記貫通孔に対応する前記本体部の領域には複数の霧化孔が開設されている前記霧化シートと、を含み、前記囲い部は、前記圧電セラミックスシートが積層された前記本体部の表面に突設され、且つ前記圧電セラミックスシートの外周を囲んで設けられている。
【0006】
上記微孔性霧化部品では、霧化シートには囲い部が設けられ、囲い部は圧電セラミックスシートに面する本体部の一面に突設され、圧電セラミックスシートの外周を囲んで遮断している。このように、囲い部によって圧電セラミックスシートと本体部との間の隙間を遮蔽することで、霧化する時に液体が圧電セラミックスシートのエッジから圧電セラミックスシートと本体部との間に浸透して接着剤を腐食することを防止し、圧電セラミックスシートと霧化シートとの間の接着の有効性を保証して、霧化シートの効果的な振動を保証することができる。また、霧化シートに囲い部を突設することにより、霧化シートの剛性を向上させ、霧化シートを圧電セラミックスシートに強固に貼り付けることができ、霧化シートが複数回振動した後に自身の剛性が低いために圧電セラミックスシートと分離する程度に湾曲することを防止し、霧化シートと圧電セラミックスシートとの接着安定性をさらに向上させることができる。
【0007】
それと同時に、圧電セラミックスシートの外周に囲い部を設けることにより、圧電セラミックスシートと霧化シートとの間の接着剤が押し出されて加熱硬化の過程で霧化シートのエッジから溢れることを防止することができ、接着剤が溢れて接着工程に影響を与えることを回避することができる。そして、霧化シートの外周に囲い部を設けることで、霧化シートの振動をよりよく中心領域に拘束することができるが、霧化シートの中心領域は圧電セラミックスシートの貫通孔に対応する領域であり、霧化シートの中心領域に、エアロゾル発生基質を霧化するための複数の霧化孔が開設される。このように、霧化シートにおける霧化する領域の振動振幅を大きくして、霧化効果を高める。したがって、微孔性霧化部品100は接着剤の脱落や溢れを防止できるだけでなく、霧化効果を向上させることができる。
【0008】
一つの実施例において、前記囲い部は前記本体部と一体成形される。これにより、囲い部と本体部との間に隙間が存在して液体が圧電セラミックスシートの側面に入ることを防止し、囲い部が液体を遮断する効果をさらに向上させる。
【0009】
一つの実施例において、前記囲い部は環状突起として構成され、前記環状突起は前記圧電セラミックスシートの外周に間隔をおいて嵌設される。これにより、前記圧電セラミックスシートの外周との間に一定の隙間を確保し、圧電セラミックスシートが通電した後に自身の径方向に振動することができ、霧化シートの霧化孔を軸方向に変形させて、エアロゾル発生基質を押圧して霧化することができる。
【0010】
一つの実施例において、前記環状突起の径方向において、前記環状突起と前記圧電セラミックスシートとの間の隙間は0.01mm~1.0mmである。
【0011】
一つの実施例において、前記本体部から突起する前記囲い部の高さは、前記圧電セラミックスシートの厚さ以下である。
【0012】
一つの実施例において、前記圧電セラミックスシートの厚さと前記本体部から突起する前記囲い部の高さとの比は1:1~6:1である。
【0013】
一つの実施例において、前記本体部から突起する前記囲い部の高さは0.01mm~1.0mmであり、及び/又は、前記圧電セラミックスシートの厚さは0.5mm~1.0mmである。
【0014】
一つの実施例において、前記圧電セラミックスシートの外径は5mm~20mmであり、及び/又は、前記本体部の厚さは0.01mm~1mmである。
【0015】
一つの実施例において、前記微孔性霧化部品は、前記本体部と前記圧電セラミックスシートとの間に接着された接着層をさらに含む。
【0016】
電子霧化装置は、上記の微孔性霧化部品を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例における微孔性霧化部品の構造模式図である。
【
図2】
図1に示される微孔性霧化部品の分解模式図である。
【
図3】
図1に示される微孔性霧化部品の断面模式図である。
【
図4】
図3に示される微孔性霧化部品の部分拡大模式図である。
【
図5】関連技術における従来の微孔性霧化部品の振動モードシミュレーション図である。
【
図6】
図1に示される微孔性霧化部品の振動モードシミュレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより分かりやすくするために、以下は図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本発明を十分に理解するために、以下は多くの具体的な詳細を説明する。しかし、本発明は本明細書の記載以外の多くの態様で実施することができ、当業者は本発明の主旨から逸脱しない限り、類似改良を行うことができる。したがって、本発明は以下に開示された具体的な実施例に限定されるものではない。
【0019】
本発明の説明において、理解すべきものとして、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などが指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものだけであり、言及される装置又は素子は特定の方位を有し、特定の方位の構造及び操作をしなければならないことを意味又は示唆するものではなく、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0020】
また、用語「第1」、「第2」は説明の目的だけであり、相対的な重要性を意味もしくは示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも一つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明示的かつ具体的に制限されていない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0021】
本発明において、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、一体になってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に基づいて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0022】
本発明において、特に明確な規定及び限定がない限り、第1特徴は第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴が直接接触してもよく、又は第1特徴と第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1特徴は、第2特徴の「上」や「上方」にあることは、第1特徴は、第2特徴の真上または斜め上方にあってもよいし、第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことのみを示してもよい。第1特徴は第2特徴の「下」や「下方」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下又は斜め下方にあってもよいし、第1特徴の水平高さが第2特徴より小さいことのみを示してもよい。
【0023】
なお、素子は、他の素子に「固定される」又は「設置される」と呼ばれる場合、他の素子に直接存在してもよく、または介在する要素が存在してもよい。一つの素子は、他の素子に「接続される」と考えられる場合、他の素子に直接接続されてもよく、または介在する要素が存在してもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は説明の目的だけであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施例において、エアロゾル発生基質を霧化するための微孔性霧化部品100を提供する。微孔性霧化部品100は圧電セラミックスシート10及び霧化シート30を含み、霧化シート30は圧電セラミックスシート10と積層して設けられ、霧化シート30に複数の微小な霧化孔が開設されている。圧電セラミックスシート10が通電されると振動して霧化シート30の振動を駆動し、霧化シート30が振動すると、霧化孔は振動に伴って持続的に繰り返し変形又は振動し、液状のエアロゾル発生基質を押出して微細な霧滴に破砕して霧状のエアロゾルを形成する。通常、霧化孔はミクロンオーダーの微細な微孔であり、いくつかの実施形態において、霧化孔の孔径は1μm~20μmであってもよく、好ましくは、霧化孔の孔径は3μm~15μmであってもよい。
【0025】
さらに、圧電セラミックスシート10に貫通孔11が開設され、霧化シート30は本体部32を含み、本体部32は圧電セラミックスシート10と積層接着され且つ貫通孔11を覆い、貫通孔11に対応する本体部32の領域には貫通孔11に連通する複数の霧化孔が開設されている。霧化シート30が振動すると、エアロゾル発生基質が本体部32における霧化孔に押圧されて霧化された後に形成された霧化液滴は、圧電セラミックスシート10における貫通孔11を介して流出することができる。
【0026】
いくつかの実施例において、本体部32と圧電セラミックスシート10との間は、導電性接着剤によって接着され、微孔性霧化部品100は正極リード(図示せず)及び負極リード(図示せず)をさらに含み、正極リードと負極リードのうちの一方は本体部32に接続され、正極リードと負極リードのうちの他方は圧電セラミックスシート10に接続される。このように、正極リード及び負極リードによって微孔性霧化部品100における圧電セラミックスシート10を回路に接続して、圧電セラミックスシート10を通電して振動させる。そして、正極リード及び負極リードは、いずれも溶接により固定接続されている。任意に、本体部32に径方向に沿ってタブ31が突設され、正極リード又は負極リードはタブ31に溶接される。
【0027】
さらに、通常、霧化シート30から離れた圧電セラミックスシート10の一面は、例えば銀を含む合金などの導電性金属層である電極層で覆われている。電極層は正極リード又は負極リードに連通して、外部電源に接続されて導電することで、圧電セラミックスシート10の電気的連通を実現することができる。
【0028】
具体的には、複数の霧化孔が開設された霧化シート30の領域は、貫通孔11に延びる方向に突出するように構成される。これは、霧化シート30の中心領域に貫通孔11の内部に向かって湾曲した凸包33が形成され、凸包33に複数の霧化孔が開設されることに相当する。このように、霧化シート30は圧電セラミックスシート10の駆動で振動すると、エアロゾル発生基質が貫通孔11を貫通する方向に流れるように案内することができ、凸包33の突起方向は基質の流れ方向である。
【0029】
霧化シート30はさらに囲い部34を含み、囲い部34は圧電セラミックスシート10が積層された本体部32の表面に突設され、且つ圧電セラミックスシート10の外周を囲んで設けられている。このように、囲い部34によって圧電セラミックスシート10と本体部32との間の隙間を遮蔽することで、霧化する時に液体が圧電セラミックスシート10のエッジから圧電セラミックスシート10と本体部32との間に浸透して接着剤を腐食することを防止し、圧電セラミックスシート10と霧化シート30との間の接着の有効性を保証して、霧化シート30の効果的な振動を保証することができる。また、霧化シート30に囲い部34を突設することにより、霧化シート30の剛性を向上させ、霧化シート30を圧電セラミックスシート10に強固に貼り付けることができ、霧化シート30が複数回振動した後に自身の剛性が低いために圧電セラミックスシート10と分離する程度に湾曲することを防止し、霧化シート30と圧電セラミックスシート10との接着安定性をさらに向上させることができる。
【0030】
それと同時に、圧電セラミックスシート10の外周に囲い部34を設けることにより、圧電セラミックスシート10と霧化シート30との間の接着剤が押し出されて加熱硬化の過程で霧化シート30のエッジから溢れることを防止することができ、接着剤が溢れて接着工程に影響を与えることを回避することができる。また、霧化シート30の外周に囲い部34を設けることで、霧化シート30の振動をよりよく中心領域に拘束することができ、霧化シート30の中心領域は圧電セラミックスシート10の貫通孔11に対応する領域であり、霧化シート30の中心領域に、エアロゾル発生基質を霧化するための複数の霧化孔が開設される。このように、霧化シート30における霧化する領域の振動振幅を大きくして、霧化効果を高める。したがって、微孔性霧化部品100は接着剤の脱落や溢れを防止できるだけでなく、霧化効果を向上させることができる。
【0031】
いくつかの実施例において、囲い部34と本体部32との間に隙間が存在して液体が圧電セラミックスシート10の側面に入ることを防止し、囲い部34が液体を遮断する効果をさらに向上させるために、本体部32は囲い部34と一体成形される。任意に、霧化シート30は、ステンレス鋼、チタン合金、及びパラジウムニッケル合金のいずれか1つからなる。また、任意に、機械加工、電鋳又はエッチングなどにより原材料に盲穴加工を行い、一体成形された本体部32及び囲い部34を作製する。
【0032】
図1~
図3を参照すると、いくつかの実施例において、微孔性霧化部品100はさらに接着層50を含み、接着層50は、霧化シート30と圧電セラミックスシート10を接着するように、本体部32と圧電セラミックスシート10との間に接着される。任意に、接着層50はエポキシ系接着剤又は固体接着フィルムで製造される。具体的には、貼り付け過程において、スクリーン印刷(ディスペンス、フィルム転写等の工程を含むがこれらに限定されない)により圧電セラミックスシート10の表面に接着層50を貼り付け、続いて接着層付きの圧電セラミックスシート10を霧化シート30の囲い部34内に入れ、且つ圧電セラミックスシート10における接着層50を本体部32に接触させる。最後に、圧電セラミックスシート10と霧化シート30を治具で圧着して高温硬化を行い、硬化温度や硬化時間は接着層50の特性に基づいて決定される。最終的には、積層接着された圧電セラミックスシート10と霧化シート30を得て、微孔性霧化部品100が製造される。
【0033】
それと同時に、圧電セラミックスシート10の外周に囲い部34を設けることにより、圧電セラミックスシート10と霧化シート30との間の接着剤が押し出されて加熱硬化の過程で霧化シート30のエッジから溢れることを防止することができ、接着剤が外部の治具と接着して治具の正常な使用に影響を与えることを回避する。このように、微孔性霧化部品100は接着剤の脱落を防止できるだけでなく、接着剤の溢れも防止できる。
【0034】
いくつかの実施例において、囲い部34は環状突起として構成され、環状突起は圧電セラミックスシート10の外周の形状に一致し、圧電セラミックスシート10の外周の全方向から遮断保護を提供し、圧電セラミックスシート10の接着剤の脱落や、貼り付け過程での接着剤の溢れを防止することができる。それと同時に、環状突起によって霧化シート30の振動を中心領域に集め、霧化効果を向上させる。具体的には、
図5は関連技術における従来の微孔性霧化部品の振動モードシミュレーション図、
図6は本発明に提供される微孔性霧化部品100の振動モードシミュレーション図であり、本発明に提供される微孔性霧化部品100の振動が霧化シート30の中心領域に集中していることが
図6から分かる。
【0035】
図1及び
図3~
図4を参照すると、さらに、環状突起は圧電セラミックスシート10の外周に間隔をおいて嵌設される。このように、圧電セラミックスシート10の外周との間に一定の隙間を確保し、圧電セラミックスシート10が通電した後に自身の径方向に振動することができ、霧化シート30の霧化孔を軸方向に変形させて、エアロゾル発生基質を押圧して霧化することができる。
【0036】
任意に、環状突起の径方向において、環状突起と圧電セラミックスシートとの間の隙間は0.01mm~1.0mmであることで、圧電セラミックスシート10は自身の径方向に振動することができる。
【0037】
いくつかの実施例において、本体部32から突起する囲い部34の高さは、圧電セラミックスシート10の厚さ以下であり、即ち囲い部34は圧電セラミックスシート10よりも高くない。このように、囲い部34が厚すぎて重量が大きく霧化シート30の振動を阻害することを防止し、霧化シート30の優れた振動及び霧化性能を保持することができる。
【0038】
さらに、圧電セラミックスシート10の厚さと、本体部32から突起する囲い部34の高さとの比は1:1~6:1であり、即ち囲い部34の突起の高さが最も低い場合、圧電セラミックスシート10の厚さは囲い部34の突起の高さの6倍であり、囲い部34の突起の高さが最も高い場合、圧電セラミックスシート10の厚さは囲い部34の突起の高さと同じである。このように、本体部32から突起する囲い部34の高さを圧電セラミックスシート10の厚さ以下に設定する。
【0039】
任意に、本体部32から突起する囲い部34の高さは0.01mm~1.0mmであり、圧電セラミックスシートの厚さは0.5mm~1.0mmである。このように、圧電セラミックスシート10の厚さに応じて、本体部32から突起する囲い部34の高さを合理的に設定することにより、囲い部34によって液体が圧電セラミックスシート10の側面の隙間内に入って接着剤を腐食することを防止し、組み立て過程で接着剤が霧化シート30の外周から溢れて組み立て工程に不便をもたらすことを防止することができる。また、合理的な厚さの遮断部を設けることにより霧化シート30の中心領域の振動振幅を高めることができ、霧化シート30の霧化効果を高めることができる。好ましくは、本体部32から突起する囲い部34の高さは0.05~0.8mmであり、セラミックスシートの厚さは0.6~0.8mmである。このように、微孔性霧化部品100は、優れた接着剤脱落防止、接着剤溢れ防止及び振動霧化性能を備えることができる。
【0040】
さらに、圧電セラミックスシート10の外径は5mm~20mmであり、本体部32の厚さは0.01mm~1mmである。具体的には、本体部32から突起する囲い部34の高さを0.01mm~1.0mmとし、セラミックスシートの厚さを0.5mm~1.0mmとするとともに、圧電セラミックスシート10の外径を5mm~20mmとし、本体部32の厚さを0.01mm~1mmとすることで、微孔性霧化部品100全体における各部材の寸法を適切な範囲内にし、微孔性霧化部品100全体の接着剤脱落防止、接着剤溢れ防止及び振動霧化性能を保証することができる。上記微孔性霧化部品100は圧電セラミックスシート10及び霧化シート30を含み、霧化シート30は圧電セラミックスと積層して接着され、且つ霧化シート30に圧電セラミックスシート10の外周を囲んだ囲い部34が設けられることにより、液体が霧化シート30と圧電セラミックスシート10との間の隙間に入って接着剤を腐食することを防止することができ、それと同時に、圧電セラミックスシート10と霧化シート30を組み立てて貼り付ける過程で囲い部34によって接着剤の溢れを防止することができ、また囲い部34によって霧化シート30の振動を霧化孔が開設された中心領域に集め、振動及び霧化効果を向上させることもできる。
【0041】
同様の発明思想に基づき、本発明の一実施例では、さらに上記の微孔性霧化部品100を含む電子霧化装置を提供する。微孔性霧化部品100は圧電セラミックスシート10及び霧化シート30を含み、霧化シート30は圧電セラミックスシート10と積層して設けられ、霧化シート30に霧化孔が開設されている。圧電セラミックスシート10に通電した後に振動すると、霧化シート30の振動を駆動し、霧化シート30が振動すると、霧化孔は振動発生に伴って持続的に繰り返し変形し、液状のエアロゾル発生基質を押出して微細な霧滴に破砕して、霧状のエアロゾルを形成する。
【0042】
さらに、圧電セラミックスシート10に貫通孔11が開設され、霧化シート30は本体部32を含み、本体部32は圧電セラミックスシート10と積層接着され且つ貫通孔11を覆い、貫通孔11に対応する本体部32の領域には貫通孔11に連通する複数の霧化孔が開設されている。霧化シート30が振動すると、エアロゾル発生基質が本体部32における霧化孔に押圧されて霧化された後に形成された霧化液滴は、圧電セラミックスシート10における貫通孔11を介して流出することができる。
【0043】
霧化シート30はさらに囲い部34を含み、囲い部34は圧電セラミックスシート10が積層された本体部32の表面に突設され、且つ圧電セラミックスシート10の外周を囲んで設けられている。このように、囲い部34によって圧電セラミックスシート10と本体部32との間の隙間を遮蔽することで、霧化する時に液体が圧電セラミックスシート10のエッジから圧電セラミックスシート10と本体部32との間に浸透して接着剤を腐食することを防止し、圧電セラミックスシート10と霧化シート30との間の接着の有効性を保証して、霧化シート30の効果的な振動を保証することができる。また、霧化シート30に囲い部34を突設することにより、霧化シート30の剛性を向上させ、霧化シート30を圧電セラミックスシート10に強固に貼り付けることができ、霧化シート30が複数回振動した後に自身の剛性が低いために圧電セラミックスシート10と分離する程度に湾曲することを防止し、霧化シート30と圧電セラミックスシート10との接着安定性をさらに向上させることができる。
【0044】
それと同時に、圧電セラミックスシート10の外周に囲い部34を設けることにより、圧電セラミックスシート10と霧化シート30との間の接着剤が押し出されて加熱硬化の過程で霧化シート30のエッジから溢れることを防止することができ、接着剤が溢れて接着工程に影響を与えることを回避することができる。また、霧化シート30の外周に囲い部34を設けることで、霧化シート30の振動をよりよく中心領域に拘束することができ、霧化シート30の中心領域は圧電セラミックスシート10の貫通孔11に対応する領域であり、霧化シート30の中心領域に、エアロゾル発生基質を霧化するための複数の霧化孔が開設される。このように、霧化シート30における霧化する領域の振動振幅を大きくして、霧化効果を高める。したがって、微孔性霧化部品100は接着剤の脱落や溢れを防止できるだけでなく、霧化効果を向上させることができる。
【0045】
いくつかの実施例において、囲い部34と本体部32との間に隙間が存在して液体が圧電セラミックスシート10の側面に入ることを防止し、囲い部34が液体を遮断する効果をさらに向上させるために、本体部32は囲い部34と一体成形される。任意に、霧化シート30は、ステンレス鋼、チタン合金、及びパラジウムニッケル合金のいずれか1つからなる。また、任意に、機械加工、電鋳又はエッチングなどにより原材料に盲穴加工を行い、一体成形された本体部32及び囲い部34を作製する。
【0046】
上記微孔性霧化部品100は圧電セラミックスシート10及び霧化シート30を含み、霧化シート30は圧電セラミックスと積層して接着され、且つ霧化シート30に圧電セラミックスシート10の外周を囲んだ囲い部34が設けられることにより、液体が霧化シート30と圧電セラミックスシート10との間の隙間に入って接着剤を腐食することを防止することができ、それと同時に、圧電セラミックスシート10と霧化シート30を組み立てて貼り付ける過程で囲い部34によって接着剤の溢れを防止することができ、また囲い部34によって霧化シート30の振動を霧化孔が開設された中心領域に集め、振動及び霧化効果を向上させることもできる。
【0047】
上述した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明の簡潔さのために、上述した実施例の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせが記載されていないが、これらの技術的特徴の組み合わせが矛盾しない限り、本明細書の範囲内にあるとみなされるべきである。
【0048】
以上の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を表現したに過ぎず、より具体的且つ詳細に説明されているが、本発明の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。当業者にとっては、本発明のコンセプトから逸脱しない限り、若干の変形や改良が可能であり、これらは本発明の保護範囲に含まれることに留意されたい。したがって、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に規定されるものとする。
【符号の説明】
【0049】
100 微孔性霧化部品
10 圧電セラミックスシート
11 貫通孔
30 霧化シート
31 タブ
32 本体部
33 凸包
34 囲い部
50 接着層