(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】火災関連情報表示機
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240628BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20240628BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G08B25/00 510B
G08B23/00 520C
G08B23/00 520D
G08B17/00 L
(21)【出願番号】P 2022205241
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2018139141の分割
【原出願日】2018-07-25
【審査請求日】2022-12-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:中・大規模建物用[アナログ式]複合GR型システムR-26C Integrated Analog GR System 公開者名:能美防災株式会社 カタログ配布日:平成30年 5月 7日 展示会名称:東京国際消防災展2018 公開者名:能美防災株式会社 開催場所:東京ビックサイト(東京都江東区有明3丁目11-1) 開催日:平成30年 5月30日~平成30年 6月 3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】竹下 敦
(72)【発明者】
【氏名】萩田 雅大
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-008097(JP,A)
【文献】特開2017-156127(JP,A)
【文献】特開昭59-165196(JP,A)
【文献】特開2007-286839(JP,A)
【文献】特開2003-067855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B17/00
23/00-31/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末機器と接続され、前記複数の端末機器からの送信情報に基づいてイベントの発生を判定する判定部と、
前記判定部により3つ以上のイベントが重複して発生したと判定された場合には、前記3つ以上のイベントを1画面内に表示させる表示制御部と、
鳴動指令に応じて、イベントごとにあらかじめ設定された警報音
による報知、およびあらかじめ決められた音声による報知を行う報知部と
を備え、
前記表示制御部は、前記判定部により前記3つ以上のイベントが重複して発生したと判定された場合には、あらかじめ設定されたイベントごとの重要度に応じて、前記3つ以上のイベントのうち、前記重要度の高い1つまたは2つの重要イベントに限定して、前記警報音
および前記音声の両方を用いた報知を行うように前記鳴動指令を出力し、前記3つ以上のイベントのうち、前記重要イベント以外のイベントに関しては、前記警報音を用いた報知を省略
し、前記音声を用いた報知を行うように前記鳴動指令を出力する
火災関連情報表示機。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記3つ以上のイベントとして、重要度の高い第1イベントおよび第2イベントと、重要度の低い第3イベントの3つのイベントが重複して発生した場合には、前記第1イベントの警報音による報知→前記第1イベントの音声による報知→前記第2イベントの警報音による報知→前記第2イベントの音声による報知→前記第3イベントの音声による報知、を繰り返し行うように前記鳴動指令を順次出力し、前記重要イベントに相当する前記第1イベントおよび前記第2イベントに関しては警報音と音声の両方を鳴動させ、前記重要イベント以外のイベントに相当する前記第3イベントに関しては音声を鳴動させる一方で警報音による鳴動を省略した上で、前記3つのイベントを順番に繰り返し鳴動させる
請求項1に記載の火災関連情報表示機。
【請求項3】
複数の端末機器と接続され、前記複数の端末機器からの送信情報に基づいてイベントの発生を判定する判定部と、
前記判定部により3つ以上のイベントが重複して発生したと判定された場合には、前記3つ以上のイベントを1画面内に表示させる表示制御部と、
鳴動指令に応じて、イベントごとにあらかじめ設定された警報音による報知を行う報知部と
を備え、
前記表示制御部は、前記判定部により前記3つ以上のイベントが重複して発生したと判定された場合には、あらかじめ設定されたイベントごとの重要度に応じて、前記3つ以上のイベントのうち、前記重要度の高い1つまたは2つの重要イベントに限定して、前記警報音を用いた報知を行うように前記鳴動指令を出力し、前記3つ以上のイベントのうち、前記重要イベント以外のイベントに関しては、前記警報音を用いた報知を省略
し、前記重要度の高いイベントとして2つの重要イベントが限定された場合には、順番に繰り返し鳴動指令を出力することで、前記2つの重要イベントに関して警報音を用いた報知を繰り返し行う
火災関連情報表示機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端末機器からの情報に基づいて、火災発生状況を検出する火災受信機等の火災関連情報表示機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災の要因となる煙の発生、温度上昇、ガス漏れ等を監視する火災報知設備に用いられる火災受信機は、防災センター、管理室などに設置されている。火災受信機は、火災監視区域ごとに設置されている1以上の端末機器から信号を受信することで、火災発生の有無を判断している。
【0003】
また、スプリンクラー設備等の消火設備を監視する消火システム制御盤も同様に防災センター、管理室等に設置されて、配管内圧力の変動等を端末機器から受信することで、火災発生の有無を判断している。
【0004】
このような火災報知設備、消火設備において、火災発生要因を識別しやすくする従来技術がある(たとえば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1に係る受信機は、代表表示部において、火災代表灯、ガス漏れ代表灯、および防排煙代表灯が設けられ、それぞれ固有のマークが描かれており、受信時には、対応するそれぞれの表示灯が点滅して、警報受信を示すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1に係る従来技術は、特許文献1の
図4に示されているように、1画面内において、火災代表灯、ガス漏れ代表灯、および防排煙代表灯を、個別のマークを用いて識別表示させている。しかしながら、マークの大きさには限界があり、このようなマーク表示でイベントを識別させることだけでは、オペレータに与えるインパクトが必ずしも大きくなく、オペレータによってイベントが見落とされる、あるいは十分にイベントが識別されないおそれがある。
【0007】
特に、イベントが同時に複数発生した場合には、オペレータは、1つのイベントを認識することはできたとしても、その他のイベントを見落としてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、複数のイベントが重複して発生した場合に、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれを抑制することのできる火災関連情報表示機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る火災関連情報表示機は、複数の端末機器と接続され、複数の端末機器からの送信情報に基づいてイベントの発生を判定する判定部と、判定部により3つ以上のイベントが重複して発生したと判定された場合には、3つ以上のイベントを1画面内に表示させる表示制御部と、鳴動指令に応じて、イベントごとにあらかじめ設定された警報音による報知、およびあらかじめ決められた音声による報知を行う報知部とを備え、表示制御部は、判定部により3つ以上のイベントが重複して発生したと判定された場合には、あらかじめ設定されたイベントごとの重要度に応じて、3つ以上のイベントのうち、重要度の高い1つまたは2つの重要イベントに限定して、警報音および音声の両方を用いた報知を行うように鳴動指令を出力し、3つ以上のイベントのうち、重要イベント以外のイベントに関しては、警報音を用いた報知を省略し、音声を用いた報知を行うように鳴動指令を出力するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のイベントが重複して発生した場合にも、少なくとも3つ以上のイベントを1画面内に同時に表示させる機能を有する。この結果、複数のイベントが重複して発生した場合に、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれを抑制することのできる火災関連情報表示機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る火災報知設備の全体構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る火災受信機の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態1において、3つのイベントが重複して検出された場合を表示した画面例1を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態1において、4つのイベントが重複して検出された場合を表示した画面例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の火災関連情報表示機のうち、火災受信機の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る火災報知設備の全体構成図である。
図1に示す火災報知設備は、火災受信機10と、4台の端末機器20(1)~20(4)と、中継器30とを備えて構成されている。ここで、2台の端末機器20(1)、20(2)、および中継器30は、火災受信機10と直接接続されている。また、2台の端末機器20(3)、20(4)は、中継器30に直接接続されており、この中継器30を介して火災受信機10と接続されている。なお、端末機器20、中継器30の個数は、この
図1の例に限定されるものではない。
【0014】
図1に示した火災報知設備は、いわゆるR型火災報知設備である。従って、4台の端末機器20(1)~20(4)は、測定結果、感知結果等をアナログ信号として出力し、火災受信機10側で、これらのアナログ信号の受信結果に基づいて、火災の有無を判定している。
【0015】
また、端末機器20の代表例としては、以下のような光電アナログ感知器および熱アナログ感知器が挙げられる。
・光電アナログ感知器
火災監視区域において、投光部から照射された光が、煙の影響を受けて減光され、受光部で受光されることで、煙の発生をアナログ値として検出できる煙感知器、あるいは、投光部から照射された光が煙の粒子によって散乱した散乱光を受光部が受光することで、煙の発生をアナログ値として検出できる煙感知器に相当する。
・熱アナログ感知器
火災監視区域において、熱をアナログ値として検出できる熱感知器に相当する。
【0016】
また、火災監視区域における周辺状況を計測できる端末機器として、気温、気圧、湿度、COガス等を計測する計測器を用いることもできる。
【0017】
さらに、以下のような各種センサを、端末機器として使用することも可能である。
・圧力センサ
消火システムの配管経路中に圧力センサを接続し、配管内圧力を監視することで、スプリンクラー放出などの状態を知ることができる。
【0018】
また、4-20mAの電流計測を行う中継器を介することで、業界標準となっている4-20mAの電流計測に対応している市販のセンサ類を、端末機器20として自由に接続することが可能となる。このセンサ類の具体例としては、ガスセンサ、炎センサが挙げられる。
【0019】
また、ボタンが押されることで、火災が発生したことを通報する発信機を、端末機器20として使用することも可能である。すなわち、本実施の形態1で用いられる端末機器20は、火災受信機10が火災発生の有無を判断するために用いられる火災関連情報を送信情報として送信するものである。そして、送信情報は、上述したような各種の感知結果情報、計測結果情報、操作結果情報等を含んで構成されることとなる。
【0020】
なお、端末機器20による検出結果は、リアルタイムに得られる現在値ばかりでなく、一定期間にわたる時系列データをトレンド履歴として、火災受信機に表示させることが考えられる。そして、このようなトレンドデータを表示できる機能を持たせることで、誤発報の原因をより早急に突き止めることが可能になる。
【0021】
たとえば、圧力センサの検出結果が、時系列データのトレンド履歴として残っていれば、一気に圧力が抜けたのか、徐々に圧力が抜けたのかなどの現象を、事後に検証することが可能となる。
【0022】
端末機器20としてガスセンサを用いる場合には、検出結果の時系列データとして得られたガス濃度のトレンド履歴を、事後において検証するために活用することができる。同様に、端末機器20として炎センサを用いる場合には、検出結果の時系列データとして得られた炎の大きさのトレンド履歴を、事後において検証するために活用することができる。
【0023】
さらに、端末機器20として差動式熱感知器を用いて気圧を検出する場合には、急激な気圧の低下により、誤発報となってしまう場合が考えられる。このような場合にも、検出結果の時系列データとして得られた気圧のトレンド履歴を参照することで、差動式熱感知器の非火災報の原因究明を行うことができる。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態1に係る火災受信機10の機能ブロック図である。なお、
図1において示した複数の端末機器20(1)~20(4)は、
図2においては、単に複数の端末機器20として図示されている。そして、複数の端末機器20としては、上述したような種々の感知器、計測器が考えられ、所望の火災監視区域に設置することができる。
【0025】
図2に示した火災受信機10は、受信部11、記憶制御部12、火災判定部13、表示制御部14、操作制御部15、記憶部16、報知部17、表示部18、および操作部19の各機構を備えて構成されている。なお、受信部11、記憶制御部12、火災判定部13、表示制御部14、および操作制御部15の機能は、1つの制御部によって、まとめて実施することも可能である。
【0026】
受信部11は、各端末機器20から送信情報として出力されたアナログ信号をあらかじめ決められたサンプリング間隔で取得し、さらに、アナログ/デジタル変換を行ってデジタル値を生成する。なお、サンプリング間隔は、すべての端末機器20で共通の値である必要はなく、計測すべき物理量、火災監視区域などに応じて、個別に適切な値を設定することができる。
【0027】
記憶制御部12は、受信部11で生成された、それぞれの端末機器20による検出結果のデジタル値を、順次、記憶部16に記憶させる。この際、記憶制御部12は、あらかじめ決められた一定時間分の時系列データが、記憶部16内に残るように、記憶データの更新を行っていく。たとえば、10個のデータが一定時間内に得られる時系列データについては、記憶制御部12は、最新の10個のデータが記憶部16内に記憶されるように、時系列データの更新処理を行うこととなる。従って、順次更新処理が行われることで、記憶部16内には、直近の所定期間における最新の計測値の遷移状態が、記憶されていくこととなる。
【0028】
火災判定部13は、記憶部16内に記憶されている最新の時系列データまたは最新のリアルタイムデータに基づいて、火災が発生したか否かを判定する。さらに、火災判定部13は、火災が発生したと判断した場合には、報知部17を介して、火災発生状況を報知することができる。なお、この火災判定部13による判定処理は、従来技術と同じであり、詳細な説明は、省略する。
【0029】
表示制御部14は、記憶部16に記憶されている、各端末機器の検出履歴である時系列データに基づいて、端末機器の検出結果を、表示部18の画面上に表示させる表示制御を行う。
【0030】
なお、火災判定部13により火災が発生したと判断された場合には、記憶制御部12は、更新処理を継続する一方で、火災が発生したと判断した時刻直前の所定時間分のデータを、別途保存させておくことができる。これにより、記憶部16内には、火災が発生したと判断した時点を最新データとするトレンド履歴が、通常の更新処理されたデータとは別に保持されることとなる。この結果、表示制御部14による表示制御を行うことで、火災が発生したと判断した時点を最新データとする時系列データを容易に表示させることができ、誤発報の原因を早急に突き止めることが可能となる。
【0031】
また、表示制御部14は、火災判定部13により3つ以上のイベントが重複して発生したと判定された場合には、イベントの属性に応じて個別設定された背景色を用いて、3つ以上のイベントを1画面内に表示させることができる。この機能の詳細については、
図3,
図4を用いて後述する。
【0032】
操作制御部15は、操作部19を介してオペレータにより入力される操作入力を読み取り、操作入力に応じた処理を実行する。ここで、
図1に示したような火災報知設備において、オペレータは、発生したイベントに応じて適切な操作を実行し、火災情報の報知、消火作業の指示等を迅速に行うことが要求される。
【0033】
本実施の形態1では、ある時間帯において、複数の端末機器から火災が発生したと判定される情報(以下、このような情報をイベントと称す)を重複して受信した場合に、オペレータに対して重複して発生した複数のイベントを提供し、かつ、オペレータが複数のイベントのいずれも確実に認識でき、見落とすおそれを抑制できる表示機能を備えている。
【0034】
より具体的には、本実施の形態1に係る火災受信機は、ある時間帯において重複して発生したイベントが存在する場合に、オペレータが重複発生したイベントのすべてを認識でき、いずれかを見落とすおそれを抑制できる表示機能を有することを技術的特徴としている。そこで、以下では、具体的な表示機能について、画面例1、画面例2を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
<画面例1:3つのイベントが重複して検出された場合の画面表示>
図3は、本発明の実施の形態1において、3つのイベントが重複して検出された場合を表示した画面例1を示す図である。
【0036】
図3における画面表示エリアは、上段の情報表示エリア110と、下段の操作表示エリア120とに大別される。情報表示エリア110には、第1イベント111と、第2イベント112と、第3イベント113とが、ある時間帯で重複して発生した際の表示例が示されている。具体的には、この
図3では、以下の3つのイベントが重複した場合を例示している。
【0037】
第1イベント111:火災判定部13が、1台の発信機から発報情報を受信し、火災発生情報の1つとして判定し、火災が発生した旨を表示したもの。
第2イベント112:火災判定部13が、1台の防火ダンパから防火ダンパが閉鎖した情報を受信し、かつ、1台の消火ポンプが起動した情報を受信し、火災発生情報の1つとして判定し、端末装置が作動した旨を表示したもの。
第3イベント113:火災判定部13が、1台のガス漏れ検知器からの検出情報を受信し、火災発生情報の1つとして判定し、ガス漏れ警報が発生した旨を表示したもの。
【0038】
また、操作表示エリア120は、左側の文字表示エリア120Aと、右側のイラスト表示エリア120Bを含んでいる。
【0039】
図3に示した画面例1において、表示制御部14は、重複発生した第1イベント111と、第2イベント112と、第3イベント113とを、1画面内で識別表示させている。特に、表示制御部14は、具体的な発生内容あるいは作動内容を、発生場所とともに、文字により表示部18に識別表示させている。この結果、複数のイベントが重複して発生した場合に、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれを抑制することのできる火災受信機を実現できる。
【0040】
なお、表示制御部14は、重複して発生した複数のイベントを表示する際に、第1イベント111と、第2イベント112と、第3イベント113とを、文字色あるいは背景色を異ならせることで識別表示させることもできる。単に複数のイベントを同時に表示させるだけではなく、個々のイベントを色識別表示させることで、複数のイベントが重複して発生した場合にも、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれをさらに抑制することができる。
【0041】
また、イベントの種類に応じて、文字色あるいは背景色をあらかじめ特定しておくことも可能である。例えば、第1イベントのように、火災が発生した旨を示すイベントは、背景色を赤色とし、第2イベントのように、端末装置が作動した旨を示すイベントは、背景色を青色とし、第3イベントのように、ガス漏れ警報が発生した旨を示すイベントは、背景色を黄色とする、といったように、各イベントの属性に応じて背景色パターンを特定しておくことが考えられる。これにより、複数のイベントが重複して発生した場合にも、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれを抑制することができるとともに、オペレータは、背景色パターンに基づいて、イベントの属性を容易に識別することが可能となる。
【0042】
<画面例2:4つのイベントが重複して検出された場合の画面表示>
図4は、本発明の実施の形態1において、4つのイベントが重複して検出された場合を表示した画面例2を示す図である。
【0043】
図4における画面表示エリアは、先の
図3と同様に、上段の情報表示エリア110と、下段の操作表示エリア120とに大別される。情報表示エリア110には、第1イベント111と、第2イベント112と、第3イベント113と、第4イベント114とが、ある時間帯で重複して発生した際の表示例が示されている。具体的には、この
図4では、
図3に示した状態から、さらに、以下の第4イベント114も重複して発生した場合を例示している。
【0044】
第4イベント114:火災受信機10に設置されている非常電話に、着信があった旨を表示したもの。
【0045】
また、操作表示エリア120は、左側の文字表示エリア120Aと、右側のイラスト表示エリア120Bを含んでいる。
【0046】
図4に示した画面例2において、表示制御部14は、重複発生した第1イベント111と、第2イベント112と、第3イベント113と、第4イベント114とを、1画面内で識別表示させている。特に、表示制御部14は、具体的な発生内容、作動内容、あるいは非常電話の受信状況を、発生場所とともに、文字により識別表示させている。この結果、複数のイベントが重複して発生した場合に、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれを抑制することのできる火災受信機を実現できる。
【0047】
なお、表示制御部14は、重複して発生した複数のイベントを表示する際に、第1イベント111と、第2イベント112と、第3イベント113と、第4イベント114とを、文字色あるいは背景色を異ならせることで識別表示させることもできる。単に複数のイベントを同時に表示させるだけではなく、個々のイベントを色識別表示させることで、複数のイベントが重複して発生した場合にも、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれをさらに抑制することができる。
【0048】
例えば、先述した一例のように、火災発生を示すイベントの背景色を赤色、端末装置作動を示すイベントの背景色を青色、ガス漏れ警報を示すイベントの背景色を黄色としたとき、非常電話の着信は、火災発生を示すイベントであるので第1イベント111と同じ赤色としてもよいし、非常電話の着信の場合は同じ赤系のえんじ色等としてもよい。
【0049】
なお、上述した画面例1、2では、3つまたは4つのイベントが重複して検出された場合の画面表示を示した。しかしながら、5つ以上のイベントが重複して検出された場合にも、画面サイズに応じて、同時に表示させることが可能である。
【0050】
なお、表示制御部14は、識別表示以外に、イベントの属性に応じた鳴動指令を出力することで、報知部17を介して警報音を鳴らし、オペレータに対してイベントの発生を報知することもできる。ここで、表示制御部14は、3つ以上のイベントが重複して発生した場合には、あらかじめ設定されたイベントごとの重要度に応じて、重要度の高い1つまたは2つのイベントについて、順番に繰り返し鳴動指令を出力し、重要度の低いイベントについては鳴動指令を出力しないように制御することができる。
【0051】
また、発生したイベントに対応する警報音と音声を鳴動させてもよく、この場合も3つ以上のイベントが重複して発生した場合には、イベントの重要度に応じて重要度の高い1つまたは2つのイベントについて、順番に繰り返し鳴動するようにしてもよいし、重要度の低いイベントの警報音のみ省略して、重要度の高いイベントに対応した警報音に続いて発生した全てのイベントを音声で報知するようにしてもよい。
【0052】
例えば、3つのイベントが発生したとき、第3イベントの重要度が低い場合には、[第1イベントの警報音→第1イベントの音声→第2イベントの警報音→第2イベントの音声→第3イベントの音声]を繰り返し鳴動させてもよい。すなわち、重要イベントに相当する第1イベントおよび第2イベントに関しては、警報音と音声の両方を鳴動させ、重要度の低い第3イベントに関しては、音声のみを鳴動させ、警報音による鳴動を省略した上で、3つのイベントを順番に繰り返し鳴動させることができる。
【0053】
いずれの方法も重要度の低いイベントの警報音や音声を省略することで重要度の高いイベントの発生を認識しやすくなる。このとき、表示部18には、鳴動を省略されたイベントについても表示されているので、これらを見落とすことも抑制されている。
【0054】
すなわち、表示制御部14は、3つ以上のイベントが重複して発生した場合には、すべてのイベントに対応して警報音をならすのではなく、重要度の高い1つまたは2つのイベントに限定して、警報音を鳴らすように制御することができる。この結果、3つ以上の警報音が混在して鳴ることで、警報音を識別しづらくなる状況を回避することができる。
【0055】
以上のように、実施の形態1に係る火災受信機は、複数のイベントが重複して発生した場合にも、少なくとも3つ以上のイベントを、具体的な発生内容および発生場所を特定できる情報として、1画面内に同時に表示させる機能を有する。さらに、実施の形態1に係る火災受信機は、同時表示させる複数のイベントを、イベントの属性に応じて文字色あるいは背景色を異ならせることで識別表示させる機能を付加することもできる。
【0056】
この結果、実施の形態1によれば、複数のイベントが重複して発生した場合にも、オペレータがいずれかのイベントを見落とすおそれを抑制することのできる火災受信機を実現できる。
【符号の説明】
【0057】
10 火災受信機、11 受信部、12 記憶制御部、13 火災判定部、14 表示制御部、15 操作制御部、16 記憶部、17 報知部、18 表示部、19 操作部、20 端末機器、110 情報表示エリア、120 操作表示エリア、120A 文字表示エリア、120B イラスト表示エリア、130 メニュー画面表示エリア。