(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】排気システム及び当該排気システムの特徴部
(51)【国際特許分類】
F01N 3/027 20060101AFI20240628BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240628BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240628BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F01N3/027 C
F01N3/027 B
F01N3/20 K
B01D53/94 300
B01D53/94 ZAB
B01D53/86 222
B01D53/94 222
(21)【出願番号】P 2022524157
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 US2020036680
(87)【国際公開番号】W WO2021080651
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/063387
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522165094
【氏名又は名称】イーシーシー テック エムエスジェイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ECC TEC MSJ INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】サバン アキルディズ
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第00/052309(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/027
F01N 3/20
B01D 53/94
B01D 53/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒コンバータであって、
外部シェルと、
該外部シェルから離間する内部シェルと、
前記内部シェル内に磁場を発生させる複数の磁石と、
当該触媒コンバータへ入り込む有毒ガス及び粒子状物質を加熱し、前記有毒ガス及び粒子状物質が当該触媒コンバータから出る前に前記有毒ガス及び粒子状物質を還元するように構成されるヒータと、
を備える触媒コンバータ。
【請求項2】
触媒コンバータであって、
外部シェルと、
該外部シェルから離間する内部シェルと、
前記内部シェル内に磁場を発生させる複数の磁石と、
当該触媒コンバータの入口ポートから出口ポートへの有毒ガス及び粒子状物質の流れの遅くするように前記内部シェル内に設けられるハニカムフィルタと、
前記内部シェル内で熱を断熱するように前記内部シェルと前記ハニカムフィルタとの間に設けられるパッドと、
を備え、
前記パッド及び前記ハニカムフィルタは、当該触媒コンバータ内での有毒ガス及び粒子状物質の除去を協働して容易にする、
触媒コンバータ。
【請求項3】
請求項
2に記載の触媒コンバータであって、前記ハニカムフィルタは金属材料を含む、触媒コンバータ。
【請求項4】
請求項
3に記載の触媒コンバータであって、前記金属材料は貴金属を含む、触媒コンバータ。
【請求項5】
請求項
1に記載の触媒コンバータであって、前記磁石が電磁石である、触媒コンバータ。
【請求項6】
請求項
2に記載の触媒コンバータであって、前記磁石が電磁石である、触媒コンバータ。
【請求項7】
請求項
1に記載の触媒コンバータであって、車両排気システムの部品である、触媒コンバータ。
【請求項8】
請求項
1に記載の触媒コンバータであって、煙突に結合される、触媒コンバータ。
【請求項9】
請求項
2に記載の触媒コンバータであって、車両排気システムの部品である、触媒コンバータ。
【請求項10】
請求項
2に記載の触媒コンバータであって、煙突に結合される、触媒コンバータ。
【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、一般に排気システムに関し、より詳細には、エンジンから排出される有害な排気ガス、粒子状物質及び他の破片を除去並びに/又は低減するための排気システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料燃焼内燃機関のための排気システムは、典型的には、少なくとも触媒コンバータと、触媒コンバータに接続されたマフラーを含む。自動車、トラック、バスなどの車両に加えて、触媒コンバータを含む排気システムは、発電機、フォークリフト、鉱山機械、列車、オートバイ、ジェットスキー、スノーモビル、リーフブロワー、飛行機、全地形用車両、排気を制御する薪ストーブなどを含み得るが、これらに限定されないことが留意される。
【0003】
触媒コンバータは、触媒によって酸化還元反応(酸化又は還元)を起こすことによって、排気ガスの有毒ガスおよび汚染物質をより毒性の低い汚染物質に還元及び/又は変換するように構成される。) 一般に、触媒コンバータは、セラミックを含み、ハニカム形状の開口部を有するフィルタを含む。特に高い耐熱性が要求される用途では、カンタル(登録商標)(FeCrAl)製の金属箔モノリスフィルタが一般的に用いられる。触媒コンバータには、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、またはシリカとアルミナの混合物を含むウォッシュコートを含めることができる。ウォッシュコートの材料は、粗い不規則な表面を形成するように選択され、素地の滑らかな表面と比較して表面積を大幅に増加させることができる。これにより、エンジン排気ガスと反応する触媒活性表面を最大化することができる。
【0004】
1980年代初頭から、「三元」(酸化還元)触媒コンバータは、米国とカナダの車両排出制御システムで使用されてきた。他の多くの国でも厳しい自動車排気ガス規制が採用されており、事実上、ガソリン車には三元触媒が必要とされている。還元触媒と酸化触媒は、通常、共通の筐体に収められている。しかし、場合によっては、別々に収容されることもある。三元触媒コンバータは、3つの同時作業を有する。
(1)窒素酸化物を還元して窒素と酸素にする。NOx→O2+N2
(2)一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にする。CO+O2→CO2
(3)未燃焼炭化水素を酸化して二酸化炭素と水にする。
CxH2x+2+[(3x+l)/2]O2→xCO2+(X+1)H20である。
【0005】
三元触媒は、排気ガスがリッチ(燃料過剰)条件とリーン(酸素過剰)条件の間で振動するような化学量論に近い空燃比の狭い範囲内でエンジンを運転する場合に有効である。そのような空燃比は、ガソリンの場合であれば燃料1重量部に対して空気14.6~14.8重量部である。液化石油ガス(LPG)、天然ガス、及びエタノール燃料はそれぞれ比率が若干異なるため、これらの燃料を使用する場合は燃料系の設定を変更する必要がある。しかし、この空燃比の範囲外でエンジンを運転すると、変換効率は急速に低下する。リーン条件でのエンジン動作では、酸素が過剰になり、NOxの還元がうまく行かない。リッチ条件では、過剰な燃料が触媒の前に利用できる酸素をすべて消費してしまうため、蓄えられた酸素しか酸化作用に利用できない。このように、NOxの還元とHCの酸化を効果的に行うためには相反する要求があるため、閉ループ制御システムが必要である。制御システムは、NOx還元触媒が完全に酸化されるのを防ぐと同時に、酸化触媒としての機能を維持するために酸素貯蔵物質を補充しなければならない。
【0006】
例えば特許文献1は、特にエンジンが最初に始動される着火時間中の低温における触媒コンバータの非効率性に関するものであり、コンバータの母体を交番磁場に曝露すること、又は、母体によって担持されたウォッシュコート及び触媒の粒子が母体全体の温度に対応して上昇することなしに着火温度まで熱せられるような周波数を有する電磁放射に曝露することを含む着火時間の短縮方法について言及している。静磁場は、一旦材料が加熱された後は使用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は概して、有害ガス、破片、及び粒子状物質を低減並びに/又は除去する排気システムの改良を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施形態において、本発明は、加熱部と、触媒材料でコーティングされたフィルタ又は支持格子を含む触媒コンバータに関する。前記フィルタ/支持格子を通り抜ける排気ガスの流れに撹拌を加え、前記排気ガスの流れる方向と交差するように配置された穴のアレイを有するディスラプタープレートが、入口ポート及び出口ポートに配置され得る。前記穴のアレイは、擬似ランダムパターンを構成する。前記ディスラプタープレートは、外部シェルの長手方向軸に直交するような向きをとる。
【0010】
ある実施形態において、触媒コンバータは、触媒コンバータ内での排気ガス及び他の微粒子の循環を容易にするように維持されるように磁場が通り抜けるフィルタ又は支持格子を含むことができる。触媒コンバータの前記外部シェルを少なくとも部分的に取り囲む外側シェルが存在し、前記外部シェルと前記外側シェルの間に複数の磁石が配置され得る。前記磁石は例えば、湾曲した形状を有してよく、及び/又は、組で配置されてもよい。前記磁石は、交互に変化する極性を有するアレイ内に位置してもよい。互いに対向する磁石は、反対の極性を有してよい。あるいは、磁石は同じ極性を有し、かつ、前記極性は前記コンバータの長手方向に沿って変化しなくてもよい。磁石のアレイは、前記シェルの内側から前記外部シェルに接するように配置されてもよく、中央コア磁性ロッドが存在してよい。
【0011】
ある実施形態において、本発明は、触媒コンバータ、選択的触媒還元システム、及びマフラーを含む排気システムに関する。前記触媒コンバータは筐体を含み得る。前記筐体内には、電気加熱部が少なくとも部分的に配置され、金属コーティングを有し、該金属コーティングを貫通する複数の金属ロッドを含むフィルタが配置される。前記選択的触媒還元システムは、筐体を含む。前記筐体内には、電気加熱部が少なくとも部分的に配置され、金属コーティングを有し、該金属コーティングを貫通する複数の金属ロッドを含むフィルタが配置される。
【0012】
前記触媒コンバータは、該触媒コンバータ中に配置された第1フィルタ及び第2フィルタの2つのフィルタを含み得る。前記触媒コンバータの前記筐体は、第1筐体と、該第1筐体から離間して配置されて前記第1筐体内に配置される第2筐体と、前記第1筐体と第2筐体との間に配置される複数の磁石とを含み得る。前記選択的触媒還元システムの前記フィルタは、該フィルタ内に配置された複数の磁石を含み得る。前記マフラーは、筐体と、金属コーティングを有し、前記筐体内で互いに離間して配置された複数のプレートとを含み得る。
【0013】
ある実施形態において、本発明は排気システムに関する。当該排気システムは、電気加熱部が少なくとも部分的に配置され、金属コーティングを有し、該金属コーティングを貫通する複数の金属ロッドを含むフィルタが配置された筐体を含む触媒コンバータと、電気加熱部が少なくとも部分的に配置され、金属コーティングを有し、該金属コーティングを貫通する複数の金属ロッドを含むフィルタが配置された筐体を含むディーゼル微粒子フィルタと、電気加熱部が少なくとも部分的に配置され、金属コーティングを有し、該金属コーティングを貫通する複数の金属ロッドを含むフィルタが配置された筐体を含む選択的触媒還元システムと、マフラーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1の触媒コンバータの支持格子の側面図である。
【
図3】ディスラプタープレートを有する公知の触媒コンバータの断面図である。
【
図4】A~Cは、
図3の触媒コンバータのディスラプタープレートの側面図である。
【
図5】本開示の例示的実施形態による補助加熱部及びディスラプタープレートを有する触媒コンバータの断面図である。
【
図6】外部磁石を含む触媒コンバータの断面図である。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による、内部磁石を含む触媒コンバータの断面図である。
【
図9A】
図8の触媒コンバータの内部磁石のうちの1つの断面図である。
【
図9B】
図8の触媒コンバータの内部磁石の分解図である。
【
図10】本開示の例示的な実施形態による、ヒータ及び該ヒータに関連する電気システムを含む触媒コンバータの内部システムの部分的な断面図である。
【
図11】本開示の例示的な実施形態による内部電気ヒータを示す
図10の触媒コンバータの部分断面図である。
【
図12】本開示の例示的な実施形態による内部電気ヒータの様々な可能な位置を示す触媒コンバータの断面図である。
【
図13】AとBは、本開示の触媒コンバータシステムに含まれる少なくとも1つのヒータを表し得るコイルヒータの透視図及び端面図である。
【
図14】触媒コンバータ内に配置することができる他のヒータの例示的な実施形態である。
【
図15】排気システム又はガソリンで動作する内燃機関の透視組立図である。A,Bは
図15の排気システムの触媒コンバータ及び選択的触媒還元システム内に配置される磁石の透視図である。
【
図16】
図15の排気システムの触媒コンバータの透視切断図である。
【
図17】
図16の排気システムの選択的触媒還元システムの透視切断図である。
【
図18B】選択的触媒還元システムのフィルタに配置された磁石の1つを示す透視図である。
【
図19】
図15の排気システムに係るマフラーの上面図である。
【
図20】
図19のマフラー内に配置されたコーティングされたプレートの詳細図である。
【
図21】AとBは、排気システム又はディーゼルで動作する内燃機関の透視組立図である。
【
図23】
図21Aの排気システムの選択的触媒還元システム内に配置されたフィルタの端面図である。
【
図24】
図21Aの排気システムのディーゼル微粒子フィルタに配置されたフィルタの端面図である。
【
図26】
図25のマフラー内に配置されたコーティングされたプレートの詳細図である。
【
図27】石炭関連の用途向けの排気システムの組立図である。
【
図27A】
図27の排気システムの触媒コンバータ内に配置されたフィルタの正面図である。
【
図27B】
図27の排気システムの触媒コンバータ内に配置されたフィルタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで図面、特に
図1~30を参照して、本発明の原理及び概念を具現化する排気システム及びその関連する特徴の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、長手方向軸104に沿って延び、外部シェル102、入口ポート106及び出口ポート108を備える触媒コンバータ100の断面図を示している。外部シェル102の内部には、空間112によってセクションに分割可能な内部支持格子のフィルタ110がある。触媒コンバータ100の内部温度を加熱するように構成された加熱部114は、格子の空間112内に配置され得る。加熱部114は、触媒コンバータ100の内部温度を加熱するように構成され、これにより、触媒コンバータ100内の有害ガス及び粒子状物質の除去を容易にする。フィルタ110(その端面図については
図2を参照)は、触媒材料でコーティングされて、有害ガス及び微粒子との接触を最大にし、これらのガス及び微粒子の入口ポート106から出口ポート108への流れを遅くすることで、加熱部が触媒コンバータ100内の有害ガス及び微粒子の除去をさらに容易にし得る。
【0017】
コーティングは、その表面積を保持し、高温(1000℃)でも触媒金属粒子のシンタリングを防止しなければならない。触媒自体は、ほとんどの場合、貴金属の混合物である。白金は最も活性の高い触媒である。しかし、白金は不要な付加反応やコストが高いため、すべての用途に適しているわけではない。他に貴金属として使用されるのはパラジウムとロジウムの2つである。ロジウムは還元触媒として、パラジウムは酸化触媒として使用される。白金は還元と酸化の両方に使える。セリウム、鉄、マンガン、ニッケルも使われるが、それぞれ制限がある。ニッケルは一酸化炭素と反応して有毒な四価ニッケルになるため、欧州連合では使用が禁止されている。銅はどこでも使用することができるが、北米では、有毒なダイオキシンが生成されるためその使用が違法である。
【0018】
図3は、空間212に配置された電気加熱部214を有する触媒コンバータ200の別の例示的な実施形態を示している。電気リード線216は、加熱部214から延び、エネルギーを供給し、これらは、例えば、ニクロム線から構成され得る。電気リード線216は、
図1に描かれているように、加熱部114にエネルギーを供給するために使用され得ることに留意されたい。ここで、ディスラプタープレート218は、入口ポート206及び出口ポート208の近くに配置される。ディスラプタープレート218は、支持格子を含むフィルタ210を通る排気ガスの流れに撹拌を加えるために含まれている。フィルタ210の支持格子は、
図1に示すフィルタ110の支持格子と同様に、触媒材料で被覆されて、有害ガス及び微粒子との接触を最大化し、触媒コンバータ内のこれらのガスの流れを減速させることをさらに助けることで、加熱部が少なくともさらに有害ガス及び微粒子を低減することを可能にする。
【0019】
図4A~4Cは、排気ガスの流れ方向を交差して広がる穴220のアレイを含むディスラプタープレート218の端面図である。穴のアレイは、プレート218に対して散在し、疑似ランダムパターンと呼ばれる。
図3に示すように、ディスラプタープレート218は、外部シェル202の長手方向軸204に直交する方位をとる。
【0020】
図5は、本発明の触媒コンバータ300の別の例示的な実施形態を示している。触媒コンバータ300は、フィルタの支持格子310の開口部312に配置された加熱部314と、そこから延びて加熱要素314に電力を供給する電気リード線316と、入口ポート306及び/又は出口ポート308の近くに配置されている、破壊器プレート318に隣接する2次平面加熱部315、317を含む。他の電気リード線319は、二次平面加熱要素315、317にエネルギーを供給する。様々な要素のいくつかは、平面又は特定の配向を有するものとして記載されているが、これらの幾何学的制限が厳密である必要はなく、それに対する近似が様々な実施形態の説明の中に含まれている。排ガスの垂直かつ実質的な層流を乱すことは、触媒コンバータ300の効率の向上につながる。このように、複数の加熱部314、315、317及びディスラプタープレート318を含むことによって、触媒コンバータから出る有毒ガス及び粒子状物質の還元が大幅に抑制される。
【0021】
2次加熱部315、317はまた、入口ポート306及び/又は出口ポート308の近くに加えて、又はその代わりに、フィルタ310の支持格子の近くに配置されてよい。触媒コンバータ300は、有害ガス及び粒子状物質が触媒コンバータ300を通過する際に、その有害ガス及び粒子状物質の分離及び除去を容易にする。
【0022】
2次加熱部315、317は、触媒コンバータ300の内部温度を約800℃~1200℃に加熱するように構成され得る。これにより、触媒コンバータ300内の有害ガス及び粒子状物質の除去が容易になり得る。フィルタ310の支持格子(
図11も参照)は、約800℃~1200℃の内部温度を維持することを容易にするために貴金属で被覆又は噴霧することができ、ひいては有害ガス及び粒子状物質の除去をさらに容易にし得る。
【0023】
図6は、入口ポート406と出口ポート408との間で磁場が維持される支持格子を有するフィルタ410を含む触媒コンバータ400のさらに別の例示的実施形態を示している。ここで、触媒コンバータ400は、内包シェル402を部分的に取り囲む外部シェル403で強化されている。複数の磁石40は、シェル402,403の間に配置されている。
図7に示すように、磁石407は、外部シェル403の外形形状に近似するように湾曲した形状を有してよく、2つのセット407'、407 "で提供されてもよい。磁石407は、
図7に示すように、交互の極性を有するアレイで存在してもよい。互いに向かい合う磁石407も、その必要はないが、反対の極性を有してもよい。あるいは、磁石407は同じ極性を有してよく、極性はコンバータ400の長手方向に沿って変化しなくてよい。互いに向かい合う反対の極性を有することは、より強い磁場をもたらす。
【0024】
電気リード線316、416は、加熱部415と加熱部417(及び315と317)の間での切り替え、約6~45アンペアの間で所望の温度を維持することができる制御部(
図10参照)421に取り付けられていることに留意してほしい。
【0025】
図8は、磁石507のアレイが、外部シェル502と該外部シェル502の内側から接するように配置されている、本開示の触媒コンバータ500の別の例示的な実施形態を示している。他の実施形態と同様に、加熱部514は、フィルタ510の支持格子の開口部512に配置され、加熱部514に電力を供給する電気リードが加熱部514から延在している。
【0026】
図9Aは磁石507の端面図であり、
図9Bは磁石507の分解図を表している。磁石507のセットの一部として、中心コア磁性ロッド509が存在してもよいことに留意されたい。そのようなコア509は必須ではないが、磁石507の極性の異なる配置の可能性を増大させる。例えば、互いに向き合う外側の磁石507は、同じ極性を有しても、あるいは異なる極性を有してよく、これは長手方向に沿って変化し得る。さらに、コア磁性棒509は、入口ポート506から出口ポート508まで延びる一体型で、両端の極性が一つであってもよいし、長手方向に互いに離れたセグメントからなり、長手方向に異なる極性を有してもよい。また、磁石507は、固定磁石として描かれているが、電流源(図示せず)によって維持される電磁石であってもよい。
【0027】
図10は、触媒コンバータの電子的接続を示す図である。
【0028】
図11に示されているように、温度センサ325、425は、適切な内部温度が維持されることを保証することを支援するために、追加ヒータ315、415、317、417の近くに配置され得る。
【0029】
図12は、2次ヒータ315、415、317、417を触媒コンバータ内の様々な位置に配置可能でユニットのサイズに応じて任意の数の2次ヒータを使用できることを示す本発明の触媒コンバータの例示的な実施形態を示している。
【0030】
図13A及び
図13Bは、触媒コンバータにその外側から挿入してねじ止めすることができる一のタイプの追加ヒータ700の実施形態を描いている。このように、ヒータ600は、必要に応じて取り外される。
【0031】
図14は、触媒コンバータに配置することができる追加ヒータ800の別の実施形態を表している。
【0032】
使用時、触媒コンバータ100、200、300、400、500は、処理されるべきガスが入口ポート106、206、306、406、506から(一部の実施形態において)ディスラプタープレート318を通り、2次加熱部114、214、314、414、515を通って流れ、いくつかの実施形態において追加のヒータ317、318からの追加加熱及び磁石407、507による磁場の両方を受ける容積内に入りこむように配置される。追加のヒータ及び/又は磁場は、触媒コンバータを通過するガスの個々の分子及びイオンと相互作用し、触媒コンバータを出る前に行われる触媒変換の効率を向上させることができる。
【0033】
ヒータは触媒コンバータ内に含まれるだけではなく、ヒータは既存の触媒コンバータに追加され得ることに留意されたい。
【0034】
図15は、ガソリンで動作する内燃機関用の排気システム600の一実施形態の組立図を示す。排気システム600は、一般に、排気エミッションを低減するように構成され、エンジンの下流に配置される触媒コンバータ602と、触媒コンバータ602の下流に配置され、管606によって触媒コンバータ602に接続される選択的触媒還元(SCR)ろ過システム604と、選択的触媒還元ろ過システム604の下流に配置され、管610によって選択的触媒還元ろ過システム604に接続されるマフラー608とを含む。
【0035】
図15及び16に描かれているように、触媒コンバータ602は、第1筐体又は第1シェル612と、第1筐体612によって包含される第2筐体又は第2シェル614と、排気ガスが第1筐体612に入りこむ入口616と、ガスが第1筐体612から出る出口618と、を含む。第1筐体612の内部キャビティ内には、入口616と出口618との間に、第1フィルタ626と第2フィルタ628とを含む2つのフィルタ626,628が互いに離間して配置されている。第1フィルタ626は、有害な排気ガス、特に二酸化炭素(CO2)を酸化させるように構成されている。第2フィルタ628は、二酸化炭素(CO
2)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO
x)、及び炭化水素(HC)、並びに他の有害化学物質を含むが、これらに限定されない有害排気ガスを引き続きフィルタウト/除去するように構成される。フィルタにはセラミック製のものがある。
【0036】
例えばセラミックを含み得る第1フィルタ626及び第2フィルタ628の両方は、1つ以上の貴金属によるコーティング629がなされた複数のハニカム形状の開口部を含み、ハニカム構造体を貫通する複数のロッド630を含んでいる。熱処理された金属又は合金(例えば、銅又は鋼)を含み得るロッド630は、各ロッド630の一端が触媒コンバータ602の入口616の方に概ね向き、各ロッド630の他端が出口618の方に概ね向くようにフィルタ626、628に対して長手方向に延びている。しかしロッド630は、フィルタ626、628に対して横向きに配置されてよく、又はその代わりに、フィルタ626、628は横向きに配置されてもよい。以下でさらに取り上げるように、ロッド630は、熱をフィルタ6262、628に伝達するように機能し、フィルタ626、628内の加熱されたロッド本体は、触媒コンバータ602内の温度を一定に維持するのに役立つ。さらに、第1筐体612と第2筐体614との間には、
図15Aに示されているように、複数の磁石632が配置され、分配されている。磁石632の配置は、筐体612、614の間に示されているが、磁石632は、フィルタ626、628の両方、キャビティ622内、及び/又は第1筐体612の外部に配置され得る。
【0037】
排気ガス中の酸素の割合を評価するために、電子制御部と通信する酸素センサ620は、触媒コンバータ602に外付けで固定され、入口616の下流で第1フィルタ626の前の第1筐体612のキャビティ622内へ入り込むように延びている。触媒コンバータ602の内部温度を閾値温度以上に上昇させるために、第2筐体614の外部から第1フィルタ626の上流で第1筐体キャビティ622内に延びる電気ヒータ624が利用される。ヒータ624は、触媒コンバータの外部で電源及び電子制御ユニットに接続され、触媒コンバータ602の内部を閾値温度以上に加熱するように動作する。
図16に描かれたヒータ624は、巻かれた金属コイル625を含む。しかしながら、ヒータ624は、触媒コンバータ602の内部加熱を保証するために、任意の形態をとることができる。ヒータ624は、フィルタ626、628の前に
図15及び
図16において触媒コンバータ602の中に延びるように示されているが、複数のヒータ624をキャビティ622の中に延びるように配置することができ、ヒータ(複数可)624はフィルタ626、628のうちの1又は複数の中に配置でき、ヒータ624はフィルタ626、628の間に配置できる等に注意されたい。このように、ヒータ(単数又は複数)624の配置は、図に示された実施形態に限定されるべきではない。さらに、任意の設計の1つ以上のヒータを、触媒コンバータ602のキャビティ622内に、第1筐体612及び/又は第2筐体614内の触媒コンバータ602内の任意の位置に完全に配置することができ、及び/又は触媒コンバータ602の外部に固定することができ、及び/又は触媒コンバータ602の直接上流に位置する管606内若しくはその外部に固定できることに注目されたい。触媒コンバータ602を出る前の排気ガスの温度を評価するために、電子制御部(ECU)に接続される熱センサ630が、入口616及び/又は出口618の近くに配置される。
【0038】
コールドスタートからのエンジンの始動時に、電気ヒータ624は、電子制御部によって同時にオンにされ、触媒コンバータ602の内部温度を排気ガス及び粒子状物質の温度よりも高くすることを容易にする(すなわち、触媒コンバータは、エンジン始動時に最低7分間加熱される)。ヒータ624は、所望の温度に達した後もオンのままであってもよいし、触媒コンバータ602内の温度が閾値温度より低くなった場合にオフにしてから再びオンにすることも可能である。これは、1つ以上の温度計及び他のセンサから入力信号を受け取ることができ、ヒータ624の活動を制御するための信号を生成する電子制御ユニットを介して行われる。触媒コンバータ602内で組み立てられた状態でフィルタ626、628について長手方向に延びるロッド630は、ヒータ624からフィルタ626を介してより迅速に熱伝達を行うための導管を提供することによって触媒コンバータ602の内部温度を所望の内部温度まで加速加熱し、触媒コンバータ602のフィルタ626、628及びキャビティ622の表面領域にわたって所望の内部温度を閾値以上に維持して、少なくともフィルタ626、628及び周囲の内部表面領域全体で有害排気ガスを酸化させることを支援することが可能である。
【0039】
触媒コンバータ602の内部温度を触媒コンバータ602の通常の動作温度よりも高い温度に上昇させることにより、排気ガスの一部である有害化学物質及び微粒子は、触媒コンバータ602を出る前に、従来の触媒コンバータにおけるよりも効率的に酸化及び/又は燃焼除去される。フィルタ626、628は、排気ガスがハニカム開口部を通って触媒コンバータ602の内部キャビティを通り抜けるときに、排気ガスの流れを捕捉及び/又は減速することを容易にし、貴金属フィルタコーティング629は、有害排気ガスの多くが閾値排気ガス温度を超えて加熱され触媒コンバータ602から出る前に酸化及び/又は燃焼除去できるように、内部触媒コンバータキャビティ622にわたる排気ガスの流れをさらに減速及び混乱させることを容易にする。閾値温度は、システム602の構成要素の物理的限界及び他の要因と釣り合う所望の追加の酸化/燃焼除去の量に基づいて、任意の所定の構成に対して最適化することができる。
【0040】
磁石632の極性は、触媒コンバータ602のキャビティ622内の電流を増加させることによって、触媒コンバータ602を通過する排気ガス及び微粒子の流れをさらに乱し、遅くすることを助ける。排気ガス及び微粒子の流れを乱し、遅くすることにより、触媒コンバータ602のキャビティ622内でより長い時間排気ガスを加熱し、ひいては排気ガスの有害な副生成物をさらに酸化及び低減させることができる。触媒コンバータ602内の温度は非常に高くなり得るので、使用される磁石632は、劣化することなく予想される最高温度で動作可能であることが望ましい(例えば、AINiCo磁石)。
【0041】
触媒コンバータ602の下流で、管606によって触媒コンバータ603に接続されているのは選択的触媒還元システム604である。選択的触媒還元システム604は、二酸化窒素ガス(NOx)を酸化して、二酸化窒素の量を減らすために液体還元剤を排気流に組み込む必要なしに排気システム600から環境中に排出される無害な排気ガス(例えば窒素、水及び少量の二酸化炭素)に変換することによって二酸化窒素ガスを減らすように構成されたシステムである。
【0042】
図17に描かれているような選択的触媒還元システム604は、フィルタ640について分散している小孔642に加えて、複数のハニカム形状の開口部を含むフィルタ640によって構成されている。小孔642は、排気ガスの流れを層流からさらに乱し、選択的触媒還元システム604から出るのを遅らせるために含まれている(
図18Aも参照)。触媒コンバータ602のフィルタ626、628と同様のフィルタ640は、1つ以上の貴金属644で被覆され、各ロッド646の一端が入口616の方に概ね向き、各ロッド646の他端が出口618の方に概ね向くようにハニカム構造体を長手方向に延びる複数の熱伝達及び安定化ロッド646を含む。ロッド646は、熱処理された金属又は合金(例えば、銅又は鋼)が含まれてよい。電子制御ユニットと通信する第2電気ヒータ624は、フィルタ640の上流で選択的触媒還元システム604の中へ入り込むように延在する。触媒コンバータ602のフィルタ626、628と同様に、選択的触媒還元システム604のフィルタ640のロッド646及び金属コーティング644は、フィルタ640にわたる内部温度の維持を保証することを容易にする。選択的触媒還元システム604は、電子制御ユニットによって維持され、システム640が効率的に動作することを保証するために電気ヒータ624を制御するために使用される1つ以上の二酸化窒素センサを含むことに留意されたい。
【0043】
選択的触媒還元システム604の内部温度を上昇させることによって、排気ガスの一部である有害な化学物質及び微粒子がより多く燃焼される。フィルタ640は、排気ガスがハニカム開口部を通って選択的触媒還元システム604の内部キャビティを通過する際に、排気ガスの流れを捕捉し、及び/又は遅くすることを容易にし、貴金属フィルタコーティング644は、有害な排気ガスの多くが、選択的触媒還元システム604から出る前に閾値温度を超えて(ヒータ624のない触媒コンバータ602内の通常の動作温度を超えて)加熱されて燃焼除去できるように排気ガスの流れをさらに遅くして乱させることを容易にする。ロッド646及びコーティング644に加えて、複数の磁石646が、
図15B、18A及び18Bに示すように、フィルタ640内に配置及び分散されている。
【0044】
触媒コンバータ602内の磁石632と同様に、磁石646の極性は、磁石646の近傍での電流を増加させることによって、排気ガス及び微粒子がフィルタ640を通過するときに、排気ガス及び微粒子の流れ647をさらに乱し、遅くすることを容易にし、その結果選択的還元システム604内で排気ガスをより長い期間加熱し、排気ガスの有害副生成物をさらに酸化及び還元させることが可能なる。磁石646をフィルタ内に配置することに加えて又はその代わりに、磁石646はフィルタ640と選択的触媒還元システム604との間、及び/又は選択的触媒還元システム604の筐体の外部に配置され得ることに留意されたい。選択的触媒還元システム604内の温度は非常に高くなり得るので、使用される磁石646は、劣化することなく期待される最高温度で動作可能であることが好ましい(例えば、AINiCo磁石など)。
【0045】
選択的触媒還元システム604を出ると、残りの排気ガスは、選択的触媒還元システム606を接続する管610を通ってマフラー608に流れることになる。マフラー608は、エンジンノイズを低減又は「消音」し、残存する有害な排気ガスをさらに低減し、排気温度を冷却するように構成される。
図19及び
図20に描かれているように、マフラー608は、1つ以上のサイレンサー650と、相互に分散している及び/又は相互に離間して配置されている複数のプレート652とが配置されている筐体648を含む。例えば鋼で構成され得るプレート652は、1つ以上の貴金属654で被覆され、マフラー608の入口652の近くに配置される。貴金属コーティング654は、触媒コンバータ602におけるのと同様に、排気ガスの流れを筐体648内で乱流にし、マフラー608の入口652からマフラー筐体648を通過して出口654を経て排気筐体648を出るときに高温排気ガスの流れを乱し、ひいては遅くすることを容易にする。貴金属被覆板652を含むことによるマフラー608内の排気ガスの乱れは、マフラー608を出て環境に入る前に、排気ガスが有害な排出物を燃焼除去するための時間をより長くすることを可能にする。
【0046】
図21A~
図26は、ディーゼル燃料で走行する車両用の排気システム700の一実施形態を示している。排気システム700は、一般に、触媒コンバータ702、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)704、触媒コンバータ702をディーゼル微粒子フィルタ704に接続する管706、選択触媒還元(SCR)ろ過システム708、触媒コンバータ702を選択触媒還元ろ過システム708に接続する管710、マフラー712、及びマフラー712を選択触媒還元ろ過システム708に接続する管714を含む。
【0047】
図22に描かれているように、触媒コンバータ702は、筐体716と、排気ガスが筐体716のキャビティ720に入り込む際に通る入口718と、排気ガスが筐体716から出る際に通る出口722とを含む。酸素センサは、筐体716の外部に固定され、排気ガス中の酸素の割合を評価するために、入口718の下流で、キャビティ720へ入り込むように延びている。電気ヒータ724(
図21A参照)は、筐体716の外側からキャビティ720内へ入り込むように延びている。ヒータ724は、触媒コンバータ702の外部で、電源及び電子制御部とに接続されている。
図21Aに描かれたヒータ724は、巻かれた金属コイル725を含む。しかし、ヒータ724は、触媒コンバータ702の内部加熱を確保するために、任意の形態をとることができる。触媒コンバータ702を出る前の排気ガスの温度を評価するために、熱センサが入口718及び/又は出口722の近くに配置される。
【0048】
図22に示されているように、筐体716の内部キャビティ722内で、ヒータ724の下流に、少なくとも1つのフィルタ726が配置されている。フィルタ726は、有害排気ガス-二酸化炭素(CO
2)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO
x)のほか、炭化水素(HC)、粒子状物質(PM)、その他の有害化学物質及び破片を含むが、これらに限定されない-を濾過/除去するように構成される。例えばセラミック含むことができるフィルタ726は、1つ以上の貴金属728で被覆され、複数のハニカム形状の開口部を含む。フィルタ726の開口部は、排気ガスの流れを乱し、粒子状物質を捕捉して、粒子状物質が環境中に放出されるのを防ぐように構成される。熱処理された金属又は合金(例えば、銅又は鋼)含み得る複数のロッド730は、フィルタ726のハニカム構造体を貫通して長手方向に延びている。ロッド730はまた、又はその代わりに、フィルタ726について長手方向とは交差する方向に延びることができる。さらに、複数の磁石732が筐体716の内部に分散して配置されている。磁石732は、フィルタ726の近くに、若しくはフィルタ726に接触して、及び/又はフィルタ726の内部に配置され得る。
【0049】
ガソリンを利用するエンジンと同様に、コールドスタートから排気システム700を利用するディーゼルエンジンの始動時に、電子制御部(ECU)により電気ヒータ724が同時に電源オンされ、触媒コンバータ702の内部温度を排気ガス及び粒子状物質の温度以上に加熱することを容易にする(すなわち、エンジン始動時に最低7分間、触媒コンバータが加熱される)。ヒータ724は、所望の温度に達した後も電源オンにしたままにすることができ、あるいは、触媒コンバータ702内の温度が閾値温度より低くなった場合にオフにし、その後再び電源オンにすることもできる。ロッド730は、触媒コンバータ702の内部温度を所望の内部温度まで加熱することを促進し、少なくともフィルタ726及び周囲の内部表面領域全体で所望の内部温度を維持することを容易にするように構成される。
【0050】
触媒コンバータ702の内部温度を上昇させることにより、排気ガスの一部である有害化学物質及び微粒子は、触媒コンバータ702から出る前に酸化及び/又は燃焼除去される。貴金属フィルタコーティング728は、有害な排気ガスの多くが触媒コンバータ702を出る前に閾値温度を超えて加熱され、燃焼除去され得るように、内部触媒コンバータキャビティを通る抜ける排気ガスの流れをさらに遅くし、混乱させるのに役立つ。磁石732は、磁石732の極性を介して触媒コンバータ702のキャビティ720内の電流を増加させることによって、ガソリン排気システム600に組み込まれた磁石632、634、646と同様に、排気ガス及び微粒子が触媒コンバータ702を通過する際の流れをさらに乱し、遅らせることが可能である。排気ガス及び微粒子の流れを乱し、遅くすることにより、触媒コンバータ702のキャビティ720内でより長い時間排気ガスが加熱され、ひいては排気ガスの有害な副生成物をさらに酸化及び低減させることができる。
【0051】
触媒コンバータ702を出ると、残りの有害な排気ガス、微粒子及び破片は、管710を通ってディーゼル微粒子フィルタ704の中に移動する。ディーゼル微粒子フィルタ704は、微粒子(例えば煤)が触媒コンバータ702を出た後であって排気システム700を出て環境中に放出される前に捕捉するよう設計されている。
図21Bに描かれているように、ディーゼル微粒子フィルタ704は、微粒子(例えば、煤)が環境中に放出されるのを防ぐために微粒子を捕捉するように構成されている複数のハニカム形状の開口部を含むセラミックフィルタである。フィルタ704は、1つ以上の貴金属736で被覆され、ハニカム構造体を貫通して延びる複数のロッド738を含み、熱処理された金属又は合金(例えば、銅又は鋼)で構成され得る。さらに複数の磁石739は、フィルタ704の内部、フィルタ704の近く若しくはフィルタ704と接触している、及び/又はフィルタ704の内部の少なくとも1つに分散される。
【0052】
フィルタ704上に蓄積した粒子状物質を減少させ、粒子状物質がフィルタ704を塞ぎ、ひいては排気システム700内に背圧が生じるのを防ぐために、フィルタ704は、フィルタ704上に蓄積した粒子状物質を燃焼除去することによる再生を通じて洗浄される必要がある。一般に、再生には能動的再生と、燃料又はフィルタに触媒前駆体を添加することによって一般に車両の通常運転中に粒子状物質の酸化温度を低下させて自動再生を可能にする受動的再生とがある。ここで、ディーゼル微粒子フィルタ704は、能動的再生を用いる。ただし、既存の再生システムとは異なり、電子制御ユニットと通信するヒータ740は、フィルタ704の上流に配置され、フィルタ704内に配置されたロッド738、金属コーティング736、磁石739と組み合わせて使用されることで、電流を増加させ(磁石)、排気ガス及び微粒子の流れを乱し(コーティング)、フィルタ704の温度を上げ(ロッド)、ひいてはフィルタ上及びフィルタ内に捕捉された微粒子の温度を上げ、微粒子を酸化してガス状副生成物(つまりCO2)を発生させる。さらに、排気ガス中の二酸化窒素の割合を減らし、一酸化窒素に変換する。この化学的プロセスは、フィルタ704を連続的に洗浄するように絶えず繰り返され、メンテナンスを必要としない。そのようなものとして、例えば、エンジン管理システムからの援助など、再生に関するさらなる援助の必要性はない。
【0053】
ディーゼル排気システム700におけるディーゼル微粒子フィルタ704の下流には、選択的触媒還元システム708があり、これは、ガソリン排気システム600における選択的触媒還元システム604と同様に、二酸化窒素ガスを酸化して、排気システム700から、排気流中にその液体還元剤を導入しなくても環境中に排出される無害な排気(例えば、窒素、水、及び少量の二酸化炭素)に変換して還元するよう構成されている。
【0054】
選択的触媒還元システム708は、フィルタ742を含む。このフィルタ742は、複数のハニカム形状の開口744と小孔746をこのフィルタ742について分散した状態で含む。フィルタ742は、1つ以上の貴金属748で被覆され、ハニカム構造を通って延びる複数のロッド750と、フィルタ742について分散されている複数の磁石747とを含む。
【0055】
電子制御部と通信する電気ヒータ749は、フィルタ742の上流で、選択的触媒還元システム708の中へ入り込むように延びている。ヒータ749は、選択的触媒還元システム708の内部温度をロッド750及び金属コーティング748と連動して閾値より高くし、フィルタ742及び周囲の内部表面領域にわたる内部温度が残りの排気ガス及び粒子状物質の温度より大きく、フィルタ742をと通り抜ける際に二酸化窒素ガスの割合をさらに減らすように維持するよう構成される。小孔746及び磁石747は、選択的触媒還元システム708内を移動する際に排気ガスの流れをさらに乱し、排気ガスが出る前に加熱システム708を通過する際に酸化及び/又は燃焼除去される時間をより多く提供することを容易にするために含まれている。選択的触媒還元システム706は、システム706が効率的に動作することを保証するために、1つ以上の二酸化窒素センサを含むことに留意して欲しい。
【0056】
選択的触媒還元システム706を出ると、残りの排気ガスは管714を通ってマフラー712に流れる。マフラー712は、ガソリン排気システム用のマフラー608と同一である。
図25及び
図26に描かれているように、マフラー712は、1つ以上のサイレンサー754と、互いに分散している及び/又は互いに離間して配置されている複数のプレート756とが配置されている筐体752を含む。例えば鋼で構成され得るプレート756は、1つ以上の貴金属(複数可)758で被覆されている。貴金属コーティング758は、筐体752内の排気ガスの流れを乱れるように助け、それによって、高温の排気ガスがマフラー712の入口760から出口762を通過してマフラー筐体752を出るときに流れを遅らせる。貴金属被覆プレート756を含むことによるマフラー712内の排気ガスの乱れは、マフラー712を出て環境に入る前に、排気ガス及び粒子状物質がマフラー712内でより多くの時間をかけて燃焼除去及び/又は酸化させることを可能にする。
【0057】
図27は、石炭燃焼装置、デバイスなどのための排気システム800を示す。排気システム800は、筐体802を含み、順次、筐体802内には、入口804の直下流の第1の選択的触媒還元濾過システム806、第1の電気ヒータ808、第2の選択的触媒還元濾過システム810、第2のヒータ812及びハニカム構造を有する別のフィルタ813が配置されている。さらに、筐体802の内部について、内部側壁の近くに分散しているのは、複数の磁石815である。選択的触媒還元濾過システム806、810及びヒータ808、812の設計及び特性は、ガソリン及びディーゼル排気システム600、700に関して上述したものと同じであり、そのため同じ特徴が石炭排気システム800の一部として参照により組み込まれていることに留意されたい。
【0058】
図27の排気システム800の下流には、第1電動送風機814、ハニカム構造817(
図27A及び27Bの詳細を参照)を含む複数のフィルタ816、未燃焼粒子(例えば、石炭)を、未燃焼粒子が配置される廃棄ビン818に導くシュート817、追加の金属ろ過システム820、第2電動送風機822及びクリーンガスが環境中に出る煙突824が設けられている。
【0059】
図28は、オートバイ用の排気システム900を描いている。図示のように、第1選択的触媒還元濾過システム902が排気管904内に配置され、電気ヒータ906と第2選択的触媒還元濾過システム908が排気筐体909内に配置されている。
図28に示すように、ヒータ906は、筐体908の入口912の近くで筐体909内で延在するように配置され、第2の選択的触媒還元濾過システム908はヒータ906の下流に配置される。ヒータ908は、車両の所望の電圧(例えば、6~45アンペア)を用いて動作するように構成される。
【0060】
選択的触媒還元濾過システム902、908は、上述した選択的触媒還元濾過システム604、708、806、810と同様に、二酸化窒素ガスを酸化して、液体還元剤を選択的触媒還元濾過システム902、908に導入しなくても排気システム900から環境中に排出される無害な排気ガスに変換して二酸化窒素ガスを低減するよう構成されている。
【0061】
選択的触媒還元システム902、908それぞれは、1つ以上の貴金属916、917で被覆された複数のハニカム形状の開口部を有するフィルタ914、915と、ハニカム構造を通って長手方向に延びる金属又は合金を含む複数のロッド918、919と、複数の磁石920、921を含む。ロッド918、919は、代わりに、又は加えて、フィルタ914、915について横断的に延び得ることに留意してほしい。ロッド918、919及び金属コーティング916、917は、フィルタ914、915にわたる内部温度が維持されることを保証するのを容易にする。磁石920、921は、磁石920、921の近傍の電流を増加させることによって、フィルタ914、915を通過する排気ガス及び微粒子の流れをさらに乱し、遅くして、それぞれの選択的還元システム902、908内で排気ガスをより長い時間加熱し、今度は排気ガスの有害副生成物をさらに酸化及び還元できるように、それらの極性を介して、フィルタ914、915内に配置及び分散されるように支援される。磁石920、921をフィルタ914、915内に配置することに加えて又は代えて、磁石920、921をフィルタ914、915に隣接して及び/又は各選択的触媒還元システム902、908筐体の外部に配置できることに留意して欲しい。
【0062】
さらに、2つの選択的触媒還元システム902、908が示されているが、排気システム900は、筐体909内に単一の選択的触媒還元システム908のみを含み得ることに留意してほしい。
【0063】
図29は、芝刈り機用の排気システム1000を描いている。示されるように、電気ヒータ1002及び選択的触媒還元濾過システム1004が、排気筐体1006内に配置される。ヒータ1002は、選択的触媒還元濾過システム1004がヒータ1002の下流に配置された状態で、筐体1006内の上流に延びるように配置されている。ヒータ1002は、車両の所望の電圧(例えば、6~45アンペア)を使用して動作するように構成される。芝刈り機及び/又は別の機械がバッテリーで動作しない場合、ヒータを使用する代わりにエンジンによって熱が供給され得ることに留意して欲しい。
【0064】
選択的触媒還元濾過システム1004は、上述した選択的触媒還元濾過システムのように、選択的触媒還元濾過システム1004に液体還元剤を導入する必要なく、二酸化窒素ガスを酸化して、排気システム1000から環境中に排出される無害な排気ガスに変換することによって低減するように構成される。選択的触媒還元システム1004は、複数のハニカム形状の開口部を有し、1つ以上の貴金属1010で被覆され、ハニカム構造体を通って長手方向に延びる金属又は合金からなる複数のロッド1012と、フィルタ1008内に配置された複数の磁石1014とを含むフィルタ1008を含む。ヒータ1002、ロッド1012、金属コーティング1010、及び磁石1014は、排気システム600~900に関して上述したのと同じ機能(複数可)を果たす。磁石1014をフィルタ1008内に配置することに加えて、又はその代わりに、磁石1014をフィルタ1008に隣接して、及び/又は排気システム1000の筐体1006の外部に配置することができることに留意してほしい。
【0065】
図30は、化石燃料を利用する非バッテリー作動の機械用の排気システム2000を描いている。示されるように、液体還元剤を利用しない選択的触媒還元ろ過システム2002は、筐体2003内に配置され、複数のハニカム形状の開口を有し、1つ以上の貴金属2006で被覆され、ハニカム構造を通って長手方向に延びる金属又は合金を含む複数のロッド2008と、フィルタ2004内に配置された複数の磁石2010とを含むフィルタ2004を含む。ロッド2008、金属コーティング2006、及び磁石2010は、部材が筐体2003内で加熱されない点でシステム2000とは相違する排出システム600~1000について上述したものと同じ機能(複数可)を実行する。磁石2010をフィルタ2004内に配置することに加えて又は代えて、磁石2010は、フィルタ2004に隣接して及び/又は排気システム2000の筐体2003の外部に配置することができることに留意されたい。
【0066】
前述の説明及び添付の図面は、本発明の原理、例示的な実施形態、及び動作の態様を示すものである。しかしながら、本発明は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。上述した実施形態に対する変形は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって理解されるであろう。したがって、上述した実施形態及び添付の図面は、限定というよりも例示とみなされるべきである。