(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】アンカーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16B 13/14 20060101AFI20240628BHJP
F16B 35/04 20060101ALI20240628BHJP
E04B 1/41 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F16B13/14 F
F16B35/04 B
E04B1/41 503Z
(21)【出願番号】P 2022536807
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 GB2020053208
(87)【国際公開番号】W WO2021123746
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-12
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513268058
【氏名又は名称】スリー スミス グループ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THREE SMITH GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Habergham Works, Ainley Industrial Estate, Elland, West Yorkshire, HX5 9JP United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ルーク
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-507671(JP,A)
【文献】特開昭61-021409(JP,A)
【文献】米国特許第05685678(US,A)
【文献】特開2013-204228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0053793(US,A1)
【文献】特開2012-177222(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00201154(EP,A1)
【文献】実開昭52-064265(JP,U)
【文献】特開平06-042065(JP,A)
【文献】実開昭54-099954(JP,U)
【文献】英国特許出願公告第01337688(GB,A)
【文献】特開2001-292931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 3/00-13/14
F16B 35/04
E04B 1/38-1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材(110)を受け入れるためのアンカーアセンブリ(20,420)であって
、前記アンカーアセンブリ(20,420)が、
下地係合面(24,424)を有するシェル(22,422)であって、前記シェル(
22,422)が、前記固定部材(110)を受け入れるように構成された通路(26,
426)を画定し、前記通路(26,426)が、前記シェル(22,422)の後縁端
部(28,428)から、整列軸(10)に沿って前記シェル(22,422)の前縁端
部(30,430)に向かって延在している、シェル(22,422)と、
前記通路(26,426)内に配置されている係合部材(50,450)および弾性部
材(40,440)であって、
前記弾性部材(40,440)が、前記固定部材(110)が前記係合部材(50,4
50)と係合するために貫通して延在するための貫通路(42,442)、を画定し、
前記係合部材(50,450)と前記固定部材(110)との係合は、前記係合部材(50,450)が前記固定部材(110)に沿って移動するように構成され、
前記係合部材(50,450)および前記通路(26,426)は、前記係合部材(50,450)が前記通路(26,426)に沿って移動可能であるように構成され、
前記弾性部材(40,440)が、前記係合部材(50,450)と、前記シェル(2
2,422)の前記後縁端部(28,428)との間に配置され、
前記弾性部材の貫通路(42,442)が、前記弾性部材(40,440)の第1端部
(44,444)と第2端部(46,446)との間に延在し、前記第1端部(44,4
44)が、前記第2端部(46,446)と前記シェル(22,422)の前記後縁端部
(28,428)との間に配置され、
前記弾性部材(40,440)の前記第1端部(44,444)が、それが前記通路(
26,426)に対して相対的に固定されるように、かつ前記弾性部材(40,440)
の前記第2端部(46,446)が前記係合部材(50,450)とともに
、前記係合部材(50,450)が前記通路(26,426)に沿って
移動し、前記固定部材(110)に沿って移動するにつれて、前記第1端部(44,444)に対して相対的に移動可能なように、前記通路(26,426)内に取り付けられている、係合部材(50,450)および弾性部材(40,440)と、を備える、アンカーアセンブリ。
【請求項2】
前記通路(26,426)が、前記後縁端部(28,428)から第2領域(36,4
36)の方へ延在する第1領域(34,434)
を備え、
前記第2領域(36,436)が前記第1領域(34,434)から前記前縁端部(30,430)の方へ延在し、
前記弾性部材(40,440)が、前記弾性部材が前記第1領域(34,434)に進入することを防止するように前記第1領域(34,434)より幅が広くなっている、
請求項1に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項3】
前記弾性部材(40,440)が、前記第2領域(36,436)内にぴったりと嵌ま
るようなサイズを有する、請求項2に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項4】
前記前縁端部(30,430)が、エンドキャップ(38,438)で閉じられている
、請求項1~3の何れか一項に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項5】
前記弾性部材(40,440)が、前記弾性部材の貫通路(42,442)によって画
定される弾性部材軸(45,445)に平行に延在するガイド外面(56,456)、を
備える、請求項1~4の何れか一項に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項6】
前記弾性部材(40,440)の前記第1端部(44,444)および前記第2端部(
46,446)の少なくとも一方が、前記弾性部材(40,440)が前記整列軸(10
)に対して相対的に枢動できるように構成されたベベル、を備える、請求項1~5の何れ
か一項に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項7】
前記係合部材(50,450)が、係合部材軸(55,455)に平行に延在するガイ
ド面(53,453)を備える、請求項1~6の何れか一項に記載のアンカーアセンブリ
。
【請求項8】
前記係合部材(50,450)のガイド面(53,453)が、前記係合部材(50,
450)が前記整列軸(10)に対して相対的に枢動できるように構成された、ベベルが
設けられた前縁端部および/または後縁端部、を備える、請求項7に記載のアンカーアセ
ンブリ。
【請求項9】
前記シェル(422)の下地係合面(424)が、実質的に円筒形であり、カッティン
グリッジ(423)が、前記下地係合面(424)から延在する、請求項1~8の何れか
一項に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項10】
前記カッティングリッジ(423)が、前記下地係合面(424)の周りに、前記下地
係合面(424)の長さの少なくとも一部に沿って螺旋状に、延在する、請求項9に記載
のアンカーアセンブリ。
【請求項11】
前記シェル(22)の下地係合面(24)が、長手方向に延びる溝(35)を画定する
、請求項1~10の何れか一項に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項12】
前記シェル(22)の下地係合面(24)が、実質的に円筒形であり、前記下地係合面
(24)において、円周方向に延びる溝(25)が、設けられている、請求項1~8の何
れか一項に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項13】
前記円周方向に延びる溝(25)が、前記前縁端部(30)から前記後縁端部(28)
に向かう方向において前記下地係合面(24)の長さに沿って直径が増加するくぼみ(2
7)、を備える、請求項12に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項14】
長手方向に延びる溝(35)は、前記円周方向に延びる溝(25)の少なくとも1つを
貫通して、延在する、請求項12または13に記載のアンカーアセンブリ。
【請求項15】
請求項1~14の何れか1項に記載のアンカーアセンブリ(20,420)と、前記シ
ェル(22,422)の前記通路(26,426)内に受け入れられるように構成された
固定部材(110)と、を備える、部品のキット。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載のアンカーアセンブリを下地に配置する方法であっ
て、
a.前記下地(100)に穴(200)を設けるステップ;
b.前記穴(200)に前記アンカーアセンブリ(20,420)を挿入するステップ;
c.前記固定部材(110)が、前記シェルの通路(26,426)、前記弾性部材(4
0,440)を通って延在して、前記係合部材(50,450)と係合するように、前記
固定部材(110)を、前記シェル(22,422)の中に進入させるステップ;
d.前記係合部材(50,450)を前記固定部材(110)に沿って引き寄せて、前記
弾性部材(40,440)を圧縮し、それによって、前記固定部材(110)を前記シェ
ル(22,422)に対して相対的に締め付けるステップ、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンカーアセンブリに関する。特に、本開示は、下地内に配置可能なアンカーアセンブリに関する。また、本開示は、部品のアンカーアセンブリキットと、アンカーアセンブリを下地に配置する方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
アンカーボルトは、ボルトやネジを下地(例えば、壁や床)に接続するための固定具として、当該技術分野ではよく知られている。アンカーボルトは、一般に、多孔質または脆い材料において、またはネジで取り付けられた物体の重量を支えることができないような材料において、ネジ/ボルトを取り付けることを可能にするために使用されるインサートを、備える。例えば、開きボルトは、バネに抗して拡張し、下地に適合する剛体を有する。
【0003】
このようなアンカーは、ネジ、釘、接着剤、その他の単純な固定具が実用的でない、あるいは効果がないような状況で、ある物体を別の物体に取り付けることができる。しかし、このような他の固定具は、他の用途における使用に対して適切であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの固定具の欠点は、衝撃荷重が構造物から固定具を介して下地(substrate)に伝わり、プラグ/ボルトを支持する下地が損傷し、前記アンカーが緩むことである。特に、前記下地がコンクリートなどの脆性材料の場合、コンクリートがひび割れたり崩れたりして、アンカーが下地に対して相対的に移動してしまう可能性があるため、このようなことが起こりやすい。また、固定具によって下地にプレストレスがかかる(固定具が下地に対して膨張する)ことで、下地にひびが入りやすくなり、それにより固定具が緩みやすくなる。また、振動が固定具を通して直接下地に伝達されたり、下地から伝達されたりする。
【0005】
したがって、下地に固定されるように動作可能であり、固定手段(例えばボルト)を所定の位置に保持することができるが、衝撃力に耐えることができ、下地に伝達されるピーク力を低下させ、および/または振動を減衰させることができるアンカーが、非常に所望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示によれば、添付の特許請求の範囲に規定されるような装置および方法が提供される。本発明の他の特徴は、従属請求項、および以下の説明から明らかになるであろう。
【0007】
固定部材(110)を受け入れるためのアンカーアセンブリ(20,420)が、提供され得る。前記アセンブリ(20,420)は、下地係合面(24,424)を有するシェル(22,422)であって、前記シェル(22,422)が、前記固定部材(110)を受け入れるように構成された通路(26,426)を画定しているシェル(22,422)、を備え得る。前記通路(26,426)は、前記シェル(22,422)の後縁端部(28,428)から、整列軸(10)に沿って前記シェル(22,422)の前縁端部(30,430)に向かって、延在し得る。係合部材(50,450)および弾性部材(40,440)が、前記通路(26,426)内に配置され得、前記弾性部材(40,440)は、前記固定部材(110)が前記係合部材(50,450)と係合するために貫通して延在するための貫通路(42,442)、を画定している。前記弾性部材(40,440)は、前記係合部材(50,450)と、前記シェル(22,422)の前記後縁端部(28,428)との間に配置され得、前記弾性部材の貫通路(42,442)は、前記弾性部材(40,440)の第1端部(44、444)と第2端部(46,446)との間に延在し、前記第1端部(44,444)は、前記第2端部(46,446)と前記シェル(22,422)の前記後縁端部(28,428)との間に配置され、前記弾性部材(40,440)の前記第1端部(44,444)は、それが通路(26,426)に対して相対的に固定されるように、かつ前記弾性部材(40,440)の前記第2端部(46,446)が前記係合部材(50,450)とともに前記通路(26,426)に沿って前記第1端部(44,444)に対して相対的に移動可能なように、前記通路(26,426)内に取り付けられている。
【0008】
前記通路(26,426)は、前記後縁端部(28,428)から第2領域(36,436)の方へ延在する第1領域(34,434)を備え得、前記第2領域(36,436)は前記第1領域(34,434)から前記前縁端部(30,430)の方へ延在し、前記弾性部材(40,440)は、前記弾性部材が前記第1領域(34,434)に進入することを防止するように前記第1領域(34,434)より幅が広くなっている。
【0009】
前記弾性部材(40,440)は、前記第2領域(36,436)内にぴったりと嵌まるようなサイズを有し得る。
【0010】
前記前縁端部(30,430)は、エンドキャップ(38,438)で閉じられ得る。
【0011】
前記弾性部材(40,440)は、前記弾性部材の貫通路(42,442)によって画定される弾性部材軸(45,445)に平行に延在するガイド外面(56,456)、を備え得る。
【0012】
前記弾性部材(40,440)の前記第1端部(44,444)および前記第2端部(46,446)の少なくとも一方は、前記弾性部材(40,440)が前記整列軸(10)に対して相対的に枢動できるように構成されたベベル、を備え得る。
【0013】
前記係合部材(50,450)は、係合部材軸(55,455)に平行に延在するガイド面(53,453)を備え得る。
【0014】
前記係合部材(50,450)のガイド面(53,453)は、前記係合部材(50,450)が前記整列軸(10)に対して相対的に枢動できるように構成された、ベベルが設けられた(bevelled)前縁端部および/または後縁端部を、備え得る。
【0015】
前記シェル(422)の下地係合面(424)は、実質的に円筒形であってもよく、カッティングリッジ(423)が、前記下地係合面(424)から延在し得る。
【0016】
前記カッティングリッジ(423)は、前記下地係合面(424)の周りに、前記下地係合面(424)の長さの少なくとも一部に沿って螺旋状に、延在し得る。
【0017】
前記シェル(22)の下地係合面(24)は、長手方向に延びる溝(35)を、画定し得る。
【0018】
前記シェル(22)の下地係合面(24)は、実質的に円筒形であってもよく、前記下地係合面(24)において、円周方向に延びる溝(25)が設けられている。
【0019】
前記円周方向に延びる溝(25)は、前記前縁端部(30)から前記後縁端部(28)に向かう方向において前記下地係合面(24)の長さに沿って直径が増加する刻み目(indentation)(27)、を備える。
【0020】
前記長手方向に延びる溝(35)は、前記円周方向に延びる溝(25)の少なくとも1つを貫通して、延在し得る。
【0021】
また、前述の請求項のいずれか1項に記載のアンカーアセンブリ(20,420)と、前記シェル(22,422)の前記通路(26,426)内に受け入れられるように構成された固定部材(110)とを備える部品のキットが、提供され得る。
【0022】
また、本開示によるアンカーアセンブリを下地に配置する方法であって、以下のステップ:
a.前記下地(100)に穴(200)を設けるステップ;
b.前記穴(200)に前記アンカーアセンブリ(20,420)を挿入するステップ;
c.前記固定部材(110)が、前記シェルの通路(26,426)、前記弾性部材(40,440)を通って延在して、前記係合部材(50,450)と係合するように、前記固定部材(110)を、前記シェル(22,422)の中に進入させるステップ;
d.前記係合部材(50,450)を前記固定部材(110)に沿って引き寄せて、前記弾性部材(40,440)を圧縮し、それによって、前記固定部材(110)を前記シェル(22,422)に対して相対的に締め付けるステップ、
を含む方法が、提供され得る。
【0023】
したがって、アンカーアセンブリと、部品のアンカーアセンブリと、アンカーアセンブリを配置する方法とが提供され、ここで、前記アンカーは、前記アセンブリが挿入される下地へ/下地から、伝達される衝撃荷重および/または振動を低減するように、構成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の例を、添付の図面を参照して説明する。
【
図1】本開示のアンカーを使用して下地に取り付けられた物品(ポストとして提供される)を示す図である。
【
図2】衝撃荷重を受ける
図1の配置を示す図である。
【
図3】本開示によるアンカーアセンブリの一例の様々な図である。
【
図4】本開示によるアンカーアセンブリの一例の様々な図である。
【
図5】本開示によるアンカーアセンブリの一例の様々な図である。
【
図6】本開示によるアンカーアセンブリの一例の様々な図である。
【
図7】本開示によるアンカーアセンブリの一例の様々な図である。
【
図8】本開示によるアンカーアセンブリの一例の様々な図である。
【
図9】本開示によるアンカーアセンブリの一例の様々な図である。
【
図10】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図11】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図12】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図13】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図14】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図15】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図16】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図17】本開示によるアンカーアセンブリのさらなる例の様々な図である。
【
図18】固定部材と共に使用されている
図3~
図9に示された例によるアンカーアセンブリを示す図である。
【
図19】固定部材と共に使用されている
図3~
図9に示された例によるアンカーアセンブリを示す図である。
【
図22】本開示のアンカーアセンブリのさらなる例を示す図である。
【
図23】本開示のアンカーアセンブリのさらなる例を示す図である。
【
図24】スリーブアンカーとして構成された本開示によるアンカーアセンブリの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本開示は、下地100、例えば脆弱な下地100に配置される(すなわち、下地に取り付けられる、および/または下地に固定される)ように構成されたアンカーアセンブリに関する。しかし、前記下地は、任意のベース部材または構造物(例えば、建物の壁、天井もしくは床、窓、または他の構造物、例えば、航空、陸上または海上の車両、の一部)であってもよい。前記アンカーアセンブリは、部品のキットとして提供され得る。本開示はまた、本開示によるアンカーアセンブリを下地に配置する方法に関する。
【0026】
アンカーアセンブリ20,420は、特定の用途によって要求され得るとおりに、任意の物品を所定の位置に固定および/もしくは配置するために、またはアンカーを設けるために、固定部材110と組み合わせて使用され得る。前記アンカーアセンブリ20,420は、それが置かれるべき用途/使用に応じて、様々なサイズで提供され、そして様々な材料から製造され得る。
【0027】
非限定的な例として、
図1は、下地100に配置された本開示によるアンカーアセンブリ20,420の一例を示している。前記アンカーアセンブリ20,420は、物品、例えばポスト300を、所定位置に保持するように構成される。したがって、この例では、図には示されていないが、前記ポスト300の基部は、前記アンカーアセンブリ20,420を用いて前記ポスト300を前記下地100にクランプするために固定部材(ボルト)110が貫通して延在する基部で、プレートまたは開口部を有し得る。
【0028】
図1から分かるように、前記アンカーアセンブリ20,420は、その長さに沿って延在する整列軸10を有し、示される例では、前記固定部材110は、アンカーアセンブリ20,420に進入するときに、前記整列軸10の中心と一致している。
図1では、下地に保持される物品の向きが、その形状(任意の形状であり得る)によって変わるので、前記物品/ポスト300はまた、例としてのみ、整列軸10と中心が一致して示されている。同様に、このような用途では、物品/ポストを所定の位置に保持するために、1つを超えるアンカーアセンブリ20,420が、使用され得る。例えば、中心固定の代わりに、2つ以上のアンカーアセンブリが、例えばポストの基部から延在するフランジを貫通して、前記ポストの周縁部に配置され得る。別の言い方をすれば、
図1に示された配置は、その多くの用途のうちの1つにおける、本開示のアンカーアセンブリの機能性を説明するためだけの非限定的な例によるものである。
【0029】
前記固定部材110は、例えば
図2に示すように、通常の構成では静止状態において前記アンカーアセンブリ20の前記整列軸10に中心が合う軸111、を有し得る。
【0030】
図2は、物品300に衝撃力が加えられる場合のアンカーアセンブリ20,420の利点を示している。示される例では、前記アンカーアセンブリ20,420は、衝撃力の影響下でその静止位置(
図1に示す)から離間して動き、それにより少なくとも前記アンカーアセンブリ20,420によって固定されている位置を中心に、枢動するおよび/または曲がる。
【0031】
後述するように、本開示のアンカーアセンブリ20,420は、前記ポストに対する外力から前記アンカーアセンブリ20,420を介して下地100に伝達されるピーク力を低減させ、それによって、関連技術のアンカーアセンブリでは下地100から離されたであろう条件下で、前記物品300と下地100との間の接続を維持するように、構成されている。
【0032】
同様に、本開示のアンカーアセンブリ20,420は、振動を減衰させるように構成され、それにより、前記下地100と前記アンカーアセンブリ20,420との間で伝達される振動エネルギーの量が、低減される。
【0033】
したがって、前記アンカーアセンブリ20、420は、力/振動が下地または物品のどちらから発生したかにかかわらず、下地と物品の間のピーク力および振動の伝達を低減するように、動作可能である。
【0034】
ここで、この機能性を可能にするアンカーアセンブリ20,420の特徴を、
図3~9および
図10~17に示す例を参照して説明し、さらなる詳細は、
図18,
図19および
図20~24に記載する。
【0035】
本開示のアンカーアセンブリ20の第1の例は、
図3~9に示されている。本開示によるアンカーアセンブリ420の第2の例は、
図10~17に示されている。2つの例示的なアンカーアセンブリ20,420の間にはいくつかの技術的な違いがあるものの、これらは共通の動作原理、機能、および利点を有している。
【0036】
両方の例について示されるように、下地100に配置可能な(取り付け可能な)アンカーアセンブリが図示されている。前記アンカーアセンブリ20,420は、脆弱な下地(例えばコンクリート等)に対して特に有効であり得る。前記アンカーアセンブリは、他の下地、例えばレンガ,ターマック,プラスチック,ガラス,木材および/または金属にも使用され得る。前記アンカーアセンブリ20,420は、本明細書で説明されるように、固定部材110を受け入れるように構成されている。
【0037】
前記アンカーアセンブリ20,420は、下地係合面24,424を有するシェル22,422を備える。前記シェル22,422は、通路26を画定する。前記通路26,426は、細長くてもよい。前記通路26,426は、前記固定部材110を受け入れるように構成されている。前記通路26,426は、前記整列軸10に沿って、前記シェル22,422の後縁端部28,428から、シェル22,422の前縁端部30,430に向かって、延在している。前記前縁端部30,430は、前記シェル22,422の、前記後縁端部28,428とは反対側の端部にある。したがって、前記整列軸10は、前記後縁端部28,428と前記前縁端部30,430との間に延在する。
図3から
図9の例に関連して示すように、前縁端部30は、前記シェル22を、下地100に設けられた通路200に案内するように成形され得る。
【0038】
前記シェル22,422は、金属、プラスチック、繊維強化プラスチック、または複合材料から作製され得る。前記シェル22,422は、インベストメント鋳造を用いて製造され得る。
【0039】
図3~9の例に示すように、前記前縁端部30は、円錐状の領域を備え得るか、または円錐台状であり得る。すなわち、前記前縁端部30は、点または第1の直径から開始してシェル22の側面に合うようにより大きな直径へ、フレア状に広がり得る。あるいは、
図10~17の例に示すように、前縁端部430は、平面/平坦(すなわち、前記シェル422の前記整列軸10に垂直)であってもよい。
【0040】
前縁端部30,430は、エンドキャップ38,438で閉じられ得る。
図3~9の例に示すように、前記エンドキャップ38は、円錐状の領域を備え得るか、または円錐台状であり得る。すなわち、前記エンドキャップ38は、ある点または第1の直径から始まり、シェル22の側面に合うように、より大きな直径にフレア状に広がり得る。前記キャップ38を受け入れて支持するための表面を有する、前記前縁端部30に向かって設けられたキャップ支持陸部(cap support land)41が設けられ得る。前記陸部41は、前記整列軸10と平行な方向に延在し得る。前記キャップ38の外面は、前記シェル22の係合面24と同一平面状であり得る。
【0041】
あるいは、
図10~17の例に示すように、前記エンドキャップ438は、平面/平坦(すなわち、前記シェル422の前記整列軸10に垂直)であり得る。前記キャップ438は、通路426内に延在し通路426の表面と係合してそれによってエンドキャップ438を所定の位置に配置するように構成されたシェル22係合陸部51、を備え得る。
【0042】
両方の例において、係合部材50,450および弾性部材40,440は、前記通路26,426内に配置されている。前記弾性部材40,440は、圧縮可能であり得る。すなわち、前記弾性部材40,440は、弾性的に圧縮可能であり得る。前記弾性部材40は、付勢部材として設けられ得る。すなわち、前記弾性部材40は、バネのような特性を有し得る。言い換えれば、前記弾性部材40は、バネまたはバネ部材として構成され得る。
【0043】
図示しないいくつかの例では、前記キャップ38,438が前記通路26,426を閉じる代わりに、前記係合部材50が前記通路26,426を閉じ得る。したがって、前記係合部材50は、少なくとも部分的に前記前縁端部30,430を形成し得る。
【0044】
前記係合部材50,450は、ナットとして提供され得る。しかし、前記係合部材50,450は、前記固定部材110との係合に適した任意の部品として提供され得る。例えば、前記係合部材50,450および固定部材110は、それらを一緒に保持し前記係合部材50,450が前記固定部材110に沿って移動することを可能にするためのスナップフィット型および/またはラチェット型の接続を、有し得る。
【0045】
図示の例では、前記弾性部材40,440は、前記固定部材110が前記係合部材50,450と係合するために貫通して延在するための貫通路42,442、を有する本体48,448を、備える。
【0046】
前記弾性部材の貫通路42,442は、前記弾性部材40,440の第1端部44,444と第2端部46,446との間で延在し得る。
【0047】
前記本体48,448は、前記本体48,448の構成が一体的に形成されるように、固体から形成され得る。前記本体48,448は、前記本体48の長さに沿って、厚壁領域47と薄壁領域49とを交互に備え得る。すなわち、前記本体48,448は、その長さに沿って、交互に配置された比較的厚い壁部47と比較的薄い壁部49とを直列に設けるための段差47,49を、備え得る。したがって、前記弾性部材40のばね係数(すなわち、ばねに影響を与える力と前記ばねの変位との比)は、少なくとも部分的に、薄壁部49の寸法(例えば、長さと厚さ)および材料の関数として規定される。前記厚壁部47の数および寸法、ならびにそれらが作成される材料は、本体48が圧縮され得る度合い、を規定する。前記弾性部材40は、必要な特性を有するように構成され得る任意の適切な材料、例えばプラスチック、特にポリウレタン、または金属を含み(例えば、それらから作製され)得る。
【0048】
しかし、前記弾性部材40,440はまた、本開示の装置の機能要件を満たすことを条件として、用途によって必要とされ得るとおりに、代替の構成および材料の選択を伴う代替の形態で、提供され得る。
【0049】
前記係合部材50,450は、ガイド面53を備えている。前記係合部材50,450は、前記固定部材110と係合可能である。したがって、前記係合部材50,450がナットとして提供される例では、前記固定部材110は、前記固定部材110が前記係合部材50,450のねじ部に係合可能であるように、適合するねじ部を有するボルトとして提供される。前記係合部材50,450および通路26,426は、前記係合部材50,450が前記通路26,426に沿って移動可能であるように、構成されている。前記貫通路26,426は、前記整列軸10と同軸および/または同心であり得る。前記弾性部材40,440は、前記係合部材50,450と、前記シェル22,422の前記後縁端部28,428との間に配置され得る。
【0050】
前記本体48の前記第1端部44,444は、前記本体48の前記第2端部46,446と、前記シェル22,422の前記後縁端部28,428との間に配置され得る。
【0051】
前記弾性部材40,440は、前記第2端部46,446が前記整列軸10に沿って前記第1端部44,444に対して移動可能であるように、前記本体48の前記第1端部44,444が前記通路26,426に対して固定されるように、前記通路26,426に取り付けられ得る。
【0052】
前記弾性部材40,440は、前記通路26,426に対して接着、溶接またはピン留めされるか、または他の方法で保持され得る。
【0053】
さらに、または代替的に、前記弾性部材40,440は、前記弾性部材40,440と前記通路26,426の相対的なサイズにより、所定の位置に保持される。この目的のために、前記通路26,426は、前記後縁端部28,428から第2領域36,436に向かって延在する第1領域34,434を備え得る。前記第2領域36,436は、前記第1領域34,434から前記前縁端部30,430に向かう距離の少なくとも一部で、延在している。前記弾性部材40,440は、前記弾性部材40,440が前記通路26,426の前記第1領域34,434に進入することを防止するように、前記第1領域34,434より幅が広い(つまり、より大きな直径を有する)。
【0054】
前記弾性部材40,440は、前記弾性部材の貫通路42,442によって画定される弾性部材軸45,445に平行に延在するガイド外面56,456、を備え得る。
【0055】
前記弾性部材40,440は、前記第2領域36,436にぴったりと嵌るような大きさであるが、前記弾性部材40,440と前記第2領域36,436の相対寸法は、前記弾性部材40,440が圧縮される際に前記本体48の前記ガイド外面56,456の少なくとも一部が通路26に沿って摺動できるような寸法である。すなわち、図に示すように、前記弾性部材40,440および前記第2領域36,436の相対寸法は、前記弾性部材40,440が圧縮される際に前記本体48の前記ガイド外面56,456の少なくとも一部が前記通路26の前記第2領域36に沿って摺動できるような寸法である。
【0056】
前記弾性部材40,440の前記第1端部44,444および前記第2端部46,446の少なくとも一方は、前記弾性部材40,440が前記整列軸10に対して枢動できるように構成された、ベベルが設けられたまたは面取りされた(chamfered)前縁端部および/または後縁端部を備える。前記ベベル/面取りは、球状プロファイルを有し得る。前記係合部材50,450のガイド面53,453の少なくとも一部は、係合部材50の中心線を画定する前記係合部材軸55,455(すなわち、係合部材50の中心と一致し、その軸を中心に係合部材50が動作中に回転する軸)に平行に、延在し得る。
【0057】
前記係合部材50,450のガイド面53,453は、前記係合部材50,450が前記整列軸10に対して枢動することを可能にするように構成された、ベベルが設けられたまたは面取りされた前縁端部および/または後縁端部、を備え得る。すなわち、前記係合部材50,450のガイド面53は、前記シェル22,422の前記通路26,426に沿って摺動するだけでなく、それに対して回転/枢動するように構成され得る。前記ベベル/面取りは、球状プロファイルを有し得る。1つの例では、前記係合部材50,450のガイド面53は、実質的に球形であってもよい。
【0058】
図に示す例では、前記シェル22,422の係合面24,424は、実質的に円筒形状の形状を形成し得る。すなわち、前記整列軸10に対して直角を成す前記シェル22,422の断面形状は、円形であり得る(例えば
図3、
図10を参照)。代替例では、前記整列軸10に対して直角を成す前記シェル22,422の断面形状は、前記シェル22の長さの少なくとも一部、大部分または全部が長い、多角形、例えば三角形,長方形,五角形または六角形であってもよい。
【0059】
前記シェル22,422が多角形として提供される例では、多角形のエッジは、前記シェル22,422が配置される下地と係合するための係合要素を、画定し得る。
【0060】
図3~9の例に示すように、前記シェル22の下地係合面24は、円周方向に延びる溝25を備え得る。各円周方向に延びる溝25は、前記シェル22の外周の少なくとも一部で延在する刻み目(indent)として設けられ得る。前記溝25は、アンダーカットリッジとして設けられ得る。前記溝25は、前記シェル22の長さに沿って間隔をあけて配置されている。
【0061】
図3~9の例を参照すると、各円周方向に延びる溝25は、前記前縁端部30から前記後縁端部28に向かう方向に前記下地係合面24の長さに沿って直径が増加する刻み目(すなわち凹部)27、を備え得る。すなわち、前記円周方向に延びる溝25は、前記シェル22の下地係合面24の長手方向の長さに沿って歯または鋸歯状の形態で、設けられ得る。前記溝25は、前記下地100と係合するように構成されている。あるいは、前記シェル22を前記下地に結合する穴にアセンブリ20が入る前に、前記下地に設けられた穴に樹脂または他の結合媒体が入れられていてもよい。
【0062】
図3~9の例に示すように、前記シェル22下地係合面24は、前記前縁端部30と前記後縁端部28の間の少なくとも一部で延在する、長手方向に延びる溝35を、備え得る。すなわち、前記シェル22の下地係合面24は、長手方向に延びる溝35を画定し得る。前記長手方向に延びる溝35は、前記後縁端部28から離間した位置から、前記前縁端部30から離間した位置まで、延在し得る。
【0063】
いくつかの例では(図示せず)、前記長手方向に延びる溝35は、前記後縁端部28から前記前縁端部30までの少なくとも一部で、延在している。いくつかの例では(図示せず)、前記長手方向に延びる溝35は、前記後縁端部28から前記前縁端部30までの全長に亘って延在している。
【0064】
1つまたは複数の円周方向に延びる溝25が設けられている例では、前記長手方向に延びる溝35は、前記円周方向に延びる溝25の少なくとも1つを貫通して延在し得る。前記長手方向に延びる溝35は、前記円周方向に延びる溝25のいくつかまたは全てを貫通して延在し得る。
【0065】
したがって、1つまたは複数の円周方向に延びる溝25は、前記シェル22の周り全体または一部分で延在し得、前記縦方向に延びる溝35によって遮断され(すなわち、交差され)得る。
【0066】
前記長手方向に延びる溝35は、前記円周方向に延びる溝25よりもシェル22の下地係合面24の中に深く延在し得る。その最深点において、前記長手方向に延びる溝35は、前記シェル22の壁の厚さの15%以上50%以下であり得る。その最深点において、前記長手方向に延びる溝35は、前記シェル22の壁の厚さの17%以上25%以下であり得る。その最深点において、前記長手方向に延びる溝35は、前記シェル22の壁の厚さの約23%であり得る。その最深点で、前記長手方向に延びる溝35は、前記シェル22の壁の厚さの約20%であり得る。
【0067】
前記長手方向に延びる溝35は、流体のための流路を提供するように構成される。例えば、それは、前記アンカーアセンブリを下地に配置する際に使用される樹脂のための流路を提供し得る。すなわち、前記長手方向に延びる溝35は、前記穴200内に供給された任意の流体を、前記前縁端部30の前方の領域から、前記後縁端部28に向かう領域または前記後縁端部28での領域へ、逃がすための流路を、提供する。したがって、前記アンカーアセンブリ20を所定位置に保持するために使用される樹脂は、前記長手方向に延びる溝35に沿って、前記円周方向に延びる溝25のうちの1つまたは複数へと通り過ぎ得るので、前記シェル22下地係合面24の周囲、特に前期円周方向に延びる溝25内に、分散され得る。すなわち、長手方向に延びる溝35は、それが接続する前記円周方向に延びる溝25のうちの1つまたは複数に樹脂を分配するように、構成されている。前記樹脂(または他の固定媒体)を分配することは、前記アンカーアセンブリ20とそれが配置される下地100との間の結合の改善に役立つ。
【0068】
あるいは、
図10~17の例に示すように、前記シェル422下地係合面424は、下地係合面424から延在するカッティングリッジ(刃)423を備え得る。前記カッティングリッジ423は、下地係合面424の周りに、前記下地係合面424の長さの少なくとも一部に沿って螺旋状に、延在し得る。前記カッティングリッジ423は、前記アンカーアセンブリ420を下地100に引き込むことを助けるために、前記下地100の材料中に切り込むように、構成されている。
【0069】
前記固定部材110およびシェル通路26,426はまた、衝撃力が加わる際、前記固定部材110が、前記下地および前記整列軸110に対して相対的に、その中心軸111に沿った方向に移動できるように、互いに対して構成およびサイズ決定され得る。このことは、前記アンカーアセンブリ20にかかるピーク荷重/力を低減させるのに役立つ。
【0070】
図22,23に示すように、本開示のアンカーアセンブリ20,420は、固定部材110のシャフトと通路26,426の壁との間にスリーブ600を備え得る。すなわち、前記スリーブ600は、前記通路26,426内に配置され得、少なくとも部分的に、前記固定部材110のシャフトを、前記シェル22,422から離間させる。前記スリーブ600は、固定部材110が通路26,426内に進入する前に、前記通路26,426内に配置され、通路26,426に固定され、および/または前記通路26,426内に形成されるワッシャまたはチューブの形態で、設けられ得る。あるいは、前記スリーブ600は、前記固定部材110のシャフトの周りに設けられ得、前記固定部材110が前記シェル22,422の中に進入するときに、通路26,426の中に付勢され得る。別の例では、前記スリーブ600は、前記通路26,426に注入され固定部材の周りで硬化し/固まって通路26,426の領域を充填する媒体、として提供され得る。前記スリーブ600は、前記シェル22,422および/または固定部材110に加えられる衝撃および/または振動荷重を吸収および/または分散するように構成された、弾性および/または衝撃吸収材料を、含み得る。
【0071】
図24は、本開示のアンカーアセンブリ420がスリーブアンカー型アセンブリ520の一部として提供され得る、更なる変形例を示す。この例は、前記前縁端部430から、付勢部材530、拡張可能スリーブ532、スペーサスリーブ534、およびワッシャ536を、直列に備える。前記シェル422は付勢部材530中に配置され、前記付勢部材530は、ねじ部のようなカッティングリッジ423と係合している。前記シェル422は、同様に、前記拡張可能スリーブ532、スペーサスリーブ534、およびワッシャ536中に配置される。前記シェル422の前記後縁端部428は、前記付勢部材530内で前記シェル422を回転させるための工具(例えばアレンキー)を受け入れるために使用され得る係合構成(engagement feature)538を、備える。したがって、使用時には、前記スリーブアンカー型アセンブリ520は、下地内の穴200に配置され、次いで、前記シェル422が回転され、それにより、付勢部材530が矢印Cで示す方向にシェル422の長さに沿って移動するように、前記シェル422が、前記付勢部材530に対して相対的に回転し、付勢部材530とスペーサスリーブ534および/またはワッシャ536との間に挟まれた前記拡張可能スリーブ532と係合し、矢印Dで示すように半径方向外向きに付勢されて下地と係合し、それにより、前記アンカーアセンブリ420が下地内に配置される。
【0072】
他の例では、前記アンカーアセンブリ20,420は、任意の従来の手段、例えばシェル22、422が配置される拡張プラグ、充填剤および/または接着剤と組み合わせて、下地内に配置され得る。
【0073】
本開示によるアンカーアセンブリ20,420を提供するための部品のキットが提供され得、これは、前記シェル22,422の前記通路26,426に受け入れられるように形作られた固定部材110を含み得る。前記部品のキットはまた、本開示の方法に従ってアンカーアセンブリがどのように操作されるべきかを規定する一組の説明書を備え得る。
【0074】
本開示のアンカーアセンブリ20,420は、以下の方法によって操作され得る。前記アンカーアセンブリ20,420は、組み立てられた状態でユーザに提供され得、またはユーザによって組み立てられる部品のキットとして提供され得る。
【0075】
最初に、下地100に穴/通路200が設けられ得る。次いで、
図1に示すように、前記アンカーアセンブリ20、420が、前記穴200に進入し得る。前記穴/通路200は、シェル22,422が穴/通路200にぴったりと嵌まるように、シェル22,422に対して適切な大きさであるものとする。
【0076】
図3~9の例を参照すると、前記円周方向に延びる溝25は、前記下地100と係合する。あるいは、前記シェル22を前記下地に接着する樹脂または他の接着媒体が、穴200に入れられ得る。
【0077】
図10~17の例を参照すると、前記シェル422は、前記アンカーアセンブリ20を前記下地100に引き込むことを助けるために、前記カッティングリッジ423が前記下地100中に切り込むように、回転される。
【0078】
図22,23の例を参照して、前記スリーブアンカー型アセンブリ520は、
図22,23に関連して上述したように、所定の位置に配置され、固定される。
【0079】
次に、前記物品300(例えば
図1,2に示すようなポスト)が、前記アンカーシェルに対して相対的に配置され、前記固定部材110が、シェル内に、例えば物品300の開口部またはスロットを通して進入し、前記固定部材110が、前記シェル通路26,426を通り、前記弾性部材40,440を通って延在し、前記係合部材50,450と係合する。次いで、前記係合部材50,450が前記固定部材110に沿って引き寄せられ、それにより前記弾性部材40,440が圧縮され、前記シェル22,422に対して前記固定部材110を締め付けるように、前記固定部材110および前記係合部材50が、作動される。前記係合部材50,450がナットであり、前記固定部材110がボルトである例では、前記ボルト110を回す行為によって、前記係合部材50,450が前記固定部材110に沿って引き寄せられ、それによって前記弾性部材40,440が圧縮され、前記固定部材110が前記シェル22,422に対して締め付けられる。すなわち、前記係合部材50,450は、前記弾性部材40,440に抗して締め付けられる。
【0080】
図3~9の例については
図18に、
図10~17の例については
図20に示されている。
図18,20は、前記固定部材110を締め付ける(すなわち回転させる)行為によって、前記係合部材50、450が、前記シェル22、422の前記後縁端部28,428に向かう方向「A」に、前記固定部材110のねじ部に沿って引き寄せられることを、示している。このことで、前記通路26,426において所定の位置に保持されている前記弾性部材40,440が、圧縮される。
図18,20の例で分かるように、前記第1領域34、434よりも幅が広いために前記弾性部材が前記第1領域34,434中へ移動できないことによって、前記弾性部材40,440は、前記通路26,426内に配置される。前記弾性部材40,440は、前記固定部材110の締め付けの際、その最大範囲まで圧縮されなくてもよく、その代わりに、前記弾性部材40,440がさらに圧縮され得る状態に該当する所定のトルクまで、締め付けられ得る。
【0081】
前記弾性部材40,440が圧縮されると同時に、前記係合部材50,450は、第2領域36,436に沿って、方向「A」における前記シェル22,422の前記後縁端部28,428に向かって、引き寄せられる。実際、前記係合部材50,450を前記通路26に沿って引き寄せる行為により、前記弾性部材40,440が、圧縮される。
【0082】
前記固定部材110が締め付けられた後、前記弾性部材40,440がさらに圧縮可能なままの状態であることは、衝撃荷重が前記物品/ポスト300に加えられるとき、前記固定部材110および係合部材50,450が、前記通路26,426に沿って前記シェル22,422の前記後縁端部28,428に向かう方向にさらに移動し得、それにより、前記シェル22,422への荷重が減少され、前記シェル22,422の外面に係合する前記下地100、に伝わる力が減少されることを、意味している。
【0083】
前記係合部材50,450が、ベベルが設けられたまたは面取りされた後縁端部および/または前縁端部を有する(または実質的に球形である)例では、前記固定部材110および前記係合部材50,450は、前記シェル22の整列軸10に対して相対的に枢動し得る。これは、
図19,21に示されており、前記固定部材110は、方向「B」へ前記整列軸10から離れる方向に角度が付けられて示されている。したがって、前記固定部材110および係合部材50,450は、相対的に回転させる、枢動させる、および/または傾けることによって前記シェル22,422に対して相対的に移動し、それによって前記シェル22,422との係合を介して前記下地に付与される最大荷重を減少させることができる。
【0084】
したがって、動作時には、前記固定部材は、前記シェル22,422の前記通路26,426の長さに沿って方向「A」に長手方向に移動することができ、および/または方向「B」に前記シェル22,422に対して枢動して、前記シェル22,422を介して前記下地100に伝わるピーク荷重を低減することができる場合がある。
【0085】
荷重が取り除かれると、前記弾性部材40,440は、その元の長さ(すなわち、衝撃力が加わる前の状態)に戻って拡張し、前記固定部材110および係合部材50,450を、前記シェル22,422における元の向きおよび位置に、引き戻すことができる。前記弾性部材40,440を拡張させる行為はまた、前記固定部材110を、枢動した配向から(
図19,21に示すように)、
図18,20にそれぞれ示すように、整列軸10と整列した状態に引き戻すことができる。このことは、前記スリーブ600(設けられる場合)によって、部分的に支援され得る。
【0086】
したがって、アンカーアセンブリと、部品のアンカーアセンブリキットと、アンカーアセンブリを配置する方法と、が提供され、前記アンカーは、前記アセンブリが挿入される下地に対する衝撃荷重および/または振動の影響を低減するよう構成される。
【0087】
さらに、本開示のアンカーアセンブリにより、前記アンカーに対する前記固定部材110の移動が、可能になるので(例えば、
図19,20に示すように方向「A」,「B」に)、前記アンカーアセンブリは、関連技術のアンカーよりも大きな組立公差を補償し得る。したがって、構造物が、関連技術のアンカー固定具を用いるよりも、より少ない再作業および調整で、より容易に構築され得る。
【0088】
動作において、本開示の弾性部材は、予め充填されているので、固定されたアンカーポイントが提供されるとともに、前記固定部材を、それが配置されているシェルに対して、整列軸10に沿って移動可能にするか、または前記整列軸に対して相対的に枢動することを可能にするアンカーが、提供される。この「ゆとり(give)」(すなわち、相対的な動き)により、前記アンカーは衝撃荷重/力および振動を緩和させることができる。その結果、従来のアンカーでは不可能なことであった、接合で使用される下地および/または物品へ損傷が生じる可能性を低減させ、前記アンカーを所定の位置に維持し、前記下地および/または物品の完全性を維持することができる。
【0089】
前記アンカーアセンブリは、振動および/または衝撃が、前記下地100および/または前記下地に取り付けられた物品300から生じる用途において、使用され得る。例えば、前記アンカーアセンブリ20,420は、エンジン部品を車両のシャーシもしくはフレームに取り付ける、または付属品を車両に取り付ける(例えば、陸上、航空および海上車両における座席および/またはカップボード)ような用途で、使用され得る。また、それは、建物に取り付けられた物品に対する激震的事象の影響を低減するために、建物において使用されるか、または建物自体の上部構造の一部を形成し得る。
【0090】
本願に関連して本明細書と同時またはそれ以前に提出され、本明細書とともに一般に公開されているすべての論文および文書に注意を払い、このようなすべての論文および文書の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
本明細書(添付の請求項、要約書および図面を含む)に開示されたすべての特徴、および/または開示された任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、このような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0092】
本明細書(添付の請求項、要約書および図面を含む)に開示された各特徴は、明示的に別段の記載がない限り、同一、同等または類似の目的を果たす代替の特徴によって置き換えることができる。したがって、明示的に別段の記載がない限り、開示された各特徴は、同等または類似の特徴の一般的な一連の一例にすぎない。
【0093】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせ、あるいはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規なもの、または任意の新規な組み合わせに及ぶ。