(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】整形外科用肩固定装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/40 20060101AFI20240628BHJP
A61F 5/05 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61F5/40
A61F5/05
(21)【出願番号】P 2022545966
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2021015406
(87)【国際公開番号】W WO2021154934
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515258365
【氏名又は名称】ディージェーオー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ジルダースリーブ,リチャード,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデンバーグ,タラ
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,トーマス,ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,スマント,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン,ラン
(72)【発明者】
【氏名】オル,デイビッド
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0119770(US,A1)
【文献】特開2017-047149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0029866(US,A1)
【文献】米国特許第06610022(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0250638(US,A1)
【文献】特開昭62-261362(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197071(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0047653(US,A1)
【文献】特開2019-030701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0228732(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/40
A61F 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩固定装置であって、前記装置が、
ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を受容するように構成された前腕スリングであって、前記前腕スリングが、
前記ユーザの前記肘に隣接する前記前腕スリングの近位部に後方ストラップを締結するために構成された第1の締結具、及び
前記ユーザの前記手首に隣接する前記前腕スリングの遠位部に前方ストラップを締結するために構成された第2の締結具をさらに備える、前腕スリングと、
対側ストラップホルダであって、
前記ユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付いて、胸部と、肩甲部と、前記第2の腕の腋窩部及び前記肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成するように構成された周方向肩ストラップを備える対側ストラップホルダと、
前記前腕スリングと前記ユーザの胴体との間に配置されるように構成された外転クッションであって、それにより前記ユーザの前記第1の腕を所望の外転角度だけ外転させる、外転クッションとを備え、
前記後方ストラップが、前記周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第1のスイベル締結具を有し、
前記前方ストラップが、前記周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第2のスイベル締結具を有し、
前記対側ストラップホルダが、前記ユーザの首に対して力を及ぼさ
ず、
前記外転クッションが、
第1のパッド入りクッションと、
第2のパッド入りクッションと、
前記第1のパッド入りクッションと前記第2のパッド入りクッションとの間に配置された真空ブラダとを備え、
前記真空ブラダが、固有の拡張力を発揮するように構成された材料から形成され、環境大気圧よりも十分に低い真空圧を前記真空ブラダにかけることで、前記真空ブラダの前記材料の前記固有の拡張力に打ち勝ち、それにより前記真空ブラダを収縮させて、前記第1および第2のパッド入りクッションを互いに近づけ、
前記真空ブラダが、前記真空圧より大きい圧力が前記真空ブラダにかけられると、前記真空ブラダの材料の前記固有の拡張力によって少なくとも部分的に膨張した状態に保持される、
肩固定装置。
【請求項2】
前記周方向肩ストラップの前記略楕円形開口部が、前記前腕スリングが大幅な調整なしに前記ユーザのいずれかの腕によって使用されるために構成されるように、前記略楕円形開口部の中心線を中心として実質的に対称である、請求項1に記載の肩固定装置。
【請求項3】
前記周方向肩ストラップが、1つ又はそれ以上の締結具を有する両端を備え、前記両端が、前記略楕円形開口部の頂上で互いに重なり合い、前記第2の腕の前記肩の頂上にもたれるように構成されている、請求項1に記載の肩固定装置。
【請求項4】
前記周方向肩ストラップが、
前記後方ストラップの前記第1のスイベル締結具の第1のスイベルポストを受容するように構成された少なくとも第1のグロメットであって、それにより、前記前腕スリングと前記周方向肩ストラップとの間で前記後方ストラップがしわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びることを可能にする、少なくとも第1のグロメットと、
前記前方ストラップの前記第2のスイベル締結具の第2のスイベルポストを受容するように構成された少なくとも第2のグロメットであって、それにより、前記前腕スリングと前記周方向肩ストラップとの間で前記前方ストラップがしわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びることを可能にする、少なくとも第2のグロメットと、
をさらに備える、請求項1に記載の肩固定装置。
【請求項5】
前記第1のグロメットが、前記周方向肩ストラップ上に各々異なる色、数字、又は文字で指定された第1の複数のグロメットのうちの1つであり、
前記第2のグロメットが、前記周方向肩ストラップ上に各々異なる色、数字、又は文字で指定された第2の複数のグロメットのうちの1つである、
請求項4に記載の肩固定装置。
【請求項6】
前記前腕スリングが、複数の通気孔をさらに備える、請求項1に記載の肩固定装置。
【請求項7】
前記複数の通気孔の各々が、略円形、卵形、長方形、及び丸い角を有する長方形のうちの1つ又はそれ以上を有する、請求項6に記載の肩固定装置。
【請求項8】
前記複数の通気孔が、1/16インチ以下の最大直径を有し、それにより、前記ユーザの前記第1の腕における窓浮腫(window edema)を防止するように構成されている、請求項6に記載の肩固定装置。
【請求項9】
前記前腕スリングが、前記第1の腕が前記前腕スリング内に正確に配置されたときに前記前腕スリングが前記肘に物理的に接触しないように、前記ユーザの前記第1の腕の前記肘を露出させるように構成された切欠きをさらに備える、請求項1に記載の肩固定装置。
【請求項10】
前記前腕スリングが、前記第1の腕が前記前腕スリング内に正確に配置されたときに前記前腕スリングが前記前腕の上部に物理的に接触しないように、前記ユーザの前記第1の腕の前記前腕の前記上部を露出させるように構成された少なくとも1つの切欠きをさらに備える、請求項1に記載の肩固定装置。
【請求項11】
前記外転クッションが、前記外転クッションの正確な位置決め及び確保を補助するために湾曲形状、凹形形状、又は凸形形状のうちの1つを含む、請求項
1に記載の肩固定装置。
【請求項12】
前記真空ブラダが
、膨張したときに、前記第1のパッド入りクッションの底部を前記第2のパッド入りクッションの底部から、前記第2のパッド入りクッションの頂部から前記第1のパッド入りクッションの頂部よりも大きく隔てるように構成さ
れ、それにより、前記ユーザの前記第1の腕と前記胴体との間の前記所望の外転角度を達成す
る、請求項
1に記載の肩固定装置。
【請求項13】
前記膨張可能なブラダが、各々が異なるサイズに膨張するように構成された複数の空洞を備える、請求項
1に記載の肩固定装置。
【請求項14】
前記膨張可能なブラダが、アコーディオン状の構造を有する、請求項
1に記載の肩固定装置。
【請求項15】
前記第1のパッド入りクッション及び前記第2のパッド入りクッションが各々、実質的に均一な厚さを有する、請求項
1に記載の肩固定装置。
【請求項16】
前記第1のパッド入りクッション及び前記第2のパッド入りクッションのうちの少なくとも一方が、略楔形の断面を有する、請求項
1に記載の肩固定装置。
【請求項17】
肩固定装置を使用する方法であって、前記方法が、
ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を前腕スリング内に配置するステップであって、前記前腕スリングが、
第1の締結具を利用して前記ユーザの前記肘に隣接する前記前腕スリングの近位部に締結された後方ストラップ、及び
第2の締結具を利用して前記ユーザの前記手首に隣接する前記前腕スリングの遠位部に締結された前方ストラップを備える、ステップと、
前記肩固定装置の対側ストラップホルダの周方向肩ストラップを前記ユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付けるステップであって、それにより胸部と、肩甲部と、前記第2の腕の腋窩部及び前記肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成する、ステップと、
前記後方ストラップの第1のスイベル締結具を、前記周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップと、
前記前方ストラップの第2のスイベル締結具を、前記周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップと、
前記前腕スリングと前記ユーザの胴体との間に外転クッションを配置するステップであって、それにより、前記ユーザの前記第1の腕を所望の外転角度だけ外転させる、ステップとを含み、
前記外転クッションは、
第1のパッド入りクッションと、
第2のパッド入りクッションと、
前記第1のパッド入りクッションと前記第2のパッド入りクッションとの間に配置された真空ブラダとを備え、
前記真空ブラダは、固有の拡張力を発揮するように構成された材料から形成され、環境大気圧よりも十分に低い真空圧を前記真空ブラダにかけることで、前記真空ブラダの前記材料の前記固有の拡張力に打ち勝ち、それにより前記真空ブラダを収縮させて、前記第1および第2のパッド入りクッションを互いに近づけ、
前記真空ブラダは、前記真空圧より大きい圧力が前記真空ブラダに加えられると、前記真空ブラダの材料の前記固有の拡張力によって少なくとも部分的に膨張した状態に保持され、
前記対側ストラップホルダが、前記ユーザの首に対して力を及ぼさない、
方法。
【請求項18】
前記第2の腕の前記肩の頂上で前記周方向肩ストラップの両端を所望の量だけ重ね合わせ、前記両端を互いに締結することによって、前記周方向肩ストラップの前記略楕円形開口部のサイズを調整するステップをさらに含む、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して装具に関し、より詳細には、手術又は損傷後に肩を支持しかつ安定化するための肩スリングに関する。
【背景技術】
【0002】
肩は、腕が胴体に対して動かされるときに複数の平面内で回転することができる、身体の比較的複雑な関節である。肩の損傷の治療は、しばしば、肩及び関連する腕の所望の最適な治療位置を決定すること、並びに肩及び腕を所望の治療位置に配置することを必要とする。そのような回復治療は、1つ又はそれ以上の結合肩靭帯のダメージを伴う軟組織損傷に特に適用可能であり、さらに、多くの場合、限定されないが、いくつもの外科的処置、例えば再発性後方亜脱臼のための手術、回旋腱板手術、上腕骨頭又は骨幹の骨折矯正などの後に選択される治療である。
【0003】
肩用支持デバイス、例えば整形外科用ブレース、剛性ギプス、及びスリングが、そのような配置及び固定を行うために一般的に使用される。しかしながら、ユーザの首にかなりの力を及ぼす、1つ又はそれ以上の従来の肩ストラップを使用することに少なくとも部分的に起因して、複数のそのようなストラップが使用されると、ユーザが着用するのにしばしば混乱する可能性があり、固定中により大きな快適性及び汎用性を提供し、臨床医及び/又は患者にとってより容易な使用及びより少ない混乱を提供する肩装具が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、以下の[1]から[20]を含む。
[1]肩固定装置であって、上記装置が、
ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を受容するように構成された前腕スリングであって、上記前腕スリングが、
上記ユーザの上記肘に隣接する上記前腕スリングの近位部に後方ストラップを締結するために構成された第1の締結具、及び
上記ユーザの上記手首に隣接する上記前腕スリングの遠位部に前方ストラップを締結するために構成された第2の締結具をさらに備える、前腕スリングと、
対側ストラップホルダであって、
上記ユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付いて、胸部と、肩甲部と、上記第2の腕の腋窩部及び上記肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成するように構成された周方向肩ストラップを備える対側ストラップホルダと、を備え、
上記後方ストラップが、上記周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第1のスイベル締結具を有し、
上記前方ストラップが、上記周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第2のスイベル締結具を有し、
上記対側ストラップホルダが、上記ユーザの首に対して力を及ぼさない、
肩固定装置。
[2]上記周方向肩ストラップの上記略楕円形開口部が、上記前腕スリングが大幅な調整なしに上記ユーザのいずれかの腕によって使用されるために構成されるように、上記略楕円形開口部の中心線を中心として実質的に対称である、上記[1]に記載の肩固定装置。
[3]上記周方向肩ストラップが、1つ又はそれ以上の締結具を有する両端を備え、上記両端が、上記略楕円形開口部の頂上で互いに重なり合い、上記第2の腕の上記肩の頂上にもたれるように構成されている、上記[1]に記載の肩固定装置。
[4]上記周方向肩ストラップが、
上記後方ストラップの上記第1のスイベル締結具の第1のスイベルポストを受容するように構成された少なくとも第1のグロメットであって、それにより、上記前腕スリングと上記周方向肩ストラップとの間で上記後方ストラップがしわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びることを可能にする、少なくとも第1のグロメットと、
上記前方ストラップの上記第2のスイベル締結具の第2のスイベルポストを受容するように構成された少なくとも第2のグロメットであって、それにより、上記前腕スリングと上記周方向肩ストラップとの間で上記前方ストラップがしわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びることを可能にする、少なくとも第2のグロメットと、
をさらに備える、上記[1]に記載の肩固定装置。
[5]上記第1のグロメットが、上記周方向肩ストラップ上に各々異なる色、数字、又は文字で指定された第1の複数のグロメットのうちの1つであり、
上記第2のグロメットが、上記周方向肩ストラップ上に各々異なる色、数字、又は文字で指定された第2の複数のグロメットのうちの1つである、
上記[4]に記載の肩固定装置。
[6]上記前腕スリングが、複数の通気孔をさらに備える、上記[1]に記載の肩固定装置。
[7]上記複数の通気孔の各々が、略円形、卵形、長方形、及び丸い角を有する長方形のうちの1つ又はそれ以上を有する、上記[6]に記載の肩固定装置。
[8]上記複数の通気孔が、1/16インチ以下の最大直径を有し、それにより、上記ユーザの上記第1の腕における窓浮腫(window edema)を防止するように構成されている、上記[6]に記載の肩固定装置。
[9]上記前腕スリングが、上記第1の腕が上記前腕スリング内に正確に配置されたときに上記前腕スリングが上記肘に物理的に接触しないように、上記ユーザの上記第1の腕の上記肘を露出させるように構成された切欠きをさらに備える、上記[1]に記載の肩固定装置。
[10]上記前腕スリングが、上記第1の腕が上記前腕スリング内に正確に配置されたときに上記前腕スリングが上記前腕の上部に物理的に接触しないように、上記ユーザの上記第1の腕の上記前腕の上記上部を露出させるように構成された少なくとも1つの切欠きをさらに備える、上記[1]に記載の肩固定装置。
[11]上記前腕スリングと上記ユーザの胴体との間に配置されるように構成された外転クッションをさらに備え、それにより、上記ユーザの上記第1の腕を所望の外転角度だけ外転させる、上記[1]に記載の肩固定装置。
[12]上記外転クッションが、上記外転クッションの正確な位置決め及び確保を補助するために湾曲形状、凹形形状、又は凸形形状のうちの1つを含む、上記[11]に記載の肩固定装置。
[13]上記外転クッションが、一体構造を有し、かつ第1の厚さを有する第1の端部と、上記第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有する、上記第1の端部とは反対側の第2の端部と、を有する、上記[11]に記載の肩固定装置。
[14]上記外転クッションが、
第1のパッド入りクッションと、
第2のパッド入りクッションと、
膨張したときに、上記第1のパッド入りクッションの底部を上記第2のパッド入りクッションの底部から、上記第2のパッド入りクッションの頂部から上記第1のパッド入りクッションの頂部よりも大きく隔てるように構成された膨張可能なブラダであって、それにより、上記ユーザの上記第1の腕と上記胴体との間の上記所望の外転角度を達成する、膨張可能なブラダと、
を備える、上記[11]に記載の肩固定装置。
[15]上記膨張可能なブラダが、各々が異なるサイズに膨張するように構成された複数の空洞を備える、上記[14]に記載の肩固定装置。
[16]上記膨張可能なブラダが、アコーディオン状の構造を有する、上記[14]に記載の肩固定装置。
[17]上記第1のパッド入りクッション及び上記第2のパッド入りクッションが各々、実質的に均一な厚さを有する、上記[14]に記載の肩固定装置。
[18]上記第1のパッド入りクッション及び上記第2のパッド入りクッションのうちの少なくとも一方が、略楔形の断面を有する、上記[14]に記載の肩固定装置。
[19]肩固定装置を使用する方法であって、上記方法が、
ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を前腕スリング内に配置するステップであって、上記前腕スリングが、
第1の締結具を利用して上記ユーザの上記肘に隣接する上記前腕スリングの近位部に締結された後方ストラップ、及び
第2の締結具を利用して上記ユーザの上記手首に隣接する上記前腕スリングの遠位部に締結された前方ストラップを備える、ステップと、
上記肩固定装置の対側ストラップホルダの周方向肩ストラップを上記ユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付けるステップであって、それにより胸部と、肩甲部と、上記第2の腕の腋窩部及び上記肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成する、ステップと、
上記後方ストラップの第1のスイベル締結具を、上記周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップと、
上記前方ストラップの第2のスイベル締結具を、上記周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップと、を含み、
上記対側ストラップホルダが、上記ユーザの首に対して力を及ぼさない、
方法。
[20]上記第2の腕の上記肩の頂上で上記周方向肩ストラップの両端を所望の量だけ重ね合わせ、上記両端を互いに締結することによって、上記周方向肩ストラップの上記略楕円形開口部のサイズを調整するステップをさらに含む、上記[19]に記載の方法。
いくつかの実施形態によれば、肩固定装置が提供される。装置は、ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を受容するように構成された前腕スリングを備える。前腕スリングは、ユーザの肘に隣接する前腕スリングの近位部に後方ストラップを締結するために構成された第1の締結具をさらに備える。前腕スリングは、ユーザの手首に隣接する前腕スリングの遠位部に前方ストラップを締結するために構成された第2の締結具をさらに備える。装置は、対側ストラップホルダを備える。対側ストラップホルダは、ユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付いて、胸部と、肩甲部と、第2の腕の腋窩部又は肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成するように構成された周方向肩ストラップを備える。後方ストラップは、周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第1のスイベル締結具を有する。前方ストラップは、周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第2のスイベル締結具を有する。対側ストラップホルダは、ユーザの首に対して力を及ぼさない。
【0005】
いくつかの実施形態によれば、肩固定装置を使用する方法が提供される。方法は、ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を前腕スリング内に配置するステップを含む。前腕スリングは、第1の締結具を利用してユーザの肘に隣接する前腕スリングの近位部に締結された後方ストラップと、第2の締結具を利用してユーザの手首に隣接する前腕スリングの遠位部に締結された前方ストラップと、備える。方法は、肩固定装置の対側ストラップホルダの周方向肩ストラップをユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付けるステップであって、それにより胸部と、肩甲部と、第2の腕の腋窩部及び肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成する、ステップを含む。方法は、後方ストラップの第1のスイベル締結具を、周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップを含む。方法は、前方ストラップの第2のスイベル締結具を、周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップを含み、対側ストラップホルダが、ユーザの首に対して力を及ぼさない。
【0006】
添付の特許請求の範囲は、本技術の特徴を詳細に記載しているが、これらの技術は、それらの目的及び利点と共に、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】いくつかの例示的な実施形態による、ユーザに配置された肩固定装置を示す図である。
【0008】
【
図2A】いくつかの例示的な実施形態による、参照を容易にするためにユーザを図示していない、
図1の肩固定装置を示す図である。
【0009】
【
図2B】いくつかの例示的な実施形態による、
図1の肩固定装置を同様に示す図である。
【0010】
【
図3】いくつかの例示的な実施形態による、複数の通気孔を有する肩固定装置の前腕スリングを示す図である。
【0011】
【
図4】いくつかの例示的な実施形態による、複数の細長い通気孔を有する、肩固定装置の別の前腕スリングを示す図である。
【0012】
【
図5】いくつかの例示的な実施形態による、実質的に目の粗いメッシュを有する、肩固定装置のさらに別の前腕スリングを示す図である。
【0013】
【
図6】いくつかの例示的な実施形態による、ユーザの肘を露出させるように構成された切欠きを有する、肩固定装置のさらに別の前腕スリングを示す図である。
【0014】
【
図7】いくつかの例示的な実施形態による、ユーザの前腕の上部を露出させるように構成された1つ又はそれ以上の切欠きを備えることができるさらに別の前腕スリングを示す図である。
【0015】
【
図8】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置の周方向肩ストラップを示す図である。
【0016】
【
図9】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置の周方向肩ストラップの調整可能な態様を示す図である。
【0017】
【
図10】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置の周方向肩ストラップの腕に被さる方向付けを示す図である。
【0018】
【
図11A】いくつかの例示的な実施形態による、前方ストラップを周方向肩ストラップの前方部に回転可能に結合するように構成されたスイベル締結具を示す図である。
【0019】
【
図11B】いくつかの例示的な実施形態による、後方ストラップを周方向肩ストラップの後方部に回転可能に結合するように構成されたスイベル締結具を示す図である。
【0020】
【
図12】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置用の外転クッションを示す図である。
【0021】
【
図13】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置用の非対称の外転クッションを示す図である。
【0022】
【
図14A】いくつかの例示的な実施形態による、非膨張状態における切断線A-A’に沿った
図13の外転クッションの断面図である。
【0023】
【
図14B】いくつかの例示的な実施形態による、膨張状態における切断線A-A’に沿った
図13の外転クッションの断面図である。
【0024】
【
図15】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置用のアコーディオン状のブラダを有する別の外転クッションを示す図である。
【0025】
【
図16A】いくつかの例示的な実施形態による、非膨張状態にある拡張可能な真空ブラダを有するさらに別の外転クッションを示す図である。
【0026】
【
図16B】いくつかの例示的な実施形態による、膨張状態にある
図16Aの拡張可能な真空ブラダを示す図である。
【0027】
【
図17A】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置用の、非膨張状態にある拡張可能なセクションを有するさらに別の外転クッションの断面図である。
【0028】
【
図17B】いくつかの例示的な実施形態による、膨張状態にある
図17Aの拡張可能な真空ブラダの断面図である。
【0029】
【
図18】いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置を使用する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照すると、同様の参照番号は同様の要素を指し、本開示の技術は、適切な環境で実施されるものとして示されている。以下の説明は、特許請求の範囲の実施形態に基づいており、本明細書に明示的に記載されていない代替の実施形態に対して特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0031】
「に接続され」、「に結合され」、及び「と連通している」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、及び熱的相互作用を含む、2つ又はそれ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、互いに機能的に結合され得る。「当接している」という用語は、互いに直接物理的に接触している物品を指すが、物品は必ずしも一緒に取り付けていなくてもよい。
【0032】
「例示的な」という単語は、本明細書では「例、事例、又は例示としての役割を果たしている」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的な」として説明される実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。実施形態の様々な態様が図面に提示されているが、図面は、特に示されない限り、必ずしも縮尺通りには描かれていない。
【0033】
「装具」又は「矯正器具」という単語は、本明細書では、ブレース、スリング、又は他のそのようなデバイスを意味するために使用される。それにより、装具は、用語「ブレース」及び/又は「スリング」と交換可能に使用されてもよく、示される場合には、特定のタイプのブレース及び/又はスリングを指してもよい(例えば、肩装具、肩ブレース、及び/又は肩スリング)。
【0034】
本開示の様々な特徴のより良い理解は、合理的に適用可能である同様の参照符号が同様の要素を指す添付の図面と併せて読まれる以下の説明から得ることができる。本開示は、様々な修正及び代替の構造を受け入れることができるが、特定の例示的な特徴が図面に示され、以下で詳細に説明される。しかしながら、本開示を、開示された特定の実施形態に限定する意図はなく、逆に、その意図は、本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、代替の構造、組合せ、及び均等物を網羅することであることが理解されよう。
【0035】
さらに、用語が、記載された意味を有するように本開示において明確に定義されない限り、そのような用語の意味を、明確又は遠回しのいずれかで、その明白な又は通常の意味を超えて限定する意図はないことが理解されよう。
【0036】
本明細書で使用される場合、整形外科用デバイスの開示された特徴を理解しやすくするために、「近位」は、その通常の意味を有し、取付け点若しくは原点又は中心点の隣又は近くに位置付けられているか、又は身体の中心の方に位置する場所を指す。同様に、「遠位」という用語は、その通常の意味を有し、取付け点若しくは原点又は中心点から離れて位置付けられているか、又は身体の中心から離れて位置する場所を指す。「内側」という用語は、身体の正中線により近い位置を指すのに対して、「外側」という用語は、身体の正中線から離れた位置を指す。「後方」という用語はまた、その通常の意味を有し、後ろの場所又は別の場所若しくは特徴の背後を指す。最後に、「前方」という用語は、その通常の意味を有し、前にある場所又は別の場所若しくは特徴の前部を指す。
【0037】
「剛性」、「可撓性」、「可鍛性」、及び「弾性」という用語は、本明細書では、整形外科用デバイスの特定の特徴の部分を区別するために使用され得る。「剛性」という用語は、デバイスの要素が概して又は実質的に柔軟性がないことを意味することを意図している。「剛性」であるフレーム又は支持部材又はシェルの文脈内では、力が加えられたときにそれらが全体的な形状を失わないことを示すことが意図されている。対照的に、「可撓性」又は「可鍛性」という用語は、荷重下で屈曲又は曲がることができる特徴を包含することを意図している。
【0038】
本開示の実施形態は、肩の固定のための肩スリングに関する。本明細書に記載の1つ又はそれ以上の実施形態による肩スリングの利点には、軽量構造、容易な適用、ユーザにとってより厳密かつ/若しくは快適なフィットのためのスリングの1つ又はそれ以上の寸法の迅速かつ容易なカスタマイズ及び/又は調整、迅速かつ容易である調整可能な外転及び/又は外旋/内旋、並びに左から右への、又はその逆の転換の容易さが含まれる。追加の特徴には、厳密な量の外転及び外旋/内旋、並びに通気性設計を採用する能力が含まれる。
【0039】
市販されている現在の製品は、かさばり、かつ鎖骨(例えば、鎖骨の近位及び/又は内側部)のエリアの神経にぶつかって頸部痛及び不快感を引き起こす可能性がある1つ又はそれ以上の肩ストラップを採用している。他の潜在的な特徴の中でもとりわけ、スリングを支持し、かつ/又はユーザの身体の対側の方の胸部、肩甲部、及び腋窩部にもたれるように構成された対側ストラップホルダを使用することにより、本明細書で提供されるスリング、肩用デバイス、又は装具によって固定されている肩/腕と比較して、従来のネックストラップの必要性を排除し、したがって、関連する痛み及び不快感を排除する。さらに、デバイスの薄型設計は、他の設計に見られるかさばり及び重量を低減し、より多くの通気性及び/又は調整機能を可能にし、したがって、装具を着用している間の患者の不快感を低減する。本明細書に記載のスリングは、従来のスリング設計と比較して、快適さ、適合性、及び利便性を伴い、着用者の腕及び肩を固定かつ支持する。実際、本明細書に開示されるスリングは、肩の損傷、回旋腱板手術から回復している人、あるいは軟組織の緊張を有する人に数多くの利点を与える。以下でより詳細に説明するように、テレスコープ式の調整可能なストラップシステム及び汎用サイズのスリングは、広範囲の患者のサイズに適応することができる。さらに、スリングは、着用者の右腕又は左腕にフィットすることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、複数の病状は、1つの装具で対処することができ、それには、限定するものではないが、肩関節脱臼又は亜脱臼、被膜シフト、後方肩安定化、バンカート修復、重度の前方被膜拘縮の解放、軟組織の緊張又は修復、回旋腱板修復、人工肩関節置換術、上方関節唇修復(SLAP)、肩創面切除、骨折(上腕骨、肘、前腕)、二頭筋腱修復、肘靭帯/腱修復、前方肩脱臼、及びAC関節再建が含まれる。
【0041】
次に、本開示による肩固定装置の1つ又はそれ以上の実施形態の論述を、1つ又はそれ以上の図と関連付けて以下に論じる。
【0042】
図1は、いくつかの例示的な実施形態による、ユーザに配置された肩固定装置100を示している。
図2A及び
図2Bは、いくつかの例示的な実施形態による、参照を容易にするためにユーザを図示していない、
図1の肩固定装置100を示している。肩固定装置100は、ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を受容するように構成された前腕スリング110を備える。前腕スリング110及びその関連する例は、以下で少なくとも
図3~
図7と関連付けてより詳細に論じる。
【0043】
前腕スリング110は、ユーザの腕がスリング110内に正確に配置されたときに、ユーザの肘に隣接する前腕スリング110の近位部に後方ストラップ139を締結するために構成された、第1の締結具115をさらに備える。いくつかの実施形態では、第1の締結具115は、バックル、リング、ストラップ受容スロット、面締結具、又はストラップを前腕スリング110の近位部に締結するための任意の他の適切な手段のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0044】
前腕スリング110は、ユーザの腕がスリング110内に正確に配置されたときに、ユーザの手首に隣接する前腕スリング110の遠位部に前方ストラップ131を締結するために構成された、第2の締結具114をさらに備える。いくつかの実施形態では、第2の締結具114は、バックル、リング、ストラップ受容スロット、面締結具、又はストラップを前腕スリング110の遠位部に締結するための任意の他の適切な手段のうちの、1つ又はそれ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の締結具114は、2つのそのようなバックル、リング、ストラップ受容スロット、又はストラップを前腕スリング110の遠位部に締結するための他の手段を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、各そのようなバックル、リング、ストラップ受容スロット、又は他の締結手段は、ユーザの手首に隣接する前腕スリング110の上縁部のいずれかで前腕スリング110の遠位部に前方ストラップ131を締結するように構成されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、少なくとも1つのそのようなバックル、リング、ストラップ受容スロット、又は他の締結手段はまた、前腕スリング110を腰ストラップ120に取り付けかつ/又は結合するように構成されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、前腕スリング110は、ユーザの腕がスリング110内に正確に配置されたときに、ユーザの手首の周辺を締結するために構成された、第3の締結具152をさらに備える。いくつかの実施形態では、第3の締結具152は、前方ストラップ131が前腕スリング110に締結されている前腕スリング110の遠位部と、後方ストラップ139が前腕スリング110に締結されている前腕スリング110の近位部との間に実質的に配置された前腕スリング110の少なくとも互換部分154に、解放可能に結合するように構成された面締結具(又は任意の他の適切な締結手段)を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、前腕スリング110は、ユーザの腕がスリング110内に正確に配置されたときに、ユーザの手の少なくとも一部の周辺を締結するために構成された、第4の締結具156をさらに備える。例えば、第4の締結具156は、ユーザの手及び/又は腕がスリング110内にさらに確保されかつ/又は拘束されるように、スリング110内に配置された腕の手の親指と人差し指との間に延在するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第4の締結具156は、前腕スリング110の遠位部に配置された前腕スリング110の少なくとも互換部分158に解放可能に結合するように構成された、面締結具(又は任意の他の適切な締結手段)を含むことができる。
【0047】
前腕スリング110は、対側ストラップホルダ130をさらに備える。ストラップホルダ130は、ユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付いて、少なくとも胸部、肩甲部、及びユーザの第2の腕の腋窩部(例えば、
図1、
図11A、及び11Bを参照)又は対側肩の外側外面部(例えば、
図10を参照)のうちの一方に着座する、略楕円形開口部132(例えば、
図8を参照)を形成するように構成された周方向肩ストラップ138を備える。対側ストラップホルダ130、周方向肩ストラップ138、並びに関連する例及び/又はその一部は、以下で
図8~
図11Bのうちの少なくとも1つと関連付けてより詳細に論じる。
【0048】
次に、本開示は、少なくとも
図1~
図7と関連付けて説明される、1つ又はそれ以上の例示的な前腕スリング110、310、410、510、610、710の態様に移る。いくつかの実施形態では、前腕スリング110、310、410、510、610、710のうちの1つ又はそれ以上は、軽くて通気性のよい滑り止め材料を備える。いくつかの実施形態では、前腕スリング110、310、410、510、610、710のうちの1つ又はそれ以上は、内面メッシュ、フルライナ、及び/又は外面スリーブを備え、場合によっては、発泡材料、及びその中に配置された複数の通気孔を備えることができる。
【0049】
例えば、
図3は、いくつかの例示的な実施形態による、複数の通気孔312を有する肩固定装置の前腕スリング310を示している。いくつかのそのような実施形態では、通気孔312は、略円形又はわずかに細長い形状(複数可)を有することができる。いくつかの実施形態では、通気孔312は、窓浮腫(window edema)を防止する最大直径(例えば、1/16インチ以下)を有し得る。しかしながら、本開示はそのように限定されず、通気孔312は、本明細書で論じる用途(複数可)に適した任意の形状及び/又はサイズを有することができる。
【0050】
さらに別の例として、
図4は、いくつかの例示的な実施形態による、複数の細長い通気孔412を有する、肩固定装置の別の前腕スリング410を示している。いくつかのそのような実施形態では、通気孔412は、実質的に細長い形状(複数可)、例えば、卵形、長方形、及び/又は実質的に丸い角を有する長方形を有することができる。いくつかの実施形態では、通気孔412は、窓浮腫を防止する最大直径(例えば、1/16インチ以下)を有し得る。しかしながら、本開示はそのように限定されず、通気孔412は、本明細書で論じる用途(複数可)に適した任意の形状及び/又はサイズを有することができる。
【0051】
さらに別の例として、
図5は、いくつかの例示的な実施形態による、実質的に目の粗いメッシュ512を有する、肩固定装置のさらに別の前腕スリング510を示している。いくつかのそのような実施形態では、実質的に目の粗いメッシュ512は、メッシュ512の開口部の部分が前腕スリング510の表面積のかなりの大部分を構成するようなものであってもよい。いくつかの実施形態では、実質的に目の粗いメッシュ512の開口部は、窓浮腫を防止する最大直径(例えば、1/16インチ以下)を有し得る。しかしながら、本開示はそのように限定されず、実質的に目の粗いメッシュ512の開口部は、本明細書で論じる用途(複数可)に適した任意の形状及び/又はサイズを有することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、前腕スリング110、310、410、510、610、710のうちの1つ又はそれ以上は、ユーザの快適性を高めるための1つ又はそれ以上の切欠きを含む。例えば、
図6は、いくつかの例示的な実施形態による、ユーザの腕が前腕スリング610内に正確に配置されたときにユーザの肘を露出させるように構成された切欠き616を有する肩固定装置のさらに別の前腕スリング610を示している。いくつかのそのような実施形態では、前腕スリング610は、第1の腕がスリング100内に正確に配置されたときにユーザの第1の腕の肘の少なくとも一部に接触せず、関連する圧力点を低減又は排除し、ユーザの快適性を高める。
【0053】
加えて、又は代替として、
図7に示すように、さらに別の前腕スリング710は、いくつかの例示的な実施形態によれば、ユーザの前腕の上部を露出させるように構成された1つ又はそれ以上の切欠き716a、716bを備えることができる。いくつかのそのような実施形態では、前腕スリング710は、前腕スリング710の上縁に沿ったユーザの前腕の1つ又はそれ以上の部分に接触せず、ユーザの快適性をさらに高める。
【0054】
前腕スリングのいくつかの実施形態が、上記で
図1~
図7と関連付けて説明されたが、本開示はまた、単一の前腕スリングにおいて、場合によっては、前腕スリングが
図1~
図7のうちのいずれかに示すようにはその頂上が実質的に開いていない、フルスリーブを含む実施形態を含む場合であっても、本明細書の前腕スリングのうちのいずれかに関連付けて説明した特徴の任意の組合せを含む任意のかつすべての実施形態を企図している。
【0055】
次に、本開示は、少なくとも
図1~
図2B及び
図8~
図11Bと関連付けて説明するように、1つ又はそれ以上の例示的な対側ストラップホルダ130の態様の論述に移る。
図1~
図2Bと関連付けて簡単に上述したように、対側ストラップホルダ130は、ユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付いて、略楕円形開口部132、又はアームループを形成するように構成された周方向肩ストラップ138を備え、周方向肩ストラップ138は、少なくとも胸部と、肩甲部と、ユーザの第2のすなわち対側の腕の腋窩部又は肩の外側外面部のうちの一方とに着座する。いくつかの実施形態では、略楕円形開口部132は、断面が略円形であり得る。いくつかの実施形態では、略楕円形開口部132は、断面が略卵形又は楕円形であり得る。いくつかの実施形態では、略楕円形開口部132は、スリング100を大幅な調整なしにいずれかの肩で使用することができるように、
図8に示す破線を中心として実質的に対称である。いくつかの実施形態では、周方向肩ストラップ138は、ユーザの快適性をさらに高めるパッドをさらに備えることができる。
【0056】
図1~
図2B、
図8、及び
図9のうちの少なくとも1つに示すように、前方ストラップ131は、周方向肩ストラップ138の前方部に結合及び/又は結合可能であり得る一方、後方ストラップ139は、周方向肩ストラップ138の後方部の1つ又はそれ以上の位置に結合及び/又は結合可能であり得る。
図11A及び
図11Bと関連付けてより詳細に説明するように、かつ少なくとも
図2Bにさらに示すように、後方ストラップ139は、周方向肩ストラップ138の後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された、第1のスイベル締結具143を有することができる。同様に、前方ストラップ131は、周方向肩ストラップ138の前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された、第2のスイベル締結具133を有することができる。このようにして、前方ストラップ131及び後方ストラップ139のうちの一方又は両方は、前腕スリング110と周方向肩ストラップ138との間で、しわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びるように構成されている。
【0057】
周方向肩ストラップ138は、ユーザの対側肩の周りに巻き付いて、胸部と、肩甲部と、第2の腕の腋窩部又は肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成するように構成されているため、対側ストラップホルダ130は、首の周りか、又は実質的に対側肩の頂部のみに沿って巻き付く従来のストラップのように、ユーザの首に対して力を及ぼさない。
【0058】
いくつかの実施形態では、例えば、少なくとも
図9と関連付けて示すように、ユーザは、肩ストラップ138の両端940における重なり量を調整することによって、略楕円形開口部132のサイズを調整することができ、肩ストラップ138の両端940は、任意の適切なタイプの締結具、例えば、肩ストラップ138の一端又は両端940に配置されたフック及びループ型締結具を介して互いに結合することができる。いくつかの実施形態では、肩ストラップ138の両端940は、略楕円形開口部132の頂上、例えば、第2の腕の対側肩の胸部、肩甲部、又は腋窩部のみに対して実質的にもたれるのではなく、第2の腕の対側肩の頂上にもたれるように構成された略楕円形開口部132の部分において、互いに重なり合う。略楕円形開口部132の頂上で互いに重なり合う肩ストラップ138の両端940は、手術中及び/又は手術後に、より大きな患者の重くてより大きな腕及び/又はバイタルを伝達する配線を妨げる可能性がある略楕円形開口部132の別の部分(例えば、略楕円形開口部132の底部又は腋窩部)で互いに重なり合う肩ストラップ138の両端940と比較して、患者がまだ意識を失っているか、そうでなければ固定されている間に前腕スリング100を患者に装着することが医師及び医療スタッフにとって著しくより便利であることが分かっている。略楕円形開口部132が第2の腕の対側肩を取り囲むように構成されていることを知っていることにより、前方ストラップ131を患者の身体、胴体、及び/又は胸の前方にわたって、かつ後方ストラップ139を患者の身体、胴体、及び/又は胸の後方にわたって正確に伸ばすことが簡単になるため、本開示によって説明される前腕スリングの特定の設計は、従来のスリングと比較して、使用が臨床医及び患者にとってより容易であり、より混乱しにくい。
【0059】
いくつかの実施形態では、例えば、少なくとも
図10と関連付けて示すように、代替的な周方向肩ストラップ1038は、ユーザの対側腕の下側の周り(例えば、脇の下)に延在するような、
図1及び
図2に示す肩ストラップ138の部分に対応する部分が、代わりにユーザの対側腕の外面の外側部の周りに延在するように、腕に被さる方向付けとして構成されることができる。そのような実施形態では、肩ストラップ1038は、ユーザの対側腕の下側ではなくユーザの対側腕の外面の外側部に対して力を及ぼす一方で、腋窩の実施形態、例えば少なくとも
図1~
図2Bと関連付けて説明したものと同様の、首の痛みを軽減する利益を依然として提供するように構成されてもよい。そのような実施形態では、周方向肩ストラップ1038は、対側肩の腋窩に沿って配置されるように構成された肩ストラップ138の部分に対応するストラップ1038の部分が代わりに、周方向肩ストラップ1038の患者の対側肩の外側部に沿ってかつ/又はその周りに配置されるように構成されていることを除いて、肩ストラップ138と実質的に同じ特徴を有し得る。
【0060】
次に、本開示は、少なくとも
図1~
図2B、
図11A、及び
図11Bと関連付けて説明するように、前方ストラップ131及び後方ストラップ139のうちの一方又は両方と、周方向肩ストラップ138、1038のそれぞれの部分との間の1つ又はそれ以上の例示的な回転可能な結合の態様の論述に移る。例えば、
図11Aは、いくつかの例示的な実施形態に従って、スイベル締結具133が前方ストラップ131を周方向肩ストラップ138、1038の前方部に回転可能に結合するように構成され、それにより、前腕スリング110と周方向肩ストラップ138、1038との間で前方ストラップが、しわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びることを可能にすることを示している。スイベル締結具133は、周方向肩ストラップ138、1038の前方部の1つ又はそれ以上の場所に縫い込まれるか又は他の方法で確保されるように構成された1つの1137又はそれ以上の縫い付けられたファブリックグロメット1137a、1137b、並びに前方ストラップ131を受容するように構成されたスロット1134、及びロック機能1136(例えば、Dリングスナップロック)を有するスイベルポスト1135(例えば、スナップスイベルポスト)を有するバックルを含み、ロック機能1136は、1つの1137又は2つ以上のファブリックグロメット1137a、1137bのうちの1つにスイベルポスト1135を確保するように構成されている。いくつかの実施形態では、ファブリックグロメット1137a、1137bはまた、装置100の正確、安全、かつ快適なフィットのために、異なる配色、番号付け、又は他の方法で示されたステッカー、パッチ、及び/又は識別子を有して、ユーザを適切なグロメットに容易に誘導することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、前方ストラップ131について上述したように、同様のスイベル締結具を利用して、後方ストラップ139を周方向肩ストラップ138、1038の後方部に結合することができ、それにより、前腕スリング110と周方向肩ストラップ138、1038との間で後方ストラップ139が、しわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びることを可能にする。例えば、
図11Bは、いくつかの例示的な実施形態に従って、スイベル締結具143が後方ストラップ139を周方向肩ストラップ138、1038の後方部に回転可能に結合するように構成され、それにより、前腕スリング110と周方向肩ストラップ138、1038との間で後方ストラップが、しわが伸びかつ折り畳まれていないように伸びることを可能にすることを示している。スイベル締結具143は、周方向肩ストラップ138、1038の後方部の1つ又はそれ以上の場所に縫い込まれるか又は他の方法で確保されるように構成された1つの1147又はそれ以上の縫い付けられたファブリックグロメット1147a、1147b、並びに後方ストラップ139を受容するように構成されたスロット1144、及びロック機能1146(例えば、Dリングスナップロック)を有するスイベルポスト1145(例えば、スナップスイベルポスト)を有するバックルを含み、ロック機能1146は、1つの1147又は2つ以上のファブリックグロメット1147a、1147bのうちの1つにスイベルポスト1145を確保するように構成されている。いくつかの実施形態では、ファブリックグロメット1147a、1147bはまた、装置100の正確、安全、かつ快適なフィットのために、異なる配色、番号付け、又は他の方法で示されたステッカー、パッチ、及び/又は識別子を有して、ユーザを適切なグロメットに容易に誘導することができる。
【0062】
次に、本開示は、少なくとも
図12~
図17と関連付けて説明するように、ユーザの胴体に対するユーザの腕の所望の外転角度を達成するための、1つ又はそれ以上の例示的な外転クッション1200、1300、1400、1500、1600、1700の態様の論述に移る。例えば、
図12は、いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置の外転クッション1200を示している。外転クッション1200は、一体構造を有し、一方の端部が第1の厚さを有し、反対の端部が第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有するものとして示してある。したがって、外転クッション1200は、略楔形形状を有し得る。外転クッション1200は、任意の適切なクッション材料、例えば、限定ではないが、メモリフォーム、マットレス材料、又は別のフォーム若しくはパッド入り材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、外転クッション1200は、ユーザの固定された腕及び/又は前腕と胴体との間に外転クッション1200を確保し、所望の外転角度を確立するように構成された、1つ又はそれ以上の凹部1202をさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、様々な厚さ及び楔角度を有する外転クッション1200の1つ又はそれ以上のバージョンを使用して、所望の外転角度を確立することができる。
【0063】
図13は、いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置用の非対称の外転クッション1300を示しており、一方、
図14Aは、非膨張状態における切断線A-A’に沿って見た
図13の外転クッション1300の断面図を示し、
図14Bは、膨張状態における切断線A-A’に沿って見た
図13の外転クッション1300の断面図を示している。
図13~
図14Bに示すように、非対称の外転クッション1300は、前腕スリング110、210、310、410、510、610、710とユーザの胴体との間に配置されるように構成され得、それにより、ユーザの第1の腕を所望の外転角度だけ外転させる。外転クッション1300は、第1のパッド入りクッション1301と、第2のパッド入りクッション1302と、膨張したときに、第1のパッド入りクッション1301の底部を第2のパッド入りクッション1302の底部から、第2のパッド入りクッション1302の頂部から第1のパッド入りクッション1301の頂部よりも大きく隔てるように構成された膨張可能なブラダ1303と、を備え、それにより、ユーザの第1の腕と胴体との間の所望の外転角度を達成する。いくつかの実施形態では、膨張可能なブラダ1303は、各々が異なるサイズ及び/又は幅に膨張して上述の膨張及び外転挙動に影響を及ぼすように構成された、複数の別個の又は相互接続された空洞又はチャンバを備えることができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1301、1302のうちの一方又は両方は、ユーザの腕又は前腕と胴体との間の外転クッション1300の正確な位置決め及び確保を補助するために、湾曲形状、凹形形状、及び/又は凸形形状を有することができる。いくつかの実施形態では、パッド入りクッション1301、1302のうちの一方又は両方は、外転クッション1200と同様又は同じ材料を含むことができる。
【0064】
図15は、いくつかの例示的な実施形態による、肩固定装置用のアコーディオン状のブラダ1503を有する別の外転クッション1500を示している。
図15に示すように、外転クッション1500は、前腕スリング110、210、310、410、510、610、710とユーザの胴体との間に配置されるように構成されてもよく、それにより、ユーザの第1の腕を所望の外転角度だけ外転させる。外転クッション1500は、第1のパッド入りクッション1501と、第2のパッド入りクッション1502と、膨張したときに第1のパッド入りクッション1501を第2のパッド入りクッション1502から隔てるように構成された膨張可能なアコーディオン状のブラダ1503と、を含む。いくつかのそのような実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1501、1502の間の隔たりは、
図13及び
図14のクッションと関連付けて説明されたように、パッド入りクッションの頂上及び底において等しくなくなり得、これにより、ユーザの第1の腕と胴体との間の所望の外転角度が達成される。あるいは、第1及び第2のパッド入りクッション1501、1502との間の隔たりは、パッド入りクッションの頂上と底とで等しくすることができ、それにより、ユーザの第1の腕と胴体との間の所望の外転角度を達成する。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1501、1502のうちの一方又は両方は、例えば、
図12と関連付けて前述したように、略楔形の断面を有することができる。いくつかの他の実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1501、1502は、実質的に均一な厚さの断面を有することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、膨張可能なブラダ1503は、膨張して上述の膨張及び外転挙動に影響を及ぼすように構成された、アコーディオン状の空洞又はチャンバを備えることができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1501、1502のうちの一方又は両方は、ユーザの腕又は前腕と胴体との間の外転クッション1500の正確な位置決め及び確保を補助するために、平坦形状、湾曲形状、凹形形状、及び/又は凸形形状のうちのいずれかを有することができる。いくつかの実施形態では、パッド入りクッション1501、1502のうちの一方又は両方は、外転クッション1200と同様又は同じ材料を含むことができる。
【0067】
図16A及び
図16Bは、いくつかの例示的な実施形態による、それぞれ非膨張状態及び膨張状態にある拡張可能な真空ブラダ1603を有するさらに別の外転クッション1600を示している。外転クッション1600は、前腕スリング110、210、310、410、510、610、710とユーザの胴体との間に配置されるように構成されてもよく、それにより、ユーザの第1の腕を所望の外転角度だけ外転させる。外転クッション1600は、第1のパッド入りクッション1601と、第2のパッド入りクッション1602と、真空ブラダ1603と、を含み、真空ブラダ1603は、真空圧(すなわち、環境大気圧未満の圧力)を有する場合、第1のパッド入りクッション1601と第2のパッド入りクッション1602とを互いに近づけるように構成されており(例えば、
図16Aを参照)、より小さい真空圧(すなわち、上記の真空圧よりも大きい圧力)を有する場合、真空ブラダ1603内の十分な真空の存在によって圧倒されない真空ブラダ1603を形成する材料の固有の拡張力によって、第1のパッド入りクッション1601と第2のパッド入りクッション1602とを押し離すように構成されている(例えば、
図16Bを参照)。いくつかのそのような実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1601、1602の間の隔たりは、
図13~
図14Bのクッションと関連付けて説明されたように、パッド入りクッションの頂上及び底において等しくなくなり得、これにより、ユーザの第1の腕と胴体との間の所望の外転角度が達成される。あるいは、第1及び第2のパッド入りクッション1601、1602との間の隔たりは、パッド入りクッションの頂上と底とで等しくすることができ、それにより、ユーザの第1の腕と胴体との間の所望の外転角度を達成する。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1601、1602のうちの一方又は両方は、例えば、
図12と関連付けて前述したように、凹部の有無にかかわらず、略楔形の断面を有することができる。いくつかの他の実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1601、1602は、実質的に均一な厚さの断面を有することができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1601、1602のうちの一方又は両方は、ユーザの腕又は前腕と胴体との間の外転クッション1600の正確な位置決め及び確保を補助するために、平坦形状、湾曲形状、凹形形状、及び/又は凸形形状のうちのいずれかを有することができる。いくつかの実施形態では、パッド入りクッション1601、1602のうちの一方又は両方は、外転クッション1200と同様又は同じ材料を含むことができる。
【0069】
図17A及び
図17Bは、いくつかの例示的な実施形態による、それぞれ非膨張状態及び膨張状態にある拡張可能なセクションを有するさらに別の外転クッション1700を示している。外転クッション1700は、前腕スリング110、210、310、410、510、610、710とユーザの胴体との間に配置されるように構成されており、それにより、ユーザの第1の腕を所望の外転角度だけ外転させる。外転クッション1700は、第1のパッド入りクッション1701と、第2のパッド入りクッション1702と、膨張したときに(例えば、
図17Bを参照)、第1のパッド入りクッション1701を第2のパッド入りクッション1702から隔てるように構成された膨張可能なブラダ1703と、を含む。いくつかのそのような実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1701、1702の間の隔たりは、
図13~
図14Bのクッションと関連付けて説明されたように、パッド入りクッションの頂上及び底において等しくなくなり得、これにより、ユーザの第1の腕と胴体との間の所望の外転角度が達成される。あるいは、第1及び第2のパッド入りクッション1701、1702との間の隔たりは、パッド入りクッションの頂上と底とで等しくすることができ、それにより、ユーザの第1の腕と胴体との間の所望の外転角度を達成する。
【0070】
いくつかの実施形態では、膨張可能なブラダ1703は、各々が異なるサイズ及び/又は幅に膨張して上述の膨張及び外転挙動に影響を及ぼすように構成された、複数の別個の又は相互接続された、略円形の空洞又はチャンバを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のパッド入りクッション1701、1702のうちの一方又は両方は、ユーザの腕又は前腕と胴体との間の外転クッション1700の正確な位置決め及び確保を補助するために、湾曲形状、凹形形状、及び/又は凸形形状を有することができる。いくつかの実施形態では、パッド入りクッション1701、1702のうちの一方又は両方は、外転クッション1200と同様又は同じ材料を含むことができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、ユーザは、腕と胴体との間に約15度の外転角度を確立することを望む場合がある。しかしながら、本開示はそのように限定されず、ユーザは任意の適切な外転角度を確立することを望んでもよい。いくつかの実施形態では、固定を必要とするユーザの肩の問題に応じて、60~90度の外転角度が望ましい。
【0072】
肩固定デバイスで使用するために構成された、対側ストラップホルダも同様に考えられる。ストラップホルダは、ユーザの腕の非損傷の肩の周りに巻き付いて、胸部と、肩甲部と、腕の腋窩部及び肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成するように構成された周方向肩ストラップと、周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第1のスイベル締結具を有する後方ストラップと、周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するように構成された第2のスイベル締結具を有する前方ストラップと、を備え、対側ストラップホルダが、ユーザの首に対して力を及ぼさない。対側ストラップは、本明細書に記載の肩固定デバイスと共に使用することができるか、又は従来の肩固定装具と一体化して対側に使用することができる。
【0073】
図18は、本開示に記載されているような任意の肩固定装置を使用する方法のフローチャート1800を示している。特に明記しない限り、フローチャート1800によって記載された動作の順序は、任意の適切な順序に並べ替えることができ、1つ又はそれ以上の追加の動作を含めることができ、かつ/又は1つ又はそれ以上の記載された動作をそのような方法から除外することができる。
【0074】
ブロック1802は、ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を前腕スリング内に配置するステップを含む。例えば、前述したように、臨床医又は患者は、本開示のいずれかで前述したように、ユーザの第1の腕の肘、前腕、及び手首を任意の前腕スリング110、210、310、410、510、610、710内に配置することができる。そのような前腕スリングは、第1の締結具115を利用してユーザの肘に隣接する前腕スリング110の近位部に締結された後方ストラップ139と、第2の締結具114を利用してユーザの手首に隣接する前腕スリング110の遠位部に締結された前方ストラップ131と、を含むことができる。
【0075】
ブロック1804は、肩固定装置の対側ストラップホルダの周方向肩ストラップをユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付けるステップであって、それにより胸部と、肩甲部と、第2の腕の腋窩部及び肩の外側外面部のうちの一方とに着座する略楕円形開口部を形成する、ステップを含む。例えば、前述のように、臨床医又は患者は、肩固定装置100の対側ストラップホルダ130の周方向肩ストラップ138をユーザの第2の腕の肩の周りに巻き付けて、胸部と、肩甲部と、第2の腕の腋窩部(例えば、
図1~
図2B、
図11A、及び
図11Bを参照)及び肩の外側外面部(例えば、
図10を参照)のうちの一方とに着座する略楕円形開口部132を形成することができる。
【0076】
ブロック1806は、後方ストラップの第1のスイベル締結具を、周方向肩ストラップの後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップを含む。例えば、前述したように、臨床医又は患者は、後方ストラップ139の第1のスイベル締結具(例えば、前方ストラップ131のための締結具133を参照)を周方向肩ストラップ138の後方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合することができる。
【0077】
ブロック1808は、前方ストラップの第2のスイベル締結具を、周方向肩ストラップの前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合するステップを含む。例えば、前述したように、臨床医又は患者は、前方ストラップ131の第2のスイベル締結具133を、周方向肩ストラップ138の前方部の1つ又はそれ以上の位置に回転可能に結合することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、フローチャート1800は、第2の腕の肩の頂上で周方向肩ストラップ138の両端を所望の量だけ重ね合わせ、両端を互いに締結することによって、周方向肩ストラップ138の略楕円形開口部132のサイズを調整するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、フローチャート1800は、本開示に記載の任意の肩固定装置の任意の部分の使用、着用、取付け、締結、又は調整に関連する任意の動作をさらに含むことができる。
【0079】
本開示全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」に対する言及は、その実施形態と関連付けて説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本開示全体を通して列挙されている引用された語句又はその変形は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではない。
【0080】
同様に、実施形態の上記の説明では、本開示を簡素化する目的で、様々な特徴が単一の実施形態、図、又はその説明にまとめられている場合があることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、本出願又は本出願に対する優先権を主張する任意の出願における任意の請求項が、その請求項に明示的に列挙されたものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、任意の単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴の組合せにある。したがって、この詳細な説明に続く特許請求の範囲はここに、この詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として独立している。本開示は、独立請求項とそれらの従属請求項とのすべての置換を含む。
ここで、対側ストラップホルダは、ユーザの首に対して力を及ぼさない。
【0081】
特徴又は要素に関する「第1の」という用語の特許請求の範囲における記述は、第2の又は追加のそのような特徴又は要素の存在を必ずしも暗示しない。ミーンズ・プラス・ファンクション形式で列挙された要素は、米国特許法第112条第6項に従って解釈されることが意図されている。本開示の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に変更が加えられ得ることは、当業者には明らかであろう。
【0082】
本開示の特定の実施形態及び用途を図示しかつ説明したが、本開示は、本明細書に開示された厳密な構成及び構成要素に限定されないことを理解されたい。さらに、本開示は、本開示によって説明される任意の前腕スリングの使用及び/又は製造方法をさらに企図しており、それは、それだけに限らないが、本開示のいずれかに記載されるような任意の前腕スリング又は付属品の任意の部分を提供、設置、取付け、フィッティング、製作、かつ/又は構成することを含むことができる。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される本開示の方法及びシステムの構成、動作、及び詳細において、当業者には明らかであろう様々な修正、変更、及び変形が行われ得る。
【符号の説明】
【0083】
100 肩固定装置
110 前腕スリング
114 第2の締結具
115 第1の締結具
120 腰ストラップ
130 対側ストラップホルダ
131 前方ストラップ
132 略楕円形開口部
133 第2のスイベル締結具
138 周方向肩ストラップ
139 後方ストラップ
143 第1のスイベル締結具
152 第3の締結具
154 互換部分
156 第4の締結具
158 互換部分
210 前腕スリング
310 前腕スリング
312 通気孔
410 前腕スリング
412 通気孔
510 前腕スリング
512 メッシュ
610 前腕スリング
616 切欠き
710 前腕スリング
716a 切欠き
716b 切欠き
940 両端
1038 周方向肩ストラップ
1134 スロット
1135 スイベルポスト
1136 ロック機能
1137 ファブリックグロメット
1137a ファブリックグロメット
1137b ファブリックグロメット
1144 スロット
1145 スイベルポスト
1146 ロック機能
1147 ファブリックグロメット
1147a ファブリックグロメット
1147b ファブリックグロメット
1200 外転クッション
1202 凹部
1300 外転クッション
1301 第1のパッド入りクッション
1302 第2のパッド入りクッション
1303 膨張可能なブラダ
1400 外転クッション
1500 外転クッション
1501 第1のパッド入りクッション
1502 第2のパッド入りクッション
1503 アコーディオン状のブラダ
1600 外転クッション
1601 第1のパッド入りクッション
1602 第2のパッド入りクッション
1603 真空ブラダ
1700 外転クッション
1701 第1のパッド入りクッション
1702 第2のパッド入りクッション
1703 膨張可能なブラダ
1800 フローチャート
1802 ブロック
1804 ブロック
1806 ブロック
1808 ブロック