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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】電磁波を送受信するためのアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/16 20060101AFI20240628BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20240628BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20240628BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01Q15/16
G01S7/03 200
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022546451
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(86)【国際出願番号】 IB2021050663
(87)【国際公開番号】W WO2021152494
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】20154703.1
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーン モルテン
(72)【発明者】
【氏名】カールソン マーティン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-154182(JP,A)
【文献】米国特許第03029431(US,A)
【文献】特開2001-185946(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0092076(US,A1)
【文献】特開2017-198503(JP,A)
【文献】特表2006-506632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/16
G01S 7/03
H01Q 1/32
H01Q 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ装置(100)であって、
電磁波を送受信するように構成されるアンテナ素子(102)と、
前記アンテナ素子(102)から送信される前記電磁波を反射させるように構成されるリフレクタ(104)と、
前記アンテナ素子(102)及び前記リフレクタ(104)がその上に位置決めされる基板(106)と
を含み、
前記基板(106)が、水平方向(Y)及び横方向(X)に沿って延びる主要伸張平面(108)を規定し、
前記リフレクタ(104)及び前記アンテナ素子(102)が両方とも、前記基板(106)の前記主要伸張平面上に位置決めされ、
鉛直方向(Z)が、前記水平方向(Y)及び前記横方向(X)に対して垂直に、従って前記基板(106)の前記主要伸張平面(108)に対して垂直に延び、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が前記鉛直方向(Z)において凹形状(112)を有し、
前記凹形状(112)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化することが引き起こされ、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記水平方向(Y)において空間的に広大化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が、前記水平方向(Y)の中央部が突出した凸形状(110)を有し、
前記凸形状(110)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記水平方向(Y)において空間的に広大化することが引き起こされ、
前記リフレクタ(104)の前記凹形状(112)が、前記アンテナ素子(102)寄りに位置する仮想焦点(114)を有し、
前記リフレクタ(104)が、前記水平方向(Y)において前記凸形状(110)であることに起因して、水平方向(Y)の両端部が横方向(X)において前記アンテナ素子(102)から離れるように、曲がっている、アンテナ装置。
【請求項2】
物体の運動、例えば車両の使用者の運動を検知するための自動車用センサ(200)であって、
請求項1に記載のアンテナ装置(100)と、
検出ユニット(202)と
を含み、
前記検出ユニット(202)が、前記アンテナ素子(102)により送受信される電磁波を基に前記物体の運動を検知するように構成される、センサ。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ(200)であって、
前記アンテナ素子(102)が、レーダ信号を送信するように構成され、
前記アンテナ素子(102)が、前記物体から前記センサ(200)へ反射するレーダ信号を受信するように構成される、センサ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のセンサ(200)であって、前記センサ(200)が更に、
伝送回路と、
受信回路と
を含み、
前記伝送回路が、前記アンテナ素子(102)の方へ伝送信号を出力するように構成され、
前記受信回路が、前記リフレクタ(104)にて反射して前記アンテナ素子(102)により受信される電磁波を基に、前記センサ(200)に対する前記物体の運動を検知するように構成される、センサ。
【請求項5】
請求項4に記載のセンサ(200)装置であって、
前記伝送回路と前記受信回路とが、集積回路により一体に形成され、前記アンテナ素子(102)と前記集積回路とが、好ましくは一体に形成される、センサ。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載のセンサ(200)であって、
前記アンテナ素子(102)が送信アンテナ及び受信アンテナを含み、
前記送信アンテナが、電磁波、例えばラジオ波を送信するように構成され、
前記受信アンテナが、前記物体にて反射する及び前記リフレクタ(104)にて反射する電磁波、例えばラジオ波を受信するように構成され、
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが、好ましくは、前記センサ(200)の基板(106)上で互いに並んで位置する、センサ。
【請求項7】
物体の運動を検知するためのセンサ(200)を備えた車両(300)であって、
請求項2~6のいずれか1項に記載のセンサ(200)
を含む車両。
【請求項8】
物体の運動を検知するためのセンサ(200)を備えた車両(300)であって、
前記センサ(200)は、物体の運動、例えば車両の使用者の運動を検知するための自動車用センサ(200)であって、
アンテナ装置(100)と、
検出ユニット(202)と
を含み、
前記アンテナ装置(100)は、
電磁波を送受信するように構成されるアンテナ素子(102)と、
前記アンテナ素子(102)から送信される前記電磁波を反射させるように構成されるリフレクタ(104)と、
前記アンテナ素子(102)及び前記リフレクタ(104)がその上に位置決めされる基板(106)と
を含み、
前記検出ユニット(202)が、前記アンテナ素子(102)により送受信される電磁波を基に前記物体の運動を検知するように構成され、
前記基板(106)が、水平方向(Y)及び横方向(X)に沿って延びる主要伸張平面(108)を規定し、
前記リフレクタ(104)及び前記アンテナ素子(102)が両方とも、前記基板(106)の前記主要伸張平面上に位置決めされ、
鉛直方向(Z)が、前記水平方向(Y)及び前記横方向(X)に対して垂直に、従って前記基板(106)の前記主要伸張平面(108)に対して垂直に延び、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が前記鉛直方向(Z)において凹形状(112)を有し、
前記凹形状(112)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化することが引き起こされ、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記水平方向(Y)において空間的に広大化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が、前記水平方向(Y)の中央部が突出した凸形状(110)を有し
前記凸形状(110)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記水平方向(Y)において空間的に広大化することが引き起こされ、
前記センサ(200)が前記車両(300)に、前記車両(300)のトランク(302)の下方で、例えば前記車両(300)のバンパ(304)にて取付けられ、
前記センサ(200)が、キックセンサとして実施され、前記車両(300)の前記トランク(302)の蓋(306)を開放するための使用者の運動を検知するように構成される、車両。
【請求項9】
物体の運動を検知するためのセンサ(200)を備え、自動テールゲートの衝突を防止するための車両(300)であって、
前記センサ(200)は、物体の運動、例えば車両の使用者の運動を検知するための自動車用センサ(200)であって、
アンテナ装置(100)と、
検出ユニット(202)と
を含み、
アンテナ装置(100)は、
電磁波を送受信するように構成されるアンテナ素子(102)と、
前記アンテナ素子(102)から送信される前記電磁波を反射させるように構成されるリフレクタ(104)と、
前記アンテナ素子(102)及び前記リフレクタ(104)がその上に位置決めされる基板(106)と
を含み、
前記検出ユニット(202)が、前記アンテナ素子(102)により送受信される電磁波を基に前記物体の運動を検知するように構成され、
前記基板(106)が、水平方向(Y)及び横方向(X)に沿って延びる主要伸張平面(108)を規定し、
前記リフレクタ(104)及び前記アンテナ素子(102)が両方とも、前記基板(106)の前記主要伸張平面上に位置決めされ、
鉛直方向(Z)が、前記水平方向(Y)及び前記横方向(X)に対して垂直に、従って前記基板(106)の前記主要伸張平面(108)に対して垂直に延び、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が前記鉛直方向(Z)において凹形状(112)を有し、
前記凹形状(112)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化することが引き起こされ、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記水平方向(Y)において空間的に広大化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が、前記水平方向(Y)の中央部が突出した凸形状(110)を有し
前記凸形状(110)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記水平方向(Y)において空間的に広大化することが引き起こされ、
前記センサ(200)が、前記車両(300)の蓋(306)の開放運動を概観するように構成され、
前記センサ(200)は、前記開放運動を受ける前記蓋(306)が、例えば車庫の天井、壁又は柱のような物体に接近しつつあるかどうかを検知するように構成される、車両。
【請求項10】
物体の運動を検知するためのセンサ(200)を備えた車両(300)であって、
前記センサ(200)は、物体の運動、例えば車両の使用者の運動を検知するための自動車用センサ(200)であって、
アンテナ装置(100)と、
検出ユニット(202)と
を含み、
アンテナ装置(100)は、
電磁波を送受信するように構成されるアンテナ素子(102)と、
前記アンテナ素子(102)から送信される前記電磁波を反射させるように構成されるリフレクタ(104)と、
前記アンテナ素子(102)及び前記リフレクタ(104)がその上に位置決めされる基板(106)と
を含み、
前記検出ユニット(202)が、前記アンテナ素子(102)により送受信される電磁波を基に前記物体の運動を検知するように構成され、
前記基板(106)が、水平方向(Y)及び横方向(X)に沿って延びる主要伸張平面(108)を規定し、
前記リフレクタ(104)及び前記アンテナ素子(102)が両方とも、前記基板(106)の前記主要伸張平面上に位置決めされ、
鉛直方向(Z)が、前記水平方向(Y)及び前記横方向(X)に対して垂直に、従って前記基板(106)の前記主要伸張平面(108)に対して垂直に延び、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が前記鉛直方向(Z)において凹形状(112)を有し、
前記凹形状(112)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記鉛直方向(Z)において空間的に狭小化することが引き起こされ、
前記リフレクタ(104)が、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波を前記水平方向(Y)において空間的に広大化するように構成され、
前記リフレクタ(104)が、前記水平方向(Y)の中央部が突出した凸形状(110)を有し
前記凸形状(110)により、前記アンテナ素子(102)により送信される前記電磁波が、前記リフレクタ(104)にて反射すると前記水平方向(Y)において空間的に広大化することが引き起こされ、
前記センサ(200)が、前記車両(300)の内装部に取付けられるのであり、前記車両(300)内部での使用者の運動を検知するように構成される、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を送受信するためのアンテナ装置、物体の運動を検知するための自動車用センサ、物体の運動を検知するためのセンサを備えた車両、及び、センサに対する物体の運動を検知するための方法に向けられる。
【背景技術】
【0002】
レーダアンテナから電磁波を送信し、これらの電磁波を物体の方へ反射させ、追加として、反射する電磁波を同一のレーダアンテナでもって受信するということは一般的な難題である。従って多種多様な異なるリフレクタ及びホーンアンテナが存在するが、アンテナ装置の特定の応用例は、アンテナ装置に対する規定の特別条件を必要とする。更に、近年、自動車分野において、車両の外部又は内部での、車両に対する物体の運動を検知するための、信頼できる及び高感度であるセンサの必要性が増している。これに関連して、以下で詳細に説明するように、本発明者らは、アンテナ装置及び自動車用センサを改良する必要性を確認した。
特許文献1は、レーダシステム内で使用される種類のアンテナを開示している。
特許文献2は、リフレクタ、特に超音波リフレクタを開示している。
特許文献3は、パラボラディッシュと共にパッチアレイアンテナフィードを有するアンテナ構造体を開示している。
特許文献4は、自動車用のパワークロージャ部材システムを開示している。
特許文献5は、車両内のシート占有を検知するためのシステムを開示している。
特許文献6は、自動車上で使用するための、FMミリ波レーダ警報システム用のレーダモジュール及びアンテナ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第3,029,431号
【文献】米国特許第2,480,199号
【文献】米国特許出願公開第2006/092076号
【文献】米国特許出願公開第2018/170309号
【文献】米国特許出願公開第2005/285736号
【文献】米国特許第6,091,363号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態でもって、電磁波を送受信するためのアンテナ装置を改良することを提供する。
【0005】
本発明は独立請求項により規定される。本発明の更なる実施形態及び利点が、従属請求項及び本明細書に組み込まれる。
【0006】
技術用語はその常識の範囲内で使用する。或る用語に対して特定の意図を示唆する場合には、以下でその用語を使用するところにおいて、用語の定義を与えることにする。
【0007】
本発明の第1態様によれば、アンテナ装置は、電磁波を送受信するように構成されるアンテナ素子を含む。更に、アンテナ装置は、アンテナ素子から送信される電磁波を反射させるように構成されるリフレクタを含む。更に、アンテナ装置は、アンテナ素子及びリフレクタがその上に位置決めされる基板を含む。更に、基板は、水平方向及び横方向に沿って延びる主要伸張平面を有する。これは、基板が、水平方向及び横方向に沿って延びる主要伸張平面を規定する表面を有するということを意味する。換言すれば、基板は水平方向及び横方向に沿って延びる主要伸張平面を規定し、この主要伸張平面内部に基板の表面が位置する/配置される。更に、鉛直方向が、水平方向及び横方向に対して垂直に、従って基板の主要伸張平面に対して垂直に延びる。更に、リフレクタは、アンテナ素子により送信される電磁波を鉛直方向において空間的に狭小化するように構成される。
更に、リフレクタは、アンテナ素子により送信される電磁波を水平方向において空間的に広大化するように構成される。
【0008】
この態様の利点として、リフレクタの、特定の幾何学形状又は形態でもって、アンテナ素子により送信される電磁波がこのリフレクタにより、狭めの、しかしそれと同時に広めのコリドー内へ反射するということがある。従って、このリフレクタにより、1方向における電磁波の拡散を狭小化し、同時に他の方向における電磁波の拡散を広大化することによって、送信される電磁波がそれを通って拡散するところのコリドーの調整/適合を改良することができる。
【0009】
これによって、より正確な物体の検知をこのリフレクタでもって達成することができる。このことは、特定のコリドー内での車両に対する運動を検知するための自動車用センサ用にアンテナ装置が使用される際に特に有用である。というのも、リフレクタの空間的狭小化及び水平方向における空間的広大化を、管理されるべきである車両に関して特定のコリドーに合うように調整できるからである。従って検知精度を増すことができる。更に、リフレクタを、アンテナ装置の基板に半田付けすることにより装着でき、これによって、リフレクタと基板との間の電位ギャップから生じ得る外部雑音を低減することが有益なことがある。換言すれば、外部雑音を低減するには、アンテナ装置のリフレクタと基板との間にギャップが存在しないことが有益なことがある。別法として又は追加として、リフレクタはアンテナ装置の基板に、別の接着接合、例えば溶接、接合、及び同等のものにより取付けることができる。
【0010】
換言すれば、アンテナ装置は、電磁波又はレーダを、送信する、送る、及び/又は発生させるように、ならびに、受信する、及び/又は受けるように構成されるアンテナ素子を含む。更に、アンテナ装置は、アンテナ素子から送信される電磁波を反射及び/又は偏向させるためのリフレクタを含むことができる。アンテナ素子は、レーダ波及び/又は電磁波を出力するように構成される任意の素子とすることができる。以下で、用語「電磁波」、「レーダ波」、「レーダ信号」、及び「レーダ」を同意語として使用する。特に、リフレクタは、アンテナ素子から物体の方へ送信される電磁波を反射及び/又は偏向させるように構成される任意の素子とすることができる。更に、アンテナ装置は、アンテナ素子及びリフレクタが互いに向かい合ってその上に位置決めされる、位置する、及び/又は互いに向かい合ってその上に配向される基板を含むことができる。基板は、例えばPCB又は可撓性PCBとすることができる。
【0011】
更に、基板は、水平方向及び横方向に沿って延びる、配向される、のそれぞれである主要伸張平面、特に主要寸法の平面を有する、含む、及び/又は含有することができる。更に、鉛直方向は、水平方向及び横方向に対して垂直に、従って基板の主要伸張平面に対して垂直に延びることができる。本発明に関連して使用するこれらの方向を図2に示す。
【0012】
例として、基板は、100mm×100mm×3mmの寸法を有する。従って、主要伸張平面は、2つの例示的長さが100mmである基板により規定することができるのであり、これによって水平方向及び横方向が形成される。主要伸張平面に対して垂直である鉛直方向は、水平方向及び横方向に対して垂直に配向される。
【0013】
更に、リフレクタは、アンテナ素子により送信される電磁波を鉛直方向において空間的に狭小化する、低減する、及び/又は抑制するように構成される。
更に、リフレクタは、アンテナ素子による電磁波を水平方向において空間的に広大化する、広げる、及び/又は空間的に延ばすように構成される。
【0014】
この実施形態の例において、リフレクタは成形部品であり、この成形部品は、アンテナ素子がその上に位置する基板に接続される。好ましくは、リフレクタは、アンテナ素子がその上に位置する基板に取付けられる。その際、アンテナ素子は電磁波を送信することができ、この電磁波はリフレクタにより物体の方へ反射する。電磁波は、物体に衝突した場合には反射してリフレクタに戻る。更に、アンテナ素子は、物体により反射した電磁波を、リフレクタを介して受信するように構成される。基板及びアンテナ素子に関するリフレクタの配向、及びリフレクタの位置決めは、図1及び図2、ならびに、図の記載の対応する部分から、より詳細に推測することができる。
【0015】
或る実施形態によれば、リフレクタ及びアンテナ素子は、基板の同一平面にて位置決めされる。
【0016】
この実施形態の利点は、リフレクタと基板との間にギャップが位置しないことから外部雑音を低減できる、従ってアンテナ装置の検知の精度が増すことである。換言すれば、リフレクタ及びアンテナは、基板の同一平面内に、及び/又は基板の同一表面上に位置決めされる、及び/又は位置する。例えば、リフレクタ及びアンテナ素子は両方とも、特に互いにずれを有することなく同一平面上に位置することができる。リフレクタ及びアンテナは両方とも、特に前記平面及び/又は表面に関して互いにずれを有することなく基板の同一平面に及び/又は基板の同一表面に取付けられると言うこともできる。この実施形態は、例えば図1及び図4に示す詳細な実施形態から容易に推測することもできる。
【0017】
本発明の第2態様は、物体の運動、例えば車両の使用者の運動を検知するための自動車用センサである。センサは、この前後に記載するようなアンテナ装置を含む。更に、自動車用センサは検知ユニットを含む。検知ユニットは、アンテナ素子により送受信される電磁波を基に物体の運動を検知するように構成される。
【0018】
この態様の利点は、アンテナ装置及び検知ユニットの助けを借りて、物体の運動又は動きに関して特定のコリドー又は視野を自動車用センサにより管理でき、これによって、更なる動作の複数の可能性が可能になるということである。このことは、狭めの、しかしそれと同時に広めのコリドー内へ電磁波を反射させるリフレクタの特定の幾何学形状又は形態でもって、達成することができる。従って、1方向における電磁波の拡散を狭小化し、同時に他の方向における電磁波の拡散を広大化することにより、送信される電磁波がそれを通って拡散するところのコリドーの調整/適合を、このリフレクタにより改良することができる。これによって、このリフレクタでもって、より正確な物体の検知を達成することができる。このことは、特定のコリドー内での車両に対する運動を検知するための自動車用センサ用にアンテナ装置が使用される際に特に有用である。というのも、リフレクタの空間的狭小化及び水平方向における空間的広大化を、管理されるべきである車両に関して特定のコリドーに合うように調整できるからである。
【0019】
換言すれば、自動車用センサは、検知ユニットの助けを借りて、物体の運動及び/又は場所を検知するように構成することができる。検知ユニットは、アンテナ素子により送信される、及び/又は発生する、ならびに受信される電磁波を基に、物体の運動、動きそれぞれを検知及び/又は認識するように構成することができる。
【0020】
或る実施形態によれば、リフレクタは、水平方向において凸形状を有し、好ましくは、水平方向において少なくとも部分的にU形状を有する。更に、凸形状により、アンテナ素子により送信される電磁波が、リフレクタにて反射すると水平方向において空間的に広大化することが引き起こされる。
【0021】
この実施形態は、アンテナ素子により送信される電磁波が水平方向に沿って、より広大化され、より拡散し、のそれぞれであり、従って、自動車用センサにより、広めの又はより幅広の、のそれぞれであるコリドーを管理できるという利点を有することができる。
【0022】
換言すれば、リフレクタは、凸形状を有する、及び/又は含む。特に、リフレクタの、横方向及び水平方向に沿った断面は、リフレクタの凸形状を含む。換言すれば、リフレクタの断面は、鉛直方向に見ると凸形を有する。このことが、水平方向に沿ったU形状につながり得る。更に、凸形状は、アンテナ素子により送信される電磁波が、リフレクタにて反射すると水平方向において空間的に広大化すること及び/又は拡散することを引き起こす、発生させる、及び/又はこのことにつながる。この実施形態を、特に図2及び図3、ならびに対応するそれらの記載を考慮して、以下で、より詳細に説明する。
【0023】
或る実施形態によれば、リフレクタは鉛直方向において凹形状を有する。更に、凹形状により、アンテナ素子により送信される電磁波が、リフレクタにて反射すると鉛直方向において空間的に狭小化することが引き起こされる。
【0024】
この実施形態は、アンテナ素子により電磁波の助けを借りて管理される視野が、凹形状の助けを借りて狭めになる、従って、検知失敗の割合を低減できるという利点を有することができる。
【0025】
換言すれば、リフレクタは、鉛直方向において凹形状を有し、特に、鉛直方向において放物線形状を有する。特に、リフレクタの、横方向及び鉛直方向に沿った断面において、リフレクタは凹形状を有する。換言すれば、リフレクタの断面は、水平方向に見ると凹形状を有する。凹形状は、アンテナ素子により送信される電磁波が、リフレクタにて反射すると鉛直方向において空間的に狭小化及び/又は集束することを引き起こす、発生させる、及び/又はこのことにつながる。更に、リフレクタの凹形状は、アンテナ素子を覆うように延びてもよい。
【0026】
或る実施形態によれば、リフレクタの凹形状は、アンテナ素子寄りに位置する仮想焦点を有する。更に、リフレクタは、水平方向において凸形状であることに起因して、水平方向においてアンテナ素子から離れる方へ曲がる。
【0027】
この実施形態は、物体により反射した電磁波がアンテナ素子の方へ集束し、これによって、反射する電磁波の収率が増すという利点を有することができる。
【0028】
換言すれば、リフレクタの凹形状は、それぞれ、アンテナ素子に向かって、それぞれ配向される、仮想焦点スポット及び/又は主要集束を含む。更に、リフレクタは、水平方向においてアンテナ素子から離れる方へ曲がる構造体を含む、及び/又は、水平方向において凸形状であることに起因して、水平方向においてアンテナ素子から離れる方へ曲がる、及び/又は、水平方向においてアンテナ素子から離れる方へ曲がる構造体を形成する。換言すれば、リフレクタは、水平方向においてアンテナ素子から離れる方へ曲がる構造体を含む、及び/又は形成する、及び/又は、水平方向において凸形状であることに起因して、水平方向においてアンテナ素子から離れる方へ曲がる。
【0029】
或る例示的実施形態によれば、リフレクタはアンテナ装置内に、3mm~10mmの範囲から選択される焦点距離をもつ放物線形状を鉛直方向(Z)において有する。従って、好適な実施形態において、リフレクタの放物線形状、即ちパラボラは、3mm~10mmの焦点距離を有し、別の好適な実施形態では3mm~8mmの焦点距離を有し、別の好適な実施形態では3mm~5mmの焦点距離を有する。放物線形状は、先に言及した範囲を規定する値の焦点距離を包含すると理解されるものとする。従って、放物線形状の焦点距離は3mm、5mm、8mm、又は10mmとすることもできる。
【0030】
本開示に関連して、用語「放物線形状」又は「パラボラ」は、リフレクタが鉛直方向(Z)において、当業者により通常使用される、対応する完全なパラボラの対称線の一方の側に沿って延びることが理解されるものとすることに留意されるべきである。従って、リフレクタは鉛直方向(Z)において、対応する完全なパラボラの対称線の一方の側と同一の曲率を有する。図2に、このような放物線形状を備えたリフレクタの或る実施形態を示す。
【0031】
或る例示的実施形態によれば、リフレクタはアンテナ装置内に、水平方向(Y)においてU形状を有し、U形状は、1mm~10mmの範囲から選択される半径を有する。別の好適な実施形態において、U形状は3mm~8mmの半径を有し、別の好適な実施形態において、U形状は4mm~6mmの半径を有する。U形状は、先に言及した範囲を規定する半径の値を包含するということが理解されるものとする。従って、水平方向におけるU形状の半径は1mm、3mm、4mm、8mm、又は10mmとすることもできる。
【0032】
換言すれば、リフレクタのU形状は、半径が1mm~10mmの間であることにより、及び/又は、凸形状の開放角が0°~90°の間であることにより、規定することができる。本開示に関連して、前記開放角というのは、図3に示すX軸と、リフレクタの裏側にある表面との間の角度であり、裏側というのは、リフレクタの、例えば図1に符号102で示すようなアンテナ素子から離れる方を向く側であると理解されるものとする。従って、開放角が0°であろう場合には、図3に示すリフレクタの裏側の表面の、X軸の上方にある及び下方にある上側部分及び下側部分は、閉じているであろう、即ち近接して整列するであろう。開放角が90°であろう場合には、リフレクタの裏面は真っ直ぐな平面であろう。そういう理由で、値0°及び値90°はこの実施形態の一部にはならない。
【0033】
本発明の或る実施形態によれば、凹形状と凸形状との間の比率は1:2~1:3の間にある。このことは、狭小化と広大化との間の比率をより効率的にでき、従って、反射する電磁波の収率を改良できるという利点につながることがある。
【0034】
或る実施形態によれば、アンテナ素子は、レーダ信号を送信するように構成される。更に、アンテナ素子は、物体からセンサへ反射するレーダ信号を受信するように構成される。この実施形態は、アンテナ素子が、レーダ信号を送受信するという両方の機能を含むことから素子の数が低減されるという利点を有することができる。
【0035】
換言すれば、アンテナ素子は、レーダ信号、電磁波それぞれを送信する、出力する、のそれぞれであるように構成される。更に、アンテナ素子は、物体から反射するレーダ信号を、リフレクタを介して受信するように構成することができる。換言すれば、アンテナ素子が電磁波をリフレクタの方へ送信し、その後、リフレクタが電磁波を物体の方向に配向する。物体が、電磁波を反射させ、リフレクタを介してアンテナ素子に戻す。更に、アンテナ素子はその後、物体を検知することができる。
【0036】
或る実施形態によれば、センサは伝送回路及び受信回路を更に含む。更に、伝送回路は、アンテナ素子の方へ伝送信号を出力するように構成される。更に、受信回路は、リフレクタにて反射してアンテナ素子により受信される電磁波を基に、センサに対する物体の運動を検知するように構成される。
【0037】
この実施形態は、伝送及び受信回路でもって、物体の運動を、特にセンサの視野内の運動を検知できるという利点を有することができる。
【0038】
或る実施形態によれば、伝送回路と受信回路とが、集積回路により一体に形成される。更に、アンテナ素子と集積回路とが、好ましくは一体に形成される。
【0039】
全ての構成要素を一体に、一体鋳造へと、のそれぞれにして形成できることから、この実施形態は、センサにとって必要な空間を更に低減できるという利点を有することができる。
【0040】
或る実施形態によれば、アンテナ素子は送信アンテナ及び受信アンテナを含む。送信アンテナは、電磁波、例えばラジオ波を送信するように構成される。更に、受信アンテナは、物体にて反射する及びリフレクタにて反射する電磁波、例えばラジオ波を受信するように構成される。更に、送信アンテナ及び受信アンテナは、好ましくは、センサの基板上で互いに並んで位置する。
【0041】
送信及び受信アンテナが並んで位置し、このことにより、必要となる空間がより少なくなることから、この実施形態は、必要となる空間が更に低減されるという利点を有することができる。
【0042】
換言すれば、送信アンテナ及び受信アンテナは、両方とも同一基板上に、特に基板の同一表面上に並んで位置する。これに関連して、並んで、というのは、送信アンテナ及び受信アンテナが、互いの隣に、特に互いに隣接して位置するということを意味することができる。
【0043】
本発明の更なる態様によれば、物体の運動を検知するためのセンサを備えた車両が提供される。車両は、この前後に記載するようなセンサを含む。
【0044】
この態様の利点として、リフレクタの、特定の幾何学形状、形態それぞれが、使用者には必要でない車両の機能をトリガし得るであろう動きの誤検知及び誤解釈の減少につながることから、この前後に記載するようなセンサを含む車両は、より使い勝手が良くなるということがある。特に、特定のコリドー内での車両に対する運動を検知するための自動車用センサは、非常に有用なものとなることがある。というのも、リフレクタの空間的狭小化及び水平方向における空間的広大化を、管理されるべきである車両に関して特定のコリドーに合うように調整できるからである。従って検知精度を増すことができる。
【0045】
或る実施形態によれば、センサは車両に、車両のトランクの下方で、例えば車両のバンパにて取付けられる。更に、センサは、キックセンサとして実施され、車両のトランクの蓋を開放するための使用者の運動を検知するように構成される。
【0046】
この実施形態は、リフレクタが特定の形態であるおかげで車両の使用者の運動をより正確に検知できることから、使用者にとっての車両の操作性が改良されるという利点を有することができる。
【0047】
換言すれば、センサは、車両のトランクの隣に、特に車両のバンパにて取付けられる、及び/又は位置決めされる。更に、センサは、車両のトランクの蓋の開放及び/又は閉鎖を表示/始動できるキックセンサとして実施することができ、使用者の運動を検知するように構成することができる。例えば、使用者が、車両のトランクに接近し、キックセンサの真下で自分の足を運動させ、これによってトランクの蓋の開放行為を開始することができる。別の構想では、トランクの蓋は既に開放されており、キックセンサをトリガすることによりトランクの蓋が自動的に閉鎖する。
【0048】
或る実施形態によれば、センサは、車両の蓋の開放運動を概観するように構成される。更に、センサは、開放運動を受ける蓋が、例えばキャリッジの天井又は壁のような物体に接近しつつあるかどうかを検知するように構成される。
【0049】
この実施形態は、車両の使用者の負担が更に軽減されることから、車両の操作性が更に改良されるという利点を有することができる。
【0050】
換言すれば、センサは、車両の蓋の開放、閉鎖運動それぞれを概観及び/又は監視するように、特に自動テールゲートの衝突を防止するように構成することができる。センサは、開放及び/又は閉鎖運動を受ける、それぞれ実行する、蓋が、物体に接近する及び/又は近づくかどうかを検知及び/又は管理するように構成することができる。物体とは、トランクの蓋の近くにある任意の物体、例えばキャリッジの天井、壁又は柱のようなものとすることができる。更に、蓋とセンサとの間にある任意の物体を、センサ装置の助けを借りて検知することができ、これによって蓋の閉鎖運動が改良される。
【0051】
或る実施形態によれば、センサは、車両の内装部に取付けられるのであり、車両内部での使用者の運動を検知するように構成される。
【0052】
この実施形態は、センサを車両内部に設置することにより車両の使用者用の更なる入力手段が提供され、これによって車両の操作性が改良されるという利点を有することができる。
【0053】
換言すれば、センサは、車両内部での使用者の運動、特に挙動を検知し確認できるように、車両内部に位置させることができる。別の好効果として、例えば、盗難防止システムと組み合わせて、センサの助けを借りて、車の外部の人の運動を検知できることがある。
【0054】
或る実施形態によれば、センサは、車両内部の物体を検知するように構成される。その際、このような或る実施形態において、それが人であるのか物体であるのかを、センサのプロセッサ又は計算ユニットが判定することができる。換言すれば、プロセッサ/計算ユニットは、車両内部に存在していることがセンサにより検知される人と物体との間を区別するように構成することができる。従って、この実施形態では、使用者と物体の両方を検知できることに留意することが重要である。
【0055】
更に、本明細書において提示するセンサが車両内部の動きを検知する際、この検知を、幾つかの使用事例に、例えば子供の存在検知、盗難警報、及びシートベルトの合図等に使用することができる。従って、この実施形態では、センサは、盗難の検知を表示する警報信号を発生させるように構成することができるのであり、信号はセンサが盗難事象を検知した後に発生する。別の実施形態において、センサは、使用者にシートベルトを閉めることを注意喚起する警報信号を発生させるように構成することができるのであり、信号は、センサが車両内部に人の存在を検知した後、シートベルトが未だ閉められていない場合に発生する。
【0056】
車両内部の使用者及び物体を検知することが1つの使用事例であり、他の使用事例としては、車両外部の運動を検知するということがある。従って、別の例示的実施形態によれば、外部範囲を網羅するために、センサは車両/車の周りに設置される。
【0057】
或る実施形態において、そのセンサは、ドアハンドル内に、好ましくは保護素子のようなものの後方、例えばプラスチックカバーの後方に位置する。このようにして、センサは、侵入する又は同様の潜在的な意図でもって車両外部で運動する人がいるかどうかを検知することになる。
【0058】
別の例示的実施形態によれば、センサは、物体及び/又は人を検知した際に警報信号又は制御信号を発生させるように構成される。好適な実施形態において、センサにより発生する制御信号により、車のランプを点灯させることができるであろう、及び/又は、内部カメラに記録を開始させることができる。
【0059】
本発明の更なる態様として、車両のセンサに対する物体の運動を検知するための方法がある。この方法は、アンテナ素子及びリフレクタがその上に位置する基板を含むアンテナ装置をセンサに提供するステップを含む。更に、基板は、水平方向及び横方向に沿って延びる主要伸張平面を有する。更に、鉛直方向が、水平方向及び横方向に対して垂直に、従って基板の主要伸張平面に対して垂直に延びる。更に、この方法は、センサのアンテナ素子から電磁波を送信するステップを含む。更に、この方法は、アンテナ素子から送信される電磁波をセンサのリフレクタにより反射させ、これによって、アンテナ素子により送信される電磁波を鉛直方向において狭小化し、アンテナ素子により送信される電磁波を水平方向において空間的に広大化をもするステップを含む。更に、システムは、物体により反射した電磁波をセンサのリフレクタにてアンテナ素子の方へ反射させるステップを含む。更に、この方法は、リフレクタにて反射する電磁波をセンサのアンテナ素子により受信するステップを含む。更に、この方法は、アンテナ素子により受信される電磁波を基に、車両のセンサに対する物体の運動を検知するステップを含む。
【0060】
この実施形態の利点として、この方法でもって、特定の幾何学形状、形態それぞれであるセンサのリフレクタの助けを借りてセンサの効率を改良できるということがある。これによって、使用者には必要でない車両の機能をトリガし得るであろう動きの誤検知及び誤解釈の減少を達成することができる。特に、この方法でもって、特定のコリドー内での車両に対する運動の検知を改良することができる。というのも、リフレクタの、鉛直方向における空間的狭小化及び水平方向における空間的広大化を、管理されるべきである車両に関して特定のコリドーに合うように調整できるからである。従って検知精度を増すことができる。
【0061】
換言すれば、その基板上に両方とも位置するアンテナ素子とリフレクタとを含む、及び/又はアンテナ素子とリフレクタとから成るセンサが提供される。基板の表面に関して水平方向及び横方向が規定される。水平方向及び横方向に対して垂直に鉛直方向が提供されるが、この鉛直方向は、主要伸張平面及び/又は基板の表面に対しても垂直である。この方法は、センサのアンテナ素子から電磁波を送信する及び/又は発生させるステップを含む。この方法は、センサのアンテナ素子のリフレクタにより電磁波を反射させる、偏向させる、のそれぞれであるステップであって、これによって、視野が、鉛直方向において、より空間的に狭小化されるように、ならびに、リフレクタの視野が、水平方向に沿って、空間的に広大化される及び/又は幅広になるようにも、電磁波を変更及び/又は改変するステップを含む。更に、この方法は、或る物体により反射した電磁波をリフレクタでもって反射及び/又は偏向させるステップを含む。更に、この方法は、リフレクタによりアンテナ素子の方へ反射する電磁波を受信する、収集する、のそれぞれであるステップを含むことができる。更に、この方法は、アンテナ素子により受信された電磁波を基に、車両のセンサに対する物体の運動を検知、管理、及び/又は発見するステップを含むことができる。
【0062】
本発明の別の態様として、この前後に記載するような、運動検知用のアンテナ装置の使用がある。
【0063】
本発明の任意の態様に関して本明細書で記載するような全ての開示は、本発明の他の態様全てに等しく当てはまる。以下で、図を参照して本発明の例及び実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】本発明の或る実施形態によるアンテナ装置を示す。
図2】本発明の或る実施形態によるリフレクタを示す。
図3】本発明の或る実施形態によるリフレクタを示す。
図4】本発明の或る実施形態による自動車用センサを示す。
図5】本発明の或る実施形態による自動車用センサを示す。
図6】本発明の或る実施形態による車両を示す。
図7】本発明の或る実施形態による方法を図説する線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、電磁波を例えばレーダ信号として送受信するためのアンテナ素子102を含むアンテナ装置100を示す。更に、アンテナ装置100は、アンテナ素子102から送信される電磁波を反射させるためのリフレクタ104を含む。更に、アンテナ装置100は、アンテナ素子102及びリフレクタ104がその上に位置決めされる基板106を含む。特に、アンテナ素子102及びリフレクタ104は基板106の表面120に取付けられる。更に、基板106は、水平方向Y及び横方向Xに沿って延びる主要伸張平面108を有する。更に、鉛直方向Zが、水平方向Y及び横方向Xに対して垂直に、従って基板106の主要伸張平面108に対して垂直に延びる。換言すれば、鉛直方向Zは、基板106の表面120に対して垂直に配向される。
【0066】
更に、リフレクタ104は、アンテナ素子102により送信される電磁波を鉛直方向Zにおいて空間的に狭小化するように構成される。追加として、リフレクタ104は、アンテナ素子102により送信される電磁波を水平方向Yにおいて空間的に広大化するように構成される。
【0067】
この実施形態の利点として、リフレクタ104の、特定の幾何学形状、形態/形状それぞれでもって、アンテナ素子102により送信される電磁波が、リフレクタ104により、狭めの、しかしそれと同時に広めのコリドー内へ反射するということがある。従って、送信される電磁波がそれを通って拡散するところのコリドーの調整/適合を、リフレクタ104により改良することができる。これによって、リフレクタ104でもって、物体をより正確に検知することを達成することができる。このことは、特定のコリドー内での車両300に対する運動を検知するための自動車用センサ用にアンテナ装置100が使用される際に特に有用である。というのも、リフレクタ104により達成される、鉛直方向Zにおける空間的狭小化及び水平方向Yにおける空間的広大化を、管理されるべきである車両300に関して特定のコリドーに合うように調整できるからである。従って検知精度を増すことができる。更に、リフレクタ104を、アンテナ装置100の基板106に半田付けすることにより装着でき、これによって、リフレクタ104と基板106との間の電位ギャップから生じ得る外部雑音を低減することが有益なことがある。
【0068】
図1に見ることができるように、アンテナ装置100は基板106を含む。基板はPCB又は同様のものとすることができる。基板106の表面120上にアンテナ素子102が位置する。水平方向Y及び横方向Xは、両方とも基板106の表面120上にある方向であり、表面120の平面内で互いに対して垂直に位置する。基板106の表面120上には、更に、リフレクタ104が位置する。更に、鉛直方向Zが、水平方向Y及び横方向Xに対して垂直に延びる。換言すれば、鉛直方向Zは基板106の表面120に対して垂直に配向される。特に、リフレクタ104は、アンテナ素子102により送信することのできる電磁波を鉛直方向Zにおいて空間的に狭小化するように構成される。更に、リフレクタ104は、アンテナ素子102により送信される電磁波を水平方向Yにおいて空間的に広大化するように構成される。図2及び図3を考慮して説明することにするように、このことは、リフレクタの凸形の形態110及び凹形の形態112の助けを借りて達成することができる。
【0069】
図2はリフレクタ104を示す。図2に見ることができるように、リフレクタ104は、アンテナ素子102により送信される電磁波を鉛直方向Zにおいて空間的に狭小化するように構成される凹形状及び/又は放物線形状112を含む。空間的狭小化は、鉛直方向Zにおけるリフレクタ104の凹形状及び放物線形状112により達成される。凹形状及び/又は放物線形状112は、リフレクタ104の断面図を介して記載することができる。断面は、リフレクタ104を通る横方向X及び鉛直方向Zに沿って規定される。従って、図2において断面はXZ平面内に位置する。リフレクタ104の放物線形状112の焦点114(図5参照)が、図2には図説しないアンテナ素子102の方へ向けられる。従って、図2に関して言えば、焦点はリフレクタ104の左側に位置決めされるであろう。リフレクタ104の凹形状及び/又は放物線形状112の助けを借りて、アンテナ素子102により送信される電磁波は空間的に狭小化される。換言すれば、リフレクタ104の凹形状及び/又は放物線形状112に起因して、電磁波の拡散が、鉛直方向Zにおいて空間的に狭小化される。これによって、リフレクタ104でもって電磁波がそれに集束される特定の領域を、凹形状及び/又は放物線形状112に依存して規定することができる。図2に見ることができるように、リフレクタ104は水平方向Yの軸の周りで曲がる。このことが、アンテナ素子102に関する、リフレクタ104の凹形状及び/又は放物線形状112につながる。前で説明したように、本開示に関連して、用語「放物線形状」又は「パラボラ」とは、リフレクタ104が鉛直方向Zにおいて、当業者により通常使用される、対応する完全なパラボラの対称線の一方の側に沿って延びるようなものであると理解されるものとすることに留意されるべきである。従って、リフレクタ104は鉛直方向Zにおいて、対応する完全なパラボラの対称線の一方の側と同一の曲率を有する。図2には、このような放物線形状112を備えたリフレクタ104の或る実施形態を示す。
【0070】
図3に見ることができるように、リフレクタ104は水平方向Yにおいて、アンテナ素子102により送信される電磁波を広大化するための凸形状110を有する。図3のリフレクタ104は、図1に示す構造物の基板の下方にある視点から示す。ただし図1で図説する基板は示さない。凸形状110は、水平方向Y及び横方向Xの軸に沿ってリフレクタ104を通る断面図により記載することができる。換言すれば、断面は図3のXY平面内に位置する。図3に見ることができるように、リフレクタ104は、リフレクタの凸形状110がアンテナ素子102の方へ向けられるように鉛直方向Zの周りで曲がる。特に、凸形状110の曲率度は、センサ200の助けを借りて管理されるべきである領域に適合させることができる。図3のリフレクタ104は、0°~90°の間の凸形状の開放角により規定することのできる略U形状を有する。前記開放角とは、本開示に関連して、図3に示すようなX軸と、リフレクタ104の裏側にある表面との間の角度のことであり、裏側とは、リフレクタ104の、例えば図1に符号102で示すようなアンテナ素子から離れる方を向く側であるということが理解されるものとする。従って、開放角が0°であろう場合には、図3に示すリフレクタの裏側の表面の、X軸の上方にある及び下方にある上側部分及び下側部分が閉じているであろう、即ち近接して整列するであろう。開放角が90°であろう場合には、リフレクタ104の裏面は、図3の水平方向Xの軸に対して略垂直に配向される真っ直ぐな平面であろう。
【0071】
図4は、自動車用センサ200の或る実施形態を示す。自動車用センサ200は、アンテナ素子102により送受信される電磁波を基に物体の運動を検知するように構成される検知ユニット202を含む。アンテナ装置100は、自動車用センサ200内部に位置するリフレクタ104を含む。図4に見ることができるように、リフレクタ104は、アンテナ素子102により送信される電磁波が空間的に狭小化することを引き起こす凹形状112を有する。
【0072】
センサ200は、伝送回路及び受信回路を更に含む。これらの回路は、図には示さないがアンテナ素子102に電気接続される。更に、伝送回路は、アンテナ素子102の方へ伝送信号を出力するように、好ましくはレーダ信号を生成するように構成される。更に、受信回路は、リフレクタ104にて反射しアンテナ素子102により受信される電磁波を基に、センサ200に対する物体の運動を検知するように構成される。伝送回路及び受信回路は、集積回路により一体に形成することができるが、別の実施形態では個別のユニットとして提供することができる。更に、アンテナ素子102と集積回路とは、好ましくは一体に形成される。
【0073】
図5は自動車用センサ200を示し、このセンサは、蓋204と、センサ200の外殻を形成するレドーム208とを含む。更に、センサ200は、基板106と相互接続される電気コネクタ206を含む。基板106上にはアンテナ素子102とリフレクタ104とが位置し、リフレクタ104は、焦点114を有するその凹形状112に起因して、アンテナ素子102を覆うように少なくとも部分的に突出する。リフレクタ104は、焦点114を生成するように構成される。リフレクタ104は、電磁波を鉛直方向Zにおいて狭小化するための凹形状112を含む。更に、アンテナ素子102により送信される電磁波を空間的に広大化するために、リフレクタ104は水平方向において凸形状110を有する。更に、基板106は主要伸張平面108を含む。鉛直方向Zは主要伸張平面108に対して垂直に位置する。
【0074】
図6は車両300を示す。車両はトランク302を含む。トランク302は蓋306を含み、蓋は車両300のバンパ304の上方に位置する。センサ装置200は、バンパ304内部に位置させることができる。例えば、使用者がバンパ304の真下で自分の足を運動させることができ、センサ装置200が使用者の運動を検知することができる。その際、センサ装置200は車両300と組み合わさって蓋306用の開放機構をトリガすることができる。更に、センサ装置200は、蓋306用の閉鎖機構をトリガする第2の運動を検知することができる。
【0075】
図7は、或る実施形態による方法400のステップを図説するフローチャートを示す。方法400は、アンテナ素子102及びリフレクタ104がその上に位置する基板106を含むアンテナ装置100をセンサに提供するステップS1を含む。更に、方法400は、アンテナ素子102から電磁波を送信するステップS2を含む。更に、方法400は、アンテナ素子102から送信される電磁波を反射させるステップS3を含む。更に、方法400は、アンテナ素子102により送信される電磁波を鉛直方向Zにおいて空間的に狭小化するステップS4を含む。更に、方法400は、アンテナ素子102により送信される電磁波を水平方向Yにおいて空間的に広大化するステップS5を含む。更に、方法400は、物体により反射した電磁波をセンサ200のリフレクタ104にてアンテナ素子102の方へ反射させるステップS6を含む。更に、方法400は、電磁波を受信するステップS7を含む。更に、方法400は、車両300のセンサ200に対する物体の運動を検知するステップS8を含む。
【符号の説明】
【0076】
100 アンテナ装置
102 アンテナ素子
104 リフレクタ
106 基板
108 主要伸張平面
110 凸形状
112 凹形状
200 自動車用センサ
202 検知ユニット
300 車両
302 トランク
304 バンパ
306 蓋
400 方法
S1 提供するステップ
S2 送信するステップ
S3 反射させるステップ
S4 狭小化するステップ
S5 広大化するステップ
S6 反射させるステップ
S7 受信するステップ
S8 検知するステップ
X 横方向
Y 水平方向
Z 鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7