(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】電池、電力消費装置及び電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20240628BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240628BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/262 S
H01M50/291
(21)【出願番号】P 2022561164
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2020135942
(87)【国際公開番号】W WO2022120848
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 孝智
(72)【発明者】
【氏名】姚 ▲鵬▼程
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044581(WO,A1)
【文献】特開2013-051100(JP,A)
【文献】特表2020-535616(JP,A)
【文献】特表2020-524888(JP,A)
【文献】特開2016-192520(JP,A)
【文献】特表2018-520475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、
筐体と、
前記筐体内に設置され、電池セル配列構造と、端板とを含み、前記電池セル配列構造は第1方向に沿って積層して設置された複数の電池セルを含み、前記端板は前記筐体の内壁と前記電池セル配列構造との間に設置され、前記端板は前記電池セル配列構造に固定して接続される電池モジュールと、を含み、
前記端板は第1弾性支持部を含み、前記第1弾性支持部は、前記電池セル配列構造が膨張したときに前記筐体の内壁に当接し、且つ前記電池セル配列構造により押出変形されて、前記電池セル配列構造に膨張空間を提供するように構成され
、
前記電池モジュールは前記筐体と締まり嵌めされ、前記第1弾性支持部は、弾性変形を発生させることにより前記第1方向における締まり量を吸収するように構成される電池。
【請求項2】
前記筐体は第1壁と、第2壁とを含み、前記第2壁は前記第1壁に接続されて上方に延在し、前記電池モジュールは前記第1壁の上方に位置し、前記端板は前記第2壁と前記電池セル配列構造との間に設置され、
前記第1弾性支持部は、前記電池セル配列構造が膨張したときに前記第2壁に当接し、且つ前記電池セル配列構造により押出変形されるように構成される請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1弾性支持部の少なくとも一部は前記第2壁に向かって上方に傾斜して延在する請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記端板は端板本体をさらに含み、前記端板本体は、前記電池セル配列構造に向かう第1面と、前記電池セル配列構造から離れる第2面とを含み、前記第1弾性支持部は前記第2面に設けられる請求項2に記載の電池。
【請求項5】
前記第1弾性支持部の水平面における正投影は長尺形状であり、前記長尺形状の一方の長辺が位置する面は前記第2面に接続され、前記長尺形状の他方の長辺が位置する面は前記第2壁に当接することに用いられる請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記第1弾性支持部は複数であり、複数の前記第1弾性支持部は上下方向に沿って前記第2面に間隔をあけて配置される請求項4に記載の電池。
【請求項7】
前記第1弾性支持部は複数であり、複数の前記第1弾性支持部は前記第2面上に矩形アレイ状に配置される請求項4に記載の電池。
【請求項8】
前記筐体は一対の前記第2壁を含み、一対の前記第2壁は前記第1方向に沿って対向して設置され、前記電池セル配列構造が膨張していないときに、前記第1弾性支持部は前記第2壁に当接して、前記電池モジュールの前記第1方向における位置決めを実現する請求項2に記載の電池。
【請求項9】
前記筐体は一対の第3壁をさらに含み、前記一対の第3壁はいずれも前記第1壁に接続されて上方に延在し、前記一対の第3壁は第2方向に沿って対向して設置され、前記第2方向は前記第1方向と交差し、
前記端板は第2弾性支持部をさらに含み、前記第2弾性支持部は、前記第3壁に当接して、前記電池モジュールの前記第2方向における位置決めを実現することに用いられる請求項2に記載の電池。
【請求項10】
前記電池モジュールは前記筐体と締まり嵌めされ、前記第2弾性支持部は、弾性変形を発生させることにより前記第2方向における締まり量を吸収するように構成される請求項
9に記載の電池。
【請求項11】
前記端板は端板本体をさらに含み、前記第2弾性支持部は前記端板本体の前記第2方向の対向する両側に設けられる請求項
9に記載の電池。
【請求項12】
前記第2弾性支持部の少なくとも一部は前記端板本体から前記第3壁に向かって上方に延在する請求項
11に記載の電池。
【請求項13】
前記第2弾性支持部は第1部分と、第2部分とを含み、前記第1部分は前記端板本体から前記第3壁に向かって上方に傾斜して延在し、前記第2部分は前記第1部分の前記端板本体から離れる端から上方に延在し、前記第2部分は前記第3壁に当接することに用いられる請求項
11に記載の電池。
【請求項14】
前記端板は案内部をさらに含み、前記案内部は前記端板本体の前記第2方向の対向する両側に設けられ、前記案内部は前記第2弾性支持部の下方に位置し、前記案内部は案内斜面を有し、前記案内斜面は前記端板が前記筐体に装入されるときに案内することに用いられる請求項
11に記載の電池。
【請求項15】
前記案内部と前記第3壁との間に隙間がある請求項
14に記載の電池。
【請求項16】
前記電池セル配列構造の下端は前記第1壁に取り付けられ、前記端板の下端と前記第1壁には隙間がある請求項2に記載の電池。
【請求項17】
請求項1~
16のいずれか1項に記載の電池を含む電力消費装置。
【請求項18】
電池の製造方法であって、
筐体を提供するステップと、
電池モジュールを提供するステップであって、該電池モジュールは電池セル配列構造と、端板とを含み、前記電池セル配列構造は
第1方向に沿って互いに積層された複数の電池セルを含み、前記端板は前記電池セル配列構造に固定して接続され、前記端板は第1弾性支持部を含み、前記第1弾性支持部は、前記電池セル配列構造が膨張したときに前記筐体の内壁に当接し、且つ前記電池セル配列構造により押出変形されて、前記電池セル配列構造に膨張空間を提供するように構成され
、前記電池モジュールは前記筐体と締まり嵌めされ、前記第1弾性支持部は、弾性変形を発生させることにより前記第1方向における締まり量を吸収するように構成されるステップと、
前記端板が前記筐体の内壁と前記電池セル配列構造との間に位置するように、前記電池モジュールを前記筐体内に装着するステップと、を含む電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、具体的に電池、電力消費装置及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、電池の電池モジュールと筐体とはボルトでロックされることにより、電池モジュールと筐体との間に剛性接続が形成されている。電池モジュールの膨張過程で、筐体は膨張力の作用下で変形して、電池ケースが変形して輪郭寸法が大きくなり、電池の組立及び使用寿命に影響する可能性がある。また、電池セルは膨張過程で筐体の内壁により押出され、リチウム析出の現象が発生し、電池の容量が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の実施例の目的は、電池、電力消費装置及び電池の製造方法を提供することである。該電池では、電池モジュールに膨張空間を提供でき、筐体が変形しにくくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1態様では、筐体と、電池モジュールとを含み、前記電池モジュールは前記筐体内に設置され、前記電池モジュールは電池セル配列構造と、端板とを含み、前記電池セル配列構造は第1方向に沿って積層して設置された複数の電池セルを含み、前記端板は前記筐体の内壁と前記電池セル配列構造との間に設置され、前記端板は前記電池セル配列構造に固定して接続され、前記端板は第1弾性支持部を含み、前記第1弾性支持部は、前記電池セル配列構造が膨張したときに前記筐体の内壁に当接し、且つ前記電池セル配列構造により押出変形されて、前記電池セル配列構造に膨張空間を提供するように構成される本願の実施例は電池を提供する。
【0005】
上記技術的解決手段では、第1弾性支持部は、自体の変形により膨張空間を提供し、変形が確実であり、電池セル配列構造に膨張空間を適時に提供し、すなわち電池モジュールに膨張空間を提供して、電池セル配列構造の膨張力を解放することができ、該膨張力に起因する筐体の変形の可能性を低下させ、また、膨張力を解放することにより、筐体の内壁と端板との間の押出力が大きすぎることに起因して電池セルのリチウム析出が発生する可能性を低下させることができ、電池の通常の動作に寄与する。
【0006】
選択可能に、前記筐体は第1壁と、第2壁とを含み、前記第2壁は前記第1壁に接続されて上方に延在し、前記電池モジュールは前記第1壁の上方に位置し、前記端板は前記第2壁と前記電池セル配列構造との間に設置され、前記第1弾性支持部は、前記電池セル配列構造が膨張したときに前記第2壁に当接し、且つ前記電池セル配列構造により押出変形されるように構成される。
【0007】
上記技術的解決手段では、端板と筐体の第2壁との間には電池セル配列構造に膨張空間を提供し、電池モジュールの筐体の第2壁に対する押出力を低下させることができる。
【0008】
選択可能に、前記第1弾性支持部の少なくとも一部は前記第2壁に向かって上方に傾斜して延在する。
【0009】
上記技術的解決手段では、端板が押出されるときに、第1弾性支持部は傾斜角度を有するため、第1弾性支持部は第2壁により押出されるときにより変形しやすくなり、電池セル配列構造に膨張空間を適時に提供することができる。
【0010】
選択可能に、前記端板は端板本体をさらに含み、前記端板本体は、前記電池セル配列構造に向かう第1面と、前記電池セル配列構造から離れる第2面とを含み、前記第1弾性支持部は前記第2面に設けられる。
【0011】
上記技術的解決手段では、第2面は端板本体の大面であり、第1弾性支持部の設置が容易である。また、第2面が大面であるため、より多くの第1弾性支持部の配置が容易であり、電池セル配列構造の膨張力を分散させ、押出力が集中することに起因して電池セルが押出されてリチウム析出が発生する可能性を低下させるのに寄与する。
【0012】
選択可能に、前記第1弾性支持部の水平面における正投影は長尺形状であり、前記長尺形状の一方の長辺が位置する面は前記第2面に接続され、前記長尺形状の他方の長辺が位置する面は前記第2壁に当接して、端板の長さ方向に電池セル配列構造の膨張力を分散させることに用いられる。
【0013】
選択可能に、前記第1弾性支持部は複数であり、複数の前記第1弾性支持部は上下方向に沿って前記第2面に間隔をあけて配置され、膨張力を均一に分散させ、電池セル配列構造端板との接触面における各箇所の受力の一致性を向上させ、電池セルの受力の一致性を向上させるのに寄与する。
【0014】
選択可能に、前記第1弾性支持部は複数であり、複数の前記第1弾性支持部は前記第2面上に矩形アレイ状に配置され、電池セル配列構造の端板上に伝達された膨張力を均一に分散させて、さらに電池セル配列構造の各箇所の受力の一致性を向上させ、電池セルの受力の一致性を向上させるのに寄与する。
【0015】
選択可能に、前記筐体は一対の前記第2壁を含み、一対の前記第2壁は前記第1方向に沿って対向して設置され、前記電池セル配列構造が膨張していないときに、前記第1弾性支持部は前記第2壁に当接して、前記電池モジュールの前記第1方向における位置決めを実現する。
【0016】
上記技術的解決手段では、電池モジュールが筐体内に装着されると、第1弾性支持部は、電池モジュールの第1方向の装着や位置決めを行い、第1方向における電池モジュールの装着の信頼性を確保する。
【0017】
選択可能に、前記電池モジュールは前記筐体と締まり嵌めされ、前記第1弾性支持部は、弾性変形を発生させることにより前記第1方向における締まり量を吸収するように構成される。
【0018】
上記技術的解決手段では、電池セル配列構造が膨張していないときに、第1弾性支持部は第2壁に当接ししており、変形状態にある。このような構成は、上記言及された、電池モジュールの第1方向の装着や位置決めを行えることに加えて、さらに少なくとも以下の2つの利点を有し、第1には、電池モジュールが所定の位置に組み立てられると、第1弾性支持部は、電池モジュールに第1方向の組立余裕を提供することにより、電池モジュールの第1方向における寸法誤差を第1弾性支持部の変形により相殺することができ、例えば、電池モジュールの第1方向における寸法が筐体の対応する方向における装着寸法よりも大きいとき、第1弾性支持部の変形により、電池モジュールを筐体内にスムーズに装入することを実現できる。従って、電池モジュールの第1方向における加工及び組立精度に対する要件を低減させる。第2には、電池モジュールが所定の位置に組み立てられると、第1弾性支持部が変形した状態にあるため、第2壁の反作用力を電池セル配列構造に伝達することができる。電池セルは所定の大きさの圧力を受け、電池セルの内部の陽極板と陰極板との界面の良好な接触を確保するのに寄与する。
【0019】
選択可能に、前記筐体は一対の第3壁をさらに含み、前記一対の第3壁はいずれも前記第1壁に接続されて上方に延在し、前記一対の第3壁は第2方向に沿って対向して設置され、前記第2方向は前記第1方向と交差し、前記端板は第2弾性支持部をさらに含み、前記第2弾性支持部は、前記第3壁に当接して、前記電池モジュールの前記第2方向における位置決めを実現することに用いられる。
【0020】
上記技術的解決手段では、電池モジュールが筐体に装着されると、第2弾性支持部は第3壁に当接して、電池モジュールの第2方向の装着や位置決めを行い、第2方向における電池モジュールの装着の信頼性を確保する。
【0021】
選択可能に、前記電池モジュールは前記筐体と締まり嵌めされ、前記第2弾性支持部は、弾性変形を発生させることにより前記第2方向における締まり量を吸収するように構成される。
【0022】
上記技術的解決手段では、電池セル配列構造が膨張していないときに、第2弾性支持部は第3壁に当接しており、変形状態にある。このような構成は、上記言及された、電池モジュールの第2方向の装着や位置決めを行えることに加えて、さらに少なくとも以下の2つの利点を有し、第1には、電池モジュールが所定の位置に組み立てられると、第2弾性支持部は、電池モジュールに第2方向の組立余裕を提供する。これにより、電池モジュールの第2方向における寸法誤差を第2弾性支持部の変形により相殺することができ、例えば、電池モジュールの第2方向における寸法が筐体の対応する方向における装着寸法よりも大きいとき、第2弾性支持部の変形により、電池モジュールを筐体内にスムーズに装入することを実現できる。従って、電池モジュールの第2方向における加工及び組立精度に対する要件を低減させる。第2には、電池モジュールが所定の位置に組み立てられると、第2弾性支持部が変形した状態にあるため、第3壁の反作用力を電池セル配列構造に伝達することができる。電池セルは所定の大きさの圧力を受け、電池セルの内部の陽極板と陰極板との界面の良好な接触を確保するのに寄与する。
【0023】
選択可能に、前記端板は端板本体をさらに含み、前記第2弾性支持部は前記端板本体の前記第2方向の対向する両側に設けられる。
【0024】
選択可能に、前記第2弾性支持部の少なくとも一部は前記端板本体から前記第3壁に向かって上方に延在する。
【0025】
上記技術的解決手段では、第2弾性支持部の上方に延在する部分は第3壁に当接して、第2弾性支持部と第3壁の装着や位置決めを実現することができ、且つ、第2弾性支持部は上方に傾斜して延在し、第2弾性支持部が第3壁により押出変形されるのに寄与する。
【0026】
選択可能に、前記第2弾性支持部は第1部分と、第2部分とを含み、前記第1部分は前記端板本体から前記第3壁に向かって上方に傾斜して延在し、前記第2部分は前記第1部分の前記端板本体から離れる端から上方に延在し、前記第2部分は前記第3壁に当接することに用いられる。
【0027】
上記技術的解決手段では、第1部分は上方に傾斜して設置され、所定の案内の役割を果たすことができる。第2部分は上下方向に沿って延在し、第3壁との面接触を形成でき、両方の押出嵌合に寄与する。且つ、第2部分と端板本体との間に隙間があり、第2部分と第3壁の押出時の変形に寄与する。
【0028】
選択可能に、前記端板は案内部をさらに含み、前記案内部は前記端板本体の前記第2方向の対向する両側に設けられ、前記案内部は前記第2弾性支持部の下方に位置し、前記案内部は案内斜面を有し、前記案内斜面は前記端板が前記筐体に装入されるときに案内することに用いられる。
【0029】
選択可能に、前記案内部と前記第3壁との間に隙間があり、案内部が第2弾性支持部の通常の動作に影響するのを回避し、
選択可能に、前記電池セル配列構造の下端は前記第1壁に取り付けられ、前記端板の下端と前記第1壁には隙間があり、電池セル配列構造と第1壁との接触を確保する。
【0030】
第2態様では、本願の実施例は、本願の実施例の第1態様に記載の電池を含む電力消費装置を提供する。
【0031】
第3態様では、本願の実施例は、
筐体を提供するステップと、電池モジュールを提供するステップであって、該電池モジュールは電池セル配列構造と、端板とを含み、前記電池セル配列構造は互いに積層された複数の電池セルを含み、前記端板は前記電池セル配列構造に固定して接続され、前記端板は第1弾性支持部を含み、前記第1弾性支持部は、前記電池セル配列構造が膨張したときに前記筐体の内壁に当接し、且つ前記電池セル配列構造により押出変形されて、前記電池セル配列構造に膨張空間を提供するステップと、
前記端板が前記筐体の内壁と前記電池セル配列構造との間に位置するように、前記電池モジュールを前記筐体内に装着するステップと、を含む電池の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例で使用される必要がある図面を簡単に説明し、理解されるように、以下の図面は、本願のいくつかの実施例のみを示すものであるため、範囲を限定するものとみなされるべきではなく、当業者であれば、創造的労働を必要とせずに、さらにこれらの図面に基づいて他の関連する図面を取得することができる。
【0033】
【
図2】本願の一実施例に係る電池の分解模式図である。
【
図3】本願の一実施例に係る電池の分解模式図であり、上部カバーが示されていない。
【
図4】本願の一実施例に係る電池の左側模式図である。
【
図5】
図4におけるA-A線に沿った断面模式図である。
【
図7】本願の一実施例に係る端板の第1方向に沿った断面模式図である。
【
図8】本願の一実施例に係る端板の斜視構造模式図である。
【
図9】本願の一実施例に係る端板の側面模式図である。
【
図10】本願の別の実施例に係る端板の側面模式図である。
【
図11】本願の一実施例に係る電池の筐体の斜視構造模式図であり、上部カバーが示されていない。
【
図12】本願の一実施例に係る電池の正面模式図である。
【
図15】本願の一実施例に係る端板の第2方向に沿った断面模式図である。
【
図16】本願の一実施例に係る電池の製造方法の模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確、かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の実施例の一部であり、実施例の全部ではない。通常、ここでの図面に説明され及び示されている本願の実施例のユニットは、各種の異なる構成で配置、設計され得る。
【0035】
従って、以下、図面で提供される本願の実施例についての詳細な説明は、特許保護する本願の範囲を制限するためのものではなく、本願の選択された実施例を表すためのものに過ぎない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得たすべて他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0036】
なお、矛盾がない場合、本願における実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。なお、類似する符号及びアルファベットは以下の図面において類似項を表すため、ある項目が1つの図面において定義されると、その後の図面においてそれをさらに定義、解釈する必要がない。
【0037】
本願の実施例の説明では、なお、「上」、「下」、「内」、「外」などの用語が示した方位又は位置関係は、図面に示されている方位又は位置関係に基づくものであるか、又は該出願製品が使用される時に通常配置される方位又は位置関係であるか、又は当業者が通常理解する方位又は位置関係であるか、又は該出願製品が使用される時に通常配置される方位又は位置関係であり、本願を容易に説明し、説明を簡素化するためのものに過ぎず、示した装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構築、操作されたりすることを指示又は暗示しないため、本願を制限するものとして理解すべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、説明を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解すべきではない。
【0038】
なお、本願の説明では、特に明確な規定及び限定がない限り、記載されている「設置」、「装着」、「連結」、「接続」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続又は一体的な接続であってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した間接的接続であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0039】
電池の応用は一般的に、電池セル、電池モジュール及び電池パックの3つのレベルを含む。電池セルは正極板、負極板、電解液及びセパレータを含み、セパレータは正極板と負極板との間に設置されて内部短絡を防止する。一般的な電池セルは、包装の形態に応じて、一般的に円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルに分けることができる。
【0040】
電池モジュールとは、複数の電池セルを含むことで、より高い電圧及び/又は容量を提供する単一の物理モジュールを指す。電池モジュールでは、複数の電池セルはバスバーを介して直列接続及び/又は並列接続されて各種の用途に応用され、例えば、電気自動車などのいくつかの大電力の用途に応用される。
【0041】
電池パックは、1つ又は複数の電池モジュールに加えて電池管理システムなどの部材を組み立て、次に密閉筐体を入れることにより製造され、筐体は電気自動車などの電力消費装置に接続される。本願で言及される電池は電池パックであってもよい。
【0042】
従来技術の電池では、電池モジュールと筐体は締結部品を介して剛性接続されるが、電池モジュールの膨張過程で、端板の局所変形により膨張力の一部をある程度で解放することができる。しかし、端板と筐体とがボルトを介してロックされるため、両方の間に剛性接続が形成される。従って、端板の変形過程で必ず筐体に影響し、筐体を変形させる可能性がある。端板の変形に起因する筐体の変形を回避する場合、端板の局所変形量が非常に小さく、電池モジュールに十分な膨張空間を提供することに不利であり、電池セルが膨張過程で依然として筐体の内壁により押出され、リチウム析出の現象が発生し、電池容量が低下する可能性がある。
【0043】
これに鑑みて、本願のいくつかの実施例では、電池10を提供する。該電池10では、電池モジュール200に膨張空間を提供し、膨張力を解放することができ、電池セル211が押出されてリチウム析出が発生する可能性を低下させるのに寄与し、また、筐体100の変形の可能性を低下させることができる。換言すれば、電池モジュール200に膨張空間を提供すると同時に筐体100の変形の可能性を低下させる。
【0044】
本願の実施例は、電池10を電源として使用する電力消費装置を提供し、該電力消費装置は車両1、船舶又は飛行機などであってもよいが、これらに限定されない。
【0045】
理解できるものとして、本願の実施例で説明される電池10は、例えば、携帯電話、ノートパソコン、電気自転車、電気自動車、汽船、航宙機、電動玩具及び電動工具などの電池を使用する各種の装置に適用でき、例えば、航宙機はロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含み、電動玩具は固定式又は移動式の電動玩具を含み、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電動汽船玩具及び電動飛行機玩具などが挙げられ、電動工具は、金属切削電動工具、研削電動工具、組立電動工具及び鉄道用電動工具を含み、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマー、電動インパクトドリル、コンクリート振動機及び電気プレーナーなどが挙げられる。
【0046】
本願の実施例で説明される電池10は上記説明される電力消費装置に適用できることに限定されず、電池10を使用するすべての装置に適用できる。
【0047】
図1は、本願の一実施例に係る車両1の構造模式図であり、車両1はガソリン車、ガス車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純電気自動車、ハイブリッド車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部に電池10、モータ20及びコントローラ30が設置されてもよく、コントローラ30は電池10がモータ20に給電するように制御することに用いられ、例えば、電池10は車両1の底部又は前部に設置される。電池10は車両1の給電に用いられてもよく、例えば、電池10は車両1の操作電源として機能でき、車両1の回路システムに用いられ、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力用に用いられる。
【0048】
本願の別の実施例では、電池10は車両1の操作電源として機能してもよく、車両1の駆動電源として機能し、ガソリン又は天然ガスを代替又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。
【0049】
本願のいくつかの実施例では、車両は
図2に示される電池10を用いて給電することができ、該電池10は電池モジュール200と筐体100とを含み、電池モジュール200は筐体100内に設置される。
図2及び
図3に示すように、該電池モジュール200は電池セル配列構造210と、端板220とを含み、電池セル配列構造210は第1方向A1に沿って積層して設置された複数の電池セル211を含んでもよく、端板220は筐体100の内壁と電池セル配列構造210との間に設置され、端板220は電池セル配列構造210に固定して接続される。
【0050】
図4~
図6に示すように、端板
220は第1弾性支持部224を含み、第1弾性支持部224は、電池セル配列構造210が膨張したときに筐体100の内壁に当接し、且つ電池セル配列構造210により押出変形されて、電池セル配列構造210に膨張空間を提供するように構成される。
【0051】
上記技術的解決手段では、電池セル配列構造210は第1方向A1に複数の電池セル211を含むことにより、電池モジュール200は膨張したときに主に第1方向A1に沿って膨張する。第1弾性支持部224は、自体の変形により膨張空間を提供し、変形が確実であり、電池セル配列構造210に膨張空間を適時に提供する(すなわち電池モジュール200に膨張空間を提供する)ことができ、主に第1方向A1における膨張空間を提供して、電池セル配列構造210の膨張力を解放し、該膨張力に起因する筐体100の変形の可能性を低下させ、筐体100の組立の信頼性を向上させ、使用寿命を延ばすことができる。また、膨張力を解放することにより、筐体100の内壁と端板220との間の押出力が大きすぎることに起因して電池セル211のリチウム析出が発生する可能性を低下させることができる。従って、電池モジュール200に膨張空間を提供すると同時に筐体100の変形の可能性を低下させることができ、電池10の通常の動作に寄与する。
【0052】
端板220と電池セル配列構造210とは、例えば、接着、結束バンド接続、又は端側板を利用して端板220と電池セル配列構造210を接続するなどの任意の適切な方式で両方の固定接続を実現でき、本願の実施例はこれを限定しない。
【0053】
本願の一実施例では、
図2及び
図3に示すように、筐体100は下部筐体101と、上部カバー102とを含んでもよく、上部カバー102は下部筐体101に密封的に覆われ、電池モジュール200は下部筐体101に装着されてもよい。
【0054】
図3~
図6に示すように、本願の一実施例では、筐体100は第1壁110と、第2壁120とを含み、第2壁120は第1壁
110に接続されて上方に延在し、電池モジュール200は第1壁110の上方に位置し、すなわち第1壁
110は筐体100の底壁であり、第2壁120は底壁に接続された側壁であり、第1壁110は下部筐体101の底壁であってもよく、第2壁120は下部筐体101の側壁であってもよい。端板220は第2壁120と電池セル配列構造210との間に設置される。第1弾性支持部224は、電池セル配列構造210が膨張したときに第2壁120に当接し、且つ電池セル配列構造210により押出変形されるように構成される。これに基づき、端板220と筐体100の第2壁120との間には電池セル配列構造210に膨張空間を提供し、電池モジュール200の筐体100の第2壁120に対する押出力を低下させることができる。
【0055】
第1弾性支持部224が押出されるときに変形しやすくなるように、
図6に示すように、本願の一実施例では、第1弾性支持部224の少なくとも一部は第2壁120に向かって上方に傾斜して延在する。これに基づき、端板220が押出されるときに、第1弾性支持部224は傾斜角度を有するため、第1弾性支持部224が第2壁120により押出されるときに変形しやすくなり、電池セル配列構造210に膨張空間を適時に提供することができる。
【0056】
なお、第1弾性支持部224の上方への傾斜角度は任意の角度であってもよく、変形のニーズを満たすことができればよく、本願の実施例は第1弾性支持部224の上方への傾斜する角度を限定しない。
【0057】
図6及び
図7に示すように、本願の一実施例では、端板220は端板本体223をさらに含み、端板本体223は、電池セル配列構造210に向かう第1面2231と、電池セル配列構造210から離れる第2面2232とを有し、第1弾性支持部224は第2面2232に設けられる。第2面2232は端板本体223の大面であり、第1弾性支持部224の設置が容易である。また、第2面2232が大面(面積の大きい面)であるため、より多くの第1弾性支持部224の配置が容易であり、電池セル配列構造210の膨張力を分散させ、押出力が集中することに起因して電池セル211が押出されてリチウム析出が発生する可能性を低下させるのに寄与する。
【0058】
理解できるものとして、本願の他の実施例では、第1弾性支持部224は端板本体223の厚さ方向(第1方向A1)における2つの側壁に設置されてもよく、すなわち端板本体223の小面(面積の小さい面)に設置され、第2壁120に向かって延在する。
【0059】
電池セル配列構造210の膨張力をできるだけ分散させるために、本願の一実施例では、第1弾性支持部224の水平面における正投影は長尺形状であり、長尺形状の一方の長辺が位置する面は第2面2232に接続され、長尺形状の他方の長辺が位置する面は第2壁120に当接することに用いられる。換言すれば、第1弾性支持部224は第2面2232に端板220の長さ方向(すなわち第2方向A2、第1方向A1と交差する)に沿って配置され、このように、端板220の長さ方向に電池セル配列構造210の膨張力を分散させるのに寄与する。
【0060】
第1弾性支持部224を変形しやすくするために、
図6及び
図7に示すように、選択可能に、第1弾性支持部224はシート状に形成されてもよい。すなわち、本実施例では、第1弾性支持部224は、上方に傾斜して延在するシート状構造として構成される。
【0061】
なお、本願の実施例は第1弾性支持部224の具体的な構造を限定しない。例えば、第1弾性支持部224は、第1方向A1に沿って延在する水平突起として構成されてもよく、且つ第1弾性支持部224には凹溝などの強度弱化構造が設置されて、第1弾性支持部224の強度を弱化し、第1弾性支持部224が第2壁120により押出されるときに変形しやすくなる。また、第1弾性支持部224はばねであってもよく、該ばねの一端は第2面2232に接続(例えば溶接)され、他端は第2壁120に向かって延在する。
【0062】
図6~
図9に示すように、本願の一実施例では、第1弾性支持部224は複数であり、複数の第1弾性支持部224は上下方向に沿って第2面2232に間隔をあけて配置されて、膨張力を均一に分散させ、電池セル配列構造210と端板220との接触面における各箇所の受力の一致性を向上させ、電池セル211の受力の一致性を向上させるのに寄与する。
【0063】
さらに、
図6~
図9に示すように、複数の第1弾性支持部224は第2面2232上に矩形アレイ状に配置されてもよく、電池セル配列構造210全体の端板220上に伝達された膨張力を均一に分散させ、さらに電池セル配列構造210の各箇所の受力の一致性を向上させ、電池セル211の受力の一致性を向上させるのに寄与する。
【0064】
図10に示すように、本願の別の実施例では、第1弾性支持部224は複数であり、複数の第1弾性支持部224は上下方向に沿って第2面2232に間隔をあけて配置され、各第1弾性支持部224は端板本体223の長さ方向に延在し、第1弾性支持部224の端板本体223の長さ方向における延在は連続している。
【0065】
従来技術の電池では、電池モジュール200を筐体100内に装着して、電池モジュール200が筐体100内に上方に自由移動することを制限するために、通常、電池モジュール200の端板220を、締結部品(例えばロックボルト)を介して筐体100の側壁に装着する。締結部品の装着を容易にするために、筐体の側壁の厚さ寸法が大きくなる。従って、筐体100の電池モジュール200を収容するための空間を増加させるのに不利であり、筐体100内の空間利用率を低下させる。
【0066】
これに鑑みて、
図6に示すように、本願の一実施例では、第2壁120に制限面121が設けられ、制限面121は端板220に当接して、端板220が上方に移動することを制限することに用いられる。制限面121は端板220が上方に自由移動することを制限し、端板220及び電池モジュール200の上下方向(すなわち端板220の高さ方向)における装着位置を確保し、電池モジュール200が上方に移動することに起因して電池モジュール200の通常の動作に影響するのを回避する。これに基づき、電池モジュール200と筐体100とのボルトによるロックを省略してもよく、これにより、使用される部材を減少させ、筐体100内部の空間利用率を向上させるのに寄与する。且つ、ボルトによるロックが省略され、電池モジュール200と筐体100との剛性接続が解除されるため、電池10は電池モジュール200に膨張空間を提供すると同時に筐体100の変形の可能性を低下させ、また、ボルトロックをなくして工程を簡素化し、電池10の組立効率を向上させることができる。
【0067】
制限面121は任意の適切な構造として構成されてもよく、
図6に示すように、本願の一実施例では、第2壁120の端板220に向かう表面部分は凹んで凹溝を形成し、凹溝の上側壁は制限面121である。凹溝の上側壁に制限面121を形成する方式により、筐体100の電池モジュール200を収容するための空間を占有しないと同時に、筐体100の軽量化に寄与する。
【0068】
図6に示すように、本願の一実施例では、端板220に制限凸起221が設置され、制限凸起221の上面は制限面121に当接して、端板220が上方に移動することを制限することに用いられる。制限凸起221が制限面121に当接して制限を行う方式により、端板220と筐体100を確実に制限することを実現すると同時に、ボルトによるロックの方式と比較して、構成が簡単で、電池モジュール200の筐体100内の装着が容易であるなどの利点を有する。
【0069】
制限凸起221の制限効果を確保するために、
図4~
図6に示すように、本願の一実施例では、制限凸起221は第2壁120に向かって水平に延在する。これに基づき、電池モジュール200が膨張したときに、制限凸起221が移動可能な方向(上方)は延在方向と垂直であり、それにより、制限凸起221と制限面121とが滑りにくくなり、制限凸起221と制限面121による制限の信頼性を向上させることができる。
【0070】
さらに、
図6に示すように、制限面121は水平面と平行な面であってもよく、このように、制限凸起221が制限面121に当接するときに、2つの面が十分に密着され、制限凸起221と制限面121による制限の信頼性をさらに向上させる。
【0071】
電池10を組み立てる際には、先ず、電池モジュール200に押出力を印加して、電池モジュール200の第1方向A1における長さを圧縮し、次に、圧縮状態にある電池モジュール200を筐体100内に入れて第1壁110に配置し、その後、押出力を除去し、電池モジュール200の長さを回復させ、端板220の制限凸起221を制限面121の下方に移動させる。
【0072】
圧力を除去した後、制限凸起221が制限面121の下方にスムーズに移動できるために、
図6に示すように、本願の一実施例では、電池モジュール200が筐体100内の所定の位置に装着されると、電池セル配列構造210が膨張していないときに、制限凸起221の上面と制限面121とは上下方向に隙間がある。これに基づき、端板220を押出する押出力が除去された後、上下方向に隙間があるため、制限面121は制限凸起221の水平移動を干渉せず、制限凸起221が制限面121の下方にスムーズに移動するのに寄与する。
【0073】
図6に示すように、選択可能に、電池モジュール200が筐体100内の所定の位置に装着されると、電池セル配列構造210が膨張していないときに、制限凸起221と第2壁120とは水平方向にも隙間があり、端板220が少なくとも第2壁120に向かって移動でき、それにより電池セル配列構造210に膨張空間を提供する。
【0074】
このように、電池セル配列構造210の膨張過程で、制限凸起221の第2壁120への移動は2つの段階に分けられてもよい。第1段階では、制限凸起221は、第2壁120に当接するまで第2壁120に向かって水平移動する。制限凸起221が第2壁120に当接した後にも、電池セル配列構造210が膨張し続ける場合、端板本体223は局所的に変形して、膨張空間をさらに提供する。
【0075】
図6に示すように、制限凸起221は端板本体223の第2面2232に設置されてもよい。第2面2232は端板本体223の大面(面積の大きな面)であり、制限凸起221の設置が容易である。且つ、第2面2232が大面であるため、端板220の長さ方向(第1方向A1と垂直な方向)に沿って長さの大きな制限凸起221の配置が容易であり、電池モジュール200が筐体100内に上下方向に制限される信頼性をできるだけ向上させる。
【0076】
理解できるものとして、本願の他の実施例では、制限凸起221は端板本体223の厚さ方向(第1方向A1)における2つの側面に設置されてもよく、すなわち端板本体223の小面(面積の小さな面)に設置され、且つ第2壁120に向かって延在する。
【0077】
本願の一実施例では、制限凸起221の水平面における正投影は長尺形状であり、長尺形状の一方の長辺が位置する面は第2面2232に接続される。制限凸起221は長尺形状であり、制限凸起221と第1制限面121との接触面積の増加に寄与し、それにより制限凸起221の制限効果の向上に寄与する。
【0078】
本願の一実施例では、電池モジュール200は接着剤を介して第1壁110に接着される。
図8~
図10に示すように、端板220の下端に延在部227がさらに設置され、該延在部227は構造用接着剤を遮断する役割を果たし、構造用接着剤が上方に移動するのをある程度で回避することができる。
【0079】
図8~
図10に示すように、本願の一実施例では、端板220の上端に、電池モジュール200が筐体100内に装入されるときに、組立工具による電池モジュール200の挟持を容易にするための係止部222がさらに設置される。
【0080】
図3及び
図11に示すように、本願の実施例では、筐体100は一対の第2壁120を含んでもよく、一対の第2壁120は第1方向A1に沿って対向して設置され、電池セル配列構造210が膨張していないときに、第1弾性支持部224は第2壁120に当接して、電池モジュール200の第1方向A1における位置決めを実現することができる。これに基づき、電池モジュール200が筐体100に装着されると、第1弾性支持部224は、電池モジュール200の第1方向A1の装着や位置決めを行い、第1方向A1における電池モジュール200の装着の信頼性を確保する。
【0081】
なお、本願の実施例では、電池モジュール200は、一端が第1弾性支持部224を介してそのうちの一方の第2壁120に当接してもよく、他端が他方の第2壁120に固定して接続されてもよく、電池モジュール200の両端はいずれも第1弾性支持部224を介して対応する第2壁120に当接してもよい。
【0082】
ここでは、電池セル配列構造210が膨張していないときに、第1弾性支持部224が第2壁120に当接することは、第1弾性支持部224がちょうど第2壁120と接触し、第1弾性支持部224が変形しない状態にあることを指してもよく、第1弾性支持部224が第2壁120に当接して変形状態にあることを指してもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0083】
選択可能に、本願の一実施例では、電池モジュール200は筐体100と締まり嵌めされ、第1弾性支持部224は、弾性変形を発生させることにより第1方向A1における締まり量を吸収するように構成される。すなわち、本実施例では、電池セル配列構造210が膨張していないときに、第1弾性支持部224は第2壁120に当接して変形状態にある。このような構成は、上記言及された、電池モジュール200の第1方向A1の装着や位置決めを行えることに加えて、さらに少なくとも以下の2つの利点を有し、第1には、電池モジュール200が所定の位置に組み立てられると、第1弾性支持部224は電池モジュール200に第1方向A1の組立余裕を提供することにより、電池モジュール200の第1方向A1における寸法誤差を第1弾性支持部224の変形により相殺することができ、例えば、電池モジュール200の第1方向A1における寸法が筐体100の対応する方向における装着寸法よりも大きいとき、第1弾性支持部224の変形により、電池モジュール200を筐体100内にスムーズに装入することを実現できる。従って、電池モジュール200の第1方向A1における加工及び組立精度に対する要件を低減させる。第2には、電池モジュール200が所定の位置に組み立てられると、第1弾性支持部224が変形した状態にあるため、第2壁120の反作用力を電池セル配列構造210に伝達することができる。電池セル211は所定の大きさの圧力を受け、電池セル211の内部の陽極板と陰極板との界面の良好な接触を確保するのに寄与する。
【0084】
図11に示すように、本願の一実施例では、筐体100は一対の第3壁130をさらに含み、一対の第3壁130はいずれも第1壁110に接続されて上方に延在し、一対の第3壁130は第2方向A2に沿って対向して設置され、第2方向A2は第1方向A1と交差する。選択可能に、
図11に示すように、第2方向A2は第1方向A1と垂直であってもよく、第2方向A2は端板220の長さ方向であってもよい。
【0085】
図12~
図14に示すように、端板220は第2弾性支持部225をさらに含み、第2弾性支持部225は、第3壁130に当接して、電池モジュール200の第2方向A2における位置決めを実現することに用いられる。これに基づき、電池モジュール200が筐体100に装着されると、第2弾性支持部225は第3壁130に当接して、電池モジュール200の第2方向A2の装着や位置決めを行い、第2方向A2における電池モジュール200の装着の信頼性を確保する。
【0086】
ここでは、電池セル配列構造210が膨張していないときに、第2弾性支持部225が第2壁120に当接することは、第2弾性支持部225がちょうど第3壁130と接触し、第2弾性支持部225が変形しない状態にあることを指してもよく、第2弾性支持部225が第3壁130に当接して変形状態にあることを指してもよく、本願の実施例はこれを限定しない。
【0087】
選択可能に、本願の一実施例では、電池モジュール200は筐体100と締まり嵌めされ、第2弾性支持部225は、弾性変形を発生させることにより第2方向A2における締まり量を吸収するように構成される。すなわち、本実施例では、電池セル配列構造210が膨張していないときに、第2弾性支持部225は第3壁130に当接して変形状態にある。このような構成は、上記言及された、電池モジュール200の第2方向A2の装着や位置決めを行えることに加えて、さらに少なくとも以下の2つの利点を有し、第1には、電池モジュール200が所定の位置に組み立てられると、第2弾性支持部225は電池モジュール200に第2方向A2の組立余裕を提供することにより、電池モジュール200の第2方向A2における寸法誤差を第2弾性支持部225の変形により相殺することができる。例えば、電池モジュール200の第2方向A2における寸法が筐体100の対応する方向における装着寸法よりも大きいとき、第2弾性支持部225の変形により、電池モジュール200を筐体100内にスムーズに装入することを実現できる。従って、電池モジュール200の第2方向A2における加工及び組立精度に対する要件を低減させる。第2には、電池モジュール200が所定の位置に組み立てられると、第2弾性支持部225が変形した状態にあるため、第3壁130の反作用力を電池セル配列構造210に伝達することができる。電池セル211は所定の大きさの圧力を受け、電池セル211の内部の陽極板と陰極板との界面の良好な接触を確保するのに寄与する。
【0088】
なお、本願の実施例では、電池モジュール200とそのうちの一方の第3壁130との間に上記第2弾性支持部225が設置されてもよく、すなわち、端板220の一側のみに第2弾性支持部225が設置され、又は、電池モジュール200と一対の第3壁130との間のいずれにも上記第2弾性支持部225が設置されてもよく、すなわち、端板220の対向する両側のいずれにも第2弾性支持部225が設置される。
【0089】
選択可能に、
図13に示すように、本願の一実施例では、第2弾性支持部225は端板本体223の第2方向A2の対向する両側に設けられ、すなわち、端板本体223の第2方向A2の対向する両側のいずれにも第2弾性支持部225が設置される。
【0090】
図11~
図14に示される実施例では、筐体100の電池モジュール200を収容するための収容キャビティの水平面における投影は長方形であり、第1方向A1は長方形の長さ方向であり、第2方向A2は長方形の幅方向である。電池モジュール200では、第1方向A1と第2方向A2のそれぞれに第1弾性支持部224と第2弾性支持部225が設けられるので、電池モジュール200の装着や位置決めが確実に実施され得る。
【0091】
理解できるものとして、本願の他の実施例では、筐体100の電池モジュール200を収容するための収容キャビティの水平面における投影は、例えば、矩形と台形の組み合わせ図形など、他の形状であってもよい。
【0092】
図14及び
図15に示すように、本願の一実施例では、第2弾性支持部225の少なくとも一部は端板本体223から第3壁130に向かって上方に延在する。このように、第2弾性支持部225の上方に延在する部分は第3壁130に当接して、第2弾性支持部225と第3壁130との装着や位置決めを行うことができ、且つ、第2弾性支持部225は上方に傾斜して延在し、第2弾性支持部が第3壁130により押出変形されるのに寄与する。
【0093】
本願の実施例は第2弾性支持部225の具体的な構造を限定しない。選択可能に、
図15に示すように、本願の一実施例では、第2弾性支持部225は第1部分2251と、第2部分2252とを含み、第1部分2251は端板本体223から第3壁130に向かって上方に傾斜して延在し、第2部分2252は第1部分2251の端板本体223から離れる端から上方に延在し、第2部分2252は第3壁130に当接することに用いられる。これに基づき、第1部分2251は上方に傾斜して設置され、所定の案内の役割を果たすことができる。第2部分2252は上下方向に沿って延在し、第3壁130との面接触を形成でき、両方の押出嵌合に寄与する。且つ、第2部分2252と端板本体223との間に隙間があり、第2部分2252と第3壁130の押出時の変形に寄与する。
【0094】
本願の他の実施例では、第2弾性支持部225は上下方向に沿って延在する長尺状弾性バーとして構成されてもよい。
【0095】
電池モジュール200を筐体100内に装入することを容易にするために、
図15に示すように、本願の一実施例では、端板220は案内部226をさらに含み、案内部226は第2弾性支持部225の下方に位置し、案内部226は案内斜面2261を有し、案内斜面2261は端板220を筐体100に装入するときに案内することに用いられる。
【0096】
案内部226が第2弾性支持部225の通常の動作に影響することを回避するために、
図14に示すように、本願の一実施例では、案内部と第3壁130との間に隙間があってもよい。換言すれば、
図15に示すように、案内部の第2方向A2における端板本体223からの突出高さは第2弾性支持部225の第2方向A2における端板本体223からの突出高さよりも小さい。
【0097】
本願の実施例では、電池セル配列構造210の下端は第1壁110に取り付けられてもよく、端板220の下端と第1壁110には隙間があり、電池セル配列構造210と第1壁110との接触を確保する。
【0098】
なお、上記「取り付ける」とは、電池セル配列構造210の下端が第1壁110と接続されずに接触することを指してもよく、電池セル配列構造210の下端が第1壁110と接触して接続されることを指してもよく、例えば、両方が接着剤で接着される。
【0099】
図16に示すように、本願の他の態様によれば、電池10の製造方法、例えば、上記言及された電池10の製造方法を提供し、該方法は、
筐体
100を提供するステップS1と、
電池モジュール
200を提供するステップS2であって、該電池モジュール200は電池セル配列構造210と、端板220とを含み、電池セル配列構造210は互いに積層された複数の電池セル211を含み、例えば、第1方向A1に沿って互いに積層された複数の電池セル211を含み、端板220は電池セル配列構造
210に固定して接続され、端板220は第1弾性支持部224を含み、第1弾性支持部224は、電池セル配列構造210が膨張したときに筐体100の内壁に当接し、且つ電池セル配列構造210により押出変形されて、電池セル配列構造210に膨張空間を提供するように構成されるステップS2と、
端板220が筐体100の内壁と電池セル配列構造210との間に位置するように、電池モジュール200を筐体100内に装着するステップS3と、を含む。
【0100】
電池モジュール200と筐体100は、上記言及された電池モジュール200と筐体100であってもよい。
【0101】
なお、矛盾がない場合、本願の実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。
【0102】
以上は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を制限するためのものではなく、当業者であれば、本願に対して各種の変更や変化を行うことができる。本願の精神及び原則内に行ったすべての任意の修正、等価置換、改良などは、本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0103】
1 車両
10 電池
20 モータ
30 コントローラ
100 筐体
101 下部筐体
102 上部カバー
110 第1壁
120 第2壁
121 制限面
130 第3壁
200 電池モジュール
210 電池セル配列構造
211 電池セル
220 端板
221 制限凸起
222 係止部
223 端板本体
224 第1弾性支持部
225 第2弾性支持部
226 案内部
227 延在部
2231 第1面
2232 第2面
2251 第1部分
2252 第2部分
2261 案内斜面