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特許7511682自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20240628BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61F 2/958 20130101ALI20240628BHJP
【FI】
A61F2/966
A61M25/00 510
A61M25/00 600
A61F2/958
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022575721
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2020065920
(87)【国際公開番号】W WO2021249622
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】510294003
【氏名又は名称】アンジオメト・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・メディツィンテクニク・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ゲベラー,ペーター
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-522654(JP,A)
【文献】特表2006-522668(JP,A)
【文献】特開2007-190377(JP,A)
【文献】特表2011-505229(JP,A)
【文献】特表2011-522650(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0171427(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0194967(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0155296(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
A61M 25/00
A61F 2/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイスであって、前記デバイスが、
壁を備える円筒形遠位端構成要素を備える内側カテーテルであって、前記円筒形遠位端構成要素が、使用時に、前記インプラントのルーメン内に受け入れられるように構成される、内側カテーテルと、
前記内側カテーテルと同軸であるシースであって、前記シースが、使用時に、前記インプラントを前記部位で解放状態で配備するために前記インプラントおよび前記内側カテーテルに対して前記シースが近位側に引き込まれるまで、前記インプラントを保護するように構成される、シースと
を備え、
前記円筒形遠位端構成要素は、第1の複数のインプラント保持要素を備え、前記第1の複数のインプラント保持要素は、前記シースが引き込まれる間、前記インプラントの径方向内側を向く表面に係合するように前記円筒形遠位端構成要素から径方向外側に突出し、これにより、前記インプラントが前記円筒形遠位端構成要素に対して近位側へ前記シースによって運ばれることを防止する、カテーテルデバイスにおいて、
前記第1の複数のインプラント保持要素が、前記円筒形遠位端構成要素の前記壁の一部分から形成されており、前記第1の複数のインプラント保持要素は、形状記憶効果を利用して、前記シースが引き込まれる前に、前記インプラントの前記径方向内側を向く表面に係合するための径方向外側に突出する形態をとるように構成されており、
前記第1の複数のインプラント保持要素のうちの少なくとも1つのインプラント保持要素が、前記円筒形遠位端構成要素内の基線から遠位側に延在するように構成されたフラップであり、
前記フラップが、ヒンジ部分であって、前記ヒンジ部分の周りで前記フラップがたわむように構成されるヒンジ部分と、前記インプラントに係合するように構成された係合部分と、を備え、
前記ヒンジ部分が基線に沿って延在し、前記係合部分が前記インプラントに接触するための接触線に沿って延在し、前記ヒンジ部分の前記基線が、円周方向において、前記係合部分の前記接触線より短い、
カテーテルデバイス。
【請求項2】
前記円筒形遠位端構成要素が第2の複数のインプラント保持要素を有し、前記第2の複数のインプラント保持要素は、形状記憶効果を利用して、前記インプラントの径方向内側を向く表面に係合するように前記円筒形遠位端構成要素から径方向外側に突出し、これにより、前記インプラントが前記円筒形遠位端構成要素に対して遠位側へ運ばれることを防止するように構成される、請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項3】
前記第2の複数のインプラント保持要素のうちの少なくとも1つのインプラント保持要素が、前記円筒形遠位端構成要素内の基線から近位側に延在するように構成されたフラップである、請求項2に記載のカテーテルデバイス。
【請求項4】
少なくとも前記第1および第2の複数のインプラント保持要素のうちの複数のインプラント保持要素が、前記円筒形遠位端構成要素の長さに沿って配置され、これにより、前記少なくとも第1および第2の複数のインプラント保持要素により前記インプラントに作用する力が、前記インプラントの長さに沿って均等に分布する、請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項5】
前記接触線の長さが前記基線の長さの最大2倍である、請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項6】
前記円筒形遠位端構成要素がニチノールで作られている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項7】
前記円筒形遠位端構成要素が、前記第1および/または第2の複数のインプラント保持要素のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つのインプラント保持セクションと、少なくとも1つの可撓性セクションと、を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの可撓性セクションが、カルダニックジョイントを形成するようにジグザグに配置されて円周方向に延在する複数のスリットを備える、請求項7に記載のカテーテルデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つのインプラント保持セクションおよび少なくとも1つの可撓性セクションが、前記円筒形遠位端構成要素の長さに沿って交互に配置される、請求項4から7までのいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項10】
前記円筒形遠位端構成要素、少なくとも前記第1の複数のインプラント保持要素および前記第2の複数のインプラント保持要素が同じインプラント保持セクション内に配設される、請求項1から9までのいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項11】
前記第1および第2の複数のインプラント保持要素が、前記円筒形遠位端構成要素の周りで円周方向に少なくとも一列に配置され、前記第1および第2の複数のインプラント保持要素が少なくとも一列に沿って交互に配置される、請求項10に記載のカテーテルデバイス。
【請求項12】
前記第1の複数のインプラント保持要素が、前記インプラントの近位側領域に受け入れられるように構成された前記円筒形遠位端構成要素上の場所に配設される、請求項1から11までのいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項13】
前記第2の複数のインプラント保持要素が、前記インプラントの遠位側領域に受け入れられるように構成された前記円筒形遠位端構成要素上の場所に配設される、請求項1から12までのいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項14】
前記フラップが、前記円筒形遠位端構成要素の円周の周りで円弧状に延在する、請求項12に記載のカテーテルデバイス。
【請求項15】
前記第1および/または第2のインプラント保持要素は、前記ヒンジ部分の周りで前記第1および/または第2のインプラント保持要素がたわむ形態をとる、請求項1から14までのいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項16】
前記第1および/または第2の複数のインプラント保持要素は、前記ヒンジ部分のたわみ範囲内で前記第1および/または第2のインプラント保持要素によってそれぞれ前記インプラントに作用する力が、前記たわみ範囲にわたって実質的に等しくなるように、構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項17】
前記フラップが、とげ、アーチ、シェブロン、またはスパイクのうちの少なくとも1つの形状を有するように構成される、請求項1から16までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記第1および/または第2の複数のインプラント保持要素が研磨されていない、請求項1から17のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記第1の複数のインプラント保持要素が前記壁の厚さの範囲内にあり得る、請求項1から18のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項20】
前記ヒンジ部分が、実質的に、前記インプラントに係合しているときの前記少なくとも第1および第2の複数のインプラント保持要素の材料の応力ひずみ曲線のプラトー領域内にあり、これにより、前記少なくとも第1および/または第2の複数のインプラント保持要素が、前記円筒形遠位端構成要素からの前記インプラント保持要素の突出量(たわみ量)に関らず、前記インプラントに対して実質的に同じ力を作用させる、請求項1から19までのいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項21】
ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)コーティングで覆われている被覆インプラントに作用する力を分散するように、前記ヒンジ部分の前記基線が、円周方向において、前記係合部分の前記接触線より短い、請求項1から20までのいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項22】
自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイスのための形状記憶合金管を作る方法であって、前記方法が、前記形状記憶合金管内にヒンジを形成するステップと、前記ヒンジの周りで前記形状記憶合金管の一部分をたわませることにより前記形状記憶合金管を変形させるステップと、前記形状記憶合金が、体温において、前記ヒンジが前記形状記憶合金管から径方向外側にたわむ形態をとり得るように、変形した前記一部分を、前記形状記憶合金を加熱することにより硬化させるステップと、を含み、
前記フラップが、ヒンジ部分であって、前記ヒンジ部分の周りで前記フラップがたわむように構成されるヒンジ部分と、前記インプラントに係合するように構成された係合部分と、を備え、
前記ヒンジ部分が基線に沿って延在し、前記係合部分が前記インプラントに接触するための接触線に沿って延在し、前記ヒンジ部分の前記基線が、円周方向において、前記係合部分の前記接触線より短い、方法。
【請求項23】
自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテル組立体を組み立てる方法であって、前記カテーテル組立体が、形状記憶合金管を備える内側カテーテルと、シースと、自己拡張インプラントと、を備え、前記方法が、前記自己拡張インプラントを前記形状記憶合金管の上に組み付けるステップ、を含み、前記組み付けるステップにおいて、前記形状記憶合金管は、前記自己拡張インプラントにより前記形状記憶合金管に作用する径方向内側の圧力を、前記形状記憶合金管が主にマルテンサイト双晶形成によって受け入れるのを可能にする温度におかれ、
前記フラップが、ヒンジ部分であって、前記ヒンジ部分の周りで前記フラップがたわむように構成されるヒンジ部分と、前記インプラントに係合するように構成された係合部分と、を備え、
前記ヒンジ部分が基線に沿って延在し、前記係合部分が前記インプラントに接触するための接触線に沿って延在し、前記ヒンジ部分の前記基線が、円周方向において、前記係合部分の前記接触線より短い、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイスと、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイスのための形状記憶合金管を作る方法と、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテル組立体を組み立てる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルデバイスが知られている。カテーテルデバイスは内側カテーテルおよびシースを備えることができる。身体内の部位まで送達されるためのインプラントが、内側カテーテルの上に装填される。ステントを送達するために、シースが後方に引かれる。インプラントが内側カテーテル上で圧縮され得る。
【0003】
このような従来のカテーテルデバイスでは、シースの後退中に内側カテーテル上の圧縮されたインプラントの堅固なグリップ力を維持すること困難であることが分かっている。具体的には、これが、材料および加工公差を理由として一般的に当てはまるように、インプラントまたはインプラント上の被覆物の重量が多様である場合に、当てはまることが分かっている。過度に大きいかまたは重いインプラントは過度の圧縮を引き起こす可能性があり、それに付随する配備力が、送達システムのジョイントの強さ限界を超える可能性があり、それにより送達システムを故障させる可能性がある。さらに、比較的小さいかまたは軽量であるインプラントは内側カテーテル上でのグリップ力を失う可能性があり、したがって、シースと共に後退させられる可能性があり、それにより、配備することが完全にできなくなる可能性があるか、または有意にさらに悪いこととして、インプラントが部分的に配備されることになる可能性がある、ということが分かっている。
【0004】
米国特許出願公開第2010/0274226(A1)号では、フィンガーが内側カテーテル上に設けられる。シースが後退させられるときにインプラントが内側カテーテルの上で滑るときに損傷する可能性があるかあるいはインプラントがシース内で軸方向に圧縮されて動かなくなる可能性があり、その結果、配備が不可能になる可能性がある。
この問題に対処するために、内側カテーテルの上に弾性シリコーンスリーブを提供することが知られており、グリップ力を向上させるために一片の微細金属の編組ワイヤがその上に配置される。
【0005】
シリコーンスリーブは、径方向における可撓性を与え、インプラントの寸法および/または被覆物の重量における公差関連の変化を、カテーテルデバイス(組立体)の径方向の圧縮を大きく変化させることなくひいては配備力を大きく変化させることなく、受け入れることを意図される。
【0006】
この構成の短所は、シリコーンが非常に柔らかく高い可撓性を有する材料である、つまり順応性を有するのに良好に適するものでありながら、空間的制約によりスリーブの壁厚が非常に小さくなり、シリコーンの機械的挙動が線形弾性的であると言えることである。したがって、圧縮が強まると、より高剛性の材料を比較してより低速であったとしても、抵抗が増大し、したがって、配備力が増大することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上で言及した問題のうちの少なくとも1つの問題に対処するカテーテルデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイスが提供され、デバイスが、壁を備える円筒形遠位端構成要素を備える内側カテーテルであって、円筒形遠位端構成要素が、使用時に、インプラントのルーメン内で受け入れられるように構成される、内側カテーテルと、内側カテーテルと同軸であるシースであって、シースが、使用時に、インプラントを部位で解放(配備)するためにインプラントおよび内側カテーテルに対してシースが近位側に引き込まれるまで、インプラントを保護するように構成される、シースと、を備え、円筒形遠位端構成要素は、第1の複数のインプラント保持要素を有し、第1の複数のインプラント保持要素は、シースが引き込まれる間、インプラントの径方向内側を向く表面に係合するように円筒形遠位端構成要素から径方向外側に突出し、これにより、インプラントが円筒形遠位端構成要素に対して近位側へシースによって運ばれることを防止する。カテーテルデバイスは、第1の複数のインプラント保持要素が、円筒形遠位端構成要素の壁の一部分から形成されることと、第1の複数のインプラント保持要素が、シースが引き込まれる前にインプラントの径方向内側を向く表面に係合するための径方向外側に突出する構成をとるのに、形状記憶効果を利用するように構成されることと、を特徴とする。
【0009】
こうすることで、複数の保持構造部が、インプラント重量ならびにインプラントおよびカテーテルデバイス構成要素の寸法のより広範囲にわたっての、内側カテーテル上でのインプラントの保持を改善する。
【0010】
一実施形態で、複数の保持要素の設計は、ヒンジ部分が、インプラントに係合するときの複数の保持要素の材料の応力ひずみ曲線のプラトー領域に入るものであり、その結果、保持要素が、円筒からの保持要素の突出量(たわみ量)に関係なくインプラントに対してある程度同じ力を作用させるようになり、その結果、たわみ量が重要ではなくなる。
【0011】
複数の保持要素のこの特性により、第1の複数のインプラント保持要素による単方向要素による、または、第1および第2のインプラント保持要素による両方向要素による、内側カテーテルの外側に対しての摩擦力および保持力を比較的一定することが保証される。複数の保持要素の材料の応力ひずみ曲線のプラトー領域により、これらの保持要素が、内側カテーテルから複数の保持要素が突出する程度に関係なく一定の径方向の力を作用させながら、多様な大きさの径方向の変位を受け入れることができる。こうすることで、径方向応力状態を比較的一定にすることが保証される。したがって、インプラント重量ならびにインプラントおよび送達システム構成要素の寸法の範囲にわたって、摩擦力および配備力を比較的一定にすることが達成される。したがって、配備の信頼性が改善される。
【0012】
一実施形態で、第1の複数のインプラント保持要素のうちの少なくとも1つの第1の保持要素が、円筒形遠位端構成要素内の基線から遠位側に延在するように配置構成されたフラップである。こうすることで、インプラントが近位方向に移動することが防止される。
【0013】
別の実施形態で、円筒形遠位端構成要素が第2の複数のインプラント保持要素を有し、第2の複数のインプラント保持要素は、インプラントが円筒形遠位端構成要素に対して遠位側へ運ばれることを防止するために、インプラントの径方向内側を向く表面に係合するように円筒形遠位端構成要素から径方向外側に突出するのに、形状記憶効果を利用するように構成される。こうすることで、インプラントが遠位方向に移動することが防止される。遠位側フラップおよび近位側フラップの両方を用いることにより、インプラントが両方向に移動することが防止され得る。
【0014】
本明細書において以下で、遠位側フラップ(第1の保持要素)では、フラップが、円筒形遠位端構成要素内の基線から遠位側に延在するように配置構成される。こうすることで、インプラントが近位方向に移動することが防止される。したがって、近位側フラップ(第2の保持要素)では、フラップが、円筒形遠位端構成要素内の基線から近位側に延在するように配置構成される。こうすることで、インプラントが遠位方向に移動することが防止される。
【0015】
別の実施形態で、円筒形遠位端構成要素がニチノールで作られる。こうすることで、インプラントの配備の信頼性が向上する。なぜなら、ニチノールがその応力ひずみ曲線に非常に平坦なプラトー領域を有するからであり、つまり、ニチノールが応力変化を比較的小さくしてひずみ変化を受け入れることができるからである。具体的にはニチノールの、この材料特性により、径方向の力の変化を比較的小さくして直径変化を受け入れることができるような第1および/または第2の複数の保持要素が得られ、それにより、インプラントの圧縮力の大きさを、インプラントの空間的圧縮の大きさにあまり依存させないようにする。さらに、一実施形態では、第1および/または第2の複数の保持要素が、既存の内側カテーテル材料の上に加えられるのではなく、ニチノールの内側カテーテル部材の壁に組み込まれる。こうすることで、空間が節約され、したがって、インプラントを受け入れるのに使用され得るようになる。言い換えると、カテーテルデバイス内で、インプラントのためにより大きい空間が利用可能となる。
【0016】
別の実施形態で、少なくとも1つの可撓性セクションが、カルダニックジョイントを形成するようにジグザグに配置されて円周方向に延在する複数のスリットを備える。こうすることで、複数のスリットは、構成要素に、より高い曲げ能力を付与し、それにより、身体内の移植部位に到達するのが困難であるような特に蛇行しているルーメンに沿わせてデバイスの遠位端を前進させるのを容易にする。
【0017】
別の実施形態で、少なくとも第1の複数の保持要素および第2の複数の保持要素が、同じインプラント保持セクション内に配設される。こうすることで、短いインプラントを配備することの信頼性が向上する。
【0018】
別の実施形態で、第1および第2の複数の保持要素が、円筒形遠位端構成要素の周りで円周方向に少なくとも一列として配置構成され、ここでは、第1および第2の複数の保持要素が少なくとも一列に沿って交互に配置される。こうすることで、短いインプラントを配備することの信頼性がさらに向上する。なぜなら、この構成により、(内側カテーテル部材ではなく、シースに対して)インプラントの場所を近位方向および遠位方向の両方において調整することが可能となるからである。
【0019】
別の実施形態で、第1の複数の保持要素が、インプラントの遠位側領域によって受け入れられるように構成された円筒形遠位端構成要素上の場所のところに配設される。
【0020】
別の実施形態で、第2の複数の保持要素が、インプラントの近位側領域によって受け入れられるように構成された円筒形遠位端構成要素上の場所のところに配設される。
【0021】
こうすることで、長いインプラントを配備することの信頼性が向上する。なぜなら、インプラント(ステント)の位置の調整中に内側カテーテルの押し引きによりインプラントがどちらの方向に移動させられる場合でも、インプラントが押されるのではなく引かれることが保証され、それにより外側シース内での座屈及び不動化が防止されるからである。
【0022】
本発明の別の利点は、プルバック(pull-back)式の外側シースタイプの送達システムから、例えばニチノールステントまたは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)によって覆われるニチノールステントなど、脈管インプラントなどの長い可撓性の自己拡張インプラントを配備することに付随する問題に対処することである。
【0023】
本発明の実施形態では、第1および/または第2の複数の保持要素は、ヒンジのたわみ範囲内で第1および/または第2の保持要素によってそれぞれインプラントに作用する力が、このたわみ範囲内で実質的に等しくなるように、構成される。こうすることで、たわみとは無関係に、インプラントに作用する力が等しくなり、それにより公差が重要ではなくなる。さらに、第1および/第2の保持要素のために必要となる空間が径方向において最小になり、それにより、カテーテルデバイスの径方向寸法が最小になる。
【0024】
別の実施形態で、第1の複数のインプラント保持要素が壁の厚さの範囲内にあることができる。こうすることで、第1および/または第2の保持要素がそれ自体では空間を必要とせず、したがって、カテーテルデバイスの直径がさらに低減される。
【0025】
本発明の別の態様によると、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイスのための形状記憶合金管を作る方法が提供され、本方法が、形状記憶合金管内にヒンジを形成することと、ヒンジの周りで形状記憶合金管の一部分をたわませることにより形状記憶合金管を変形させることと、形状記憶合金を加熱することにより、変形した一部分を硬化させることであって、その結果、形状記憶合金が、体温において、当該一部分がヒンジの周りで形状記憶合金管から径方向外側にたわむ形態をとることができるようになる、ことと、を含む。
【0026】
本発明の別の態様によると、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテル組立体を組み立てる方法が提供され、カテーテル組立体が、形状記憶合金管を備える内側カテーテルと、シースと、自己拡張インプラントと、を備え、本方法が、自己拡張インプラントを形状記憶合金管の上に組み付けるステップ、を含み、組み付けステップで、形状記憶合金管は、自己拡張インプラントにより形状記憶合金管に作用する径方向内側の圧力を、形状記憶合金が主にマルテンサイト双晶形成(martensite twinning)によって受け入れるのを可能にする温度におかれる。
【0027】
図面を参照して、実施例に基づいて、本発明および本発明の種々の実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態によるカテーテルデバイスおよびインプラントを示す図である。
図2a】本発明の実施形態による、弛緩位置にある内側カテーテルの一部分を示す図である。
図2b】本発明の実施形態による、圧縮位置にある図2aの内側カテーテルの一部分を示す図である。
図2c図2aおよび2bに示される内側カテーテルの一部分の応力ひずみ曲線を示すグラフである。
図3】本発明の実施形態による内側カテーテルを示す図である。
図4】種々の実施形態を示しており、さらに、本発明の種々の実施形態による、種々の保持構造部を示している種々の実施形態の種々の図を示している、図である。
図5】種々の別の実施形態を示しており、さらに、本発明の種々の実施形態による、種々の保持構造部を示している種々の実施形態の種々の図を示している、図である。
図6】本発明の別の実施形態による内側カテーテルを示す図である。
図7-1】本発明の実施形態による保持構造部、および、本発明の実施形態による、形状記憶合金管を作る方法を示す図である。
図7-2】本発明の実施形態による保持構造部、および、本発明の実施形態による、形状記憶合金管を作る方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面および本明細書の以下の詳細な説明では、同様の参照符号が同様の特徴を示す。以下で説明される実施形態において本発明を例示する。本発明はこれらの実施形態のみに限定されない。これらの実施形態は概略的に示されるものである。
【0030】
本明細書において以下で、「近位」および「遠位」という用語を参照する。「近位側」構成要素または構成要素の「近位側」部分を参照する場合、デバイスハンドルの場所寄りの場所に配設された構成要素または構成要素の一部分を意味することを理解されたい。対して、「遠位側」構成要素または構成要素の「遠位側」部分を参照する場合、デバイスハンドルの場所から離れたところに(遠い方に)配設された構成要素または構成要素の一部分を意味することを理解されたい。
【0031】
自己拡張インプラント、例えば、ステントまたはePTFEによって覆われるステントグラフトなどのニチノールインプラントを、プルバックタイプの送達システムのシース内部の圧縮状態から配備するとき、近位側(つまり、デバイスハンドルの方向)を向く、後退する外側シースとインプラントとの間に発生する摩擦力が、通常、内側カテーテルの軸方向圧縮力と釣り合う。内側カテーテルは、デバイスハンドルまで繋がっており、さらに、ガイドワイヤを受け入れるためのルーメンとして機能し、ガイドワイヤの上で送達システムが、身体への入口位置から、身体内の移植標的部位まで、しばしば動脈または静脈を通して、さらには標的部位によっては他の身体通路(body duct)を通して、送られる。
【0032】
従来、インプラントから内側カテーテルへの摩擦力の伝達は、インプラントの近位側に配置される、内側カテーテルの上にあるカラーによって達成され得る。シースが後退させられるとき、インプラントがカラーに接して後方に移動させられ、力が近位側インプラント端部からカラーおよびひいては内側カテーテルに伝達され、したがって送達システムハンドルまで後方に伝達される。本発明者は、具体的には長い可撓性のインプラントを配備することを試みるとき、インプラントが軸方向圧縮下で座屈してシース内で動かなくなる傾向があり、成功裏に配備するのを妨げることを発見した。さらに、ePTFEによって被覆されたインプラントの近位端を通してインプラント-シース間の全摩擦力が伝達されるとき、被覆物が被覆されたインプラントの金属フレームを越えて延在する場合には、繊細なePTFE被覆物を損傷させる可能性がある。
【0033】
圧縮されたインプラントの内側と内側カテーテルの外側との間の全接触面の1つまたは複数の部分を通して、インプラントから内側カテーテルに力を伝達するような配置構成を用いてより高い信頼性の配備が達成されることが分かった。これを摩擦のみに基づいて達成するためには、インプラントの内側と内側カテーテルとの外側との間の摩擦係数が、圧縮されたインプラントの外側とシースの内側の間の摩擦係数と比較して、有意に高い必要があることが分かった。実際、インプラントの外側にかかる摩擦を可能な限り小さくするためにあらゆる努力が行われている。しかし、シースを後退させるときに内側カテーテルに対してインプラントがわずかにでも動くのを確実に防止することを目的として、「シースに対してのインプラント外側表面」の接触面の比較的小さい摩擦係数と、「内側カテーテルに対してのインプラント内側表面」の接触面の比較的大きい摩擦係数との間の差を十分な大きさにするのを達成することは困難であることが分かった。裸ステントストラットの縁部または圧縮された被覆物の折り畳み体などのインプラントの内部にある構造部と、内側カテーテルの外側表面の上にある構造との間で形状による係止が生じるように、内側カテーテルの表面を適切に構築することにより、内側カテーテル上のグリップ力が増強され得ることが分かった。
【0034】
しかし、シースを後退させるのに必要となる力のレベルは、インプラントとシースとの間の摩擦係数に関連するのみではなく、インプラントとシースとの間の径方向の力のレベルにも関連することから、径方向の力を可能な限り小さくすることが所望される。これは例えば、インプラントの圧縮の大きさを最小化することによって達成され得、この最小化は、デバイス内でのインプラントを受け入れるための空間を最大にすることによって達成され得る。一方で、インプラントの径方向圧縮の最小レベルは、インプラントと内側カテーテルとの間に十分な摩擦を確保するものであることが必要である。このインプラント圧縮の大きさは所定の範囲で維持される必要があり、さらには、関与する構成要素の寸法公差、インプラントおよび被覆物の寸法の多様性、あるいは、経年劣化、温度および湿度の変化、または、パッケージングからの取り出し中、準備中、または蛇行性の解剖学的構造を通しての追跡中などで、デバイスの取り扱いによって生じる外部の機械的力による、インプラントおよび被覆物の寸法変化またはインプラントおよび送達システム構成要素の寸法変化、を考慮しなければならない。
【0035】
図1が、本発明の実施形態によるカテーテルデバイス10およびインプラント20を示す。本実施形態では、カテーテルデバイスが、自己拡張管状インプラント20を身体内の部位まで経腔的に送達するのに使用される。インプラントが、ステントなどの脈管インプラントであってよい。インプラント20が、ePTFEなどの被覆物で覆われていてよいか、またはニチノールステントなどの非被覆インプラントであってよい。本実施形態のカテーテルデバイスは、プルバック式外側シースタイプの送達システム内で使用され得る。図1はプルバック式の送達システムを示す。カテーテルデバイス10が内側カテーテル2を備える。内側カテーテル2が、壁6を備える円筒形遠位端構成要素4を備えることができる。円筒形遠位端構成要素4が、使用時に、インプラント20のルーメン内で受け入れられるように配置構成され得る。カテーテルデバイス10は、シース8をさらに備えることができる。シース8は、内側カテーテル2と同軸である。シース8は、使用時に、インプラント20を身体内の部位で解放(配備)するためにインプラント20および内側カテーテル2に対して近位側に引き込まれる(換言すれば、後退する)まで、インプラント20を保護するように配置構成される。この部位は、遠位側の場所にある。インプラント20は、通常、内側カテーテル上の遠位側の場所に位置する。図1は部分的に引き込まれたシース8を示す。図1では、シース8が、インプラント20の遠位端を越えるように引き込まれている。内側カテーテル2およびシース8の少なくとも一方の長手方向軸に沿う方向である方向12が、シース8が引き込まれる方向を示す。シース8が近位側の場所の方に、つまりデバイスハンドルの方に、引かれることが分かる。
【0036】
本実施形態では、円筒形遠位端構成要素4は、第1の複数のインプラント保持要素14を有する。第1の複数のインプラント保持要素14は、インプラント20の径方向内側を向く表面に係合するように円筒形遠位端構成要素4から径方向外側に突出し、これにより、シース8が引き込まれるとき、インプラント20がシース8によって円筒形遠位端構成要素4に対して近位側へ運ばれることを防止する。本実施形態では、第1の複数のインプラント保持要素14が、円筒形遠位端構成要素4の壁6の一部から形成される。さらに、第1の複数のインプラント保持要素は、シースが引き込まれる前にインプラントの径方向内側を向く表面に係合するように径方向外側に突出する形態をとるのに、形状記憶効果を利用するように構成される。
【0037】
具体的には、シース8の内側と内側カテーテル2の外側との間のインプラント20を受け入れる空間内で所定の径方向応力状態を維持するために、当該空間内に少なくとも1つの要素、好適には複数のインプラント保持要素14を有することが有利である。そのような空間は、様々な程度の径方向たわみの状態を達成する径方向の力を大きく変化させることなく、様々な程度の径方向たわみを受け入れることができる。複数のインプラント保持要素14の形状記憶効果がこの結果を達成する。複数のインプラント保持要素14の各々が、その荷重変形曲線(応力ひずみ曲線とも呼ばれる)内のプラトー領域を有する。インプラント保持要素は、内側カテーテル2の壁6から構築される。一実施形態では、内側カテーテル2がニチノール合金である。インプラント保持要素14が、ニチノール合金の超弾性特性および形状記憶特性のうちの少なくとも一方を利用するように構成される。好適には、円筒形遠位端構成要素4がニチノールで作られる。
【0038】
一実施形態で、第1の複数のインプラント保持要素14のうちの少なくとも1つのインプラント保持要素がフラップである。フラップがヒンジ16を備える。フラップが、円筒形遠位端構成要素4内の基線(root line; 換言すれば、根元)から遠位側に延在するように配置構成される。このようにして、インプラント20が近位方向に移動することが防止される。
【0039】
円筒形遠位端構成要素4は、第2の複数のインプラント保持要素18を有することができる(図6aおよび図6bを参照)。第2の複数のインプラント保持要素18は、インプラントが円筒形遠位端構成要素4に対して遠位側へ運ばれることを防止するために、インプラント20の径方向内側を向く表面に係合するように円筒形遠位端構成要素から径方向外側に突出するのに、形状記憶効果を利用するように構成される。こうして、インプラント20が遠位方向31に移動することが防止される。第2の複数のインプラント保持要素18は、第1の複数のインプラント保持要素14とは反対方向に方向付けられているという点で、第1の複数のインプラント保持要素14とは異なる。具体的には、フラップが、円筒形遠位端構成要素4内の基線から近位側に延在するように配置構成される。他のあらゆる点では、本発明の実施形態では、第2の複数のインプラント保持要素18は第1の複数のインプラント保持要素14と同じである。
【0040】
例えば遠位側フラップおよび近位側フラップなどの、第1の複数のインプラント保持要素14および第2の複数のインプラント保持要素18を備える実施形態では、インプラントが両方の方向31、33に移動することが防止され得る。
【0041】
図2および3に示される内側カテーテル2が、送達システムの遠位端31の方を向くインプラント保持要素14を示しており、言い換えると、径方向外側に突出する部分(例えば、フラップのたわみ部分)がヒンジ16に対して遠位側に位置する。このようにして、上述したように、インプラント保持特徴14は、シース8を後退させるときに、例えばステントまたはステントグラフトなどのインプラントが近位端33の方に移動するのを防止するように配置構成される。他の実施形態では(図6を参照)、近位方向33の方を向くように配置構成されたインプラント保持特徴18が提供される。言い換えると、径方向外側に突出する部分(例えば、フラップのたわみ部分)がヒンジ16に対して近位側に位置し、それにより、シース8を後退させるときにインプラントが遠位端31の方に移動するのを防止する。
【0042】
図6aに示される一実施形態では、両方の方向31、33の方を向くようにそれぞれ配置構成されたインプラント保持要素14、18が同じインプラント保持セクション30内に設けられ得、それにより、インプラント20が方向31または33に移動するのを防止する。このような配置構成は、内側カテーテル2上にインプラントを装填した後でシース8内でのインプラントの位置を正確に調整するために、インプラントを方向31または33に移動させる能力が所望される場合に、有利である。
【0043】
さらに図6aを参照すると、短いインプラントの場合、遠位端31の方を向く(第1の複数の保持要素14)および近位端33の方を向く(第2の複数の保持要素18)インプラント保持要素14が、それぞれ、内側カテーテル2上の同じインプラント保持セクション30内に配置構成され得る。一実施形態で、インプラント保持セクション30が複数の列を含む。インプラント保持要素14、18が、互い違いの方向を有する複数の列30として配置構成され得る。一実施形態では、第1の複数の保持要素14および第2の複数の保持要素18が、円筒形遠位端構成要素4の周りで円周方向に少なくとも1つの列30として配置構成され、ここでは、第1の複数の保持要素14および第2の複数の保持要素18が少なくとも1つの列に沿って交互に配置される。このような配置構成により、(内側カテーテル2に対してではなく)シース8に対してインプラント20の場所を近位方向および遠位方向の両方において調整することが可能となる。
【0044】
図6bを参照すると、長いインプラントの場合、一実施形態で、インプラント20の遠位端に対応する遠位側の場所のところにある第1のインプラント保持セクション30において、遠位方向31の方を向くインプラント保持要素14が設けられ、インプラント20の近位端に対応する相対的に近位側の場所のところにある第2のインプラント保持セクション36において、近位方向33の方を向くインプラント保持要素18が設けられる。一実施形態では、第1の複数の保持要素14が、インプラント20の遠位側領域によって受け入れられるように配置された、円筒形遠位端構成要素4上の場所のところに配設される。第2の複数の保持要素18が、インプラント20の近位側領域によって受け入れられるように配置された、円筒形遠位端構成要素4上の場所のところに配設される。こうすることで、インプラントの位置の調整中に内側カテーテル2の押し引きによりインプラント20がどちらの方向に移動させられる場合でも、インプラントは押されるのではなく引かれることが保証されるので、シース8内の座屈または不動化が防止される。
【0045】
図2を参照して、複数のインプラント保持要素の形状記憶特性および超弾性特性を説明する。図2aが、内側カテーテル2の一部分を形成する合金管を示す。図2aでは、インプラント保持要素14が弛緩位置にある。図2bが、図2aと同じ合金管を示す。図2bでは、インプラント保持要素14が圧縮位置にある。
【0046】
図2aおよび図2bはインプラント保持要素の形状を示している。例として、図2aおよび図2bでは、第1のインプラント保持要素14が示される。しかし、図2aおよび図2bに示されるインプラント保持要素の形状は、第1のインプラント保持要素14および第2のインプラント保持要素18の両方、ならびに、第1のインプラント保持要素14および第2のインプラント保持要素18のうちの複数の保持要素、のそれぞれに適用される。同様に、本明細書の以下における図2a、図2b、および図2cに関連する説明は、第1の(複数の)インプラント保持要素14および第2の(複数の)インプラント保持要素18のそれぞれに適用される。
【0047】
図2cは、具体的には図2aおよび図2bに示されるインプラント保持要素14である、合金管の応力ひずみ曲線を示すグラフである。図2aから図2cは、ヒンジ16のところのインプラント保持特徴14の応力を示している。ヒンジ16は、インプラント保持要素14のたわみの大部分がその周りで生じるセクション、例えば、フラップのたわみの場所である。図2aの実施形態のインプラント保持要素14はフラップである。本発明は、図4および図5を参照して示されて説明されるように、これのみに限定されない。
【0048】
図2の実施形態では、フラップが、例えばニチノールチューブで作られる内側カテーテル壁6から切り出されるものである。ニチノールチューブの壁が、インプラントを支持する内側カテーテル2として機能する。このフラップ形状の端部が、このフラップをそこから切り出しているところであるニチノール管の元の直径ODを距離デルタだけわずかに超えて延在する位置に設定される。結果として、図2aでは、フラップ14がそのヒンジ16において無応力となる。図2aで見ることができるように、延在するフラップを含めた管の幅がOD+デルタとなる。図2cは、初期のわずかな圧縮後、いったんヒンジの応力状態がグラフに示されるプラトー領域Cに達すると、広いたわみ範囲にわたって、インプラント保持要素14が比較的一定の外向きの力を作用させる状態を示している。図2cで見ることができるように、ポイントAが、図2aのインプラント保持要素14、18の応力ひずみ関係を示しており、ポイントBが、図2bのインプラント保持要素14の応力ひずみ関係を示している。プラトー領域Cでは、インプラント保持要素14、18のたわみに関係なく、インプラント保持要素14、18に発生する応力が一定である。
【0049】
次いで、カテーテルデバイスのための、例えばニチノール管である、形状記憶合金管を作る方法を説明する。一実施形態では、本方法が、形状記憶合金管2内にヒンジ16を形成することを含む。本方法が、ヒンジ16の周りで形状記憶合金管の一部分をたわませることと、形状記憶合金を加熱することにより、変形した部分を硬化させる(set)ことと、をさらに含む。図2aに示される実施形態では、たわみデルタが、形状記憶合金管がヒートセット(換言すれば、加熱硬化)される位置である。この位置では、形状記憶合金が、体温において、この部分をヒンジ16の周りで形状記憶合金管から径方向外側にたわませる形態をとることができる。図2aに示される実施形態では、この部分がヒンジ16の周りでたわみ、その結果、この部分が距離デルタだけ外側にたわむ。ヒンジの周りでたわむ合金管のこの部分がインプラント保持要素14である。
【0050】
形状記憶合金管が内側カテーテル2を形成する。ヒンジ16の周りでたわむ合金管のヒートセットされた部分がインプラント保持要素14を形成する。
【0051】
図2cのグラフは、インプラント保持要素のたわみの大きさ(x軸)に対してのインプラント保持要素のたわみ力(y軸)を示す。
【0052】
このたわみ位置で形状記憶合金管が加熱硬化されることで、合金管が加熱硬化された後のヒンジの応力がゼロとなる。図2aに示される加熱硬化された管のヒンジ部分は、その弛緩位置にある。図2cに示される応力ひずみ曲線では、ポイントA(矢印によって示される)が、図2aに描かれる加熱硬化された合金管のヒンジ部分の弛緩位置を示しており、ポイントB(矢印によって示される)が、図2bに描かれる加熱硬化された合金管のヒンジ部分の完全な圧縮位置を示している。完全な圧縮位置では、ヒンジの応力が最大となる。圧縮位置では、合金管の直径が元の直径ODに等しく、たわみ(デルタ)の大きさがゼロとなる。図2cのグラフから、インプラント保持要素14のたわみの大きさに関係なく、インプラント保持要素が発生するたわみ力が実質的に一定のままであるプラトー領域C(矢印によって示される)が存在することが分かる。従って、インプラント保持要素のたわみの程度に関係なく、つまり、インプラント保持要素14がインプラント20またはインプラントの被覆物の中へ延在する程度に関係なく、インプラント20またはインプラントの被覆物に作用する力が実質的に一定のままになり、その結果、シース8が引き込まれるときにインプラント20がより高い信頼性で保持され得るようになる。
【0053】
図2cに示されるように、例えばニチノール管である合金管が、ヒステリシスを呈する。圧縮分岐(compression branch)Dおよび拡張分岐(expansion branch)Eが存在することが分かる。両方の分岐にプラトー領域Cが存在する。上述したように、実施形態では、インプラント保持要素14、18が、このプラトー領域Cを利用する。この材料の応力ひずみ曲線は、AからBまたはBからAの変形の方向に応じて、異なる曲線分岐(curve branch)に従う。
【0054】
本発明の実施形態によれば、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテル組立体を組み立てる方法が存在する。カテーテル組立体が、形状記憶合金管2を備える内側カテーテル2と、シース8と、自己拡張インプラント20と、を備える。本方法が、自己拡張インプラント20を形状記憶合金管2の上に組み付けるステップ、を含み、組み付けステップにおいて、形状記憶合金管2は、自己拡張インプラント20により形状記憶合金管に加えられる径方向内側の圧力を、主にマルテンサイト双晶形成によって受け入れるのを可能にする温度におかれる。こうすることで、形状記憶合金管2が、内側カテーテル2上で自己拡張インプラント20を保持することを可能にする。
【0055】
インプラント保持要素の総数、そのサイズ、その密度つまりその円周方向および長手方向の間隔、その前縁部の形状および真円度、ならびに、ヒンジ16の設計によって決定されるその曲げ剛性が、装填中において、インプラントの位置決め中において、デバイスの取り扱い中において、追跡中において、および配備中において、繊細なインプラント被覆物を損傷させずに内側カテーテル2にインプラントを確実に固定するインプラント保持要素の能力に影響を与える。特定の用途および配備されることになるインプラントに応じて、インプラント保持要素の形状、数、および配置構成などが選択され得る。1つの配置構成が例として図3に示される。図4および図5が、本発明の実施形態によるインプラント保持特徴のいくつかの別の実施例を描いている。本明細書において以下で図4および図5をさらに詳細に説明する。
【0056】
別の実施形態では、少なくとも第1の複数のインプラント保持要素14および第2の複数のインプラント保持要素18、のうちの複数のインプラント保持要素が、円筒形遠位端構成要素4の長さに沿って配置構成され、その結果、少なくとも第1の複数のインプラント保持要素14および第2の複数のインプラント保持要素18によりインプラント20に作用する力が、インプラント20の長さに沿って均等に分布する。
【0057】
第1の複数のインプラント保持要素14および第2の複数のインプラント保持要素18は、必ずしも、圧縮されるインプラント20の両端部に配置されるわけではなく、代わりに、複数の保持要素の複数の組が長いインプラント20の長さに沿って配置されてもよく、これにより、いったん長いインプラント20の遠位端が配備されると、インプラント20の遠位端の下に配置された複数のインプラント保持要素14、18がインプラント20から脱係合するという事象に対処する。したがって、別の複数のインプラント保持要素が、さらに近位側に、インプラント20の最も近位側の端部のところではないが、配置されることができ、インプラント20を横切ってシース8が引き込まれている間、インプラント20の保持を引き継ぐように配置されてよい。
【0058】
さらに例えば図2を参照すると、フラップ14は、フラップ14がその周りでたわむように構成されるヒンジ部分16と、インプラントに係合するように構成された係合部分19と、を備えることができる。ヒンジ部分16が基線に沿って延在してよく、係合部分19が、インプラント20に接触するための接触線に沿って延在してよい。一実施形態では、ヒンジ部分16の基線が、円周方向において、係合部分19の接触線より短い。これにより、例えば繊細なePTFEコーティングで覆われている被覆インプラントなどのインプラント20に作用する力を、分散することができる。これにより、被覆物を損傷させることが回避され得る。一実施形態では、接触線の長さが基線の長さの最大2倍であってよい。これにより、繊細なePTFEコーティングの損傷を一層低減することができる。
【0059】
図3が、本発明の実施形態による内側カテーテルを示す。図3では、円筒形遠位端構成要素4が、インプラント20を受けるように配置構成される。インプラント20が円筒形遠位端構成要素4上に配設される。円筒形遠位端構成要素4は内側カテーテル2のインプラントセクションとも称され得る。なぜなら、円筒形遠位端構成要素4が、インプラントを受ける内側カテーテル2のセクションだからである。一実施形態で、円筒形遠位端構成要素4(インプラントセクション)が、図3に示されるように、ニチノール管から構築される。管が、インプラント保持特徴14を支持する複数のセクション30に分割されている。これらのセクション30は、ニチノール管の可撓性セクション32によって連結される。
【0060】
言い換えると、円筒形遠位端構成要素4が、第1の複数のインプラント保持要素14および/または第2の複数のインプラント保持要素18のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つのインプラント保持セクション30と、少なくとも1つの可撓性セクション32と、を備える。好適には、少なくとも1つの可撓性セクション32が、カルダニックジョイントを形成するためにジグザグに配置され円周方向に延在する複数のスリット34を備える。スリット34が、内側カテーテル2に、より高い曲げ能力を付与し、それにより、身体内の移植部位に到達するのが困難であるような特に蛇行しているルーメンに沿わせてカテーテルデバイスの遠位端を前進させるのを容易にする。スリット34はレーザー切断され得る。一実施形態では、図3を参照すると、少なくとも1つのインプラント保持セクション30および少なくとも1つの可撓性セクション32が、円筒形遠位端構成要素4の長さに沿って交互に配置されている。
【0061】
図4が種々の実施形態を示しており、さらに、本発明の種々の実施形態による、種々の保持構造部を示している種々の実施形態の種々の図を示している。図5が種々の別の実施形態を示しており、さらに、本発明の種々の実施形態による、種々の保持構造部を示している種々の実施形態の種々の図を示している。
【0062】
図4および図5で見ることができるように、インプラント保持要素14が多様な形状を有することができる。例えば、インプラント保持要素14が、フラップ(例えば、図4aおよび図4bを参照)、アーチ(図4bを参照)、シェブロン(図5bを参照)、バーブ(換言すれば、とげ)またはスパイク(図5a)の形状を有してよい。種々の形状は単独でまたは他の形状との組み合わせで使用され得る。
【0063】
より詳細には、図4および図5を参照すると、図4aからcならびに図5aおよびbが、インプラント保持特徴の種々の形状を示す。図4i)および図5i)が、それぞれ、各形状のための合金管の断面を示す。図4ii)および図5ii)が、それぞれ、各形状のための合金管の平面図を示す。図4iii)および図5iii)が、それぞれ、各々の形状のための合金管の側面図を示す。
【0064】
種々の形状がレーザー切断によって形成され得る。各々の種々の形状のためのレーザー切断箇所40が図4および図5に示される。適切なレーザー切断箇所40が作られると、所望の形状に応じて、インプラント保持特徴14が形状設定され(shape set)、その結果、インプラント保持特徴を合金管2に連結しているところであるヒンジ16から遠い方にある、例えばフラップの、一部分が、距離デルタだけ元の直径ODを超えてわずかに突出する。合金管2の本体からインプラント保持要素14が突出する角度は、その上にクリンプされるインプラント20によって保持要素が圧縮されるときに、合金管の本体に対してインプラント保持特徴14が接合されている、つまりヒンジ16でヒンジ接合されている領域16が、この材料の応力ひずみ曲線(図2cを参照)のプラトー領域C(図2cを参照)に入るように、調整される。例えば、この実施形態では、合金管がニチノール管である。インプラント保持特徴14は、ヒンジ16が、ニチノールの応力ひずみ曲線のプラトー領域に入るように形状設定される。こうして、第1の複数の保持要素14および/または第2の複数の保持要素18は、それぞれヒンジのたわみ範囲内で第1および/または第2の保持要素によってインプラントに作用する力がこのたわみ範囲にわたって実質的に等しくなるように、構成される。この構成の利点は、たわみとは無関係に、インプラントに作用する力が等しくなり、それにより公差がさほど重要ではなくなるということである。
【0065】
一実施形態では、ヒンジ部分16は、インプラント20に係合しているとき、実質的に、少なくとも第1および第2の複数のインプラント保持要素14の材料の応力ひずみ曲線のプラトー領域C内にあり、その結果、少なくとも第1および/または第2の複数のインプラント保持要素14が、円筒形遠位端構成要素4からの保持要素の突出量(たわみ量)に関係なくインプラント20に対してある程度同じ力を作用させるようになる。
【0066】
企図されるインプラント保持要素14、18の種々の形状に関して、一実施形態では、フラップ14が、円筒形遠位端構成要素4の円周の周りで円弧状に延在する。上述したように、第1の保持要素14および/または第2の保持要素18は、ヒンジ16の周りで第1の保持要素および/または第2の保持要素14がたわむ形態をとることができる。ヒンジ16はヒンジ部分16とも称され得る。
【0067】
一実施形態では、第1の複数の保持要素14および/または第2の複数の保持要素18が研磨されない。こうすることで、例えば非被覆ニチノールステントなどの、具体的には例えば非被覆ステントである、インプラントが、より効果的に保持され得る。なぜなら、インプラント保持要素14の比較的粗い表面が、非被覆ステントの構造により容易に係合され得るからである。
【0068】
一実施形態では、第1の複数のインプラント保持要素14および/または第2の複数のインプラント保持要素18が、壁の厚さの範囲内にあることができる。こうすることで、インプラント保持要素14、18がそれ自体では空間を必要とせず、したがって、カテーテルデバイスの直径が低減される。
【0069】
図7は、本発明の実施形態による保持構造部、および、本発明の実施形態による、形状記憶合金管を作る方法を示す。具体的には、図7aが、その中にインプラント保持特徴14が形成されることになる合金管の平面図を示す。図7に示される実施形態では、インプラント保持特徴14が、長さLを有するフラップの形態である。長さLが、ヒンジ16の基部(base)からレーザー切断箇所40の範囲まで、合金管2の長手方向に、延在する。図7aでは、一定の長さのワイヤ60が示される。ワイヤ60がインプラント保持要素14を形成するのに使用される。ワイヤ60を以下でより詳細に説明する。
【0070】
図7bが、ワイヤ60を有さない、図7aに示される合金管の断面を示す。図7bでは、レーザー切断箇所40を断面で見ることができる。フラップは、まだたわませられておらず、形状設定されていない。
【0071】
図7cが、図7aに示される合金管2の側面図を示し、図7dが、図7aに示される合金管2の断面を示す。
【0072】
図7aから7dを参照すると、フラップは、その自由端(ヒンジ16から遠くの方にある端部)が合金管2の元の直径ODを距離デルタだけ超えて突出するように形状設定されるよう、位置決めされ得ることが分かる。これが、図7a、7c、および7dに示されるように、一定の長さのワイヤ60を横断させて挿入することにより、達成され得る。図7に示される実施形態では、ニチノール材料のセクションが、単にフラップの端部を横切るような単一経路のレーザー切断部ではなく、フラップの両側のレーザー切断箇所40によって切除される。こうすることで、ワイヤ60を挿入する前にリフティングツールを容易に挿入することが達成される。インプラント保持要素14、18は、インプラントがその周りにクリンプされるときに、インプラント保持要素14、18のヒンジ部分16が、変形曲線のプラトー領域C(図2cを参照)に対応する応力状態にあるように、構築される。ヒンジ16の幅により、内側に圧縮されるときにフラップ14が発生することができる力のレベルが決定され、つまり、インプラント保持要素14、18の曲げ剛性が決定される。
【0073】
さらなる開示に、自己拡張管状インプラントを身体内の部位まで経腔的に送達するためのカテーテルデバイスが含まれる。本デバイスが、壁厚を有する円筒形遠位端構成要素を備える内側カテーテルを備え、円筒形遠位端構成要素が、使用時に、インプラントのルーメン内で受け入れられるように構成される。カテーテルデバイスが、内側カテーテルと同軸であるシースをさらに備え、シースは、使用時に、インプラントを部位で解放(配備)するためにインプラントおよび内側カテーテルに対してシースが近位側に引き込まれるまで、インプラントを保護するように構成され、円筒形遠位端構成要素は、インプラントの径方向内側を向く表面に係合するように円筒形遠位端構成要素から径方向外側に突出する第1の複数のインプラント保持要素を有し、これにより、シースが引き込まれるときに、インプラントがシースにより円筒形遠位端構成要素に対して近位側へ運ばれることが防止される。第1の複数のインプラント保持要素が円筒形遠位端構成要素の壁厚の範囲内にあることができる。第1の複数のインプラント保持要素が形状記憶能力を有し、体温において、シースが引き込まれる前に、インプラントの径方向内側を向く表面に係合するのに有効な、径方向外側に突出する形態をとるのに形状記憶効果を利用する。こうすることで、よりコンパクトなデバイスを達成することが可能となる。
【0074】
別の実施形態では、第1の複数のインプラント保持要素が、内側カテーテル上でインプラントが保管されるときの温度において、壁厚の範囲内にある。
【0075】
体温未満のオーステナイト終了(austenite finish)温度(Af温度)を有することが、室温でのデバイスの保管中に被覆されたインプラントの内壁に作用する力を低減するように働くことができる。この場合、閉じられたクリンプヘッドからシースまで、インプラントを移送するのに保持要素の「グリップ力」を使用することが所望されるときには、インプラントの装填がAf温度を超える温度で実施される。Af未満の温度での保管中、作用する径方向の力が低減され、これは有利である。なぜなら、ポリマーは時間依存の変形挙動(クリープ)を呈するものであり、したがって、保持要素によりインプラントの内部の被覆物に作用する持続性の圧力により被覆物が局部的に損傷する可能性があるからである。
【0076】
Afより高い体温でデバイスを配備するときには、保持要素によって作用する径方向の力の最大が利用可能である。
【0077】
本明細書で説明されるカテーテルデバイスは、インプラント20を身体内の移植部位に配備するのに医療施術者によって使用される。使用前、カテーテルデバイスがパッケージング(図示せず)内で保管される。施術者がパッケージングからカテーテルデバイスを取り出す。施術者が身体管腔に沿わせて移植部位までカテーテルデバイスを前進させる。移植部位に到達すると、施術者によりシース8が近位方向に引き込まれる。シース8を引き込むことにより、インプラント20が移植部位に配備される。
本発明は、上で示されて説明される実施形態のみに限定されない。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7-1】
図7-2】