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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】剃刀具
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/14 20060101AFI20240628BHJP
   B26B 21/40 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B26B21/14 B
B26B21/40 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023057898
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】523118864
【氏名又は名称】杉山 義祥
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義祥
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04083103(US,A)
【文献】実開昭62-069980(JP,U)
【文献】米国特許第03964160(US,A)
【文献】米国特許第05526568(US,A)
【文献】特開2002-331183(JP,A)
【文献】実開平02-146570(JP,U)
【文献】実開平03-119370(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する棒状の把持部と、剃刀部と、を備え、
前記剃刀部は、
前記把持部の延伸方向に対して斜めに延伸する刃先を持つ剃り刃と、
前記刃先を露出させた状態で前記剃り刃を保持する保持部と、
前記把持部の延伸方向と前記刃先の延伸方向とのなす角は調整可能であって、
回転軸が互いに直交し、一方が回転すると他方が回転する1組の歯車を備え、一方の前記歯車は前記把持部に備えられ、他方の前記歯車は前記剃刀部に備えられる回転伝達機構と、
前記把持部に備えられ、回転軸を有し、前記回転軸に取り付けられた前記歯車を所定角度ずつ回転させる駆動機構と、
前記把持部に備えられ、前記駆動機構を駆動するための指令信号を前記使用者の操作に基づいて生成するスイッチ部と、
前記把持部に備えられた制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スイッチ部により生成された前記指令信号を受信する受信部と、
前記受信部により前記指令信号が受信される度に前記駆動機構の前記歯車を所定角度回転させる駆動機構制御部と、
を備えることを特徴とする剃刀具。
【請求項2】
前記スイッチ部は、前記把持部の前記剃刀部が取り付けられた端部とは反対側の端面に設けられたプッシュスイッチであることを特徴とする請求項に記載の剃刀具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪、体毛、及び髭などを剃毛する剃刀具に関し、特に手動式の剃刀具に関する。
【背景技術】
【0002】
髪、体毛、及び髭などの剃毛に用いられる道具として、従来、電気シェーバーと手動式の剃刀具とがあることが知られている。現在では、電気シェーバーと剃刀具とはいずれも広く利用されている。剃刀具の例として特許文献1のものが挙げられる。
【0003】
剃刀具のメリットとして、電気シェーバーと比較して安価であり初期費用が抑えられる点が挙げられる。さらに、剃刀具は、電気シェーバーと比較して細かい動きができるため、剃毛の際の剃り残しを減らすことができるというメリットがある。特に、使用者は剃刀具の剃り刃の刃先の傾き加減を自在に調節することで、剃毛の際の剃り残しを減らすことができた。
【0004】
さらに、剃刀具の使用者は、剃刀具の剃り刃の刃先の傾き加減を調節して、剃刀具を移動させる方向に対して剃り刃の刃先を傾けることで切れ味を向上させることができた。
【0005】
しかし、使用者が剃り刃の刃先の傾き加減を一定に保ちながら剃刀具を使用することは難しく、剃刀具の切れ味の良い傾き加減を保ちながら使用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第775134号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、使用者は剃毛の際に剃刀具の剃り刃の刃先の傾きを所定の角度に保つことが容易である剃刀具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、第1の態様に係る剃刀具は、使用者が把持する棒状の把持部と、剃刀部と、を備え、剃刀部は、把持部の延伸方向に対して斜めに延伸する刃先を持つ剃り刃と、刃先を露出させた状態で剃り刃を保持する保持部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、第2の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、把持部の延伸方向と刃先の延伸方向とのなす角は調整可能であることとしてもよい。
【0010】
さらに、第3の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、剃刀部は、使用者の肌に接触する位置に配置され、把持部の延伸方向と同じ方向に延伸し肌に当たる方向に突出する線条に形成された、剃毛時の直進案内用の突出部を備えることとしてもよい。
【0011】
さらに、第4の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、剃刀部には、使用者の肌に接触する位置に配置され、肌と接触することにより回転し、把持部の延伸方向と同じ方向を回転方向とする、剃毛時の直進案内用のローラー部を備えることとしてもよい。
【0012】
さらに、第5の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、剃刀部は着脱可能であることとしてもよい。
【0013】
さらに、第6の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、剃刀部は、使用者の肌に接触する位置に水溶性樹脂を主成分とするスムーサーを備えることとしてもよい。
【0014】
さらに、第7の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、T字形状であることとしてもよい。
【0015】
さらに、第8の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、剃刀部は、刃先が平行になるように配置された複数の剃り刃を備えることとしてもよい。
【0016】
さらに、第9の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、把持部の先端部に設けられ、剃刀部が取り付けられる接続部と、剃刀部の刃先が露出する面とは反対の面に設けられる雌ねじ台と、接続部と雌ねじ台とを締結する固定ねじと、を備え、固定ねじの頭部は発光体を備えていることとしてもよい。
【0017】
さらに、第10の態様は、第2の態様に係る剃刀具において、回転軸が互いに直交し、一方が回転すると他方が回転する1組の歯車を備え、一方の歯車は把持部に備えられ、他方の歯車は剃刀部に備えられる回転伝達機構と、把持部に備えられ、回転軸を有し、回転軸に取り付けられた歯車を所定角度ずつ回転させる駆動機構と、把持部に備えられ、駆動機構を駆動するための指令信号を使用者の操作に基づいて生成するスイッチ部と、把持部に備えられた制御部と、を備え、制御部は、スイッチ部により生成された指令信号を受信する受信部と、受信部により指令信号が受信される度に駆動機構の歯車を所定角度回転させる駆動機構制御部と、を備えることとしてもよい。
【0018】
さらに、第11の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、剃刀部の剃毛時の使用者の肌に面する位置に設けられ、剃り刃の刃先が通過した後の領域に光を照射する照射部と、剃刀部の剃毛時の使用者の肌に面する位置であって剃毛時の剃刀部の進行方向に対する照射部の後方に設けられ、照射部からの照射光の肌からの反射光を検出し、剃毛時の剃刀部と共に移動することによって肌を走査し、肌のイメージ情報を導出するイメージ情報導出部と、把持部に備えられた制御部と、を備え、制御部は、イメージ情報導出部が導出したイメージ情報を取得するイメージ情報取得部と、イメージ情報取得部が取得したイメージ情報を画像解析して領域の剃り残しの有無を判定する剃り残し有無判定部と、剃り残し有無判定部によって領域に剃り残しが有ると判定した場合に使用者に剃り残しが有ることを知らせる剃り残し報知部と、を備えることとしてもよい。
【0019】
さらに、第12の態様は、第1の態様に係る剃刀具において、剃り刃に備えられ、使用者の毛を切断する際の剃り刃のひずみ量を電気信号に変換して検知するひずみ量検知部と、把持部に備えられた制御部と、を備え、制御部は、ひずみ量検知部によって検知されたひずみ量に基づくひずみ量情報を取得するひずみ量情報取得部と、ひずみ量情報取得部によって取得されたひずみ量情報の大きさが予め定めた閾値を超えるか否かを判定するひずみ量判定部と、ひずみ量判定部によってひずみ量情報が閾値を超えると判定された場合に、使用者に剃刀部は交換時期に来ていることを知らせる交換時期報知部と、を備えることとしてもよい。
【0020】
さらに、第13の態様は、第10の態様に係る剃刀具において、スイッチ部は、把持部の剃刀部が取り付けられた端部とは反対側の端面に設けられたプッシュスイッチであることとしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る剃刀具は、使用者が把持する棒状の把持部と、剃刀部と、を備え、剃刀部は、把持部の延伸方向に対して斜めに延伸する刃先を持つ剃り刃と、刃先を露出させた状態で剃り刃を保持する保持部と、を備えるので、使用者は剃毛の際の剃刀具の移動方向を把持部の延伸方向に合わせることを容易にできるので、剃毛の際に剃刀具の剃り刃の刃先の傾きを所定の角度に保つことが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係る剃刀具の正面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る剃刀具の背面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る剃刀具の分解斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る剃刀具の剃刀部の拡大斜視図である。
図5図5は、剃刀具における剃毛時において、毛の真上から刃先が当接する場合の毛に与える影響について説明する図である。
図6図6は、剃刀具における剃毛時において、毛の斜め上から刃先が当接する場合の毛に与える影響について説明する図である。
図7図7は、第1実施形態に係る剃刀具の側面図である。
図8図8は、第1実施形態に係る剃刀具の使用例について説明する図である。
図9図9は、第2実施形態に係る剃刀具の剃刀部の拡大正面図である。
図10図10は、第2実施形態に係る剃刀具の剃刀部の拡大斜視図である。
図11図11は、第3実施形態に係る剃刀具の剃刀部の拡大正面図である。
図12図12は、第3実施形態に係る剃刀具の剃刀部の拡大斜視図である。
図13図13は、第3実施形態に係る剃刀具のローター部の動作について説明するための図である。
図14図14は、第4実施形態に係る剃刀具のステッピングモータの制御ブロック図である。
図15図15は、第4実施形態に係る剃刀具のスイッチ部の拡大背面図である。
図16図16は、第5実施形態に係る剃刀具のスイッチ部の拡大図である。
図17図17は、第6実施形態に係る剃刀具の機能ブロック図である。
図18図18は、第7実施形態に係る剃刀具の機能ブロック図である。
図19図19は、第7実施形態に係る剃刀具のひずみ量検知部の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
(剃刀具10の構成について)
図1乃至図4図7を参照して、第1実施形態に係る剃刀具10の構成について説明する。
図1は第1実施形態に係る剃刀具10の正面図であり、図2は剃刀具10の背面図であり、図3は剃刀具10の分解斜視図であり、図4は剃刀具10の剃刀部11の拡大斜視図であり、図7は剃刀具10の側面図である。
【0024】
剃刀具10は、所謂、安全カミソリ、T字カミソリ、丁字カミソリなどと呼ばれ、皮膚表面の髪、体毛、髭などを剃毛するための刃物のことをいい、男性用、女性用、及び男女兼用とがある。
剃刀具10はT字型をしており、使用者が把持する棒状の把持部12がT字の縦棒に相当し、剃り刃20を含む剃刀部11がT字の横棒に相当する。
【0025】
剃刀具10は、使用者が把持する棒状の把持部12と、剃刀部11と、を備える。
剃刀部11は、把持部12の延伸方向に対して斜めに延伸する刃先20aを持つ剃り刃20を備え、刃先20aを露出させた状態で剃り刃20を保持する保持部11aを備える。
【0026】
また、剃刀部11は剃刀具10に対して着脱可能である。
これにより、剃り刃20の刃先20aが摩耗などして剃り味が鈍くなったときに、剃刀部11は新しいものに交換することができる。把持部12は繰り返し使用することのできる耐久性を具備する素材、例えば、金属、プラスチック樹脂などによって製作される。
【0027】
把持部12の延伸方向12bと刃先20aの延伸方向20bとのなす角θ(以下、単に、なす角θという)は調整可能である。
図1に示す様に、なす角θは鋭角(0°<θ<90°:図1(a))に調整することも、鈍角(90°<θ<180°:図1(b))に調整することもできる。また、なす角は直角(θ=90°)に調整することもできる。
【0028】
使用者は、自分の好みに合わせてなす角θを調節してもよい。また、使用者は、剃毛の場所によってなす角θを変えてもよい。例えば、使用者は、自身の顔の右半分と左半分とによってなす角θを変えてもよい。
【0029】
図2及び図3を参照して、剃刀部11は着脱可能であるとともに、なす角θは調整可能である構成について説明する。
剃刀部11は、剃り刃20の刃先20aが露出する面とは反対の面に雌ねじ台15を備える。雌ねじ台15は後述の接続部12aが接触する面に雌ねじ(不図示)が設けられている。
【0030】
把持部12の先端には接続部12aが設けられている。接続部12aには貫通穴12cが設けられている。貫通穴12cには後述の固定ねじ14のねじ部14aが挿通される。
固定ねじ14のねじ部14aは、貫通穴12cを貫通し、雌ねじを進むことで雌ねじと螺合する。固定ねじ14のねじ部14aが雌ねじに挿通され、頭部14bが接続部12aを雌ねじ台15に対して押圧することで、剃刀部11の雌ねじ台15と把持部12の接続部12aとは密着し締結される。
【0031】
接続部12aには座繰り穴12dが設けられている。雌ねじ台15と接続部12aとが締結される際、固定ねじ14の胴部14cは座繰り穴12dの内部に収められるため、固定ねじ14の頭部14bの裏面が接続部12aに当接する。このことにより、胴部14cの端面よりも面積の大きい頭部14bの裏面を用いて接続部12aを押圧するため、安定した押圧力により雌ねじ台15と接続部12aとを締結することができる。
【0032】
なす角θを変更する際は、固定ねじ14を回転させて接続部12aに対する押圧力を弱める若しくは除去することで、雌ねじ台15と接続部12aとの締結は解除されて、なす角θは変更可能となる。
剃刀部11を剃刀具10から取り外す際は、固定ねじ14を回転させて雌ねじ台15の雌ねじからねじ部14aを抜去することで剃刀部11の取り外しが可能となり、剃刀部11の交換が可能となる。
【0033】
図4を参照して、剃刀部11の構成について説明する。
剃刀部11は、刃先20aが平行になるように配置された複数の剃り刃20を備える。
本実施形態に係る剃刀具10は、4枚の剃り刃20を備える。なお、剃り刃20の数は4枚に限定されるものではなく、3枚以下、又は5枚以上であってもよい。
【0034】
剃刀部11の保持部11aには、開口部11bが設けられる。
剃り刃20は、肌の表面に対して所定の剃り角に保ちながら保持部11aに固定される。一般的な剃刀具10の剃り角は20°~30°に設定される。保持部11aは、開口部11bから4枚の刃先20aが露出するように剃り刃20を固定する。刃先20aの露出を制限することにより、剃り刃20が必要以上に肌に食い込むことを防止するものである。保持部11aは、剃り刃20の両端を固定金具17によって留めることで剃り刃20を所定位置に固定する。
【0035】
剃刀部11は、使用者の肌に接触する位置に水溶性樹脂を主成分とするスムーサー16を備える。
スムーサー16は、保持部11aに設けられた開口部11bの上部と下部とに設けられる。スムーサー16は、剃り刃20の刃先20aが肌の表面を滑らかに滑るようにするための潤滑材である。スムーサー16は水溶性であるため、水に溶けることで潤滑材として機能する。
【0036】
図5図6を参照して、剃刀具10の剃り刃20の刃先20aが毛18に対して真上から当接する場合の毛18に与える影響と、刃先20aが毛18に対して斜め上から当接する場合の毛18に与える影響とを比較する。図5は剃刀具10における剃毛時において毛18の真上から刃先20aが当接する場合の毛18に与える影響について説明する図であり、図6は剃刀具10における剃毛時において毛18の斜め上から刃先20aが当接する場合の毛18に与える影響について説明する図である。
【0037】
図5(a)に示す様に剃刀具10を矢印23の方向に動かして剃り刃20の刃先20aが毛18の真上から当接する場合、図5(b)に示す様に刃先20aの毛18に作用する力24は接点22から毛18の中心21を通る。従って、毛18に作用する力24は毛18を押し下げる方向にのみ作用する。
【0038】
図6(a)に示す様に剃刀具10を矢印23の方向に動かして剃り刃20の刃先20aが毛18の斜め上から当接する場合、図6(b)に示す様に刃先20aの毛18に作用する力24は分解されて接点22を作用点とする分力25が生じる。この分力25は毛18を横方向に移動させる。この毛18の横方向への移動は、剃り刃20の毛18に対する切れ味を良くするという効果を生じさせる。
【0039】
この効果は従来より知られており、一般的に刃物は刃先20aの延伸方向20bに引く動作を加えながら刃先20aを押し下げることで、刃物の切れ味が良くなることが知られている。これは、鋸が材料を切断する原理と同じであり、鋸を引く(若しくは押す)ことによって材料を切断するものである。剃り刃20の刃先20aは、鋸と同様に、例えば数百倍以上に拡大して観察すると鋸葉状になっていることが確認できる。
【0040】
従来の剃刀具において、剃り刃20の刃先20aの延伸方向20bと把持部12の延伸方向12bとは直交するものである。すなわち、図1に示す、把持部12の延伸方向12bと刃先20aの延伸方向20bとのなす角θは90°となる。
使用者が従来の剃刀具を用いて剃毛する場合、剃刀具の移動方向に対して把持部12の延伸方向12bを傾けることにより、図6に示す様に毛18に対して斜め上から剃り刃20の刃先20aを当接させることができる。従って、使用者は従来の剃刀具を用いても、切れ味を良くする使い方をすることはできる。しかしながら、使用者は剃刀具を用いて剃毛する際に、剃刀具の切れ味の良い角度に把持部12の延伸方向12bを合わせた状態で剃刀具を移動させるのは難しい。
【0041】
本実施形態に係る剃刀具10を用いて剃毛を行う場合、使用者は剃刀具10の移動方向を把持部12の延伸方向12bに合わせることは容易に行えるので、剃り刃20の刃先20aの延伸方向20bの傾きを所定の角度に保ちながら剃刀具10を移動させることがきる。
【0042】
第1実施形態に係る剃刀具10の使用者は、剃り刃20の刃先20aの傾き加減を一定に保った状態で、剃刀具10を直進移動させることが容易となる。剃り刃20の刃先20aの傾き加減を剃刀具10の剃り味が良くなる角度に予め設定することで、使用者は剃り味の良い状態で剃刀具10を使用することが容易となる。
なお、剃り刃20の刃先20aの傾き加減は、把持部12の延伸方向12bと刃先20aの延伸方向20bとのなす角θと同じ意味で用いられ、以下同様である。
【0043】
図7に示す様に、剃刀具10は、固定ねじ14の頭部14bは発光体(光源)19を備えている。
発光体19はLEDである。発光体19は光源としての特定の種別に限定されるものではなく、直流電気で発光する電球であってもよく、発光体19が備えられた固定ねじ14の頭部14bの位置が分かりやすくなるように光を発する光源としての役割を担うものであればよい。
【0044】
図8に示す様に、使用者28がマスク26をしており口の周りを覆っている場合に、マスク26ごしから固定ねじ14の頭部14bの位置が分かり、使用者は剃刀具10を利用してどの辺りの髭を剃っているのかを把握することがでる。
【0045】
(第2実施形態)
図9図10を参照して、第2実施形態に係る剃刀具30について説明する。図9は第2実施形態に係る剃刀具30の剃刀部31の拡大正面図であり、図10は剃刀具30の剃刀部31の拡大斜視図である。
【0046】
第2実施形態に係る剃刀具30は、第1実施形態に係る剃刀具10に対して突出部32を備える点で異なる。第2実施形態に係る剃刀具30の説明において、第1実施形態に係る剃刀具10と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態に係る剃刀具10と共通する部分については第1実施形態の剃刀具10の説明で用いた符号を付してその説明は省略する。
【0047】
第2実施形態に係る剃刀具30の剃刀部31は、第1実施形態に係る剃刀具10の剃刀部11に相当する。
剃刀部31は、使用者の肌に接触する位置に配置され、把持部12の延伸方向と同じ方向に延伸し肌に当たる方向に突出する線条に形成された、剃毛時の直進案内用の突出部32を備える。
【0048】
剃刀部31は保持部31aを備える。
保持部31aは開口部31b及び平坦部31cが設けられている。
剃り刃20は、肌の表面に対して所定の剃り角に保ちながら保持部31aに固定される。保持部31aは、開口部31bから4枚の刃先20aが露出するように剃り刃20を固定する。保持部31aは、剃り刃20の両端を固定金具17によって留めることで剃り刃20を所定位置に固定する。
【0049】
保持部31aは、平坦部31cに5個の突出部32を備える。突出部32の個数は5個に限定されるものでは無く、剃毛時において剃刀部31の直進案内に寄与することを目的として適宜決定されるものである。
【0050】
突出部32は、平坦部31cの表面に対して鉛直に立設され、把持部12の延伸方向12bと同じ方向に延設される。突出部32は、剃毛時に使用者の肌に食い込みながら当該肌の表面を滑り移動する。突出部32は線条に形成されているため、把持部12の延伸方向12bに進み易く、延伸方向12bと直交する方向への移動は規制される。このことが、剃刀部31を突出部32が延設する方向、即ち、把持部12の延伸方向12bに移動するように案内する。従って、剃毛時に使用者が剃刀具30を把持部12の延伸方向12bに沿って動かす際に、突出部32は、剃刀部31が把持部12の延伸方向12bに沿って直進移動するように案内する役割を担う。スムーサー16は、突出部32が肌表面を滑り移動し易いように寄与するものである。
【0051】
第2実施形態に係る剃刀具30は、突出部32を備えることで、使用者が把持部12の延伸方向12bに沿って剃刀具30を直進移動するように案内することができる。これにより、使用者は、剃り刃20の刃先20aの傾き加減を一定に保った状態で、剃刀具30を直進移動させることが容易となる。剃り刃20の刃先20aの傾き加減を剃刀具30の剃り味が良くなる角度に予め設定することで、使用者は剃り味の良い状態で剃刀具30を使用することが容易となる。
【0052】
(第3実施形態)
図11乃至図13を参照して、第3実施形態に係る剃刀具40について説明する。図11は第3実施形態に係る剃刀具40の剃刀部の拡大正面図であり、図12は剃刀具40の剃刀部41の拡大斜視図であり、図13は剃刀具40のローラー部42の動作について説明するための図である。
【0053】
第3実施形態に係る剃刀具40は、第1実施形態に係る剃刀具10に対してローラー部42を備える点で異なり、第2実施形態に係る剃刀具30に対して突出部32に替えてローラー部42を備える点で異なる。第3実施形態に係る剃刀具40の説明において、第1実施形態に係る剃刀具10と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態に係る剃刀具10と共通する部分については第1実施形態の剃刀具10の説明で用いた符号を付してその説明は省略する。
【0054】
第3実施形態に係る剃刀具40の剃刀部41は、第1実施形態に係る剃刀具10の剃刀部11に相当する。
剃刀部41は、使用者の肌に接触する位置に配置され、肌と接触することにより回転し、把持部12の延伸方向12bと同じ方向を回転方向42cとする、剃毛時の直進案内用のローラー部42を備える。
【0055】
剃刀部41は、保持部41aと2個のローラー部42とを備える。
ローラー部42の数は2個に限定されるものではなく、1個でもよいし3個以上であってもよい。
【0056】
保持部41aは、開口部41b、平坦部41c、及びローラー用開口部41dが設けられている。
剃り刃20は、肌の表面に対して所定の剃り角に保ちながら保持部41aに固定される。保持部41aは、開口部41bから4枚の刃先20aが露出するように剃り刃20を固定する。保持部41aは、剃り刃20の両端を固定金具17によって留めることで剃り刃20を所定位置に固定する。
【0057】
ローラー部42は、円筒形状の胴体部42aと回転軸42bとを備える。回転軸42bは、胴体部42aの中心線上に設けられる。胴体部42aの表面は、滑り止め加工が施されており、肌との間に生じる摩擦により回転する。滑り止め加工の例として、胴体部42aの表面に凹凸を形成するエンボス加工を施す、又は当該表面を軟質性ゴム若しくはスポンジで覆うなどの加工を施す。
【0058】
ローラー部42は、ローラー用開口部41dから胴体部42aの側面の一部を露出させた状態で保持部41aに回転自在に保持される。回転軸42bは、その両端を自在に回転できる状態で保持部41aに固定される。
【0059】
ローラー部42は、回転方向42cが把持部12の延伸方向12bと一致するように保持部41aに保持されており、剃毛時に使用者が剃刀具40を把持部12の延伸方向12bに沿って動かすことで、回転方向42cに滑らかに回転する。従って、剃毛時に使用者が剃刀具40を把持部12の延伸方向12bに対して斜めに動かすと、ローラー部42は滑らかに回転することができない。
【0060】
よって、ローラー部42は、使用者が把持部12の延伸方向12bに沿って剃刀具40を移動させない場合に滑らかに回転しないので、剃刀具40の把持部12の延伸方向12bに沿わない移動を規制するものであり、ローラー部42は使用者の剃刀具40の移動を把持部12の延伸方向12bに沿うように案内する。
【0061】
第3実施形態に係る剃刀具40は、ローラー部42を備えることで、使用者が把持部12の延伸方向12bに沿って剃刀具40を直進移動するように案内することができる。これにより、使用者は、剃り刃20の刃先20aの傾き加減を一定に保った状態で、剃刀具40を直進移動させることが容易となる。剃り刃20の刃先20aの傾き加減を剃刀具40の剃り味が良くなる角度に予め設定することで、使用者は剃り味の良い状態で剃刀具40を使用することが容易となる。
【0062】
(第4実施形態)
図14図15を参照して、第4実施形態に係る剃刀具50について説明する。図14は第4実施形態に係る剃刀具50のステッピングモータ57aの制御ブロック図であり、図15は剃刀具50のスイッチ部58の拡大背面図である。
【0063】
第4実施形態に係る剃刀具50は、第1実施形態に係る剃刀具10に対して回転伝達機構56、駆動機構57、制御部57b、スイッチ部58を備える点で異なる。第4実施形態に係る剃刀具50の説明において、第1実施形態に係る剃刀具10と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態に係る剃刀具10と共通する部分については第1実施形態の剃刀具10の説明で用いた符号を付してその説明は省略する。
【0064】
第4実施形態に係る剃刀具50は、使用者がスイッチ部58を操作することによって、なす角θの大きさを調節することができる。なお、第4実施形態に係るなす角θは、把持部52の延伸方向と刃先20aの延伸方向とのなす角のことである。
第4実施形態に係る剃刀具50は、回転伝達機構56、駆動機構57、制御部57b、及びスイッチ部58を備える。
【0065】
回転伝達機構56は、回転軸が互いに直交し、一方が回転すると他方が回転する1組の歯車(第1歯車56a、第2歯車56b)を備え、一方の歯車(第1歯車)56aは把持部52に備えられ、他方の歯車(第2歯車)56bは剃刀部51に備えられる。
1組の歯車(第1歯車56a、第2歯車56b)は、2個のかさ歯車によって構成される。かさ歯車は、直角に交差する2軸間での回転の伝達に使用され、歯車自体の歯付き面が円錐形になっている。
【0066】
なお、回転伝達機構56は、2個のかさ歯車によって構成される場合に限定されるものではなく、例えばウォームギアを用いてもよい。ウォームギアは、ウォームとウォームホイールとの組み合わせである。ウォームは丸棒にねじを形成したものであり、ウォームホイールは、ウォームに直角に噛み合う歯幅の薄いはずば歯車のことである。回転伝達機構56にウォームギアを用いる場合は、ウォームを第1歯車56aとし、ウォームホイールを第2歯車56bとして用いる。
【0067】
回転伝達機構56は回転軸56cを備える。回転軸56cは、後述の駆動機構57のステッピングモータ57aの回転軸56cであり、その先端部を第1歯車56aに接続されている。
駆動機構57は、把持部52に備えられ、回転軸56cを有し、回転軸56cに取り付けられた歯車(第1歯車56a)を所定角度ずつ回転させる。
【0068】
駆動機構57は、ステッピングモータ57aと制御部57bであるモータドライバとを備える。モータドライバは後述の指令信号が入力されるたびに、ステッピングモータ57aの回転軸56cを所定角度ずつ回転させる。例えば、ステッピングモータ57aは1個の指令信号ごとに5°ずつ回転軸56cを回転させるものとし以下説明する。
【0069】
制御部57bは把持部52に備えられる。
制御部57bは、予め用意されたファームウエアを実行することで、受信部57cと駆動機構制御部57dを機能部として備える。
受信部57cはスイッチ部58により生成された指令信号を受信する。駆動機構制御部57dは受信部57cにより指令信号が受信される度に駆動機構57の第1歯車56aを所定角度回転させる。
【0070】
スイッチ部58は、把持部52に備えられ、駆動機構57を駆動するための指令信号を使用者の操作に基づいて生成する。
スイッチ部58について、図15を参照して説明する。図15は、第4実施形態に係る剃刀具50のスイッチ部58の拡大背面図である。
【0071】
スイッチ部58は、スライドスイッチ58aと目盛り58cとを備える。
目盛り58cは、目盛り線が刻まれ、中央値として「0」58dが刻まれ、最大値として「+」58eが刻まれ、最小値として「-」58fが刻まれる。スライドスイッチ58aに設けられた指示部58bが「0」58dに位置する場合になす角θが90°となる。指示部58bが「+」58eに位置する場合になす角θが最大となる。指示部58bが「-」58fに位置する場合になす角θが最少となる。
【0072】
スイッチ部58は、指示部58bが「+」58e方向に1目盛りずつ動かすたびになす角θが5°増える方向の指令信号を一つずつ生成する。従って、指示部58bが「+」58e方向に2目盛り動かした場合、スイッチ部58は2個の指令信号を生成しなす角は100°となる。
【0073】
スイッチ部58は、指示部58bが「-」58f方向に1目盛りずつ動かすたびになす角θが5°減る方向の指令信号を一つずつ生成する。従って、指示部58bが「-」58f方向に2目盛り動かした場合、スイッチ部58は2個の指令信号を生成しなす角は80°となる。
【0074】
剃刀具50は、電源(不図示)を把持部52に内蔵し、ステッピングモータ57a、制御部57b、及びスイッチ部58を駆動する。電源は、乾電池、又は充電式二次電池などを使用することができる。
【0075】
第4実施形態に係る剃刀具50によれば、使用者は手元のスイッチ部58を操作することで剃刀部51の傾き加減(把持部52の延伸方向と刃先20aの延伸方向とのなす角θ)を調整することができる。さらに、スイッチ部58はスライドスイッチ方式が採用されているため、使用者はスライドスイッチ58aの停止位置を直感的に操作してなす角θを調整することが可能となる。
【0076】
(第5実施形態)
次に図16を参照して第5実施形態に係る剃刀具60について説明する。図16は、第5実施形態に係る剃刀具60のスイッチ部63の拡大図である。
第5実施形態に係る剃刀具60は、第4実施形態に係る剃刀具50に対してスライドスイッチ方式のスイッチ部58に代えてプッシュスイッチ方式のスイッチ部63を備える点で異なる。第5実施形態に係る剃刀具60の説明において、第4実施形態に係る剃刀具50と異なる部分についてのみ説明し、第4実施形態に係る剃刀具50と共通する部分についてはその説明は省略する。
【0077】
第5実施形態に係る剃刀具60は、使用者がスイッチ部63を操作することによって、なす角θの大きさを調節することができる。なお、第5実施形態に係るなす角θは、把持部52の延伸方向と刃先20aの延伸方向とのなす角のことである。
【0078】
スイッチ部63は、把持部62の剃刀部が取り付けられた端部とは反対側の端面62aに設けられたプッシュスイッチである。
スイッチ部63は、Aボタン63aが1回押されるたびになす角θが5°増える方向の指令信号を一つずつ生成する。スイッチ部63は、Bボタン63bが1回押されるたびになす角θが5°減る方向の指令信号を一つずつ生成する。
【0079】
従って、剃刀具60の把持部62の延長方向と剃り刃20の刃先20aの延長方向とのなす角θが例えば90°の状態からAボタン63aを2回押すとなす角θは100°となる。また、剃刀具60の把持部62の延長方向と剃り刃20の刃先20aの延長方向とのなす角θが例えば90°の状態からBボタン63bを2回押すとなす角θは80°となる。
【0080】
第5実施形態に係る剃刀具60によれば、使用者は手元のスイッチ部63を操作することで剃刀具60の把持部62の延長方向と剃り刃20の刃先20aの延長方向とのなす角θを調整することができる。さらに、スイッチ部63は把持部62の端面62aに位置するため、剃刀具60を用いて剃毛する際に邪魔になることはなく、さらに、把持部62のデザインに制限をかすことがなく把持部62のデザインの自由度が向上する。
【0081】
(第6実施形態)
図17を参照して、第6実施形態に係る剃刀具70について説明する。図17は第6実施形態に係る剃刀具70の機能ブロック図である。
第6実施形態に係る剃刀具70は、第1実施形態に係る剃刀具10に対して、照射部71c、イメージ情報導出部71d、及び制御部73を備える点で異なる。第6実施形態に係る剃刀具70の説明において、第1実施形態に係る剃刀具10と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態に係る剃刀具10と共通する部分については第1実施形態の剃刀具10の説明で用いた符号を付してその説明は省略する。
【0082】
第6実施形態に係る剃刀具70は、剃毛時に剃り残しがある場合に使用者に報知するものである。
剃刀具70は、照射部71c、イメージ情報導出部71d、及び制御部73を備える。
【0083】
照射部71cは、剃刀部71の剃毛時の使用者の肌に面する位置に設けられ、剃り刃20の刃先20aが通過した後の領域に光を照射する。
照射部71cはLEDである。なお、照射部71cは、LEDに限定されるものでは無く、赤外光を照射する光源であってもよく、又はレーザー光を照射する光源であてもい。
【0084】
イメージ情報導出部71dは、剃刀部71の剃毛時の使用者の肌に面する位置であって剃毛時の剃刀部71の進行方向に対する照射部71cの後方に設けられ、照射部71cからの照射光の肌からの反射光を検出し、剃毛時の剃刀部71と共に移動することによって肌を走査し、肌のイメージ情報を導出する。
【0085】
イメージ情報導出部71dは、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)のラインセンサである。CCD及びCMOSは、共に光を電気信号に変える光電変換と呼ばれる性質を持つ撮像素子である。ラインセンサは、撮像素子を線状に高密度配置したセンサである。
イメージ情報導出部71dは、剃毛時に剃刀部71とともに移動することで使用者の肌のイメージ情報をラインとして捉えた画像を連続的に取り込むことで、剃り刃20の刃先20aが通過した後の領域のイメージ情報を導出する。
【0086】
制御部73は、把持部72に備えられる。
制御部73は、信号線74を介して照射部71c及びイメージ情報導出部に接続される。
制御部73は、予め用意されたファームウエアを実行することで、イメージ情報取得部73a、剃り残し有無判定部73b、及び剃り残し報知部73cを機能部として備える。
【0087】
イメージ情報取得部73aは、イメージ情報導出部71dが導出したイメージ情報を取得する。
剃り残し有無判定部73bは、イメージ情報取得部73aが取得したイメージ情報を画像解析して剃り刃20の刃先20aが通過した領域の剃り残しの有無を判定する。
画像解析は、画像分類、及び画像セグメンテーションなどの手法を用いる。
【0088】
画像分類は、画像に写っている物体が何かを判断する手法であり、イメージ情報取得部73aが取得したイメージ情報に写っている物体が何かを、物体の特徴をピクセル単位で抽出し、何が写っているのかを可視化して分類する。これにより、剃り残し有無判定部73bはイメージ情報に含まれるピクセルのうち、剃り残した毛が写っていると分類されたピクセルの全体に対する割合が予め定められた設定値を超えている場合に剃り残しが有ると判断する。
【0089】
画像セグメンテーションは、画像の領域に何があるのかを識別する手法であり、イメージ情報取得部73aが取得したイメージ情報のどの領域に何が有るかを識別する。剃り残し有無判定部73bはイメージ情報に含まれる領域のうち、どこからどこまでが剃り残した毛の領域であるかを分析し、剃り残した毛があると分析された領域がイメージ情報に含まれる全体の領域に対する割合が予め定められた設定値を超えている場合に剃り残しが有ると判定する。
【0090】
また、剃り残し有無判定部73bは、予め機械学習された学習モデルを用いて剃り刃20の刃先20aが通過した領域の剃り残しの有無を判定することとしてもよい。
学習モデルは、イメージ情報取得部73aが取得したイメージ情報と剃り残しの有無との対応関係を予め機械学習する。剃り残し有無判定部73bは、学習モデルにイメージ情報取得部73aが取得したイメージ情報を入力することで、当該領域に剃り残しが有るか否かを判定する。
【0091】
剃り残し報知部73cは、剃り残し有無判定部73bによって剃り刃20の刃先20aが通過した領域に剃り残しが有ると判定した場合に使用者に剃り残しが有ることを知らせる。
剃り残し報知部73cは、固定ねじ14の頭部14bに備えられた発光体19を発光させて、使用者に剃り残しが有ることを使用者に報知してもよい。また、図示しないブザーを鳴らすことで剃り残しが有ることを使用者に報知することもできる。
【0092】
剃刀具70は、電源(不図示)を把持部72に内蔵し、照射部71c、イメージ情報導出部71d、及び、制御部73を駆動する。電源は、乾電池、又は充電式二次電池などを使用することができる。
【0093】
第6実施形態に係る剃刀具70によれば、使用者は剃毛の結果、剃り残しが有ることに容易に気が付くことができる。さらに、使用者は剃刀具70が剃り残しを報知しなくなるまで剃毛を繰り返すことで、剃り残し無く剃毛をすることができる。
【0094】
(第7実施形態)
図18、19を参照して、第7実施形態に係る剃刀具80について説明する。
図18は第7実施形態に係る剃刀具80の機能ブロック図であり、図19は剃刀具70のひずみ量検知部85の構成を説明する図である。
【0095】
第7実施形態に係る剃刀具80は、第1実施形態に係る剃刀具10に対して、制御部83及びひずみ量検知部85を備える点で異なる。第7実施形態に係る剃刀具80の説明において、第1実施形態に係る剃刀具10と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態に係る剃刀具10と共通する部分については第1実施形態の剃刀具10の説明で用いた符号を付してその説明は省略する。
【0096】
第7実施形態に係る剃刀具80は、剃毛時に剃り刃20のひずみ量を検知して、ひずみ量が所定値を超えた場合に剃り味が悪くなったとして剃刀部71の交換を使用者に促すものである。
【0097】
剃刀具80は、制御部83及びひずみ量検知部85を備える。
ひずみ量検知部85は、剃り刃20に備えられ、使用者の毛を切断する際の剃り刃のひずみ量を電気信号に変換して検知する。
【0098】
ひずみ量検知部85はひずみゲージである。
図19を参照してひずみ量検知部85の構成について説明する。
ひずみ量検知部85は、抵抗パターン85a、リード線85b、ゲージベース85c、及び端子台86を備える。
抵抗パターン85aは、ゲージベース85cの表面に形成されたフォトエッチング加工した抵抗箔である。抵抗箔は電気抵抗体である。抵抗パターン85aの両端はリード線85bを介して端子台86の導体部86aに接続される。端子台86は固定金具17の表面に形成される。
【0099】
ひずみ量検知部85は、剃り刃20ごとに設けられる。図18では、ひずみ量検知部85は剃り刃20ごとに1台設置されているがこれに限らず、剃り刃20ごとに剃り刃20の延伸方向に沿うようにして複数台を設置してもよい。
ゲージベース85cが剃り刃20の表面に接着されることで、ひずみ量検知部85は剃り刃20の表面に固定される。剃り刃20のひずみは、ゲージベース85cのひずみとして伝達されて抵抗パターン85aの電気抵抗が変化する。
【0100】
剃り刃20は、剃り味が落ちてくると切断時の毛から受ける抵抗が大きくなる。剃り刃20は切断時の毛から受ける抵抗によって、その形状にひずみが生じる。ひずみ量検知部85は、剃り刃20の形状のひずみの大きさは剃り刃20の切断時の毛から受ける抵抗の大きさと相関性があるとみなして、剃り刃20が毛の切断時に受ける抵抗の大きさを、剃り刃20のひずみの大きさとして捉えるものである。ひずみ量検知部85が検知したひずみ量が所定値を超えた場合、剃り刃20の剃り味が落ちてきたと判断して剃刀部71の交換を使用者に促すものである。
【0101】
制御部83は、把持部82に備えられる。
制御部83は、信号線84を介して端子台86に接続される。
制御部83は、予め用意されたファームウエアを実行することで、ひずみ量情報取得部83a、ひずみ量判定部83b、及び交換時期報知部83cを機能部として備える。
【0102】
ひずみ量情報取得部83aは、ひずみ量検知部85によって検知されたひずみ量に基づくひずみ量情報を取得する。
ひずみ量情報は、抵抗パターン85aの両端に生じる電圧であり、当該電圧は剃り刃20のひずみ量の大きさと相関性がある。
【0103】
ひずみ量判定部83bは、ひずみ量情報取得部83aによって取得されたひずみ量情報の大きさが予め定めた閾値を超えるか否かを判定する。
交換時期報知部83cは、ひずみ量判定部83bによってひずみ量情報が閾値を超えると判定された場合に、使用者に剃刀部81は交換時期に来ていることを知らせる。
【0104】
交換時期報知部83cは、固定ねじ14の頭部14bに備えられた発光体19を発光させて、使用者に交換時期が到来したことを使用者に報知してもよい。また、図示しないブザーを鳴らすことで交換時期が到来したことを使用者に報知することもできる。
【0105】
剃刀部81の交換時期(使用期間)の目安は、剃刀部81のメーカーなどから提示される。しかし、この目安は、使用者の剃刀部81の使用頻度、又は毛の硬さなどの性質を考慮したものでは無いため、実際の剃刀部81の交換するべき時期とは異なっている場合がある。剃刀具80によれば、剃り刃20のひずみ量に基づいて、使用者の使用頻度、使用者の毛の性質など使用者の使用の実情に則した剃刀部81の交換時期を使用者に報知することができる。
【0106】
剃刀具80は、電源(不図示)を把持部82に内蔵し、制御部83、及びひずみ量検知部85を駆動する。電源は、乾電池、又は充電式二次電池などを使用することができる。
【0107】
第7実施形態に係る剃刀具80によれば、使用者が剃り味の悪くなったことに気が付かずに、剃り味の悪い剃刀具80を使い続けることを防止することができる。さらに、使用者は自分の感覚で剃り刃の良し悪しを判断していたところ、剃り刃20のひずみ量に基づいて剃り味を判断することができるので、一つの客観的な剃り味の判断材料を使用者は得ることができる。
【0108】
本開示は上記した第1乃至第7の実施形態に係る剃刀具10、30、40、50、60、70に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、若しくは応用例により実施可能である。
【0109】
上記した第1乃至第7の実施形態に係る剃刀具10、30、40、50、60、70は、使い捨てタイプであっても再利用タイプであってもよく、何れのタイプでも本件発明は適用可能である。再利用タイプの剃刀具は、剃り刃20の切れ味が鈍ってきたら、把持部12、52、62、72、82は交換することなく、剃刀部11、31、41、51、71、81のみを新しいものに交換するというものである。
【符号の説明】
【0110】
10 剃刀具
11 剃刀部
11a 保持部
11b 開口部
12 把持部
12a 接続部
12b 把持部の延伸方向
12c 貫通穴
12d 座繰り穴
14 固定ねじ
14a ねじ部
14b 頭部
14c 胴部
15 雌ねじ台
16 スムーサー
17 固定金具
18 毛
19 発光体(光源)
20 剃り刃
20a 刃先
20b 刃先の延伸方向
21 毛の中心
22 接点
23 矢印
24 毛に作用する力
25 分力
26 マスク
27 発光部
28 使用者
30 剃刀具(第2実施形態)
31 剃刀部
31a 保持部
31b 開口部
31c 平坦部
32 突出部
40 剃刀具(第3実施形態)
41 剃刀部
41a 保持部
41b 開口部
41c 平坦部
41d ローラー用開口部
42 ローラー部
42a 胴体部
42b 回転軸
42c 回転方向
50 剃刀具(第4実施形態)
51 剃刀部
51a 保持部
52 把持部
52a 接続部
55 雌ねじ台
56 回転伝達機構
56a 第1歯車
56b 第2歯車
56c 回転軸
57 駆動機構
57a ステッピングモータ
57b 制御部(モータドライバ)
57c 受信部
57d 駆動機構制御部
58 スイッチ部
58a スライドスイッチ
58b 指示部
58c 目盛り
58d なす角θ=90度
58e 最大なす角θ
58f 最少なす角θ
60 剃刀具(第5実施形態)
62 把持部
62a 端面
63 スイッチ部
63a Aボタン
63b Bボタン
70 剃刀具(第6実施形態)
71 剃刀部
71a 保持部
71b 開口部
71c 照射部
71d イメージ情報導出部
72 把持部
73 制御部
73a 光情報取得部
73b 剃り残し有無判定部
73c 剃り残し報知部
74 信号線
80 剃刀具(第7実施形態)
81 剃刀部
81a 保持部
81b 開口部
82 把持部
83 制御部
83a ひずみ量情報取得部
83b ひずみ量判定部
83c 交換時期報知部
84 信号線
85 ひずみ量検知部(ひずみゲージ)
85a 抵抗パターン
85b リード線
85c ゲージベース
86 端子台
86a 導体部
θ なす角
【要約】
【課題】 本発明は、使用者は剃毛の際に剃刀具の剃り刃の刃先の傾きを所定の角度に保つことが容易である剃刀具を提供することを目的とする。
【解決手段】 剃刀具は、使用者が把持する棒状の把持部と、剃刀部と、を備え、剃刀部は、把持部の延伸方向に対して斜めに延伸する刃先を持つ剃り刃と、刃先を露出させた状態で剃り刃を保持する保持部と、を備え、把持部の延伸方向と刃先の延伸方向とのなす角は調整可能であることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19