(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】トランジスタ回路及び電力変換回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240628BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240628BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H02M3/155 W
H02M3/155 C
(21)【出願番号】P 2023085406
(22)【出願日】2023-05-24
【審査請求日】2023-05-24
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521449407
【氏名又は名称】春木 昭憲
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】春木 昭憲
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-278542(JP,A)
【文献】特表2002-516489(JP,A)
【文献】国際公開第2014/123173(WO,A1)
【文献】特開2007-068353(JP,A)
【文献】特開2019-192690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に並列接続された複数のトランジスタであって、各々が、コレクタと、エミッタと、ベースと、を有し、前記ベースに入力される電流に応じて、前記コレクタと前記エミッタとの間の導通が制御される複数のトランジスタと、
各々の温度が
徐々に上昇するのに比例して各々の抵抗値が
徐々に増大する複数の測温抵抗体であって、前記複数のトランジスタの各々の前記ベースにそれぞれ電気的に接続され、且つ、前記複数のトランジスタに対してそれぞれ熱伝達可能に配置された複数の測温抵抗体と、を備え
、
前記複数のトランジスタのうち特定のトランジスタが異常発熱した場合に、前記複数の測温抵抗体のうち前記特定のトランジスタの前記ベースに電気的に接続された特定の測温抵抗体の温度が徐々に上昇するのに比例して、前記特定の測温抵抗体の抵抗値が徐々に増大することにより、前記特定のトランジスタに流れている電流の一部が、前記特定のトランジスタ以外の他のトランジスタに分流する
トランジスタ回路。
【請求項2】
互いに電気的に並列接続された複数の電力変換装置であって、各々が、入力端子と、出力端子と、前記出力端子から出力される電圧を設定するための電圧設定端子と、を有する複数の電力変換装置と、
各々の温度が
徐々に上昇するのに比例して各々の抵抗値が
徐々に増大する複数の測温抵抗体であって、前記複数の電力変換装置の各々の前記電圧設定端子にそれぞれ電気的に接続され、且つ、前記複数の電力変換装置に対してそれぞれ熱伝達可能に配置された複数の測温抵抗体と、を備え
、
前記複数の電力変換装置のうち特定の電力変換装置が異常発熱した場合に、前記複数の測温抵抗体のうち前記特定の電力変換装置の前記電圧設定端子に電気的に接続された特定の測温抵抗体の温度が徐々に上昇するのに比例して、前記特定の測温抵抗体の抵抗値が徐々に増大することにより、前記特定の電力変換装置に流れている電流の一部が、前記特定の電力変換装置以外の他の電力変換装置に分流する
電力変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタ回路及び電力変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに電気的に並列接続された複数のトランジスタを備えたトランジスタ回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したトランジスタ回路が搭載された機器等において比較的大きな電流を流す必要がある場合には、トランジスタ回路全体に各トランジスタの定格を超える電流を供給するケースがある。この場合、正常時には、トランジスタ回路全体に供給された電流が各トランジスタに分流されるため、各トランジスタには定格未満の電流が流れるようになる。
【0005】
しかしながら、個々のトランジスタの特性のバラツキにより、並列接続された複数のトランジスタのうち特定のトランジスタが異常発熱することがある。この時、当該特定のトランジスタのコレクタ-エミッタ間の電圧が低下することにより、当該特定のトランジスタのコレクタ-エミッタ間に流れる電流が増大する。これにより、当該特定のトランジスタがさらに発熱して、当該特定のトランジスタのコレクタ-エミッタ間の電流がさらに増大するという、いわゆる熱暴走が発生するおそれがある。そして、熱暴走したトランジスタに定格を超える電流が集中して流れることにより、当該トランジスタが破損するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、熱暴走の発生を抑制することができるトランジスタ回路及び電力変換回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るトランジスタ回路は、互いに電気的に並列接続された複数のトランジスタであって、各々が、コレクタと、エミッタと、ベースと、を有し、前記ベースに入力される電流に応じて、前記コレクタと前記エミッタとの間の導通が制御される複数のトランジスタと、各々の温度変化に比例して各々の抵抗値が変化する複数の測温抵抗体であって、前記複数のトランジスタの各々の前記ベースにそれぞれ電気的に接続された複数の測温抵抗体と、を備える。
【0008】
本態様によれば、複数のトランジスタの各々のベースにはそれぞれ、複数の測温抵抗体が電気的に接続されている。複数の測温抵抗体の各々は、温度変化に比例して抵抗値が変化する。これにより、仮に、並列接続された複数のトランジスタのうち特定のトランジスタが異常発熱した場合には、複数の測温抵抗体のうち特定のトランジスタのベースに電気的に接続された特定の測温抵抗体の温度が上昇して、特定の測温抵抗体の抵抗値が増大するようになる。このように特定の測温抵抗体の抵抗値が増大することにより、特定のトランジスタのベースに入力される電流が減少して、特定のトランジスタのコレクタとエミッタとの間に流れる電流が減少する。その結果、異常発熱により特定のトランジスタに集中していた電流の一部が、当該特定のトランジスタに電気的に並列接続された他のトランジスタに分流して、全てのトランジスタの各々に電流が均等に流れるようになる。したがって、仮にトランジスタ回路全体に各トランジスタの定格を超える電流を供給した場合であっても、各トランジスタで熱暴走が発生するのを抑制することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係る電力変換回路は、互いに電気的に並列接続された複数の電力変換装置であって、各々が、入力端子と、出力端子と、前記出力端子から出力される電圧を設定するための電圧設定端子と、を有する複数の電力変換装置と、各々の温度変化に比例して各々の抵抗値が変化する複数の測温抵抗体であって、前記複数の電力変換装置の各々の前記電圧設定端子にそれぞれ電気的に接続された複数の測温抵抗体と、を備える。
【0010】
本態様によれば、複数の電力変換装置の各々の電圧設定端子にはそれぞれ、複数の測温抵抗体が電気的に接続されている。複数の測温抵抗体の各々は、温度変化に比例して抵抗値が変化する。これにより、仮に、並列接続された複数の電力変換装置のうち特定の電力変換装置が異常発熱した場合には、複数の測温抵抗体のうち特定の電力変換装置の電圧設定端子に電気的に接続された特定の測温抵抗体の温度が上昇して、特定の測温抵抗体の抵抗値が増大するようになる。このように特定の測温抵抗体の抵抗値が増大することにより、特定の電力変換装置の出力端子から出力される電圧が低下する。その結果、異常発熱により特定の電力変換装置に集中していた電流の一部が、当該特定の電力変換装置に電気的に並列接続された他の電力変換装置に分流して、全ての電力変換装置の各々に電流が均等に流れるようになる。したがって、仮に電力変換回路全体に各電力変換装置の定格を超える電流を供給した場合であっても、各電力変換装置で熱暴走が発生するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係るトランジスタ回路等によれば、熱暴走の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係るトランジスタ回路の構成を示す図である。
【
図2】実施の形態2に係るトランジスタ回路の構成を示す図である。
【
図3】実施の形態3に係る電力変換回路の構成を示す図である。
【
図4】実施の形態3に係るDCDCコンバータの回路例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、特許請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0015】
また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0016】
(実施の形態1)
[1.トランジスタ回路の構成]
図1を参照しながら、実施の形態1に係るトランジスタ回路2の構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係るトランジスタ回路2の構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、トランジスタ回路2は、複数のトランジスタ4(4a,4b,4c)と、複数の測温抵抗体6(6a,6b,6c)と、複数の調整用抵抗体8(8a,8b,8c)とを備えている。なお、トランジスタ回路2は、例えば家庭用又は産業用の各種機器等に搭載される。
【0018】
複数のトランジスタ4の各々は、NPN型のバイポーラトランジスタであり、コレクタ10と、エミッタ12と、ベース14とを有している。各トランジスタ4では、ベース14に入力される電流に応じて、コレクタ10とエミッタ12との間の導通が制御される。
【0019】
また、複数のトランジスタ4は、互いに電気的に並列接続されている。すなわち、複数のトランジスタ4の各々のコレクタ10が互いに電気的に接続され、且つ、複数のトランジスタ4の各々のエミッタ12が互いに電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、3個のトランジスタ4が互いに電気的に並列接続されるようにしたが、これに限定されず、2個又は4個以上のトランジスタ4が互いに電気的に並列接続されるようにしてもよい。
【0020】
複数の測温抵抗体6の各々は、当該測温抵抗体6の温度変化に比例して当該測温抵抗体6の抵抗値が変化する特性を有する抵抗体であり、一対の端子を有している。すなわち、各測温抵抗体6の温度が徐々に上昇するのに比例して、各測温抵抗体6の抵抗値が徐々に増大する。なお、測温抵抗体6の温度と抵抗値とが比例するとは、両者の間に厳密な数学的比例関係があるという意味だけではなく、測温抵抗体6の温度が上昇するのに従い、測温抵抗体6の抵抗値が漸増するという意味をも含む。複数の測温抵抗体6の各々は、上記の特性を有する金属、例えば白金、ニッケル及び銅のいずれかで形成されている。あるいは、複数の測温抵抗体6の各々は、例えば白金・コバルト希薄合金等の合金で形成されていてもよい。
【0021】
複数の測温抵抗体6はそれぞれ、複数のトランジスタ4の各々のベース14に電気的に接続されている。具体的には、各測温抵抗体6の一方の端子は、トランジスタ4のベース14に電気的に接続されている。また、
図1における一点鎖線の枠で示すように、各測温抵抗体6は、トランジスタ4に対して熱伝達可能に配置されている。これにより、トランジスタ4が発熱した場合には、当該トランジスタ4の熱が直接的に又は間接的に測温抵抗体6に伝達される。なお、各測温抵抗体6は、トランジスタ4のパッケージに直接接触していてもよいし、トランジスタ4のパッケージに熱伝導部材等を介して接触していてもよい。あるいは、測温抵抗体6は、トランジスタ4のパッケージの近傍に配置されていてもよい。
【0022】
複数の調整用抵抗体8の各々は、トランジスタ4のベース14-コレクタ10間における抵抗値(すなわち、測温抵抗体6及び調整用抵抗体8の合成抵抗の抵抗値)を調整するための抵抗体であり、一対の端子を有している。複数の調整用抵抗体8はそれぞれ、複数の測温抵抗体6に電気的に直列接続されている。具体的には、各調整用抵抗体8の一方の端子は、測温抵抗体6の他方の端子に電気的に接続され、且つ、各調整用抵抗体8の他方の端子は、トランジスタ4のコレクタ10に電気的に接続されている。
【0023】
[2.効果]
図1を参照しながら、上述したトランジスタ回路2により得られる効果について説明する。上述したトランジスタ回路2が搭載された機器等において比較的大きな電流を流す必要がある場合には、トランジスタ回路2全体に各トランジスタ4の定格を超える電流を供給するケースがある。この場合、正常時には、トランジスタ回路2全体に供給された電流が各トランジスタ4に分流されるため、各トランジスタ4には定格未満の電流が流れるようになる。
【0024】
しかしながら、個々のトランジスタ4の特性のバラツキにより、複数のトランジスタ4のうち1以上のトランジスタ4が異常発熱することがある。以下、複数のトランジスタ4a,4b,4cのうち例えばトランジスタ4aが異常発熱した場合について考える。この場合、トランジスタ4aの熱が測温抵抗体6aに伝達されることにより、測温抵抗体6aの温度が上昇し、これに伴って測温抵抗体6aの抵抗値が増大する。これにより、トランジスタ4aのベース14に入力される電流が減少するので、トランジスタ4aのコレクタ10-エミッタ12間に流れる電流が減少する。
【0025】
その結果、異常発熱したトランジスタ4aに集中していた電流の一部が、トランジスタ4aに電気的に並列接続された他のトランジスタ4b,4cの各々に分流し、全てのトランジスタ4a,4b,4cの各々に電流が均等に流れるようになる。したがって、仮にトランジスタ回路2全体に各トランジスタ4a,4b,4cの定格を超える電流を供給した場合であっても、各トランジスタ4a,4b,4cで熱暴走が発生するのを抑制することができる。
【0026】
(実施の形態2)
図2を参照しながら、実施の形態2に係るトランジスタ回路2Aの構成について説明する。
図2は、実施の形態2に係るトランジスタ回路2Aの構成を示す図である。なお、以下に示す各実施の形態において、上記実施の形態1の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0027】
図2に示すように、本実施の形態では、トランジスタ回路2Aの複数のトランジスタ4A(4Aa,4Ab,4Ac)の種類が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、複数のトランジスタ4Aの各々は、PNP型のバイポーラトランジスタであり、コレクタ10と、エミッタ12と、ベース14とを有している。
【0028】
また、本実施の形態では、複数の調整用抵抗体8(8a,8b,8c)の各接続が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、各調整用抵抗体8の一方の端子は、測温抵抗体6の他方の端子に電気的に接続され、且つ、各調整用抵抗体8の他方の端子は、グランドに電気的に接続されている。
【0029】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0030】
(実施の形態3)
[3-1.電圧変換回路の構成]
図3及び
図4を参照しながら、実施の形態3に係る電力変換回路16の構成について説明する。
図3は、実施の形態3に係る電力変換回路16の構成を示す図である。
図4は、実施の形態3に係るDCDCコンバータ18の回路例を示す図である。
【0031】
図3に示すように、電力変換回路16は、複数のDCDCコンバータ18(18a,18b)と、複数の測温抵抗体6(6a,6b)と、複数の調整用抵抗体8(8a,8b)とを備えている。なお、電力変換回路16は、例えば家庭用又は産業用の各種機器等に搭載される。
【0032】
複数のDCDCコンバータ18の各々は、直流電力を直流電力に変換するための電力変換装置であり、入力端子20と、出力端子22と、電圧設定端子24と、グランド端子26とを有している。入力端子20には、直流電圧が入力される。出力端子22は、入力端子20に入力された直流電圧の電圧値とは異なる電圧値の直流電圧を出力する。電圧設定端子24は、出力端子22から出力される直流電圧を設定するための端子である。具体的には、電圧設定端子24に電気的に接続された抵抗体(すなわち、測温抵抗体6a及び調整用抵抗体8aの合成抵抗)の抵抗値が増大するのに従って、出力端子22から出力される直流電圧の電圧値が低下する。なお、各DCDCコンバータ18の具体的な回路は、例えば
図4に示すように構成されている。
【0033】
また、複数のDCDCコンバータ18は、互いに電気的に並列接続されている。すなわち、複数のDCDCコンバータ18の各々の入力端子20が互いに電気的に接続され、且つ、複数のDCDCコンバータ18の各々の出力端子22が互いに電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、2個のDCDCコンバータ18が互いに電気的に並列接続されるようにしたが、これに限定されず、3個以上のDCDCコンバータ18が互いに電気的に並列接続されるようにしてもよい。
【0034】
複数の測温抵抗体6はそれぞれ、複数のDCDCコンバータ18の各々の電圧設定端子24に電気的に接続されている。具体的には、各測温抵抗体6の一方の端子は、DCDCコンバータ18の電圧設定端子24に電気的に接続されている。また、
図3における一点鎖線の枠で示すように、各測温抵抗体6は、DCDCコンバータ18に対して熱伝達可能に配置されている。これにより、DCDCコンバータ18が発熱した場合には、当該DCDCコンバータ18の熱が直接的に又は間接的に測温抵抗体6に伝達される。なお、各測温抵抗体6は、DCDCコンバータ18のパッケージに直接接触していてもよいし、DCDCコンバータ18のパッケージに熱伝導部材等を介して接触していてもよい。あるいは、測温抵抗体6は、DCDCコンバータ18のパッケージの近傍に配置されていてもよい。
【0035】
複数の調整用抵抗体8の各々は、電圧設定端子24に電気的に接続された抵抗体(すなわち、測温抵抗体6a及び調整用抵抗体8aの合成抵抗)の抵抗値を調整するための抵抗体であり、一対の端子を有している。複数の調整用抵抗体8はそれぞれ、複数の測温抵抗体6に電気的に直列接続されている。具体的には、各調整用抵抗体8の一方の端子は、測温抵抗体6の他方の端子に電気的に接続され、且つ、各調整用抵抗体8の他方の端子は、グランドに電気的に接続されている。
【0036】
[3-2.効果]
図3を参照しながら、上述した電力変換回路16により得られる効果について説明する。上述した電力変換回路16が搭載された機器等において比較的大きな電流を流す必要がある場合には、電力変換回路16全体に各DCDCコンバータ18の定格を超える電流を供給するケースがある。この場合、正常時には、電力変換回路16全体に供給された電流が各DCDCコンバータ18に分流されるため、各DCDCコンバータ18には定格未満の電流が流れるようになる。
【0037】
しかしながら、個々のDCDCコンバータ18の特性のバラツキにより、複数のDCDCコンバータ18のうち1以上のDCDCコンバータ18が異常発熱することがある。以下、複数のDCDCコンバータ18a,18bのうち例えばDCDCコンバータ18aが異常発熱した場合について考える。この場合、DCDCコンバータ18aの熱が測温抵抗体6aに伝達されることにより、測温抵抗体6aの温度が上昇し、これに伴って測温抵抗体6aの抵抗値が増大する。これにより、DCDCコンバータ18aの電圧設定端子24に電気的に接続された抵抗体(すなわち、測温抵抗体6a及び調整用抵抗体8aの合成抵抗)の抵抗値が増大するので、DCDCコンバータ18aの出力端子22から出力される直流電圧の電圧値が低下する。
【0038】
その結果、異常発熱したDCDCコンバータ18aに集中していた電流の一部が、DCDCコンバータ18aに電気的に並列接続された他のDCDCコンバータ18bに分流し、全てのDCDCコンバータ18a,18bの各々に電流が均等に流れるようになる。したがって、仮に電力変換回路16全体に各DCDCコンバータ18a,18bの定格を超える電流を供給した場合であっても、各DCDCコンバータ18a,18bで熱暴走が発生するのを抑制することができる。
【0039】
(他の変形例等)
以上、本発明の1つ又は複数の態様に係るトランジスタ回路及び電力変換回路について、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記各実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の1つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0040】
上記実施の形態3では、電力変換装置をDCDCコンバータ18で構成したが、これに限定されず、例えば交流電力を直流電力に変換するためのACDCコンバータ等で構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るトランジスタ回路及び電力変換回路は、例えば家庭用又は産業用の各種機器等に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
2,2A トランジスタ回路
4,4a,4b,4c,4A,4Aa,4Ab,4Ac トランジスタ
6,6a,6b,6c 測温抵抗体
8,8a,8b,8c 調整用抵抗体
10 コレクタ
12 エミッタ
14 ベース
16 電力変換回路
18,18a,18b DCDCコンバータ
20 入力端子
22 出力端子
24 電圧設定端子
26 グランド端子
【要約】
【課題】熱暴走の発生を抑制することができるトランジスタ回路を提供する。
【解決手段】トランジスタ回路2は、互いに電気的に並列接続された複数のトランジスタ4であって、各々が、コレクタ10と、エミッタ12と、ベース14とを有し、ベース14に入力される電流に応じて、コレクタ10とエミッタ12との間の導通が制御される複数のトランジスタ4と、各々の温度変化に比例して各々の抵抗値が変化する複数の測温抵抗体6であって、複数のトランジスタ4の各々のベース14にそれぞれ電気的に接続された複数の測温抵抗体6とを備える。
【選択図】
図1