(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240628BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240628BHJP
G03B 17/08 20210101ALI20240628BHJP
【FI】
G03B17/56 H
H04N23/52
G03B17/08
(21)【出願番号】P 2023113665
(22)【出願日】2023-07-11
【審査請求日】2023-07-11
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523263522
【氏名又は名称】リウ チョー アン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】リウ チョー アン
【審査官】東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】台湾特許出願公開第202131080(TW,A)
【文献】実開平7-41695(JP,U)
【文献】特開2000-171878(JP,A)
【文献】中国実用新案第213400003(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体手段と、上蓋と、撮影手段と、ガイド手段と、空気供給手段とを備え、遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置であって、
前記筐体手段は、ケースベースと、ケースベースから下へ延伸し、且つ、第1の軸線を囲む包囲壁と、前記包囲壁の下端に接続して前記ケースベースと前記包囲壁と共に配置空間を囲むボトムプレートと、前記配置空間内において前記ケースベースと前記ボトムプレートとの間に接続されると共に、前記第1の軸線を囲んで通路を画成するパイプ部材と、を有し、
前記上蓋は、前記通路に連通し、且つ、一部が上方に露出する撮影空間を前記ケースベースと共に囲むように前記ケースベースに取り付けられており、
前記撮影手段は、前記配置空間内に配置されると共に、前記撮影空間に面するカメラ本体を有し、
前記ガイド手段は、前記パイプ部材の下方に配置されて前記通路に連通する流路を画成し、
前記空気供給手段は前記ガイド手段内に配置されると共に、気体を前記流路と前記通路を経由して前記撮影空間に供給できるように構成されていることを特徴とする遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置。
【請求項2】
前記ガイド手段は、前記パイプ部材の下端に接続すると共に、前記第1の軸線を取り囲むコネクタパイプと、前記第1の軸線に対して斜めに延伸する第2の軸線を取り囲むように前記コネクタパイプから斜めに延伸するサイドパイプと、を有し、
前記流路は、前記コネクタパイプにより囲まれる液体排出路と、前記サイドパイプにより囲まれる空気供給路と、により構成され、
前記空気供給手段は、前記サイドパイプの前記コネクタパイプから離れた端部に配置されて空気を前記空気供給路内に送り込むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置。
【請求項3】
前記ケースベースは、
前記包囲壁の上端に連続し、且つ、前記包囲壁および前記ボトムプレートと共に前記配置空間を囲むボトム壁と、
前記ボトム壁の上端に連続し、且つ、互いに向かい合う2つの端部を有するように横断面がC字形になっている周壁と、
前記周壁の前記2つの端部から前記周壁の径方向に沿って前記ボトム壁の中央へ延伸し、且つ、前記ボトム壁及び前記上蓋と共に前記撮影空間を画成する扇形壁と、を有し、
前記パイプ部材は前記ボトム壁と前記ボトムプレートとの間に位置することを特徴とする請求項2に記載の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置。
【請求項4】
前記ケースベースは、
前記ボトム壁の上面に連続すると共に、前記撮影手段を覆うケースカバーを更に有し、
前記ケースカバーは、互いに反対する両面が前記カメラ本体と前記撮影空間とに面し、且つ、透明材料により形成される撮影ウィンドウを有することを特徴とする請求項3に記載の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置。
【請求項5】
前記ケースベースは、前記周壁の外側に取り付けられると共に前記上蓋が取り付けられるように構成されたラウンドシートを更に有することを特徴とする請求項3に記載の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置。
【請求項6】
前記撮影空間は、扇形を呈するように前記上蓋に形成されている開口を有することを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置。
【請求項7】
前記空気供給手段はファンであることを特徴とする請求項1に記載の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は埋め込み式電子装置に関し、特に、遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路上の駐車枠の隣の地面に配置されるのに用いられる従来の埋め込み式電子装置は、地面に埋め込まれるケースベースと、前記ケースベース内に配置されてナンバープレートの撮影に用いられる撮影モジュールとを有する。前記埋め込み式電子装置には排水不良のため撮影モジュールが汚れやすく、もしくはゴミによって遮蔽されたり傷つけられたり、あるいは水没するなどして、撮影品質が悪影響を受けやすい問題点がある。
【0003】
出願人はこの問題点を解決すべく、特許文献1に記載される「排水機能を持つ埋め込み式電子装置」を提案した。その排水機能を持つ埋め込み式電子装置は、固定手段と、撮影モジュールと、トップカバーとを備える。前記固定手段は、外筒と前記外筒の中に配置される内筒とを有し、前記外筒は外ボトムプレートと、前記外ボトムプレートから延伸する外側周壁と、前記外ボトムプレートに配置される排水管とを有する。前記内筒は内ボトムプレートと前記内ボトムプレートから延伸する内側周壁とを有する。前記撮影モジュールは前記内側周壁に固定配置されるケーシングとカメラ本体とを有する。前記トップカバーはトップ壁と前記トップ壁に連続すると共に、前記内側周壁外に取り付けられて且つ前記外側周壁に位置するスリーブ壁と、前記トップ壁と前記スリーブ壁との間に位置し、且つ互いに離れている2つの仕切りプレートとを有する。前記トップ壁と前記2つの仕切りプレート及び前記外筒は共に前記カメラ本体が外側に向けて撮影する撮影空間を画成する。前記排水機能を持つ埋め込み式電子装置は前記排水管により前記外筒内に流れ込んだ水を排出することができるので、内部に水が溜まるのを回避することが出来る。
【0004】
しかし、路上のがれき、ゴミ、あるいは落ち葉が前記埋め込み式電子装置の上方に落ちると、前記撮影モジュールを遮蔽するため前記撮影モジュールが撮影した前記ナンバープレートの視認性が落ちるので、人力により前記遮蔽物を排除しなければならず、不便でありコストも増える。そこで、上記欠点を改善すべく出願人は鋭意改良を続けた結果、より優れた埋め込み式電子装置の開発に漕ぎ着けた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】台湾特許出願公開第202131080号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は上記欠点を少なくとも1つ解決できる遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点に鑑みて、本発明は、筐体手段と、上蓋と、撮影手段と、ガイド手段と、空気供給手段とを備え、遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置を提供する。
【0008】
前記筐体手段は、ケースベースと、ケースベースから下へ延伸し、且つ、第1の軸線を囲む包囲壁と、前記包囲壁の下端に接続して前記ケースベースと前記包囲壁と共に配置空間を囲むボトムプレートと、前記配置空間内において前記ケースベースと前記ボトムプレートとの間に接続されると共に、前記第1の軸線を囲んで通路を画成するパイプ部材と、を有する。前記上蓋は、前記通路に連通し、且つ、一部が上方に露出する撮影空間を前記ケースベースと共に囲むように前記ケースベースに取り付けられている。前記撮影手段は、前記配置空間内に配置されると共に、前記撮影空間に面するカメラ本体を有する。前記ガイド手段は、前記パイプ部材の下方に配置されて前記通路に連通する流路を画成する。前記空気供給手段は前記ガイド手段内に配置されると共に、気体を前記流路と前記通路を経由して前記撮影空間に供給できるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記空気供給手段が、前記空気供給路と前記液体排出路と前記通路とを経由して空気を前記カメラ収容空間に送り込むことができ、これにより、前記撮影空間内に進入した遮蔽物を前記撮影空間から吹き飛ばすことができるので、前記撮影手段は常に前記撮影空間に向けて遮蔽物に阻まれずに撮影することができるので、本発明の目的を確実に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置の実施例の斜視図である。
【
図4】前記実施例のケースベースと、パイプ部材と、包囲壁と、ボトムプレートとが示される一部分解斜視図である。
【
図5】
図4と異なる角度で示される分解斜視図である。
【
図6】
図3におけるVI-VI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
具体的説明に入る前に、本発明において同じ役割を担う構成要素に関しては、全く同じものでなくても、同じ符号が振り分けられている。また、以下の説明における「前」、「後」、「左」、「右」などの用語は、各部材の間の相対的位置関係をわかりやすく説明するために用いられるものであり、本発明の構成を限定するものではない。
以下は各図面を用いて本出願について詳しく説明する。
【0012】
図1と
図2に示されるように、本発明の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置の実施例は、路上の駐車枠の隣の地面に埋め込まれるのに適し、駐車する自動車のナンバープレートを撮影し、且つ、制御システム(図示せず)と協働して計時して料金の徴収を行うためのものである。
【0013】
この遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置は、筐体手段1と、上蓋2と、撮影手段4と、ガイド手段5と、空気供給手段6とを備える。
【0014】
筐体手段1はケースベース11と、包囲壁12と、ボトムプレート13と、パイプ部材14とを有する。
【0015】
図2~
図4に示されるように、ケースベース11はボトム壁111と、ボトム壁111の上端に連続し、且つ、互いに向かい合う2つの端部113を有するように横断面がC字形になっている周壁112と、周壁112の2つの端部113からそれぞれ周壁112の径方向に沿ってボトム壁111の中央へ延伸する扇形壁114と、ボトム壁111の上端に連続し、且つ、透明材料により作成された撮影ウィンドウ116を有するケースカバー115と、周壁112の外側に取り付けられるラウンドシート117と、を有する。
【0016】
ボトム壁111は包囲壁12の上端に連続し、そして包囲壁12はケースベース11のボトム壁111から下方へ延伸すると共に第1の軸線L1を取り囲む。
【0017】
図3、
図5、
図6に示されるように、ボトムプレート13は包囲壁12の下端に連続し、且つ、ケースベース11のボトム壁111と包囲壁12と共に配置空間15を画成する。
【0018】
パイプ部材14は配置空間15内においてケースベース11とボトムプレート13との間に接続され、そしてパイプ部材14は第1の軸線L1を囲んで通路141を画成する。
【0019】
包囲壁12は取り外し可能にボトム壁111に取り付けられ、パイプ部材14はボトム壁111とボトムプレート13との間に取り付けられてボトム壁111から一体的に下方ヘ延伸してボトムプレート13から部分的に突出している。
【0020】
上蓋2はケースベース11を覆い、且つ、通路141に連通しながら地面に部分的に露出する撮影空間3をケースベース11と共に画成する。この実施例において、上蓋2は取り外し可能にラウンドシート117に取り付けられると共に、ボトム壁111と2つの扇形壁114と共に撮影空間3を画成する。撮影空間3は、扇形を呈するように上蓋2に形成され且つ地面に露出する開口31を有する。
【0021】
この実施例の他の変化例においては、ケースベース11と、パイプ部材14と、包囲壁12と、ボトムプレート13とは、他の接続形態で互いに接続して配置空間15と撮影空間3とを画成することも出来、本発明の範圍は上記構成に限定されるものではない。
【0022】
撮影手段4は配置空間15内に配置されると共に、撮影ウィンドウ116を通じて撮影空間3に向かって撮影し、且つ、ケースカバー115により覆われるカメラ本体41を有する。撮影ウィンドウ116の2つの反対する面は、カメラ本体41と撮影空間3とにそれぞれ面する。
【0023】
ガイド手段5は、パイプ部材14の下部に接続するようにパイプ部材14の下方に配置されると共に、第1の軸線L1を取り囲むコネクタパイプ51と、第1の軸線L1に対して斜めに延伸する第2の軸線L2を取り囲むようにコネクタパイプ51から斜めに延伸するサイドパイプ52と、を有する。
【0024】
コネクタパイプ51はサイドパイプ52と共に流路53を画成する。流路53は、通路141に連通し、且つコネクタパイプ51により囲まれる液体排出路531と、サイドパイプ52により囲まれて液体排出路531に連通する空気供給路532と、により構成される。
【0025】
液体排出路531は排水システム(図示せず)に連通するように構成されることができ、これにより撮影空間3に雨水や路面の汚水が流れ込んだ場合にも水を通路141及び液体排出路531を経由して排水システムに排出することができる。
【0026】
空気供給手段6はガイド手段5に配置される。より具体的には、空気供給手段6はサイドパイプ52のコネクタパイプ51から離れた端部に配置され、空気供給路532は空気供給手段6から第2の軸線L2に沿って斜め上へと液体排出路531まで延伸し、これにより空気供給手段6は空気を空気供給路532と液体排出路531と通路141とを経由して撮影空間3に送り込むように構成されている。サイドパイプ52はコネクタパイプ51に対して斜めに延伸する構成になっているので、カメラ収容空間3に流れ込んだ雨水や路面の汚水は空気供給路532内に流れることはなく、従って汚水や塵などの汚染物が空気供給手段6にかかったり、もしくは空気供給路532内に詰まったりするような状況が防がれ、これにより空気供給手段6が故障したり空気を供給する流れが滞ったりするような状況を回避することができる。この実施例において空気供給手段6は空気を定時的に送り出すように構成されたファンであるが、例えば撮影手段4により遮蔽物を検出した場合だけ空気を送り出すように構成されることも可能であり、そして必要に応じて異なる空気供給モードに設定されることも可能であるので、上記構成に限定されることはない。
【0027】
以上をまとめると、本発明の遮蔽物を排除できる埋め込み式電子装置は、空気供給手段6が空気供給路532と液体排出路531と通路141を経由して空気を撮影空間3に送り出すことにより、撮影空間3内に落ちた落ち葉など、カメラ本体41による撮影の妨げとなる遮蔽物を撮影空間3から吹き飛ばすことができるので、撮影手段4は常に撮影空間3に向けて駐車のナンバープレートを明晰に撮影することができるので、本発明の目的を確実に達成することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 筐体手段
11 ケースベース
111 ボトム壁
112 周壁
113 端部
114 扇形壁
115 ケースカバー
116 撮影ウィンドウ
117 ラウンドシート
12 包囲壁
13 ボトムプレート
14 パイプ部材
141 通路
15 配置空間
2 上蓋
3 撮影空間
31 開口
4 撮影手段
41 カメラ本体
5 ガイド手段
51 コネクタパイプ
52 サイドパイプ
53 流路
531 液体排出路
532 空気供給路
6 空気供給手段
L1 第1の軸線
L2 第2の軸線