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特許7511730制御装置、地中熱利用システム、制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】制御装置、地中熱利用システム、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20240628BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240628BHJP
   F24F 3/00 20060101ALI20240628BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240628BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240628BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20240628BHJP
   F24T 10/20 20180101ALI20240628BHJP
   F25B 30/06 20060101ALI20240628BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20240628BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20240628BHJP
   F24F 140/60 20180101ALN20240628BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F5/00 101A
F24F5/00 101Z
F24F3/00 B
F24F11/46
F24F11/64
F24F11/70
F24T10/20
F25B30/06 T
F24F110:12
F24F140:20
F24F140:60
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023136261
(22)【出願日】2023-08-24
【審査請求日】2023-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】三原 伸治
(72)【発明者】
【氏名】崔 林日
(72)【発明者】
【氏名】坂井 正頌
(72)【発明者】
【氏名】上田 憲治
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/234706(WO,A1)
【文献】特開2013-181676(JP,A)
【文献】国際公開第2022/234705(WO,A1)
【文献】特開2015-161463(JP,A)
【文献】特開2004-137748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/65
F24F 5/00
F24F 3/00
F24F 11/46
F24F 11/64
F24F 11/70
F24T 10/20
F25B 30/06
F24F 110/12
F24F 140/20
F24F 140/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを制御する制御装置であって、
前記地中熱利用システムを、
前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、
前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、
前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び
前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能とする運転制御部と、
前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出する算出部と、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測する予測部と、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するモード判定部と、
備え
前記運転制御部は、
前記第一蓄冷熱モード、又は前記第二蓄冷熱モードの実行時において、前記必要蓄冷量に比べて前記積算蓄冷量が大きい場合、前記冷水井戸への蓄冷量を抑制す
制御装置。
【請求項2】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを制御する制御装置であって、
前記地中熱利用システムを、
前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、
前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、
前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び
前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能とする運転制御部と、
前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出する算出部と、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測する予測部と、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するモード判定部と、
前記冷水井戸の揚水温度を取得する冷水温度取得部と、備え、
前記モード判定部は、
前記揚水温度が基準温度以下である場合、前記第一放冷熱モードで制御すべきと判定し、前記揚水温度が前記基準温度より高い場合、前記第二放冷熱モードで制御すべきと判定する、
制御装置。
【請求項3】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを制御する制御装置であって、
前記地中熱利用システムを、
前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、
前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、
前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び
前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能とする運転制御部と、
前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出する算出部と、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測する予測部と、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するモード判定部と、
前記冷水井戸の揚水温度を取得する冷水温度取得部と、備え、
前記モード判定部は、
デマンドカットが必要である場合、前記揚水温度に基づき、前記第一放冷熱モードで制御すべきか、前記第二放冷熱モードで制御すべきか判定する、
制御装置。
【請求項4】
外気温度を取得する外気温度取得部をさらに備え、
前記モード判定部は、
前記冷水井戸に前記冷熱を蓄える場合、前記外気温度に基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきかを判定する
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記冷水井戸の揚水温度を取得する冷水温度取得部をさらに備え、
前記モード判定部は、
前記冷水井戸に前記冷熱を蓄える場合、前記積算蓄冷量と前記冷水井戸の揚水温度に基づき、前記第一蓄冷熱モード又は前記第二蓄冷熱モードを実施すべきか否かを判定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記冷水井戸の揚水温度を取得する冷水温度取得部をさらに備え、
前記モード判定部は、
前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を前記機器に供給する場合、前記冷水井戸の揚水温度に基づき、前記第一放冷熱モードで制御すべきか、前記第二放冷熱モードで制御すべきか判定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記予測部は、
前記地中熱利用システムと前記機器とを含む空調設備に求められる電力量のうち、ピークカットすべき電力量の予測値を予測し、
前記運転制御部は、
前記第一蓄冷熱モード、又は前記第二蓄冷熱モードの実行時において、前記ピークカットすべき電力量の予測値よりも前記積算蓄冷量が大きい場合、前記冷水井戸への蓄冷量を抑制する
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第一放冷熱モード又は前記第二放冷熱モードの実行時において、前記機器に対し、常に前記冷熱を供給する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記熱源井戸設備と、
前記蓄熱補助設備と、
を備える
地中熱利用システム。
【請求項10】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムの前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、
を含み、
前記第一蓄冷熱モード、又は前記第二蓄冷熱モードの実行時において、前記必要蓄冷量に比べて前記積算蓄冷量が大きい場合、前記冷水井戸への蓄冷量を抑制する、
制御方法。
【請求項11】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムの前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、
前記冷水井戸の揚水温度を取得するステップと、
を含み、
前記揚水温度が基準温度以下である場合、前記第一放冷熱モードで制御すべきと判定し、前記揚水温度が前記基準温度より高い場合、前記第二放冷熱モードで制御すべきと判定する、
制御方法。
【請求項12】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムの前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、
前記冷水井戸の揚水温度を取得するステップと、
を含み、
デマンドカットが必要である場合、前記揚水温度に基づき、前記第一放冷熱モードで制御すべきか、前記第二放冷熱モードで制御すべきか判定する、
制御方法。
【請求項13】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムのコンピュータに、
前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、
を含み、
前記第一蓄冷熱モード、又は前記第二蓄冷熱モードの実行時において、前記必要蓄冷量に比べて前記積算蓄冷量が大きい場合、前記冷水井戸への蓄冷量を抑制する、
処理を実行させる
プログラム。
【請求項14】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムのコンピュータに、
前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、
前記冷水井戸の揚水温度を取得するステップと、
を含み、
前記揚水温度が基準温度以下である場合、前記第一放冷熱モードで制御すべきと判定し、前記揚水温度が前記基準温度より高い場合、前記第二放冷熱モードで制御すべきと判定する、
処理を実行させる、
プログラム。
【請求項15】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムのコンピュータに、
前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、
前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、
前記冷水井戸の揚水温度を取得するステップと、
を含み、
デマンドカットが必要である場合、前記揚水温度に基づき、前記第一放冷熱モードで制御すべきか、前記第二放冷熱モードで制御すべきか判定する、
処理を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、地中熱利用システム、制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地下水を温熱源又は冷熱源として利用する地中熱利用システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、温水井戸、冷水井戸、井戸側配管、及び井戸側配管に設けられたポンプを有する熱源井戸設備と、冷凍サイクルを有する熱源機と、熱源機と井戸側配管との間で熱交換可能な1次側冷媒回路と、熱源機と負荷の間で熱交換可能な2次側冷媒回路と、を備える地中熱利用システムが開示されている。このシステムでは、熱源機は、凝縮器及び蒸発器を備えている。この地中熱利用システムでは、季節に応じて、蓄冷熱運転モードと、放冷熱運転モードとで、モード切換が可能に構成されている。蓄冷熱運転モードは、熱源機の蒸発器と井戸側配管との間で熱交換するとともに、熱源機の凝縮器と負荷との間で熱交換する。放冷熱運転モードは、熱源機の凝縮器と井戸側配管との間で熱交換するとともに、熱源機の蒸発器と負荷との間で熱交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6857883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の地中熱利用システムでは、放冷熱運転モードで冷熱を放出するのに備え、夏期夜間、冬期等に蓄冷熱運転モードを実施することで、蓄熱量のバランスを維持しようとしている。しかしながら、放冷熱運転モードで運転を行う際、ピーク期で必要とされる熱量に対し、蓄冷熱運転モードで蓄えた冷熱が不足したり、余ったりすることがある。このため、帯水層の蓄熱量のバランスをとりにくいという課題がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる制御装置、地中熱利用システム、制御方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る制御装置は、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを制御する制御装置であって、前記地中熱利用システムを、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能とする運転制御部と、前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出する算出部と、
前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測する予測部と、前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するモード判定部と、備える。
【0008】
本開示に係る地中熱利用システムは、上記したような制御装置と、前記熱源井戸設備と、前記蓄熱補助設備と、を備える。
【0009】
本開示に係る制御方法は、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムの前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、を含む。
【0010】
本開示に係るプログラムは、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、冷却塔と熱源機とを含む蓄熱補助設備と、を備え、前記温水井戸に蓄えた温熱を、前記熱源機を介さず前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた冷熱を、前記熱源機を介さず前記冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、前記温水井戸に蓄えた前記温熱を、前記熱源機を介して前記冷却塔に供給し、前記冷却塔から得られた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び前記冷水井戸に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機を介して前記機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムのコンピュータに、前記冷水井戸に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、前記機器の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードで制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するステップと、を含む処理を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の制御装置、地中熱利用システム、制御方法、プログラムによれば、帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの概略構成を示す系統図である。
図2】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、第一蓄冷熱モードで運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
図3】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、第二蓄冷熱モードで運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
図4】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、第一放冷熱モードで運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムにおいて、第一放冷熱モードで運転を行う場合の地下水、媒体の流れを示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】本開示の実施形態に係る制御方法の流れを示すフローチャートである。
図8】本開示の実施形態に係る計算装置、制御装置がそれぞれ備えるコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示に係る地中熱利用システムの実施形態について、図1図8を参照して説明する。
(地中熱利用システムの構成)
図1に示すように、地中熱利用システム1は、熱源井戸設備10と、蓄熱補助設備100と、熱交換器4と、制御装置300(図6参照)と、を主に備える。
【0014】
(熱源井戸設備の構成)
図1に示すように、熱源井戸設備10は、温水井戸21と、冷水井戸22と、井戸側配管3と、ポンプ31と、を主に備える。
【0015】
温水井戸21、冷水井戸22は、それぞれ、地上から帯水層内に延びている。
温水井戸21、冷水井戸22は、それぞれ、帯水層の地下水を取り込んだり、温水井戸21、冷水井戸22の内部から帯水層へ地下水を戻したりできるように構成されている。
【0016】
熱源井戸設備10は、温水井戸21および冷水井戸22のうちの一方から地下水をくみ上げ、熱交換器4で熱交換を行った後、温水井戸21および冷水井戸22のうちの他方に熱交換後の地下水を注入する。つまり、熱源井戸設備10は、温水井戸21から地下水をくみ上げて冷水井戸22に注水する場合と、冷水井戸22から地下水をくみ上げて温水井戸21に注水する場合と、がある。
【0017】
井戸側配管3は、温水井戸21と冷水井戸22とを接続する。
井戸側配管3の両端は、温水井戸21、冷水井戸22の内部に延びている。
例えば、井戸側配管3は、温水井戸21と冷水井戸22とを接続するように、温水井戸21と冷水井戸22との各地下水に両端が浸漬されていてもよい。
【0018】
井戸側配管3には、ポンプ31が設けられている。
井戸側配管3の両端部には、ポンプ31がそれぞれ設けられている。
ポンプ31は、温水井戸21、冷水井戸22から井戸側配管3に揚水する。
例えば、ポンプ31は、井戸側配管3の両端に設けられ、温水井戸21、冷水井戸22内の地下水に浸漬されていてもよい。
例えば、ポンプ31は、インバータ制御により出力を変更できてもよい。
【0019】
熱交換器4は、井戸側配管3内の地下水と、蓄熱補助設備100側の後述の冷媒回路101内の媒体と、の間で熱交換する。
本実施形態において,熱交換器4は、第一熱交換器41と、第二熱交換器42と、を備えている。
第一熱交換器41、及び第二熱交換器42は、井戸側配管3に対して、直列に配置される。
第一熱交換器41、及び第二熱交換器42は、井戸側配管3に対して、個別に接続される。
第一熱交換器41の一方側、及び第二熱交換器42の一方側は、それぞれ、井戸側配管3の途中に接続される。
第一熱交換器41の他方側、及び第二熱交換器42の他方側は、それぞれ、後述の冷媒回路101に接続される。
第一熱交換器41、及び第二熱交換器42は、井戸側配管3との間に設けられた開閉弁(図示無し)を開閉することで、第一熱交換器41、及び第二熱交換器42のいずれか一方に、井戸側配管3内の地下水が流入し、熱交換がなされる。
【0020】
第一熱交換器41、及び第二熱交換器42の各々は、温水井戸21からくみ上げられて井戸側配管3内を流れる地下水と、蓄熱補助設備100側の媒体との間で熱交換する。熱交換が行われた後の地下水は、第一熱交換器41及び第二熱交換器42の各々から、井戸側配管3内を流れ、冷水井戸22に注水される。
第一熱交換器41、及び第二熱交換器42の各々は、冷水井戸22からくみ上げられて井戸側配管3内を流れる地下水と、蓄熱補助設備100側の媒体との間で熱交換する。熱交換が行われた後の地下水は、第一熱交換器41、及び第二熱交換器42の各々から井戸側配管3内を流れ、温水井戸21に注水される。
例えば、第一熱交換器41及び第二熱交換器42は、地上において、井戸側配管3の途中に設けられていてもよい。
【0021】
第一熱交換器41、及び第二熱交換器42の各々に対し、温水井戸21から地下水として温水が送り込まれる場合、第一熱交換器41、及び第二熱交換器42の各々は、蓄熱補助設備100側の媒体との熱交換により、温水を冷却して冷水とする。この冷水は、冷水井戸22に送り込まれる。この場合、温水井戸21では温熱を放出する放温熱を行い、冷水井戸22では、冷熱を蓄える蓄冷熱を行う。
第一熱交換器41、及び第二熱交換器42の各々に対し、冷水井戸22から地下水として冷水が送り込まれる場合、第一熱交換器41、及び第二熱交換器42の各々は、蓄熱補助設備100側の媒体との熱交換により、冷水が加熱されて温水となる。この温水は、温水井戸21に送り込まれる。この場合、冷水井戸22では冷熱を放熱する放冷熱を行い、温水井戸21では、温熱を蓄える蓄温熱を行う。
ここで「温水」とは、帯水層の地下水の初期地中温度より高い温度の水、又は帯水層の地下水の初期地中温度と同程度の温度の水のことであり、「冷水」とは、帯水層の地下水の初期地中温度より低い温度の水のことである。
例えば、帯水層の地下水の初期地中温度は18℃である。
【0022】
(蓄熱補助設備の構成)
蓄熱補助設備100は、第一熱交換器41及び第二熱交換器42で井戸側配管3内の地下水と熱交換を行った媒体を利用する。
本実施形態において、蓄熱補助設備100は、例えば、熱源機110と、冷却塔130と、冷媒回路101と、を備えている。
【0023】
例えば、熱源機110は、コンデンサ、エバポレータ、コンプレッサ等を備えたヒートポンプであってもよい。
熱源機110は、機器120に媒体(冷水)を供給する。
機器120は、例えば、熱源機110から供給される媒体(冷水)と熱交換することで、機器120が設置された空間の空気調和を行う空気調和装置である。
本実施形態において、機器120は、例えば、データセンター等において、複数のコンピュータ(サーバ)等が収容された空間の空気調和を行う。
機器120により空気調和を行う空間の用途については、データセンターに限らず、他の用途であってもよい。
したがって、地中熱利用システム1と機器120とを備えたシステムは、空気調和システムとして機能する。
【0024】
冷却塔130は、冷却水を大気と接触させて気化させるときの気化熱により、冷却水を冷却する。
冷却塔130は、熱源機110、及び第二熱交換器42との間で冷却水を循環させる。
あるモードにおいて、冷却塔130は、熱源機110、及び第二熱交換器42のいずれか一方を選択して、冷却水を循環可能である。
他のモードにおいて、冷却塔130は、熱源機110、及び第二熱交換器42の双方との間で、冷却水を循環可能である。
すなわち、上記熱源機110と、冷却塔130とを備えるユニットは、冷凍機として機能する。
【0025】
冷媒回路101は、第一熱交換器41及び第二熱交換器42と、熱源機110と、機器120と、との間で、媒体の流路を形成する。
冷媒回路101は、熱源機110と機器120とを接続する機器側回路部102と、熱源機110と冷却塔130とを接続する冷却塔側回路部103と、を有している。
機器側回路部102を流れる媒体と、冷却塔側回路部103とを流れる媒体は、熱源機110で熱交換する。
【0026】
機器側回路部102は、熱源機110から機器120に媒体を送る送りライン102aと、機器120から熱源機110に媒体を戻す戻りライン102bと、を有している。
冷却塔側回路部103は、冷却塔130から熱源機110に媒体を送る送りライン103aと、熱源機110から冷却塔130に媒体を戻す戻りライン103bと、を有している。
【0027】
冷媒回路101は、機器側回路部102と第一熱交換器41の他方側とを接続する第一熱交換器側回路104と、冷却塔側回路部103と第二熱交換器42の他方側とを接続する第二熱交換器側回路105と、をさらに有している。
第一熱交換器側回路104は、冷水が流通する冷水ライン104aと、温水が流通する温水ライン104bと、を有している。
第二熱交換器側回路105は、冷水が流通する冷水ライン105aと、温水が流通する温水ライン105bと、を有している。
【0028】
冷媒回路101は、不図示のポンプ、開閉弁等が適宜設けられ、運転モードに応じ、第一熱交換器41と熱源機110と機器120との間と、第二熱交換器42と熱源機110と冷却塔130との間とで、それぞれ、媒体を所定のルートで循環可能に構成されている。
例えば、蓄熱補助設備100は、冷媒回路101における媒体の循環ルートを切り換えることで、以下に示す第一蓄冷熱モードM1、第二蓄冷熱モードM2、第一放冷熱モードM3、及び第二放冷熱モードM4とで、運転モードの切換が可能に構成されている。
【0029】
(第一蓄冷熱モードの構成)
図2に示すように、第一蓄冷熱モードM1では、地中熱利用システム1は、温水井戸21に蓄えた温熱を、熱源機110を介さず冷却塔130に供給し、冷却塔130から得られた冷熱を、熱源機110を介さず冷水井戸22に蓄える。
なお、図2において、井戸側配管3と、機器側回路部102と、冷却塔側回路部103と、第二熱交換器側回路105との各々に流れる媒体のうち、温かい媒体は点線で示され、冷たい媒体は太線で示されている。
【0030】
具体的には、第一蓄冷熱モードM1では、地中熱利用システム1は、温水井戸21のポンプ31で、温水をくみ上げて第二熱交換器42に送り込む。
他方、蓄熱補助設備100側の冷却塔側回路部103において、地中熱利用システム1は、冷却塔130で冷却した媒体(冷水)と、機器側回路部102を流れる媒体とを、熱源機110で熱交換する。これにより、機器側回路部102は、機器120と熱源機110との間で循環する媒体を冷却して機器120に送る。熱源機110では、機器側回路部102を流れる媒体と熱交換することで温度上昇した媒体(温水)が、冷却塔130に戻される。
【0031】
加えて、冷却塔130で冷却した媒体(冷水)の一部は、第二熱交換器側回路105を介して第二熱交換器42に送られ、温水井戸21から送られた、熱源井戸設備10側の温水と熱交換する。これにより、熱源井戸設備10側の温水が冷却され、井戸側配管3を通して冷水井戸22へと送られる。このため、冷水井戸22に、蓄冷熱がなされる。なお、熱源井戸設備10側の温水との熱交換により温度上昇した媒体は、冷却塔130に戻る。
【0032】
このような第一蓄冷熱モードM1は、特に、夜間や冬期等、外気温度が低く、冷却塔130のみで十分な媒体の冷却効果が得られる場合に有効である。
第一蓄冷熱モードM1では、熱源機110を、熱源井戸設備10側の温水の冷却のために用いないため、熱源機110における電力消費が抑えられる。
【0033】
(第二蓄冷熱モードの構成)
図3に示すように、第二蓄冷熱モードM2では、地中熱利用システム1は、温水井戸21に蓄えた温熱を、熱源機110を介して冷却塔130に供給し、冷却塔130から得られた冷熱を、熱源機110を介して冷水井戸22に蓄える。
なお、図3において、井戸側配管3と、機器側回路部102と、冷却塔側回路部103と、第一熱交換器側回路104との各々に流れる媒体のうち、温かい媒体は点線で示され、冷たい媒体は太線で示されている。
【0034】
具体的には、第二蓄冷熱モードM2では、地中熱利用システム1は、温水井戸21のポンプ31で、温水をくみ上げて第一熱交換器41に送り込む。
他方、蓄熱補助設備100側の冷却塔側回路部103において、地中熱利用システム1は、冷却塔130で冷却した媒体(冷水)と、機器側回路部102を流れる媒体とを、熱源機110で熱交換する。
例えば、機器120の冷房も必要であれば、機器側回路部102は、機器120と熱源機110との間で循環する媒体を冷却して機器120に送ってもよい。熱源機110では、機器側回路部102を流れる媒体と熱交換することで温度上昇した媒体(温水)が、冷却塔130に戻される。
【0035】
加えて、熱源機110で冷却された媒体(冷水)の全部又は一部は、機器側回路部102から第一熱交換器側回路104を介して第一熱交換器41に送られ、熱源井戸設備10側の温水と熱交換する。これにより、熱源井戸設備10側の温水が冷却され、井戸側配管3を通して冷水井戸22へと送られる。このため、冷水井戸22に蓄冷熱がなされる。なお、熱源井戸設備10側の温水との熱交換により温度上昇した媒体は、第一熱交換器側回路104を介して熱源機110に戻る。
【0036】
熱源機110は、機器側回路部102側と、冷却塔側回路部103側との媒体の温度差が小さい場合に、その性能が向上する。このため、第二蓄冷熱モードM2は、特に、夜間や冬期等、外気温度が低く、熱源機110において、機器側回路部102側と、冷却塔側回路部103側との媒体の温度差が小さい場合に有効である。
第二蓄冷熱モードM2では、熱源機110を、その性能が向上するときに有効利用することで、効率良く蓄冷熱を行うことができる。
【0037】
(第一放冷熱モードの構成)
図4に示すように、第一放冷熱モードM3では、地中熱利用システム1は、冷水井戸22に蓄えた冷熱を、熱源機110を介さず機器120に供給する。
なお、図4において、井戸側配管3と、機器側回路部102と、第一熱交換器側回路104との各々に流れる媒体のうち、温かい媒体は点線で示され、冷たい媒体は太線で示されている。
【0038】
具体的には、第一放冷熱モードM3では、地中熱利用システム1は、冷水井戸22のポンプ31で、冷水をくみ上げて第一熱交換器41に送り込む。
第一熱交換器41において、地中熱利用システム1は、熱源井戸設備10側の冷水と、機器側回路部102を流れる媒体との間で熱交換する。これにより、機器側回路部102は、機器120と第一熱交換器41との間で循環する媒体を冷却して機器120に送る。
【0039】
他方、第一熱交換器41における熱交換により、熱源井戸設備10側の冷水は温度上昇して温水となり、井戸側配管3を通して温水井戸21へと送られる。これにより、冷水井戸22では、放冷熱がなされる。
【0040】
このようにして、第一放冷熱モードM3では、冷水井戸22に蓄えた冷水を利用して、熱源機110を用いず、機器120に直接冷熱を供給することができる。
【0041】
(第二放冷熱モードの構成)
図5に示すように、第二放冷熱モードM4では、地中熱利用システム1は、冷水井戸22に蓄えた冷熱を、熱源機110を介して機器120に供給する。
なお、図5において、井戸側配管3と、機器側回路部102と、冷却塔側回路部103と、第二熱交換器側回路105との各々に流れる媒体のうち、温かい媒体は点線で示され、冷たい媒体は太線で示されている。
【0042】
具体的には、第二放冷熱モードM4では、地中熱利用システム1は、冷水井戸22のポンプ31で、冷水をくみ上げて第二熱交換器42に送り込む。
第二熱交換器42において、地中熱利用システム1は、熱源井戸設備10側の冷水と、冷却塔側回路部103を流れる媒体との間で熱交換する。これにより、冷却塔側回路部103は、熱源機110と第二熱交換器42との間で循環する媒体を冷却して熱源機110に送る。
熱源機110において、地中熱利用システム1は、冷却された冷却塔側回路部103側の媒体と、機器側回路部102を流れる媒体との間で熱交換する。これにより、機器側回路部102は、機器120と熱源機110との間で循環する媒体を冷却して機器120に送る。
【0043】
他方、第二熱交換器42における熱交換により、熱源井戸設備10側の冷水は温度上昇して温水となり、井戸側配管3を通して温水井戸21へと送られる。これにより、冷水井戸22では、放冷熱がなされる。
【0044】
このようにして、第二放冷熱モードM4では、冷水井戸22に蓄えた冷水を、熱源機110を用いて冷却して、機器120に冷熱を供給する。これにより、冷水井戸22に蓄えた冷熱に対し、機器120側で要求する冷熱量が大きい場合に、熱源機110を利用して、機器120側に供給する冷熱量を確保することができる。
【0045】
(制御装置の構成)
制御装置300は、地中熱利用システム1の動作を制御する。
制御装置300は、第一蓄冷熱モードM1、第二蓄冷熱モードM2、第一放冷熱モードM3、及び第二放冷熱モードM4のそれぞれにおいて、地中熱利用システム1の各部の動作を制御する。
【0046】
図6に示すように、制御装置300は、運転制御部310と、算出部320と、予測部330と、外気温度取得部340と、冷水温度取得部350と、モード判定部360と、を備える。
【0047】
運転制御部310は、第一蓄冷熱モードM1、第二蓄冷熱モードM2、第一放冷熱モードM3、及び第二放冷熱モードM4の間で、運転モードの切替を可能とする。運転制御部310は、第一蓄冷熱モードM1、第二蓄冷熱モードM2、第一放冷熱モードM3、及び第二放冷熱モードM4のうち、切り換えられた運転モードに応じて、地中熱利用システム1の各部の動作を制御する。
【0048】
運転制御部310は、第一蓄冷熱モードM1及び第二蓄冷熱モードM2のうち、少なくともいずれかのモードの実行時において、予測部330で予測される後述の必要蓄冷量に比べて積算蓄冷量が大きい場合、冷水井戸22への蓄冷量を抑制するようにしてもよい。
運転制御部310は、第一蓄冷熱モードM1及び第二蓄冷熱モードM2のうち、少なくともいずれかのモードの実行時において、予測部330で予測される後述の必要蓄冷量と、予測部330で予測される後述のピークカットすべき電力量の予測値との差に応じた冷熱を、冷水井戸22に蓄冷熱するようにしてもよい。
運転制御部310は、第一蓄冷熱モードM1及び第二蓄冷熱モードM2のうち、少なくともいずれかのモードの実行時において、ピークカットすべき電力量の予測値よりも、積算蓄冷量が大きい場合、冷水井戸22への蓄冷量を抑えるようにしてもよい。
【0049】
運転制御部310は、第一放冷熱モードM3及び第二放冷熱モードM4のうち、少なくともいずれかのモードの実行時において、機器120に対し、常に冷熱を供給するようにしてもよい。つまり運転制御部310は、年間昼夜を通して、機器120に、温熱を供給する暖房運転を行わず、常に冷熱を供給する冷房運転を行うようにしてもよい。
【0050】
算出部320は、冷水井戸22に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出する。ここで、「積算蓄冷量」とは、冷水井戸22における帯水層の地下水が初期地中温度にある状態から、算出時までに、冷水井戸22への注水により冷水井戸22に蓄冷した熱量の積算値から、冷水井戸22からの揚水により冷水井戸22から放冷した熱量の積算値を引いた値である。
【0051】
予測部330は、機器120の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測する。ここで、「必要蓄冷量」とは、近い将来の所定期間において必要な蓄冷量である。また「近い将来の所定期間」とは、例えば、翌日の昼間、次の直近の夏期である。
予測部330は、さらに、予め設定した閾値以上の電力量を、ピークカットすべき電力量の予測値として予測する。
予測部330は、例えば、過去の冷熱利用量、利用時期、温度、機器120で空気調和を図る空間に配置されたコンピュータ等における発熱量、台数等の情報を蓄積しておき、蓄積された情報に基づいて、予測する時期、温度、コンピュータ等の利用計画等に基づいて、必要蓄冷量とピークカットすべき電力量の予測値とを予測するようにしてもよい。
予測部330は、必要蓄冷量の予測と、ピークカットすべき電力量の予測値との予測に、人工知能等を利用し、蓄積した情報の深層学習を行うようにしてもよい。
【0052】
外気温度取得部340は、外気温度を取得する。
外気温度取得部340は、例えば、温度計等によって地中熱利用システム1が設けられている場所における外気温度の実測値を、外気温度として取得してもよい。
外気温度取得部340は、例えば、オペレータによって入力される外気温度の数値を取得するようにしてもよい。
外気温度取得部340は、外部のネットワークを介して、外気温度のデータを取得するようにしてもよい。
【0053】
冷水温度取得部350は、冷水井戸22の揚水温度を取得する。
冷水温度取得部350は、冷水井戸22内に設置された冷水温度センサ(図示無し)で検出される冷水井戸22の揚水温度を取得するようにしてもよい。
【0054】
モード判定部360は、運転制御部310で、第一蓄冷熱モードM1、第二蓄冷熱モードM2、第一放冷熱モードM3、及び第二放冷熱モードM4のうちのいずれのモードに切り換えるのかを判定する。
モード判定部360は、モードの選択を、積算蓄冷量、及び必要蓄冷量の少なくとも一方に基づいて行う。
モード判定部360は、冷水井戸22に冷熱を蓄える場合、積算蓄冷量と必要蓄冷量とに基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定する。
モード判定部360は、冷水井戸22に冷熱を蓄える場合、外気温度に基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきかを判定するようにしてもよい。
モード判定部360は、冷水井戸22に冷熱を蓄える場合、積算蓄冷量と冷水井戸22の揚水温度に基づき、第一蓄冷熱モードM1又は第二蓄冷熱モードM2を実施すべきか否かを判定するようにしてもよい。
モード判定部360は、冷水井戸22に蓄えた冷熱を機器120に供給する場合、冷水井戸22の揚水温度に基づき、第一放冷熱モードM3で制御すべきか、第二放冷熱モードM4で制御すべきか判定するようにしてもよい。
【0055】
本実施形態の制御装置300の動作について説明する。
制御装置300の動作は、制御方法の実施形態に相当する。
制御装置300は、図7に示す各ステップを実施する。
【0056】
まず、制御装置300は、機器120において、冷房運転がONであるか否かを確認する(ステップS11)。
ステップS11で、冷房運転がONである場合(ステップS11:Yes)、ステップS12以降に進む。ステップS11で、冷房運転がOFFである場合(ステップS11:No)、後述のステップS21以降に進む。
【0057】
ステップS12では、制御装置300が、デマンドの抑制(デマンドカット)が必要であるか否かを確認する。ここで「デマンド」とは、地中熱利用システム1と機器120とを含む空調設備に求められる電力量である。例えば、ステップS12では、制御装置300は、デマンドが電力基本料金を下げるための所定の上限を超過しないように、デマンドの抑制を、熱源井戸設備10の蓄熱分を使って行う必要があるか否かを確認する。
ステップS12で、デマンドカットが必要である場合(ステップS12:Yes)、デマンドカットの目標値(デマンド目標値)を設定する(ステップS13)。
次いで、制御装置300は、冷水井戸22の放熱量を計算する(ステップS14)。
【0058】
次に、冷水温度取得部350で、その時点での冷水井戸22の揚水温度を取得する。制御装置300は、取得した揚水温度が、予め設定された基準温度より高いか否かを確認する(ステップS15)。
その結果、揚水温度が、基準温度以下である場合(ステップS15:No)、モード判定部360は、運転モードとして、第一放冷熱モードM3(図4参照)を選択する(ステップS16)。運転制御部310は、モード判定部360で選択された第一放冷熱モードM3で、地中熱利用システム1が動作するように、地中熱利用システム1の各部の動作を制御する。
他方、揚水温度が、基準温度より大きい場合(ステップS15:Yes)、モード判定部360は、運転モードとして、第二放冷熱モードM4(図5参照)を選択する(ステップS17)。この場合、運転制御部310は、モード判定部360で選択された第二放冷熱モードM4で、地中熱利用システム1が動作するように、地中熱利用システム1の各部の動作を制御する。
また、上記のステップS12で、デマンドカットが必要ではなかった場合(ステップS12:No)も、モード判定部360は、運転モードとして、第二放冷熱モードM4(図5参照)を選択する(ステップS17)。
【0059】
上記のステップS11で、機器120側で冷房運転がOFFである場合(ステップS11:No)、ステップS21では、まず、算出部320は、冷水井戸22に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出する。また、ステップS21では、外気温度取得部340は、その時点での外気温度を取得する。さらに、ステップS21では、冷水温度取得部350は、冷水井戸22の揚水温度を取得する。
【0060】
次いで、ステップS22では、モード判定部360が、ステップS21で算出された積算蓄冷量が、予め設定された目標値未満であるか否かを確認する。また、ステップS22では、モード判定部360が、ステップS21で取得された冷水井戸22の揚水温度が、予め設定された目標温度より高いか否かを確認する。ステップS22では、積算蓄冷量が目標値未満であり、かつ、揚水温度が目標温度より高いという条件を満足する場合(ステップS22:Yes)に、モード判定部360は、ステップS23に進む。ステップS22では、積算蓄冷量が目標値未満であり、かつ、揚水温度が目標温度より高いという条件を満足できない場合(ステップS22:No)、モード判定部360は、運転モードを選択する処理を終了する。
【0061】
ステップS23では、予測部330で、機器120の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測する。
次いで、ステップS24では、モード判定部360が、ステップS21で取得した外気温度に基づいて、第一蓄冷熱モードM1と、第二蓄冷熱モードM2とのいずれを選択するのかを判定する。
ステップS24では、モード判定部360が、例えば、特許第7136965号公報に記載の手法を用い、外気温度に基づいたシミュレーションを行い、そのシミュレーション結果に基づいて、第一蓄冷熱モードM1と、第二蓄冷熱モードM2とのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0062】
次いで、ステップS25では、運転制御部310が、ステップS24で選択された第一蓄冷熱モードM1、又は第二蓄冷熱モードM2における、詳細な運転条件を設定する。
これには、運転制御部310が、選択された第一蓄冷熱モードM1、又は第二蓄冷熱モードM2で、冷水井戸22に蓄冷熱する蓄冷量、蓄熱温度、流量、時間等を、過去の地中熱利用システム1の運転実績データ、又はユーザが入力するテーブルに基づいて設定する。
続く、ステップS26では、運転制御部310が、ステップS24で選択された第一蓄冷熱モードM1、又は第二蓄冷熱モードM2において、ステップS25で設定された運転条件で、地中熱利用システム1が動作するように、地中熱利用システム1の各部の動作を制御する。
【0063】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、制御装置300、地中熱利用システム1、及び制御方法は、積算蓄冷量と必要蓄冷量とに基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定することで、予測される機器の冷房に必要な冷熱を、冷水井戸に蓄えることができる。
このため、期間全体を通じて、帯水層に蓄えるべき冷熱が不足したり、余ったりしにくい。
したがって、制御装置300、地中熱利用システム1、及び制御方法は、帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる。
【0064】
また本実施形態の一例によれば、外気温度に基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきかを判定することで、外気温度に応じた適切な蓄冷熱モードを選択して、冷水井戸22に冷熱を蓄えることができる。
【0065】
また本実施形態の一例によれば、冷水井戸22の揚水温度が、予め設定された目標温度以上である場合に、積算蓄冷量と冷水井戸22の揚水温度に基づいて選択した適切な蓄冷熱モードで、冷水井戸22に冷熱を蓄えることができる。
【0066】
また本実施形態の一例によれば、冷水井戸22の揚水温度に基づき、第一放冷熱モードM3で制御すべきか、第二放冷熱モードM4で制御すべきか判定することで、冷水井戸22の揚水温度に応じた適切な放冷熱モードを選択して、冷水井戸22に蓄えた冷熱を機器120に供給できる。
【0067】
また本実施形態の一例によれば、第一蓄冷熱モードM1、又は第二蓄冷熱モードM2の実行時において、必要蓄冷量に比べて積算蓄冷量が大きい場合、冷水井戸22への蓄冷量を抑制することで、冷水井戸22への蓄熱のために必要となる電力量であって、冷却塔130、熱源機110、各種ポンプ等の動作に必要となる電力量を抑制することができる。
【0068】
また本実施形態の一例によれば、第一放冷熱モードM3及び第二放冷熱モードM4のうち、少なくともいずれかのモードの実行時に、機器120に対し、常に冷熱を供給することができる。これにより、例えば常時稼働しているコンピュータ等の発熱源が収容されている空間を、年間昼夜を通して冷房することができる。
【0069】
<変形例>
上述の実施形態では、熱交換器4は、第一熱交換器41と第二熱交換器42とを備えているが、井戸側配管3内の地下水と、蓄熱補助設備100側の冷媒回路101内の媒体との間で熱交換できるなら、どのように構成されてもよい。
変形例として、各配管が工夫されることにより、熱交換器4が1つのシステムで構成されてもよい。そのような具体例として、熱交換器4は、第一熱交換器41と第二熱交換器42とのうち、第一熱交換器41のみを備えてもよい。その際、第一熱交換器41の一方側は、井戸側配管3の途中に接続され、第一熱交換器41の他方側は、第一熱交換器側回路104と、冷却塔側回路部103とに接続されてもよい。加えて、第一熱交換器側回路104と、冷却塔側回路部103とは、それぞれ開閉弁等を介して、第一熱交換器41に並列に接続されてもよい。
【0070】
上述の実施形態では、第二蓄冷熱モードM2において、機器側回路部102は、機器120と熱源機110との間で循環する媒体を冷却して機器120に送っているが、冷水井戸22に蓄冷熱がなされるなら、どのように構成されてもよい。
変形例として、第二蓄冷熱モードM2において、機器側回路部102は、熱源機110で冷却された媒体を機器120に送らなくてもよい。その際、熱源機110で冷却された媒体は、機器側回路部102から第一熱交換器側回路104を介して第一熱交換器41に送られる。
【0071】
上述の実施形態では、モード判定部360は、外気温度に基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきかを判定しているが、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきかを判定できるなら、モード判定部360は、どのように構成されてもよい。
変形例として、モード判定部360は、外気湿球温度に基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきかを判定してもよい。
【0072】
なお、上述の実施形態においては、制御装置300の各種機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをマイコンといったコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行うものとしている。ここで、コンピュータシステムのCPUの各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、制御装置300の各種機能を実現するためのプログラムを実行させるコンピュータ190のハードウェア構成の例について説明する。
【0074】
図8に示すように、制御装置300が備えるコンピュータ190は、プロセッサ195と、メモリ196と、記憶/再生装置197と、Input Output Interface(以下、「IO I/F」という。)198と、通信Interface(以下、「通信I/F」という。)199と、を備える。
【0075】
例えば、プロセッサ195は、CPUであってもよい。
例えば、メモリ196は、制御装置300で実行されるプログラムで使用されるデータ等を一時的に記憶するRandom Access Memory(以下、「RAM」という。)等の媒体であってもよい。
例えば、記憶/再生装置197は、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の外部メディアへデータ等を記憶したり、外部メディアのデータ等を再生したりするための装置であってもよい。
例えば、IO I/F198は、制御装置300と他の装置との間で情報等の入出力を行うためのインタフェースであってもよい。
例えば、通信I/F199は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、制御装置300と他の装置との間で通信を行うインタフェースであってもよい。
【0076】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、本開示の範囲とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0077】
<付記>
実施形態に記載の制御装置300、地中熱利用システム1、制御方法、プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0078】
(1)第1の態様に係る制御装置300は、温水井戸21と冷水井戸22とを含む熱源井戸設備10と、冷却塔130と熱源機110とを含む蓄熱補助設備100と、を備える地中熱利用システム1を制御する制御装置300であって、前記地中熱利用システム1を、前記温水井戸21に蓄えた温熱を、前記熱源機110を介さず前記冷却塔130に供給し、前記冷却塔130から得られた冷熱を、前記熱源機110を介さず前記冷水井戸22に蓄える第一蓄冷熱モードM1、前記温水井戸21に蓄えた前記温熱を、前記熱源機110を介して前記冷却塔130に供給し、前記冷却塔130から得られた前記冷熱を、前記熱源機110を介して前記冷水井戸22に蓄える第二蓄冷熱モードM2、前記冷水井戸22に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機110を介さず機器120に供給する第一放冷熱モードM3、及び前記冷水井戸22に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機110を介して前記機器120に供給する第二放冷熱モードM4、の間でモードの切替可能とする運転制御部310と、前記冷水井戸22に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出する算出部320と、前記機器120の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測する予測部330と、前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定するモード判定部360と、備える。
【0079】
この制御装置300は、積算蓄冷量と必要蓄冷量とに基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定することで、予測される機器の冷房に必要な冷熱を、冷水井戸に蓄えることができる。
このため、期間全体を通じて、帯水層に蓄えるべき冷熱が不足したり、余ったりしにくい。
したがって、制御装置300は、帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる。
【0080】
(2)第2の態様に係る制御装置300は、(1)の制御装置300であって、外気温度を取得する外気温度取得部340をさらに備え、前記モード判定部360は、前記冷水井戸22に前記冷熱を蓄える場合、前記外気温度に基づき、前記第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードM2で制御すべきかを判定する。
【0081】
これにより、外気温度に基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきかを判定することで、外気温度に応じた適切な蓄冷熱モードを選択して、冷水井戸22に冷熱を蓄えることができる。
【0082】
(3)第3の態様に係る制御装置300は、(1)又は(2)の制御装置300であって、前記冷水井戸22の揚水温度を取得する冷水温度取得部350をさらに備え、前記モード判定部360は、前記冷水井戸22に前記冷熱を蓄える場合、前記積算蓄冷量と前記冷水井戸22の揚水温度に基づき、前記第一蓄冷熱モードM1又は前記第二蓄冷熱モードM2を実施すべきか否かを判定する。
【0083】
これにより、冷水井戸22の揚水温度が、予め設定された目標温度以上である場合に、積算蓄冷量と冷水井戸22の揚水温度に基づいて選択した適切な蓄冷熱モードで、冷水井戸22に冷熱を蓄えることができる。
【0084】
(4)第4の態様に係る制御装置300は、(1)から(3)の何れか一つの制御装置300であって、前記冷水井戸22の揚水温度を取得する冷水温度取得部350をさらに備え、前記モード判定部360は、前記冷水井戸22に蓄えた前記冷熱を前記機器120に供給する場合、前記冷水井戸22の揚水温度に基づき、前記第一放冷熱モードM3で制御すべきか、前記第二放冷熱モードM4で制御すべきか判定する。
【0085】
これにより、冷水井戸22の揚水温度に基づき、第一放冷熱モードM3で制御すべきか、第二放冷熱モードM4で制御すべきか判定することで、冷水井戸22の揚水温度に応じた適切な放冷熱モードを選択して、冷水井戸22に蓄えた冷熱を機器120に供給できる。
【0086】
(5)第5の態様に係る制御装置300は、(1)から(4)の何れか一つの制御装置300であって、前記運転制御部310は、前記第一蓄冷熱モードM1、又は前記第二蓄冷熱モードM2の実行時において、前記必要蓄冷量に比べて前記積算蓄冷量が大きい場合、前記冷水井戸22への蓄冷量を抑制する。
【0087】
これにより、第一蓄冷熱モードM1、又は第二蓄冷熱モードM2の実行時において、冷水井戸22への蓄熱のために必要となる電力量であって、冷却塔130、熱源機110、各種ポンプ等の動作に必要となる電力量を抑制することができる。
【0088】
(6)第6の態様に係る制御装置300は、(1)から(5)の何れか一つの制御装置300であって、前記第一放冷熱モードM3又は前記第二放冷熱モードM4の実行時において、前記機器120に対し、常に冷熱を供給する。
【0089】
これにより、例えば常時稼働しているコンピュータ等の発熱源が収容されている空間を、年間昼夜を通して冷房することができる。
【0090】
(7)第7の態様に係る地中熱利用システム1は、(1)から(6)の何れか一つの制御装置300と、前記熱源井戸設備10と、前記蓄熱補助設備100と、を備える。
【0091】
この地中熱利用システム1は、積算蓄冷量と必要蓄冷量とに基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定することで、予測される機器の冷房に必要な冷熱を、冷水井戸に蓄えることができる。
このため、期間全体を通じて、帯水層に蓄えるべき冷熱が不足したり、余ったりしにくい。
したがって、地中熱利用システム1は、帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる。
【0092】
(8)第8の態様に係る制御方法は、温水井戸21と冷水井戸22とを含む熱源井戸設備10と、冷却塔130と熱源機110とを含む蓄熱補助設備100と、を備え、前記温水井戸21に蓄えた温熱を、前記熱源機110を介さず前記冷却塔130に供給し、前記冷却塔130から得られた冷熱を、前記熱源機110を介さず前記冷水井戸22に蓄える第一蓄冷熱モードM1、前記温水井戸21に蓄えた前記温熱を、前記熱源機110を介して前記冷却塔130に供給し、前記冷却塔130から得られた前記冷熱を、前記熱源機110を介して前記冷水井戸22に蓄える第二蓄冷熱モードM2、前記冷水井戸22に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機110を介さず機器120に供給する第一放冷熱モードM3、及び前記冷水井戸22に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機110を介して前記機器120に供給する第二放冷熱モードM4、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムのコンピュータに、前記冷水井戸22に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、前記機器120の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定するステップと、を含む。
【0093】
この制御方法は、積算蓄冷量と必要蓄冷量とに基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定することで、予測される機器の冷房に必要な冷熱を、冷水井戸に蓄えることができる。
このため、期間全体を通じて、帯水層に蓄えるべき冷熱が不足したり、余ったりしにくい。
したがって、制御方法は、帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる。
【0094】
(9)第9の態様に係るプログラムは、温水井戸21と冷水井戸22とを含む熱源井戸設備10と、冷却塔130と熱源機110とを含む蓄熱補助設備100と、を備え、前記温水井戸21に蓄えた温熱を、前記熱源機110を介さず前記冷却塔130に供給し、前記冷却塔130から得られた冷熱を、前記熱源機110を介さず前記冷水井戸22に蓄える第一蓄冷熱モードM1、前記温水井戸21に蓄えた前記温熱を、前記熱源機110を介して前記冷却塔130に供給し、前記冷却塔130から得られた前記冷熱を、前記熱源機110を介して前記冷水井戸22に蓄える第二蓄冷熱モードM2、前記冷水井戸22に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機110を介さず機器120に供給する第一放冷熱モードM3、及び前記冷水井戸22に蓄えた前記冷熱を、前記熱源機110を介して前記機器120に供給する第二放冷熱モードM4、の間でモードの切替可能な地中熱利用システムのコンピュータに、前記冷水井戸22に蓄えた蓄冷量である積算蓄冷量を算出するステップと、前記機器120の冷却に必要な蓄冷量である必要蓄冷量を予測するステップと、前記積算蓄冷量と前記必要蓄冷量とに基づき、前記第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、前記第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定するステップと、を含む処理を実行させる。
【0095】
このプログラムは、積算蓄冷量と必要蓄冷量とに基づき、第一蓄冷熱モードM1で制御すべきか、第二蓄冷熱モードM2で制御すべきか判定することで、予測される機器の冷房に必要な冷熱を、冷水井戸に蓄えることができる。
このため、期間全体を通じて、帯水層に蓄えるべき冷熱が不足したり、余ったりしにくい。
したがって、プログラムは、帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる。
【符号の説明】
【0096】
1…地中熱利用システム
3…井戸側配管
4…熱交換器
10…熱源井戸設備
21…温水井戸
22…冷水井戸
31…ポンプ
41…第一熱交換器
42…第二熱交換器
100…蓄熱補助設備
101…冷媒回路
102…機器側回路部
102a…送りライン
102b…戻りライン
103…冷却塔側回路部
103a…送りライン
103b…戻りライン
104…第一熱交換器側回路
104a…冷水ライン
104b…温水ライン
105…第二熱交換器側回路
105a…冷水ライン
105b…温水ライン
110…熱源機
120…機器
130…冷却塔
190…コンピュータ
195…プロセッサ
196…メモリ
197…記憶/再生装置
198…IO I/F
199…通信I/F
300…制御装置
310…運転制御部
320…算出部
330…予測部
340…外気温度取得部
350…冷水温度取得部
360…モード判定部
M1…第一蓄冷熱モード
M2…第二蓄冷熱モード
M3…第一放冷熱モード
M4…第二放冷熱モード
【要約】
【課題】帯水層の蓄熱量のバランスをとりやすくすることができる制御装置、地中熱利用システム、制御方法、プログラムを提供する。
【解決手段】制御装置は、温水井戸に蓄えた温熱を、熱源機を介さず冷却塔に供給し、冷却塔から得られた冷熱を、熱源機を介さず冷水井戸に蓄える第一蓄冷熱モード、温水井戸に蓄えた温熱を、熱源機を介して冷却塔に供給し、冷却塔から得られた冷熱を、熱源機を介して冷水井戸に蓄える第二蓄冷熱モード、冷水井戸に蓄えた冷熱を、熱源機を介さず機器に供給する第一放冷熱モード、及び冷水井戸に蓄えた冷熱を、熱源機を介して機器に供給する第二放冷熱モード、の間でモードの切替可能とする運転制御部と、積算蓄冷量を算出する算出部と、必要蓄冷量を予測する予測部と、積算蓄冷量と必要蓄冷量とに基づき、第一蓄冷熱モードで制御すべきか、第二蓄冷熱モードで制御すべきか判定するモード判定部と、備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8