(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ホーン
(51)【国際特許分類】
G10K 9/12 20060101AFI20240628BHJP
G10K 9/15 20060101ALI20240628BHJP
G10K 9/22 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G10K9/12 C
G10K9/15 K
G10K9/22 A
(21)【出願番号】P 2023503617
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2022001510
(87)【国際公開番号】W WO2022185750
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2021032082
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096998
【氏名又は名称】碓氷 裕彦
(74)【代理人】
【識別番号】100170689
【氏名又は名称】金 順姫
(72)【発明者】
【氏名】泉 勇希
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-318517(JP,A)
【文献】特開2018-180113(JP,A)
【文献】特開平6-43878(JP,A)
【文献】特開2010-179760(JP,A)
【文献】特開2011-248183(JP,A)
【文献】特開2012-88414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/00-9/22
H04R 1/00
B60Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小円筒状部と大円筒状部とを備える有底多段円筒状を有しており、中心軸が略水平方向に配置されるハウジングと、
前記ハウジングの前記小円筒状部に配置されるボビンに巻装され、通電により励磁するコイルと、
前記コイルの内周に配置され、前記コイルの励磁時には前記ハウジングと共に磁気回路を構成するステータコアと、
前記ステータコアと磁気ギャップを介して対向配置され、前記コイルの励磁時には前記ハウジング、前記ステータコアと共に磁気回路を構成するムービングコアと、
外周が前記ハウジングの前記大円筒状部の開口端に接続され、内周が前記ムービングコアと接続され、前記ムービングコアを前記ステータコアから引き離す方向に付勢すると共に、前記コイルの励磁時には前記ハウジング、前記ステータコア、前記ムービングコアと共に磁気回路を構成するダイヤフラムと、
前記ムービングコアの移動に応じて前記コイルへの通電、非通電の切り替えを行う接点部材とを備え、
前記ハウジングの前記大円筒状部の底部のうち最下方部近傍に通気口を形成すると共に、
前記接点部材を、前記ハウジングの中心軸を挟んで、前記通気口とは反対側に配置し、
前記通気口の周囲の空間を覆うインシュレータを前記ハウジング内に配置し、
前記空間の前記通気口から前記インシュレータまでの距離を2.5ミリメートル以上とする
ことを特徴とするホーン。
【請求項2】
前記インシュレータは前記ボビンと一体形成されている
請求項1に記載のホーン。
【請求項3】
前記インシュレータの外周には前記ハウジングの前記大円筒状部の内周に沿う壁部が形成され、前記壁部の高さは1ミリメートル以上である
請求項1若しくは2に記載のホーン。
【請求項4】
前記壁部のうち、前記ハウジングの前記大円筒状部の底部とは反対側の端面は、前記ハウジングの前記大円筒状部の開口端と一致している
請求項3に記載のホーン。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2021年3月1日に日本に出願された特許出願第2021-32082号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電気式ホーン(警音器)に関し、特に自動車、オートバイ、スノーモービル、小型船舶等に使用して好適である。
【背景技術】
【0003】
一般に、ホーンは吹鳴時にダイヤフラムが円滑に振動できるようハウジングに通気口を形成している。一方で、吹鳴時に通気口から空気が出入りするので、通気口から異物が侵入する恐れもあり、異物が接点間に入り込むとホーンの動作不良を引き起こす可能性もある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載のホーンでは、通気口にフィルタを配して異物の侵入を防いでいた。また、特許文献2に記載のホーンでは、通気口を取付ステーの塞ぎ部で塞ぐ構造を採用していた。
【0005】
しかし、特許文献1のものでは、特別なフィルタを必要とするので、フィルタのコストがかかり、かつ、フィルタを組付けるための組付けコストもかかることとなる。また、フィルタが剥がれる可能性もあり、耐久性上も課題がある。
【0006】
一方、特許文献2のものは、取付ステーの位置が通気口との関係で一律に定まり、設計上の自由度が狭くなる。また、一旦侵入した異物が外部に排出されにくいという課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-318517号公報
【文献】特開2011-248183号公報
【発明の概要】
【0008】
本開示は、上記点に鑑み、特別なフィルタを設けなくても通気口からの異物侵入により接点の不良が生じることが無いようにすることを課題とする。また、取付ステーによる塞ぎ部で通気口を塞ぐこともなく、通気口と取付ステーとの位置関係を自由に設定できるようにすることも課題とする。
【0009】
本開示の第1は、小円筒状部と大円筒状部とを備える有底多段円筒状のハウジングと、このハウジングの小円筒状部に配置されるボビンに巻装され通電により励磁するコイルと、このコイルの内周に配置されコイルの励磁時にはハウジングと共に磁気回路を構成するステータコアと、このステータコアと磁気ギャップを介して対向配置されコイルの励磁時にはハウジング、ステータコアと共に磁気回路を構成するムービングコアと、外周がハウジングの大円筒状部の開口端に接続し、内周がムービングコアと接続し、ムービングコアをステータコアから引き離す方向に付勢すると共に、コイルの励磁時にはハウジング、ステータコア、ムービングコアと共に磁気回路を構成するダイヤフラムと、ムービングコアの移動に応じてコイルへの通電、非通電の切り替えを行う接点部材とを備えるホーンである。
【0010】
そして、ハウジングは中心軸が略水平方向に配置され、ハウジングの大円筒状部の底部のうち垂直方向の最下方近傍に通気口を形成すると共に、接点部材をハウジングの中心軸を挟んで通気口と反対側に配置している。また、通気口の周囲の空間を覆うインシュレータをハウジング内に配置し、空間の通気口からインシュレータまでの距離を2.5ミリメートル以上としている。
【0011】
本開示の第1では、通気口を塞ぐフィルタや取付ステーの塞ぎ部はなく、通気口の周りはインシュレータとの間に2.5ミリメートル以上の空間が存在する構造である。この広い空間を設けることで、ダイヤフラムの振動時のホーンの内圧を下げ、接点迄異物が侵入しにくくしている。
【0012】
本開示の第2は、インシュレータはボビンと一体形成されている。ボビンと一体形成される結果、インシュレータの成形も容易となる。
【0013】
本開示の第3は、インシュレータの外周にハウジングの大円筒状部の内周に沿う壁部を形成し、壁部の高さを1ミリメートル以上としている。壁部を形成することで、インシュレータを回り込んで接点側に向かう異物の移動を阻害することができる。
【0014】
本開示の第4は、壁部のうち、ハウジングの大円筒状部の底部とは反対側の端面を、ハウジングの大円筒状部の開口端と一致させている。壁部の距離を最大とすることで、接点に向かう異物の移動をより効果的に阻害することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図2は
図1図示ハウジングの通気口を示す正面図である。
【
図3】
図3は通気口を覆うインシュレータが
図2より小さい変形例を示す正面図である。
【
図5】
図5は空間距離が3.5ミリメートルの例におけるダイヤフラムの水滴付着状態を示す正面図である。
【
図6】
図6は空間距離が3.5ミリメートルの例におけるインシュレータの水滴付着状態を示す正面図である。
【
図7】
図7は空間距離が2.5ミリメートルの例におけるダイヤフラムの水滴付着状態を示す正面図である。
【
図8】
図8は空間距離が2.5ミリメートルの例におけるインシュレータの水滴付着状態を示す正面図である。
【
図9】
図9は空間距離が1.5ミリメートルの例におけるダイヤフラムの水滴付着状態を示す正面図である。
【
図10】
図10は空間距離が1.5ミリメートルの例におけるインシュレータの水滴付着状態を示す正面図である。
【
図11】
図11は空間距離が0.5ミリメートルの例におけるダイヤフラムの水滴付着状態を示す正面図である。
【
図12】
図12は空間距離が0.5ミリメートルの例におけるインシュレータの水滴付着状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示のホーンを自動車に用いた例を説明する。図中において矢印Aの方向が自動車の進行方向である。矢印Bは重力方向を示す。矢印A、および、矢印Cの方向は、以下の説明において軸方向と呼ばれる場合がある。
図1に示すように、ホーン100は取付ステー110により自動車の前方に取り付けられている。より具体的には、自動車のエンジンルームのラジエーター前方に取り付けられている。
【0017】
ハウジング120は、鉄材料製である。ハウジング120は、小円筒状部121と大円筒状部125とを有する有底多段円筒形状をしている。大円筒状部125の径は70ミリメートル程度である。ハウジング120は、小径部底部122と、大径部底部126とを有している。ボビン130は絶縁樹脂材料製である。ボビン130は、ハウジング120の小円筒状部121に配置されている。ボビン130にはコイル140が巻装されている。コイル140は、多数回巻装されたエナメル被覆銅線を含む。ボビン130からは円盤状のフランジ部131が一体的に形成されている。更に、フランジ部131からは第1腕部132及び第2腕部133が外方に伸び出している。ボビン130は、第1腕部132及び第2腕部133によって、ハウジング120の大径部底部126に固定されている。円筒状のボビン130、フランジ部131、第1腕部132、および、第2腕部133は、連続している樹脂材料によって一体的に形成されている。
【0018】
ボビン130の内周には、鉄材料製のステータコア150が配置されている。ステータコア150の表面は表面硬化層151により被覆されている。ステータコア150はハウジング120の小径部底部122に形成された孔123からハウジング120の外部に露出している。ステータコア150は、取付ステー110と直接当接している。ステータコア150は、取付ステー110にカシメ固定されている。
【0019】
ステータコア150に磁気ギャップを介して対向するようにムービングコア160が配置されている。ムービングコア160は鉄材料製である。ムービングコア160は、表面硬化層161により被覆されている。ムービングコア160は鍔部162を有する円筒形状に形成されている。ムービングコア160は、鍔部162によって、後述する可動接点部材170を変位させる。
【0020】
ムービングコア160の円柱軸の方向における一方側の面、図中右側の面は、ステータコア150と対向している。ムービングコア160の円柱軸の方向における他方側の面、図中左側の面には、円盤状のダイヤフラム180が配置されている。言い換えると、ムービングコア160の軸方向における面のうち、ステータコア150と対向している背面とは反対側の表面には、円盤状のダイヤフラム180が配置されている。ダイヤフラム180は導電性のあるステンレス材料製である。ダイヤフラム180は、その外周がハウジング120の大円筒状部125の開口端127に巻き締め固定されている。ダイヤフラム180は、ムービングコア160をステータコア150から引き離す方向に付勢している。また、ダイヤフラム180は、共鳴板185と共に、ムービングコア160の端部に形成された組付け凸部163によってカシメ結合されている。
【0021】
可動接点部材170及び固定接点部材175は、前述の第1腕部132と共にハウジング120の大径部底部126にリベット190によって固定されている。固定接点部材175は、銅等の導電性材料製である。固定接点部材175は、可動接点部材170に向けて突出する固定接点部176を備える。可動接点部材170は、バネ性を備える銅等の導電性材料製である。可動接点部材170は、固定接点部176に向けて突出する可動接点部171を備える。この可動接点部材170及び固定接点部材175により、接点部材174が構成されている。可動接点部材170及び固定接点部材175は、電気的なスイッチを提供している。スイッチは、コイル140の通電回路に配置されている。スイッチは、コイル140の電流を断続する。
【0022】
図2に示すように、ハウジング120の大径部底部126のうち最下方部近傍にはハウジング内外を連通する通気口124が開口している。通気口124は直径が2ミリメートル程度の穴である。通気口124は、ダイヤフラム180がスムーズに振動することを可能とするように開口している。接点部材174は、ハウジング120の中心軸129を挟んで、通気口124とは反対側に配置されている。接点部材174は、ハウジング120の中心軸129に対して、通気口124とは反対側に位置づけられている。通気口124は、ハウジング120の下方端の部位、下半円範囲に配置されている。よって、接点部材174は、ハウジング120の上方、上半円範囲に配置されている。接点部材174は、通気口124より重力方向の上に配置されている。接点部材174と、通気口124とは、中心軸129を挟んで180度離れている関係にあることが望ましい。接点部材174と、通気口124とは、組付け性等の制約的な理由により、相対的な位置を30度程度ずらすことが可能である。本開示における反対側とは、通気口124が最下方部近傍であるのに対し、接点部材174が通気口124より上方に位置していることを意味している。
【0023】
図2及び
図4に示すように、ハウジング120内には、通気口124の周囲の空間を覆うようにインシュレータ138が配置されている。インシュレータ138は、通気口124をハウジング120内から覆うように広がっている板状部材である。インシュレータ138とハウジング120とは、通気口124が直接的に開口し、連通している空間を区画している。インシュレータ138は、ハウジング120の大径部底部126に沿って配置されている。ハウジング120とインシュレータ138とは、ハウジング120とインシュレータ138とで区画された空間137を形成している。本例では、インシュレータ138は第1腕部132や第2腕部133と同様、フランジ部131から径方向外方に伸びて一体形成されている。言い換えると、インシュレータ138とフランジ部131とは、連続している樹脂材料によって一体的に形成されている。
図3は、通気口を覆うインシュレータが
図2より小さい変形例を示す。
図2および
図3に示すように、インシュレータ138が伸びている部位では、ハウジング120の大径部底部126との間に組付けや配線用の部材は存在しなく、空間137が存在している。インシュレータ138が広がっている範囲とハウジング120との間には、空間137が存在している。空間137の通気口124からインシュレータ138までの距離Dxは、
図4に図示されている。距離Dxは、通気口124とインシュレータ138との間の軸方向における距離とも呼ばれる。距離Dxは、空間距離とも呼ばれる。
【0024】
インシュレータ138の径方向外周には、壁部139が一体に形成されている。インシュレータ138は、少なくとも扇状の範囲にわたって広がっている扇状の板状部材である。壁部139は、少なくとも部分円筒状である。インシュレータ138が円板状である場合、壁部139は、円筒状である。壁部139は、インシュレータ138の径方向外縁から軸方向へ伸びだしている。インシュレータ138と壁部139とは、連続している樹脂材料によって形成されている。壁部139は、ハウジング120の大円筒状部125の内周と1ミリメートル程度の間隙を介して対向している。壁部139の先端の位置は、軸方向に関してハウジング120の開口端127と略一致している。なお、ホーン100の軸方向の長さ(
図1のA-C方向)は40ミリメートル程度である。ハウジング120の大円筒状部125の軸方向の長さは10ミリメートル程度である。インシュレータ138は、ハウジング120とダイヤフラム180とが区画するチャンバ内を、電気的なスイッチである接点部材174が配置されている第1チャンバと、通気口124が直接的に開口している第2チャンバとに区画している。この区画は、流体的な区画を意味しており、空気の流通は許容するが、通気口124を通過する液体、固体の異物の流通を空気よりも制限する程度の区画である。インシュレータ138は、少なくとも通気口124を覆う範囲にわたって広がっている。インシュレータ138は、チャンバ内を区画する隔壁部材とも呼ぶことができる。
【0025】
次に、上記構成からなるホーンの吹鳴動作を説明する。コイルに通電されていない状態では、ムービングコア160はダイヤフラム180の付勢力を受けてステータコア150から離間している。また、可動接点部材170のバネ力により可動接点部171と固定接点部176とは接している。
【0026】
この状態で、乗員の操作若しくは各種センサからの信号を受けてホーンスイッチが投入されると、コイル140に通電される。コイル140は、ステータコア150を励磁する。この際、磁気回路がステータコア150、ムービングコア160、ダイヤフラム180及びハウジング120の間に形成される。この結果、ステータコア150とムービングコア160との間の磁気ギャップに吸引力が発生する。
【0027】
その結果、ムービングコア160がステータコア150側に吸引され、ムービングコア160とステータコア150とが衝突し、衝突音を発生する。同時に、ムービングコア160の鍔部162が可動接点部材170を変位させ、可動接点部171が固定接点部176から離脱する。
【0028】
可動接点部171と固定接点部176との離脱に伴い、コイル140への通電が遮断されて、コイル140の励磁力が喪失する。その結果、ムービングコア160はダイヤフラム180の付勢力でステータコア150から離れる。同時に、可動接点部材170のバネ力で可動接点部171と固定接点部176とが再び当接する。
【0029】
可動接点部171が固定接点部176と当接する結果、再び、コイル140に通電される。続いて、磁気ギャップに発生する吸引力で、ムービングコア160がステータコア150に衝突する。このように、短い周期で、ムービングコア160とステータコア150との衝突が繰り返される。そして、ムービングコア160の往復動はダイヤフラム180及び共鳴板185を振動させ、300から500ヘルツ程度の警報音を車両の進行方向に向けて吹鳴することとなる。
【0030】
ダイヤフラム180及び共鳴板185の振動は、ハウジング120に通気口124を設けているので、空気圧によって阻害されることなくスムーズに実行される。ただ、通気口124を設けている結果、ダイヤフラム180の振動に伴って、ハウジング120内部の空気圧力(内圧)も脈動することとなる。この内圧の脈動は異物を通気口124からハウジング120内に吸い込む原因となる。
【0031】
ここで、異物がハウジング120内に侵入しても、それのみではホーン100が動作不良に至ることはない。しかし、異物が接点部材174にまで侵入すればホーン100が動作不良をきたす恐れがある。
【0032】
本開示では、ハウジング120内の通気口124とインシュレータ138との間に形成された空間137の大きさと、ハウジング120の内気の脈動との関係を確かめる実験を行っている。実験では、異物として水を用い、ミストをどれくらい吸い込むかで確認を行った。
【0033】
確認実験は、ホーン100から30センチメートル離れた位置から水をホーン100に向けて散水する方法で行った。散水は5分間連続して実行された。散水の向きは、散水の間に、ホーン100に向けて上からと、ホーン100に向けて正面(
図1のC方向)からとを含む周期的変化を複数の周期だけ繰り返した。散水の間に、ホーン100は1秒鳴動して4秒停止する周期で鳴動を繰り返した。
【0034】
実験は、通気口124とインシュレータ138との間の軸方向における空間距離を3.5ミリメートル、2.5ミリメートル、1.5ミリメートル、及び0.5ミリメートルとした4例で行った。水滴の付着状態を
図5ないし
図12で示す。
図5及び
図6はインシュレータ138と通気口124(ハウジング120の大径部底部126)との間の軸方向における空間距離が3.5ミリメートルとした例を示している。
図7及び
図8は空間距離が2.5ミリメートルとした例を示している。
図9及び
図10は空間距離が1.5ミリメートルとした例を示している。
図11及び
図12は空間距離が0.5ミリメートルとした例を示している。
【0035】
また、
図5、
図7、
図9、及び
図11は、ダイヤフラム180の内側面180aへの水滴付着状況を示している。
図6、
図8、
図10、及び
図12は、インシュレータ138のうちダイヤフラム180に対向する面138aでの水滴付着状況を示している。即ち、水滴付着状況はインシュレータ138に覆われた空間137での付着ではなく、壁部139とハウジング120の大円筒状部125との隙間を通り抜けた水滴の付着状況を示す。
【0036】
実験結果は、いずれの例も水滴が接点部材174まで届くことはなかった。しかし、インシュレータ138から通気口124(ハウジング120の大径部底部126)までの軸方向の距離が小さくなるほど、水滴の付着量が多くなることが確認された。これは、インシュレータ138から通気口124(ハウジング120の大径部底部126)までの軸方向の距離が小さくなる結果、通気口124と対向する空間137が小さくなり、内気の脈動の影響をより大きく受け、より多くの水滴が空間137に入り込み、次いでダイヤフラム180側まで回り込むためであると推定される。
【0037】
そこで、本開示ではインシュレータ138から通気口124(ハウジング120の大径部底部126)までの軸方向の距離を2.5ミリメートル以上としている。上記の実験結果より、空間137の大きさを2.5ミリメートル以上とすれば、空間137に侵入する異物の侵入量を抑えることができ、接点部材174まで向かうことはないと判断できるからである。
【0038】
上述の通りハウジング120の大円筒状部125の軸方向の長さは10ミリメートル程度である。図示の例では、インシュレータ138とハウジング120の開口端127との間に距離が残る。この残り距離を利用して、その残り距離の長さの壁部139をインシュレータ138の外周に形成している。これにより、異物が、空間137から接点部材174に向かいにくくしている。壁部139の長さは、インシュレータ138から通気口124(ハウジング120の大径部底部126)までの軸方向の距離をどの程度大きくするのかに応じて異なる。壁部139の長さは、1ミリメートル程度以上の大きさとすることが望ましい。壁部139の長さは、壁部139の高さとも呼ばれる。
【0039】
そして、壁部139の長さを最大とするため、壁部139の端面はハウジング120の大円筒状部125の開口端127と揃えている。壁部139の端面が開口端127より突出してはダイヤフラム180と接する恐れがあるためである。
【0040】
なお、上述の開示は望ましい実施態様であるが、本開示は上記例以外にも、適用可能である。自動車以外の用途に用いることも可能で、大きさや材料も上記例以外に適応可能である。
【0041】
接点部材174の構成も、ムービングコア160の移動に応じて通電非通電の切り替えを行うことが可能であれば、他の構成としても良い。