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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】還元剤気化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20240628BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240628BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20240628BHJP
【FI】
F01N3/24 N
F01N3/08 B
F01N13/08 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023544241
(86)(22)【出願日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2023001853
(87)【国際公開番号】W WO2023145671
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2022012129
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】八重尾 敦
(72)【発明者】
【氏名】野田 久美子
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/000582(WO,A1)
【文献】特開2010-121597(JP,A)
【文献】特開2012-47109(JP,A)
【文献】特開2016-194302(JP,A)
【文献】特開2013-133773(JP,A)
【文献】特開2009-68460(JP,A)
【文献】特開2008-280999(JP,A)
【文献】特開2005-76460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/08
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と、該外管の内側に設けた内管を有し、
該内管を、支持部材により支持して前記外管に内装し、
前記内管内に気体が流通する内側流路を形成し、前記外管と、前記内管との間に、気体が流通する外側流路を形成し、
還元剤の噴出方向を、前記内側流路の軸芯と同じになるようにした供給部により、前記還元剤を前記内側流路内に選択的に供給するとともに、前記還元剤を前記外側流路内には供給しないようにし、
前記供給部における還元剤の噴射角度が、前記内管内に収まる位置に、前記供給部を設け、
前記内管内に、前記内側流路の軸方向へ延在するとともに、下流側端部が同じ方向に曲折された複数の板状部材で構成された気化部材を設け、
前記気化部材を構成する複数の板状部材の少なくとも一つに、凸凹加工、穿孔加工、切り起こし加工のうち少なくとも一つの加工を施したことを特徴とする還元剤気化装置。
【請求項2】
前記内管に、複数の連通孔を形成したことを特徴とする請求項記載の還元剤気化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元剤気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両から排出される排気ガス中に含まれるNOX(窒素酸化物)を分解して、排気ガスを浄化する装置として、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが用いられている。
【0003】
尿素SCRシステムは、排気通路に設けた還元触媒を有し、還元触媒よりも上流の排気通路内に尿素水溶液等の還元剤を供給し、尿素水溶液から生成されるアンモニアとNOXとが反応することによりNOXを分解し、排気ガスを浄化するものである。
【0004】
還元剤である尿素水の分解反応の過程で、シアヌル酸、メラミン、メルムなどの中間生成物が生成されることがある。この中間生成物は、温度低下時に白色の堆積物として管内に残留し、排気浄化効率の低下や、結晶物による触媒欠けの原因等となるため、中間生成物の生成の抑制が望まれている。
【0005】
排気ガスと還元剤との混合区間において、管を内管と外管の二重構造とし、内管と外管との間に空気層を形成することで保温性を高めることにより、中間生成物の生成を抑制することが提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-127311号公報
【文献】国際公開2012/164722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1記載の排気浄化装置においては、空気層内の排気ガスの動きが少ないため、還元剤である尿素水の熱分解時に気化熱が奪われ、排気ガスの温度低下が生じ、二重管による保温効果では、中間生成物の生成を抑制できないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2記載の排気浄化装置においては、内管内に、複数の板材を内管の軸芯を中心として、放射状に配置しているため、内管内の通気抵抗が高くなり、排気ガスは、外管と内管との間を優先的に流通するようになり、板材により還元剤の気化促進効果が得られにくいとともに、板材同士の間に中間生成物が堆積する恐れがある。
【0009】
そこで、本発明は、上記特許文献1,2記載の構造よりも、中間生成物の生成を抑制し、内管内の通気抵抗を低減できる還元剤気化装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明は、外管と、該外管の内側に設けた内管を有し、
該内管を、支持部材により支持して前記外管に内装し、
前記内管内に気体が流通する内側流路を形成し、前記外管と、前記内管との間に、気体が流通する外側流路を形成し、
還元剤の噴出方向を、前記内側流路の軸芯と同じになるようにした供給部により、前記還元剤を前記内側流路内に選択的に供給するとともに、前記還元剤を前記外側流路内には供給しないようにし、
前記供給部における還元剤の噴射角度が、前記内管内に収まる位置に、前記供給部を設け、
前記内管内に、前記内側流路の軸方向へ延在するとともに、下流側端部が同じ方向に曲折された複数の板状部材で構成された気化部材を設け、
前記気化部材を構成する複数の板状部材の少なくとも一つに、凸凹加工、穿孔加工、切り起こし加工のうち少なくとも一つの加工を施したことを特徴とするものである。
【0012】
また、前記内管に、複数の連通孔を形成してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、外管と、管の内側に設けた内管を有し、内管内に気体が流通する内側流路を形成し、外管と内管との間に、気体が流通する外側流路を形成し、供給部により、還元剤を内側流路内に選択的に供給するとともに、還元剤を外側流路内には供給しないようにしたことにより、外側流路内の温度は、還元剤の熱分解時の気化熱等により低下するが、内部を気体が流通することで一定に保つことができ、内側流路内へ熱伝達を行うことで、内側流路内の温度低下を低く抑え、排気浄化効率の低下や、結晶物による触媒欠けの原因等となる中間生成物の生成を抑制することができる。
【0014】
また、内管内に、複数の板状部材で構成され、内側流路の軸方向へ延在する気化部材を設けたことにより、特許文献2記載の排気浄化装置よりも、内管内の通気抵抗を低減し、内管内の排ガスの流量を増し、気化部材による還元剤の気化を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1に係る還元剤気化装置の縦断面図。
図2図1の分解斜視図。
図3図2の縦断面図。
図4】本発明の実施例2に係る還元剤気化装置の分解斜視図。
図5】本発明の実施例3に係る還元剤気化装置の縦断面図。
図6】本発明の実施例4に係る還元剤気化装置の縦断面図の一例。
図7】本発明の実施例4に係る還元剤気化装置の縦断面図の他例。
図8】本発明の実施例5に係る還元剤気化装置の一例の縦断面図。
図9】本発明の実施例5に用いる板状部材の他例の斜視図。
図10】本発明の実施例6に用いる気化部材の斜視図。
図11】本発明の実施例7に用いる板状部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0017】
[実施例1]
図1は、本発明における実施例1の還元剤気化装置1を示す縦断面図である。還元剤気化装置1は、車両に搭載された内燃機関のエンジンから排出された気体である排気ガスが流通する流路である排気管10に設けられ、図1の右側が排気管10の上流側A、左側が下流側Bである。
【0018】
還元剤気化装置1の上流側には、排気ガスに含まれるHCやCOを酸化浄化する図示しない酸化触媒(DOC)が配置され、下流側には、排気中のNOxを選択的に還元する選択還元触媒(SCR)が配置されている。排気中のPMを捕集するフィルタ(DPF)は、酸化触媒(DOC)と還元剤気化装置1との間に設けてもよいし、選択還元触媒(SCR)と一体に形成(SCRF)してもよい。
【0019】
還元剤気化装置1は、図1図3に示すように、外管2と、外管2の内側に設けた内管3の2重管を有している。内管3は、支持部材4により、外管2の内面に対し固定支持され、内管3は、外管2に内装されている。本実施例においては、図1に示すように、内管3の上流側端部を、下流側から上流側に向かう程拡径するようにしたが、拡径しないように形成してもよい。
【0020】
外管2は、第1外管2aと、第2外管2bを、外管2の軸方向に直列に接続して形成されている。外管2を、断熱材で被覆するようにしてもよい。なお、第1外管2aと、第2外管2bを一体に形成してもよい。
【0021】
支持部材4は、図1図3に示すように、上流側Aから下流側Bに向かって縮径するように形成されている。支持部材4の上流側端部4aの内面が、第1外管2aの外面に勘合するとともに、支持部材4の上流側端部4aの外面が、第2外管2bの内面に勘合し、支持部材4の上流側端部4aは、外管2に対して固定されている。
【0022】
支持部材4の下流側端部4bの内面は、内管3の外面に勘合され、支持部材4の下流側端部4bは、内管3に対して固定されている。
【0023】
支持部材4には、外管2の軸方向に貫通する流通孔4cが、周方向に相互に離間するように複数形成されている。
【0024】
外管2と内管3との間には、気体が流通する外側流路5が形成され、外側流路5を流通する気体は、流通孔4cを通過して流通するようになっている。また、内管3は両端が開口し、内管3内には気体が流通する内側流路6が形成されている。
【0025】
支持部材4は、外管2と外側流路5内の熱を、内管3に効率よく伝えることができる素材で構成され、外管2と外側流路5内の熱を、内管3に伝えることができるようになっている。
【0026】
排気管10における内管3の上流側Aには、内側流路6内に尿素水溶液等の液体状の還元剤を供給する供給部11が設けられ、供給部11により、還元剤を、後述する気化部材12に当たるように、内管3の内側流路6内に選択的に供給するとともに、外側流路5内には還元剤を供給しないようになっている。なお、図1において供給部11の詳細な構造は図示していない。本実施例では、還元剤として、尿素水溶液を用い、供給部11として尿素水インジェクタを用いるとともに、図1に示すように、尿素水インジェクタにおける還元剤の噴射角度が、内管3の内側流路6内に収まるように設定した。本実施例では、供給部11を、図1に示すように、排気管10の内部に突出するように設けたが、内管3の内側流路6内に還元剤を供給できれば、排気管10の内部に突出しないように設けてもよい。
【0027】
また、図1に示すように、供給部11における還元剤の噴出方向が、内側流路6の軸芯と略同じとなるようにした。
【0028】
内管3の内側流路6内には、液体状の還元剤の気化を促進する気化部材12が設けられている。供給部11である尿素水インジェクタより噴霧された液状の尿素水は、気化部材12に付着した後、排気ガス等の熱により気化及び熱分解するようになっている。
【0029】
気化部材12は、図1図3に示すように、複数枚の板状部材12aを、内側流路6の軸方向に延在するとともに、下流側端部12bが同じ方向に曲折されて、略平行となるように設けられている。板状部材12aの下流側端部12bは、他の板状部材12aと干渉しないとともに、内側流路6を閉塞しないよう曲折されている。板状部材12aの下流側端部12bを曲折したことにより、板状部材12aと還元剤である尿素水との接触確率を高め、噴霧された還元剤の多くを、板状部材12aの表面に付着させ、尿素水を確実に気化させることができる。
【0030】
内側流路6の上流側には、気化部材12が設けられていない。また、気化部材12の下流側端部12bは、内側流路6より外側方向に突出するように設けられている。なお、気化部材12の下流側端部12bを、内側流路6内に収納し、下流側端から外側方向に突出させなくてもよい。
【0031】
内管3の内側流路6におけるその軸方向の長さL1は、気化部材12における内側流路6の軸方向の長さL2よりも長くなるように形成されている。
【0032】
外側流路5内を、排気ガス等の気体のみが流通し、外側流路5内には還元剤が供給されないことにより、外側流路5内の温度が、還元剤の熱分解時の気化熱等により低下することがないとともに、外側流路5内を気体である排気ガスが流通することで高温に保つことができる。
【0033】
この高温の空気層である外側流路5から内側流路6への熱伝達により、内側流路6内の温度が、還元剤の熱分解時の気化熱等により低下することを低く抑え、内側流路6内の温度を高く保つことができることで、還元剤の気化を促進し、還元剤である尿素水の分解反応の過程で生じる中間生成物の生成を抑制し、中間生成物による排気ガス等の浄化効率の低下や、中間生成物の結晶物等による触媒欠けなどを防ぐことができる。
【0034】
また、支持部材4により、外管2と外側流路5内の熱を、内管3に伝えるようにしたことにより、内側流路6内の温度が還元剤の熱分解時の気化熱等により低下することをより防ぐことができる。
【0035】
また、内側流路6の軸方向の長さL1を、気化部材12の軸方向の長さL2よりも長く形成したことにより、内側流路6の軸方向の長さL1と気化部材12の軸方向の長さL2が同じとなるように形成したものと比較して、外側流路5の軸方向の長さを長くすることができ、より内側流路6内の温度を高く保つことができる。
【0036】
気化部材12を、内側流路の軸方向へ延在する複数枚の板状部材12aを、平行に設けて構成したことにより、上記特許文献2記載の排気浄化装置と比較して、内側流路6内の背圧を低減するともに、通気抵抗を低減し、内側流路6内の排気ガスの流量を増し、気化部材12による還元剤の気化を促進することができる。
【0037】
[実施例2]
本実施例2は、図4に示すように、内管14の周壁に、表裏を貫通するパンチング孔からなる穿孔で形成され、外側流路5内と内側流路6内を連通する連通孔15を複数形成した実施例である。
【0038】
それ以外の構造は、前記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0039】
本実施例2においても前記実施例1と同様の効果を奏する。
【0040】
更に、本実施例2は、内管14に複数の連通孔15を形成したことにより、外側流路5内を流れる高温の排気ガスの一部が、連通孔15を通じて、内側流路6内に流入することで、内側流路6内の温度を、上記実施例1よりも高く保つことができることで、還元剤の気化をより促進し、還元剤である尿素水の分解反応の過程で生じる中間生成物の生成を抑制し、中間生成物による排気ガス等の浄化効率の低下や、中間生成物の結晶物等による触媒欠けなどをより防ぐことができる。
【0041】
[実施例3]
上記実施例1においては、支持部材4により、内管3を外管2に対して固定したが、図5に示すように、内管16の周壁を切り起こして支持部材16aを複数形成し、この支持部材16aにより、内管3を外管2に対して固定するようにしてもよい。支持部材16aを切り起こすことにより、内管3の周壁に上記実施例2の連通孔15と同様の作用をする連通孔16bが形成される。
【0042】
また、上記実施例1,2では、板状部材12aの下流側端部12bを、曲折したが、図5に示すように、曲折しなくても還元剤を十分に気化することができれば、板状部材12aの下流側端部12bを曲折しないように形成してもよい。
【0043】
また、内管16と、供給部11との間の、排気管10の内壁、好ましくは、供給部11の近傍の内壁に、板状部材12aの表面に直交する仕切板17が1枚形成されている。なお、仕切板17の数は任意に設定できる。
【0044】
それ以外の構造は、前記実施例1,2と同様であるのでその説明を省略する。
【0045】
本実施例3においても前記実施例1,2と同様の効果を奏する。
【0046】
更に、本実施例3は、仕切板17を設けたことにより、供給部11を、図5に示すように、排気管10の内部に突出するように設けた際に、排気ガスが、供給部11の周辺で旋回することを抑制し、内管3内に流入する排気ガスを整流することができる。
【0047】
内管16の周壁を切り起こして支持部材16aを形成したことにより、上記実施例1、2よりも部品点数を削減し、製造コストを低減できる。また、支持部材16aと内管16を一体に形成することで、外管2からの熱伝達効率を上げ、内側流路6内の温度をより上昇させることができる。
【0048】
また、内管16の周壁の切り起こしの大きさ、数、位置を、選択(チューニング)することで、外側流路5から内側流路6内への高温の排気ガスの導入を促進し、内側流路6内の温度をより上昇させることができる。
【0049】
また、板状部材12aの下流側端部12bを、曲折しないことで、内側流路6内の背圧上昇を抑え、内側流路6内の排気ガスの流量を増加させることができる。
【0050】
[実施例4]
上記実施例1乃至3においては、供給部11における還元剤の噴出方向を、内側流路6の軸芯がほぼ同じとなるように設定したが、供給部11により還元剤を内管3の内側流路6内のみに供給することができれば、内管3の内側流路6に対する供給部の位置は任意に設定することができる。
【0051】
例えば、図6に示すように、供給部21における還元剤の噴出方向を、内側流路6の軸芯に対して傾斜するとともに、還元剤の噴射角度が、内管3の内側流路6内に収まるようにしてもよい。
【0052】
また、図7に示すように、供給部31における還元剤の噴出方向を、内側流路6の軸芯に対して直交するとともに、供給部31を、外管2と内管3の側面を貫通して設け、供給部31により還元剤を内管3の内側流路6内のみに供給するようにしてもよい。
【0053】
それ以外の構造は、前記実施例1乃至3と同様であるのでその説明を省略する。
【0054】
本実施例4においても前記実施例1乃至3と同様の効果を奏する。
【0055】
[実施例5]
本実施例5は、図8図9に示すように、複数の凸凹42を形成する凸凹加工を、気化部材41の板状部材41aの表面に施した実施例である。この凸凹加工は、複数枚の板状部材41aのうち少なくとも一枚に施されていればよく、凸凹加工を施す枚数は任意に設定できる。
【0056】
凸凹42は、図8に示すように、板状部材41aの上流側のみに設けてもよいし、図9に示すように、板状部材41aの全面に設けるようにしてもよく、任意の場所に設けることができる。
【0057】
また、凸凹加工は、任意の方法で行うことができ、例えば、図9に示すように、エンボス加工により、比較的小さな凸凹42を多数形成するようにしてもよい。
【0058】
それ以外の構造は、前記実施例1乃至4と同様であるのでその説明を省略する。
【0059】
本実施例5においても前記実施例1乃至4と同様の効果を奏する。
【0060】
更に、本実施例5は、板状部材41aの表面に、凸凹42を形成したことにより、板状部材41aの表面積を上記実施例1乃至4の板状部材12aよりも増やし、還元剤の気化をより促進できる。
【0061】
また、板状部材41aの凸凹42により、板状部材41aの表面で乱流が生じ排気ガスが攪拌され、還元剤の気化をより促進できる。
【0062】
また、気化部材41の軸方向の長さL2を、上記実施例1乃至4の板状部材12aよりも短く形成した場合でも、上記実施例1乃至4の板状部材12aと同等の還元剤の気化促進効果を得ることができる。
【0063】
[実施例6]
本実施例6は、図10に示すように、表面を切り起こして凸凹52と孔53を形成する切り起こし加工を、気化部材51の板状部材51aの表面に施した実施例である。この切り起こし加工は、複数枚の板状部材51aのうち少なくとも一枚に施されていればよく、切り起こし加工を施す枚数は任意に設定できる。
【0064】
それ以外の構造は、前記実施例1乃至4と同様であるのでその説明を省略する。
【0065】
本実施例6においても前記実施例1乃至4と同様の効果を奏する。
【0066】
更に、本実施例6は、板状部材51aの表面に、切り起こし加工を施したことにより、板状部材51aの表面積を上記実施例1乃至4の板状部材12aよりも増やし、還元剤の気化をより促進できる。
【0067】
また、板状部材51aの凸凹52と孔53により、板状部材51aの表面で乱流が生じ、排気ガスが攪拌され、還元剤の気化をより促進できる。
【0068】
また、気化部材51の軸方向の長さL2を、上記実施例1乃至4の気化部材12よりも短く形成した場合でも、上記実施例1乃至4の板状部材12aと同等の還元剤の気化促進効果を得ることができる。
【0069】
[実施例7]
本実施例7は、図11に示すように、表裏を貫通するパンチング孔からなる穿孔62を多数形成する穿孔加工を、気化部材61の板状部材61aの表面に施した実施例である。この穿孔加工は、複数枚の板状部材61aのうち少なくとも一枚に施されていればよく、穿孔加工を施す枚数は任意に設定できる。なお、図11では、1枚の板状部材61aのみを図示したが、気化部材61は、上記実施例1乃至6と同様に、複数枚の板状部材61aで構成されている。
【0070】
それ以外の構造は、前記実施例1乃至4と同様であるのでその説明を省略する。
【0071】
本実施例7においても前記実施例1乃至4と同様の効果を奏する。
【0072】
更に、本実施例7は、板状部材61aに穿孔62を形成したことにより、還元剤液膜の厚みを上記実施例1乃至4の板状部材12aよりも減らし、還元剤の気化をより促進できる。
【0073】
また、板状部材61aの表面に、穿孔62を形成したことにより、板状部材61aの表面で乱流が生じて排気ガスが攪拌され、還元剤の気化をより促進できる。
【0074】
また、気化部材61の軸方向の長さL2を、上記実施例1乃至4の気化部材12よりも短く形成した場合でも、上記実施例1乃至4の板状部材12aと同等の還元剤の気化促進効果を得ることができる。
【0075】
[実施例8]
上記実施例5乃至7は、気化部材12,41,51,61を構成する板状部材12a,41a,51a,61aに、凸凹加工、穿孔加工、切り起こし加工の何れかの加工を、複数枚の板状部材12a,41a,51a,61aに対し、全て、同じ加工となるようにしたが、異なる加工を施した板状部材12a,41a,51a,61aを組み合わせて気化部材12,41,51,61を構成するようにしてもよい。
【0076】
それ以外の構造は、前記実施例1乃至7と同様であるのでその説明を省略する。
【0077】
本実施例8においても前記実施例1乃至7と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0078】
1 還元剤気化装置
2 外管
3,14,16 内管
4,16a 支持部材
5 外側流路
6 内側流路
11,21,31 供給部
12,41,51,61 気化部材
12a,41a,51a,61a 板状部材
15,16b 連通孔
42 凸凹(凸凹加工)
52 凸凹(切り起こし加工)
53 孔(切り起こし加工)
62 穿孔(穿孔加工)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11