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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】衣類
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/00 20060101AFI20240628BHJP
   A41D 27/10 20060101ALI20240628BHJP
   A41D 27/18 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A41D27/00 A
A41D27/10 E
A41D27/18 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023564066
(86)(22)【出願日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2023030979
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2022140106
(32)【優先日】2022-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519053094
【氏名又は名称】東麗(香港)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 卓充
(72)【発明者】
【氏名】木戸 達也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 亜津希
(72)【発明者】
【氏名】松本 真吾
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-253510(JP,A)
【文献】特開2022-067207(JP,A)
【文献】特開2021-085103(JP,A)
【文献】実開平07-040710(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D27/00-27/28
A41H43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の人体を通過させる開口部を有する衣類であって、
前記衣類は、生地が折り合されてなる開口部用パーツが衣類本体の前記開口部の縁に沿って接合され、
前記開口部用パーツは、前記生地の折り山および生地端に沿って複数の列状に付設されたドット状の接着剤により前記開口部用パーツ同士で固着されており、
前記開口部用パーツの生地端側に最も近く付設された列状のドット状の接着剤のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値LAが、折り山側に最も近く付設された列状のドット状接着剤のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値LBよりも小さい衣類。
【請求項2】
前記LAとLBとが、LA/LB≦0.75の関係にある、請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記開口部を上にしたとき、前記開口部用パーツが凹型状に曲線を有するパターンで構成されている、請求項1または2に記載の衣類。
【請求項4】
前記開口部用パーツは、前記開口部との接合を除いた状態において、前記折れ山側を内周、前記生地端側を外周とする湾曲形状を有し、前記生地端側における長手方向端部の接線と、長手方向の反対側に位置する端部の接線とがなす角度が10°以上、180°未満である、請求項1または2に記載の衣類。
【請求項5】
前記LAとLBとが、LA/LB≦0.7の関係にあり、
前記開口部用パーツは、前記開口部との接合を除いた状態において、前記折れ山側を内周、前記生地端側を外周とする湾曲形状を有し、前記生地端側における長手方向端部の接線と長手方向の反対側に位置する端部の接線とがなす角度が10°以上、180°未満である、請求項1または2に記載の衣類。
【請求項6】
前記開口部用パーツは長手方向への伸長率が20%以上、200%以下であり、前記ドット状の接着剤は前記開口部用パーツを伸張させた状態で固着されている請求項1または2に記載の衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類の開口部に衣類を構成するテープ状の開口部用パーツを接合する技術として、二つ折りにしたテープ状の開口部用パーツをオーバーロックミシンで縫い合わせる方法や、三つ折りもしくは四つ折りにしたテープ状の開口部用パーツを偏平縫いミシンなどで縫い合わせる方法が一般的に知られている。また近年では、ホットメルトシートやドット状接着剤を使用して衿部を処理する方法がある。例えば、特許文献1には、ショーツなどの下着の開口部を、ホットメルトシートと伸縮性生地を積層したテープを用いて端部処理をする技術が提案されている。また、特許文献2では、ショーツなど下着の開口部にテープ状の当て布をドット状接着剤を用いて圧着する技術が提案されており、特許文献3では、Tシャツの衿などの開口部において、開口部の生地をドット状接着剤を用いて二つ折りに圧着し、処理する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平7-40710号公報
【文献】特開2003-253510号公報
【文献】特開2021-85103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば衣類の開口部にテープ状の開口部用パーツを二つ折りもしくは三つ折り、四つ折りにして、オーバーロックミシンや偏平縫いミシンにて縫い合わせる従来の一般的な技術の場合、カーブ状の開口部に直線状の開口部用パーツを縫い合わせるため、開口部用パーツの内外周差により、開口部用パーツの内側が余り、波打つという不具合があった。また、開口部用パーツの波打ちを解決するために開口部用パーツを伸ばしながら縫い合わせる方法を行うと、開口部用パーツの波打ちは緩和されるものの、開口部用パーツの接合部分において伸ばされた開口部用パーツが戻ろうとする力が働き、衣類本体側にシワが出現するパッカリング不良が発生してしまうという不具合があった。
【0005】
また、特許文献1のショーツなどの下着の開口部を、ホットメルトシートと伸縮性生地を積層したテープを用いて端部処理をする技術を使用した場合、カーブ状の開口部では、従来の一般的な技術と同様にホットメルトシートと伸縮性生地を積層した伸縮性生地に内外周差が発生するため、伸縮性生地の内側に波打ちが発生する。
一方、特許文献2の技術では、外観上開口部用パーツの接合が見えることなく、また、特許文献3の技術では開口部用パーツを使用しないため、デザイン上の制限が発生してしまう問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、凹型に湾曲した開口部に開口部用パーツを接合する構成の場合でも、開口部用パーツの波打ちや、開口部用パーツおよび本体部分のパッカリング不良を軽減する衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る衣類は、着用者の人体を通過させる開口部を有する衣類であって、前記衣類は、生地が折り合わされてなる開口部用パーツが衣類本体の前記開口部の縁に沿って接合され、前記開口部用パーツは、前記生地の折り山および生地端に沿って複数の列に付設されたドット状接着剤により固着されており、前記開口部用パーツの生地端側に最も近く付設された列状のドット状接着剤のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値LAが、折り山側に最も近く付設された列状のドット状接着剤のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値LBよりも小さいことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る衣類は、上記発明において、前記LAとLBとが、LA/LB≦0.75の関係にあることを特徴とする。
本発明に係る衣類は、上記のいずれかの発明において、前記開口部を上にしたとき、前記開口部用パーツが凹型状に曲線を有する、すなわち曲率が0より大きいパターンで構成されていることを特徴とする。
本発明に係る衣類は、上記いずれかの発明において、前記開口部用パーツは、前記開口部との接合を除いた状態において、前記折れ山側を内周、前記生地端側を外周とする湾曲形状を有し、前記生地端側における長手方向端部の接線と長手方向の反対側に位置する端部の接線とがなす角度が10°以上、180°未満であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る衣類は、上記いずれかの発明において、前記LAとLBとが、LA/LB≦0.7の関係にあり、前記開口部用パーツは、前記開口部との接合を除いた状態において、前記折れ山側を内周、前記生地端側を外周とする湾曲形状を有し、前記生地端側における長手方向端部の接線と長手方向の反対側に位置する端部の接線とがなす角度が10°以上、180°未満であることを特徴とする。
本発明に係る衣類は、上記いずれかの発明において、前記開口部用パーツは長手方向への伸長率が20%以上、200%以下であり、前記ドット状の接着剤は前記開口部用パーツを伸張させた状態で固着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開口部に開口部用パーツを接合するとき、折り合わされた開口部用パーツの波打ちや開口部用パーツおよび本体部分のパッカリング不良を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態1に係る衣類の外観を示す図である。
図2図2は、図1に示す衣類の予め湾曲変形された開口部用パーツの端部の接線と他方端部の接線の角度を示す図である。
図3A図3Aは、図1に示す衣類の開口部用パーツの製造を説明する図であり、生地を折り合わせる前の状態を模式的に示す図である。
図3B図3Bは、図1に示す衣類の開口部用パーツの製造を説明する図であり、図3Aに示す生地を折り合わせた後の状態を模式的に示す図である。
図4図4は、図1に示す衣類の開口部用パーツに付設された接着剤の間隔を説明する図である。
図5A図5Aは、実施の形態1の変形例にかかる衣類の開口部用パーツの製造を説明する図であり、生地を折り合わせる前の状態を模式的に示す図である。
図5B図5Bは、実施の形態1の変形例にかかる衣類の開口部用パーツの製造を説明する図であり、図5Aに示す生地を折り合わせた後の状態を模式的に示す図である。
図6図6は。実施の形態2に係る衣類の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という」)を説明する。なお、図面はあくまでも模式的なものである。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る衣類の構成を模式的に示す図である。同図に示す衣類1は、半袖肌着の上衣の一例であり、頭、腕、胴体を通過させる衿開口部2、袖口開口部3、裾開口部4を有する。襟開口部2、袖開口部3、裾開口部4は、曲線を有する、すなわち曲率が0より大きいパターンで構成されており、開口部用パーツ5a、5b、5cがそれぞれ接合された構造となっている。
【0014】
衣類本体部1aは、一般の衣料用素材として提供される織編物素材、例えば、織物、編物、などの繊維構造物が使用可能であるが、これらに制限されるものではない。また衣類1の用途としては、一般的な肌着やカップ付きインナーの他、Tシャツやカットソーなどのアウターウェアの素材に適用することができ、限定されるものではない。
【0015】
衣類1の開口部用パーツ5a、5b、5cは、伸縮性を有する生地からなる。たとえば、一般の衣料用素材として提供される編物素材、例えば、伸縮性を有する緯編や経編の素材を使用することができる。緯編としては、平編(天竺)、ゴム編(リブ編)、パール編(ガータ編)、両面編(スムース編)、平編の変化組織(親子天竺、鹿の子編、ヘンリンボン、浮き編、シングルジャガード、アコーディオン編、レース編、添え糸編、パイル編、縄編、インターシャー編等)、ゴム編の変化組織(針抜きゴム編、かたあぜ編、両畦編、振り編、ダブルジャガード編、片袋編、ミラノリブ、ダブルピケ、ブリスター等)、両面編の変化組織(エイトロック、シングルピケ、モックミラノ、ポンチローマ等)などが例示される。経編としては、トリコット(デンビー編、コード編、アトラス編等)、ラッシェル編などが例示される。また、織物素材であっても、衣料用に伸縮性を持つ素材は本発明に好適である。
【0016】
衣類1の開口部用パーツ5a、5b、5cの好ましい伸度としては、「JIS L 1096(2020年)」に記載されている織物及び編物の生地試験方法の伸び率試験B法にて20%以上200%以下であり、より好ましくは100%以上200%以下である。
【0017】
開口部用パーツ5a、5b、5cの衣類本体1aへの接合方法としては、オーバーロックミシンによる縫合、偏平縫いミシンによる縫合、フラットシーマミシンによる縫合、本縫いミシンによる縫合など限定されるものではない。また、縫製による接合方法以外として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの他、高分子化合物からなる接着剤や熱可塑性シートによる圧着方法での接合なども可能である。
【0018】
衣類本体1aの衿開口部2、袖開口部3、裾開口部4の形状としては、開口部を上にしたとき開口部用パーツ5(5a、5b、5c)が凹型状に曲線を有する、すなわち曲率が0より大きいパターンで構成されていることが好ましい。図2は、衣類1本体部から接合の状態を除いた開口部用パーツ5(5a、5b、5c)を示すものであり、生地端における長手方向端部の接線6taと長手方向の反対側に位置する端部の接線6tbとがなす角度が10°以上であることが好ましい。
なお、本発明における曲率とは、下記式で求めたものである。
曲率=1÷開口部用パーツ5の生地を折り合わせた後の開口部の平均曲率半径(cm)
曲率が0より大きいことにより、開口部用パーツ5が衣服本体の開口部の曲線に追従することができ、シワの少ない外観品位を得ることができる。曲率は、より好適には0.03以上である。
【0019】
以下、襟開口部2に接合される開口部用パーツ5aを例として本発明を説明するが、袖開口部3、裾開口部4に接合される開口部用パーツ5b、5cについても開口部用パーツ5aと同様の構成を有し、同様にして製造することができる。図3Aは、図1に示す衣類1の開口部用パーツ5aの製造を説明する図であり、開口部用パーツ生地5a’を折り合わせる前の状態を模式的に示す図であり、図3Bは、図3Aに示す開口部用パーツ生地5a’を折り合わせ、接着した後の状態を模式的に示す図である。開口部用パーツ5aは、開口部用パーツ生地5a’を折り合わせてなる。開口部用パーツ生地5a’の片側にドット状接着剤10が付設されている。ドット状接着剤10は、開口部用パーツ生地5a’の折り山8および生地端6に沿って2列に付設されている。ドット状接着剤10は、生地端6側に付設された列状のドット状接着剤107と、折り山8側に付設された列状のドット状接着剤109とからなる。なお、図1図3Bでは、ドット状接着剤10の付設位置の理解のためにドット状接着剤10を実線で示している。
【0020】
開口部用パーツ5aの製造は、まず、開口部用パーツ生地5a’の一方の面の片側に図3Aに示すようにドット状接着剤10を2列に付設後、折り山8でパーツ生地5a’を二つ折にする。その後、開口部用パーツ生地5a’を長手方向に110%~190%、好ましくは120%~180%伸長させた状態でドット状接着剤10により固着する。ドット状接着剤10による固着後、パーツ生地5a’の伸長を開放すると折り山8側が生地端6側より大きく収縮し、開口部用パーツ5aは、折り山8側を内周、生地端6側を外周とする凹型の湾曲形状とすることができる。
もしくは、開口部用パーツ生地5a’を予め110%~190%、好ましくは120%~180%伸長させた状態で開口部用パーツ生地5a’の一方の面の片側に図3Aに示すようにドット状接着剤10を2列に付設後、折り山8でパーツ生地5a’を二つ折にし、ドット状接着剤10の固着後、パーツ生地5a’の伸長を開放する方法でも凹型の湾曲形状とすることができるので好ましい。
開口部用パーツ5aは、図3Aおよび図3Bでは二つ折りを採用しているが、これに限定されるものではなく、三つ折り、四つ折りでも良い。
【0021】
図4は、図1に示す衣類の開口部用パーツ5aに付設されたドット状接着剤10の間隔を説明する図である。図4に示すように、衣類1の開口部用パーツ5aの生地端6側に付設された列状のドット状接着剤107のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤107の隣接するドット状接着剤107との間隔の平均値LAは、折り山8側に付設された列状のドット状接着剤109のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤109の隣接するドット状接着剤109との間隔の平均値LBよりも小さい。本発明の衣類1において、開口部用パーツ5aの生地端6側に列状に付設されたドット状接着剤107のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤107の隣接するドット状接着剤107との間隔の平均値LAと、折り山8側に列状に付設されたドット状接着剤109のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤109の隣接するドット状接着剤109との間隔の平均値LBとがLA/LB≦0.75の関係であることが好ましく、LA/LB≦0.7であることがさらに好ましい。LAおよびLBが上記の関係を満たすことにより、開口部用パーツ5aを湾曲形状として、襟開口部2に接合した際に波打ちや、パッカリングを防止することができる。生地端6側に列状に付設されたドット状接着剤107のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤107の隣接するドット状接着剤107との間隔の平均値LAと、折り山8側に列状に付設されたドット状接着剤109のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤109の隣接するドット状接着剤109との間隔の平均値LBは下記式から算出することができる。
【0022】
【数1】
【数2】
:3cm間に付設されたドット状接着剤107の個数-1
:3cm間に付設されたドット状接着剤109の個数-1
△LA:生地端側に列状に付設されたドット状接着剤107の3cm間における隣接するドット状接着剤107との間隔
△LB:折り山側に列状に付設されたドット状接着剤109の3cm間における隣接するドット状接着剤109との間隔
【0023】
また、生地端6側に付設された列状のドット状接着剤107と生地端6との距離d1が大きくなると、開口部用パーツ5aは、生地端6側の自由端が長くなるため、端部の波打ちなどの不具合が発生しやすい。従って、ドット状接着剤107の列と生地端6との距離d1は、2mm以内とすることが好ましく、1mm以内がより好ましい。下限は特に限定されずドットの大きさ等で適宜設定できるが、通常は0.2mm以上とすることが好ましい。さらに、折り山8と折り山8側に付設された列状のドット状接着剤109との距離d2が小さくなると、開口部用パーツ5aは、折り山8の近傍にドット状接着剤109が点在することとなり、折り山8の圧着変形などの不具合が発生しやすい。従って、生地の折り山8とドット状接着剤109の列との距離d2は、0.5mm以上が好ましい。上限は特に限定されないが、通常は10mm以下が好ましい。
【0024】
開口部用パーツ5aに付設されたドット状接着剤10は、天然樹脂よりも合成樹脂の方が好ましく、その中でも熱可塑性樹脂がより好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの他、高分子化合物からなるものであれば特に限定されず、種々のものを用いることができる。
【0025】
また、開口部用パーツ5aに付設されたドット状接着剤10は、反応性ホットメルトであることが好ましい。樹脂が反応性ホットメルトであるとき、樹脂が軟化または溶融して接着部位の構造間に浸み込んで、冷却固化した後に周囲の湿気と反応することにより架橋が進行し、耐熱性および耐溶剤性などに優れた接着構造を形成することができる。
【0026】
ドット状接着剤10の大きさは、衣類1を構成する生地の組織や厚さによって好ましい大きさが異なる。直径が1.0~2.0mm程度のドットであれば比較的強い接着強力が得られやすいが、生地が薄い場合は生地のおもて側にしみ出して目立ってしまい、外観を損ねる場合があるため、必要な接着強力が得られる範囲内で小さいものが好ましい。直径が1.0mm以下の接着剤であれば、生地厚みが0.5~0.8mm程度のインナー生地の場合でもしみ出しにくく好ましい。更に直径が0.6mm以下の接着剤であれば、生地厚みが0.3~0.5mm程度の更に薄い生地でもしみ出しが目立ちにくく好ましい。接着剤の直径が小さくなって接着強力が低下する場合は、接着剤の間隔を小さくすることで補強することができる。なお、本明細書において、接着剤の直径は、平面方向の長さを意図している。生地端に付設された際の接着剤の高さは、直径とほぼ同程度であるが、固着されると生地内部に浸透するため衣類1の厚みへの影響はない。
【0027】
ドット状接着剤10は、実施の形態1において丸の形状であるが、これに限定されるものではない。ドット状接着剤10の間隔を変化させられるよう、ドット状接着剤10が分離した状態で繰り返し付設させられる形状であれば良く、線状のものや幾何学的な形状のものでも良いし、それらを組み合わせた形状であっても良い。
ドット状接着剤10を構成する樹脂の好ましい硬さとしては、「JIS K 7215 1986年」に記載されているプラスチックのデュロメーター硬さ試験方法に準じて測定したデュロメーターD硬さが10~90であり、より好ましくは10~60である。
【0028】
ドット状接着剤10を構成する樹脂の好ましい比重としては、「JIS K 7112 1999年」に記載されているプラスチックの比重測定方法に準じて測定した比重が1.00~1.30であり、より好ましくは1.10~1.20である。
【0029】
上記に説明したように、本実施の形態1に係る衣類1は、開口部用パーツ5aの生地端6側に付設された列状のドット状の接着剤107の隣接するドット状接着剤107との間隔の平均値LAを、折り山8側に付設された列状のドット状接着剤109の隣接するドット状接着剤109との間隔の平均値LBより小さくすることにより、開口部用パーツ5aを湾曲形状とすることができ、襟開口部2に接合した際の波打ちや、パッカリングを防止することができる。
【0030】
なお、上記の実施の形態1では、ドット状接着剤10を2列に付設しているが、これに限定するものではなく、3列以上付設してもよい。図5Aは、実施の形態1の変形例にかかる衣類の開口部用パーツ5aの製造を説明する図であり、生地を折り合わせる前の状態を模式的に示す図である。図5Bは、実施の形態1の変形例にかかる衣類の開口部用パーツ5aの製造を説明する図であり、図5Aに示す生地を折り合わせ、接着した後の状態を模式的に示す図である。図5A図5Bでは、4列のドット状接着剤107、107A、109、109Aを付設している。ドット状接着剤10を3列以上付設する場合には、開口部用パーツ5aの生地端6側に最も近く付設された列状のドット状接着剤107のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤107の隣接するドット状接着剤107との間隔の平均値LAが、折り山8側に最も近く付設された列状のドット状接着剤109のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤109の隣接するドット状接着剤109との間隔の平均値LBよりも小さく付設すればよい。
【0031】
図5Aおよび図5Bにおいては、ドット状接着剤107とドット状接着剤107Aは、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値を同一とし、ドット状接着剤109とドット状接着剤109Aは、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値を同一としている。列状のドット状接着剤10の間隔は、生地端6側から折り山8側に向かうに従って、同一列における3cm間に付設された隣接するドット状接着剤の間隔の平均値が大きくなる構成とすることがより好ましい。
【0032】
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係る衣類20の構成を示す図である。同図に示す衣類20は、肌着下衣の一例であり、足、胴体を通過させるウエスト開口部21、足口開口部22を有する。ウエスト開口部21,足口開口部22は、曲線を有する、すなわち曲率が0より大きいパターンで構成されており、開口部を上にした場合凹型に湾曲している。ウエスト開口部21、足口開口部22に、開口部用パーツ5d、5eがそれぞれ接合されている。開口部用パーツ5d、5eは、生地端6側に列状に付設されたドット状接着剤107のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤107の隣接するドット状接着剤107との間隔の平均値LAが、折り山側8に列状に付設されたドット状接着剤109のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤109の隣接するドット状接着剤109との間隔の平均値LBよりも小さく、湾曲変形している。実施の形態2においても、実施の形態1と同様の考え方で本発明の効果を得ることができることはいうまでもない。
【0033】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によって限定されるべきものではない。例えば、帽子や腕カバーなどの衣類の開口部にも本発明は適用可能である。
【実施例
【0034】
(実施例1)
実施例1は、図1に示すような一般的な衣類1の襟開口部2への開口部用パーツ5aの接合評価である。開口部用パーツ5aの生地は、綿53%、ポリエステル47%の接結編み地を使用し、接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト樹脂を使用して、開口部用パーツ5aを製造した。襟開口部2の開口部用パーツ5aの幅を20mmとし、襟開口部2の平均曲率半径を7cmとした。図5Aおよび図5Bに概略を示すように、開口部用パーツ生地5a’の生地端6側から1mmの位置に、直径1mmの列状のドット状接着剤107、生地端6側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤107Aを付設した。ドット状接着剤107およびドット状接着剤107Aの平均間隔は1.2mmとした。また、折り山8側から1mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109、折り山8側から4mの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109Aを付設した。ドット状接着剤109およびドット状接着剤109Aの平均間隔は2.0mmとした。開口部用パーツ生地5a’を長手方向に並行に二つ折りして、開口部用パーツ生地5a’を150%伸長した状態で固着した。得られた開口部用パーツ5aは、生地端6側に最も近い列状のドット状接着剤107の平均間隔LAは1.25mm、折り山8側に最も近い列状のドット状接着剤109のドットの平均間隔LBは2.0mmとなった。LA/LBは0.63となり、開口部用パーツ5aの端部の生地端6側の接線と他方の生地端6側の接線の角度θは40°であった。実施例1の構成、および外観評価について表1に示す。
【0035】
(実施例2)
実施例2は、図1に示すような一般的な衣類1の襟開口部2への開口部用パーツ5aの接合評価である。開口部用パーツ5aの生地は、綿53%、ポリエステル47%の接結編み地を使用し、接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト樹脂を使用して、開口部用パーツ5aを製造した。襟開口部2の開口部用パーツ5aの幅を40mmとし、襟開口部2の平均曲率半径を7cmとした。図5Aおよび図5Bに概略を示すように、開口部用パーツ生地5a’の生地端6側から2mmの位置に沿うように直径1mmの列状のドット状接着剤107、生地端6側から5mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤107Aを付設した。ドット状接着剤107およびドット状接着剤107Aの平均間隔は1.2mmとした。また、折り山8側から2mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109、折り山8側から5mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109Aを付設した。ドット状接着剤109およびドット状接着剤109Aの平均間隔は2.0mmとした。開口部用パーツ生地5a’を長手方向に並行に二つ折りして、開口部用パーツ生地5a’を200%伸長した状態で固着した。得られた開口部用パーツ5aは、生地端6側に最も近い列状のドット状接着剤107の平均間隔LAは1.36mm、折り山8側に最も近い列状のドット状接着剤109の平均間隔LBは2.0mmとなった。LA/LBは0.68となり、開口部用パーツ5aの端部の生地端6側の接線と他方の生地端6側の接線の角度θは60°であった。実施例2の構成、および外観評価について表1に示す。
【0036】
(実施例3)
実施例3は、図1に示すような一般的な衣類1の裾開口部4への開口部用パーツ5cの接合評価である。開口部用パーツ5の生地は、綿53%、ポリエステル47%の接結編み地を使用し、接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト樹脂を使用して、開口部用パーツ5を製造した。裾開口部4の開口部用パーツ5cの幅を20mmとし、裾開口部4の平均曲率半径を50cmとした。図5Aおよび図5Bに概略を示す開口部用パーツ5aと同様にして、開口部用パーツ生地5c’の生地端6側から1mmの位置に沿うように直径1mmの列状のドット状接着剤107、生地端6側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤107Aを付設した。ドット状接着剤107およびドット状接着剤107Aの平均間隔は1.2mmとした。また、折り山8側から1mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109、折り山8側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109Aを付設した。ドット状接着剤109およびドット状接着剤109Aの平均間隔は2.0mmとした。開口部用パーツ生地5c’を長手方向に並行に二つ折りして、開口部用パーツ生地5c’を150%伸長した状態で固着した。得られた開口部用パーツ5cは、生地端6側に最も近い列状のドット状接着剤107の平均間隔LAは1.2mm、折り山8側に最も近い列状のドット状接着剤109の平均間隔LBは2.0mmとなった。LA/LBは0.63となり、開口部用パーツ5cの端部の生地端6側の接線と他方の生地端6側の接線の角度θは40°であった。実施例3の構成、および外観評価について表1に示す。
【0037】
(実施例4)
実施例4は、図1に示すような一般的な衣類1の袖開口部3への開口部用パーツ5bの接合評価である。開口部用パーツ5の生地は、綿53%、ポリエステル47%の接結編み地を使用し、接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト樹脂を使用して、開口部用パーツ5を製造した。袖開口部3の開口部用パーツ5bの幅を20mmとし、袖開口部3の平均曲率半径を30cmとした。図5Aおよび図5Bに概略を示す開口部用パーツ5aと同様にして、開口部用パーツ生地5b’の生地端6側から1mmの位置に沿うように直径1mmの列状のドット状接着剤107、生地端6側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤107Aを付設した。ドット状接着剤107およびドット状接着剤107Aの平均間隔は1.2mmとした。また、折り山8側から1mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109、折り山8側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109Aを付設した。ドット状接着剤109およびドット状接着剤109Aの平均間隔は2.0mmとした。開口部用パーツ生地5b’を長手方向に並行に二つ折りして、開口部用パーツ生地5b’を150%伸長した状態で固着した。得られた開口部用パーツ5bは、生地端6側に最も近い列状のドット状接着剤107の平均間隔LAは1.2mm、折り山8側に最も近い列状のドット状接着剤109の平均間隔LBは2.0mmとなった。LA/LBは0.63となり、開口部用パーツ5bの端部の生地端6側の接線と他方の生地端6側の接線の角度θは40°であった。実施例4の構成、および外観評価について表1に示す。
【0038】
(実施例5)
実施例1の衣類において、襟開口部2の開口部用パーツ5aの構成として、圧着前の生地端側に最も近い列状に付設した3cm間のドット状接着剤107のドットの個数を20個/3cm、圧着前の生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドットの間隔を1.50mmに変更し、圧着前のドット間隔の平均値の比すなわち、下記式により求めた値を1.33、圧着時の伸ばし率を0%として圧着し、開口部用パーツ5aを得た。
圧着前のドット間隔の平均値の比=圧着前の折り山側に最も近い列状に付設したドット状接着剤109のドット間隔÷圧着前の生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドット間隔
次いで、得られた開口部用パーツ5aを衣類本体部1aへ接合し衣類1を得た。得られた衣類1の開口部用パーツ5aにおける、生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドットの間隔LAは20個/3cm、圧着後の生地端側に最も近い列状に付設したドットの間隔LAは1.50mm、圧着後のドット間隔の平均値の比、すなわち、圧着後の折り山側に最も近い列状に付設したドット状接着剤109のドット間隔LBと、圧着後の生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドット間隔LAとの比(LA/LB)は0.75、生地端の接線ともう一方の端部の接線とがなす角度θは0°であった。前記構成以外は実施例1と同一の条件で衣類を作製した。実施例5の構成、および外観評価について表1に示す。
【0039】
(比較例1)
比較例1は、図1に示すような一般的な衣類1の襟開口部2への開口部用パーツの接合評価である。開口部用パーツ5aの生地は、綿53%、ポリエステル47%の接結編み地を使用して、開口部用パーツ5aを製造した。襟開口部2の開口部パーツの幅を20mmとし、開口部2の平均曲率半径を20cmとした。開口部用パーツ生地を長手方向に並行に二つ折りして、オーバーロックミシンで縫い合わせた。得られた開口部用パーツは、直線状であり、開口部パーツの端部の生地端側の接線と他方の生地端側の接線の角度θは0°であった。比較例1の構成、および外観評価について表1に示す。
【0040】
(比較例2)
比較例2は、図1に示すような一般的な衣類1の襟開口部2への開口部用パーツの接合評価である。開口部用パーツ5aの生地は、綿53%、ポリエステル47%の接結編み地を使用し、接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト樹脂を使用して、開口部用パーツ5aを製造した。襟開口部2の開口部パーツ5aの幅を20mmとし、襟開口部2の平均曲率半径を7cmとした。図5Aおよび図5Bに概略を示すように、開口部用パーツ生地5a’の生地端6側から1mmの位置に沿うように直径1mmの列状のドット状接着剤107、生地端6側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤107Aを付設した。ドット状接着剤107およびドット状接着剤107Aの平均間隔は2.0mmとした。また、折り山8側から1mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109、折り山8側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109Aを付設した。ドット状接着剤109およびドット状接着剤109Aの平均間隔は2.0mmとした。開口部用パーツ生地5a’を長手方向に並行に二つ折りして、開口部用パーツ生地5a’を150%伸長した状態で固着した。得られた開口部用パーツ5aは、生地端6側に最も近い列状のドット状接着剤107の平均間隔LAは2.0mm、折り山8側に最も近い列状のドット協接着剤109のドットの平均間隔LBは2.0mmとなった。LA/LBは1.00となり、開口部パーツ5の端部の生地端側の接線と他方の生地端側の接線の角度θは0°であった。比較例2の構成、および外観評価について表1に示す。
【0041】
(比較例3)
比較例3は、図1に示すような一般的な衣類1の襟開口部2への開口部用パーツの接合評価である。開口部用パーツ5aの生地は、綿53%、ポリエステル47%の接結編み地を使用し、接着剤は反応性ポリウレタンホットメルト樹脂を使用して、開口部用パーツ5aを製造した。襟開口部2の開口部用パーツ5aの幅を20mmとし、襟開口部2の平均曲率半径を20cmとした。図5Aおよび図5Bに概略を示すように、開口部用パーツ生地5a’の生地端6側から1mmの位置に沿うように直径1mmの列状のドット状接着剤107、生地端6側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤107Aを付設した。ドット状接着剤107およびドット状接着剤107Aの平均間隔は2.0mmとした。また、折り山8側から1mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109、折り山8側から4mmの位置に直径1mmの列状のドット状接着剤109Aを付設した。ドット状接着剤109およびドット状接着剤109Aの平均間隔は1.25mmとした。開口部用パーツ生地5a’を長手方向に並行に二つ折りして、開口部用パーツ生地5a’を150%伸長した状態で固着した。得られた開口部用パーツ5aは、生地端6側に最も近い列状のドット状接着剤107の平均間隔LAは2.0mm、折り山8側に最も近い列状のドット状接着剤109のドットの平均間隔LBは1.25mmとなった。LA/LBは1.60となり、開口部用パーツ5aの端部の生地端6側の接線と他方の生地端6側の接線の角度θは320°であった。実施例1の構成、および外観評価について表1に示す。
【0042】
(比較例4)
実施例1の衣類において、襟開口部2の開口部用パーツ5aの構成として、圧着前の折り山側に最も近い列状に付設した3cm間のドット状接着剤109のドットの個数を20個/3cm、圧着前の折り山側に最も近い列状に付設したドット状接着剤109のドットの間隔を1.50mm、圧着前の生地端側に最も近い列状に付設した3cm間のドット状接着剤107のドットの個数を15個/3cm、圧着前の生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドットの間隔を2.00mm、圧着前のドット間隔の平均値の比すなわち、下記式により求めた値を0.75、圧着時の伸ばし率を0%として圧着し、開口部用パーツ5aを得た。
圧着前のドット間隔の平均値の比=圧着前の折り山側に最も近い列状に付設したドット状接着剤109のドット間隔÷圧着前の生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドット間隔
次いで、得られた開口部用パーツ5aを衣類本体部1aへ接合し衣類1を得た。得られた衣類1の開口部用パーツ5aにおける、折り山側に最も近い列状に付設したドット状接着剤109のドットの個数は20個/3cm、圧着後の生地端側に最も近い列状に付設したドットの間隔LAは1.50mm、生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドットの個数は15個/3cm、圧着後の生地端側に最も近い列状に付設したドットの間隔LAは2.00mm、圧着後のドット間隔の平均値の比、すなわち、圧着後の折り山側に最も近い列状に付設したドット状接着剤109のドット間隔LBと、圧着後の生地端側に最も近い列状に付設したドット状接着剤107のドット間隔LAとの比(LA/LB)は1.00、生地端の接線ともう一方の端部の接線とがなす角度θは0°であった。前記構成以外は実施例1と同一の条件で衣類を作製した。実施例1の構成、および外観評価について表1に示す。
【0043】
【表1】
【符号の説明】
【0044】
1 衣類
2 襟開口部
3 袖開口部
4 裾開口部
5a 襟開口部に接合する開口部用パーツ
5b 袖開口部に接合する開口部用パーツ
5c 裾開口部に接合する開口部用パーツ
5a’ 折り合わせ前の開口部用パーツ生地
6 開口部パーツの生地端
6ta 開口部パーツの生地端側長手方向端部の接線
6tb 開口部パーツの他方の生地端側長手方向端部の接線
8 開口部用パーツの折り山
10 ドット状接着剤
20 衣類
21 ウエスト開口部
22 足口開口部
107、107A 開口部用パーツの生地端側に列状に付設されたドット状接着剤
109、109A 開口部用パーツの折り山側に列状に付設されたドット状接着剤
d1 開口部用パーツの生地端と生地端側に付設されたドット状接着剤の列との距離
d2 開口部用パーツの折山と折り山側に付設されたドット状接着剤の列との距離
ΔLA 生地端側に列状に付設された3cm間に隣接するドット状接着剤の2点間隔
ΔLB 折り山側に列状に付設された3cm間に隣接するドット状接着剤の2点間隔
θ 湾曲させられた開口部パーツの生地端側長手方向端部と端部の接線が交わる角度
【要約】
凹型に湾曲する開口部に開口部用パーツを接合する構成の場合でも、開口部用パーツの波打ちや開口部用パーツおよび本体部分のパッカリング不良を軽減する衣類を提供するため、本発明の衣類は、着用者の人体を通過させる開口部を有する衣類であって、前記衣類は、生地が折り合されてなる開口部用パーツが衣類本体の前記開口部の縁に沿って接合され、前記開口部用パーツは、前記生地の折り山および生地端に沿って複数の列状に付設されたドット状の接着剤により固着されており、前記開口部用パーツの生地端側に最も近く付設された列状のドット状の接着剤のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値LAが、折り山側に最も近く付設された列状のドット状接着剤のうち、3cm間に付設されたドット状接着剤の隣接するドット状接着剤との間隔の平均値LBよりも小さい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6