(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】調理容器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240701BHJP
A47J 45/06 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
A47J27/00 106
A47J27/00 101B
A47J45/06 F
(21)【出願番号】P 2020086813
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 安希
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-020122(JP,U)
【文献】特開平09-276126(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193721(JP,U)
【文献】登録実用新案第3175549(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2013-0006972(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 45/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体がシリコーン製の調理容器であって、
内部に調理材料を収容可能な容器部と、
前記容器部の外周に取り付けられた持ち手と、を備え、
前記持ち手は、前記容器部の外周から略水平方向に突出する突出部と、
前記突出部から略上下方向に延びるとともに前記容器部の外周に接続する延長部と、を有
し、
前記延長部は、前記突出部の外縁の全周にわたって設けられ、
前記延長部は、前記容器部の前記外周への接続部分が、前記接続部分以外の、前記接続部の間に配置された中央部分よりも、前記突出部から略上下方向に延びる寸法が大きく、これにより、前記中央部分に凹部が形成される、
ことを特徴とする調理容器。
【請求項2】
前記突出部の前記外縁は、平面視で円弧形である、
請求項1に記載の調理容器。
【請求項3】
前記突出部は、前記容器部の上縁から略水平方向に突出している、
請求項1又は請求項2に記載の調理容器。
【請求項4】
前記容器部の底面の外面にリブが形成されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の調理容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばシリコーン等の柔らかい材料で形成されて電子レンジで加熱調理するための調理容器として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載の調理容器では、容器本体に対して互いに反対側に配置されるように一対の持ち手が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に記載のような調理容器では、柔らかい材料で形成されているため持ち手が変形しやすく、調理容器を持ちにくいという問題がある。また、調理された食品等が内部に収容された状態で持ち手を持って調理容器を持ち上げると、重みで持ち手が変形して手が熱い容器本体に接触することが考えられる。
本発明の目的は、変形しにくく扱いやすい持ち手を有する調理容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の調理容器は、内部に調理材料を収容可能な容器部と、容器部の外周に取り付けられた持ち手と、を備え、持ち手は、容器部の外周から略水平方向に突出する突出部と、突出部から略上下方向に延びるとともに容器部の外周に接続する延長部と、を有する、ことを特徴としている。
【0006】
このように構成された本発明においては、持ち手が、突出部から略上下方向に延びるとともに容器部の外周に接続する延長部を有しているので、突出部が延長部で補強され、撓みにくくなる。よって持ち手を持って調理容器を持ち上げた時、持ち手が変形しにくく、調理容器が扱いやすくなる。また、延長部が突出部から略上下方向に延びているので、例えば延長部が突出部よりも下方に延びている場合には、調理容器を上下逆さまにひっくり返したとき、延長部が突出部から上方に突出する。このため、延長部を持って調理容器を持ち上げることが可能になる。また、例えば延長部が突出部よりも上方に延びている場合には、延長部を持って調理容器を持ち上げることができるので調理容器を扱いやすい。
【0007】
本発明において、好ましくは、延長部は、突出部の外縁の全周にわたって設けられる。
このように構成された本発明においては、延長部が突出部の外縁の全周にわたって設けられているので、持ち手がより強固に補強され、持ち手部の変形が防止される。
【0008】
本発明において、好ましくは、突出部の外縁は、平面視で円弧形である。
このように構成された本発明においては、突出部の外縁が平面視で円弧形であるので、持ち手を持ちやすい。また延長部が突出部の外縁の全周にわたって設けられている場合には、延長部が円弧壁状に配置されるから、延長部が特定の箇所で折れ曲がるのが防止され、持ち手がより強固に補強される。
【0009】
本発明において、好ましくは、延長部は、容器部の外周への接続部分が、接続部分以外の部分よりも、突出部から略上下方向に延びる寸法が大きい。
このように構成された本発明においては、延長部の突出部から略上下方向に延びる寸法が、容器部の外周への接続部分の方がそれ以外の部分よりも大きいので、調理容器に使用する材料の量を過剰に使用することなく接続部分が重点的に補強される。
【0010】
本発明において、好ましくは、突出部は、容器部の上縁から略水平方向に突出している。
このように構成された本発明においては、突出部が容器本体の上縁から略水平方向に突出しているので、持ち手が容器部の上端に位置し、持ちやすい。また容器部の高さが小さい場合でも、持ち手の延長部と調理容器の設置面との間に空間を確保しやすく、持ち手を握りやすい。
【0011】
本発明において、好ましくは、容器部の底面の外面にリブが形成されている。
このように構成された本発明においては、容器部の底面にリブが形成されているので、底面が厚く形成されることで強度が確保されるとともに容器部の外面に熱が伝わりにくくなる。また、リブが設けられているので、底面を厚く形成可能にしながら容器部を形成する材料の量が低減し調理容器の軽量化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る調理容器の平面側斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る調理容器の底面側斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る調理容器の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る調理容器の正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る調理容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る調理容器の平面側斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る調理容器の底面側斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係る調理容器の平面図であり、
図4は、本発明の一実施形態に係る調理容器の底面図であり、
図5は、本発明の一実施形態に係る調理容器の側面図である。なお、本実施形態では、
図3において紙面に平行な方向を調理容器の水平方向、紙面に垂直な方向を調理容器の上下方向(垂直方向)として説明する。
【0014】
図1乃至
図4に示すように、本実施形態に係る調理容器1は、容器本体2と、蓋4と、を有する。
容器本体2は、全体がシリコーン等の柔らかい材料で形成されており、略矩形の凹状で内部に食品等の調理材料を収容可能な容器部6と、容器部6の外周に取り付けられた持ち手8と、を有する。
容器部6は、略矩形の底面10と、底面10の四辺から略上下方向に延びる側面12とを有する。底面10は、上下のシリコーン層の間に、発熱機能を有する層を挿入した構造となっており、底面10の内面(上面)に食品を載せて電子レンジで加熱すると、効率よく食品を加熱することができるようになっている。発熱機能を有する層としては、特に限定はないが、例えば磁性体を含有したシリコーン層が挙げられる。
【0015】
図6は、
図5のVI-VI断面図である。この
図6及び前述の
図1乃至
図5に示すように、底面10は、側面12と比べて厚みがあり、その外面(下面)には、外縁に沿って略矩形状に細い外枠14が形成されている。また、外枠14の内側の領域には、複数のリブ16が形成されている。リブ16は、底面10の中央から四隅に向かって延びる、全体としてX字形のリブ16Aと、このリブ16Aに平行に配置された複数のV字形のリブ16Bとで形成される。リブ16A,16Bの間隔は、使用者の指が間に挟まらない程度の寸法、例えば8mm以内、好ましくは5mm以内に設定されている。
図6に示すように、リブ16の下面は、外枠14の下面よりも上側に位置しており、したがって、調理容器1を載置面に載置したとき、外枠14は設置面に接触するが、リブ16は設置面に接触しない。
【0016】
外枠14には四辺の各辺の中央に、外枠14の外側から内側まで延びる断面円弧状の凹部18が形成されている。この凹部18により、調理容器1を載置面に載置したとき、外枠14の内側の空間と外側の空間とが連通する。
側面12は、上方に向かって外側に広がっており、その上縁全周には、水平方向外側に突出するフランジ20が形成されている。
【0017】
持ち手8は、容器部6の外周から略水平方向に突出する突出部22と、突出部の外縁から略垂直方向下方に延びる延長部24と、を有する。
突出部22は、略矩形状の容器部6の短辺の上縁から外側に突出し、その外縁が平面視で円弧状になっている。突出部22が容器部6の上縁に位置しているため、突出部22の上面は、フランジ20の上面と一致し、フランジ20に連続する。
図6に示すように、突出部22の厚みは、側面12の厚みよりも厚く形成されている。また、突出部22の上面には、上面から上方に突出する2つの滑り止め26が形成されている。滑り止め26は、突出部22の外縁に沿って、円弧状に形成されている。
【0018】
延長部24は、突出部22の円弧状の外縁の全周に沿って延びており、したがって、円弧状の壁部を構成する。延長部24の両端は、容器部6の外周(外面)に接続する接続部分28となっている。接続部分28は、
図5に示すように、調理容器1の下方に向かって外側に広がるように容器部6に接続している。また、
図6に示すように、延長部24の厚みは、側面12の厚みよりも厚く形成されており、突出部22の厚みとほぼ同じに形成されている。このような形状により、突出部22の下方には、延長部24及び側面12によって囲まれ下方に向かって開口する凹部29が形成されている。
図5に示されるように、延長部24の接続部分28は、容器部6の下端付近まで延びている。また、接続部分28が容器部6の外縁から下方に延びる寸法(垂直方向の寸法)L1は、接続部分28以外の部分、すなわち延長部24の接続部分28の間の配置された中央部分30が下方に延びる寸法L2より大きい。このため、中央部分30の下端は、接続部分28の下端よりも上方に位置し、中央部分30により凹部32が形成される。
【0019】
蓋4は、容器本体2と同様に、全体がシリコーン等の柔らかい材料で形成されており、容器部6に対応した略矩形状に形成され、その外面及び内面が上方に突出している。したがって、容器部6に蓋4を係合して調理容器1の蓋4を閉めると、調理容器1の内部には、容器部6の上縁よりも下及び上に空間が形成される。
蓋4の外周(外面)には、全周にわたって、水平方向外側に突出するフランジ34が形成されている。このフランジ34は、容器部6のフランジ20よりも厚みが薄く形成されており、フランジ34の外縁は、蓋4を閉めたとき、容器部6のフランジ20の外縁にほぼ一致する。
【0020】
また、蓋4の下端部分は、フランジ34よりも下方に延びており、
図6に示すように、蓋4を閉めたときに蓋4の下端部分が容器部6の内側に挿入され、下端部分の外面が容器部6の側面12の内面に接触または対向するようになっている。
蓋4の2つの長辺側の側面36には、それぞれ複数(本実施形態では3つ)の上記孔38が設けられている。また、蓋4の上面40の中央には、長辺方向に沿って延びるつまみ42が設けられている。
【0021】
このような構造の本実施形態に係る調理容器1は、以下のように使用される。本実施形態では、電子レンジで加熱することにより餃子を調理するのに使用される場合について説明する。
まず、容器本体2の容器部6に餃子の焼き面が下になるように載置する。蓋4を閉め、電子レンジに入れ、所定出力で所定時間加熱する。加熱調理された餃子を取り出す場合には、使用者は、持ち手8の凹部32から手を差し込み、延長部24の中央部分30及び突出部22をつかんで調理容器1を電子レンジから取り出す。つまみ42を持って蓋4を開け、両側の持ち手8をつかんで容器本体2を上下逆さまにひっくり返すと、焼き面が上になった状態で餃子が容器本体2から取り出される。容器本体2を上下逆さまの状態で持ち上げる際には、使用者は延長部24を持ち、容器本体2を持ち上げる。
【0022】
このように構成された本実施形態によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
持ち手8の延長部24が突出部22の円弧状の外縁から垂直方向下方に延びているとともに接続部分28が容器部6の外周に接続しているので、使用者が突出部22をつかんだときに、持ち手8が撓みにくくなるから、持ち手8を持ちやすくなる。特に、調理後の調理容器1を持ち上げるときは内部に食品が収容されており調理容器1が重くなっているので、持ち手8が撓むのを防止することで、使用者の手が容器本体1に触れるのを防ぐことができる。
【0023】
また、持ち手8に延長部24が設けられているので、調理容器1を片方の持ち手8で保持しても、持ち手8が撓まず調理容器1をしっかり保持することができる。
延長部24が突出部22の外縁の全周にわたって設けられるので、延長部24がより強固に持ち手8を補強することができる。したがって、調理容器1をより安定して保持することができる。
【0024】
延長部24が突出部22の外縁から下方に延びているので、食品を調理容器1から出す等の場合に調理容器1を上下逆さにひっくり返すと、延長部24が突出部22の外縁から上方に突出することとなる。したがって、使用者は、この延長部24を上方からつかむことにより調理容器1を持ち上げることができるので、調理容器1を容易に取り扱うことができる。
【0025】
接続部分28が下方に延びる寸法L1が、中央部分30が下方に延びる寸法L2よりも大きいので、中央部分30に使用するシリコーン材料の量を削減しながら、接続部分28に必要な強度を確保することができる。
また、中央部分30の下方に凹部32が形成されるので、使用者が持ち手8をつかむときにこの凹部32から持ち手8に手を差し込むことができるから、取扱を簡単にすることができる。特に、容器本体2の厚みが小さい(薄い)場合には、延長部24の下端と調理容器1の載置面との間の距離が小さくなり使用者が延長部24及び突出部22をつかむことが難しくなるので、凹部32が形成されることが有用である。
【0026】
底面10に外枠14が設けられており、その下端がリブ16の下端よりも下方に位置しているので、調理容器1を載置面に載置したときに、調理容器1の外枠14が載置面に触れることになる。したがって、調理容器1の熱が載置面に伝わりにくく、内部の食品が冷えるのを防止することができるとともに、載置面を過熱するのを防止することができる。
また、外枠14の内側にリブ16が設けられているので、底面10を厚くして強度を確保して熱を伝わりにくくすると同時に、使用するシリコーンの量を削減することができるから、調理容器1の軽量化を図ることができる。
【0027】
突出部22が容器部6の上縁から水平方向に突出しているので、持ち手8が容器本体2の上端に位置するから、使用者が持ち手8を容易につかむことができる。特に容器本体2が薄い構造である場合には突出部22が上端に位置することが有用である。
【0028】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、以下のような態様であってもよい。
延長部は、前述の実施形態では、突出部の外縁全周にわたって設けられていたが、これに限らず例えば突出部と容器部の外周との境界部分に一部にわたって設けられていてもよい。また、延長部は連続的に設けられているものに限らず、断続的に設けられていてもよい。
延長部の下方に延びる寸法は、強度を確保できるように任意に設定することができ、接続部分以外の部分の寸法についても、接続部分と同じ寸法としてもよく、また前述の実施形態のように異なる寸法となっていてもよい。
【0029】
延長部は、前述の実施形態では、突出部の外縁から下方に延びていたが、これに限らず、例えば突出部の外縁から上方に延びていても良い。この場合には、調理容器が上下逆さまになっていない状態で、延長部を持って調理容器を持ち上げることができるので、調理容器の取り扱いが簡単になる。また延長部は、突出部から下方または上方に延びる構造に限らず、例えば上方及び下方の両方に延びていてもよく、要するに突出から略上下方向に延びていればよい。
また、延長部は、突出部の外縁から延びるものに限らず、突出部の上面または下面から略上下方向に延びていてもよい。
【0030】
突出部の形状は、前述の実施形態では外縁が円弧形となっていたが、これに限らず例えば矩形状や半円形状、半楕円形状等、任意の形状を採用することができる。
また、突出部は、容器部の上縁から突出するものに限らず、例えば容器本体の高さが十分にあるときには、容器部の中央から突出する構造となっていてもよい。
【0031】
リブ16のパターンは、上記実施形態のものに限らず、例えば曲線状、波線状、円状、楕円状、放射状、格子状、ドット、またはこれらの組み合わせ等、任意に設定することができる。このとき、リブの間の間隔を、使用者の指が間に入らないような寸法に設定することが好ましい。
【符号の説明】
【0032】
1 調理容器
2 容器本体
4 蓋
6 容器部
8 持ち手
22 突出部
24 延長部
28 接続部分