(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】光センサ
(51)【国際特許分類】
H01H 35/00 20060101AFI20240701BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20240701BHJP
H01H 11/00 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01H35/00 G
H01H35/00 V
H01H9/04 E
H01H11/00 Z
(21)【出願番号】P 2021039428
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】水崎 紘行
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕介
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-157486(JP,A)
【文献】特開2013-041739(JP,A)
【文献】特開2000-195394(JP,A)
【文献】実開平04-098221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/00
H01H 9/04
H01H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された筐体と、
芯線を内皮で被覆した複数の素線、及び該複数の素線を束ねる外皮を有するケーブルと、
前記外皮の端部において該外皮と前記内皮とを一体成形し、かつ前記貫通孔を通過可能な寸法に形成されたフランジと、
前記貫通孔に対する前記フランジの位置を規制するストッパと、
前記筐体の外面に固定され、前記貫通孔と前記フランジとの境界部を覆うカバーと、
前記筐体の外面と前記カバーとの隙間を密閉する第1シール材と、
前記フランジと前記カバーとの隙間を密閉する第2シール材と、を備え
、
光を発する光源を更に備え、
前記フランジは透光性樹脂から形成され、
前記光源からの光が前記ストッパに反射されて前記フランジに入射するように構成されている、
光センサ。
【請求項2】
貫通孔が形成された筐体と、
芯線を内皮で被覆した複数の素線、及び該複数の素線を束ねる外皮を有するケーブルと、
前記外皮の端部において該外皮と前記内皮とを一体成形し、かつ前記貫通孔を通過可能な寸法に形成されたフランジと、
前記貫通孔に対する前記フランジの位置を規制するストッパと、
前記筐体の外面に固定され、前記貫通孔と前記フランジとの境界部を覆うカバーと、
前記筐体の外面と前記カバーとの隙間を密閉する第1シール材と、
前記フランジと前記カバーとの隙間を密閉する第2シール材と、を備え
、
前記フランジの外周面には、第1溝が形成され、前記貫通孔内には、前記第1溝に対応
する位置に第2溝が形成され、
前記ストッパは、前記第1溝と前記第2溝とに跨って挿入された板金である、
光センサ。
【請求項3】
第2のOリングと、該第2のOリングを囲む第1のOリングとが一体成形されたツインリングを備え、
前記第1シール材が前記第1のOリングであり、前記第2シール材が前記第2のOリングである、
請求項1又は2に記載の光センサ。
【請求項4】
内皮と外皮とが一体成形された状態のフランジであって筐体に形成された貫通孔を通過できる寸法の前記フランジを有するケーブルを用意すること、
前記貫通孔に対して完成時における所定の位置よりも奥まで前記フランジを挿入し、回路基板に前記ケーブルの芯線をはんだ付けすること、
前記筐体内に前記回路基板を収容すること、
前記貫通孔と前記フランジとを前記所定の位置に配置し、ストッパを取り付けて位置決めすること、並びに、
シール材及びカバーを取り付けて前記貫通孔と前記フランジとの境界部を密閉すること、を含む、
光センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサや画像センサ等の光センサは、制御部等を構成する回路基板が筐体に内蔵されている。回路基板に筐体外からの電力を供給し、回路基板で処理された信号を筐体外へ送信するため、筐体を貫通して回路基板にケーブルが接続されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-3348号公報
【文献】特開2020-150205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光センサの組立て工程において、ケーブルの外皮は筐体に固定されていて自由に動かすことができない。外皮の終端から延びる素線が短いと、ケーブルを回路基板にはんだ付けで実装する際に作業性が悪いため、作業者の負担が大きくなる。特許文献1の
図2には、はんだ付けを容易にするために、外皮の終端から素線を長く延ばした光センサが開示されている。しかしながら、素線を延ばして作業すると長い素線を折り畳んで収容するスペースが必要になり、その分だけ筐体が大きくなる。光センサは、工場の生産ラインや設備の内部に設置されることが多いため、コンパクトな筐体が望まれている。
【0005】
筐体内ではんだ付けする必要がない光センサとして、特許文献2の光センサが提案されている。特許文献2では、ケーブルの先端にコネクタ付きのフレキシブル基板をあらかじめはんだ付けしておき、光センサの組立て工程において、フレキシブル基板を弾性変形させて貫通孔を通過させ、回路基板のコネクタにフレキシブル基板のコネクタを挿入することで、回路基板にケーブルを実装する。特許文献2によれば、作業者の負担が軽減されるものの、高価なフレキシブル基板やコネクタをケーブルに追加する必要があるため、光センサの製造コストが増える。
【0006】
そこで、本発明は、ケーブルを回路基板に簡単に省スペースで実装できる光センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る光センサは、貫通孔が形成された筐体と、芯線を内皮で被覆した複数の素線、及び該複数の素線を束ねる外皮を有するケーブルと、外皮の端部において該外皮と内皮とを一体成形し、かつ貫通孔を通過可能な寸法に形成されたフランジと、貫通孔に対するフランジの位置を規制するストッパと、筐体の外面に固定され、貫通孔とフランジとの隙間を覆うカバーと、筐体の外面とカバーとの隙間を密閉する第1シール材と、フランジとカバーとの隙間を密閉する第2シール材と、を備えている。
【0008】
本開示の一実施形態に係る光センサの製造方法は、貫通孔が形成された筐体内に回路基板を収容すること、内皮と外皮とが一体成形された状態のフランジであって筐体に形成された貫通孔を通過できる寸法のフランジを有するケーブルを用意すること、貫通孔に対して完成時における所定の位置よりも奥までフランジを挿入し、回路基板にケーブルの芯線をはんだ付けすること、筐体内に回路基板を収容すること、貫通孔とフランジとを所定の位置に配置し、ストッパを取り付けて位置決めすること、並びに、シール材及びカバーを取り付けて貫通孔とフランジとの境界部を密閉すること、を含んでいる。
【0009】
これらの態様によれば、ケーブルが貫通孔を通過できるので、完成時における所定の位置よりも奥までケーブルを挿入した状態でケーブルと回路基板とをはんだ付けするため、作業者の負担を軽減できる。外皮から素線を長く延ばして作業する必要がないため、素線を折り畳んで収容するスペースを省略して筐体をコンパクトに構成できる。貫通孔に対するフランジの位置を規制するストッパを備えているため、はんだ付けした後からでも筐体とケーブルとを位置決めできる。また、ストッパにより筐体とフランジが密着しており、さらにフランジにより内皮と外皮とが一体成形されて密着しており、貫通孔とフランジとの境界部を密閉する第1シール材、第2シール材及びカバーを備えているため、ケーブル根元の設計要件である耐引張性能、耐屈曲性能、封止性能等を十分に満たすことができる。廉価な部品で構成できるため、光センサの製造コストを抑えることができる。
【0010】
上記態様において、光を発する光源を更に備え、フランジは透光性樹脂から形成され、光源からの光がストッパに反射されてフランジに入射するように構成されていてもよい。
【0011】
この態様によれば、回路基板等に光源を実装すれば、光が入射する透光性のフランジを点灯させたり、明滅させたりすることができる。光センサの稼働状態を表示するインジケータとしてフランジを使用できる。
【0012】
上記態様において、第2のOリングと、該第2のOリングを囲む第1のOリングとが一体成形されたツインリングを備え、第1シール材が第1のOリングであり、第2シール材が前記内側第2のOリングであってもよい。
【0013】
この態様によれば、第1シール材と第2シール材とが一体成形されているため、組立て工程においてそれらを個別に位置決めするよりも作業者の負担を軽減できる。
【0014】
上記態様において、フランジの外周面には、第1溝が形成され、貫通孔内には、第1溝に対応する位置に第2溝が形成され、ストッパは、第1溝と第2溝とに跨って挿入された板金であってもよい。
【0015】
この態様によれば、廉価な部品でストッパを構成できる。光センサの製造コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ケーブルを回路基板に簡単に省スペースで実装できる光センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の光センサの内部構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された光センサを一部分解して貫通孔側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されたケーブルの根元を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示されたストッパを取り外してケーブルを所定の位置よりも奥まで挿入した状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態の光センサを製造する手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の参照符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、図面を参照して各構成について詳しく説明する。
図1及び
図2において、光センサ1の一例として光を出す投光部4と光を受ける受光部5とを備えた光電センサを開示している。受光部5に到達する光の量は、投光された光がワークによって遮られたり反射したりすると変化する。光電センサは、この変化を検出して電気信号に変換し、外部機器へ出力できる。
【0019】
ただし、光センサ1は、光電センサに限定されない。光センサ1は、対象物の物理変化量を光学式素子で検知し,その変化量を距離に演算することでセンサから対象物までの距離を計測する変位センサであってもよいし、カメラでとらえた映像を画像処理することで、対象物の面積、重心、長さ、位置等を算出し、データや判定結果を出力する画像センサであってもよいし、バーコードや二次元コードを読み取るコードリーダであってもよい。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態の光センサ1の内部構造を示す断面図である。図示した例では、光センサ1は、回帰反射型の光電センサとして構成され、投光部4、受光部5に加え、図示しない増幅部、制御部等を内蔵し、筐体2を貫通するケーブル10を介して外部電源や外部機器に接続されている。なお、光センサ1を透過型の光電センサとして構成し、投光部4と受光部5とを別々の筐体2にそれぞれ収容してもよい。増幅部を筐体2外に分離したアンプ分離型の光電センサとして構成してもよいし、電源部を筐体2内に内蔵した電源内蔵型の光電センサとして構成してもよい。
【0021】
前述した増幅部、制御部等は、筐体2に収容された回路基板3に実装されている。回路基板3は、光センサ1の稼働状態を知らせるインジケータの光源6を更に備えていてもよい。回路基板3に区画された実装領域7には、ケーブル10の基端がはんだ付けにより実装されている。ケーブル10の先端には、外部電源や外部機器のコネクタに接続可能なコネクタ8を設けてもよい。筐体2は、投光部4及び受光部5が設けられた窓部4W,5W除いて、例えば、ステンレスや亜鉛ダイカスト等の金属材料から形成されている。ただし、筐体2の材質は金属材料に限定されない。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂やABS樹脂等の樹脂材料から筐体2を形成してもよい。窓部4W,5Wは、例えば、メタクリル樹脂やガラス等の透光性材料から形成されている。
【0022】
図2は、
図1に示された光センサ1を一部分解して貫通孔9側から見た斜視図である。
図2に示すように、筐体2は、略直方体のカップ状に形成されたケース本体20と、ケース本体20の開口を覆う蓋体21と、を含んでいる。ケース本体20は、底壁22と、底壁22から起立して蓋体21に向かって延びる周壁23と、を含んでいる。筐体2において、底壁22は、蓋体21とは反対側に位置している。
【0023】
図示した例では、周壁23に円形の貫通孔9が形成されている。貫通孔9には、ケーブル10が挿通されている。ケーブル10は、複数の素線(11,12)と、複数の素線(11,12)を束ねる外皮13と、外皮13の端部において外皮13と内皮12とを一体成形するフランジ14と、を有している。素線(11,12)は、複数の導線からなる芯線11と、該芯線11を被覆する内皮12と、を有している。内皮12及び外皮13は、例えば塩化ビニル樹脂で形成されている。
【0024】
フランジ14は、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂やABS樹脂等の樹脂材料から形成されている。フランジ14を透光性材料から形成してもよい。透光性材料は、透明であってもよいし、乳白色であってもよい。その場合、回路基板3等に実装された光源6(
図1に示す)からの光が板金等で形成されたストッパ15に反射されてフランジ14に入射するように構成してもよい。フランジ14を透光性樹脂から形成する場合、光センサ1の稼働状態を表示するインジケータとしてフランジ14を使用できる。
【0025】
フランジ14は貫通孔9と略同一の断面を有する円筒状に形成されている。前述の貫通孔9は、円形以外の形状であってもよい。例えば、貫通孔9は略D字形であってもよいし、長円形であってもよい。その場合、フランジ14は、断面が略D字形(Dカット)や長円形の筒状になる。貫通孔9を円形以外の形状にすれば、貫通孔9に対してフランジ14が回転しないように構成できる。
【0026】
図3は、
図1に示されたケーブル10の根元を拡大して示す断面図である。
図3に示すように、外皮13と内皮12とを一体成形するフランジ14は、貫通孔9を通過可能な寸法に形成されている。フランジ14は、筐体2よりも外側に突出する部位が他の部位よりも径が小さい縮径部19に形成されている。縮径部19と他の部位との段差により形成された段差面は、貫通孔9の端面と面一に形成されている。ケーブル10の根元において、光センサ1は、ストッパ15と、カバー17と、第1及び第2シール材16A,16Bと、を更に備えている。
【0027】
ストッパ15は、貫通孔9に対するフランジ14の位置P0を規制する。フランジ14の外周面には、第1溝18が形成され、貫通孔9の内周面には、第1溝18に対応する位置に第2溝28が形成されている。ストッパ15は、例えば板金から略C字形に形成され(
図2参照)、第1溝18と第2溝28とに跨って挿入されている。なお、ストッパ15の構成は、特に限定されず、他の構成であってもよい。
【0028】
カバー17は、筐体2と同様の材料から形成され、貫通孔9の内周面とフランジ14の外周面との境界部Bを覆っている。
図2に示すように、カバー17は、中央に貫通孔が開いた略矩形の平板状であり、筐体2の外面2Bに締付けねじ17S等で固定されている。カバー17の貫通孔には、フランジ14の縮径部19が挿入される。
【0029】
図3に示すように、第1シール材16Aは、筐体2の外面2Bとカバー17の内面との隙間G1を密閉している。第2シール材16Bは、フランジ14の外端面とカバー17の内面との隙間G2を密閉している。図示した例では、第1及び第2シール材16A,16Bが、第2のOリング16Bと、第2のOリング16Bを囲む(第2のOリング16Bに外接する)第1のOリング16Aとが一体成形されたツインリング16で構成されている。シール材は、図示した例に限定されず、他種のシール材であってもよい。例えば、分離可能な大小二つのOリングで隙間G1,G2を密閉してもよい。ツインリング16は、前述したフランジ14の段差面と貫通孔9の端面とに跨って配置されている。
【0030】
続いて、
図4から
図6を参照して光センサ1を製造する手順について説明する。
図4は、
図3に示されたストッパ15を取り外してケーブル10を所定の位置P0よりも奥の位置P1まで挿入した状態を示す断面図であり、
図5は、
図4中のV-V線に沿う断面図である。
図4及び
図5に示すように、ストッパ15を取り外した状態では、フランジ14は貫通孔9を通過可能に構成されている。
【0031】
そのため、ケーブル10の先端をはんだ付けしやすい位置P1まで回路基板3の実装領域7に近づけて組立て作業を行うことができる。はんだ付けによりケーブル10を回路基板3に実装した後から、光センサ1が完成した状態における所定の位置P0にフランジ14を配置してストッパ15をフランジ14に装着すれば、ケーブル10を筐体2に固定できる。
【0032】
図6は、光センサ1を製造する手順の一例を示す図である。ケーブル10の内皮12と外皮13とが一体成形された状態のフランジ14を有するケーブル10を用意する。フランジ14の断面の寸法は、筐体2に形成された貫通孔9を通過できる寸法に合わせて形成されている(ステップS1。
【0033】
次いで、貫通孔9に対して筐体2の外面2B側から完成時における所定の位置P0よりも奥の位置P1までフランジ14を挿入し、貫通孔9に挿通されたケーブル10の芯線11を筐体2外まで引き出した状態で回路基板3の実装領域7にケーブル10の芯線11をはんだ付けする(ステップS2)。芯線11を自由に動かすことができる状態ではんだ付けの作業ができるため、作業者の負担を軽減できる。ケーブル10の芯線11がはんだ付けされた状態の回路基板3を筐体2内に収容する(ステップS3)。
【0034】
そして、貫通孔9とフランジ14とを所定の位置P1に配置し、ストッパ15を取り付けて筐体2とケーブル10とを位置決めする(ステップS4)。ツインリング16を目視で位置を確認しながら筐体2の外面2Bに配置し、ツインリング16を押しつぶすようにカバー17を取り付けて貫通孔9とフランジ14との境界部Bを密閉する(ステップS5)。これにより、ケーブル10が筐体2に固定され、筐体2の内外が密閉される。
【0035】
以上のように構成された本実施形態の光センサ1によれば、完成時における所定の位置P0よりも奥までケーブル10を挿入した状態でケーブル10と回路基板3とをはんだ付けするため、作業者の負担を軽減できる。実装領域7の隣に素線11を折り畳んで収容するスペースが必要ないため、筐体2をコンパクトに構成できる。ストッパにより筐体とフランジが密着しており、さらにフランジにより内皮と外皮とが一体成形されて密着しており、貫通孔とフランジとの境界部を密閉する第1シール材、第2シール材及びカバーを備えているため、ケーブル根元の設計要件である耐引張性能、耐屈曲性能、封止性能等を十分に満たすことができる。板金等の廉価な部品でケーブル10の根元部分を構成できるため、光センサの製造コストを抑えることができる。
【0036】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0037】
[付記1]
貫通孔(9)が形成された筐体(2)と、
芯線(11)を内皮(12)で被覆した複数の素線(11,12)、及び該複数の素線(11,12)を束ねる外皮(13)を有するケーブル(10)と、
前記外皮(13)の端部において該外皮(13)と前記内皮(12)とを一体成形し、かつ前記貫通孔(9)を通過可能な寸法に形成されたフランジ(14)と、
前記貫通孔(9)に対する前記フランジ(14)の位置(P0)を規制するストッパ(15)と、
前記筐体(2)の外面(2B)に固定され、前記貫通孔(9)と前記フランジ(14)との境界部(B)を覆うカバー(17)と、
前記筐体(2)の外面(2B)と前記カバー(17)との隙間(G1)を密閉する第1シール材(16A)と、
前記フランジと前記カバーとの隙間(G2)を密閉する第2シール材(16B)と、を備えた、
光センサ(1)。
【0038】
[付記2]
内皮(12)と外皮(13)とが一体成形された状態のフランジ(14)であって筐体(2)に形成された貫通孔(9)を通過できる寸法の前記フランジ(14)を有するケーブル(10)を用意すること(S1)、
前記貫通孔(9)に対して完成時の所定位置(P0)よりも奥(P1)まで前記フランジ(14)を挿入し、回路基板(3)に前記ケーブル(10)の芯線(11)をはんだ付けすること(S2)、
前記筐体(2)内に前記回路基板(3)を収容すること(S3)、
前記貫通孔(9)と前記フランジ(14)とを前記所定位置(P0)に配置し、ストッパ(15)を取り付けて位置決めすること(S4)、並びに、
シール材(16A、16B)及びカバー(17)を取り付けて前記貫通孔(9)と前記フランジ(14)との境界部(B)を密閉すること(S5)、を含む、
光センサ(1)の製造方法。
【符号の説明】
【0039】
1…光センサ、2…筐体、2A…内面、2B…外面、3…回路基板、4…投光部、5…受光部、4W,5W…窓部、6…光源、7…実装領域、8…コネクタ、9…貫通孔、10…ケーブル、11…芯線、12…内皮、13…外皮、14…フランジ、15…ストッパ、16…ツインリング、16A…第1シール材、16B…第2シール材、17…カバー、17S…締付けねじ、18…第1溝、19…縮径部、20…ケース本体、21…蓋体、22…底壁、23…周壁、28…第2溝、B…境界部、G1,G2…隙間、P0,P1…位置、S1~S5…光センサの製造方法。