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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】デジタル資産スワップシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20240701BHJP
   G06Q 40/04 20120101ALI20240701BHJP
【FI】
G06Q20/06
G06Q40/04
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2023194740
(22)【出願日】2023-11-15
【審査請求日】2024-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313004816
【氏名又は名称】西本 一也
(73)【特許権者】
【識別番号】500566567
【氏名又は名称】株式会社インタートレード
(73)【特許権者】
【識別番号】519249262
【氏名又は名称】株式会社デジタルアセットマーケッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001405
【氏名又は名称】弁理士法人篠原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100065824
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100104983
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100166394
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和弘
(72)【発明者】
【氏名】西本 一也
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-003894(JP,A)
【文献】国際公開第2021/191656(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/039602(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0340685(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデータを用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトもしくはサーバアプリケーションを備えて構築された、デジタル資産(デジタル通貨的なものやコモディティ資産(貴金属(ゴールド等)、CO排出権、エネルギー(原油や電力等))を資産原資としてトークン化したものや、デジタル証券的なものを含む広範囲のデジタル的権利:DA)の取引・清算においてデジタル資産(DA)の交換を行うデジタル資産スワップシステムであって、
DA銘柄ごとに所定の取引(数量)単位での基準数量に対する所定の法定通貨を単位とした価格ごとの売り注文数量を示す売り板、買い注文数量を示す買い板からなる、所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)を作成する機能を有する基本処理板作成手段と、
前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)を用いて、当該DA銘柄ごとの所定価格を基準価格とし、前記基本処理板(個別取引板)における各価格の前記基準価格に対する比率を第1の基準価格比率として算出する機能を有する第1の基準価格比率算出手段と、
前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)における各価格、各売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出する機能を有する第1の売量・買量算出手段と、
前記第1の基準価格比率算出手段により算出された前記第1の基準価格比率ごとに、前記第1の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第1の基準価格比率変換板を作成する機能を有する第1の基準価格比率変換板作成手段と、
前記基本処理板作成手段により作成された第1のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報と、第2のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報とに基づいて、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板を作成する機能を有するDA銘柄直接交換板作成手段と、
前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する複数DA銘柄統合板作成手段と、
前記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率の順にソートする機能を有する基準価格比率ソート手段と、
前記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能を有する板情報変更制御手段と、
を有することを特徴とするデジタル資産スワップシステム。
【請求項2】
前記DA銘柄直接交換板作成手段は、
第1のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)における売り注文数量と買い注文数量、価格の並びを、逆順となるように変換した第1のDA銘柄の板情報並び順変換板を作成する機能を有する板情報並び順変換板作成手段と、
前記板情報並び順変換板作成手段により作成された前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板、第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)、の夫々における、価格ごとの前記売り量、前記買い量を前記第1の売量・買量算出手段を介して算出させる機能を有する第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段と、
前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板における最も高い買い注文の価格が、前記第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)における最も安い売り注文の価格と対応づくようにして、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板と、第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)とを対応づける機能を有する売買注文価格対応付け手段と、
前記売買注文価格対応付け手段により対応づけられた、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板と第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)とにおける夫々の価格を用いて、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率(所定の取引(数量)単位の基準数量(=1)の第2のDA銘柄で交換できる第1のDA銘柄の数量=第2のDA銘柄の価格/第1の銘柄の価格)を算出する機能を有するDA銘柄交換比率算出手段と、
第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における注文板データを作成する機能を有する第1の注文板データ作成手段と、
第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における注文板データを作成する機能を有する第2の注文板データ作成手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項3】
前記第1の注文板データ作成手段は、
前記第2のDA銘柄の前記売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=前記第2のDA銘柄の前記売り量/前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2のDA銘柄の売り量変換手段と、
第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額(前記第2のDA銘柄の売り量変換手段により算出された、前記第2のDA銘柄の前記売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の前記買い量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有する第1の取引可能金額抽出手段と、
第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第1の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、
第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段により算出された第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第1の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×前記第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項4】
前記第2の注文板データ作成手段は、
前記第2の注文板データ作成手段は、前記第2のDA銘柄の前記買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=前記第2のDA銘柄の前記買い量/前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2のDA銘柄の買い量変換手段と、
第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額(前記第2のDA銘柄の買い量変換手段により算出された、前記第2のDA銘柄の前記買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の前記売り量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有する第2の取引可能金額抽出手段と、
第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第2の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、
第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段により算出された第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第2の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×前記第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項5】
1つのDA銘柄の取引において、板情報として、複数種類の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが存在する場合に、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせに変換(統一化)する機能を有する法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段と、
前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板を用いて、当該DA銘柄の所定価格を基準価格とし、前記変換(統一化)された板の各価格の前記基準価格に対する比率を第2の基準価格比率として算出する機能を有する第2の基準価格比率算出手段と、
前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板における価格、売注文数量を用いて、価格ごとの前記売り量、前記買い量を算出する機能を有する第2の売量・買量算出手段と、
前記第2の基準価格比率算出手段により算出された前記第2の基準価格比率ごとに、前記第2の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第2の基準価格比率変換板を作成する機能を有する第2の基準価格比率変換板作成手段と、
を有し、
前記複数DA銘柄統合板作成手段は、前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板、及び/又は、前記第2の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第2の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する機能を有し、
前記基準価格比率ソート手段は、前記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率の順にソートする機能を有し、
前記板情報変更制御手段は、前記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板、前記第2の基準価格比率変換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項6】
前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段は、第1のDA銘柄の取引において、板情報として、法定通貨単位:ドル、取引(数量)単位:オンスとの組み合わせで作成されている基本処理板(個別取引板)の板情報を、法定通貨単位:円、取引(数量)単位:グラムに変換した板を作成する機能を有することを特徴とする請求項5に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項7】
前記基準価格比率ソート手段によりソートされたデータの個々の板情報において、元のDA銘柄を示すフラグ等の識別子を付加する機能を有する元DA銘柄識別子情報付加手段をさらに有することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項8】
前記板情報変更制御手段は、前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、前記複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容を変更する機能を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項9】
前記板情報変更制御手段は、前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板、前記第2の基準価格比率変換板における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、前記複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容を変更する機能を有することを特徴とする請求項5に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項10】
前記複数DA銘柄統合板作成手段は、為替や取引量が異なる同一DA銘柄の板情報については、同じ列に並べて、前記複数DA銘柄統合板を作成する機能を有することを特徴とする請求項5に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項11】
前記複数DA銘柄統合板作成手段は、異なるDA銘柄の板情報については、横の列にずらして、前記複数DA銘柄統合板を作成する機能を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項12】
2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態になる場合は、当該複数DA銘柄統合板内で当該2者のDA同士を交換処理し、DAと通貨との交換処理が不要となるように制御する機能を有する統合板取引処理制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項13】
前記統合板取引処理制御手段は、同一DA銘柄でクロス状態になる場合は、無条件でマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能を有することを特徴とする請求項12に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項14】
各板の注文厚さに基づいて、売りと買いのいずれが優位かを判断する機能を有する流動性分析手段をさらに有し、
前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により優位と判断された側の板を基準としてマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能を有する
ことを特徴とする請求項12に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項15】
前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により売りが優位と判断された場合、買い板における前記第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも高い買い注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の売りで約定させるように制御する機能を有することを特徴とする請求項14に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項16】
前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により買いが優位と判断された場合、売り板における前記第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも低い売り注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の買いで約定させるように制御する機能を有することを特徴とする請求項14に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項17】
前記統合板取引処理制御手段は、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態にならない場合は、当該DA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)に回送し、当該基本処理板(個別取引板)で各々の通貨との交換処理を行うように制御する機能を有することを特徴とする請求項12~16のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項18】
所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の売りを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする前記基本処理板(個別取引板)の価格に基づき、当該DAの支払い数量を算出する機能を有するDA支払い数量算出手段と、
前記DA支払い数量算出手段が算出した当該DAの支払い数量を取引者に提示する機能を有するDA支払い数量提示手段と、
所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の買いを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする前記基本処理板(個別取引板)の価格に基づき、当該DAの受け取り数量を算出する機能を有するDA受け取り数量算出手段と、
前記DA受け取り数量算出手段が算出した当該DAの受け取り数量を取引者に提示する機能を有するDA受け取り数量提示手段と、
前記DA支払い数量提示手段による当該DAの支払い数量の提示を受けた支払い側の取引者、前記DA受け取り数量提示手段による当該DAの受け取り数量の提示を受けた受け取り側の取引者からの決済指示を受け付ける機能を有する第1の決済指示受付手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1~5、11~16のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項19】
前記複数DA銘柄統合板に、前記基本処理板(個別取引板)における夫々のDA銘柄の取引価格を付加した取引価格付き複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段をさらに有することを特徴とする請求項1~5、11~16のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項20】
前記取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段により作成された前記取引価格付き複数DA銘柄統合板に基づき、決済価格が決定した場合における、取引者相互のDAの交換数量を算出する機能を有するDA交換数量算出手段と、
前記DA交換数量算出手段により算出された当該DAの交換数量を取引者に提示する機能を有するDA交換数量提示手段と、
前記DA交換数量提示手段により当該DAの交換数量を提示された取引者からの決済指示を受け付ける機能を有する第2の決済指示受付手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項19に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項21】
前記DA交換数量算出手段は、決済価格を当該DA銘柄の最良気配値で割った数値を当該DAの交換数量として算出する機能を有することを特徴とする請求項20に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項22】
現物板とCFD(Contract For Difference:差金決済)板とを統合した現物・CFD統合板を作成する機能を有する現物・CFD統合板作成手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項23】
CFDの数量を、現物の取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有するCFD数量調整手段を有することを特徴とする請求項22に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項24】
現物の数量を、CFDの取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有する現物数量調整手段を有することを特徴とする請求項22に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項25】
取引(数量)単位が整合された、現物板の板情報とCFD(Contract For Difference:差金決済)板の板情報とを、一つの板情報として融合した現物・CFD融合板を作成する機能を有する現物・CFD融合板作成手段をさらに有することを特徴とする請求項22~24のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム
【請求項26】
DA銘柄が、受け渡しが異なる決済手法として、RTGS、DVPを用いた取引を行うSTである場合、DVPの板情報をRTGSの板情報に統合したDVP・RTGS統合板を作成する機能を有するDVP・RTGS統合板作成手段と、
DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整するように制御する機能を有するDVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1~5、11~16、22~24のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項27】
DA銘柄についての板情報の作成における基準となるDA(メジャーDA)銘柄に対して、基準通貨(円など)との取引を行うためのメジャーDA取引板を作成する機能を有するメジャーDA取引板作成手段と、
前記メジャーDA取引板作成手段により作成された前記メジャーDA取引板での取引状況に基づいて、各DA銘柄の基準価格を算出、設定する機能を有する基準価格算出・設定手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1~5、11~16、22~24のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項28】
前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における売り最良気配と買い最良気配の中間値段を前記基準価格として算出・設定する機能を有することを特徴とする請求項27に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項29】
前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における所定のメジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段が無い場合は、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均を前記基準価格として算出・設定する機能を有することを特徴とする請求項28に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項30】
前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における所定のメジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均のいずれも無い場合は、直前に設定した基準価格、直前に約定した値段のうちの時間が近いほうの数値を前記基準価格として算出・設定する機能を有することを特徴とする請求項29に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項31】
DA銘柄の流動性状態の変動率(ボラテリティ)を算出する機能を有する流動性状態変動率算出手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項32】
前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における約定変動率を計算し、計算した約定変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有することを特徴とする請求項31に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項33】
前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回る場合において、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における売りの気配と買いの気配の両方の変動率を計算、計算した売りの気配と買いの気配の両方の変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有することを特徴とする請求項32に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項34】
前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回り、かつ、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)を下回る場合、直前に算出した変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有することを特徴とする請求項33に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項35】
各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、前記板情報変更制御手段は、前記基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率を修正する機能を有することを特徴とする請求項31~34のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項36】
各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、前記板情報変更制御手段は、前記基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する機能を有することを特徴とする請求項31~34のいずれかに記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項37】
DA銘柄ごとに前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた前記基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブルを有し、
前記板情報変更制御手段は、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、前記基準価格比率修正テーブルに設定された当該DA銘柄において該当する前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減算値)に基づき、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率を修正する機能を有することを特徴とする請求項35に記載のデジタル資産スワップシステム。
【請求項38】
DA銘柄ごとに前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた前記基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブルを有し、
前記板情報変更制御手段は、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、前記基準価格比率修正テーブルに設定された当該DA銘柄において該当する前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減産値)に基づき、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する機能を有することを特徴とする請求項36に記載のデジタル資産スワップシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経済的な価値をデジタルで表現可能な、デジタル資産(デジタル通貨的なものやコモディティ資産(貴金属(ゴールド等)、CO排出権、エネルギー(原油や電力等))を資産原資としてトークン化したものや、デジタル証券的なものを含む広範囲のデジタル的権利:DA)の取引・清算においてデジタル資産(DA)の交換を行うデジタル資産スワップシステムに関する。
なお、本願明細書における「システム」とは、コンピュータや他の電子機器、ソフトウェア、通信ネットワーク、データなどの要素を組み合わせて構成された、ソフトウェアによる情報処理を、ハードウェア資源を用いて具体的に実現するコンピュータシステムを意味する。
【背景技術】
【0002】
現在、「物物交換」を効率化するために、基準的な価値を示すものとして「法定通貨」が仲介に用いられている。
近年のデジタル化において、物や権利など、様々な価値がデジタルの資産(DA:Digital Asset、「デジタルアセット」)として設定されるようになってきた。
【0003】
このDA(デジタルアセット)は、近年、ブロックチェーンを用いた仮想通貨などのトークンやコインとして普及し、各々の仮想通貨の直接交換や、各々の仮想通貨と法定通貨との間接交換が行われている。
【0004】
DAは、SC(シアコイン:デジタル化した通貨)、ST(セキュリティトークン:デジタル的な証券)やUT(ユーティリティトークン:実用性のあるトークン、例えばコモディティ全般)、保険類、契約類、NFT(Non-Fungible Token:何かと交換するような兌換的なものなど)などの権利をデジタル化した資産的な総称であり、対象は広範囲に及ぶ。DAの対象が広がることにより、物々交換だけでなく、その拡張となる金融系の決済にまで兌換的な処理を応用できる。
【0005】
ただし、DAのうち仮想通貨は、殆どの場合、何らかの現物の価値が担保されていないで発行され、価格の妥当性がはっきりしないことから、交換や取引において価格変動が大きくなる特性を有している。
そして、仮想通貨においては、法定通貨を介さず、ビットコインやイーサリアムなどのメジャー仮想通貨が価値の基準となって、マイナーなその他アルト的な仮想通貨と交換されている状況にある。
【0006】
このような法定通貨を介さない仮想通貨取引等に対しては、法的規制が殆どなく、インターネット環境を介して、世界的に共有した取引ロジックが導入されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの仮想通貨類は、価値の基準となる現物をベースとしたもの(兌換的な特性)ではないため、妥当な価値判断が難しく、取引される価格が不安定で、価格が安定せず、20%程度の瞬間的な価格変動が常に行われる投機状態にある。
仮想通貨の価格変動が大きくなると、交換などにおいて当該仮想通貨の信頼性が低下し、資産としての価値は減少する。
【0008】
特にブロックチェーンなどの暗号分散化領域では、「DEX」(Decentralized Exchange:分散型取引所)などの分散取引機能が注目されているが、その中でも最有力のUNISWAP(ユニスワップ)においても、イーサリアムブロックチェーン上に限定されるなど、デジタル取引はインフラに依存し、異なるインフラ間では1~10万円程度の小口取引は対応できたとしても、1000万円を超える大口取引などは信頼性に欠ける状況となっている。
【0009】
しかるに、本件発明者は、「DAと法定通貨(法定通貨型トークンを含む)」の交換、もしくは取引という、限定した形態でのDAの交換を行うシステムについて検討、考察した。
このようなDAの交換は、仮想通貨の交換とは異なり、現物などのハッキリした(兌換的な)権利や価値が紐づけられる。このため、個別の価格形成を無視することなく、個別の価格に基づいて、物々交換を行う点で、デジタル資産であっても仮想通貨の取引とは大きく異なると考えられる。
【0010】
本件発明者の検討、考察するDAの交換システムでは、「CEX」(Centralized Exchange:中央集権型取引所)というセントラル型の取引機能をベース(あくまでベースであり、応用として分散処理も対象範疇となる)として構築することを考えた。そして、この概念によりブロックチェーンに影響されない多ネットワーク接続のサービス構造とすることを考えた。
当該CEX領域は、本来の金融領域をDX(デジタルトランスフォーメーション)化の方向に拡大したものであり、その既存金融を自動化するためのものである。
このため、CEXによる取引の価格形成は、DEXのような不安定なものにはならないと考えられる。
【0011】
現状でのDAの取引においては、基準となる「法定通貨」に対しての取引価格が参考価格として用いられ、DAを法定通貨と交換している状況にある。
本件発明者は、DAの交換システムにおいて、法定通貨との取引レートは「参考価格」として開示はするが、実際の交換において、法定通貨を用いるケースが大幅に削減される、もしくは法定通貨類を用いないで清算するようにすることを考えた。
【0012】
今後のDX進化において、DAが普及すると、メジャーなDAが法定通貨に代わり流通の主軸になることが想定される。
特にメジャーなコモディティのDA(以下、メジャーDA)が法定通貨の代替として台頭することが予測される。
【0013】
DX化を軸とした第四次産業に経済が向かうとした場合において、第四次産業における働き手の主体になるのはマシーン(AIなどのコンピュータ処理ロジック)であると考えられる。
しかし、マシーンが働き手の中心になるとしても、マシーンがヒトのように法定通貨に対して価値を理解するかについては疑問がある。
【0014】
というのは、マシーンが一番価値を認める対象は、マシーンを作動させるための原動力となるエネルギーであり、具体的には電力等であると考えられるからである。
このため、DX化が進むことで、これらのマシーンが働き手の主体となることが想定される新経済圏において、法定通貨よりもエネルギーに価値の重要度が移るのであれば、法定通貨の価値は下落(インフレ)に向かう可能性があり、現状の世界においても、法定通貨の価値の維持は難しくなっていくと考えられる。
【0015】
同様に、DX化を軸とした第四次産業における働き手の主体はマシーンとともに、M2Mを構成するネットワーク(特に次世代型通信)構成が重要となり、M2Mでの流通トークンとしては、電力や基準エネルギーとともに、通信権取引などのトークンが交換用の主要トークンになると考えられる。
【0016】
実際に、現物市場における電力のスポット価格は変動が大きくなる傾向にあり、固定価格での契約は限界が出てくる。このため、与信という概念の無い「マシーン」を主体とした取引領域などにおいては「スポット価格」による電力取引や供給を受けることになると考えられる。
【0017】
マシーンが法定通貨を労働対価として受け取る場合、法定通貨に対する価格の不安定さがあることは問題となり、権利が固定されている「電力」や「エネルギー権」そのものを労働対価としての受け取り対象にすることが想定される。
このため、DX化が進んだ時代においては、メジャーDAが経済の中心として対価交換や決済などに用いられるケースが多くなり、価値の中心になる可能性があると考えられる。
【0018】
次に、本件発明者は、メジャーDAが決済に用いられることが多くなる場合について考えた。マシーンがメジャーDA(電力やエネルギーの権利)を用いて決済を行うことにより、価値が上がっていくメジャーDAに対し、ヒトも関心を持つようになる。
そのときには、法定通貨はDAに対してインフレ=価値低下の傾向になり、ヒトは、法定通貨だけではなく、メジャーDAを所有することを所望する傾向になると考えられる。
【0019】
その場合、法定通貨とメジャーDAとを相互に交換する環境は存在するので問題がないが、メジャーDAを用いて他のDAとの取引における決済や清算を行う場合に、DA同士の価値交換の妥当性についてはわかり難くなると考えられる。
【0020】
また、例えば法定通貨を価値の基準として用いた場合においても、DAとの価値交換の妥当性についてはわかり難くなると考えられる。日本では法定通貨の単位である¥を中心として価値の妥当性を把握することができるが、日本における価値の表記を¥から米$に置き換えた場合を想定すると、その米$での価値表記では、国内取引における価格の妥当性について、多数のヒト達には簡単には把握することができなくなる。
即ち、ヒトは慣習による価値基準を用いて価値の妥当性を把握しており、マシーンのように異なる価値基準を用いて単純ロジックで価値を計算することができない。
【0021】
本件発明者は、ヒトが関与するDA取引などにおいて、そのヒトが価値の妥当性を把握できる価値基準を指定すること(日本人の場合は法定通貨の単位である¥を指定)で、その指定した価値基準を用いて、取引対象となるDAについての、法定通貨的(日本では¥)な交換レートを表示することを考えた。そして、そのような交換レートの表示を介して、実際にはDA同士での交換を行うことができるようにすることを考えた。
【0022】
即ち、本件発明者は、DAの交換システムにおけるDA取引において、価値基準とする法定通貨の単位での交換レートに基づいた、取引の仲介に用いる情報(法定通貨との交換レート)と実際の決済やクリアリングでの交換対象とが異なる、法定通貨を用いない、DA同士の直接交換を行えるようにすることを考えた。
【0023】
本来、DA同士の交換を行うための処理をシステムに実装する場合は、DAを一旦法定通貨に換えて、その法定通貨を用いて相手方のDAとの交換処理を行うことが考えられる。
これに対し、本件発明者は、DAの交換システムにおいて、必ずしもDAを法定通貨に換えることなく、DA同士の清算等を効率的に行うことができるようにすることを考えた。ロジックとしては、通貨基準の仲介型と直接交換型を融合し、統合板化を行い互いの価値の相対位置(価格の妥当性)を認識できるようにすることを考えた。
【0024】
本件発明者は、DAの交換システムにおいて、ヒトが視認する対象を、ヒトが清算時に指定するDA(指定DA)を基準とした、その指定DAに対する法定通貨との交換レートとなるようにする一方、実際の決済やクリアリングでは、DA取引の当事者であるヒト同士における、互いに交換を所望するDAが対象となるようにすることを考えた。清算の当事者であるヒト同士は、その互いが所望する指定DAを用いて交換を行うが、交換に際し、指定DAを互いが必ずしも法定通貨と事前に交換しているわけではない。(2つのDA同士を直截的に処理する)上記のUNISWAP(ユニスワップ)と異なり、指定DAと法定通貨との交換は、清算の当事者であるヒトが互いに行うのではなく、市場を介して行うことができるようにすることを考えた。
【0025】
さらに、UNISWAP(ユニスワップ)は、2つのDA同士を1対1で交換する概念を有しているが、本件発明者は、多対多の複雑なDA銘柄の組み合わせによるDA同士の交換を行うことができるようにすることを考えた。このようにすれば、価格の妥当性や安定が実現できると考えられる。
【0026】
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであり、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握でき、且つ、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができ、法定通貨を用いることなく清算が可能で、さらには、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことの可能なデジタル資産スワップシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するため、本発明によるデジタル資産スワップシステムは、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデータを用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトもしくはサーバアプリケーションを備えて構築された、デジタル資産(デジタル通貨的なものやコモディティ資産(貴金属(ゴールド等)、CO排出権、エネルギー(原油や電力等))を資産原資としてトークン化したものや、デジタル証券的なものを含む広範囲のデジタル的権利:DA)の取引・清算においてデジタル資産(DA)の交換を行うデジタル資産スワップシステムであって、DA銘柄ごとに所定の取引(数量)単位での基準数量に対する所定の法定通貨を単位とした価格ごとの売り注文数量を示す売り板、買い注文数量を示す買い板からなる、所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)を作成する機能を有する基本処理板作成手段と、前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)を用いて、当該DA銘柄ごとの所定価格を基準価格とし、前記基本処理板(個別取引板)における各価格の前記基準価格に対する比率を第1の基準価格比率として算出する機能を有する第1の基準価格比率算出手段と、前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)における各価格、各売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出する機能を有する第1の売量・買量算出手段と、前記第1の基準価格比率算出手段により算出された前記第1の基準価格比率ごとに、前記第1の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第1の基準価格比率変換板を作成する機能を有する第1の基準価格比率変換板作成手段と、前記基本処理板作成手段により作成された第1のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報と、第2のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報とに基づいて、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板を作成する機能を有するDA銘柄直接交換板作成手段と、前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する複数DA銘柄統合板作成手段と、前記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率の順にソートする機能を有する基準価格比率ソート手段と、前記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能を有する板情報変更制御手段と、を有することを特徴とする。
なお、本願明細書における「スマートコントラクト」とは、ブロックチェーン上で稼働するプログラムであって、ブロックチェーンにおけるトランザクションのデータ処理を、ブロックチェーンの外部から取り込まれた情報をトリガーとして自動的に執行するプログラムを意味し、ノードという分散された環境で、並列的に処理できるものである。また、スマートコントラクトを用いない、通常のアプリケーションタイプでの処理もスマートコントラクトと同様の処理概念となる。
【0028】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記DA銘柄直接交換板作成手段は、第1のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)における売り注文数量と買い注文数量、価格の並びを、逆順となるように変換した第1のDA銘柄の板情報並び順変換板を作成する機能を有する板情報並び順変換板作成手段と、前記板情報並び順変換板作成手段により作成された前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板、第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)、の夫々における、価格ごとの前記売り量、前記買い量を前記第1の売量・買量算出手段を介して算出させる機能を有する第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段と、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板における最も高い買い注文の価格が、前記第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)における最も安い売り注文の価格と対応づくようにして、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板と、第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)とを対応づける機能を有する売買注文価格対応付け手段と、前記売買注文価格対応付け手段により対応づけられた、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板と第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)とにおける夫々の価格を用いて、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率(所定の取引(数量)単位の基準数量(=1)の第2のDA銘柄で交換できる第1のDA銘柄の数量=第2のDA銘柄の価格/第1の銘柄の価格)を算出する機能を有するDA銘柄交換比率算出手段と、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における注文板データを作成する機能を有する第1の注文板データ作成手段と、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における注文板データを作成する機能を有する第2の注文板データ作成手段と、を有するのが好ましい。
【0029】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記第1の注文板データ作成手段は、前記第2のDA銘柄の前記売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=前記第2のDA銘柄の前記売り量/前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2のDA銘柄の売り量変換手段と、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額(前記第2のDA銘柄の売り量変換手段により算出された、前記第2のDA銘柄の前記売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の前記買い量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有する第1の取引可能金額抽出手段と、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第1の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段により算出された第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第1の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×前記第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、を有するのが好ましい。
【0030】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記第2の注文板データ作成手段は、前記第2の注文板データ作成手段は、前記第2のDA銘柄の前記買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=前記第2のDA銘柄の前記買い量/前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2のDA銘柄の買い量変換手段と、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額(前記第2のDA銘柄の買い量変換手段により算出された、前記第2のDA銘柄の前記買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の前記売り量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有する第2の取引可能金額抽出手段と、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第2の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段により算出された第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第2の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×前記第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、を有するのが好ましい。
【0031】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、1つのDA銘柄の取引において、板情報として、複数種類の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが存在する場合に、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせに変換(統一化)する機能を有する法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段と、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板を用いて、当該DA銘柄の所定価格を基準価格とし、前記変換(統一化)された板の各価格の前記基準価格に対する比率を第2の基準価格比率として算出する機能を有する第2の基準価格比率算出手段と、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板における価格、売注文数量を用いて、価格ごとの前記売り量、前記買い量を算出する機能を有する第2の売量・買量算出手段と、前記第2の基準価格比率算出手段により算出された前記第2の基準価格比率ごとに、前記第2の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第2の基準価格比率変換板を作成する機能を有する第2の基準価格比率変換板作成手段と、を有し、前記複数DA銘柄統合板作成手段は、前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板、及び/又は、前記第2の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第2の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する機能を有し、前記基準価格比率ソート手段は、前記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率の順にソートする機能を有し、前記板情報変更制御手段は、前記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板、前記第2の基準価格比率変換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能を有するのが好ましい。
【0032】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段は、第1のDA銘柄の取引において、板情報として、法定通貨単位:ドル、取引(数量)単位:オンスとの組み合わせで作成されている基本処理板(個別取引板)の板情報を、法定通貨単位:円、取引(数量)単位:グラムに変換した板を作成する機能を有するのが好ましい。
【0033】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記基準価格比率ソート手段は、ソートしたデータの個々の板情報において、元のDA銘柄を示すフラグ等の識別子を付加する機能を有する元DA銘柄識別子情報付加手段を有するのが好ましい。
【0034】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記板情報変更制御手段は、前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、前記複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容を変更する機能を有するのが好ましい。
【0035】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記板情報変更制御手段は、前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板、前記第2の基準価格比率変換板における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、前記複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容を変更する機能を有するのが好ましい。
【0036】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記複数DA銘柄統合板作成手段は、為替や取引量が異なる同一DA銘柄の板情報については、同じ列に並べて、前記複数DA銘柄統合板を作成する機能を有するのが好ましい。
【0037】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記複数DA銘柄統合板作成手段は、異なるDA銘柄の板情報については、横の列にずらして、前記複数DA銘柄統合板を作成する機能を有するのが好ましい。
【0038】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態になる場合は、当該複数DA銘柄統合板内で当該2者のDA同士を交換処理し、DAと通貨との交換処理が不要となるように制御する機能を有する統合板取引処理制御手段をさらに有するのが好ましい。
【0039】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記統合板取引処理制御手段は、同一DA銘柄でクロス状態になる場合は、無条件でマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能を有するのが好ましい。
【0040】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、各板の注文厚さに基づいて、売りと買いのいずれが優位かを判断する機能を有する流動性分析手段をさらに有し、前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により優位と判断された側の板を基準としてマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能を有するのが好ましい。
【0041】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により売りが優位と判断された場合、買い板における前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率が1よりも高い買い注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の売りで約定させるように制御する機能を有するのが好ましい。
【0042】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により買いが優位と判断された場合、売り板における前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率が1よりも低い売り注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の買いで約定させるように制御する機能を有するのが好ましい。
【0043】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記統合板取引処理制御手段は、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態にならない場合は、当該DA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)に回送し、当該基本処理板(個別取引板)で各々の通貨との交換処理を行うように制御する機能を有するのが好ましい。
【0044】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の売りを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする前記基本処理板(個別取引板)の価格に基づき、当該DAの支払い数量を算出する機能を有するDA支払い数量算出手段と、前記DA支払い数量算出手段が算出した当該DAの支払い数量を当該取引者に提示する機能を有するDA支払い数量提示手段と、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の買いを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする前記基本処理板(個別取引板)の価格に基づき、当該DAの受け取り数量を算出する機能を有するDA受け取り数量算出手段と、前記DA受け取り数量算出手段が算出した当該DAの受け取り数量を当該取引者に提示する機能を有するDA受け取り数量提示手段と、前記DA支払い数量提示手段による当該DAの支払い数量の提示を受けた当該支払い側の取引者、前記DA受け取り数量提示手段による当該DAの受け取り数量の提示を受けた当該受け取り側の取引者からの決済指示を受け付ける機能を有する第1の決済指示受付手段と、をさらに有するのが好ましい。
【0045】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記複数DA銘柄統合板に、前記基本処理板(個別取引板)における夫々のDA銘柄の取引価格を付加した取引価格付き複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段をさらに有するのが好ましい。
【0046】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段により作成された前記取引価格付き複数DA銘柄統合板に基づき、決済価格が決定した場合における、取引者相互のDAの交換数量を算出する機能を有するDA交換数量算出手段と、前記DA交換数量算出手段により算出された当該DAの交換数量を当該取引者に提示する機能を有するDA交換数量提示手段と、前記DA交換数量提示手段により当該DAの交換数量を提示された当該取引者からのからの決済指示を受け付ける機能を有する第2の決済指示受付手段と、をさらに有するのが好ましい。
【0047】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記DA交換数量算出手段は、決済価格を当該DA銘柄の最良気配値で割った数値を当該DAの交換数量として算出する機能を有するのが好ましい。
【0048】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、現物板とCFD(Contract For Difference:差金決済)板とを統合した現物・CFD統合板を作成する機能を有する現物・CFD統合板作成手段をさらに有するのが好ましい。
【0049】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、CFDの数量を、現物の取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有するCFD数量調整手段を有するのが好ましい。
【0050】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、現物の数量を、CFDの取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有する現物数量調整手段を有するのが好ましい。
【0051】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、取引(数量)単位が整合された、現物板の板情報とCFD(Contract For Difference:差金決済)板の板情報とを、一つの板情報として融合した現物・CFD融合板を作成する機能を有する現物・CFD融合板作成手段をさらに有するのが好ましい。
【0052】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、DA銘柄が、受け渡しが異なる決済手法として、RTGS、DVPを用いた取引を行うSTである場合、DVPの板情報をRTGSの板情報に統合したDVP・RTGS統合板を作成する機能を有するDVP・RTGS統合板作成手段と、DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整するように制御(基本的にRTGS側を主体として調整)する機能を有するDVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段と、をさらに有するのが好ましい。
【0053】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、DA銘柄についての板情報の作成における基準となるDA(メジャーDA)銘柄に対して、基準通貨(円など)との取引を行うためのメジャーDA取引板を作成する機能を有するメジャーDA取引板作成手段と、前記メジャーDA取引板作成手段により作成された前記メジャーDA取引板での取引状況に基づいて、各DA銘柄の基準価格を算出、設定する機能を有する基準価格算出・設定手段と、をさらに有するのが好ましい。
【0054】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における売り最良気配と買い最良気配の中間値段を前記基準価格として算出・設定する機能を有するのが好ましい。
【0055】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段が無い場合は、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均を前記基準価格として算出・設定する機能を有するのが好ましい。
【0056】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均のいずれも無い場合は、直前に設定した基準価格、直前に約定した値段のうちの時間が近いほうの数値を前記基準価格として算出・設定する機能を有するのが好ましい。
【0057】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、DA銘柄の流動性状態の変動率(ボラテリティ)を算出する機能を有する流動性状態変動率算出手段をさらに有するのが好ましい。
【0058】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における約定変動率を計算し、計算した約定変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有するのが好ましい。
【0059】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回る場合において、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における売りの気配と買いの気配の両方の変動率を計算、計算した売りの気配と買いの気配の両方の変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有するのが好ましい。
【0060】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回り、かつ、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)を下回る場合、直前に算出した変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有するのが好ましい。
【0061】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、前記板情報変更制御手段は、前記基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率を修正する機能を有するのが好ましい。
【0062】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、前記板情報変更制御手段は、前記基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率を修正する機能を有するのが好ましい。
【0063】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、DA銘柄ごとに前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた前記基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブルを有し、前記板情報変更制御手段は、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、前記基準価格比率修正テーブルに設定された当該DA銘柄において該当する前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減算値)に基づき、前記第1の基準価格比率を修正する機能を有するのが好ましい。
【0064】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、DA銘柄ごとに前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた前記基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブルを有し、前記板情報変更制御手段は、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、前記基準価格比率修正テーブルに設定された当該DA銘柄において該当する前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減産値)に基づき、前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率を修正する機能を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0065】
本発明によれば、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握でき、且つ、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができ、法定通貨を用いることなく清算が可能で、さらには、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことの可能なデジタル資産スワップシステムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明の一実施形態に係るデジタル資産スワップシステムの全体構成を概略的に示す説明図である。
図2図1のデジタル資産スワップシステムにおける基本処理板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図3図1のデジタル資産スワップシステムにおける第1の基準価格比率算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図4図1のデジタル資産スワップシステムにおける第1の売量・買量算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図5図1のデジタル資産スワップシステムにおける第1の基準価格比率変換板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図6図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDA銘柄直接交換板作成手段の全体構成を概略的に示す説明図である。
図7図6のDA銘柄直接交換板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図8図6のDA銘柄直接交換板作成手段における板情報並び順変換板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図9図6のDA銘柄直接交換板作成手段における第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図10図6のDA銘柄直接交換板作成手段における売買注文価格対応付け手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図11図6のDA銘柄直接交換板作成手段におけるDA銘柄交換比率算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図12図6のDA銘柄直接交換板作成手段における第1の注文板データ作成手段の全体構成を概略的に示す説明図である。
図13図12の第1の注文板データ作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図14図12の第1の注文板データ作成手段における第2のDA銘柄の売り量変換手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図15図12の第1の注文板データ作成手段における第1の取引可能金額抽出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図16図12の第1の注文板データ作成手段における第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図17図12の第1の注文板データ作成手段における第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図18図6のDA銘柄直接交換板作成手段における第2の注文板データ作成手段の全体構成を概略的に示す説明図である。
図19図18の第2の注文板データ作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図20図18の第2の注文板データ作成手段における第2のDA銘柄の買い量変換手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図21図18の第2の注文板データ作成手段における第2の取引可能金額抽出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図22図18の第2の注文板データ作成手段における第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図23図18の第2の注文板データ作成手段における第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図24図1のデジタル資産スワップシステムにおける複数DA銘柄統合板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図25図1のデジタル資産スワップシステムにおける基準価格比率ソート手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図26図1のデジタル資産スワップシステムにおける板情報変更制御手段に備わる処理機能の一部を概略的に示す説明図である。
図27図1のデジタル資産スワップシステムにおける板情報変更制御手段に備わる処理機能の他部を概略的に示す説明図である。
図28図1のデジタル資産スワップシステムにおける板情報変更制御手段に備わる処理機能のさらに他部を概略的に示す説明図である。
図29図1のデジタル資産スワップシステムにおける板情報変更制御手段に備わる処理機能のさらに他部を概略的に示す説明図である。
図30図1のデジタル資産スワップシステムにおける法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図31図1のデジタル資産スワップシステムにおける第2の基準価格比率算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図32図1のデジタル資産スワップシステムにおける第2の売量・買量算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図33図1のデジタル資産スワップシステムにおける第2の基準価格比率変換板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図34図1のデジタル資産スワップシステムにおける元DA銘柄識別子情報付加手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図35図1のデジタル資産スワップシステムにおける統合板取引処理制御手段に備わる処理機能の一部を概略的に示す説明図である。
図36図1のデジタル資産スワップシステムにおける統合板取引処理制御手段に備わる処理機能の他部を概略的に示す説明図である。
図37図1のデジタル資産スワップシステムにおける統合板取引処理制御手段に備わる処理機能のさらに他部を概略的に示す説明図である。
図38図1のデジタル資産スワップシステムにおける流動性分析手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図39図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDA支払い数量算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図40図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDA支払い数量提示手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図41図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDA受け取り数量算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図42図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDA受け取り数量提示手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図43図1のデジタル資産スワップシステムにおける第1の決済指示受付手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図44図1のデジタル資産スワップシステムにおける取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図45図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDA交換数量算出手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図46図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDA交換数量提示手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図47図1のデジタル資産スワップシステムにおける第2の決済指示受付手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図48図1のデジタル資産スワップシステムにおける現物・CFD統合板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図49図1のデジタル資産スワップシステムにおけるCFD数量調整手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図50図1のデジタル資産スワップシステムにおける現物数量調整手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図51図1のデジタル資産スワップシステムにおける現物・CFD融合板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図52図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDVP・RTGS統合板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図53図1のデジタル資産スワップシステムにおけるDVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図54図1のデジタル資産スワップシステムにおけるメジャーDA取引板作成手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図55図1のデジタル資産スワップシステムにおける基準価格算出・設定手段に備わる処理機能を概略的に示す説明図である。
図56図1のデジタル資産スワップシステムにおける流動性状態変動率算出手段の構成を概略的に示す説明図である。
図57】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、DA銘柄ごとの基本処理板(個別取引板)作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図58】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける基本処理板作成手段11により作成された第1のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)の具体例を示す説明図である。
図59】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける基本処理板作成手段11により作成された第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)の具体例を示す説明図である。
図60】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、第1の基準価格比率変換板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図61】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第1の基準価格比率算出手段、第1の売量・買量算出手段、第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された第1のDA銘柄の第1の基準価格比率変換板の具体例を示す説明図である。
図62】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第1の基準価格比率算出手段、第1の売量・買量算出手段、第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された第2のDA銘柄の第1の基準価格比率変換板の具体例を示す説明図である。
図63】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、DA銘柄直接交換板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図64】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、第2のDA銘柄を「売り」、第1のDA銘柄を「買い」とする第1の取引における注文板データ作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図65】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を「買い」、第1のDA銘柄を「売り」とする第2の取引における注文板データ作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図66】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける板情報並び順変換板作成手段により作成された第1のDA銘柄の板情報並び順変換板の具体例を示す説明図である。
図67】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段、売買注文価格対応付け手段、DA銘柄交換比率算出手段、第1の注文板データ作成手段、第2の注文板データ作成手段、第1の注文板データ作成手段により作成された第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板の具体例の一部を示す説明図である。
図68】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段、売買注文価格対応付け手段、DA銘柄交換比率算出手段、第1の注文板データ作成手段、第2の注文板データ作成手段、第1の注文板データ作成手段により作成された第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板の具体例の他部を示す説明図である。
図69】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化処理、第2の基準価格比率変換板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図70】所定の銘柄について、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位を組み合わせた板の具体例を示す説明図である。
図71】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせに変換(統一化)された板の具体例を示す説明図である。
図72】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第2の基準価格比率算出手段、第2の売量・買量算出手段、第2の基準価格比率変換板作成手段により作成された第2の基準価格比率変換板の具体例を示す説明図である。
図73】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、複数DA銘柄統合板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図74】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された第1のDA銘柄についての第1の基準価格比率変換板の板情報の具体例を示す説明図である。
図75】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された第2のDA銘柄についての第1の基準価格比率変換板の板情報の具体例を示す説明図である。
図76】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける第2の基準価格比率変換板作成手段により作成された第1のDA銘柄についての第2の基準価格比率変換板の板情報の具体例を示す説明図である。
図77】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける複数DA銘柄統合板作成手段により作成された各DA銘柄等を統一した統合板(基準価格ベースのソート板)の具体例の一部を示す説明図である。
図78】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける複数DA銘柄統合板作成手段により作成された各DA銘柄等を統一した統合板(基準価格ベースのソート板)の具体例の他部を示す説明図である。
図79】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、複数DA銘柄統合板での取引処理の流れの一例を示す説明図である。
図80】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、複数DA銘柄統合板のベースとなる板情報を用いたDAの決済数量算出処理の一例を示す説明図である。
図81】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、取引価格付き複数DA銘柄統合板作成処理及び取引価格付き複数DA銘柄統合板を用いたDAの交換数量算出処理の一例を示す説明図である。
図82】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段により作成された取引価格付き複数DA銘柄統合板の具体例の一部を示す説明図である。
図83】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段により作成された取引価格付き複数DA銘柄統合板の具体例の他部を示す説明図である。
図84】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、現物・CFD統合板作成処理、現物・CFD融合板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図85】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける現物・CFD統合板作成手段により作成された現物・CFD統合板の具体例を示す説明図である。
図86】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける現物・CFD融合板作成手段により作成された現物・CFD融合板の具体例を示す説明図である。
図87】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおけるCFD数量調整手段により、CFDの数量を、現物の取引(数量)単位に整合した数量に調整した具体例を示す説明図である。
図88】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおける現物・CFD融合板作成手段により作成された、取引(数量)単位が整合された、CFDの板を現物板に融合した現物・CFD融合板の具体例を示す説明図である。
図89】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、DVP・RTGS統合板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図90】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおけるDVP・RTGS統合板作成手段により作成されたDVP・RTGS統合板の具体例を示す説明図である。
図91】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおけるDVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段により、DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整する場合の各STの板情報においてマーケットメイカーの自己が介入するときの具体例を示す説明図である。
図92】本実施形態のデジタル資産スワップシステムにおけるDVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段により、DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整する場合のDVPの板情報においてスプレッドを0として、マーケットメイカーの自己が介入するときの具体例を示す説明図である。
図93】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、メジャーDA取引板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図94】本実施形態のデジタル資産スワップシステムが取扱うメジャーDAの一例を概略的に示す説明図である。
図95】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、流動性状態変動率算出処理の流れの一例を示す説明図である。
図96】本実施形態のデジタル資産スワップシステムを用いた、流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づく基準価格比率処理の流れの一例を示す説明図である。
図97図1のデジタル資産スワップシステムに備わる基準価格比率修正テーブルの一例を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
実施形態の説明に先立ち、本発明を導出するに至った経緯、及び本発明の作用効果について説明する。
【0068】
現在、「物物交換」を効率化するために、基準的な価値を示すものとして「法定通貨」が仲介に用いられている。
近年のデジタル化において、物や権利など、様々な価値がデジタルの資産(DA:Digital Asset、「デジタルアセット」)として設定されるようになってきた。
【0069】
このDA(デジタルアセット)は、近年、ブロックチェーンを用いた仮想通貨などのトークンやコインとして普及し、各々の仮想通貨の直接交換や、各々の仮想通貨と法定通貨との間接交換が行われている。
【0070】
DAは、SC(シアコイン:デジタル化した通貨)、ST(セキュリティトークン:デジタル的な証券)やUT(ユーティリティトークン:実用性のあるトークン、例えばコモディティ全般)、保険類、契約類、NFT(Non-Fungible Token:何かと交換するような兌換的なものなど)などの権利をデジタル化した資産的な総称であり、対象は広範囲に及ぶ。DAの対象が広がることにより、物々交換だけでなく、その拡張となる金融系の決済にまで兌換的な処理を応用できる。
【0071】
ただし、DAのうち仮想通貨は、殆どの場合、何らかの現物の価値が担保されていないで発行され、価格の妥当性がはっきりしないことから、交換や取引において価格変動が大きくなる特性を有している。
そして、仮想通貨においては、法定通貨を介さず、ビットコインやイーサリアムなどのメジャー仮想通貨が価値の基準となって、マイナーなその他アルト的な仮想通貨と交換されている状況にある。
【0072】
このような法定通貨を介さない仮想通貨取引等に対しては、法的規制が殆どなく、インターネット環境を介して、世界的に共有した取引ロジックが導入されている。
【0073】
しかしながら、これらの仮想通貨類は、価値の基準となる現物をベースとしたもの(兌換的な特性)ではないため、妥当な価値判断が難しく、取引される価格が不安定で、価格が安定せず、20%程度の瞬間的な価格変動が常に行われる投機状態にある。
仮想通貨の価格変動が大きくなると、交換などにおいて当該仮想通貨の信頼性が低下し、資産としての価値は減少する。
【0074】
特にブロックチェーンなどの暗号分散化領域では、「DEX」(Decentralized Exchange:分散型取引所)などの分散取引機能が注目されているが、その中でも最有力のUNISWAP(ユニスワップ)においても、イーサリアムブロックチェーン上に限定されるなど、デジタル取引はインフラに依存し、異なるインフラ間では1~10万円程度の小口取引は対応できたとしても、1000万円を超える大口取引などは信頼性に欠ける状況となっている。
【0075】
しかるに、本件発明者は、「DAと法定通貨(法定通貨型トークンを含む)」の交換、もしくは取引という、限定した形態でのDAの交換を行うシステムについて検討、考察した。
このようなDAの交換は、仮想通貨の交換とは異なり、現物などのハッキリした(兌換的な)権利や価値が紐づけられる。このため、個別の価格形成を無視することなく、個別の価格に基づいて、物々交換を行う点で、デジタル資産であっても仮想通貨の取引とは大きく異なると考えられる。
【0076】
本件発明者の検討、考察するDAの交換システムでは、「CEX」(Centralized Exchange:中央集権型取引所)というセントラル型の取引機能をベース(あくまでベースであり、応用として分散処理も対象範疇となる)として構築することを考えた。そして、この概念によりブロックチェーンに影響されない多ネットワーク接続のサービス構造とすることを考えた。
当該CEX領域は、本来の金融領域をDX(デジタルトランスフォーメーション)化の方向に拡大したものであり、その既存金融を自動化するためのものである。
このため、CEXによる取引の価格形成は、DEXのような不安定なものにはならないと考えられる。
【0077】
現状でのDAの取引においては、基準となる「法定通貨」に対しての取引価格が参考価格として用いられ、DAを法定通貨と交換している状況にある。
本件発明者は、DAの交換システムにおいて、法定通貨との取引レートは「参考価格」として開示はするが、実際の交換において、法定通貨を用いるケースが大幅に削減される、もしくは法定通貨類を用いないで清算するようにすることを考えた。
【0078】
今後のDX進化において、DAが普及すると、メジャーなDAが法定通貨に代わり流通の主軸になることが想定される。
特にメジャーなコモディティのDA(以下、メジャーDA)が法定通貨の代替として台頭することが予測される。
【0079】
DX化を軸とした第四次産業に経済が向かうとした場合において、第四次産業における働き手の主体になるのはマシーン(AIなどのコンピュータ処理ロジック)であると考えられる。
しかし、マシーンが働き手の中心になるとしても、マシーンがヒトのように法定通貨に対して価値を理解するかについては疑問がある。
【0080】
というのは、マシーンが一番価値を認める対象は、マシーンを作動させるための原動力となるエネルギーであり、具体的には電力等であると考えられるからである。
このため、DX化が進むことで、これらのマシーンが働き手の主体となることが想定される新経済圏において、法定通貨よりもエネルギーに価値の重要度が移るのであれば、法定通貨の価値は下落(インフレ)に向かう可能性があり、現状の世界においても、法定通貨の価値の維持は難しくなっていくと考えられる。
【0081】
同様に、DX化を軸とした第四次産業における働き手の主体はマシーンとともに、M2Mを構成するネットワーク(特に次世代型通信)構成が重要となり、M2Mでの流通トークンとしては、電力や基準エネルギーとともに、通信権取引などのトークンが交換用の主要トークンになると考えられる。
【0082】
実際に、現物市場における電力のスポット価格は変動が大きくなる傾向にあり、固定価格での契約は限界が出てくる。このため、与信という概念の無い「マシーン」を主体とした取引領域などにおいては「スポット価格」による電力取引や供給を受けることになると考えられる。
【0083】
マシーンが法定通貨を労働対価として受け取る場合、法定通貨に対する価格の不安定さがあることは問題となり、権利が固定されている「電力」や「エネルギー権」そのものを労働対価としての受け取り対象にすることが想定される。
このため、DX化が進んだ時代においては、メジャーDAが経済の中心として対価交換や決済などに用いられるケースが多くなり、価値の中心になる可能性があると考えられる。
【0084】
次に、本件発明者は、メジャーDAが決済に用いられることが多くなる場合について考えた。マシーンがメジャーDA(電力やエネルギーの権利)を用いて決済を行うことにより、価値が上がっていくメジャーDAに対し、ヒトも関心を持つようになる。
そのときには、法定通貨はDAに対してインフレ=価値低下の傾向になり、ヒトは、法定通貨だけではなく、メジャーDAを所有することを所望する傾向になると考えられる。
【0085】
その場合、法定通貨とメジャーDAとを相互に交換する環境は存在するので問題がないが、メジャーDAを用いて他のDAとの取引における決済や清算を行う場合に、DA同士の価値交換の妥当性についてはわかり難くなると考えられる。
【0086】
また、例えば、法定通貨を価値の基準として用いた場合においても、DAとの価値交換の妥当性についてはわかり難くなると考えられる。日本では法定通貨の単位である¥を中心として価値の妥当性を把握することができるが、日本における価値の表記を¥から米$に置き換えた場合を想定すると、その米$での価値表記では、国内取引における価格の妥当性について、多数のヒト達には簡単には把握することができなくなる。
即ち、ヒトは慣習による価値基準を用いて価値の妥当性を把握しており、マシーンのように異なる価値基準を用いて単純ロジックで価値を計算することができない。
【0087】
本件発明者は、ヒトが関与するDA取引などにおいて、そのヒトが価値の妥当性を把握できる価値基準を指定すること(日本人の場合は法定通貨の単位である¥を指定)で、その指定した価値基準を用いて、取引対象となるDAについての、法定通貨的(日本では¥)な交換レートを表示することを考えた。そして、そのような交換レートの表示を介して、実際にはDA同士での交換を行うことができるようにすることを考えた。
【0088】
即ち、本件発明者は、DAの交換システムにおけるDA取引において、価値基準とする法定通貨の単位での交換レートに基づいた、取引の仲介に用いる情報(法定通貨との交換レート)と実際の決済やクリアリングでの交換対象とが異なる、法定通貨を用いない、DA同士の直接交換を行えるようにすることを考えた。
【0089】
本来、DA同士の交換を行うための処理をシステムに実装する場合は、DAを一旦法定通貨に換えて、その法定通貨を用いて相手方のDAとの交換処理を行うことが考えられる。
これに対し、本件発明者は、DAの交換システムにおいて、必ずしもDAを法定通貨に換えることなく、DA同士の清算等を効率的に行うことができるようにすることを考えた。ロジックとしては、通貨基準の仲介型と直接交換型を融合し、統合板化を行い互いの価値の相対位置(価格の妥当性)を認識できるようにすることを考えた。
【0090】
本件発明者は、DAの交換システムにおいて、ヒトが視認する対象を、ヒトが清算時に指定するDA(指定DA)を基準とした、その指定DAに対する法定通貨との交換レートとなるようにする一方、実際の決済やクリアリングでは、DA取引の当事者であるヒト同士における、互いに交換を所望するDAが対象となるようにすることを考えた。清算の当事者であるヒト同士は、その互いが所望する指定DAを用いて交換を行うが、交換に際し、指定DAを互いが必ずしも法定通貨と事前に交換しているわけではない。(2つのDA同士を直截的に処理する)上記のUNISWAP(ユニスワップ)と異なり、指定DAと法定通貨との交換は、清算の当事者であるヒトが互いに行うのではなく、市場を介して行うことができるようにすることを考えた。
【0091】
さらに、UNISWAP(ユニスワップ)は、2つのDA同士を1対1で交換する概念を有しているが、本件発明者の検討、考察するDAスワップシステムにおいては、多対多の複雑なDA銘柄の組み合わせによるDA同士の交換を行うことができるようにすることを考えた。このようにすれば、価格の妥当性や安定が実現できると考えられる。
【0092】
そして、本件発明者は、DAの交換システムにおいて、DAの取引を所望するヒトがDAの価値の妥当性を容易に把握でき、且つ、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができ、法定通貨を用いることなく清算が可能で、さらには、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことができるようにすることを目的として、その目的を実現するための検討、考察をさらに重ねた。
【0093】
具体的方策についての検討、考察
上記目的を達成するための具体的方策として、本願発明者は、次の3つの基本処理を組み合わせることを考えた。
【0094】
(方策1)「メジャーDA」と何等かの「通貨」の交換機能についての検討、考察
本件発明者は、第1番目の基本処理として、初動時において、「メジャーDA」と何等かの「法定通貨」の交換機能を備えることを考えた。そして、この交換情報(交換レート等)がネットワーク上に配信されるようにすることを考えた。
実際には、UT(ユーティリティトークン)やST(セキュリティトークン)のDAと法定通貨とが交換できるようにする。
ここで、交換情報には、交換レートの他に、流動性の強度を示す情報が加わるようにする。
UT(ユーティリティトークン)とST(セキュリティトークン)の交換機能は、多数の注文をシステム内部にストックし、その注文情報を共有するようにする。
【0095】
これらのDA交換において、参加者は多数存在し、マーケットメイカー(MM)など、独自のプライシング発見機能をもち、自己の責任でプライシングしているディーリング的なものや、注文を板方式として管理し、条件がクロッシングした場合に取引を成立させたりするトレーディング的なものなど、様々な方式を存在させるようにすることを考えた。
【0096】
そして、このディーリングやトレーディングの様々な注文管理情報と、板情報、複数気配情報などをネットワーク上に共有し、巨大な流動性情報を取りまとめるようにすることを考えた。
それにより、売りと買いの注文に対して、どちらが当該情報により優位性(特定の価格範囲:例えば、基準価格に対して、1段目が上下5%の範囲、2段目が上下10%の範囲、3段目が上下20%範囲などの各範囲において、売りと買いの注文総量のどちらが多いか、5分間などの総約定価格のボラテリティの大小など)をもっているかなどが瞬時で計算できるようにすることを考えた。
【0097】
また、基準価格を設けることを考えた。基準価格は5~10分程度の取引価格を参照し、その加重平均値などを設定することを考えた。また、当該時間内に約定が無い場合は、「直前の基準価格」を設定することを考えた。その場合は例えば「注意」フラグを付加するようにすることを考えた。
当該機能は基本的に素人の取引者を相手とするものであり、素人の取引者は取引価格の妥当性を判断することが難しいことから、その妥当性の根拠となるデータを集計することを考えた。
つまり、素人が取引者であっても、価格妥当性を判断できれば、その交換レートを信じて取引を行うことができると考えた。
また、交換レートのスプレッド幅などは、当該情報のボラテリティなどをベースに自動設定を行い、その交換レートは想定取引量をベースに提示することを考えた。
【0098】
例えば、取引想定量が50万円程度であれば、1段目の初動情報をベースとしたレートであり、200万円程度までは総合板の2段目まで、500万円までの場合は総合板の3段目までの合計とし、それを超える取引想定量の場合は、当該交換機能による即時処理ではなく、大口として専用の市場側で別途処理するなどとすることを考えた。
また、1段目、2段目などの%設定は、ボラテリティの状況で基本の設定値に対し、修正を自動的に行うようにすることを考えた。
そして、取引金額に対して、DA交換サービスを1段目用、2段目用、3段目用に分けるようにし、基本的にセントラルの情報は、この3種類(さらに増減しても良い)にすることを考えた。
【0099】
これらにより、1~3段階目のメジャーDAと通貨のペアの交換レートなどがシステム間で共有されるようにすることを考えた。
なお、実際には、1~3段階目に対して、気配に対して加重平均したものを気配値として配信するようにすることを考えた。
【0100】
(方策2)「メジャーDA同士」の交換を行う機能についての検討、考察
本件発明者は、第2番目の基本処理として、「メジャーDA同士」の交換機能を備えることを考えた。
実際には、ゴールドと電力、電力とエネルギーなど、複数のメジャーDAの組み合わせ要素があるが、基本的には通貨レベルの信用力を持つエネルギー要素をメジャーDAの主体として、通貨の代わり(というよりも、基軸通貨と同等のものとして)に設定されるようにすることを考えた。
このエネルギーベースのメジャーDAは、ガスや原油、およびそこから生成される二次加工品(ガソリン、軽油、灯油、重油など)、電力、通信権、CO排出権などコモデティベースのものを総合的にジュール変換して集計、調整したジュールトークン(J)のような基準指標である。
また、エネルギーベースのメジャーDAはハード(資源:ワット基準)的なものと、ソフト(農作的なもの:カロリー基準)的なものが大枠として存在するが、本件発明者は、さらに2つを統合したエネルギーベースのメジャーDAを作成することも想定している。
【0101】
また、ハード、ソフト、統合型のメジャーDAは、エネルギー単位をジュールとして表現することを考えた。
変換率1Jは、1N(ニュートン)の力がその力の方向に物体を1m(メートル)動かすときの仕事に相当する熱量であり、1N・m=1J 、1J/S=1W(ワット) より 、1KWh=3600kJ(=860kcal)である。
また、Jは国単位で設定されるべきものであり、日本の場合はジャパンジュール(JJ)のような商品名になる。JJでは日本国内で統一して使用されることになるが、海外のJなどとの交換も可能である。
【0102】
また、本件発明者は、エネルギーベースのメジャーDAの識別情報として、第1桁目のJがジュール、Wはワット(もしくはハード)、Cはカロリー(もしくはソフト)とし第2桁目が国別などをコードネーミング的に意味づけることを考えた。
また、このJJは、さらに使用する地域で、若干の価値を修正することができるようにする。
例えば、JJ北海道、JJ1などと表現することができるようにする。
また、使用する時間や季節で、若干の価値を修正することができるようにする。
例えば、JJ11の最後の項目が時間要素、そしてJJ111のようにさらに後続に季節要素を加えることができるようにする。
このように、詳細項目を銘柄の識別情報における後続の桁に追加して行くことで、小さい単位のファクターを認識できるようにし、そのグルーピングなども把握できるようにすることで、これらの小さい単位間の調整を可能にすることを考えた。
【0103】
本件発明者は、このJJをベースに、各メジャーDAを交換することを可能にすることを考えたが、まれにJJと交換しないで、他のメジャーDA同士で交換するニーズもあると考えられる。そこで、本件発明者は、その場合は、上記と同様にメジャーDA同士の組み合わせを通貨ベースの取引から誘導して作成し、その中にメジャーDAと通貨やJの情報を取り込み、メジャーDA同士の交換環境を提供できるようにすることを考えた。
【0104】
このメジャーDA同士の交換環境において、指定された通貨でのレートをユーザは受け取り、そのレートをベースに取引の判断をすれば良いと考えられる。
例えば、取引者Aは取引者Bより500円の買い物をした場合において、取引者Aはゴールドでの支払いを所望し、取引者Bは電力での受け取りを所望するものとする。
その組み合わせは決済機能より、ゴールドと電力の交換機能(スマートコントラクト)に伝えられて、そのスマートコントラクトでは500円(1段目レート)に対してのゴールドの売り、電力の買いのレート(合意できる水準の価格の妥当性があるレート)を出す。
取引者Aには500円の表示に対する、支払いに必要なゴールド量を表示し、取引者Bには500円の表示に対する、受け取る電力量を表示して、決済の合意を行うようにする。
そして、決済の合意が行われた場合、取引者Aがゴールドを渡し、取引者Bが電力を受け取るようにする。
【0105】
このような場合においては、ゴールドと電力の売り買いの板があり、その板には実際に当該DAの交換を所望する注文の他にも、ゴールドとJJ、ゴールドと¥、ゴールドと米$の¥を基準とした情報と、ゴールドとJJ、ゴールドと¥、ゴールドと米$の¥を基準とした情報など、様々な情報が統合しているようにする。
このような板を用いて、本件発明者は、DAの交換システムにおいて、対当する取引の組み合わせについて適切な交換量を算出して交換処理を行うようにすることを考えた。
なお、この組み合わせにおける交換量の算出に際しては、どうしても端数が存在することになるが、その端数は当該取引や清算を行うスマートコントラクト内において、マーケットメイカーの自己のマーケットメイク機能を存在させて、自動的にマーケットメイカーが端数を吸収して約定を行うようにすることを考えた。
【0106】
また、この自己の流動性調整機能は、レンディング機能(トークンの貸し借りを行うもの)とリンクさせ、場合によってはトークンの借りが必要となる場合は、自動的にレンディングを使いトークンを調達して流動性(約定率)を上げることができるようにすることを考えた。
マーケットメイカーがレンディングを用いる場合は、トークンを借りてきて約定を処理したとしても、すぐに反対売買ができるという想定が成り立つ場合である。ポジションとして、トークン保有量の+-の所定限度の範囲内であれば、レンディングを用いることになる。
一方、マーケットメイカーは、このトークン保有量の限度範囲を超えるポジションとなった場合は、強制的に過剰量分のトークンをロスカット処理する。
なお、レンディングを用いる場合は、その返済予定期間を取引状況から計算し、その期間における支払い金利相当分を、取引スプレッド(レートなどの共有情報に反映)に自動加算することができるようにする。
【0107】
(方策3)「マイナーなNFT等」と「メジャーDA」との交換機能についての検討、考察
本件発明者は、第3番目の基本処理として、「マイナーなNFT等」が「メジャーDA」との交換に用いられる場合の処理を考えた。
まず、該当のNFTの銘柄マスターに、価値を判断するための基本情報を設定するようにすることを考えた。
特に、当該NFTは何等かの現物の兌換要因を持ち、現物としての価値が存在している。このため、当然、その現物としての価値情報を整備する必要がある。
また、そのNFTの価値を判断するファクター要因と、そのファクター要因の強度(ファクター単位で連動ウエイトを設定し、ウエイトが高いほど、そのファクターは連動指定している価格と似た動きをする、マイナスの場合は相関が逆を意味する)を設定することを考えた。
ファクターは通貨やメジャーDAとの連動制としてウエイト付けを行うものであり、このウエイト付けは取引価格の状況を比較して、定期的(例えば1週間単位など)に自動更新を行っていくようにすることを考えた。
【0108】
ファクター要因としては、そもそもの価値水準が、例えば基準通貨に対して、どれだけの価値があるのか、そして、それを基準にマイナスとプラスの修正要因を追加していくことを考えた。
例えば、コメNFTの場合、コメ基準(品種/産地など)や程度/状態、古米など古さ、を含め、コメ価格を決定する要因があるが、その内容をNFT単位(この場合は、兌換型NFT)で生成する。
【0109】
このマスターのメンテナンスについては、当該NFTの発行母体であり、交換責任を持つ自治体などが行うようにすることを考えた。
また、NFTの発行母体は、当該NFTを随時発行するが、マーケットメイカーと同様、買戻しに応じることができ、買い戻したものは再販することもでき、消却することも可能であるようにすることを考えた。
さらに、当該NFTについては、顧客間で板取引などにおいて売り買いを直截的に行うことができるようにすることを考えた。
【0110】
NFTの交換対象となるDAについては、特に、メジャーDAから加工されるDA、例えば、メジャーに原油があると、原油はワールドマーケットがあり、価格の妥当性が判断し易いが、その原油をベースに作成されるガソリン、軽油、重油、灯油などについては、重油の情報をベースに、ファイクターの価値調整が可能となるようにすることを考えた。
また、ガスなどの資源エネルギーも連動しやすい部分は、連動ファクターとして、ファクターの連動ウエイトを設定することができるようにすることを考えた。
【0111】
また、実際には、発行体がNFTを売る価格、買い戻す価格などを、通貨をベースとして提示するが、基本的にスプレッドが大きくなる。
そのスプレッドの範囲で、個人間などの売り買い注文を管理し、対当した場合に約定することなどが可能となるようにすることを考えた。
つまり、マスター情報などを統合的に共有し、概ねのNFTの価値を自動的に算出するが、実際の取引状況により、現状のプライシングに割高、割安の概念の修正を行うことができ、正常な価格形成を行うようにすることを考えた。
【0112】
さらに、本件発明者は、拡張概念として、以下の事項についても検討、考察を行った。
まず、ベースとなる注文板には、現物トークンの注文が入るようにすることを考えた。
この現物トークンの注文板には、信用(証拠金)取引として、レンディングによる玉のレバレッジ的注文も扱うことができるが、この注文は借りたトークンであるため現物の処理である。
【0113】
ところで、流動性に優れた取引として、CFDのような現物を用いない、売りと買いの契約が同数であれば成立する現物ではない、レバレッジをかけた差金決済取引がある。
このCFD取引の現資産は、現物トークンであることから、現物トークン板とCFD板が融合できれば、流動性としては優れた取引機能になるが、CFDが契約であることから、この2つの処理を基本的に統合することはできない。
【0114】
しかし、この2つの板に、マーケットメイカーの自己が介在することで、互いの板の流動性を自動的に調整することができると考えられる。
互いの板のクロスする注文の部分をマーケットメイカーの自己が代替し、2つの板のスリップをなくすため、統一化した板情報での処理として、そのクロッシングの売りと買いの組み合わせパターンを分ければ良いと考えられる。
そして、CFDや先物などの流動性を現物板に統合することで、より効率的な取引(決済)を誘導できると考えられる。
【0115】
本件発明者はこのような考察・検討を重ねた結果、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握でき、且つ、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができ、法定通貨を用いることなく清算が可能で、さらには、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことの可能なデジタル資産スワップシステムを導出するに至った。
【0116】
本発明のデジタル資産スワップシステムは、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデータを用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトもしくはサーバアプリケーションを備えて構築された、デジタル資産(デジタル通貨的なものやコモディティ資産(貴金属(ゴールド等)、CO排出権、エネルギー(原油や電力等))を資産原資としてトークン化したものや、デジタル証券的なものを含む広範囲のデジタル的権利:DA)の取引・清算においてデジタル資産(DA)の交換を行うデジタル資産スワップシステムであって、DA銘柄ごとに所定の取引(数量)単位での基準数量に対する所定の法定通貨を単位とした価格ごとの売り注文数量を示す売り板、買い注文数量を示す買い板からなる、所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)を作成する機能を有する基本処理板作成手段と、前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)を用いて、当該DA銘柄ごとの所定価格を基準価格とし、前記基本処理板(個別取引板)における各価格の前記基準価格に対する比率を第1の基準価格比率として算出する機能を有する第1の基準価格比率算出手段と、前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)における各価格、各売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出する機能を有する第1の売量・買量算出手段と、前記第1の基準価格比率算出手段により算出された前記第1の基準価格比率ごとに、前記第1の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第1の基準価格比率変換板を作成する機能を有する第1の基準価格比率変換板作成手段と、前記基本処理板作成手段により作成された第1のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報と、第2のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報とに基づいて、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板を作成する機能を有するDA銘柄直接交換板作成手段と、前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する複数DA銘柄統合板作成手段と、前記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率の順にソートする機能を有する基準価格比率ソート手段と、前記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能を有する板情報変更制御手段と、を有する。
【0117】
本発明のデジタル資産スワップシステムのように、基本処理板作成手段を有し、DA銘柄ごとに所定の取引(数量)単位での基準数量に対する所定の法定通貨を単位とした価格ごとの売り注文数量を示す売り板、買い注文数量を示す買い板からなる、所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)を作成する構成とすれば、法定通貨を介したDAの決済が可能となり、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握することが可能になる。
【0118】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、第1の売量・買量算出手段と、第1の基準価格比率算出手段と、第1の基準価格比率変換板作成手段と、を有し、前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)を用いて、当該DA銘柄ごとの所定価格を基準価格とし、前記基本処理板(個別取引板)における各価格の前記基準価格に対する比率を第1の基準価格比率として算出し、前記基本処理板作成手段により作成された前記基本処理板(個別取引板)における各価格、各売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出し、前記第1の基準価格比率算出手段により算出された前記第1の基準価格比率ごとに、前記第1の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第1の基準価格比率変換板を作成する構成とすれば、基準価格に対する割安、割高を見極めることができ、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握することが可能になる。
【0119】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、DA銘柄直接交換板作成手段を有し、前記基本処理板作成手段により作成された第1のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報と、第2のDA銘柄の所定の法定通貨建ての前記基本処理板(個別取引板)の板情報とに基づいて、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板を作成する構成とすれば、法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)をすることが可能になる。
【0120】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、複数DA銘柄統合板作成手段を有し、前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する構成とすれば、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことが可能になる。
【0121】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、基準価格比率ソート手段を有し、記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率の順にソートする構成とすれば、基準価格比率に基づく、基準価格に対する割安、割高を見極め易くすることが可能になる。
【0122】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、板情報変更制御手段を有し、記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する構成とすれば、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことが可能になる。
【0123】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記DA銘柄直接交換板作成手段は、第1のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)における売り注文数量と買い注文数量、価格の並びを、逆順となるように変換した第1のDA銘柄の板情報並び順変換板を作成する機能を有する板情報並び順変換板作成手段と、前記板情報並び順変換板作成手段により作成された前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板、第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)、の夫々における、価格ごとの前記売り量、前記買い量を前記第1の売量・買量算出手段を介して算出させる機能を有する第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段と、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板における最も高い買い注文の価格が、前記第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)における最も安い売り注文の価格と対応づくようにして、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板と、第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)とを対応づける機能を有する売買注文価格対応付け手段と、前記売買注文価格対応付け手段により対応づけられた、前記第1のDA銘柄の板情報並び順変換板と第2のDA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)とにおける夫々の価格を用いて、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率(所定の取引(数量)単位の基準数量(=1)の第2のDA銘柄で交換できる第1のDA銘柄の数量=第2のDA銘柄の価格/第1の銘柄の価格)を算出する機能を有するDA銘柄交換比率算出手段と、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における注文板データを作成する機能を有する第1の注文板データ作成手段と、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における注文板データを作成する機能を有する第2の注文板データ作成手段と、を有する。
このように構成すれば、法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)を可能とする構成を具現化することが可能になる。
【0124】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記第1の注文板データ作成手段は、前記第2のDA銘柄の前記売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=前記第2のDA銘柄の前記売り量/前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2のDA銘柄の売り量変換手段と、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額(前記第2のDA銘柄の売り量変換手段により算出された、前記第2のDA銘柄の前記売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の前記買い量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有する第1の取引可能金額抽出手段と、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第1の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段により算出された第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、前記第1の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第1の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×前記第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、を有する。
このように構成すれば、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)が可能となる構成を具現化することが可能になる。
【0125】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記第2の注文板データ作成手段は、前記第2の注文板データ作成手段は、前記第2のDA銘柄の前記買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=前記第2のDA銘柄の前記買い量/前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2のDA銘柄の買い量変換手段と、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額(前記第2のDA銘柄の買い量変換手段により算出された、前記第2のDA銘柄の前記買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の前記売り量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有する第2の取引可能金額抽出手段と、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第2の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×前記DA銘柄交換比率算出手段により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段により算出された第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、前記第2の取引可能金額抽出手段により抽出された前記第2の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×前記第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有する第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段と、を有する。
このように構成すれば、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)が可能となる構成を具現化することが可能になる。
【0126】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、1つのDA銘柄の取引において、板情報として、複数種類の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが存在する場合に、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせに変換(統一化)する機能を有する法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段と、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板を用いて、当該DA銘柄の所定価格を基準価格とし、前記変換(統一化)された板の各価格の前記基準価格に対する比率を第2の基準価格比率として算出する機能を有する第2の基準価格比率算出手段と、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板における価格、売注文数量を用いて、価格ごとの前記売り量、前記買い量を算出する機能を有する第2の売量・買量算出手段と、前記第2の基準価格比率算出手段により算出された前記第2の基準価格比率ごとに、前記第2の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第2の基準価格比率変換板を作成する機能を有する第2の基準価格比率変換板作成手段と、を有し、前記複数DA銘柄統合板作成手段は、前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板、及び/又は、前記第2の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第2の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する機能を有し、前記基準価格比率ソート手段は、前記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率の順にソートする機能を有し、前記板情報変更制御手段は、前記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板、前記第2の基準価格比率変換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能を有する。
【0127】
本発明のデジタル資産スワップシステムのように、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段を有し、1つのDA銘柄の取引において、板情報として、複数種類の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが存在する場合に、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせに変換(統一化)する構成とすれば、割安の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換することで有利な取引をすることが可能になる。
【0128】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、第2の基準価格比率算出手段と、第2の売量・買量算出手段と、第2の基準価格比率変換板作成手段と、を有し、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板を用いて、当該DA銘柄の所定価格を基準価格とし、前記変換(統一化)された板の各価格の前記基準価格に対する比率を第2の基準価格比率として算出し、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板における価格、売注文数量を用いて、価格ごとの前記売り量、前記買い量を算出し、前記第2の基準価格比率算出手段により算出された前記第2の基準価格比率ごとに、前記第2の売量・買量算出手段により算出された前記売り量、前記買い量を並べた第2の基準価格比率変換板を作成する構成とすれば、基準価格に対する割安、割高を見極めることができ、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握することが可能になる。
【0129】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、前記複数DA銘柄統合板作成手段が、前記第1の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第1の基準価格比率変換板、及び/又は、前記第2の基準価格比率変換板作成手段により作成された複数のDA銘柄についての前記第2の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する構成とすれば、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行う場合における各基準価格に対しての割高、割安を見極めることが可能となる。
【0130】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、前記基準価格比率ソート手段が、前記複数DA銘柄統合板作成手段により統合された前記複数DA銘柄統合板の板情報を、(前記売り量、前記買い量が0のものを除外して)前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率の順にソートする構成とすれば、基準価格比率に基づく、基準価格に対する割安、割高を見極め易くすることが可能になる。
【0131】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムのように、前記板情報変更制御手段が、前記複数DA銘柄統合板が前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板、前記第2の基準価格比率変換板と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する構成とすれば、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことが可能になる。
【0132】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段は、第1のDA銘柄の取引において、板情報として、法定通貨単位:ドル、取引(数量)単位:オンスとの組み合わせで作成されている基本処理板(個別取引板)の板情報を、法定通貨単位:円、取引(数量)単位:グラムに変換した板を作成する機能を有する。
このように構成すれば、割安の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換することで有利な取引をするための構成を具現化することが可能になる。
【0133】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記基準価格比率ソート手段は、ソートしたデータの個々の板情報において、元のDA銘柄を示すフラグ等の識別子を付加する機能を有する元DA銘柄識別子情報付加手段を有する。
このように構成すれば、各DA銘柄等を統一した統合板に示される個々の板情報の元のDA銘柄を認識することができ、元のDA銘柄についての他の銘柄との相対的な各基準価格に対しての割高、割安を見極めることが可能になる。
【0134】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記板情報変更制御手段は、前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、前記複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容を変更する機能を有する。
このように構成すれば、板情報内容変更のための再計算を常時行う場合に比べて処理の負荷を低減し、処理を効率化することが可能になる。
【0135】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記板情報変更制御手段は、前記基本処理板(個別取引板)、前記第1の基準価格比率変換板、前記第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板、前記法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板、前記第2の基準価格比率変換板における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、前記複数DA銘柄統合板においてソートされる板情報の内容を変更する機能を有する。
このように構成すれば、板情報内容変更のための再計算を常時行う場合に比べて処理の負荷を低減し、処理を効率化することが可能になる。
【0136】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記複数DA銘柄統合板作成手段は、為替や取引量が異なる同一DA銘柄の板情報については、同じ列に並べて、前記複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する。
このように構成すれば、為替や取引量が異なる同一DA銘柄についての各基準価格に対しての割高、割安を見極め易くすることが可能になる。
【0137】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記複数DA銘柄統合板作成手段は、異なるDA銘柄の板情報については、横の列にずらして、前記複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する。
このように構成すれば、DA銘柄ごとの板情報を視認し易くすることが可能になる。
【0138】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態になる場合は、当該複数DA銘柄統合板内で当該2者のDA同士を交換処理し、DAと通貨との交換処理が不要となるように制御する機能を有する統合板取引処理制御手段をさらに有する。
このように構成すれば、DAと通貨との交換処理を介在させることなく、2者間による異なるDA同士を直接交換することが可能になる。
【0139】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記統合板取引処理制御手段は、同一DA銘柄でクロス状態になる場合は、無条件でマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能を有する。
このように構成すれば、同一DA銘柄の流動性を確保することが可能になる。
【0140】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、各板の注文厚さに基づいて、売りと買いのいずれが優位かを判断する機能を有する流動性分析手段をさらに有し、前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により優位と判断された側の板を基準としてマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能を有する。
このように構成すれば、DA銘柄の流動性を確保し易くすることが可能になる。
【0141】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により売りが優位と判断された場合、買い板における前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率が1よりも高い買い注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の売りで約定させるように制御する機能を有する。
このように構成すれば、DA銘柄の流動性をより確保し易くすることが可能になる。
【0142】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記統合板取引処理制御手段は、前記流動性分析手段により買いが優位と判断された場合、売り板における前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率が1よりも低い売り注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の買いで約定させるように制御する機能を有する。
このように構成すれば、DA銘柄の流動性をより確保し易くすることが可能になる。
【0143】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記統合板取引処理制御手段は、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態にならない場合は、当該DA銘柄の前記基本処理板(個別取引板)に回送し、当該基本処理板(個別取引板)で各々の通貨との交換処理を行うように制御する機能を有する。
このように構成すれば、異なるDA銘柄についてクロス状態に応じた最良の方法で交換することが可能になる。
【0144】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の売りを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする前記基本処理板(個別取引板)の価格に基づき、当該DAの支払い数量を算出する機能を有するDA支払い数量算出手段と、前記DA支払い数量算出手段が算出した当該DAの支払い数量を当該取引者に提示する機能を有するDA支払い数量提示手段と、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の買いを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする前記基本処理板(個別取引板)の価格に基づき、当該DAの受け取り数量を算出する機能を有するDA受け取り数量算出手段と、前記DA受け取り数量算出手段が算出した当該DAの受け取り数量を当該取引者に提示する機能を有するDA受け取り数量提示手段と、前記DA支払い数量提示手段による当該DAの支払い数量の提示を受けた当該支払い側の取引者、前記DA受け取り数量提示手段による当該DAの受け取り数量の提示を受けた当該受け取り側の取引者からの決済指示を受け付ける機能を有する第1の決済指示受付手段と、をさらに有する。
このように構成すれば、1gや¥1、¥1未満の小さい取引(数量)単位でのDAの交換処理を行うことが可能になる。
【0145】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記複数DA銘柄統合板に、前記基本処理板(個別取引板)における夫々のDA銘柄の取引価格を付加した取引価格付き複数DA銘柄統合板を作成する機能を有する取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段をさらに有する。
このように構成すれば、元板(基本処理板(個別取引板))を用いることなく、決済価格が決定した場合の、互いのDAの交換数量を算出して、算数した数量分のDAの交換処理を行うことが可能になる。
【0146】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段により作成された前記取引価格付き複数DA銘柄統合板に基づき、決済価格が決定した場合における、取引者相互のDAの交換数量を算出する機能を有するDA交換数量算出手段と、前記DA交換数量算出手段により算出された当該DAの交換数量を当該取引者に提示する機能を有するDA交換数量提示手段と、前記DA交換数量提示手段により当該DAの交換数量を提示された当該取引者からのからの決済指示を受け付ける機能を有する第2の決済指示受付手段と、をさらに有する。
このように構成すれば、元板(基本処理板(個別取引板))を用いることなく、1gや¥1、¥1未満の小さい取引(数量)単位でのDAの交換処理を行うことが可能になる。
【0147】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記DA交換数量算出手段は、決済価格を当該DA銘柄の最良気配値で割った数値を当該DAの交換数量として算出する機能を有する。
このように構成すれば、DA交換数量算出手段による当該DAの交換数量の算出を具現化することが可能になる。
【0148】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、現物板とCFD(Contract For Difference:差金決済)板とを統合した現物・CFD統合板を作成する機能を有する現物・CFD統合板作成手段をさらに有する。
このように構成すれば、より広範囲にわたるDA銘柄について優位な物々交換を行うことが可能になる。
【0149】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、CFDの数量を、現物の取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有するCFD数量調整手段を有する。
このように構成すれば、CFDと現物との取引を行うことが可能になる。
【0150】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、現物の数量を、CFDの取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有する現物数量調整手段を有する。
このように構成すれば、CFDと現物との取引を行うことが可能になる。
【0151】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、取引(数量)単位が整合された、現物板の板情報とCFD(Contract For Difference:差金決済)板の板情報とを、一つの板情報として融合した現物・CFD融合板を作成する機能を有する現物・CFD融合板作成手段をさらに有する。
このように構成すれば、一つの板情報においてCFDと現物との取引を行うことが可能となる。
【0152】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、DA銘柄が、受け渡しが異なる決済手法として、RTGS、DVPを用いた取引を行うSTである場合、DVPの板情報をRTGSの板情報に統合したDVP・RTGS統合板を作成する機能を有するDVP・RTGS統合板作成手段と、DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整するように制御(基本的にRTGS側を主体として調整)する機能を有するDVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段と、をさらに有する。
このように構成すれば、受け渡しが異なる決済手法を用いたDA銘柄の取引であっても、当該DA同士を交換することが可能になる。
【0153】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、DA銘柄についての板情報の作成における基準となるDA(メジャーDA)銘柄に対して、基準通貨(円など)との取引を行うためのメジャーDA取引板を作成する機能を有するメジャーDA取引板作成手段と、前記メジャーDA取引板作成手段により作成された前記メジャーDA取引板での取引状況に基づいて、各DA銘柄の基準価格を算出、設定する機能を有する基準価格算出・設定手段と、をさらに有する。
このように構成すれば、基準となるDA銘柄の板情報に基づき、基準となるDA銘柄以外のDA銘柄の板情報を作成し易くすることが可能になる。
【0154】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における売り最良気配と買い最良気配の中間値段を前記基準価格として算出・設定する機能を有する。
このように構成すれば、基準となるDA銘柄の板情報における基準価格を具現化することが可能になる。
【0155】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段が無い場合は、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均を前記基準価格として算出・設定する機能を有する。
このように構成すれば、基準となるDA銘柄の板情報における基準価格を具現化することが可能になる。
【0156】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記基準価格算出・設定手段は、前記メジャーDA取引板における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均のいずれも無い場合は、直前に設定した基準価格、直前に約定した値段のうちの時間が近いほうの数値を前記基準価格として算出・設定する機能を有する。
このように構成すれば、基準となるDA銘柄の板情報における基準価格を具現化することが可能になる。
【0157】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、DA銘柄の流動性状態の変動率(ボラテリティ)を算出する機能を有する流動性状態変動率算出手段をさらに有する。
このように構成すれば、流動性状態変動率に基づき、DA銘柄の取引リスクを把握することが可能になる。
【0158】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における約定変動率を計算し、計算した約定変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有する。
このように構成すれば、当該DA銘柄についての流動性状態変動率の算出を具現化することが可能になる。
【0159】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回る場合において、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における売りの気配と買いの気配の両方の変動率を計算、計算した売りの気配と買いの気配の両方の変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有する。
このように構成すれば、当該DA銘柄についての流動性状態変動率の算出を具現化することが可能になる。
【0160】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、前記流動性状態変動率算出手段は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回り、かつ、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)を下回る場合、直前に算出した変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能を有する。
このように構成すれば、当該DA銘柄についての流動性状態変動率の算出を具現化することが可能になる。
【0161】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、前記板情報変更制御手段は、前記基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率を修正する機能を有する。
このように構成すれば、流動性状態変動率に基づき、DA銘柄の取引リスクに応じた基準価格に対する割安、割高を見極めながら、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を把握することが可能になる。
【0162】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、前記板情報変更制御手段は、前記基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率を修正する機能を有する。
このように構成すれば、流動性状態変動率に基づき、DA銘柄の取引リスクに応じた基準価格に対する割安、割高を見極めながら、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を把握することが可能になる。
【0163】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、DA銘柄ごとに前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた前記基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブルを有し、前記板情報変更制御手段は、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、前記基準価格比率修正テーブルに設定された当該DA銘柄において該当する前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減算値)に基づき、前記第1の基準価格比率を修正する機能を有する。
このように構成すれば、DA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づく、基準価格比率の修正をし易くすることが可能になる。
【0164】
また、本発明のデジタル資産スワップシステムにおいては、好ましくは、DA銘柄ごとに前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた前記基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブルを有し、前記板情報変更制御手段は、前記流動性状態変動率算出手段により算出されたDA銘柄ごとの前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、前記基準価格比率修正テーブルに設定された当該DA銘柄において該当する前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減産値)に基づき、前記第1の基準価格比率、及び/又は、前記第2の基準価格比率を修正する機能を有する。
このように構成すれば、DA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づく、基準価格比率の修正をし易くすることが可能になる。
【0165】
このため、本発明によれば、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握でき、且つ、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができ、法定通貨を用いることなく清算が可能で、さらには、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことの可能なデジタル資産スワップシステムが得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行うこととする。
【0166】
実施形態
図1は本発明の一実施形態に係るデジタル資産スワップシステムの全体構成を概略的に示す説明図である。
本実施形態のデジタル資産スワップシステム1は、ブロックチェーン等の分散技術における分散型台帳と、該分散型台帳に管理されるデータを用いた所定の処理を行うためのスマートコントラクトもしくはサーバアプリケーションを備えて構築され、例えば、図1に示すように、基本処理板作成手段11と、第1の基準価格比率算出手段12と、第1の売量・買量算出手段13と、第1の基準価格比率変換板作成手段14と、DA銘柄直接交換板作成手段15と、複数DA銘柄統合板作成手段16と、基準価格比率ソート手段17と、板情報変更制御手段18と、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19と、第2の基準価格比率算出手段20と、第2の売量・買量算出手段21と、第2の基準価格比率変換板作成手段22と、元DA銘柄識別子情報付加手段23と、統合板取引処理制御手段24と、流動性分析手段25と、DA支払い数量算出手段26と、DA支払い数量提示手段27と、DA受け取り数量算出手段28と、DA受け取り数量提示手段29と、第1の決済指示受付手段30と、取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31と、DA交換数量算出手段32と、DA交換数量提示手段33と、第2の決済指示受付手段34と、現物・CFD統合板作成手段35と、CFD数量調整手段36と、現物数量調整手段37と、現物・CFD融合板作成手段38と、DVP・RTGS統合板作成手段39と、DVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段40と、メジャーDA取引板作成手段41と、基準価格算出・設定手段42と、流動性状態変動率算出手段43と、を有して構成されている。
【0167】
基本処理板作成手段11
基本処理板作成手段11は、例えば、図2に示すように、DA銘柄ごとに所定の取引(数量)単位での基準数量に対する所定の法定通貨を単位とした価格ごとの売り注文数量を示す売り板、買い注文数量を示す買い板からなる、所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)100を作成する機能を有して構成されている。
【0168】
第1の基準価格比率算出手段12
第1の基準価格比率算出手段12は、例えば、図3に示すように、基本処理板作成手段11により作成された基本処理板(個別取引板)100を用いて、当該DA銘柄ごとの所定価格を基準価格とし、基本処理板(個別取引板)100における各価格の基準価格に対する比率を第1の基準価格比率として算出する機能を有して構成されている。
【0169】
第1の売量・買量算出手段13
第1の売量・買量算出手段13は、例えば、図4に示すように、基本処理板作成手段11により作成された基本処理板(個別取引板)100における各価格、各売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出する機能を有して構成されている。
【0170】
第1の基準価格比率変換板作成手段14
第1の基準価格比率変換板作成手段14は、例えば、図5に示すように、第1の基準価格比率算出手段12により算出された第1の基準価格比率ごとに、第1の売量・買量算出手段13により算出された売り量、買い量を並べた第1の基準価格比率変換板101を作成する機能を有して構成されている。
【0171】
DA銘柄直接交換板作成手段15
DA銘柄直接交換板作成手段15は、例えば、図6に示すように、板情報並び順変換板作成手段15-1と、第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段15-2と、売買注文価格対応付け手段15-3と、DA銘柄交換比率算出手段15-4と、第1の注文板データ作成手段15-5と、第2の注文板データ作成手段15-6と、を有し、例えば、図7に示すように、基本処理板作成手段11により作成された第1のDA銘柄の所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)100-1の板情報と、第2のDA銘柄の所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)100-2の板情報と、に基づいて、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102を作成する機能を有して構成されている。
【0172】
板情報並び順変換板作成手段15-1
板情報並び順変換板作成手段15-1は、例えば、図8に示すように、第1のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-1における売り注文数量と買い注文数量、価格の並びを、逆順となるように変換した第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104を作成する機能を有して構成されている。
【0173】
第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段15-2
第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段15-2は、例えば、図9に示すように、板情報並び順変換板作成手段15-1により作成された第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104、第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2、の夫々における、価格ごとの売り量、買い量を第1の売量・買量算出手段13を介して算出させる機能を有して構成されている。
【0174】
売買注文価格対応付け手段15-3
売買注文価格対応付け手段15-3は、例えば、図10に示すように、第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104における最も高い買い注文の価格が、第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2における最も安い売り注文の価格と対応づくようにして、第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104と、第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2とを対応づける機能を有して構成されている。
【0175】
DA銘柄交換比率算出手段15-4
DA銘柄交換比率算出手段15-4は、例えば、図11に示すように、売買注文価格対応付け手段15-3により対応づけられた、第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104と第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2とにおける夫々の価格を用いて、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率(所定の取引(数量)単位の基準数量(=1)の第2のDA銘柄で交換できる第1のDA銘柄の数量=第2のDA銘柄の価格/第1の銘柄の価格)を算出する機能を有して構成されている。
【0176】
第1の注文板データ作成手段15-5
第1の注文板データ作成手段15-5は、例えば、図12に示すように、第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1と、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2と、第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3と、第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-4とを有し、例えば、図13に示すように、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における注文板データを作成する機能を有して構成されている。
【0177】
第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1
第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1は、例えば、図14に示すように、第2のDA銘柄の売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=第2のDA銘柄の売り量/DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有して構成されている。
【0178】
第1の取引可能金額抽出手段15-5-2
第1の取引可能金額抽出手段15-5-2は、例えば、図15に示すように、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額(第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1により算出された、第2のDA銘柄の売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の買い量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有して構成されている。
【0179】
第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3
第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3は、例えば、図16に示すように、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2により抽出された第1の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有して構成されている。
【0180】
第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-4
第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-4は、例えば、図17に示すように、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3により算出された第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2により抽出された第1の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有して構成されている。
【0181】
第2の注文板データ作成手段15-6
第2の注文板データ作成手段15-6は、例えば、図18に示すように、第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1と、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2と、第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3と、第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-4とを有し、例えば、図19に示すように、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における注文板データを作成する機能を有して構成されている。
【0182】
第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1
第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1は、例えば、図20に示すように、第2のDA銘柄の買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=第2のDA銘柄の買い量/DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有して構成されている。
【0183】
第2の取引可能金額抽出手段15-6-2
第2の取引可能金額抽出手段15-6-2は、例えば、図21に示すように、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額(第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1により算出された、第2のDA銘柄の買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の売り量、のうちの小さいほうの量)を抽出する機能を有して構成されている。
【0184】
第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3
第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3は、例えば、図22に示すように、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2により抽出された第2の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有して構成されている。
【0185】
第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-4
第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-4は、例えば、図23に示すように、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3により算出された第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2により抽出された第2の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する機能を有して構成されている。
【0186】
複数DA銘柄統合板作成手段16
複数DA銘柄統合板作成手段16は、例えば、図24に示すように、次の機能を有して構成されている。
(16-1)第1の基準価格比率変換板作成手段14により作成された複数のDA銘柄についての第1の基準価格比率変換板101を統合した複数DA銘柄統合板103を作成する機能。
(16-2)第1の基準価格比率変換板作成手段14により作成された複数のDA銘柄についての第1の基準価格比率変換板101、及び/又は、第2の基準価格比率変換板作成手段22により作成された複数のDA銘柄についての第2の基準価格比率変換板106を統合した複数DA銘柄統合板103を作成する機能。
(16-3)為替や取引量が異なる同一DA銘柄の板情報については、同じ列に並べて、複数DA銘柄統合板103を作成する機能。
(16-4)異なるDA銘柄の板情報については、横の列にずらして、複数DA銘柄統合板103を作成する機能。
【0187】
基準価格比率ソート手段17
基準価格比率ソート手段17は、例えば、図25に示すように、次の機能を有して構成されている。
(17-1)複数DA銘柄統合板作成手段16により統合された複数DA銘柄統合板103の板情報を、(売り量、買い量が0のものを除外して)第1の基準価格比率の順にソートする機能。
(17-2)複数DA銘柄統合板作成手段16により統合された複数DA銘柄統合板103の板情報を、(売り量、買い量が0のものを除外して)第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率の順にソートする機能。
【0188】
板情報変更制御手段18
板情報変更制御手段18は、例えば、図26図29に示すように、次の機能を有して構成されている。
(18-1)複数DA銘柄統合板103が基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能。
(18-2)複数DA銘柄統合板103が基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105、第2の基準価格比率変換板106と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する機能。
(18-3)基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102、における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容を変更する機能。
(18-4)基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105、第2の基準価格比率変換板106における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容を変更する機能。
(18-5)各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率を修正する機能。
(18-6)各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する機能。
(18-7)流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、基準価格比率修正テーブル112に設定された当該DA銘柄において該当する流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減算値)に基づき、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率を修正する機能。
(18-8)流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、基準価格比率修正テーブル112に設定された当該DA銘柄において該当する流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減産値)に基づき、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する機能。
【0189】
法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19
法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19は、例えば、図30に示すように、1つのDA銘柄の取引において、板情報として、複数種類の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが存在する場合に、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせに変換(統一化)する機能を有して構成されている。
【0190】
第2の基準価格比率算出手段20
第2の基準価格比率算出手段20は、例えば、図31に示すように、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105を用いて、当該DA銘柄の所定価格を基準価格とし、変換(統一化)された板105の各価格の基準価格に対する比率を第2の基準価格比率として算出する機能を有して構成されている。
【0191】
第2の売量・買量算出手段21
第2の売量・買量算出手段21は、例えば、図32に示すように、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105における価格、売注文数量を用いて、価格ごとの売り量、買い量を算出する機能を有して構成されている。
【0192】
第2の基準価格比率変換板作成手段22
第2の基準価格比率変換板作成手段22は、例えば、図33に示すように、第2の基準価格比率算出手段20により算出された第2の基準価格比率ごとに、第2の売量・買量算出手段21により算出された売り量、買い量を並べた第2の基準価格比率変換板106を作成する機能を有して構成されている。
【0193】
元DA銘柄識別子情報付加手段23
元DA銘柄識別子情報付加手段23は、例えば、図34に示すように、基準価格比率ソート手段17によりソートされたデータの個々の板情報において、元のDA銘柄を示すフラグ等の識別子を付加する機能を有して構成されている。
【0194】
統合板取引処理制御手段24
統合板取引処理制御手段24は、例えば、図35図37に示すように、次の機能を有して構成されている。
(24-1)2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板103においてクロス状態になる場合は、当該複数DA銘柄統合板内で当該2者のDA同士を交換処理し、DAと通貨との交換処理が不要となるように制御する機能。
(24-2)同一DA銘柄でクロス状態になる場合は、無条件でマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能。
(24-3)流動性分析手段25により優位と判断された側の板を基準としてマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する機能。
(24-4)流動性分析手段25により売りが優位と判断された場合、買い板における第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも高い買い注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の売りで約定させるように制御する機能。
(24-5)流動性分析手段25により買いが優位と判断された場合、売り板における第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも低い売り注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の買いで約定させるように制御する機能。
(24-6)2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態にならない場合は、当該DA銘柄の基本処理板(個別取引板)に回送し、当該基本処理板(個別取引板)で各々の通貨との交換処理を行うように制御する機能。
【0195】
流動性分析手段25
流動性分析手段25は、例えば、図38に示すように、各板の注文厚さに基づいて、売りと買いのいずれが優位かを判断する機能を有して構成されている。
【0196】
DA支払い数量算出手段26
DA支払い数量算出手段26は、例えば、図39に示すように、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の売りを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする基本処理板(個別取引板)100の価格に基づき、当該DAの支払い数量を算出する機能を有して構成されている。
【0197】
DA支払い数量提示手段27
DA支払い数量提示手段27は、例えば、図40に示すように、DA支払い数量算出手段28が算出した当該DAの支払い数量を当該取引者に提示する機能を有して構成されている。
【0198】
DA受け取り数量算出手段28
DA受け取り数量算出手段28は、例えば、図41に示すように、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の買いを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする基本処理板(個別取引板)100の価格に基づき、当該DAの受け取り数量を算出する機能を有して構成されている。
【0199】
DA受け取り数量提示手段29
DA受け取り数量提示手段29は、例えば、図42に示すように、DA受け取り数量算出手段28が算出した当該DAの受け取り数量を当該取引者に提示する機能を有して構成されている。
【0200】
第1の決済指示受付手段30
第1の決済指示受付手段30は、例えば、図43に示すように、DA支払い数量提示手段27による当該DAの支払い数量の提示を受けた当該支払い側の取引者、DA受け取り数量提示手段29による当該DAの受け取り数量の提示を受けた当該受け取り側の取引者からの決済指示を受け付ける機能を有して構成されている。
【0201】
取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31
取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31は、例えば、図44に示すように、複数DA銘柄統合板103に、基本処理板(個別取引板)100における夫々のDA銘柄の取引価格を付加した取引価格付き複数DA銘柄統合板107を作成する機能を有して構成されている。
【0202】
DA交換数量算出手段32
DA交換数量算出手段32は、例えば、図45に示すように、次の機能を有して構成されている。
(32-1)取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31により作成された取引価格付き複数DA銘柄統合板107に基づき、決済価格が決定した場合における、取引者相互のDAの交換数量を算出する機能。
(32-2)決済価格を当該DA銘柄の最良気配値で割った数値を当該DAの交換数量として算出する機能。
【0203】
DA交換数量提示手段33
DA交換数量提示手段33は、例えば、図46に示すように、DA交換数量算出手段32により算出された当該DAの交換数量を当該取引者に提示する機能を有して構成されている。
【0204】
第2の決済指示受付手段34
第2の決済指示受付手段34は、例えば、図47に示すように、DA交換数量提示手段33により当該DAの交換数量を提示された当該取引者からのからの決済指示を受け付ける機能を有して構成されている。
【0205】
現物・CFD統合板作成手段35
現物・CFD統合板作成手段35は、例えば、図48に示すように、現物板とCFD(Contract For Difference:差金決済)板とを統合した現物・CFD統合板108を作成する機能を有して構成されている。
【0206】
CFD数量調整手段36
CFD数量調整手段36は、例えば、図49に示すように、CFDの数量を、現物の取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有して構成されている。
【0207】
現物数量調整手段37
現物数量調整手段37は、例えば、図50に示すように、現物の数量を、CFDの取引(数量)単位に整合した数量に調整する機能を有して構成されている。
【0208】
現物・CFD融合板作成手段38
現物・CFD融合板作成手段38は、例えば、図51に示すように、取引(数量)単位が整合された、現物板の板情報とCFD(Contract For Difference:差金決済)板の板情報とを、一つの板情報として融合した現物・CFD融合板109を作成する機能を有して構成されている。
【0209】
DVP・RTGS統合板作成手段39
DVP・RTGS統合板作成手段39は、例えば、図52に示すように、DA銘柄が、受け渡しが異なる決済手法として、RTGS、DVPを用いた取引を行うSTである場合、DVPの板情報をRTGSの板情報に統合したDVP・RTGS統合板110を作成する機能を有して構成されている。
【0210】
DVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段40
DVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段40は、例えば、図53に示すように、DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整するように制御(基本的にRTGS側を主体として調整)する機能を有して構成されている。
【0211】
メジャーDA取引板作成手段41
メジャーDA取引板作成手段41は、例えば、図54に示すように、DA銘柄についての板情報の作成における基準となるDA(メジャーDA)銘柄に対して、基準通貨(円など)との取引を行うためのメジャーDA取引板111を作成する機能を有して構成されている。
【0212】
基準価格算出・設定手段42
基準価格算出・設定手段42は、例えば、図55に示すように、次の機能を有して構成されている。
(42-1)メジャーDA取引板作成手段41により作成されたメジャーDA取引板111での取引状況に基づいて、各DA銘柄の基準価格を算出、設定する機能。
(42-2)メジャーDA取引板111における売り最良気配と買い最良気配の中間値段を基準価格として算出・設定する機能。
(42-3)メジャーDA取引板111における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段が無い場合は、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均を基準価格として算出・設定する機能。
(42-4)メジャーDA取引板111における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均のいずれも無い場合は、直前に設定した基準価格、直前に約定した値段のうちの時間が近いほうの数値を基準価格として算出・設定する機能。
【0213】
流動性状態変動率算出手段43
流動性状態変動率算出手段43は、例えば、図56に示すように、次の機能を有して構成されている。
(43-1)DA銘柄の流動性状態の変動率(ボラテリティ)を算出する機能。
(43-2)当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における約定変動率を計算し、計算した約定変動率を流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能。
(43-3)当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回る場合において、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における売りの気配と買いの気配の両方の変動率を計算、計算した売りの気配と買いの気配の両方の変動率を流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能。
(43-4)当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回り、かつ、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)を下回る場合、直前に算出した変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する機能。
【0214】
基準価格比率修正テーブル112
基準価格比率修正テーブル112は、DA銘柄ごとに流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定されて構成されている。
【0215】
その他、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1は、DA銘柄の発注手段(図示省略)、約定したDA同士の清算手段(図示省略)等、DAの取引・清算のために必要な基本的な処理手段を備えている。また、DA銘柄の発注手段(図示省略)は、発注の際に、支払対象のDA、受け取り対象のDAを指定することができるように構成されている。
【0216】
本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた処理の流れ
このように構成された本実施形態のデジタル資産スワップシステム1における処理の流れを、図面を用いて説明する。
【0217】
(処理の流れ-その1)DA銘柄ごとの基本処理板(個別取引板)作成処理の流れ(図57
図57は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、DA銘柄ごとの基本処理板(個別取引板)作成処理の流れの一例を示す説明図である。
【0218】
基本処理板作成手段11は、DA銘柄ごとに所定の取引(数量)単位での基準数量(=1)に対する所定の法定通貨を単位とした価格ごとの売り注文数量を示す売り板、買い注文数量を示す買い板からなる、所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)100を作成する。
【0219】
基本処理板作成手段11により作成されたDA銘柄ごとの基本処理板(個別取引板)の具体例を図58図59に夫々に示す。本例では、第1のDA銘柄「ゴールド」、第2のDA銘柄「プラチナ」とする。また、所定の法定通貨を¥とする。
【0220】
(処理の流れ-その2)第1の基準価格比率変換板作成処理の流れ(図60
図60は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、第1の基準価格比率変換板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
所定価格を基準価格とし、基準価格が基準値=1となるように、基本処理板の各価格の基準価格に対する比率を算出した板を作成する処理の流れを説明する。このような板を作成すると、基準価格に対する割安、割高を見極めることが可能となる。
【0221】
第1の基準価格比率算出手段12は、基本処理板作成手段11により作成された基本処理板(個別取引板)100を用いて、当該DA銘柄ごとの所定価格を基準価格とし、基準価格が基準値=1となるようにして、基本処理板(個別取引板)100における各価格の基準価格に対する比率を第1の基準価格比率として算出する。
第1の売量・買量算出手段13は、基本処理板作成手段11により作成された基本処理板(個別取引板)100における各価格、各売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出する。
第1の基準価格比率変換板作成手段14は、第1の基準価格比率算出手段12により算出された第1の基準価格比率ごとに、第1の売量・買量算出手段13により算出された売り量、買い量を並べた第1の基準価格比率変換板101を作成する。
【0222】
第1の基準価格比率算出手段12、第1の売量・買量算出手段13、第1の基準価格比率変換板作成手段14により作成された第1の基準価格比率変換板101の具体例を図61図62に夫々示す。本例では、第1のDA銘柄「ゴールド」1gの基準価格が8090円、第2のDA銘柄「プラチナ」1gの基準価格が4025円であるものとする。また、図61図62では、「買い量」、「売り量」は、100万円を単位として示している。
【0223】
(処理の流れ-その3)DA銘柄直接交換板作成処理の流れ(図63
図63は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、DA銘柄直接交換板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
直接交換板(2銘柄の統合板)を作成する処理の流れを説明する。このような板を作成すると、法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)が可能となる。
【0224】
DA銘柄直接交換板作成手段15は、基本処理板作成手段11により作成された第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の所定の法定通貨(本例では、「¥」)建ての基本処理板(個別取引板)100-1の板情報と、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の所定の法定通貨(本例では、「¥」)建ての基本処理板(個別取引板)100-2の板情報とに基づいて、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)と第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)との直接交換板102を作成する。そして、作成した第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)と第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)との直接交換板102に、直接的な交換のための注文を入れることができるようにする。
詳しくは、板情報並び順変換板作成手段15-1は、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の基本処理板(個別取引板)100-1における売り注文数量と買い注文数量、価格の並びを、逆順となるように変換した第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104を作成する。
第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段15-2は、板情報並び順変換板作成手段15-1により作成された第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の板情報並び順変換板104、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の基本処理板(個別取引板)100-2、の夫々における、価格ごとの売り量(=「価格」×「売り注文数量」)、買い量(=「価格」×「買い注文数量」)を第1の売量・買量算出手段13を介して算出させる。
売買注文価格対応付け手段15-3は、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の板情報並び順変換板104における最も高い買い注文の価格(本例では、8084円)が、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の基本処理板(個別取引板)100-2における最も安い売り注文の価格(本例では、4020円)と対応づくようにして、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の板情報並び順変換板104と、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の基本処理板(個別取引板)100-2とを対応づける。
DA銘柄交換比率算出手段15-4は、売買注文価格対応付け手段15-3により対応づけられた、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の板情報並び順変換板104と第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の基本処理板(個別取引板)100-2とにおける夫々の価格を用いて、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率(所定の取引(数量)単位の基準数量(=1)の第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)で交換できる第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の数量=第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の価格/第1の銘柄(本例では、「ゴールド」)の価格)を算出する。
第1の注文板データ作成手段15-5は、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を売り、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を買いとする第1の取引における注文板データを作成する。
第2の注文板データ作成手段15-6は、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を買い、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を売りとする第2の取引における注文板データを作成する。
【0225】
(処理の流れ-その3-1)第1の取引における注文板データ作成処理の流れ(図64
図64は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を「売り」、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を「買い」とする第1の取引における注文板データ作成処理の流れの一例を示す説明図である。
第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を「売り」、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を「買い」とする第1の取引における注文板データ作成処理では、第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の売り量を第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を基準として変換した量(=第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の売り量/DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率)を算出する。
第1の取引可能金額抽出手段15-5-2は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を売り、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額(第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1により算出された、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の売り量を第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を基準として変換した量と、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の買い量、のうちの小さいほうの量)を抽出する。
第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を売り、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を買いとする第1の取引における、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の渡し量の上限値(第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を売り、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2により抽出された第1の取引可能金額/第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の価格×DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率)を算出する。
第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-4は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を売り、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を買いとする第1の取引における、第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3により算出された第1の取引での第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の渡し量の上限値(第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」を売り、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2により抽出された第1の取引可能金額/第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の価格×第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率)を算出する。
【0226】
(処理の流れ-その3-2)第2の取引における注文板データ作成処理の流れ(図65
図65は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を「買い」、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を「売り」とする第2の取引における注文板データ作成処理の流れの一例を示す説明図である。
第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を「買い」、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を「売り」とする第2の取引における注文板データ作成処理では、第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の買い量を第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を基準として変換した量(=第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の買い量/DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率)を算出する。
第2の取引可能金額抽出手段15-6-2は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を買い、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額(第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1により算出された、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の買い量を第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の売り量(本例では、「ゴールド」)、のうちの小さいほうの量)を抽出する。
第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を買い、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を売りとする第2の取引における、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の渡し量の上限値(第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を買い、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2により抽出された第2の取引可能金額/第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の価格×DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率)を算出する。
第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-4は、第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を買い、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を売りとする第2の取引における、第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3により算出された第2の取引での第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の渡し量の上限値(第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)を買い、第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2により抽出された第2の取引可能金額/第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の価格×第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率)を算出する。
【0227】
板情報並び順変換板作成手段15-1により作成された第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104の具体例を図66に、第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段15-2、売買注文価格対応付け手段15-3、DA銘柄交換比率算出手段15-4、第1の注文板データ作成手段15-5、第2の注文板データ作成手段15-6、第1の注文板データ作成手段15-5により作成された第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102を図67図68に夫々示す。なお、図67図68では、「買い量」、「売り量」は、1円を単位として示している。なお、本例では、図示の便宜上、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102を図67図68の2つの図に分けて示している。
【0228】
(処理の流れ-その4)法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化処理、第2の基準価格比率変換板作成処理の流れ(図69
図69は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化処理、第2の基準価格比率変換板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
1つのDA銘柄の取引において、板情報として、複数種類の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」が存在する場合に、所定の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換(統一化)した板を作成する処理の流れを説明する。このような板を作成すると、割安の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換することで有利な取引をすることが可能となる。
【0229】
法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19は、1つのDA銘柄(本例では、「ゴールド」)の取引において、板情報として、複数種類の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ(本例では「法定通貨単位:ドル、取引(数量)単位:オンス」との組み合わせと「法定通貨単位:円、取引(数量)単位:グラム」との組み合わせ)が存在する場合に、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ(本例では「法定通貨単位:円、取引(数量)単位:グラム」との組み合わせ)に例えば次のように変換(統一化)する。
・法定通貨単位:円を基準とする価格=法定通貨単位:ドルを基準とする価格×(為替レート:本例では、150円/1ドル)/(31.1g/1オンス)
・売り注文数量(取引(数量)単位:グラム)=売り注文数量(取引(数量)単位:オンス)×(31.1g/1オンス)
・買い注文数量(取引(数量)単位:グラム)=買い注文数量(取引(数量)単位:オンス)×(31.1g/1オンス)
第2の基準価格比率算出手段20は、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105を用いて、当該DA銘柄(本例では、「ゴールド」)の所定価格(本例では、8090円)を基準価格とし、基準価格が基準値=1となるように、変換(統一化)された板105の各価格の基準価格に対する比率を第2の基準価格比率として算出する。
第2の売量・買量算出手段21は、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105における価格、売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出する。
第2の基準価格比率変換板作成手段22は、第2の基準価格比率算出手段20により算出された第2の基準価格比率ごとに、第2の売量・買量算出手段21により算出された売り量、買い量を並べた第2の基準価格比率変換板106を作成する。
【0230】
1つの銘柄「ゴールド」について、「法定通貨単位:ドル、取引(数量)単位:オンス」を組み合わせた板の具体例を図70に、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ(本例では「法定通貨単位:円、取引(数量)単位:グラム」との組み合わせ)に変換(統一化)された板105の具体例を図71に、第2の基準価格比率算出手段20、第2の売量・買量算出手段21、第2の基準価格比率変換板作成手段22により作成された第2の基準価格比率変換板106の具体例を図72に夫々示す。本例では、第1のDA銘柄「ゴールド」1gの基準価格が8090円であるものとしている。また、図72では、「買い量」、「売り量」は、100万円を単位として示している。
【0231】
(処理の流れ-その5)複数DA銘柄統合板作成処理の流れ(図73
図73は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、複数DA銘柄統合板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
DA銘柄ごとの所定価格を基準価格(基準値=1)とし、基本処理板の各価格の基準価格に対する比率(第1の基準価格比率)を算出し、第1の基準価格比率ごとに、算出された売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を並べた第1の基準価格比率変換板101(例えば、図61図62)及び所定のDA銘柄において板情報として、複数種類の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」が存在する場合に、所定の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換(統一化)し、かつ、所定価格を基準価格(基準値=1)とし、変換(統一化)された板の各価格の基準価格に対する比率(第2の基準価格比率)を算出し、算出された第2の基準価格比率ごとに、売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を並べた第2の基準価格比率変換板106(例えば、図72)を用いて、各DA銘柄等を統一した統合板(基準価格ベースのソート板)を作成する処理の流れを説明する。このような板を作成すると、各基準価格に対しての割高、割安を見極めることが可能となる。この複数DA銘柄統合版は、直接交換板102(例えば、図67図68)のような直接的な物々交換をするためよりも、決済において基準通貨を表示させることで、物々決済を行う場合の変換率を表示するためのものである。
なお、本例では、「ゴールド」で支払い、「プラチナ」で受け取ることを想定したものとする。なお、各々の銘柄の板の基準価格が変わる場合、その銘柄の板を再計算させるようにする。同様にして、電力系やJJなどのエネルギー系、その他のDA銘柄を加えていくことができる。
【0232】
複数DA銘柄統合板作成手段16は、各DA銘柄等を統一した統合板(基準価格ベースのソート板)103を作成する。
詳しくは、第1の基準価格比率変換板作成手段14により作成された複数のDA銘柄(本例では、「ゴールド」、「プラチナ」)についての第1の基準価格比率変換板101(図61図62)の板情報(図74図75)と、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により所定の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換(統一化)され、第2の基準価格比率変換板作成手段22により作成された第2の基準価格比率変換板106の板情報(図76)とを統合し、統合した板情報を、(「売り量」、「買い量」が0のものを除外して)(基準価格を用いて算出した)基準価格比率(第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率)の順にソートする(図77図78)。なお、本例では、図示の便宜上、各DA銘柄等を統一した統合板(基準価格ベースのソート板)103を図77図78の2つの図に分けて示している。
元DA銘柄識別子情報付加手段23は、ソートしたデータの個々の板情報に、元のDA銘柄を示すフラグ等の識別子(不図示)を付加する。
板情報変更制御手段18は、複数DA銘柄統合板(基準価格ベースのソート板)103(図77図78)が、基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101(図58図62)や、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102(図67図68)、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105(図71)、第2の基準価格比率変換板106(図72)と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板(基準価格ベースのソート板)103においてソートされる板情報の内容も即時に変更されるように制御する。
板情報変更制御手段18は、上記基準価格や板情報の内容が変更された後、例えば0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容を変更するのが好ましい。常時、変更処理を行うよりも効率的であるからである。
【0233】
なお、複数DA銘柄統合板作成手段16は、為替や取引量が異なる場合であっても、同一DA銘柄であれば、板情報は同じ列に並べ、異なるDA銘柄の板情報は、横の列にずらして、複数DA銘柄統合板103を作成する。
【0234】
(処理の流れ-その6)複数DA銘柄統合板での取引処理の流れ(図79
図79は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、複数DA銘柄統合板での取引処理の流れの一例を示す説明図である。
統合板取引処理制御手段24は、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板(基準価格ベースのソート板)103においてクロス状態になる場合は、当該複数DA銘柄統合板(基準価格ベースのソート板)103内で当該2者のDA同士を交換処理し、DAと通貨との交換処理が不要となるように制御する。
また、統合板取引処理制御手段24は、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板においてクロス状態にならない場合は、基本処理板(個別取引板)に回送し、そこで各々の通貨との交換処理を行うように制御する。
また、統合板取引処理制御手段24は、同一DA銘柄でクロス状態になる場合は、無条件でマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する。
図77図78の例では、領域1、領域2において、銘柄ゴールドの売り注文の基準価格比率よりも高い基準価格比率の銘柄ゴールドの買い注文があり、「同一DA銘柄(ゴールド)」でクロッシングしているので、統合板取引処理制御手段24が、無条件でマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する。
なお、図77図78の例では、領域3においては、銘柄プラチナの売り注文の基準価格比率よりも高い基準価格比率の銘柄ゴールドの買い注文があり、「異銘柄(ゴールド/プラチナ)」でクロッシングしているが、基準価格が変わるとクロス状態が変わるので、このクロス状態になっている領域の銘柄をマーケットメイカーが自己で約定させてもよいが、放置しても良い。
【0235】
このクロス状態になっている領域の銘柄を約定させる処理は、基本的に各板における、流動性分析=1~3段階の各板(第1段階:基本処理板(個別取引板)、第2段階:直接交換板、第3段階:各DA銘柄を統一した統合板)の注文厚さに基づき、売り買いのいずれが優位か判断し、優位側の板を基準としてマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する。
詳しくは、流動性分析手段25は、各板の注文厚さに基づいて、売りと買いのいずれが優位かを判断する。
そして、統合板取引処理制御手段24は、流動性分析手段25により優位と判断された側の板を基準としてマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する。
より詳しくは、統合板取引処理制御手段24は、流動性分析手段25により売りが優位と判断された場合、買い板における第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも高い買い注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の売りで約定させるように制御する。
また、統合板取引処理制御手段24は、流動性分析手段25により買いが優位と判断された場合、売り板における第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも低い売り注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の買いで約定させるように制御する。
【0236】
流動性分析の結果より、売りが強い場合は、該当の相場が下がる可能性を意味している。そこで、統合板取引処理制御手段24は、買い板における基準価格比率が1よりも高い買い注文に対し、売りにより先に約定させるために、マーケットメイカーの自己玉の売りで買いを食うように制御する。また、買いが強い場合は、該当の相場が上がる可能性を意味している。そこで、統合板取引処理制御手段24は、売り板における基準価格比率が1よりも低い売り注文に対し、買いにより先に約定させるために、マーケットメイカーの自己の買いで売りと約定させるように制御する。
【0237】
なお、顧客同士の銘柄間交換を行う場合に、はみ出した少数点以下の部分はマーケットメイカーの自己が相手となり保有/調整する。
また、当該処理の場合、小数点部分でなく整数部分についても、マーケットメイカーの自己ポジションの保有指定量の範囲で実数量の流動性の調整を行えるようにする。
つまり、図77図78の例における、領域1、領域2はマーケットメイカーが裁定的に無条件で介在し、領域3はポジション機能により、マーケットメイカーが自己の余っている部分を償却的に使う、もしくは相場の方向性の調整として、マーケットメイカーが自己のポジション調整に使うなどマーケットメイカーの自己が流動性を調整しても良く、次に顧客2者が物々交換を行うときに、マーケットメイカーの自己が介在して調整する。
プラチナとゴールドの直截的交換などの板の場合は、流動性の高いほうの板を基準にする。
実際の現物市場では、例えば、ゴールドの取引(数量)単位は1kg単位などであるが、デジタル資産の場合は1gや¥1、¥1未満の小さい取引(数量)単位での取引等が可能である。
実際に、通貨やDAは小数点以下で管理する。
【0238】
(処理の流れ-その7)複数DA銘柄統合板のベースとなる板情報を用いたDAの決済数量算出処理の流れ(図80
ここで、各DA銘柄等を統一した統合板(基準価格ベースのソート板)のベースとなる板情報を用いたDAの決済数量算出処理について、説明する。
図80は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、複数DA銘柄統合板のベースとなる板情報を用いたDAの決済数量算出処理の一例を示す説明図である。
複数DA銘柄統合板(基準価格ベースのソート板)103には、図77図78に示すように、売買する銘柄の数量(売り量、買い量)の列があり、売り数量の列と買い数量の列との間に1をベースにした基準価格比率の列がある。その基準価格比率に連動する、元板(基本処理板(個別取引板)100)の価格がリンクしている。
つまり、その元板(基本処理板(個別取引板)100)の価格がベースになるので、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の売りを所望する場合における所定の決済金額にして、その元板(基本処理板(個別取引板)100)の価格に基づき、当該DAの支払い数量を算出する。
即ち、DA支払い数量算出手段26は、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の売りを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする基本処理板(個別取引板)100の価格に基づき、当該DAの支払い数量を算出する。
また、DA支払い数量提示手段27は、DA支払い数量算出手段28が算出した当該DAの支払い数量を当該取引者に提示する。
また、DA受け取り数量算出手段28は、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の買いを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする基本処理板(個別取引板)100の価格に基づき、当該DAの受け取り数量を算出する。
また、DA受け取り数量提示手段29は、DA受け取り数量算出手段28が算出した当該DAの受け取り数量を当該取引者に提示する。
また、第1の決済指示受付手段30は、DA支払い数量提示手段27による当該DAの支払い数量の提示を受けた当該支払い側の取引者、DA受け取り数量提示手段29による当該DAの受け取り数量の提示を受けた当該受け取り側の取引者からの決済指示を受け付ける。
【0239】
例えば、500円の決済があり、取引者Aがゴールドでの支払いを所望する場合において、アービトラージ(裁定取引)エリアの食い合いを消去した残りに対して基準価格比率0.99981に買いがあり、それに対当するとした場合に、その指標に対するゴールドの価格は8088(=8090×0.99981)円になる。
ゴールドの価格に対する決済金額の割合は、
500/8088=0.0618
つまり、ゴールドトークンを0.0618(例えば切り上げが手数料)渡せという情報(ここでは、ゴールドの処分量)を表示し、その表示にしたがった量を渡すようにする。
【0240】
また、取引者Bがプラチナでの受け取りを所望し、アービトラージ(裁定取引)エリアの食い合いを消去した残りで、基準価格比率0.99925に売りがあり、ベースとなる元板(基本処理板(個別取引板)100)で4022円の売り価格がリンクしている。
プラチナの価格に対する決済金額の割合は、
500/4022=0.124316261
つまり、プラチナトークンを0.1243(例えば切り捨てが手数料)受け取れるという情報(ここでは、プラチナの受け取り量)を表示するようにし、その表示にしたがった量を受け取れるようにする。
上記の場合、基準価格比率0.99981の買いと、基準価格比率0.99925の売りは「クロス」しているので、マーケットメイカーの自己が介在して、両方のトークンの受け渡しを行うことで、DAの直接交換が実現する。
【0241】
また、基準価格比率0.99981でのゴールドの買いに対し、プラチナの売りが基準価格比率1.00025まで無い場合は、基準価格比率の売りと買いが、このタイミングではクロスしていないため、ゴールドとプラチナの各々の板(基本処理板(個別取引板)100)で通貨変換(つまり、ゴールドを売ってから、そのお金でプラチナを買う)することになる。
基準価格比率1.00025に該当するプラチナの価格は4026であり、受け取る数量は、
500/4026=0.124192747
差額で -0.000124だけ減る。
なお、基準価格や板状況はリアルタイムに変わるため、当該決済を行う場合に、コミットできる時間は1秒などと設定することが可能となるようにする。
決済にコミットできる時間の設定を長くするほど、追加するスプレッドは大きくなるようにする。
また、相場状況や、銘柄の流動性状況から、自動的にスプレッド値は変更されるようにする。
決済にコミットできる時間を超えると、レート(条件)が変わる。このため、顧客が500円で決済指示を出した瞬間に、当該決済処理をシステムが自動的に行うようにする。
【0242】
(処理の流れ-その8)取引価格付き複数DA銘柄統合板作成処理及び取引価格付き複数DA銘柄統合板を用いたDAの交換数量算出処理の流れ(図81
図81は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、取引価格付き複数DA銘柄統合板作成処理及び取引価格付き複数DA銘柄統合板を用いたDAの交換数量算出処理の一例を示す説明図である。
取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31は、複数DA銘柄統合板103に、基本処理板(個別取引板)100における夫々のDA銘柄の取引価格を付加した取引価格付き複数DA銘柄統合板107(図82図83)を作成する。なお、本例では、図示の便宜上、取引価格付き複数DA銘柄統合板107を図82図83の2つの図に分けて示している。
DA交換数量算出手段32は、取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31により作成された取引価格付き複数DA銘柄統合板107に基づき、決済価格が決定した場合における、取引者相互のDAの交換数量を算出する。
また、DA交換数量算出手段32は、決済価格を当該DA銘柄の最良気配値で割った数値を当該DAの交換数量として算出する。
【0243】
図77図78を用いて説明したように、本例において、基準価格比率0.99981でのゴールドの買いと基準価格比率0.99925でのプラチナの売りはクロスしているので直接交換処理を行うようにする。
一方、基準価格比率0.99981でのゴールドの買いと基準価格比率1.00025でのプラチナの売りはクロスしていないのでゴールドとプラチナの各々の元板(基本処理板(個別取引板)100)を介した個別清算後の交換処理を行うようにする。
この各DA銘柄等を統一した統合板(基準価格ベースのソート板)103に、基本処理板(個別取引板)100におけるDA銘柄の取引価格を入れた板をベースに、決済価格(この場合は¥)が決定した場合の、互いのDAの交換処理できる、¥ベースの最良気配値で割った数値(当該DAの交換量)を顧客に提示し、顧客からの決済指示を受ける。
このとき、実際の取引価格を参考として表示しても良い。
【0244】
さらに、具体的な例を用いて説明する。
ここでは、取引者Aは500円のものを取引者Bから購入してゴールドを渡すことを所望し、取引者Bはプラチナで受け取ることを所望しているものとする。
ゴールドの500円の金額指定での売りと、プラチナの500円の金額指定での買いであり、直接交換板(図67図68)においてゴールドの買いとプラチナの売りのペアの最良気配の交換比率(本例では、「第1のDA銘柄(本例では、「ゴールド」)建てによる第2のDA銘柄(本例では、「プラチナ」)の交換比率」)は0.49727になる。
この交換比率に対応する価格は、図66図1-3とから、ゴールドが8084円、プラチナが4020円であるから、
取引者Aのゴールドの処分量は、
500/8040=0.0621891
取引者Bのプラチナの受け取り量は、
500/4020=0.1243781
となる。
【0245】
(処理の流れ-その9)現物・CFD統合板作成処理、現物・CFD融合板作成処理の流れ(図84
図84は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、現物・CFD統合板作成処理、現物・CFD融合板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
本実施形態のデジタル資産スワップシステム1は、図57図81を用いて説明した処理に加えて、さらに、現物板とCFD板とを統合させる処理を行うことができる。
現物・CFD統合板作成手段35は、現物板とCFD(Contract For Difference:差金決済)板とを統合した現物・CFD統合板108(本例では図85)を作成する。
図85はプラチナの現物板(基本処理板)とCFD板とを用いて統合した現物・CFD統合板108の例を示している。
現物・CFD統合板108においては、基本的には、CFD同士の対当、現物同士の対当処理を行う。
ここで、マーケットメイカーの自己が介在し、CFDと現物との対当ポジションをつくり、約定して食うことができるようにする。
【0246】
現物・CFD融合板作成手段38は、取引(数量)単位が整合された、現物板の板情報とCFD(Contract For Difference:差金決済)板の板情報とを、一つの板情報として融合した現物・CFD融合板109(本例では図86)を作成する。
図86はマーケットメイカーの自己が介在(マーケットメイカーの自己保有玉が不足する場合のレンディングによる玉調達を含む)し、CFDの板を現物板に統合した例を示している。
なお、図86の例の他に、CFD板に現物板を融合(現物の数量をCFDの取引(数量)単位に合わせる必要あり)した現物・CFD融合板109を作成することも可能である。
また、図86の例では、現物とCFDの取引(数量)単位の比率は1:1であるものとしている。
【0247】
CFDの取引(数量)単位が仮に現物の10倍であった場合について、説明する。
CFD数量調整手段36は、CFDの数量を、現物の取引(数量)単位に整合した数量に調整する(図87)。
現物・CFD融合板作成手段38は、取引(数量)単位が整合された、CFDの板を現物板に融合した現物・CFD融合板109を作成する(図88)。
なお、上記の例では、CFDの板を現物板に融合した現物・CFD融合板109を作成する場合について説明したが、現物板をCFDの板に融合した現物・CFD融合板109を作成する場合は、現物数量調整手段37が、現物の数量を、CFDの取引(数量)単位に整合した数量に調整する。
【0248】
(処理の流れ-その10)DVP・RTGS統合板作成処理の流れ(図89
図89は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、DVP・RTGS統合板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
DAとしてSTも対象になる。STの取引においては、受け渡しが異なる決済手法として、RTGS、DVPを用いた取引がある。例えば、DVPはT+2でネットによる一括清算で、RTGSは都度の即時決済である。
DVPはホールセール系の取引に用いられる決済手法であり、RTGSはリテール系の取引に用いられる決済手法である。
顧客が発注時に決済手法としてDVPかRTGSを選択し、選択により決済処理異なる2種類の取引機能がわかれる。
しかし、同じ銘柄である場合、受け渡し時期をマーケットメイカーの自己が吸収することで調整できれば、決済手法の異なる注文を統合できる。
DVP・RTGS統合板作成手段39は、例えば、A銘柄のSTについて、DVPの板情報をRTGSの板情報に統合したDVP・RTGS統合板110を作成する(図90)。
また、DVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段40は、DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整するように制御(基本的にRTGS側を主体として調整)する。
【0249】
ここでは、マーケットメイカーの自己は数量500の売りポジションをもっている(売り注文を出せる)ものとする。また、マーケットメイカーの自己は数量300の買い余力がある(買い注文を出せる)ものとする。
そのような場合、DVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段40は、スプレッドをあけて、マーケットメイカーの自己が介入して鞘取りをすることができるように制御する(図91
【0250】
詳しくは、図90の例では、最良気配近傍の注文として、売り板においては、価格4020円で数量856のDVP売り注文、買い板においては、価格4020円で数量10のRTGS買い注文がある。また、図90の例では、DVPの板は売りが強く、買いが弱い状態、RTGSの板は買いが強く、売りが弱い状態となっている。
ここで、マーケットマイカーの自己が、スプレッドを1円あけて介入するものとした場合、売りの弱いRTGSの板において、価格4021円に数量500の売りポジションを持たせる(売り注文を出す)。この価格4021円でのマーケットメイカーの売りポジションが約定できるものとした場合、DVPの板において価格4020円で数量856の売りがあるので、価格4021円でのマーケットメイカーの売りポジションについての約定分の数量を、DVPの板において価格4020円で購入することで、1円の鞘取りをすることができる。
即ち、スプレッドを1円として、売りの強いDVPの板において価格4020円の売り注文がある場合、価格4020円にスプレッド1円を加算した価格4021円で、買いの強いRTGSの板においてマーケットメイカーが自己の売りを入れることで、鞘取りをすることができる。
【0251】
また、買いの弱いDVPの板において、価格4019円に数量10、価格4018円に数量100、価格4017円に数量90の買いポジションを持たせる(買い注文を出す)。この価格4019円、4018円、4017円でのマーケットメイカーの買いポジションが約定できるものとした場合、RTGSの板において価格4020円で数量10の買い、価格4019円で数量200の買い、価格4018円で数量1600の買いがあるので、価格4019円、4018円、4017円でのマーケットメイカーの買いポジションについての約定分の数量を、RTGSの板において価格4020円、4019円、4018円で購入することで、1円の鞘取りをすることができる。
【0252】
なお、上記の例では、マーケットメイカーの自己が確実に利益を出すためにスプレッドとして1円をあけたが、流動性を調整するためにスプレッドを0として、マーケットメイカーの自己が介入するようにしてもよい。図92はスプレッドを0として、DVPの板において、価格4019円で数量200、価格2018で数量100の買いポジションを持たせた(買い注文を出した)場合を示している。
【0253】
(処理の流れ-その11)メジャーDA取引板作成処理の流れ(図93
図93は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、メジャーDA取引板作成処理の流れの一例を示す説明図である。
図77図78図82図83において「各DA銘柄を統一した統合板」を作成した例を示して説明したが、DA銘柄についてさらに具体的に説明する。
DA銘柄には、板情報の作成に際し基準となる銘柄(本願では「メジャーDA」と称する)がある。
基本となる「メジャーDA」としては、例えば、図94に示すものがある。
メジャーDA取引板作成手段41は、DA銘柄についての板情報の作成における基準となるDA(メジャーDA)銘柄に対して、基準通貨(円など)との取引を行うためのメジャーDA取引板111を作成する。
基準価格算出・設定手段42は、メジャーDA取引板作成手段41により作成されたメジャーDA取引板111での取引状況に基づいて、各DA銘柄の基準価格を算出、設定する。
【0254】
基準価格算出・設定手段42の算出、設定する基準価格としては、
(a1)直前に設定した基準価格
(a2)売り最良気配と買い最良気配の中間値段
(a3)直前に約定した値段
(a4)直前の取引時間における5分間(変更可)等の約定価格の加重平均
が挙げられる。
本実施形態においては、基準価格算出・設定手段42は、基準価格の算出は上記(a2)を主とし、上記(a2)が無い場合は、上記(a4)とし、上記(a4)が無い場合は上記(a1)、(a3)のうち、時間が近いほうの数値を採用するように構成されている。
即ち、基準価格算出・設定手段42は、メジャーDA取引板111における売り最良気配と買い最良気配の中間値段を基準価格として算出・設定する。
また、基準価格算出・設定手段42は、メジャーDA取引板111における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段が無い場合は、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均を基準価格として算出・設定する。
また、基準価格算出・設定手段42は、メジャーDA取引板111における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均のいずれも無い場合は、直前に設定した基準価格、直前に約定した値段のうちの時間が近いほうの数値を基準価格として算出・設定する。
【0255】
(処理の流れ-その12)流動性状態変動率算出処理の流れ(図95
図95は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、流動性状態変動率算出処理の流れの一例を示す説明図である。
流動性状態変動率算出手段43は、流動性状態の変動率(ボラテリティ)を算出する。
流動性状態変動率算出手段43の算出する変動率(ボラテリティ)としては、
(b1)直前の取引時間における5分間(変更可)等の約定変動率。但し、母数が最低でも20約定(変動可)が無い場合はN/Aとする。
(b2)直前の取引時間における5分間(変更可)等の気配(売りと買いの中心値で、片側の気配だけの場合は、その気配について計算しない)変動率を計算。但し、母数が最低でも20(変動可)が無い場合はN/Aとする。
(b3)直前の変動率
が挙げられる。
本実施形態においては、流動性状態変動率算出手段43は、上記(b1)が無い場合は上記(b2)採用し、上記(b2)が無い場合は上記(b3)を採用するように構成されている。
即ち、流動性状態変動率算出手段43は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における約定変動率を計算し、計算した約定変動率を流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する。
また、流動性状態変動率算出手段43は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回る場合において、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における売りの気配と買いの気配の両方の変動率を計算、計算した売りの気配と買いの気配の両方の変動率を流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する。
また、流動性状態変動率算出手段43は、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回り、かつ、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)を下回る場合、直前に算出した変動率を前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する。
【0256】
(処理の流れ-その13)流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づく基準価格比率処理の流れ(図96
図96は本実施形態のデジタル資産スワップシステム1を用いた、流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づく基準価格比率処理の流れの一例を示す説明図である。
上述したように、各メジャー枠のDA銘柄について、「各DA銘柄を統一した統合板」を作成する場合、板情報変更制御手段18は、基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105、第2の基準価格比率変換板106における基準価格や板情報の内容が変更される都度、基準価格をベースとして、板情報の内容についての変更(再計算)を繰り返す。
さらに、板情報変更制御手段18は、DA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、変更(再計算)を繰り返す。
詳しくは、板情報変更制御手段18は、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率を修正する。
または、板情報変更制御手段18は、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する。
【0257】
流動性状態(変動率)の大きい銘柄は流動性が小さいため、取引リスクが大きい。
その取引リスクに対応するため、板情報変更制御手段18が、流動性状態(変動率)の大きい銘柄について、「基準価格比率」の値(所定価格を基準価格とし、基準価格が基準値=1となるようにして算出した、基準価格に対する比率)を修正する。
流動性状態(変動率)の小さい銘柄は「基準価格比率」を修正せずにそのままとし、流動性状態(変動率)の大きい銘柄については、例えば、図97に示すような基準価格比率修正テーブル112に定めた修正率に基づき、「基準価格比率」を修正する。
詳しくは、板情報変更制御手段18は、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、基準価格比率修正テーブル112に設定された当該DA銘柄において該当する流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減算値)に基づき、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率を修正する。
または、板情報変更制御手段18は、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、基準価格比率修正テーブル112に設定された当該DA銘柄において該当する流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減産値)に基づき、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する。
【0258】
板情報においては、基準値段の呼び値(売買する際の価格の刻み幅)があり、その単位で基準値段は区切られて価格でソートされている。
DA銘柄ごとに前記流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブル112(図97)を用いて、DA銘柄ごとに、基準価格比率(所定価格を基準価格とし、基準価格が基準値=1となるようにして算出した、基準価格に対する比率)を修正する。
流動性状態(変動率)が大きくなるほど、当該DA銘柄の売りと買いの基準価格比率(所定価格を基準価格とし、基準価格が基準値=1となるようにして算出した、基準価格に対する比率)の差は大きくなる。
よって、流動性の小さい銘柄との交換を行う場合は、相応のリスク量を加えて交換を行うことになる。
【0259】
本実施形態のデジタル資産スワップシステム1の効果
本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、基本処理板作成手段11を有し、DA銘柄ごとに所定の取引(数量)単位での基準数量に対する所定の法定通貨を単位とした価格ごとの売り注文数量を示す売り板、買い注文数量を示す買い板からなる、所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)100を作成する構成としたので、法定通貨を介したDAの決済が可能となり、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握することができる。
【0260】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、第1の基準価格比率算出手段12と、第1の売量・買量算出手段13と、第1の基準価格比率変換板作成手段14と、を有し、基本処理板作成手段11により作成された基本処理板(個別取引板)100を用いて、当該DA銘柄ごとの所定価格を基準価格とし、基本処理板(個別取引板)100における各価格の基準価格に対する比率を第1の基準価格比率として算出し、基本処理板作成手段11により作成された基本処理板(個別取引板)100における各価格、各売注文数量を用いて、価格ごとの売り量(=価格×売り注文数量)、買い量(=価格×買い注文数量)を算出し、第1の基準価格比率算出手段12により算出された第1の基準価格比率ごとに、第1の売量・買量算出手段13により算出された売り量、買い量を並べた第1の基準価格比率変換板101を作成する構成としたので、基準価格に対する割安、割高を見極めることができ、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握することができる。
【0261】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DA銘柄直接交換板作成手段15を有し、基本処理板作成手段11により作成された第1のDA銘柄の所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)100-1の板情報と、第2のDA銘柄の所定の法定通貨建ての基本処理板(個別取引板)100-2の板情報とに基づいて、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102を作成する構成としたので、法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)をすることができる。
【0262】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、複数DA銘柄統合板作成手段16を有し、第1の基準価格比率変換板作成手段14により作成された複数のDA銘柄についての第1の基準価格比率変換板101を統合した複数DA銘柄統合板103を作成する構成としたので、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことができる。
【0263】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、基準価格比率ソート手段17を有し、複数DA銘柄統合板作成手段16により統合された複数DA銘柄統合板103の板情報を、(売り量、買い量が0のものを除外して)第1の基準価格比率の順にソートする構成としたので、基準価格比率に基づく、基準価格に対する割安、割高を見極め易くすることができる。
【0264】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、板情報変更制御手段18を有し、複数DA銘柄統合板103が基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する構成としたので、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができる。
【0265】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DA銘柄直接交換板作成手段15が、板情報並び順変換板作成手段15-1と、第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段15-2と、売買注文価格対応付け手段15-3と、DA銘柄交換比率算出手段15-4と、第1の注文板データ作成手段15-5と、第2の注文板データ作成手段15-6と、を有し、第1のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-1における売り注文数量と買い注文数量、価格の並びを、逆順となるように変換した第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104を作成し、板情報並び順変換板作成手段15-1により作成された第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104、第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2、の夫々における、価格ごとの売り量、買い量を第1の売量・買量算出手段13を介して算出させ、第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104における最も高い買い注文の価格が、第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2における最も安い売り注文の価格と対応づくようにして、第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104と、第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2とを対応づけ、売買注文価格対応付け手段15-3により対応づけられた、第1のDA銘柄の板情報並び順変換板104と第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)100-2とにおける夫々の価格を用いて、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率(所定の取引(数量)単位の基準数量(=1)の第2のDA銘柄で交換できる第1のDA銘柄の数量=第2のDA銘柄の価格/第1の銘柄の価格)を算出し、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における注文板データを作成するとともに、第1のDA銘柄建てによる、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における注文板データを作成する構成としたので、法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)を可能とする構成を具現化することができる。
【0266】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、第1の注文板データ作成手段15-5が、第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1と、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2と、第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3と、第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-4と、を有し、第2のDA銘柄の売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=第2のDA銘柄の売り量/DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出し、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額(第2のDA銘柄の売り量変換手段15-5-1により算出された、第2のDA銘柄の売り量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の買い量、のうちの小さいほうの量)を抽出し、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2により抽出された第1の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出し、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-5-3により算出された第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における、第1の取引可能金額抽出手段15-5-2により抽出された第1の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する構成としたので、第2のDA銘柄を売り、第1のDA銘柄を買いとする第1の取引における法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)が可能となる構成を具現化することができる。
【0267】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、第2の注文板データ作成手段15-6が、第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1と、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2と、第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3と、第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-4と、を有し、第2のDA銘柄の買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量(=第2のDA銘柄の買い量/DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出し、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額(第2のDA銘柄の買い量変換手段15-6-1により算出された、第2のDA銘柄の買い量を第1のDA銘柄を基準として変換した量と、第1のDA銘柄の売り量、のうちの小さいほうの量)を抽出し、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2により抽出された第2の取引可能金額/第2のDA銘柄の価格×DA銘柄交換比率算出手段15-4により算出された、第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出し、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段15-6-3により算出された第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値に対応する第1のDA銘柄の渡し量の上限値(第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における、第2の取引可能金額抽出手段15-6-2により抽出された第2の取引可能金額/第1のDA銘柄の価格×第1のDA銘柄建てによる第2のDA銘柄の交換比率)を算出する構成としたので、第2のDA銘柄を買い、第1のDA銘柄を売りとする第2の取引における法定通貨を介さないDA同士の直截的決済(本来の物々交換)が可能となる構成を具現化することができる。
【0268】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19を有し、1つのDA銘柄の取引において、板情報として、複数種類の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが存在する場合に、所定の法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせに変換(統一化)する構成としたので、割安の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換することで有利な取引をすることができる。
【0269】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、第2の基準価格比率算出手段20と、第2の売量・買量算出手段21と、第2の基準価格比率変換板作成手段22と、を有し、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105を用いて、当該DA銘柄の所定価格を基準価格とし、変換(統一化)された板105の各価格の基準価格に対する比率を第2の基準価格比率として算出し、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19により法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105における価格、売注文数量を用いて、価格ごとの売り量、買い量を算出し、第2の基準価格比率算出手段20により算出された第2の基準価格比率ごとに、第2の売量・買量算出手段21により算出された売り量、買い量を並べた第2の基準価格比率変換板106を作成する構成としたので、基準価格に対する割安、割高を見極めることができ、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握することができる。
【0270】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、複数DA銘柄統合板作成手段16が、第1の基準価格比率変換板作成手段12により作成された複数のDA銘柄についての第1の基準価格比率変換板101、及び/又は、第2の基準価格比率変換板作成手段20により作成された複数のDA銘柄についての第2の基準価格比率変換板106を統合した複数DA銘柄統合板103を作成する構成としたので、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行う場合における各基準価格に対しての割高、割安を見極めることができる。
【0271】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、基準価格比率ソート手段17が、複数DA銘柄統合板作成手段16により統合された複数DA銘柄統合板103の板情報を、(売り量、買い量が0のものを除外して)第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率の順にソートする構成としたので、基準価格比率に基づく、基準価格に対する割安、割高を見極め易くすることができる。
【0272】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、板情報変更制御手段18が、複数DA銘柄統合板103が基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105、第2の基準価格比率変換板106と連動し、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容も変更されるように制御する構成としたので、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができる。
【0273】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段19が、第1のDA銘柄の取引において、板情報として、法定通貨単位:ドル、取引(数量)単位:オンスとの組み合わせで作成されている基本処理板(個別取引板)の板情報を、法定通貨単位:円、取引(数量)単位:グラムに変換した板を作成する構成としたので、割安の「法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ」に変換することで有利な取引をするための構成を具現化することができる。
【0274】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、基準価格比率ソート手段17が、元DA銘柄識別子情報付加手段23を有し、ソートしたデータの個々の板情報において、元のDA銘柄を示すフラグ等の識別子を付加する構成としたので、各DA銘柄等を統一した統合板に示される個々の板情報の元のDA銘柄を認識することができ、元のDA銘柄についての他のDA銘柄との相対的な各基準価格に対しての割高、割安を見極めることができる。
【0275】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、板情報変更制御手段18が、基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102、における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容を変更する構成としたので、板情報内容変更のための再計算を常時行う場合に比べて処理の負荷を低減し、処理を効率化することができる。
【0276】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、板情報変更制御手段18が、基本処理板(個別取引板)100、第1の基準価格比率変換板101、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板102、法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板105、第2の基準価格比率変換板106における基準価格や板情報の内容が変更された後、0.5秒単位等の所定のインターバルをおいて、複数DA銘柄統合板103においてソートされる板情報の内容を変更する構成としたので、板情報内容変更のための再計算を常時行う場合に比べて処理の負荷を低減し、処理を効率化することができる。
【0277】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、前記複数DA銘柄統合板作成手段が、為替や取引量が異なる同一DA銘柄の板情報については、同じ列に並べて、前記複数DA銘柄統合板を作成する構成としたので、為替や取引量が異なる同一DA銘柄についての各基準価格に対しての割高、割安を見極め易くすることができる。
【0278】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、複数DA銘柄統合板作成手段16が、異なるDA銘柄の板情報については、横の列にずらして、複数DA銘柄統合板103を作成する構成としたので、DA銘柄ごとの板情報を視認し易くすることができる。
【0279】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、統合板取引処理制御手段24をさらに有し、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板103においてクロス状態になる場合は、当該複数DA銘柄統合板103内で当該2者のDA同士を交換処理し、DAと通貨との交換処理が不要となるように制御する構成としたので、DAと通貨との交換処理を介在させることなく、2者間による異なるDA同士を直接交換することができる。
【0280】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、統合板取引処理制御手段24が、同一DA銘柄でクロス状態になる場合は、無条件でマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する構成としたので、同一DA銘柄の流動性を確保することができる。
【0281】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、各板の注文厚さに基づいて、売りと買いのいずれが優位かを判断する機能を有する流動性分析手段25をさらに有し、統合板取引処理制御手段24が、流動性分析手段25により優位と判断された側の板を基準としてマーケットメイカーの自己の玉を約定させるように制御する構成としたので、DA銘柄の流動性を確保し易くすることができる。
【0282】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、統合板取引処理制御手段24が、流動性分析手段25により売りが優位と判断された場合、買い板における第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも高い買い注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の売りで約定させるように制御する構成としたので、DA銘柄の流動性をより確保し易くすることができる。
【0283】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、統合板取引処理制御手段24が、流動性分析手段25により買いが優位と判断された場合、売り板における第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率が1よりも低い売り注文に対し、マーケットメイカーの自己玉の買いで約定させるように制御する構成としたので、DA銘柄の流動性をより確保し易くすることができる。
【0284】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、統合板取引処理制御手段24が、2者間による異なるDA銘柄が、当該複数DA銘柄統合板103においてクロス状態にならない場合は、当該DA銘柄の基本処理板(個別取引板)100に回送し、当該基本処理板(個別取引板)100で各々の通貨との交換処理を行うように制御する構成としたので、異なるDA銘柄についてクロス状態に応じた最良の方法で交換することができる。
【0285】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DA支払い数量算出手段26と、DA支払い数量提示手段27と、DA受け取り数量算出手段28と、DA受け取り数量提示手段29と、第1の決済指示受付手段30と、をさらに有し、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の売りを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする基本処理板(個別取引板)100の価格に基づき、当該DAの支払い数量を算出し、DA支払い数量算出手段27が算出した当該DAの支払い数量を当該取引者に提示し、所定の基準価格比率での所定のDA銘柄の買いを所望する場合における所定の決済金額に対して、当該基準価格比率にリンクする基本処理板(個別取引板)100の価格に基づき、当該DAの受け取り数量を算出し、DA受け取り数量算出手段28が算出した当該DAの受け取り数量を当該取引者に提示し、DA支払い数量提示手段27による当該DAの支払い数量の提示を受けた当該支払い側の取引者、DA受け取り数量提示手段29による当該DAの受け取り数量の提示を受けた当該受け取り側の取引者からの決済指示を受け付ける構成としたので、1gや¥1、¥1未満の小さい取引(数量)単位でのDAの交換処理を行うことができる。
【0286】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31をさらに有し、複数DA銘柄統合板103に、基本処理板(個別取引板)100における夫々のDA銘柄の取引価格を付加した取引価格付き複数DA銘柄統合板107を作成する構成としたので、元板(基本処理板(個別取引板)100)を用いることなく、決済価格が決定した場合の、互いのDAの交換数量を算出して、算数した数量分のDAの交換処理を行うことができる。
【0287】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DA交換数量算出手段32と、DA交換数量提示手段33と、第2の決済指示受付手段34と、をさらに有し、取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段31により作成された取引価格付き複数DA銘柄統合板107に基づき、決済価格が決定した場合における、取引者相互のDAの交換数量を算出し、DA交換数量算出手段32により算出された当該DAの交換数量を当該取引者に提示し、DA交換数量提示手段33により当該DAの交換数量を提示された当該取引者からのからの決済指示を受け付ける構成としたので、元板(基本処理板(個別取引板)100)を用いることなく、1gや¥1、¥1未満の小さい取引(数量)単位でのDAの交換処理を行うことができる。
【0288】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DA交換数量算出手段32が、決済価格を当該DA銘柄の最良気配値で割った数値を当該DAの交換数量として算出する構成としたので、DA交換数量算出手段32による当該DAの交換数量の算出を具現化することができる。
【0289】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、現物・CFD統合板作成手段35をさらに有し、現物板とCFD(Contract For Difference:差金決済)板とを統合した現物・CFD統合板108を作成する構成としたので、より広範囲にわたるDA銘柄について優位な物々交換を行うことができる。
【0290】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、CFD数量調整手段36を有し、CFDの数量を、現物の取引(数量)単位に整合した数量に調整する構成としたので、CFDと現物との取引を行うことができる。
【0291】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、現物数量調整手段37を有し、現物の数量を、CFDの取引(数量)単位に整合した数量に調整する構成としたので、CFDと現物との取引を行うことができる。
【0292】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、現物・CFD融合板作成手段38をさらに有し、取引(数量)単位が整合された、現物板の板情報とCFD(Contract For Difference:差金決済)板の板情報とを、一つの板情報として融合した現物・CFD融合板109を作成する構成としたので、一つの板情報においてCFDと現物との取引を行うことができる。
【0293】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DVP・RTGS統合板作成手段39と、DVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段40と、をさらに有し、DA銘柄が、受け渡しが異なる決済手法として、RTGS、DVPを用いた取引を行うSTである場合、DVPの板情報をRTGSの板情報に統合したDVP・RTGS統合板110を作成し、DVPの板情報とRTGSの板情報とにおける受け渡し時期のずれをマーケットメイカーの自己に吸収させて調整するように制御(基本的にRTGS側を主体として調整)する構成としたので、受け渡しが異なる決済手法を用いたDA銘柄の取引であっても、当該DA同士を交換することができる。
【0294】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、メジャーDA取引板作成手段41と、基準価格算出・設定手段42と、をさらに有し、DA銘柄についての板情報の作成における基準となるDA(メジャーDA)銘柄に対して、基準通貨(円など)との取引を行うためのメジャーDA取引板111を作成し、メジャーDA取引板作成手段41により作成されたメジャーDA取引板111での取引状況に基づいて、各DA銘柄の基準価格を算出、設定する構成としたので、基準となるDA銘柄の板情報に基づき、基準となるDA銘柄以外のDA銘柄の板情報を作成し易くすることができる。
【0295】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、基準価格算出・設定手段42が、メジャーDA取引板111における売り最良気配と買い最良気配の中間値段を基準価格として算出・設定する構成としたので、基準となるDA銘柄の板情報に基づき、基準となるDA銘柄以外のDA銘柄の板情報を作成し易くすることができる。
【0296】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、基準価格算出・設定手段42が、メジャーDA取引板111における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段が無い場合は、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均を基準価格として算出・設定する構成としたので、基準となるDA銘柄の板情報における基準価格を具現化することができる。
【0297】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、基準価格算出・設定手段42が、メジャーDA取引板111における当該メジャーDA銘柄について、売り最良気配と買い最良気配の中間値段、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定価格の加重平均のいずれも無い場合は、直前に設定した基準価格、直前に約定した値段のうちの時間が近いほうの数値を基準価格として算出・設定する構成としたので、基準となるDA銘柄の板情報における基準価格を具現化することができる。
【0298】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、流動性状態変動率算出手段43をさらに有し、DA銘柄の流動性状態の変動率(ボラテリティ)を算出する構成としたので、流動性状態変動率に基づき、DA銘柄の取引リスクを把握することができる。
【0299】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、流動性状態変動率算出手段43が、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における約定変動率を計算し、計算した約定変動率を流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する構成としたので、当該DA銘柄についての流動性状態変動率の算出を具現化することができる。
【0300】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、流動性状態変動率算出手段43が、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回る場合において、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)以上である場合、当該所定の取引時間内における売りの気配と買いの気配の両方の変動率を計算、計算した売りの気配と買いの気配の両方の変動率を流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する構成としたので、当該DA銘柄についての流動性状態変動率の算出を具現化することができる。
【0301】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、流動性状態変動率算出手段43が、当該DA銘柄について、直前の5分間(変更可)等の所定の取引時間内における約定数が20(変更可)を下回り、かつ、当該所定の取引時間内における売りと買い両方の気配(売りと買いの中心値)が20(変更可)を下回る場合、直前に算出した変動率を流動性状態の変動率(ボラテリティ)として算出する構成としたので、当該DA銘柄についての流動性状態変動率の算出を具現化することが可能になる。
【0302】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、板情報変更制御手段18が、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率を修正する構成としたので、流動性状態変動率に基づき、DA銘柄の取引リスクに応じた基準価格に対する割安、割高を見極めながら、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を把握することが可能になる。
【0303】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、各メジャー枠のDA銘柄について、各DA銘柄を統一した統合板を作成する場合において、板情報変更制御手段18が、基準価格や板情報の内容が変更されるときに同期して、当該基準価格をベースとして板情報の内容についての再計算を繰り返す際に、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づいて、当該DA銘柄についての第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する構成としたので、流動性状態変動率に基づき、DA銘柄の取引リスクに応じた基準価格に対する割安、割高を見極めながら、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を把握することが可能になる。
【0304】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DA銘柄ごとに流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブル112を有し、板情報変更制御手段18が、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、基準価格比率修正テーブル112に設定された当該DA銘柄において該当する流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減算値)に基づき、第1の基準価格比率を修正する構成としたので、DA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づく、基準価格比率の修正をし易くすることが可能になる。
【0305】
また、本実施形態のデジタル資産スワップシステム1によれば、DA銘柄ごとに流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に応じた基準価格比率への修正量(加算値又は減算値)が設定された基準価格比率修正テーブル112を有し、板情報変更制御手段18が、流動性状態変動率算出手段43により算出されたDA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)を、基準価格比率修正テーブル112に設定された当該DA銘柄において該当する流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲に照合し、当該流動性状態の変動率(ボラテリティ)の範囲において設定されている修正量(加算値又は減産値)に基づき、第1の基準価格比率、及び/又は、第2の基準価格比率を修正する構成としたので、DA銘柄ごとの流動性状態の変動率(ボラテリティ)に基づく、基準価格比率の修正をし易くすることが可能になる。
【0306】
このため、上記各実施形態によれば、DAの取引を所望する取引者がDAの価値の妥当性を容易に把握でき、且つ、安定した取引価格で信頼性のある取引を行うことができ、法定通貨を用いることなく清算が可能で、さらには、多対多の複雑な組み合わせによるDA同士の交換を行うことの可能な、デジタル資産スワップシステムが得られる。
【0307】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明を導出する過程において本件発明者が考察、検討した内容を含めて、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0308】
本発明のデジタル資産スワップシステムは、貴金属、非鉄金属、石油・ガス・電力などのエネルギー類、コメ・砂糖などの保存可能な農作物、美術品、飲料水など、広範囲に販売されているものや、その他の経済的価値をデジタルで表現された、デジタル資産を用いて取引を扱う分野に有用である。
【符号の説明】
【0309】
1 デジタル資産スワップシステム
11 基本処理板作成手段
12 第1の基準価格比率算出手段
13 第1の売量・買量算出手段
14 第1の基準価格比率変換板作成手段
15 DA銘柄直接交換板作成手段
15-1 板情報並び順変換板作成手段
15-2 第1・第2DA銘柄売量・買量算出制御手段
15-3 売買注文価格対応付け手段
15-4 DA銘柄交換比率算出手段
15-5 第1の注文板データ作成手段
15-5-1 第2のDA銘柄の売り量変換手段
15-5-2 第1の取引可能金額抽出手段
15-5-3 第1の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段
15-5-4 第1の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段
15-6 第2の注文板データ作成手段
15-6-1 第2のDA銘柄の買い量変換手段
15-6-2 第2の取引可能金額抽出手段
15-6-3 第2の取引での第2のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段
15-6-4 第2の取引での第1のDA銘柄の渡し量の上限値算出手段
16 複数DA銘柄統合板作成手段
17 基準価格比率ソート手段
18 板情報変更制御手段
19 法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせ統一化手段
20 第2の基準価格比率算出手段
21 第2の売量・買量算出手段
22 第2の基準価格比率変換板作成手段
23 元DA銘柄識別子情報付加手段
24 統合板取引処理制御手段
25 流動性分析手段
26 DA支払い数量算出手段
27 DA支払い数量提示手段
28 DA受け取り数量算出手段
29 DA受け取り数量提示手段
30 第1の決済指示受付手段
31 取引価格付き複数DA銘柄統合板作成手段
32 DA交換数量算出手段
33 DA交換数量提示手段
34 第2の決済指示受付手段
35 現物・CFD統合板作成手段
36 CFD数量調整手段
37 現物数量調整手段
38 現物・CFD融合板作成手段
39 DVP・RTGS統合板作成手段
40 DVP取引STとRTGS取引ST相互の受け渡し時期調整制御手段
41 メジャーDA取引板作成手段
42 基準価格算出・設定手段
43 流動性状態変動率算出手段
100 基本処理板(個別取引板)
100-1 第1のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)
100-2 第2のDA銘柄の基本処理板(個別取引板)
101 第1の基準価格比率変換板
102 第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板
103 複数DA銘柄統合板
104 第1のDA銘柄の板情報並び順変換板
105 法定通貨単位、取引(数量)単位の組み合わせが変換(統一化)された板
106 第2の基準価格比率変換板
107 取引価格付き複数DA銘柄統合板
108 現物・CFD統合板
109 現物・CFD融合板
110 DVP・RTGS統合板
111 メジャーDA取引板
112 基準価格比率修正テーブル
【要約】
【課題】価値の妥当性を容易に把握でき、安定価格で信頼性ある取引、法定通貨を用いない清算、多対多の複雑な交換の可能な、デジタル資産スワップシステムの提供。
【解決手段】DA銘柄ごとに所定の法定通貨建ての基本処理板を作成する手段11、基本処理板における各価格の基準価格に対する比率を算出する手段12、価格ごとの売り量、買い量を算出する手段13、基準価格比率変換板を作成する手段14、第1のDA銘柄と第2のDA銘柄との直接交換板を作成する手段15、複数のDA銘柄の基準価格比率変換板を統合した複数DA銘柄統合板を作成する手段16、複数DA銘柄統合板の板情報を基準価格比率の順にソートする手段17、複数DA銘柄統合板が各板と連動し、基準価格や板情報の内容の変更に同期して、当該複数DA銘柄統合板の板情報の内容も変更されるように制御する板情報変更制御手段18を有する。
【選択図】図1
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